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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163520
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】カード発行装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 13/06 20060101AFI20231102BHJP
   G06K 13/14 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G06K13/06 A
G06K13/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074478
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】横山 智
【テーマコード(参考)】
5B023
【Fターム(参考)】
5B023GA06
5B023KA01
(57)【要約】
【課題】発行されたカードが第三者の目に晒されることを防止できるカード発行装置を提供すること。
【解決手段】カード発行装置1は、カード排出部16に着脱可能に装着されるカード保管庫8Bを有する。カード排出部16は、係合突起130を備える。カード保管庫8Bは、カード受入れ口86を開閉するシャッタ機構80と、開閉扉827をロックする第1ロック機構85とを備える。シャッタ機構90は、カード受入れ口86を開閉するシャッタ91と、シャッタ91を閉位置に付勢するシャッタ付勢手段92と、シャッタ91を閉位置で固定する係合部93とを備える。第1ロック機構85は、第1鍵851を第1鍵穴852に挿入して第1ロック部853を操作することにより開閉扉827のロックを解除する。係合突起130は、係合部93によるシャッタ91の固定を解除するとともに、シャッタ付勢手段92による付勢に反してシャッタ91を開位置に移動させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード排出部と、前記カード排出部に接続されたカード排出路と、発行するカードを前記カード排出路から前記カード排出部に送り出すカード送り出し機構と、を有するカード発行装置において、
前記カード排出部に着脱可能に装着されるカード保管庫を有し、
前記カード排出部は、前記カード保管庫が前記カード排出部に着脱される着脱方向に突出する係合突起を備え、
前記カード保管庫は、前記カード送り出し機構が送り出す前記カードを受け入れ可能なカード受入れ口と、前記カード受入れ口を開閉するシャッタ機構と、前記カード保管庫内に受け入れた前記カードを外に取り出すための開閉扉と、前記開閉扉をロックする第1ロック機構と、を備え、
前記シャッタ機構は、前記カード受入れ口を閉じる閉位置と開く開位置との間で移動可能なシャッタと、前記シャッタを前記閉位置に付勢するシャッタ付勢手段と、前記シャッタを前記閉位置で固定する係合部とを備え、
前記第1ロック機構は、第1鍵と、前記第1鍵が挿入される第1鍵穴が設けられた第1ロック部を備え、
前記係合突起は、前記カード保管庫が前記カード排出部に装着されるときに、前記係合部に当接して、前記係合部による前記シャッタの固定を解除するとともに、前記シャッタに当接して、前記シャッタ付勢手段による付勢に反して前記シャッタを前記開位置に移動させ、
前記第1ロック機構による前記開閉扉のロックを解除する際には、前記第1鍵を前記第1鍵穴に挿入して前記第1ロック部を操作することを特徴とするカード発行装置。
【請求項2】
前記カード排出部、前記カード排出路、および前記カード送り出し機構を収容するとともに、前記カード排出部に連通する開口部を備える筐体と、
前記開口部を介して前記カード排出部に装着された前記カード保管庫を着脱不能にロックする第2ロック機構と、
を有し、
前記第2ロック機構は、第2鍵と、前記第2鍵が挿入される第2鍵穴が設けられた第2ロック部を備え、
前記第2ロック機構による前記カード保管庫のロックを解除する際には、前記第2鍵を前記第2鍵穴に挿入して前記第2ロック部を操作することを特徴とする請求項1に記載のカード発行装置。
【請求項3】
前記第1鍵と、前記第2鍵とは、同一の鍵であることを特徴とする請求項2に記載のカード発行装置。
【請求項4】
前記カード保管庫には、複数枚の前記カードが収容可能であることを特徴とする請求項2に記載のカード発行装置。
【請求項5】
前記カードが備えるICチップに対して情報の読み書きを行うカードリーダと、
カード排出口と、
前記カードリーダによる読み書き位置を経由して直線状に延びて前記カード排出口に至るカード搬送路と、
前記カード搬送路に沿って、前記カードを搬送するカード搬送機構と、
前記カード搬送機構、カード送り出し機構、および前記カードリーダを駆動制御する制御部と、を有し、
前記カード排出部は、前記カード搬送路の下方に位置し、
前記開口部は、前記カード排出口の下方に位置し、
前記読み書き位置から前記カード排出口に至る方向を第1方向、その反対を第2方向とした場合に、前記カード排出路は、前記カード搬送路における前記読み書き位置の前記第2方向に設けられた分岐位置から下方に分岐して前記第1方向に延び、
前記制御部は、前記カードを前記カード排出口から発行する第1発行指令が入力された場合には、前記カード搬送機構を駆動して前記カードを前記カード搬送路に沿って前記第1方向に搬送するとともに、前記カードリーダを駆動して前記読み書き位置において前記ICチップに対する情報の読み書きを行って前記カードを前記カード排出口に送り出し、前記カードを前記カード排出部から発行する第2発行指令が入力された場合には、前記カード搬送機構を駆動して前記カードを前記カード搬送路に沿って前記第1方向に搬送するとともに、前記カードリーダを駆動して前記読み書き位置において前記ICチップに対する情報の読み書きを行い、その後に、前記カード搬送機構を駆動して前記カードを前記第2方向に搬送して前記分岐位置の前記第2方向に位置させ、次に、前記カード送り出し機構を駆動して前記カードを前記カード排出路から前記カード排出部に送り出すことを特徴とする請求項2に記載のカード発行装置。
【請求項6】
前記カード排出部に前記着脱方向から着脱可能に装着されて前記カード送り出し機構により送り出される前記カードを受けるカードトレイを有し、
