IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 光精工株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-冷却装置および冷却システム 図1
  • 特開-冷却装置および冷却システム 図2
  • 特開-冷却装置および冷却システム 図3
  • 特開-冷却装置および冷却システム 図4
  • 特開-冷却装置および冷却システム 図5
  • 特開-冷却装置および冷却システム 図6
  • 特開-冷却装置および冷却システム 図7
  • 特開-冷却装置および冷却システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163586
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】冷却装置および冷却システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 21/02 20060101AFI20231102BHJP
   H02B 1/56 20060101ALI20231102BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
F25B21/02 K
H02B1/56
H05K7/20 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074573
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】593146017
【氏名又は名称】光精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(72)【発明者】
【氏名】西村 憲一
(72)【発明者】
【氏名】西村 昌能
(72)【発明者】
【氏名】山本 啓二
(72)【発明者】
【氏名】山口 広伸
(72)【発明者】
【氏名】水谷 崇人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】鯖戸 雅貴
(72)【発明者】
【氏名】入舩 泰輝
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA11
5E322BB03
5E322DC01
5E322EA11
(57)【要約】
【課題】着脱や後付けが可能であり、かつ、筐体の壁体に通風穴を設けることなく、筐体内の空間の温度を低下させ得る冷却装置および冷却システムを提供する。
【解決手段】実施形態の冷却システムでは、外側ユニット20や内側ユニット50は、ペルチェモジュール43,63等、ヒートシンク41,61、ファン47,67、マグネット28a,58c等を備える。ペルチェモジュール43,63等は、直流電力が供給されると吸熱する吸熱面43a,63a等と発熱する発熱面43b,63b等とを有する。ヒートシンク41,61は、ペルチェモジュール43,63等の発熱面43b,吸熱面63aに平坦部41b,61bが熱結合し、ファン47,67は、ヒートシンク41,61のフィン41a,61aに接触させる空気を流通させる。マグネット28a,58c等は、ペルチェモジュール43,63等とヒートシンク41,61を筐体11に対して着脱自在に装着する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の壁体を有する筐体内の空間を冷却する冷却装置であって、
直流電力が供給されると吸熱する吸熱側と発熱する発熱側とを有する熱電変換部と、
前記熱電変換部の発熱側または吸熱側に一方面が熱結合する熱交換部と、
前記熱交換部の他方面に接触させるまたは接触した空気を流通させる送吸気部と、
少なくとも前記熱電変換部および前記熱交換部を前記筐体に対して着脱自在に装着する装着部と、を備え、
(1)前記熱電変換部の発熱側に前記熱交換部が熱結合している場合、前記熱電変換部の吸熱側が前記壁体の外面に熱結合可能に前記筐体に装着され、または、
(2)前記熱電変換部の吸熱側に前記熱交換部が熱結合している場合、前記熱電変換部の発熱側が前記壁体の内面に熱結合可能に前記筐体に装着される、
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却装置が前記(1)の前記壁体の前記外面に対して着脱自在に装着される外側冷却装置である場合において、
前記外側冷却装置に加えて、
一方面および他方面を有する熱交換部とこの熱交換部の他方面に接触させるまたは接触させた前記筐体内の空気を流通させる送吸気部と少なくともこの熱交換部を前記筐体に対して着脱自在に装着する装着部とを備え、この熱交換部の一方面を前記壁体の内面に熱結合可能に前記筐体に対して装着される内側冷却装置を含む、
ことを特徴とする冷却システム。
【請求項3】
請求項1に記載の冷却装置が前記(2)の前記壁体の前記内面に対して着脱自在に装着される内側冷却装置である場合において、
前記内側冷却装置に加えて、
一方面および他方面を有する熱交換部とこの熱交換部の他方面に接触させるまたは接触させた前記筐体外の空気を流通させる送吸気部と少なくともこの熱交換部を前記筐体に対して着脱自在に装着する装着部とを備え、この熱交換部の一方面を前記壁体の外面に熱結合可能に前記筐体に対して装着される外側冷却装置を含む、
ことを特徴とする冷却システム。
【請求項4】
前記壁体の前記外面と前記熱交換部の前記一方面との間には、直流電力が供給されると吸熱する吸熱側と発熱する発熱側とを有する別の熱電変換部が介在し、この別の熱電変換部の、前記吸熱側が前記外面に熱結合し、前記発熱側が前記一方面に熱結合し、
前記装着部は、前記別の熱電変換部も前記筐体に対して着脱自在に装着する、ことを特徴とする請求項3に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記内側冷却装置と前記外側冷却装置が前記壁体を挟んで対向するようにこれら両装置の装着位置を決める位置決め部を、前記内側冷却装置および/または前記外側冷却装置が備える、ことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御盤、配電盤や分電盤等の板状の壁体を有する筐体の内部空間を冷却する冷却装置および冷却システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
制御盤、配電盤や分電盤等の箱状の筐体内を冷却する装置として、例えば、下記特許文献1に開示される「盤用クーラ」がある。この盤用クーラは、配電盤等の電気機器収容ボックス([背景技術]や[発明が解決しようとする課題]の欄においては「盤」という)の外側に取り付けられて使用されるものであり、ペルチェ素子を有するペルチェユニットにより冷却された作動液をラジエータに循環させ、このラジエータで熱交換された冷風を冷却ファンにより盤内に送り込むことによって当該盤内を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-32754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示される盤用クーラは、盤の外側に取り付けられて使用されることから、その存在が人・物の移動や作業の邪魔になり得る。そのため、例えば、特定期間(盤内の温度が上昇し易い夏季等)だけ盤用クーラが必要になる作業環境では、その期間中だけ盤に盤用クーラを取り付けそれ以外は盤から盤用クーラを取り外したいという要望が出る可能性がある。また、特許文献1の図4,5に表されているように、当該盤用クーラでは、盤外のラジエータから盤内に冷風を送り込んだりラジエータに盤内の空気を取り込んだりするため、盤の側面や天井に複数の通風穴を形成する必要がある。
【0005】
しかし、特許文献1の盤用クーラでは、盤に取り付けた後にそれを取り外すことまでは技術的に検討されていない。そのため、構造上、盤用クーラを盤から取り外すことができなかったり、取り外すことはできても非常に煩雑な作業が伴ったりするという問題や、既存の盤に盤用クーラを後付けできない問題が生じ得る。また、盤用クーラを取り外した後の盤の側面や天井には、前述した複数の通風穴が形成されている。そのため、塵や埃等の異物の侵入を防ぐ必要がある場合には、盤用クーラを取り外した後にこのような複数の通風穴を塞ぐ作業も生じ得る。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、着脱や後付けが可能であり、かつ、筐体の壁体に通風穴を設けることなく、筐体内の空間の温度を低下させ得る冷却装置および冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載された請求項1の技術的手段を採用する。この手段によると、冷却装置は、熱電変換部、熱交換部、送吸気部および装着部を備える。熱電変換部は、直流電力が供給されると吸熱する吸熱側と発熱する発熱側とを有する。熱交換部は、この熱電変換部の発熱側または吸熱側に一方面が熱結合し、送吸気部は、この熱交換部の他方面に接触させる空気を流通させ、または当該他方面に接触した空気を流通させる。装着部は、少なくとも熱電変換部および熱交換部を筐体に対して着脱自在に装着する。これにより、熱電変換部および熱交換部を筐体に取り付けたり取り外したりすることが可能になる。また、既存の筐体に後付けすることも可能になる。
【0008】
