(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163652
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/06 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
B65H5/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074694
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】醍醐 宏典
【テーマコード(参考)】
3F049
【Fターム(参考)】
3F049AA10
3F049CA02
3F049DA12
3F049EA10
3F049EA13
3F049EA24
3F049EA28
3F049LA07
3F049LB03
(57)【要約】
【課題】記録媒体の搬送速度の安定化を図り、画像不良の発生を抑えるようにする。
【解決手段】画像形成部12が行う印刷位置よりも搬送方向下流側に配置され、記録媒体としての記録紙Pを挟持するニップ部Nを形成し、記録紙Pを搬送する搬送ローラー対161を備える。搬送ローラー対161が有する駆動ローラー162の駆動源は、駆動ローラー123の駆動源と別にし、制御部が、搬送ローラー対161の動作を制御し、到達検出センサー17により記録紙Pのニップ部Nへの突入直前位置への到達が検出されてから予め定められた期間が経過するまで、駆動ローラー162の回転速度を速くし、印刷位置から抜け切っていない記録紙Pの先端がニップ部Nに突入しても、記録紙Pの搬送速度の安定化が図られるようにする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を記録媒体に形成して印刷を行う画像形成部と、
前記画像形成部が行う印刷位置における前記記録媒体を搬送する搬送部材と、
前記印刷位置よりも前記記録媒体の搬送方向下流側に配置され、前記記録媒体を挟持するニップ部を形成し、前記記録媒体を挟持して搬送する搬送ローラー対と、
前記ニップ部に前記記録媒体が突入する直前の予め定められた検出位置への前記記録媒体の到達を検出する到達検出センサーと、
前記搬送部材を駆動する第1駆動源と、
前記搬送ローラー対を駆動する、前記第1駆動源とは別個の第2駆動源と、
前記搬送部材及び前記搬送ローラー対の動作を制御する制御部と、を備え、
前記搬送ローラー対は、前記印刷位置を通過中の前記記録媒体の先端が前記ニップ部に突入する位置に配置され、
前記搬送ローラー対は、前記第2駆動源が連結される駆動ローラーと、当該駆動ローラーとの間で前記ニップ部を形成する従動ローラーと、を有し、
前記制御部は、前記到達検出センサーにより前記搬送部材によって第1回転速度で搬送されてきた前記記録媒体の前記検出位置への到達が検出されてから前記ニップ部に前記記録媒体が突入した後の一定期間、前記駆動ローラーの回転速度を、前記第1回転速度から、前記第1回転速度より速い第2回転速度に設定する画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動ローラー及び前記従動ローラーのうち、前記画像形成部を通過時に画像が形成される前記記録媒体の印刷面の裏面に接する一方のローラーは、外周面において周方向に形成された複数の環状溝部を有し、
前記複数の環状溝部は、前記一方のローラーの回転軸方向に互いに間隔を空けて形成され、
前記印刷面に接する他方のローラーは、前記複数の環状溝部に対向して配置され、前記複数の環状溝部との間でニップ部を形成し、前記環状溝部に入り込む厚さである薄肉の複数の回転体で構成されている、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記記録媒体の厚みが増すにつれて前記駆動ローラーの前記回転速度が速くなる前記第2回転速度を設定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部はインクジェット方式により前記記録媒体に画像を形成する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、画像不良の発生を抑えるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機や複合機等の画像形成装置においては、記録媒体の搬送速度の変動により、色ずれ等の画像不良が発生することがある。下記の特許文献1,2には、記録媒体としての記録紙にたわみ(ループ)を形成し、記録紙の搬送速度の変動を記録紙自身に吸収させることで、画像不良を発生させないようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-076348号公報
