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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163574
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】画像形成装置及び表示画像生成方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 21/00 20060101AFI20231102BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231102BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231102BHJP
   H04N 1/409 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B41J21/00 Z
B41J29/38 204
G03G21/00 386
H04N1/409
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074551
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】半田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】宮村 紀秀
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
2H270
5C077
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061HJ06
2C061HJ07
2C061HK23
2C061HQ20
2C187AC06
2C187AC08
2C187AE01
2C187AF03
2C187BF09
2C187CC03
2C187CD12
2C187CD19
2C187DB30
2C187DC08
2C187DD02
2C187GA07
2H270LA90
2H270MB02
2H270MB05
2H270MB25
2H270MB27
2H270MH06
2H270PA55
2H270QA31
2H270QA33
2H270QA43
2H270QB01
2H270QB18
2H270ZC03
2H270ZC04
5C077PP51
5C077PP61
5C077PQ08
5C077RR14
5C077RR21
5C077SS07
(57)【要約】
【課題】ユーザが、材料を節約することで劣化した画像の劣化具合を、容易に把握できるようにすること。
【解決手段】プリンタ110は、通常印刷モード又は節約印刷モードで印刷を行う印刷部125と、オリジナルの画像を示す印刷原データから、通常印刷モードで印刷する画像である第1の画像を示す印刷データと、節約印刷モードで印刷する画像である第2の画像を示す印刷データとを生成する印刷データ生成部113と、第1の画像及び第2の画像のそれぞれを複数のブロックで分割し、画像品質が劣化すると判断される組み合わせのブロックを特定する差分ブロック抽出部116と、特定されたブロックを表示するプレビュー画面画像を生成するプレビュー画面画像生成部122と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する第1の画像形成モード、又は、前記第1の画像形成モードよりも、画像を形成する際に使用する少なくとも一つの材料の使用量が少なくなる第2の画像形成モードで画像を形成する画像形成部と、
オリジナルの画像を示す画像形成原データから、前記第1の画像形成モードで形成する画像である第1の画像を示す第1の画像形成データと、前記第2の画像形成モードで形成する画像である第2の画像を示す第2の画像形成データとを生成する画像形成データ生成部と、
前記第1の画像及び前記第2の画像のそれぞれを複数のブロックで分割し、前記第1の画像から分割された一つのブロックである第1のブロックと、前記第2の画像から分割され、前記第1のブロックに対応する一つのブロックである第2のブロックとの組み合わせから、画像品質が劣化すると判断される組み合わせのブロックを特定するブロック特定部と、
前記特定された組み合わせのブロックを表示するプレビュー画面画像を生成するプレビュー画面画像生成部と、を備えること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ブロック特定部は、前記第1のブロックに対して、前記第2のブロックが潰れていると判断される場合に、前記画像品質が劣化すると判断すること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ブロック特定部は、前記第1のブロックを画像圧縮した場合のデータサイズと、前記第2のブロックを前記画像圧縮した場合のデータサイズとの差が、予め定められた閾値を超える場合に、前記第1のブロックに対して、前記第2のブロックが潰れていると判断すること
を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記閾値は、ユーザが入力することができるようにされていること
を特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の画像形成モードは、複数の色の現像剤を使用して画像を形成するモードであり、
前記第2の画像形成モードは、前記第1の画像形成モードよりも色数が少ない現像剤を使用して画像を形成するモードであること
を特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の画像形成モードは、少なくともシアン、イエロー及びマゼンタの現像剤を使用して画像を形成するモードであり、
前記第2の画像形成モードは、ブラックの現像剤を使用して画像を形成するモードであること
を特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の画像形成データにおける現像剤の使用量である第1の使用量、及び、前記第2の画像形成データにおける現像剤の使用量である第2の使用量を算出する使用量算出部をさらに備え、
前記プレビュー画面画像生成部は、前記プレビュー画面画像において、前記第1の使用量及び前記第2の使用量を含めること
を特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ブロック特定部は、前記第1のブロックに含まれている文字に対して、前記第2のブロックに含まれている文字が潰れていると判断される場合に、前記画像品質が劣化すると判断すること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ブロック特定部は、前記第1のブロックから一つの文字のみを含む第1の文字部分と、前記第2のブロックから前記一つの文字に対応する一つの文字のみを含む第2の文字部分と、を切り出し、前記第1の文字部分において画素値が大きく変化する変化点数と、前記第2の文字部分において画素値が大きく変化する変化点数との差が予め定められた数を超える場合を潰れ文字数として計数し、前記潰れ文字数が予め定められた閾値を超えるときに、前記第1のブロックに含まれている文字に対して、前記第2のブロックに含まれている文字が潰れていると判断すること
を特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ブロック特定部は、前記第1のブロックを二値化した第1の二値化画像におけるエッジの数と、前記第2のブロックを二値化した第2の二値化画像のエッジの数とを前記変化点数として計数すること
を特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記ブロック特定部は、前記第1の画像において輝度又は濃度が大きく変化する画素の数と、前記第2の画像において輝度又は濃度が大きく変化する画素の数とを前記変化点数として計数すること
を特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第1の画像形成モードは、前記画像形成原データにおける1ページを一つの媒体に形成するモードであり、前記第2の画像形成モードは、前記画像形成原データにおける複数ページを一つの媒体に形成するモードであること
を特徴とする請求項8から11の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第1の画像形成データにおける媒体の使用量である第1の使用量、及び、前記第2の画像形成データにおける媒体の使用量である第2の使用量を算出する使用量算出部をさらに備え、
前記プレビュー画面画像生成部は、前記プレビュー画面画像において、前記第1の使用量及び前記第2の使用量を含めること
を特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
