(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163610
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】皮膚化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20231102BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20231102BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20231102BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/9789
A61K8/34
A61Q19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074622
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124349
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 圭啓
(72)【発明者】
【氏名】寺田 奈莉子
(72)【発明者】
【氏名】村上 大
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AC072
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC352
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC582
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD311
4C083AD332
4C083AD662
4C083CC04
4C083CC05
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】肌のテカリを抑制しつつツヤを付与する効果に優れ、つっぱり感がなくハリが得られ、かつマスクを着用した状態においてもそれらの効果が持続する皮膚化粧料の提供。
【解決手段】下記の成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)を少なくとも含有する皮膚化粧料。
成分(A):植物性プロテオグリカンを0.0001~0.5質量%
成分(B):酸性ムコ多糖類を0.0001~0.1質量%
成分(C):クワ抽出物を0.0001~0.1質量%
成分(D):炭素数3~6の2価アルコールを1~20質量%
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)を少なくとも含有する皮膚化粧料。
成分(A):植物性プロテオグリカンを0.0001~0.5質量%
成分(B):酸性ムコ多糖類を0.0001~0.1質量%
成分(C):クワ抽出物を0.0001~0.1質量%
成分(D):炭素数3~6の2価アルコールを1~20質量%
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は顔や身体等に用いられる皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
若々しい外見のためには皮膚に一定の水分保持力が必要不可欠である。しかし、加齢や紫外線の影響により真皮層のコラーゲンやエラスチンなどが変性するとともに水分保持力が低下して、シワやタルミが目立つようになる。このような症状を緩和・改善するための方法として、化粧料によって保湿する方法や、ツヤやハリを肌に与える方法が挙げられる。
【0003】
肌にツヤがあると、ツヤがない状態に比べて、シワが目立ちにくくなり、若々しく感じられるため、肌にツヤが求められることが多い。一般に化粧料によってツヤを付与する場合、油性成分を用いることが多い。しかし、油性成分によってツヤを付与しようとすると、皮膚上の油分が過剰となり、テカリを生じてしまう場合があった。テカリがある肌とは肌上に油分が過剰にある状態であるのに対して、ツヤがある肌とは肌の水分と油分のバランスが良く、表面が滑らかな状態である。テカリを生じずにツヤを肌に付与するためには、水分と皮脂のバランスを取りながら、肌表面を滑らかにすることが必要である。
【0004】
特許文献1には、シリコーンエラストマー粒子またはシリコーンエラストマー/シリコーンレジン複合粒子を薄片状基板粉体表面に被覆した被覆粒子と、揮発性シリコーン油を含む油性成分を含む化粧料が開示され、この化粧料によれば、塗布直後に優れたツヤを有しながら、経時で皮脂が出てきてもテカリがなく、毛穴を目立たなくすることができることが記載されている。しかし、この化粧料は肌にハリを与える効果については不十分であった。
