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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163647
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】糸巻取機
(51)【国際特許分類】
   B65H 69/04 20060101AFI20231102BHJP
   B65H 63/00 20060101ALI20231102BHJP
   D01H 15/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B65H69/04
B65H63/00 E
D01H15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074684
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】濱地 祐次
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 雄帆
【テーマコード(参考)】
3F115
4L056
【Fターム(参考)】
3F115CA03
3F115CA06
4L056CB04
4L056CB08
4L056EB04
4L056EB13
4L056EB28
(57)【要約】
【課題】糸結びが行われた後に、オペレータによる余分な糸端の除去作業の機会を確実に設ける。
【解決手段】自動ワインダ1は、給糸部11と、巻取部13と、糸継装置34と、下糸捕捉案内部35と、上糸捕捉案内部36と、操作部14と、ヤーンクリアラ33と、制御部とを備える。制御部は、ヤーンクリアラ33による検知結果に基づいて、糸Yが分断されたと判断した場合に、巻取部を制御して巻取動作を停止させる巻取停止処理を実行する。制御部は、下糸捕捉案内部35及び上糸捕捉案内部36を制御して、下糸Y1及び上糸Y2をそれぞれ糸継装置34へ案内する案内動作を行わせる。制御部は、案内動作の後、糸継装置34に糸継動作を行わせる。制御部は、糸継動作の後に、巻取動作を再開させるためのトリガーとなる巻取再開入力が操作部14に対して行われるまで待つ再開前待機処理を行い、巻取再開入力が行われた場合に、巻取部13に巻取動作を再開させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を供給可能に構成された給糸部と、
前記糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取動作を実行可能に構成された巻取部と、
前記糸が走行する糸走行方向において、前記糸が、前記給糸部側の第1の糸と前記巻取部側の第2の糸とに分断されているときに、前記第1の糸の糸端と前記第2の糸の糸端とを機械的に糸結びする糸継動作を実行可能に構成された糸継部と、
前記第1の糸を前記糸継部へ案内可能に構成された第1案内部と、
前記第2の糸を前記糸継部へ案内可能に構成された第2案内部と、
所定の入力を受け付けるように構成された入力部と、
前記糸を検知可能に構成された監視部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記監視部による検知結果に基づいて、前記糸が分断されたと判断した場合に、前記巻取部を制御して前記巻取動作を停止させる巻取停止処理を実行し、
前記巻取停止処理の後に、前記第1案内部及び前記第2案内部を制御して、前記第1の糸及び前記第2の糸をそれぞれ前記糸継部へ案内する案内動作を行わせ、
前記案内動作の後に、前記糸継部に前記糸継動作を行わせ、
前記糸継動作の後に、前記所定の入力として、前記巻取動作を再開させるためのトリガーとなる巻取再開入力が前記入力部に対して行われるまで待つ再開前待機処理を行い、
前記巻取再開入力が前記入力部に対して行われた場合に、前記再開前待機処理を終了させて前記巻取部に前記巻取動作を再開させることを特徴とする糸巻取機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記巻取停止処理の後、かつ前記案内動作の前に、前記所定の入力として、前記案内動作を開始させるためのトリガーとなる案内開始入力が前記入力部に対して行われるまで待つ案内前待機処理を行い、
前記案内開始入力が前記入力部に対して行われた場合に、前記案内前待機処理を終了させて前記第1案内部及び前記第2案内部に前記案内動作を開始させることを特徴とする請求項1に記載の糸巻取機。
【請求項3】
前記糸走行方向において前記給糸部と前記巻取部との間に配置され、前記糸を切断可能に構成された切断部、を備え、
前記制御部は、
前記巻取停止処理の後、且つ前記案内前待機処理の前に、前記案内動作としての第1案内動作及び前記糸継動作としての第1糸継動作を行わせ、
前記第1糸継動作の後に、前記切断部を制御して前記糸を切断する切断動作を行わせ、
前記切断動作の後に前記案内前待機処理を行い、
前記案内前待機処理を終了させた後、前記案内動作としての第2案内動作及び前記糸継動作としての第2糸継動作を行わせ、
前記第2糸継動作の後に前記再開前待機処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の糸巻取機。
【請求項4】
前記制御部は、
前記巻取停止処理の後における制御モードの選択肢として、
前記案内前待機処理を少なくとも一度行う第1モードの情報と、
前記再開前待機処理及び前記案内前待機処理のうち前記再開前待機処理のみを行う第2モードの情報と、を記憶していることを特徴とする請求項2又は3に記載の糸巻取機。
【請求項5】
前記糸走行方向において前記給糸部と前記巻取部との間に配置され、前記糸を切断可能に構成された切断部、を備え、
前記制御部は、
前記巻取停止処理の後、且つ前記巻取部に前記巻取動作を再開させる前に、停止している糸が前記監視部によって所定の限界停止時間検知された場合に、前記切断部に前記糸を切断させるように構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の糸巻取機。
【請求項6】
前記糸走行方向において前記給糸部と前記巻取部との間に配置され、前記糸を切断可能に構成された切断部、を備え、
前記監視部は、前記糸の品質を監視するように構成され、
前記制御部は、
前記巻取停止処理の後 、且つ前記巻取部に前記巻取動作を再開させる前に、前記監視部によって監視された前記糸の品質が所定の限界不変時間変化していないと判断した場合に、前記切断部に前記糸を切断させるように構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の糸巻取機。
【請求項7】
前記監視部から前記糸を離隔させることが可能に構成された監視離隔部をさらに備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の糸巻取機。
【請求項8】
前記糸継部から前記糸を離隔させ、前記糸継動作によって形成された糸の結び目に含まれる糸端部の除去作業が行われることが可能な作業空間側へ前記糸を移動させることが可能に構成された糸継離隔部、をさらに備えることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の糸巻取機。
【請求項9】
前記監視部は、前記糸走行方向において前記糸継部と前記巻取部との間に配置されるように構成され、且つ、前記糸の欠陥を検知可能に構成され、
前記制御部は、
前記糸継動作によって糸の結び目が形成された後、
前記巻取部を制御して、前記糸走行方向において前記監視部よりも下流側且つ前記巻取部よりも上流側の所定位置まで前記結び目を移動させて前記所定位置で前記結び目を停止させ、
