(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163624
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】シェルター扉
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20231102BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20231102BHJP
E06B 5/12 20060101ALI20231102BHJP
E06B 5/18 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
E06B5/00 E
E04H9/14 K
E06B5/12
E06B5/18
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074643
(22)【出願日】2022-04-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196106
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 一直
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
【テーマコード(参考)】
2E139
【Fターム(参考)】
2E139AA23
2E139AB00
2E139AB22
2E139AC19
(57)【要約】
【課題】車椅子を利用する方々が、箕座した状態で容易にシェルターの避難室に避難できるための座部を備えるシェルター扉を提供する。
【解決手段】扉本体10は、走行装置で駆動されることで、内壁120の前面120aに対して垂直に移動して開口部121を開閉するものであり、下端部に座部20が固定されている。座部20は扉本体10の下端部から避難室101の方向に垂直に延びており、前方座部21と後方座部22を有している。後方座部22は扉本体10に固定される。前方座部21はヒンジ23を介して天井に向かって回動できる状態で後方座部22と接続している。扉本体10が内壁120に接触するとき、第1ケースに収容されていた第1ラッチはバネの付勢によって下方に突出して、第1垂直面は内壁120に接触する。同時に、第2ケースに収容されていた第2ラッチはバネの付勢によって上方に突出して、第2垂直面は内壁120に接触する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁に設けられる開口部の全領域を覆うことができる扉本体と、
前記扉本体を、前記内壁に対して垂直な方向に移動させて前記開口部を開閉できる走行装置と、
前記扉本体に取り付けられる座部と、を備え、
前記走行装置を駆動したとき、前記座部に箕座する状態で、前記開口部を経由して避難室に入室できることを特徴とするシェルター扉。
【請求項2】
前記扉本体が前記内壁の前面に接触して前記開口部を閉鎖したとき、前記開口部を開放する方向の移動を制限できるとともに、前記移動の制限を解除できる移動制限装置を備えることを特徴とする請求項1に記載のシェルター扉。
【請求項3】
前記移動制限装置は、前記扉本体の下部に固定される第1ラッチ部と前記扉本体の上部に固定される第2ラッチ部を有し、
前記第1ラッチ部は、下方に突出して前記内壁の後面に接触するとともに、第1レバーの操作によって前記接触を解除できる第1ラッチを有し、
前記第2ラッチ部は、上方に突出して前記内壁の後面に接触するとともに、第2レバーの操作によって前記接触を解除できる第2ラッチを有することを特徴とする請求項2に記載のシェルター扉。
【請求項4】
前記座部は、前方座部と、前記扉本体に接続する後方座部とを有し、前記前方座部と前記後方座部は、前記前方座部が上方に向かって回動できる状態で接続することを特徴とする請求項3に記載のシェルター扉。
【請求項5】
前記走行装置は、前記開口部を介して前記避難室と連通する避難準備室に設置されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のシェルター扉。
【請求項6】
前記走行装置は、前記避難準備室に設けられた天井走行レールと、前記天井走行レールに支持されて、前記扉本体を懸架する天井走行輪と、前記扉本体を支持した状態で床を走行する床走行輪と、を有することを特徴とする請求項5に記載のシェルター扉。
【請求項7】
前記走行装置は、前記扉本体の面内方向および面外方向の不意の変位を制限するためのガイド板を有することを特徴とする請求項6に記載のシェルター扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁に対して垂直の方向に移動する扉本体に座部が取付けられたシェルター扉に関する。
【背景技術】
【0002】
