(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016353
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】金属加工油組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C10M 169/04 20060101AFI20230126BHJP
C10M 129/70 20060101ALI20230126BHJP
C10M 129/72 20060101ALI20230126BHJP
C10N 40/24 20060101ALN20230126BHJP
【FI】
C10M169/04
C10M129/70
C10M129/72
C10N40:24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120610
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 潤一
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BB32C
4H104BB33C
4H104LA20
4H104PA23
4H104PA28
(57)【要約】
【課題】加工率(圧下率)が高く、摩耗粉の発生量が抑制され、かつ、油剤除去性が良好な金属加工油組成物の製造方法の提供。
【解決手段】基油(A)と、エステル化合物(B)とを混合する混合工程を有する金属加工油組成物の製造方法であって、前記混合工程において、前記エステル化合物(B)のエステル結合の数を(a)とし、前記金属加工油組成物全量に対する前記エステル化合物(B)の添加量(質量%)を(m)とした際に、m/a2が、3.4以上20未満となるように、前記エステル化合物(B)の前記添加量(質量%)(m)を調整することを含む、金属加工油組成物の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基油(A)と、エステル化合物(B)とを混合する混合工程を有する金属加工油組成物の製造方法であって、
前記混合工程において、前記エステル化合物(B)のエステル結合の数を(a)とし、前記金属加工油組成物全量に対する前記エステル化合物(B)の添加量(質量%)を(m)とした際に、m/a2が、3.4以上20未満となるように、前記エステル化合物(B)の添加量(質量%)(m)を調整することを含む、金属加工油組成物の製造方法。
【請求項2】
前記エステル化合物(B)は、ステアリン酸ブチルを含む、請求項1に記載の金属加工油組成物の製造方法。
【請求項3】
前記エステル化合物(B)は、ステアリン酸ブチル及びパルミチン酸ブチルを含む、請求項1又は2に記載の金属加工油組成物の製造方法。
【請求項4】
前記エステル化合物(B)は、二塩基酸と、炭素原子数8~10の一価アルコールとからなるエステルを含む、請求項1に記載の金属加工油組成物の製造方法。
【請求項5】
前記混合工程において、前記m/a2が、5以上10以下となるように、前記エステル化合物(B)の前記添加量(質量%)(m)を調整することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の金属加工油組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属加工油組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属の加工においてそのほとんどの場合で潤滑、冷却のために金属加工油組成物が使用される。適切な金属加工油組成物を用いることで、良好な加工性が得られ、効率の良い生産が可能となる。また、加工された製品の表面状態もより良好となる。
例えば、ステンレスや銅の冷間圧延では、適切な潤滑油(圧延油)を用いることにより、1回あたりの加工で達成できる加工率(圧下率)を高く取ることができ、目標とする加工度合いまでに要する加工回数を少なくすることが出来る。
【0003】
金属加工油組成物は、加工率(圧下率)を高くするために、一般的に添加剤を含有している。
例えば、特許文献1の金属加工油組成物は、粘度指数が70以上115以下、硫黄分が100質量ppm以上2000質量ppm以下の鉱油である基油と、添加剤として、エステル、アルコール及びリン化合物から選ばれる少なくとも1種とを含有する。該金属加工油組成物は、加工速度が高い条件から低い条件まで良好な潤滑性を有し、被加工材の表面損傷を十分に防止することが可能であると開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属加工油組成物おいて、上述したような添加剤の添加量を多くすることにより、高い圧下率を得ることが出来る。
