(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163619
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】画像読取装置、異常検知方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
H04N1/00 002A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074634
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(72)【発明者】
【氏名】森田 雅也
(72)【発明者】
【氏名】近江 国彦
(72)【発明者】
【氏名】原野 裕
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA35
5C062AB17
5C062AB22
5C062AB35
5C062AB38
5C062AC02
5C062AC34
5C062AC58
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】 排出された原稿の異常を検知する画像読取装置を提供する。
【解決手段】 画像読取装置1は、画像読取処理が行われた原稿を排出する原稿搬送部と、原稿搬送部により原稿が排出される領域を撮影する撮影部と、撮影部により撮影された画像データに基づいて、原稿排出の異常を検知する異常検知部とを有し、異常検知部により異常が検知された場合に、異常が検知された旨、又は、連続スキャン中の異常が発生したページの位置をユーザに通知する通知部をさらに有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取処理が行われた原稿を排出する原稿搬送部と、
前記原稿搬送部により原稿が排出される領域を撮影する撮影部と、
前記撮影部により撮影された画像データに基づいて、原稿排出の異常を検知する異常検知部と
を有する画像読取装置。
【請求項2】
前記異常検知部により異常が検知された場合に、異常が検知された旨、又は、連続スキャン中の異常が発生したページの位置をユーザに通知する通知部
をさらに有する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記異常検知部は、前記画像読取処理により読み取られた画像データと、前記撮影部により撮影された画像データとに基づいて、原稿排出の異常を検知する
請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記撮影部は、前記原稿搬送部により排出されてくる原稿の移動速度が基準値以下となったタイミングで、原稿が排出される領域を撮影する
請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記画像読取処理が行われる原稿に対して、識別情報を印刷する印刷部
をさらに有し、
前記異常検知部は、前記撮影部により撮影された画像データに含まれる前記識別情報に基づいて、原稿排出の異常を検知する
請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記異常検知部は、原稿が排出される領域に積み重なった原稿の順序が入れ替わったことを異常として検知し、
前記異常検知部により異常を検知された場合に、前記原稿搬送部による原稿の連続搬送を停止させる搬送制御部
をさらに有する請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記原稿搬送部により原稿が排出される原稿台と、
前記原稿台の表面に形成されたマーカーと
をさらに有し、
前記異常検知部は、前記撮影部により撮影された画像データの中に前記マーカーが存在するか否かに基づいて、原稿排出の異常を検知する
請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記異常検知部により画像データの中に前記マーカーが存在しないと判定された場合に、前記原稿搬送部により原稿が排出される速度を低下させる搬送制御部
をさらに有する請求項7に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記撮影部は、固定焦点で撮影し、