今後の発生が想定されている東海、東南海、南海の三連動地震では、地震発生後わずか5分で30mの津波が襲来する地域も存在することが予測されている。また、海外では、核兵器や、生物・化学兵器の開発による緊張状態が続いており、これらの兵器を使用した軍事攻撃の脅威が高まっている。外部からの弾道ミサイル攻撃があった場合は、上述した三連動地震に起因する津波と同様に、避難するための時間は極めて限られている。これらの自然災害や有事災害から身を守る対策として、身近な場所に設置された核攻撃に対しても耐えうるシェルターへの避難が考えられる。
【0003】
特許文献1では、工期短縮を図り、放射能の防護性能をむしろ高めながら、低価格な核シェルターが提案されている。この核シェルターは、新品や中古のコンテナを使用して、内側を鉄骨で補強し、外側は防水・防錆加工をし、コンパネかアルミ型枠を溶接あるいはボルトナットで一体化している。また出入口並びに防護ドア用出入口、鉛合板を使った軽天内装、空気清浄機およびその通気口、簡易トイレ、発電・蓄電設備等を安全な作業場で取り付けるユニット化あるいはプレハブ化されている。
【0004】
特許文献2では、自然災害に加え、軍事攻撃に対しても安全を確保することができる防災シェルターが提案されている。この防災シェルターは、収容部と、扉部と、接合装置と、換気装置とを備えており、防災シェルターの内部には、有毒物質除去装置が備えられている。収容部は、吸気孔および排気孔が形成され、耐震強化されている。接合装置は、吸気孔に設置され、有毒物質除去装置の取り込み口と接続させるための接続部を有している。通常時には、有毒物質除去装置は、収納ケースに納められ、有事の際に、取り込み口を接合装置に取り付けることにより、吸気孔から外気を吸入して有毒物質を除去する。したがって、耐震シェルターおよび核シェルターの双方の機能を併せ持つことができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-78150号公報
【特許文献2】特開2019-85790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2で開示されているシェルターは、核シェルターとして対応可能なものであることから高い気密性能を具備したものである。そのため、出入口は扉で全体を覆いつくされており床と段差が生じることは避けられないと考えられる。したがって、バリアフリー化を図ることができず車椅子での出入りは困難を極めることが予想される。
【0007】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたものであり、座部を備えるシェルター扉を提供するものである。これにより、車椅子を利用する方々が、箕座した状態で容易にシェルターの避難室に避難できるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための発明は、シェルター扉であって、内壁に設けられる開口部の全領域を覆うことができる扉本体と、扉本体を、内壁に対して垂直な方向に移動させて開口部を開閉できる走行装置と、扉本体に取り付けられる座部と、を備え、走行装置を駆動したとき、座部に箕座する状態で、開口部を経由して避難室に入室できることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、走行装置を駆動したとき、座部に箕座する状態で、開口部を経由して避難室に入室できるので、足の不自由な方々、例えば車椅子を利用して生活している方々も、開口部に必然的に必要となると考えられる段差を乗り越えることなく、自動的に避難室に避難することができる。
【0010】
好ましくは、扉本体が内壁の前面に接触して開口部を閉鎖したとき、開口部を開放する方向の移動を制限できるとともに、移動の制限を解除できる移動制限装置を備えることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、扉本体が内壁の前面に接触して開口部を閉鎖したとき、扉本体の開口部を開放する方向の移動は自動的に制限されるので、開口部の閉鎖後、走行装置が動作しなくなったとしても、扉本体が開口部を閉鎖する状態を維持できる。また、移動の制限を解除することで、開口部を開放できる。
【0012】
好ましくは、移動制限装置は、扉本体の下部に固定される第1ラッチ部と扉本体の上部に固定される第2ラッチ部を有し、第1ラッチ部は、下方に突出して内壁の後面に接触するとともに、第1レバーの操作によって接触を解除できる第1ラッチを有し、第2ラッチ部は、上方に突出して内壁の後面に接触するとともに、第2レバーの操作によって接触を解除できる第2ラッチを有することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、移動制限装置は、第1ラッチと扉本体で開口部の下方に位置する内壁を挟持できる。また、第2ラッチと扉本体で開口部の上方に位置する内壁を挟持できる。これにより、扉本体の移動を確実に制限できる。
【0014】