前記カード保管庫と、前記カードトレイとは、選択的に前記カード排出部に装着されることを特徴とする請求項1に記載のカード発行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップなどを備えるカードを発行するカード発行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップを備えるカードを発行するカード発行装置は特許文献1に記載されている。同文献のカード発行装置は、カードを収容するカード収容部と、カードのICチップに対して情報の読み書き処理を行うカード処理部と、カード収容部から繰り出されたカードをカード処理部に搬送するカード搬送部と、を備える。カード処理部は、ICチップに対して情報の読み書きを行うカードリーダライタと、カード発行口と、カードリーダによる読み書き位置を経由して直線状に延びてカード発行口に至るカード搬送路と、カード搬送路に沿ってカードを搬送する搬送機構と、を備える。カード発行装置は、カードを発行する際に、カード収容部からカード1枚ずつ搬送してカード処理部に送り込む、カード処理部は、カード搬送路に沿ってカードを搬送し、ICチップに対する情報の読み書きを行い、カード発行口からカードを排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-41635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のカード発行装置では、カード発行口から排出されるカードは、カード発行装置の外に露出した状態となる。従って、発行されたカードは、カードの所有者とは関係のない第三者の目に晒される。よって、カードの盗難などの不測の事態を招く可能性がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、発行されたカードが第三者の目に晒されることを防止できるカード発行装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様のカード発行装置は、カード排出部と、前記カード排出部に接続されたカード排出路と、発行するカードを前記カード排出路から前記カード排出部に送り出すカード送り出し機構と、を有するカード発行装置において、前記カード排出部に着脱可能に装着されるカード保管庫を有し、前記カード排出部は、前記カード保管庫が前記カード排出部に着脱される着脱方向に突出する係合突起を備え、前記カード保管庫は、前記カード送り出し機構が送り出す前記カードを受け入れ可能なカード受入れ口と、前記カード受入れ口を開閉するシャッタ機構と、前記カード保管庫内に受け入れた前記カードを外に取り出すための開閉扉と、前記開閉扉をロックする第1ロック機構と、を備え、前記シャッタ機構は、前記カード受入れ口を閉じる閉位置と開く開位置との間で移動可能なシャッタと、前記シャッタを前記閉位置に付勢するシャッタ付勢手段と、前記シャッタを前記閉位置で固定する係合部とを備え、前記第1ロック機構は、第1鍵と、前記第1鍵が挿入される第1鍵穴が設けられた第1ロック部を備え、前記係合突起は、前記カード保管庫が前記カード排出部に装着されるときに、前記係合部に当接して、前記係合部による前記シャッタの固定を解除するとともに、前記シャッタに当接して、前記シャッタ付勢手段による付勢に反して前記シャッタを前記開位置に移動させ、前記第1ロック機構による前記開閉扉のロックを解除する際には、前記第1鍵を前記第1鍵穴に挿入して前記第1ロック部を操作することを特徴とする。
【0007】
本態様のカード発行装置は、カードが排出されるカード排出部に着脱可能に装着されるカード保管庫を有する。カード保管庫はシャッタ付きのカード受入れ口を備えており、ャッターはカード保管庫がカード排出部に装着されたときに開いた状態となる。従って、カード排出部にカード保管庫を装着しておけば、カード送り出し機構からカード排出部に送り出されたカードはカード保管庫に収容される。よって、発行されたカードが装置の外に露出して第三者の目に晒されることを防止できる。また、カード保管庫が備えるシャッタ機構は、カード保管庫がカード排出部に装着される際に、カード排出部の係合突起に係合することによって、シャッタ付勢手段による付勢に反してシャッタが開く。従って、カード保管庫がカード排出部から取り外されると、シャッタは、シャッタ付勢手段の付勢力によって、閉位置に移動する。そして、係合部は、シャッタが閉位置において、シャッタを固定する。よって、カード保管庫をカード排出部から取り外したときに、カード受入れ口を介して、カード保管庫内のカードが第三者の目に晒されることがない。さらに、カード保管庫の開閉扉は第1ロック機構によりロックされている。また、第1ロック機構によるロックを解除するためには、カード保管庫の第1鍵穴に第1鍵を挿入して第1ロック部を操作する必要がある。従って、カード保管庫からのカードの盗難を抑制しやすい。
【0008】
本態様において、前記カード排出部、前記カード排出路、および前記カード送り出し機構を収容するとともに、前記カード排出部に連通する開口部を備える筐体と、前記開口部を介して前記カード排出部に装着された前記カード保管庫を着脱不能にロックする第2ロック機構と、を有し、前記第2ロック機構は、第2鍵と、前記第2鍵が挿入される第2鍵穴が設けられた第2ロック部を備え、前記第2ロック機構による前記カード保管庫のロックを解除する際には、前記第2鍵を前記第2鍵穴に挿入して前記第2ロック部を操作するものとことができる。このようにすれば、第2鍵を用いなければ、カード排出部からカード保管庫を取り外すことができない。従って、カードを保管しているカード保管庫が第三者に持ち去られること抑制できる。
【0009】
本態様において、前記第1鍵と、前記第2鍵とは、同一の鍵とすることができる。すなわち、一つの鍵により、カード保管庫のロック機構の解除と、カード保管庫ロック機構の解除と、を行うものとすることができる。
【0010】
本態様において、前記カード保管庫には、複数枚の前記カードが収容可能であるものとすることができる。このようにすれば、カード発行装置が複数枚のカードを連続して発行する場合に、これら複数枚のカードを、第三者の目に晒さずに、カード保管庫に収容できる。
【0011】
本態様において、前記カードが備えるICチップに対して情報の読み書きを行うカードリーダと、カード排出口と、前記カードリーダによる読み書き位置を経由して直線状に延びて前記カード排出口に至るカード搬送路と、前記カード搬送路に沿って、前記カードを搬送するカード搬送機構と、前記カード搬送機構、カード送り出し機構、および前記カードリーダを駆動制御する制御部と、を有し、前記カード排出部は、前記カード搬送路の下方に位置し、前記開口部は、前記カード排出口の下方に位置し、前記読み書き位置から前記カード排出口に至る方向を第1方向、その反対を第2方向とした場合に、前記カード排出路は、前記カード搬送路における前記読み書き位置の前記第2方向に設けられた分岐位置から下方に分岐して前記第1方向に延び、前記制御部は、前記カードを前記カード排出口から発行する第1発行指令が入力された場合には、前記カード搬送機構を駆動して前記カードを前記カード搬送路に沿って前記第1方向に搬送するとともに、前記カードリーダを駆動して前記読み書き位置において前記ICチップに対する情報の読み書きを行って前記カードを前記カード排出口に送り出し、前記カードを前記カード排出部から発行する第2発行指令が入力された場合には、前記カード搬送機構を駆動して前記カードを前記カー
