(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163596
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】商品展示装置
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
A47F5/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074589
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】591134432
【氏名又は名称】株式会社セラタ
(74)【代理人】
【識別番号】100100376
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100143199
【弁理士】
【氏名又は名称】磯邉 毅
(72)【発明者】
【氏名】世良田 次朗
(72)【発明者】
【氏名】井元 章
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118BB02
3B118BB13
(57)【要約】
【課題】顧客の視点ですっきりした外観を呈する商品展示装置を提供する。
【解決手段】 本体部10と受止部11とが、直交状態で一体化された突出ブラケット1と、突出ブラケット1に保持される角パイプBARと、を有して構成される。受止部11は、垂直基端片11aと、水平突出片11bと、先端垂直片11cとでJ字状に形成され、角パイプBARの下面には、先端垂直片11cが挿入される挿入開口BA1と、垂直基端片11aを受入れる受入溝BA2とが離間して設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
係止開口(HO)を有して左右位置に立設される一対の支持部材(PL)と、前記係止開口(HO)に挿入される挿入片(RK)を有することで、前記一対の支持部材(PL)に係止される突出部材(1)と、前記突出部材(1)に保持される角型部材(BAR)と、を有して構成された商品展示装置(EQU)であって、
前記突出部材(1)は、前記挿入片(RK)を一方側に設けた板状の本体部(10)と、全体として略J字状に形成された板状の受止部(11)とが、直交状態で一体化されて構成され、
前記受止部(11)は、前記本体部(10)に連続する受止第1部(11a)と、前記受止第1部(11a)の一部が直交方向に延長された受止第2部(11b)と、前記受止第2部(11b)の先端が直交方向に延長された受止第3部(11c)と、を有して構成され、
前記角型部材(BAR)の下面には、前記受止第3部(11c)が挿入される挿入開口(BA1)と、前記受止第1部(11a)を受入れる受入溝(BA2)とが設けられていることを特徴とする商品展示装置。
【請求項2】
前記角型部材(BAR)の端部には、平面視コ字状のスペーサ部材(SP)が埋設され、
前記受入溝(BA2)を通過した前記受止第1部(11a)は、前記スペーサ部材(SP)に把持されて挿入姿勢が安定化されている請求項1に記載の商品展示装置。
【請求項3】
前記スペーサ部材(SP)には、前記受入溝(BA2)の限界位置までスライド移動可能な案内突起(S1)が設けられている請求項2に記載の商品展示装置。
【請求項4】
前記スペーサ部材(SP)の上下方向途中から下方には、幅狭の底部第1溝(RV)と、底部第1溝より幅広の上部第2溝(EX)とで、二段溝が形成されている請求項2又は3に記載の商品展示装置。
【請求項5】
前記スペーサ部材(SP)の外周面には、前記角型部材(BAR)の内面に接触して上下方向に延びるクサビ状の突条(S3)が形成されている請求項2又は3に記載の商品展示装置。
【請求項6】
前記受止第1部(11a)には、前記角型部材(BAR)の内側上面に接する頂上片(TOP)と、前記頂上片(TOP)の反対方向に突出して、前記角型部材(BAR)の内側側面に接する突出面(UP)と、が設けられている請求項1に記載の商品展示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類などの展示商品を吊下げて保持する商品展示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衣服などの商品を吊下げて展示する商品展示装置として、例えば、円柱パイプの両端を、支持柱から突出する突出部材で保持する構成が知られている(特許文献1)。
【0003】