さらに、(1)熱電変換部の発熱側に熱交換部が熱結合している場合、熱電変換部の吸熱側が筐体の壁体の外面に熱結合可能に少なくとも熱電変換部および熱交換部が筐体に装着されることによって、熱電変換部の吸熱側により壁体の外面から吸収された熱は、熱電変換部の発熱側が発した熱として、熱交換部を介して筐体外に放熱されることから、筐体の壁体の温度が下がる。また、(2)熱電変換部の吸熱側に熱交換部が熱結合している場合、熱電変換部の発熱側が筐体の壁体の内面に熱結合可能に少なくとも熱電変換部および熱交換部が筐体に装着されることによって、当該筐体内の空間において熱交換部を介して熱電変換部の吸熱側により吸収された熱は、熱電変換部の発熱側が発した熱として、壁体の内面から壁体の外面に伝わって筐体外に放熱される。そのため、上記(1)や(2)では、いずれも当該筐体内の空間の温度を低下させることが可能になる。
【0009】
また、特許請求の範囲に記載された請求項2の技術的手段を採用する。この手段によると、冷却システムは、請求項1に記載の冷却装置が上記(1)の壁体の外面に対して着脱自在に装着される外側冷却装置である場合において、この外側冷却装置に加えて、次のような内側冷却装置を含む。この内側冷却装置は、一方面および他方面を有する熱交換部と、この熱交換部の他方面に接触させる空気またはこの他方面に接触させた筐体内の空気を流通させる送吸気部と、少なくともこの熱交換部を筐体に対して着脱自在に装着する装着部とを備える。そして、この内側冷却装置は、このような熱交換部の一方面を壁体の内面に熱結合可能に、筐体に対して装着される。
【0010】
これにより、外側冷却装置では、熱電変換部の吸熱側により筐体の壁体の外面から吸収された熱は、熱電変換部の発熱側が発した熱として、熱交換部を介して筐体外に放熱されることから、筐体の壁体の温度が下がる。そのため、内側冷却装置は、このような壁体の内面に対してその熱交換部の一方面が熱結合可能に、筐体に装着されることによって、内側冷却装置の熱交換部の一方面も温度が下がる。したがって、内側冷却装置の熱交換部の他方面に接触する筐体内の空間内の空気は、熱が奪われて温度が低下することから、このような内側冷却装置を含まない場合に比べて、当該筐体内の空間の温度をさらに低下させることが可能になる。
【0011】
また、特許請求の範囲に記載された請求項3の技術的手段を採用する。この手段によると、冷却システムは、請求項1に記載の冷却装置が上記(2)の壁体の内面に対して着脱自在に装着される内側冷却装置である場合において、この内側冷却装置に加えて、次のような外側冷却装置を含む。この外側冷却装置は、一方面および他方面を有する熱交換部と、この熱交換部の他方面に接触させる空気または接触させた筐体外の空気を流通させる送吸気部と、少なくともこの熱交換部を筐体に対して着脱自在に装着する装着部とを備える。そして、この外側冷却装置は、このような熱交換部の一方面を壁体の外面に熱結合可能に、筐体に対して装着される。
【0012】
これにより、内側冷却装置では、筐体内の空間において熱交換部を介して熱電変換部の吸熱側により吸収された熱は、熱電変換部の発熱側が発した熱として、当該筐体の壁体の内面から壁体の外面に伝わることから、筐体の壁体の温度が上がるものの、このような壁体の外面に対して外側冷却装置の熱交換部の一方面が熱結合可能に、外側冷却装置が筐体に装着されることによって、筐体の壁体に伝わった熱は、さらに外側冷却装置の熱交換部の一方面に伝わる。そのため、熱交換部の一方面に伝わった熱は、外側冷却装置の熱交換部の他方面に筐体外の空気が接触することによって、熱交換部の他方面から筐体外に逃がすことが可能になる。したがって、内側冷却装置の熱電変換部の発熱側が発した熱は、筐体の壁体を介した経路に加えて、外側冷却装置の熱交換部を介した経路でも筐体外に逃げることから、このような外側冷却装置を含まない場合に比べて、内側冷却装置の熱電変換部の熱電変換効率を向上させることが可能になる。
【0013】
また、特許請求の範囲に記載された請求項4の技術的手段を採用する。この手段によると、請求項3に記載の冷却システムにおいて、壁体の外面と熱交換部の一方面との間には、直流電力が供給されると吸熱する吸熱側と発熱する発熱側とを有する別の熱電変換部が介在する。そして、この別の熱電変換部は、吸熱側が外面に熱結合し、発熱側が一方面がそれぞれ熱結合する。また、装着部は、熱交換部に加えて別の熱電変換部も筐体に対して着脱自在に装着する。
【0014】
これにより、内側冷却装置では、筐体内の空間において熱交換部を介して熱電変換部の吸熱側により吸収された熱は、熱電変換部の発熱側が発した熱として、当該筐体の壁体の内面から壁体の外面に伝わることから、筐体の壁体の温度が上がるものの、外側冷却装置では、別の熱電変換部の吸熱側によりこのような熱を壁体の外面から吸収して、別の熱電変換部の発熱側が発した熱として、熱交換部を介して筐体外に逃がすことが可能になる。したがって、内側冷却装置の熱電変換部の発熱側が発した熱は、筐体の壁体を介した経路に加えて、外側冷却装置の別の熱電変換部および熱交換部を介した経路でも筐体外に逃げることから、このような別の熱電変換部を有する外側冷却装置を含まない場合に比べて、内側冷却装置の熱電変換部の熱電変換効率をさらに向上させることが可能になる。
【0015】
また、特許請求の範囲に記載された請求項5の技術的手段を採用する。この手段によると、内側冷却装置と外側冷却装置が壁体を挟んで対向するようにこれら両装置の装着位置を決める位置決め部を、内側冷却装置および/または外側冷却装置が備える。なお、「および/または」は、「および」と「または」のいずれか一方を選択し得る表現である。これにより、内側冷却装置や外側冷却装置がこのような位置決め部を備えていない場合に比べて、壁体を挟んで存在する、外側冷却装置の熱電変換部(または内側冷却装置の熱電変換部)と内側冷却装置の熱交換部(または外側冷却装置の熱交換部)との間において、熱が伝達または伝導する距離(伝熱距離)を最短にすることが可能になる。また、外側冷却装置の別の熱電変換部と内側冷却装置の熱電変換部との間において、熱が伝達または伝導する距離(伝熱距離)を最短にすることが可能になる。そのため、これらの間における伝熱効率を向上させることが可能になる。したがって、内側冷却装置や外側冷却装置が備える熱電変換部(別の熱電変換部)の熱電変換効率を一層向上させることが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、熱電変換部および熱交換部を筐体に取り付けたり取り外したりすることが可能になる。また、既存の筐体に後付けすることも可能になる。さらに、(1)熱電変換部の発熱側に熱交換部が熱結合している場合や、(2)熱電変換部の吸熱側に熱交換部が熱結合している場合のいずれにおいても、筐体内の空間の温度を低下させることが可能になる。したがって、着脱や後付けが可能であり(着脱自在)、かつ、筐体の壁体に通風穴を設けることなく、筐体内の空間を冷却することができる。着脱自在であり熱電変換部および熱交換部を容易に取り付けたり取り外したりすることが可能であるため、筐体内の温度が上昇し易い夏季等の必要な期間以外には熱電変換部および熱交換部を取り外すことにより、これらが取り付けられている場合に比べて、人・物の移動や作業の邪魔になり難く、また当該筐体のメンテナンス作業や清掃作業等も容易に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る冷却システムを構成する外側ユニットおよび内側ユニットを制御盤の筐体に装着した状態で表した断面図である。
図2】本実施形態の冷却システムを構成する外側ユニットの構成例を示す図である。図2(A)は正面図である。図2(B)は背面図である。図2(C)は平面図である。図2(D)は底面図である。図2(E)は右側面図である。
図3】本実施形態の冷却システムを構成する内側ユニットの構成例を示す図である。図3(A)は正面図である。図3(B)は背面図である。図3(C)は平面図である。図3(D)は底面図である。図3(E)は右側面図である。
図4図4(A)は、本実施形態の冷却システムの電気的な構成例を示すブロック図である。図4(B)は、操作パネルの構成例を示す模式図である。
図5】本実施形態の冷却システムによる冷却動作の一例を示す概念図である。
図6】本発明の実施形態に係る冷却装置等による冷却効果の例を示す温度特性図である。図6(A)は冷却装置が装着されていない状態、図6(B)は制御盤の側板の内壁面に冷却装置としての内側ユニットが装着されている状態、図6(C)は側板の外壁面に冷却装置としての外側ユニットが装着されている状態、をそれぞれ示す温度特性図である。
図7】本発明の実施形態に係る冷却システム等による冷却効果の例を示す温度特性図である。図7(D)および図7(E)は、制御盤の側板の内壁面に内側冷却装置としての内側ユニットが装着されまた側板の外壁面に外側冷却装置としての外側ユニットが装着されている状態、図7(F)は、貫通孔が形成された側板に内側ユニットおよび外側ユニットが装着されている状態、をそれぞれ示す温度特性図である。
図8】本実施形態の冷却システムを構成する外側ユニットの改変例の構成例と動作例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の冷却装置および冷却システムの実施形態について図を参照して説明する。まず、本実施形態の冷却システム(以下「本冷却システム」という)の構成例を図1~4に基づいて説明する。図1には、本冷却システムを構成する外側ユニット20および内側ユニット50を制御盤10の筐体11(側板13)に装着した状態で表した断面図が図示されている。また、図2には、外側ユニット20の構成例を表した正面図等が図示されている。さらに、図3には、内側ユニット50の構成例を表した正面図等が図示されている。図4には、本冷却システムの電気的な構成を表したブロック図等が図示されている。
【0019】