ド搬送路に沿って前記第1方向に搬送するとともに、前記カードリーダを駆動して前記読み書き位置において前記ICチップに対する情報の読み書きを行い、その後に、前記カード搬送機構を駆動して前記カードを前記第2方向に搬送して前記分岐位置の前記第2方向に位置させ、次に、前記カード送り出し機構を駆動して前記カードを前記カード排出路から前記カード排出部に送り出すものとすることができる。このようにすれば、発行されるカードがカード排出口から外に露出しても問題ない場合には、第1発行指令により、カードをカード排出口から発行することができる。また、発行されるカードを第三者の目に晒したくない場合には、第2発行指令により、カードをカード保管庫に収容できる。
【0012】
本態様において、前記カード排出部に前記着脱方向から着脱可能に装着されて前記カード送り出し機構により送り出される前記カードを受けるカードトレイを有し、前記カード保管庫と、前記カードトレイとは、選択的に前記カード排出部に装着されるものとすることができる。本態様のカード発行装置は、カード発行装置のカード排出部に着脱可能に装着されるカード保管庫と、カードトレイと、を有する。従って、発行されるカードを第三者の目に触れさせたくない場合にはカード保管庫をカード排出部に装着して、カードをカード保管庫に収容することができる。一方、発行されるカードが第三者の目に触れても問題ない場合には、カードトレイをカード排出部に装着して、カードをカードトレイで受けることができる。ここで、カードトレイをカード排出部に装着した場合には、複数枚のカードが連続して発行される場合でも、これら複数枚のカードをカードトレイで受けることが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カード排出部に繰り出されるカードは、カード保管庫に収容される。従って、発行されるカードが、第三者の目に晒されることを防止できる。また、シャッタ機構は、カード保管庫がカード排出口に装着されているときにカード受入れ口を開き、カード保管庫がカード排出口から取り外されるとカード受入れ口を閉じる。従って、カード保管庫をカード排出部から取り外した場合でも、カード保管庫内のカードが第三者の目に触れることがない。また、カード保管庫の開閉扉はロック機構によりロックされており、ロックを解除するためには、カード保管庫の第1鍵穴に第1鍵を挿入する必要がある。従って、カード保管庫からのカードの盗難を抑制しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明を適用したカード発行装置を備えるカード発行装置の外観斜視図である。
図2図1のカード発行装置のケース部を取り外した状態を示す外観斜視図である。
図3図1のカード発行装置の断面図である。
図4】カード収容部と排出機構との平面図である。
図5】カードトレイの外観斜視図である。
図6】カードトレイの断面図である。
図7】カード保管庫の外観斜視図である。
図8】カード保管庫の蓋部を分解した状態の外観斜視図である。
図9】カード保管庫の開閉扉を開いた状態を示す外観斜視図である。
図10】開口部から見た第1ロック部の外観斜視図である。
図11】カード保管庫と第2ロック機構との関係を示す図である。
図12】カード保管庫と第2ロック機構との関係を示す図である。
図13】係合突起の外観斜視図である。
図14】シャッタ機構の平面図である。
図15】シャッタ機構の動作を示す図である。
図16】シャッタ機構の動作を示す図である。
図17】シャッタ機構の動作を示す図である。
図18】シャッタ機構の動作を示す図である。
図19】シャッタ機構の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の説明において、XYZの3方向は互いに直交する方向である。また、X方向の一方側にX1を付し、X方向の他方側にX2を付し、Y方向の一方側にY1を付し、Y方向の他方側にY2を付し、Z方向の一方側にZ1を付し、Z方向の他方側にZ2を付して説明する。X方向は、カード発行装置1の前後方向である。X1方向はカード発行装置1の前側であり、X2方向はカード発行装置1の奥側である。また、Y方向はカード発行装置1の幅方向であり、Z方向は上下方向である。Z1方向は下側であり、Z2方向は上側である。
【0016】
(全体構成)
図1は、本発明を適用したカード発行装置1の外観斜視図である。図2は、図1のカード発行装置1のケース部12を取り外した状態を示す外観斜視図である。図3は、図1のカード発行装置1の断面図である。カード発行装置1は、所定の情報が記録されたカード2を発行する。カード2は、機密情報を読み書き可能なカードであり、個人証やATMカードなどに用いられる。カード2は、情報が記録されるICチップを備える。ICチップは、カード2の表面に配置される。
【0017】
図1および図2に示すように、カード発行装置1は、発行前のカード2が収納されるカード収容部3と、カード収容部3からカードを1枚ずつ排出する排出機構4と、排出機構4からのカード2を搬送する搬送機構5と、搬送機構5によって搬送されるカード2に対して情報の読み書きを行うカード処理部6と、を備える。
【0018】
図2および図3に示すように、カード発行装置1は、カード排出部16と、カード排出部16に接続されたカード排出路51と、カード排出口17と、カード処理部6による読み書き位置6Aを経由して直線状に延びてカード排出口17に至るカード搬送路52と、制御部18とを備える。制御部18は、排出機構4、搬送機構5およびカード処理部6を制御する。制御部18は、排出機構4のZ1方向に配置されている。制御部18は、CPU、ROM、RAMなどを備える回路が実装された基板180を備える。
【0019】
図3に示すように、搬送機構5は、カード排出路51に沿ってカード2を送り出すカード送り出し機構5Aと、カード搬送路52に沿って、カード2を搬送するカード搬送機構5Bと、カード送り出し機構5Aおよびカード搬送路52のX2側に配置された切替機構7とを備える。
【0020】
図1および図2に示すように、カード発行装置1は、カード収容部3、排出機構4、搬送機構5、カード処理部6を収容する筐体10を備える。筐体10は、直方体形状である。筐体10は、本体部11と、本体部11を覆うケース部12とを備える。筐体10の前面121には、カード排出口17が配置されている。また、筐体10のX1方向の前面121のZ1方向の部分には、開口部13が設けられている。開口部13は、カード排出口17のZ1方向に位置する。開口部13は、カード排出部16に連通する。
