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特開2023-163472高所作業用手挟み防止機能付き作業台
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163472
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】高所作業用手挟み防止機能付き作業台
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/06 20060101AFI20231102BHJP
   E04G 5/14 20060101ALI20231102BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B66F9/06 M
E04G5/14 301F
B66F11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074412
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124316
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】松尾 芳美
(72)【発明者】
【氏名】本多 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】池端 元太郎
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA08
3F333AC07
3F333DA03
3F333DA04
3F333FA11
(57)【要約】
【課題】作業者が高所での作業台上で作業を遂行する上で、手摺りを把持している手が構造体や設置済みの設備との間に挟まれる事態を防止する機能を作業台に持たせる。
【解決手段】作業者が載る作業床2の周囲に周方向に間隔を置いて配列する縦枠材3と、縦枠材3の上端部に固定される手摺り材4のいずれかに支持部材5を着脱自在に接続し、支持部材5に支持されるか、一体化する保護枠材6を手摺り材4の上方へ突出し、且つ作業床2の外周側へ張り出して手摺り材4に沿い、連続的に、もしくは断続的に配置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車両上に昇降自在に支持され、作業者が載る作業床と、この作業床の周囲に周方向に間隔を置いて配列し、下端部において前記作業床に固定される縦枠材と、この縦枠材の上端部に固定され、前記作業者が把持する手摺り材を備える高所作業用作業台において、
少なくとも前記縦枠材と前記手摺り材のいずれかに着脱自在に接続される支持部材と、この支持部材に支持されるか、一体化し、前記手摺り材の上方へ突出し、且つ前記作業床の外周側へ張り出して前記手摺り材に沿い、連続的に、もしくは断続的に配置され、耐衝撃性を有する保護枠材を備えることを特徴とする高所作業用手挟み防止機能付き作業台。
【請求項2】
前記支持部材は軸方向に伸縮自在であることを特徴とする請求項1に記載の高所作業用手挟み防止機能付き作業台。
【請求項3】
前記保護枠材は軸方向に伸縮自在であることを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載の高所作業用手挟み防止機能付き作業台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業者が高所での作業台上で作業を遂行する上で、作業台の手摺りを把持している手が構造体や設置済みの設備との間に挟まれる事態を防止する機能を持つ高所作業用手挟み防止機能付き作業台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
走行車両上に鉛直方向に昇降自在に支持され、作業者が高所での作業をするための作業台(バスケット)には、作業台の移動時と作業者による作業時に作業台に生じる揺れに対する安全性の確保上、作業者が把持するための、または安全帯を接続するための手摺りが作業台の周方向に連続的に配置される。
【0003】
例えば作業者が手摺りを把持したまま、作業台が移動する状況下では、作業者は作業台の移動を操作する操作レバーを操作しつつ、周辺の確認作業をすることがあるため、手摺りを把持している手の部分に、構築済みの構造体(躯体)や設置済みの設備等の障害物が接触、または衝突する危険性がある。