なお、これらの図1~3において表されている座標系は、X軸方向が外側ユニット20および内側ユニット50が装着される側板13の板厚方向またはこれらのユニット20,50の厚さ方向、Y軸方向が側板13の平面方向またはこれらのユニット20,50の幅方向、Z軸方向が筐体11(側板13)の高さ方向またはこれらのユニット20,50の高さ方向、をそれぞれ示す。本実施形態では、制御盤10の筐体11は床面等に立設されることから、Z軸方向は筐体11の高さ方向であるとともに重力方向でもある。
【0020】
図1に示すように、本冷却システムは、外側ユニット20および内側ユニット50により構成されており、これらは、例えば、既に設備されている制御盤10の筐体11に装着されて、筐体11の内部空間SPを冷却する機能を有する。つまり、外側ユニット20と内側ユニット50は既存の制御盤10に後付けが可能な冷却システムを構成する。このような冷却対象である内部空間SPを有する制御盤10は一例であり、工場内等の作業空間内の床面に立設されたり柱に着設されたりしている。なお、図1に図示されている外側ユニット20や内側ユニット50の断面図は、これらのユニット20,50を図2図3に表されている一点鎖線で切断した場合に矢印Iの方向から見たときに現れる断面である。
【0021】
本実施形態では、制御盤10の筐体11は、矩形状を有する箱体であり、天板12、側板13、底板等により構成されている。例えば、外側ユニット20は側板13の外壁面13b(外面)に取り付けられ、内側ユニット50は側板13の内壁面13a(内面)に取り付けられる。なお、側板13は扉15である場合もある。筐体11の天板12、側板13、底板や扉15は、いずれも鉄製の鋼板(板状の壁体)により構成されていることが多いため、平坦な内壁面13aや外壁面13bを有し、外側ユニット20や内側ユニット50はこのような平坦面に磁石を介して装着される。また、筐体11内(内部空間SP)に電気配線等を引き込むための配線穴や通気穴等が予め形成されているものが多い。そのため、後述する所定配線は、このような配線穴や通気穴等から筐体11内に挿通される。
【0022】
<外側ユニット20>
図1および図2に示すように、外側ユニット20は、ケース21、ハンドル22、ブラケット23,24、ベースプレート25、サブプレート26、吸熱プレート27、4つのマグネット28a~28d、制御ユニット31、操作パネル32、電源ユニット36、温度センサ38、ヒートシンク41、5つのペルチェモジュール42~46、ファン47、フィルタ48等により構成されている。なお、外側ユニット20は、本発明の冷却装置や外側冷却装置の一実施形態に相当し得るものである。
【0023】
ケース21は、後述するように厚さ方向に積層されたヒートシンク41とファン47を収容可能な厚さを有し、正面視において幅方向両側の一部が狭い凸字形状の無底の箱体に形成されている(図2(A)参照)。本実施形態では、ケース21は、例えば、樹脂製や金属製であり、内外の通気を可能にする多数の通気スリットが正面パネルや側面パネルに、また所定配線を外部に引き出し得る配線穴21aが外側ユニット20の装着状態において重力方向下側に向く側面パネルに、それぞれ形成されている。ケース21の側面パネル内側には、ベースプレート25、サブプレート26や吸熱プレート27等をケース21に固定し得る樹脂製のブラケット23,24が取り付けられている。
【0024】
ハンドル22は、当該外側ユニット20を側板13等に取り付けたり取り外したりする際に使用者が手を掛け得るコ字形状に形成された樹脂製の把手である(図2(E)参照)。本実施形態では、ハンドル22は、例えば、ケース21の一部が狭くなった幅方向両側のそれぞれに設けられており、後述のサブプレート26に対してコ字形状の両端が接するようにサブプレート26に取り付けられて固定されている。なお、図2においては、左側面図は、図2(E)の右側面図を上下反転した線図として現れるため、図示を省略している。
【0025】
ベースプレート25は、ケース21の底板の役割を担う金属板であり、ケース21より一回り小さい凸字状に形成されている。ベースプレート25は、ブラケット23,24に取り付けられることによってケース21内において後述の電源ユニット36等を保持可能に構成されている。サブプレート26は、ベースプレート25と同様に吸熱プレート27よりも板厚が薄い短冊形状に形成された金属板であり、吸熱プレート27の幅方向両側から露出するように吸熱プレート27に取り付けられている。このサブプレート26には、前述したようにハンドル22が取り付けられる。
【0026】
吸熱プレート27は、ほぼ正方形状を有するアルミニウム製の厚板であり、後述するように、内側面はペルチェモジュール42~46の吸熱面42a~46aに密着し、外側面は側板13の外壁面13bに接し得るものである。吸熱プレート27の四隅付近には4つの有底穴が形成されており、これらの有底穴に後述のマグネット28a~28dが吸熱プレート27の外側面に対してほぼ面一状態で埋設されている(図1図2(B)参照)。なお、図2(B)には、吸熱プレート27の内側面に密着するペルチェモジュール42~46が正方形状の破線で表され、また図1には、灰色に着色されて表されている。
【0027】
4つのマグネット28a~28dは、円板形状を有するネオジム磁石であり、吸熱プレート27に形成された4つの有底穴にそれぞれ取り付けられている。本実施形態では、例えば、N極側(またはS極側)の一方面が吸熱プレート27の有底穴の開口側(つまり外側)に、またS極側(またはN極側)の他方面が同有底穴の底側(つまり内側)に、向くように、かつ、外側を向く一方面が吸熱プレート27の外側面に対して段差がほぼないように、4つのマグネット28a~28dがそれぞれの有底穴に圧入されている。マグネット28a~28dは、後述するように、内側ユニット50のマグネット58a~58dとともに装着部や位置決め部を構成する。
【0028】
ヒートシンク41は、アルミニウム製であり、ほぼ正方形状に形成された一方面に平坦部41bを有し、他方面には、同形状の棒状のフィン41aがマトリクス状に多数配置されて立設されている。本実施形態では、ヒートシンク41は、平坦部41bから伝わった熱をフィン41aから外部に逃がす(放熱する)機能を有する剣山タイプの熱交換部であり、概ね直方体形状を有するように見える。ヒートシンク41の平坦部41bは、吸熱プレート27よりも一回り小さい大きさに設定されており、この平坦部41bと吸熱プレート27の内側面との間には、5つのペルチェモジュール42~46が挟持されている。
【0029】
ペルチェモジュール42~46は、多数のペルチェ素子(熱電素子)と2枚のセラミック基板とにより構成された薄板正方形状を有する熱電変換部である。ペルチェ素子はペルチェ効果を利用した半導体素子である。ペルチェモジュール42~46は、このようなペルチェ素子を多数、電気的に直列に接続して2枚のセラミック基板の間に挟み込むように構成されており、一方のセラミック基板が吸熱面42a~46a(吸熱側)として機能し、他方のセラミック基板が発熱面42b~46b(発熱側)として機能する。本実施形態では、ペルチェモジュール42~46に供給される電力(駆動電力)は、後述する制御ユニット31により制御されている。
【0030】
ファン47は、回転翼の正面から吸い込み背面に向けて吐き出す機能を有する軸流タイプの送吸気部であり、正面や背面がヒートシンク41の平坦部41bとほぼ同じサイズを有する、ほぼ正方形状に形成されている。本実施形態では、ファン47は、背面(吐き出し側)がヒートシンク41のフィン41aの頂部に接するように配置されており、正面(吸い込み側)にはフィルタ48が配設されている。フィルタ48は、塵や埃等の異物を捕集してそれらがファン47内に入り込むのを防止する機能を有するものであり、本実施形態ではファン47の正面を覆うように設けられている。
【0031】
本実施形態では、5つのペルチェモジュール42~46は、吸熱プレート27とヒートシンク41の間において面上に十字状に配置されるとともに、吸熱面42a~46aが吸熱プレート27の内側面に、また発熱面42b~46bがヒートシンク41の平坦部41bに、それぞれ密着するように、吸熱プレート27とヒートシンク41の間にサンドイッチ状に挟持される。より具体的には、厚さ方向に積層されたヒートシンク41およびファン47を吸熱プレート27に対して4本のボルト49によってねじ締結し、吸熱プレート27の内側面とヒートシンク41の平坦部41bとの間にペルチェモジュール42~46を挟持して固定する。本実施形態では、フィルタ48も、ボルト49により共締めされてファン47に取り付けられている。なお、ペルチェモジュール42~46の吸熱面42a~46aや発熱面42b~46bがほぼ全面において吸熱プレート27やヒートシンク41に熱結合し得るように熱伝導率の大きいペースト状のシリコングリスが塗布されて介在している。
【0032】
制御ユニット31は、外部に露出する操作パネル32とともにケース21の正面パネルに取り付けられており、例えば、MPU、メモリ(RAM、EEPROM)、入出力インタフェース、ペルチェドライバ回路、ファンドライバ回路等により構成されるマイコンユニットである(CNT)。制御ユニット31は、ベースプレート25に取り付けられている電源ユニット36から電力供給を受けて所定の制御処理を実行してペルチェモジュール42~46やファン47の駆動を制御する。
【0033】
図4(A)に示すように、制御ユニット31には、直流電力を供給する電源ユニット36の他に、操作パネル32、温度センサ38、ペルチェモジュール42~46,62~66、ファン47,67等が接続されている。なお、温度センサ38は、冷却対象である筐体11の内部空間SP内に設けられており、またペルチェモジュール62~66およびファン67は、後述する内側ユニット50に設けられている。なお、図示されていないが、電源ユニット36には、図略の電源スイッチが設けられており、使用者が手動でオン/オフの操作をすることにより、制御ユニット31に対する駆動電力の供給を開始したり終了したりし得るように構成されている。
