(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163614
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】現金取引システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20230101AFI20231102BHJP
【FI】
G06Q40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074626
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 紘輝
(72)【発明者】
【氏名】城 久雄
(72)【発明者】
【氏名】近藤 知子
(72)【発明者】
【氏名】越智 洋貴
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB32
(57)【要約】
【課題】ユーザの利便性を向上できるようにした現金取引システムおよび方法を提供すること。
【解決手段】ユーザ端末1を用いて現金取引を行う現金取引システム1000であって、ユーザ端末は、銀行システム4との間で通信することにより入出金の取引を予約し、予約した取引を示す取引情報を生成して記憶部に保持し、現金を出し入れする現金処理機2との間で通信することにより認証し、認証の成功した現金処理機へ記憶部から取引情報を送信し、現金処理機は、ユーザ端末から受信された取引情報に示された金額の現金を現金入出金口から入出金させ、取引情報に示された金額の入出金が完了した旨を示す取引完了情報をユーザ端末に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末を用いて現金取引を行う現金取引システムであって、
前記ユーザ端末は、
銀行システムとの間で通信することにより入出金の取引を予約し、
前記予約した取引を示す取引情報を生成して記憶部に保持し、
現金を出し入れする現金処理機との間で通信することにより認証し、
前記認証の成功した現金処理機へ前記記憶部から前記取引情報を送信し、
前記現金処理機は、
前記ユーザ端末から受信された前記取引情報に示された金額の現金を現金入出金口から入出金させ、
前記取引情報に示された金額の入出金が完了した旨を示す取引完了情報を前記ユーザ端末に送信する
現金取引システム。
【請求項2】
前記ユーザ端末は、前記取引完了情報を受信すると前記銀行システムに通知し、前記銀行システムの勘定系システムに前記予約された入出金の取引を完了処理させる
請求項1に記載の現金取引システム。
【請求項3】
前記現金処理機は、前記銀行システムと直接接続されていないオフライン装置である
請求項1に記載の現金取引システム。
【請求項4】
前記現金処理機の表面には、前記現金入出金口と、前記ユーザ端末と通信するための通信接続部とが設けられており、前記ユーザ端末を使用するユーザが入出金操作する操作部を有していない
請求項3に記載の現金取引システム。
【請求項5】
前記現金処理機を管理する管理システムをさらに備え、
前記管理システムは、前記現金処理機と通信することにより、前記取引情報に基づいて前記現金処理機で実行された入出金の履歴を示す入出金履歴情報を取得し、前記取得された入出金履歴情報を前記銀行システムへ通知する
請求項3に記載の現金取引システム。
【請求項6】
前記ユーザ端末は、複数の銀行システムと入出金の取引を予約でき、
前記複数の銀行システムとの間で予約された取引の金額の合計金額を含んで前記取引情報を生成し、
前記現金処理機は、前記取引情報に示された合計金額の現金を前記現金入出金口から入出金させる
請求項1に記載の現金取引システム。
【請求項7】
前記現金処理機は、前記複数の銀行システムにより共同で使用される
請求項6に記載の現金取引システム。
【請求項8】
ユーザ端末を用いて現金取引を行う現金取引方法であって、
前記ユーザ端末は、
銀行システムとの間で通信することにより入出金の取引を予約し、
前記予約した取引を示す取引情報を生成して記憶部に保持し、
現金を出し入れする現金処理機との間で通信することにより認証し、
前記認証の成功した現金処理機へ前記記憶部から前記取引情報を送信し、
前記現金処理機は、
前記ユーザ端末から受信された前記取引情報に示された金額の現金を現金入出金口から入出金させ、
前記取引情報に示された金額の入出金が完了した旨を示す取引完了情報を前記ユーザ端末に送信させる
現金取引方法。
【請求項9】
コンピュータを、現金取引システムに使用されるユーザ端末として機能させるためのコンピュータプログラムであって、
銀行システムとの間で通信することにより入出金の取引を予約するステップと、
前記予約した取引を示す取引情報を生成して記憶部に保持するステップと、
現金を出し入れする現金処理機との間で通信することにより認証するステップと、
前記認証の成功した現金処理機へ前記記憶部から前記取引情報を送信するステップと、
前記取引情報に示された金額の入出金が完了した旨を示す取引完了情報を前記現金処理機から受信するステップと、
を実行させる