しかしながら、圧延される材料、圧延する条件によっては、添加剤の添加量を高く設定しすぎると過潤滑状態となり、ワークロールと材料間のスリップを誘発し、正常な圧延が出来なくなる。また、スリップ等により加工時に発生する摩耗粉の発生量が多くなる。該摩耗粉は、後工程の洗浄でも除去しきれない場合があり、製品品質を損ねることがある。さらに、添加剤の中でも、特にエステル化合物は、圧延される材料の表面に強く吸着するため、除去しにくくなり、塗装などの後工程に影響を及ぼす場合がある。
【0006】
上述した特許文献1の金属加工油組成物のような従来の金属加工油組成物おいて、加工率(圧下率)の向上と、摩耗粉の発生量抑制、及び、組成物自体の除去性(油剤除去性)の向上とは、トレードオフの関係であり、その全ての要求を満たす金属加工油組成物は製造できていない。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、加工率(圧下率)が高く、摩耗粉の発生量が抑制され、かつ、油剤除去性が良好な金属加工油組成物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者等は鋭意検討を重ねた結果、基油と、エステル化合物とを含有する金属加工油組成物の製造方法において、該エステル化合物の添加量は、該エステル化合物のエステル結合の数により最適な量が異なることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は以下の構成を採用した。
【0009】
[1]基油(A)と、エステル化合物(B)とを混合する混合工程を有する金属加工油組成物の製造方法であって、前記混合工程において、前記エステル化合物(B)のエステル結合の数を(a)とし、前記金属加工油組成物全量に対する前記エステル化合物(B)の添加量(質量%)を(m)とした際に、m/a2が、3.4以上20未満となるように、前記エステル化合物(B)の前記添加量(質量%)(m)を調整することを含む、金属加工油組成物の製造方法。
[2]前記エステル化合物(B)は、ステアリン酸ブチルを含む、[1]に記載の金属加工油組成物の製造方法。
[3]前記エステル化合物(B)は、ステアリン酸ブチル及びパルミチン酸ブチルを含む、[1]又は[2]に記載の金属加工油組成物の製造方法。
[4]前記エステル化合物(B)は、二塩基酸と、炭素原子数8~10の一価アルコールとからなるエステルを含む、[1]に記載の金属加工油組成物の製造方法。
[5]前記混合工程において、前記m/a2が、5以上10以下となるように、前記エステル化合物(B)の前記添加量(質量%)(m)を調整することを含む、[1]~[4]のいずれか一項に記載の金属加工油組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、加工率(圧下率)が高く、摩耗粉の発生量が抑制され、かつ、油剤除去性が良好な金属加工油組成物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書においては、特に断らない限り、数値XおよびYについて「X~Y」という表記は「X以上Y以下」と等価であるものとする。かかる表記において数値Yのみに単位を付した場合には、当該単位が数値Xにも適用されるものとする。
【0012】
(金属加工油組成物の製造方法)
本実施形態の金属加工油組成物の製造方法は、基油(A)と、エステル化合物(B)とを混合する混合工程を有する。
【0013】
[混合工程]
本実施形態の金属加工油組成物の製造方法は、混合工程において、エステル化合物(B)のエステル結合の数を(a)とし、金属加工油組成物全量に対するエステル化合物(B)の添加量(質量%)を(m)とした際に、m/a2が、3.4以上20未満となるように、前記エステル化合物(B)の前記添加量(質量%)(m)を調整することを含む。
【0014】
本実施形態の金属加工油組成物の製造方法における混合工程において、m/a2は、3.4以上であり、好ましくは4以上であり、より好ましくは4.5以上であり、さらに好ましくは5以上である。
また、m/a2は、20未満であり、好ましくは18以下であり、より好ましくは16以下であり、さらに好ましくは15以下である。
一実施形態において、m/a2は、好ましくは4~18、より好ましくは4.5~16、さらに好ましくは5~15である。
【0015】
本実施形態の金属加工油組成物の製造方法における混合工程において、m/a2が、3.4以上20未満であれば、加工率(圧下率)、摩耗粉の発生量の抑制性、及び、油剤除去性のバランスが良好となり、上記の好ましい範囲内であれば、加工率(圧下率)、摩耗粉の発生量の抑制性、及び、油剤除去性のバランスがより良好となる。
【0016】
