(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163660
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】ルーフモジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
B60J 3/02 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
B60J3/02 K
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074706
(22)【出願日】2022-04-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】390023917
【氏名又は名称】八千代工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 元
(72)【発明者】
【氏名】上岡 宏崇
(57)【要約】
【課題】ルーフモジュールを容易に組み立てできるようにする。
【解決手段】ルーフモジュール1の製造方法は、ルーフパネル2の内面に取付部材(23)を固定するステップと、1対のガイドレール6、シェードシート8及び巻取装置を備えるシェードユニット3を組み立てるステップと、ガイドレール6を互いに平行に保つための治具30をシェードユニット3に装着するステップと、治具30が装着された9シェードユニット3を取付部材(23)に固定するステップと、ルーフパネル2の内面に取り付けられたシェードユニット3から治具30を取り外すステップとを含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフに配置されるルーフパネルと、
前記ルーフパネルの内面に沿って前記車両の前後方向に延在し、取付部材を介して前記ルーフパネルに取り付けられる1対のガイドレールと、
前記ガイドレールによってガイドされるシェードシートと、
前記ガイドレールに支持され、前記シェードシートを巻き取る巻取装置と、
を備えるルーフモジュールの製造方法であって、
前記ルーフパネルの前記内面に前記取付部材を固定するステップと、
前記ガイドレール、前記シェードシート及び前記巻取装置を備えるシェードユニットを組み立てるステップと、
前記ガイドレールを互いに平行に保つための治具を前記シェードユニットに装着するステップと、
前記治具が装着された前記シェードユニットを前記取付部材に固定するステップと、
前記ルーフパネルの前記内面に取り付けられた前記シェードユニットから前記治具を取り外すステップと、を含むルーフモジュールの製造方法。
【請求項2】
前記ルーフモジュールが、前記シェードシートを開閉方向に駆動する駆動源と、前記駆動源を支持するブラケットとを更に備え、
前記シェードユニットを組み立てるステップにおいて、前記巻取装置及び前記駆動源が前記ガイドレールの後端側に集約して配置され、
前記ルーフパネルの前記内面に前記ブラケットを固定するステップを更に含む、請求項1に記載のルーフモジュールの製造方法。
【請求項3】
前記治具は、互いに平行に前記車両の幅方向に延在し、前記ガイドレールを保持する1対の平行保持部と、前記平行保持部を連結して前記平行保持部の間隔を一定に保つ間隔保持部とを有する請求項1又は2に記載のルーフモジュールの製造方法。
【請求項4】
前記シェードユニットが、前記ガイドレールの後部同士を連結するリヤクロスメンバを更に備える請求項1又は2に記載のルーフモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のサンルーフユニット(モジュール)として、ルーフウィンドウと、その下に配置された2つのガイドレールを備えたローラーブラインドシステム(ユニット)とを備えたものが公知である(特許文献1参照)。ガイドレールは、ウィンドウの下からウィンドウに接着される固定部材を用いてウィンドウに固定される。ガイドレールには車幅方向に延びるスロットが設けられ、固定部材には固定孔が形成されている。ガイドレールは、固定ボルトがスロットを通って固定孔に固定されることにより、固定部材にボルト止めされる。スロットが車幅方向に長いことにより、ガイドレールは車幅方向に可変な位置でルーフに固定可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のサンルーフモジュールでは、ガイドレールをウィンドウに固定する際にガイドレールを平行に配置し、その状態でガイドレールをボルト固定する必要がある。そのため、サンルーフモジュールの組立に時間がかかる。