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  • 特開-デリバリーパック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163642
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】デリバリーパック
(51)【国際特許分類】
   B65D 27/00 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
B65D27/00 G
B65D27/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074677
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】390027203
【氏名又は名称】株式会社中川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一色 哲也
(57)【要約】      (修正有)
【課題】配送品に貼り付けられて配送に供されるデリバリーパックにおいて、配送途中で封入した書類の抜き取りがしにくく、荷物の受取人が簡易な操作で封入した書類を取り出せるようにする。
【解決手段】表側シート2と中間シート3をその全周の縁部に沿って帯状に設けられた疑似接着剤層5を介して接着し、両シートの対向内面間に周囲が閉鎖した袋状領域を設ける。中間シート3の下面に粘着剤層を設け、これに裏側シート4を重ねて保護するとともに、裏側シート4の面内に、裏側シート4の下面から袋状領域に面する中間シート3の上面に至る深さのスリット8を設ける。スリット8から書類を差し入れて袋状領域に収納し、荷物に貼り付けて配送に供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を配送する際に書類を収納して配送荷物に貼り付けられる袋体からなるデリバリーパックにおいて、
上下に重ねた表側シートと中間シートがその全周が互いの縁部に沿って帯状に設けられた疑似接着剤層を介して接着されて、当該疑似接着剤層よりも内側の前記両シートの対向内面間に周囲が閉鎖した袋状領域が設けられ、
前記中間シートの下面には粘着剤層が設けられ、粘着剤層は裏側シートが重ねられて保護されているとともに、この裏側シートの面内に、当該裏側シート下面から前記袋状領域に面する中間シート上面に至る深さのスリットが設けられた構成を有することを特徴とするデリバリーパック。
【請求項2】
表側シートと中間シートをその全周を疑似接着剤層で接着するのに代えて、前記両シートの周辺の一部が互いの縁部に沿って帯状に設けられた接着剤層で接着され、他の周辺が互いの縁部に沿って帯状に設けられた疑似接着剤層で接着された構成を有する請求項1に記載のデリバリーパック。
【請求項3】
表側シートと中間シートが耐水紙により形成されてなる請求項1又は2に記載のデリバリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を配送する際に、荷物の明細票や納品書、領収書その他の伝票類などの荷物配送に関わる書類が収納され、配送品に貼り付けられて配送に供されるデリバリーパックに関する。
【背景技術】
【0002】
荷物の配送にあたり、物品を梱包した後にその物品の明細票や納品書などの書類を荷物とともに配送する場合、袋体からなるデリバリーパックに書類を収納し、これを荷物の外側に貼り付けて配送に供するのが一般的である。
【0003】
従来のデリバリーパックとして、例えばポリエチレンなどの合成樹脂製のシート材を重ね合わせて形成された袋体の下側シートに粘着剤層を設けるとともに袋体内に書類を収納するための切れ目を形成し、袋体の上側シートにはミシン目などの破断線を設けておき、書類を収納した袋体を荷物に貼り付けて配送に供し、荷物の受取人が荷物を受領したならば、前記破断線に沿って上側シートを破断して袋体を開封し、開封口から袋体に収納された書類を取り出せるようにした構成のものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、同じくポリエチレンなどの合成樹脂製のシート材を重ね合わせて袋体を形成し、この袋体の裏面側に接着剤層を設けるとともに、袋体の表面側に袋体を開閉する手段であるチャック部を設け、チャック部を操作して書類を収納した袋体を荷物に貼り付けて配送に供し、荷物の受取人は前記チャック部を操作して袋体を開き、袋体内に収納された書類を取り出せるようにした構成のものが知られている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