【0005】
肌にハリがあると、シワやタルミが目立ちにくくなり、若々しい印象を与えることができる。水分を肌に保持させる等の方法によって肌にハリを与えることもできるが、より即効性に優れるのは、化粧料に保湿剤および水溶性高分子を配合して内側から肌にふっくら感を与えつつ、物理的に肌を張る成分も配合する方法である。例えば特許文献2には、シロキクラゲ多糖体と、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルとを含有する化粧料が開示されている。しかし、水溶性高分子の種類によっては肌上の被膜が硬くなり、物理的に肌を張る効果が得られるものの、つっぱり感を生じる場合があった。
また、特許文献3には、ハトムギ種子(ヨクイニン)抽出物を含有する皮膚化粧料が開示されており、この皮膚化粧料は肌のハリ・弾力を向上させる効果を奏するが、つっぱり感を生じる場合があった。
【0006】
つっぱり感なくハリを与えるには、肌の内側に潤いを与えながら、物理的に肌を張るための被膜が柔らかいことが必要である。特許文献4には、ペクチンと、トリメチルグリシンと、単糖と、水とを含有する化粧料が開示され、この化粧料によれば、皮膚にハリ感を付与することができ、かつつっぱり感が低減でき、べたつきが生じず、十分な保湿感も付与することができ、上記の課題を解決することができる。しかし、この化粧料は肌のツヤについて十分に満足できるものではなかった。
【0007】
一方、昨今ではマスクを着用する機会が増えている。マスク内側は高湿度状態となるため、皮脂が分泌され、ツヤ付与効果とテカリ抑制効果との両立がさらに難しくなっている。さらに、マスクを着用した場合、マスクと顔との間に摩擦が生じるので肌が敏感になり、通常時よりも物理的に肌を張る成分によるつっぱり感が生じやすくなり、マスクを着用する時間が長い状況下においては、ますます改善が求められている。
そのため、肌のテカリを抑制しつつツヤを付与する効果に優れ、つっぱり感がなくハリが得られ、かつマスクを着用した状態においてもそれらの効果が持続する皮膚化粧料が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013-216602号公報
【特許文献2】特開2008-303203号公報
【特許文献3】特開2017-193506号公報
【特許文献4】特開2018-80139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、肌のテカリを抑制しつつツヤを付与する効果に優れ、つっぱり感がなくハリが得られ、かつマスクを着用した状態においてもそれらの効果が持続する皮膚化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の素材を選択し、その配合割合を特定範囲とすることによって、所期の作用効果を奏する皮膚化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)を含有する皮膚化粧料である。
成分(A):植物性プロテオグリカンを0.0001~0.5質量%
成分(B):酸性ムコ多糖類を0.0001~0.1質量%
成分(C):クワ抽出物を0.0001~0.1質量%
成分(D):炭素数3~6の2価アルコールを1~20質量%
【発明の効果】
【0011】
本発明の皮膚化粧料によれば、肌のテカリを抑制しつつツヤを付与する効果に優れ、つっぱり感がなくハリが得られ、かつマスクを着用した状態においてもそれらの効果が持続するという効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
なお、本明細書において記号「~」を用いて規定された数値範囲は「~」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2~5」は2以上かつ5以下を表す。
また、濃度または量を特定した場合、任意のより高い方の濃度または量と、任意のより低い方の濃度または量とを関連づけることができる。例えば「2~10質量%」および「好ましくは4~8質量%」の記載がある場合、「2~4質量%」、「2~8質量%」、「4~10質量%」および「8~10質量%」の記載も包含される。
【0013】
本発明の皮膚化粧料は、下記の成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)を少なくとも含有する。以下、各成分について説明する。
【0014】
<成分(A):植物性プロテオグリカン>
本発明で用いられる成分(A)は、植物性プロテオグリカンであり、特殊な構造を有する糖とタンパク質の複合体である。
