IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社キッツの特許一覧

<>
  • 特開-エア駆動式アクチュエータ 図1
  • 特開-エア駆動式アクチュエータ 図2
  • 特開-エア駆動式アクチュエータ 図3
  • 特開-エア駆動式アクチュエータ 図4
  • 特開-エア駆動式アクチュエータ 図5
  • 特開-エア駆動式アクチュエータ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163539
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】エア駆動式アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/06 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
F15B15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074505
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】390002381
【氏名又は名称】株式会社キッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】山下 洋司
【テーマコード(参考)】
3H081
【Fターム(参考)】
3H081AA22
3H081BB03
3H081CC23
3H081CC25
3H081CC28
3H081DD16
3H081FF01
3H081HH05
(57)【要約】
【課題】ピストンの直線運動を回転変換機構により高効率で回転運動に変換して出力し、出力側のシャフトを小径化した場合にも、このシャフトに対して姿勢を保持しつつスコッチヨークを装着して安定性を向上し、シャフトやスコッチヨークを軸方向及び軸との交差方向への位置ずれを防いた状態で装着して高精度に回転制御できる小型化可能なエア駆動式アクチュエータを提供する。
【解決手段】駆動側ハウジング2内にピストンロッド10の直線運動をスコッチヨーク13を介して出力側のシャフト12の回転運動に変換する回転変換機構5を備えている。シャフトの所定位置において外径が縮径してなる縮径テーパ面25が形成され、スコッチヨークのシャフト挿入用の貫通孔29の一方の開口付近に開口側に向かって広がる環状の拡径テーパ面30が形成され、縮径テーパ面と拡径テーパ面とが互いに当接してシャフトに対してスコッチヨークが位置決めされる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動側ハウジング内にピストンロッドの直線運動をスコッチヨークを介して出力側のシャフトの回転運動に変換する回転変換機構を備えたエア駆動式アクチュエータにおいて、前記シャフトの所定位置において外径が縮径してなる縮径テーパ面が形成され、前記スコッチヨークの前記シャフト挿入用の貫通孔の一方の開口付近に開口側に向かって広がる環状の拡径テーパ面が形成され、前記縮径テーパ面と前記拡径テーパ面とが互いに当接して前記シャフトに対して前記スコッチヨークが位置決めされることを特徴とするエア駆動式アクチュエータ。
【請求項2】
前記シャフトは、前記縮径テーパ面と前記拡径テーパ面とが当接をしたまま前記スコッチヨークの方向に押し付けられた状態を維持するように、前記駆動側ハウジングに支持されて回転可能に位置固定された請求項1に記載のエア駆動式アクチュエータ。
【請求項3】
前記スコッチヨークにおける前記貫通孔の軸に対する前記拡径テーパ面の角度が、前記シャフトにおける軸に対する前記縮径テーパ面の角度と略等しく設けられた請求項1又は2に記載のエア駆動式アクチュエータ。
【請求項4】
前記拡径テーパ面の幅が、前記縮径テーパ面の幅よりも小さく形成された請求項3に記載のエア駆動式アクチュエータ。
【請求項5】
前記縮径テーパ面の縮径側にアール状の環状面取り部が形成された請求項3に記載のエア駆動式アクチュエータ。
【請求項6】
前記拡径テーパ面の縮径側にアール状の環状面取り部が形成された請求項3に記載のエア駆動式アクチュエータ。
【請求項7】
前記スコッチヨークと前記駆動側ハウジングとの間に、前記スコッチヨークの取付け位置調整用の所定厚さのスラストベアリングが装着された請求項1又は2に記載のエア駆動式アクチュエータ。
【請求項8】
