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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163612
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/00 20060101AFI20231102BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20231102BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20231102BHJP
   B60W 20/50 20160101ALI20231102BHJP
   G08B 21/14 20060101ALI20231102BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20231102BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20231102BHJP
   G08B 21/22 20060101ALI20231102BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20231102BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20231102BHJP
   H01M 8/04955 20160101ALI20231102BHJP
   H01M 8/043 20160101ALI20231102BHJP
【FI】
B60R21/00 310Z
B60L50/16
B60L3/00 N
B60W20/50 ZHV
G08B21/14
G08B21/00 U
G08B25/04 C
G08B25/04 K
G08B21/22
H01M8/04 H
H01M8/04 Z
H01M8/04313
H01M8/04955
H01M8/043
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074624
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】池田 駿介
【テーマコード(参考)】
3D202
5C086
5C087
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
3D202CC48
3D202CC60
3D202EE24
5C086AA02
5C086AA22
5C086AA31
5C086BA22
5C086CA06
5C086CA12
5C086CA19
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB01
5C086CB07
5C086CB16
5C086CB20
5C086CB36
5C086DA15
5C086DA33
5C086EA05
5C086EA13
5C086EA23
5C086EA41
5C086EA45
5C086FA02
5C086FA06
5C086FA17
5C087AA02
5C087AA10
5C087AA11
5C087AA19
5C087AA32
5C087AA37
5C087BB11
5C087BB18
5C087DD07
5C087DD13
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF13
5C087GG02
5C087GG06
5C087GG35
5C087GG52
5C087GG59
5C087GG70
5C087GG83
5C087GG84
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125CC04
5H125CD02
5H125CD03
5H125EE51
5H125EE61
5H127AB04
5H127AC17
5H127BA02
5H127BA22
5H127DB91
5H127DB92
5H127DC42
5H127DC99
5H127FF14
(57)【要約】
【課題】多様なガス種別に対応したセンサを持たなくとも、閉塞環境下でのエンジンやバッテリーからのガスによる危険を回避できるようにする。
【解決手段】車両に搭載される制御装置により、車両の全部又は一部が閉塞環境にあるか否かを判定させ、閉塞環境と判定された場合、車両の動力源についての状態を判定する動力源状態判定の結果と車内又は車外における人の存在の有無を判定する存在判定に基づいて異常通知制御を実行させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される制御装置であって、
一又は複数のプロセッサと、
前記一又は複数のプロセッサによって実行されるプログラムが記憶された一又は複数の記憶媒体と、を備え、
前記プログラムは、一又は複数の命令を含み、
前記命令は、前記一又は複数のプロセッサに、
前記車両が閉塞環境にあるか否かを判定させ、閉塞環境と判定された場合、前記車両の動力源についての状態を判定する動力源状態判定の結果と車内又は車外における人の存在の有無を判定する存在判定に基づいて異常通知制御を実行させる
制御装置。
【請求項2】
前記命令は、前記一又は複数のプロセッサに、
前記異常通知制御とともに前記動力源の停止制御を実行させる
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記命令は、前記一又は複数のプロセッサに、