植物性プロテオグリカンは、アラビノガラクタンとコアタンパク質が一定の様式で結合したものであり、正式にはアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)と呼ばれており、植物の細胞壁や樹液に細胞外マトリックスとして存在する。
植物性プロテオグリカンとしては、マメ科ネムノキ亜科のアカシア(Acacia)属に属するアラビアゴムノキ(Acacia senegal Willdenow)、またはその同属近縁植物から得られるアラビアゴムを原料とするものが好ましく用いられる。ここで、アラビアゴムは、前記植物の樹皮の傷口から滲出する分泌液を乾燥させたものである。
成分(A)として好ましく用いられる植物性プロテオグリカンは、上記したアラビアゴムノキ等の植物から得たアラビアゴムから、主にアラビノガラクタンとグリコプロテインを除いた精製物として得られる。
【0015】
植物性プロテオグリカンは、多角度光散乱検出器および示差屈折率検出器をオンライン接続したサイズ排除クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が900,000~3,500,000であるものが好ましく、1,000,000~3,000,000であるものがより好ましい。
また、植物性プロテオグリカンは、アンプライト(Amplite) (商標)アルデヒド定量キット(比色)(Colorimetric Aldehyde Quantitation Kit)(製品番号:10051)(エイエイティー バイオクウェスト(AAT Bioquest) 社製)等のアルデヒド定量キットにより測定される総アルデヒド含有量が、0.005~2.0μmol当量/gであるものが好ましく用いられる。
【0016】
植物性プロテオグリカンの製造方法としては特に限定されず、例えば、0.5~40質量%に調製されたアラビアゴム水溶液をポーラスI型強塩基性アニオン交換樹脂および強酸性カチオン交換樹脂に供して精製することにより好適に製造することができる。また、一般的に有効分含有量が約1質量%の水溶液として市販されている植物性プロテオグリカンの製品を用いることもできる。
植物性プロテオグリカンのかかる市販の製品としては、例えば日油株式会社製の「プロテオグリカン(植物)」が挙げられる。
【0017】
成分(A)の含有量は、皮膚化粧料全体量に対して、0.0001~0.5質量%であり、好ましくは0.001~0.4質量%、より好ましくは0.005~0.3質量%、更に好ましくは0.01~0.2質量%、特に好ましくは0.05~0.2質量%である。成分(A)の含有量が少なすぎるときは、つっぱり感がなく、ハリが得られる効果が十分ではなく、マスクを着用した状態での効果の持続性が不十分となることがあり、成分(A)の含有量が多すぎるときは、つっぱり感がなく、ハリが得られる効果が不十分となることがある。
【0018】
<成分(B):酸性ムコ多糖類>
本発明で用いられる成分(B)は、酸性ムコ多糖類である。本発明で用いられる「酸性ムコ多糖類」とは、結合組織や軟骨組、皮膚組織などに多く分布し、かつ高い保水性を有する成分であって、細胞外マトリックスの支柱の役目を果たしているコラーゲンと結合して、細胞の機能や形態を維持するのに役立つ成分である。皮膚組織において酸性ムコ多糖類やコラーゲン等は、真皮層に多く存在して皮膚の保水性や弾力性に大きく関与している。加齢などによってこれらの量が減少すると皮膚の保水性や弾力性が失われてしまい、肌荒れや小じわなどの原因となることが知られている。
【0019】
酸性ムコ多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン-4-硫酸、コンドロイチン-6-硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリンなどの酸性ムコ多糖;酸性ムコ多糖と無機または有機のアルカリにより形成される塩;および酸性ムコ多糖のアセチル化物などが挙げられる。酸性ムコ多糖の無機塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩が挙げられ、有機塩としては、例えば、第四級アンモニウム塩などが挙げられる。塩として好ましくは、ナトリウム塩、カリウム塩である。
酸性ムコ多糖類として好ましくは、ヒアルロン酸、コンドロイチン-4-硫酸、コンドロイチン-6-硫酸またはそれらの塩であり、より好ましくはヒアルロン酸またはその塩である。
これら酸性ムコ多糖類の中から選ばれる1種を単独で、または2種以上を併せて用いることができる。酸性ムコ多糖類は、市販の製品や調製したものを用いることができる。
【0020】