オリジナルの画像を示す画像形成原データから、第1の画像形成モードで形成する画像である第1の画像を示す第1の画像形成データと、前記第1の画像形成モードよりも、画像を形成する際に使用する少なくとも一つの材料の使用量が少なくなる第2の画像形成モードで形成する画像である第2の画像を示す第2の画像形成データとを生成し、
前記第1の画像及び前記第2の画像のそれぞれを複数のブロックで分割し、前記第1の画像から分割された一つのブロックである第1のブロックと、前記第2の画像から分割され、前記第1のブロックに対応する一つのブロックである第2のブロックとの組み合わせから、画像品質が劣化すると判断される組み合わせのブロックを特定し、
前記特定された組み合わせのブロックを表示するプレビュー画面画像を生成すること
を特徴とする表示画像生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置及び表示画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、媒体に画像を印刷する印刷装置が使用されている。近年、インク又は媒体等のように印刷に使用される材料を節約することで、印刷コストを低減する技術が求められている。しかしながら、印刷に使用される材料を節約すると、印刷品質が劣化する。
【0003】
これに対して、特許文献1には、色材の使用量を通常印刷時より低減させて画像形成を行う色材使用量低減モードを使用する際に、色材使用量低減モードによる画像形成結果よりも劣った画質レベルの画像データを作成し、その画像データをプレビュー画像として表示することで、ユーザの想定以上に劣化した画像が印刷されることを防ぐ技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-194810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術のように、色材の使用量を低減することで劣化した画像を、プレビュー表示範囲に合わせて縮小表示すると、縮小による影響が重畳されて、印刷で発生する潰れの目視把握が難しくなる。
【0006】
そこで、本開示の一又は複数の態様は、ユーザが、材料を節約することで劣化した画像の劣化具合を、容易に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る画像形成装置は、画像を形成する第1の画像形成モード、又は、前記第1の画像形成モードよりも、画像を形成する際に使用する少なくとも一つの材料の使用量が少なくなる第2の画像形成モードで画像を形成する画像形成部と、オリジナルの画像を示す画像形成原データから、前記第1の画像形成モードで形成する画像である第1の画像を示す第1の画像形成データと、前記第2の画像形成モードで形成する画像である第2の画像を示す第2の画像形成データとを生成する画像形成データ生成部と、前記第1の画像及び前記第2の画像のそれぞれを複数のブロックで分割し、前記第1の画像から分割された一つのブロックである第1のブロックと、前記第2の画像から分割され、前記第1のブロックに対応する一つのブロックである第2のブロックとの組み合わせから、画像品質が劣化すると判断される組み合わせのブロックを特定するブロック特定部と、前記特定された組み合わせのブロックを表示するプレビュー画面画像を生成するプレビュー画面画像生成部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本開示の一態様に係る表示画像生成方法は、オリジナルの画像を示す画像形成原データから、第1の画像形成モードで形成する画像である第1の画像を示す第1の画像形成データと、前記第1の画像形成モードよりも、画像を形成する際に使用する少なくとも一つの材料の使用量が少なくなる第2の画像形成モードで形成する画像である第2の画像を示す第2の画像形成データとを生成し、前記第1の画像及び前記第2の画像のそれぞれを複数のブロックで分割し、前記第1の画像から分割された一つのブロックである第1のブロックと、前記第2の画像から分割され、前記第1のブロックに対応する一つのブロックである第2のブロックとの組み合わせから、画像品質が劣化すると判断される組み合わせのブロックを特定し、前記特定された組み合わせのブロックを表示するプレビュー画面画像を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一又は複数の態様によれば、ユーザが、材料を節約することで劣化した画像の劣化具合を、容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1及び2に係る画像形成装置としてのプリンタを備える印刷システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図2】実施の形態1及び2に係るプリンタの構成を概略的に示すブロック図である。
図3】(A)及び(B)は、ハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4】実施の形態1に係るプリンタの動作を示すフローチャートである。
図5】プレビュー表示閾値の設定及びプレビュー開始の指定に使用するユーザインターフェイスの画面画像の一例を示す概略図である。
図6】実施の形態1における差分ブロック抽出処理を示すフローチャートである。
図7】(A)及び(B)は、カラーモード画像のブロック分割を説明するための概略図である。
図8】(A)及び(B)は、白黒モード画像のブロック分割を説明するための概略図である。
図9】実施の形態1におけるプレビュー処理の流れを示すフローチャートである。
図10】実施の形態1におけるプレビュー画面画像の一例を示す概略図である。
図11】(A)及び(B)は、比較プレビュー表示の対象となるブロック例を示す概略図である。
図12】(A)及び(B)は、比較プレビュー表示の対象とならないブロック例を示す概略図である。
図13】プレビュー開始の指定に使用するユーザインターフェイスの画面画像の一例を示す概略図である。
図14】実施の形態2における差分ブロック抽出処理を示すフローチャートである。
図15】(A)及び(B)は、通常サイズ画像のブロック分割を説明するための概略図である。
図16】(A)及び(B)は、複数ページ画像のブロック分割を説明するための概略図である。
図17】潰れ文字数を算出する処理を示すフローチャートである。
図18】通常サイズ文字の変化点数の特定例を示す概略図である。
図19】縮小サイズ文字の変化点数の特定例を示す概略図である。
図20】縦方向の各列の変化点数の補間例を示す概略図である。
図21】横方向の各行の変化点数の補間例を示す概略図である。
図22】実施の形態2におけるプレビュー処理の流れを示すフローチャートである。
図23】実施の形態2におけるプレビュー画面画像の一例を示す概略図である。
図24】(A)及び(B)は、通常サイズ印刷データにおける文字と、複数ページ印刷データにおける文字との第1の比較例を示す概略図である。
図25】(A)及び(B)は、縦方向の各列の変化点数の差分及び横方向の各行の変化点数の差分の第1の例を示す概略図である。
図26】(A)及び(B)は、通常サイズ印刷データにおける文字と、複数ページ印刷データにおける文字との第2の比較例を示す概略図である。
図27】(A)及び(B)は、縦方向の各列の変化点数の差分及び横方向の各行の変化点数の差分の第2の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置としてのプリンタ110を備える印刷システム100の構成を概略的に示すブロック図である。
印刷システム100は、情報処理装置としてのPC(Personal Computer)101と、プリンタ110とを備える。
PC101と、プリンタ110とは、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して接続されていてもよく、USB(Universal Serial Bus)等の接続インタフェースを介して接続されていてもよい。
【0012】
また、プリンタ110は、各種画面画像を表示して、ユーザからの操作の入力を受け付けるためのオペレーションパネル102を備えている。
【0013】
図2は、実施の形態1に係るプリンタ110の構成を概略的に示すブロック図である。
プリンタ110は、通信部111と、画像形成要求受付部としての印刷要求受付部112と、画像形成データ生成部としての印刷データ生成部113と、画像形成データ記憶部としての印刷データ記憶部114と、節約量算出部115と、差分ブロック抽出部116と、入力部117と、プレビュー設定部118と、プレビュー制御部119と、プレビュー画像生成部120と、プレビュー表示処理部121と、表示部123と、画像形成開始指定部としての印刷開始指定部124と、画像形成部としての印刷部125とを有する。
【0014】
通信部111は、他の装置と通信を行う。ここでは、通信部111は、PC101と通信を行う。
【0015】
