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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016350
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】剥落防止工法
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/02 20060101AFI20230126BHJP
   E21D 11/00 20060101ALI20230126BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
E04G23/02 A
E21D11/00 Z
E01D22/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120607
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】加古 昌之
(72)【発明者】
【氏名】清水 靖也
(72)【発明者】
【氏名】小林 茂
(72)【発明者】
【氏名】安保 知紀
【テーマコード(参考)】
2D059
2D155
2E176
【Fターム(参考)】
2D059AA03
2D059BB39
2D059GG23
2D059GG40
2D155KB11
2D155LA06
2D155LA16
2D155LA17
2E176AA01
2E176AA05
2E176BB04
2E176BB25
(57)【要約】
【課題】作業員の頭上に位置するコンクリート構造物1の表面にエポキシ樹脂系接着剤4を塗布する場合であっても、作業の安全性と剥落防止シート2の接着作業性とを両立して確保できる剥落防止工法を提供することを目的とする。
【解決手段】コンクリート構造物1の表面に剥落防止シート2を接着して、コンクリート構造物1の表面を補強する剥落防止工法であって、液状の主剤に比べて高粘性で固体状の主剤に、液状の硬化剤に比べて高粘性で固体状の硬化剤を混ぜ合わせてエポキシ樹脂系接着剤4を生成する混合工程と、エポキシ樹脂系接着剤4を、コンクリート構造物1の表面または剥落防止シート2に塗布する塗布工程と、コンクリート構造物1の表面に剥落防止シート2を貼付する貼付工程とを行うことを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物の表面に剥落防止シートを接着して、前記コンクリート構造物の表面を補強する剥落防止工法であって、
液状の主剤に比べて高粘性で固体状の主剤に、液状の硬化剤に比べて高粘性で固体状の硬化剤を混ぜ合わせてエポキシ樹脂系接着剤を生成する混合工程と、
前記エポキシ樹脂系接着剤を、前記コンクリート構造物の表面または前記剥落防止シートに塗布する塗布工程と、
前記コンクリート構造物の表面に前記剥落防止シートを貼付する貼付工程とを行う
剥落防止工法。
【請求項2】
前記コンクリート構造物の表面に貼付した前記剥落防止シートを押圧して脱泡する脱泡工程を行う
請求項1に記載の剥落防止工法。
【請求項3】
前記主剤及び前記硬化剤は、それぞれ引火点が40℃以上である
請求項1または請求項2に記載の剥落防止工法。
【請求項4】
前記主剤が、
粘性を調整するための添加剤を5%以上10%以下、好ましくは7%以上10%以下含有し、
前記硬化剤が、
粘性を調整するための添加剤を5%以上10%以下、好ましくは6%以上10%以下含有する
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の剥落防止工法。
【請求項5】
前記剥落防止シートは、
粗い網目状のメッシュシートを透明樹脂でコーティングした透明性及び可撓性を有するシート形状であり、
前記主剤の前記添加剤、及び前記硬化剤の前記添加剤が、非晶質のシリカである
請求項4に記載の剥落防止工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばコンクリートトンネルの内壁に剥落防止シートを接着することで、コンクリートトンネルの内壁を補強して、コンクリートの剥落を防止するような剥落防止工法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばコンクリートトンネルなどのコンクリート構造物では、コンクリートの中性化やアルカリ骨材反応、あるいは車両の通過や地震などによる振動によって、その表面に亀裂が生じることがある。
【0003】
さらに、コンクリート構造物の表面に亀裂が生じた場合、コンクリート構造物の一部が、車両の通過や地震などによる振動によって剥落することがある。そこで、コンクリートの剥落を防止する様々な技術が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂系接着剤を塗布したコンクリート構造物の表面に、三軸メッシュ形状の剥落防止シートを接着して、コンクリート構造物の表面を補強することで、コンクリートの剥落を防止する技術が提案されている。