好ましくは、座部は、前方座部と、扉本体に接続する後方座部とを有し、前方座部と後方座部は、前方座部が上方に向かって回動できる状態で接続することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、座部は、前方座部と、扉本体に接続する後方座部とを有し、前方座部と後方座部は、前方座部が上方に向かって回動できる状態で接続するので、前方座部を上方に向かって回動することで第1レバーの操作が容易となる。
【0016】
好ましくは、走行装置は、開口部を介して避難室と連通する避難準備室に設置されることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、走行装置は避難準備室に設置されるので、外部の環境に影響を受けない、言い換えれば風雨等にさらされることがないことから、経年変化の影響を受けやすいと考えられる走行装置の安定的な維持を図ることができる。
【0018】
好ましくは、走行装置は、避難準備室に設けられた天井走行レールと、天井走行レールに支持されて、扉本体を懸架する天井走行輪と、扉本体を支持した状態で床を走行する床走行輪と、を有することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、扉本体を懸架する天井走行輪と、床を走行する床走行輪が協働して扉本体を走行させるので、扉本体は当初の姿勢を維持した状態で安定して内壁に対して垂直に走行できる。
【0020】
好ましくは、走行装置は、扉本体の面内方向および面外方向の不意の変位を制限するためのガイド板を有することを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、走行装置は、扉本体の面内方向および面外方向の不意の変位を制限するためのガイド板を有するので、走行途中に地震等に起因する不意な横揺れが発生した場合でも、扉本体の安定な走行は維持される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態におけるシェルターの平面断面図である。
【
図5】(a)、(b)は、扉本体が開口部を閉鎖する方向に移動したときの第1ラッチ、第2ラッチの挙動を説明する側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、
図1~5を参照して本発明のシェルター扉の実施形態を詳述する。
【0024】
図1に示す通り、シェルター100は、避難室101、および避難準備室102の2室を有している。これらの2室は、内壁120によって仕切られているとともに、開口部121を介して連通している。外殻103は、床111、側壁112、および天井113で構成されており、側壁112にはシェルター100の内外に出入りするための出入口130が設けられている。出入口130は、外開きの扉である外扉131が装着されている。避難準備室102に設けられる床111の高さは、地面140の高さよりも高く設定されている。地面140と床111の段差を解消するためにスロープSが設けられている。これにより、車椅子を利用する方々も、車椅子に乗車した状態で避難準備室102に容易に入室することができる。
【0025】
避難準備室102は、シェルター扉1が収容されている。シェルター扉1は、内壁120に設けられた開口部121を開閉するためのものである。内壁120に設けられる開口部121の全領域を覆うことができる。
【0026】
扉本体10は、避難準備室102に設けられる走行装置30で駆動されることで、内壁120の前面120aに対して垂直に移動して開口部121を開閉するものであり、下端部に座部20が固定されている。この扉本体10は、内壁120に設けられる開口部121の全領域を覆うことができる。
【0027】
座部20は扉本体10の下端部から避難室101の方向に垂直に延びており、前方座部21と後方座部22を有している。後方座部22は扉本体10に固定される。また、前方座部21はヒンジ23を介して天井113に向かって回動できる状態で後方座部22と接続している。座部20は、箕座したとき少なくともくるぶしまで支持する長さを有することが好ましい。より好ましくは腰から足が全て支持されることである。
【0028】
移動制限装置40は、第1ラッチ部41、および第2ラッチ部42を有している。第1ラッチ部41は、後方座部22の下端と扉本体10の下端部に固定されている。また、第2ラッチ部42は、扉本体10の上端部に固定されており、避難室101の方向に垂直に延びている。第1ラッチ部41、第2ラッチ部42は扉本体10と協働して内壁120を挟持する。
【0029】
本実施形態の外殻103、内壁120、および扉本体10は、コンクリート製である。それぞれの厚さは20~50cmであることが好ましい。より好ましくは、30~50cmである。これにより、シェルター100を所定の放射線遮蔽性能を具備する、いわゆる核シェルターとすることができる。本実施形態では、外殻103、内壁120、および扉本体10をコンクリート製としたが、一方の面または両面を鋼板で覆う構造としてもよい。さらに、鋼板の内部にコンクリートが充填される構造としてもよい。これにより、耐衝撃性能が向上するとともに、耐久性能が向上する。
【0030】