駆動側ハウジング内にピストンロッドの直線運動をスコッチヨークを介して出力側のシャフトの回転運動に変換する回転変換機構を備えたエア駆動式アクチュエータにおいて、前記シャフトの所定位置において外径が縮径してなる縮径段差部が形成され、この縮径段差部が前記スコッチヨークの前記シャフト挿入用の貫通孔の一方側の開口部に当接した状態でこれらの当接方向に前記シャフトが押付けられると共に、この押付け状態で前記シャフトが前記駆動側ハウジングに支持され、前記シャフトを通して前記スコッチヨークが前記駆動側ハウジング内の所定位置に回転可能に位置固定されたことを特徴とするエア駆動式アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアにより駆動されるピストンに設けられたピストンロッドの直線運動をスコッチヨークを介して回転運動に変換する回転変換機構を備え、その回転力をシャフトから出力するエア駆動式アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のエア駆動式アクチュエータは、安全性が高く経済性にも優れ、ラックアンドピニオン機構のアクチュエータに比較して小型でありながら効率のよい駆動性が得られる。このことから、バルブの自動操作用として広範な分野で多く用いられ、例えば、ボールバルブ、バタフライバルブ等の回転弁を90°回転操作する場合に適したアクチュエータとして広く使用されている。
【0003】
このようなバルブ用エア駆動式アクチュエータとして、本出願人は、例えば、特許文献1のバルブ用アクチュエータを出願している。このエア駆動式アクチュエータの回転変換機構は、同文献1の図8に示されるように、圧力エアによりピストンを介して直線(往復)運動するピストンロッド部材、係止ピン、スコッチヨーク部材、回転力伝達用のシャフト部材、キー部材を備えている。ピストンロッド部材は、係止ピンを通してハウジング部材の内部に装着されるスコッチヨーク部材に係合され、このスコッチヨーク部材には、キー部材を介してバルブステムとの接続用シャフト部材が挿着されている。
また、このように回転変換機構を利用したその他のアクチュエータとして、特許文献2のバルブの操作装置が開示されている。
【0004】
これらのアクチュエータでは、シャフト部材の所定位置にその回転軸と垂直方向に環状平面よりなる平面段部が形成されている。シャフト部材は、平面段部がスコッチヨーク部材の一端面側に当接するまでスコッチヨーク部材に形成された挿通穴に挿入される。これにより、スコッチヨーク部材は、一端面側にシャフト部材の平面段部が当接され、他端面側がハウジング内面に当接し、両側から挟まれた状態でハウジング部材の内部に装着される。この取付け構造において、ピストンロッド部材の直線運動がスコッチヨーク部材を通して回転運動に変換され、この回転運動がキー部材を介してシャフト部材に出力される。
【0005】
一方、特許文献3のアクチュエータにおいては、同文献3の図7に示されるように、シャフト部材を回転させるスコッチヨーク部材が設けられ、このスコッチヨーク部材の回転軸方向の両端側には、フラット面状のテーパ面を一面側に備えた楔部が形成されている。スコッチヨーク部材は、楔部を通して両端側が回転軸に軸方向に締め込まれ、この楔部によって回転軸に固定された状態でハウジング部材内に取り付けられ、回転軸と一体に回転するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6430173号公報
【特許文献2】特公昭47-21672号公報
【特許文献3】特許第4944299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2のように、シャフト部材の平面段部が回転軸と垂直方向に設けられたバルブ用アクチュエータにおいて、平面段部のスコッチヨーク部材との当接面積が小さい場合には、アクチュエータを小型化するためにシャフト部材を小径化したときに、平面段部におけるシャフト部材の軸と直交する方向の段差の幅がより狭くなり、スコッチヨーク部材の端面との当接面積も小さくなる。この場合においても、シャフト部材とスコッチヨーク部材との装着時の安定性を向上し、平面段部に対してスコッチヨーク部材が位置ずれしたり乗り越えたりすることを防ぎ、これらに伴うスコッチヨーク部材とピストンロッド部材とによる摺動抵抗の増加や、スコッチヨーク部材の脱落による故障などを防ぎ、回転変換機構の伝達効率を確保しつつ小型化できるアクチュエータの開発が望まれている。
【0008】
特許文献3のアクチュエータにおいては、一面側に設けた楔部を介してスコッチヨーク部材を位置決めする構造であり、この楔部をスコッチヨークの上下方向に一対に形成する必要があった。
この場合、キー部材の代わりに楔部を用いてシャフト部材とスコッチヨーク部材とを固定しているため、これらシャフト部材とスコッチヨーク部材とを、ハウジング部材に対して軸方向及び軸と交差する方向に正確に位置決めした状態で装着するためには、楔部には高い加工精度が要求され、この楔部の加工が困難になる。
しかも、楔部によるくさび作用を確実に発揮させるためには、楔部を軸方向に長く形成する必要があり、この場合、回転変換機構も軸方向に大きくなってアクチュエータ全体の大型化にもつながるという問題があった。
【0009】