【0034】
なお、本実施形態では、外側ユニット20のペルチェモジュール42~46と、内側ユニット50のペルチェモジュール62~66とを、同一の仕様(ペルチェ素子の種類、サイズや数量が同様)のもので構成している。つまり、ペルチェモジュール42~46とペルチェモジュール62~66は同じものであり、熱電素子として熱電変換(電熱変換)特性がほぼ同様に所定の許容範囲内に収まるもので構成されている。本実施形態では、ペルチェモジュール42~46,62~66は、例えば、6A(アンペア)の直流電流を供給した場合にペルチェ効果による吸熱能力が最大になる。そのため、供給電流がこのような最大電流値(本実施形態では6A)を超えた場合には、ペルチェ素子に直流電流を流すことで生じるジュール熱がペルチェ効果による吸熱能力を超えて発生することから、ペルチェモジュール42~46,62~66の吸熱面42a~46a,62a~66aであっても温度が上昇して吸熱効率(冷却性能)が低下し得る。
【0035】
このため、本実施形態では、供給電流を最大電流値以下に抑えることを前提にして、外側ユニット20のペルチェモジュール42~46への供給電流と、内側ユニット50のペルチェモジュール62~66への供給電流と、の割合を5A(アンペア):2A(アンペア)になるように設定している。本願発明者らが行った実験結果から、下記の表1に示すように、供給電流は、内側ユニット50のペルチェモジュール62~66よりも外側ユニット20のペルチェモジュール42~46に対するものを大きくした方が筐体11内(内部空間SP)の温度をより低下させ得ることを確認している。内側ユニット50のペルチェモジュール62~66の供給電流が増大すると、その発熱面62b~66bで発生する熱量も増加するため、それによる温度上昇が筐体11内の温度低下を妨げる原因になっていると考えられる。
【0036】
この表1に表されている温度は、直流電流の供給を開始後、1分30秒から2分の間における、筐体11外の温度Toutと内部空間SP内の温度Tintとの温度差Tdef(=Tint-Tout)である。そのため、筐体11外の温度Toutに比べて内部空間SP内の温度Tintの方が低い場合にはマイナス(-)記号が付き、その逆はプラス(+)記号が付く。
【0037】
【表1】
【0038】
この表1の結果から、前述の温度差Tdef(=Tint-Tout)は、外側ユニット20のペルチェモジュール42~46に供給する直流電流Ioと、内側ユニット50のペルチェモジュール62~66に供給する直流電流Iiと、の割合が5A:2A(=Io:Ii)である場合に最大温度差Tdefとして-5.0℃が得られ、その次に大きい温度差Tdefである-4.5℃は同割合が4A:3Aである場合に得られている。なお、-4℃以上の温度差Tdefは、同割合が4A:2Aである場合(-4.3℃)と同割合が3A:2Aである場合(-4.1℃)である。したがって、上述したように、本実施形態では、同割合が5A:2A(=Io:Ii)になるように設定している。
【0039】
即ち、図5を参照して後で説明するように、内側ユニット50のペルチェモジュール62~66がその吸熱面でヒートシンク61から吸熱した熱は、その発熱面が発した熱として筐体11の側板13を介して外側ユニット20等に伝わった後、外側ユニット20のペルチェモジュール42~46の吸熱面で吸熱されてその発熱面が発した熱として、ヒートシンク41から筐体11外に放出される。したがって、本実施形態では、外側ユニット20による放熱と内側ユニット50による吸熱とのバランスがそれぞれのペルチェモジュール42~46,62~66の供給電流の比として、5:2になるように設定している。つまり、外側ユニット20の放熱能力が内側ユニット50の吸熱能力よりも高くなるようにそれぞれのペルチェモジュール42~46,62~66に供給する直流電流値を5:2の割合で設定している。
【0040】
厳密には、外側ユニット20による放熱能力や内側ユニット50による吸熱能力は、それぞれが備えるペルチェモジュール42~46,62~66の供給電流だけでなく、それら両ユニット20,50が備えるヒートシンク41,61の熱交換性能の違いや、ファン47,67の送気(吸気)性能の違いによっても左右されることから、ヒートシンク41とファン47を含めた外側ユニット20による放熱能力が、ヒートシンク61とファン67を含めた内側ユニット50による吸熱能力を上回る(超える)必要がある。例えば、上記表1の結果では、外側ユニット20の直流電流Ioが5Aである場合、この直流電流Ioと内側ユニット50の直流電流Iiの割合が5A:3Aや5A:4Aというように両電流Io,Iiの電流値が近づくに従って温度差Tdefも小さくなっている。
【0041】
これは、外側ユニット20が備えるヒートシンク41の放熱性能やファン47の送気性能が不足していることに起因して、ペルチェモジュール42~46の発熱面が発した熱が十分に放熱できないためであると考えられる。なお、内側ユニット50からペルチェモジュール62~66を除いたものを内側ユニットとして用いる場合、ペルチェモジュール42~46とファン47を備える外側ユニット20による放熱能力の方がそのような内側ユニットによる吸熱能力よりも上回る(超える)。外側ユニット20の放熱能力は、ペルチェモジュール42~46により高められるからである。
【0042】
図4(B)に示すように、操作パネル32は、表示モジュール33と操作ボタン34a~34dを備えており、制御ユニット31に接続されている。表示モジュール33は、例えば、1~2インチサイズの小型ディスプレイや7セグメントのLED表示部を4桁分で構成されている。表示モジュール33は、温度センサ38で検出された筐体11の内部空間SP内の現在温度や、内部空間SPを所定温度に冷却するためにセットされた温度(設定温度)等の情報を表示し得るように構成されており、制御ユニット31により制御される。操作ボタン34a~34dは、いずれも押しボタンスイッチであり、それぞれが押下されることにより次のように表示モジュール33が表示するように制御ユニット31により制御されている。
【0043】
操作ボタン34aは、例えば、表示モジュール33に表示されている情報を他の情報に切り替える場合に操作するスイッチであり、例えば、押下する度に現在温度と設定温度が交互に表示される。操作ボタン34bは、表示モジュール33に設定温度が表示されている場合に押下すると、設定温度の変更モードに移行したり変更した内容を決定したりする場合に操作するスイッチである。操作ボタン34c,34dは、設定温度の変更モードに移行した場合に設定温度を上げたり(操作ボタン34cを押下)下げたり(操作ボタン34dを押下)するときに操作するスイッチであり、これらの操作ボタン34c,34dの操作により変更された設定温度は、操作ボタン34bの押下により決定され制御ユニット31のメモリ(EEPROM)に記憶されて設定が完了する。
【0044】
電源ユニット36は、外部の交流電源ACから供給される交流電力を直流電力に変換する機能を有する電源部であり、本実施形態では、外側ユニット20内の制御ユニット31に加えて、外側ユニット20外の内側ユニット50にも直流電力を供給し得るように構成されている。交流電源ACから供給される交流電力は、ケース21の配線穴21aに挿通されてケース21内に引き込まれる図略の電源ケーブルを介して供給される。
【0045】
温度センサ38は、サーミスタや温度センサICであり、筐体11の内部空間SPの温度を検出して制御ユニット31に出力する温度検出部である。温度センサ38には、側板13等に装着された外側ユニット20内の制御ユニット31に一端側が電気的に接続された電気配線であり筐体11の内部空間SP内まで十分に引き回すことが可能な長さを有する電気配線の他端側が電気的に接続されている。この電気配線は、ケース21に形成された配線穴21aから外部に引き出される前述の所定配線であり、制御盤10の筐体11に予め形成された配線穴や通気穴等を経由して内部空間SP内に挿通される。温度センサ38は、例えば、後述する図5に示すように、内部空間SP内のほぼ中央位置またはその付近に取り付けられている。
【0046】
制御ユニット31は、このような温度センサ38により検出された温度の情報が入力されることにより、例えば、次のような制御処理を行う。制御ユニット31は、温度センサ38から入力された内部空間SPの現在温度の情報と、操作ボタン34a~34dの操作により設定された(またはデフォルト設定されている)設定温度の情報とに基づいて、内部空間SPの現在温度が設定温度よりも高いか否かを判定する処理を行う(判定処理)。
【0047】
そして、内部空間SPの現在温度が設定温度よりも高いと判定した場合には、外側ユニット20のペルチェモジュール42~46と内側ユニット50のペルチェモジュール62~66に前述した割合(5A:2A)に従った直流電流をそれぞれ供給した後、所定時間(例えば30~60秒間)を経過した後、再度、温度センサ38により検出された温度の情報に基づいて前述した判定処理を行う。これに対して、内部空間SPの現在温度が設定温度以下であると判定した場合には、両方のペルチェモジュール42~46,62~66に対する駆動電力の供給を停止した後(駆動電力を供給していないときには判定した後)、前述の所定時間を経過した後、再度、温度センサ38により検出された温度の情報に基づいて前述した判定処理を行う。
【0048】
このような制御ユニット31によるペルチェモジュール42~46,62~66に対する制御処理は、図略の電源スイッチがオンにされて外側ユニット20の電源ユニット36から駆動電力が制御ユニット31に供給されるとほぼ同時に開始されて、同電源スイッチがオフにされるまで続けられる。これにより、外側ユニット20(のペルチェモジュール42~46)による冷却動作と後述の内側ユニット50(のペルチェモジュール62~66)による冷却動作との協働によって、筐体11の内部空間SPの温度を低下させることが可能になる。これについては、図5~7を参照しながら、後で詳しく説明する。
