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特開2023-163540半導体装置及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163540
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20231102BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20231102BHJP
   H01L 21/3213 20060101ALN20231102BHJP
【FI】
H01L27/04 P
H01L27/04 C
H01L21/90 A
H01L21/88 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074506
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平岩 英治
【テーマコード(参考)】
5F033
5F038
【Fターム(参考)】
5F033HH08
5F033HH09
5F033HH22
5F033HH25
5F033HH32
5F033HH33
5F033JJ19
5F033KK08
5F033KK09
5F033KK33
5F033PP15
5F033QQ08
5F033QQ11
5F033QQ48
5F033RR04
5F033SS11
5F033VV09
5F033VV10
5F033WW02
5F033XX00
5F033XX33
5F038AC05
5F038AC18
5F038AR07
5F038AR08
5F038AR16
5F038EZ15
(57)【要約】
【課題】層間絶縁膜の厚さを増加させることなく抵抗膜とMIM容量素子を1つの層間絶縁膜内に配置することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、層間絶縁膜と、層間絶縁膜内に配置されている抵抗膜、下部電極膜及び上部電極膜とを備える。層間絶縁膜は、第1層と、第2層と、第3層とを有する。抵抗膜及び下部電極膜は、第1層上に配置されている。抵抗膜及び下部電極膜は、同一材料により形成されている。上部電極膜は、第2層を介在させて下部電極膜と対向している。第3層は、抵抗膜、下部電極膜及び上部電極膜を覆っている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜内に配置されている抵抗膜、下部電極膜及び上部電極膜とを備え、
前記層間絶縁膜は、第1層と、第2層と、第3層とを有し、
前記抵抗膜及び前記下部電極膜は、前記第1層上に配置されており、
前記抵抗膜及び前記下部電極膜は、同一材料により形成されており、
前記上部電極膜は、前記第2層を介在させて前記下部電極膜と対向しており、
前記第3層は、前記抵抗膜、前記下部電極膜及び前記上部電極膜を覆っている、半導体装置。
【請求項2】
前記第2層は、前記第3層と前記下部電極膜との間に介在されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
第1配線層と、
第2配線層と、
第1ビアプラグと、
第2ビアプラグとをさらに備え、
前記第1層は、前記第1配線層を覆っており、
前記第1層中には、前記第1ビアプラグが埋め込まれている第1ビアホールが形成されており、
前記下部電極膜は、前記第1ビアプラグにより前記第1配線層に電気的に接続されており、
前記第2配線層は、前記第3層上に配置されており、
前記第3層中には、前記第2ビアプラグが埋め込まれている第2ビアホールが形成されており、
前記上部電極膜は、前記第2ビアプラグにより前記第2配線層に電気的に接続されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記抵抗膜は、金属材料により形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記金属材料は、シリコンクロム、炭素が導入されているシリコンクロム、ニクロム及び窒化タンタルからなる群から選択される少なくとも1つを含有している、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記上部電極膜は、窒化チタンにより形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記層間絶縁膜の厚さは、650nm以上である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
