(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163611
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6592 20110101AFI20231102BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
H01R13/6592
H01R13/52 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074623
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】辻田 瞭
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC32
5E021LA10
5E021LA21
5E087EE02
5E087EE07
5E087FF06
5E087LL03
5E087LL13
5E087QQ04
5E087RR03
5E087RR25
(57)【要約】
【課題】製造効率を向上できるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、シールド電線20と、ハウジング30と、シールドシェル80と、シール部材90と、リテーナ100とを備えている。シールド電線20の編組部材23は、露出部23aを有している。シール部材90は、シールド電線20の第1絶縁被覆22の外周面を取り囲んでいる。リテーナ100は、シール部材90に対向するとともに互いに係合する2つの半割体110A,110Bによって構成された樹脂製のリテーナ本体110と、リテーナ本体110に埋設された金属製のシールド端子140とを有している。シールド端子140は、露出部23aとシールドシェル80とを電気的に接続している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子が接続される芯線、前記芯線の外周面を覆う第1絶縁被覆、導電性の素線が筒状に編み込まれてなり、前記第1絶縁被覆の外周面を覆う編組部材、及び前記編組部材の外周面を覆う第2絶縁被覆を有するシールド電線と、
前記シールド電線を収容するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられるとともに前記シールド電線を覆う金属製のシールドシェルと、
前記ハウジングの内部に設けられるとともに前記シールド電線と前記ハウジングとの間の部分を止水するシール部材と、
前記ハウジングに取り付けられるとともに前記ハウジングから前記シール部材を抜け止めするリテーナと、を備えるコネクタであって、
前記編組部材は、前記芯線の長さ方向における前記第2絶縁被覆の端部から露出した露出部を有しており、
前記シール部材は、前記第1絶縁被覆の外周面を取り囲んでおり、
前記リテーナは、前記長さ方向において前記シール部材に対向するとともに互いに係合する2つの半割体によって構成された樹脂製のリテーナ本体と、前記リテーナ本体に埋設された金属製のシールド端子と、を有しており、
前記シールド端子は、前記露出部と前記シールドシェルとを電気的に接続している、
コネクタ。
【請求項2】
前記シールド端子は、前記露出部の外周面に向かって突出するとともに前記露出部の周方向に延びる突起を有しており、
前記突起は、前記露出部を介して前記第1絶縁被覆の外周面を押圧している、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記シールドシェルは、弾性変形可能に構成された接触片を有しており、
前記シールド端子は、前記接触片に接触する平面状の接触面を有している、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記リテーナは、前記2つの半割体の各々に埋設された複数の前記シールド端子を有しており、
前記2つの半割体は、互いに同一の形状をなしており、
前記複数のシールド端子は、互いに同一の形状をなしている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記シールド電線を収容するインナーハウジングと、前記インナーハウジングを収容するアウターハウジングと、を有しており、
前記シールドシェルは、前記アウターハウジングの内面に取り付けられるとともに前記インナーハウジングを覆っており、
前記シール部材は、前記インナーハウジングの内部に設けられており、
前記リテーナは、前記インナーハウジングに取り付けられている、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジングの内部にゴム栓が設けられた防水用のコネクタが開示されている。
同コネクタは、シールド電線と、雌ハウジングと、シールドシェルと、ゴム栓と、ゴム栓押さえとを備えている。雌ハウジングは、シールド電線を収容する筒状をなしている。シールドシェルは、雌ハウジングの内部に設けられるとともにシールド電線を覆っている。ゴム栓は、シールド電線の外周面に取り付けられるとともにシールド電線の外周面と雌ハウジングの内周面との間の部分を止水している。ゴム栓押さえは、雌ハウジングに取り付けられるとともにゴム栓を雌ハウジングから抜け止めしている。
【0003】
シールド電線は、芯線と、芯線の外周面を覆う内皮と、内皮の外周面を覆う編組線と、編組線の外周面を覆う外皮とを有している。
外皮の端部の外周面には、下敷きリングが取り付けられている。編組線は、外皮の端部から露出するとともに下敷きリングの外周面上に折り返されている。折り返された編組線は、シェルリングによって下敷きリングに対してかしめられている。これにより、編組線とシェルリングとが電気的に接続されている。
【0004】