【0005】
ところで、剥落防止シートは、例えばコンクリートトンネルの天井部分や床版の底面などのように、作業員の頭上に位置するコンクリート構造物の表面に接着することがある。この際、エポキシ樹脂系接着剤の粘性が低いと、コンクリート構造物の表面に塗布したエポキシ樹脂系接着剤が、直下で作業する作業員へ向けて垂れ落ちることがあった。
【0006】
このような場合、塗布されたエポキシ樹脂系接着剤の膜厚が安定せず、所望される膜厚を確保し難いという問題がある。さらに、滴下したエポキシ樹脂系接着剤が作業員に付着するだけでなく、垂れ落ちるエポキシ樹脂系接着剤によって剥落防止シートの接着作業が妨げられるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4919654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑み、作業員の頭上に位置するコンクリート構造物の表面にエポキシ樹脂系接着剤を塗布する場合であっても、作業の安全性と剥落防止シートの接着作業性とを両立して確保できる剥落防止工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、コンクリート構造物の表面に剥落防止シートを接着して、前記コンクリート構造物の表面を補強する剥落防止工法であって、液状の主剤に比べて高粘性で固体状の主剤に、液状の硬化剤に比べて高粘性で固体状の硬化剤を混ぜ合わせてエポキシ樹脂系接着剤を生成する混合工程と、前記エポキシ樹脂系接着剤を、前記コンクリート構造物の表面または前記剥落防止シートに塗布する塗布工程と、前記コンクリート構造物の表面に前記剥落防止シートを貼付する貼付工程とを行うことを特徴とする。
【0010】
上記コンクリート構造物は、例えば、コンクリートトンネル、コンクリート製建物、ボックスカルバート、道路や通路、橋脚、あるいは橋桁などのことをいう。
上記剥落防止シートは、シート形状、膜形状、あるいは薄板形状の剥落防止シートのことをいう。
【0011】
上記固体状とは、流動性が低く、かつ剛体でない状態のことであって、消防法危険性確認試験(第三章その他の確認方法)の液状確認において、20℃以上40℃以下で液状でないと判定される状態のことをいう。
【0012】
この発明によれば、剥落防止工法は、作業員の頭上に位置するコンクリート構造物の表面にエポキシ樹脂系接着剤を塗布する場合であっても、作業の安全性と剥落防止シートの接着作業性とを両立して確保することができる。
【0013】
具体的には、固体状の主剤と固体状の硬化剤を混合するため、エポキシ樹脂系接着剤は、例えば液状の主剤と液状の硬化剤を混合したエポキシ樹脂系接着剤に比べて、可使時間内における粘性が高くなる。
【0014】
このため、エポキシ樹脂系接着剤は、コンクリート構造物の表面または剥落防止シートに厚付けした場合であっても、塗布された状態を維持することができる。
これにより、例えば作業員の頭上に位置するコンクリート構造物の表面にエポキシ樹脂系接着剤を塗布する場合であっても、剥落防止工法は、エポキシ樹脂系接着剤がコンクリート構造物の表面から垂れ落ちることを防止できる。
【0015】
あるいは、エポキシ樹脂系接着剤を塗布した剥落防止シートを、コンクリート構造物の表面に貼付する場合であっても、剥落防止工法は、エポキシ樹脂系接着剤が剥落防止シートから垂れ落ちることを防止できる。
【0016】
このため、剥落防止工法は、エポキシ樹脂系接着剤が作業員に付着することを防止できるとともに、エポキシ樹脂系接着剤の垂れ落ちによって作業が妨げられることを防止できる。
【0017】
さらに、エポキシ樹脂系接着剤の粘性により、剥落防止工法は、コンクリート構造物の表面に貼付した剥落防止シートが、所望位置から位置ズレする、あるいは剥がれ落ちることを防止できるため、作業性の向上を図ることができる。
【0018】
したがって、剥落防止工法は、作業員の頭上に位置するコンクリート構造物の表面にエポキシ樹脂系接着剤を塗布する場合であっても、作業の安全性と剥落防止シートの接着作業性とを両立して確保することができる。
【0019】
加えて、日本国の総務省消防庁のWEBサイト(https://www.fdma.go.jp/relocation/kasai_yobo/about_shiken_unpan/kakuninkiken.html)に掲載の危険物確認試験のフローチャートによれば、固体状の主剤及び固体状の硬化剤は、少なくとも日本国内における消防法の規定による第4類の危険物に該当せず、第2類の危険物、または指定可燃物(可燃性固体)、あるいは非危険物に該当する。