さらに、前記再開前待機処理を行うことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の糸巻取機。
【請求項10】
前記入力部は、前記所定の入力として所定の切替操作を受け付けるように構成された切替スイッチ部を有することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の糸巻取機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸巻取機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、走行中の糸を巻取ボビンに巻き取ってパッケージを形成する糸巻取機(より具体的には、精紡機)が開示されている。糸巻取機は、走行中の糸が分断されたときに糸結びを行う糸継部(より具体的には、糸継台車に設けられたノッター)を有する。糸継部は、糸走行方向における上流側の糸端と、糸走行方向における下流側の糸端とを機械的に糸結びするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-158788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
糸継部による糸結びが行われた糸には結び目が形成される。その結び目からは、糸結び後には不要となった余分な糸端部が突出している。糸がそのまま巻取ボビンに巻き取られると、パッケージに当該糸端部が含まれ、これにより後工程で作成される製品の品質が低下する問題が生じうる。このため、余分な糸端部を切除したいという要望がある。しかし、従来技術においては、通常、糸結びが行われた後に直ちに糸の走行が再開されるため、糸結びが行われた直後に余分な糸端部を除去する機会がなかった。
【0005】
本発明の目的は、糸結びが行われた後に、オペレータによる余分な糸端部の除去作業の機会を確実に設けることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の糸巻取機は、糸を供給可能に構成された給糸部と、前記糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取動作を実行可能に構成された巻取部と、前記糸が走行する糸走行方向において、前記糸が、前記給糸部側の第1の糸と前記巻取部側の第2の糸とに分断されているときに、前記第1の糸の糸端と前記第2の糸の糸端とを機械的に糸結びする糸継動作を実行可能に構成された糸継部と、前記第1の糸を前記糸継部へ案内可能に構成された第1案内部と、前記第2の糸を前記糸継部へ案内可能に構成された第2案内部と、所定の入力を受け付けるように構成された入力部と、前記糸を検知可能に構成された監視部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記監視部による検知結果に基づいて、前記糸が分断されたと判断した場合に、前記巻取部を制御して前記巻取動作を停止させる巻取停止処理を実行し、前記巻取停止処理の後に、前記第1案内部及び前記第2案内部を制御して、前記第1の糸及び前記第2の糸をそれぞれ前記糸継部へ案内する案内動作を行わせ、前記案内動作の後に、前記糸継部に前記糸継動作を行わせ、前記糸継動作の後に、前記所定の入力として、前記巻取動作を再開させるためのトリガーとなる巻取再開入力が前記入力部に対して行われるまで待つ再開前待機処理を行い、前記巻取再開入力が前記入力部に対して行われた場合に、前記再開前待機処理を終了させて前記巻取部に前記巻取動作を再開させることを特徴とする。
【0007】
本発明では、糸結びが行われた後、巻取再開入力が行われるまでの間、オペレータが作業を行うための時間を確保することができる。したがって、糸結びが行われた後に、オペレータによる余分な糸端部の除去作業の機会を確実に設けることができる。
【0008】
第2の発明の糸巻取機は、前記第1の発明において、前記制御部は、前記巻取停止処理の後、かつ前記案内動作の前に、前記所定の入力として、前記案内動作を開始させるためのトリガーとなる案内開始入力が前記入力部に対して行われるまで待つ案内前待機処理を行い、前記案内開始入力が前記入力部に対して行われた場合に、前記案内前待機処理を終了させて前記第1案内部及び前記第2案内部に前記案内動作を開始させることが可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
再開前待機処理は、糸継動作の完了後、且つ巻取動作の再開前に行われる。しかし、再開前待機処理が開始された後、巻取再開入力によって巻取動作を直ちに再開させることも可能である。そのため、糸継動作の完了後に動作が停止している糸巻取機をオペレータが見つけたとき、オペレータの熟練度等によっては、糸巻取機の動作が停止している理由が分からず、糸端部の除去作業が行われることなく巻取再開入力が行われるおそれがある。この点、本発明では、案内動作の前、すなわち糸が分断された状態で案内前待機処理が行われる。このため、案内開始入力が行われた後、案内動作及び糸継動作が行われて余分な糸端部が形成される様子をオペレータが目視で確認できる。これにより、糸端部の除去作業をオペレータに促すことができる。したがって、糸端部の除去作業が行われることなく巻取再開入力が行われることを抑制できる。
【0010】
第3の発明の糸巻取機は、前記第2の発明において、前記糸走行方向において前記給糸部と前記巻取部との間に配置され、前記糸を切断可能に構成された切断部、を備え、前記制御部は、前記巻取停止処理の後、且つ前記案内前待機処理の前に、前記案内動作としての第1案内動作及び前記糸継動作としての第1糸継動作を完了させ、前記第1糸継動作の後に、前記切断部を制御して前記糸を切断する切断動作を行わせ、前記切断動作の後に前記案内前待機処理を行い、前記案内前待機処理を終了させた後、前記案内動作としての第2前記案内動作及び前記糸継動作としての第2糸継動作を完了させ、前記第2糸継動作の後に前記再開前待機処理を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明では、案内前待機処理が行われる前に、案内動作(第1案内動作)及び糸継動作(第1糸継動作)が少なくとも一度完了する。これにより、案内開始入力が行われた後の第2案内動作及び第2糸継動作の円滑な実行を担保できる。したがって、第2案内動作中及び第2糸継動作中のオペレータの待機時間が長時間化することを防止できる。
【0012】
第4の発明の糸巻取機は、前記第2又は第3の発明において、前記制御部は、前記巻取停止処理の後における制御モードの選択肢として、前記案内前待機処理を少なくとも一度行う第1モードの情報と、前記再開前待機処理及び前記案内前待機処理のうち前記再開前待機処理のみを行う第2モードの情報と、を記憶していることを特徴とする。
【0013】
本発明では、必要に応じて制御モードを自由に切り換えることができる。
【0014】
第5の発明の糸巻取機は、前記第1~第4のいずれかの発明において、前記糸走行方向において前記給糸部と前記巻取部との間に配置され、前記糸を切断可能に構成された切断部、を備え、前記制御部は、前記巻取停止処理の後、且つ前記巻取部に前記巻取動作を再開させる前に、停止している糸が前記監視部によって所定の限界停止時間検知された場合に、前記切断部に前記糸を切断させるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
一般的に、センサを有する監視装置においては、検出項目(糸が監視される場合は、太さなど)の検出精度の向上を目的とした補償、及び/又は検出結果に基づく品質判断の精度の向上を目的とした判断基準の補正が、所定のタイミングで行われる場合がある。ここで、停止している糸が監視部によって監視され続けると、補償及び/又は補正が正常に行われない可能性がある。本発明では、糸が停止している状態において、監視部によって長時間糸が監視され続けることを防止できる。このため、糸の走行時における検出精度の低下及び/又は品質判断の精度の低下を防止できる。