なお、エステル化合物(B)を2種類用いる場合のm/a2の求め方は以下の通りであり、エステル化合物(B)を3種類以上用いる場合も同様の方法で計算することができる。
【0017】
例えば、エステル化合物(B)として、エステル結合の数が(a1)個であるエステル化合物(B-1)を(m1)質量%、及び、エステル結合の数が(a2)個であるエステル化合物(B-2)を(m2)質量%併用する場合、m/a2は、(m1/a12)+(m2/a22)により算出することができる。
【0018】
混合工程において、基油(A)と、エステル化合物(B)とを混合する方法は、特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法;容器中で加熱溶融させて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
【0019】
<基油(A)>
本実施形態の金属加工油組成物の製造方法における基油(A)としては、鉱油、合成油が挙げられる。
【0020】
≪鉱油≫
鉱油として、具体的には、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理の1種以上の精製手段を適用して得られる鉱油等が挙げられる。
【0021】
上記鉱油としては、API基油分類のグループI基油(以下において「APIグループI基油」ということがある。)、グループII基油(以下において「APIグループII基油」ということがある。)、若しくはグループIII基油(以下において「APIグループIII基油」ということがある。)、又は、それらの混合基油を用いることができる。
APIグループI基油は、硫黄分が0.03質量%超、及び/又は、飽和分が90質量%未満であって、且つ、粘度指数が80以上120未満の鉱油系基油である。
APIグループII基油は、硫黄分が0.03質量%以下、飽和分が90質量%以上、且つ、粘度指数が80以上120未満の鉱油系基油である。
APIグループIII基油は、硫黄分が0.03質量%以下、飽和分が90質量%以上、且つ、粘度指数が120以上の鉱油系基油である。
なお本明細書において、粘度指数とは、JIS K 2283-2000に準拠して測定された粘度指数を意味する。また、本明細書において「潤滑油基油中の硫黄分の含有量」は、JIS K 2541-2003に準拠して測定されるものとする。また、本明細書において「潤滑油基油中の飽和分の含有量」は、ASTM D 2007-93に準拠して測定された値を意味する。
【0022】
上記基油は1種の鉱油からなってもよく、2種以上の鉱油を含む混合基油であってもよい。2種以上の鉱油を含む混合基油においては、それらの鉱油のAPI分類は同一であってもよく、相互に異なっていてもよい。上記鉱油は、金属加工油組成物の安定性の観点から、APIグループI基油またはAPIグループII基油を含有することが好ましい。
【0023】
上記鉱油中の芳香族分は、特に制限されないが、作業環境の観点から、好ましくは8容量%以下、より好ましくは6容量%以下、さらに好ましくは5容量%以下である。ここで、芳香族分とは、JIS K2536「石油製品-炭化水素タイプ試験」の蛍光指示薬吸着法に準拠して測定された値を意味する。
【0024】
また、上記鉱油中のナフテン分は、特に制限されないが、好ましくは10容量%以上、より好ましくは15容量%以上、さらに好ましくは20容量%以上、特に好ましくは25容量%以上、最も好ましくは30容量%以上である。
また、上記鉱油中のナフテン分は、好ましくは55容量%以下、より好ましくは50容量%以下、さらに好ましくは45容量%以下、特に好ましくは40容量%以下、最も好ましくは35容量%以下である。
一実施形態において、上記鉱油中のナフテン分は、好ましくは10~55容量%、より好ましくは15~50容量%、さらに好ましくは20~45容量%、特に好ましくは25~40容量%、最も好ましくは30~35容量%である。
【0025】
上記鉱油中のパラフィン分は、特に制限されないが、好ましくは40容量%以上、より好ましくは45容量%以上、さらに好ましくは50容量%以上、特に好ましくは55容量%以上、最も好ましくは60容量%以上である。
また、上記鉱油中のパラフィン分は、好ましくは85容量%以下、より好ましくは80容量%以下、さらに好ましくは75容量%以下、特に好ましくは70容量%以下、最も好ましくは65容量%以下である。
一実施形態において、上記鉱油中のパラフィン分は、好ましくは40~85容量%、より好ましくは45~80容量%、さらに好ましくは50~75容量%、特に好ましくは55~70容量%、最も好ましくは60~65容量%である。
【0026】
本明細書において、ナフテン分、パラフィン分とは、FIイオン化(ガラスリザーバ使用)による質量分析法により得られた分子イオン強度をもって、これらの割合を決定するものである。以下にその測定法を具体的に示す。