また、長方形の合成樹脂製シートの長手方向の一方の側を適宜な幅で裏側へ折り返し、折り返した部分の両側縁をシートの下面両側縁に接合して内向きに開口したポケット部となし、このポケット部の下面と当該シートの他方の側の上面部分に粘着剤層を設けてそれぞれ剥離紙で覆い、荷物とともに発送する書類の一端部を前記ポケット部に差し入れるとともに前記上面部分に粘着剤層が設けられたシートの他方の側を裏側へ折り返してシートの下面との間で書類の他端部を挟み込み、且つ、この裏側へ折り返した側とポケット部の下面とをそれぞれ剥離紙を剥離して荷物に貼り付けることでシートの下側に書類を保持して配送に供するように構成されたデリバリーパックが知られている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3137588号公報
【特許文献2】実用新案登録第3130324号公報
【特許文献3】特開2017-24283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
配送される荷物は配送車両内で複数列に並べ、且つ多段に重ねて積載され、配送中に上下に重ねた荷物同士や左右に隣接した荷物同士が擦れ合うことも多い。デリバリーパックは、荷物同士が擦れても荷物の表面から取り外れないように、その接着剤層や粘着剤層が設けられた下側の面を荷物の上面や側面に貼り付け、荷物の表面と面一となるようにぴったりと重ねて固着される。
前記引用文献1に記載のデリバリーパックは、上側シートに設けられた破断線に沿って上側シートを破断することで袋体を開封することができるが、前記のように荷物の表面にデリバリーパックがぴったりと固着している状態では、破断線に沿って袋体を開封しても開封口を広げることができないため、袋体に収納された書類を取り出しにくくい。書類を直ぐに取り出すには、前記開封口から袋体内に指を押し込んで上側シートを引き裂く必要があり、書類の取り出し操作に手間を要するという問題がある。
【0008】
また、前記引用文献2に記載のデリバリーパックも、袋体を開閉するチャック部を備えているが、荷物の表面に袋体がぴったりと重ねって固着されている状態では、チャック部を開いても袋体の中から書類を取り出す操作がしにくいことは前記と同様である。また、このデリバリーパックは、チャック部で袋体が開閉可能なため、荷物の配送途中で袋体内の書類が抜き取られる虞がある。配送途中で第三者がチャック部を開けて書類を抜き取った場合に、チャック部の破損は生じていないため、配送荷物の受取人は書類が封入されていない理由が、荷物の発送元で収納し忘れたのか配送途中で抜き取られたのか判断することができず、発送元との間でトラブルを生じさせることにもなりかねない。配送途中で書類の抜き取りが可能であることは、配送荷物の受取人に関する情報の秘匿性に劣る点でも問題がある。
【0009】
また、前記引用文献3に記載のデリバリーパックは、両側部の粘着剤層が設けられた部分を荷物表面に貼り付けて荷物に取り付けられたシートの下側で書類が挟まれて保持されている過ぎないため、密封性に劣り、また、書類のサイズが小さい場合にシートの下側での保持が不十分となって荷物の配送途中で抜け落ちやすいという問題がある。さらに、書類は取り出すために荷物に貼り付けられたシートを引き裂く操作をしたときに、シートの下側に保持されていた書類も引き裂いてしまいやすいという問題もあった。
【0010】
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑み、配送荷物に貼り付けられて配送に供されるデリバリーパックにおいて、書類の封入と荷物への貼り付け操作が容易であり、配送途中で封入した書類の抜き取りがしにくく、荷物に確実に固定されて配送に供することができるとともに、配送荷物の受取人が簡易な操作で封入した書類を取り出すことができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため本発明は、荷物を配送する際に書類を収納して配送荷物に貼り付けられる袋体からなるデリバリーパックにおいて、
上下に重ねた表側シートと中間シートがその全周が互いの縁部に沿って帯状に設けられた疑似接着剤層を介して接着されて、当該疑似接着剤層よりも内側の前記両シートの対向内面間に周囲が閉鎖した袋状領域が設けられ、