【0049】
なお、外側ユニット20のファン47や内側ユニット50のファン67は、図略の電源スイッチがオンにされて外側ユニット20の電源ユニット36から駆動電力が制御ユニット31に供給されるとほぼ同時に起動し、また同電源スイッチがオフにされるとほぼ同時に停止するように制御ユニット31に制御されている。つまり、本実施形態では、ファン47,67の起動や停止は、ペルチェモジュール42~46,62~66の駆動制御に連動させていない。
【0050】
<内側ユニット50>
図1および図3に示すように、内側ユニット50は、ケース51、ハンドル52、ブラケット53、サブプレート56、放熱プレート57、4つのマグネット58a~58d、ドレン59、ヒートシンク61、5つのペルチェモジュール62~66、ファン67、カバー68等により構成されている。内側ユニット50には、ベースプレートや制御ユニット等が設けられてなく、またブラケット53も一方だけに設けられている点や外側ユニット20にないドレン59が設けられている点が、外側ユニット20と異なる。内側ユニット50は、本発明の冷却装置や内側冷却装置の一実施形態に相当し得るものである。
【0051】
ケース51は、前述した外側ユニット20のケース21とほぼ同様に、厚さ方向に積層されたヒートシンク61とファン67を収容可能な厚さを有し、正面視において幅方向両側の一部が狭い凸字形状の無底の箱体に形成されている(図3(A)参照)。ケース51は、ケース21に比べると、正面視において幅方向が広く多数の通気スリットが形成されている部分の高さ方向長さが小さい。ケース51も、ケース21と同様に、樹脂製や金属製であり、多数の通気スリットが正面パネルや側面パネルに形成されている。また、所定配線を外部に引き出し得る配線穴51aに加えて、後述するドレン59の排出ポート59aを外部に突出させるための切欠き51bが内側ユニット50の装着状態において重力方向下側に向く側面パネルに、それぞれ形成されている。ケース51の側面パネル内側には、サブプレート56や放熱プレート57等をケース51に固定し得る樹脂製のブラケット53が取り付けられている。
【0052】
ハンドル52は、当該内側ユニット50を側板13等に取り付けたり取り外したりする際に使用者が手を掛け得るコ字形状に形成された樹脂製の把手である(図3(E)参照)。本実施形態では、ハンドル52は、例えば、ケース51の一部が狭くなった幅方向両側のそれぞれに設けられており、後述のサブプレート56に対してコ字形状の両端が接するようにサブプレート56に取り付けられて固定されている。なお、図3においては、左側面図は、図3(E)の右側面図を上下反転した線図として現れるため、図示を省略している。
【0053】
サブプレート56は、外側ユニット20のサブプレート26と同様に構成されており、放熱プレート57の幅方向両側から露出するように放熱プレート57に取り付けられている。このサブプレート56には、前述したようにハンドル52が取り付けられる。
【0054】
放熱プレート57も、材質や寸法形状等は外側ユニット20の吸熱プレート27と同様に構成されているが、内側面はペルチェモジュール62~66の発熱面62b~66bに密着し、外側面は側板13の内壁面13aに接し得るものである。放熱プレート57の四隅付近にも4つの有底穴が形成されており、これらの有底穴にマグネット58a~58dが放熱プレート57の外側面に対してほぼ面一状態で埋設されている(図1図3(B)参照)。なお、図3(B)には、放熱プレート57の内側面に密着するペルチェモジュール62~66が正方形状の破線で表され、また図1には、灰色に着色されて表されている。
【0055】
4つのマグネット58a~58dは、円板形状を有するネオジム磁石であり、放熱プレート57に形成された4つの有底穴にそれぞれ取り付けられている。本実施形態では、外側ユニット20と内側ユニット50が対向した場合に両者のマグネットが引き合って所定の位置決めを容易にし得るように、外側ユニット20のマグネット28a~28dと反対の極性になるように放熱プレート57に取り付けられている。例えば、S極側(またはN極側)の一方面が放熱プレート57の有底穴の開口側(つまり外側)に、またN極側(またはS極側)の他方面が同有底穴の底側(つまり内側)に、向くように、かつ、外側を向く一方面が放熱プレート57の外側面に対して段差がほぼないように、4つのマグネット58a~58dがそれぞれの有底穴に圧入されている。
【0056】
「所定の位置決め」とは、外側ユニット20のペルチェモジュール42~46と内側ユニット50のペルチェモジュール62~66との間において、熱が伝達したり伝導したりする距離(伝熱距離)が最短となる位置関係になるように、両ユニット20,50を対向させてそれぞれの位置が決められることをいう。後述するように、内側ユニット50のマグネット58a~58dと、外側ユニット20のマグネット28a~28dは、位置決め部として、このような伝熱距離が最短となるように両ユニット20,50の位置決めを可能にし、また装着部として、両ユニット20,50を筐体11に装着可能にする。
【0057】
ドレン59は、ケース51内で結露してヒートシンク61等に付着した水分や水滴をヒートシンク61の重力方向下側において受け得る水受け部である。ドレン59は、樹脂製であり、長細矩形状の開口部を有する有底の箱体であり、開口部は、ヒートシンク61の幅方向長さおよび厚さ方向長さのそれぞれと同等またはそれ以上に大きい開口幅および開口厚さ(奥行き)に設定されている。またその底部には、ドレン59内に滴下して溜まった水を外部に排出するための排出ポート59aが細筒形状に形成されている。排出ポート59aの先端には、筐体11に予め形成された配線穴や通気穴等を経由して筐体11外に先端が露出し得る図略のチューブの基端側が接続されている。
【0058】
ヒートシンク61は、外側ユニット20のヒートシンク41と同様に構成されており、ほぼ正方形状に形成された一方面に平坦部61bを有し、他方面には、同形状の棒状のフィン61aがマトリクス状に多数配置されて立設されている。ヒートシンク61の平坦部61bは、放熱プレート57よりも一回り小さい大きさに設定されており、この平坦部61bと放熱プレート57の内側面との間には、5つのペルチェモジュール62~66が挟持されている。
【0059】
ペルチェモジュール62~66も、外側ユニット20のペルチェモジュール42~46と同様に構成されており、一方のセラミック基板が吸熱面62a~66a(吸熱側)として機能し、他方のセラミック基板が発熱面62b~66b(発熱側)として機能する熱電変換部である。本実施形態では、ペルチェモジュール62~66に供給される電力(駆動電力)は、前述した制御ユニット31により制御されている。
【0060】
ファン67も、外側ユニット20のファン47と同様に構成された軸流タイプの送吸気部であり、正面や背面がヒートシンク61の平坦部61bとほぼ同じサイズを有する、ほぼ正方形状に形成されている。本実施形態では、ファン67は、正面(吸い込み側)がヒートシンク61のフィン61aの頂部に接するように配置されており、背面(吐き出し側)にはカバー68が配設されている。カバー68は、ファン67の回転翼に使用者の手等が触れるのを防止する機能を有するものであり、本実施形態ではファン67の背面を覆うように設けられている。
【0061】
本実施形態では、5つのペルチェモジュール62~66は、放熱プレート57とヒートシンク61の間において面上に十字状に配置されるとともに、発熱面62b~66bが放熱プレート57の内側面に、また吸熱面62a~66aがヒートシンク61の平坦部61bに、それぞれ密着するように、放熱プレート57とヒートシンク61の間にサンドイッチ状に挟持される。より具体的には、厚さ方向に積層されたヒートシンク61およびファン67を放熱プレート57に対して4本のボルト69によってねじ締結し、放熱プレート57の内側面とヒートシンク61の平坦部61bとの間にペルチェモジュール62~66を挟持して固定する。本実施形態では、カバー68も、ボルト69により共締めされてファン67に取り付けられている。なお、ペルチェモジュール62~66の発熱面62b~66bや吸熱面62a~66aがほぼ全面において放熱プレート57やヒートシンク61に熱結合し得るように熱伝導率の大きいペースト状のシリコングリスが塗布されて介在している。
【0062】
なお、内側ユニット50には、外側ユニット20のように制御ユニット31は設けられていないことから、ペルチェモジュール62~66やファン67には、前述したように、外側ユニット20の制御ユニット31に対して一端側が接続された電気配線であり筐体11の内部空間SP内で側板13の内壁面13aに装着された内側ユニット50まで十分に引き回すことが可能な長さを有する電気配線の他端側が電気的に接続されている。この電気配線は、ケース51に形成された配線穴51aから内側ユニット50外に引き出される前述した所定配線であり、制御盤10の筐体11に予め形成された配線穴や通気穴等を経由して筐体11外に引き出され、外側ユニット20内の制御ユニット31に接続される。
【0063】
本冷却システムを構成する外側ユニット20および内側ユニット50がこのように構成されることによって、本冷却システムでは、図5に示すような冷却動作が行われる。図5には、本冷却システムによる冷却動作の一例を示す概念図が図示されている。なお、図5においては、図面表現上の便宜から、外側ユニット20を構成するケース21、吸熱プレート27、マグネット28a~28d、制御ユニット31、温度センサ38の配線等や、内側ユニット50を構成するケース51、放熱プレート57、マグネット68a~68d等は省略しており、またヒートシンク41,61、ペルチェモジュール42~46,62~66やファン47,67は、簡略化して表現していることに留意されたい。
