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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163629
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】テレメータ
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/00 20060101AFI20231102BHJP
   F04D 29/32 20060101ALI20231102BHJP
   G01L 1/00 20060101ALI20231102BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20231102BHJP
   G01H 11/06 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G08C17/00 B
F04D29/32 C
G01L1/00 D
G01H17/00 Z
G01H11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074651
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉永 貴祐
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 領士
【テーマコード(参考)】
2F073
2G064
3H130
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA35
2F073AB06
2F073AB11
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC01
2F073DD06
2F073DE06
2F073EE11
2F073FF01
2F073GG04
2F073GG09
2G064AA11
2G064AB02
2G064BA02
2G064BD02
3H130AA12
3H130AB52
3H130AC01
3H130BA13C
3H130BA90C
3H130BA92C
3H130CB06
3H130DF03X
3H130EB02C
(57)【要約】
【課題】送信電波強度を向上させることができるテレメータを提供する。
【解決手段】テレメータは、回転機械の計測に用いられるテレメータであって、回転機械の回転体に形成された複数の穴部に取り付けられる送信機カプセルと、送信機カプセルに内蔵された送信機と、送信機から送信機カプセル外に引き出され、送信機の出力を発信する送信アンテナと、を備え、送信機カプセルは、有底筒状に形成され、開口部が外側に向くように穴部に挿入されるとともに、送信機を内蔵するカプセル本体と、カプセル本体の軸線方向で開口部側の端部に配置され、カプセル本体よりも軸線の径方向外側に張り出す絶縁性の取付けフランジを有するアンテナ取付け部材と、を有し、送信アンテナは、取付けフランジに、軸線方向から見て軸線の周方向に延びる環状に取り付けられている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械の計測に用いられるテレメータであって、
前記回転機械の回転体に形成された複数の穴部に取り付けられる送信機カプセルと、
前記送信機カプセルに内蔵された送信機と、
前記送信機から前記送信機カプセル外に引き出され、前記送信機の出力を発信する送信アンテナと、
を備え、
前記送信機カプセルは、
有底筒状に形成され、開口部が外側に向くように前記穴部に挿入されるとともに、前記送信機を内蔵するカプセル本体と、
前記カプセル本体の軸線方向で前記開口部側の端部に配置され、前記カプセル本体よりも前記軸線の径方向外側に張り出す絶縁性の取付けフランジを有するアンテナ取付け部材と、
を有し、
前記送信アンテナは、前記取付けフランジに、前記軸線方向から見て前記軸線の周方向に延びる環状に取り付けられている、テレメータ。
【請求項2】
前記送信機カプセルは、
前記カプセル本体に前記アンテナ取付け部材を締結するボルトをさらに有し、
前記アンテナ取付け部材は、前記ボルトが挿通されるカラーを内部に有する、請求項1に記載のテレメータ。
【請求項3】
前記取付けフランジは、前記周方向に間隔を空けて複数形成され、前記送信アンテナを挿通可能なアンテナ用穴部を有する、請求項1または2に記載のテレメータ。
【請求項4】