【0020】
このため、剥落防止工法は、第4類の危険物に該当する主剤及び硬化剤を保管する場合に比べて、施工現場での火災のリスクを低減することができる。
さらに、例えば保存缶に不具合が生じた場合であっても、固体状の主剤及び硬化剤が保存缶から漏出し難いため、剥落防止工法は、万一、主剤や硬化剤に引火しても、炎が広範囲に広がることを抑えられる。
【0021】
これにより、剥落防止工法は、施工現場に搬入及び保管可能な主剤及び硬化剤の数量を、第4類の危険物に該当する場合に比べて増やすことができる。よって、剥落防止工法は、剥落防止シートの接着範囲が広く、多量のエポキシ樹脂系接着剤が必要な施工現場であっても、主剤及び硬化剤を効率よく搬入して、施工作業を高効率化することができる。
【0022】
この発明の態様として、前記コンクリート構造物の表面に貼付した前記剥落防止シートを押圧して脱泡する脱泡工程を行ってもよい。
この構成によれば、貼付工程後の脱泡工程により、剥落防止工法は、コンクリート構造物の表面と剥落防止シートとの間に介在する空気を脱泡しながら、エポキシ樹脂系接着剤を押し広げることができる。
【0023】
これにより、剥落防止工法は、エポキシ樹脂系接着剤に塗りムラがある場合であっても、コンクリート構造物の表面と剥落防止シートとの間に隙間なくエポキシ樹脂系接着剤を介在させることができる。このため、剥落防止工法は、コンクリート構造物の表面に剥落防止シートを確実に接着して、コンクリート構造物の表面を補強することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記主剤及び前記硬化剤は、それぞれ引火点が40℃以上であってもよい。
この構成によれば、剥落防止工法は、施工現場に主剤及び硬化剤を保管した場合であっても、施工現場における安全性を向上することができる。
【0025】
さらに、固体状の主剤及び固体状の硬化剤は、日本国内における消防法の規定による第2類の危険物に該当せず、指定可燃物(可燃性固体)または非危険物に該当する。このため、剥落防止工法は、第2類の危険物に該当する主剤及び硬化剤を保管する場合に比べて、施工現場での火災のリスクをより低減することができる。
【0026】
これにより、剥落防止工法は、施工現場に搬入及び保管可能な主剤及び硬化剤の数量を、第2類の危険物に該当する場合に比べて増やすことができる。よって、剥落防止工法は、剥落防止シートの接着範囲が広く、多量のエポキシ樹脂系接着剤が必要な施工現場であっても、主剤及び硬化剤を効率よく搬入して、施工作業を高効率化することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記主剤が、粘性を調整するための添加剤を5%以上10%以下、好ましくは7%以上10%以下含有し、前記硬化剤が、粘性を調整するための添加剤を5%以上10%以下、好ましくは6%以上10%以下含有してもよい。
【0028】
この構成によれば、剥落防止工法は、主剤及び硬化剤を所望される高粘性の固体状にできるとともに、主剤と硬化剤を混ぜ合わせたエポキシ樹脂系接着剤の塗布性を確保することができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記剥落防止シートは、粗い網目状のメッシュシートを透明樹脂でコーティングした透明性及び可撓性を有するシート形状であり、前記主剤の前記添加剤、及び前記硬化剤の前記添加剤が、非晶質のシリカであってもよい。
この構成によれば、剥落防止シートが可撓性を有するため、剥落防止工法は、例えば剥落防止シートをロール状に丸めることができる。
【0030】
このため、剥落防止工法は、例えば折り畳まれた剥落防止シートを展開して必要な長さを切り出す場合に比べて、剥落防止シートを必要な長さ分だけ容易に取り出すことができる。
これより、剥落防止シートの歩留まりがよくなるため、剥落防止工法は、剥落防止シートを効率よく使用することができる。
【0031】
さらに、剥落防止シートが透明性を有するため、剥落防止工法は、例えばコンクリート構造物の表面に貼付した剥落防止シートを押圧して脱泡する際、エポキシ樹脂系接着剤の広がり具合や脱泡具合の確認を容易にすることができる。
【0032】
加えて、添加剤としてシリカを含有した主剤及び硬化剤は、硬化後のエポキシ樹脂系接着剤を少なくとも半透明にすることができる。このため、剥落防止工法は、剥落防止シートをコンクリート構造物の表面に接着した後であっても、コンクリート構造物の表面の視認性を確保することができる。
【0033】