前記異常検知部は、前記撮影部により撮影された画像データ内のコンテンツのボケ具合に基づいて、原稿排出の異常を検知する
請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記異常検知部は、前記撮影部により撮影された画像データの中から、所定の範囲外に存在するエッジを抽出し、抽出されたエッジに基づいて、原稿排出の異常を検知する
請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記異常検知部は、所定の範囲外に存在する90度のエッジを抽出し、
前記異常検知部により抽出された90度のエッジが2つ以上発見された場合に、前記原稿搬送部により原稿が排出される速度を低下させる搬送制御部
をさらに有する請求項10に記載の画像読取装置。
【請求項12】
画像読取処理が行われた原稿を排出する原稿搬送ステップと、
前記原稿搬送ステップにより原稿が排出される領域を撮影する撮影ステップと、
前記撮影ステップにより撮影された画像データに基づいて、原稿排出の異常を検知する異常検知ステップと
を有する異常検知方法。
【請求項13】
画像読取処理が行われた原稿を排出させる原稿搬送ステップと、
前記原稿搬送ステップにより原稿が排出される領域を撮影させる撮影ステップと、
前記撮影ステップにより撮影された画像データに基づいて、原稿排出の異常を検知する異常検知ステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、異常検知方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、連続紙電子写真装置のスタッカ装置において、前記スタッカ装置を前記電子写真装置の外部に配置し、前記スタッカ装置は、該スタッカ装置が用紙ジャムを検出した場合、用紙を正常にスタックしている部分まで戻す機能を具備していることを特徴とする連続紙電子写真装置のスタッカ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排出された原稿の異常を検知する画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る画像読取装置は、画像読取処理が行われた原稿を排出する原稿搬送部と、前記原稿搬送部により原稿が排出される領域を撮影する撮影部と、前記撮影部により撮影された画像データに基づいて、原稿排出の異常を検知する異常検知部とを有する。
【0006】
好適には、前記異常検知部により異常が検知された場合に、異常が検知された旨、又は連続スキャン中の異常が発生したページの位置をユーザに通知する通知部をさらに有する。
【0007】
好適には、前記異常検知部は、前記画像読取処理により読み取られた画像データと、前記撮影部により撮影された画像データとに基づいて、原稿排出の異常を検知する。
【0008】
好適には、前記撮影部は、前記原稿搬送部により排出されてくる原稿の移動速度が基準値以下となったタイミングで、原稿が排出される領域を撮影する。
【0009】
好適には、前記画像読取処理が行われる原稿に対して、識別情報を印刷する印刷部をさらに有し、前記異常検知部は、前記撮影部により撮影された画像データに含まれる前記識別情報に基づいて、原稿排出の異常を検知する。
【0010】
好適には、前記異常検知部は、原稿が排出される領域に積み重なった原稿の順序が入れ替わったことを異常として検知し、前記異常検知部により異常を検知された場合に、前記原稿搬送部による原稿の連続搬送を停止させる搬送制御部をさらに有する。
【0011】
好適には、前記原稿搬送部により原稿が排出される原稿台と、前記原稿台の表面に形成されたマーカーとをさらに有し、前記異常検知部は、前記撮影部により撮影された画像データの中に前記マーカーが存在するか否かに基づいて、原稿排出の異常を検知する。
【0012】
好適には、前記異常検知部により画像データの中に前記マーカーが存在しないと判定された場合に、前記原稿搬送部により原稿が排出される速度を低下させる搬送制御部をさらに有する。
【0013】
好適には、前記撮影部は、固定焦点で撮影し、前記異常検知部は、前記撮影部により撮影された画像データ内のコンテンツのボケ具合に基づいて、原稿排出の異常を検知する。
【0014】
好適には、前記異常検知部は、前記撮影部により撮影された画像データの中から、所定の範囲外に存在するエッジを抽出し、抽出されたエッジに基づいて、原稿排出の異常を検知する。
【0015】