【0021】
図1図3に示すように、カード発行装置1は、開口部13を介してカード排出部16に着脱可能に装着される収容セット8を備える。収容セット8は、カード排出部16に装着された際に、カード搬送機構5BとZ方向で重なる。収容セット8は、カードトレイ8Aとカード保管庫8Bとを備える。カードトレイ8Aとカード保管庫8Bとは、選択的にカード排出部16に装着される。
【0022】
また、図3に示すように、カード排出部16は、カード保管庫8Bがカード排出部16
に着脱される着脱方向に突出する係合突起130を備える。
【0023】
(カード収容部)
図2および図3に示すように、カード収容部3は、複数のカードスタック部31を備える。本形態では、カードスタック部31がX方向に2個並んでいる。カードスタック部31は、直方体状のカセット32を備える。カセット32の内部には、複数枚のカード2が収容されている。カセット32は、カセットホルダ30に着脱可能に装着されている。
【0024】
(排出機構)
図4は、カード収容部3と排出機構4との平面図である。図3に示すように、排出機構4は、カード収容部3のZ1側に設けられている。排出機構4は、カードスタック部31のうちX1側に位置するカードスタック部31の底部に設けられた第1排出機構4Aと、X2側に位置するカードスタック部31の底部に設けられた第2排出機構4Bをと備える。第1排出機構4Aおよび第2排出機構4Bは、それぞれ、カードスタック部31に積層されたカード2のうち最も下のカード2をX1方向へ排出する。図4に示すように、第1排出機構4Aおよび第2排出機構4Bは、カセット32の底面に設けられたX方向に延びるスリット41と、スリット41に配置されるカード排出爪42を備える。カード排出爪42は、カセット32に積層されたカード2のうちで一番下に位置するカード2の縁にX2側から係合する。
【0025】
図3に示すように、第1排出機構4Aは、カード排出爪42をX方向に移動させるチェーン駆動機構43と、チェーン駆動機構43を駆動するモータ44を備える。第1排出機構4Aのカード排出爪42は、チェーン駆動機構43のチェーンに固定される。
【0026】
図3に示すように、第2排出機構4Bは、カード排出爪42をX方向に移動させるベルト機構45と、ベルト機構45のX1側に配置される排出ローラ46と、ベルト機構45および排出ローラ46を駆動するモータ47を備える。第2排出機構4Bのカード排出爪42は、ベルト機構45のベルトに固定される。排出ローラ46は、第1排出機構4Aのチェーン駆動機構43とY方向に並んでいる。X2側のカードスタック部31からカード2を排出するときは、X1側の第1排出機構4Aは、排出ローラ46によって搬送されるカード2の通過位置よりもZ1側にカード排出爪42を退避させる。
【0027】
ここで、カード収容部3において、X1側のカードスタック部31のZ1側には、カード回収部35が設けられている。搬送機構5からX2側に戻されるカード2は、カードスタック部31およびチェーン駆動機構43のZ1側に配置される案内部材36によってカード回収部35に送り込まれる。また、この案内部材36は、排出機構4によってX1側に送り出されるカード2を搬送機構5に案内する。
【0028】
(カード排出路およびカード搬送路)
図3に示すように、カード搬送路52は、切替機構7のX1側からカード排出口17まで、X方向に延びる。カード排出路51は、カード搬送路52における読み書き位置6AのX2方向に設けられた分岐位置7AからZ1方向に分岐して、カード排出部16までX1方向に延びる。
【0029】
(搬送機構)
図3に示すように、カード送り出し機構5Aは、カード排出路51に沿って配置されたローラ53を複数備える。ローラ53は、不図示の駆動源により回転する。ローラ53が回転することにより、カード2は、カード排出路51に沿って移動する。カード搬送機構5Bは、カード搬送路52に沿って配置されたローラ54を複数備える。ローラ54は、不図示の駆動源により回転する。ローラ53が回転することにより、カード2は、カード
搬送路52に沿って移動する。
【0030】
また、図3に示すように、切替機構7は、カード2をカード排出路51およびカード搬送路52の何れか一方に選択的に搬送する。切替機構7は、本体部71と、本体部71に設けられた2つの駆動ローラ72と、本体部71に設けられた2つの従動ローラ73とを備える。本体部71は、筐体10の本体部11に回転可能に支持されており、不図示の駆動源により、Y方向を中心に回動する。駆動ローラ72および従動ローラ73は、それぞれ対向して配置されている。駆動ローラ72は、不図示の駆動源により回転する。
【0031】
(カード処理部)
カード処理部6は、カード2のICチップに対する情報の読み書き、およびカード2の表面に印刷する機能を備えたプリンタ付のカードリーダである。図2に示すように、カード処理部6は、カード送り出し機構5AのZ2側に配置される印字ヘッド61と、印字ヘッド61のX1側に配置されるカードリーダ62を備える。印字ヘッド61は、カード2の表面に印字する。カードリーダ62は、読み書き位置6Aに配置されている。カードリーダ62は、カード2のICチップに接触するIC接点を備える。
【0032】
(収容セット)
図5は、カードトレイ8Aの外観斜視図である。図6は、カードトレイ8Aの断面図である。図7は、カード保管庫8Bの外観斜視図である。図8は、カード保管庫8Bの蓋部を分解した状態の外観斜視図である。図9は、カード保管庫8Bの開閉扉827を開いた状態を示す外観斜視図である。図1および図2に示すように、収容セット8は、カードトレイ8Aとカード保管庫8Bの2つから構成される。
【0033】
カードトレイ8Aは、上方が開口する皿形状である。カードトレイ8Aには、カード排出部16に送り出されたカード2が積み重ねられる。図5および図6に示すように、カードトレイ8Aは、本体部81と、本体部81のY方向の両端部に設けられた側壁部82と、側壁部82のそれぞれの外周面に設けられたガイド部83と、本体部81のX1側の端部に設けられた把持部84とを備える。把持部84は、開口部13を介してカードトレイ8Aをカード排出部16に着脱する際に、ユーザが把持する部分である。
【0034】
本体部81は、X2側の端部からX方向の中央部まで延びる第1傾斜部811と、X方向の中央部からX1側の端部までの延びる第2傾斜部812と、第1傾斜部811と第2傾斜部812とを繋ぐ段部813とを備える。第1傾斜部811は、X1方向に延びるに従って、Z1方向に傾斜する。第1傾斜部811のX2側の端部は、開口部13を介してカードトレイ8Aをカード排出部16に装着させた際に、カード排出路51のX1側の端部の高さよりZ1方向に位置する。このため、カード排出路51からカード排出部16にカード2が発行されると、第1傾斜部811には、発行されたカード2が積み重ねられる。