本発明は、従来の課題を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、ピストンの直線運動を回転変換機構により高効率で回転運動に変換して出力するエア駆動式のアクチュエータであり、出力側のシャフトを小径化した場合にも、このシャフトに対して姿勢を保持しつつスコッチヨークを装着して安定性を向上し、シャフトやスコッチヨークを軸方向及び軸との交差方向への位置ずれを防いた状態で装着して高精度に回転制御できる小型化可能なエア駆動式アクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、駆動側ハウジング内にピストンロッドの直線運動をスコッチヨークを介して出力側のシャフトの回転運動に変換する回転変換機構を備えたエア駆動式アクチュエータにおいて、シャフトの所定位置において外径が縮径してなる縮径テーパ面が形成され、スコッチヨークのシャフト挿入用の貫通孔の一方の開口付近に開口側に向かって広がる環状の拡径テーパ面が形成され、縮径テーパ面と拡径テーパ面とが互いに当接してシャフトに対してスコッチヨークが位置決めされるエア駆動式アクチュエータである。
【0011】
請求項2に係る発明は、シャフトは、縮径テーパ面と前記拡径テーパ面とが当接をしたままスコッチヨークの方向に押し付けられた状態を維持するように、駆動側ハウジングに支持されて回転可能に位置固定されたエア駆動式アクチュエータである。
【0012】
請求項3に係る発明は、スコッチヨークにおける貫通孔の軸に対する拡径テーパ面の角度が、シャフトにおける軸に対する縮径テーパ面の角度と略等しく設けられたエア駆動式アクチュエータである。
【0013】
請求項4に係る発明は、拡径テーパ面の幅が、縮径テーパ面の幅よりも小さく形成されたエア駆動式アクチュエータである。
【0014】
請求項5に係る発明は、縮径テーパ面の縮径側にアール状の環状面取り部が形成されたエア駆動式アクチュエータである。
【0015】
請求項6に係る発明は、拡径テーパ面の縮径側にアール状の環状面取り部が形成されたエア駆動式アクチュエータである。
【0016】
請求項7に係る発明は、スコッチヨークと駆動側ハウジングとの間に、スコッチヨークの取付け位置調整用の所定厚さのスラストベアリングが装着されたエア駆動式アクチュエータである。
【0017】
請求項8に係る発明は、駆動側ハウジング内にピストンロッドの直線運動をスコッチヨークを介して出力側のシャフトの回転運動に変換する回転変換機構を備えたエア駆動式アクチュエータにおいて、シャフトの所定位置において外径が縮径してなる縮径段差部が形成され、この縮径段差部がスコッチヨークのシャフト挿入用の貫通孔の一方側の開口部に当接した状態でこれらの当接方向にシャフトが押付けられると共に、この押付け状態でシャフトが駆動側ハウジングに支持され、シャフトを通してスコッチヨークが駆動側ハウジング内の所定位置に回転可能に位置固定されたエア駆動式アクチュエータである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によると、回転変換機構によりピストンロッドの直線運動をスコッチヨークを介してシャフトの回転運動に高効率で変換して出力可能であり、シャフトの所定位置に形成した縮径テーパ面と、スコッチヨークの貫通孔の一方側に形成した拡径テーパ面とを互いに当接させてシャフトに対してスコッチヨークの位置決めを行っているので、シャフトを小径化してそのシャフト軸との直交方向の段差の幅が十分に取れない場合であっても、縮径テーパ面と拡径テーパ面とにより広いテーパ面積を確保した状態でスコッチヨークをシャフトで支持できる。これにより、シャフトとスコッチヨークとを駆動側ハウジングに対して正確に位置決めした状態で装着でき、またテーパ面同士での接触により、シャフトの軸方向とスコッチヨークの面方向の交差角度を正確に固定することができ、シャフトへのスコッチヨーク装着時の姿勢を保持することで安定性を向上してスコッチヨークのシャフトの軸方向の位置ずれや乗り越えを阻止でき、シャフトに対するスコッチヨークの芯ずれも防ぐことができる。このように、シャフトやスコッチヨークを軸方向及び軸との交差方向に適正に取付けた状態で位置ずれを防止できるため、シャフトとスコッチヨークとを一体化した後には正確に回転制御でき、シャフトが延長することがなく別途部品を使用することもないため、駆動側ハウジングのコンパクト性を維持して全体の小型化も可能になる。
【0019】
請求項2に係る発明によると、シャフトによりスコッチヨークを駆動側ハウジング側に押付け、縮径テーパ面と拡径テーパ面とを接した状態に維持しつつ、このシャフトを駆動側ハウジングに支持した状態で回転可能に位置固定できる。これにより、スコッチヨークをシャフトに対して縦方向(軸方向)及び横方向(軸との交差方向)との何れの方向にも高精度に位置決めでき、これらの方向への位置ずれを阻止してスコッチヨークの姿勢を常に一定に維持できる。そのため、アクチュエータ本体の配管に対する取付け方向(取付け角度)を変えた場合にも、シャフトに対するスコッチヨークの姿勢を常に一定に維持でき、スコッチヨークの回転動作には、シャフト軸方向に対する揺れやずれを生じにくくし、ピストンロッドの往復運動を高効率で安定して無駄なく回転運動に変換できる。スコッチヨークの姿勢の変化による他の部材との摺動などによるかじり等の偏摩耗なども低減し、耐久性にも優れている。