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金取引システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、いわゆる電子マネーやモバイルペイメントが普及しつつあるが、現金の需要も多い(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが銀行口座に対して現金を入出金するためには、銀行支店、空港、コンビニエンスストアなどに設置された現金自動預払機(ATM)を用いるのが一般的である。しかし、ユーザは、ATMの設置場所まで出向いて、本人確認を行い、所望の金額を入力するなどの一連の操作を行う必要があり、手間がかかる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ユーザの利便性を向上できるようにした現金取引システムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明に従う現金取引システムは、ユーザ端末を用いて現金取引を行う現金取引システムであって、ユーザ端末は、銀行システムとの間で通信することにより入出金の取引を予約し、予約した取引を示す取引情報を生成して記憶部に保持し、現金を出し入れする現金処理機との間で通信することにより認証し、認証の成功した現金処理機へ記憶部から取引情報を送信し、現金処理機は、ユーザ端末から受信された取引情報に示された金額の現金を現金入出金口から入出金させ、取引情報に示された金額の入出金が完了した旨を示す取引完了情報をユーザ端末に送信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザは、ユーザ端末を用いて取引情報を事前に生成しておくことができ、その取引情報を現金処理機に送信することで所望の現金を入出金させることができ、ユーザの使い勝手が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、現金取引システムの全体構成図である。
【
図2】
図2は、現金取引システムの機能構成図である。
【
図3】
図3は、現金処理機の外観を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、現金取引システムを利用する事前処理のフローチャートである。
【
図5】
図5は、ユーザ端末が銀行システムとの間で出金取引を予約し、現金処理機から出金させる処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、ユーザ端末から銀行システムへ取引完了を通知する処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、管理システムが現金処理機の状態を収集し、収集した情報の少なくとも一部を銀行システムへ送信する処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、ユーザ端末が銀行システムとの間で入金取引を予約し、現金処理機へ入金させる処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、ユーザ端末から銀行システムへ取引完了を通知する処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、ユーザ端末が複数の銀行システムに対して入金取引および出金取引を予約し、現金処理機から差額を出金させる処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、ユーザ端末から銀行システムへ取引完了を通知する処理を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は第2実施例に係り、ユーザ端末が複数の銀行システムとの間で入金取引および出金取引を実行し、それら複数の取引間の差額を現金処理機から入出金させる処理を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は第3実施例に係り、ユーザ端末に提供される現金取引画面の例である。
【
図14】
図14は第4実施例に係り、第1のユーザ端末で作成された取引情報を第2のユーザ端末へ転送する処理を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は第5実施例に係り、現金処理機がキャッシュレジスターに設けられた様子を示す説明図である。
【
図16】
図16は第6実施例に係り、現金処理機が自動販売機に設けられた様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態では、ユーザは、ユーザ端末から銀行システムに対して取引を予約し、取引情報を生成してユーザ端末に保持させることができる。そして、ユーザは、現金処理機へ取引情報を送信することにより、現金処理機との間で現金を出し入れすることができる。その後、ユーザ端末は、現金処理機との間で入出金が完了した旨を銀行システムへ通知する。銀行システムは、その通知を受信すると、勘定系システムにより取引を完了させる。
【0010】
本実施形態の現金取引システムによれば、ユーザは、ATMを使用する場合と異なり、入出金のために現金処理機を操作する必要はない。ユーザは、所望の現金を出し入れするための取引情報をユーザ端末内で事前に作成しておき、ユーザ端末から現金処理機へ取引情報を送信するだけでよく、ユーザの使い勝手が向上する。したがって、現金処理機は、ユーザが入出金操作するための操作部を備える必要がない。