【0035】
第2傾斜部812は、第1傾斜部811に対して、Z1方向に位置する。第2傾斜部812は、X1方向に延びるに従って、Z1方向に傾斜する。第2傾斜部812は、第1傾斜部811より緩やかに傾斜する。第2傾斜部812のX1側の端部は、X2側が切り欠かれており、X1側に把持部84が設けられている。
【0036】
側壁部82は、第1傾斜部811および第2傾斜部812より、Z2方向に突出している。側壁部82は、第1傾斜部811に積み重ねられたカード2のY方向の両端部をガイドする。ガイド部83は、側壁部82の外周面から外側に突出するとともに、X方向に延びるリブである。ガイド部83は、開口部13を介してカードトレイ8Aをカード排出部16に装着させる際に、開口部13の内部に設けられたガイド部材にガイドされる。これ
により、カードトレイ8Aは、開口部13に対して、位置決めがなされた状態で、カード排出部16に装着される。
【0037】
図7および図8に示すように、カード保管庫8Bは、直方体形状であり、複数枚のカード2を内部空間に収容する。カード保管庫8Bは、X2側に位置する第1面部821と、X1側に位置する第2面部822と、Y2側に位置して第1面部821と第2面部822とを繋ぐ第3面部823と、Y1側に位置して第1面部821と第2面部822とを繋ぐ第4面部824と、Z2側に位置して第1面部821と第2面部822とを繋ぐ上面部825と、Z1側に位置して第1面部821と第2面部822とを繋ぐ下面部826と、を備える。第1面部821と第2面部822とは、X方向で対向する。第3面部823と第4面部824とは、Y方向で対向する。上面部825と下面部826とは、Z方向で対向する。
【0038】
カード保管庫8Bは、第1面部821の上端部分にカード受入れ口86を備える。カード受入れ口86は、カード送り出し機構5Aが送り出すカード2を受け入れる。カード受入れ口86は、Y方向に延びる。カード受入れ口86の開口寸法は、カード2の断面寸法より大きい。カード受入れ口86の高さ位置は、カード排出路51からのカード2がカード受入れ口86に受け入れられる高さである。よって、カード排出路51からカード排出部16にカード2が発行されると、カード2は、カード受入れ口86から内部空間に受け入れられる。第2面部822の下方部分には、把持部822Aが設けられている。把持部822Aは、開口部13を介してカード保管庫8Bをカード排出部16に着脱する際に、ユーザが把持する部分である。
【0039】
カード保管庫8Bは、第4面部824に係止片824Aを備える。係止片824Aは、X方向に延びる。係止片824Aは、X2側の先端にY1方向に突出する凸部824Bを備える。係止片824Aは、カード保管庫8Bを開口部13の内部に取り付けた際に、Y方向に弾性変形して、係止片824Aの先端の凸部824Bが、開口部13の内部に設けられた溝部に係合する。これにより、カード保管庫8Bは、開口部13に固定される。
【0040】
また、図7および図9に示すように、カード保管庫8Bは、内部空間Sに受け入れられたカード2を外に取り出すための開閉扉827と、開閉扉827が閉じている際に、開閉扉827をロックすることが可能な第1ロック機構85とを備える。開閉扉827は、第3面部823に設けられている。開閉扉827は、Z1側に設けられたヒンジ部828を中心に開閉する。図7に示すように、第1ロック機構85は、第1鍵851と、第1鍵851が挿入される第1鍵穴852が設けられた第1ロック部853を備える。第1ロック部853は、第1鍵851を第1鍵穴852に挿入して操作される。第1ロック部853は、筒状の本体部854と、第1鍵穴852が設けられた軸部855と、軸部855の端部に固定されたロック部材856を備える。
【0041】
本体部854の外周面には、ネジが設けられている。本体部854は、開閉扉827に設けられた孔部857に外側から挿入されて、ナット850によって開閉扉827に固定される。軸部855は、本体部854の内周部分に回転可能に保持されている。軸部855は、第1鍵851によって回転する。ロック部材856は、軸部855が回転することによって、開閉扉827を固定する位置および解除する位置に移動する。より具体的には、ロック部材856が開閉扉827を固定する位置では、ロック部材856は、カード保管庫8B内に設けられた板部858に係合することによって、開閉扉827を固定する。ロック部材856が開閉扉827を解除する位置では、ロック部材856は、板部858との係合が解除されることによって、開閉扉827を開くことが可能となる。
【0042】
また、図8に示すように、カード保管庫8Bは、カード受入れ口86を開閉するシャッ
タ機構90を備える。シャッタ機構90は、カード保管庫8Bが開口部13を介してカード排出部16に装着された際に、係合突起130によって操作される。
【0043】
ここで、図1および図2示すように、カード発行装置1は、開口部13を介してカード保管庫8Bをカード排出部16に装着した際に、カード保管庫8Bを筐体10に着脱不能にロックすることが可能な第2ロック機構15を備える。第2ロック機構15は、第2鍵151と、第2鍵151が挿入される第2鍵穴152が設けられた第2ロック部153を備える。第2ロック部153は、第2鍵151を第2鍵穴152に挿入して操作される。図10は、開口部13から見た第2ロック部153の外観斜視図である。図11は、カード保管庫8Bと第2ロック機構15との関係を示す図である。図12は、カード保管庫8Bと第2ロック機構15との関係を示す図である。図1図2および図10に示すように、第2ロック部153は、筐体10の本体部11のY1側の部分11Aであって、Y方向から見た場合に、開口部13と重なる位置に設けられている。図10図12に示すように、第2ロック部153は、筒状の本体部154と、第2鍵穴152が設けられた軸部155と、軸部155のY2側の端部に固定されたロック部材156と、ロック部材156の回転範囲を規制する規制部材157とを備える。図9に示すように、規制部材157は、開口部13の内部のY1側の部分に固定されている。
【0044】
図11および図12に示すように、本体部154は、Y1側の端部に径方向突出したフランジ部154Aを備える。フランジ部154Aの外径寸法は、本体部11のY1側の部分11Aに設けれた孔部111の外径寸法より大きい。本体部154の外周面には、ネジが設けられている。本体部154は、孔部111にY1側から挿入されて、ナット150によって本体部11のY1側の部分11Aに固定される。
【0045】