層間絶縁膜の第1層を形成する工程と、
前記第1層上に第1膜を形成する工程と、
前記第1層上に前記層間絶縁膜の第2層を形成する工程と、
前記第2層上に第2膜を形成する工程と、
前記第2膜をパターンニングして上部電極膜を形成する工程と、
前記第1膜をパターンニングして抵抗膜及び下部電極膜を形成する工程と、
前記抵抗膜、前記下部電極膜及び前記上部電極膜を覆うように前記層間絶縁膜の第3層を形成する工程とを備え、
前記下部電極膜及び前記上部電極膜は、前記第2層を介在させて互いに対向している、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2膜のパターンニングが行われた後であって前記第1膜のパターンニングが行われる前に、前記第1膜上に前記第2層が残存している、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1膜のパターンニングには、ドライエッチングが用いられる、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2011-155192号公報(特許文献1)には、半導体装置が記載されている。特許文献1に記載の半導体装置は、配線層と、層間絶縁膜と、金属抵抗膜と、ビアプラグとを有している。層間絶縁膜は、第1層と、第2層とを有している。第1層は、配線層を覆っている。金属抵抗膜は、第1層上に配置されている。第2層は、金属抵抗膜を覆っている。ビアプラグは、第1層に形成されているビアホール中に埋め込まれることにより、配線層に電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-155192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
MIM(Metal Insulator Metal)容量素子は、下部電極膜と、下部電極膜と対向配置されている上部電極膜とを有している。このようなMIM容量素子と特許文献1に記載の半導体装置が有している金属抵抗膜とを1つの層間絶縁膜内に配置しようとすると、層間絶縁膜の厚さが増加してしまう。その他の課題及び新規な特徴は、本明細書の記載及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の半導体装置は、層間絶縁膜と、層間絶縁膜内に配置されている抵抗膜、下部電極膜及び上部電極膜とを備えている。層間絶縁膜は、第1層と、第2層と、第3層とを有する。抵抗膜及び下部電極膜は、第1層上に配置されている。抵抗膜及び下部電極膜は、同一材料により形成されている。上部電極膜は、第2層を介在させて下部電極膜と対向している。第3層は、抵抗膜、下部電極膜及び上部電極膜を覆っている。
【発明の効果】
【0006】
本開示の半導体装置によると、層間絶縁膜の厚さを増加させることなく抵抗膜とMIM容量素子を1つの層間絶縁膜内に配置することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】半導体装置DEVの断面図である。
図2】半導体装置DEVの製造工程図である。
図3】層間絶縁膜形成工程S1を説明する断面図である。
図4】第1配線層形成工程S2を説明する断面図である。
図5】第1層形成工程S3を説明する断面図である。
図6】第1ビアプラグ形成工程S4を説明する断面図である。
図7】第1膜形成工程S5を説明する断面図である。
図8】第2層形成工程S6を説明する断面図である。
図9】第2膜形成工程S7を説明する断面図である。
図10】第2膜パターンニング工程S8を説明する断面図である。
図11】第1膜パターンニング工程S9を説明する断面図である。
図12】第3層形成工程S10を説明する断面図である。
図13】第2ビアプラグ形成工程S11を説明する断面図である。
図14】半導体装置DEV1の断面図である。
図15】半導体装置DEV1の製造工程図である。