前記動力源状態判定と、前記存在判定と、車室内の換気状態判定とにより、車内に人が存在し、前記動力源により発生するガスが車内に発生する可能性があると判定した場合に、車内に対する前記異常通知制御を実行させる
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記命令は、前記一又は複数のプロセッサに、
前記動力源状態判定と、前記存在判定とにより、車外に人が存在し、前記動力源により発生するガスが車外に発生する可能性があると判定した場合に、車外に対する前記異常通知制御を実行させる
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記命令は、前記一又は複数のプロセッサに、
前記異常通知制御として、車内又は車外に対する異常通知である第1の異常通知制御を実行させ、
前記第1の異常通知制御の後に、車内又は車外に存在する人の反応有無の判定により人の反応が検知されない場合は、無線通信による外部機関に対する異常通知である第2の異常通知制御を実行させる
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御装置に関し、特に車両停車中の環境における安全性向上技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両などの移動体には、その動力源としてエンジン、電池、水素燃料などが用いられる。一般に知られているように、ガソリンを燃焼するエンジンでは、排出される排気ガスには人体にとって有害なガスが含まれており、例えば一酸化炭素などがある。
【0003】
また車両に搭載される電池として例えばリチウムイオン電池がある。リチウムイオン電池は製造不良や制御不良などにより異常を起こしガスを発生する可能性がある。ガスには一酸化炭素、二酸化炭素、水素、フッ化水素、硫化水素などの様々な成分が含まれる可能性があり、人体に有害な物質の場合もある。
【0004】
また水素ガスを用いた燃料電池の場合は水素ガスのガス漏れのリスクがあり、またe-fuelと呼ばれる合成燃料を使用したエンジンの場合は水素や二酸化炭素などが排出される。水素や二酸化炭素はそれ自体に危険性は少ないが、多量に発生すると酸素濃度が下がり人体に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
これらの事情により、従来の車両でもガス対策は行われている。
例えば下記特許文献1には、車内の電池の発煙をガスセンサによって検知する技術が記載されている。
また下記特許文献2には、内燃機関からの排気ガスに含まれる有毒ガスの濃度を測定し、濃度が高い場合に車内の排気ガスを車外に排出させる処理を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-78214号公報
【特許文献2】特開2018-154247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2では、ガスセンサを用いているが、例えば電池によって発生するガスは異なるため複数のガスセンサを搭載する必要があり、製造コストが増加する懸念がある。
【0008】
また屋外のような解放された環境であれば人体に影響が出るほどの一酸化炭素等を吸引することは少ないが、閉塞された車庫や、地下駐車場、降雪時に雪が積もった場合などは排気ガスの出口が無く、人が車外に居ても通常より多くの排気ガスを吸い込む可能性がある。また車内に人が居る場合には、運転手や乗員が車両の閉塞環境を意識する必要があるが、運転や他のことに集中して気づけない可能性もある。さらに車内で仮眠をとっている場合などは、積雪等により閉塞環境になってしまうことに気づけない可能性もある。
【0009】
これらのことに鑑みて本発明では、車両が閉塞環境にあって車内又は車外(車の周囲)に人がいる場合に、特定のガスの検出に特化したセンサを持たなくとも、車両から発生するガスが人体に影響を与えないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施の形態は、車両に搭載される制御装置であって、一又は複数のプロセッサと、前記一又は複数のプロセッサによって実行されるプログラムが記憶された一又は複数の記憶媒体と、を備え、前記プログラムは、一又は複数の命令を含み、前記命令は、前記一又は複数のプロセッサに、前記車両の全部又は一部が閉塞環境にあるか否かを判定させ、閉塞環境と判定された場合、前記車両の動力源についての状態を判定する動力源状態判定の結果と車内又は車外における人の存在の有無を判定する存在判定に基づいて異常通知制御を実行させるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特定のガスの検出に特化したセンサを持たなくとも、車両が閉塞環境にあることを車両自体で判定し、発生するガス種に依らず、人がガスを吸引する状況を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態の車両内の制御構成のブロック図である。
図2】閉塞環境の例の説明図である。
図3】閉塞環境の例の説明図である。
図4】閉塞環境の例の説明図である。
図5】エンジン車における実施の形態の処理例のフローチャートである。
図6】バッテリー内部配置のハイブリッド車両における実施の形態の処理例のフローチャートである。
図7】バッテリー外部配置の電気自動車や燃料電池車における実施の形態の処理例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<車両の制御構成>
図1は実施の形態の車両1に搭載される制御構成例を示している。