この構成は、商品を掛けたフック部材を吊るだけなら問題が無いが、他の棒状部材を係止させるため、円柱パイプに代えて、角パイプが使用されることも多い(特許文献2~特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2020-136355号公報
【特許文献2】特開2016-220718号公報
【特許文献3】特開2015-100374号公報
【特許文献4】特開平06-296536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7(a)は、左側の支持柱PLから突出する突出部材40a,40bと、突出部材40a,40bに保持された角パイプBARと、を示している。ここで、角パイプBARには、断面コ字状の基端部を有するフック部材HK(
図1参照)が装着される。すなわち、フック部材HKの基端部が、角パイプBARの外周をコ字状に把持することで、フック部材HKは、水平方向にスライド移動可能な状態で角パイプBARに装着される。
【0006】
突出部材40の構成としては、例えば、
図7(b)~(d)に示すように、支持柱PLの係止開口HOに係止される平板状の第1部材41と、角パイプBARを受入れる第2部材42とを、直交状態で溶接する構成が考えられる。
【0007】
例えば、
図7(c)の構成では、切り起し片を設けた第2部材42に、角パイプBARが圧入され、
図7(b)の構成では、上方向きコ字状に開口した第2部材42が、角パイプBARの下面を受止めている。
【0008】
また、
図7(d)の構成では、平板状の第2部材42に突起PRを設ける一方、角パイプBARには、突起PRを通過させる上部穴と、第2部材42の板厚に対応する下部溝とを設けている。そして、第2部材42の上側から、角パイプBARを落とし込み、突起PRを、角パイプBARの上部穴から露出させている。
【0009】
しかし、上記何れの構成にも各々欠点がある。先ず、
図7(c)の構造では、突出部材40と角パイプBARを一体化させた状態で、支持柱PLに取り付ける必要があり、取扱い上にやや煩雑さがある。また。
図7(b)の構成では、角パイプBARが上方に外れ易いという問題があり、
図7(d)の構成では、突起PRが露出して、見栄えが悪いという問題がある。また、
図7(b)や
図7(d)の構成では、角パイプBARに装着されたフック部材HKを、第1部材41に接する限界位置までは移動できないという問題がある。すなわち、
図7(b)の構成では、第2部材42がフック部材HKのスライド移動を阻止し、
図7(d)の構成では、突起PRがフック部材HKのスライド移動を阻止するので、フック部材HKの使用位置が限定されてしまう。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、フック部材のスライド移動を阻止する露出部分がなく、しかも、顧客の視点ですっきりした外観を呈する商品展示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明に係る商品展示装置(EQU)は、係止開口(HO)を有して左右位置に立設される一対の支持部材(PL)と、前記係止開口(HO)に挿入される挿入片(RK)を有することで、前記一対の支持部材(PL)に係止される突出部材(1)と、前記突出部材(1)に保持される角型部材(BAR)と、を有して構成された商品展示装置(EQU)であって、前記突出部材(1)は、前記挿入片(RK)を一方側に設けた板状の本体部(10)と、全体として略J字状に形成された板状の受止部(11)とが、直交状態で一体化されて構成され、前記受止部(11)は、前記本体部(10)に連続する受止第1部(11a)と、前記受止第1部(11a)の一部が直交方向に延長された受止第2部(11b)と、前記受止第2部(11b)の先端が直交方向に延長された受止第3部(11c)と、を有して構成され、前記角型部材(BAR)の下面には、前記受止第3部(11c)が挿入される挿入開口(BA1)と、前記受止第1部(11a)を受入れる受入溝(BA2)とが設けられている。なお、本発明において、上下左右は、商品展示装置に接した顧客から見た上下左右の方向を意味する。
【発明の効果】
【0012】
上記した本発明によれば、フック部材のスライド移動を特に阻止する露出部分がなく、しかも、顧客の視点ですっきりした外観を有する商品展示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施例に係る商品展示装置と、突出ブラケットを説明する図面である。
【
図3】第1実施例の角パイプを説明する図面である。
【