前記送信アンテナは、複数の前記アンテナ用穴部に挿通されて、前記径方向から見て前記軸線方向に振動するように波縫い状に編み込まれることにより前記アンテナ取付け部材に取り付けられている、請求項3に記載のテレメータ。
【請求項5】
前記送信アンテナは、複数の前記アンテナ用穴部に挿通されて、前記アンテナ取付け部材に巻き付けられながら前記周方向に延びる螺旋状に編み込まれることにより前記アンテナ取付け部材に取り付けられている、請求項3に記載のテレメータ。
【請求項6】
前記送信機カプセルと同様の構成を有し、前記送信機に電力を供給する電源が内蔵される電源カプセルをさらに有する、請求項1または2に記載のテレメータ。
【請求項7】
前記回転機械の静止側に、前記送信アンテナから90mm以上110mm以下の距離だけ離間して配置される受信アンテナをさらに備える、請求項1または2に記載のテレメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テレメータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蒸気タービン等の動翼に発生する振動応力を計測するための回転振動応力測定装置(テレメータ)が開示されている。このテレメータは、回転機械の回転軸の軸線回りに配置される複数のカプセルを備える。複数のカプセルのうち一のカプセル内には、送信機が格納されている。複数のカプセルのうち二のカプセル内には、電源が格納されている。一のカプセルと二のカプセルとは、送信アンテナによって接続されている。送信アンテナは、一方向に凸状の湾曲形状(アーチ状)となるように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-57615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のテレメータでは、カプセルや周囲の部品等の導電体と送信アンテナとの距離が接近して送信電波強度が低下してしまう場合があった。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、送信電波強度を向上させることができるテレメータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係るテレメータは、回転機械の計測に用いられるテレメータであって、前記回転機械の回転体に形成された複数の穴部に取り付けられる送信機カプセルと、前記送信機カプセルに内蔵された送信機と、前記送信機から前記送信機カプセル外に引き出され、前記送信機の出力を発信する送信アンテナと、を備え、前記送信機カプセルは、有底筒状に形成され、開口部が外側に向くように前記穴部に挿入されるとともに、前記送信機を内蔵するカプセル本体と、前記カプセル本体の軸線方向で前記開口部側の端部に配置され、前記カプセル本体よりも前記軸線の径方向外側に張り出す絶縁性の取付けフランジを有するアンテナ取付け部材と、を有し、前記送信アンテナは、前記取付けフランジに、前記軸線方向から見て前記軸線の周方向に延びる環状に取り付けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示のテレメータによれば、送信電波強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係るテレメータの構成を示す全体図である。
図2】本開示の実施形態に係るテレメータの要部拡大図である。
図3】本開示の実施形態に係る送信機及び電源を示す断面図である。
図4】本開示の実施形態に係るカプセルを示す斜視図である。
図5】本開示の実施形態に係るアンテナ取付け部材を示す斜視図である。
図6】本開示の実施形態に係るカプセルを蓋側から見た平面図である。
図7】本開示の実施形態に係るアンテナ取付け部材を示す断面図である。
図8】本開示の実施形態に係る送信アンテナの取り付け方を説明する平面図である。
図9】本開示の実施形態に係る送信アンテナの取り付け方を説明する断面図である。
図10】本開示の実施形態の変形例に係る送信アンテナの取り付け方を説明する平面図である。
図11】本開示の実施形態の変形例に係る送信アンテナの取り付け方を説明する断面図である。
図12】本開示の実施形態に係る送信機カプセル周辺の送信電波強度が所定の値以上となる範囲を示すコンター図である。
図13】送信アンテナがアーチ状に形成された比較例に係る送信機カプセル周辺の送信電波強度が所定の値以上となる範囲を示すコンター図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(テレメータの構成)