シールドシェルは、シェルリングを外周側から弾性的に挟み込む2つの接点部を有している。シェルリングが2つの接点部により挟み込まれることにより、シェルリングを介して編組線とシールドシェルとが電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のコネクタの製造時には、シェルリングを用いて編組線を下敷きリングに対してかしめる作業が必要となる。こうしたかしめ作業は手間となるため、コネクタの製造効率を向上する上で改善の余地がある。
【0007】
本開示の目的は、製造効率を向上できるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のコネクタは、端子が接続される芯線、前記芯線の外周面を覆う第1絶縁被覆、導電性の素線が筒状に編み込まれてなり、前記第1絶縁被覆の外周面を覆う編組部材、及び前記編組部材の外周面を覆う第2絶縁被覆を有するシールド電線と、前記シールド電線を収容するハウジングと、前記ハウジングに取り付けられるとともに前記シールド電線を覆う金属製のシールドシェルと、前記ハウジングの内部に設けられるとともに前記シールド電線と前記ハウジングとの間の部分を止水するシール部材と、前記ハウジングに取り付けられるとともに前記ハウジングから前記シール部材を抜け止めするリテーナと、を備えるコネクタであって、前記編組部材は、前記芯線の長さ方向における前記第2絶縁被覆の端部から露出した露出部を有しており、前記シール部材は、前記第1絶縁被覆の外周面を取り囲んでおり、前記リテーナは、前記長さ方向において前記シール部材に対向するとともに互いに係合する2つの半割体によって構成された樹脂製のリテーナ本体と、前記リテーナ本体に埋設された金属製のシールド端子と、を有しており、前記シールド端子は、前記露出部と前記シールドシェルとを電気的に接続している。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、コネクタの製造効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態のコネクタ及び相手コネクタの斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のコネクタの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のコネクタの断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のコネクタの拡大断面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態のコネクタのアウターハウジングとシールドシェルとを除いた内部構造を示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施形態のリテーナの分解斜視図である。
【
図7】
図7は、一実施形態のシールド端子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示のコネクタは、端子が接続される芯線、前記芯線の外周面を覆う第1絶縁被覆、導電性の素線が筒状に編み込まれてなり、前記第1絶縁被覆の外周面を覆う編組部材、及び前記編組部材の外周面を覆う第2絶縁被覆を有するシールド電線と、前記シールド電線を収容するハウジングと、前記ハウジングに取り付けられるとともに前記シールド電線を覆う金属製のシールドシェルと、前記ハウジングの内部に設けられるとともに前記シールド電線と前記ハウジングとの間の部分を止水するシール部材と、前記ハウジングに取り付けられるとともに前記ハウジングから前記シール部材を抜け止めするリテーナと、を備えるコネクタであって、前記編組部材は、前記芯線の長さ方向における前記第2絶縁被覆の端部から露出した露出部を有しており、前記シール部材は、前記第1絶縁被覆の外周面を取り囲んでおり、前記リテーナは、前記長さ方向において前記シール部材に対向するとともに互いに係合する2つの半割体によって構成された樹脂製のリテーナ本体と、前記リテーナ本体に埋設された金属製のシールド端子と、を有しており、前記シールド端子は、前記露出部と前記シールドシェルとを電気的に接続している。
【0012】
同構成によれば、シールド端子がリテーナ本体に埋設されている。このため、リテーナがハウジングに取り付けられることで、シールド端子を介して露出部とシールドシェルとが電気的に接続される。これにより、金属部材を介して露出部とシールドシェルとを電気的に接続すべく、当該金属部材を露出部に対してかしめる作業が不要となる。したがって、コネクタの製造効率を向上できる。
【0013】
[2]上記[1]において、前記シールド端子は、前記露出部の外周面に向かって突出するとともに前記露出部の周方向に延びる突起を有しており、前記突起は、前記露出部を介して前記第1絶縁被覆の外周面を押圧していることが好ましい。
【0014】
同構成によれば、突起が露出部の周方向に延びているため、突起と露出部とが接触する範囲が広くなる。また、突起が露出部を介して第1絶縁被覆の外周面を押圧することによって、当該押圧に応じた第1絶縁被覆の反発力が露出部に作用する。このため、突起と露出部とが密着しやすくなる。これらのことから、突起と露出部との接触面積を大きくすることができる。したがって、シールド端子と編組部材との接続信頼性を高めることができる。
【0015】
[3]上記[1]または[2]において、前記シールドシェルは、弾性変形可能に構成された接触片を有しており、前記シールド端子は、前記接触片に接触する平面状の接触面を有していることが好ましい。
【0016】
同構成によれば、接触片が弾性変形した状態でシールドシェルとシールド端子とが接触することによって、接触片が自身の復元力によって接触面に対して押し付けられる。また、接触面は平面状をなしているため、シールド端子と接触片との位置ずれを吸収することができる。これらのことから、シールド端子とシールドシェルとの接続信頼性を高めることができる。
【0017】
[4]上記[1]から[3]のいずれかにおいて、前記リテーナは、前記2つの半割体の各々に埋設された複数の前記シールド端子を有しており、前記2つの半割体は、互いに同一の形状をなしており、前記複数のシールド端子は、互いに同一の形状をなしていることが好ましい。
