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特開2023-163527墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座および墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座の利用方法
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  • 特開-墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座および墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座の利用方法 図1
  • 特開-墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座および墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座の利用方法 図2
  • 特開-墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座および墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座の利用方法 図3
  • 特開-墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座および墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座の利用方法 図4
  • 特開-墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座および墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座の利用方法 図5
  • 特開-墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座および墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座の利用方法 図6
  • 特開-墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座および墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座の利用方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163527
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座および墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座の利用方法
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
A62B35/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074493
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116666
【氏名又は名称】愛知電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】後藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184JA03
2E184KA02
2E184LA03
(57)【要約】
【課題】電気機器に対して速やかに着脱可能である、簡素な構造の墜落制止用器具取付用構造体を提供する。
【解決手段】電気機器1の機能を妨げない状態で電気機器1に予め固定された簡素な構造の墜落制止用器具取付用ポール座20と、前記墜落制止用器具取付用ポール座20に取り付けられる墜落制止用器具取付用ポール10により、電気機器1に対して速やかに着脱可能である墜落制止用器具取付用構造体を構成する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
墜落制止用器具の着装を必要とする作業を行う現場で用いられる墜落制止用器具取付用ポールであって、中空形状の単一部材もしくは複数の部材の組み合わせにより略中空形状を形成する柱状部品であり、墜落制止用器具を取り付けるための金具を取り付けるべき位置の表示がなされており、変圧器、遮断器、コンデンサ、リアクトル、ガス絶縁管路のいずれかの電気機器に対して着脱可能な構造である墜落制止用器具取付用ポール。
【請求項2】
前記柱状部品の断面が、中空部を有する略円形、中空部を有する略楕円形、中空部を有する略多角形のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の墜落制止用器具取付用ポール。
【請求項3】
墜落制止用器具を取り付けるための金具の取り付け位置が、墜落制止用器具を着装する作業者が作業を行う面より1.8m以上上方となるよう、作業者が作業を行う面より1.8m未満の高さとなる部分は墜落制止用器具を取り付けるための金具を取り付けられない太さまたは表面処理としたことを特徴とする、請求項2に記載の墜落制止用器具取付用ポール。
【請求項4】
墜落制止用器具を取り付けるための金具が取り付けられる位置が墜落制止用器具を着装する作業者が作業を行う面より1.8m以上上方であり、かつ、墜落制止用器具を取り付けるための金具が取り付けられる位置が墜落制止用器具を着装する作業者が墜落した際に到達する地表面もしくは足場までの落差が4.2mを超える使用方法で墜落制止用器具を使用する作業者が墜落した際、作業者の落下を制止したことでポールの上端が水平方向に移動する塑性変形を起こすことで落下の運動エネルギーを吸収可能である材質および熱処理および断面形状で製造された請求項1から請求項3の何れかに記載の墜落制止用器具取付用ポール。