【0016】
第6の発明の糸巻取機は、前記第1~第5のいずれかの発明において、前記糸走行方向において前記給糸部と前記巻取部との間に配置され、前記糸を切断可能に構成された切断部、を備え、前記監視部は、前記糸の品質を監視するように構成され、前記制御部は、前記巻取停止処理の後 、且つ前記巻取部に前記巻取動作を再開させる前に、前記監視部によって監視された前記糸の品質が所定の限界不変時間変化していないと判断した場合に、前記切断部に前記糸を切断させるように構成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明では、第5の発明と同様、糸の走行時における監視項目の検出精度の低下及び/又は品質判断の精度の低下を防止できる。
【0018】
第7の発明の糸巻取機は、前記第5又は第6の発明において、前記監視部から前記糸を離隔させることが可能に構成された監視離隔部をさらに備えることを特徴とする。
【0019】
前記第5又は第6の発明においては、糸結びされた糸が停止した状態で長時間放置されると、糸が切断されて案内動作及び糸継動作をやり直す必要が生じうる。この点、本発明では、監視離隔部によって監視部から糸を離隔させることにより、停止している糸が監視部によって長時間検知されることを回避できる。したがって、糸結びされた糸が停止した状態で長時間放置されても、糸が意図せず切断されることを回避できる。
【0020】
第8の発明の糸巻取機は、前記第1~第7のいずれかの発明において、少なくとも前記糸継部から前記糸を離隔させ、前記糸継動作によって形成された糸の結び目に含まれる糸端部の除去作業が行われることが可能な作業空間側へ前記糸を移動させることが可能に構成された糸継離隔部、をさらに備えることを特徴とする。
【0021】
糸結びされた糸が糸継部の近傍或いは糸継部の内部に位置している場合、余分な糸端部の除去作業を行いにくいおそれがある。本発明では、糸を少なくとも糸継部から遠ざけて作業空間側へ移動させることにより、糸端部の除去作業を行いやすくすることができる。
【0022】
第9の発明の糸巻取機は、前記第1~第8のいずれかの発明において、前記監視部は、前記糸走行方向において前記糸継部と前記巻取部との間に配置されるように構成され、且つ、前記糸の欠陥を検知可能に構成され、前記制御部は、前記糸継動作によって糸の結び目が形成された後、前記巻取部を制御して、前記糸走行方向において前記監視部よりも下流側且つ前記巻取部よりも上流側の所定位置まで前記結び目を移動させて前記所定位置で前記結び目を停止させ、さらに、前記再開前待機処理を行うことを特徴とする。
【0023】
余分な糸端部の除去の作業が行われた後に、監視部による検知結果に基づいて結び目が欠陥であると判断された場合、その結び目を除去する必要が生じる。このため、オペレータによる糸端部の除去作業の時間が無駄になってしまう。本発明では、前記再開前待機処理の前に結び目が監視部によって監視される。このため、監視部によって結び目の品質を確認した後に糸端部の除去の作業を行うことができる。したがって、オペレータによる作業の時間が無駄になることを抑制できる。
【0024】
第10の発明の糸巻取機は、前記第1~第9のいずれかの発明において、前記入力部は、前記所定の入力として所定の切替操作を受け付けるように構成された切替スイッチ部を有することを特徴とする。
【0025】
本発明では、切替操作という単純な入力操作によって、再開前待機処理を終えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態に係る自動ワインダの正面図である。
図2】自動ワインダの電気的構成を示すブロック図である。
図3】巻取ユニットの正面図である。
図4】糸継装置の斜視図である。
図5】糸継装置によって2本の糸が結ばれて1本の糸になった状態を示す説明図である。
図6】巻取ユニットの制御モードの選択画面を示す説明図である。
図7】第1モードにおける制御を示すフローチャートである。
図8】第2モードにおける制御を示すフローチャートである。
図9】変形例に係る制御例を示すフローチャートである。
図10】変形例に係る巻取ユニットの上側部分の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態について説明する。図1の紙面左右方向を左右方向とする。図1の紙面上下方向を重力が作用する上下方向(鉛直方向)とする。左右方向及び上下方向の両方と直交する方向を前後方向とする。また、糸Yが走行する方向を糸走行方向とする。
【0028】
(自動ワインダの概略構成)
まず、本実施形態に係る自動ワインダ1(本発明の糸巻取機)の概略構成について、図1及び図2を参照しつつ説明する。図1は、自動ワインダ1の正面図である。図2は、自動ワインダ1の電気的構成を示すブロック図である。自動ワインダ1は、複数の巻取ユニット2と、玉揚装置3と、機台制御装置4とを備える。
【0029】
複数の巻取ユニット2の各々は、給糸ボビンBsから引き出された糸Yを巻き取ってパッケージPを形成するように構成されている。複数の巻取ユニット2は、例えば、左右方向に並べて配置されている。玉揚装置3は、複数の巻取ユニット2の上方に配置されている。玉揚装置3は、例えば左右方向に移動可能に構成されている。玉揚装置3は、ある巻取ユニット2からパッケージPの形成終了の信号を受信したときに、当該巻取ユニット2の近傍に移動して、当該巻取ユニット2からのパッケージPの取り外し等の動作を行うように構成されている。
【0030】
機台制御装置4は、例えば一般的なコンピュータ装置である。機台制御装置4は、各巻取ユニット2のユニット制御部15(図2参照)及び玉揚装置3の制御部(不図示)と電気的に接続され、これらの制御部との通信を行う。機台制御装置4は、例えば、図2に示すように、入力部4aと、出力部4bと、記憶部4cとを有する。入力部4aは、例えば、オペレータが入力操作を行うためのタッチパネル、キーボード及び/又はマウスを有する。出力部4bは、例えば画面を表示するディスプレイを有する。記憶部4cは、自動ワインダ1の制御に関する各種設定等を記憶可能に構成されている。
【0031】
(巻取ユニット)
次に、巻取ユニット2の構成について図3を参照しつつ説明する。図3は、巻取ユニット2の概略的な正面図である。
【0032】
図3に示すように、巻取ユニット2は、フレーム10と、給糸部11と、糸処理実行部12と、巻取部13と、操作部14(本発明の入力部)と、ユニット制御部15とを有する。巻取ユニット2は、給糸部11から引き出された糸Yに対して糸処理実行部12による処理を施しつつ、巻取部13によって糸Yを巻き取るように構成されている。
【0033】
フレーム10は、上下方向に長く延びた中空部材である。フレーム10には、巻取ユニット2を構成する様々な部材が取り付けられ又は収納されている。
【0034】
給糸部11は、糸Yが巻き付けられた給糸ボビンBsを支持するように構成されている。図3に示すように、給糸部11は、巻取ユニット2の最も下側に配置されている。給糸部11は、給糸ボビン支持部21と、糸解舒補助装置22とを有する。給糸ボビン支持部21は、給糸ボビンBsを略直立状態に支持する。糸解舒補助装置22は、給糸ボビンBsから糸Yが解舒される際の膨らみを、規制筒23によって規制する。規制筒23は、給糸ボビンBsに巻かれている糸量が減るにつれて下方へ移動し、上記膨らみの大きさを一定の大きさに保つように構成されている。規制筒23の上側には、糸Yの有無を検知するヤーンフィーラ24が配置されている。
【0035】