【0027】
(1)径18mm、長さ980mmの溶出クロマト用吸着管に、約175℃、3時間の乾燥により活性化された呼び径74~149μmシリカゲル(富士シリシア化学(株)製grade923)120gを充填する。
(2)n-ペンタン75mLを注入し、シリカゲルを予め湿す。
(3)試料約2gを精秤し、等容量のn-ペンタンで希釈し、得られた試料溶液を注入する。
(4)試料溶液の液面がシリカゲル上端に達したとき、飽和炭化水素成分を分離するために、n-ペンタン140mLを注入し、吸着管の下端より溶出液を回収する。
(5)溶出液をロータリーエバポレーターにかけて溶媒を留去し、飽和炭化水素成分を得る。
(6)飽和炭化水素成分を質量分析計でタイプ分析を行う。質量分析におけるイオン化方法としては、ガラスリザーバを使用したFIイオン化法が用いられ、質量分析計は日本電子社製JMS-AX505Hを使用する。
【0028】
測定条件を以下に示す。
加速電圧:3.0kV、カソード電圧:-5~-6kV、分解能:約500、エミッター:カーボン、エミッター電流:5mA、測定範囲:質量数35~700、補助オーブン温度:300℃、セパレータ温度:300℃、主要オーブン温度:350℃、試料注入量:1μL。
【0029】
質量分析法によって得られた分子イオンは、同位体補正後、その質量数からパラフィン類(CnH2n+2)とナフテン類(CnH2n、CnH2n-2、CnH2n-4・・・)の2タイプに分類・整理し、それぞれのイオン強度の分率を求め、飽和炭化水素成分全体に対する各タイプの含有量を定める。次いで、飽和炭化水素成分の含有量をもとに、試料全体に対するパラフィン分、ナフテン分の各含有量を求める。
【0030】
なお、FI法質量分析のタイプ分析法によるデータ処理の詳細は、「日石レビュー」第33巻第4号135~142頁の特に「2.2.3データ処理」の項に記載されている。
【0031】
≪合成油≫
合成油としては、ポリオレフィン、アルキルベンゼン等が挙げられる。
【0032】
・ポリオレフィン
ポリオレフィンとしては、炭素原子数2~16、好ましくは炭素原子数2~12のオレフィンモノマーを単独重合又は共重合したもの、これらの重合体の水素化物等が挙げられる。前記オレフィンモノマーは、α-オレフィン、内部オレフィン、直鎖状オレフィン、分岐鎖状オレフィンのうちのいずれであってもよい。このようなオレフィンモノマーとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、イソブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、トリデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0033】
・アルキルベンゼン
アルキルベンゼンとしては、分子中に炭素原子数1~40のアルキル基を1~4個有するものが好ましい。また、アルキルベンゼンのアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、安定性、粘度特性等の点から分岐鎖状のアルキル基が好ましく、特に入手が容易であるという点から、プロピレン、ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマーから誘導される分岐鎖状アルキル基がより好ましい。
【0034】
本実施形態の金属加工油組成物の製造方法における基油(A)は、上述した鉱油及び/又は合成油をそれぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよいが、上述した鉱油を1種単独で用いること、又は、2種以上を混合して用いることが好ましい。
【0035】
本実施形態の金属加工油組成物の製造方法における基油(A)の添加量は、特に限定されず、例えば、金属加工油組成物全量に対して、40~95質量%であってもよく、50~95質量%であってもよい。
【0036】
本実施形態の金属加工油組成物の製造方法における基油(A)の40℃における動粘度は、冷間圧延における加工性の観点から、好ましくは2.0mm2/s以上、より好ましくは3.0mm2/s以上であり、さらに好ましくは4.0mm2/s以上である。
また、油剤除去性の観点から、好ましくは25mm2/s以下、より好ましくは20mm2/s以下であり、さらに好ましくは15mm2/s以下である。
基油(A)の40℃における動粘度は、一実施形態において、好ましくは3.0~20mm2/s、より好ましくは4.0~15mm2/sである。なお本明細書において、「40℃における動粘度」とは、JIS K 2283-2000に規定される40℃での動粘度を意味する。