以下、本実施形態に係るテレメータ100について、図1から図9を参照して説明する。
図1は、テレメータ100が設けられた蒸気タービン(回転機械、図示せず)のロータ1(回転体)を示している。ロータ1の半径位置には、周方向に並んで複数のバランスホール2(穴部)が形成されている。バランスホール2は、断面略円形であり、ロータ1の軸線方向に沿って延在している。本実施形態のバランスホール2は、内周面にネジ溝が切られたネジ穴21である。複数のバランスホール2は、ロータ1の軸線回りに円環状に配列されている。また、ロータ1は、外周部に複数の動翼3を有する。複数の動翼3は、ロータ1の周方向に並んでいる。図1では、簡便のため、本開示によるテレメータ100が設けられた6つの動翼3のみ図示されている。テレメータ100は、各動翼3に設けられている。図2は、本実施形態のテレメータ100の構成を拡大して示す図である。以下では、1つの動翼3のためのテレメータ100を例にとって説明する。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係るテレメータ100は、蒸気タービンの計測に用いられる。具体的には、テレメータ100は、非接触で各動翼3にかかる振動応力を測定する。図1から図3に示すように、テレメータ100は、複数のセンサ部4と、複数のセンサ部用リード線5と、カプセル6と、送信機7と、送信アンテナ8と、電源9と、電源用リード線10と、電源ON/OFF用端子板11と、受信機12と、受信アンテナ13と、を備える。
【0011】
(センサ部)
複数のセンサ部4は、蒸気タービンの同一の動翼3上の複数の位置にそれぞれ貼設されている。本実施形態では、センサ部4は、動翼3にかかる振動応力を計測するための歪ゲージ41である。センサ部4は、例として3つの歪ゲージ41が動翼3に対して使用される。歪ゲージ41は、6つの動翼3それぞれにおいて同じ位置に貼設されている。
【0012】
(センサ部用リード線)
センサ部用リード線5は、センサ部4からロータ1の径方向内側に延びている。本実施形態では、各動翼3に歪ゲージ41が3つ設けられているので、センサ部用リード線5は各動翼3に対して3本使用される。3本のセンサ部用リード線5は、一部を除いて互いに螺旋状に撚り合わせられて一本のリード線を形成している。なお、個々のセンサ部用リード線5は、外装によって被覆されている。センサ部用リード線5は、接着剤により適切な箇所でロータ1及び動翼3に貼付されてロータ1及び動翼3に固定されている。
【0013】
(カプセル)
カプセル6は、バランスホール2に取り付けられている。カプセル6は、送信機7が内蔵される送信機カプセル6aと、電源9が内蔵される電源カプセル6bと、を含む。電源カプセル6bは、送信機カプセル6aと同様の構成を有する。このため、以下では、送信機カプセル6aと電源カプセル6bとを区別せずに、単にカプセル6として構成を説明する。
【0014】
本実施形態では、送信機カプセル6aと電源カプセル6bとは、センサ部4が設けられた動翼3毎にそれぞれ1つずつ設けられている。送信機カプセル6a及び電源カプセル6bは、センサ部4が設けられた動翼3に対してロータ1の径方向内側に位置するバランスホール2に取り付けられている。送信機カプセル6aが配置されるバランスホール2と、電源カプセル6bが配置されるバランスホール2とは、ロータ1の周方向で互いに隣り合っている。送信機カプセル6a及び電源カプセル6bが取り付けられるバランスホール2の位置は、ロータ1が全体としてバランスをとることを考慮して適宜選択される。
【0015】
図3から図7に示すように、カプセル6は、カプセル本体60と、アンテナ取付け部材70と、蓋80と、ボルト81と、ワッシャ82と、を有する。
カプセル本体60は、金属材料により形成されている。カプセル本体60は、有底筒状に形成されている。本実施形態では、カプセル本体60は、円筒形状に形成されている。カプセル本体60は、開口部61が外側を向くようにバランスホール2に挿入されている。送信機カプセル6aのカプセル本体60は、送信機7を内蔵する。電源カプセル6bのカプセル本体60は、電源9を内蔵する。
【0016】
以下、カプセル本体60の軸線Oを単に「軸線O」と称し、カプセル本体60の軸線Oについての径方向を単に「径方向」と称し、カプセル本体60の軸線Oについての周方向を単に「周方向」と称して説明する場合がある。
【0017】
カプセル本体60は、円筒部62と、カプセルフランジ63と、嵌め込み壁部64と、を有する。