【0020】
請求項3に係る発明によると、拡径テーパ面の角度を縮径テーパ面の角度と略等しく設けているので、これらを当接したときには、シャフトの軸とスコッチヨークの貫通孔の軸とを確実に一致させて、スコッチヨークとシャフトとを同軸周りに安定させた状態で正確に回転させることが可能となる。これにより、ピストンロッドの往復動作に対し、がたつき等の発生を防ぎつつスコッチヨークを介してシャフトを回転させ、このシャフトの回転動作をスムーズにバルブ側まで出力させることが可能になる。
【0021】
請求項4に係る発明によると、拡径テーパ面の幅を縮径テーパ面の幅よりも小さく形成することで、スコッチヨーク側の拡径テーパ面をシャフト側の縮径テーパ面の幅内に案内するようにして容易にかつ正確に当接させることができ、シャフトに対するスコッチヨークの姿勢を一層安定させることができる。
【0022】
請求項5に係る発明によると、縮径テーパ面の縮径側にアール状の環状面取り部を形成することで、シャフトにおける縮径部分から縮径テーパ面につながる屈曲部位と、スコッチヨークにおける貫通孔の内周面から拡径テーパ面につながる部位の角度が完全に一致しない場合であっても、面取り部がバッファとなって縮径テーパ面の縮径側への拡径テーパ面の過度な干渉を防ぎ、縮径テーパ面と拡径テーパ面とをずれなく確実に当接させ、シャフトとスコッチヨークとを同芯状態で正確に取付けできる。
【0023】
請求項6に係る発明によると、拡径テーパ面の縮径側にアール状の環状面取り部を形成することで、シャフトにおける縮径部分から縮径テーパ面につながる屈曲部位と、スコッチヨークにおける貫通孔の内周面から拡径テーパ面につながる部位の角度が完全に一致しない場合であっても、面取り部がバッファとなって縮径テーパ面の縮径側への拡径テーパ面の過度な干渉を防ぎ、縮径テーパ面と拡径テーパ面とをずれなく確実に当接させ、シャフトとスコッチヨークとを同芯状態で正確に取付けできる。
【0024】
請求項7に係る発明によると、スコッチヨークと駆動側ハウジングとの間に所定厚さのスラストベアリングを装着することで、シャフトの軸方向に対して取付け位置を調整した状態でスコッチヨークを装着でき、スラストベアリングにより駆動側ハウジングとの摺動抵抗を削減しながらシャフトを高出力で回転動作することができる。さらには、スラストベアリングの厚さを調整することで、スコッチヨークやシャフト、駆動側ハウジング内面側の寸法誤差を吸収することもできる。
【0025】
請求項8に係る発明によると、スコッチヨークの貫通孔へのシャフトの差し込みに伴ってスコッチヨークを駆動側ハウジングの所定位置に回転可能な状態で押付け、この状態で駆動側ハウジングに対してシャフトを支持していることで、シャフト側の押付け方向の力とシャフトがハウジングに支持される力とのつり合いにより、スコッチヨークをシャフトの軸方向に位置決めし、この位置決め状態を維持することでスコッチヨークの位置ずれを確実に防止する。これにより、回転変換機構の動作時には、スコッチヨークのシャフトの軸方向に対する揺れやずれを阻止して、ピストンロッドの直線運動を、スコッチヨークを介してシャフトの回転運動にスムーズかつ安定して伝達することで、このシャフトに接続された回転弁等のバルブを安定した回転動作により高精度に操作できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明のエア駆動式アクチュエータの実施形態を示す斜視図である。
図2図1の横中央拡大断面図である。
図3図2のピストンが動作した状態を示す断面図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5図4のB部拡大断面図である。
図6図5における環状面取り部の他例を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明におけるエア駆動式アクチュエータの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1においては、エア駆動式アクチュエータの実施形態の斜視図を示し、図2においては、図1の横中央拡大断面図を示している。
【0028】
図1、2において、エア駆動式アクチュエータ(以下、アクチュエータ本体1という)は、駆動側ハウジング2、シリンダ側ハウジング3、ロッドガイド4、回転変換機構5を備え、この回転変換機構5は、ピストンロッド10、ピストン11、出力側の駆動軸(出力軸)であるシャフト12、スコッチヨーク13、ピン14、キー15を備え、駆動側ハウジング2の内部に設けられて、ピストンロッド10の直線運動をスコッチヨーク13を介して出力側のシャフト12の回転運動に変換するようになっている。