【0037】
<エステル化合物(B)>
本実施形態の金属加工油組成物の製造方法におけるエステル化合物(B)としては、エステル結合を有する化合物であれば特に限定されない。
【0038】
エステル化合物(B)として、具体的には、下記(i)~(vii)に示すエステルを用いることができる。
(i)一価アルコールと一塩基酸とのエステル
(ii)多価アルコールと一塩基酸とのエステル
(iii)一価アルコールと多塩基酸とのエステル
(iv)多価アルコールと多塩基酸とのエステル
(v)一価アルコール及び多価アルコールの混合アルコールと多塩基酸とのエステル
(vi)多価アルコールと一塩基酸及び多塩基酸の混合カルボン酸とのエステル
(vii)一価アルコール及び多価アルコールの混合アルコールと一塩基酸及び多塩基酸の混合カルボン酸とのエステル
【0039】
一価アルコールとしては、例えば、炭素原子数1~24の一価アルコールが挙げられる。
該一価アルコールは、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
具体的には、メタノール、エタノール、直鎖状又は分岐鎖状のプロパノール、直鎖状又は分岐鎖状のブタノール、直鎖状又は分岐鎖状のオクタノール、直鎖状又は分岐鎖状のノナノール、直鎖状又は分岐鎖状のデカノール、直鎖状又は分岐鎖状のウンデカノール、直鎖状又は分岐鎖状のドデカノール、直鎖状又は分岐鎖状のトリデカノール、直鎖状又は分岐鎖状のテトラデカノール、直鎖状又は分岐鎖状のペンタデカノール、直鎖状又は分岐鎖状のヘキサデカノール、直鎖状又は分岐鎖状のヘプタデカノール、直鎖状又は分岐鎖状のオクタデカノール、直鎖状又は分岐鎖状のノナデカノール、直鎖状又は分岐鎖状のエイコサノール、直鎖状又は分岐鎖状のヘンエイコサノール、直鎖状又は分岐鎖状のトリコサノール、直鎖状又は分岐鎖状のテトラコサノール及びこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
多価アルコールとしては、例えば、2~10価のアルコール、好ましくは2~6価のアルコールが挙げられる。該多価アルコールは、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3~15量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3~15量体)、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2~8量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン)、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタンなど)及びこれらの2~8量体、ペンタエリスリトール及びこれらの2~4量体、1,2,4-ブタントリオール、1,3,5-ペンタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,3,4-ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール;キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類;これらの混合物などが挙げられる。
【0041】
一塩基酸としては、例えば、炭素原子数6~24の脂肪酸が挙げられる。
該脂肪酸は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、該脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。
具体的には、直鎖状又は分岐鎖状のヘキサン酸、直鎖状又は分岐鎖状のオクタン酸、直鎖状又は分岐鎖状のノナン酸、直鎖状又は分岐鎖状のデカン酸、直鎖状又は分岐鎖状のウンデカン酸、直鎖状又は分岐鎖状のドデカン酸、直鎖状又は分岐鎖状のトリデカン酸、直鎖状又は分岐鎖状のテトラデカン酸、直鎖状又は分岐鎖状のペンタデカン酸、直鎖状又は分岐鎖状のヘキサデカン酸(パルミチン酸)、直鎖状又は分岐鎖状のオクタデカン酸(ステアリン酸)、直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖状又は分岐鎖状のノナデカン酸、直鎖状又は分岐鎖状のエイコサン酸、直鎖状又は分岐鎖状のヘンエイコサン酸、直鎖状又は分岐鎖状のドコサン酸、直鎖状又は分岐鎖状のトリコサン酸、直鎖状又は分岐鎖状のテトラコサン酸などの飽和脂肪酸;直鎖状又は分岐鎖状のヘキセン酸、直鎖状又は分岐鎖状のヘプテン酸、直鎖状又は分岐鎖状のオクテン酸、直鎖状又は分岐鎖状のノネン酸、直鎖状又は分岐鎖状のデセン酸、直鎖状又は分岐鎖状のウンデセン酸、直鎖状又は分岐鎖状のドデセン酸、直鎖状又は分岐鎖状のトリデセン酸、直鎖状又は分岐鎖状のテトラデセン酸、直鎖状又は分岐鎖状のペンタデセン酸、直鎖状又は分岐鎖状のヘキサデセン酸、直鎖状又は分岐鎖状のオクタデセン酸、直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖状又は分岐鎖状のノナデセン酸、直鎖状又は分岐鎖状のエイコセン酸、直鎖状又は分岐鎖状のヘンエイコセン酸、直鎖状又は分岐鎖状のドコセン酸、直鎖状又は分岐鎖状のトリコセン酸、直鎖状又は分岐鎖状のテトラコセン酸等の不飽和脂肪酸;これらの混合物などが挙げられる。