【0018】
同構成によれば、1種類の半割体及び1種類のシールド端子によってリテーナを構成することができる。このため、コネクタに用いられる部品の種類が増加することを抑制できる。
【0019】
[5]上記[1]から[4]のいずれかにおいて、前記ハウジングは、前記シールド電線を収容するインナーハウジングと、前記インナーハウジングを収容するアウターハウジングと、を有しており、前記シールドシェルは、前記アウターハウジングの内面に取り付けられるとともに前記インナーハウジングを覆っており、前記シール部材は、前記インナーハウジングの内部に設けられており、前記リテーナは、前記インナーハウジングに取り付けられていることが好ましい。
【0020】
同構成によれば、シールド電線とシール部材とが内部に配置されたインナーハウジングにリテーナが取り付けられることで、シールド端子が編組部材に接触する。その後、このインナーハウジングがアウターハウジングの内部に挿入されることで、シールド端子がシールドシェルに接触する。このため、リテーナが正規の位置に配置されることで、シールド端子を介して編組部材とシールドシェルとが電気的に接続される。したがって、シールド端子を介した編組部材とシールドシェルとの接続作業、ひいては、コネクタの組立作業が容易となる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本明細書における「直交」は厳密に直交の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね直交の場合も含まれる。
【0022】
(コネクタ10の構成)
図1に示すように、コネクタ10は、例えば、モータやインバータなどの車載機器に設けられた相手コネクタ200に電気的に接続されるものである。相手コネクタ200は、複数の相手端子201と、複数の相手端子201を保持するハウジング202とを備えている。相手コネクタ200は、例えば、2つの相手端子201を備えている。
【0023】
図2に示すように、コネクタ10は、複数のシールド電線20と、ハウジング30と、シールドシェル80と、複数のシール部材90と、リテーナ100とを備えている。コネクタ10は、例えば、互いに並列する2つのシールド電線20を備えている。コネクタ10は、例えば、2つのシールド電線20の各々に取り付けられる2つのシール部材90を備えている。
【0024】
ハウジング30は、2つのシールド電線20を部分的に収容している。2つのシールド電線20は、ハウジング30から引き出されている。シールドシェル80は、ハウジング30に取り付けられるとともに2つのシールド電線20の一部を覆っている。各シール部材90は、ハウジング30の内部に設けられるとともにシールド電線20とハウジング30との間の部分を止水している。リテーナ100は、ハウジング30に取り付けられるとともにハウジング30から2つのシール部材90を抜け止めしている。
【0025】
以降において、2つのシールド電線20が並列する方向をX軸方向と称し、2つのシールド電線20がハウジング30から引き出される方向をY軸方向と称し、X軸方向とY軸方向との双方に直交する方向をZ軸方向と称する。X軸方向とY軸方向とZ軸方向とは互いに直交している。
【0026】
(シールド電線20の構成)
図2及び3に示すように、各シールド電線20は、芯線21と、第1絶縁被覆22と、編組部材23と、第2絶縁被覆24とを有している。第1絶縁被覆22は、芯線21の外周面を覆っている。編組部材23は、第1絶縁被覆22の外周面を覆っている。第2絶縁被覆24は、編組部材23の外周面を覆っている。Y軸方向と直交するシールド電線20の断面形状は、例えば、円形状をなしている。
【0027】
芯線21は、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線である。芯線21の材料としては、例えば、銅系またはアルミニウム系の金属材料を用いることができる。Y軸方向と直交する芯線21の断面形状は、例えば、円形状をなしている。
【0028】
第1絶縁被覆22は、芯線21の外周面を全周にわたって覆っている。第1絶縁被覆22の材料としては、例えば、架橋ポリエチレンまたは架橋ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂材料や、ポリ塩化ビニル(PVC)などを用いることができる。
【0029】
編組部材23は、第1絶縁被覆22の外周面を全周にわたって覆っている。編組部材23は、導電性の素線が筒状に編み込まれることにより構成されている。編組部材23の材料としては、例えば、銅系またはアルミニウム系の金属材料を用いることができる。
【0030】
第2絶縁被覆24は、編組部材23の外周面を全周にわたって覆っている。第2絶縁被覆24の材料としては、例えば、架橋ポリエチレンまたは架橋ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂材料を用いることができる。
【0031】
編組部材23は、芯線21の長さ方向、すなわちY軸方向における第2絶縁被覆24の端部から露出した露出部23aを有している。露出部23aは、第1絶縁被覆22の外周面を全周にわたって覆っている。
【0032】
芯線21の端部は、第1絶縁被覆22の端部から露出している。第1絶縁被覆22から露出した芯線21の端部には、端子25が電気的に接続されている。
(端子25の構成)
図2に示すように、端子25は、例えば、Y軸方向に延びる板状をなしている。端子25の板厚方向は、X軸方向と一致している。端子25の材料としては、例えば、銅系またはアルミニウム系の金属材料を用いることができる。
【0033】
端子25は、例えば、圧着や超音波溶着などによって芯線21に接続されている。コネクタ10が相手コネクタ200に取り付けられることによって、2つの端子25が2つの相手端子201にそれぞれ電気的に接続される。