【特許文献2】特開2002-249258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置には、記録紙に画像が形成される印刷位置よりも搬送方向下流側に配置され、記録紙を搬送する搬送ローラー対を備えるものがある。搬送ローラー対で形成されるニップ部に記録紙が突入するとき、突入時の衝撃により、記録紙の先端に負荷が掛かり、記録紙の搬送速度が低下することがある。このとき、記録紙の後端が印刷位置から完全に抜け切っていれば問題ないが、印刷位置から抜け切らず、その一部が印刷位置に残っている場合、色ずれ等の画像不良が発生するおそれがある。
【0005】
図8は、記録紙に生じる色ずれを示すイメージ図である。ドットY1~Y3、ドットK1~K3、ドットC1~C3、ドットM1,M2はそれぞれ、イエロー、ブラック、シアン、マゼンタのドットを示している。記録紙Pに色ずれが生じていなければ、ドットY2,K2,C2,M2は、ドットY1,K1,C1,M1と同様に図中縦方向に一直線上に並び、ドットY3,K3,C3についても、縦方向に一直線上に並ぶが、色ずれを生じると、
図8に示すように、ドットM2,C3は正規の位置からずれる。
【0006】
例えば厚紙を搬送する場合、薄紙を搬送する場合よりも、搬送ローラー対で記録紙を挟持する力(ニップ圧)を大きくし、搬送力を高める必要があるが、ニップ圧を大きくすると、ニップ部に突入するときに記録紙に掛かる負荷も大きくなる。そのため、厚紙を搬送する場合などは特に搬送速度の変動が起こりやすい。
【0007】
上記の特許文献1,2に記載された発明では、たわみを形成することで搬送速度の変動を記録紙自身に吸収させているが、たわみにより新たな速度変動を引き起こすおそれがある。また、印刷位置に記録紙が残っているときたわみを形成した場合、却って色ずれが起こりやすくなることが考えられる。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、記録媒体の搬送速度の安定化を図り、画像不良の発生を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、画像を記録媒体に形成して印刷を行う画像形成部と、前記画像形成部が行う印刷位置における前記記録媒体を搬送する搬送部材と、前記印刷位置よりも前記記録媒体の搬送方向下流側に配置され、前記記録媒体を挟持するニップ部を形成し、前記記録媒体を挟持して搬送する搬送ローラー対と、前記ニップ部に前記記録媒体が突入する直前の予め定められた検出位置への前記記録媒体の到達を検出する到達検出センサーと、前記搬送部材を駆動する第1駆動源と、前記搬送ローラー対を駆動する、前記第1駆動源とは別個の第2駆動源と、前記搬送部材及び前記搬送ローラー対の動作を制御する制御部と、を備え、前記搬送ローラー対は、前記印刷位置を通過中の前記記録媒体の先端が前記ニップ部に突入する位置に配置され、前記搬送ローラー対は、前記第2駆動源が連結される駆動ローラーと、当該駆動ローラーとの間で前記ニップ部を形成する従動ローラーと、を有し、前記制御部は、前記到達検出センサーにより前記搬送部材によって第1回転速度で搬送されてきた前記記録媒体の前記検出位置への到達が検出されてから前記ニップ部に前記記録媒体が突入した後の一定期間、前記駆動ローラーの回転速度を、前記第1回転速度から、前記第1回転速度より速い第2回転速度に設定するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ニップ部に突入する直前の予め定められた検出位置への記録媒体の到達が検出されてから当該ニップ部に記録媒体の突入した後の一定期間、画像形成部から搬送されてくる記録媒体を搬送する駆動ローラーの回転速度を、それまでの回転速度である第1回転速度よりも速い第2回転速度まで速くするので、上記突入による記録媒体の搬送速度の変化が吸収されて記録媒体の搬送速度の安定化が図られ、画像不良の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図2】画像形成部及びその周辺を模式的に示す正面図である。
【
図6】画像形成装置の制御ユニットで行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】(A)及び(B)は、経過時間と駆動ローラーの回転速度及び記録紙の搬送速度との関係を示す図である。
【