図16】第1配線層形成工程S13を説明する断面図である。
図17】第2層形成工程S14を説明する断面図である。
図18】第1ビアプラグ形成工程S15を説明する断面図である。
図19】抵抗膜形成工程S16を説明する断面図である。
図20】第3層形成工程S17を説明する断面図である。
図21】第2ビアプラグ形成工程S18を説明する断面図である。
図22】半導体装置DEV2の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。実施形態に係る半導体装置を、半導体装置DEVとする。
【0009】
(半導体装置DEVの構成)
以下に、半導体装置DEVの構成を説明する。
【0010】
図1は、半導体装置DEVの断面図である。図1に示されるように、半導体装置DEVは、層間絶縁膜ILD1及び層間絶縁膜ILD2と、配線層WL1及び配線層WL2と、ビアプラグVP1、ビアプラグVP2、ビアプラグVP3及びビアプラグVP4と、抵抗膜RFと、下部電極膜LEFと、上部電極膜UEFとを有している。
【0011】
層間絶縁膜ILD1は、図示しない配線層を覆っている。層間絶縁膜ILD1は、例えばシリコン酸化物(SiO)により形成されている。配線層WL1は、層間絶縁膜ILD1上に配置されている。配線層WL1は、例えばアルミニウム(Al)又はアルミニウム合金により形成されている。配線層WL1は、例えばセミグローバル配線として用いられる配線層である。すなわち、配線層WL1の厚さは層間絶縁膜ILD1よりも下層にある配線層の厚さよりも大きく、配線層WL1における配線ピッチは層間絶縁膜ILD1よりも下層にある配線層における配線ピッチよりも大きい。
【0012】
層間絶縁膜ILD2は、例えばシリコン酸化物により形成されている。層間絶縁膜ILD2は、第1層ILD2aと、第2層ILD2bと、第3層ILD2cとを有している。
【0013】
第1層ILD2aは、配線層WL1を覆うように層間絶縁膜ILD1上に配置されている。第1層ILD2aには、ビアホールVH1とビアホールVH2とが形成されている。ビアホールVH1及びビアホールVH2は、第1層ILD2aを厚さ方向に沿って貫通している。ビアホールVH1及びビアホールVH2からは、配線層WL1が露出している。
【0014】
ビアプラグVP1及びビアプラグVP2は、それぞれ、ビアホールVH1及びビアホールVH2に埋め込まれている。ビアプラグVP1の下端及びビアプラグVP2の下端は、配線層WL1に電気的に接続されている。ビアプラグVP1及びビアプラグVP2は、例えばタングステン(W)により形成されている。
【0015】
抵抗膜RF及び下部電極膜LEFは、第1層ILD2a上に配置されている。抵抗膜RFは、ビアプラグVP1の上端に電気的に接続されている。下部電極膜LEFは、ビアプラグVP2の上端に電気的に接続されている。これにより、抵抗膜RF及び下部電極膜LEFは、配線層WL1に電気的に接続されている。抵抗膜RF及び下部電極膜LEFは、同一材料により形成されている。抵抗膜RF及び下部電極膜LEFは、例えば金属材料により形成されている。この金属材料は、例えばシリコンクロム(SiCr)、炭素(C)の導入されているシリコンクロム(SiCrC)、ニクロム(NiCr)及び窒化タンタル(TaN)からなる群から選択される少なくとも1つを含有している。
【0016】
上部電極膜UEFは、第2層ILD2bを介在させて下部電極膜LEF上に配置されている。下部電極膜LEFは、例えば、窒化チタン(TiN)により形成されている。下部電極膜LEF、上部電極膜UEF及び第2層ILD2bは、MIM容量素子を構成している。このMIM容量素子は、層間絶縁膜ILD2内に配置されている。第2層ILD2bの厚さは、第1層ILD2aの厚さ及び第3層ILD2cの厚さよりも小さい。
【0017】
第3層ILD2cは、抵抗膜RF、下部電極膜LEF及び上部電極膜UEFを覆っている。第2層ILD2bは、好ましくは、抵抗膜RF及び下部電極膜LEFと第3層ILD2cとの間に介在されている。これにより、第2層ILD2bと第3層ILD2cとの界面に沿って下部電極膜LEFと上部電極膜UEFとの間の電流リークが生じることを抑制可能である。
【0018】