【0042】
多塩基酸としては、例えば、炭素原子数6~16の二塩基酸(ジカルボン酸)、炭素原子数6~16の三塩基酸(トリカルボン酸)等が挙げられる。
該二塩基酸及び三塩基酸は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、該二塩基酸及び三塩基酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。
【0043】
該二塩基酸として、具体的には、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖状又は分岐状のブタン二酸、直鎖状又は分岐状のペンタン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサン二酸(アジピン酸)、直鎖状又は分岐状のオクタン二酸、直鎖状又は分岐状のノナン二酸、直鎖状又は分岐状のデカン二酸、直鎖状又は分岐状のウンデカン二酸、直鎖状又は分岐状のドデカン二酸、直鎖状又は分岐状のトリデカン二酸、直鎖状又は分岐状のテトラデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキセン二酸、直鎖状又は分岐状のオクテン二酸、直鎖状又は分岐状のノネン二酸、直鎖状又は分岐状のデセン二酸、直鎖状又は分岐状のウンデセン二酸、直鎖状又は分岐状のドデセン二酸、直鎖状又は分岐状のトリデセン二酸、直鎖状又は分岐状のテトラデセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデセン二酸、及び、これらの混合物等が挙げられる。
【0044】
該三塩基酸として、具体的には、トリメリット酸が挙げられる。
【0045】
本実施形態の金属加工油組成物の製造方法におけるエステル化合物(B)としては、(i)一価アルコールと一塩基酸とのエステル、又は、(iii)一価アルコールと多塩基酸とのエステルであることが好ましい。
【0046】
(i)一価アルコールと一塩基酸とのエステルとして、具体的には、加工率(圧下率)、摩耗粉の発生量の抑制性、及び、油剤除去性のバランスの観点から、炭素原子数1~24の一価アルコールと、炭素原子数6~24の脂肪酸とからなるエステルであることが好ましく、炭素原子数4~10の一価アルコールと、炭素原子数10~18の脂肪酸とからなるエステルであることがより好ましい。
より具体的には、ステアリン酸ブチル、及び、パルミチン酸ブチルが好ましい。
【0047】
(iii)一価アルコールと多塩基酸とのエステルとして、具体的には、加工率(圧下率)、摩耗粉の発生量の抑制性、及び、油剤除去性のバランスの観点から、炭素原子数1~24の一価アルコールと、炭素原子数6~16の二塩基酸とからなるエステルが好ましく、炭素原子数8~10のアルコールと、炭素原子数6~16の二塩基酸とからなるエステルが好ましい。
より具体的には、アジピン酸ジイソノニル、及び、アジピン酸ジ(2-エチルヘキシル)が好ましい。
【0048】
本実施形態の金属加工油組成物の製造方法におけるエステル化合物(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
エステル化合物(B)が、2種以上のエステル化合物の混合物である場合、加工率(圧下率)、摩耗粉の発生量の抑制性、及び、油剤除去性のバランスの観点から、ステアリン酸ブチル及びパルミチン酸ブチルの混合物であることが好ましい。
【0049】
本実施形態の金属加工油組成物の製造方法におけるエステル化合物(B)としては、上記の中でも、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸ブチル、アジピン酸ジイソノニル、及び、アジピン酸ジ(2-エチルヘキシル)からなる群から選択される1種以上のエステル化合物であることが好ましい。
【0050】
本実施形態の金属加工油組成物の製造方法におけるエステル化合物(B)の添加量は、上述の通り、m/a2が、3.4以上20未満となるように、適宜調整される。
エステル化合物(B)の添加量は、例えば、金属加工油組成物全量に対して、5~50質量%である。