【0014】
車両1は、HEV(Hybrid Electric Vehicle)制御部2、エンジン制御部3、モータ制御部4、トランスミッション制御部5、操舵制御部6、ブレーキ制御部7、位置情報処理部8、空調制御部9、動力源センサ部10、車内センサ部11、車外センサ部12、通信部13、警報部14、バス15、安全維持制御部20などを備えている。
【0015】
なお、車両1としては、例えばガソリンを燃料とするエンジン車、エンジンおよびモータを用いるHEV(ハイブリッド車両)、モータのみを用いることにより走行する電気自動車、燃料電池車、二酸化炭素と水素を合成して製造される合成燃料を用いるエンジン車などがある。
図1の構成例はHEVを想定して示している。但し実施の形態の車両1としては、HEVに限らず、上記の各種の車両を想定している。図1には車両種別によっては設けられない構成も示されていることを理解されたい。
例えば、車両1が電気自動車や燃料電池車であればHEV制御部2やエンジン制御部3は設けられない。エンジン車であればHEV制御部2やモータ制御部4は設けられない。図1は、これらの点を考慮して各種の車両1について参照されるべきものである。
【0016】
HEV制御部2、エンジン制御部3、モータ制御部4、トランスミッション制御部5、操舵制御部6、ブレーキ制御部7、位置情報処理部8、空調制御部9、安全維持制御部20は、それぞれCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するマイクロコンピュータを備えて構成され、互いがバス15を介してデータ通信可能に接続されている。
【0017】
HEV制御部2は、要求駆動力に基づき、エンジン制御部3とモータ制御部4に対する指示を行って車両1の動作をコントロールする。
具体的に、HEV制御部2は、要求駆動力に基づいて、エンジンに要求される駆動力であるエンジン要求駆動力と、モータジェネレータに要求される駆動力であるモータ要求駆動力とを算出し、エンジン要求駆動力に基づく駆動指示をエンジン制御部3に対して行うと共にモータ要求駆動力に基づく駆動指示をモータ制御部4に対して行う。
【0018】
エンジン制御部3は、エンジン要求駆動力に応じて、エンジン関連アクチュエータとして設けられた各種アクチュエータを制御する。エンジン関連アクチュエータとしては、例えばスロットル弁を駆動するスロットルアクチュエータや燃料噴射を行うインジェクタ等のエンジン駆動に係る各種のアクチュエータが設けられる。エンジン制御部3は、エンジン要求駆動力に基づき、燃料噴射タイミング、燃料噴射パルス幅、スロットル開度等の制御を行って、エンジン出力を制御する。また、エンジン制御部3は、エンジンの始動/停止の制御を行うことが可能とされる。
【0019】
モータ制御部4は、モータ要求駆動力に応じて、モータ駆動部を制御することで、モータジェネレータの動作制御を行う。モータ駆動部は、モータジェネレータの駆動回路を有する電気回路部として構成されている。モータ制御部4は、モータ要求駆動力に基づき、モータジェネレータを力行回転させるべき場合はモータ駆動部に対する指示を行ってモータジェネレータを力行回転させ、モータジェネレータを回生回転させるべき場合にはモータ駆動部に対する指示を行ってモータジェネレータを回生回転させる。
またモータ制御部4は、モータジェネレータの電源として車両100が備える走行用バッテリーの充電状態などの情報(SOC:State Of Charge)に応じてモータジェネレータの出力制限などを行う。
【0020】
トランスミッション制御部5は、車両1に設けられた所定のセンサからの検出信号や操作子による操作入力情報等に基づき、トランスミッション関連アクチュエータとして設けられた各種のアクチュエータを制御する。トランスミッション関連アクチュエータとしては、例えば車両1が有する自動変速機の変速制御を行うための変速用アクチュエータや、前後進切替機構の動作を制御するための前後進切替用アクチュエータ等が設けられる。
【0021】
操舵制御部6は、運転者のハンドル操作等に基づいて操舵アクチュエータ(例えばパワーステアリングモータ等、操舵角を変更可能に設けられたアクチュエータ)の駆動制御を行い、操舵角の制御を行う。
【0022】
ブレーキ制御部7は、車両1に設けられた所定のセンサからの検出信号や操作子による操作入力情報等に基づき、ブレーキ関連アクチュエータとして設けられた各種のアクチュエータを制御する。ブレーキ関連アクチュエータとしては、例えば、ブレーキブースターからマスターシリンダへの出力液圧やブレーキ液配管内の液圧をコントロールするための液圧制御アクチュエータ等、ブレーキ関連の各種のアクチュエータが設けられる。
【0023】
位置情報処理部8は、車両1の位置を特定する処理を行う。例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)により取得する緯度・経度の情報として車両1の現在位置を判定する。また現在位置の情報から地図情報を参照することで、現在位置の環境を判定することができる。例えば道路上、トンネル内、屋内駐車場、自宅ガレージ、屋外駐車場など、現在位置がどのような場所であるかを判定することができる。
【0024】
空調制御部9は、エアコンディショナー(以下「エアコン」とも表記する)を構成する空気の圧縮を行う圧縮機(コンプレッサ)や膨張弁、送風ファンなどを制御することにより、車両1の車内空間の冷暖房機能を実現する。また空調制御部9は、例えば乗員の操作に応じて、或いは自動的に、エアコンのシステムを外気導入モードと内気循環モードの切り替え制御も行う。
【0025】