図8】記録紙に生じる色ずれを示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【0013】
画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機であり、制御ユニット10と、原稿給送部6と、原稿読取部5と、画像形成部12と、給紙部14と、乾燥搬送ユニット15と、排出搬送ユニット16と、到達検出センサー17と、操作部47と、記憶部8と、を備える。
【0014】
原稿給送部6は、原稿読取部5の上面に図略のヒンジ等によって開閉可能に構成され、原稿給送部6は、図略のプラテンガラス上に載置された原稿を読み取る場合に原稿押さえカバーとして機能する。また、原稿給送部6は、ADF(Auto Document Feeder)と呼ばれる自動原稿送り装置であり、図略の原稿載置トレイを備え、原稿載置トレイに載置された原稿を原稿読取部5へ1枚ずつ給送する。
【0015】
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿給送部6により原稿読取部5へ供給された原稿、又は上記プラテンガラス上に載置されている原稿の画像を、原稿読取部5が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、図略の画像メモリー等に保存される。
【0016】
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データや、画像メモリー等に記憶されている画像データ、ネットワーク接続されたコンピューターから受信した画像データ等に基づいて、画像形成部12が、インクジェット方式により、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙に画像を形成する。給紙部14は、記録紙を収容する給紙カセットを備える。
【0017】
図2は、画像形成部12及びその周辺を模式的に示す正面図である。画像形成部12は、4色(マゼンタ、シアン、ブラック、及びイエロー)のインク滴を吐出するそれぞれのインクヘッド121M,121C,121K,121Y(以降、「インクヘッド121」と称す)と、印刷搬送ユニット122と、を備え、画像を記録紙(記録媒体の一例)Pに形成して印刷を行う。
【0018】
印刷搬送ユニット122は、駆動ローラー123と、従動ローラー124と、吸着ローラー125と、複数のテンションローラー126と、搬送ベルト127と、ローラー駆動部128(
図1)と、を備える。搬送ベルト127は、無端状のベルトであり、インクヘッド121と対向して記録紙Pを搬送するものであり、駆動ローラー123、従動ローラー124、及びテンションローラー126に架け渡されている。搬送ベルト127は、特許請求の範囲における搬送部材の一例である。
【0019】
駆動ローラー123は、ローラー駆動部128により
図2中では反時計回りに回転駆動されるローラーである。ローラー駆動部128は、モーターやギア等から構成され、駆動ローラー123に回転駆動力を付与する駆動源としての機能を果たす。駆動ローラー123が回転駆動されることで、搬送ベルト127が反時計回りに走行すると共に、従動ローラー124及びテンションローラー126が反時計回りに回転する。ローラー駆動部128は、特許請求の範囲における第1駆動源の一例である。
【0020】
テンションローラー126は、搬送ベルト127の緊張状態を適切な状態で保つためのローラーである。吸着ローラー125は、搬送ベルト127を帯電させることで、給紙部14から給紙された記録紙Pを搬送ベルト127に静電的に吸着させるものである。
【0021】
搬送ベルト127には、図略の吸引孔が複数形成され、搬送ベルト127の下方に配置された図略の負圧発生部が、上記吸引孔を介して記録紙Pに負圧を与え、記録紙Pを搬送ベルト127上に吸着させる。
【0022】
乾燥搬送ユニット15及び排出搬送ユニット16は、画像形成部12が行う印刷位置よりも搬送方向下流側に配置されている。画像形成部12により画像が形成された記録紙Pはフェイスアップ(印刷面が上)で、乾燥搬送ユニット15及び排出搬送ユニット16を通って、図略の排出トレイに排出される。
【0023】
乾燥搬送ユニット15は、記録紙Pを搬送して、記録紙Pに付着したインクを自然乾燥させる。乾燥搬送ユニット15は、無端状の搬送ベルト151と、一対のローラー152,153と、を備える。なお、乾燥搬送ユニット15は、必須ではなく、設けない構成としてもよい。
【0024】
排出搬送ユニット16は、搬送ローラー対161と、ローラー駆動部164(
