(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163671
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/50 20210101AFI20231102BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20231102BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20231102BHJP
【FI】
H01M50/50 201Z
H01M50/569
H01M50/557
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074724
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】関野 桂三
(72)【発明者】
【氏名】古川 祐輝
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA19
5H043DA27
5H043FA02
5H043FA22
5H043FA32
5H043HA02D
5H043HA11D
5H043JA06D
5H043LA21D
(57)【要約】
【課題】少なくとも1つの電池セルと他の少なくとも1つの電池セルとを直列に接続するための作業性を向上させる。
【解決手段】電池モジュール10は、第1正極タブ132A及び第2負極タブ134Bを備えている。第1正極タブ132Aの第1先端部B1は、第1屈曲部C1を中心に所定方向に向けて折り曲げられている。第2負極タブ134Bは、第1正極タブ132Aに接合されている。第2負極タブ134Bの第2先端部B2は、第2屈曲部C2を中心に所定方向に向けて折り曲げられている。第1先端部B1及び第2先端部B2は、第1正極タブ132Aの第1基端A1及び第2負極タブ134Bの第2基端A2を結ぶ仮想線分LSの仮想二等分線BSに対して、当該所定方向の反対側にずれている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の第1先端部が所定の第1屈曲部を中心に所定方向に向けて折り曲げられた少なくとも1つの正極タブと、
前記少なくとも1つの正極タブと接合され、所定の第2先端部が所定の第2屈曲部を中心に前記所定方向に向けて折り曲げられた少なくとも1つの負極タブと、
を備え、
前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部が、前記少なくとも1つの正極タブの所定の第1基端及び前記少なくとも1つの負極タブの所定の第2基端を結ぶ仮想線分の仮想二等分線に対して、前記所定方向の反対側にずれている、電池モジュール。
【請求項2】
前記第1先端部及び前記第2先端部の少なくとも一方に接合された電圧検出部をさらに備える、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
互いに接合された少なくとも1つの正極タブ及び少なくとも1つの負極タブを含むタブ群を複数備え、
前記複数のタブ群の各々の先端部が同一方向に向けて折り曲げられている、電池モジュール。
【請求項4】
前記複数のタブ群の前記先端部に接合された複数の電圧検出部をさらに備える、請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
所定の第1先端部が所定方向に向けて折り曲げられた少なくとも1つの正極タブと、
前記少なくとも1つの正極タブと接合され、所定の第2先端部が前記所定方向に向けて折り曲げられた少なくとも1つの負極タブと、
前記第1先端部及び前記第2先端部の少なくとも一方と接合された電圧検出部と、
を備える電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の電池セルを備える様々な電池モジュールが開発されている。各電池セルは、電池要素と、電池要素を封止する外装材と、外装材から引き出された正極タブ及び負極タブと、を備えている。
【0003】
特許文献1には、電池モジュールの一例について記載されている。この電池モジュールでは、正極タブ及び負極タブが外装材の互いに反対側の辺から引き出されている。この電池モジュールでは、単一の又は並列に接続された複数の電池セルの正極タブと、単一の又は並列に接続された複数の電池セルの負極タブと、が互いに接合されている。当該正極タブ及び当該負極タブは、当該正極タブが設けられた電池セルと、当該負極タブが設けられた電池セルと、の間で折り返されている。