図3に示す通り、扉本体10の下端の中央にガイド板34が装着されている。ガイド板34は床111に設けられた溝111aに沿って移動することで、地震力などの不意の力が扉本体10に作用したとき、扉本体10の面内方向および面外方向の変位を制限できる。具体的には、ガイド板34が溝111aを画定する面に接触することで扉本体10の変位が抑制される。
【0031】
扉本体10の外周部には、パッキン11が環状に装着されている。開口部121が扉本体10によって閉鎖されたとき、パッキン11が扉本体10と内壁120によって圧接されることで、開口部121を封止することができる。扉本体10と内壁120の重なり合う領域は、扉本体10および内壁120の全周に渡って20~50cm確保することが好ましい。より好ましくは、30~50cm確保することである。これにより開口部121近傍の放射線遮蔽性能を、外殻103、扉本体10などの部分と同じ水準にすることができる。
【0032】
走行装置30は、一対の天井走行レール31、31、天井走行輪32、32、および床走行輪33、33を有している。天井走行レール31は、溝部31aを画定するコ字形の部位を有しており、一端は上方に向かって延びて、避難準備室102に設けられる天井113に固定されている。天井走行レール31は内壁120から、出入口130が設けられている側壁112の方向に向かって垂直に延びている。
【0033】
天井走行輪32は、天井モーター32a、天井車輪32bを有している。天井モーター32aは変速機を有しており、天井車輪32bは変速機を介して天井モーター32aに接続している。天井モーター32aは扉本体10の上端面に設けられた調整台35に固定されている。調整台35は、天井走行輪32の設置高さを調整するためのものである。
【0034】
床走行輪33は、床モーター33a、床車輪33bを有している。床モーター33aは変速機を有しており、床車輪33bは変速機を介して床モーター33aに接続している。床モーター33aは扉本体10の下端面に固定されている。
【0035】
天井走行輪32、および床走行輪33を動作すると、天井車輪32bは天井走行レール31に設けられた溝部31aに沿って走行する。また、床車輪33bは天井車輪32bに同期して床111を走行する。これにより、扉本体10は当初の姿勢を保った状態で内壁120に対して垂直に走行する。
【0036】
天井モーター32a、床モーター33aの動力源は、商用電源、バッテリーのいずれであってもよい。
【0037】
図3、4を参照して、第1ラッチ部41、第2ラッチ部42について説明する。
【0038】
第1ラッチ部41は、第1ラッチ51、第1ケース47、第1レバー55を有している。第1ケース47は扉本体10および後方座部22の双方に固定されている。第1ケース47は、第1ラッチ51、および第1レバー55の挙動を制御するために必要なメカニカルな部品を収容するとともに、第1ラッチ51の位置の変化を抑制するためのものである。そのため、所定の剛度を具備している。
【0039】
第1ラッチ51は、内壁120の後面120bと平行となる第1垂直面51aと、第1垂直面51aの先端から前方(内壁120の前面120aから後面120bに向かう方向)に向かって傾斜する第1傾斜面51bを有する。第1ケース47の内部に装着されるバネ(図示略)の付勢力によって下方(床111の方向)に突出しており、上方(天井113の方向)に押し込むことで第1ラッチ51は第1ケース47に収容される。
【0040】
第1レバー55は、扉本体10に対向した状態で、第1ケース47に装着されている。第1レバー55は、第1ラッチ51を第1ケース47に収容する機能を具備している。具体的には、第1レバー55が
図3の実線の位置にあるとき、第1ラッチ51は、第1ケース47内のバネの付勢力によって下方に突出しており、上方に押し込むことで第1ケース47に収容されうる状態となっている。この状態から第1レバー55を
図3の点線で示した位置まで90°回動すると、第1ラッチ51は第1ケース47に収容される。第1レバー55は、点線で示した位置で停止させることができ、これによって、第1ラッチ51を第1ケース47に収容した状態を維持できる。
【0041】
第1ケース47に収容されるメカニカルな部品の構成については、ドアノブとほぼ同じであり、いわゆる一般的構成であることから説明は省略する。
【0042】
本実施形態では、第1レバー55の回動操作が容易となるように、前方座部21が天井113方向に向かって回動できる構成としている。また、第1ラッチ51の個数は2個としているが、1個でもよく、3個以上であってもよい。
【0043】
第2ラッチ部42は、扉本体10の上端部に固定される第2ケース48、第2ラッチ52、および第2レバー56を有している。第2ラッチ部42の構成および挙動は、第1ラッチ部41の構成および挙動とほぼ同じであることから説明は省略する。
【0044】
シェルター扉1を使用した避難手順について説明する。
【0045】