【0034】
(ハウジング30の構成)
ハウジング30は、インナーハウジング40と、アウターハウジング70とを有している。インナーハウジング40は、2つのシールド電線20を収容している。アウターハウジング70は、インナーハウジング40を収容している。インナーハウジング40及びアウターハウジング70の材料としては、例えば、絶縁性を有する樹脂材料を用いることができる。
【0035】
(インナーハウジング40の構成)
図2及び
図3に示すように、インナーハウジング40は、電線収容部材50と、端子収容部材60とを有している。電線収容部材50は、各シールド電線20のうち芯線21と端子25との接続部分を収容している。端子収容部材60は、各端子25と相手端子201との接続部分を収容している。端子収容部材60は、電線収容部材50に対して着脱可能に構成されている。
【0036】
(電線収容部材50の構成)
図2に示すように、電線収容部材50は、X軸方向に並列する2つの筒状部51と、2つの筒状部51を連結する連結部56とを有している。筒状部51は、Y軸方向に延びる四角筒状をなしている。連結部56は、2つの筒状部51の周壁における互いに対向する部分同士を連結している。連結部56は、Y軸方向に延びている。
【0037】
筒状部51は、Y軸方向に延びるとともにシールド電線20が貫通する貫通孔52を有している。貫通孔52のY軸方向と直交する断面形状は、四角形状をなしている。
図2及び
図3に示すように、筒状部51は、シールド電線20が引き出される第1端部51aと、端子収容部材60が取り付けられる第2端部51bとを有している。第1端部51aと第2端部51bとはY軸方向において互いに反対側に位置している。
【0038】
図4に示すように、第1端部51aの内部には、シール部材90の位置を規制する規制壁53が設けられている。規制壁53は、貫通孔52の内面から内周側に突出している。規制壁53は、貫通孔52の全周にわたって設けられている。
【0039】
図5に示すように、第1端部51aの周壁の外面には、リテーナ100に係合する第1係合突起54が設けられている。第1係合突起54は、第1端部51aの周壁のうちX軸方向において連結部56とは反対側の部分から突出している。電線収容部材50は、X軸方向において互いに反対側に突出した2つの第1係合突起54を有している。
【0040】
第2端部51bの周壁には、端子収容部材60に係合する2つの第2係合突起55が設けられている。上記2つの第2係合突起55は、Z軸方向において互いに反対側に突出している。電線収容部材50は、都合4つの第2係合突起55を有している。
【0041】
(端子収容部材60の構成)
端子収容部材60は、X軸方向に並列する2つの端子保護部61と、2つの端子保護部61を連結する連結部68とを有している。
【0042】
図3及び
図5に示すように、端子保護部61は、挿入部62と、連通部65と、保護部66とを有している。挿入部62は、第2端部51bに挿入されている。保護部66は、端子25と相手端子201との接続部分を覆うことで当該部分を保護している。連通部65は、挿入部62と保護部66とを連通している。
【0043】
挿入部62は、Y軸方向に延びる四角筒状をなしている。挿入部62の外周面には、電線収容部材50と端子収容部材60との間の部分を止水する環状のシール部材69が取り付けられている。シール部材69は、挿入部62の外周面と第2端部51bの内周面とに密着している。
【0044】
挿入部62は、第2端部51bの2つの第2係合突起55にそれぞれ係合する2つの係合部63を有している。上記2つの係合部63は、Z軸方向において互いに反対側に位置している。端子収容部材60は、都合4つの係合部63を有している。
【0045】
係合部63は、Y軸方向において第2係合突起55に向かって片持ち状に延びている。係合部63は、第2係合突起55が係合する係合孔64を有している。係合部63が撓み変形することによって、係合孔64に第2係合突起55が係合する。
【0046】
保護部66は、Z軸方向における一端が閉塞された四角筒状をなしている。保護部66は、Z軸方向の一方に開口する開口67を有している。開口67を通じて保護部66の内部に相手端子201が挿入されることで、端子25と相手端子201とがX軸方向において接触する。これにより、端子25と相手端子201とが電気的に接続される。
【0047】
連通部65は、Y軸方向に延びる四角筒状をなしている。連通部65の内部空間は、挿入部62の内部空間よりも縮小されている。連通部65は、保護部66の周壁に開口している。
【0048】
連結部68は、2つの挿入部62の周壁における互いに対向する部分同士を連結している。連結部68は、Y軸方向と直交する板状をなしている。
(アウターハウジング70の構成)
図2に示すように、アウターハウジング70は、2つの側壁71と、2つの連結壁72と、端壁73とを有している。2つの側壁71は、X軸方向において互いに対向している。2つの連結壁72は、Z軸方向において互いに対向するとともに2つの側壁71同士を連結している。端壁73は、2つの側壁71及び1つの連結壁72のY軸方向における端縁同士を連結している。端壁73は、アウターハウジング70のY軸方向における一端を閉塞している。
【0049】
アウターハウジング70は、インナーハウジング40が挿入される第1挿入口74と、相手コネクタ200が挿入される第2挿入口75とを有している。第1挿入口74と第2挿入口75とは、Y軸方向において互いに反対側に位置している。第1挿入口74の開口方向と第2挿入口75の開口方向とは、互いに異なっている。
【0050】
第1挿入口74は、Y軸方向の一方に開口している。第1挿入口74は、ハウジング30のうちY軸方向における端壁73とは反対側の端部に設けられている。第1挿入口74は、2つの側壁71と2つの連結壁72とによって構成されている。
【0051】