【0004】
特許文献2には、電池モジュールの一例について記載されている。この電池モジュールでは、複数の電池セルの複数の正極タブ又は複数の負極タブの複数の先端部が方向に向けて折り曲げられている。
【0005】
特許文献3には、電池モジュールの一例について記載されている。この電池モジュールでは、正極タブ及び負極タブの先端が折り曲げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2006/109610号
【特許文献2】国際公開第2016/020999号
【特許文献3】国際公開第2011/027817号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば特許文献1に記載されているように、少なくとも1つの電池セルと他の少なくとも1つの電池セルとの間で正極タブ及び負極タブを折り返すことがある。しかしながら、この場合、少なくとも1つの電池セルと他の少なくとも1つの電池セルとを直列に接続するための作業性が低下することがある。
【0008】
本発明の目的の一例は、少なくとも1つの電池セルと他の少なくとも1つの電池セルとを直列に接続するための作業性を向上させることにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
所定の第1先端部が所定の第1屈曲部を中心に所定方向に向けて折り曲げられた少なくとも1つの正極タブと、
前記少なくとも1つの正極タブと接合され、所定の第2先端部が所定の第2屈曲部を中心に前記所定方向に向けて折り曲げられた少なくとも1つの負極タブと、
を備え、
前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部が、前記少なくとも1つの正極タブの所定の第1基端及び前記少なくとも1つの負極タブの所定の第2基端を結ぶ仮想線分の仮想二等分線に対して、前記所定方向の反対側にずれている、電池モジュール。
[2]
前記第1先端部及び前記第2先端部の少なくとも一方に接合された電圧検出部をさらに備える、[1]に記載の電池モジュール。
[3]
互いに接合された少なくとも1つの正極タブ及び少なくとも1つの負極タブを含むタブ群を複数備え、
前記複数のタブ群の各々の先端部が同一方向に向けて折り曲げられている、電池モジュール。
[4]
前記複数のタブ群の前記先端部に接合された複数の電圧検出部をさらに備える、[3]に記載の電池モジュール。
[5]
所定の第1先端部が所定方向に向けて折り曲げられた少なくとも1つの正極タブと、
前記少なくとも1つの正極タブと接合され、所定の第2先端部が前記所定方向に向けて折り曲げられた少なくとも1つの負極タブと、
前記第1先端部及び前記第2先端部の少なくとも一方と接合された電圧検出部と、
を備える電池モジュール。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記態様によれば、少なくとも1つの電池セルと他の少なくとも1つの電池セルとを直列に接続するための作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る電池モジュールの前方部分の斜視図である。
【
図3】実施形態に係る複数の電池セルのうちの第1電池セル及び第2電池セルの前方部分の上面図である
【
図4】実施形態に係る電池モジュールの製造方法の第1例を説明するための図である。
【
図5】実施形態に係る電池モジュールの製造方法の第1例を説明するための図である。
【
図6】実施形態に係る電池モジュールの製造方法の第1例を説明するための図である。
【
図7】比較形態に係る電池モジュールの製造方法を説明するための図である。
【
図8】比較形態に係る電池モジュールの製造方法を説明するための図である。
【
図9】実施形態に係る電池モジュールの製造方法の第2例を説明するための図である。
【
図10】実施形態に係る電池モジュールの製造方法の第2例を説明するための図である。
【
図11】変形例1に係る電池モジュールの前方部分の上面図である。
【
図12】変形例2に係る電池モジュールの前方部分の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係る電池モジュール10の前方部分の斜視図である。