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、ルーフモジュールを容易に組み立てられるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、車両のルーフに配置されるルーフパネル(2)と、前記ルーフパネルの内面に沿って前記車両の前後方向に延在し、取付部材(23)を介して前記ルーフパネルに取り付けられる1対のガイドレール(6)と、前記ガイドレールによってガイドされるシェードシート(8)と、前記ガイドレールに支持され、前記シェードシートを巻き取る巻取装置(9)と、を備えるルーフモジュール(1)の製造方法であって、前記ルーフパネルの前記内面に前記取付部材を固定するステップと、前記ガイドレール、前記シェードシート及び前記巻取装置を備えるシェードユニット(3)を組み立てるステップと、前記ガイドレールを互いに平行に保つための治具(30)を前記シェードユニットに装着するステップと、前記治具が装着された前記シェードユニットを前記取付部材に固定するステップと、前記ルーフパネルの前記内面に取り付けられた前記シェードユニットから前記治具を取り外すステップと、を含む。
【0007】
この態様によれば、1対のガイドレールが治具によって互いに平行に保たれた状態で、シェードユニットを取付部材に固定できるため、ルーフモジュールの組立が容易である。
【0008】
上記の態様において、前記ルーフモジュールが、前記シェードシートを開閉方向に駆動する駆動源(12)と、前記駆動源を支持するブラケット(13)とを更に備え、前記シェードユニットを組み立てるステップにおいて、前記巻取装置及び前記駆動源が前記ガイドレールの後端側に集約して配置され、前記ルーフパネルの前記内面に前記ブラケットを固定するステップを更に含むと良い。
【0009】
この態様によれば、巻取装置及び駆動源がガイドレールの後端側に集約して配置されることで、ガイドレールの前端側にスペースが生まれる。よって、このスペースに室内灯やその操作スイッチ、サンシェードの操作スイッチ等の機能部品を自由なレイアウトで配置することができる。
【0010】
上記の態様において、前記治具は、互いに平行に前記車両の幅方向に延在し、前記ガイドレールを保持する1対の平行保持部(31)と、前記平行保持部を連結して前記平行保持部の間隔を一定に保つ間隔保持部(32)とを有すると良い。
【0011】
この態様によれば、1対の平行保持部と間隔保持部とを有する簡単な構成によって治具を具現化することができる。
【0012】
上記の態様において、前記シェードユニットが、前記ガイドレールの後部同士を連結するリヤクロスメンバ(7)を更に備えると良い。
【0013】
この態様によれば、シェードユニットを組み立てる際に、1対のガイドレールがリヤクロスメンバによって連結されたレールアセンブリとして取り扱えるため、シェードユニットの組立が容易である。
【発明の効果】
【0014】
以上の態様によれば、ルーフモジュールを容易に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係るルーフモジュールを内面側から見た斜視図
【
図2】シェードユニットが閉状態にあるルーフモジュールの斜視図
【
図3】ガイドレールの前端部を内面側から見た拡大斜視図
【
図6】実施形態に係るルーフモジュールの組立手順の説明図
【
図7】実施形態に係るルーフモジュールの組立手順の説明図
【
図8】実施形態に係るルーフモジュールの組立手順の説明図
【
図10】実施形態に係るルーフモジュールの組立手順の説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、実施形態に係るルーフモジュール1を内面側から見た斜視図である。
図1に示すように、ルーフモジュール1は、車両のルーフの外面をなすアウタパネルとして、開口を有するルーフのインナパネル又はサイドレールの上に配置され、インナパネル又はサイドレールによって支持される。ルーフモジュール1は、ルーフパネル2と、ルーフパネル2の内面(下面)に取り付けられたシェードユニット3とを備えている。
【0018】
ルーフパネル2はルーフの外面を形成するすアウタパネルであり、透明又は半透明のガラス又は樹脂により形成されている。ルーフパネル2は、上方に凸となる向きに左右方向及び前後方向において湾曲した形状をしておりルーフの前部に設けられる。したがって、ルーフパネル2の前縁はシール部材を介してフロントガラスの後縁に接続される。ルーフパネル2の後方には金属製のアウタパネルが連続しても良く、リヤガラスが連続しても良い。
【0019】
シェードユニット3は、ルーフパネル2を透過して車室に照射される光を選択的に遮るための装置であり、ルーフパネル2とインナパネル又はサイドレールとの間に配置される。ルーフパネル2の外周部分の内面には黒セラミック2aが焼き付けられ、ルーフパネル2の中央部分のみが透明又は半透明になっていると良い。
【0020】