円筒部62は、軸線O方向に延びる有底円筒状に形成されている。円筒部62の開口部65は、外側に向けて開口している。円筒部62は、カプセル本体60のうちバランスホール2内に挿入される部分である。円筒部62の外周面には、ネジ部66が形成されている。ネジ部66は、バランスホール2の内周面に形成されたネジ溝(図示せず)にねじ込まれる。これにより、カプセル本体60は、バランスホール2に締結固定される。送信機カプセル6aの場合、円筒部62には送信機7が内蔵され、電源カプセル6bの場合、円筒部62には電源9が内蔵される。カプセルフランジ63は、ロータ1の外周面に当接している。
【0018】
カプセルフランジ63は、軸線O方向で円筒部62の開口部65側の端部に設けられている。カプセルフランジ63は、円筒部62の外周面から径方向に向かって張り出している。カプセルフランジ63は、軸線O方向から見て円環状に形成されている。
【0019】
カプセルフランジ63には、複数の締結孔67が形成されている。複数の締結孔67は、周方向に等間隔に形成されている。本実施形態では、カプセルフランジ63に6つの締結孔67が形成されている。締結孔67は、軸線O方向にカプセルフランジ63を貫通している。
【0020】
また、カプセルフランジ63には、センサ部用リード線5や、後述する送信アンテナ8、及び電源用リード線10が挿通される貫通孔68が形成されている。貫通孔68は、カプセルフランジ63を径方向に貫通している。貫通孔68は、締結孔67を避けるように形成されている。なお、貫通孔68は、送信機カプセル6aだけでなく電源カプセル6bにも形成されている。貫通孔68は、複数形成され、少なくともセンサ部用リード線5用の貫通孔68と、送信アンテナ8用の貫通孔68と、電源用リード線10の貫通孔68の3つが形成されている。
【0021】
嵌め込み壁部64は、カプセルフランジ63の外周縁に沿って、円環状に形成されている。嵌め込み壁部64は、カプセルフランジ63から軸線O方向でカプセル本体60とは反対側に立ち上がるように形成されている。
【0022】
(アンテナ取付け部材)
アンテナ取付け部材70は、カプセル本体60の軸線O方向で開口部61側の端部に配置されている。アンテナ取付け部材70は、取付け部材本体71と、カラー72と、取付けフランジ73と、を有する。
【0023】
取付け部材本体71は、樹脂材料により形成されている。取付け部材本体71は、絶縁性を有する。取付け部材本体71は、円板状に形成されている。取付け部材本体71の板厚方向は、軸線O方向に一致している。取付け部材本体71の軸線O方向でカプセル本体60部側の端部は、嵌め込み壁部64に嵌め込まれている。
【0024】
取付け部材本体71の内部には、複数のカラー72が埋め込み形成されている。複数のカラー72は、周方向に等間隔に設けられている。本実施形態では、カラー72は、6つ設けられている。カラー72は、軸線O方向に延びる円筒状に形成されている。カラー72の軸線O方向両端部は、それぞれ開口している。カラー72は、取付け部材本体71を軸線O方向に貫通するように設けられている。カラー72は、金属材料により形成されている。カラー72には、後述するボルト81が挿通される。
【0025】
また、取付け部材本体71の軸線O方向でカプセル本体60部とは反対側の端部には、取付けフランジ73が設けられている。取付けフランジ73は、カプセル本体60部よりも径方向外側に張り出している。取付けフランジ73は、軸線O方向から見て、周方向に延びる円環状に形成されている。取付けフランジ73は、取付け部材本体71と同様の樹脂材料によりカプセル本体60部と一体形成されている。このため、取付けフランジ73は、取付け部材本体71と同様に絶縁性を有する。取付けフランジ73は、後述する送信アンテナ8を挿通可能なアンテナ用穴部74を有する。
【0026】
アンテナ用穴部74は、周方向に間隔を空けて複数形成されている。本実施形態では、複数のアンテナ用穴部74は、周方向で等間隔に配置されている。なお、アンテナ用穴部74は、送信機カプセル6aだけでなく電源カプセル6bにも形成されている。ただし、電源カプセル6bに形成されたアンテナ用穴部74には、送信アンテナ8が挿通されることはない。
【0027】
(蓋)
蓋80は、カプセル本体60とともにアンテナ取付け部材70を軸線O方向から挟み込んでいる。蓋80は、金属材料により形成されている。蓋80は円板状に形成されている。蓋80の中心線は、軸線Oと一致している。蓋80の外径は、取付フランジの外径よりも小さい。蓋80は、アンテナ取付け部材70に重ね合わされている。蓋80には、ボルト81が挿通される複数の挿通孔83が設けられている。複数の挿通孔83は、周方向で等間隔に形成されている。本実施形態では、挿通孔83は、蓋80に複数形成されている。各挿通孔83は、カラー72と締結孔67と軸線O方向で重なる位置に設けられている。