成分(B)の含有量は、皮膚化粧料全体量に対して、0.0001~0.1質量%であり、好ましくは0.0005~0.07質量%、より好ましくは0.001~0.05質量%、更に好ましくは0.005~0.03質量%、特に好ましくは0.005~0.02質量%である。成分(B)の含有量が少なすぎるときは、肌のテカリを抑制しつつツヤを付与する効果が十分ではなく、マスクを着用した状態での持続性が不十分となることがあり、成分(B)の含有量が多すぎるときは、つっぱり感がなく、ハリが得られる効果が不十分となることがある。
マスクを着用した状態での効果の持続性の観点から、成分(A)と成分(B)との含有量の質量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)は、0.1~100であることが好ましく、1~50であることがより好ましく、5~20であることが更に好ましい。
【0021】
<成分(C):クワ抽出物>
本発明に用いられる成分(C)は、クワから得られるクワ抽出物である。本発明で用いられる「クワ」とは、クワ科クワ属(Morus) に属する植物を意味し、例えば、マグワ(Morus alba L.) 、シマグワ(M. australis Poir) 、ヤマグワ(M. bombycis Koidz.)、ログワ(M. latifolia(Bur.)Poir.) 、モウコグワ(M. mongolica(Bur.)Schneid.)、クロミグワ(M. nigra L.) 、アカミグワ(M. rubra L.) などが挙げられる。なかでもマグワ(M. alba L.)が好ましい。
【0022】
抽出に用いられるクワの使用部位は特に限定されないが、根皮を好適に使用することができる。根皮としては、例えば、周皮を含む根皮、周皮、周皮を取り除いた根皮(ソウハクヒ)等が挙げられ、特に制限はないが、周皮を含む根皮が好ましい。
クワの抽出に用いられる溶媒としては、例えば、水および水性溶媒が挙げられる。水性溶媒としては、例えば、酢酸エチル等のエステル類;アセトン等のケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールエーテルなどの多価アルコールアルキルエーテル等のエーテル類;低級アルコールや多価アルコール等のアルコール類等が挙げられる。中でも安全性および抽出効率の良さという観点から、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1, 3-ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましく、水、エタノール、1, 3-ブチレングリコールがより好ましい。
前記抽出溶媒は1種を選択して単独で用いてもよく、または2種以上を併用してもよい。溶媒での抽出処理は、クワ100質量部に対して、例えば抽出溶媒が水である場合には、通常100~2000質量部、好ましくは200~1000質量部を用いて行うことができる。同様に、抽出溶媒が低級アルコールである場合には、通常100~5000質量部、好ましくは500~2000質量部を用いて抽出することができる。
【0023】
抽出温度は、使用する抽出溶媒の種類に応じて適宜決定される。例えば抽出溶媒が水である場合には、抽出温度は通常20~120℃程度であり、抽出溶媒が低級アルコールである場合には、通常30~80℃程度である。
抽出方法としては一般的な方法が採用され、例えば、未乾燥のクワあるいは乾燥させたクワの各部位に抽出溶媒を加えて浸漬し、場合により撹拌等を行なった後、ろ過することで抽出物を得ることができる。クワを乾燥させる方法としては、例えば、風乾、温乾、凍結乾燥などが挙げられる。クワは抽出効率の観点から適当に細切したものでもよい。
抽出時間(浸漬時間)は、通常1時間以上であり、3時間以上が好ましく、5時間以上がより好ましい。抽出時間の上限は、抽出効率の観点から、通常10時間であり、8時間が好ましい。
抽出する回数は特に限定されないが、前記量の水または水性溶媒によって1回抽出を行なうことが好ましい。
得られた抽出物は、そのまま用いてもよく、あるいは溶媒留去により濃縮し、必要に応じて、カラムクロマトグラフィーや溶媒分画等の処理により精製し、さらに乾燥等を行ったものを用いてもよい。
この抽出物は、取扱い易くするために、水;グリセリン、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコールで希釈したものを用いることができる。
この抽出物として市販品を用いても良い。市販品の例としては、例えば、「ソウハクヒエキス(日油株式会社製)」が挙げられる。この製品は、マグワの周皮を取り除いた根皮(ソウハクヒ)を用い、抽出溶媒としてのエタノールを使用して、抽出・乾燥して調製したエキスである。
【0024】