【0004】
このような危険性に備え、手摺りの外周側の、手摺りの下方にガード部材を配置した作業台があったが(特許文献1の図7図8参照)、この例には作業台が上方に移動したときの危険性が解消されない問題があった。作業台が上昇したときには手摺りを把持する手を相対的に降下する障害物から保護することができない。
【0005】
それに対し、本来の固定されている手摺りの内側に手摺りに沿って移動可能な移動手摺りを配置し、本来の手摺りをガード部材として利用することで、障害物が手に当たることを回避する方法(特許文献1参照)や、手摺りの外側で上下動するガード部材を手摺りに装着する方法(特許文献2参照)がある。
【0006】
一方、作業台の四隅に棒状体を固定しておき、棒状体が障害物に接触して変形したことを視認することで、障害物の存在を知らせる方法(特許文献3参照)の他、発光器と受光器を対にして使用し、光線の遮断を検出することで、作業台の移動を停止させる方法がある(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-138504号公報(請求項1、段落0018~0040、図1図8
【特許文献2】特開2021-88433号公報(請求項1、段落0018~0030、図1図2
【特許文献3】特開2020-93912号公報(段落0050~0054、0083~0094、図1図4
【特許文献4】特開平5-124800号公報(請求項1、段落0014、0024、図2図3図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
走行車両(高所作業車)を含め、作業台はリース商品として利用されることがある関係で、作業台の手摺りにガード部材を固定する特許文献1、2の方法は作業台の改造に当たるため、採用され難く、汎用性に欠ける。
【0009】
特許文献3では作業者は棒状体が変形していないか否か、に常に注意を払わなければならず、見落とした場合の衝突を回避することはできない。特許文献4の方法では作業者が特定の姿勢にならない限り、作業台を停止させることにはならないため、作業者の安全性が十分に確保されるとは言えない。
【0010】
本発明は上記背景より、簡素な構造でありながら、作業中の作業者の手の挟み込みを確実に防止可能な高所作業用手挟み防止機能付き作業台を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明の高所作業用手挟み防止機能付き作業台は、走行車両上に昇降自在に支持され、作業者が載る作業床と、この作業床の周囲に周方向に間隔を置いて配列し、下端部において前記作業床に固定される縦枠材と、この縦枠材の上端部に固定され、前記作業者が把持する手摺り材を備える高所作業用作業台において、
少なくとも前記縦枠材と前記手摺り材のいずれかに着脱自在に接続される支持部材と、この支持部材に支持されるか、一体化し、前記手摺り材の上方へ突出し、且つ前記作業床の外周側へ張り出して前記手摺り材に沿い、連続的に、もしくは断続的に配置され、耐衝撃性を有する保護枠材を備えることを構成要件とする。
【0012】
作業台を支持する走行車両(高所作業車)には路面上をタイヤが転動するタイヤ式と、クローラが転動するクローラ式がある。車両自体の形態上はトラック積載式と自走式がある。作業台を昇降自在に支持する昇降装置には軸方向に伸縮して昇降するブーム式(油圧シリンダ型)、あるいは掘進(伸縮)式と、パンタグラフ式に鉛直方向に伸縮して昇降する垂直昇降式(シザース型)等がある。「昇降自在」は主に鉛直方向に昇降自在であることを言うが、水平方向への移動を伴う鉛直方向の移動を含む。
【0013】
作業台1は図1-(a)に示すように少なくとも作業床2と、作業床2に固定される縦枠材3と、縦枠材3の上端部に支持される手摺り材4とから構成されるが、隣接する縦枠材3、3間に横枠材7が架設され、両縦枠材3、3に固定されることもある。手摺り材4は作業台1(作業床2)の周方向に連続して、または断続的に配置される。
【0014】
「少なくとも縦枠材と手摺り材のいずれかに接続される支持部材」とは、支持部材5が図1-(a)に示すように手摺り材4に接続される場合と、図4-(a)に示すように縦枠材3に接続される場合と、双方に接続される場合がある他、隣接する縦枠材3、3間に横枠材7が架設される場合の横枠材7に支持される場合があることを言う。支持部材5は保護枠材6を手摺り材4の上方で、作業床2の外周側に位置させるために使用される。