【0051】
<任意成分>
本実施形態の金属加工油組成物の製造方法における混合工程において、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した基油(A)、及び、エステル化合物(B)以外の成分(任意成分)をさらに混合してもよい。
該任意成分としては、フェノール系、アミン系等の酸化防止剤;ポリイソブテン、ポリαオレフィンなどのミスト防止剤;ベンゾトリアゾールやこれの誘導体などの金属不活性化剤;アルコール、脂肪酸、エーテル、アミン類などの油性剤;アルキル又はアルケニルコハク酸誘導体、多価アルコール部分エステル、金属スルフォネート、アミン類等の防錆剤;トリクレジルフォスフェート等のリン系化合物、ジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物等の極圧添加剤;シリコーン系消泡剤等の消泡剤などが挙げられる。
【0052】
本実施形態の金属加工油組成物の製造方法は、混合工程において、m/a2が、3.4以上20未満となるように、エステル化合物(B)の添加量が制御されている。
例えば、エステル化合物(B)がモノエステルの場合、潤滑性が高いため、少ない添加量であっても加工率(圧下率)を向上させることができる。一方で、添加量が多すぎると過潤滑状態となり、正常な加工が行えず、摩耗粉の発生量が多くなってしまう。また、添加量が多すぎると、モノエステルは、被加工材表面との吸着性が高いため、油剤除去性が低下してしまう。
また、エステル化合物(B)がジエステル又はトリエステル等の場合は、上記モノエステルよりも、被加工材表面との吸着性が劣るため、加工率(圧下率)を向上させるためには、エステル化合物(B)の添加量をある程度多くする必要がある。
したがって、上記の通り、エステル化合物(B)の添加量を、エステル結合の数に応じた適切な添加量にすることが重要である。
本実施形態の金属加工油組成物の製造方法によれば、加工率(圧下率)が高く、摩耗粉の発生量が抑制され、かつ、油剤除去性が良好な金属加工油組成物を製造することができる。
【0053】
(金属加工油組成物)
本実施形態の金属加工油組成物は、上述した金属加工油組成物の製造方法により得られる金属加工油組成物である。
上述した金属加工油組成物の製造方法において、m/a2が、3.4以上20未満となるように、エステル化合物(B)の添加量が制御されているため、本実施形態の金属加工油組成物は、加工率(圧下率)を高くすることができ、摩耗粉の発生量を抑制でき、かつ、油剤除去性が良好である。
【0054】
本実施形態の金属加工油組成物は、ステンレス鋼、銅、チタン、ニッケル、アルミニウム及びそれらを主成分とした合金から選ばれる少なくとも1種を含有する被加工材の金属加工に好ましく用いられる。
【0055】
本実施形態の金属加工油組成物は、特に、金属加工が塑性加工、さらには冷間圧延である場合に、好適に用いられる。
【実施例0056】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0057】
<基油(A)の準備>
以下の表1に示す物性の基油(鉱油)を準備した。
【0058】
【0059】
<エステル化合物(B)の準備>
以下に示すエステル化合物(B)を準備した。
(B)-1:ステアリン酸ブチル(エステル結合の数(a)=1)
(B)-2:パルミチン酸ブチル(エステル結合の数(a)=1)
(B)-3:アジピン酸ジイソノニル(エステル結合の数(a)=2)
(B)-4:トリメリット酸トリス(2-エチルヘキシル)(エステル結合の数(a)=3)
(B)-5:アジピン酸ジ(2-エチルヘキシル)(エステル結合の数(a)=2)
【0060】
<金属加工油組成物の製造>
[混合工程]
表2~7に示す各成分を混合して、各例の金属加工油組成物をそれぞれ製造した。
【0061】
[最高圧下率の評価]
≪試験材≫
SUS304(0.7mm厚、43mm幅、350m長さ(コイル))
【0062】
≪測定条件≫
ワークロール径:50mm
圧延速度:44m/min
金属加工油組成物供給量:15L/min
金属加工油組成物の温度:30℃
【0063】
各例の金属加工油組成物を用いて、上記試験材の圧延を行った。具体的には、圧下率25%から圧延を開始し、荷重が安定した後30秒間圧延を行い、その後1%圧下率を上昇させた。以降これを繰り返し、焼き付きが生じることなく正常に圧延できる最高圧下率(%)を求めた。
焼き付きの確認は、目視で判定できないものは光学顕微鏡(400倍)を用いて、観察した。得られた結果を表2~7に示す。
【0064】
[水濡れ面積及び摩耗粉汚れの評価]
≪試験材≫
SUS304(0.7mm厚、43mm幅、350m長さ(コイル))
【0065】