【0064】
図5に示すように、本冷却システムでは、制御盤10の筐体11を構成する側板13または扉15に対して、外側ユニット20と内側ユニット50が対向する位置関係で取り付けられて装着される。これらのユニット20,50が側板13に装着された場合には、側板13の外壁面13bの外側ユニット20が取り付けられ、また側板13の内壁面13aに内側ユニット50が取り付けられる。図5には図示されていないが、本実施形態では、前述したように、例えば、外側ユニット20のマグネット28a~28dは外側(側板13方向)にN極が向くように吸熱プレート27に取り付けられ、また内側ユニット50のマグネット58a~58dは外側(側板13方向)にS極が向くように放熱プレート57に取り付けられている。
【0065】
これにより、位置決め部および装着部として、外側ユニット20のマグネット28a~28dと内側ユニット50のマグネット58a~58dとが互いに引き合う得る位置に合わせることにより、これらのユニット20,50が対向するように側板13に装着することが可能になる。また、制御盤10の筐体11が、本来、マグネット28a~28d,58a~58dが吸着することのできない非磁性体材料(例えば、アルミニウム、高熱伝導樹脂や高熱伝導ファインセラミックス等)で構成されている場合においても、これらのマグネット28a~28d,58a~58dが互いに引き合うように位置合わせすることにより、両ユニット20,50を非磁性体材料製の筐体11に装着することが可能になる。
【0066】
筐体11の内部空間SP内に、例えば、動作時に熱を発し易いインバータユニット17底板14に取り付けられて収容されている場合には、そのインバータユニット17が熱源になる。そのため、内部空間SPが積極的な通気のないほぼ密閉空間であるときには、インバータユニット17の温度Tinvや内部空間SP内の温度Tintは徐徐に上昇することから、そのまま放置すると、例えば、図6(A)に示すような温度特性になる。図6(A)において、インバータユニット17の温度Tinvが43℃前後の場合、内部空間SP内の温度Tintは33℃近くである。なお、筐体11外の温度Tout(外気温)は30℃前後であることがわかる。
【0067】
ここで、図5に示すように、側板13の外壁面13bの外側ユニット20を装着し、また側板13の内壁面13aに内側ユニット50を装着する。なお、外側ユニット20と外壁面13bの間や内側ユニット50と内壁面13aの間においても、熱伝導率の大きいペースト状のシリコングリスが塗布されて介在している。これにより、外側ユニット20は外壁面13bに対して良好に熱結合することが可能になり、また内側ユニット50は内壁面13aに対して良好に熱結合することが可能になる。
【0068】
これにより、側板13の内壁面13aに装着される内側ユニット50では、筐体11内の内部空間SPにおいてヒートシンク61を介してペルチェモジュール62~66の吸熱面により吸収された熱は、ペルチェモジュール62~66の発熱面が発した熱として、当該筐体11の側板13の内壁面13aから側板13の外壁面13bに伝わることから、側板13の温度が上がるものの、外側ユニット20では、ペルチェモジュール42~46の吸熱面によりこのような熱を側板13の外壁面13bから吸収して、ペルチェモジュール42~46の発熱面が発した熱として、ヒートシンク41を介して筐体11外に逃がすことが可能になる。
【0069】
したがって、内側ユニット50のペルチェモジュール62~66の発熱面が発した熱は、筐体11の側板13を介した経路に加えて、外側ユニット20のペルチェモジュール42~46およびヒートシンク41を介した経路でも筐体11外に逃げる。そのため、例えば、図7(E)に示すような温度特性になる。図6(A)において43℃前後であったインバータユニット17の温度Tinvは、図7(E)では33℃前後に低下(10℃低下)しており、また内部空間SP内の温度Tintは、30℃前後の筐体11外の温度Toutよりも低く、29℃以下に下がっていることがわかる(4℃低下)。
【0070】
筐体11内(内部空間SP)においては、ペルチェモジュール62~66の吸熱面によりヒートシンク61が冷却されているため、冷却されたヒートシンク61を介して吸い込んだ空気は、フィン61aに接触して熱交換した後、冷風となってファン67から内部空間SPに送風される。これにより、内部空間SP内では、破線矢印で表したように冷風が循環するため、熱源であるインバータユニット17も冷却されてその温度Tinvも前述したように低下する。また側板13の内壁面13aは、ペルチェモジュール62~66の発熱面から伝わる熱により局部的に温度が上昇し得るが、その裏側、つまり外壁面13bには外側ユニット20のペルチェモジュール42~46の吸熱面が熱結合しており、吸熱された熱はその発熱面からヒートシンク41に伝わってヒートシンク41が加熱される。そのため、ファン47に吸い込まれた後、加熱されたヒートシンク41を通過した空気は、フィン41aに接触して熱交換した後、熱風となってヒートシンク41の側方から筐体11外の空間(外部空間)に放出される(図6に示す一点鎖線太矢印)。これにより、内側ユニット50のペルチェモジュール62~66が吸熱した熱を外側ユニット20のヒートシンク41が外部空間に放熱(排熱)することが可能になるので、筐体11内(内部空間SP)を効率的に冷却することができる。
【0071】
なお、図6(B)には側板13の内壁面13aに本実施形態の内側ユニット50だけを装着した場合における、インバータユニット17、内部空間SP内、筐体11外のそれぞれの温度特性が図示されている。この場合においては、インバータユニット17の温度Tinvは37℃前後に低下していることがわかる(図6(A)に比べて6℃低下)。また、筐体11外の温度Toutが35℃前後であるのに対して、内部空間SP内の温度Tintはそれよりも2℃低い33℃前後に低下していることがわかる。
【0072】
また、図6(C)には側板13の外壁面13bに本実施形態の外側ユニット20だけを装着した場合における、インバータユニット17、内部空間SP内、筐体11外のそれぞれの温度特性が図示されている。この場合においては、インバータユニット17の温度Tinvは、35℃前後に低下し(図6(A)に比べて8℃低下)、また内部空間SP内の温度Tintは33℃前後であり、筐体11外の温度Toutは31℃前後であることがわかる。この結果から、筐体11に1つだけ装着する場合には、外壁面13bに外側ユニット20を取り付けるよりも、内壁面13aに内側ユニット50を取り付けた方が冷却効果が高いという結論が得られた。内側ユニット50は筐体11の内部空間SP内において冷風を循環させることができるのに対して、外側ユニット20はそれができないことから、内部空間SP内の温度Tintが筐体11外の温度Toutよりも低下しなかったと考えられる。
【0073】
さらに、図7(D)には側板13の内壁面13aに本実施形態の内側ユニット50を装着し、外側ユニット20からペルチェモジュール42~46を除いた構成を有する外側ユニット100を側板13の外壁面13bに装着した場合における、インバータユニット17、内部空間SP内、筐体11外のそれぞれの温度特性が図示されている。このような構成の外側ユニット100も、また内側ユニット50からペルチェモジュール62~66を除いた構成の内側ユニットも、本発明の冷却装置の一実施形態である。外側ユニット100の場合においては、インバータユニット17の温度Tinvは、33℃前後に低下していることがわかる(図6(A)に比べて10℃低下)。また、内部空間SP内の温度Tintも筐体11外の温度Toutも、30℃前後に低下していることがわかる。内側ユニット50にのみペルチェモジュール62~66を備え外側ユニット100はペルチェモジュールを備えていないにもかかわらず、前述した図7(E)の場合に比べてあまり差のない結果が得られている。
【0074】
なお、図7(F)においては、側板13に大穴13cを形成して内側ユニット50のペルチェモジュール62~66を当該大穴13cを通して、側板13を介在させることなくペルチェモジュール62~66を外側ユニット100のヒートシンクにダイレクトに接触させた場合における、インバータユニット17、内部空間SP内、筐体11外のそれぞれの温度特性が図示されている。この場合においては、インバータユニット17の温度Tinvは、28℃前後に低下していることがわかる(図6(A)に比べて15℃低下)。また、内部空間SP内の温度Tintは25℃前後に低下し、筐体11外の温度Toutは平均的に28℃前後に低下していることがわかる。大穴13cを形成して側板13が介在しないように構成しているため、最も良好な結果が得られているが、側板13が介在する図7(E)の場合と比べて冷却温度の差が小さい。つまり、外側ユニット20と内側ユニット50で構成される本冷却システムは、図7(F)に示す側板13に大穴13cを形成した場合の構成に近い冷却効果が得られていることがわかる。
【0075】