好適には、前記異常検知部は、所定の範囲外に存在する90度のエッジを抽出し、前記異常検知部により抽出された90度のエッジが2つ以上発見された場合に、前記原稿搬送部により原稿が排出される速度を低下させる搬送制御部をさらに有する。
【0016】
本発明に係る異常検知方法は、画像読取処理が行われた原稿を排出する原稿搬送ステップと、前記原稿搬送ステップにより原稿が排出される領域を撮影する撮影ステップと、前記撮影ステップにより撮影された画像データに基づいて、原稿排出の異常を検知する異常検知ステップとを有する。
【0017】
本発明に係るプログラムは、画像読取処理が行われた原稿を排出させる原稿搬送ステップと、前記原稿搬送ステップにより原稿が排出される領域を撮影させる撮影ステップと、前記撮影ステップにより撮影された画像データに基づいて、原稿排出の異常を検知する異常検知ステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0018】
排出された原稿の異常を検知する画像読取装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】画像読取装置1のハードウェア構成を例示する図である。
【
図3】設画像読取装置1の機能構成を例示する図である。
【
図4】画像読取装置1による原稿の排出異常検知処理(S10)を説明するフローチャートである。
【
図5】原稿の入れ替わり検知処理(S20)を説明するフローチャートである。
【
図6】原稿の押し出し検知処理(S30)を説明するフローチャートである。
【
図7】原稿のカール検知処理(S40)を説明するフローチャートである。
【
図8】原稿の整列性の低下検知処理(S50)を説明するフローチャートである。
【
図9】スタッカ2における原稿の排出のイメージ図である。
【
図10】スタッカ2に形成されたマーカー5のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[背景]
本発明がなされた背景を説明する。
例えば、スキャン代行において、スキャンしたものをOCR(Optical Character Recognition)が成功しているか等、目視でチェックする業務フローが存在するが、チェックした結果、再スキャンが必要な媒体があれば、原本を探し、再スキャンが必要である。その際、スキャナにおける用紙搬送において、読取順序と排出順序が一致しないことがあると、原本の検索性が悪く、探す手間がかかっていた。
また、原稿のカールや、排出された原稿がスタッカの原稿を押し出すことにより、スタッカで原稿が乱れるケースがある。
さらに、スタッカにおいて、一度原稿の整列性が悪くなると、悪くなる一方であるため、ユーザが原稿を整理する手間がかかっていた。
【0021】
これらの課題に対して、本発明の画像読取装置1は、スタッカにおいて、原稿の入れ替わりや乱れを検知し、ユーザに通知することにより、原本の順番の把握を可能にすること、及び原稿の乱れを最小限に抑えることを可能にした。
【0022】
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、画像読取装置1の模式図を例示する図である。
図1に例示するように、画像読取装置1は、原稿から画像を読み取るスキャナであり、スタッカ2と、ストッパー3、及びカメラ4とを有し、
図3を用いて後述する異常検知プログラム11がインストールされている。
スタッカ2は、後述する原稿搬送部114により原稿が排出される原稿台であり、排出された原稿が積み重ねられる。
ストッパー3は、スタッカ2の先端に設けられ、排出された原稿の飛び出しを抑制する。ストッパー3は、表面に、原稿の各サイズに対応するマーカー5が形成されている。マーカー5は、原稿の押し出しを検知するための目印である。
カメラ4は、後述する撮影部112の指示により、原稿が排出される領域を撮影する。具体的には、カメラ4は、原稿が排出されるスタッカ2を固定焦点で撮影する。カメラ4は複数あってもよく、カメラ4aは、スタッカ2に排出された原稿を原稿面の上から撮影する。カメラ4bは、スタッカ2を横から撮影し、例えば、排出され、積み重ねられた原稿と、ストッパー3に形成されたマーカー5とが同時に写るように撮影する。
なお、本実施形態において、マーカー5は、ストッパー3に形成されているが、これに限定されず、例えば、