印刷要求受付部112は、PC101から、画像形成を行う画像を示す画像形成原データである印刷原データを受け付ける。印刷要求受付部112が受け付けた印刷原データは、印刷データ生成部113に与えられる。
【0016】
印刷データ生成部113は、二つの画像形成モードである二つの印刷モードでの印刷データを生成する。ここでの二つの印刷モードは、通常画像形成モードとしての通常印刷モードと、印刷(画像形成)に使用する少なくとも一つの材料の使用量を低減した節約画像形成モードとしての節約印刷モードであるものとする。
【0017】
実施の形態1においては、通常印刷モードは、二色以上の色材を使用したフルカラー画像形成モードとしてのフルカラー印刷モードである。ここでは、二色以上の色材として、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの四色の現像剤であるトナーが使用されるものとするが、少なくとも、シアン、マゼンタ及びイエローのトナーが使用されればよい。
一方、節約印刷モードは、一色の色材を使用した白黒画像形成モードとしての白黒印刷モードであるものとする。ここでは、一色の色材として、ブラックの一色のトナーが使用されるものとする。
また、印刷データは、ドット毎にオン又はオフを示したビットマップデータであるものとするが、このような例に限定されるものではない。
【0018】
以上から、印刷データ生成部113は、フルカラー画像形成データであるフルカラー印刷データ及び白黒画像形成データである白黒印刷データを生成する。フルカラー印刷データ及び白黒印刷データは、印刷データ記憶部114に与えられる。
【0019】
通常画像形成モードを第1の画像形成モード(第1の印刷モード)ともいい、節約画像形成モードを第2の画像形成モード(第2の印刷モード)ともいう。従って、印刷データ生成部113は、オリジナルの画像を示す画像形成原データから、第1の画像形成モードで形成する画像である第1の画像を示す第1の画像形成データと、第2の画像形成モードで形成する画像である第2の画像を示す第2の画像形成データとを生成する画像形成データ生成部として機能する。
実施の形態1では、第1の画像形成モードは、複数の色の現像剤を使用して画像を形成するモードであり、第2の画像形成モードは、第1の画像形成モードよりも色数の少ない現像剤を使用して画像を形成するモードである。具体的には、第1の画像形成モードは、少なくともシアン、イエロー及びマゼンタの現像剤を使用して画像を形成するモードであり、第2の画像形成モードは、ブラックの現像剤を使用して画像を形成するモードである。
【0020】
印刷データ記憶部114は、生成された二つの印刷データであるフルカラー印刷データ及び白黒印刷データを記憶する。
【0021】
節約量算出部115は、印刷データ記憶部114に記憶されている二つの印刷データのそれぞれの使用する現像材量であるトナー量を算出する。
言い換えると、節約量算出部115は、第1の画像形成データにおける現像剤の使用量である第1の使用量、及び、第2の画像形成データにおける現像剤の使用量である第2の使用量を算出する使用量算出部として機能する。
【0022】
差分ブロック抽出部116は、印刷データ記憶部114に記憶されている二つの印刷データで示される二つの画像のそれぞれを、複数のブロックに分割する。
そして、差分ブロック抽出部116は、その二つの印刷データのそれぞれから分割された対応するブロック毎に比較し、画像形成品質である印刷品質が劣化するブロックを抽出する。実施の形態1では、差分ブロック抽出部116は、印刷品質が劣化するブロックとして、画像が潰れてしまうブロックを抽出する。言い換えると、フルカラー印刷データを、白黒印刷データに変換することによって、画像が潰れてしまうブロックを抽出する。
【0023】
言い換えると、差分ブロック抽出部116は、第1の画像及び第2の画像のそれぞれを複数のブロックで分割し、その第1の画像から分割された一つのブロックである第1のブロックと、その第2の画像から分割され、第1のブロックに対応する一つのブロックである第2のブロックとの組み合わせから、画像品質が劣化すると判断される組み合わせのブロックを特定して、その組み合わせを抽出するブロック特定部として機能する。なお、実施の形態1では、差分ブロック抽出部116は、第1のブロックに対して、第2のブロックが潰れていると判断される場合に、画像品質が劣化すると判断する。具体的には、差分ブロック抽出部116は、第1のブロックを画像圧縮した場合のデータサイズと、第2のブロックを画像圧縮した場合のデータサイズとの差が、予め定められた閾値を超える場合に、第1の画像に対して、第2の画像が潰れていると判断する。
【0024】
入力部117は、ユーザからの入力を受け付ける。
プレビュー設定部118は、入力部117を介して、ユーザから画像が潰れているか否かの判定に使用する閾値の入力、又は、プレビュー開始の指示の入力を受け取る。
【0025】
プレビュー制御部119は、ユーザにより入力された閾値を差分ブロック抽出部116に通知する。また、プレビュー制御部119は、ユーザからプレビュー開始の命令を受け付けると、処理を開始するように印刷データ生成部113に指示する。
【0026】
プレビュー画像生成部120は、画像が潰れてしまうブロックの比較プレビュー画像を生成する。ここで生成される比較プレビュー画像には、フルカラー印刷データ及び白黒印刷データのそれぞれの対象ブロックの画像が含まれる。比較プレビュー画像は、プレビュー表示処理部121に与えられる。
【0027】
プレビュー表示処理部121は、画像が潰れてしまうブロックを含む比較プレビュー画像、後述する情報量減少量、及び、使用されるトナー量を表示部123に表示させる。
また、プレビュー表示処理部121は、入力部117がユーザからのプレビュー画面更新の要求の入力を受け付けると、比較プレビュー画像を更新する。
【0028】
言い換えると、プレビュー画像生成部120及びプレビュー表示処理部121により、差分ブロック抽出部116により特定された組み合わせのブロックを表示するプレビュー画面画像を生成するプレビュー画面画像生成部122が構成される。ここでは、プレビュー画面画像は、その組み合わせのブロックを一つの画面画像で表示する。
【0029】
印刷開始指定部124は、入力部117を介して、ユーザから印刷モードの選択と、画像形成開始命令としての印刷開始命令を受け取る。
【0030】
印刷部125は、通常印刷モード、又は、通常印刷モードよりも、画像を形成する際に使用する材料の使用量が少なくなる節約印刷モードで画像を形成する画像形成部として機能する。
例えば、印刷部125は、印刷開始指定部124が、ユーザから印刷モードの選択と、印刷開始命令とを受け取ると、印刷データ記憶部114に記憶されている、選択された印刷モードの印刷データに基づいて、印刷を実行する。
【0031】
以上に記載された印刷要求受付部112、印刷データ生成部113、節約量算出部115、差分ブロック抽出部116、プレビュー設定部118、プレビュー制御部119、プレビュー画像生成部120、プレビュー表示処理部121及び印刷開始指定部124の一部又は全部は、例えば、図3(A)に示されているように、メモリ10と、メモリ10に格納されているプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ11とにより構成することができる。このようなプログラムは、ネットワークを通じて提供されてもよく、また、記録媒体に記録されて提供されてもよい。即ち、このようなプログラムは、例えば、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0032】
また、印刷要求受付部112、印刷データ生成部113、節約量算出部115、差分ブロック抽出部116、プレビュー設定部118、プレビュー制御部119、プレビュー画像生成部120、プレビュー表示処理部121及び印刷開始指定部124の一部又は全部は、例えば、図4(B)に示されているように、単一回路、複合回路、プログラムで動作するプロセッサ、プログラムで動作する並列プロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路12で構成することもできる。
以上のように、印刷要求受付部112、印刷データ生成部113、節約量算出部115、差分ブロック抽出部116、プレビュー設定部118、プレビュー制御部119、プレビュー画像生成部120、プレビュー表示処理部121及び印刷開始指定部124は、処理回路網により実現することができる。
【0033】
通信部111は、NIC(Network Interface Card)等の通信インタフェース又はUSB等の接続インタフェースにより実現することができる。
印刷データ記憶部114は、揮発性又は不揮発性のメモリにより実現することができる。
入力部117及び表示部123は、オペレーションパネル102により実現することができる。
印刷部125は、例えば、電子写真方式又はインクジェット方式の画像形成機構である印刷機構により実現することができる。