【請求項5】
断面が略円形、略楕円形、略多角形、中空部を有する略円形、中空部を有する略楕円形、中空部を有する略多角形のいずれかであり、変圧器、遮断器、コンデンサ、リアクトル、ガス絶縁管路のいずれかの電気機器の表面に溶接、摩擦撹拌接合、接着、表面を構成する部材を貫通しないボルトによる接合のいずれかの方法により水平面に対して鉛直もしくは鉛直から10°以内の角度で取り付けられ、側面の少なくとも1か所に請求項1から請求項3の何れかに記載の墜落制止用器具取付用ポールを固定するための1箇所もしくは複数箇所の穴を有し、請求項1ないし請求項3の何れかに記載の墜落制止用器具取付用ポールを取り付けた際に、墜落制止用器具取付用ポールにより表面面積の少なくとも30%が覆われることを特徴とした墜落制止用器具取付用ポール座。
【請求項6】
請求項1から請求項3の何れかに記載の墜落制止用器具取付用ポールと請求項5に記載の墜落制止用器具取付用ポール座の固定は、墜落制止用器具取付用ポールが墜落制止用器具取付用ポール座を覆った際に、墜落制止用器具取付用ポールの側面から見て同一の位置に現出する穴に固定用ピンもしくはボルトを通すことで前記ポール座から前記ポールが抜けることを防止することを特徴とする墜落制止用器具取付用ポールおよびポール座の利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、墜落制止用器具取付用ポールおよびそのポールを作業対象電気機器に取り付けるための座に係り、特に、ポールの断面形状およびポールを取り付ける座の作業対象電気機器への取り付け方およびポールへの墜落制止器具の取り付け方に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧または特別高圧の電気を取り扱う電気装置である変圧器、遮断器、コンデンサ、リアクトル、ガス絶縁管路等の電気機器の据付工事や整備を行う際、高さが2メートルを超える場所で作業を行う必要が発生することがある。この場合、法令の定めにより、作業者は墜落制止用器具を使用する必要がある。
【0003】
墜落制止用器具のうち、ショックアブソーバ付きフルハーネス型の墜落制止用器具は、高所から落下した場合においても、墜落制止時の作業者身体への負担を低減でき、また作業者の頭部を上にした姿勢で墜落制止できるという特徴がある。
【0004】
一方、フルハーネス型の墜落制止用器具に用いられるショックアブソーバは、作動する際に伸びる。
そのため、作業者が2メートルをわずかに超える高さの作業面から落下した場合、制止される前に作業者が地面に到達して負傷する恐れがある。
【0005】
比較的低い高さから落下する際、作業面より十分に高い位置に墜落制止用器具を取り付けることで、墜落を制止した際のショックアブソーバーの伸びの影響を小さくして作業者が地面に到達する前に停止させることが可能となる。このため、作業面より十分高い位置に墜落制止用器具を取り付けるための支柱等を作業面に設置することが必要となる。
【0006】
高圧または特別高圧の電気を取り扱う電気装置に墜落制止用器具を取り付けるための支柱等を設置する場合、電気装置の上空に特別高圧電気を取り扱う電線が配置されていることが多い。一方、作業時以外の時は電気絶縁性確保を目的とした離隔距離確保のため、墜落制止用器具を取り付けるための支柱等を撤去することが望まれる。他方、作業時は、墜落制止用器具を取り付けるための支柱が墜落制止に必要な強度を有することが望まれる。
【0007】
墜落制止用器具取り付け時の支柱強度と、作業時以外の時の対地離隔距離確保を両立させる方法として、特許文献1に記載の墜落防止装置取付部材を用いる方法がある。特許文献1の記載によれば、図7に示すように、墜落防止装置取付部材101は、下部がねじ加工された支柱102と、支柱支持具103で構成され、支柱102は支柱支持具103に対して着脱可能である。
このうち、支柱支持具103は、前記支柱102を起立状態で支持する係合部と、該係合部の下方に位置するベース部104を備えている。前記ベース部104に形成されたボルト穴104aは上側フランジ部Bfに連通し、連通した穴にボルトを通すことで前記上側フランジ部Bfに固定(締結)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2018-053595
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の固定方法にて変圧器、遮断器、コンデンサ、リアクトル、ガス絶縁管路等の電気機器の天板に前記支柱支持具を取り付けるのであれば、電気機器の天板に前記支柱支持具を締結させておく必要がある。電気機器は内部に電気絶縁用流体を外気から遮断された状態で保持していたり、内部が真空に保たれていることが多く、天板に貫通穴を開けて前記支柱支持具を取り付けることができない。
また、電気機器の天板には、特別高電圧線引込用のブッシング、冷却用流体の配管、計装用電線の保護管など、電気機器の機能上不可欠である構造物が多数配置されているため、特許文献1でいう鉄骨梁Bにあたる部材を予め電気機器の天板に追加しておくことは困難である。
さらに、電気機器の天板上には、機能上不可欠である構造物が多数配置されていることから、天板に支柱を立てられる箇所が限られ、また、支柱に墜落制止用器具を取り付けた際の作業可能範囲は狭いものとなることが多い。
一方、作業完了後には、電気機器に高電圧が印加されるため、電気機器の天板上の仮設物は印加される高電圧の電圧で決定される離隔距離の範囲内から速やかかつ完全に取り除かれ、かつ突出物を最小限とする必要がある。