これにより、剥落防止工法は、作業効率をさらに向上することができるとともに、剥落防止シートを接着した後であっても、コンクリート構造物の点検を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明により、作業員の頭上に位置するコンクリート構造物の表面にエポキシ樹脂系接着剤を塗布する場合であっても、作業の安全性と剥落防止シートの接着作業性とを両立して確保できる剥落防止工法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】施工後のコンクリート構造物の外観を示す斜視図。
図2】剥落防止シートの概略を説明する説明図。
図3】施工後のコンクリート構造物の断面の概略を示す概略図。
図4】剥落防止工法における作業員が行う工程を示すフローチャート。
図5】接着剤塗布工程を説明する概略図。
図6】シート貼付工程を説明する概略図。
図7】脱泡工程を説明する概略図。
図8】別の実施形態におけるメッシュシートを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態では、コンクリート構造物1の表面に剥落防止シート2を接着することで、コンクリート構造物1の表面を補強して、コンクリートの剥落を防止するような剥落防止工法について説明する。
【0037】
まず、本実施形態の剥落防止工法における施工対象であるコンクリート構造物1と、コンクリート構造物1に接着される剥落防止シート2について図1から図3を用いて説明する。
なお、図1は施工後のコンクリート構造物1の斜視図を示し、図2は剥落防止シート2の概略を説明する説明図を示し、図3は施工後のコンクリート構造物1の断面の概略図を示している。
【0038】
また、図2(a)はメッシュシート21の正面図を示し、図2(b)は剥落防止シート2の断面の概略図を示している。なお、図2(b)中において、図示を明確にするため、メッシュシート21の詳細な図示を省略している
また、図1中の上側を本実施形態における上方とし、図1中の下側を本実施形態における下方とする。
【0039】
コンクリート構造物1は、図1に示すように、作業員の頭上に位置する天面部1aを有するコンクリートトンネルであって、天面部1aの一端から斜め下方へ傾斜したハンチ部1bと、ハンチ部1bの下端から下方へ延びる側面部1cとを有している。
【0040】
なお、本実施形態では、天面部1a、ハンチ部1b、及び側面部1cをコンクリート構造物1の表面とする。さらに、本実施形態では、天面部1aの一端とハンチ部1bの境界近傍に亀裂があるものとし、亀裂周辺を剥落防止シート2が接着される施工範囲とする。
【0041】
また、剥落防止シート2は、図1に示すように、コンクリート構造物1の表面に密着して接着可能な可撓性と、コンクリート構造物1の表面の状態を作業員が視認可能な透明性とを有する厚さ0.5mmのシート状に形成されている。
なお、剥落防止シート2には、厚み方向の両面に保護フィルム(図示省略)が貼付された状態で施工現場に搬入されている。
【0042】
具体的には、剥落防止シート2は、図2に示すように、粗い網目状のメッシュシート21と、透明性を有するアクリル樹脂でメッシュシート21をコーティングしたコーティング層22とで構成されている。
【0043】
メッシュシート21は、図2(a)に示すように、略矩形の開口を有する2軸メッシュ形状であって、ポリプロピレン製の線状繊維材を、所定間隔を隔てて直交配置して形成されている。
【0044】
より詳しくは、メッシュシート21は、水平方向に並置された複数の第1線状繊維材21aと、第1線状繊維材21aに直交して並置された複数の第2線状繊維材21bとで2軸メッシュ形状に形成されている。なお、第1線状繊維材21aと第2線状繊維材21bとは、交差部分で一体化されている。
【0045】
一方、コーティング層22は、図2(b)に示すように、メッシュシート21の開口を閉塞するとともに、メッシュシート21の両面にアクリル樹脂の層を形成するようにメッシュシート21をコーティングしている。
【0046】
上述した構成の剥落防止シート2は、図3に示すように、プライマー3を含侵させたコンクリート構造物1の表面に対して、エポキシ樹脂系接着剤4を介して接着されている。
【0047】
このような剥落防止シート2を接着するエポキシ樹脂系接着剤4は、表1に示すように、主剤に硬化剤を混合する2液混合型であって、硬化後の状態が薄い乳白色(半透明)となる接着剤である。
なお、主剤と硬化剤とは、別々の容器に収められた状態で施工現場に保管され、コンクリート構造物1に塗布する直前に施工現場で混合される。
【0048】
【表1】
詳述すると、主剤は、表1に示すように、乳白色のパテ状である。ここで、パテ状とは、後述する液状確認において液状でないと判定される状態であって、クリーム状よりも流動性が低く、かつ攪拌可能な高粘度の固体状とする。
この主剤は、表1に示すように、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂を70%以上80%以下含有し、主剤の粘度を所望される粘度に調整する添加剤として、反応性希釈剤と非晶質のシリカとを含有している。