第2挿入口75は、Z軸方向の一方に開口している。第2挿入口75は、2つの連結壁72のうち相手コネクタ200に対向する連結壁72に開口している。第2挿入口75は、2つの側壁71と、相手コネクタ200に対向する連結壁72と、端壁73とによって構成されている。
【0052】
(シールドシェル80の構成)
シールドシェル80は、アウターハウジング70の内面に取り付けられている。シールドシェル80は、例えば、アウターハウジング70の内面に係合している。シールドシェル80は、アウターハウジング70の内部においてインナーハウジング40を覆っている。すなわち、シールドシェル80は、各シールド電線20のうちインナーハウジング40に収容された部分を覆っている。シールドシェル80の材料としては、例えば、銅系、鉄系またはアルミニウム系の金属材料を用いることができる。
【0053】
シールドシェル80は、2つの側壁81と、2つの連結壁82と、端壁83とを有している。2つの側壁81は、X軸方向において互いに対向している。2つの連結壁82は、Z軸方向において互いに対向するとともに2つの側壁81同士を連結している。端壁83は、1つの連結壁82のY軸方向における端縁からシールドシェル80の内側に起立している。
【0054】
2つの側壁81は、アウターハウジング70の2つの側壁71にそれぞれ対向している。2つの連結壁82は、アウターハウジング70の2つの連結壁72にそれぞれ対向している。端壁83は、アウターハウジング70の端壁73に対向している。端壁83は、ハウジング30の第2挿入口75に向かって起立している。
【0055】
シールドシェル80は、インナーハウジング40が挿入される第3挿入口84と、相手コネクタ200が挿入される第4挿入口85とを有している。第3挿入口84と第4挿入口85とは、Y軸方向において互いに反対側に位置している。第3挿入口84の開口方向と第4挿入口85の開口方向とは、互いに異なっている。第3挿入口84は、アウターハウジング70の第1挿入口74と同一方向に開口している。第4挿入口85は、アウターハウジング70の第2挿入口75と同一方向に開口している。
【0056】
シールドシェル80は、片持ち状に延びる複数の接触片86を有している。接触片86は、連結壁82の端縁からY軸方向において端壁83とは反対側に延びている。接触片86は、連結壁82の端縁を起点として弾性変形可能に構成されている。
【0057】
接触片86は、例えば、2つの連結壁82の各々に2つずつ設けられている。シールドシェル80は、都合4つの接触片86を有している。1つの連結壁82から延びる2つの接触片86は、X軸方向において互いに間隔をおいて設けられている。
【0058】
接触片86のX軸方向における中央部には、例えば、Y軸方向に延びるスリットが設けられている。
図4に示すように、接触片86は、リテーナ100に向かって突出した突出部87を有している。突出部87は、接触片86の先端部がシールドシェル80の内側に折り返されることにより形成されている。突出部87は、Y軸方向において電線収容部材50から離れるほどZ軸方向においてリテーナ100から離れるように傾斜した傾斜面を有している。
【0059】
(シール部材90の構成)
図2に示すように、シール部材90は、シールド電線20が貫通する貫通孔91を有する環状をなしている。シール部材90の材料としては、例えば、ゴムなどの弾性材料を用いることができる。
【0060】
図4に示すように、シール部材90は、シールド電線20の第1絶縁被覆22の外周面を取り囲んでいる。シール部材90は、第1端部51aの内部に設けられている。シール部材90は、第1絶縁被覆22の外周面と、第1端部51aの内周面とに密着している。シール部材90によって、シールド電線20と電線収容部材50との間の部分が止水されている。
【0061】
シール部材90は、Y軸方向において規制壁53に対向している。これにより、シール部材90がY軸方向の一方において位置決めされている。
(リテーナ100の構成)
リテーナ100は、電線収容部材50に取り付けられることで、電線収容部材50から2つのシール部材90を抜け止めしている。
【0062】
リテーナ100は、リテーナ本体110と、複数のシールド端子140とを有している。リテーナ本体110は、Y軸方向において各シール部材90に対向している。複数のシールド端子140は、リテーナ本体110に埋設されている。リテーナ100は、例えば、互いに同一の形状をなす4つのシールド端子140を有している。リテーナ本体110の材料としては、例えば、絶縁性を有する樹脂材料を用いることができる。シールド端子140の材料としては、例えば、金属材料を用いることができる。
【0063】
複数のシールド端子140とリテーナ本体110とは、インサート成形によって一体化されている。
(リテーナ本体110の構成)
図5及び
図6に示すように、リテーナ本体110は、保持部120と、フード部130とを有している。保持部120は、2つのシールド電線20を保持している。フード部130は、保持部120からY軸方向の一方に突出している。
【0064】
保持部120は、2つのシールド電線20の各々が貫通する2つの貫通孔121を有している。フード部130は、インナーハウジング40の各第1端部51aの外周面を覆っている。
【0065】
リテーナ本体110は、互いに係合する2つの半割体110A,110Bによって構成されている。2つの半割体110A,110Bは、互いに同一の形状をなしている。
(半割体110A及び半割体110Bの構成)
半割体110Aは、半割保持部122と、半割フード部131とを有している。同様に、半割体110Bは、半割保持部122と、半割フード部131とを有している。半割体110Aの半割保持部122と、半割体110Bの半割保持部122とが組み合わされることにより、保持部120が構成されている。半割体110Aの半割フード部131と、半割体110Bの半割フード部131とが組み合わされることにより、フード部130が構成されている。
【0066】
以降において、半割体110Aの構成について説明することで、半割体110Bの構成についての説明を省略する。