図2は、
図1のA-A´断面図である。
【0014】
各図では、説明のため、X方向、Y方向及びZ方向を示す矢印が示されている。X方向は、電池モジュール10の前後方向を示している。以下、特に断りがない限り、X方向を示す矢印の先端側を電池モジュール10の後側とする。以下、特に断りがない限り、X方向を示す矢印の基端側を電池モジュール10の前側とする。Y方向は、X方向に直交している。Y方向は、電池モジュール10の左右方向を示している。以下、特に断りがない限り、Y方向を示す矢印の先端側を電池モジュール10の左側とする。以下、特に断りがない限り、Y方向を示す矢印の基端側を電池モジュール10の右側とする。Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。Z方向は、電池モジュール10の上下方向を示している。以下、特に断りがない限り、Z方向を示す矢印の先端側を電池モジュール10の上側とする。以下、特に断りがない限り、Z方向を示す矢印の基端側を電池モジュール10の下側とする。
図2において、Z方向を示す黒点付き白丸は、紙面の奥から手前に向かって電池モジュール10の上側であり、紙面の手前から奥に向かって電池モジュール10の下側であることを示している。ただし、X方向、Y方向及びZ方向と、電池モジュール10の前後方向、左右方向及び上下方向との関係は上述した例に限定されない。これらの関係は、電池モジュール10の実際の配置に応じて異なる。
【0015】
図1を参照し、必要な場合は
図2を参照して、電池モジュール10について説明する。
【0016】
電池モジュール10は、複数の電池セル100及び電圧検出部200を備えている。
【0017】
図1に示す例では、4つの電池セル100が例示的に図示されている。ただし、電池モジュール10に含まれる電池セル100の数は、
図1に示す例に限定されない。複数の電池セル100は、Y方向に積層されている。
図1に示す例において、各電池セル100の長手方向は、X方向に略平行となっている。各電池セル100の短手方向は、Z方向に略平行となっている。各電池セル100の厚み方向は、Y方向に略平行となっている。ただし、各電池セル100の形状は、
図1に示す例に限定されない。
【0018】
図1及び
図2に示すように、各電池セル100は、電池要素110、外装材120、正極タブ132及び負極タブ134を有している。
【0019】
図2に示すように、電池要素110は、複数の正極112及び複数の負極114を含んでいる。複数の正極112及び複数の負極114は、Y方向に交互に積層されている。Y方向に隣り合う正極112及び負極114は、不図示のセパレータによって互いに隔てられている。ただし、電池要素110の構造は、この例に限定されない。
【0020】
図2に示すように、外装材120は、電池要素110及び不図示の電解液を封止している。
【0021】
正極タブ132は、複数の正極112に電気的に接続されている。
図2に示す例を参照して、正極タブ132と複数の正極112との電気的接続について説明する。
図2に示す例において、正極タブ132は、電池要素110の前方に位置している。正極タブ132の後端側の基端Aは、外装材120によって封止された領域内に位置している。
図2に示す例において、上方から見て、正極タブ132は、基端Aから右斜め前方に向けて延在している。正極タブ132は、複数の正極集電箔112aに接合されている。
図2に示す例において、複数の正極集電箔112aは、複数の正極112から電池要素110の前方に向けて引き出されており、正極タブ132の基端Aの近傍部分において一体的に束ねられている。これによって、正極タブ132は、複数の正極112に電気的に接続されている。
図2に示す例と同様にして、負極タブ134は、複数の負極114から引き出された不図示の複数の負極集電箔を介して、複数の負極114に電気的に接続されている。
【0022】
各電池セル100において、正極タブ132及び負極タブ134は、外装材120のX方向の互いに反対側の辺から引き出されている。正極タブ132は、例えば、アルミニウムからなっている。負極タブ134は、例えば、銅からなっている。Y方向に隣り合う電池セル100では、各電池セル100の正極タブ132及び負極タブ134がX方向において互い違いとなっている。これによって、例えば