【0034】
図4は、実施の形態1に係るプリンタ110の動作を示すフローチャートである。
まず、印刷要求受付部112は、通信部111を介して、ユーザがPC101から送信した印刷原データを受け付ける(S10)。この印刷原データは、印刷データ生成部113に与えられる。
【0035】
次に、プレビュー設定部118は、表示部123及び入力部117を介して、ユーザから画像が潰れているか否か判定に使用する閾値及びプレビュー開始の命令を受け付ける(S11)。ここでユーザが設定した閾値を、以後、ユーザ設定閾値ともいう。また、ユーザ設定閾値は、画像が潰れているか否かの判定結果によって、比較プレビューが表示されるか否かが決まるため、プレビュー表示閾値ともいう。
【0036】
図5は、プレビュー表示閾値の設定及びプレビュー開始の指定に使用するユーザインターフェイスの画面画像の一例を示す概略図である。
プレビュー表示閾値設定開始画面画像150は、プレビュー表示閾値入力領域150aと、プレビュー開始入力領域としてのプレビュー開始ボタン150bとを有する。
【0037】
プレビュー表示閾値入力領域150aは、ユーザからプレビュー表示閾値の入力を受け付ける。
プレビュー開始ボタン150bは、ユーザからプレビュー開始の命令の入力を受け付ける。プレビュー開始ボタン150bを選択した実行指示の入力が行われると、プレビュー表示閾値入力領域150aに表示されているプレビュー表示閾値で、比較プレビューの画面画像が表示される。
【0038】
図4に戻り、プレビュー開始ボタン150bを選択した実行指示の入力が行われると、印刷データ生成部113は、印刷原データから通常印刷モード及び節約印刷モードの二つの印刷モードでの印刷データを生成する(S12)。ここでは、通常印刷モードの印刷データに対応するフルカラー印刷データと、節約印刷モードの印刷データに対応する白黒印刷データとが生成される。そして、生成された二つの印刷データは、印刷データ記憶部114に記憶される。
【0039】
次に、節約量算出部115は、フルカラー印刷データ及び白黒印刷データのそれぞれから、使用するトナー量を算出する(S13)。ここでは、トナー量として、各トナーのドットオンとなる画素数が算出される。
【0040】
次に、差分ブロック抽出部116は、フルカラー印刷データ及び白黒印刷データのそれぞれを複数のブロックに分割して、対応する二つのブロックを比較することで、フルカラー印刷データと比べて白黒印刷データで画像が潰れてしまうブロックを抽出する(S14)。画像が潰れていることは、フルカラー印刷データに比べて、白黒印刷データの情報量が大きく減少していることで判定される。具体的には、その情報量は、各ブロックの画像圧縮サイズによって特定される。なお、ステップS14での処理については、図6図8を用いて、詳細に説明する。
【0041】
次に、差分ブロック抽出部116での抽出結果に基づいて、プレビュー画像生成部120は、比較プレビュー画像を生成し、プレビュー表示処理部121は、その比較プレビュー画像を含むプレビュー画面画像を表示部123に表示させる(S15)。ステップS15での処理については、図9及び図10を用いて、詳細に説明する。
【0042】
次に、印刷開始指定部124は、表示部123及び入力部117を介して、ユーザから印刷モードの選択と、印刷開始命令とを受け付ける(S16)。例えば、これらは、プレビュー画面画像を用いて入力することができるものとする。なお、これらの入力は、プレビュー処理が終了する前に実行されてもよい。
【0043】
次に、印刷部125は、選択された印刷モードの印刷データを印刷データ記憶部114から読み出し、その印刷データに基づいて印刷を実行する。
【0044】
図6は、実施の形態1における差分ブロック抽出処理を示すフローチャートである。
差分ブロック抽出部116は、印刷データ記憶部114に記憶されているフルカラー印刷データを読み出し、そのフルカラー印刷データを、表示用のデータであるフルカラーモード変換データに変換する(S20)。ここでは、差分ブロック抽出部116は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各画素1bitのビットマップデータであるフルカラー印刷データを、レッド、グリーン及びブルーの各画素8bitのビットマップデータであるフルカラーモード変換データに変換する。
【0045】
次に、差分ブロック抽出部116は、印刷データ記憶部114に記憶されている白黒印刷データを読み出し、その白黒印刷データを、表示用のデータである白黒モード変換データに変換する(S21)。ここでは、差分ブロック抽出部116は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各画素1bitのビットマップデータである白黒印刷データを、レッド、グリーン及びブルーの各画素8bitのビットマップデータである白黒モード変換データに変換する。
【0046】
次に、差分ブロック抽出部116は、カラーモード変換データで示される画像であるカラーモード画像と、白黒モード変換データで示される画像である白黒モード画像とのそれぞれを、予め定められた複数のブロックに分割する(S22)。
【0047】
図7(A)及び(B)は、カラーモード画像のブロック分割を説明するための概略図であり、図8(A)及び(B)は、白黒モード画像のブロック分割を説明するための概略図である。
【0048】
図7(A)は、カラーモード画像の一例を示している。
図7(B)は、図7(A)に示されているカラーモード画像を複数のブロックで分割した例を示している。
図8(A)は、白黒モード画像の一例を示している。
図8(B)は、図8(A)に示されている白黒モード画像を複数のブロックで分割した例を示している。
【0049】
図7(B)又は図8(B)に示されているように、カラーモード画像又は白黒モード画像は、複数のブロックで分割される。一つのブロックは、予め定められたサイズ、例えば、縦×横=6cm×4cmであるものとし、隣接するブロック同士が、予め定められた余白サイズ、例えば、1cmで重複されているものとする。なお、一つのブロックのサイズは、表示部123において、等倍サイズで表示できるサイズであることが望ましい。
【0050】
図6に戻り、以下のステップS23~S31の処理は、複数のブロックから一つずつ選択されたブロックである対象ブロックについて実行される。
【0051】
差分ブロック抽出部116は、カラーモード変換データで示されるカラーモード画像を分割した複数のブロックの内、未だ対象ブロックとして選択されていない一つのブロックを、対象ブロックとして選択する(S23)。
【0052】
次に、差分ブロック抽出部116は、カラーモード変換データで示されるカラーモード画像から、対象ブロックを読み込む(S24)。ここで読み込まれた対象ブロックを、カラーモード対象ブロックともいう。
【0053】
次に、差分ブロック抽出部116は、カラーモード対象ブロックに、画像圧縮処理を実行する(S25)。ここでの画像圧縮処理は、公知の技術が用いられればよい。但し、ここでの画像圧縮処理は、画像の平坦な部分、言い換えると、画像の変化が少ない部分の情報量を削減することにより、画像全体の情報量を削減することのできるものとする。ここでは、例えば、JPEG(Joint Photographic Expets Group)が使用されるものとする。ここで圧縮されたカラーモード対象ブロックのファイルサイズをCcompとする。
【0054】
次に、差分ブロック抽出部116は、白黒モード変換データで示される白黒モード画像から、対象ブロックに対応する一つのブロックを読み込む(S26)。ここで読み込まれたブロックを、白黒モード対象ブロックともいう。なお、ここで読み込まれるブロックは、ステップS24で読み込まれた対象ブロックと一致する位置のブロックであるものとする。
【0055】
次に、差分ブロック抽出部116は、白黒モード対象ブロックに、画像圧縮処理を実行する(S27)。ここで圧縮された白黒モード対象ブロックのファイルサイズをMcompとする。
【0056】
次に、差分ブロック抽出部116は、下記の(1)式を用いて、情報量減少量を算出する(S28)。
情報量減少量(%)=100-(Mcomp×100)÷Ccomp (1)
【0057】
次に、差分ブロック抽出部116は、算出された情報量減少量がユーザ設定閾値よりも大きいか否かを判断する(S29)。情報量減少量がユーザ設定閾値よりも大きい場合(S29でYes)には、処理はステップS30に進み、情報量減少量がユーザ設定閾値以下である場合(S29でNo)には、処理はステップS31に進む。
【0058】
ステップS30では、情報量減少量がユーザ設定閾値よりも大きく、画像が潰れていると判断されるため、差分ブロック抽出部116は、情報量減少量、カラーモード対象ブロック及び白黒モード対象ブロックの組み合わせを、情報減少量が大きい順にソートして、差分ブロック抽出データとして記憶しておく。そして、処理はステップS31に進む。
【0059】