糸処理実行部12は、糸Yに関する様々な処理を実行するためのものである。図3に示すように、糸処理実行部12は、上下方向において給糸部11と巻取部13との間に配置されている。糸処理実行部12は、テンション付与装置31と、糸継機構32と、ヤーンクリアラ33(本発明の監視部)とを有する。
【0036】
テンション付与装置31は、走行する糸Yに所定のテンションを付与する装置である。テンション付与装置31は、給糸部11のすぐ上側に配置されている。テンション付与装置31の一例として、いわゆるゲート式のものが挙げられる。図3に示すように、複数の固定ゲート体31aと複数の可動ゲート体31bとが、上下方向に交互に配置されている。そして、複数の可動ゲート体31bの水平方向の位置を調整することによって、固定ゲート体31aと可動ゲート体31bとの間を走行する糸Yに所定のテンションが付与される。
【0037】
糸継機構32は、糸走行方向において給糸部11と巻取部13との間で糸Yが繋がっていない状態になった(糸Yが分断された)ときに、分断された糸Yの給糸部11側の糸端と巻取部13側の糸端とを継ぐための機構である。説明の便宜上、糸Yが分断された際の給糸部11側(糸走行方向における上流側)の糸Yを下糸Y1と呼び、巻取部13側(糸走行方向における下流側)の糸Yを上糸Y2と呼ぶ。以下、糸走行方向における上流側を単に「上流側」とも呼び、糸走行方向における下流側を単に「下流側」とも呼ぶ。下糸Y1は、本発明の第1の糸に相当する。上糸Y2は、本発明の第2の糸に相当する。糸Yが下糸Y1と上糸Y2とに分断される場合として、後述するヤーンクリアラ33により糸欠陥が検出されたときのカッタ33aによる糸切断時、パッケージPの巻取中における糸切れ時、及び、給糸ボビンBsの交換時等が挙げられる。糸継機構32は、糸継装置34(本発明の糸継部)と、下糸捕捉案内部35(本発明の第1案内部)と、上糸捕捉案内部36(本発明の第2案内部)とを有する。
【0038】
糸継装置34は、下糸Y1と上糸Y2とを継ぐ装置である。本実施形態における糸継装置34は、例えば公知のノッターであり、下糸Y1と上糸Y2とを機械的に結ぶように構成されている。
【0039】
下糸捕捉案内部35は、給糸ボビンBs側(糸走行方向における上流側)の下糸Y1を捕捉して糸継装置34へ案内可能に構成されている。下糸捕捉案内部35は、糸継装置34の上流側に配置されている。下糸捕捉案内部35は、軸35aを中心に回転可能なパイプ状のアーム35bと、アーム35bの先端部に配置され、下糸Y1の糸端部を吸引捕捉する吸引部35cと、アーム35bを回転駆動して上下に旋回させるモータ37と、を有する。下糸捕捉案内部35は、不図示の吸引源に接続されている。上糸捕捉案内部36は、巻取部13側(糸走行方向における下流側)の上糸Y2を捕捉して糸継装置34へ案内可能に構成されている。上糸捕捉案内部36は、糸継装置34の下流側に配置されている。上糸捕捉案内部36は、軸36aを中心に回転可能な透明なパイプ状のアーム36bと、アーム36bの先端部に配置され、上糸Y2の糸端部を吸引捕捉する吸引部36cと、アーム36bを回転駆動して上下に旋回させるモータ38と、を有する。上糸捕捉案内部36は、不図示の吸引源に接続されている。
【0040】
以上の構成を有する糸継機構32において、以下のようにして糸継ぎが行われる。巻取動作時に、例えば、ヤーンクリアラ33によって糸欠陥が検出されて糸Yが切断された場合、ユニット制御部15は、巻取ユニット2の各構成要素を制御して巻取動作を停止させる。そして、ユニット制御部15は、糸継機構32等を制御して、分断された下糸Y1及び上糸Y2の吸引捕捉、下糸Y1及び上糸Y2の糸継装置34への案内、及び、糸継装置34による糸継ぎ(糸結び)を行わせる。これにより、糸Yの継目(後述の結び目K)が形成される。以下、説明の便宜上、下糸捕捉案内部35による下糸Y1の吸引捕捉及び糸継装置34への案内、並びに上糸捕捉案内部36による上糸Y2の吸引捕捉及び糸継装置34への案内の動作を案内動作と称する。また、下糸捕捉案内部35及び上糸捕捉案内部36による案内動作が行われた後に、糸継装置34によって行われる糸結びの動作を糸継動作と称する。
【0041】
ヤーンクリアラ33は、糸Yの有無を検知可能に構成されている。また、ヤーンクリアラ33は、走行する糸Yの太さ等に関する情報を取得し、この情報に基づいて、糸Yに含まれる欠陥を検出するように構成されている。ヤーンクリアラ33は、例えば、糸継装置34の下流側に配置されている。ヤーンクリアラ33は、カッタ33a(本発明の切断部)と、クリアラ制御部33bとを有する。カッタ33aは、糸Yのうち所定位置に位置している部分を切断可能に構成されている(切断動作)。クリアラ制御部33bは、ヤーンクリアラ33によって糸欠陥が検出されたと判断したとき、カッタ33aに糸Yを切断させ、検出信号をユニット制御部15へ出力するように構成されている。
【0042】
また、クリアラ制御部33bは、停止している糸Yがヤーンクリアラ33によって所定の第1時間検知された場合に、カッタ33aに糸Yを切断させるように構成されている。第1時間は、本発明の限界停止時間に相当する。それに加え/又はその代わりに、クリアラ制御部33bは、所定の第2時間、ヤーンクリアラ33によって監視された糸Yの品質が変化していないと判断した場合に、カッタ33aに糸Yを切断させるように構成されている。第2時間は、本発明の限界不変時間に相当する。糸Yの品質が変化していないとは、糸Yが正常に走行していれば検出されるはずの品質ばらつきが検出されていないことを意味する。品質ばらつきは、例えば、糸Yの太さの検知結果に基づいて判断されることが可能である。クリアラ制御部33bは、例えば、糸Yの太さの変化が所定の割合以下に収まっている状態が第2時間続いたとき、糸Yの品質が変化していないと判断するように構成されている。機台制御装置4と、ユニット制御部15と、クリアラ制御部33bとを合わせたものが、本発明の制御部に相当する。
【0043】
巻取部13は、糸Yを巻取ボビンBwに巻き取ってパッケージPを形成する巻取動作を実行可能に構成されている。図3に示すように、巻取部13は、巻取ユニット2の最も下流側に配置されている。巻取部13は、巻取ボビンBwを回転自在に保持するクレードル41と、綾振ドラム42と、ドラム駆動モータ43(図2参照)とを有する。巻取部13は、クレードル41に回転自在に支持されたパッケージPが接触している綾振ドラム42をドラム駆動モータ43で回転駆動することにより、パッケージPを従動回転させて糸Yを巻取ボビンBwに巻き取る。
【0044】
クレードル41は、巻取ボビンBw(パッケージP)を回転自在に支持するように構成されている。綾振ドラム42は、略筒状の部材である。綾振ドラム42の軸方向は、左右方向と略平行である。綾振ドラム42の外周面には、糸Yを綾振りさせるための綾振り溝42aが形成されている。綾振ドラム42は、この綾振り溝42aに糸Yを通しながら回転することにより、糸Yを所定の幅で綾振りする。そして、綾振ドラム42が、綾振り溝42aによって糸Yを綾振りしながら、パッケージPの外周面と接触した状態で回転することで、パッケージPは、綾振ドラム42との接触摩擦により従動回転する。これにより、糸Yが綾振りされながら巻取ボビンBwに巻き取られてパッケージPが形成される。
【0045】
ドラム駆動モータ43は、綾振ドラム42を回転駆動させるモータである。ドラム駆動モータ43は、パッケージPに糸Yが巻き取られる正転方向と、パッケージPから糸Yを引き出すことができる逆転方向の両方に綾振ドラム42を回転駆動可能に構成されている。巻取動作時には、綾振ドラム42が正転駆動されることでパッケージPが正転し、糸Yが巻取ボビンBwに巻き取られる。また、案内動作時には、綾振ドラム42が逆転駆動される。
【0046】