図6】第2実施例に係る突出ブラケットと角パイプ部材を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図1(a)は、第1実施例に係る商品展示装置EQUを示す斜視図である。
【0015】
図示の通り、商品展示装置EQUは、例えば二列の係止開口HOを上下方向に設けた一対の支持柱PL,PLと、係止開口HOに係止される左右一対の突出ブラケット1L,1Rと、左右の突出ブラケット1L,1Rに、両端部が保持される角パイプBARと、を有して構成されている。
【0016】
角パイプBARには、必要個数のフック部材HKが装着され、フック部材HKには、ハンガーに保持された衣類などの商品が吊下げられる。フック部材HKは、断面コ字状の基端部H1と、基端部H1から延びる丸棒H2とを有して構成され、基端部H1が角パイプBARの外周を上側からコ字状に把持している。
【0017】
図示の通り、角パイプBARは、顧客の視点では、他の部材が露出しないすっきりした外観を有しており、ハンガーを保持するフック部材HKを、角パイプBARの一端から他端まで自由にスライド移動させることができる。そのため、必要時には、ハンガーに吊るされた商品を、左右の支持柱PLの範囲を超えて展示することもでき、限られた売場面積を有効に活用することができる。
【0018】
図1(b)は、突出ブラケット1を構成する本体部10と受止部11について、溶接前の分離状態で図示してものである。特に限定されないが、本体部10と受止部11は、何れも、板厚W≒3mm程度の金属板で構成されている(
図1(d)(e))。
【0019】
そして、本体部10の一方側(図示右側)には、矩形状の連結開口CNが上下2箇所に設けられている。一方、本体部10の他方側には、カギ状の挿入片RKが上下方向に3箇所形成されると共に、下側2個の挿入片RK,RKの間には、係合部材EG(
図2参照)を受入れるロック溝GVが形成されている。
【0020】
図2に示す係合部材EGは、特許第5936295号に記載の係合部材に対応しており、コイルスプリングSPGを内蔵すると共に、跳ね上げ片E1と、本体部10を把持してロック溝GVを覆う保持片E2と、ロック片E3と、を有して構成されている。
【0021】
この係合部材EGの構成に対応して、
図1(b)に示すロック溝GVには、やや高く突起する入口突部G1と、三角形状に低く隆起する中央突部G2と、段差状の奥溝G3とが設けられている。係合部材EGは、跳ね上げ片E1が、入口突部G1と、中央突部G2とを乗り越えることで、奥溝G3に向けて進入可能であり、進入状態では、スプリングSPGが奥溝G3に保持される。
【0022】
係合部材EGを限界位置まで挿入した後、作業員が保持片E2を手放すと、スプリングSPGの弾発力によって係合部材EGが引抜き方向に移動し、跳ね上げ片E1が、中央突部G2に係止されて、その位置で仮停止する。
【0023】
但し、中央突部G2の隆起高さが低いことから、この仮停止状態は、作業員が、係合部材EGを、引抜き方向に軽く押すことで、容易に解除される。そして、仮停止状態の解除後は、跳ね上げ片E1が、入口突部G1に係止されて安定的に停止する。
【0024】
この安定停止状態では、ロック片E3が支持柱PLの内部に進入することで、突出ブラケット1の上下動を確実に阻止し、突出ブラケット1が支持柱PLから抜け出ることが確実に阻止される。なお、ロック片E3によるロック動作を解除するには、係合部材EGを奥溝G3に向けて移動させて、上記した仮停止姿勢を実現すればよい。
【0025】
図1(b)に戻って、突出ブラケット1の構成部材である受止部11の説明を続ける。受止部11は、連結開口CNに対応する連結突部INを設けた垂直基端片11aと、垂直基端片11aの下部から直交して延びる水平突出片11bと、水平突出片11bの先端から上方に延びる先端垂直片11cと、に区分され、全体として略J字状に形成されている。
【0026】
ここで、垂直基端片11aは、水平突出片11bより所定寸法Tだけ高く設定されている。この所定寸法Tは、角パイプBARの縦寸法と板厚δに対応しており、具体的には、
図3(a)に示す角パイプBARの内面縦寸法Lに対応して、T≒L+δ>Tに設定されている(
図3(a)(c)参照)。したがって、突出ブラケット1を角パイプBARに挿入した場合に、水平突出片11bの頂上面が、角パイプBARの下側外周面に当接した状態では、垂直基端片11aの頂上面が、角パイプBARの上側内周面に当接するか、ほぼ当接する状態となる(
図5(c)参照)。
【0027】
このような構成の突出ブラケット1を完成させるには、本体部10の連結開口CNの中に、受止部11の連結突部INを挿入した後、本体部10と受止部11を溶接により一体化する。なお、