【0011】
現金処理機が取引情報に示された金額の入出金が完了した旨を示す取引完了情報をユーザ端末に送信すると、ユーザ端末は、銀行システムに取引完了を通知し、銀行システムの勘定系システムに前記予約された入出金の取引を完了処理させる。現金の出し入れが実際に行われるのは現金処理機であるが、取引完了を銀行システムへ通知するのはユーザ端末である。したがって、現金処理機は、銀行システムと接続されていないオフライン装置として構成される。本実施形態の現金取引システムでは、ユーザ端末が現金取引の中心に位置し、銀行システムおよび現金処理機とそれぞれ通信することにより、ユーザの所望する現金取引が実現される。
【実施例0012】
図1~
図11を用いて第1実施例を説明する。
図1は、現金取引システム1000の全体構成図である。現金取引システム1000は、例えば、ユーザの使用するコンピュータであるユーザ端末1と、現金処理機2と、管理システム3と、銀行システム4を含む。正確には、銀行システム4の全体ではなく、ユーザ端末1のアプリケーションプログラムP12が銀行システム4での情報処理を利用するための図示せぬAPI(Application Programming Interface)が現金取引システム1000に含まれる。現金取引システム1000は、ユーザ端末1により取引が主導される、ユーザ端末主導型現金取引システムと呼ぶこともできる。
【0013】
図1では、現金取引システム1000は、複数のユーザ端末1、複数の現金処理機2、一つの管理システム3、複数の銀行システム4を含んでいる。これに限らず、現金取引システム1000は、例えば、複数のユーザ端末1、一つの現金処理機2、一つの管理システム3、一つの銀行システム4を備えてもよいし、複数のユーザ端末1、複数の現金処理機2、複数の管理システム3、一つの銀行システム4を備えてもよい。以上の組み合わせ以外の組み合わせにも本実施形態の現金取引システム1000は適用可能である。
【0014】
ユーザ端末1は、例えば、携帯電話(いわゆるスマートフォンを含む。)、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、ウェアラブル端末のようなコンピュータとして構成される。
【0015】
ユーザ端末1は、通信手段CN1を介して銀行システム4と双方向通信可能に接続されている。ユーザ端末1は、通信手段CN2を介して現金処理機2と双方向通信可能に接続されている。
【0016】
ユーザ端末3は、例えば、銀行システム4と通信する機能と、現金処理機2と通信する機能と、アプリケーションプログラムP11,P12を実行させる機能と、取引情報および取引完了を示す情報などを保持する機能とを備える。ユーザ端末1は、さらにユーザにより持ち運び可能であることが好ましい。もしもユーザ端末1が現金処理機2と通信可能な範囲内に設置されている場合、ユーザ端末1を持ち運ぶ必要性が乏しいため、ユーザ端末1は、デスクトップ型コンピュータのように構成されてもよい。
【0017】
ユーザ端末1では、後述する統合取引アプリケーションプログラムP11と、銀行別の銀行取引アプリケーションプログラムP12とが実行される。図中、アプリケーションプログラムをアプリと略記する。
【0018】
現金処理機2は、現金の出し入れを専用に行う装置である。現金処理機2は、例えば、駅構内、空港内、コンビニエンスストアなどに設定される。現金処理機2は、それぞれ異なる銀行により共同で使用されることもできる。
【0019】
現金取引システム2は、上述のように、通信手段CN2を介してユーザ端末1に双方向通信可能に接続されている。さらに、現金処理機2は、通信手段CN3を介して管理システム3と双方向通信可能に接続されている。現金処理機2は、銀行システム4と通信する手段を持たない。現金処理機2の状態を示す情報の一部は、管理システム3を通じて銀行システム4へ通知される。
【0020】
ここで、例えば、通信手段CN1,CN3は、例えば、インターネットなどの公衆通信網でもよいし、専用回線網でもよい。通信手段CN2は、例えば、NFC(Near Field Communication)などの、比較的近い距離での通信手段である。例えば、ユーザ端末1を持参したユーザが現金処理機2に接近して現金を出し入れする様子をカメラで撮影できるように、通信手段CN2の通信可能範囲を設定することもできる。
【0021】
管理システム3は、各所に分散配置された現金処理機2を遠隔から監視し、その状態を管理するコンピュータである。管理システム3は、例えば、現金取引システム1000の運営を管理する運営管理センターに設置される。
【0022】
管理システム3は、例えば、現金処理機2が保有する現金の額および券種の管理(有り高管理)と、現金処理機2の保守状態の管理を行う。現金処理機2が硬貨を出し入れすることができる場合、管理システム3は、現金処理機2の保有する硬貨の種類およびその枚数も管理する。現金処理機2の保守状態の管理とは、例えば、現金処理機2の各機構部が正常に動作しているか、紙幣詰まりが生じていないか、センサの出力に異常がないかなどである。管理システム3は、現金処理機2の保守状態に異常を検知すると、保守員をその現金処理機2へ派遣させる。
【0023】
図2は、現金取引システム1000の機能構成図である。
図2では、一つの現金処理機2と一つの銀行システム3を示すが、現金取引システム1000は、複数の現金処理機2と複数の銀行システム3を備えることができる。