第3層ILD2cには、ビアホールVH3が形成されている。ビアホールVH3は、第3層ILD2cを厚さ方向に沿って貫通している。ビアホールVH3からは、上部電極膜UEFが露出している。ビアプラグVP3は、ビアホールVH3に埋め込まれている。ビアプラグVP3の下端は、上部電極膜UEFに電気的に接続されている。ビアプラグVP3は、例えばタングステンにより形成されている。
【0019】
層間絶縁膜ILD2(第1層ILD2a、第2層ILD2b及び第3層ILD2c)には、ビアホールVH4が形成されている。ビアホールVH4は、層間絶縁膜ILD2を厚さ方向に沿って貫通している。ビアホールVH4からは配線層WL1が露出している。ビアプラグVP4は、ビアホールVH4に埋め込まれている。ビアプラグVP4の下端は、配線層WL1に電気的に接続されている。ビアプラグVP4は、例えばタングステンにより形成されている。
【0020】
配線層WL2は、層間絶縁膜ILD2上(第3層ILD2c上)に配置されている。配線層WL2は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金により形成されている。配線層WL2は、例えばグローバル配線として用いられる配線層である。すなわち、配線層WL2の厚さは配線層WL1の厚さよりも大きく、配線層WL2における配線ピッチは配線層WL1における配線ピッチよりも大きい。配線層WL2は、ビアプラグVP3の上端に電気的に接続されている。これにより、配線層WL2は、上部電極膜UEFに電気的に接続されている。配線層WL2は、ビアプラグVP4の上端に接続されている。これにより、配線層WL2は、配線層WL1に電気的に接続されている。
【0021】
層間絶縁膜ILD2の厚さを、厚さTとする。厚さTは、好ましくは、650nm以上である。厚さTは、配線層WL1と配線層WL2との間にある層間絶縁膜ILD2の厚さである。なお、抵抗膜RFの厚さ及び下部電極膜LEFの厚さは5nm程度であり、第2層ILD2bの厚さは50nm程度である。また、上部電極膜UEFの厚さは、例えば50nm以上80nm以下である。
【0022】
(半導体装置DEVの製造方法)
以下に、半導体装置DEVの製造方法を説明する。
【0023】
図2は、半導体装置DEVの製造工程図である。図2に示されているように、半導体装置DEVの製造方法は、層間絶縁膜形成工程S1と、第1配線層形成工程S2と、第1層形成工程S3と、第1ビアプラグ形成工程S4と、第1膜形成工程S5と、第2層形成工程S6と、第2膜形成工程S7と、第2膜パターンニング工程S8と、第1膜パターンニング工程S9とを有している。半導体装置DEVの製造方法は、さらに、第3層形成工程S10と、第2ビアプラグ形成工程S11と、第2配線層形成工程S12とをさらに有している。なお、層間絶縁膜ILD1よりも下層にある構造は従来公知の方法により形成されればよいため、ここでは説明を省略している。
【0024】
図3は、層間絶縁膜形成工程S1を説明する断面図である。層間絶縁膜形成工程S1では、図3に示されるように、層間絶縁膜ILD1が形成される。層間絶縁膜形成工程S1では、第1に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)により、層間絶縁膜ILD1の構成材料が成膜される。第2に、例えばCMP(Chemical Vapor Deposition)により、成膜された層間絶縁膜ILD1の構成材料が平坦化される。
【0025】
図4は、第1配線層形成工程S2を説明する断面図である。図4に示されるように、第1配線層形成工程S2では、配線層WL1が形成される。第1配線層形成工程S2では、第1に、配線層WL1の構成材料が例えばスパッタリングにより層間絶縁膜ILD1上に成膜される。第2に、成膜された配線層WL1の構成材料の上に、レジストパターンが形成される。レジストパターンは、フォトレジストを露光及び現像することにより形成される。第3に、レジストパターンをマスクとするドライエッチングにより、成膜された配線層WL1の構成材料がパターンニングされる。
【0026】
図5は、第1層形成工程S3を説明する断面図である。図5に示されるように、第1層形成工程S3では、第1層ILD2aが形成される。第1層形成工程S3では、第1に、第1層ILD2aの構成材料が例えばCVDにより層間絶縁膜ILD1上に成膜される。第2に、成膜された第1層ILD2aの構成材料が、例えばCMPにより平坦化される。