軸部155は、本体部154の内周部分に回転可能に保持されている。軸部155は、第2鍵151によって回転する。ロック部材156は、L字状に曲げられた部材である。ロック部材156は、軸部155のY2側の端部に固定された第1部分156aと、第1部分156aの先端部からY2方向に突出する第2部分156bとを備える。ロック部材156は、軸部155が回転することによって、カード保管庫8Bをロックする位置と、ロックを解除する位置とに移動する。より具体的には、図10および図11に示すように、ロック部材156がカード保管庫8Bをロックするロック位置では、ロック部材156の第2部分156bは、カード保管庫8Bの第2面部822のX1側に位置して、カード保管庫8Bが開口部13から取り出し不能となるように、カード保管庫8Bをロックする。このとき、規制部材157は、ロック部材156の第2部分156bがロック位置となるように、ロック部材156の回転範囲を規制する。次に、図12に示すように、ロック部材156がカード保管庫8Bのロックを解除する解除位置では、ロック部材156の第2部分156bは、カード保管庫8Bの上面部825よりZ2側に位置する。これにより、カード保管庫8Bを開口部13から取り出すことが可能となる。ここで、本形態では、第2鍵151と第1鍵851とは、同一形状を備える。すなわち、第2鍵151と第1鍵851とは、共通の鍵である。
【0046】
(係合突起)
図13は、係合突起130の外観斜視図である。係合突起130は、カード保管庫8Bが開口部13を介してカード排出部16装着された際に、カード保管庫8Bの上面部825のX2側端部の中央に設けられた開口部825Bから進入して、シャッタ機構90を操作する。図2に示すように、係合突起130は、カード排出部16の上面部分に取り付けられている。
【0047】
図13に示すように、係合突起130は、本体部131と、本体部131のX2側の端部から延びる取付部132とを備える。本体部131は、X方向に板状に延びる。本体部
131は、X1側の端部から切り欠かれた切欠き部131aを備える。本体部131のX1側の端部には、外側に向かって傾斜する第1傾斜面133が設けられている。本体部131のX方向の中央部分には、内側にくびれたくびれ部分134が設けられている。くびれ部分134のX1側には、X1方向に向かって外側に傾斜する第2傾斜面135が設けられている。
【0048】
取付部132は、本体部131のX2側の端部からZ2方向に突出する第1部分132aと、第1部分132aのZ2側の端部からX1方向に突出する第2部分132bとを備える。第2部分132bには、孔部132cが設けられている。孔部132cから挿入したネジにより、取付部132は、カード排出部16の上面部分に固定される。
【0049】
(シャッタ機構の詳細)
図14は、シャッタ機構90の平面図である。図8に示すように、シャッタ機構90は、上面部825の内部の支持部860に設けられており、蓋部材825Aにより覆われている。図8および図14に示すように、シャッタ機構90は、カード受入れ口86を閉じる閉位置と開く開位置との間で移動可能なシャッタ91と、シャッタ91を閉じる閉位置に付勢するシャッタ付勢手段92と、シャッタ91を閉じる閉位置で固定する係合部93と、シャッタ91の移動を規制する規制部94とを備える。
【0050】
図8および図14に示すように、シャッタ91は、X方向に延びる板状の本体部911と、本体部911のX2側に設けられた封鎖部912とを備える。封鎖部912は、カード受入れ口86を封鎖する。本体部911は、第1部分913と、第1部分913からX1方向に突出する第2部分914とを備える。第2部分914のY方向の幅は、第1部分913のY方向の幅より狭い。第1部分913は、第2部分914の根元部分からX2方向に切り欠かれた切欠き部915を2つ備える。第2部分914の中央部分には、外側に突出した突出部916が2つ設けられている。突出部916は、X1方向を向く端面916aを備える。端面916aは、Y方向に直線状に延びる。また、第2部分914は、突出部916よりX2側において、Z2方向に突出するピン917を備える。シャッタ91は、上面部825の内部に設けられた支持部860に対して、X方向にスライド可能に支持されている。
【0051】
シャッタ付勢手段92は、コイルバネ920からなる。コイルバネ920は、第2部分914のX1側の端部918と支持部860に設けられたピン861との間に架け渡されており、シャッタ91をX2方向に付勢している。
【0052】
係合部93は、2つのアーム部材931を備える。アーム部材931のX1側の端部は、支持部860に設けられたピン862に回動可能に支持されている。アーム部材931は、X2側の端部にZ2方向に突出する凸部932を備える。また、アーム部材931は、付勢部材933によって、内側に付勢されている。
【0053】
規制部94は、2つのアーム部材941を備える。アーム部材941は、アーム部材931より外側に配置されている。アーム部材941のX1側の端部は、支持部860に設けられたピン863に回動可能に支持されている。アーム部材941のX2側の端部は、アーム部材931のX2側の端部より、X2方向に延びている。アーム部材941は、X2側の端部にZ2方向に突出する凸部942を備える。アーム部材941の凸部942は、アーム部材931の凸部932よりX2方向に位置する。また、アーム部材941は、付勢部材943によって、内側に付勢されている。
【0054】
(シャッタ機構の動作)
次にシャッタ機構90の動作について説明する。図15図19は、シャッタ機構90
の動作を示す図である。なお、図では、蓋部材825Aを取り外してある。図14に示すように、シャッタ機構90が係合突起130によって操作されない状態では、シャッタ91は、コイルバネ920の付勢力によって、カード受入れ口86を閉じる閉位置91Aに位置する。これにより、カード受入れ口86は、シャッタ91の封鎖部912によって封鎖されている。この際、アーム部材931は、付勢部材933の付勢力によって、内側に閉じている。これにより、アーム部材931の凸部932は、シャッタ91の端面916aのX1方向に位置して、シャッタ91がX1方向に移動することを規制している。また、アーム部材941は、付勢部材943の付勢力によって、内側に閉じている。
【0055】
図15に示すように、カード保管庫8Bが開口部13に装着されると、係合突起130が開口部825Bから進入する。その後、係合突起130の第1傾斜面133は、アーム部材941の凸部942に当接して、アーム部材941を外側に押し広げる。また、図16に示すように、係合突起130の切欠き部131aには、シャッタ91のピン917が挿入される。この際、アーム部材941の凸部942が、第1部分913の端部913aに当接する。これにより、アーム部材941の凸部942は、アーム部材931の凸部932と同様に、シャッタ91がX1方向に移動することを規制している。