図1に示す例において、最も左側に位置する電池セル100は、当該電池セル100の前方に位置する正極タブ132を有しており、当該電池セル100の後方に位置する不図示の負極タブ134を有している。
図1に示す例において、左から2番目に位置する電池セル100は、当該電池セル100の前方に位置する負極タブ134を有しており、当該電池セル100の後方に位置する不図示の正極タブ132を有している。
【0023】
Y方向に隣り合う電池セル100は、当該隣り合う電池セル100の前方又は後方に位置するタブ群130を有している。各タブ群130は、互いに接合された正極タブ132及び負極タブ134を含んでいる。各タブ群130は、先端部群BGを含んでいる。先端部群BGは、正極タブ132の先端部及び負極タブ134の先端部を含んでいる。
図1に示す例において、電池モジュール10の前方に位置する複数の先端部群BGは、いずれも、上方から見て、同一方向に向けて折り曲げられている。これによって、先端部群BGは、Y方向に略平行となっている。したがって、電圧検出部200の厚み方向がX方向に略平行となる状態で電圧検出部200を先端部群BGの前面に接合させやすくなっている。先端部群BGには、第1接合部150が設けられている。各タブ群130に含まれる正極タブ132及び負極タブ134は、第1接合部150において互いに接合されている。第1接合部150は、例えば、レーザ溶接によって形成されている。ただし、第1接合部150の形成方法は、この例に限定されない。
【0024】
複数の電池セル100の前方に位置する複数のタブ群130と、複数の電池セル100の後方に位置する不図示の複数のタブ群130と、はY方向において互い違いに配置されている。これによって、Y方向に隣り合う電池セル100は、直列に接続されている。例えば、
図1に示す例において、左側2つの電池セル100は、これらの電池セル100の前方に位置するタブ群130を介して直列に接続されている。
図1に示す例において、中央2つの電池セル100は、これらの電池セル100の後方に位置する不図示のタブ群130を介して直列に接続されている。
【0025】
複数の電圧検出部200の各々は、複数の先端部群BGの各々に接合されている。各電圧検出部200は、例えば、金属等の導体からなっている。
図2に示す例では、電池モジュール10の前方に位置する先端部群BGの前面に電圧検出部200が接合されている。各電圧検出部200及び各先端部群BGは、第2接合部250において互いに接合されている。第2接合部250は、例えば、レーザ溶接によって形成されている。ただし、第2接合部250の形成方法は、この例に限定されない。
【0026】
複数の電圧検出部200の各々には、不図示の複数の電圧検出線の各々が電気的に接続されている。したがって、各電圧検出部200及び各電圧検出線によって、各タブ群130の電圧を検出することが可能になっている。
【0027】
図3は、実施形態に係る複数の電池セル100のうちの第1電池セル100A及び第2電池セル100Bの前方部分の上面図である。
【0028】
第1電池セル100A及び第2電池セル100Bは、Y方向に隣り合っている。上方から見て、第1電池セル100Aは、第2電池セル100Bの左側に位置している。上方から見て、第2電池セル100Bは、第1電池セル100Aの右側に位置している。
【0029】
第1電池セル100Aは、第1正極タブ132Aを有している。第1正極タブ132Aは、第1基端A1、第1先端部B1及び第1屈曲部C1を含んでいる。第2電池セル100Bは、第2負極タブ134Bを有している。第2負極タブ134Bは、第2基端A2、第2先端部B2及び第2屈曲部C2を含んでいる。第1正極タブ132A及び第2負極タブ134Bは、タブ群130を構成している。第1先端部B1及び第2先端部B2は、先端部群BGを構成している。
【0030】
図3には、仮想線分LS及び仮想二等分線BSが示されている。上方から見て、仮想線分LSは、第1基端A1及び第2基端A2を結んでいる。上方から見て、仮想線分LSは、Y方向に略平行となっている。上方から見て、仮想二等分線BSは、仮想線分LSの垂直二等分線となっている。上方から見て、仮想二等分線BSは、X方向に略平行となっている。
【0031】
上方から見て、第1先端部B1は、第1屈曲部C1を中心に左方向に向けて折り曲げられている。上方から見て、第2先端部B2は、第2屈曲部C2を中心に左方向に向けて折り曲げられている。上方から見て、第1屈曲部C1及び第2屈曲部C2は、仮想二等分線BSに対して右側にずれている。すなわち、第1屈曲部C1及び第2屈曲部C2は、仮想二等分線BSに対して、第1先端部B1及び第2先端部B2が折り曲げられた方向の反対側にずれている。