操作部14は、例えばフレーム10の前面に設けられた公知の押しボタンスイッチ14a(本発明の入力部及び切替スイッチ部)を有する。押しボタンスイッチ14aは、ユニット制御部15と電気的に接続されている。押しボタンスイッチ14aは、例えばオペレータによって押された場合に、所定の信号をユニット制御部15に送信するように構成されている。言い換えれば、押しボタンスイッチ14aは、後述する所定の切替操作(本発明の所定の入力)を受け付けるように構成されている。
【0047】
ユニット制御部15は、例えば、CPUと、ROMと、RAMとを備える。ユニット制御部15は、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUにより各部を制御する。具体的には、ユニット制御部15は、ヤーンクリアラ33、操作部14、ヤーンフィーラ24等から送られた信号を受信する。また、ユニット制御部15は、糸継装置34、モータ37、モータ38、ドラム駆動モータ43等の動作の制御を行う。ユニット制御部15は、機台制御装置4を介して玉揚装置3に玉揚げを要求する信号の出力を行う。また、ユニット制御部15は、巻取ユニット2が動作しているときに操作部14が操作されたとき、巻取ユニット2の動作を一時停止させることが可能に構成されている。また、ユニット制御部15は、巻取ユニット2の動作が一時停止しているときに操作部14が操作されたとき、巻取ユニット2の動作を再開させることが可能に構成されている(詳細については後述する)。
【0048】
以上の構成を備える巻取ユニット2において、以下のようにして、パッケージPを形成する巻取動作が行われる。すなわち、ユニット制御部15が、パッケージPと綾振ドラム42とを接触させた状態でドラム駆動モータ43を駆動して綾振ドラム42を回転させることにより、パッケージPが綾振ドラム42との摩擦により従動回転する。これにより、給糸ボビンBsから引き出された糸Yが巻取ボビンBwに巻き取られてパッケージPが形成される。
【0049】
(糸継装置)
次に、糸継装置34の構成について、図4及び図5を参照しつつ説明する。図4は、糸継装置34の斜視図である。図5は、糸継装置34によって下糸Y1と上糸Y2とが結ばれて1本の糸Yになった状態を示す説明図である。なお、図4においては、図が煩雑になることを避けるため、糸結び部51(後述)を構成する一部部材の図示を省略している。
【0050】
図4に示すように、糸継装置34は、糸結び部51と、ステッピングモータ52と、フレーム53と、糸寄せレバー54と、エアシリンダ55とを有する。糸結び部51は、下糸Y1と上糸Y2とを糸結びする部位である。ステッピングモータ52は、糸結び部51を駆動する駆動源である。フレーム53は、糸結び部51を支持する部材である。糸寄せレバー54は、下糸Y1の糸道及び上糸Y2の糸道を規制することが可能に構成されている。エアシリンダ55は、糸寄せレバー54を駆動する駆動源である。なお、糸寄せレバー54の駆動源は、サーボモーターなど他の駆動源であってもよい。
【0051】
図5に示すように、糸結び部51は、略水平に設けられ且つ上下方向に並べて配置された2つのガイド板63、64と、2つのノッタービル65と、1つのクロッサー66と、2つのエクストラクター67と、2つのクランプ68とを有する。以下、糸結び部51の動作の概要のみ説明する。まず、下糸Y1及び上糸Y2の一方が、下流側に配置されたガイド板63に形成されたスリット63a(図4参照)及び上流側に配置されたガイド板64に形成されたスリット64a(図4参照)に案内され、2つのクランプ68の一方に把持される。また、下糸Y1及び上糸Y2の他方が、ガイド板63に形成されたスリット63b(図4参照)及びガイド板64に形成されたスリット64b(図4参照)に案内され、2つのクランプ68の他方に把持される。この状態で、2つのノッタービル65と1つのクロッサー66と2つのエクストラクター67とによって、下糸Y1と上糸Y2とが糸結びされる。つまり、機械的に下糸Y1と上糸Y2とが糸結びされ、結び目Kが形成される。
【0052】
ステッピングモータ52は、糸結び部51に設けられた不図示のカム機構を駆動するように構成されている。カム機構は、上述したノッタービル65、クロッサー66、エクストラクター67及びクランプ68を動作させるように構成されている。
【0053】
糸寄せレバー54は、フレーム53に回動可能に取り付けられた2つのレバー状の部材である。糸寄せレバー54は、上下方向に並べて設けられている。糸寄せレバー54は、エアシリンダ55によって駆動されることにより、上下方向に延びる回動軸54aを中心にして回動するように構成されている。糸寄せレバー54は、下糸Y1及び上糸Y2に接触しない待機位置と、下糸Y1及び上糸Y2に接触して下糸Y1及び上糸Y2の糸道を規制する規制位置との間で移動可能に構成されている。
【0054】
更なる詳細については省略する。糸継装置34のより詳細な構成及び動作については、例えば特開2018-158788号公報を参照されたい。
【0055】
ここで、図5に示すように、糸継装置34による糸結びが行われた糸Yには結び目Kが形成される。その結び目Kからは、糸結び後には不要となった余分な糸端部Tが突出している。糸Yがそのまま巻取ボビンBwに巻き取られると、パッケージPに糸端部Tが含まれ、これにより後工程で作成される製品の品質が低下する問題が生じうる。このため、余分な糸端部Tを切除したいという要望がある。しかし、従来技術においては、糸結びが行われた後に直ちに糸Yの走行を再開するように巻取ユニットが制御されるため、オペレータが糸端部Tを切除するための時間の確保が難しいという問題がある。対策として、糸結びが行われた後に糸Yの走行を手動で一時停止させることが考えられる。しかし、そのためにはオペレータが常に糸継装置34を見張る必要が生じるため、そのような対策は現実的ではない。そこで、オペレータによる余分な糸端部Tの除去作業の機会を確実に設けるため、自動ワインダ1は以下のように構成されている。
【0056】
(機台制御装置)
まず、機台制御装置4において設定可能な事項について、図6を参照しつつ説明する。図6は、巻取ユニット2の制御モードの選択画面S1を示す説明図である。
【0057】
機台制御装置4は、図6に示すように、各巻取ユニット2の糸継時の制御モードの選択画面S1を出力部4bに表示させることが可能にプログラムされている。ここでの「糸継時」は、糸Yが分断されて巻取動作が停止してから巻取動作が再開されるまでのタイミングを意味する。機台制御装置4の記憶部4cには、制御モードの選択肢として、後述する第1モード及び第2モードの情報(実行プログラム)が記憶されている。選択画面S1には、例えば、機台制御装置4は、図6に示すように、制御モードとして「第1モード」及び「第2モード」を表示させることが可能である。機台制御装置4は、オペレータによる入力部4aへの入力操作に応じて、各ユニット制御部15の制御モードを決定し、決定された制御モードの実行プログラムを各ユニット制御部15に読み込ませるようにプログラムされている。
【0058】
(第1モード)
第1モードについて、図7のフローチャートを参照しつつ説明する。第1モードは、簡潔に言えば、糸Yが分断されてから巻取動作が再開されるまでの間に、オペレータによる操作部14の操作を二度必要とする制御モードである。以下、詳細について説明する。
【0059】
第1モードにおいて、ユニット制御部15は巻取ユニット2の各構成要素を以下のように制御する。まず、巻取動作中に、ユニット制御部15は、給糸部11と巻取部13(パッケージP)との間で糸Yが分断されたか否か判断する(S101)。糸Yが分断される原因として、ヤーンクリアラ33による糸欠陥の検出に伴う糸Yの切断、突発的な糸切れ、給糸ボビンBsにおける糸Yの枯渇などが挙げられる。ユニット制御部15は、クリアラ制御部33b又はヤーンフィーラ24から送られる信号に基づいて、糸Yが分断されたか否か判断することができる。糸Yが分断されていないとき(S101:No)、ユニット制御部15は巻取動作を継続させる。ユニット制御部15は、糸Yが分断されたと判断したとき(S101:Yes)、巻取部13を制御して巻取動作を停止させる(巻取停止処理の実行。S102)。