【0015】
「着脱自在に接続される支持部材」とは、作業床2を除き、作業台1のフレーム20を構成する縦枠材3や手摺り材等のフレーム構成材に支持部材5が接続された状態と、フレーム構成材から離脱した状態とが切り替え自在であることを言う。支持部材5がフレーム構成材から離脱した状態に復帰可能であることで、支持部材5に支持される保護枠材6もフレーム構成材に着脱自在に接続されることになる。従って支持部材5と保護枠材6をフレーム構成材に接続しても、作業台1を改造することにはならないため、作業台1の汎用性が確保される。
【0016】
支持部材5は手摺り材4や縦枠材3等のフレーム構成材と支持部材5を同時に把持(保持)する形状の連結具9、またはクランプに把持されることで、フレーム構成材に着脱自在に接続される。例えば図1図3に示すようにフレーム構成材の軸方向と支持部材5の軸方向が直交する状態になる場合には、図1-(d)に示すように円筒等の筒が直交した形状に組み合わせられる連結具9が使用される。「組み合わせられる」とは、例えば2個の連結具構成材91、91がフレーム構成材としての手摺り材4と支持部材5を同時に挟み込むように突き合わせられ、互いに連結されることで、フレーム構成材と支持部材5を同時に把持することを言う。
【0017】
図1に示す例の場合、連結具9は(d)に示すように筒(円筒)が直交した立体形状を例えば2分割した形状の連結具構成材91、91を、手摺り材4と支持部材5を挟み込むように組み合わせ、互いにボルト92とナット93等で連結することで、手摺り材4と支持部材5を連結しながら、双方に着脱自在に接合される。筒が直交した立体形状は図1-(d)に示す例のように支持部材5の軸線が手摺り材4の軸線に直交するように筒が組み合わせられる場合と、(e)に示すように支持部材5の軸線と手摺り材4の軸線が互いにねじれの位置になるように筒が組み合わせられる場合がある。図1-(d)に示す連結具9を用いた図1-(b)の場合、支持部材5の軸線が手摺り材4の軸線に直交する(交わる)。
【0018】
一方、例えば図4に示すようにフレーム構成材としての縦枠材3と支持部材5の軸方向が平行である場合には、図4-(d)に示すように円筒等の筒が並列した形状に組み合わせられる連結具9が使用される。この場合、連結具9は筒が並列した立体形状を例えば2分割した形状の連結具構成材91、91を、縦枠材3と支持部材5を挟み込むように組み合わせ、互いにボルト92等で連結することで、縦枠材3と支持部材5を連結しながら、双方に着脱自在に接合される。
【0019】
「支持部材に支持されるか、一体化する保護枠材」とは、図1-(b)に示すように支持部材5とは別体の保護枠材6が支持部材5に支持される場合と、図3-(b)に示すように保護枠材6が支持部材5に一体化し、連続した部材である場合があることを言う。後者の場合、支持部材5が保護枠材6を兼ねるか、保護枠材6が支持部材5を兼ねる形になる。保護枠材6が支持部材5に支持される場合、保護枠材6は支持部材5に直接、支持される場合と、支持部材5に直接、支持された連結具9等の中間部材に保護枠材6が支持される場合がある。
【0020】
「手摺り材の上方へ突出し、且つ作業床の外周側へ張り出し」とは、保護枠材6が手摺り材4の上方で、手摺り材4の外周面より外側に移行した位置に配置されることを言う。このことは、理屈上は、作業台1を平面で(平面図として)見たときに保護枠材6の外周側の縁が手摺り材4の外周側の縁より外周側に位置し、水平に(立面図として)見たときに保護枠材6の上側の縁が手摺り材4の上側の縁より上に位置することでもある。支持部材5は水平方向(手摺り材4の軸方向)に見たとき、図1-(c)に示すように水平方向に対しても鉛直方向に対しても傾斜した状態にある。
【0021】
但し、実際には手摺り材4を作業者が握った状態での使用が前提になるため、手摺り材4の外周面と保護枠材6の内周面との間に手を差し込めるだけの距離が確保された上で、手摺り材4を握ったときの手の表面より保護枠材6の上面が上に位置することが必要である。「手摺り材4と保護枠材6との間に手を差し込めること」は、手摺り材4を握ったときの手の表面より保護枠材6の内周面が外周側に位置することである。「連続的に、もしくは断続的に」とは、保護枠材6が手摺り4材に沿い、図1-(a)に示すように扉8の区間を除き、周方向に連続するように配置される場合と、図2-(a)に示すように一部が不連続になるように配置される場合があることを言う。
【0022】