シェードユニット3は、ルーフパネル2の内面に取り付けられたレールアセンブリ4と、レールアセンブリ4に支持されたロールシェード5とを含んでいる。レールアセンブリ4は、ルーフパネル2の内面に取り付けられ、車両の前後方向に延在する1対のガイドレール6と、両ガイドレール6の後部同士を後端部近傍にて連結するリヤクロスメンバ7とを備えている。ガイドレール6は、アルミニウム合金の押し出し成形品であり、ルーフパネル2の形状に合わせて上に凸となる向きに長手方向において湾曲している。ガイドレール6は、左右対称の形状を有しており、車幅方向に所定の間隔を空けてルーフパネル2の側部に互いに平行に配置される。リヤクロスメンバ7は、鋼板のプレス成形品であり、1対のガイドレール6の後部に剛結合している。これにより、レールアセンブリ4は平面視でコの字形状(矩形の前側の1辺が開放されたチャネル形状)をしている。
【0021】
図1は、ロールシェード5によってルーフパネル2が覆われない開状態にあるルーフモジュール1の斜視図を示している。一方、
図2は、ロールシェード5によってルーフパネル2が覆われた閉状態にあるルーフモジュール1の斜視図である。
図2に併せて示すように、ロールシェード5はルーフパネル2を透過する光を遮るためのシェードシート8と、シェードシート8を巻き取る巻取装置9とを備えている。シェードシート8は、ルーフパネル2の内方にて展開された
図2に示す展開位置と、ルーフパネル2を覆わずに開放する
図1に示す収納位置との間を移動可能にガイドレール6によってガイドされる。シェードシート8は、光が完全に遮る必要はなく、光の少なくとも一部を遮るように構成されていれば良い。
【0022】
収納位置にあるとき、シェードシート8は巻取装置9によって巻き取られている。巻取装置9はリヤクロスメンバ7の後方に配置され、ガイドレール6の後端に支持されている。巻取装置9は、引き戻しばね(リトラクタースプリング)を備え、シェードシート8を収納位置に向けて巻取方向に常時付勢する。これにより、シェードシート8は前後方向に張った状態に維持される。シェードシート8の前端には車幅方向に延在するクロスバー10が取り付けられている。クロスバー10の両端には、ガイドレール6に支持されるスライダ11(
図3参照)が一体に設けられている。
【0023】
リヤクロスメンバ7は巻取装置9の前方に配置され、クロスバー10はリヤクロスメンバ7の前方に配置されている。シェードシート8は、巻取装置9からリヤクロスメンバ7の上方を通過してクロスバー10に至っており、リヤクロスメンバ7の上面に常時接触している。すなわち、シェードシート8はリヤクロスメンバ7によってガイドされ、どの引き出し位置にあってもリヤクロスメンバ7の上面高さに保持される。
【0024】
巻取装置9の後方には、シェードシート8を巻き出し方向及び巻き取り方向に駆動する駆動源12が配置されている。駆動源12は、ルーフパネル2の後端部の内面に取り付けられたブラケット13に対し、ボルトによって着脱可能に取り付けられている。駆動源12は、モータと減速機構とを有し、プッシュプルケーブルからなる左右の動力伝達部材14(
図4参照)を同期的に押し引きすることによって駆動する。動力伝達部材14は前端においてスライダ11に連結されており、駆動力を前後方向に変換してスライダ11に伝達する。駆動源12が1対の動力伝達部材14及び1対のスライダ11を介してクロスバー10を前方又は後方に移動させることにより、シェードシート8が巻き出し方向及び巻き取り方向に選択的に駆動される。
【0025】
駆動源12はルーフパネル2の幅方向の中間位置に配置されている。動力伝達部材14は、駆動源12とガイドレール6との間において1対のガイドパイプ15によってガイドされている。すなわち、駆動源12は1対のガイドパイプ15を介して1対のガイドレール6に連結されている。各動力伝達部材14は、ガイドレール6の後端からガイドレール6内に挿入されて前方へ延出し、前端が連結された対応するスライダ11に至っている。
【0026】
図3はガイドレール6の前端部を内面側から見た拡大斜視図であり、
図4は
図3中のIV-IV断面図である。
図3及び
図4に示すように、ガイドレール6は、スライダ11をガイドするためのスライダガイド溝16と、シェードシート8の側縁に取り付けられた案内帯17をガイドする帯ガイド溝18とを有している。スライダガイド溝16は上ガイド壁19及び下ガイド壁20によって画定され、車幅方向の内方に向けて開放されている。帯ガイド溝18はスライダガイド溝16の下方に位置しており、下ガイド壁20は帯ガイド溝18の上側部分も画定している。シェードシート8の左右の案内帯17は、左右の帯ガイド溝18によって前後方向に摺動可能に支持される。これにより、シェードシート8はガイドレール6によってガイドされ、所定の張力をもって車幅方向に張った状態に維持される。
【0027】
図3に示すように、ガイドレール6の前端にはスライダ11の前方への移動を規制するストッパ21が一体に形成されている。ストッパ21は、上ガイド壁19の車幅方向の内縁に形成された切欠き22によって後部部分から離隔された上ガイド壁19の前端の一部がスライダガイド溝16に突出するように下方に折り曲げられて形成されている。