図1(c)に示すように、突出ブラケット1は、右側の支持柱PLに使用する右ブラケット1Rと、左側の支持柱PLに使用する左ブラケット1Lとが必要となり、互いに左右対称の形状となる。
【0028】
図1(d)~
図1(e)は、完成状態の突出ブラケット1について、平面図(d)と,正面図(e)と、側面図(f)と、を示している。平面図(d)や正面図(e)に現れる通り、本体部10と受止部11の溶接個所には、溶接ビードWD(weld bead)が隆起して形成される。
【0029】
図3は、角パイプBARの構成を示す図面であり、下方から見た斜視図(a)と、正面図(b)と、底面図(c)と、右側面(d)と、を示している。角パイプBARは、耐荷重の違う複数種類が用意されるが、何れも、板厚1.2~1.6mm程度の金属材で構成されており、例えば、外面の縦横寸法が20~35mm×10~15mm程度の角型に形成されている。なお、内面の寸法は、上記の縦横寸法より板厚分だけ小さく、横寸法D×縦寸法Lとなっている(
図3(a))。
【0030】
図3(a)に示す通り、角パイプBARの下面には、受止部11の先端垂直片11cが挿入される挿入開口BA1と、受止部11の垂直基端片11aを受入れる受入溝BA2とが離間して設けられている。ここで、挿入開口BA1は矩形穴であるが、受入溝BA2は、直線状の矩形溝SQと、円弧状に開口した円弧溝ARとが、角パイプBARの入口に向けて連続している(
図3(d)参照)。
【0031】
上記の構成を有する角パイプBARの左右端部(入口)には、
図4に示すプラスチック製のスペーサ部材SPが圧入配置される。この点を考慮して、スペーサ部材SPの短辺水平寸法D’は、角パイプBARの水平面を形成する短辺の内側寸法D(
図3(a))とほぼ同一に設定され、スペーサ部材SPの垂直寸法L’は、角パイプBARの垂直面を形成する長辺の内側寸法L(
図3(a))とほぼ同一に設定されている。
【0032】
また、スペーサ部材SPの長辺水平寸法H’は、受入溝BA2の進入深さH(
図3(d)参照)とほぼ同一に設定されている。したがって、実施例のスペーサ部材SPは、角パイプBARの左右端部に圧入されて固定的に埋設されることになる。
【0033】
以下、この点に関して、スペーサ部材SPの構成を具体的に説明する。スペーサ部材SPは、概略、角柱部材の中央部が切除された断面U字状であり、U字状開放片を形成する一対の把持部SP2,SP2と、U字状基端を形成する基端部SP1と、に大別される(
図4(a)参照)。
【0034】
すなわち、
図4(a)に示す通り、スペーサ部材SPは、受入溝BA2から挿入された突出ブラケット1の垂直基端片11aを把持するよう、平面視が略U字状に構成されている。スペーサ部材SP上部の隙間W’は、具体的には、垂直基端片11aの板厚W(≒3mm)よりやや広く形成されている。
【0035】
また、スペーサ部材SPの下面には、スペーサ部材SPの垂直寸法L’を超えて、角パイプBARの板厚程度に隆起する案内突起S1と、垂直寸法L’を超えて、僅かに隆起する隆起部S2と、が設けられている。したがって、隆起部S2は、角パイプBAR内面の上下高さL(
図3(a))を、わずかに超えることになる。
【0036】
また、スペーサ部材SPの側面は、断面がクサビ状に形成された突条S3が、二列平行して上下方向に延びている。
図4(a)に示す通り、突条S3の先端は、スペーサ部材SPの水平寸法D’をわずかに超えており、したがって、突条S3の先端は、角パイプBAR内面の左右幅(D)を、わずかに超えることになる。
【0037】
これらの構成は、スペーサ部材SPを角パイプBARの左右端部に圧入して埋設するための構成である。すなわち、スペーサ部材SPを角パイプBARに圧入する場合には、
図3(d)の矢印方向にスペーサ部材SPが挿入されるが、このとき、案内突起S1は、角パイプBAR底面の円弧溝ARから矩形溝SQに至った後、矩形溝SQをスライド移動しつつ限界位置まで移動して停止する。
【0038】
この時、スペーサ部材SPの隆起部S2は、角パイプBARの内側下面に当接し、また、スペーサ部材SPの突条S3は、角パイプBARの内側側面に当接して、角パイプBAR内部に進入する。
【0039】
先に説明した通り、突条S3の先端は、角パイプBAR内面の左右幅(D)を超え、隆起部S2は、角パイプBAR内面の上下高さLを超えているので、突条S3と隆起部S2は、やや収縮状態となる。しかも、突条S3はクサビ状に隆起しているので、装着完了後のスペーサ部材SPは、その装着姿勢が安定的に固定化されることになる。
【0040】
次に、
図4のA-A断面図及びB-B断面図と、右側面図(