「耐衝撃性を有する」とは、保護枠材6に障害物が接触するか、衝突したときに、少なくとも障害物が手摺り材4を握っている手に及ぶまでの変形が保護枠材6に生じないことを言い、想定される衝撃力で保護枠材6に変形が生じても障害物が手に接触するには至らないことを言う。保護枠材6の表面には衝撃を緩和する緩衝材が巻かれることもある。この他、手摺り材4との識別をし易くするために、保護枠材6の表面に手摺り材4とは異なる色を着けることもある。
【0023】
保護枠材6が手摺り材4の上方で、且つ作業床2に対して手摺り材4より外側に移行した位置に配置されることで、作業台1が上昇するときに相対的に降下する障害物と、上昇しながら作業台1がいずれかの方向に移動するときに相対的に作業台1に接近する障害物に、保護枠材6を先行させて接触させることができるため、手摺り材5を把持する手は障害物から保護される。手は手の指を含む。作業台1が上昇したときと、いずれかの方向に移動したときに障害物が保護枠材6に先行して接触することで、作業台1の手摺り材4に障害物が接触することも回避されるため、作業台1自体の損傷も防止される。
【0024】
保護枠材6の手摺り材4に対する高さ方向の位置は、図2-(c)に示すように支持部材5を軸方向に伸縮自在にすることで(請求項2)、支持部材5の伸縮自在の範囲で自由に調整される。保護枠材6は手摺り材4の上方で、手摺り材4より外側に配置されることから、支持部材5の軸方向は水平方向と鉛直方向に対して傾斜する。このため、支持部材5を軸方向に伸縮させることに伴い、互いに交差する方向に位置する保護枠材6、6間の位置が変動することがある。このような場合には、図2-(a)、(b)のように交差する方向の保護枠材6、6は互いに分離させられる。
【0025】
支持部材5が軸方向に伸縮自在であることは、例えば図2-(c)、図6-(a)に示すように径等、太さの相違する複数本の支持部材構成材としての中空の内部材51と外部材52が入れ子式に同軸で重なって配置され、内部材51と外部材52のいずれか一方が他方に対して軸方向に移動することで、支持部材5の全体で伸長し、収縮することを言う。図6-(a)は保護枠材6が伸縮自在である場合の例を示しているが、支持部材5が伸縮自在である場合も同様の構造になる。図2-(c)は支持部材5が2本の内部材51と外部材52から構成される場合の様子を示しているが、支持部材構成材は3本以上の場合もある。
【0026】
交差する方向に配置される保護枠材6、6が互いに分離させられる場合、隣接する保護枠材6、6の端部同士が不連続状態になり、隣接する保護枠材6、6間に障害物が入り込む可能性がある。このような場合には、保護枠材6自体を軸方向に伸縮自在にすることで(請求項3)、交差する方向の保護枠材6、6の端部間の連続性を確保し、保護枠材6、6より作業台1内側への障害物の入り込みを阻止することが可能になる。保護枠材6自体を軸方向に伸縮自在にすることも、図6-(a)に示すように太さの相違する複数本の保護枠材構成材61、61が入れ子式に同軸で重なって配置されることで、可能になる。
【発明の効果】
【0027】
作業床の周囲に配列する縦枠材と、縦枠材に支持される手摺り材を備える高所作業用作業台の少なくとも縦枠材と手摺り材のいずれかに着脱自在に接続される支持部材に、手摺り材の上方へ突出し、且つ作業床の外周側へ張り出す保護枠材を支持させるか、一体化させるため、支持部材と保護枠材を縦枠材と手摺り材のいずれか、または横枠材に接続しても、作業台を改造することにはならず、作業台の汎用性を確保することができる。
【0028】
また保護枠材を手摺り材の上方で、手摺り材より外側に移行した位置に配置するため、作業台が上昇するときに相対的に降下する障害物と、上昇しながら作業台がいずれかの方向に移動するときに相対的に作業台に接近する障害物に、保護枠材を先行させて接触させることができ、手摺り材を把持する作業者の手を障害物から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】(a)は扉の区間を除き、手摺り材に沿って保護枠材を連続的に配置し、支持部材を手摺り材に接続した場合の作業台の構成例を示した斜視図、(b)は(a)の手摺り材の隅角部を示した拡大図、(c)は(b)のx-x線断面図、(d)は(b)で使用されている連結具の構成例を示した斜視図、(e)は(d)とは異なる連結具の形状例を示した概要斜視図である。