【0028】
このようにシェードシート8の巻き出し方向への移動を規制するストッパ21がガイドレール6に一体に形成されていることにより、別部材のストッパ部材をガイドレール6に取り付ける必要がなく、部品点数が削減される。また、上ガイド壁19に切欠き22を形成して離隔した一部をスライダガイド溝16側に折り曲げることで、容易にストッパ21を形成することができる。
【0029】
図5は
図1中のV-V断面図である。
図1及び
図5に示すように、ガイドレール6は、ルーフパネル2の側部の内面に取り付けられた複数のレールブラケット23に対して着脱可能に取り付けられている。本実施形態では、レールブラケット23は、前後方向に長いプレス成形品であるブラケット本体24と、ブラケット本体24の上面に溶接されたウェルドナット25とを備えている。ブラケット本体24は、接着剤26によってルーフパネル2に接合された前部24a及び後部24bと、ルーフパネル2の下方に隙間を空けて配置された中間部24cとを備えている。ウェルドナット25は中間部24cの上面に溶接されている。
【0030】
ボルト27がガイドレール6に形成されたボルト通し孔6aに挿通されてウェルドナット25に螺合することにより、ガイドレール6がレールブラケット23に締結される。ボルト通し孔6aはボルト27の軸部よりも大きく形成されている。1対のガイドレール6は所定の位置に互いに平行に配置された状態でボルト27によって固定される。これにより、シェードシート8は左右方向に張った状態に維持される。
【0031】
ルーフモジュール1は以上のように構成されている。次に、ルーフモジュール1の効果について説明する。
【0032】
図1及び
図2に示すルーフモジュール1は上記のように車両のルーフの前部に設けられる。車両のルーフの前部は一般的に運転席の上方に位置する。したがって、ルーフモジュール1の前端部の下方には室内灯やその操作スイッチ、シェードユニット3の操作スイッチ等、大きくの機能部品が配置される。本実施形態では、巻取装置9及び駆動源12がガイドレール6の後端側に集約して配置され、ガイドレール6を連結するクロスメンバがガイドレール6の前端側に設けられていない。そのため、ルーフの前部におけるレイアウトの自由度が改善される。
【0033】
上記のように、ルーフモジュール1は、ガイドレール6の後部同士を連結するリヤクロスメンバ7を備えている。したがって、ルーフパネル2に取り付けられる前に、1対のガイドレール6がリヤクロスメンバ7によって連結されたレールアセンブリ4として取り扱うことができる。そのため、ルーフモジュール1の製造が容易である。
【0034】
上記のように、リヤクロスメンバ7は巻取装置9の前方に配置され、シェードシート8はリヤクロスメンバ7によってガイドされている。つまり、リヤクロスメンバ7がシェードシート8のガイド部材として機能する。したがって、シェードシート8をガイドするために別部材を設ける必要がなく、ルーフモジュール1の部品点数が削減される。
【0035】
ルーフモジュール1は動力伝達部材14をガイドする1対のガイドパイプ15を備える。駆動源12は巻取装置9の後方に配置され、駆動源12はガイドパイプ15を介してガイドレール6に連結されている。したがって、シェードユニット3は、ルーフパネル2に取り付けられる前に、駆動源12がガイドパイプ15を介してレールアセンブリ4に連結されたシェードアセンブリとして取り扱うことができる。そのため、ルーフモジュール1の製造が容易である。
【0036】
次に、ルーフモジュール1の組立手順を、
図6~
図10を参照して説明する。ルーフモジュール1は以下の手順で組み立てられ、車両のルーフに組付けられる製品になる。組立て作業は作業者によって行われても良く、ロボット又は機械によって行われても良い。
【0037】
図6に示すように、ルーフパネル2の内面に複数のレールブラケット23が固定される。具体的には、ルーフパネル2の内面の所定の領域に接着剤26(
図5参照)が塗布され、接着剤26の上にレールブラケット23が取り付けられる。図示例では、ルーフパネル2の左右の側部に各3つ、合計6個のレールブラケット23が取り付けられる。これらのレールブラケット23により、1対のガイドレール6をルーフパネル2に取り付けるための取付部材が構成される。取付部材は、この態様に限られず、例えば、前後方向に長い左右のレール状ブラケットや、矩形の枠状ブラケットによって構成されても良い。
【0038】
また、シェードシート8を開閉方向に駆動する駆動源12を取り付けるためのブラケット13がルーフパネル2の内面に固定される。具体的には、ルーフパネル2の内面の所定の領域に接着剤26(図示省略)が塗布され、接着剤26の上にブラケット13が取り付けられる。
【0039】