図10に例示するように、スタッカ2に、原稿の各サイズに対応するマーカー5が複数形成されてもよい。A4サイズマーカー5は、A4サイズの原稿の押し出しを検知するための目印であり、B5サイズマーカー5は、B5サイズの原稿の押し出しを検知するための目印である。
【0023】
図2は、画像読取装置1のハードウェア構成を例示する図である。
図2に例示するように、画像読取装置1は、CPU200、揮発性のメモリ202、不揮発性のメモリ204、ネットワークインタフェース206(ネットワークIF206)、及びタッチパネル208を有し、これらの構成はバス212を介して互いに接続している。
CPU200は、例えば、中央演算装置である。
メモリ202は、例えば、揮発性メモリであり、主記憶装置として機能する。
不揮発性メモリ204は、例えば、不揮発性の記憶装置としてコンピュータプログラム(例えば、
図3の異常検知プログラム11)やその他のデータファイルを格納する。
ネットワークIF206は、有線又は無線で通信するためのインタフェースである。
タッチパネル208は、操作画面の一例であり、例えば、液晶タッチパネルである。
【0024】
図3は、画像読取装置1の機能構成を例示する図である。
図3に例示するように、本例の画像読取装置1には、異常検知プログラム11がインストールされる。
異常検知プログラム11は、例えば、CD-ROM等の記録媒体に格納されており、この記録媒体を介して、画像読取装置1にインストールされる。
異常検知プログラム11は、原稿読取部110、撮影部112、原稿搬送部114、移動量測定部116、類似度算出部118、印刷部120、異常検知部122、通知部132、及び搬送制御部134を有する。異常検知部122は、入れ替わり検知部124、マーカー確認部126、ボケ検出部128、及びエッジ検出部130を含む。
なお、異常検知プログラム11の一部又は全部は、ASICなどのハードウェアにより実現されてもよく、また、OS(Operating System)の機能を一部借用して実現されてもよい。
【0025】
異常検知プログラム11において、原稿読取部110は、原稿を読み取り、読み取った原稿の画像データを取得する。
原稿搬送部114は、画像読取処理が行われた原稿をスタッカ2へ排出する。
撮影部112は、原稿搬送部114により原稿が排出される領域を撮影する。具体的には、撮影部112は、カメラ4により、スタッカ2を撮影する。
また、撮影部112は、原稿搬送部114により排出されてくる原稿の移動速度が基準値以下となったタイミングで、原稿が排出される領域を撮影する。具体的には、撮影部112は、移動量測定部116により、排出された原稿が静止したと判定された場合に、スタッカ2を撮影する。
【0026】
移動量測定部116は、原稿搬送部114により排出されてくる原稿の移動速度を計測する。具体的には、移動量測定部116は、カメラ4により撮像した画像と、1フレーム前に撮像した画像とを比較し、移動量測定部116は、比較した画像に、変化がなければ移動量なしと判定する。移動量測定部116は、
図9に例示するように、スタッカ2に、原稿の先端から末端までの排出が完了し、原稿が静止するまでの間、移動量を測定する。
類似度算出部118は、移動量測定部116により静止したと判定された画像と原稿読取部110により読み取った画像との類似度を算出する。具体的には、類似度算出部118は、移動量測定部116により、排出された原稿が静止したと判定された画像と原稿読取部110により読み取られた画像との特徴点のマッチングを行い、類似度を算出する。
印刷部120は、画像読取処理が行われる原稿に対して、識別情報を印刷する。具体的には、印刷部120は、インプリンタにより、数字を原稿に印字する。
【0027】
異常検知部122は、撮影部112により撮影された画像データに基づいて、原稿排出の異常を検知する。
入れ替わり検知部124は、画像読取処理により読み取られた画像データと、撮影部112により撮影された画像データとに基づいて、原稿排出の異常を検知する。具体的には、入れ替わり検知部124は、スタッカ2に積み重なった原稿の順序が入れ替わったことを異常として検知する。より具体的には、類似度算出部118により算出された類似度が既定値より低い場合に、原稿の入れ替わりが発生したと判定する。
また、入れ替わり検知部124は、撮影部112により撮影された画像データに含まれる識別情報に基づいて、原稿排出の異常を検知する。より具体的には、入れ替わり検知部124は、印刷部120により印字された番号の規則性が乱れた場合に、スタッカ2における原稿の入れ替わりが発生したと判定する。