【0029】
駆動側ハウジング2は、例えば、鋳鉄を材料として鋳物成形により略矩形状に形成され、この駆動側ハウジング2に設けられたフランジ部2aと、シリンダ側ハウジング3に設けられたフランジ部3aとの間には、ピストンロッド10ガイド用の板状のロッドガイド4が装着され、この状態でフランジ部2a、3aがボルト16で固定される。一方、駆動側ハウジング2のシリンダ側ハウジング3取付け側との他端側には、蓋状のハウジングキャップ17が取付けられ、これらによりハウジング部材18が構成される。駆動側ハウジング2の底部側には取付けフランジ2bが形成され、この取付けフランジ部2bには、図示しないボールバルブやバタフライバルブ等の回転弁などのバルブのフランジやこれらのバルブと接続するためのブラケットやコネクタなどが接続可能に設けられる。
図4において、駆動用ハウジング2のピストンロッド10の装着方向との直交方向には、シャフト挿入孔2cが所定位置に穿孔され、このシャフト挿入孔2cにシャフト11が装着可能に設けられる。
【0030】
図1図4において、ピストンロッド10は、ロッドガイド4の中央に形成された連通孔4aに挿通され、その一端側(図2、3における左端側)が、ハウジングキャップ17に形成された案内孔17aに挿入される。ピストンロッド10の中心軸Cとの直交方向における所定位置には、挿通孔10aが形成され、この挿通孔10aに対して端部側がピストンロッド10の外径より突出するようにピン14が固定される。このピン14の突出部分には、後述するスコッチヨーク13が係合可能に設けられる。
一方、ピストンロッド10のシリンダ側ハウジング3の側にはピストン11が固定され、このピストン11と一体にピストンロッド10が動作するようになっている。
【0031】
シリンダ側ハウジング3において、ピストン11の一次側と二次側とには、圧縮エア供給用のエアポート20、20が内部に貫通するようにそれぞれ形成され、これら2ヶ所に設けられたエアポート20、20を用いてシリンダ側ハウジング3の内部に圧縮エアが給排気される。これによって、ピストン11がシリンダ側ハウジング3内を往復動し、これと連動してピストンロッド10がシリンダ側ハウジング3内を往復動作可能に設けられている。
【0032】
シャフト12は、例えば炭素鋼により形成され、小径軸部21と大径軸部22とを有する形状に設けられる。これら小径軸部21と大径軸部22との間の所定位置には、環状の縮径段差部25が形成され、本実施形態においては、この縮径段差部25は、大径軸部22から小径軸部21に向けて縮径する縮径テーパ面によって形成される。このように小径軸部21と大径軸部22とは、縮径テーパ面25により結ばれ、この縮径テーパ面25は、適宜のテーパ角度で縮径するような円錐台形状に設けられる。シャフト12の軸P1に対する角度(縮径テーパ面25の角度)θ1は、例えば略45°に形成されている。
【0033】
図5に示すように、縮径テーパ面25の縮径側には、アール状の面取り部26が環状に形成され、この面取り部26付近においては、縮径テーパ面25の縮径側の一部が削られて、より縮径した形状に設けられている。これにより、この付近は、後述する拡径テーパ面30の上部の縮径側の内径寸法よりもやや小さくなっている。
【0034】
また、図5とは異なり、縮径テーパ面25の縮径側に面取り部26を設けるのではなく、図6に示すように、スコッチヨーク13の拡径テーパ面30の縮径側に、アール状の面取り部46を形成するようにしてもよい。
何れの場合にも、シャフト12の小径軸部21から縮径テーパ面25へのつなぎ部分と、スコッチヨーク13のシャフト挿入孔2cの内周面から拡径テーパ面30へのつなぎ部分との形状が加工等の誤差で完全に一致しなくても、これらの面取り部26、46にてその不一致をそれぞれ吸収し、縮径テーパ面25と拡径テーパ面30とを確実に当接させることができる。
【0035】
図2図5において、シャフト12の所定位置には、キー溝27が形成され、このキー溝27を通してキー15によりスコッチヨーク13の回転動作がシャフト12に連動されるようにスコッチヨーク13がシャフト12に固定される。シャフト12の上部、下部付近にはそれぞれシール用のOリング28、28が装着される。
【0036】
シャフト12は、上下側にOリング28がそれぞれ装着された状態で、小径軸部21が駆動側ハウジング2の上方側、大径軸部22が駆動側ハウジング2の下方側となる向きによってシャフト挿入孔2cの下部側から挿入され、駆動側ハウジング2においてピストンロッド10と直交する向きに取付けられる。シャフト12の縮径テーパ面25の上部側(小径軸部21側)には、スコッチヨーク13が装着され、一方、下部側(大径軸部22側)の端部には、図示しないバルブのステムが接続可能に設けられ、シャフト12の回転によりバルブを回転制御可能になっている。
【0037】