【0027】
図6は、第1ビアプラグ形成工程S4を説明する断面図である。第1ビアプラグ形成工程S4では、図6に示されるように、ビアプラグVP1及びビアプラグVP2が形成される。第1ビアプラグ形成工程S4では、第1に、第1層ILD2aにビアホールVH1及びビアホールVH2が形成される。ビアホールVH1及びビアホールVH2は、第1層ILD2a上に形成されたレジストパターンをマスクとするドライエッチングにより形成される。レジストパターンは、フォトレジストを露光及び現像することにより形成される。第2に、例えばCVDにより、ビアホールVH1中及びビアホールVH2中にビアプラグVP1の構成材料及びビアプラグVP2の構成材料がそれぞれ埋め込まれる。第3に、例えばCMPにより、ビアホールVH1からはみ出したビアプラグVP1の構成材料及びビアホールVH2からはみ出したビアプラグVP2の構成材料が除去される。
【0028】
図7は、第1膜形成工程S5を説明する断面図である。図7に示されるように、第1膜形成工程S5では、第1層ILD2a上に第1膜FFが成膜される。第1膜FFは、抵抗膜RFの構成材料により形成されている膜である。第1膜FFは、例えばスパッタリングにより形成される。図8は、第2層形成工程S6を説明する断面図である。図8に示されるように、第2層形成工程S6では、第1膜FF上に第2層ILD2bが形成される。第2層ILD2bは、例えばCVDにより形成される。図9は、第2膜形成工程S7を説明する断面図である。図9に示されるように、第2膜形成工程S7では、第2膜SFが形成される。第2膜SFは、上部電極膜UEFの構成材料により形成されている膜である。第2膜SFは、例えばスパッタリングにより形成される。
【0029】
図10は、第2膜パターンニング工程S8を説明する断面図である。図10に示されるように、第2膜パターンニング工程S8では、第2膜SFがパターンニングされることにより、上部電極膜UEFが形成される。第2膜パターンニング工程S8では、第1に、第2膜SF上にレジストパターンが形成される。レジストパターンは、フォトレジストを露光及び現像することにより形成される。第2に、レジストパターンをマスクとするドライエッチングにより、第2膜SFがパターンニングされる。
【0030】
この際、レジストパターンにより覆われていない第2膜SFの下方にある第2層ILD2bもエッチングされるが、この第2層ILD2bは、完全に除去されないことが好ましい。すなわち、第2膜パターンニング工程S8の終了後でも、第2層ILD2bが第1膜FFを覆っていることが好ましい。
【0031】
図11は、第1膜パターンニング工程S9を説明する断面図である。図11に示されるように、第1膜パターンニング工程S9では、第1膜FFがパターンニングされることにより、抵抗膜RF及び下部電極膜LEFが形成される。第2膜パターンニング工程S8では、第1に、第1膜FF上(より具体的には、第2膜パターンニング工程S8のエッチング後に残存した第2層ILD2b上)にレジストパターンが形成される。レジストパターンは、フォトレジストを露光及び現像することにより形成される。第2に、レジストパターンをマスクとするドライエッチングにより、第1膜FFがパターンニングされる。
【0032】
図12は、第3層形成工程S10を説明する断面図である。図12に示されるように、第3層形成工程S10では、抵抗膜RF、下部電極膜LEF及び上部電極膜UEFを覆うように第3層ILD2cが形成される。第3層形成工程S10では、第1に、第3層ILD2cの構成材料が、例えばCVDにより成膜される。第2に、成膜された第3層ILD2cの構成材料が、例えばCMPにより平坦化される。
【0033】
図13は、第2ビアプラグ形成工程S11を説明する断面図である。図13に示されるように、第2ビアプラグ形成工程S11では、ビアプラグVP3及びビアプラグVP4が形成される。第2ビアプラグ形成工程S11では、第1に、第3層ILD2cにビアホールVH3が形成されるとともに、層間絶縁膜ILD2にビアホールVH4が形成される。ビアホールVH3及びビアホールVH4は、層間絶縁膜ILD2上に形成されたレジストパターンをマスクとするドライエッチングにより形成される。レジストパターンは、フォトレジストを露光及び現像することにより形成される。
【0034】