ステップS31では、差分ブロック抽出部116は、カラーモード変換データで示されるカラーモード画像を分割した複数のブロックの全てが対象ブロックとして選択されたか否かを判断する。複数のブロックの全てが対象ブロックとして選択された場合(S31でYes)には、処理はステップS32へ進み、未だ対象ブロックとして選択されていないブロックが残っている場合(S31でNo)には、処理はステップS23に戻る。
【0060】
ステップS32では、差分ブロック抽出部116は、カラーモード変換データ、白黒モード変換データ及び差分ブロック抽出データを、プレビュー画像生成部120に与える。
【0061】
図9は、実施の形態1におけるプレビュー処理の流れを示すフローチャートである。
ここでは、まず、表示部123に表示されるプレビュー画面画像を説明する。
【0062】
図10は、実施の形態1におけるプレビュー画面画像の一例を示す概略図である。
図10に示されているように、プレビュー画面画像151は、通常画像形成情報表示領域としての通常印刷情報表示領域151aと、節約画像形成情報表示領域としての節約印刷情報表示領域151bと、プレビュー更新指示入力領域としてのプレビュー更新ボタン151cと、通常印刷開始指示入力領域(通常画像形成開始指示入力領域)としての通常印刷開始ボタン151dと、節約印刷開始指示入力領域(節約画像形成指示入力領域)としての節約印刷開始ボタン151eとを備える。
【0063】
通常印刷情報表示領域151aは、実施の形態1における通常印刷モードであるフルカラー印刷モードで印刷される画像に関する情報を表示する。ここでは、通常印刷情報表示領域151aは、フルカラー印刷モードで印刷を行った場合のトナー使用量を表示するトナー使用量表示領域151a#1と、ユーザ設定閾値を超えたフルカラーモード対象ブロックを表示する画像表示領域151a#2とを備える。
【0064】
節約印刷情報表示領域151bは、実施の形態1における節約印刷モードである白黒印刷モードで印刷される画像に関する情報を表示する。ここでは、節約印刷情報表示領域151bは、白黒印刷モードで印刷を行った場合のトナー使用量を表示するトナー使用量表示領域151b#1と、ユーザ設定閾値を超えた白黒モード対象ブロックを表示する画像表示領域151b#2と、情報量減少量を表示する情報量減少量表示領域151b#3とを備える。
【0065】
プレビュー更新ボタン151cは、通常印刷情報表示領域151aに含まれている画像表示領域151a#2に表示されるフルカラーモード対象ブロック、及び、節約印刷情報表示領域151bに含まれている画像表示領域151b#2に表示される白黒モード対象ブロックを、別のブロックに更新する指示を入力する領域である。
【0066】
画像表示領域151a#2及び画像表示領域151b#2には、情報量減少量が大きい順に、フルカラーモード対象ブロック及び白黒モード対象ブロックが表示されるため、入力部117を介して、プレビュー更新ボタン151cを選択した実行指示の入力が行われると、現在表示されているフルカラーモード対象ブロック及び白黒モード対象ブロックの次に情報量減少量が大きいフルカラーモード対象ブロック及び白黒モード対象ブロックが通常印刷情報表示領域151a及び節約印刷情報表示領域151bに表示される。
【0067】
通常印刷開始ボタン151dは、実施の形態1における通常印刷モードであるフルカラー印刷モードでの印刷を指示する通常画像形成開始指示入力領域である。入力部117を介して、通常印刷開始ボタン151dを選択した実行指示の入力が行われた場合には、印刷データ記憶部114に記憶されているフルカラー印刷データに基づいて、印刷が実行される。
【0068】
節約印刷開始ボタン151eは、実施の形態1における節約印刷モードである白黒印刷モードでの印刷を指示する節約画像形成開始指示入力領域である。入力部117を介して、節約印刷開始ボタン151eを選択した実行指示の入力が行われた場合には、印刷データ記憶部114に記憶されている白黒印刷データに基づいて、印刷が実行される。
【0069】
以上のようなプレビュー画面画像151を表示する例を、図9を用いて説明する。
まず、プレビュー表示処理部121は、節約量算出部115により算出された、フルカラー印刷データで使用されるトナー量を、トナー使用量としてトナー使用量表示領域151a#1に表示し、白黒印刷データで使用されるトナー量を、トナー使用量としてトナー使用量表示領域151b#1に表示する(S40)。
【0070】
次に、プレビュー画像生成部120は、未だ表示を行っていない差分ブロック抽出データから、最も情報量減少量が大きい差分ブロック抽出データを対象差分ブロック抽出データとして特定する(S41)。
【0071】
次に、プレビュー画像生成部120は、対象差分ブロック抽出データに組み合わされているカラーモード対象ブロック及び白黒モード対象ブロックを、画像表示領域151a#2及び画像表示領域151b#2のサイズ及び解像度に変換することで、画像表示領域151a#2及び画像表示領域151b#2に表示するそれぞれの画像を比較プレビュー画像として生成する(S42)。ここでは、例えば、縦×横=6cm×4cm、及び、解像度=72dpiの画像に変換される。カラーモード対象ブロック及び白黒モード対象ブロックのサイズが表示できるサイズであれば、解像度のみが変換されてもよい。
【0072】
そして、プレビュー画像生成部120は、ステップS42で生成された比較プレビュー画像を、プレビュー表示処理部121に与え、プレビュー表示処理部121は、比較プレビュー画像をそれぞれ画像表示領域151a#2及び画像表示領域151b#2に表示し、さらに、対象差分ブロック抽出データに組み合わされている情報量減少量を情報量減少量表示領域151b#3に表示する(S43)。
【0073】
次に、プレビュー画像生成部120は、入力部117を介して、ユーザがプレビュー更新ボタン151cを選択した実行指示の入力を行ったか否かを判断する(S44)。そのような実行指示の入力が行われ場合(S44でYes)には、処理はステップS45に進む。
【0074】
ステップS45では、プレビュー画像生成部120は、未だ表示を行っていない差分ブロック抽出データがあるか否かを判断する。そのような差分ブロック抽出データがある場合(S45でNo)には、処理はステップS41に戻り、差分ブロック抽出データがない場合(S45でYes)には、処理は終了する。
【0075】
図11(A)及び(B)は、差分ブロック抽出部116により、比較プレビュー表示の対象となるブロック例を示す概略図である。図12(A)及び(B)は、差分ブロック抽出部116により、比較プレビュー表示の対象とならないブロック例を示す概略図である。
【0076】
図11(A)に示されているようなフルカラーモード対象ブロックを、図11(B)に示されているような白黒モード対象ブロックのように変換されると、画像が潰れ、情報量減少量は大きくなる。
一方、図12(A)に示されているようなフルカラーモード対象ブロックを、図12(B)に示されているような白黒モード対象ブロックのように変換されても、画像が潰れていないため、情報減少量は大きくならない。
以上により、画像が潰れるブロックのみを差分ブロック抽出部116により抽出することができる。これにより、ページ全体から画像が潰れてしまう部分をピックアップしてプレビュー表示することができ、ユーザによる品質重視で印刷するか、節約重視で印刷するかの判断を容易にすることができる。
【0077】
以上に記載された実施の形態1では、ユーザがプレビュー開始ボタン150b(図5参照)を押下することによって、プレビュー表示処理が開始されているが、印刷対象ファイルが指定されていれば、任意のタイミングでプレビュー表示処理が開始されてもよい。
【0078】
実施の形態1では、ユーザが入力したプレビュー表示閾値を使用したが、予め定められているプレビュー表示閾値が使用されてもよい。
【0079】
実施の形態1では、画像圧縮方法としてJPEGが使用されているが、他の画像圧縮方法が使用されてもよい。
【0080】
実施の形態2.
図1に示されているように、実施の形態2における印刷システム200は、PC101と、実施の形態2に係る画像形成装置としてのプリンタ210とを備える。
実施の形態2における印刷システム200のPC101は、実施の形態1における印刷システム100のPC101と同様である。
【0081】
図2に示されているように、実施の形態2に係るプリンタ210は、通信部111と、印刷要求受付部112と、印刷データ生成部213と、印刷データ記憶部214と、節約量算出部215と、差分ブロック抽出部216と、入力部117と、プレビュー設定部218と、プレビュー制御部219と、プレビュー画像生成部220と、プレビュー表示処理部221と、表示部123と、印刷開始指定部124と、印刷部125とを有する。
なお、実施の形態2でも、プレビュー画像生成部220及びプレビュー表示処理部221により、プレビュー画面画像生成部222が構成される。
【0082】