【0024】
ユーザ端末1の構成を説明する。ユーザ端末1は、例えば、プロセッサ11、メモリ12、通信部13、ユーザーインターフェース部14、近距離通信部15、センサ16を備えている。
【0025】
プロセッサ11は、演算処理装置である。プロセッサ11は、メモリ12に格納されたアプリケーションプログラムP11,P12を実行することにより、後述する現金取引サービスを実現させる。プロセッサ11は、一つとは限らず、複数あってもよい。また、ユーザ端末1は、プロセッサ11のほかに、特定の処理を専門に担当する演算装置を備えてもよい。
【0026】
メモリ12は、ここでは主記憶装置および補助記憶装置の両方を示す。メモリ12は、例えば、統合取引アプリケーションプログラム(以下、統合取引アプリ)P11と、銀行取引アプリケーションプログラム(以下、銀行取引アプリ)P12を記憶する。
【0027】
統合取引アプリP11は、ユーザが現金取引システム1000を利用するための窓口となるアプリケーションプログラムである。統合取引アプリP11は、取引情報D11を生成して保持する。銀行取引アプリP12は、銀行システム3ごとに用意されるアプリケーションプログラムであり、ユーザの銀行口座に対する取引を予約する。
【0028】
通信部13は、通信手段CN1を介して銀行システム4と通信する装置である。ユーザーインターフェース(図中、UI)部14は、ユーザとの間で情報を交換する装置であり、情報入力部と情報出力部を備える(いずれも不図示)。例えば、タッチパネルのように情報の入力と出力とを兼用する装置もある。ユーザ端末1にディスプレイまたはキーボードを接続して使用することもできる。
【0029】
近距離通信部15は、通信手段CN2を介して現金処理機2の近距離通信部21と通信する装置である。
【0030】
センサ16は、例えば、カメラ、加速度センサ、位置情報取得センサ(いずれも不図示)である。現金取引システム1000の利用に際して、センサ16の検出信号を用いてもよい。例えば、センサ16に含まれるカメラを用いてユーザの顔を撮影し、撮影した画像と取引情報D11を対応づけて現金処理機2へ送信してもよい。現金処理機2は、入出金履歴としてユーザの顔画像も保存し、管理システム3へ送信してもよい。
【0031】
記憶媒体MMは、例えば、フラッシュメモリのように非一時的にデータを記憶可能な媒体であり、ユーザ端末1に接続可能である。記憶媒体MMは、メモリ12に記憶されたアプリケーションプログラムの少なくとも一部を読み出して記憶できる。記憶媒体MMに記憶されたアプリケーションプログラムの少なくとも一部をメモリ12へ転送して記憶させることもできる。
【0032】
現金処理機2は、例えば、近距離通信部21、制御部22、紙幣入出金部23、硬貨入出金部24、通信部25、搬送部26、紙幣/硬貨収容部27、センサ部28を備えることができる。現金処理機2の外観の様子を
図3に示す。
【0033】
近距離通信部21は、例えば、現金処理機2の筐体20の上面に設けられる。近距離通信部21の上にユーザ端末2を近接させることにより、近距離通信部15と近距離通信部21との間でデータが送受信される。
【0034】
制御部22は、現金処理機2の全体動作を制御する。制御部22は、図示せぬプロセッサおよびメモリなどを備える。
【0035】
紙幣入出金部23は、紙幣を出し入れするための機構部である。硬貨入出金部24は、硬貨を出し入れするための機構部である。
【0036】
通信部25は、通信手段CN3を介して管理システム3と通信する装置である。搬送部26は、紙幣入出金部23と紙幣/硬貨収容部27との間で紙幣を搬送したり、硬貨入出金部24と紙幣/硬貨収容部27との間で硬貨を搬送したりする機構部である。
【0037】
センサ部28は、例えば、カメラ、振動センサ、温度センサ、マイクロフォンなどであり、必要に応じて設けられる。例えば、センサ部28がカメラを備える場合、現金処理機2で現金を出し入れしようとするユーザを撮影し、入出金履歴の一部として保存することもできる。この場合、ユーザ端末1のカメラで撮影されて取引情報D11とともに送られたユーザの顔画像と、現金処理機2のカメラで撮影されたユーザの画像とを対応づけて保存してもよい。なお、カメラを現金処理機2に内蔵させるのではなく、現金処理機2の設置場所に設置された外部の監視カメラを利用してもよい。監視カメラで撮影した画像の全部または一部(例えば、数フレーム毎に一つの画像を抽出するなど)を入出金履歴と対応づけて保存することもできる。画像データの保存先は、現金処理機2の制御部22内でもよいし、管理システム3に送信して保存させてもよい。
【0038】
ここで、
図3を参照する。近距離通信部21と、紙幣入出金部23と、硬貨入出金部24とは、現金処理機2の筐体20の上面に並んで配置されている。近距離通信部21、紙幣入出金部23、硬貨入出金部24の傍には、ユーザの注意を惹くためのランプ部211,231,241がそれぞれ設けられている。なお、筐体20の上面には、カメラ281を設けてもよい。カメラ281に代えて、あるいはカメラ281とともに、人体を検出する人感センサを設けてもよい。
【0039】
例えば、最初は近距離通信部21のランプ部211が点滅しており、ユーザは近距離通信部21の上にユーザ端末1をかざす。取引情報D11が現金処理機2に読み込まれると、紙幣の出し入れをする場合には、紙幣入出金部23のランプ部231が点滅する。硬貨の出し入れをする場合は、硬貨入出金部24のランプ部241が点滅する。