図1)と、を備える。搬送ローラー対161は、駆動ローラー162と、従動ローラー163と、を有する。従動ローラー163は、駆動ローラー162と対向して配置され、駆動ローラー162との間で記録紙Pを挟持するニップ部Nを形成する。ローラー駆動部164は、特許請求の範囲における第2駆動源の一例である。
【0025】
なお、搬送ローラー対161、駆動ローラー162、及び従動ローラー163はそれぞれ、特許請求の範囲における搬送ローラー対、駆動ローラー、及び従動ローラーの一例である。また、駆動ローラー162は、特許請求の範囲における第1ローラーの一例であり、従動ローラー163は、特許請求の範囲における第2ローラーの一例である。
【0026】
駆動ローラー162は、従動ローラー163の下方に配置され、記録紙Pはフェイスアップで搬送されるので、記録紙Pと印刷面で接しないが、従動ローラー163は、記録紙Pと印刷面で接する。ローラー駆動部164(
図1)は、モーターやギア等から構成され、駆動ローラー162に回転駆動力を付与する駆動源としての機能を果たす。なお、ローラー駆動部164は、駆動ローラー123の駆動源であるローラー駆動部168とは別物である。すなわち、駆動ローラー162の駆動源は、上記印刷位置を通過中の記録紙Pの搬送に使用する駆動源と別である。
【0027】
図3は、排出搬送ユニット16を示す正面図である。
図4は、排出搬送ユニット16を示す斜視図である。
図5は、排出搬送ユニット16を示す右側面図である。
【0028】
駆動ローラー162の回転軸162Aは、記録紙Pの幅方向よりも長く形成され、回転軸162Aの両端部は、記録紙Pの幅方向の外側に配置された図略の支持体により回転可能に軸支されている。また、回転軸162Aの一端部には、ローラー駆動部164(
図1)のギアが取り付けられ、モーターからの駆動力が伝達される。
【0029】
また、駆動ローラー162は、外周面において周方向に形成された複数の環状溝部162Bを有する。環状溝部162Bは、駆動ローラー162の回転軸162A方向に互いに間隔を空けて形成されている。
【0030】
従動ローラー163は、当該従動ローラー163の回転軸を中心にして回転する複数の回転体163Aを有する。回転体163Aは、外周部が環状溝部162Bに入り込む厚さである薄肉の回転体とされる。回転体163Aは、複数の環状溝部162Bに対向して配置され、複数の環状溝部162Bとの間でニップ部を形成する。
【0031】
また、回転体163Aは、付勢部材163Bによって駆動ローラー162を押圧する方向に付勢されている。これにより、駆動ローラー162と従動ローラー163との間でニップ部Nが形成される。
【0032】
図1及び
図2に示した到達検出センサー17は、ニップ部Nに記録紙Pが突入する直前の予め定められた検出位置への記録紙Pの到達を検出するものであり、ニップ部Nの近くに配置される。予め定められた検出位置は、例えば、到達検出センサー17により記録紙Pの先端(記録紙Pの搬送方向においての先端)を検出可能となるニップ部Nからの最短位置、又は、搬送ローラー対161の直近となる記録紙搬送方向上流側に配置されているローラーと搬送ローラー対161との間の位置であって搬送ローラー対161よりとなる位置、等である。到達検出センサー17は、例えば、発光素子と、当該発光素子から射出された光の記録紙Pからの反射光を受ける受光素子とを備える既知の反射型光センサーからなり、それまで発光素子から射出された光を受光していた受光素子が当該受光していた光を受光しなくなった状態ことをもって、記録紙Pの先端が上記直前位置に到達したことを検出する。
【0033】
操作部47は、各種の物理キー又はタッチパネルを備え、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について、操作者から、画像形成動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。また、操作部47は、表示部473が有するタッチパネルを介して、表示部473に表示されている操作画面に対するユーザーによる操作(タッチ操作)に基づく、ユーザーからの指示の入力を受け付ける。
【0034】
また、操作部47は、操作部47に設けられた物理キーに対するユーザーによる操作に基づく、ユーザーからの指示の入力を受け付ける。
【0035】
表示部473は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる。表示部473は、タッチパネルを備えている。操作者は画面表示されるボタンやキーに触れる操作を行うと、タッチパネルにより、タッチ操作された位置に対応付けられた指示が受け付けられる。
【0036】