実施の形態2に係るプリンタ210の通信部111、印刷要求受付部112、入力部117と、表示部123、印刷開始指定部124及び印刷部125は、実施の形態1に係るプリンタ110の通信部111、印刷要求受付部112、入力部117と、表示部123、印刷開始指定部124及び印刷部125と同様である。
【0083】
印刷データ生成部213は、二つの画像形成モードである二つの印刷モードでの印刷データを生成する。ここでの二つの印刷モードは、通常画像形成モードとしての通常印刷モードと、印刷に使用する材料の使用量を低減した節約画像形成モードとしての節約印刷モードであるものとする。
【0084】
実施の形態2においては、通常印刷モードは、印刷原データに設定されている1ページの画像を一枚の媒体に印刷する通常サイズ画像形成モードとしての通常サイズ印刷モードである。
一方、節約印刷モードは、印刷原データに設定されている複数ページの画像を一枚の媒体に印刷する複数ページ画像形成モードとしての複数ページ印刷モードである。以下の説明では、節約印刷モードは、印刷原データにおける四つの画像を一枚の媒体に形成する4up縮小印刷モードであるものとして説明するが、節約印刷モードは、このような例に限定されるものではない。
【0085】
従って、実施の形態2における印刷データ生成部213は、通常サイズ画像形成データである通常サイズ印刷データ及び複数ページ画像形成データである複数ページ印刷データ(ここでは、4up縮小印刷データ)を生成する。通常サイズ印刷データ及び複数ページ印刷データは、印刷データ記憶部214に与えられる。
【0086】
ここで、実施の形態2でも、通常画像形成モードを第1の画像形成モードともいい、節約画像形成モードを第2の画像形成モードともいう。従って、印刷データ生成部213は、オリジナルの画像を示す画像形成原データから、第1の画像形成モードで形成する画像である第1の画像を示す第1の画像形成データと、第2の画像形成モードで形成する画像である第2の画像を示す第2の画像形成データとを生成する画像形成データ生成部として機能する。
実施の形態2では、第1の画像形成モードは、画像形成原データにおける1ページを一つの媒体に形成するモードであり、第2の画像形成モードは、画像形成原データにおける複数ページを一つの媒体に形成するモードである。
【0087】
印刷データ記憶部214は、生成された二つの印刷データである通常サイズ印刷データ及び複数ページ印刷データを記憶する。
【0088】
節約量算出部215は、印刷データ記憶部114に記憶されている二つの印刷データのそれぞれの使用するトナー量と、それぞれで印刷される媒体の枚数とを算出する。
言い換えると、実施の形態2では、節約量算出部215は、第1の画像形成データにおける媒体の使用量である第1の使用量、及び、第2の画像形成データにおける媒体の使用量である第2の使用量を算出する使用量算出部として機能する。
【0089】
差分ブロック抽出部216は、印刷データ記憶部214に記憶されている二つの印刷データで示される二つの画像のそれぞれを、対応する部分を示すように複数のブロックに分割する。
そして、差分ブロック抽出部216は、その二つの印刷データのそれぞれから分割された対応するブロック毎に比較し、印刷品質が劣化するブロックを抽出する。実施の形態2では、差分ブロック抽出部216は、印刷品質が劣化するブロックとして、文字が潰れてしまうブロックを抽出する。言い換えると、通常サイズ印刷データを、複数ページ印刷データに変換することによって、文字が潰れてしまうブロックを抽出する。
【0090】
言い換えると、差分ブロック抽出部216は、第1の画像及び第2の画像のそれぞれを複数のブロックで分割し、その第1の画像から分割された一つのブロックである第1のブロックと、その第2の画像から分割され、第1のブロックに対応する一つのブロックである第2のブロックとの組み合わせの中から、画像品質が劣化すると判断される組み合わせを特定して、その組み合わせを抽出するブロック特定部として機能する。なお、実施の形態2では、差分ブロック抽出部216は、第1のブロックに含まれている文字に対して、第2のブロックに含まれている文字が潰れていると判断される場合に、画像品質が劣化すると判断する。具体的には、差分ブロック抽出部216は、第1のブロックから一つの文字のみを含む第1の文字部分と、第2のブロックからその一つの文字に対応する一つの文字のみを含む第2の文字部分と、を切り出す。そして、差分ブロック抽出部216は、第1の文字部分において画素値が大きく変化する変化点数と、第2の文字部分において画素値が大きく変化する変化点数との差が予め定められた数を超える場合を潰れ文字数として計数し、その潰れ文字数が予め定められた閾値を超えるときに、第1のブロックに含まれている文字に対して、第2のブロックに含まれている文字が潰れていると判断する。
【0091】
ここで、差分ブロック抽出部216は、第1のブロックを二値化した第1の二値化画像におけるエッジの数と、第2のブロックを二値化した第2の二値化画像のエッジの数とを、変化点数として計数してもよく、第1のブロックにおいて輝度又は濃度が大きく変化する画素の数と、第2のブロックにおいて輝度又は濃度が大きく変化する画素の数とを、変化点数として計数してもよい。
【0092】
プレビュー設定部218は、入力部117を介して、プレビュー開始の指示の入力を受け取る。
プレビュー制御部219は、ユーザからプレビュー開始の命令を受け取ると、処理を開始するように印刷データ生成部213に指示する。
【0093】
プレビュー画像生成部220は、文字が潰れてしまうブロックの比較プレビュー画像を生成する。ここで生成される比較プレビュー画像には、通常サイズ印刷データ及び複数ページ印刷データのそれぞれの対象ブロックが含まれる。比較プレビュー画像は、プレビュー表示処理部221に与えられる。
【0094】
プレビュー表示処理部221は、文字が潰れてしまうブロックを含む比較プレビュー画像、画像形成枚数である印刷枚数、及び、使用されるトナー量を表示部123に表示させる。
また、プレビュー表示処理部221は、入力部117がユーザからのプレビュー画面更新の要求の入力を受け付けると、比較プレビュー画像を更新する。
【0095】
実施の形態2に係るプリンタ210の全体的な動作は、図4に示されている、実施の形態1に係るプリンタ110の全体的な動作とほぼ同様である。
以下、実施の形態2に係るプリンタ210の動作と、実施の形態1に係るプリンタ110の動作との相違点について、主に説明する。
【0096】
図13は、プレビュー開始の指定に使用するユーザインターフェイスの画面画像の一例を示す概略図である。
プレビュー表示開始画面画像250は、プレビュー開始入力領域としてのプレビュー開始ボタン150bを有する。
【0097】
プレビュー開始ボタン150bは、ユーザからプレビュー開始の命令の入力を受け付ける。プレビュー開始ボタン150bを選択した実行指示の入力が行われると、プレビュー設定部218に、プレビュー開始の命令が通知され、比較プレビューの画面画像が表示される。
【0098】
図14は、実施の形態2における差分ブロック抽出処理を示すフローチャートである。
差分ブロック抽出部216は、印刷データ記憶部214に記憶されている通常サイズ印刷データを読み出し、その通常サイズ印刷データを、表示用のデータである通常サイズ変換データに変換する(S50)。ここでは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各画素1bitのビットマップデータである通常サイズ印刷データを、レッド、グリーン及びブルーの各画素8bitのビットマップデータである通常サイズ変換データに変換する。
【0099】
次に、差分ブロック抽出部216は、印刷データ記憶部214に記憶されている複数ページ印刷データを読み出し、その複数ページ印刷データを、表示用のデータである複数ページ変換データに変換する(S51)。ここでは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各画素1bitのビットマップデータである複数ページ印刷データを、レッド、グリーン及びブルーの各画素8bitのビットマップデータである複数ページ変換データに変換する。
【0100】
次に、差分ブロック抽出部216は、通常サイズ変換データで示される画像である通常サイズ画像と、複数ページ変換データで示される画像である複数ページ画像とのそれぞれを、予め定められた複数のブロックに分割する(S52)。
【0101】
図15(A)及び(B)は、通常サイズ画像のブロック分割を説明するための概略図であり、図16(A)及び(B)は、複数ページ画像のブロック分割を説明するための概略図である。
【0102】
図15(A)は、通常サイズ画像の一例を示している。
図15(B)は、図15(A)に示されている通常サイズ画像を複数のブロックで分割した例を示している。
図16(A)は、複数ページ画像の一例を示している。
図16(B)は、図16(A)に示されている複数ページ画像を複数のブロックで分割した例を示している。
【0103】