【0028】
マーカー確認部126は、撮影部112により撮影された画像データの中にマーカー5が存在するか否かに基づいて、原稿排出の異常を検知する。具体的には、マーカー確認部126は、スタッカ2に排出され、積み重ねられた原稿がマーカー5を超え、マーカー5が隠れた場合に、原稿の押し出した発生したと判定する。より具体的には、マーカー確認部126は、ユーザにより指定されたマーカー5が隠れた場合に、原稿の押し出しが発生したと判定する。
ボケ検出部128は、撮影部112により撮影された画像データ内のコンテンツのボケ具合に基づいて、原稿排出の異常を検知する。
エッジ検出部130は、撮影部112により撮影された画像データの中から、所定の範囲外に存在するエッジを抽出し、抽出されたエッジに基づいて、原稿排出の異常を検知する。具体的には、エッジ検出部130は、所定の範囲外に存在する90度のエッジを抽出し、エッジ検出部130により抽出された90度のエッジが2つ以上発見された場合に、スタッカ2における原稿の整列性が悪いと判定する。
【0029】
通知部132は、異常検知部122により異常が検知された場合に、異常が検知された旨、又は、連続スキャン中の異常が発生したページの位置をユーザに通知する。
搬送制御部134は、異常検知部122により画像データの中にマーカー5が存在しないと判定された場合に、原稿搬送部114により原稿が排出される速度を低下させる。また、搬送制御部134は、異常検知部122により異常を検知された場合に、原稿搬送部114による原稿の連続搬送を停止させる。
【0030】
図4は、画像読取装置1による原稿の排出異常検知処理(S10)を説明するフローチャートである。
図4に例示するように、ステップ100(S100)において、原稿読取部110は、原稿を読み取る。
ステップ105(S105)において、カメラ4は、スタッカ2を撮影して監視する。
ステップ110(S110)において、入れ替わり検知部124は、原稿読取部110により読み取られた画像データと、カメラ4により撮影された画像データとに基づいて原稿の入れ替わりを検知する。
ステップ115(S115)において、マーカー確認部126は、カメラ4により撮影された画像データにおける、ストッパー3に形成されたマーカー5の有無に基づいて、原稿の押し出しを検知する。
ステップ120(S120)において、ボケ検出部128は、カメラ4により撮影された画像データ内のコンテンツのボケ具合に基づいて、原稿のカールを検知する。
ステップ125(S125)において、エッジ検出部130は、カメラ4に撮影された画像データにおいて、所定の範囲外に存在するエッジに基づいて、原稿の整列性の悪さを検知する。
【0031】
次に、原稿の各排出異常の検知処理を説明する。
図5は、原稿の入れ替わり検知処理(S20)を説明するフローチャートである。
図5に例示するように、ステップ200(S200)において、原稿読取部110は、原稿を読み取る。
ステップ205(S205)において、撮影部112は、カメラ4により、スタッカ2を監視する。
ステップ210(S210)において、印刷部120は、読み取った原稿に、識別情報である番号を印字する。
ステップ215(S215)において、原稿搬送部114は、番号を印字した原稿をスタッカ2へと排出する。
ステップ220(S220)において、移動量測定部116は、カメラ4により撮像した画像と、1フレーム前に撮像した画像とを比較する。
ステップ225(S225)において、移動量測定部116により、比較した画像に変化が無いと判定された場合、すなわち、原稿の移動量が無く、原稿が静止している場合(S225:Yes)に、S230へ移行し、比較した画像に変化があると判定された場合、(S225:No)に、S220へ移行する。
【0032】
ステップ230(S230)において、撮影部112は、カメラ4により、スタッカ2を撮影し、静止した原稿の画像データを取得する。
ステップ235(S235)において、類似度算出部118は、S230において撮影された画像データと、原稿読取部110により読み取られた画像データとの特徴点のマッチングを行い、類似度を算出する。
ステップ240(S240)において、入れ替わり検知部124は、類似度算出部118により算出された類似度が既定値より低い場合(S240:Yes)に、S245へ移行し、類似度算出部118により算出された類似度が既定値より高い場合(S240:No)に、S200へ移行し、原稿の読み取りを継続する。