レールブラケット23及びブラケット13は、図示しない位置決め用治具を用いてルーフパネル2に取り付けられると良い。位置決め用治具は、例えば、これらのレールブラケット23及びブラケット13を所定の位置に所定の姿勢で保持するブラケット支持治具と、ルーフパネル2を所定の位置に所定の姿勢で保持するパネル支持治具とを有する。ブラケット支持治具とパネル支持治具とは、基準ピンにガイドされること等によって互いに所定の相対位置に配置されることより、レールブラケット23及びブラケット13がルーフパネル2の内面の所定の位置に取り付けられる。
【0040】
これらの作業とは別に、
図7に示すように、1対のガイドレール6、リヤクロスメンバ7、シェードシート8、巻取装置9及び駆動源12を備えるシェードユニット3が組み立てられる。シェードユニット3はガイドレール6の後部同士を連結するリヤクロスメンバ7を備えるため、1対のガイドレール6はリヤクロスメンバ7によって連結されたレールアセンブリ4として取り扱える。これにより、シェードユニット3の組立が容易である。
【0041】
シェードユニット3の組立後、1対のガイドレール6を互いに平行に保つための治具30がシェードユニット3に装着される。治具30は、互いに平行に車幅方向に延在し、左右のガイドレール6を保持する1対の平行保持部31と、1対の平行保持部31を連結して平行保持部31の間隔を一定に保つ間隔保持部32と、平行保持部31に設けられた1対の把手33とを有する。各平行保持部31の車幅方向の端部には、ガイドレール6に着脱可能に装着される装着部材34(
図9参照)が取り付けられている。装着部材34については後述する。
【0042】
本実施形態では、1対の間隔保持部32が平行保持部31の前部同士及び後部同士を連結している。平行保持部31及び間隔保持部32は金属製の角パイプによって形成されており、把手33は折り曲げ加工された金属製のバーによって形成されている。間隔保持部32及び把手33は、溶接によって平行保持部31に剛結合されている。治具30がシェードユニット3に装着されることにより、1対のガイドレール6は治具30によって互いに平行に保たれる。
【0043】
次に、
図8に示すように、治具30の把手33が把持され、次いで、治具30が装着されたシェードユニット3は、ルーフパネル2に予め固定された取付部材(すなわち、複数のレールブラケット23)に固定される。具体的には、
図5に示すように、ボルト27をレールブラケット23のウェルドナット25に螺合することにより、ガイドレール6がレールブラケット23に締結される。上記のようにガイドレール6のボルト通し孔6aがボルト27の軸部よりも大きく形成されているため、レールブラケット23の取付位置の誤差は吸収され、1対のガイドレール6は互いに平行にルーフパネル2に固定され得る。
【0044】
また、駆動源12がブラケット13に固定される。駆動源12は、1対のガイドパイプ15によって1対のガイドレール6に連結されており、ガイドパイプ15を撓ませることによって容易に位置を調整することができる。
【0045】
図9は、
図8中のIX-IX断面図である。
図9に示すように、装着部材34は平行保持部31に取り付けられたクリップである。装着部材34は、平行保持部31に係合する頭部35と、ガイドレール6に形成された装着孔6bに挿入される軸部36と、軸部36から径方向に突出してガイドレール6に係合する複数の係合爪37とを有している。装着部材34の頭部35は平行保持部31の中空部に配置されており、軸部36の延長線上にある平行保持部31の下壁の部分にはアクセス孔31aが形成されている。装着部材34は、アクセス孔31aを通って操作されることによって係合爪37を出没させるように構成されており、これにより、ガイドレール6に着脱可能に装着される。
【0046】
シェードユニット3がレールブラケット23を介してルーフパネル2に固定された後、
図10に示すように、装着部材34のガイドレール6に対する係合が解除され、治具30がシェードユニット3から取り外される。これにより、
図1に示されるルーフモジュール1の組立が完了する。ルーフモジュール1の製造方法は以上のステップを含んでいる。
【0047】
このように、ルーフモジュール1の製造方法は、ルーフパネル2の内面にレールブラケット23を固定する
図6のステップ、シェードユニット3を組み立てる
図7のステップ、治具30をシェードユニット3に装着する
図7のステップ、シェードユニット3をレールブラケット23に固定する
図8のステップ、及び、シェードユニット3から治具30を取り外す
図10のステップを含む。これにより、1対のガイドレール6が治具30によって互いに平行に保たれた状態で、シェードユニット3をレールブラケット23に固定できるため、ルーフモジュール1の組立が容易である。
【0048】
図7に示すシェードユニット3を組み立てるステップにおいて、巻取装置9及び駆動源12がガイドレール6の後端側に集約して配置される。これにより、