【0028】
(ボルト)
ボルト81は、蓋80の挿通孔83、アンテナ取付け部材70のカラー72、及びカプセル本体60の締結孔67に、軸線O方向で蓋80側から挿通されている。ボルト81の先端部は、カプセル本体60の締結孔67と締結される。このようにして、ボルト81は、カプセル本体60にアンテナ取付け部材70を締結する。ボルト81は、金属材料により形成されている。
【0029】
(ワッシャ)
ワッシャ82は、ボルト81の頭部と、蓋80との間に配置されている。ワッシャ82は、金属材料により形成されている。ワッシャ82は、ボルト81の滑り止めのために設けられている。
【0030】
(送信機)
送信機7は、送信機カプセル6aに内蔵されている。また、送信機7は、センサ部用リード線5を介して、歪ゲージ41と電気的に接続されている。本実施形態の送信機7は、3チャンネル送信機であり、歪ゲージ41によって測定されたデータを3つの異なる周波数で、後述する受信機12に送信するように構成されている。
【0031】
(送信アンテナ)
送信アンテナ8は、送信機7から、貫通孔68を通って送信機カプセル6a外に引き出されている。送信アンテナ8は、送信機7から出力を外部に発信するように構成されている。図8図9に示すように、送信アンテナ8のうち送信機カプセル6a外に引き出された部分は、アンテナ取付け部材70に、軸線O方向から見て周方向に延びる環状に取付けられている。本実施形態では、送信アンテナ8は、円環状に取り付けられている。
【0032】
本実施形態では、送信アンテナ8は、複数のアンテナ用穴部74に挿通されている。送信アンテナ8は、径方向外側から見て軸線O方向に振動するように波縫い状に編み込まれることによりアンテナ取付け部材70に取り付けられている。送信アンテナ8は、取付けフランジ73の全周にわたって取り付けられている。送信アンテナ8の送信機7とは反対側の端部は、アンテナ取付け部材70に固定されている。送信アンテナ8は、接着剤によって送信機カプセル6a外から被覆されている。送信アンテナ8を被覆する接着剤は、例えばエポキシ製接着剤である。このようにして、送信アンテナ8は送信機カプセル6aと一体化されている。
【0033】
(電源)
図3に示すように、電源9は、電源カプセル6bに内蔵されている。電源9は、送信機7に電力を供給する。本実施形態の電源9は、バッテリー91である。
【0034】
(電源用リード線)
図2に示すように、電源用リード線10は、電源9と送信機7とを接続し、電源9の電力を送信機7に供給可能に構成されている。電源用リード線10は、カプセル本体60の貫通孔68に挿通されてカプセル6外に引き出される。電源用リード線10は、ロータ1の外面に配設されている。ロータ1の外面に配設された電源用リード線10は、接着剤によって被覆される。また、電源用リード線10は、電源9と電源ON/OFF用端子板11とを接続している。
【0035】
(電源ON/OFF用端子板)
電源ON/OFF用端子板11は、電源9からの給電状態を切り換えるスイッチとして機能する。電源ON/OFF用端子板11は、ロータ1上の任意の位置に設けることができる。この電源ON/OFF用端子板11により、非計測時等、電力を必要としない場合には電源9をOFFとして節電を図ることができる。
【0036】
(受信機)
受信機12は、この蒸気タービンのための運転制御室内に配置されている。受信機12は、送信機7からの送信データを受信する。
【0037】
(受信アンテナ)
図3に示すように、受信アンテナ13は、蒸気タービンの静止側に設けられている。受信アンテナ13は、円弧状に形成された銅管である。受信アンテナ13は、複数のバランスホール2とロータ1の軸線方向に対向するように配置されている。受信アンテナ13は、静止側に架台等を用いて設置されている。受信アンテナ13は、送信アンテナ8からの送信データを受信機12に受信するように構成されている。受信アンテナ13は、送信アンテナ8から100mm前後の距離だけ離間している。本実施形態では、受信アンテナ13は、送信アンテナ8から例えば90mm以上110mm以下の距離だけ離間して配置されている。受信アンテナ13と送信アンテナ8との距離は、100mm未満であることが好ましい。
【0038】