図4(d))に示される通り、垂直基端片11aを受入れるスペーサ部材SPの把持溝RVは、最上部が最小値W’であって、下方に向けてテーパ状に広がっている。また、この把持溝RVは、その開放側の両側に、延長部EX,EXが設けられることで、U字状の開放端に向けて広く開放している。
【0041】
これは、本体部10と受止部11の溶接時に生じる溶接ビードWDの隆起を考慮したものである。すなわち、把持溝RVの下方は、テーパ状の把持溝RVと延長部EX,EXによって、広く開放しているので、溶接ビードWDが、仮に大きく形成された場合でも、受止部11の垂直基端片11aを問題なく受け入れることができる。
【0042】
以上、商品展示装置EQUの構成要素について説明したが、組立て作業としては、先ず、左右の支持柱PLの係止開口HOに、左ブラケット1Lと、右ブラケット1Rを各々係止させる。
【0043】
次に、左右のブラケット1L,1Rの上から、角パイプBARの下面を落とし込み、スペーサ部材SPの把持部SP2,SP2に、ブラケット1の垂直基端片11aを把持させる。このとき、ブラケット1の先端垂直片11cは、角パイプBARの挿入開口BA1に没入しており、抜止片として機能する(
図5(c)参照)。
【0044】
なお、角パイプBARを上方に引き抜けば、板厚の異なる他の角パイプBARや、形状の異なる他の突出ブラケット1に交換することもできる。すなわち、突出ブラケット1についても、突出長さ(奥行長さ)や、上下高さが相違する複数種類を用意しておくのが好ましい。なお、角パイプの板厚の違いに対応して、外形寸法の異なる複数のスペーサ部材SPが用意されている。
【0045】
以上、
図1に示す商品展示装置EQUについて説明したが、特に、上記の構成に限定されるものではない。例えば、上記の説明では、角パイプBARの一端から他端まで、角パイプBARの外表面が露出する構成を示したが特に限定されない。
【0046】
すなわち、角パイプBARが、不用意に上方に抜けることを防止したい場合には、
図5に示すクリップ部材CLPが追加的に使用される。クリップ部材CLPは、例えば、バネ性を有するステンレス板を屈曲形成して構成され、その板幅は、突出ブラケット1の垂直基端片11aの水平幅とほぼ同一に設定されている。
【0047】
図5(a)に示す通り、クリップ部材CLPは、下向き垂直片C1と、上側水平片C2と、上下垂下片C3と、下側水平片C4と、上向き垂直片C5とが連続して、角パイプBARの左右終端部を把持すると共に、突出ブラケット1の垂直基端片11aを把持するよう構成されている(
図5(b)(c)参照)。
【0048】
なお、クリップ部材CLPの装着姿勢を安定化するため、垂直基端片11aの下面には、クリップ部材CLPの板厚に対応する切欠き溝CUTが形成されており(
図5(c))、クリップ部材CLPの左右移動を確実に阻止している。すなわち、クリップ部材CLPは、突出ブラケット1の本体部10に接触した状態で、角パイプBARの左右終端部を安定的に把持している。
【0049】
図5(d)~(g)は、クリップ部材CLPの装着状態を示す正面図(d)、右側面図(e)、平面図(f)、及び底面図(g)である。なお、
図5(h)は、クリップ部材CLPの装着前を示す底面図であり、水平突出片11bの底面や、垂直基端片11aの切欠き溝CUTの他に、角パイプBARの円弧溝ARや、スペーサ部材SPの延長部EXが見えている。
【0050】
図5(c)は、
図5(g)のD線で切断したD-D断面図であり、
図5(b)は、
図5(c)のC線で切断したC-C断面図である。
図5(b)には、U字状に広がるスペーサ部材SPの把持部SP2,SP2が、突出ブラケット1の垂直基端片11aの両側面を把持している状態が示されている。
【0051】
また、
図5(c)には、スペーサ部材SPのU字状基端部SP1が、垂直基端片11aの板厚端面に近接して、突出ブラケット1の移動を阻止している状態が示されている。
【0052】
以上、角パイプBARの周りを、クリップ部材CLPで把持する構成を示したが、クリップ部材CLPの板厚は、せいぜい1mm程度であるので、角パイプBARを把持するフック部材HKの水平移動を特に阻止することはない。
【0053】
ところで、上記の実施例では、スペーサ部材SPを使用したが、スペーサ部材SPを使用しない構成を採ることもできる。
図6は、スペーサ部材SPを必要としない突出ブラケット1と角パイプBARを説明する図面である。
【0054】
この第2実施例は、溶接固定されて突出ブラケット1を構成する本体部10と受止部11のうち、先ず、受止部11の構成に特徴がある。なお、本体部10の構成は、