動力源センサ部10は動力源の状態を検出するセンサにより構成される。本実施の形態において動力源とは、走行のための動力源であり、エンジンや、走行のためのモータ及びバッテリーを指す。
動力源センサ部10は、例えばエンジンの駆動オン/オフ状態を検出し、検出信号を安全維持制御部20に送信する。
或いは動力源センサ部10は、バッテリーの状態を検出し、検出信号を安全維持制御部20に送信する。バッテリー状態検出のために動力源センサ部10としては、例えばバッテリー電圧センサ、温度センサ、モータ電流センサなどが設けられる。これらにより、例えばバッテリーの充電電圧、バッテリーブロック毎の電圧、バッテリー温度、電流状態などの検出信号が安全維持制御部20に送信される。
【0026】
車内センサ部11は車内における乗員の有無、状態等を検出するセンサにより構成される。例えば車内センサ部11は、車内向けに撮影を行う1又は複数のカメラにより構成され、撮影した画像信号を安全維持制御部20に送信する。すなわち車内センサ部11はいわゆるドライバモニタリングシステムとしてのカメラとして構成される。
また車内センサ部11として、カメラとともに、或いはカメラに代えて、座席に設けられた重量センサや接触センサ等が設けられてもよい。
また車内センサ部11として、赤外線センサなどとして、人や人の動きを検知するセンサが設けられてもよい。
【0027】
また車内センサ部11としては、車内の各種装備に関するセンサも含む。例えば窓の開閉状態のセンサ、ドアの開閉状態のセンサなども含む。
【0028】
車外センサ部12は車外の状況を検出するセンサにより構成される。例えば車外センサ部12は、車外向けに撮影を行う1又は複数のカメラにより構成され、撮影した画像信号を安全維持制御部20に送信する。この1又は複数のカメラによっては、例えば車両1の前後左右を全て撮影するようにしたり、エンジン車のマフラー近辺を撮影したりするようなことが考えられる。
また車外センサ部12としてはミリ波レーダー、ライダー(LiDAR)等のセンサなどが設けられてもよい。
また車外センサ部12としては、外気温センサ、湿度センサ、照度センサなどが設けられてもよい。
【0029】
通信部13は、車両1の外部機関と無線通信を行うことができる無線通信処理部であり、例えばインターネット等から成る通信ネットワークを介して、外部機関のサーバ装置等との間で通信を行う。例えば通信部13はテレマティスクサービスに対する通信を実行する。
また通信部13は車車間通信等としての無線通信を行うものとしてもよい。
【0030】
警報部14は車内或いは車外に対する警報を出力する。例えば車内に関しては、警報部14はフロントコンソールにおけるディスプレイ等における警告表示を行う表示部として構成される。或いは警報部14は警告音やメッセージ音声等の音声出力部として構成される。
また車外に対しては、警報部14は、比較的大音量の警告音やメッセージ音声を出力する音声出力部として構成されたり、ライトの発光態様により警告を表現する発光部などとして構成されたりすることが考えられる。
【0031】
安全維持制御部20は、一又は複数のプロセッサとして構成される。そして安全維持制御部20は、一又は複数の記憶媒体に記憶されたプログラムに記述された命令に従って動力源に起因するガスに対して人の安全を維持するための処理を実行する。
【0032】
例えば安全維持制御部20は、位置情報処理部8から現在位置や現在位置がどのような場所であるかの情報を受信し、安全維持のための処理に用いる。なお安全維持制御部20は、位置情報に応じて例えば通信部13による通信を実行させ、現在位置の天候情報等を取得することも可能である。
【0033】
また安全維持制御部20は、動力源センサ部10からエンジンやバッテリーの検出情報を受信し、安全維持のための処理に用いる。例えば安全維持制御部20は、エンジンの継続駆動時間やバッテリー異常などを検知する処理を行う。
【0034】
また安全維持制御部20は、車内センサ部11のカメラにより車内を撮影した画像信号や、各種センサの情報を受信し、安全維持のための処理に用いる。安全維持制御部20は、カメラによる画像信号について画像解析処理を行って、乗員の有無や乗員の動きの様子を判定することができる。或いは安全維持制御部20は車内センサ部11としての重量センサ、接触センサ等の検出情報により乗員の有無や乗員の動きの様子を判定することもできる。
また安全維持制御部20は、車両1のドア、窓、或いは外気導入口の開閉状態などを、車内センサ部11のセンサの検出情報や、空調制御部9からの外気導入モード/内気循環モードの情報により判定する。
【0035】
また安全維持制御部20は、車外センサ部12のカメラにより車内を撮影した画像信号や、各種センサの情報を受信し、安全維持のための処理に用いる。安全維持制御部20は、カメラによる画像信号について画像解析処理を行って、車両1の周囲の環境の判定、周囲における人の有無や動作の様子等を判定することができる。これらの判定のために安全維持制御部20は、外気温センサ等の他のセンサの情報も用いることができる。
【0036】
安全維持制御部20は、各種の判定処理を行い、判定結果に応じて警報部14によって車内或いは車外に向けて警報を出力させる制御を行う。また安全維持制御部20は判定結果に応じて、通信部13に必要な通信を実行させる制御を行う。
以上のような安全維持制御部20による判定や制御の処理例は後に詳述する。
【0037】
<閉塞環境>
安全維持制御部20は、車両1が閉塞環境にあるか否かの判定を行う。ここで本実施の形態で想定する閉塞環境について説明しておく。
【0038】