以上説明したように本実施形態の冷却システムでは、外側ユニット20や内側ユニット50は、ペルチェモジュール42~46,62~66、ヒートシンク41,61、ファン47,67およびマグネット28a~28d,58a~58dを備える。ペルチェモジュール42~46,62~66は、直流電力が供給されると吸熱する吸熱面42a~46a,62a~66aと発熱する発熱面42b~46b,62b~66bとを有する。ヒートシンク41,61は、このペルチェモジュール42~46,62~66の発熱面42b~46bまたは吸熱面62a~66aに平坦部41b,61bが熱結合し、ファン47,67は、このヒートシンク41,61の、フィン41aに接触させる空気を流通させ、または当該フィン61aに接触した空気を流通させる。マグネット28a~28d,58a~58dは、ペルチェモジュール42~46,62~66およびヒートシンク41,61を筐体11に対して着脱自在に装着する。これにより、ペルチェモジュール42~46,62~66およびヒートシンク41,61を筐体11に取り付けたり取り外したりすることが可能になる。また、既存の筐体に後付けすることも可能になる。
【0076】
さらに、(1)ペルチェモジュール42~46の発熱面42b~46bにヒートシンク41が熱結合している場合には、ペルチェモジュール42~46の吸熱面42a~46aが筐体11の側板13の外壁面13bに熱結合可能にペルチェモジュール42~46およびヒートシンク41が筐体11に装着されることによって、ペルチェモジュール42~46の吸熱面42a~46aにより側板13の外壁面13bから吸収された熱は、ペルチェモジュール42~46の発熱面42b~46bが発した熱として、ヒートシンク41を介して筐体11外に放熱されることから、筐体11の側板13の温度が下がる。
【0077】
また、(2)ペルチェモジュール62~66の吸熱面62a~66aにヒートシンク61が熱結合している場合、ペルチェモジュール62~66の発熱面62b~66bが筐体11の側板13の内壁面13aに熱結合可能にペルチェモジュール62~66およびヒートシンク61が筐体11に装着されることによって、当該筐体11内の内部空間SPにおいてヒートシンク61を介してペルチェモジュール62~66の吸熱面62a~66aにより吸収された熱は、ペルチェモジュール62~66の発熱面62b~66bが発した熱として、側板13の内壁面13aから側板13の外壁面13bに伝わって筐体11外に放熱される。そのため、上記(1)や(2)では、いずれも当該筐体11内の内部空間SPの温度を低下させることが可能になる。したがって、着脱や後付けが可能であり、かつ、筐体11の天板12、側板13や扉15等に通風穴を設けることなく、筐体11内の内部空間SPを冷却することができる。
【0078】
また、本実施形態の冷却システムでは、外側ユニット20が側板13の外壁面13bに対して着脱自在に装着される場合において、この外側ユニット20に加えて、内側ユニット50を含む。この内側ユニット50は、フィン61aおよび平坦部61bを有するヒートシンク61と、このヒートシンク61のフィン61aに接触させる空気またはこのフィン61aに接触させた筐体11内の空気を流通させるファン67と、このヒートシンク61を筐体11に対して着脱自在に装着するマグネット58a~58dとを備え、この内側ユニット50は、このようなヒートシンク61の平坦部61bを側板13の内壁面13aに熱結合可能に、筐体11に対して装着される。
【0079】
これにより、外側ユニット20では、ペルチェモジュール42~46のs吸熱面42a~46aにより筐体11の側板13の外壁面13bから吸収された熱は、ペルチェモジュール42~46の発熱面42b~46bが発した熱として、ヒートシンク41を介して筐体11外に放熱されることから、筐体11の側板13の温度が下がる。そのため、内側ユニット50は、このような側板13の内壁面13aに対してヒートシンク61の平坦部61bが熱結合可能に、筐体11に装着されることによって、内側ユニット50のヒートシンク61の平坦部61bも温度が下がる。したがって、内側ユニット50のヒートシンク61のフィン61aに接触する筐体11内の内部空間SPの空気は、熱が奪われて温度が低下することから、このような内側ユニット50を含まない場合に比べて、当該筐体11内の空間の温度をさらに低下させることが可能になる。
【0080】
さらに、本実施形態の冷却システムでは、内側ユニット50が側板13の内壁面13aに対して着脱自在に装着される場合において、この内側ユニット50に加えて、外側ユニット20を含む。この外側ユニット20は、フィン41aおよび平坦部41bを有するヒートシンク41と、このヒートシンク41のフィン41aに接触させる空気または接触させた筐体11外の空気を流通させるファン47と、このヒートシンク41を筐体11に対して着脱自在に装着するマグネット28a~28dとを備える。そして、この外側ユニット20は、このようなヒートシンク41の平坦部41bを側板13の外壁面13bに熱結合可能に、筐体11に対して装着される。
【0081】
これにより、内側ユニット50では、筐体11内の内部空間SPにおいてヒートシンク61を介してペルチェモジュール62~66の吸熱面62a~66aにより吸収された熱は、ペルチェモジュール62~66の発熱面62b~66bが発した熱として、当該筐体11の側板13の内壁面13aから側板13の外壁面13bに伝わることから、筐体11の側板13の温度が上がるものの、このような側板13の外壁面13bに対して外側ユニット20のヒートシンク41の平坦部41bが熱結合可能に、外側ユニット20が筐体11に装着されることによって、筐体11の側板13に伝わった熱は、さらに外側ユニット20のヒートシンク41の平坦部41bに伝わる。そのため、ヒートシンク41の平坦部41bに伝わった熱は、外側ユニット20のヒートシンク41のヒートシンク41に筐体11外の空気が接触することによって、ヒートシンク41のフィン41aから筐体11外に逃がすことが可能になる。したがって、内側ユニット50のペルチェモジュール62~66の発熱面62b~66bが発した熱は、筐体11の側板13を介した経路に加えて、外側ユニット20のヒートシンク41を介した経路でも筐体11外に逃げることから、このような外側ユニット20を含まない場合に比べて、内側ユニット50のペルチェモジュール62~66の熱電変換効率を向上させることが可能になる。
【0082】
また、本実施形態の冷却システムでは、外側ユニット20と内側ユニット50が側板13を挟んで対向するようにこれら両ユニット20,50の装着位置を決める位置決め部として、外側ユニット20はマグネット28a~28dを備え、内側ユニット50はマグネット58a~58dを備える。これにより、外側ユニット20や内側ユニット50がこのような位置決め部を備えていない場合に比べて、側板13を挟んで存在する、外側ユニット20のペルチェモジュール42~46と内側ユニット50のペルチェモジュール62~66との間において伝熱距離が最短になるように、両ユニット20,50の所定の位置決めを容易に行うことが可能になる。そのため、外側ユニット20のペルチェモジュール42~46と内側ユニット50のペルチェモジュール62~66との間における伝熱効率を向上させることが可能になる。したがって、外側ユニット20や内側ユニット50が備えるペルチェモジュール42~46,62~66の熱電変換効率を一層向上させることが可能になる。
【0083】
なお、このようなマグネット28a~28d,58a~58dで構成される位置決め部に代えて、例えば、両ユニット20,50が対向した場合に所定の位置決めを容易に行い得るように、位置決めピンとその先端部を受け入れ可能な位置決め孔とをこれら両ユニット20,50のいずれか一方または両方の2箇所以上に設けてもよい。このような位置決め部は、例えば、外側ユニット20のサブプレート26からほぼ垂直に突出するように直径1~2mmの位置決めピンを立設し、この位置決めピンの先端を受け入れ可能な位置決め孔を内側ユニット50のサブプレート56に穿孔することにより設けられる。内側ユニット50のサブプレート56に位置決めピンを設け、外側ユニット20のサブプレート26に位置決め孔を設けてもよい。なお、筐体11の側板13等には、このような位置決めピンの位置および数に対応して、当該位置決めピンが貫通可能な細孔を設ける必要がある。
【0084】
なお、上述した外側ユニット20や内側ユニット50のハンドル22,52に代えて、図8(A)や図8(B)に示すようなイジェクト機能を有するハンドル120を備えるように構成してもよい。
【0085】
ハンドル120を備える外側ユニット20Aでは、ハンドル120が可動部122と固定部123とにより構成されており、可動部122の両端には、固定部123内を貫通するシャフト125の基端側125aが固定されている。そして、可動部122と固定部123の間に介在するコイルスプリング127がシャフト125に挿通されている。シャフト125の先端側125bには、固定部123内を貫通するシャフト125が固定部123から抜けることを防ぐ抜け止め部(図略)が設けられている。固定部123は、そのコ字形状の両端がサブプレート26に接するようにサブプレート26に取り付けられて固定されている。サブプレート26には、それぞれのシャフト125について、先端側125bが挿通可能な貫通穴(図略)が形成されている。
【0086】
このようにハンドル120を構成することによって、可動部122は、コイルスプリング127の付勢力により固定部123から離隔する方向に付勢されているため、図8(A)に表されている状態においては、シャフト125は、固定部123のコ字形状の両端からその先端側125bが突出しない。これに対し、使用者がハンドル120に手を掛けるとともに、コイルスプリング127の付勢力に抗する握力でハンドル120を握ることで可動部122が固定部123に接近する。このように可動部122が固定部123に接近する方向に移動することよって、シャフト125の先端側125bもサブプレート26の方向に移動する。そのため、使用者がさらにハンドル120を握ると、図8(B)に示すように、固定部123のコ字形状の両端から先端側125bが突出する。
【0087】