【0056】
図17に示すように、係合突起130がさらに進入すると、係合突起130の第1傾斜面133は、アーム部材931の凸部932に当接して、アーム部材931を外側に押し広げる。これにより、アーム部材931の凸部932は、シャッタ91の端面916aから外側に退避するので、シャッタ91がX1方向に移動することが可能となる。また、このとき、アーム部材941の凸部942が、第2傾斜面135に案内されて、内側に移動する。これにより、アーム部材941の凸部942は、第1部分913の端部913aから外れるので、シャッタ91がX1方向に移動することが可能となる。
【0057】
図18に示すように、係合突起130がさらに侵入すると、係合突起130の切欠き部131aの端部131bがシャッタ91のピン917に当接する。これにより、係合突起130は、シャッタ91をX1方向に移動させる。図19に示すように、カード保管庫8Bが開口部13を介してカード排出部16に完全に装着された状態では、シャッタ91は、カード受入れ口86を開く開位置91Bに位置する。これにより、カード受入れ口86は完全に開いた状態になるので、カード受入れ口86からカード保管庫8Bの内部にカード2を受け入れることが可能となる。なお、この際、規制部94は、シャッタ91の切欠き部915の端部915aがアーム部材941の凸部942に当接することによって、シャッタ91がX1方向に移動し過ぎることを規制する。
【0058】
(カード発行装置の動作)
次に、カード発行装置1の動作の例を以下に説明する。なお、以下で説明する動作は、カード発行装置1の動作の一例であり、カード発行装置1の動作は下記に説明するものには限定されない。カード発行装置1は、上位機器からカード2を発行するように指令が出されると、カード2に必要な処理を行って、カード2をカード排出口17またはカード排出部16から発行する。
【0059】
まず、カード発行装置1が上位機器からカード2をカード排出口17から発行する第1発行指令が入力された場合について説明する。カード発行装置1が上位機器から第1発行指令を受けると、制御部18は、排出機構4を駆動して、カードスタック部31から1枚のカード2を切替機構7に向けて排出する。このとき、切替機構7は、カード搬送路52にカード2を搬送可能な位置に位置する。そして、制御部18は、切替機構7を駆動して、カード搬送機構5Bへカード2を搬送する。次に、制御部18は、カード搬送機構5Bを駆動してカード2をカード搬送路52に沿ってX1方向に搬送するとともに、カードリーダ62を駆動して読み書き位置6AにおいてICチップに対する情報の読み書きを行っ
てカード2をカード排出口17に送り出す。
【0060】
次に、カード発行装置1が上位機器からカード2をカード排出部16から発行する第2発行指令を受けた場合について説明する。カード発行装置1が上位機器から第2発行指令を受けると、制御部18は、排出機構4を駆動して、カードスタック部31から1枚のカード2を切替機構7に向けて排出する。このとき、切替機構7は、カード搬送路52にカード2を搬送可能な位置に位置する。そして、制御部18は、切替機構7を駆動して、カード搬送機構5Bへカード2を搬送する。次に、制御部18は、カード搬送機構5Bを駆動してカード2をカード搬送路52に沿ってX1方向に搬送するとともに、カードリーダ62を駆動して読み書き位置6AにおいてICチップに対する情報の読み書きを行う。その後に、制御部18は、カード搬送機構5Bを駆動してカード2をX2方向に切替機構7まで搬送する。次に、制御部18は、切替機構7を駆動して、切替機構7の本体部71をカード搬送路52からカード排出路51に向けて回転させた後に、カード送り出し機構5Aにカード2を送り出す。制御部18は、カード送り出し機構5Aを駆動してカード2をカード排出路51からカード排出部16に送り出す。
【0061】
ここで、カード発行装置1が上位機器から第2発行指令を受けた場合、ユーザは、必要に応じて、カード保管庫8Bと、カードトレイ8Aとを、選択的にカード排出部16に装着する。例えば、発行されるカード2を第三者の目に触れさせたくない場合には、カード保管庫8Bをカード排出部16に装着して、カード2をカード保管庫8Bに収容する。このとき、複数枚のカード2が連続して発行される場合でも、これら複数枚のカード2をカード保管庫8Bで収容することが可能である。また、発行されるカード2が第三者の目に触れても問題ない場合には、カードトレイ8Aをカード排出部16に装着して、カード2をカードトレイ8Aで受ける。このとき、複数枚のカード2が連続して発行される場合でも、これら複数枚のカード2をカードトレイ8Aで受けることが可能である。
【0062】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のカード発行装置1は、カード2が排出されるカード排出部16に着脱可能に装着されるカード保管庫8Bを有する。カード保管庫8Bはシャッタ91付きのカード受入れ口86を備えており、シャッタ91はカード保管庫8Bがカード排出部16に装着されたときに開いた状態となる。従って、カード排出部16にカード保管庫8Bを装着しておけば、カード送り出し機構5Aからカード排出部16に送り出されたカード2はカード保管庫8Bに収容される。よって、発行されたカード2が装置の外に露出して第三者の目に晒されることを防止できる。また、カード保管庫8Bが備えるシャッタ機構90は、カード保管庫8Bがカード排出部16に装着される際に、カード排出部16の係合突起130に係合することによって、コイルバネ920による付勢に反してシャッタ91が開く。従って、カード保管庫8Bがカード排出部16から取り外されると、シャッタ91は、コイルバネ920の付勢力によって、閉位置91Aに移動する。そして、係合部93は、シャッタ91が閉位置91Aにおいて、シャッタ91を固定する。よって、カード保管庫8Bをカード排出部16から取り外したときに、カード受入れ口86を介して、カード保管庫8B内のカード2が第三者の目に晒されることがない。さらに、カード保管庫8Bの開閉扉827は第1ロック機構85によりロックされている。また、第1ロック機構85によるロックを解除するためには、カード保管庫8Bの第1鍵穴852に第1鍵851を挿入して第1ロック部853を操作する必要がある。従って、カード保管庫8Bからのカードの盗難を抑制しやすい。
【0063】
本形態において、カード排出部16、カード排出路51、およびカード送り出し機構5Aを収容するとともに、カード排出部16に連通する開口部13を備える筐体10と、開口部13を介してカード排出部16に装着されたカード保管庫8Bを着脱不能にロックする第2ロック機構15と、を有する。第2ロック機構15は、第2鍵151と、第2鍵1