図2】(a)は扉の区間を含め、手摺り材に沿って保護枠材を断続的に配置し、支持部材を手摺り材に接続した場合の作業台の構成例を示した斜視図、(b)は(a)の手摺り材の隅角部を示した拡大図、(c)は支持部材が伸縮自在である場合の(b)のx-x線断面図である。
図3】(a)は扉の区間を含め、手摺り材に沿って保護枠材を断続的に配置し、保護枠材を兼ねる支持部材を手摺り材に接続した場合の作業台の構成例を示した斜視図、(b)は(a)の手摺り材の隅角部を示した拡大図、(c)は(b)のx-x線断面図である。
図4】(a)は扉の区間を除き、手摺り材に沿って保護枠材を連続的に配置し、支持部材を縦枠材に接続した場合の作業台の構成例を示した斜視図、(b)は(a)の手摺り材の隅角部を示した拡大図、(c)は(b)のy-y線断面図、(d)は(b)で使用されている連結具の構成例を示した斜視図である。
図5】(a)は扉の区間を含め、手摺り材に沿って保護枠材を断続的に配置し、支持部材を縦枠材に接続した場合の作業台の構成例を示した斜視図、(b)は(a)の手摺り材の隅角部を示した拡大図、(c)は(b)のy-y線断面図である。
図6】(a)は図5-(a)に示す扉の区間における保護枠材が軸方向に伸縮自在である場合の保護枠材の構成例を示した平面図、(b)は(a)のx-x線断面図、(c)は(a)のy-y線断面図、(d)は(a)のz-z線断面図である。
図7】(a)は作業床と長辺方向の手摺り材が水平方向(長辺方向)に伸縮する形式の作業台の手摺り材に保護枠材を断続的に装着し、作業台が走行車両の昇降装置に支持された様子を示した正面図、(b)は(a)の平面図、(c)は(a)の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1-(a)は図7に例示するような走行車両10上に昇降自在に支持され、作業者が載る作業床2と、作業床2の周囲に周方向に間隔を置いて配列し、下端部において作業床2に固定される縦枠材3と、縦枠材3の上端部に固定され、作業者が把持する手摺り材4を備える高所作業用作業台(以下、作業台)1の構成例を示す。作業台1は例えば図7-(a)に示すような走行車両10上に支持された昇降装置11に載置され、固定されることで、昇降自在に走行車両10に支持される。図1-(a)以下の各図(a)では昇降装置11の昇降を含む作業台1の移動を操作する操作盤と昇降装置11を省略している。
【0031】
作業台1は少なくとも縦枠材3と手摺り材4のいずれかに着脱自在に接続される支持部材5と、支持部材5に支持されるか、一体化し、手摺り材4の上方へ突出し、且つ作業床2の外周側へ張り出して手摺り材4に沿い、連続的に、もしくは断続的に配置され、耐衝撃性を有する保護枠材6を備える。
【0032】
縦枠材3と手摺り材4からなるフレーム20の剛性を確保する上で必要な場合には、図1-(a)に示すように隣接する縦枠材3、3間に横枠材7が架設され、両縦枠材3、3に接合される。作業床2上のフレーム20の一部には作業者が出入りするための扉8が配置される。扉8は扉8に隣接するいずれか一方の縦枠材3に回転(開閉)自在に支持され、他方の縦枠材3には施解錠自在に接続される。フレーム20の隅角部に配置される縦枠材3と、互いに直交する手摺り材4、4とは、軸方向が3方向を向いた筒が組み合わせられた形態の連結具やクランプで連結されるか、溶接等により接合される。
【0033】
扉8は形態的には、扉8の横枠材7が扉8を構成する縦枠材3から着脱自在な形式や、扉8自体がその幅方向両側に位置する縦枠材3、3に沿い、縦枠材3と手摺り材4に対して上下にスライドする形式その他がある。いずれの形式でも、扉8に装着された保護枠材6に拘わらず、作業者は扉8を通じて作業台1内外に自由に出入りできる。
【0034】
図1-(a)は特に、扉8の区間(位置)を除き、手摺り材4に沿って保護枠材6を連続的に配置し、支持部材5を手摺り材4に接続した場合の例を示す。支持部材5は接続される部位に応じ、例えば図1-(d)、(e)に示すような連結具9、または図4-(d)に示すような連結具9やクランプを用いて手摺り材4か縦枠材3、あるいは横枠材7に接続される。
【0035】
作業台1のフレーム20を構成する縦枠材3と手摺り材4と横枠材7、及びこのフレーム20に着脱自在に接続される支持部材5と保護枠材6には主に鋼管や角形鋼管が使用されるが、形態は問われない。これらの部材自身、一定の強度と剛性があれば、素材も問われず、鋼材の他、硬質プラスチック等も使用される。
【0036】