ステップ245(S245)において、通知部132は、画像読取装置1のタッチパネル208、又は、画像読取装置1を制御するユーザが操作するユーザ端末へ原稿の順序の入れ替わりが発生したこと、及び、入れ替わったと判定された原稿における、印刷部120により印字された番号を通知する。
【0033】
図6は、原稿の押し出し検知処理(S30)を説明するフローチャートである。
図6に例示するように、ステップ300(S300)において、原稿読取部110は、原稿を読み取る。
ステップ305(S305)において、マーカー5の指定済みの場合(S305:Yes)に、原稿の押し出し検知処理(S30)は、S315へ移行し、マーカー5の指定が未だの場合(S305:No)に、S310へ移行する。
ステップ310(S310)において、S300において読み取られた原稿のサイズに応じて、マーカー5の指定を受け付ける。
ステップ315(S315)において、撮影部112は、カメラ4により、スタッカ2のストッパー3を監視する。
【0034】
ステップ320(S320)において、原稿搬送部114は、原稿読取部110により読み取られた原稿をスタッカ2に排出する。
ステップ325(S325)において、カメラ4による撮影画像において、原稿搬送部114により排出された原稿が、ストッパー3のマーカー5を超えたとマーカー確認部126により判定された場合、すなわち、原稿によりマーカー5が隠れた場合(S325:No)に、マーカー確認部126は、原稿の押し出しによるスタック不良が発生したと判定する。また、カメラ4による撮影画像において、原稿搬送部114により排出された原稿が、ストッパー3のマーカー5を超えていないとマーカー確認部126により判定された場合、すなわち、原稿によりマーカー5が隠れていない場合(S325:Yes)に、S300へ移行し、原稿の読み取りを継続する。
ステップ330(S330)において、通知部132は、画像読取装置1のタッチパネル208、又は、画像読取装置1を制御するユーザが操作するユーザ端末へ押し出しによるスタック不良が発生したことを通知し、原稿読取部110は、原稿の読み取りを中止し、搬送制御部134は、原稿搬送部114による原稿の連続搬送を停止させる。
【0035】
図7は、原稿のカール検知処理(S40)を説明するフローチャートである。
図7に例示するように、ステップ400(S400)において、原稿読取部110は、原稿を読み取る。
ステップ405(S405)において、撮影部112は、カメラ4により、スタッカ2を監視する。
ステップ410(S410)において、原稿搬送部114は、原稿読取部110により読み取られた原稿をスタッカ2に排出する。
ステップ415(S415)において、移動量測定部116は、カメラ4により撮像した画像データと、1フレーム前に撮像した画像データとを比較する。
ステップ420(S420)において、移動量測定部116により、比較した画像に変化が無いと判定された場合、すなわち、原稿の移動量が無く、原稿が静止している場合(S420:Yes)に、S425へ移行し、比較した画像に変化があると判定された場合、(S420:No)に、S415へ移行する。
【0036】
ステップ425(S425)において、撮影部112は、カメラ4により、スタッカ2を撮影し、静止した原稿の画像データを取得する。
ステップ430(S430)において、ボケ検出部128は、S425において撮影された画像データのコンテンツがボケているか否かを判定する。カール検知部128により、コンテンツがボケていると判定された場合(S430:Yes)に、S435へ移行し、ボケ検出部128によりコンテンツがボケていないと判定された場合(S430:No)に、S400へ移行し、原稿の読み取りを継続する。
ステップ435(S130)において、通知部132は、画像読取装置1のタッチパネル208、又は、画像読取装置1を制御するユーザが操作するユーザ端末へ原稿のカールが発生したことを通知し、原稿読取部110は、原稿の読み取りを中止し、搬送制御部134は、原稿搬送部114による原稿の連続搬送を停止させる。
【0037】
図8は、原稿の整列性の低下検知処理(S50)を説明するフローチャートである。
図8に例示するように、ステップ500(S500)において、原稿読取部110は、原稿を読み取る。
ステップ505(S505)において、エッジを検出しない所定の範囲を設定済みの場合(S505:Yes)に、原稿の整列性の低下検知処理(S50)は、S515へ移行し、所定の範囲の設定が未だの場合(S505:No)に、S510へ移行する。