【0040】
現金処理機2は、ユーザが入出金操作するための操作部を備える必要がないため、シンプルな構成とすることができ、すっきりした外観に仕上げることができる。例えば、通常のATMが備えているようなタッチパネル、小型プリンタ、カード装着部などは、不要であるため、現金処理機2は備えていない。
【0041】
図2に戻る。管理システム3は、例えば、プロセッサ31、メモリ32、通信部33、ユーザーインターフェース部34を備える。
【0042】
ここでのメモリ32は、主記憶装置および補助記憶装置の両方を兼ねる。メモリ32は、例えば、入出金履歴管理部321、現金処理機管理部322、情報提供部323をそれぞれ実現するためのコンピュータプログラム(いずれも不図示)を記憶する。プロセッサ31がそれらコンピュータプログラムを実行することにより、入出金履歴管理部321、現金処理機管理部322、情報提供部323がそれぞれ実現される。
【0043】
入出金履歴管理部321は、各現金処理機2での入出金の履歴を現金処理機2から取得して管理する。現金処理機管理部322は、各現金処理機2の状態(保守状態など)を管理する。情報提供部323は、各現金処理機2についての情報を各銀行システム4へ提供する。銀行システム4に提供される情報には、例えば、現金処理機2での入出金履歴の情報の少なくとも一部が含まれる。
【0044】
通信部33は、通信手段CN3を介して、各現金処理機2および各銀行システム4と通信する装置である。現金処理機2と通信する通信部と銀行システム4と通信する通信部とを分けてもよい。ユーザーインターフェース部34は、システム管理者が管理システム3との間で情報を交換する装置であり、例えば、モニタディスプレイ、キーボード、プリンタなどを含んで構成される。
【0045】
銀行システム4は、例えば、勘定系システム41、情報系システム42、チャンネル系システム43および通信部44を備える。
【0046】
勘定系システム41は、銀行の主要業務である預金、貸し付け、為替などを処理するコンピュータシステムである。情報系システム42は、経営管理やマーケティングなどに用いるコンピュータシステムである。チャンネル系システム43は、インターネットバンキングなどを担当するコンピュータシステムである。
【0047】
図4は、現金取引システムを利用する事前処理のフローチャートである。ユーザ端末1は、アプリケーション配信サーバから統合取引アプリP11を入手し(S21)、ユーザ端末1にインストールする(S22)。アプリケーション配信サーバは、管理システム3の一部であってもよい。
【0048】
ユーザは、現金取引システム1000の提供するサービス(ユーザ端末主導型の現金取引サービス)を利用する場合、統合取引アプリP11を起動させる(S23)。統合取引アプリP11は、起動すると管理システム3にアクセスする(S24)。
【0049】
ユーザは、ユーザ端末1から氏名およびパスワードなどを管理システム3へ入力することにより、ユーザ登録する(S25)。ユーザ端末1から入力された情報は、管理システム3に記憶される(S26)。
【0050】
ユーザは、例えば、銀行名、支店名、口座名義、口座番号などを管理システム3へ入力することにより、取引対象の銀行を管理システム3に登録する(S27)。管理システム3は、入力内容に基づいて、銀行システム3に確認する(S28)。
【0051】
管理システム3は、取引対象銀行およびユーザ登録情報を記憶する(S29)。管理システム3は、記憶された情報のうち必要な情報を現金処理機2に通知して記憶させる(S30)。必要な情報には、現金処理機2で現金を出し入れしようとするユーザが本人であるかを確認するための認証情報がある。例えば、ユーザ氏名、住所、連絡先電話番号、取引対象銀行の支店名などの情報をハッシュ関数に入力し、それにより得られた値を本人認証情報の一部として用いることができる。または、ユーザ登録時のユーザの顔画像をそのままで、あるいは顔画像の特徴点のパターンを、認証情報の一部として使用することもできる。指先の静脈パターンなどを認証情報として用いてもよい。生体情報を認証情報に使用する場合、現金処理機2に生体情報を検出するためのセンサ部を設ける。
【0052】
図5は、ユーザ端末1が銀行システム4との間で出金取引を予約し、現金処理機2から出金させる処理を示すフローチャートである。以下の説明では、複数の銀行(2つの銀行)との間で取引を予約する場合を説明するが、単一の銀行との取引でもよいし、3つ以上の銀行との取引でもよい。
【0053】
ユーザは、統合取引アプリP11を起動させてログインする(S41)。ログイン時には、ユーザは、あらかじめ統合取引アプリP11に登録させたパスワードなどの認証情報を入力する。
【0054】
統合取引アプリP11はユーザ認証に成功すると、各銀行取引アプリP12に自動的にログインする(S42,S44)。統合取引アプリP11は、各銀行取引アプリP12にログインするための認証情報を保持している。各銀行取引アプリP12は、それぞれの銀行システム4へログインする(S43,S45)。
【0055】
一つの銀行BK1と他の一つの銀行BK2とからそれぞれ出金取引を予約する場合を説明する。ここで出金取引の予約とは、チャンネル系システム43を介して出金取引を予約することを意味し、予約時点では勘定系システム41での出金処理は行われない。勘定系システム41での出金処理は、ユーザ端末1から取引完了情報D12を受信したときに実行される。