図1-(a)は図1-(d)に示す連結具9を用いて支持部材5を手摺り材4に接続し、同じ連結具9を用いて保護枠材6を支持部材5に接続した場合の例を示す。図1-(d)に示す連結具9は使用状態では支持部材5と手摺り材4をそれぞれ同時に包囲する筒(円筒)形状を直交する2方向に組み合わせた立体形状をし、連結具9を構成する連結具構成材91、91は例えば筒形状を組み合わせた立体形状を切断面としての平面で、その平面に関して面対称形、もしくはそれに近い形に2分割等した形状になる。この連結具9は図1-(b)に示す支持部材5と保護枠材6との間では両者を同時に包囲する。
【0037】
図1-(d)に示す連結具9は、支持部材5側の筒の軸線が手摺り材4側の筒の軸線に直交し、前者の筒が後者の筒に突き当たる形状をしている。2個の連結具構成材91、91は両者間に支持部材5と手摺り材4を挟み込み、連結具構成材91、91を貫通するボルト92にナット93を螺合することで、支持部材5と手摺り材4を同時に把持し、双方を互いに連結する。保護枠材6と支持部材5との間の連結具9は支持部材5側の筒の軸線が保護枠材6側の筒の軸線に直交し、前者の筒が後者の筒に突き当たる状態で使用され、支持部材5と保護枠材6を同時に把持し、双方を互いに連結する。
【0038】
図1-(e)に示す連結具9は使用状態では支持部材5側の筒の軸線と手摺り材4(保護枠材6)側の筒の軸線とが互いに垂直で、ねじれの位置になるように筒が組み合わせられた立体形状に形成される。この例でも連結具9は例えば切断面としての平面で連結具構成材91、91に2分割等され、連結具構成材91、91は支持部材5と手摺り材4(保護枠材6)を挟み込み、両者を貫通するボルト92とナット93で、支持部材5と手摺り材4(保護枠材6)を同時に把持し、連結する。この例では連結具構成材91、91は平面に関して面対称形に2分割等した形状にはならない。
【0039】
図2-(a)は扉8の区間を含め、手摺り材4に沿って保護枠材6を断続的に配置し、図1-(d)に示す連結具9を用いて支持部材5を手摺り材4に接続し、同じ形態の連結具9を用いて保護枠材6を支持部材5に接続した場合の例を示す。この場合、保護枠材6の軸方向の端部が連結具9に把持される。図2-(c)は支持部材5を二重等、多重管構造にし、軸方向に伸縮自在にした場合の例を示している。支持部材5が伸縮自在であることで、保護枠材6はフレーム20の内側から外側に向けて平行移動可能で、逆向きにも移動可能になる。
【0040】
図2-(a)に示す例では保護枠材6が手摺り材4(フレーム構成材)の周方向に沿って断続的に配置される結果、手摺り材4の隅角部等の位置に保護枠材6が配置されないが、作業者が、保護枠材6が配置された区間の内側に位置する手摺り材4を握ることで、保護枠材6の配置されない箇所に障害物が接近することによる手との衝突は回避される。保護枠材6を手摺り材4の周方向に連続的に配置するか、図6に示すように保護枠材6を伸縮自在にすれば、障害物の手への接近自体が回避される。
【0041】
図3-(a)は扉8の区間を含め、手摺り材4に沿って保護枠材6を断続的に配置し、図1-(d)に示す連結具9を用いて支持部材5を手摺り材4に接続した場合の他の例を示す。この例では支持部材5をコの字形に屈曲した平面形状に形成することで、保護枠材6が支持部材5に一体化した形になっている。この場合、保護枠材6が支持部材5に一体化することで、支持部材5が保護枠材6を兼ねるため、保護枠材6を支持部材5に接続するための図1-(d)、(e)に示す連結具9を使用する必要がない。
【0042】
図4-(a)は扉8の区間を除き、手摺り材4に沿って保護枠材6を連続的に配置し、図4-(d)に示す連結具9を用いて支持部材5を縦枠材3に接続し、保護枠材6を図1-(d)に示す連結具9を用いて支持部材5に接続した場合の例を示す。図4-(d)に示す連結具9は(b)、(c)に示すように支持部材5と縦枠材3をそれぞれ包囲する筒形状を並列させた立体形状をし、連結具9を構成する連結具構成材91、91は例えばその立体形状を切断面としての平面で、その平面に関して面対称形か、それに近い形に2分割等した形状になる。
【0043】
図4-(d)の連結具9は使用状態では支持部材5側の筒の軸線と縦枠材3側の筒の軸線とが互い平行になるように筒が組み合わせられた立体形状に形成される。この連結具9の連結具構成材91、91も支持部材5と縦枠材3を挟み込み、両者を貫通するボルト92とナット93で、支持部材5と縦枠材3を同時に把持し、連結する。
【0044】