このため、電気機器の天板に支柱を立てる際、複数の支柱を短時間で立てて作業を行い、作業後に速やか、かつ確実に支柱を撤去する必要がある。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電気機器に対して速やかに着脱可能である、簡素な構造の墜落制止用器具取付用構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題は、本発明によれば、電気機器の機能を妨げない状態で電気機器に予め固定された簡素な構造のポール座と、前記ポール座に取り付けられる墜落制止用器具取付用ポールにより解決される。
【0012】
上記のように構成された墜落制止用器具取付用ポール座は、予め電気機器の天板に溶接等の方法で固定される。このため、前記ポール座を使用する際の運搬、位置決め、取付、撤去の各作業を削減できる。
また、前記ポール座に中空形状である墜落制止用器具取付用ポールを取り付ける際に、前記ポールの中空部分が前記ポール座を覆うように取り付けることで、前記ポール下端のねじ加工など、前記ポール座と一体化させるための加工作業を削減できる。
【0013】
断面が中空を有する略円形、中空を有する略楕円形、中空を有する略多角形である前記ポールが前記ポール座を覆うとき、前記ポールが前記ポール座を覆う面積が大きいほど、作業や作業者の墜落による衝撃で前記ポール座から前記ポールが脱落する確率は低くなる。とりわけ前記ポールが前記ポール座の表面面積を30%以上覆う構造とすることで、前記ポール座から前記ポールが脱落する確率は低くなる。
【0014】
断面が中空を有する略円形、中空を有する略楕円形、中空を有する略多角形である前記ポールが前記ポール座を覆う構造としていても、依然として作業や作業者の墜落による衝撃で前記ポール座から前記ポールが脱落する危険性が残る。前記ポールにより前記ポール座が覆われている状態で、前記ポールと前記ポール座の双方にピンまたはボルトを通すための同一の位置に現出する穴をあけ、ピンまたはボルトで固定することで、前記ポール座から前記ポールが脱落する危険性を皆無にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、電気機器にポールを設置する際に、作業者が墜落制止用器具を取り付けるべき位置を各設置対象現場で個別に測定することなく容易に把握することが可能になる。
【0016】
請求項2の発明によれば、電気機器に設置するポールの断面を中空形状とすることで、ポールが負担するべき一定の衝撃荷重を負担するために必要な部材の重量を、中実形状のポールとした場合より軽量にすることが可能になる。
【0017】
請求項3の発明によれば、ポールのうち墜落制止用器具を取り付けるべきでない位置を墜落制止用器具を取り付けられない構造とすることで、金具取り付け位置表示を読み間違えた場合でも正しい位置に墜落制止用器具を取り付けることを促すことができるようになり、以て高所作業の安全性を向上させることが可能となる。
【0018】
請求項4の発明によれば、作業者が墜落したことで発生する運動エネルギーの一部をポールの塑性変形で損失させることにより、塑性変形させないようにポールを設計した場合に比べて薄肉または小断面とする設計が可能となり、より安価にポールを製作することが可能となる。
【0019】
請求項5の発明によれば、電気機器の天板を構成する部材に貫通孔を開けることなく電気機器に固定されたポール座の表面を請求項1ないし請求項3の何れかに記載の墜落制止用器具取付用ポールが十分に多く覆うことで、電気機器内面の絶縁性流体または真空による電気機器の絶縁性能を毀損することなく、ポールを最小限の労力でかつ確実に固定することが可能なポール座を実現することができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、請求項5に記載のポール座にポールを固定する際、ポール座とポールの側面から見て同一の位置に現出する穴にピンもしくはボルトを通すことで、ポール座とポールの固定をより確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第一実施形態(中空を有する略円形)に係る墜落制止用器具取付用ポールについての説明図である。
図2】本発明の第一実施形態(中空を有する略円形)に係る墜落制止用器具取付用ポール座についての説明図である。
図3】本発明による前記ポール座への前記ポールの取付けと固定の方法についての説明図である。
図4】作業者が墜落する前後の墜落制止用器具取付用ポールの変形についての説明図である。
図5】本発明の第二実施形態(中空を有する略楕円形)に係る墜落制止用器具取付用ポール断面図である。
図6】本発明の第三実施形態(中空を有する略多角形)に係る墜落制止用器具取付用ポール断面図である。
図7】従来の墜落制止器具取付部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例について複数の実施形態を挙げて説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0023】
実施形態に係る墜落制止用器具取付用ポール(以下、ポール)およびポール座について図1乃至図6を参照して説明する。
図1に示すポール10は、変圧器、遮断器、コンデンサ、リアクトル、ガス絶縁管路等の図2に示す電気機器1の据付工事や整備のため高さが2メートルを超える場所で作業を行う必要が発生し、かつ作業場所に法令の要件を満たす足場を設置できない場合、作業者が着装する墜落制止用器具を取りつけるために臨時に設置される。
【0024】
図1に示すポール10は全長2000mm、外径48.6mmの中空円筒形状であり、一方の端面11から100mm離れた位置に固定用ピン穴12を有する。また、端面11から1830mm離れた位置に墜落制止用器具取付位置マーク13を有する。
【0025】
図1に示すポール10の墜落制止用器具取付位置マーク13の箇所にクランプ41を取り付けることで、図4に示す墜落制止用器具40をポール10に固定することができる。
【0026】
図2に示すポール座20は全長250mm、外径42mmの円柱部分と、全長20mm、内径42.5mm、外径60mmのフランジで構成される。