【0056】
統合取引アプリP11は、銀行BK1に対応する銀行取引アプリP12に対し、銀行BK1にあるユーザの口座から所定金額を出金するように指示する(S46)。この指示を受けた銀行取引アプリP12は、銀行BK1のシステム4に対して、出金登録を指示する(S47)。銀行BK1のシステム4は、出金取引の情報(予約された出金取引の情報)を登録する(S48)。統合取引アプリP11は、予約された出金取引の情報を記憶する(S49)。
【0057】
銀行BK2についても同様である(S50~S53)。すなわち、統合取引アプリP11は、銀行BK2に対応する銀行取引アプリP12に対し、銀行BK2にあるユーザの口座から所定金額を出金するように指示する(S50)。この指示を受けた銀行取引アプリP12は、銀行BK2のシステム4に対して、出金登録を指示する(S51)。銀行BK2のシステム4は、出金取引の情報を登録する(S52)。統合取引アプリP11は、予約された出金取引の情報を記憶する(S53)。
【0058】
そして、統合取引アプリP11は、銀行BK1に対して予約された出金取引の情報と銀行BK2に対して予約された出金取引の情報とを加算することにより、現金処理機2から所定額を出金させるための取引情報D11を生成し、記憶させる(S54)。所定額とは、銀行BK1から引き出す金額と銀行BK2から引き出す金額との合計である。
【0059】
ユーザは、取引情報D11をユーザ端末1内に保持させた後で、現金処理機2の設置場所に出向く。ユーザは、現金処理機2の近くで、上述の処理S41~S54を実行することもできる。
【0060】
ユーザは、ユーザ端末1から現金処理機2に対し無線接続を要求する。(S55)。現金処理機2の近距離通信部21とユーザ端末1の近距離通信部15とはペアリングし、接続される(S56)。
【0061】
ユーザ端末1の統合取引アプリP11は、無線接続された現金処理機2に対して、取引情報D11を送信する(S57)。現金処理機2は、ユーザ端末1から取引情報D11を受信すると、指定された金額だけ出金させる現金取引処理を実行する(S58)。
【0062】
現金処理機2は、所定額の現金を出金すると、取引の完了を示す取引完了情報D12をユーザ端末1の統合取引アプリP11へ送信する(S59)。統合取引アプリP11は、現金処理機2から受信した取引完了情報D12を記憶する(S60)。
【0063】
このように本実施例の現金取引システム1000は、ユーザ端末1によって現金の引き出し(出金)を予約し、その予約を現金処理機2で実行させる。この時点では、出金された口座を管理する銀行システム4において、出金処理は実行されていない。
【0064】
図6は、ユーザ端末1から銀行システム4へ取引完了を通知する処理を示すフローチャートである。統合取引アプリP11は、現金処理機2から取引完了情報D12を受信すると、取引が完了した旨を銀行システム4へ通知させる(S71)。統合取引アプリP11は、各銀行取引アプリP12を介して、対応する各銀行システム4に、現金処理機2での取引完了を指示する(S72,S74)。取引完了の指示を受けた各銀行システム4は、勘定系システム41により取引完了処理を実行させる(S73,S75)。この時点で、勘定系システム41での処理が完了する。
【0065】
図7は、管理システム3が現金処理機2の状態を収集し、収集した情報の少なくとも一部を銀行システム4へ送信する処理を示すフローチャートである。
【0066】
管理システム3は、定期的にまたは不定期に、各現金処理機2の状態を各現金処理機2から取得する(S81)。各現金処理機2は、管理システム3からの要求に応答して、内部状態と入出金履歴、紙幣および硬貨の保有量を管理システム3へ送信する(S82,S83)。
【0067】
管理システム3は、各現金処理機2から取得した情報のうち、入出金履歴を各銀行システム4へ提供する(S85,S86)。取引情報D11と取引完了情報D12は、どの銀行のどの口座からどれだけの金額を入出金させるかの予約内容を特定する情報と、その予約を現金取引システム1000内で一意に特定する識別情報とを含む。管理システム3は、それら予約内容を特定する情報と取引情報を識別する情報とに基づいて、銀行システム4ごとに、それぞれの銀行での取引に関わる入出金履歴の情報を抽出して提供する。管理システム3は、他の銀行での入出金の情報は提供しない。
【0068】
図8は、ユーザ端末1が銀行システム4との間で入金取引を予約し、現金処理機2へ入金させる処理を示すフローチャートである。
図8に示す処理と
図5で述べた処理とは、出金取引なのか入金取引なのかの違いを除けば、同一である。統合取引アプリP11へのログイン処理S41~S45については説明を割愛する。
【0069】
統合取引アプリP11は、銀行BK1に対応する銀行取引アプリP12に対し、銀行BK1にあるユーザの口座へ所定金額を入金するように指示する(S46A)。この指示を受けた銀行取引アプリP12は、銀行BK1のシステム4に対して、入金登録を指示する(S47A)。銀行BK1のシステム4は、入金取引の情報を登録する(S48A)。統合取引アプリP11は、予約された入金取引の情報を記憶する(S49A)。
【0070】