スコッチヨーク13は、例えばダクタイル鋳鉄により形成され、このスコッチヨーク13の所定位置にはシャフト12挿入用の貫通孔29が形成される。貫通孔29の一方の開口付近(図4における底面側)には、前述した縮径テーパ面(縮径段差部)25と当接可能な形状により、開口側に向けて広がる拡径テーパ面30が環状に形成されている。
アクチュエータ本体1において、これら縮径テーパ面25と拡径テーパ面30とが互いに当接することで、シャフト12に対してスコッチヨーク13が位置決めされるとともに姿勢が固定される。
【0038】
スコッチヨーク13の貫通孔29の軸P2に対する拡径テーパ面30の角度θ2は、前述した縮径テーパ面25の角度θ1と略等しくなるように設けられる。本実施形態においては、この拡径テーパ面30の角度θ2は、略45°に形成される。なお、これらの角度θ1と角度θ2とは、同じ角度であることが望ましいが、数°程度であれば、わずかに角度θ2が角度θ1よりも大きくても、縮径テーパ面25と拡径テーパ面30とが上部で接触するので、がたつきをある程度は抑制することができる。
【0039】
拡径テーパ面30の幅H1は、縮径テーパ面25の幅H2よりも小さく形成され、これにより、貫通孔29からスコッチヨーク13にシャフト12を挿入し、縮径テーパ面25が拡径テーパ面30に接触するときには、拡径テーパ面30の一部に対して縮径テーパ面25が当接するようになっている。
【0040】
貫通孔29の所定位置には、前述したシャフト12のキー溝27に対応するキー溝部32が、キー溝27と略同じ幅で設けられる。スコッチヨーク13は、貫通孔29にシャフト12が挿入された状態で、キー溝27とキー溝部32との間にキー15が嵌め込まれることでシャフト12に固定され、これにより、スコッチヨーク12の回転によりシャフト12が一体に回転可能になっている。
【0041】
この場合、図4において、シャフト12は、縮径テーパ面25と拡径テーパ面30とが当接したままスコッチヨーク13の方向(上方向)に押し付けられた状態を維持するように、このシャフト12の上部側付近においては、駆動側ハウジング2の外部から当該駆動側ハウジング2の外面にちょうど接するようにCリング33が装着される。これにより、シャフト12は、上方向に押し付けられる力がCリング33による駆動側ハウジング2への固定により維持されることとなり、駆動側ハウジング2に対して上下方向(軸P2の方向)に位置固定され、駆動側ハウジング2に抜け止め状態で回転可能に支持されている。
【0042】
スコッチヨーク13と、駆動側ハウジング2のスコッチヨーク13と対向する側の内面との間には、スラストベアリング40が装着されると好ましい。スラストベアリング40は、PTFEなどの樹脂材料により所定厚さに形成され、シャフト12により上方に押し付けられた状態のスコッチヨーク13と、駆動側ハウジング2の内面との間に挟着可能に設けられ、両者の摺動をスムーズにすることができる。スラストベアリング40を所定の厚みに設けることで、スコッチヨーク13の軸P2方向の取付け位置が調整(設定)可能となる。
【0043】
スコッチヨーク13の上下側において、シャフト12とシャフト挿入孔2cとの間にはそれぞれラジアルベアリング41、42が装着され、これらラジアルベアリング41、42により、駆動側ハウジング2に対してシャフト12がスムーズに回転するようになっている。
【0044】
図2図3に示すように、スコッチヨーク13のピストンロッド10との係合側には、凹溝状の係合部45が形成され、この係合部45は、ピストンロッド10に固定されたピン14に係合可能な幅及び深さに形成される。スコッチヨーク13は、係合部45にピン14が係合した状態で、駆動側ハウジング2内に装着される。
【0045】
ここで、前述したシャフト12、スコッチヨーク13の取付け状態をより具体的に説明する。図4において、シャフト12をシャフト挿入孔2cから上方に向けて挿入するときには、縮径段差部(縮径テーパ面)25が、スコッチヨーク13のシャフト挿入用の貫通孔29の一方側の開口部である拡径テーパ面30に当接する。この状態から、さらにシャフト12を挿入すると、スコッチヨーク13がシャフト12(縮径テーパ面25)と駆動側ハウジング2の内面側(スラストベアリング40)との間に挟みこまれ、これによって、シャフト12がスコッチヨーク13との当接方向に押付けられる。このとき、この押付け状態を維持しながらCリング33を装着していることで、シャフト12が駆動側ハウジング2に支持され、シャフト12を通してスコッチヨーク13が駆動側ハウジング2内の所定位置に回転可能に位置固定される。
【0046】
この状態では、スコッチヨーク13がシャフト12によって駆動側ハウジング2内で上方に押し付けられているため、スコッチヨーク13の下部は駆動側ハウジング2の内面に接触しておらず、換言すれば、スコッチヨーク13の下部と駆動側ハウジング2の内面との間には隙間Tが設けられる。これにより、スコッチヨーク13が回転する際にも駆動側ハウジング2と接触しないので、互いの摺動によるかじりや摩耗等は発生せず、アクチュエータ本体1の耐久性が向上する。