図1(b)に示す第1実施例と同じであり、挿入片RK,RKや、ロック溝GVの他に、受止部11を受止める連結開口CN,CN(不図示)が形成されている。
【0055】
この構成に対応して、受止部11は、連結開口CN,CNに対応する連結突部IN,INが突出形成される垂直基端片11aと、垂直基端片11aの下方から直交して延びる水平突出片11bと、水平突出片11bの先端から上方に延びる先端垂直片11cと、に区分される(
図6(c)参照)。
【0056】
そして、垂直基端片11aには、第1方向(例えば、本体部10の挿入片RKの方向)に延びる水平頂上面TOPと、第1方向の反対方向に隆起する突出面UPとが形成されている。ここで、水平頂上面TOPと突出面UPは、図示のように、小型パーツを受止部11に溶接固定して構成しても良いし、
図6(m)に示すように、受止部11の上部と、垂直基端片11aの側部を、各々折り曲げて、水平頂上面TOPと、突出面UPを形成するのでも良い。
【0057】
何れにしても、水平頂上面TOPと、突出面UPの突出高さは、ほぼ同一であり、水平頂上面TOPの終端面が角パイプBARの内側側面に当接する状態では、突出面UPの終端面が角パイプBARの反対側の内側側面に当接するよう構成されている(
図6(j)参照)。
【0058】
一方、角パイプBARの底面には、受止部11の先端垂直片11cが挿入される幅狭の挿入開口BA1と、受止部11の垂直基端片11aを受入れる受入溝BA2とが離間して設けられている。
【0059】
そして、第2本実施例の受入溝BA2では、水平頂上面TOP及び突出面UPを通過させる大型矩形溝BGと、受止部11の板厚に対応する小型溝SMとが、角パイプBARの入口に向けて連続している(
図6(f)(g)参照)。
【0060】
この実施例の場合にも、第1実施例の場合と同様に、突出ブラケット1の上から、角パイプBARを落とし込んで、角パイプを組み付ける(
図6(i)参照)。このとき、角パイプBARの挿入開口BA1を、突出ブラケット1の先端垂直片11cが通過すると共に、角パイプBARの受入溝BA2を、突出ブラケット1の垂直基端片11aが問題なく通過する。
【0061】
そして、角パイプBARを、限界位置まで降下させた状態では、
図6(j)のA-A断面図に示すように、突出ブラケット1の水平頂上面TOPの上面が、角パイプの上部内面に面接触すると共に、水平頂上面TOPと突出面UPの垂直端面が、角パイプの内部側面に接触することで、組付け状態が安定化する。
【0062】
この実施例の場合にも、角パイプBARは、顧客の視点では、他の部材が露出しないすっきりした外観を有しており、角パイプBARの一端から他端まで、フック部材HKを自由にスライド移動させることができる。また、突出ブラケット1の受止部11が、角パイプBARの内部側面と上部内面をしっかり保持するので、荷重を受けた角パイプBARが、回転するおそれもない。
【0063】
以上の通り、第2実施例では、スペーサ部材SPを使用することなく商品展示装置EQUを完成させることができる簡易性がある。この第2実施例は、耐荷重が余り要求されず、吊下げ商品の全体が比較的軽い場合に、特に、好適に活用される。
【0064】
以上、本発明の実施例について、詳細に説明したが、具体的な記載内容は、何ら本発明を限定するものではない。例えば、
図2の実施例では、溶接面が受止部11の一方側であったが、反対側でも良く、更に、強度上の観点から、受止部11の両側を溶接面としても良い。
【0065】
何れの構成を採った場合でも、本実施例の角パイプBARの両端には、大きな円弧溝ARが形成されているので、突出ブラケット1の受止部11を、角パイプBARの中に問題なく収容することができる。
【0066】
また、アーク溶接などに代えて、アルゴン溶接を採用して、鉄部材10,11同士を溶かして溶接しても良い。なお、この場合は、溶接による隆起が問題にならない反面、溶接強度の関係から耐荷重性に劣るとも考えられる。また、上記の実施例では、本体部10の連結開口CNと、受止部11の連結突部INを、各二個設けたが、一個ないし二個以上でも良いのは勿論である。
【0067】
更に、突出ブラケット1を構成する本体部10と受止部11とは、必ずしも、溶接により一体化する必要はなく、例えば、
図6(n)に示す通り、一枚の板材を屈曲形成して突出ブラケット1を完成させても良い。
【符号の説明】
【0068】
EQU 商品展示装置
HO 係止開口
PL 支持部材(支持柱)
BAR 角型部材(角パイプ)
BA1 挿入開口
BA2 受入溝
1 突出部材(突出ブラケット)
10 本体部
RK 挿入片
11 受止部
11a 受止第1部(垂直基端片)
11b 受止第2部(水平突出片)
11c 受止第3部(先端垂直片)