図15(B)に示されているように、通常サイズ画像は、複数のブロックで分割される。一つのブロックは、予め定められたサイズ、例えば、縦×横=6cm×4cmであるものとし、隣接するブロック同士が、予め定められた余白サイズ、例えば、1cmで重複されているものとする。なお、一つのブロックのサイズは、表示部123において、等倍サイズで表示できるサイズであることが望ましい。
【0104】
図16(B)に示されているように、複数ページ画像は、通常サイズ画像に対応するページの部分が、その通常サイズ画像が分割されたブロックに対応するように、複数のブロックで分割される。一つのブロックは、通常サイズ画像の対応する部分のブロックと一致するように、縮小されたサイズとなる。ここでは、複数ページ印刷データが4up縮小印刷データとなっているため、縦、横及び余白の長さが、通常サイズ画像のブロックに対して2分の1となるようにされている。言い換えると、通常サイズ画像を、複数ページ画像に変換する際の1ページの縮小率で、ブロックも縮小される。
【0105】
図14に戻り、以下のステップS53~S63の処理は、複数のブロックから一つずつ選択されたブロックである対象ブロックについて実行される。
【0106】
差分ブロック抽出部216は、通常サイズ変換データで示される通常サイズ画像を分割した複数のブロックの内、未だ対象ブロックとして選択されていないブロックを、対象ブロックとして選択する(S53)。
【0107】
次に、差分ブロック抽出部216は、通常サイズ変換データで示される通常サイズ画像から、対象ブロックを読み込む(S54)。ここで読み込まれた対象ブロックを、通常サイズ対象ブロックともいう。
【0108】
次に、差分ブロック抽出部216は、通常サイズ対象ブロックを白黒二値の画像に変換することで、白黒二値データを生成する(S55)。ここで生成された白黒二値データを通常サイズ白黒二値データともいう。
【0109】
次に、差分ブロック抽出部216は、通常サイズ白黒二値データで示される画像から、文字領域を抽出し、抽出された文字領域から一文字ずつ文字を切り出す(S56)。ここで、文字領域の抽出方法、及び、文字領域からの文字の切り出し方法については、公知の方法が使用されればよい。例えば、文字領域は、その他の描画領域よりもエッジの数が多くなるため、エッジの数が多い領域を文字領域として抽出することができる。また、文字には、その周囲に空白ができるため、空白に囲まれた部分により文字を切り出すことができる。
【0110】
次に、差分ブロック抽出部216は、複数ページ変換データで示される複数ページ画像から、対象ブロックに対応するブロックを読み込む(S57)。ここで読み込まれたブロックを、複数ページ対象ブロックともいう。
【0111】
次に、差分ブロック抽出部216は、複数ページ対象ブロックを白黒二値の画像に変換することで、白黒二値データを生成する(S58)。ここで生成された白黒二値データを複数ページ白黒二値データともいう。
【0112】
次に、差分ブロック抽出部216は、複数ページ白黒二値データで示される画像から、文字領域を抽出し、抽出された文字領域から一文字ずつ文字を切り出す(S59)。ここで、文字領域の抽出方法、及び、文字領域からの文字の切り出し方法については、上記と同様、公知の方法が使用されればよい。
【0113】
次に、差分ブロック抽出部216は、通常サイズ白黒二値データ及び複数ページ白黒二値データから切り出された文字を用いて、潰れ文字数を算出する(S60)。ここでの処理については、図17を用いて詳細に説明する。
【0114】
次に、差分ブロック抽出部216は、算出された潰れ文字数が予め定められた閾値よりも大きいか否かを判断する(S61)。潰れ文字数が閾値よりも大きい場合(S61でYes)には、処理はステップS62に進み、潰れ文字数が閾値以下である場合(S61でNo)には、処理はステップS63に進む。
【0115】
ステップS62では、潰れ文字数が閾値よりも大きく、文字が潰れていると判断されるため、差分ブロック抽出部216は、通常サイズ印刷データ及び複数ページ印刷データのそれぞれの印刷枚数、通常サイズ対象ブロック及び複数ページ対象ブロックの組み合わせを、潰れ文字数が多い順にソートして、差分ブロック抽出データとして記憶しておく。そして、処理はステップS63に進む。
【0116】
ステップS63では、差分ブロック抽出部216は、通常サイズ変換データで示される通常サイズ画像を分割した複数のブロックの全てが対象ブロックとして選択されたか否かを判断する。複数のブロックの全てが対象ブロックとして選択された場合(S63でYes)には、処理はステップS64へ進み、未だ対象ブロックとして選択されていないブロックが残っている場合(S63でNo)には、処理はステップS53に戻る。
【0117】
ステップS64では、差分ブロック抽出部216は、通常サイズ変換データ、複数ページ変換データ及び差分ブロック抽出データを、プレビュー画像生成部220に与える。
【0118】
図17は、潰れ文字数を算出する処理を示すフローチャートである。
図17に示されたフローチャートでは、通常サイズ対象ブロックから切り出された一文字毎に、ステップS70~S74までの処理が行われる。
【0119】
まず、差分ブロック抽出部216は、通常サイズ対象ブロックから切り出された一文字を通常サイズ文字として、その通常サイズ文字の縦方向の各列の変化点数、及び、横方向の各行の変化点数を特定する(S70)。変化点数は、画素が白から黒、又は、黒から白に変化する回数を示す。
【0120】
図18は、通常サイズ文字の変化点数の特定例を示す概略図である。
図18に示されているように、差分ブロック抽出部216は、通常サイズ文字の縦方向の各列の変化点数、及び、横方向の各行の変化点数を特定する。
【0121】
次に、差分ブロック抽出部216は、複数ページ対象ブロックから切り出された複数の文字の内、通常サイズ文字に対応する位置から切り出された一文字を縮小サイズ文字として、その縮小サイズ文字の縦方向の各列の変化点数、及び、横方向の各行の変化点数を特定する(S71)。
【0122】
図19は、縮小サイズ文字の変化点数の特定例を示す概略図である。
図19に示されているように、差分ブロック抽出部216は、縮小サイズ文字の縦方向の各列の変化点数、及び、横方向の各行の変化点数を特定する。
【0123】
次に、差分ブロック抽出部216は、縮小サイズ文字から特定された縦方向の各列の変化点数の数及び横方向の各行の変化点数の数が、それぞれ、通常サイズ文字から特定された縦方向の各列の変化点数の数及び横方向の各行の変化点数の数と同数となるように、縮小サイズ文字から特定された縦方向の各列の変化点数及び横方向の各行の変化点数を補間する。
【0124】
ここでは、例えば、図20に示されているように、縮小サイズ文字から特定された縦方向の各列の変化点数を、隣接する列(図20の例では、右隣の列)の変化点数とすることで、補間が行われている。
また、縮小サイズ文字から特定された横方向の各行の変化点数についても、図21に示されているように、縮小サイズ文字から特定された横方向の各行の変化点数を、隣接する行(図21の例では、下の列)の変化点数とすることで、補間が行われている。
【0125】
次に、差分ブロック抽出部216は、通常サイズ文字の縦方向の変化点数と、補間後の縮小サイズ文字の縦方向の変化点数との差分を、列毎に算出するとともに、通常サイズ文字の横方向の変化点数と、補間後の縮小サイズ文字の横方向の変化点数との差分を、行毎に算出する(S73)。
【0126】
そして、差分ブロック抽出部216は、列毎の差分及び行毎の差分の各々を予め定められた閾値と比較して、その閾値を超えている差分がある場合には、縮小サイズ文字が潰れていると判断して、潰れ文字数をカウントアップする(S74)。なお、潰れ文字数の初期値は、「0」であるものとする。
【0127】
図22は、実施の形態2におけるプレビュー処理の流れを示すフローチャートである。
ここでは、まず、表示部123に表示されるプレビュー画面画像を説明する。
【0128】
図23は、プレビュー画面画像の一例を示す概略図である。
図23に示されているように、プレビュー画面画像251は、通常印刷情報表示領域251aと、節約印刷情報表示領域251bと、プレビュー更新指示入力領域としてのプレビュー更新ボタン251cと、通常印刷開始指示入力領域としての通常印刷開始ボタン251dと、節約印刷開始指示入力領域としての節約印刷開始ボタン251eとを備える。
【0129】
通常印刷情報表示領域251aは、実施の形態2における通常印刷モードである通常サイズ印刷モードで印刷される画像に関する情報を表示する。ここでは、通常印刷情報表示領域251aは、通常サイズ印刷モードで印刷を行った場合のトナー使用量を表示するトナー使用量表示領域251a#1と、通常サイズ印刷モードで印刷を行った場合の印刷枚数を表示する印刷枚数表示領域251a#2と、予め定められた閾値を超えた潰れ文字数を含む通常サイズ対象ブロックを表示する画像表示領域251a#3とを備える。
【0130】