【0049】
反応性希釈剤は、例えばアルキルモノグリシジルエーテル、アルキルジグリシジルエーテル、あるいはアルキルフェノールモノグリシジルエーテルなどのモノグリシジルエーテル類、もしくは、ジグリシジルエーテル類であって、10%以上20%以下含有している。
【0050】
また、非晶質のシリカは、所望される粘度を得る目的だけでなく、硬化後の外観を乳白色(半透明)にする目的とで混合されている。このため、シリカは、5%以上10%以下、好ましくは7%以上10%以下の含有率が望ましい。
【0051】
なお、シリカの含有率が5%未満の場合、可使時間内におけるエポキシ樹脂系接着剤4の粘度が低くなるため、例えば天面部1aに塗布した際に垂れ落ちて作業性が低下する。
一方、シリカの含有率が10%を超える場合、可使時間内におけるエポキシ樹脂系接着剤4の粘度が高くなるため、塗り広げ難くなり、エポキシ樹脂系接着剤4の塗布性が低下する。このため、主剤におけるシリカの含有率は、5%以上10%以下、好ましくは7%以上10%以下が望ましい。
【0052】
また、硬化剤は、微黄白色パテ状であって、二官能以上のアミン類を原料として合成された変性脂肪族ポリアミンまたは変性脂環式ポリアミンを40%以上75%以下含有し、メタノールなどのアルコール類を1%以上5%以下含有し、メタ-キシリレンジアミン、イソホロンジアミンなどの二官能の複数のアミン類を合算で1%以上20%以下含有している。
【0053】
さらに、硬化剤は、オルト-sec-ブチルフェノールなどのアルキルフェノール類を1%以上15%以下含有し、硬化促進用の添加剤としてビスフェノールAを1%以上10%以下含有し、粘度調整用の添加剤としてベンジルアルコールを1%以上15%以下含有し、非晶質のシリカを5%以上10%以下含有している。
【0054】
一例として、本実施形態の硬化剤は、表1に示すように、変性脂肪族ポリアミンを55%以上75%以下含有し、メタノールを2.4%含有し、メタ-キシリレンジアミンを1%以上8%以下含有している。
【0055】
さらに、本実施形態の硬化剤は、表1に示すように、オルト-sec-ブチルフェノールを7.0%含有し、イソホロンジアミンを9.4%含有し、ビスフェノールAを1.7%含有し、ベンジルアルコールを1%以上3%以下含有している。
【0056】
加えて、本実施形態の硬化剤は、表1に示すように、硬化剤の粘度を所望される粘度に調整する添加剤として、非晶質のシリカを5%以上10%以下含有している。
この非晶質のシリカは、所望される粘度を得る目的だけでなく、硬化後の外観を乳白色(半透明)にする目的で混合されている。このため、シリカは、5%以上10%以下、好ましくは6%以上10%以下の含有率が望ましい。
【0057】
なお、シリカの含有率が5%未満の場合、可使時間内におけるエポキシ樹脂系接着剤4の粘度が低くなるため、例えば天面部1aに塗布した際に垂れ落ちて作業性が低下する。
一方、シリカの含有率が10%を超える場合、可使時間内におけるエポキシ樹脂系接着剤4の粘度が高くなるため、塗り広げ難くなり、エポキシ樹脂系接着剤4の塗布性が低下する。このため、硬化剤におけるシリカの含有率は、5%以上10%以下、好ましくは6%以上10%以下が望ましい。
【0058】
引き続き、上述した主剤及び硬化剤の物性について、表2を用いて説明する。
【0059】
【表2】
なお、表2に示す液状確認は、日本国内における危険物の規制に関する規則の第69条の2の液状の定義、及び消防法危険性確認試験データベース(http://explosion-safety.jp/INFOMATION/shoubou_mokuji.htm)の第3章その他の確認方法に記載の液状確認に基づいて実施している。
【0060】
詳述すると、液状確認は、内径30mm、高さ120mmの平底円筒型の試験管に、試験物品(主剤または硬化剤)を試験管の底からの高さが55mmとなる位置まで入れる。その後、起立状態の試験管を恒温水槽に入れ、試験物品の温度が確認温度±0.1℃となってからさらに10分間静置したのち、恒温水槽から起立状態のまま試験管を取り出し、速やかに水平に寝かせる。
【0061】
この際、試験管を水平に寝かせてからの経過時間を計測し、試験物品の先端が試験管の底面から85mmの位置を90秒以内に通過する場合、試験物品は液状であると判定する確認方法である。
【0062】
また、表2に示す消防法上の分類は、日本国の総務省消防庁のWEBサイト(https://www.fdma.go.jp/relocation/kasai_yobo/about_shiken_unpan/kakuninkiken.html)に掲載の危険物第4類確認試験のフローチャート、及び第2類確認試験のフローチャートに基づいて分類したものである。
【0063】