ステップ510(S510)において、S500により読み取られた原稿のサイズに応じて、エッジを検出しない所定の範囲の設定を受け付ける。
ステップ515(S515)において、撮影部112は、カメラ4により、スタッカ2に排出された原稿を原稿面の上から撮影する。
【0038】
ステップ520(S520)において、原稿搬送部114は、原稿読取部110により読み取られた原稿をスタッカ2に排出する。
ステップ525(S525)において、エッジ検出部130により、カメラ4による撮影画像において、所定の範囲外に90度のエッジが2つ以上検知された場合に、(S525:Yes)に、エッジ検出部130は、原稿の整列性が悪いと判定し、S530へ移行し、エッジ検知部130により、エッジを2つ以上検知しない場合に(S525:No)に、S500へ移行し、原稿の読み取りを継続する。
ステップ530(S530)において、通知部132は、画像読取装置1のタッチパネル208、又は、画像読取装置1を制御するユーザが操作するユーザ端末へ、原稿の整列性が悪いことを通知し、原稿読取部110は、原稿の読み取りを中止し、搬送制御部134は、原稿搬送部114による原稿の連続搬送を停止させる。
【0039】
以上説明したように、画像読取装置1は、排出されたスタッカ2における原稿を監視することにより、得られた画像データに基づいて、原稿の入れ替わり、押し出し、カール、整列性の悪さを検知し、ユーザに通知する。これにより、画像読取装置1は、排出された原稿の順番を把握すること、及び、排出された原稿の乱れを最低限にし、修正の手間を軽減することを可能にする。
【0040】
[変形例1]
次に、上記実施形態の変形例を説明する。
図5における原稿の入れ替わり検知処理(S20)では、入れ替わり検知部124が、読み取った画像データと、排出された原稿の画像データとの比較に基づいて、原稿の順序の入れ替わりを検知しているが、これに限定されず、例えば、入れ替わり検知部124が、排出された原稿の画像データにおける、印刷部120により印字された番号の規則性が乱れた場合に、スタッカ2において、原稿の入れ替わりが発生したと判定してもよい。
【0041】
[変形例2]
図6における原稿の押し出し検知処理(S30)では、原稿の押し出しを検知した場合に、押し出しによるスタック不良が発生したことを通知し、原稿の読み取りを中止しているが、これに限定されず、例えば、マーカー確認部126により、原稿の押し出しを検知された場合に、搬送制御部134が、原稿搬送部114による原稿の搬送速度を緩めることで、スタッカ2における原稿の乱れを低減させてもよい。
同様に、
図8の原稿の整列性の低下検知処理(S50)においても、整列性の悪化を検知した場合、すなわち、エッジ検出部130により、2つ以上のエッジが検出され、原稿の整列性の低下が検知された場合に、搬送制御部134が、原稿搬送部114による原稿の搬送速度を緩めることで、スタッカ2における原稿の乱れを低減させてもよい。
【0042】
[変形例3]
原稿の押し出しは、
図6における原稿の押し出し検知処理(S30)において、撮影部112により撮影されたストッパー3の画像データ中に、ストッパー3に形成されたマーカー5が存在するか否かに基づいて判定しているが、これに限定されず、例えば、ストッパー3に用紙センサを付け、用紙センサが原稿を検知した場合に、原稿の押し出しが発生したと判定してもよい。
【0043】
[変形例4]
原稿のカールは、
図7における原稿のカール検知処理(S40)において、撮影部112により撮影された、排出された原稿の画像データのボケ具合に基づいて、判定しているが、これに限定されず、例えば、原稿の入れ替わり検知処理(S10)と同様に、原稿読取部110により読み取った画像と、原稿搬送部114により排出された原稿の画像との類似度が既定値以下の場合に、原稿のカールが発生したと判定してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…画像読取装置
2…スタッカ
3…ストッパー
4…カメラ
5…マーカー
11…異常検知プログラム
110…原稿読取部
112…撮影部
114…原稿搬送部
116…移動量測定部
118…類似度算出部
120…印刷部
122…異常検知部
124…入れ替わり検知部
126…マーカー確認部
128…ボケ検出部
130…エッジ検出部
132…通知部
134…搬送制御部