閉塞環境とは、車両1の全部もしくは一部が比較的狭い空間に閉塞されている環境である。比較的狭い空間とは、排気ガス等のガスが充満することで人に危険を及ぼす可能性のある狭さをいう。また車両1の「全部又は一部」が閉塞されるというのは、人に危険を及ぼす閉塞状態であって、必ずしも全部が閉塞されている状態に限らず、排気ガス等により人に危険が及ぶ可能性のある閉塞状態を指す。例えばエンジン車のマフラー近辺のみが閉塞されているような状態も含む意味である。
【0039】
具体例を挙げる。
例えば図2のように車両1がガレージ90内にあるときは、本実施の形態では閉塞環境にあると判定する。
また地下駐車場91にある場合は、その地下駐車場91が完全に密閉された空間ではないにしても、ガスの種類、質量によっては乗員や地下駐車場91に影響を及ぼすため、本実施の形態では閉塞環境にあると判定する。
【0040】
図3はトンネル92内で停止(もしくは渋滞等により微速で走行)している状態を示している。トンネル92は完全に密閉された空間ではないが、トンネル92内で停止又はほぼ停止している車両1は閉塞環境にあると判定するようにしてもよい。
なお、トンネル92毎に換気構造が異なる。そこで位置情報や外部情報サーバからの通信に基づいて、換気構造が有効に機能しているトンネル92については、閉塞環境と判定しないことも考えられる。
【0041】
図4は、積雪93によって車両周囲下部が閉塞された状態である。例えば車両1の周囲やマフラー近辺が積雪93によって閉塞されるような状態となったり、エアコンの外気導入口が閉塞されたりするような状況が想定される。そこで、積雪93が所定量以上となったときなどを閉塞環境と判定する。
【0042】
<エンジン車の処理例>
安全維持制御部20は、以上のような閉塞環境を判定するとともに、車両1が閉塞環境にあると判定した場合、各種の状況判定に応じて安全維持のための制御を行う。以下、エンジン車、バッテリー内部配置のHEV、バッテリー等外部配置の車両1のそれぞれの場合における安全維持制御部20の処理例を説明する。
【0043】
まず図5で車両1がエンジン車の場合の安全維持制御部20の処理例を説明する。
安全維持制御部20は図5の処理を継続的或いは断続的に繰り返し実行する。
【0044】
ステップS101で安全維持制御部20は、現在、車両1(つまり自車)が閉塞環境に置かれているか否かを判定する。
【0045】
この判定のために安全維持制御部20は、位置情報処理部8による位置情報、場所の種別の情報や、車外センサ部12による周囲の撮影画像を用いる。安全維持制御部20は位置情報処理部8による情報から、現在の位置がトンネル92であることや、住宅の駐車場であること等が判定できる。また安全維持制御部20は、車外センサ部12による撮影画像を解析することで、閉塞されたガレージ90や地下駐車場91内であることも判定でき、さらに積雪93の状況も判定できる。
【0046】
安全維持制御部20は、これら位置に関する情報や撮影画像により、閉塞環境に置かれているか否かを判定する。なお判定処理にミリ波レーダー、ライダー等の検出情報で、周囲の障害物を判定して閉塞環境か否かを判定してもよい。
また温度情報、気象情報等を補助的に用いてもよい。また車両1が走行中か否かという要素も判定に加えてもよい。
また、カメラの撮影画像を用いる場合においては、現在の画像だけでなく、車両1が現在の場所に移動する過程の撮影画像も補完的に用いて、現在の環境を判定してもよい。
【0047】
なお安全維持制御部20が、位置情報処理部8による情報のみ、或いは車外センサ部12による情報のみで閉塞環境であるか否かの判定を行うようにしてもよいが、判定精度を上げるためには複数の情報を総合的に用いて判定することが望ましい。
【0048】
安全維持制御部20は、閉塞環境ではないと判定した場合は、図5の処理をリターンし、ステップS101の閉塞環境判定を繰り返すことになる。
一方、閉塞環境にあると判定した場合は、安全維持制御部20はステップS102に進む。
【0049】
ステップS102で安全維持制御部20は、動力源センサ部10からのエンジンの駆動有無の検出情報に基づいて、現在、エンジンが、予め設定した一定時間を超えて駆動されているか否かを判定する。この一定時間は、閉塞環境内でのエンジンが継続的に駆動されている時間についての判定閾値である。従って、閉塞環境と最初に判定された時点からエンジン駆動時間のカウントが開始され、ある時点でステップS101において閉塞環境ではない(つまり閉塞環境を脱した)と判定されたら、エンジン駆動時間のカウントがリセットされる。このエンジン駆動時間が、上記の判定閾値としての一定時間と比較される。
安全維持制御部20は、エンジンが停止されているか、或いはエンジンは駆動されているが一定時間を経過していないと判定した場合は、図5の1回の処理を終えてリターンする。
【0050】
閉塞環境においてエンジンが一定時間を超えて駆動されていると判定した場合、安全維持制御部20はステップS103からステップS110の車内に関する処理と、ステップS120からステップS124の車外に関する処理を実行する。図示及び説明の便宜上、ステップS103以降とステップS120以降を並列的に示しているが、これら車内に関する処理と車外に関する処理は、同時に並列的に行われてもよいし、時間的に前後して行われてもよい。
【0051】
まず車内に関する処理について説明する。
ステップS103で安全維持制御部20は、車内に人が居るか否かを判定する。例えば安全維持制御部20は車内センサ部11による車内の撮影画像を解析することや、車内センサ部11における重量センサ等の検出情報に基づいて、車内に人が居るか否かを判定する。
【0052】
車内に人が居ない場合は、車内に関する処理を終える。