【0060】
巻取停止処理の後、ユニット制御部15は、巻取ユニット2の動作を一時停止させる(S103)。ユニット制御部15は、押しボタンスイッチ14aが押されたか否か判断する(S104)。ユニット制御部15は、オペレータによって押しボタンスイッチ14aが押されるまで待機する(S104:No)。ユニット制御部15は、押しボタンスイッチ14aが押された場合に(S104:Yes)、下糸捕捉案内部35及び上糸捕捉案内部36を制御して、下糸Y1及び上糸Y2をそれぞれ吸引捕捉させ、糸継装置34へ案内させる(上述した案内動作。S105)。言い換えると、ユニット制御部15は、案内動作の前に、押しボタンスイッチ14aが押されるまで待機する(案内前待機処理)。案内前待機処理中に押しボタンスイッチ14aを押す操作は、本発明の案内開始入力に相当し、且つ、本発明の切替操作に含まれる。本発明の切替操作の「切替」は、巻取ユニット2の動作が停止している状態から、巻取ユニット2が何らかの動作を行っている状態への「切替」を意味する。案内開始入力は、案内動作を開始させるためのトリガーとなる入力である。案内開始入力は、本発明の所定の入力に含まれる。
【0061】
次に、ユニット制御部15は、糸継装置34を制御して糸継動作を行わせる(S106)。その後、ユニット制御部15は、押しボタンスイッチ14aが押されたか否か判断する(S108)。ユニット制御部15は、オペレータによって押しボタンスイッチ14aが押されるまで待機する(S108:No)。ユニット制御部15は、押しボタンスイッチ14aが押された場合に(S108:Yes)、巻取部13に巻取動作を再開させる(巻取再開処理。S109)。言い換えると、ユニット制御部15は、糸継動作の後、巻取再開処理の前に、押しボタンスイッチ14aが押されるまで待機する(再開前待機処理)。再開前待機処理が行われることにより、オペレータが糸端部T(図5参照)の除去作業を行うための時間を確保できる。再開前待機処理中に押しボタンスイッチ14aを押す操作は、本発明の巻取再開入力に相当し、且つ、本発明の切替操作に含まれる。巻取再開入力は、巻取動作を再開させるためのトリガーとなる入力である。巻取再開入力は、本発明の所定の入力に含まれる。
【0062】
また、案内動作の前に案内前待機処理が行われることにより、案内動作及び糸継動作を開始するためにオペレータが押しボタンスイッチ14aを押す必要が生じる。これにより、案内動作及び糸継動作が行われて余分な糸端部Tが形成される様子をオペレータが目視確認できる。これにより、糸端部Tの除去作業をオペレータに促すことができる。また、糸継動作の完了後に糸Yが長時間にわたって放置されることを防止でき、ヤーンクリアラ33によって糸Yが意図せず切断されることを回避できる。
【0063】
(第2モード)
第2モードは、上述した第1モードと比較して下記の点が異なる。第1モードにおいて、ユニット制御部15は、巻取停止処理の後に案内前待機処理(S104の判断)を行う。一方、第2モードにおいて、ユニット制御部15は、S104の判断を行わない。つまり、ユニット制御部15は、再開前待機処理及び案内前待機処理のうち再開前待機処理のみを行う。それ以外の点について、第2モードは、上述した第1モードと同じである。
【0064】
第2モードは、第1モードと比べて以下の利点を有する。すなわち、オペレータが、作業を要する巻取ユニット2に到着したらすぐに糸端部Tの除去作業を行うことができる。したがって、オペレータが拘束される時間を短縮できる。
【0065】
以上のように、糸結びが行われた後、押しボタンスイッチ14aが押されるまでの間、オペレータが作業を行うための時間を確保することができる。したがって、糸結びが行われた後に、オペレータによる余分な糸端部Tの除去作業の機会を確実に設けることができる。
【0066】
また、本実施形態では、案内動作を開始させるためにオペレータが押しボタンスイッチ14aを押す必要がある。このため、案内開始入力が行われた後、案内動作及び糸継動作が行われて余分な糸端部Tが形成される様子をオペレータが目視確認できる。これにより、糸端部Tの除去作業をオペレータに促すことができる。したがって、糸端部Tの除去作業が行われることなく巻取再開入力が行われることを抑制できる。
【0067】
また、機台制御装置4(又はユニット制御部15)は、制御モードの選択肢として、第1モードの情報及び第2モードの情報を記憶している。これにより、必要に応じて制御モードを自由に切り換えることができる。
【0068】
また、クリアラ制御部33bは、停止している糸Yがヤーンクリアラ33によって所定の第1時間検知された場合に、カッタ33aに糸Yを切断させるように構成されている。それに加え/又はその代わりに、クリアラ制御部33bは、所定の第2時間、ヤーンクリアラ33によって監視された糸Yの品質が変化していないと判断した場合に、カッタ33aに糸Yを切断させるように構成されている。これにより、巻取処理の停止中に、ヤーンクリアラ33において、糸Yの太さ等の検出精度の向上を目的とした補償、及び/又は検出結果に基づく品質判断の精度の向上を目的とした判断基準の補正が意図せず行われることを回避できる。したがって、糸Yの走行時における検出精度の低下及び/又は品質判断の精度の低下を防止できる。
【0069】
また、押しボタンスイッチ14aを押す切替操作という単純な入力操作によって、再開前待機処理(又は案内前待機処理)を終えることができる。
【0070】
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0071】
(1)前記実施形態において、機台制御装置4は、制御モードの選択肢として、第1モードの情報及び第2モードの情報を記憶しているものとした。上述した第1モードに加えて/又は第1モードの代わりに、機台制御装置4は、下記の第3モードの情報を記憶部4cに記憶していても良い。第3モードについて、図9のフローチャートを参照しつつ説明する。第3モードは、第1モードと比較して以下の点が異なる。第3モードにおいて、ユニット制御部15は、巻取動作の停止(S102)と巻取ユニット2の一時停止(S103)との間に以下の制御を行う。ユニット制御部15は、下糸捕捉案内部35及び上糸捕捉案内部36を制御して案内動作を行わせ(S110)、糸継装置34に糸継動作を行わせる(S111)。S110の案内動作は、本発明の第1案内動作に相当する。S111の糸継動作は、本発明の第1糸継動作に相当する。さらに、ユニット制御部15は、ヤーンクリアラ33を制御して、糸継ぎが行われた糸Yをカッタ33aに切断させる(S112)。その後、巻取ユニット2の一時停止(S103)及び案内前待機処理(S104)が行われる。その後のS105の案内動作は、本発明の第2案内動作に相当する。S106の糸継動作は、本発明の第2糸継動作に相当する。以上のように、第3モードは、第1モードと同様に、巻取停止処理の後、少なくとも一度、案内前待機処理を行う制御モードである。第3モードは、本発明の第1モードに含まれる。第3モードのような制御が行われることにより、後述の利点が得られる。
【0072】