詳述すると、主剤は、表2に示すように、液状確認において、90秒経過後もほとんど流動しないため、20℃から40℃の間で固体である。このため、危険物第4類確認試験のフローチャートによれば、主剤は、日本国の消防法で規定された第4類の危険物に該当しない。
【0064】
さらに、主剤は、引火点が138℃のため、第2類確認試験のフローチャートによれば、日本国の消防法で規定された第2類の危険物に該当しないことから、少なくとも指定可燃物(可燃性固体)に分類される物質である。
【0065】
一方、硬化剤は、表2に示すように、液状確認において、90秒経過後もほとんど流動しないため、20℃から40℃の間で固体である。このため、危険物第4類確認試験のフローチャートによれば、硬化剤は、日本国の消防法で規定された第4類の危険物に該当しない。
【0066】
さらに、硬化剤は、引火点が98℃のため、第2類確認試験のフローチャートによれば、日本国の消防法で規定された第2類の危険物に該当しないことから、少なくとも指定可燃物(可燃性固体)に分類される物質である。
【0067】
次に、上述したエポキシ樹脂系接着剤4を用いた剥落防止工法について、図4から図7を用いて説明する。
なお、図4は剥落防止工法における作業員が行う工程のフローチャートを示し、図5は接着剤塗布工程を説明する概略図を示し、図6はシート貼付工程を説明する概略図を示し、図7は脱泡工程を説明する概略図を示している。
【0068】
また、主剤、硬化剤、及び剥落防止シート2は、主剤及び硬化剤が、別々の容器に収容された状態で施工現場に予め保管され、剥落防止シート2がロール状に丸めた状態で施工現場に予め保管されているものとする。
【0069】
まず、作業員は、図4に示すように、下地処理工程(ステップS101)として、サンダーやウォータージェットなどではつりを行い、コンクリート構造物1の表面に付着した汚れや異物を除去するとともに、コンクリート構造物1の表面を平滑に整える。
【0070】
さらに、作業員は、コンクリート構造物1の施工範囲の周囲を養生したのち、コンクリート構造物1の表面にローラーや刷毛を用いてプライマーを塗布し、プライマーをコンクリート構造物1に含侵させる。
【0071】
プライマーの硬化後、作業員は、図4に示すように、主剤と硬化剤とを混合してエポキシ樹脂系接着剤4を生成する混合工程へ移行する(ステップS102)。
具体的には、作業員は、主剤と硬化剤とを2:1の割合で混ぜ合わせるとともに、十分に攪拌してエポキシ樹脂系接着剤4を生成する。この際、作業員は、可使時間で使い切れる分量を混ぜ合わせる。
【0072】
エポキシ樹脂系接着剤4を生成すると、作業員は、図4に示すように、エポキシ樹脂系接着剤4をコンクリート構造物1の表面に塗布する塗布工程へ移行する(ステップS103)。
【0073】
この際、作業員は、図5に示すように、コテ5を用いてエポキシ樹脂系接着剤4をコンクリート構造物1の表面に塗布するとともに、エポキシ樹脂系接着剤4の厚みが均一となるように塗り広げる。
【0074】
エポキシ樹脂系接着剤4を塗布すると、作業員は、図4に示すように、コンクリート構造物1の表面に剥落防止シート2を貼付する貼付工程へ移行する(ステップS104)。
具体的には、作業員は、図6に示すように、一方の保護フィルムを剥がした剥落防止シート2を、ロール状に丸める。その後、作業員は、丸めた剥落防止シート2を展開しながら、コンクリート構造物1の天面部1aからハンチ部1bにかけて貼付する。なお、剥落防止シート2は、施工範囲に応じた適宜の大きさに予め切断されているものとする。
【0075】
剥落防止シート2を貼付すると、作業者、図4に示すように、剥落防止シート2を押圧して脱泡する脱泡工程に移行する(ステップS105)。
具体的には、作業員は、図7に示すように、ローラー6などを用いて剥落防止シート2を押圧し、コンクリート構造物1の表面と剥落防止シート2との間に介在する気泡を外部へ押し出して脱泡する。
【0076】
この際、作業員は、剥落防止シート2の表面が平滑となるように押圧しながら脱泡する。
その後、作業員は、剥落防止シート2からはみ出したエポキシ樹脂系接着剤4を除去したのち、剥落防止シート2の他方の保護フィルムを剥がして施工作業を完了する。
【0077】
そして、コンクリート構造物1の表面に塗布されたエポキシ樹脂系接着剤4が硬化すると、剥落防止シート2は、コンクリート構造物1の表面を強固に接着され、コンクリート構造物1を補強するとともに、コンクリートの剥落を防止する。
【0078】
以上のように、本実施形態の剥落防止工法は、コンクリート構造物1の表面に剥落防止シート2を接着して、コンクリート構造物1の表面を補強する工法である。
この剥落防止工法は、液状の主剤に比べて高粘性で固体状の主剤に、液状の硬化剤に比べて高粘性で固体状の硬化剤を混ぜ合わせてエポキシ樹脂系接着剤4を生成する混合工程(ステップS102)を行うものである。
【0079】