(半割体110Aの構成)
図6に示すように、半割保持部122は、半割体110Bの半割保持部122に対向する対向面123を有している。対向面123は、Z軸方向と直交している。半割保持部122は、対向面123に設けられた2つの半割貫通孔124を有している。2つの半割貫通孔124は、X軸方向に互いに間隔をおいて設けられている。半割貫通孔124は、対向面123からZ軸方向において半割体110Bとは反対側に向かって窪んでいる。半割貫通孔124の内面は、半円状に湾曲している。半割体110Aの半割貫通孔124と、半割体110Bの半割貫通孔124とが組み合わされることにより、貫通孔121が構成されている。
【0067】
半割保持部122のうち半割貫通孔124の内面とは反対側の外面は、半円状に湾曲している。したがって、半割保持部122のうちシールド電線20が貫通する部分は、半割円筒状をなしている。
【0068】
図4及び
図6に示すように、半割保持部122は、シール部材90の位置を規制する規制面125を有している。規制面125は、Y軸方向においてシール部材90に対向している。規制面125は、半割保持部122のY軸方向における端面である。規制面125は、Y軸方向と直交している。規制面125は、半割貫通孔124の内面と対向面123とに連なっている。
【0069】
図6に示すように、半割フード部131は、X軸方向において互いに対向する2つの側壁132と、2つの側壁132同士を連結する連結壁136とを有している。
側壁132は、Z軸方向において半割体110Bに向かって延びている。連結壁136は、X軸方向に延びている。各側壁132と連結壁136とは、規制面125に連なっている。
【0070】
2つの側壁132のうち一方の側壁132には、X軸方向において外側に突出したリテーナ係合突部133が設けられている。2つの側壁132のうち他方の側壁132には、半割体110Bのリテーナ係合突部133に係合するリテーナ係合部134が設けられている。リテーナ係合突部133とリテーナ係合部134とは、X軸方向に並んで設けられている。
【0071】
リテーナ係合部134は、Z軸方向において半割体110Bのリテーナ係合突部133に向かって片持ち状に延びている。リテーナ係合部134は、リテーナ係合突部133が係合する係合孔134aを有している。リテーナ係合部134が撓み変形することによって、係合孔134aにリテーナ係合突部133が係合する。
【0072】
上記他方の側壁132には、インナーハウジング40の第1係合突起54に係合するハウジング係合部135が設けられている。したがって、フード部130は、2つの第1係合突起54の各々に係合する2つのハウジング係合部135を有している。
【0073】
ハウジング係合部135は、Z軸方向において半割体110Bに向かって片持ち状に延びている。ハウジング係合部135は、第1係合突起54が係合する係合孔135aを有している。ハウジング係合部135が撓み変形することによって、係合孔135aに第1係合突起54が係合する。
【0074】
ハウジング係合部135は、Y軸方向においてリテーナ係合部134よりも半割保持部122から離れた位置に設けられている。すなわち、半割保持部122から視て、リテーナ係合部134とハウジング係合部135とがこの順で設けられている。
【0075】
(シールド端子140の構成)
図4に示すように、シールド端子140は、編組接触部141と、シェル接触部143と、連結部145とを有している。編組接触部141は、編組部材23の露出部23aに接触している。シェル接触部143は、シールドシェル80の接触片86に接触している。連結部145は、編組接触部141とシェル接触部143とを連結している。
【0076】
シールド端子140は、例えば、金属板材をプレス加工することにより形成されている。
図4及び
図7に示すように、編組接触部141は、Y軸方向に延びる半割筒状をなしている。編組接触部141は、露出部23aの外周面に向かって突出した突起142を有している。突起142は、編組接触部141の内周面から突出している。突起142は、露出部23aの周方向に延びている。突起142は、編組接触部141の周方向における全体にわたって設けられている。すなわち、突起142は、Y軸方向から視て半円状に形成されている。突起142の曲率半径は、芯線21の半径よりも小さい。
【0077】
図4に示すように、突起142は、露出部23aを介して第1絶縁被覆22の外周面を押圧している。
上記周方向と直交する突起142の断面形状は、半円状をなしている。突起142の断面形状は、例えば、突起142の周方向における全体にわたって一定である。
【0078】
シェル接触部143は、板状をなしている。シェル接触部143の板厚方向は、Z軸方向と一致している。
シェル接触部143は、接触片86に接触する接触面144を有している。接触面144は、Z軸方向と直交する平面状をなしている。接触面144は、Z軸方向におけるシェル接触部143の一端面である。
【0079】
連結部145は、Y軸方向における編組接触部141の端縁と、Y軸方向におけるシェル接触部143の端縁とを連結している。連結部145は、板状をなしている。連結部145の板厚方向は、Y軸方向と一致している。
【0080】
図6に示すように、編組接触部141は、半割保持部122に埋設されている。編組接触部141は、半割貫通孔124の内面から露出している。編組接触部141の内面と、半割貫通孔124の内面とは面一である。突起142は、半割貫通孔124の内面よりも内周側に突出している。編組接触部141の周方向における両端面と、対向面123とは面一である。
【0081】
シェル接触部143は、半割フード部131に埋設されている。接触面144は、半割フード部131の外面から露出している。接触面144と、半割フード部131の外面とは面一である。
【0082】
図4に示すように、連結部145は、半割保持部122に埋設されている。連結部145は、リテーナ本体110から外部に露出していない状態で規制面125に沿って設けられている。