動翼3の振動応力を計測する際には、ロータ1を回転させる。ロータ1が回転すると、動翼3上に配置された歪ゲージ41が、動翼3にかかる応力に応じた電流を発生する。そして、計測された電流値データは、センサ部用リード線5を介して送信機7に伝送され、送信機7から送信アンテナ8へ、送信アンテナ8から受信アンテナ13へ、そして受信アンテナ13から受信機12へ伝送される。本実施形態では、動翼3に3つの歪ゲージ41が設けられているので、3つのデータが送信機7から受信機12に伝送される。
【0039】
(テレメータの設置手順)
続いて、本実施形態に係るテレメータ100の設置手順について簡単に説明する。
まず、送信機カプセル6aに送信機7を内蔵し、電源カプセル6bに電源9を内蔵する。その後、送信機カプセル6aと電源カプセル6bとを隣り合うバランスホール2に取り付ける。続いて、電源9から電源用リード線10を延ばして、ロータ1の表面に配線する。さらに、電源用リード線10を送信機カプセル6aに挿入して、送信機7に接続する。その後、バランスホール2対向するように受信アンテナ13を設置する。この際、送信アンテナ8と受信アンテナ13との間隔を、安全性を考慮して受信電波と定在波との利得差を20dB以上確保できる最も遠い距離(目安として100mm前後)に設定する。
【0040】
(作用効果)
本実施形態のテレメータ100は、送信機カプセル6aと、送信機カプセル6aに内蔵された送信機7と、送信機7から送信機カプセル6a外に引き出され、送信機7の出力を発信する送信アンテナ8と、を備える。送信機カプセル6aは、カプセル本体60よりも軸線Oの径方向外側に張り出す絶縁性の取付けフランジ73を有するアンテナ取付け部材70を有する。送信アンテナ8は、取付けフランジ73に、軸線O方向から見て軸線Oの周方向に延びる環状に取り付けられている。
【0041】
これにより、送信機カプセル6aや周囲の部品等の導電体と送信アンテナ8との距離が所定の距離だけ確保される。さらに、送信アンテナ8は環状に取り付けられているため、受信アンテナ13と送信アンテナ8との物理的距離を均一化して、送信アンテナ8を密度高く配置できる。このため、本実施形態のテレメータ100によれば、送信電波強度を向上させることができる。これにより、送信アンテナ8と受信アンテナ13との距離を拡げることが可能となる。このため、アンテナが損傷する可能性が低減し、安全性が向上する。さらに、送信電波強度が向上されるため、計測準備作業の省力化につながる。
【0042】
本実施形態では、取付けフランジ73は、軸線O方向から見て、周方向に延びる円環状に形成されている。このため、取付けフランジ73が棒状や多角形枠状に形成される場合と比較して送信アンテナ8を容易に取り付けることができる。
【0043】
本実施形態では、送信機カプセル6aは、カプセル本体60にアンテナ取付け部材70を締結するボルト81を有する。さらに、アンテナ取付け部材70は、ボルト81が挿通されるカラー72を内部に有する。
【0044】
これにより、アンテナ取付け部材70は、締結によってカプセル本体60に強固に取り付けられる。さらに、ボルト81は、アンテナ取付け部材70の内部に設けられたカラー72に挿通される。これにより、ボルト81からの外力によってアンテナ取付け部材70が変形することが抑制され、ボルト81の軸力が維持される。これにより、ボルト81が抜けにくくなり、アンテナ取付け部材70の固定がより強固にとなる。
【0045】
本実施形態では、取付けフランジ73は、周方向に間隔を空けて複数形成され、送信アンテナ8を挿通可能なアンテナ用穴部74を有する。
【0046】
これにより、アンテナ用穴部74に送信アンテナ8を挿通させることにより、アンテナ取付け部材70に送信アンテナ8を取り付けることができる。従来のアーチ状に形成されたアンテナの場合、アーチの向きを間違えて取り付けるとロータの回転中にアンテナが損傷、飛散して蒸気タービンを傷つけるリスクがあったが、本実施形態のように、アンテナ取付け部材70に送信アンテナ8を取り付ける方式では、送信アンテナ8の取り付けを強固にすることができる。このため、送信アンテナ8が損傷する可能性がより一層低減され、安全性がより一層向上する。
【0047】
本実施形態では、送信アンテナ8は、複数のアンテナ用穴部74に挿通されて、径方向から見て軸線O方向に振動するように波縫い状に編み込まれることによりアンテナ取付け部材70に取り付けられている。
【0048】
これにより、送信機カプセル6aに対して周方向に規則的に送信アンテナ8を取り付けることができる。さらに、送信アンテナ8の長さを比較的短めに設定することができる。
【0049】