圧下率25%で試験材を圧延した後、180℃恒温槽内で10時間静置した。その後、圧延した試験材のうち、圧延開始部位から280m付近の部分を43mm×43mmの試験片として10枚切り出した。次いで、該試験片を1枚ずつ500mLのn-ヘキサンを入れた1Lビーカ内で超音波洗浄機にて60秒間洗浄を行った。次いで、試験片を取りだし、十分乾燥させた。
次いで、該試験片をイオン交換水に浸漬させ、取出し、10秒間静置し、該試験片の水濡れ面積割合(%)を求めた。なお、完全に油剤が除去されていれば水濡れ面積は100%となる。10枚の試験片の平均値を以下の基準で評価した。得られた結果を表2~7に示す。
≪評価基準≫
A:80%以上
B:70%以上80%未満
C:60%以上70%未満
なお、水濡れ面積の算出はJIS K2246 防錆油のさび発生度測定方法に準拠し、試験片の表面を100分割させ、水濡れしているマスを目視で数えることにより面積割合(%)を算出した。
【0066】
また、n-ヘキサンで洗浄を行い、十分乾燥させた上記試験片について、該試験片表面の摩耗粉(圧延中に発生したもの)も観察した。
具体的には、水濡れ面積同様にJIS K2246 に準拠し、該試験片表面を100分割し、汚れが認められたマスを目視で数え、10枚の試験片の平均値を以下の基準で評価した。得られた結果を表2~7に示す。
≪評価基準≫
S:0
A:1以上5未満
B:5以上10未満
C:10以上15未満
D:15以上20未満
E:20以上
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
表2~7中、基油(A)及びエステル化合物(B)の数値は、金属加工油組成物の全量100質量%に対する添加量(質量%)である。
【0074】
表2~7に示すように、実施例の金属加工油組成物の製造方法により製造された金属加工油組成物は、比較例の金属加工油組成物の製造方法により製造された金属加工油組成物よりも、最高圧下率、水濡れ面積、及び、摩耗分汚れの評価結果がバランス良く優れていることが確認できた。
したがって、実施例の金属加工油組成物の製造方法により製造された金属加工油組成物は、加工率(圧下率)が高く、摩耗粉の発生量が抑制され、かつ、油剤除去性が良好であることが確認できた。
【0075】
表2に示すように、比較例1及び2の金属加工油組成物の製造方法においては、エステル化合物(B)として、エステル結合の数が比較的多い、ジエステル及びトリエステルを用いているが、該ジエステル及びトリエステルの添加量が少ないため、m/a2が3.4より低い値となっている。そのため、最高圧下率の値が低く、加工率が劣っていた。
【0076】
表3に示すように、比較例3の金属加工油組成物の製造方法においては、エステル化合物(B)として、エステル結合の数が比較的多い、トリエステルを用いているが、該トリエステルの添加量が少ないため、m/a2が3.4より低い値となっている。そのため、水濡れ面積の値が低く、油剤除去性が劣っていた。
【0077】
表4に示すように、比較例4の金属加工油組成物の製造方法においては、エステル化合物(B)として、エステル結合の数が少ない、モノエステルを用いているが、該モノエステルの添加量が多いため、m/a2が20以上となっている。そのため、摩耗粉汚れが多かった。
比較例5の金属加工油組成物の製造方法においては、エステル化合物(B)として、エステル結合の数が比較的多い、トリエステルを用いているが、該トリエステルの添加量が少ないため、m/a2が3.4より低い値となっている。そのため、摩耗粉汚れが多かった。
【0078】
表5に示すように、比較例6の金属加工油組成物の製造方法においては、エステル化合物(B)として、エステル結合の数が少ない、モノエステルを用いているが、該モノエステルの添加量が多いため、m/a2が20以上となっている。そのため、摩耗粉汚れが多かった。
【0079】
表6に示すように、比較例7の金属加工油組成物の製造方法においては、エステル化合物(B)として、エステル結合の数が少ない、モノエステルを用いているが、該モノエステルの添加量が多いため、m/a2が20以上となっている。そのため、摩耗粉汚れが多かった。
比較例8の金属加工油組成物の製造方法においては、エステル化合物(B)として、エステル結合の数が比較的多い、トリエステルを用いているが、該トリエステルの添加量が少ないため、m/a2が3.4より低い値となっている。そのため、水濡れ面積の値が低く、油剤除去性が劣っていた。また、摩耗粉汚れも多かった。
【0080】
表7に示すように、比較例9の金属加工油組成物の製造方法においては、エステル化合物(B)として、エステル結合の数が少ない、モノエステルを用いているが、該モノエステルの添加量が多いため、m/a2が20以上となっている。そのため、水濡れ面積の値が低く、油剤除去性が劣っていた。また、摩耗粉汚れも多かった。