【0032】
上方から見て、第1正極タブ132Aの第1基端A1と第1屈曲部C1との間の部分は、X方向に対して第1角度θ1傾いている。上方から見て、第2負極タブ134Bの第2先端部B2と第2屈曲部C2との間の部分は、X方向に対して第2角度θ2傾いている。上述したように、上方から見て、第1屈曲部C1及び第2屈曲部C2は、仮想二等分線BSに対して右側にずれている。これによって、第2角度θ2は、第1角度θ1より小さくなっている。
【0033】
実施形態においては、第1正極タブ132A及び第2負極タブ134Bの折り曲げによる第1基端A1及び第2基端A2の位置の変動や第1角度θ1及び第2角度θ2の変動を抑制することができる。このため、第1基端A1及び第2基端A2の位置の変動や第1角度θ1及び第2角度θ2の変動による集電箔の断線等の現象を抑制することができる。具体的には、上方から見て、第1正極タブ132Aの第1屈曲部C1の曲率半径は、第2負極タブ134Bの第2屈曲部C2の曲率半径より小さくなっている。実施形態では、上方から見て、第1屈曲部C1を第2屈曲部C2側へずらすことで、第1正極タブ132Aの第1屈曲部C1及びその周辺の長さと、第2負極タブ134Bの第2屈曲部C2及びその周辺の長さと、を揃えることができる。このため、実施形態では、上方から見て、第1基端A1が第1正極タブ132Aの第1屈曲部C1及びその周辺の余り分の長さによって後方へ向けて移動することを抑制することができる。また、実施形態では、上方から見て、第2基端A2が第2負極タブ134Bの第2屈曲部C2及びその周辺の不足分の長さによって前方へ向けて移動することを抑制することができる。
【0034】
図3に示す例では、上方から見て、先端部群BGは、左方向に向けて折り曲げられている。ただし、上方から見て、先端部群BGは、右方向に向けて折り曲げられていてもよい。この場合、第1屈曲部C1及び第2屈曲部C2は、仮想二等分線BSに対して左側に向けてずらすことができる。
【0035】
図4~
図6は、実施形態に係る電池モジュール10の製造方法の第1例を説明するための図である。この第1例において、実施形態に係る電池モジュール10は、以下のようにして製造されている。
【0036】
まず、第1正極タブ132A及び第2負極タブ134Bが前方に向けて引き出された状態で、第1電池セル100A及び第2電池セル100BをY方向に隣り合わせて並べる。
【0037】
次いで、第1先端部B1及び第2先端部B2を互いに接合して第1接合部150を形成する。第1先端部B1及び第2先端部B2は、例えば、レーザ溶接によって接合される。ただし、第1先端部B1及び第2先端部B2の接合方法は、この例に限定されない。実施形態におけるレーザ溶接では、第1先端部B1及び第2先端部B2の左右の両側のいずれからもレーザを照射することができる。このため、第1先端部B1及び第2先端部B2の接合の作業性を向上させることができる。
【0038】
なお、第1先端部B1及び第2負極タブ134Bを接合する工程の順序は、上述した例に限定されない。例えば、第1先端部B1及び第2先端部B2を後述のように折り曲げた後、第1先端部B1及び第2先端部B2を接合してもよい。
【0039】
次いで、
図4に示すように、第1先端部B1及び第2先端部B2を一対の折り曲げフィンガ300Aによって挟む。
【0040】
次いで、
図5に示すように、上方から見て一対の折り曲げフィンガ300Aを時計回りに回転させる。これによって、上方から見て、第1先端部B1及び第2先端部B2が左方向に向けて折れ曲がる。
図5に示す例では、上方から見て、第1屈曲部C1及び第2屈曲部C2が仮想二等分線BSに対して右側にずれるように、第1正極タブ132A及び第2負極タブ134Bを折り曲げている。このため、上述したように、第1正極タブ132A及び第2負極タブ134Bの折り曲げによる第1基端A1及び第2基端A2の位置の変動を抑制することができる。
【0041】
次いで、タブ群130から一対の折り曲げフィンガ300Aを取り外す。この場合、先端部群BGの後方に位置する折り曲げフィンガ300Aは、上方から見て先端部群BGの左側の空間を通してタブ群130の前方に向けて移動させることができる。実施形態では、電池モジュール10の前方に位置する複数の先端部群BGが同一方向に向けて折り曲げられている。例えば、