成分(C)の含有量は、皮膚化粧料全体量に対して、0.0001~0.1質量%であり、好ましくは0.0005~0.07質量%、より好ましくは0.001~0.05質量%、更に好ましくは0.005~0.03質量%、特に好ましくは0.005~0.02質量%である。成分(C)の含有量が少なすぎたり、多すぎたりするときは、つっぱり感がなく、ハリが得られる効果が不十分となることがある。
【0025】
<成分(D):炭素数3~6の2価アルコール>
本発明に用いられる成分(D)は、炭素数3~6であり、かつ価数が2価の多価アルコールである。かかる多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、1, 3-プロパンジオール、1, 3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、イソプレングリコールが挙げられる。これらの中で好ましくは、1, 3-プロパンジオール、1, 3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ジプロピレングリコールである。成分(C)として、上記多価アルコールから選ばれる1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
成分(D)の含有量は、皮膚化粧料全体量に対して、1~20質量%であり、好ましくは2~18質量%、より好ましくは3~15質量%、更に好ましくは5~13質量%、特に好ましくは7~12質量%である。成分(D)の含有量が少なすぎるときは、肌のテカリを抑制しつつツヤを付与する効果や、つっぱり感がなくハリが得られる効果が不十分となることがあり、成分(D)の含有量が多すぎるときは、肌のテカリを抑制しつつツヤを付与する効果が不十分となることがある。
【0027】
<水>
本発明の皮膚化粧料は、上記成分(A)~成分(D)の各成分の他に水を含有する。水としては、例えば、脱イオン水、イオン交換水、蒸留水が好ましい。
水の含有量は、上記成分(A)~(D)の各成分と水の合計含有量が、皮膚化粧料全体量に対して、60質量%以上、好ましくは70~100質量%、より好ましくは75~99質量%となるように適宜設定される。
【0028】
<その他の添加成分>
本発明の皮膚化粧料は、上記の成分(A)~成分(D)および水の他にも、化粧品に使われる一般的な成分を添加成分としてさらに含有していてもよい。
その他の添加成分としては、例えば、油剤;脂肪酸;pH調整剤;酸化防止剤;金属封鎖剤;色素;香料;顔料等が挙げられる。その他の添加成分の含有量は、皮膚化粧料全量に対して、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。
【0029】
本発明の皮膚化粧料は公知の方法により製造することができる。例えば、成分(A)としての植物性プロテオグリカン、成分(B)としてのヒアルロン酸ナトリウム、成分(C)としてのソクハクヒエキス、成分(D)としての1, 3-ブチレングリコール、および水、場合によりその他の添加成分を混合し、加熱して均一に混合させた後、これを室温付近まで攪拌冷却することによって、本発明の皮膚化粧料を製造することができる。
【0030】
本発明の皮膚化粧料は、液状、乳液状、ペースト状、クリーム状、ジェル状等の剤型にすることができ、顔や身体等に用いられる。
【実施例0031】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
なお、表1および表2において、各成分の数値は皮膚化粧料全量に対する含有量(質量%)を示す。また表中の括弧内の数字は、製品中に含まれる抽出物の量、または有効成分の量である。原料は以下のものを使用した。
成分(A)
植物性プロテオグリカン:「プロテオグリカン(植物)(日油株式会社製)」、組成(植物性プロテオグリカン1質量%水溶液)
成分(B)
ヒアルロン酸ナトリウム:組成(ヒアルロン酸ナトリウム1質量%水溶液)
成分(C)
ソウハクヒエキス:「ソウハクヒエキス(日油株式会社製)」、組成(ソウハクヒエキス 1質量%、1,3-ブチレングリコール 79.2質量%、水 19.8質量%)
成分(C’)
ヨクイニンエキス:「ヨクイニン抽出液(香栄興業株式会社製)」、組成(ヨクイニンエキス 1質量%、1,3-ブチレングリコール 49.5質量%、水 49.5質量%)
【0032】
<実施例1~10、比較例1~6>
表1(実施例1~10)および表2(比較例1~6)に示す皮膚化粧料を調製し、下記の方法により評価した。
【0033】
<評価方法>
(1)肌のテカリを抑制しつつツヤを付与する効果
25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、洗顔後、皮膚化粧料1gを全顔に塗布し、1時間後の肌のテカリおよびツヤについて、下記基準で評価を行った。