前記中間シートの下面には粘着剤層が設けられ、粘着剤層は裏側シートを重ねて保護されているとともに、この裏側シートの面内に、当該裏側シート下面から前記袋状領域に面する中間シート上面に至る深さのスリットが設けられた構成を有することを特徴とする。
【0012】
前記構成のデリバリーパックは、裏側シートの面内に設けられたスリットから書類を差し入れて、表側シートと中間シートの内面間に設けられた袋状領域内に収納し、裏側シートを中間シートから剥がして粘着剤層を露出させ、これを荷物の表面に一体に貼り付けて荷物とともに配送に供することができる。
デリバリーパックを荷物に貼り付けた状態で書類の差し入れ口であるスリットは荷物表面に面し、書類が収納された袋状領域は密閉されるため、配送途中で収納した書類が抜け落ちる虞はなく、また、書類を差し入れるための開口が外部に露出してはいないので書類の抜き取り操作を誘発しにくく、荷物とともに安全に配送に供することができる。
また、表側シートは中間シートに疑似接着剤層を介して接着しているので、配送荷物の受取人は表側シートを中間シートから簡単な操作で引き剥がし、袋状領域に収納されていた書類を取り出すことができる、表側シートを中間シートから引き剥がさない限り封入された書類を取り出すことができないので、仮に配送途中で書類に抜き取りがあったときは、表側シートが剥離している状態からその事実を把握することが可能である。
【0013】
前記構成のデリバリーパックにおいて、表側シートと中間シートをその全周を疑似接着剤層で接着するのに代えて、前記両シートの周辺の一部が互いの縁部に沿って帯状に設けられた接着剤層で接着され、他の周辺が互いの縁部に沿って帯状に設けられた疑似接着剤層で接着された構成としてもよい。
これによれば、例えばデリバリーパックを構成する各シートを平面視矩形状に形成し、上下に重なる表側シートと中間シートの周囲三辺を疑似接着剤層で、残りの一辺を接着剤層でそれぞれ接着して両シートの対向内面間に袋状領域を形成した場合に、前記中間シートに疑似接着した表側シートを三辺に沿って捲り上げれば、袋状領域に収納した書類を取り出することが可能である。
【0014】
前記デリバリーパックの表側シートは、普通紙や情報用紙などを用いて形成することができる。情報用紙のうち、感熱紙やインクジェット用紙、LBP用紙など、各種プリンターに対応した上質紙からなる腰のあるやや肉厚な紙を用いることで、前記プリンターにより表側シートの表面に情報の印字が可能である。中間シートは薄肉なタックシートを用いることができる。裏側シートは、前記タックシートの粘着剤層を保護する剥離紙である。
前記各シートは、紙や各種フィルムなどシート状の材料により形成することができる。紙製であれば、デリバリーパックの製造から使用後の廃棄に至る段階で環境負荷の低減に対応可能となる。
また、デリバリーパックが貼り付けられる荷物が配送途中に屋外で持ち運ばれたり置かれたりすることを考慮して、表側シートと中間シートは耐水紙により形成されいることが好ましい。
【0015】
表側シートと中間シートの間の疑似接着剤層は、表側シートの下面側にニス層を形成する加工、中間シートの上面側に接着層を形成する加工を施して形成することができる。或いは、感圧接着剤や感熱接着剤、再湿接着剤などの剥離可能な接着剤を用い、フレキソ法、グラビア法などの公知の印刷又はコーティング法によって適宜な厚みに塗布し、接着剤が乾燥していない状態で貼り合わせるウェット方式や熱圧着方式、感圧方式によって貼り合わせて形成してもよい。
また、中間シートの下面側に設ける粘着剤層としては、アクリル系粘着剤や天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤などを用いることができる。粘着剤層は中間シートの下面全体に設けられていれば、デリバリーパックを荷物に貼り付けたときに高い定着性を発揮して荷物の表面に一体に固定することができる。デリバリーパックを荷物に貼り付けてしっかりと固定しておくことができれば、中間シートの下面内に部分的に粘着剤層を設けたものでもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のデリバリーパックによれば、書類の封入と荷物への貼り付け操作が容易であり、配送途中で封入した書類の抜き取りがしにくく、荷物に確実に固定されて配送に供することができ、また、配送荷物の受取人が簡易な操作で封入した書類を取り出すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のデリバリーパックの一実施形態の部材を展開して示した外観図である。