銀行BK2についても同様に、統合取引アプリP11は、銀行BK2に対応する銀行取引アプリP12に対し、銀行BK2にあるユーザの口座へ所定金額を入金するように指示する(S50A)。この指示を受けた銀行取引アプリP12は、銀行BK2のシステム4に対して、入金登録を指示する(S51A)。銀行BK2のシステム4は、入金取引の情報を登録する(S52A)。統合取引アプリP11は、予約された出金取引の情報を記憶する(S53A)。
【0071】
統合取引アプリP11は、銀行BK1に対して予約された入金取引の情報と銀行BK2に対して予約された入金取引の情報とを加算することにより、現金処理機2へ所定額を入金させるための取引情報D11を生成し、記憶させる(S54A)。所定額とは、銀行BK1の口座へ入金する金額と銀行BK2の口座へ入金する金額との合計である。
【0072】
ユーザは、取引情報D11をユーザ端末1内に保持させた後で、現金処理機2の設置場所に出向く。ユーザは、現金処理機2の近くで、上述の処理S41~S54Aを実行することもできる。
【0073】
ユーザは、ユーザ端末1を現金処理機2の近距離通信部21に近接させることにより、現金処理機2に対し無線接続を要求する(S55)。現金処理機2の近距離通信部21とユーザ端末1の近距離通信部15とはペアリングし、接続される(S56)。
【0074】
ユーザ端末1の統合取引アプリP11は、無線接続された現金処理機2に対して、取引情報D11を送信する(S57A)。現金処理機2は、ユーザ端末1から取引情報D11を受信すると、ユーザに対して指定された金額だけ入金させる現金取引処理を実行する(S58A)。
【0075】
現金処理機2は、所定額の現金の入金を確認すると、取引の完了を示す取引完了情報D12をユーザ端末1の統合取引アプリP11へ送信する(S59A)。統合取引アプリP11は、現金処理機2から受信した取引完了情報D12を記憶する(S60A)。
【0076】
このように本実施例の現金取引システム1000は、ユーザ端末1によって入金を予約し、その予約をユーザにより現金処理機2で実行させる。この時点では、銀行システム4の勘定系システム41において、入金処理は実行されない。
【0077】
図9は、ユーザ端末1から銀行システム4へ取引完了を通知する処理を示すフローチャートである。統合取引アプリP11は、現金処理機2から取引完了情報D12を受信すると、取引が完了した旨を銀行システム4へ通知させる(S71A)。統合取引アプリP11は、各銀行取引アプリP12を介して、対応する各銀行システム4に、現金処理機2での取引完了を指示する(S72A,S74A)。取引完了の指示を受けた各銀行システム4は、勘定系システム41により取引完了処理を実行させる(S73A,S75A)。この時点で、勘定系システム41での入金処理が完了する。
【0078】
図10は、ユーザ端末1が複数の銀行システム4に対して入金取引および出金取引を予約し、現金処理機2から差額を出金させる処理を示すフローチャートである。
【0079】
統合取引アプリP11は、銀行BK1に対応する銀行取引アプリP12に対し、銀行BK1にあるユーザの口座へ所定金額を入金するように指示する(S46B)。この指示を受けた銀行取引アプリP12は、銀行BK1のシステム4に対して、入金登録を指示する(S47B)。銀行BK1のシステム4は、入金取引の情報を登録する(S48B)。統合取引アプリP11は、予約された入金取引の情報を記憶する(S49B)。
【0080】
銀行BK2についても同様である(S50B~S53B)。統合取引アプリP11は、銀行BK2に対応する銀行取引アプリP12に対し、銀行BK2にあるユーザの口座から所定金額を出金するように指示する(S50B)。この指示を受けた銀行取引アプリP12は、銀行BK2のシステム4に対して、出金登録を指示する(S51B)。銀行BK2のシステム4は、出金取引の情報を登録する(S52B)。統合取引アプリP11は、予約された出金取引の情報を記憶する(S53B)。
【0081】
統合取引アプリP11は、銀行BK1に対して予約された入金取引の情報と銀行BK2に対して予約された出金取引の情報とを加算することにより、現金処理機2から所定の差額を出金させるための取引情報D11を生成し、記憶させる(S54B)。ここでは、銀行BK1への入金金額よりも銀行BK2からの出金金額の方が大きいものとする。したがって、現金処理機2から所定の差額がユーザに対して出金されることになる。これとは逆に、銀行BK1への入金額の方が銀行BK2からの出金額よりも大きい場合、ユーザは現金処理機2に対して所定の差額を入金することになる。
【0082】
ユーザは、ユーザ端末1を現金処理機2の近距離通信部21に近接させることにより、現金処理機2に対し無線接続を要求する(S55)。現金処理機2の近距離通信部21とユーザ端末1の近距離通信部15とはペアリングし、接続される(S56)。
【0083】
ユーザ端末1の統合取引アプリP11は、無線接続された現金処理機2に対して、取引情報D11を送信する(S57B)。現金処理機2は、ユーザ端末1から取引情報D11を受信すると、指定された金額(入金と出金の差額)だけ出金させる現金取引処理を実行する(S58B)。
【0084】
現金処理機2は、所定額の現金を出金すると、取引の完了を示す取引完了情報D12をユーザ端末1の統合取引アプリP11へ送信する(S59B)。統合取引アプリP11は、現金処理機2から受信した取引完了情報D12を記憶する(S60B)。