車椅子で避難する被介護者は、介護者とともに出入口130から避難準備室102に入室する。被介護者は、介護者の助けを借りて車椅子から扉本体10に固定されている座部20に箕座する。介護者は被介護者が座部20に箕座したことを確認した後に、車椅子を折り畳んで避難室101に運び込む。その後、走行装置30を動作して扉本体10を避難室101の方向に移動させる。
【0046】
図5(a)に示す通り、第1ケース47、および第2ケース48は内壁120に接触した状態で開口部121を通過する。このとき下方に突出していた第1ラッチ51は第1傾斜面51bが内壁120によって上方に押されて第1ケース47に円滑に収容される。同時に、上方に突出していた第2ラッチ52は第2傾斜面52bが内壁120によって下方に押されて第2ケース48に円滑に収容される。
【0047】
扉本体10はパッキン11が圧縮された状態で内壁120の前面120aに接触する。このとき、
図5(b)に示す通り、第1ケース47に収容されていた第1ラッチ51は第1ケース47に装着されるバネの付勢によって下方に突出して、第1垂直面51aは内壁120の後面120bに接触する。同時に、第2ケース48に収容されていた第2ラッチ52は第2ケース48に装着されるバネの付勢によって上方に突出して、第2垂直面52aは内壁120の後面120bに接触する。この状態で、仮に動力源が電力を供給できない状態となったとしても、扉本体10の移動は拘束されるので、開口部121を閉じた状態が維持される。
【0048】
避難室101からの退出は以下の手順により行う。
【0049】
前方座部21を上方に向かって回動する。これにより、第1レバー55の操作が容易となる。第1レバー55を90°回動して、第1ラッチ51を第1ケース47に収容する。同時に第2レバー56を90°回動して、第2ラッチ52を第2ケース48に収容する。これにより扉本体10の移動の拘束は解かれ、開口部121を開放できる状態となる。
【0050】
介護者は被介護者を座部20に箕座させた後に、走行装置30を動作する。これにより被介護者は、座部20に箕座した状態で、再度、避難準備室102に入室できる。
【0051】
本実施形態は例示であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で改変できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係るシェルター扉を利用することで、車椅子を利用する方々が、バリアフリー化が困難であると考えられる核シェルターに、容易に避難できることから産業用の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0053】
1 :シェルター扉
10 :扉本体
20 :座部
21 :前方座部
22 :後方座部
30 :走行装置
31 :天井走行レール
32 :天井走行輪
33 :床走行輪
40 :移動制限装置
41 :第1ラッチ部
42 :第2ラッチ部
51 :第1ラッチ
52 :第2ラッチ
55 :第1レバー
56 :第2レバー
101 :避難室
102 :避難準備室
120 :内壁
120a :前面
120b :後面
121 :開口部
【手続補正書】
【提出日】2022-07-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁に設けられる開口部の全領域を覆うことができる扉本体と、
前記扉本体を、前記内壁に対して垂直な方向に移動させて前記開口部を開閉できる走行装置と、
前記扉本体に取り付けられる座部と、
前記扉本体が前記内壁の前面に接触して前記開口部を閉鎖したとき、前記開口部を開放する方向の移動を制限できるとともに、前記移動の制限を解除できる移動制限装置と、を備え、
前記移動制限装置は、前記扉本体の下部に固定される第1ラッチ部と前記扉本体の上部に固定される第2ラッチ部を有し、
前記第1ラッチ部は、下方に突出して前記内壁の後面に接触するとともに、第1レバーの操作によって前記接触を解除できる第1ラッチを有し、
前記第2ラッチ部は、上方に突出して前記内壁の後面に接触するとともに、第2レバーの操作によって前記接触を解除できる第2ラッチを有し、
前記走行装置を駆動したとき、前記座部に箕座する状態で、前記開口部を経由して避難室に入室できることを特徴とするシェルター扉。
【請求項2】
前記座部は、前方座部と、前記扉本体に接続する後方座部とを有し、前記前方座部と前記後方座部は、前記前方座部が上方に向かって回動できる状態で接続することを特徴とする請求項1に記載のシェルター扉。
【請求項3】
前記走行装置は、前記開口部を介して前記避難室と連通する避難準備室に設置されることを特徴とする請求項1または2に記載のシェルター扉。
【請求項4】
前記走行装置は、前記避難準備室に設けられた天井走行レールと、前記天井走行レールに支持されて、前記扉本体を懸架する天井走行輪と、前記扉本体を支持した状態で床を走行する床走行輪と、を有することを特徴とする請求項3に記載のシェルター扉。
【請求項5】
前記走行装置は、前記扉本体の面内方向および面外方向の不意の変位を制限するためのガイド板を有することを特徴とする請求項4に記載のシェルター扉。