【0083】
半割体110Aと半割体110Bとが組み付けられた状態において、Z軸方向において対向する2つのシールド端子140は互いに接触している。より詳しくは、上記2つの編組接触部141の周方向における両端面同士が互いに接触している。これにより、2つの突起142が環状をなすため、露出部23aとシールド端子140との間には、環状の接点が形成される。上記2つの突起142は、露出部23aを介して第1絶縁被覆22の外周面を全周にわたって押圧している。
【0084】
(コネクタ10の組立方法)
コネクタ10の組立方法の一例について説明する。
まず、2つのシールド電線20の各々にシール部材90が取り付けられる。このとき、シール部材90は、第1絶縁被覆22の外周に取り付けられる。
【0085】
次に、芯線21に端子25が接続される。
次に、シール部材90が取り付けられた2つのシールド電線20が、インナーハウジング40の電線収容部材50に挿入される。これにより、各シール部材90が、インナーハウジング40の第1端部51aの内部に配置される。このとき、シール部材90がインナーハウジング40の規制壁53に対向することで、Y軸方向の一方においてシール部材90が位置決めされる。
【0086】
次に、各シール部材69が取り付けられた端子収容部材60が電線収容部材50に取り付けられる。これにより、各端子25が、インナーハウジング40の端子収容部材60に収容される。
【0087】
次に、電線収容部材50にリテーナ100が取り付けられる。具体的には、電線収容部材50に対してZ軸方向の両側から2つの半割体110A,110Bが取り付けられる。このとき、半割体110A,110Bのリテーナ係合部134が、互いのリテーナ係合突部133に係合する。これにより、半割体110A,110B同士が互いに係合する。また、半割体110A,110Bのハウジング係合部135が、インナーハウジング40の第1係合突起54に係合する。
【0088】
リテーナ100が電線収容部材50に取り付けられることで、リテーナ本体110がY軸方向において各シール部材90に対向する。これにより、電線収容部材50から各シール部材90が抜け止めされている。
【0089】
また、リテーナ100が電線収容部材50に取り付けられることで、半割体110A,110Bの2つのシールド端子140の突起142によって、編組部材23の露出部23aが全周にわたって押圧される。これにより、シールド端子140と編組部材23とが電気的に接続される。
【0090】
次に、リテーナ100が取り付けられたインナーハウジング40が、第1挿入口74を通じてアウターハウジング70の内部に挿入される。このとき、シールド端子140の接触面144がシールドシェル80の接触片86の突出部87上を摺動しながら、リテーナ100がアウターハウジング70の内部へと移動する。これにより、接触片86がシールドシェル80の外側に向かって弾性変形する。インナーハウジング40がアウターハウジング70に対して正規の位置に配置された状態では、接触片86は、自身の復元力によって接触面144を押圧している。これにより、シールド端子140とシールドシェル80とが電気的に接続される。
【0091】
以上のようにして、シールド端子140を介して編組部材23とシールドシェル80とが電気的に接続される。
本実施形態の作用について説明する。
【0092】
本開示のコネクタ10では、シールド端子140がリテーナ本体110に埋設されている。このため、リテーナ100がハウジング30に取り付けられることで、シールド端子140を介して露出部23aとシールドシェル80とが電気的に接続される。これにより、金属部材を介して露出部23aとシールドシェル80とを電気的に接続すべく、当該金属部材を露出部23aに対してかしめる作業が不要となる。
【0093】
本実施形態の効果について説明する。
(1)コネクタ10は、シールド電線20と、ハウジング30と、シールドシェル80と、シール部材90と、リテーナ100とを備えている。シールド電線20の編組部材23は、露出部23aを有している。シール部材90は、シールド電線20の第1絶縁被覆22の外周面を取り囲んでいる。リテーナ100は、シール部材90に対向するとともに互いに係合する2つの半割体110A,110Bによって構成された樹脂製のリテーナ本体110と、リテーナ本体110に埋設された金属製のシールド端子140とを有している。シールド端子140は、露出部23aとシールドシェル80とを電気的に接続している。
【0094】
こうした構成によれば、上述した作用を奏することから、コネクタ10の製造効率を向上できる。
(2)シールド端子140は、露出部23aの外周面に向かって突出するとともに露出部23aの周方向に延びる突起142を有している。突起142は、露出部23aを介して第1絶縁被覆22の外周面を押圧している。
【0095】
こうした構成によれば、突起142が露出部23aの周方向に延びているため、突起142と露出部23aとが接触する範囲が広くなる。また、突起142が露出部23aを介して第1絶縁被覆22の外周面を押圧することによって、当該押圧に応じた第1絶縁被覆22の反発力が露出部23aに作用する。このため、突起142と露出部23aとが密着しやすくなる。これらのことから、突起142と露出部23aとの接触面積を大きくすることができる。したがって、シールド端子140と編組部材23との接続信頼性を高めることができる。
【0096】
(3)シールドシェル80は、弾性変形可能に構成された接触片86を有している。シールド端子140は、接触片86に接触する平面状の接触面144を有している。
こうした構成によれば、接触片86が弾性変形した状態でシールドシェル80とシールド端子140とが接触することによって、接触片86が自身の復元力によって接触面144に対して押し付けられる。また、接触面144は平面状をなしているため、シールド端子140と接触片86との位置ずれを吸収することができる。これらのことから、シールド端子140とシールドシェル80との接続信頼性を高めることができる。