車内に人が居る場合は、安全維持制御部20はステップS104、S105、S106で車内の換気状態を判定する。すなわち安全維持制御部20はステップS104で窓が開いているか否かを判定する。またステップS105で安全維持制御部20はエアコンが外気導入状態であるか否かを判定する。またステップS106で安全維持制御部20は、ドアが開いているか否かを判定する。
【0053】
これらステップS104,S105,S106の判定でいずれにも該当せず、つまり車内が密閉空間と判定できれば、安全維持制御部20は車内に関する処理を終える。エンジンの排気ガスが車内に侵入しないためである。
【0054】
一方、ステップS104,S105,S106のいずれかに該当すると判定した場合は、排気ガスが車内に侵入する可能性がある。そこで安全維持制御部20はステップS107に進み、乗員に対して異常通知を行うように警報部14を制御する。例えば警報部14により、表示や音声により、乗員に危険な状態を伝えるアラートを出力させる。つまり警告表示、警告音や、音声又は表示により例えば「一酸化炭素中毒の危険があります」「排気管が雪でふさがれていませんか?」等のメッセージを出力することが考えられる。
【0055】
さらにステップS108で安全維持制御部20は、エンジン制御部3に対してエンジン停止を指示し、エンジン駆動を停止させる。
【0056】
ステップS109で安全維持制御部20は、車内センサ部11からの情報により、乗員の反応の有無を判定する。例えば撮影画像の解析や、重量センサ等の検出情報の変化などにより、乗員が異常通知に応じて必要な対応動作をとっているか否かを判定する。例えば車外への退避等の有無を判定する。或いは、換気や車両1の走行開始(閉塞環境からの脱出)等を適切な反応としてもよい。
そして適切な反応があったと判定した場合は車内に関する処理を終える。
【0057】
適切な乗員の反応があったと判定できない場合は、安全維持制御部20はステップS110に進み、乗員の異常を通信部13から送信させる制御を行う。これは乗員が、意識がないなど危険な状態にあると判定し、例えばテレマティスクサービス機関やレスキュー機関等の外部機関に対して、緊急救助要請を送信させる処理とする。この場合に位置情報、乗員の状況、危険の種別などの情報なども同時に送信するようにし、レスキュー機関側が状況を把握しやすいようにすることが望ましい。
【0058】
次に車外に関する処理を説明する。
閉塞環境においてエンジン駆動時間が一定時間以上であるときは、安全維持制御部20はステップS120以降の車外に関する処理も実行する。
【0059】
ステップS120で安全維持制御部20は、車外に人が居るか否かを判定する。これは閉塞環境と判定した場合であるので、その閉塞環境とした空間における人の有無の判定である。車両1の周囲の人の有無と考えればよい。
例えば安全維持制御部20は車外センサ部12による車両1の周囲の撮影画像を解析することや、ミリ波レーダー等のセンサにより、車両1の周辺に人が居るか否かを判定する。
【0060】
車外に人が居ない場合は、車外に関する処理を終える。
車外に人が居る場合は、安全維持制御部20はステップS121で、車外に対して異常通知を行うように警報部14を制御する。例えば警報部14により、警報音やメッセージにより、車外に居る人に危険な状態を伝えるアラートを出力させる。
【0061】
さらにステップS122で安全維持制御部20は、エンジン制御部3に対してエンジン停止を指示し、エンジン駆動を停止させる。
【0062】
ステップS123で安全維持制御部20は、車外センサ部12からの情報により、周囲の人の反応の有無を判定する。例えば撮影画像の解析等により、周囲の人が異常通知に応じて車両1から離れているなど適切な対応をとっているか否かを判定する。
そして適切な反応があったと判定した場合は車外に関する処理を終える。
【0063】
周囲の人に適切な反応があったと判定できない場合は、安全維持制御部20はステップS124に進み、人の異常を通信部13から送信させる制御を行う。これは周囲の人が危険な状態にあると判定し、例えばテレマティスクサービス機関やレスキュー機関等の外部機関に対して、緊急救助要請を送信させる処理とする。この場合も、位置情報、車両1の周囲の人の状況、危険の種別などの情報なども同時に送信するようにし、レスキュー機関側が状況を把握しやすいようにすることが望ましい。
【0064】
<バッテリー内部配置のHEVの処理例>
続いてHEVでありバッテリーが内部配置されている車両1における安全維持制御部20の処理例を図6で説明する。なお、図6において図5と同様の処理は同一のステップ番号を付し、重複する詳細な説明は省略する。
【0065】
安全維持制御部20は図6の処理を継続的或いは断続的に繰り返し実行する。
ステップS101で安全維持制御部20は、現在、車両1が閉塞環境に置かれているか否かを判定する。
安全維持制御部20は、閉塞環境ではないと判定した場合は、図6の処理をリターンし、ステップS101の閉塞環境判定を繰り返す。
【0066】
一方、閉塞環境にあると判定した場合は、安全維持制御部20はステップS102からステップS124のエンジンに関する処理と、ステップS150からステップS156のバッテリーに関する処理を実行する。図示及び説明の便宜上、ステップS102以降とステップS150以降を並列的に示しているが、これらエンジンに関する処理とバッテリーに関する処理は、同時に並列的に行われてもよいし、時間的に前後して行われてもよい。
【0067】
エンジンに関するステップS102からステップS124の処理は、図5と同様の処理である。つまり安全維持制御部20は、ステップS102で、エンジンが、予め設定した一定時間を超えて駆動されているか否かを判定する。