なお、図10図11に示すように、送信アンテナ8は、複数のアンテナ用穴部74に挿通されて、アンテナ取付け部材70に巻き付けられながら周方向に延びる螺旋状に編み込まれることによりアンテナ取付け部材70に取り付けられていてもよい。この場合も、送信アンテナ8は、取付けフランジ73の全周にわたって取り付けられている。
【0050】
この場合、送信機カプセル6aに対して周方向に規則的に送信アンテナ8を取り付けることができる。さらに、送信アンテナ8の長さを比較的長めに設定することができる。
送信アンテナ8の取付け方を波縫い状にするか螺旋状にするかは、適宜選択可能である。また、状況に応じて波縫い状や螺旋状以外の送信アンテナ8の取り付け方を採用してもよい。
【0051】
なお、送信電波には、送信周波数に応じた固有長さが存在する。送信電波強度を向上させる上で、送信アンテナ8の全体長(リード線長さ)は、この固有長さの1倍、1/2倍、または1/4倍であることが好ましい。
【0052】
本実施形態では、送信機カプセル6aと同様の構成を有し、送信機7に電力を供給する電源9が内蔵される電源カプセル6bをさらに有する。
【0053】
これにより、送信機カプセル6aの重量と電源カプセル6bの重量が等しくなる。このため、回転体のうち、送信機7が配置される箇所と電源9が配置される箇所とで、重量差が生じにくくなる。これにより、ロータ1が全体としてバランスを取り易くなる。
【0054】
本実施形態では、回転機械の静止側に、送信アンテナ8から90mm以上110mm以下の距離だけ離間して配置される受信アンテナ13をさらに備えてもよい。
【0055】
これにより、送信アンテナ8と受信アンテナ13との距離を所定の距離だけ確保しつつ、受信電波と定在波との利得差20dB以上を確保することができる。したがって、本実施形態のテレメータ100は、安全性を保ちつつ、送信電波強度を向上させることができる。
【0056】
続いて、本実施形態のテレメータ100による送信電波強度の向上について、比較例との対比を用いて説明する。
比較例では、送信アンテナ8が、送信機カプセル6aと電源カプセル6bとを接続し、一方向に凸状の湾曲形状(アーチ状)となるように配置されている。
【0057】
図12図13に示すように、本実施形態では、比較例として用いた送信アンテナ8がアーチ状に形成される従来品よりも、送信電波強度が所定の値以上となる範囲が拡大している。この結果は、本実施形態では、送信アンテナ8がアーチ状に形成される従来品よりも送信電波強度が向上されることを示す。
【0058】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態ではテレメータ100が設けられる回転機械として、蒸気タービンを例に挙げて説明したが、これに限るものではない。テレメータ100は、例えばガスタービン等の大型回転機械に設けられていてもよい。
【0059】
なお、上記実施形態ではテレメータ100が非接触で振動応力を測定する場合について説明したが、これに限るものではない。テレメータ100は、温度を計測するために用いられてもよい。
【0060】
なお、上記実施形態では各動翼3にセンサ部4が複数設けられ、複数のセンサ部4が複数のセンサ部用リード線5によって1つの送信機7に接続されるとしたが、これに限るものではない。例えば、各動翼3にはセンサ部4が1つ設けられて、1つのセンサ部4が1本のセンサ部用リード線5によって1つの送信機7に接続されていてもよい。
【0061】
なお、上記実施形態では取付け部材本体71及び取付けフランジ73は、樹脂材料により形成されているとしたが、これに限るものではない。取付け部材本体71及び取付けフランジ73は、樹脂材料以外の絶縁材料で形成されていてもよい。
【0062】
<付記>
各実施形態に記載のテレメータ100は、例えば以下のように把握される。
【0063】
(1)第1の態様のテレメータ100は、回転機械の計測に用いられるテレメータ100であって、前記回転機械の回転体に形成された複数の穴部に取り付けられる送信機カプセル6aと、前記送信機カプセル6aに内蔵された送信機7と、前記送信機7から前記送信機カプセル6a外に引き出され、前記送信機7の出力を発信する送信アンテナ8と、を備え、前記送信機カプセル6aは、有底筒状に形成され、開口部61が外側に向くように前記穴部に挿入されるとともに、前記送信機7を内蔵するカプセル本体60と、前記カプセル本体60の軸線O方向で前記開口部61側の端部に配置され、前記カプセル本体60よりも前記軸線Oの径方向外側に張り出す絶縁性の取付けフランジ73を有するアンテナ取付け部材70と、を有し、前記送信アンテナ8は、前記取付けフランジ73に、前記軸線O方向から見て前記軸線Oの周方向に延びる環状に取り付けられている。