図1に示すように、ガイドレール6の前端側にスペースが生まれ、このスペースに室内灯やその操作スイッチ、サンシェードの操作スイッチ等の機能部品を自由なレイアウトで配置することができる。
【0049】
図7に示す本実施形態の治具30は、1対の平行保持部31と、平行保持部31を連結して平行保持部31の間隔を一定に保つ間隔保持部32とを有する簡単な構成によって具現化されている。
【0050】
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態や変形例に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。例えば、治具30は、各平行保持部31が把持可能な構成とされているため、把手33を備えなくても良い。また、装着部材34は平行保持部31を構成する角パイプの外側(前方又は後方)に配置されても良い。
【0051】
また、レールブラケット23は上記の構成に限定されない。
図11はレールブラケット23の変形例を示す断面図である。
図11(A)は上記実施形態に似た形態である。
図11(A)に示すように、この変形例では、ブラケット本体24が車幅方向に凹凸形状を有するプレス成形品によって構成されている。
図11(B)の例では、レールブラケット23が、樹脂の射出成形品であるブラケット本体41と、ブラケット本体41の下面に露出するようにブラケット本体41に一体に設けられたインサートナット42とを備えている。ブラケット本体41は上記実施形態と同様に接着剤26によってルーフパネル2の内面に接合される。
図11(C)の例では、レールブラケット23が、熱硬化性樹脂であるポリウレタン(PUR)の反応射出成形(RIM)品であるブラケット本体43と、ブラケット本体43の下面に露出するようにブラケット本体43に一体に設けられたインサートナット42とを備えている。ブラケット本体43は上記実施形態と異なり、接着剤26を用いずにルーフパネル2の内面に直接接合される。
【0052】
上記実施形態では動力伝達部材14がプッシュプルケーブルによって構成されている。他の実施形態では、環状に張られたワイヤによって動力伝達部材14が構成されても良い。この他、各部材や部位の具体的構成や配置、数量、素材など、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更することができる。一方、上記実施形態に示した各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜選択することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 :ルーフモジュール
2 :ルーフパネル
3 :シェードユニット
6 :ガイドレール
7 :リヤクロスメンバ
8 :シェードシート
9 :巻取装置
12 :駆動源
13 :ブラケット
23 :レールブラケット(取付部材)
30 :治具
31 :平行保持部
32 :間隔保持部
【手続補正書】
【提出日】2023-02-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフに配置されるルーフパネルと、
前記ルーフパネルの内面に沿って前記車両の前後方向に延在し、取付部材を介して前記ルーフパネルに取り付けられる1対のガイドレールと、
前記ガイドレールによってガイドされるシェードシートと、
前記ガイドレールに支持され、前記シェードシートを巻き取る巻取装置と、
を備えるルーフモジュールの製造方法であって、
前記ルーフパネルの前記内面に前記取付部材を固定するステップと、
前記ガイドレール、前記シェードシート及び前記巻取装置を備えるシェードユニットを組み立てるステップと、
前記ガイドレールを互いに平行に保つための治具を前記シェードユニットに装着するステップと、
前記治具が装着された前記シェードユニットを前記取付部材に固定するステップと、
前記ルーフパネルの前記内面に取り付けられた前記シェードユニットから前記治具を取り外すステップと、を含み、
前記治具は、互いに平行に前記車両の幅方向に延在し、前記ガイドレールを保持する1対の平行保持部と、前記平行保持部を連結して前記平行保持部の間隔を一定に保つ間隔保持部とを有する、ルーフモジュールの製造方法。
【請求項2】
前記ルーフモジュールが、前記シェードシートを開閉方向に駆動する駆動源と、前記駆動源を支持するブラケットとを更に備え、
前記シェードユニットを組み立てるステップにおいて、前記巻取装置及び前記駆動源が前記ガイドレールの後端側に集約して配置され、
前記ルーフパネルの前記内面に前記ブラケットを固定するステップを更に含む、請求項1に記載のルーフモジュールの製造方法。
【請求項3】
前記シェードユニットが、前記ガイドレールの後部同士を連結するリヤクロスメンバを更に備える請求項1又は2に記載のルーフモジュールの製造方法。