そして閉塞環境においてエンジンが一定時間を超えて駆動されていると判定した場合、安全維持制御部20はステップS103からステップS110の車内に関する処理と、ステップS120からステップS124の車外に関する処理とを、図5で述べたように実行する。
【0068】
バッテリーに関する処理を説明する。
安全維持制御部20はステップS150でバッテリー異常があるか否かを判定する。
例えば安全維持制御部20は、動力源センサ部10からの検出情報により、バッテリーの温度が異常であるか、充電電圧が異常であるか、バッテリーブロック間の電圧差が異常であるか、モータ駆動電流値が異常であるか、等を判定する。
【0069】
バッテリー異常と判定されなければバッテリーに関する処理を終える。
バッテリー異常と判定した場合、安全維持制御部20はステップS151で車内に人が居るか否かを判定する。
【0070】
車内に人が居る場合は、安全維持制御部20はステップS152、S153、S154で車内の換気状態を判定する。
ステップS152で安全維持制御部20は、窓が一定以上閉まっているか否かを判定する。例えば窓が半分以上、或いは3/4以上、閉まっているか、などの判定である。密閉度合いを判定するものである。
ステップS153で安全維持制御部20は、エアコンが内気循環モードであるか否かを判定する。
ステップS154で安全維持制御部20は、ドアが閉まっているか否かを判定する。
【0071】
このステップS152、S153、S154のいずれかで否定結果が得られれば、車内は密閉されていないといえる。その場合は、安全維持制御部20はバッテリーに関する処理を終える。
【0072】
一方、ステップS152、S153、S154の全てで肯定結果が得られた場合は、車内は密閉(又はほぼ密閉)されていることになる。その場合は、バッテリー異常で発生されるガスが室内に充満する可能性がある。
そこで安全維持制御部20はステップS155に進み、乗員に対して異常通知を行うように警報部14を制御する。例えば警報部14により、表示や音声により、乗員に危険な状態を伝えるアラートを出力させる。つまり警告表示、警告音や、音声又は表示により例えば「ガス中毒の危険があります」「車外に出てください」等のメッセージを出力することが考えられる。
【0073】
さらにステップS156で安全維持制御部20は、モータ制御部4に対してバッテリーの電源遮断を指示し、バッテリーの電源を遮断させる。
【0074】
その後、安全維持制御部20は、ステップS109に進み、車内の乗員の反応の有無を判定する。また判定結果に応じてステップS110で外部機関に対して緊急救助要請等を送信させる処理を行う。
【0075】
<バッテリー外部配置の電気自動車や燃料電池車の処理例>
続いてバッテリーが車両1の床下など、車両1の外部に配置されている電気自動車や、燃料電池車の場合の安全維持制御部20の処理例を図7で説明する。なお、図7において図5と同様の処理は同一のステップ番号を付し、重複した詳細な説明は省略する。
【0076】
安全維持制御部20は図7の処理を継続的或いは断続的に繰り返し実行する。
ステップS101で安全維持制御部20は、現在、車両1が閉塞環境に置かれているか否かを判定する。
安全維持制御部20は、閉塞環境ではないと判定した場合は、図7の処理をリターンし、ステップS101の閉塞環境判定を繰り返す。
【0077】
一方、閉塞環境にあると判定した場合は、安全維持制御部20はステップS160でバッテリー異常があるか否かを判定する。この場合のバッテリー異常とは、車外配置のバッテリー、燃料電池システム、或いは水素タンクについての異常の有無である。安全維持制御部20は、動力源センサ部10からの検出情報により、これらの異常判定を行う。
【0078】
バッテリー異常と判定されなければ図7の処理はリターンとなり、安全維持制御部20は引き続きステップS101の処理を行う。
【0079】
閉塞環境においてバッテリー異常と判定した場合、安全維持制御部20はステップS161からステップS110の車内に関する処理と、ステップS170からステップS124の車外に関する処理を実行する。これも図示及び説明の便宜上、並列的に示しているが、車内に関する処理と車外に関する処理は、同時に並列的に行われてもよいし、時間的に前後して行われてもよい。
【0080】
まず車内に関する処理について説明する。
ステップS161で安全維持制御部20は、車内に人が居るか否かを判定する。
車内に人が居ない場合は、車内に関する処理を終える。
【0081】
車内に人が居る場合は、安全維持制御部20はステップS162、S163、S164で車内の換気状態を判定する。すなわち安全維持制御部20はステップS162で窓が開いているか否かを判定する。またステップS163で安全維持制御部20はエアコンが外気導入状態であるか否かを判定する。またステップS164で安全維持制御部20は、ドアが開いているか否かを判定する。
【0082】
これらステップS162、S163、S164の判定でいずれにも該当せず、つまり車内が密閉空間と判定できれば、安全維持制御部20は車内に関する処理を終える。バッテリー異常でガスが発生しても車内に侵入しないためである。
【0083】
一方、ステップS162、S163、S164のいずれかに該当すると判定した場合は、バッテリー異常でガスが発生した場合、ガスが車内に侵入する可能性がある。そこで安全維持制御部20はステップS165に進み、乗員に対して異常通知を行うように警報部14を制御する。例えば警報部14により、表示や音声により、乗員に危険な状態を伝えるアラートを出力させる。
【0084】