回転機械の例としては、上述した蒸気タービンやガスタービン等が挙げられる。回転体の例としては、蒸気タービンのロータ1等が挙げられる。
【0064】
これにより、送信機カプセル6aや周囲の部品等の導電体と送信アンテナ8との距離が所定の距離だけ確保される。さらに、送信アンテナ8は環状に取り付けられているため、送信電波の受信先と送信アンテナ8との物理的距離を均一化して、送信アンテナ8を密度高く配置できる。
【0065】
(2)第2の態様のテレメータ100は、(1)のテレメータ100であって、前記送信機カプセル6aは、前記カプセル本体60に前記アンテナ取付け部材70を締結するボルト81をさらに有し、前記アンテナ取付け部材70は、前記ボルト81が挿通されるカラー72を内部に有してもよい。
【0066】
これにより、アンテナ取付け部材70は、締結によってカプセル本体60に強固に取り付けられる。さらに、ボルト81は、アンテナ取付け部材70の内部に設けられたカラー72に挿通される。これにより、ボルト81からの外力によってアンテナ取付け部材70が変形することが抑制され、ボルト81の軸力が維持される。
【0067】
(3)第3の態様のテレメータ100は、(1)又は(2)のテレメータ100であって、前記取付けフランジ73は、前記周方向に間隔を空けて複数形成され、前記送信アンテナ8を挿通可能なアンテナ用穴部74を有してもよい。
【0068】
これにより、アンテナ用穴部74に送信アンテナ8を挿通させることにより、アンテナ取付け部材70に送信アンテナ8を取り付けることができる。
【0069】
(4)第4の態様のテレメータ100は、(3)のテレメータ100であって、前記送信アンテナ8は、複数の前記アンテナ用穴部74に挿通されて、前記径方向から見て前記軸線O方向に振動するように波縫い状に編み込まれることにより前記アンテナ取付け部材70に取り付けられていてもよい。
【0070】
これにより、送信機カプセル6aに対して周方向に規則的に送信アンテナ8を取り付けることができる。さらに、送信アンテナ8の長さを比較的短くすることができる。
【0071】
(5)第5の態様のテレメータ100は、(3)のテレメータ100であって、前記送信アンテナ8は、複数の前記アンテナ用穴部74に挿通されて、前記アンテナ取付け部材70に巻き付けられながら前記周方向に延びる螺旋状に編み込まれることにより前記アンテナ取付け部材70に取り付けられていてもよい。
【0072】
これにより、送信機カプセル6aに対して周方向に規則的に送信アンテナ8を取り付けることができる。さらに、送信アンテナ8の長さを比較的長くすることができる。
【0073】
(6)第6の態様のテレメータ100は、(1)から(5)のいずれかのテレメータ100であって、前記送信機カプセル6aと同様の構成を有し、前記送信機7に電力を供給する電源9が内蔵される電源カプセル6bをさらに有してもよい。
【0074】
これにより、送信機カプセル6aの重量と電源カプセル6bの重量が等しくなる。このため、回転体のうち、送信機7が配置される箇所と電源9が配置される箇所とで、重量差が生じにくくなる。
【0075】
(7)第7の態様のテレメータ100は、(1)から(6)のいずれかのテレメータ100であって、前記回転機械の静止側に、前記送信アンテナ8から90mm以上110mm以下の距離だけ離間して配置される受信アンテナ13をさらに備えてもよい。
【0076】
これにより、送信アンテナ8と受信アンテナ13との距離を所定の距離だけ確保しつつ、受信電波と定在波との利得差20dB以上を確保することができる。
【符号の説明】
【0077】
1…ロータ 2…バランスホール 21…ネジ穴 3…動翼 4…センサ部 41…歪ゲージ 5…センサ部用リード線 6…カプセル 6a…送信機カプセル 6b…電源カプセル 60…カプセル本体 61…開口部 62…円筒部 63…カプセルフランジ 64…嵌め込み壁部 65…開口部 66…ネジ部 67…締結孔 68…貫通孔 70…アンテナ取付け部材 71…取付け部材本体 72…カラー 73…取付けフランジ 74…アンテナ用穴部 80…蓋 81…ボルト 82…ワッシャ 83…挿通孔 7…送信機 8…送信アンテナ 9…電源 91…バッテリー 10…電源用リード線 11…電源ON/OFF用端子板 12…受信機 13…受信アンテナ 100…テレメータ O…軸線
図1
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図13