円柱部分は、フランジ内部に配置され、フランジと長さ10mm分だけで重ねた状態で、溶接によりフランジと一体化される。
ポール座20の円柱部分には、円柱部分の直径方向でかつ円柱の軸と直交する方向に固定用ピン穴21が空けられる。
固定用ピン穴21は、図1に示すポール10を取り付けた際に、ポール10の側面から見て固定用ピン穴12と同一の位置に、固定用ピンもしくはボルトを通すことが可能な直径の貫通穴としてポール座20にあけられる。
【0027】
図2に示すポール座20は、ポール10を取り付け可能な構造であり、据付工事や整備対象である電気機器1の天板1aに溶接により固定される。
既設である電気機器1に後からポール座20を溶接する場合、溶接による熱で電気機器1の天板1aが過熱されて、天板1a内面の塗料や電気機器1内部の絶縁油等の流体が熱劣化を起こすことがある。このような場合、溶接に比べて天板1aが過熱されにくい接合方法、すなわち摩擦攪拌接合、接着、ボルト締結などの手法により電気機器1の天板1aにポール座20を取り付けるとよい。
【0028】
ポール座20にポール10を固定する方法を、図3(a)および図3(b)を用いて説明する。
図3(a)に示すとおり、電気機器1の天板1aに固定されたポール座20に、鉛直方向の上方からクランプ41を取り付けたポール10を差し込む。このとき、ポール座20は、電気機器1の天板1aの傾斜にかかわらず、水平面に対して鉛直もしくは鉛直から10°以内の角度で電気機器1の天板1aに固定される。
図3(b)に示すとおり、電気機器1の天板1aに固定されたポール座20に差し込まれたポール10は、ポール座20の円筒部分を覆うように設置される。
このとき、ポール座20の表面積のうち少なくとも30%がポール10により覆われていると、ポール10はポール座20から抜けにくい。
【0029】
ポール座20にポール10を固定する際、図3(b)のように、ポール10がポール座20を覆った際にポール10の側面から見て同一の位置に現出する穴に固定用ピン22もしくはボルトを通すと、ポール10が不用意に持ち上げられた場合であっても、ポール座20からポール10が抜けることを防止することができる。
なお、ポール10の固定用ピン穴12とポール座20の固定用ピン穴21の位置は、ポール座20がポール10によって覆われる割合に応じて、ポール座20からポール10が抜けにくい位置に予めあけておく。
【0030】
図4に示す墜落制止用器具40は、クランプ41、作業者30を直接保持し墜落時の衝撃を分散させる効果を有するハーネス42、ハーネス42とクランプ41を結ぶランヤード43から成る。
【0031】
クランプ41は、墜落制止用器具40を取り付けるための穴などの構造を有しており、この穴にランヤード43の先端に取り付けられたカラビナ44を通すことで、ポール10に対してハーネス42を取り外し可能に固定することができる。
【0032】
さらに、作業者30の落下を制止した際にランヤード43の張力が瞬間的にハーネス42を通して作業者30にかかる衝撃荷重を減らすよう、ランヤード43を構成するロープ45の他、ハーネス42とロープ45の間にアブソーバ46を入れることがある。
アブソーバ46は、作業者30が落下した際にロープ45から瞬間的に伝えられる張力によりその全長を伸ばすことで、ハーネス42への張力の伝達を緩やかにさせる効果を発揮する。
【0033】
しかし、ロープ45とハーネス42の間にアブソーバ46が入っていると、作業者30の落下に伴ってランヤード43の全長が伸びる。このため、墜落制止用器具40をポール10に取り付ける位置は、アブソーバ46の伸びを考慮したうえで決定する必要がある。
好適には、墜落制止用器具40のクランプ41取付高さが作業箇所(作業床)上1.85mであり、作業者30が作業床上に立ち、着装するハーネス42に作業床上1.45mの高さでランヤード43を取り付けた際、ランヤード長さを1.2mとする。この状態で作業者30が地面上2.5mの高さの作業箇所から墜落したとするとき、作業床からの落下距離は2.4mとなり、地面到達前に落下を制止することができる。
【0034】
図5は本発明の請求項2による、断面が中空を有する略楕円形であるポール10aの構造を示す断面図である。図1に示すポール10と異なる部分は、その断面形状であり、その他の構造は同一である。
また、固定用ピン穴12がポール10aの側面に取り付けられることも、図1に示す略円形断面のポール10と同様である。
【0035】
図6は本発明の請求項2による、断面が中空を有する略多角形であり、複数の部材の組み合わせにより略中空形状を形成するポール10bの構造を示す断面図である。図1に示すポール10と異なる部分は、その断面形状であり、その他の構造は同一である。
また、固定用ピン穴12がポール10bの側面に取り付けられることも、図1に示す略円形断面のポール10と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、電気機器の保守または点検を行う際の電気機器への墜落制止用器具の固定に関して適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 電気機器
1a 電気機器の天板
2 ブッシング
3 高電圧充電部(作業完了後に充電)
L 高電圧が充電された際の離隔距離
10,10a,10b 墜落制止用器具取付用ポール
11 端面
12 固定用ピン穴
13 墜落制止用器具取付位置マーク
20 墜落制止用器具取付用ポール座
21 固定用ピン穴
22 固定用ピン
30 作業者
40 墜落制止用器具
41 クランプ
42 ハーネス
43 ランヤード
44 カラビナ
45 ロープ
46 アブソーバ
101 墜落防止装置取付部材
102 支柱
103 支柱支持具
104 ベース部
104a ボルト穴
Bf 上側フランジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7