51が挿入される第2鍵穴152が設けられた第2ロック部153を備える。第2ロック機構15によるカード保管庫8Bのロックを解除する際には、第2鍵151を第2鍵穴152に挿入して第2ロック部153を操作する。このため、第2鍵151を用いて、第2ロック機構15によるカード保管庫8Bのロックを解除しなければ、カード排出部16からカード保管庫8Bを取り外すことができない。従って、カード2を保管しているカード保管庫8Bが第三者に持ち去られること抑制できる。
【0064】
本形態において、第1鍵851と、第2鍵151とは、同一の鍵とすることができる。すなわち、一つの鍵により、第1ロック機構85の解除と、第2ロック機構15の解除と、を行うことができる。
【0065】
本形態において、カード保管庫8Bには、複数枚のカード2が収容可能である。よって、カード発行装置1が複数枚のカード2を連続して発行する場合に、これら複数枚のカード2を、第三者の目に晒さずに、カード保管庫8Bに収容できる。
【0066】
本形態において、カード2が備えるICチップに対して情報の読み書きを行うカードリーダ62と、カード排出口17と、カードリーダ62による読み書き位置6Aを経由して直線状に延びてカード排出口17に至るカード搬送路52と、カード搬送路52に沿って、カード2を搬送するカード搬送機構5Bと、カード搬送機構5B、カード送り出し機構5A、およびカードリーダ62を駆動制御する制御部18と、を有する。カード排出部16は、カード搬送路52の下方に位置する。開口部13は、カード排出口17の下方に位置する。よって、カード保管庫8Bをカード搬送機構5Bの下方に配置することができるので、カード保管庫8Bをカード搬送機構5Bの下方に配置しない場合と比較して、カード発行装置1の設置面積を小さくすることができる。
【0067】
また、制御部18は、カード2をカード排出口17から発行する第1発行指令が入力された場合には、カード搬送機構5Bを駆動してカード2をカード搬送路52に沿ってX1方向に搬送するとともに、カードリーダ62を駆動して読み書き位置6AにおいてICチップに対する情報の読み書きを行ってカード2をカード排出口17に送り出す。また、制御部18は、カード2をカード排出部16から発行する第2発行指令が入力された場合には、カード搬送機構5Bを駆動してカード2をカード搬送路52に沿ってX1方向に搬送するとともに、カードリーダ62を駆動して読み書き位置6AにおいてICチップに対する情報の読み書きを行う。その後に、制御部18は、カード搬送機構5Bを駆動してカード2をX2方向に切替機構7まで搬送する。次に、制御部18は、切替機構7を駆動して、切替機構7の本体部71をカード搬送路52からカード排出路51に向けて回転させた後に、カード送り出し機構5Aにカード2を送り出す。制御部18は、カード送り出し機構5Aを駆動してカード2をカード排出路51からカード排出部16に送り出す。よって、発行されるカード2がカード排出口17から外に露出しても問題ない場合には、第1発行指令により、カード2をカード排出口17から発行することができる。また、発行されるカード2を第三者の目に晒したくない場合には、第2発行指令により、カード2をカード保管庫8Bに収容できる。
【0068】
本形態において、カード排出部16に着脱方向から着脱可能に装着されてカード送り出し機構5Aにより送り出されるカード2を受けるカードトレイ8Aを有する。カード保管庫8Bと、カードトレイ8Aとは、選択的にカード排出部16に装着される。よって、発行されるカード2を第三者の目に触れさせたくない場合にはカード保管庫8Bをカード排出部16に装着して、カード2をカード保管庫8Bに収容することができる。一方、発行されるカード2が第三者の目に触れても問題ない場合には、カードトレイ8Aをカード排出部16に装着して、カード2をカードトレイ8Aで受けることができる。ここで、カードトレイ8Aをカード排出部16に装着した場合には、複数枚のカード2が連続して発行
される場合でも、これら複数枚のカード2をカードトレイ8Aで受けることが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…カード発行装置、2…カード、3…カード収容部、4…排出機構、4A…第1排出機構、4B…第2排出機構、5…搬送機構、5A…カード送り出し機構、5B…カード搬送機構、6…カード処理部、7…切替機構、8…収容セット、8A…カードトレイ、8B…カード保管庫、10…筐体、11…本体部、12…ケース部、13…開口部、15…第2ロック機構、16…カード排出部、17…カード排出口、18…制御部、30…カセットホルダ、31…カードスタック部、32…カセット、35…カード回収部、36…案内部材、41…スリット、42…カード排出爪、43…チェーン駆動機構、44…モータ、45…ベルト機構、46…排出ローラ、47…モータ、51…カード排出路、52…カード搬送路、53…ローラ、54…ローラ、61…印字ヘッド、62…カードリーダ、71…本体部、72…駆動ローラ、73…従動ローラ、81…本体部、82…側壁部、83…ガイド部、84…把持部、85…第1ロック機構、86…カード受入れ口、90…シャッタ機構、91…シャッタ、92…シャッタ付勢手段、93…係合部、94…規制部、111…孔部、121…前面、130…係合突起、131…本体部、131a…切欠き部、131b…端部、132…取付部、132a…第1部分、132b…第2部分、132c…孔部、133…第1傾斜面、134…くびれ部分、135…第2傾斜面、150…ナット、151…第2鍵、152…第2鍵穴、153…第2ロック部、154…本体部、154A…フランジ部、155…軸部、156…ロック部材、156a…第1部分、156b…第2部分、157…規制部材、180…基板、811…第1傾斜部、812…第2傾斜部、813…段部、821…第1面部、822…第2面部、822A…把持部、823…第3面部、824…第4面部、824A…係止片、824B…凸部、825B…開口部、825…上面部、825A…蓋部材、826…下面部、827…開閉扉、828…ヒンジ部、850…ナット、851…第1鍵、852…第1鍵穴、853…第1ロック部、854…本体部、855…軸部、856…ロック部材、857…孔部、858…板部、860…支持部、861…ピン、862…ピン、863…ピン、911…本体部、912…封鎖部、913…第1部分、913a…端部、914…第2部分、915…切欠き部、915a…端部、916…突出部、916a…端面、917…ピン、918…端部、920…コイルバネ、931…アーム部材、932…凸部、933…付勢部材、941…アーム部材、942…凸部、943…付勢部材

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