【0047】
一方、図2図3のシリンダ側ハウジング3の側においては、ピストンロッド10の他端側(図における右端側)に固定されたピストン11が、シリンダ側ハウジング3内を摺動可能に装着されている。ピストンロッド10は、一端側(図における左端側)が前述した案内孔17a、中央付近がロッドガイド4の連通孔4a、他端側(図における右端側)がピストン11を介してシリンダ側ハウジング3内、にそれぞれ案内され、この構成により、ピストンロッド10(ピストン11)がハウジング部材18内を往復動可能に設けられている。
【0048】
前述したエアポート20、20より圧縮エアを給排気したときには、ピストン11が左右に交互に押され、それに伴ってピストンロッド10が往復動作し、このピストンロッド10の直線動作が、ピン14と係合部45との係合により、スコッチヨーク13の回転動作に変換される。スコッチヨーク13の回転は、キー溝27とキー溝部32との間に嵌め込まれたキー15を通してシャフト12に伝達され、このシャフト12がスコッチヨーク13と一体に軸P1を中心に回転する。このようにして、ピストン11(ピストンロッド10)の往復動作が、スコッチヨーク13を介してシャフト12の回転動作に変換される。
【0049】
これにより、図2に示すように、ピストン11とピストンロッド10とがシリンダ側ハウジング2に対して一体に右に移動し、スコッチヨーク13を通してシャフト12が右回転した状態、又は、図3に示すように、シリンダ側ハウジング2に対して左に移動し、スコッチヨーク13を通してシャフト12が右回転した状態、或はこれらの間の中間の回転位置にシャフト12を回転制御可能になっている。シャフト12が完全に右回転したときには、バルブが弁開又は弁閉状態、シャフト12が完全に左回転したときには、バルブが弁閉又は弁開状態となるように調整される。
【0050】
なお、上記実施形態におけるアクチュエータ本体1は、ボールバルブ、バタフライ等の90°開閉操作用のバルブ(クォーターターン型バルブ)の操作用として設けているが、クォーターターン型バルブ以外の各種のバルブや、又はバルブ以外の各種の機器等にも使用可能である。
【0051】
角度θ1、θ2を略45°に設けているが、この角度θ1、θ2は、縮径テーパ面25、拡径テーパ面30が外径方向に向けて傾斜する態様であれば任意の大きさに設定でき、また、これら角度θ1と角度θ2とを互いに異なる角度に設定してもよい。何れの場合にも、縮径テーパ面25が拡径テーパ面30に面接触の状態で接触することが望ましく、この場合には、面接触によってシャフト12に対して安定した状態でスコッチヨーク13を装着できる。
また、縮径テーパ面25、拡径テーパ面30は、それぞれアール状のテーパ面に設けることができる。
【0052】
Cリング33によりシャフト12の上部側を駆動側ハウジング2に支持しているが、シャフト12の上部側を駆動側ハウジング2側に支持し、軸振れを防いだ状態でシャフトを回転できるものであれば、Cリング33に限ることなく各種の部品をシャフト抜け止め用として使用することもできる。
【0053】
次いで、本発明のエア駆動式アクチュエータの上記実施形態における作用を説明する。
図1図5において、アクチュエータ本体1は、駆動側ハウジング2内に備えた回転変換機構5により、エア駆動によってピストンロッド10の直線運動をスコッチヨーク13を介して出力側のシャフト12の回転運動に変換する構成であるため、全体をコンパクト化しつつ高効率で駆動できる。
【0054】
シャフト12に縮径テーパ面(縮径段差部)25、スコッチヨーク13に拡径テーパ面30を設け、これら縮径テーパ面25と拡径テーパ面30とを互いに当接させてシャフト12に対してスコッチヨーク13を位置決めしているので、アクチュエータ本体1のコンパクト化などに応じてシャフト12の外径を細くし、小径軸部21と大径軸部22との外径寸法の差である段差の幅を十分に取ることが難しい場合であっても、前記縮径テーパ面25と拡径テーパ面30とによるテーパ面同士を当接させることにより、これらの当接面積を前記段差の幅により接する場合に比較して大幅に向上できる。このため、シャフト12に対するスコッチヨーク13の姿勢の安定性が向上し、スコッチヨーク13がシャフト12に対して位置ずれしたり、拡径テーパ面30の開口縁からずれ落ちたりするなどの不具合の発生を抑えることができる。
【0055】
この場合、縮径テーパ面25の角度θ1と拡径テーパ面30の角度θ2とを同じ角度に設けているので、縮径テーパ面25と拡径テーパ面30とが確実に面接触し、シャフト12をスコッチヨーク13の方向に面接触により押し付けた状態を維持するように、これらシャフト12とスコッチヨーク13とを駆動側ハウジング2により支持して回転可能に位置固定している。
【0056】
このとき、図5において、シャフト12のスコッチヨーク13に対する鉛直方向の押付け力Fは、縮径テーパ面25が拡径テーパ面30を垂直方向に押圧する分力F1と、この分力F1と垂直方向の分力F2とに分解される。これら分力F1、F2をそれぞれ一点鎖線、二点鎖線で示す。