これにより、シャフト125の先端側125bが側板13の外壁面13bに当接するとともに、外側ユニット20A’の全体が外壁面13bから離れる方向に浮き上がることから、例えば、マグネット28a~28dによる吸着力が非常に強い場合においても、当該外側ユニット20A’を側板13から容易に取り外すこと可能になる。つまり外側ユニット20Aをイジェクトすることができる。なお、図8(A)や図8(B)においては、外側ユニット20Aの片側のハンドル120だけが表されているが、両側にこのようなハンドル120を適用することが可能である。また、図8(A)や図8(B)では、外側ユニット20Aの場合を例示して説明したが、内側ユニット50についても、ハンドル52に代えてハンドル120を備えるように構成することが可能である。
【0088】
また、図8(C)および図8(D)に示すように、これとは異なった構造のイジェクト機能を有するハンドル220を備えるように構成してもよい。
【0089】
ハンドル220を備える外側ユニット20Bでは、ハンドル220のコ字形状の両端の一方の角部222aを丸角に形成するとともに、その角部222aに対して高さ方向(Z軸方向)に軸長を有する回動軸225を設ける。この回動軸225の軸受け部(図略)はサブプレート26に設ける。ハンドル220のコ字形状の両端はこの回動軸225のみでサブプレート26に取り付けられる。
【0090】
このようにハンドル220を構成することによって、ハンドル220は、外側ユニット20Bの幅方向外側に向けて(矢印方向)に回動することが可能であり、その方向にハンドル220が回動すると、他方の角部222bがサブプレート26よりも側板13の方向に移動する。そのため、図8(C)に表されている状態においては、側板13とハンドル220の他方の角部222bとの間には隙間が形成されているため、外側ユニット20Bは、側板13の外壁面13bに対して、マグネット28a~28dによる吸着力により安定して装着されている。これに対して、使用者がハンドル220に手を掛けるとともに、ハンドル220を幅方向外側に向けて拡げるように(矢印方向)に回転させることで他方の角部222bがサブプレート26から突出して側板13の外壁面13bに接近し当接する。そのため、使用者がさらに外側に拡げるようにハンドル220の回転させると、図8(D)に示すように、他方の角部222bのサブプレート26から大きく突出する。
【0091】
これにより、ハンドル220の他方の角部222bが側板13の外壁面13bに当接するとともに、外側ユニット20B’の全体が外壁面13bから離れる方向に浮き上がることから、例えば、マグネット28a~28dによる吸着力が非常に強い場合においても、当該外側ユニット20Bを側板13から容易に取り外すこと可能になる。つまり外側ユニット20Bをイジェクトすることができる。なお、図8(C)や図8(D)では、外側ユニット20Bの場合を例示して説明したが、内側ユニット50についても、ハンドル52に代えてハンドル220を備えるように構成することが可能である。
【0092】
なお、上述した実施形態では、外側ユニット20および内側ユニット50を制御盤10に装着する場合について例示して説明したが、板状の壁体を有する筐体であれば、例えば、配電盤や分電盤等でもよい。また、上述した実施形態では、外側ユニット20や内側ユニット50は、筐体11の側板13の装着した場合を例示して説明したが、筐体11の天板12や底板14に装着してもよい。この場合、内側ユニット50のドレン59は、重力方向下側に排出ポート59aの位置するように配置する必要がある。
【0093】
また、上述した実施形態では、外側ユニット20に制御ユニット31等を設ける構成を例示して説明したが、制御ユニット31、操作パネル32、電源ユニット36等を内側ユニット50に設けるように構成してもよい。この場合、内側ユニット50から外側ユニット20に対してペルチェモジュール42~46やファン47を制御し得るように、内側ユニット50から外側ユニット20に対して電気配線を接続する必要がある。
【0094】
また、上述した実施形態では、外側ユニット20に制御ユニット31等を設ける構成を例示して説明したが、内側ユニット50においても制御ユニットや電源ユニット等を設けるように構成してもよい。この場合には、外側ユニット20および内側ユニット50がそれぞれ自律してペルチェモジュール42~46やファン47をペルチェモジュール62~66やファン67を個別に制御することになるので、両者間において同期した制御を行う必要があるときには、外側ユニット20の制御ユニット31と内側ユニット50の制御ユニットとの間において、有線通信回線または無線通信回線を介してデータ通信を行い得るように構成する必要がある。
【0095】
また、上述した実施形態では、外側ユニット20および内側ユニット50において、熱電変換部として、ペルチェモジュール42~46やペルチェモジュール62~66を設ける構成を例示して説明したが、これらのユニット20,50のうち、いずれか一方にのみペルチェモジュール42~46またはペルチェモジュール62~66を設けるように構成してもよい。
【0096】
また、上述した実施形態では、外側ユニット20および内側ユニット50において、熱交換部として、剣山タイプのヒートシンク41,61を用いる場合を例示して説明したが、例えば、薄板状のフィンが複数立設されているタイプのヒートシンクや、一方面と他方面がそれぞれ平坦面であり両側方等に棒状や板状のフィンが設けられているタイプのヒートシンク等を用いて構成してもよい。
【0097】
また、上述した実施形態では、外側ユニット20および内側ユニット50において、送吸気部として、軸流タイプのファン47,67を用いる場合を例示して説明したが、例えば、遠心タイプやブロアタイプのファンを用いて構成してもよい。また、ファン47は、正面(吸い込み側)がヒートシンク41のフィン41aの頂部に接するように、また背面(吐き出し側)をフィルタ48が覆うようにそれぞれ配置してもよい。これにより、ヒートシンク41の側方から吸い込まれた筐体11外の空気は、ペルチェモジュール42~46の発熱面42b~46bで加熱されたヒートシンク41内に流入しフィン41aに接触して熱交換された後、ファン47に吸い込まれてファン47の背面から熱風となって筐体11の外部空間に放出される。
【0098】
また、ファン67は、背面(吐き出し側)がヒートシンク61のフィン61aの頂部に接するように、また正面(吸い込み側)をカバー68が覆うように、それぞれ配置してもよい。これにより、ファン67の正面から吸い込まれた筐体11内(内部空間SP)の空気は、ペルチェモジュール62~66の吸熱面62a~66aで冷却されたヒートシンク61内に流入しフィン61aに接触して熱交換された後、ヒートシンク61の側方から冷風となって筐体11の内部空間SPに放出される。
【0099】
さらに、ファン47,67は、ヒートシンク41,61に直接、接するように設けられる必要はなく、ヒートシンク41,61に対して空気を送り出したり(送気したり)空気を吸い込んだり(吸気したり)することが可能な構成であれば、例えば、エアチューブやエアダクト等を介して離れた位置からヒートシンク41,61に対して送気したり吸気したりし得るように構成してもよい。つまり、ファン47,67は、筐体11の装着されるヒートシンク41,61およびペルチェモジュール42~46,62~66と、別々(別体)に構成してもよいし、筐体11に取り付けられなくてもよい。また、ヒートシンク41,61に対して送気や吸気が可能であれば、エアチューブ等を介在させる必要もない。
【0100】
また、上述した実施形態では、筐体11内の熱源として、インバータユニット17を例示して説明したが、動作時に発熱するものであれば、他の装置や機器でもよい。
【0101】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、上述した具体例を様々に変形または変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。さらに、本明細書または図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つ。なお、[符号の説明]の欄における括弧内の記載は、上述した各実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲に記載の用語との対応関係を明示し得るものである。
【符号の説明】
【0102】
10…制御盤
11…筐体
12…天板(壁体)
13…側板(壁体)
13a…内壁面(内面)
13b…外壁面(外面)
14…底板(壁体)
15…扉(壁体)
17…インバータユニット
20,20A,20B…外側ユニット(冷却装置、外側冷却装置)
21,51…ケース
22,52…ハンドル
23,24,53…ブラケット
26,56…サブプレート
27…吸熱プレート
28a,28b,28c,28d…マグネット(装着部、位置決め部)
31…制御ユニット
32…操作パネル
33…表示モジュール
36…電源ユニット
38…温度センサ
41,61…ヒートシンク(熱交換部)
41a,61a…フィン(他方面)
41b,61b…平坦部(一方面)
42,43,44,45,46,62,63,64,65,66…ペルチェモジュール(熱電変換部)
43a,44a,45a,63a,65a,66a…吸熱面(吸熱側)
43b,44b,45b,63b,65b,66b…発熱面(発熱側)
47,67…ファン(送吸気部)
50…内側ユニット(冷却装置、内側冷却装置)
57…放熱プレート
58a,58b,58c,58d…マグネット(装着部、位置決め部)
59…ドレン
120,220…ハンドル
122…可動部
123…固定部
125…シャフト
127…コイルスプリング
225…回動軸
AC…交流電源
SP…内部空間(筐体内の空間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8