さらに、剥落防止工法は、エポキシ樹脂系接着剤4を、コンクリート構造物1の表面または剥落防止シート2に塗布する塗布工程(ステップS103)と、コンクリート構造物1の表面に剥落防止シート2を貼付する貼付工程(ステップS104)とを行うものである。
【0080】
この構成によれば、剥落防止工法は、作業員の頭上に位置するコンクリート構造物1の表面にエポキシ樹脂系接着剤4を塗布する場合であっても、作業の安全性と剥落防止シート2の接着作業性とを両立して確保することができる。
【0081】
具体的には、固体状の主剤と固体状の硬化剤を混合するため、エポキシ樹脂系接着剤4は、例えば液状の主剤と液状の硬化剤を混合したエポキシ樹脂系接着剤に比べて、可使時間内における粘性が高くなる。
【0082】
このため、エポキシ樹脂系接着剤4は、コンクリート構造物1の表面に厚付けした場合であっても、塗布された状態を維持することができる。
これにより、作業員の頭上に位置するコンクリート構造物1の表面にエポキシ樹脂系接着剤4を塗布する場合であっても、剥落防止工法は、エポキシ樹脂系接着剤4がコンクリート構造物1の表面から垂れ落ちることを防止できる。
【0083】
このため、剥落防止工法は、エポキシ樹脂系接着剤4が作業員に付着することを防止できるとともに、エポキシ樹脂系接着剤4の垂れ落ちによって作業が妨げられることを防止できる。
【0084】
さらに、エポキシ樹脂系接着剤4の粘性により、剥落防止工法は、コンクリート構造物1の表面に貼付した剥落防止シート2が、所望位置から位置ズレする、あるいは剥がれ落ちることを防止できるため、作業性の向上を図ることができる。
【0085】
したがって、剥落防止工法は、作業員の頭上に位置するコンクリート構造物1の表面にエポキシ樹脂系接着剤4を塗布する場合であっても、作業の安全性と剥落防止シート2の接着作業性とを両立して確保することができる。
【0086】
加えて、日本国の総務省消防庁のWEBサイトに掲載の危険物確認試験のフローチャートによれば、固体状の主剤及び固体状の硬化剤は、少なくとも日本国内における消防法の規定による第4類の危険物に該当せず、第2類の危険物、または指定可燃物(可燃性固体)、あるいは非危険物に該当する。
【0087】
このため、剥落防止工法は、第4類の危険物に該当する主剤及び硬化剤を保管する場合に比べて、施工現場での火災のリスクを低減することができる。
さらに、例えば保存缶に不具合が生じた場合であっても、固体状の主剤及び硬化剤が保存缶から漏出し難いため、剥落防止工法は、万一、主剤や硬化剤に引火しても、炎が広範囲に広がることを抑えられる。
【0088】
これにより、剥落防止工法は、施工現場に搬入及び保管可能な主剤及び硬化剤の数量を、第4類の危険物に該当する場合に比べて増やすことができる。よって、剥落防止工法は、剥落防止シート2の接着範囲が広く、多量のエポキシ樹脂系接着剤4が必要な施工現場であっても、主剤及び硬化剤を効率よく搬入して、施工作業を高効率化することができる。
【0089】
また、剥落防止工法は、コンクリート構造物1の表面に貼付した剥落防止シート2を押圧して脱泡する脱泡工程(ステップS105)を行うものである。
この構成によれば、貼付工程後の脱泡工程により、剥落防止工法は、コンクリート構造物1の表面と剥落防止シート2との間に介在する空気を脱泡しながら、エポキシ樹脂系接着剤4を押し広げることができる。
【0090】
これにより、剥落防止工法は、エポキシ樹脂系接着剤4に塗りムラがある場合であっても、コンクリート構造物1の表面と剥落防止シート2との間に隙間なくエポキシ樹脂系接着剤4を介在させることができる。このため、剥落防止工法は、コンクリート構造物1の表面に剥落防止シート2を確実に接着して、コンクリート構造物1の表面を補強することができる。
【0091】
また、主剤及び硬化剤は、それぞれ引火点が40℃以上である。
この構成によれば、剥落防止工法は、施工現場に主剤及び硬化剤を保管した場合であっても、施工現場における安全性を向上することができる。
【0092】
さらに、固体状の主剤及び固体状の硬化剤は、日本国内における消防法の規定による第2類の危険物に該当せず、指定可燃物(可燃性固体)または非危険物に該当する。このため、剥落防止工法は、第2類の危険物に該当する主剤及び硬化剤を保管する場合に比べて、施工現場での火災のリスクをより低減することができる。
【0093】
これにより、剥落防止工法は、施工現場に搬入及び保管可能な主剤及び硬化剤の数量を、第2類の危険物に該当する場合に比べて増やすことができる。よって、剥落防止工法は、剥落防止シート2の接着範囲が広く、多量のエポキシ樹脂系接着剤4が必要な施工現場であっても、主剤及び硬化剤を効率よく搬入して、施工作業を高効率化することができる。
【0094】
また、主剤が、粘性を調整するための添加剤(シリカ)を5%以上10%以下、好ましくは7%以上10%以下含有するものである。さらに、硬化剤が、粘性を調整するための添加剤(シリカ)を5%以上10%以下、好ましくは6%以上10%以下含有するものである。