記憶部8は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置であり、各種の制御プログラム等を記憶する。
【0037】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100を備えている。
【0038】
制御ユニット10は、記憶部8に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100として機能するものである。但し、制御部100は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、ハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0039】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、給紙部14、乾燥搬送ユニット15、排出搬送ユニット16、到達検出センサー17、操作部47、及び記憶部8と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。例えば、制御部100は、画像形成部12等の動作を制御して、給紙部14から給紙された記録紙Pに画像を形成して印刷ジョブを実行する。
【0040】
また、制御部100は、記録紙Pの種別に応じて、ニップ部Nでのニップ圧を調整する制御を行う。制御部100は、例えば、ユーザーにより入力された記録紙Pの厚みが増すにつれてニップ圧が大きくなるように、ニップ圧を調整する。ニップ圧の調整は、例えば、駆動ローラー162と従動ローラー163とを接離させる既知の切離機構(例えば、従動ローラー163をその回転軸の両端部において回転自在に軸支する支持部160をその回動軸1601周りに回動させる機構))を制御部100が動作制御することによって行われる。
【0041】
また、制御部100は、搬送ローラー対161の動作を制御し、駆動ローラー162の回転速度を調整する。具体的には、制御部100は、ローラー駆動部164を制御し、駆動ローラー162の回転速度を調整する。例えば、制御部100は、搬送ローラー対161の動作を制御し、通常印刷時の用紙搬送速度とするときに用いる予め定められた第1回転速度で記録紙Pを搬送させる。制御部100は、到達検出センサー17により記録紙Pの上記検出位置への到達が検出されてからニップ部Nに記録紙Pが突入した後の一定期間、駆動ローラー162の回転速度を、第1回転速度よりも速い予め定められた第2回転速度まで速くする。
【0042】
次に、画像形成装置1の制御ユニット10で行われる処理の一例を、
図6に示すフローチャートを参照して説明する。なお、この処理は、印刷ジョブが実行されているときに行われる処理である。
【0043】
制御部100は、到達検出センサー17から、記録紙Pの先端を検出したことを示す検出信号を取得し(S1)、ニップ部Nに記録紙Pが突入する直前位置(到達検出センサー17の配設位置)に、記録紙Pが到達したか否かを判断する(S2)。制御部100は、上記直前位置に記録紙Pが到達したと判断した場合(S2でYES)、ローラー駆動部164を制御し、駆動ローラー162の回転速度を上記第2回転速度まで速くする(S3)。制御部100は、例えば、上記第2回転速度は、例えば、それまでの第1回転速度よりも0.1~8.0%だけ回転速度を早くした速度である。
【0044】
続いて、制御部100は、上記検出位置に記録紙Pが到達したタイミング(すなわち、駆動ローラー162の回転速度を速くしたタイミング)から予め定められた期間Tが経過したか否かを判断する(S4)。例えば、予め実験等による測定により、記録紙Pの先端がニップ部Nに到達して駆動ローラー162及び従動ローラー163に衝突したときに搬送ローラー対161による記録紙Pの搬送速度が低下する速度低下期間が定められる。予め定められた期間Tは、到達検出センサー17が記録紙Pの先端を検出した時点から、当該速度低下期間の終了時点までの期間、又は当該終了時点よりも予め定められた時間だけ遅い時点までの期間である。すなわち、制御部100は、駆動ローラー162の回転速度を速くすることで搬送ローラー対161の動作を制御して、到達検出センサー17により記録紙Pの上記検出位置への到達が検出されてからニップ部Nに記録紙Pが突入した後の一定期間、駆動ローラー162の回転速度を上記第2回転速度まで速くする。
【0045】
制御部100は、上記期間Tが経過したと判断した場合(S4でYES)、ローラー駆動部164を制御し、駆動ローラー162の回転速度を元の速度に戻す(S5)。この後、処理はS1の処理に戻る。一方、制御部100は、上記期間Tが経過していないと判断した場合(S4でNO)、S3の処理に戻る。