2点:テカリがなく、ツヤがあると感じた場合。
1点:テカリはないが、ツヤがややあると感じた場合。
0点:テカリがある、または、ツヤがないと感じた場合。
【0034】
(2)つっぱり感がなくハリを付与する効果
25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、洗顔後、皮膚化粧料1gを全顔に塗布し、1時間後の肌のつっぱり感およびハリについて、下記基準で評価を行った。
2点:つっぱり感がなく、ハリがあると感じた場合。
1点:つっぱり感はないが、ハリがややあると感じた場合。
0点:つっぱり感がある、または、ハリがないと感じた場合。
【0035】
(3)マスク着用時の効果持続性
25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、洗顔後、皮膚化粧料1gを全顔に塗布し、マスクを1時間着用後に、肌のテカリのなさ、ツヤ、つっぱり感のなさ、ハリについて、下記基準で評価を行った。
2点:効果の持続性があると感じた場合。
1点:効果の持続性がややあると感じた場合。
0点:効果の持続性がないと感じた場合。
【0036】
上記(1)~(3)の各評価について下記の基準で判定して、表1および表2にそれぞれ示した。なお、「◎」および「○」を合格と判定した。
◎:合計点が35点以上
○:合計点が30点以上、34点以下
△:合計点が20点以上、29点以下
×:合計点が19点以下
【0037】
【0038】
【0039】
実施例1~10の皮膚化粧料は、いずれも、肌のテカリを抑制しつつツヤを付与する効果に優れ、つっぱり感がなくハリが得られ、かつマスクを着用した状態においてもそれらの効果が持続することができた。
【0040】
これに対して、比較例1~6では、十分な性能が得られていない。
比較例1では、成分(A)を含まないため、つっぱり感がなくハリを付与する効果が十分ではなく、マスクを着用した状態での持続性が不十分であった。
比較例2では、成分(B)を含まないため、肌のテカリを抑制しつつツヤを付与する効果が十分ではなく、マスクを着用した状態での持続性が不十分であった。
比較例3および4では、成分(C)を含まないため、つっぱり感がなくハリを付与する効果が十分ではなく、マスクを着用した状態での持続性が不十分であった。
比較例5では、成分(D)を含まないため、肌のテカリを抑制しつつツヤを付与する効果、つっぱり感がなくハリを付与する効果が共に十分ではなく、マスクを着用した状態での持続性が不十分であった。
比較例6では、成分(D)の代わりに、炭素数2の2価アルコールであるグリセリンを含むものの、肌のテカリを抑制しつつツヤを付与する効果が十分ではなく、マスクを着用した状態での持続性が不十分であった。
【0041】
次に、本発明の皮膚化粧料の製剤例(処方例1および2)を示す。これら製剤例の皮膚化粧料も、肌のテカリを抑制しつつツヤを付与する効果に優れ、つっぱり感がなくハリが得られ、かつマスクを着用した状態においてもそれらの効果が持続することができた。
なお、下記の製剤例におけるエキスの配合量は抽出エキスの配合量であり、水溶性高分子の配合量は固形分の配合量である。
【0042】
[処方例1]ジェル状皮膚化粧料(質量%)
成分(A)植物性プロテオグリカン:0.01
成分(B)ヒアルロン酸ナトリウム:0.01
成分(C)ソウハクヒエキス:0.01
成分(D)1,3-プロパンジオール:5
成分(D)ジプロピレングリコール:5
成分(D)ペンチレングリコール:2
グリセリン:6
カルボキシビニルポリマー:0.1
アルキル変性カルボキシビニルポリマー:0.1
アルギニン:0.1
ポリソルベート80:0.2
PEG-60水添ヒマシ油:0.2
エチルヘキシルグリセリン:0.1
フェノキエシエタノール:0.3
ポリクオタニウム-51:0.1
バラ花エキス:0.01
ユーカリ葉エキス:0.01
香料:適量
水:残量
【0043】
[処方例2]乳液状皮膚化粧料(質量%)
成分(A)植物性プロテオグリカン:0.01
成分(B)ヒアルロン酸ナトリウム:0.01
成分(C)ソウハクヒエキス:0.01
成分(D)1,3-ブチレングリコール:5
成分(D)ジプロピレングリコール:5
成分(D)ペンチレングリコール:2
グリセリン:6
カルボキシビニルポリマー:0.1
アルキル変性カルボキシビニルポリマー:0.1
アルギニン:0.1
ポリソルベート80:0.5
ステアリン酸PEG-75:0.5
ステアリン酸グリセリル:1
ベヘニルアルコール:1
オリーブ果実油:6
エチルヘキサン酸セチル:6
ジメチコン:3
トコフェロール:0.1
エチルヘキシルグリセリン:0.1
フェノキエシエタノール:0.3
ポリクオタニウム-51:0.1
バラ花エキス:0.01
ユーカリ葉エキス:0.01
香料:適量
水:残量