第2に、例えばCVDにより、ビアホールVH3中及びビアホールVH4中にビアプラグVP3の構成材料及びビアプラグVP4の構成材料がそれぞれ埋め込まれる。第3に、例えばCMPにより、ビアホールVH3からはみ出したビアプラグVP3の構成材料及びビアホールVH4からはみ出したビアプラグVP4の構成材料が除去される。
【0035】
第2配線層形成工程S12では、配線層WL2が形成される。第2配線層形成工程S12では、第1に、配線層WL2の構成材料が例えばスパッタリングにより層間絶縁膜ILD2上に成膜される。第2に、成膜された配線層WL2の構成材料の上に、レジストパターンが形成される。レジストパターンは、フォトレジストを露光及び現像することにより形成される。第3に、レジストパターンをマスクとするドライエッチングにより、成膜された配線層WL2の構成材料がパターンニングされる。以上により、図1に示される構造の半導体装置DEVが形成される。
【0036】
(半導体装置DEVの効果)
以下に、半導体装置DEVの効果を、比較例1に係る半導体装置及び比較例に係る半導体装置と対比しながら説明する。比較例1に係る半導体装置を半導体装置DEV1とし、比較例2に係る半導体装置を半導体装置DEV2とする。
【0037】
図14は、半導体装置DEV1の断面図である。図14に示されるように、半導体装置DEV1は、層間絶縁膜ILD1及び層間絶縁膜ILD2と、配線層WL1及び配線層WL2と、ビアプラグVP1、ビアプラグVP3及びビアプラグVP4と、抵抗膜RFと、上部電極膜UEFとを有している。
【0038】
半導体装置DEV1では、層間絶縁膜ILD2が、第1層ILD2dと、第2層ILD2eと、第3層ILD2fとを有している。半導体装置DEV1では、上部電極膜UEFが第1層ILD2dを介在させて配線層WL1上に配置されている。すなわち、半導体装置DEV1では、配線層WL1がMIM容量素子の下部電極膜として機能している。第2層ILD2eは、配線層WL1及び上部電極膜UEFを覆っている。なお、第1層ILD2dは、配線層WL1と第2層ILD2eとの間に介在されている。
【0039】
半導体装置DEV1では、抵抗膜RFが第2層ILD2e上に配置されている。第1層ILD2d及び第2層ILD2eには、ビアホールVH5が形成されている。ビアホールVH5にビアプラグVP1が埋め込まれることにより、抵抗膜RFと配線層WL1が電気的に接続されている。第3層ILD2fは、抵抗膜RFを覆っている。第2層ILD2e及び第3層ILD2fには、ビアホールVH6が形成されている。ビアホールVH6にビアプラグVP3が埋め込まれることにより、上部電極膜UEFと配線層WL2が電気的に接続されている。
【0040】
図15は、半導体装置DEV1の製造工程図である。図15に示されるように、半導体装置DEV1の製造方法は、層間絶縁膜形成工程S1と、第1配線層形成工程S13と、第2層形成工程S14と、第1ビアプラグ形成工程S15と、抵抗膜形成工程S16と、第3層形成工程S17と、第2ビアプラグ形成工程S18と、第2配線層形成工程S12とを有している。
【0041】
図16は、第1配線層形成工程S13を説明する断面図である。図16に示されるように、第1配線層形成工程S13では、配線層WL1、第1層ILD2d及び上部電極膜UEFが形成される。第1配線層形成工程S13では、第1に、配線層WL1、第1層ILD2d及び上部電極膜UEFの構成材料が、順次成膜される。第2に、上部電極膜UEFの構成材料の上に形成されたレジストパターンをマスクとするドライエッチングにより上部電極膜UEFの構成材料がパターンニングされ、上部電極膜UEFが形成される。ドライエッチングが行われた後において、配線層WL1の構成材料の上には、第1層ILD2dが残存している。第3に、第1層ILD2d上に形成されたレジストパターンをマスクとするドライエッチングにより配線層WL1の構成材料がパターンニングされ、配線層WL1が形成される。
【0042】
図17は、第2層形成工程S14を説明する断面図である。図17に示されるように、第2層形成工程S14では、配線層WL1及び上部電極膜UEFを覆うように第2層ILD2eの構成材料を成膜するとともに、成膜された第2層ILD2eの構成材料をCMP等で平坦化することにより、第2層ILD2eが形成される。図18は、第1ビアプラグ形成工程S15を説明する断面図である。図18に示されるように、第1ビアプラグ形成工程S15では、第1層ILD2d及び第2層ILD2eにビアホールVH5が形成されるとともに、ビアホールVH5にビアプラグVP1が埋め込まれる。