例えば、下糸捕捉案内部35は、下糸Y1が正常に捕捉されているか否か検知可能に構成された下糸検知部(不図示)を有する。上糸捕捉案内部36は、上糸Y2が正常に捕捉されているか否か検知可能に構成された上糸検知部(不図示)を有する。ユニット制御部15は、下糸検知部及び上糸検知部による検知結果に基づき、下糸Y1又は上糸Y2が正常に吸引捕捉されていないと判断したとき、案内動作をやり直す。案内動作が成功するまでに、吸引捕捉のための動作が複数回繰り返される場合もある。このような場合、S110~S112のステップを有さない第1モードが実行されていると、オペレータは、操作部14を操作してから案内動作が成功するまで待つこととなり、他の作業を行うことができない。この点、第3モードでは、案内動作及び糸継動作が少なくとも一度成功した後に糸Yの切断を行い、案内前待機処理が行われる。これにより、例えば上糸Y2は、パッケージPから垂れ下がった状態となり、上糸捕捉案内部36による上糸Y2の吸引捕捉がしやすくなる。オペレータが操作部14を操作した後の案内動作の成功率が高くなる。このため、オペレータの待ち時間を短縮することができる。したがって、オペレータの作業効率の低下を抑制できる。また、ヤーンクリアラ33において数メートルの長い欠点が検知された場合、上糸捕捉案内部36による長い吸引時間が生じる。そのため第1モード及び第2モードでは、長い吸引時間をオペレータが待つ可能性が生じる。しかし、第3モードでは、S110及びS111において長い欠点が除去されているため、S105及びS106にかかる時間が長時間化することを防止できる。そのため、オペレータの待機時間を短縮することができる。
【0073】
(2)上述した巻取ユニット2の代わりに、巻取ユニット2に以下の構成要素が加わった巻取ユニット2A(図10参照)が設けられていても良い。巻取ユニット2Aは、糸結びされた糸Yをヤーンクリアラ33から離隔させるように構成された離隔部70(本発明の監視離隔部及び糸継離隔部)を有する。離隔部70は、例えば、エアシリンダ71、72を有する。エアシリンダ71は、ヤーンクリアラ33よりも上側に配置されている。エアシリンダ71は、前後方向に伸縮可能なピストンロッド71aを有する。ピストンロッド71aの先端部には、糸Yを押し出すための押出部材71bが取り付けられている。押出部材71bは、巻取動作時の糸道よりも後側の退避位置と、巻取動作時の糸道よりも前側の押出位置との間で移動可能に配置されている。エアシリンダ72は、ヤーンクリアラ33よりも下側に配置されている。エアシリンダ72は、前後方向に伸縮可能なピストンロッド72aを有する。ピストンロッド72aの先端部には、糸Yを押し出すための押出部材72bが取り付けられている。押出部材72bは、巻取動作時の糸道よりも後側の退避位置と、巻取動作時の糸道よりも前側の押出位置との間で移動可能に配置されている。押出位置とは、ヤーンクリアラ33及び糸継装置34よりも前側の位置である。エアシリンダ71、72は、例えば電磁弁(不図示)を介して、圧縮空気の供給ポート(不図示)及び排気ポート(不図示)に接続されている。電磁弁は、ユニット制御部15と電気的に接続されている。
【0074】
以上のような構成において、エアシリンダ71、72が圧縮空気により動作する。例えば、第1モード、第2モード及び第3モードのうち少なくとも1つの制御モードにおいて、糸継動作(S106)が実行された後、ユニット制御部15は、離隔部70を制御して、押出部材71b、72bを退避位置から押出位置にそれぞれ移動させても良い。これにより、糸Yが前側へ押し出されてヤーンクリアラ33及び糸継装置34から離隔させられる(図10の二点鎖線参照)。これにより、糸Yのうち糸継装置34内に位置していた部分が、糸継装置34よりもすぐ前側の作業空間Sw(例えば、図10の破線で囲まれた部分を参照)に押し出される。糸Yのうち糸継装置34内に位置していた部分は、結び目K及び糸端部Tを含む。作業空間Swは、糸端部Tの除去作業が行われることが可能な空間である。また、ユニット制御部15は、操作部14が操作された場合に(S108:Yes)、離隔部70を制御して、押出部材71b、72bを押出位置から退避位置にそれぞれ移動させても良い。これにより、巻取動作の再開が可能となる。結び目K及び糸端部Tを作業空間Swへ押し出すことにより、糸端部Tの除去作業を行いやすくすることができる。また、ヤーンクリアラ33が所定時間以上の間停止している糸Yをカッタ33aによって切断するように構成されている場合に、糸結びされた糸Yが停止した状態で長時間放置されていても、糸Yが意図せず切断されることを回避できる。なお、離隔部70は、エアシリンダ71、72の代わりに、例えば電動アクチュエータ(不図示)を有していても良い。或いは、離隔部70は、例えば、回動可能なアーム部材(不図示)及びアーム部材を回動駆動する駆動部(不図示)によって、ヤーンクリアラ33及び糸継装置34から糸Yを離隔させるように構成されていても良い。なお、離隔部70は、ヤーンクリアラ33及び糸継装置34のうちいずれか一方のみから糸Yを離隔させるように構成されていても良い。離隔部70が、ヤーンクリアラ33のみから糸Yを離隔させるように構成されている場合、離隔部70は、本発明の監視離隔部にのみ相当する。また、離隔部70が、糸継装置34のみから糸Yを離隔させるように構成されている場合、離隔部70は、本発明の糸継離隔部にのみ相当する。
【0075】
(3)前記までの実施形態において、例えば、糸端部Tがオペレータによって除去された後に、ヤーンクリアラ33による検知結果に基づいて結び目Kが欠陥であると判断された場合、糸Yがカッタ33aによって切断され、結び目Kが除去される。そうすると、オペレータによる糸端部Tの除去作業の時間が無駄になってしまう。このような事態を回避するために、ユニット制御部15は、巻取ユニット2又は2Aを以下のように制御しても良い。糸継動作(S106)によって結び目Kが形成された後、ユニット制御部15は、巻取部13を制御して、糸走行方向においてヤーンクリアラ33よりも下流側且つ巻取部13よりも上流側の所定位置まで結び目Kを移動させても良い。さらに、ユニット制御部15は、当該所定位置で結び目Kを停止させ、再開前待機処理(S107)を行っても良い。言い換えれば、ユニット制御部15は、S106の後、且つS107の前に、巻取部13を制御して糸Yを所定長さだけ糸走行方向における下流側へ走行させるステップを実行しても良い。このようにすることで、ヤーンクリアラ33によって結び目Kの品質を確認した後に糸端部Tの除去の作業を行うことができる。したがって、オペレータによる作業の時間が無駄になることを抑制できる。
【0076】
(4)機台制御装置4は、第1モード及び/又は第3モード、並びに第2モードの他に、糸Yが分断されてから巻取動作が再開されるまで、オペレータによる操作部14の操作を待たずに一連の動作を巻取ユニット2に行わせる従来の制御モードを選択可能に構成されていても良い。従来の制御モードを実行する場合、結び目Kの数を例えば機台制御装置4に表示させることにより、パッケージPの品質がわかるようにすることが好ましい。
【0077】
(5)前記までの実施形態において、クリアラ制御部33bは、停止している糸Yがヤーンクリアラ33によって所定の第1時間検知された場合に、カッタ33aに糸Yを切断させるように構成されているものとした。また、それに加え/又はその代わりに、クリアラ制御部33bは、所定の第2時間、ヤーンクリアラ33によって監視された糸Yの品質が変化していないと判断した場合に、カッタ33aに糸Yを切断させるように構成されているものとした。しかしながら、これには限られない。クリアラ制御部33bは、停止している糸Yが検知される状況においても、カッタ33aに糸Yを切断させないように構成されていても良い。この場合、オペレータの負担が最も軽くなる制御モードとして、第2モードが選択されることが好ましい。
【0078】