【0085】
図11は、ユーザ端末1から銀行システム4へ取引完了を通知する処理を示すフローチャートである。統合取引アプリP11は、現金処理機2から取引完了情報D12を受信すると、取引が完了した旨を銀行システム4へ通知させる(S71B)。
【0086】
統合取引アプリP11は、各銀行取引アプリP12を介して、対応する各銀行システム4に、現金処理機2での取引完了を指示する(S72B,S74B)。銀行BK1には、予約された入金取引を完了させるよう指示される。銀行BK2には、予約された出金取引を完了させるよう指示される。取引完了の指示を受けた各銀行システム4は、勘定系システム41により取引完了処理を実行させる(S73B,S75B)。
【0087】
このように構成される本実施例によれば、ユーザは、入出金のために現金処理機2を操作する必要はない。ユーザは、所望の現金を出し入れするための取引情報D11をユーザ端末1内で事前に作成しておき、ユーザ端末1から現金処理機2へ取引情報D11を送信するだけで所望の金額を入出金させることができる。したがって、従来のATMを用いる場合に比べて、ユーザの使い勝手が大きく向上する。
【0088】
本実施例では、現金処理機2が取引情報D11に示された金額の入出金が完了した旨を示す取引完了情報D12をユーザ端末1へ送信すると、ユーザ端末1は、銀行システム4に取引完了を通知する。これにより、銀行システムの勘定系システム41は、先に予約された入出金の取引を完了処理させる。ユーザ端末1により取引が予約されて銀行システム4に登録される時刻と、その予約された取引の処理が勘定系システム41において完了する時刻との間にタイムラグを生じるが、現金処理機2は堅牢に形成されており、施錠などの盗難対策もされるため、何ら問題はない。
【0089】
本実施例では、ユーザは、ユーザ端末1を介して、現金処理機2を利用する現金入出金取引を予約でき、ユーザ端末1と現金処理機2とを通信接続するだけで、現金処理機2との間で所望の現金を出し入れすることができる。したがって、ユーザは、ユーザ端末1のみ操作すればよく、現金の出し入れ以外に、現金処理機2に触れる必要はない。このため、ユーザの指先が現金処理機2の筐体20の表面に触れる機会を低減し、雑菌などがユーザの指先に付着する可能性を低減できる。
統合取引アプリP11は、銀行BK1に対応する銀行取引アプリP12に対し、銀行BK1にあるユーザの口座へ所定金額を出金するように指示する(S91)。この指示を受けた銀行取引アプリP12は、銀行BK1のシステム4に対して、出金登録を指示する(S92)。銀行BK1のシステム4は、勘定系システム41により出金取引を実行させる(S93)。
銀行BK2についても同様である(S95~S98)。統合取引アプリP11は、銀行BK2に対応する銀行取引アプリP12に対し、原資を元に、銀行BK2にあるユーザの口座へ所定金額を入金するように指示する(S95)。この指示を受けた銀行取引アプリP12は、銀行BK2のシステム4に対して、入金登録を指示する(S96)。銀行BK2のシステム4は、勘定系システム41により入金取引を完了させる(S97)。統合取引アプリP11は、入金後の原資を確認し(S98)、取引情報D11を生成して記憶させる(S99)。ここでは、銀行BK1の口座からの出金金額よりも銀行BK2の口座への入金金額の方が少なく、その差額が現金処理機2から出金される場合を説明する。
ユーザは、ユーザ端末1を現金処理機2の近距離通信部21に近接させることにより、現金処理機2に対し無線接続を要求する(S55)。現金処理機2の近距離通信部21とユーザ端末1の近距離通信部15とはペアリングし、接続される(S56)。
ユーザ端末1の統合取引アプリP11は、無線接続された現金処理機2に対して、取引情報D11を送信する(S100)。現金処理機2は、ユーザ端末1から取引情報D11を受信すると、指定された金額(入金と出金の差額)だけ出金させる現金取引処理を実行する(S101)。
現金処理機2は、所定額の現金を出金すると、取引の完了を示す取引完了情報D12をユーザ端末1の統合取引アプリP11へ送信する(S102)。統合取引アプリP11は、現金処理機2から受信した取引完了情報D12を記憶する(S103)。
本実施例では、ユーザ端末1が各銀行システム4との取引を確定させた後で、原資に基づいた取引情報D11を生成し、取引情報D11に応じた現金を現金処理機2に対して出し入れする。既に、各銀行システム4の勘定系システム41では取引が完了しているため、ユーザ端末1から各銀行システム4へ取引完了情報D12を送信する必要はない。
このように構成される本実施例も実施例1と同様に、ユーザ端末1が主導して各銀行との取引を行い、差額を現金処理機2から入出金させることができる。本実施例は、例えば、以下のように表現することができる。
銀行システムとの間で通信することにより前記銀行システムの勘定系システムによって入出金の取引処理を実行させ、前記取引処理の完了した取引を示す取引情報を生成して記憶部に保持し、現金を出し入れする現金処理機との間で通信することにより認証し、前記認証の成功した現金処理機へ前記記憶部から前記取引情報を送信し、前記現金処理機は、前記ユーザ端末から受信された前記取引情報に示された金額の現金を現金入出金口から入出金させ、前記取引情報に示された金額の入出金が完了した旨を示す取引完了情報を前記ユーザ端末に送信する現金取引システム。」