さらにステップS166で安全維持制御部20は、モータ制御部4に対してバッテリーの電源遮断を指示し、バッテリーの電源を遮断させる。
【0085】
その後、安全維持制御部20はステップS109で、車内の乗員の反応の有無を判定する。また判定結果に応じてステップS110で外部機関に対して緊急救助要請等を送信させる処理を行う。
【0086】
次に車外に関する処理を説明する。
閉塞環境においてバッテリー異常と判定したときは、安全維持制御部20はステップS170以降の車外に関する処理も実行する。
【0087】
ステップS170で安全維持制御部20は、車外(車両1の周辺)に人が居るか否かを判定する。
車外に人が居ない場合は、車外に関する処理を終える。
車外に人が居る場合は、安全維持制御部20はステップS171で、車外に対して異常通知を行うように警報部14を制御する。例えば警報部14により、警報音やメッセージにより、車外に居る人に危険な状態を伝えるアラートを出力させる。
【0088】
さらにステップS172で安全維持制御部20は、モータ制御部4に対してバッテリーの電源遮断を指示し、バッテリーの電源を遮断させる。
【0089】
その後、ステップS123で安全維持制御部20は、車外センサ部12からの情報により、周囲の人の反応の有無を判定する。
そして周囲の人に適切な反応があったと判定できない場合は、安全維持制御部20はステップS124に進み、人の異常を通信部13から送信させる制御を行う。
【0090】
<実施の形態の効果>
以上の実施の形態における車両1の安全維持制御部20は、車両1の全部又は一部が閉塞環境にあるか否かを判定し、閉塞環境と判定された場合、車両1の動力源についての状態を判定する動力源状態判定の結果と車内又は車外における人の存在の有無を判定する存在判定に基づいて異常通知制御を実行する。
車両1が閉塞環境にあることを車両1自体で判定することで、発生するガス種に依らず、人がガスを吸引する状況を防ぐことが可能となり、且つ人に危険の可能性を通知して安全を確保することができる。
またこのため、発生する可能性のあるガスの種別に応じたガスセンサを搭載する必要もない。
【0091】
実施の形態では、安全維持制御部20は、異常通知制御とともに動力源の停止制御を実行するものとした。
例えばエンジン搭載車において、閉塞環境で、エンジンが予め設定された一定時間以上駆動されている場合は、エンジンをオフさせる(S108,S122)。またHEV車、電気自動車、燃料電池車などにおいて電池異常が検知されたら、電源遮断制御を実行させる(S156,S166,S172)。これによりガス発生があったとしても、その進行を防止することができる。
【0092】
実施の形態では、安全維持制御部20は、動力源状態判定と、車内の人の存在判定と、車室内の換気状態判定とにより、車内に人が存在し、動力源により発生するガスが車内に発生する可能性があると判定した場合に、車内に対する異常通知制御を実行させるものとした(S107,S155,S165)。
例えば次の場合である。
・エンジン駆動による排気ガスが、開いている窓、ドア、外気導入口から車内に侵入する可能性がある場合。
・バッテリーが車内に配置されている車両1において窓、ドア、外気導入口が閉じられており、バッテリー異常によるガスが車内に充満する可能性がある場合。
・バッテリーが車外に配置されている車両1において開いている窓、ドア、外気導入口からバッテリー異常によるガスが車内に侵入する可能性がある場合。
これらの状況を判定して車内において異常通知を実行させることで、車内の人に危険の可能性を通知して人の安全確保を促すことができる。
【0093】
なお、実施の形態では車室内の換気状態判定(S104,S105,S106、又はS162,S163,S164)に応じて異常通知を行うものとしたが、換気状態にかかわらず、乗員に異常を通知して、乗員に必要な処置を求めるようにしてもよい。
【0094】
実施の形態では、安全維持制御部20は、動力源状態判定と、車外の人の存在判定とにより、車外に人が存在し、動力源により発生するガスが車外に発生する可能性があると判定した場合に、車外に対する異常通知制御を実行させるものとした(S121,S171)。
例えば次の場合である。
・エンジン駆動により排気ガスが排出されている場合。
・バッテリーが車内に配置されている車両1において窓、ドア、外気導入口が開いており、バッテリー異常によるガスが車外に排出される可能性がある場合。
・バッテリーが車外に配置されている車両1においてバッテリー異常によりガスが発生する可能性がある場合。
これらの状況を判定して車外に対して異常通知を実行させることで、閉塞空間における車外の人に危険の可能性を通知して人の安全確保を促すことができる。
【0095】
実施の形態では、安全維持制御部20は、異常通知制御として、車内又は車外に対する異常通知である第1の異常通知制御を実行させ(S107,S155,S165,S121,S171)る。その後、車内又は車外に存在する人の反応有無の判定により人の反応が検知されない場合は、無線通信による外部機関に対する異常通知である第2の異常通知制御を実行させるものとした(S110,S124)。
すなわち、車内に対する異常通知を行っても車内の人の動きが検知されない場合や、車外に対する異常通知を行っても車外の人の動きが検知されない場合を想定する。このような場合に、外部機関に対して異常通知を実行させることで救助を呼ぶことができる。
【符号の説明】
【0096】
1 車両
8 位置情報処理部
9 空調制御部
10 動力源監視部
11 車内監視部
12 車外監視部
13 通信部
14 警報部
20 安全維持制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7