【0046】
制御部100は、上記直前位置に記録紙Pが到達していないと判断した場合(S2でNO)、印刷ジョブが終了したか否かを判断し(S6)、印刷ジョブが終了したと判断した場合(S6でYES)、この処理を終了する。一方、制御部100が、印刷ジョブが終了していないと判断した場合(S6でNO)、処理はS1に戻る。
【0047】
図7は、経過時間と駆動ローラー162の回転速度及び記録紙Pの搬送速度との関係を示す図である。
図7(A)は、駆動ローラー162の回転速度を調整しない従来例を示し、
図7(B)は、駆動ローラー162の回転速度を調整する本実施例を示している。
図7中、破線グラフは駆動ローラー162の回転速度を示し、実線グラフは記録紙Pの搬送速度を示している。
【0048】
駆動ローラー162の回転速度を調整しなかった場合、
図7(A)に示すように、記録紙Pはニップ部Nへの突入により搬送速度が大きく変動する。一方、到達検出センサー17による検出信号が、記録紙Pの先端を検出しないことを示すオフ信号から、記録紙Pの先端を検出したことを示すオンに切り替わったタイミング(記録紙Pの先端が上記直前位置に到達したタイミング)から上記期間Tが経過するまで、駆動ローラー162の回転速度を速くした場合、
図7(B)に示すように、記録紙Pがニップ部Nへ突入してきたときの記録紙搬送速度の変動は小さくなる。
【0049】
上記実施形態では、従動ローラー163は、記録紙Pの幅方向に長い、従来型の外周面が平坦なローラーではなく、複数の回転体163Aを有するローラーであり、ニップ部Nは複数の回転体163Aと駆動ローラー162との間で形成される。そのため、回転体163Aのそれぞれに掛かる負荷は小さく、ニップ部Nへの突入時に記録紙Pに掛かる負荷は軽減されるので、搬送速度の変動を従来よりも小さくでき、画像不良の発生を抑えることができる。また、これにより、搬送力を確保厚紙等の高負荷用紙も搬送可能にする。
【0050】
また、ニップ部Nに記録紙Pが突入する上記直前位置への、記録紙Pの到達が検出されてから予め定められた期間Tが経過するまで、駆動ローラー162の回転速度を速くし、記録紙Pの搬送速度の安定化が図られるので、画像不良の発生をより一層確実に抑えることができる。例えば、画像形成部12の印刷位置から抜け切っていない記録紙Pの先端がニップ部Nに突入したときの記録紙Pの搬送速度の安定化が図られる。
【0051】
従動ローラー163は、記録紙Pの印刷面と接する側に配置されるので、回転体163Aの外周部に記録紙Pのインクが付着する可能性があるが、回転体163Aに掛かる負荷は小さいので、インク付着量(インク汚れ)を軽減することができる。
【0052】
また、回転体163Aの外周部は、駆動ローラー162の環状溝部162Bに入り込むので、回転体163Aの外周部に付着したインクが、駆動ローラー162の外周面に付着しないようにすることができる。これにより、回転体163Aに付着したインクが、駆動ローラー162を介して、記録紙Pの印刷面と反対側の面に付着するのを防ぐことができる。
【0053】
また、別の実施形態として、制御部100は、記録紙Pの厚みが増すにつれて上記回転速度が速くなるように、記録紙Pの厚み毎に上記第2回転速度を設定してもよい。すなわち、制御部100は、記録紙Pの厚みが増すにつれて駆動ローラー162の回転速度が速くなるように上記第2回転速度を設定する。これにより、記録紙Pの厚みに応じたより適切な速度調整が可能となる。
【0054】
制御部100は、例えば、ユーザーにより操作部47に入力された記録紙Pの厚みが最も薄い場合、駆動ローラー162の回転速度を、それまでの回転速度よりも0.1%だけ回転速度を早くした速度とし、ユーザーにより入力された記録紙Pの厚みが受付可能とする最も大きな値である場合、それまでの回転速度よりも8.01%だけ回転速度を早くした速度とする。
【0055】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、インクジェット方式により記録紙Pに画像を形成する場合について説明しているが、電子写真方式によりトナーを含む現像剤を用いて記録紙Pに画像を形成する場合にも本発明は適用可能である。また、上記実施形態では、
図1乃至
図8を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0056】
1 画像形成装置
12 画像形成部
17 到達検出センサー
161 搬送ローラー対
162 駆動ローラー
162A 回転軸
162B 環状溝部
163 従動ローラー
163A 回転体