【0097】
ここで、例えば、コネクタ10においては、シールド端子140が接触片86を有するとともに、シールドシェル80が接触面144を有していてもよい。しかしながら、この場合には以下の不都合が生じるおそれがある。すなわち、弾性変形する接触片86をリテーナ本体110から露出させた状態でインサート成形を行う必要があるため、接触片86の形状を維持するための金型が複雑化するおそれがある。
【0098】
この点、本開示のコネクタ10によれば、シールド端子140が接触面144を有するとともに、シールドシェル80が接触片86を有する。このため、上述した不都合を回避することができる。
【0099】
(4)リテーナ100は、2つの半割体110A,110Bの各々に埋設された複数のシールド端子140を有している。2つの半割体110A,110Bは、互いに同一の形状をなしている。複数のシールド端子140は、互いに同一の形状をなしている。
【0100】
こうした構成によれば、1種類の半割体110A及び1種類のシールド端子140によってリテーナ100を構成することができる。このため、コネクタ10に用いられる部品の種類が増加することを抑制できる。
【0101】
(5)ハウジング30は、シールド電線20を収容するインナーハウジング40と、インナーハウジング40を収容するアウターハウジング70とを有している。シールドシェル80は、アウターハウジング70の内面に取り付けられるとともにインナーハウジング40を覆っている。シール部材90は、インナーハウジング40の内部に設けられている。リテーナ100は、インナーハウジング40に取り付けられている。
【0102】
こうした構成によれば、シールド電線20とシール部材90とが内部に配置されたインナーハウジング40にリテーナ100が取り付けられることで、シールド端子140が編組部材23に接触する。その後、このインナーハウジング40がアウターハウジング70の内部に挿入されることで、シールド端子140がシールドシェル80に接触する。このため、リテーナ100が正規の位置に配置されることで、シールド端子140を介して編組部材23とシールドシェル80とが電気的に接続される。したがって、シールド端子140を介した編組部材23とシールドシェル80との接続作業、ひいては、コネクタ10の組立作業が容易となる。
【0103】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0104】
・ハウジング30は、アウターハウジング70のみにより構成されるものであってもよい。この場合、例えば、シールドシェル80は、アウターハウジング70の内面に取り付けられている。また、例えば、各シール部材90は、シールド電線20とアウターハウジング70との間の部分を止水している。また、例えば、リテーナ100は、アウターハウジング70に取り付けられている。
【0105】
・複数のシールド端子140は互いに異なる形状をなすものであってもよい。
・半割体110A,110Aに埋設されるシールド端子140の数は、シールド電線20の数や接触片86の数に応じて適宜変更してもよい。上記シールド端子140の数は、例えば、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
【0106】
・シールド端子140は、半割体110A,110Bの一方にのみ埋設されていてもよい。
・2つの半割体110A,110Bの形状は互いに異なっていてもよい。
【0107】
・接触面144は、突出部87の形状に応じて湾曲した湾曲面であってもよい。
・突起142の周方向における長さは適宜変更されてもよい。
・編組接触部141は、Y軸方向に互いに間隔をおいて設けられた複数の突起142を有していてもよい。
【0108】
・編組接触部141の周方向と直交する突起142の断面形状は、半円状に限定されず、他に例えば多角形状であってもよい。
・シールド電線20の断面形状は、例えば扁平形状であってもよい。この場合、突起142の形状は、シールド電線20の外周に沿って延びる形状であればよい。
【0109】
・シールド端子140から突起142が省略されてもよい。この場合、例えば、編組接触部141の内面全体が露出部23aに接触していればよい。
・シール部材90は、複数のシールド電線20が貫通する複数の貫通孔91を有するものであってもよい。この場合、コネクタ10は、1つのシール部材90を備えている。
【0110】
・シールド電線20の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0111】
10 コネクタ
20 シールド電線
21 芯線
22 第1絶縁被覆
23 編組部材
23a 露出部
24 第2絶縁被覆
25 端子
30 ハウジング
40 インナーハウジング
50 電線収容部材
51 筒状部
51a 第1端部
51b 第2端部
52 貫通孔
53 規制壁
54 第1係合突起
55 第2係合突起
56 連結部
60 端子収容部材
61 端子保護部
62 挿入部
63 係合部
64 係合孔
65 連通部
66 保護部
67 開口
68 連結部
69 シール部材
70 アウターハウジング
71 側壁
72 連結壁
73 端壁
74 第1挿入口
75 第2挿入口
80 シールドシェル
81 側壁
82 連結壁
83 端壁
84 第3挿入口
85 第4挿入口
86 接触片
87 突出部
90 シール部材
91 貫通孔
100 リテーナ
110 リテーナ本体
110A 半割体
110B 半割体
120 保持部
121 貫通孔
122 半割保持部
123 対向面
124 半割貫通孔
125 規制面
130 フード部
131 半割フード部
132 側壁
133 リテーナ係合突部
134 リテーナ係合部
134a 係合孔
135 ハウジング係合部
135a 係合孔
136 連結壁
140 シールド端子
141 編組接触部
142 突起
143 シェル接触部
144 接触面
145 連結部
200 相手コネクタ
201 相手端子
202 ハウジング