図4-(a)に示す例では2方向の手摺り材4、4からなるフレーム20の短辺方向に沿って配置される保護枠材6の長辺方向寄りの部分を屈曲、または湾曲させ、長辺方向の手摺り材4に沿って配置される保護枠材6と連続させている。この関係で、フレーム20の隅角部に配置される縦枠材3には1本の支持部材5を接続すればよくなっている。
【0045】
図4-(a)の例ではまた、連結具9が把持する支持部材5と縦枠材3の軸線が平行である必要があるから、支持部材5の縦枠材3寄りの区間である脚部53を縦枠材3と平行に屈曲させ、脚部53を縦枠材3に並列するように配置している。その上で、支持部材5の安定性確保のために、脚部53の軸方向の2箇所に連結具9、9を配置し、2箇所で縦枠材3に接続している。
【0046】
図5-(a)は扉8の区間とフレーム20の隅角部を除き、手摺り材4に沿って保護枠材6を連続的に配置し、図4-(d)に示す連結具9を用いて支持部材5を縦枠材3に接続し、保護枠材6を図1-(d)に示す連結具9を用いて支持部材5に接続した場合の他の例を示す。ここでも支持部材5の縦枠材3寄りの区間である脚部53を屈曲させた上で、脚部53を縦枠材3に平行に配置している。この例ではフレーム20の短辺方向に配置される保護枠材6と長辺方向に配置される保護枠材6を分離させているため、フレーム20の隅角部に配置される縦枠材3には2本の支持部材5を接続している。
【0047】
図5-(a)に示す例ではフレーム20の長辺方向に配置される保護枠材6の扉8寄りの部分を支持部材5から扉8側へ張り出すような状態で支持部材5に支持させている。同様に扉8の区間に配置される保護枠材6の軸方向両側の区間も支持部材5から扉8の両側へ張り出すように支持部材5に支持させている。このことに伴い、扉8を閉鎖した状態でフレーム20の長辺方向に配置される保護枠材6を扉8の区間でも連続させるために、図6-(a)に示すように扉8の区間と、その両側区間のいずれかの保護枠材6を軸方向に伸縮可能な構造にしている。
【0048】
図5に示す例の場合、扉8の区間とその両側区間のいずれかの保護枠材6が伸縮可能であることで、保護枠材6が収縮した状態では扉8の開閉時にその両側区間の保護枠材6との干渉が回避される意味がある。図1-(a)、図4-(a)に示すようにフレーム20の長辺方向に配置される保護枠材6の扉8寄りの部分が支持部材5から扉8側へ張り出す場合でも、扉8の区間に配置される保護枠材6がコの字形をする等、扉8の両側へ張り出す形にならず、両側区間の保護枠材6と干渉が生じない場合には、必ずしも保護枠材6を伸縮自在にする必要はない。
【0049】
図6-(a)では径の異なる2種類、3本の、保護枠材構成材61としての鋼管を軸方向に組み合わせ、径の小さい一方の鋼管(保護枠材構成材61)を径の大きい鋼管(保護枠材構成材61)内に端部から中途まで挿通させて固定し、径の大きい鋼管の他方側の端部内に径の小さい他方の鋼管(保護枠材構成材61)を軸方向に相対移動自在に挿通させている。
【0050】
この軸方向に移動自在な径の小さい鋼管が径の大きい鋼管から突出したときに、その側に位置する保護枠材6内に挿通し、仮固定されることで、扉8の区間の両側での保護枠材6の連続性が確保される。径の小さい鋼管が径の大きい鋼管から突出した先の保護枠材6には径の大きい鋼管が使用される。同様に、フレーム20の長辺方向の端部と短辺方向の端部に配置される保護枠材6、6の軸方向の端部を伸縮自在にすることで、不連続状態にある2方向の保護枠材6、6を連続させることができる。
【0051】
図7-(a)は走行車両10の昇降装置11に支持された作業台1の本体であるフレーム20に、長辺方向に、すなわちフレーム20から張り出す側へ相対移動自在に補助フレーム21を支持させることで、長辺方向に伸縮自在になった形式の作業台1の例を示す。この例では、保護枠材6は補助フレーム21とフレーム20に装着されるが、補助フレーム21がフレーム20内に収納されたときにフレーム20と重複する部分では補助フレーム21に装着される。
【符号の説明】
【0052】
1……高所作業用作業台、
2……作業床、20……フレーム、21……補助フレーム、
3……縦枠材、
4……手摺り材、
5……支持部材、51……内部材、52……外部材、53……脚部、
6……保護枠材、61……保護枠材構成材、
7……横枠材、
8……扉、
9……連結具、91……連結具構成材、92……ボルト、93……ナット、
10……走行車両、11……昇降装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7