【0043】
図19は、抵抗膜形成工程S16を説明する断面図である。図19に示されるように、抵抗膜形成工程S16では、第2層ILD2e上に抵抗膜RFが形成される。抵抗膜RFは、抵抗膜RFの構成材料を成膜するとともに、レジストパターンをマスクとするドライエッチングで成膜された抵抗膜RFの構成材料をパターンニングすることにより形成される。図20は、第3層形成工程S17を説明する断面図である。第3層形成工程S17では、図20に示されるように、抵抗膜RFを覆うように第3層ILD2fが形成される。
【0044】
図21は、第2ビアプラグ形成工程S18を説明する断面図である。図21に示されるように、第2ビアプラグ形成工程S18では、第1に、第2層ILD2e及び第3層ILD2fにビアホールVH5が形成されるとともに、層間絶縁膜ILD2にビアホールVH4が形成される。第2に、ビアプラグVP3及びビアプラグVP4が、それぞれ、ビアホールVH5及びビアホールVH4に埋め込まれる。この後に第2配線層形成工程S12が行われることにより、図14に示される構造の半導体装置DEV1が形成される。
【0045】
半導体装置DEV1では、第1ビアプラグ形成工程S15においてビアホールVH1からはみ出したビアプラグVP1の構成材料がCMP等により除去される際に、第2層ILD2eが削れ、第2層ILD2eから上部電極膜UEFが露出したり、上部電極膜UEFが消失したりしてしまうことがある。
【0046】
また、半導体装置DEV1では、抵抗膜形成工程S16において、抵抗膜RFの構成材料がドライエッチングによりパターンニングされる。抵抗膜RFの構成材料であるシリコンクロム、ニクロム、窒化タンタル等はドライエッチングが難しい(ドライエッチングの際に層間絶縁膜ILD2の構成材料であるシリコン酸化物との選択比が確保しにくい)材料であるため、抵抗膜RFの構成材料をパターンニングする際に、第2層ILD2eも大きく掘り下げられることになる。その結果、上部電極膜UEFの露出、上部電極膜UEFの消失、上部電極膜UEFへのダメージ等が発生してしまうことがある。
【0047】
このような問題を解消するには、第2層ILD2eの厚さを増加させる必要がある。層間絶縁膜ILD2の厚さを増加させることなく第2層ILD2eの厚さを増加させるためには、第3層ILD2fの厚さを減少させる必要がある。しかしながら、第3層ILD2fの厚さを減少させると、第2ビアプラグ形成工程S18においてビアホールVH5からはみ出したビアプラグVP3の構成材料及びビアホールVH4からはみ出したビアプラグVP4の構成材料をCMP等で除去する際に、第3層ILD2fから抵抗膜RFが露出したり抵抗膜RFが消失したりしてしまうことがある。このように、半導体装置DEV1では、層間絶縁膜ILD2の厚さを大きくして第2層ILD2eの厚さ及び第3層ILD2fの厚さを確保する必要がある。
【0048】
なお、層間絶縁膜ILD2の厚さが増加されると、容量パラメータが変更され、回路IPの再設計が必要となる。また、層間絶縁膜ILD2の厚さが増加されるとビアプラグVP4の幅が増加されるため、それに合わせて配線層WL1における配線ピッチも増加させる必要がある。
【0049】
他方で、半導体装置DEVでは、上部電極膜UEFの構成材料がドライエッチングの容易な材料であるため、第2層ILD2bの厚さが小さくても第2膜パターンニング工程S8におけるドライエッチングの際に下部電極膜LEF(第1膜FF)の露出や下部電極膜LEFへのダメージが生じにくい。そのため、半導体装置DEVでは、層間絶縁膜ILD2の厚さを増加させずとも第3層ILD2cの厚さを確保でき、第2ビアプラグ形成工程S11が行われる際に上部電極膜UEFが露出ないし消失することが抑制可能である。このように、半導体装置DEVによると、層間絶縁膜ILD2の厚さを増加させることなくMIM容量素子を層間絶縁膜ILD2内に配置することが可能である。
【0050】
図22は、半導体装置DEV2の断面図である。図22に示されるように、半導体装置DEV2は、層間絶縁膜ILD1及び層間絶縁膜ILD2と、配線層WL1及び配線層WL2と、ビアプラグVP3、ビアプラグVP4及びビアプラグVP5と、抵抗膜RFと、上部電極膜UEFとを有している。