図2図1のデリバリーパックの要部拡大横断面図である。
図3図1のデリバリーパックに書類を収納する操作を説明するための図である。
図4図1のデリバリーパックを荷物に貼り付けた状態を示した図である。
図5図4のデリバリーパックの表側シートを捲り上げて封入されていた書類を取り出す操作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は本発明のデリバリーパックの一実施形態の部材を展開して示した外観図、図2はこのデリバリーパックの要部拡大横断面図である。
【0019】
両図に示されるように、本形態のデリバリーパック1は、表側シート2と中間シート3と裏側シート4との三枚のシートを上下に重ね合わせて平面視矩形状に形成され、後述のように内部に書類を封入して配送荷物の表面に貼り付けることができるように構成されている。
【0020】
詳しくは、上下に重なり合った表側シート2と中間シート3は、その全周が互いの縁部に沿って帯状に設けられた疑似接着剤層4を介して接着しており、この疑似接着剤層5が配された部分よりも内側の両シート2,3の対向内面間に、周囲が閉鎖した袋状領域6が設けられている。
中間シート3の一側の長手辺の両角部の上面には縁部には糊殺し加工が施すか接着剤を付与しない部分が設けられており、この部分に面した表側シート2の両角縁部には、指先で摘む剥がし口となる摘み部2aを三角形状の着色により印刷表示して形成してある。なお、剥がし口となる部分は表側シート2の片側の角縁部だけに形成されていてもよい。
【0021】
また、中間シート3の下面にはその全体に粘着剤層7が設けられ、粘着剤層7は裏側シート4が重ねられて保護されているとともに、この裏側シート4の面内に、当該裏側シート4の下面から前記袋状領域6に面する中間シート3の上面に至る、つまり裏側シート4と中間シート3の両方のシートを貫通する深さのスリット8が設けられており、このスリット8を通して適宜な書類を前記袋状部6内に収納することができるようになっている。
【0022】
このように構成された本形態のデリバリーパック1は次のようにして使用することができる。
先ず、図3に示されるように、配送荷物に添付する伝票などの書類Dを、裏側シート4の下面側からスリット8内に差し込めば、書類Dは表側シート2と中間シート3の対向内面間に配された袋状領域6に進入し、書類Dをそのまま押し込むことで全体が袋状領域6に入り込んで、袋状領域6内に収納される。
【0023】
デリバリーパック1の袋状領域6に書類Dを収納したならば、裏側シート4を中間シート3から剥離して粘着剤層7を露出させ、図4に示されるように、これを配送する荷物Lの表面に貼り付け、さらに荷物Lには配送伝票(図示せず)が貼り付けられて、荷物の受取人宛ての配送処理に供される。デリバリーパック1の貼り付け位置は、荷物Lの上面でも側面でも何れでもよい。
デリバリーパック1を荷物Lに貼り付けた状態で前記書類Dの差し入れ口であるスリット8は荷物Lの表面に面し、書類Dが収納された袋状領域8は密閉されるため、配送途中で収納した書類Dが抜け落ちる虞はなく、また、書類Dを差し入れるための開口が外部に露出してはいないので書類Dの抜き取り操作を誘発しにくく、デリバリーパック1内に収納して荷物Lに添付した書類Dを荷物Lとともに安全に配送に供することが可能である。
【0024】
荷物Lを受取人が受け取ったならば、デリバリーパック1の表側シート2の角部に設けられた摘み部2aを摘まんで上方へ引っ張り上げれば、図5に示されるように、表側シート2は中間シート3から簡単に捲れ上がって前記密閉していた袋状領域6を開口させることができ、受取人は同領域に収納されていた書類Dを取り出すことができる。
【0025】
なお、図示した形態のデリバリーパック1は、上下に重なる表側シート2と中間シート3の周囲四辺に沿って疑似接着剤層5を設けたが、前記周囲四辺のうちの三辺を疑似接着剤層5で接着し、残りの一辺を接着剤層で接着しても、表側シート2を簡単な操作で捲り上げて袋状領域6を開口させることが可能である。
【0026】
本発明のデリバリーパックは、前記図示した形態のもの以外に、適宜な形態で構成することが可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 デリバリーパック、2 表側シート、3 中間シート、4 裏側シート、5 疑似接着剤層、6 袋状領域、7 粘着剤層、D 書類、L 荷物
図1
図2
図3
図4
図5