【0057】
上記の分力F1が働くことで、シャフト12でスコッチヨーク13を確実に駆動側ハウジング2の内部側に押付けている。一方、分力F2により、この分力F2の方向に縮径テーパ面25がスライドしようとする力が働き、スコッチヨーク13にはシャフト12に対して調心される作用が働く。これらの力の作用により、図4において、シャフト12でスコッチヨーク13を上方に押圧してこのスコッチヨーク13を所定の高さに位置決めしつつ、軸P2に対してシャフト12の軸P1を一致させ、これらを芯出しした状態で取付けできる。
【0058】
また、シャフト12に押付け方向の力Fを加えた状態で、このシャフト12をスラストベアリング40を介してCリング33で駆動側ハウジング2に支持していることで、押付け方向の力Fとシャフト12の支持側のCリング33に加わる力のつり合いにより、スコッチヨーク13をシャフト12の軸方向に位置決めできる。このため、スコッチヨーク13が、シャフト軸P1方向に位置ずれしたりシャフト12に対して振れたりすることがない。
【0059】
これらの力の作用により、スコッチヨーク13の軸P1方向(上下方向)及び軸P1との交差方向(左右方向)への位置ずれを防ぎ、スコッチヨーク13を駆動側ハウジング2内の所定の位置に正確に配置できる。回転変換機構5の動作時には、ピストンロッド10による直線運動をスコッチヨーク13を通してシャフト12の回転運動に変換する際、シャフト12に対するスコッチヨーク13の姿勢が安定し、両者間の傾きやがたつきなどが抑制されることで、力をロスなく高効率で伝達できる。この場合、シャフト12とスコッチヨーク13との芯出し状態を維持し、摺動抵抗を抑えてスコッチヨーク13の揺れや位置ずれ及び故障などを防ぎ、アクチュエータ本体1を小型化してシャフト12が小径化した場合にも、回転変換機構5の伝達効率を確保した状態でシャフト12まで力を伝達し、シャフト12の回転動作を安定させて回転弁等のバルブを高精度に安定状態で回転制御できる。
【0060】
また、回転変換機構5を動作させる際に、部材間の位置ずれ等に起因する摩擦の増大を防いで作動トルクを軽減できるほか、部材同士の偏摩耗等を防止して、アクチュエータ本体1の耐久性も向上させることができる。
【0061】
さらには、本実施形態では、縮径テーパ面25の角度θ1と拡径テーパ面30の角度θ2とを略45°に設けているので、分力F1と分力F2との力の大きさを略均等に配分し、スコッチヨーク13を上方側(駆動側ハウジング2の内部)へ押付ける力、スコッチヨーク13を調心させるための力の双方を適宜の大きさに確保している。
【0062】
図5に示すように、縮径テーパ面25の縮径側にアール状の環状面取り部26を設けることで、拡径テーパ面30の縮径側が面取り部26の空間に入り込むようにでき、縮径テーパ面25の縮径側に干渉するおそれがない。また、図6に示すように、拡径テーパ面30の縮径側にアール状の環状面取り部46を設けた場合には、この面取り部46側が縮径テーパ面の縮径側に干渉するおそれがない。これらのことから、貫通孔29の所定の位置まで確実にシャフト12を挿入でき、このシャフト12に対してスコッチヨークが傾いた状態で取付けられることもない。
【0063】
駆動側ハウジング2下部のシャフト挿入孔2cからシャフト12を挿入するときには、拡径テーパ面30がガイドの役割を果たすことで、シャフト12の上部側に装着したOリング28が摺動するときの抵抗を極力抑え、シャフト12を駆動側ハウジング2の所定位置まで容易に挿入できる。このため、挿入時における上部側Oリング28のシャフト12からの脱落も阻止可能になる。
【0064】
拡径テーパ面30の幅H1を、縮径テーパ面25の幅H2よりも小さく形成していることにより、シャフト12をシャフト挿通孔2cから挿入するだけで、縮径テーパ面25に対して拡径テーパ面30を容易にかつ正確に位置決めした状態で当接できる。
しかも、拡径テーパ面30の幅H1を小さく設けていることにより、この拡径テーパ面20を加工精度を確保しつつ容易に製作可能となり、スコッチヨーク13のコンパクト性を維持できる。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は、前記実施形態の記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。
【符号の説明】
【0066】
1 アクチュエータ本体
2 駆動側ハウジング
5 回転変換機構
10 ピストンロッド
12 シャフト
13 スコッチヨーク
25 縮径テーパ面(縮径段差部)
29 貫通孔
30 拡径テーパ面
31 面取り部
40 スラストベアリング
H1 拡径テーパ面の幅
H2 縮径テーパ面の幅
P1、P2 軸
θ1 縮径テーパ面の角度
θ2 拡径テーパ面の角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6