(6)前記までの実施形態において、機台制御装置4は、少なくとも第1モードの情報及び第2モードの情報を記憶しており、制御モードを選択可能に構成されているものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、機台制御装置4は、第1モード、第2モード及び第3モードのいずれか1つのみの情報と、上述した従来の制御モードの情報とを記憶していても良い。或いは、ユニット制御部15は、第1モード、第2モード及び第3モードのいずれか1つの制御モードのみを実行可能(すなわち、制御モードを変更不可)に構成されていても良い。
【0079】
(7)前記までの実施形態において、ユニット制御部15は、押しボタンスイッチ14aが押された場合に巻取再開入力(又は案内開始入力)が行われたと判断するものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、巻取ユニット2は、押しボタンスイッチ14aに加え、又は押しボタンスイッチ14aの代わりに、不図示のレバースイッチその他のスイッチ装置(切替スイッチ部)を有していても良い。ユニット制御部15は、例えば、レバースイッチに対する所定の切替操作が行われた場合に、巻取再開入力(又は案内開始入力)が行われたと判断しても良い。このような構成において、レバースイッチに設けられたレバーは、例えば、再開前待機処理の終了時(又は案内前待機処理の終了時)、操作前の位置に自動的に復帰するように構成されていても良い。
【0080】
或いは、上述したスイッチ装置に加え、又はスイッチ装置の代わりに、巻取ユニット2は、不図示のキーボード及び/又はタッチパネルを有していても良い。ユニット制御部15は、キーボード及び/又はタッチパネルにおいて所定の操作が行われた場合に、巻取再開入力(又は案内開始入力)が行われたと判断しても良い。この場合、キーボード及び/又はタッチパネルは、本発明の切替スイッチ部に含まれる。キーボード及び/又はタッチパネルに対する所定の操作は、本発明の所定の切替操作に含まれる。
【0081】
さらに別の例として、巻取ユニット2は、以下のように、オペレータの存在を検知するように構成された不図示の人感センサ(本発明の入力部)を有していても良い。人感センサとして、例えば、カメラ、光学センサ又は重量センサが設けられていても良い。このような構成において、ユニット制御部15は、例えば以下のような判断を行っても良い。制御モードが第1モード又は第3モードであるとき、ユニット制御部15は、まず、巻取停止処理から案内前待機処理の直前までの処理を実行した後、待機する(案内前待機処理を行う)。案内前待機処理中に、人感センサによってオペレータの存在が検知されたとき、ユニット制御部15は、案内開始入力が行われたと判断し、案内前待機処理を終了させる。さらにその後、ユニット制御部15は、再開前待機処理の直前までの処理を実行した後、待機する(再開前待機処理を行う)。再開前待機処理中に、人感センサによってオペレータの存在が検知されなくなったとき、ユニット制御部15は、巻取再開入力が行われたと判断し、再開前待機処理を終了させる。また、制御モードが第2モードであるとき、ユニット制御部15は、まず、巻取停止処理から再開前待機処理の直前までの処理を実行した後、待機する(再開前待機処理を行う)。再開前待機処理中に、人感センサによってオペレータの存在が検知されてから所定時間の経過後にオペレータの存在が検知されなくなったとき、ユニット制御部15は、巻取再開入力が行われたと判断し、再開前待機処理を終了させる。このような処理が行われても良い。
【0082】
さらに別の例として、以下の制御が行われても良い。ユニット制御部15は、上記人感センサによる検知結果に基づいて案内開始入力が行われたかどうかの判断を行い、上記切替スイッチ部の操作結果に基づいて巻取再開入力が行われたかどうかの判断を行っても良い。或いは、ユニット制御部15は、上記切替スイッチ部の操作結果に基づいて巻取再開入力が行われたかどうかの判断を行い、上記人感センサによる検知結果に基づいて巻取再開入力が行われたかどうかの判断を行っても良い。
【0083】
(8)前記までの実施形態において、離隔部70のエアシリンダ71、72は、糸走行方向においてヤーンクリアラ33を挟むように設けられるものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、糸走行方向において糸継装置34を挟むようにエアシリンダ71、72が設けられていても良い。また、巻取ユニット2は、複数の離隔部70を有していても良い。1つの離隔部70(監視離隔部)がヤーンクリアラ33の近傍に設けられ、もう1つの離隔部70(糸継離隔部)が糸継装置34の近傍に設けられてもよい。なお、監視離隔部の構造と糸継離隔部の構造は同一でなくても良い。
【0084】
(9)前記までの実施形態において、機台制御装置4とユニット制御部15とクリアラ制御部33bとを合わせたものが本発明の制御部に相当するものとしたが、これには限られない。例えば、ユニット制御部15がクリアラ制御部33bの機能を有していても良い。この場合、機台制御装置4とユニット制御部15を合わせたものが本発明の制御部に相当する。さらに、機台制御装置4の代わりに、ユニット制御部15が第1モード及び/又は第2モードを含む1以上の制御モードの実行プログラムを記憶していても良い。この場合、ユニット制御部15が本発明の制御部に相当する。ここで、複数の制御モードの実行プログラムがユニット制御部15に記憶されている場合、機台制御装置4は、オペレータによる入力部4aへの入力操作に応じて、いずれの実行プログラムを実行するかの指令信号を各ユニット制御部15に送信しても良い。
【0085】
或いは、機台制御装置4がユニット制御部15の機能及びクリアラ制御部33bの機能を有していても良い。つまり、機台制御装置4が複数の巻取ユニット2の全てを制御しても良い。この場合、機台制御装置4が本発明の制御部に相当する。
【0086】
(10)前記までの実施形態において、下糸捕捉案内部35は、下糸Y1を吸引捕捉するものとした。また、上糸捕捉案内部36は、上糸Y2を吸引捕捉するものとした。しかしながら、下糸Y1及び上糸Y2の捕捉手段はこれに限られない。例えば、下糸捕捉案内部35は、下糸Y1を把持することにより捕捉して糸継装置34に案内可能に構成されていても良い。上糸捕捉案内部36は、上糸Y2を把持することにより捕捉して糸継装置34に案内可能に構成されていても良い。
【0087】
(11)前記までの実施形態において、自動ワインダ1は複数の巻取ユニット2を備えるものとしたが、これには限られない。自動ワインダ1は、巻取ユニット2を1つのみ備えていても良い。
【0088】
(12)本発明は、自動ワインダ1の他に、例えば特開2019-31380号公報に記載されているような紡績機に適用されても良い。この場合、紡績機(不図示)は、紡績糸をそれぞれ巻き取る複数の紡績ユニット(不図示)と、複数の紡績ユニットに共通の1つの糸継台車(不図示)とを備える。この場合、紡績機が本発明の糸巻取機に相当する。紡績ユニットが本発明の巻取ユニットに相当する。糸継台車が本発明の糸継部に相当する。糸継台車を制御する台車制御装置(不図示)が、本発明の制御部に含まれる。なお、紡績機に本発明を適用する場合、糸継台車よりも糸走行方向における上流側において紡績糸を一時的に貯留する貯留部が設けられていることが求められる。貯留部において一時貯留可能な糸の量は、多いほど良い。
【符号の説明】
【0089】
1 自動ワインダ(糸巻取機)
4 機台制御装置
11 給糸部
13 巻取部
14 操作部(入力部)
14a 押しボタンスイッチ(切替スイッチ部)
15 ユニット制御部
33 ヤーンクリアラ(監視部)
33a カッタ(切断部)
33b クリアラ制御部
34 糸継装置(糸継部)
35 下糸捕捉案内部(第1案内部)
36 上糸捕捉案内部(第2案内部)
70 離隔部(監視離隔部、糸継離隔部)
K 結び目
P パッケージ
Y 糸
図1
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