【0095】
この構成によれば、剥落防止工法は、主剤及び硬化剤を所望される高粘性の固体状にできるとともに、主剤と硬化剤を混ぜ合わせたエポキシ樹脂系接着剤4の塗布性を確保することができる。
【0096】
また、剥落防止シート2は、粗い網目状のメッシュシートを透明樹脂でコーティングした透明性及び可撓性を有するシート形状である。さらに、主剤の添加剤、及び硬化剤の添加剤が、非晶質のシリカである。
この構成によれば、剥落防止シート2が可撓性を有するため、剥落防止工法は、例えば剥落防止シート2をロール状に丸めることができる。
【0097】
このため、剥落防止工法は、例えば折り畳まれた剥落防止シート2を展開して必要な長さを切り出す場合に比べて、剥落防止シート2を必要な長さ分だけ容易に取り出すことができる。
これより、剥落防止シート2の歩留まりがよくなるため、剥落防止工法は、剥落防止シート2を効率よく使用することができる。
【0098】
さらに、剥落防止シート2が透明性を有するため、剥落防止工法は、例えばコンクリート構造物1の表面に貼付した剥落防止シート2を押圧して脱泡する際、エポキシ樹脂系接着剤4の広がり具合や脱泡具合の確認を容易にすることができる。
【0099】
加えて、添加剤としてシリカを含有した主剤及び硬化剤は、硬化後のエポキシ樹脂系接着剤4を少なくとも半透明にすることができる。このため、剥落防止工法は、剥落防止シート2をコンクリート構造物1の表面に接着した後であっても、コンクリート構造物1の表面の視認性を確保することができる。
【0100】
これにより、剥落防止工法は、作業効率をさらに向上することができるとともに、剥落防止シート2を接着した後であっても、コンクリート構造物1の点検を容易にすることができる。
【0101】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の混合工程は、実施形態のステップS102に対応し、
以下同様に、
塗布工程は、ステップS103に対応し、
貼付工程は、ステップS104に対応し、
脱泡工程は、ステップS105に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0102】
例えば上述の実施形態において、コンクリートトンネルをコンクリート構造物1として説明したが、これに限定せず、コンクリート製であれば、ビルなどの建物、ボックスカルバート、道路や通路、橋脚、あるいは橋桁などをコンクリート構造物としてもよい。
また、コンクリート構造物1の天面部1a及びハンチ部1bを施工箇所として説明したが、これに限定せず、コンクリート構造物1の適宜の表面を施工箇所としてもよい。
【0103】
また、2軸メッシュ形状の剥落防止シート2としたが、これに限定せず、3軸メッシュ形状のメッシュシートを、透明性を有するアクリル樹脂でコーティングした剥落防止シートであってもよい。
例えば、メッシュシート23は、別の実施形態におけるメッシュシート23の正面図を示す図8のように、水平方向に並置された複数の第1線状繊維材23aと、第1線状繊維材23aに交差して並置された複数の第2線状繊維材23bと、第2線状繊維材23bに直交して並置された複数の第3線状繊維材23cとで3軸メッシュ形状に形成してもよい。
【0104】
また、メッシュシート21をポリプロピレン製の線状繊維材で形成したが、これに限定せず、適宜の線状繊維材でメッシュシートを形成してもよい。例えば、ポリエチレンテレフタラート製の線状繊維材で形成したメッシュシート、あるいは複数の樹脂繊維を合成樹脂で被覆した線状繊維材で形成したメッシュシートであってもよい。
また、シート状の剥落防止シート2としたが、これに限定せず、膜状の剥落防止シート、あるいは薄板状の剥落防止シートなどであってもよい。
【0105】
また、下地処理工程(図4のステップS101)において、コンクリート構造物1の表面にプライマーを含侵させたが、これに限定せず、コンクリート構造物1の表面の状態によってはプライマーの含侵を行わなくてもよい。
【0106】
また、エポキシ樹脂系接着剤4を塗布したコンクリート構造物1に剥落防止シート2を貼付したが、これに限定せず、エポキシ樹脂系接着剤4を塗布した剥落防止シート2を、コンクリート構造物1に貼付してもよい。
【0107】
この場合であっても、剥落防止工法は、エポキシ樹脂系接着剤4が剥落防止シート2から垂れ落ちることを防止できる。このため、剥落防止工法は、上述の実施形態と同様に、作業の安全性と剥落防止シート2の接着作業性とを両立して確保することができる。
【符号の説明】
【0108】
1…コンクリート構造物
2…剥落防止シート
4…エポキシ樹脂系接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8