節約印刷情報表示領域251bは、実施の形態2における節約印刷モードである複数ページ印刷モードで印刷される画像に関する情報を表示する。ここでは、節約印刷情報表示領域251bは、複数ページ印刷モードで印刷を行った場合のトナー使用量を表示するトナー使用量表示領域251b#1と、複数ページ印刷モードで印刷を行った場合の印刷枚数を表示する印刷枚数表示領域251b#2と、予め定められた閾値を超えた潰れ文字数を含む複数ページ対象ブロックを表示する画像表示領域251b#3とを備える。
【0131】
プレビュー更新ボタン251cは、通常印刷情報表示領域251aに含まれている画像表示領域251a#3に表示される通常サイズ対象ブロック、及び、節約印刷情報表示領域251bに含まれている画像表示領域251b#3に表示される複数ページ対象ブロックを、別のブロックに更新する指示を入力する領域である。
【0132】
画像表示領域251a#3及び画像表示領域251b#3には、潰れ文字数が多い順に、通常サイズ対象ブロック及び複数ページ対象ブロックが表示されるため、入力部117を介して、プレビュー更新ボタン251cを選択した実行指示の入力が行われると、現在表示されている画像の通常サイズ対象ブロック及び複数ページ対象ブロックの次に潰れ文字数が多い通常サイズ対象ブロック及び複数ページ対象ブロックが通常印刷情報表示領域251a及び節約印刷情報表示領域251bに表示される。
【0133】
通常印刷開始ボタン251dは、実施の形態2における通常印刷モードである通常サイズ印刷モードでの印刷を指示する通常画像形成開始指示入力領域である。入力部117を介して、通常印刷開始ボタン251dを選択した実行指示の入力が行われた場合には、印刷データ記憶部214に記憶されている通常サイズ印刷データに基づいて、印刷が実行される。
【0134】
節約印刷開始ボタン251eは、実施の形態2における節約印刷モードである複数ページ印刷モードでの印刷を指示する節約画像形成開始指示入力領域である。入力部117を介して、節約印刷開始ボタン251eを選択した実行指示の入力が行われた場合には、印刷データ記憶部214に記憶されている複数ページ印刷データに基づいて、印刷が実行される。
【0135】
以上のようなプレビュー画面画像251を表示する例を、図22を用いて説明する。
まず、プレビュー表示処理部221は、節約量算出部215により算出された、通常サイズ印刷データで使用されるトナー量を、トナー使用量としてトナー使用量表示領域251a#1に表示し、通常サイズ印刷データにおける印刷枚数を印刷枚数表示領域251a#2に表示し、複数ページ印刷データで使用されるトナー量を、トナー使用量としてトナー使用量表示領域251b#1に表示し、複数ページ印刷データにおける印刷枚数を印刷枚数表示領域251b#2に表示する(S80)。
【0136】
次に、プレビュー画像生成部220は、未だ表示を行っていない差分ブロック抽出データから、最も潰れ文字数が多い差分ブロック抽出データを対象差分ブロック抽出データとして特定する(S81)。
【0137】
次に、プレビュー画像生成部220は、対象差分ブロック抽出データに組み合わされている通常サイズ対象ブロック及び複数ページ対象ブロックを、画像表示領域251a#3及び画像表示領域251b#3のサイズ及び解像度に変換することで、画像表示領域251a#3及び画像表示領域251b#3に表示するそれぞれの画像を比較プレビュー画像として生成する(S82)。ここでは、例えば、縦×横=6cm×4cm、及び、解像度=72dpiの画像に変換される。通常サイズ対象ブロック及び複数ページ対象ブロックのサイズが表示できるサイズであれば、解像度のみが変換されてもよい。
【0138】
そして、プレビュー画像生成部220は、ステップS82で生成された画像を、プレビュー表示処理部221に与え、プレビュー表示処理部221は、比較プレビュー画像を、それぞれ画像表示領域251a#3及び画像表示領域251b#3に表示する(S83)。
【0139】
次に、プレビュー画像生成部220は、入力部117を介して、ユーザがプレビュー更新ボタン251cを選択した実行指示の入力を行ったか否かを判断する(S84)。そのような実行指示の入力が行われ場合(S84でYes)には、処理はステップS85に進む。
【0140】
ステップS85では、プレビュー画像生成部220は、未だ表示を行っていない差分ブロック抽出データがあるか否かを判断する。そのような差分ブロック抽出データがある場合(S85でNo)には、処理はステップS81に戻り、差分ブロック抽出データがない場合(S85でYes)には、処理は終了する。
【0141】
図24(A)及び(B)は、通常サイズ印刷データにおける文字と、複数ページ印刷データにおける文字との第1の比較例を示す概略図である。
図25(A)及び(B)は、図24(A)及び(B)のそれぞれの縦方向の各列の変化点数の差分及び横方向の各行の変化点数の差分の第1の例を示す概略図である。
【0142】
図24(B)に示されている文字は、図24(A)に示されている文字を、縮小して、図24(A)に示されている文字と同じ大きさに拡大したものである。図24(A)及び(B)に示されているように、文字の縮小を行うことで、文字が潰れている場合には、変化点数の差分は、図25(A)及び(B)に示されているように大きなものとなる。このため、予め定められた閾値と比較すると、図24(A)及び(B)に示されているケースは、潰れ文字として判断される。
【0143】
図26(A)及び(B)は、通常サイズ印刷データにおける文字と、複数ページ印刷データにおける文字との第2の比較例を示す概略図である。
図27(A)及び(B)は、図26(A)及び(B)のそれぞれの縦方向の各列の変化点数の差分及び横方向の各行の変化点数の差分の第2の例を示す概略図である。
【0144】
図26(B)に示されている文字は、図26(A)に示されている文字を、縮小して、図26(A)に示されている文字と同じ大きさに拡大したものである。図26(A)及び(B)に示されているように、文字の縮小が行われても、文字が潰れていない場合には、変化点数の差分は、図27(A)及び(B)に示されているように小さなものとなる。このため、予め定められた閾値と比較すると、図26(A)及び(B)に示されているケースは、潰れ文字として判断されない。
【0145】
以上のように、実施の形態2によれば、差分ブロック抽出部216は、フォントサイズに関わらず、文字が潰れる場合のみを抽出することができる。これにより、ページ全体から文字が潰れてしまう部分をピックアップしてプレビュー表示することができ、ユーザは、品質重視で印刷するか、節約重視で印刷するかの判断を容易におこなうことができる。
【0146】
実施の形態2では、ユーザがプレビュー開始ボタンを押下することによって、プレビュー処理を開始したが、印刷対象ファイルが指定されていれば、任意のタイミングでプレビュー処理を開始しても構わない。
【0147】
実施の形態2では、文字が潰れていると判定する閾値を予め定められた値を利用したが、ユーザが入力した閾値が使用されても構わない。
【0148】
実施の形態2では、ブロック単位でプレビュー表示したが、文字単位でプレビュー表示が行われてもよい。
【0149】
実施の形態2では、変化点数として、生成された白黒二値データの白から黒、黒から白に変化する回数を使用したが、各画素間で輝度又は濃度が大きく変化した回数を変化点数としてもよい。
【0150】
以上に記載された実施の形態1及び2では、印刷データを表示系のデータに変換してから複数のブロックに分割している(図6のステップS20~S22、及び、図14のステップS50~S52)が、実施の形態1及び2は、このような例に限定されない。例えば、そのような変換を行わずに複数のブロックに分割が行われて、画像品質が劣化するか否かが判断されてもよい。この場合には、プレビュー画面画像を表示する段階、例えば、図9のステップS42、及び、図22のステップS82において、表示系のデータへの変換が行われてもよい。
【0151】
また、以上に記載された実施の形態1及び2では、オペレーションパネル102にプレビュー画面画像が表示されているが、実施の形態1及び2は、このような例に限定されるものではない。例えば、PC101が有するディスプレイ等の表示部(図示せず)に、プレビュー画面画像が表示され、PC101が有するキーボード又はマウス等の入力部(図示せず)を介して、ユーザからの各種入力を受け付けてもよい。
【符号の説明】
【0152】
100,200 印刷システム、 101 PC、 102 オペレーションパネル、 110,210 プリンタ、 111 通信部、 112 印刷要求受付部、 113,213 印刷データ生成部、 114 印刷データ記憶部、 115 節約量算出部、 116 差分ブロック抽出部、 117 入力部、 118 プレビュー設定部、 119 プレビュー制御部、 120 プレビュー画像生成部、 121 プレビュー表示処理部、 122 プレビュー画面画像生成部、 123 表示部、 124 印刷開始指定部、 125 印刷部。
図1
図2
図3
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図5
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