【0051】
半導体装置DEV2では、層間絶縁膜ILD2が第1層ILD2gと第2層ILD2hとを有している。半導体装置DEV2では、抵抗膜RF及び上部電極膜UEFが、同一材料により形成されており、かつ第1層ILD2g上に配置されている。半導体装置DEV2では、配線層WL1、上部電極膜UEF及び配線層WL1と上部電極膜UEFとの間にある第1層ILD2gがMIM容量素子を構成している。すなわち、半導体装置DEV2では、配線層WL1が下部電極膜として機能している。第2層ILD2hは、抵抗膜RF及び上部電極膜UEFを覆うように第1層ILD2g上に配置されている。
【0052】
半導体装置DEV2では、半導体装置DEV2では、第2層ILD2hにビアホールVH7及びビアホールVH8が形成されている。ビアホールVH7にビアプラグVP5が埋め込まれることにより、抵抗膜RFと配線層WL2とが電気的に接続されている。ビアホールVH8にビアプラグVP3が埋め込まれることにより、上部電極膜UEFと配線層WL2とが電気的に接続されている。
【0053】
上記のとおり、抵抗膜RFの構成材料は、ドライエッチング層間絶縁膜ILD2の構成材料との選択比を大きくすることができない材料である。そのため、半導体装置DEV2では、ビアホールVH7及びビアホールVH8をドライエッチングにより形成する際、抵抗膜RF及び抵抗膜RFと同一材料で形成されている上部電極膜UEFもエッチングされてしまい、ビアホールVH7が抵抗膜RFに達してしまうとともにビアホールVH8が上部電極膜UEFに達してしまうことがある。その結果、ビアプラグVP7と抵抗膜RFとの接触及びビアプラグVP3と上部電極膜UEFとの接触が不十分となり、接触抵抗が大きくなる。
【0054】
また、半導体装置DEV2では、MIM容量素子の特性確保の観点からMIM容量素子の誘電体膜を構成している第1層ILD2gの厚さを大きくすることができないため、抵抗膜RF及び上部電極膜UEFを形成する際のドライエッチングにより配線層WL1が露出され、配線層WL1へのダメージが発生してしまうことがある。
【0055】
他方で、半導体装置DEVでは、上部電極膜UEFがドライエッチングの際に層間絶縁膜ILD2の構成材料(シリコン酸化物)との選択比を確保しやすい材料により形成されているため、ビアホールVH3を形成するためのドライエッチングが上部電極膜UEFで停止しやすい。また、半導体装置DEVでは、上部電極膜UEFが抵抗膜RFと同一材料で形成されていないため、ビアプラグVP3との接触抵抗が大きくなりにくい。さらに、半導体装置DEVでは、第1層ILD2aがMIM容量素子の誘電体膜を構成していないため、第1層ILD2aの厚さを確保することが可能であり、抵抗膜RF及び下部電極膜LEFを形成する際のドライエッチングにより第1層ILD2aが掘り下げられても配線層WL1が露出しがたい。
【0056】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0057】
DEV,DEV1,DEV2 半導体装置、FF 第1膜、ILD1 層間絶縁膜、ILD2 層間絶縁膜、ILD2a 第1層、ILD2b 第2層、ILD2c 第3層、ILD2d 第1層、ILD2e 第2層、ILD2f 第3層、ILD2g 第1層、ILD2h 第2層、LEF 下部電極膜、RF 抵抗膜、S1 層間絶縁膜形成工程、S2 第1配線層形成工程、S3 第1層形成工程、S4 第1ビアプラグ形成工程、S5 第1膜形成工程、S6 第2層形成工程、S7 第2膜形成工程、S8 第2膜パターンニング工程、S9 第1膜パターンニング工程、S10 第3層形成工程、S11 第2ビアプラグ形成工程、S12 第2配線層形成工程、S13 第1配線層形成工程、S14 第2層形成工程、S15 第1ビアプラグ形成工程、S16 抵抗膜形成工程、S17 第3層形成工程、S18 第2ビアプラグ形成工程、SF 第2膜、T 厚さ、UEF 上部電極膜、VH1,VH2,VH3,VH4,VH5,VH6,VH7,VH8 ビアホール、VP1,VP2,VP3,VP4,VP5 ビアプラグ、WL1,WL2 配線層。
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