図1に示す例では、Y方向に隣り合うタブ群130の先端部群BGが双方とも上方から見て左方向に向けて折り曲げられている。この例においては、
図1に示す左側の先端部群BGが上方から見て右方向に向けて折り曲げられていて
図1に示す右側の先端部群BGが上方から見て左方向に向けて折り曲げられている場合と比較して、Y方向に隣り合う先端部群BGの間の空間のY方向の幅を広くすることができる。このため、実施形態では、Y方向に隣り合う先端部群BGの間の空間を通して、
図1に示す右側の先端部群BGの後方に位置する折り曲げフィンガ300Aをタブ群130の前方に向けて取り出しやすくなっている。したがって、実施形態では、タブ群130から一対の折り曲げフィンガ300Aを取り外すための作業性を向上させることができる。
【0042】
次いで、
図6に示すように、電圧検出部200を先端部群BGの前方に配置した状態で先端部群BG及び電圧検出部200を第1レーザフィンガ410A及び第2レーザフィンガ420Aによって挟む。第1レーザフィンガ410Aは、電圧検出部200の前方に配置されている。第2レーザフィンガ420Aは、先端部群BGの後方に配置されている。次いで、第1レーザフィンガ410Aに設けられたレーザ孔412Aを通して電圧検出部200の前面に向けてレーザを照射する。これによって、第2接合部250が形成されて、電圧検出部200が先端部群BGに接合される。
【0043】
図6に示す例では、上方から見て、先端部群BGの左側に、第2レーザフィンガ420Aを先端部群BGの後方に通すための空間が設けられている。このため、第2レーザフィンガ420Aを上方又は下方に向けて移動させることなく、第2レーザフィンガ420Aを先端部群BGの後方に配置することができる。このため、第2レーザフィンガ420Aを先端部群BGの後方に配置するための作業性を向上させることができる。
【0044】
なお、電圧検出部200を先端部群BGに接合する工程の順序は、上述した例に限定されない。例えば、電圧検出部200は、先端部群BGが折り曲げられる前に、先端部群BGに接合されてもよい。
【0045】
図7及び
図8は、比較形態に係る電池モジュールの製造方法を説明するための図である。比較形態に係る電池モジュールの製造方法は、以下の点を除いて、実施形態に係る電池モジュール10の製造方法と同様である。
【0046】
まず、第1先端部B1及び第2先端部B2がY方向に重なる状態で第1電池セル100A及び第2電池セル100BをX方向に並べる。
【0047】
次いで、
図7に示すように、第1先端部B1及び第2先端部B2を一対の第1折り曲げフィンガ310Kによって挟む。第1正極タブ132Aの第1基端A1及び第1先端部B1の間の部分を一対の第2折り曲げフィンガ320Kによって挟む。第2負極タブ134Bの第2基端A2及び第2先端部B2の間の部分を一対の第3折り曲げフィンガ330Kによって挟む。
【0048】
次いで、一対の第3折り曲げフィンガ330Kの位置を固定した状態で、上方から見て、一対の第1折り曲げフィンガ310K及び一対の第3折り曲げフィンガ330Kを時計回りに回転させる。これによって、上方から見て、第2負極タブ134Bの一対の第1折り曲げフィンガ310K及び一対の第3折り曲げフィンガ330Kの間の部分が略直角に折り曲げられる。
【0049】
次いで、
図8に示すように、一対の第1折り曲げフィンガ310K及び一対の第3折り曲げフィンガ330Kの位置を固定した状態で、上方から見て、一対の第2折り曲げフィンガ320Kを時計回りに回転させる。これによって、上方から見て、第1正極タブ132Aの一対の第1折り曲げフィンガ310K及び一対の第2折り曲げフィンガ320Kの間の部分が略直角に折り曲げられる。これによって、第1正極タブ132A及び第2負極タブ134Bは、折り返しタブ群130Kを形成する。折り返しタブ群130Kは、第1基端A1及び第2基端A2の間で折り返されている。
【0050】
次いで、第1先端部B1の前面に電圧検出部200を接合させる。
【0051】
【0052】
比較形態では、折り返しタブ群130Kの第1基端A1及び第2基端A2の間のY方向の距離が短くなるほど、折り返しタブ群130Kの内側に位置する第1折り曲げフィンガ310K、第2折り曲げフィンガ320K及び第3折り曲げフィンガ330KのZ方向に垂直な方向の幅を薄くする必要がある。各フィンガの当該幅が狭くなるほど、各フィンガのZ方向に対する撓みが大きくなりやすくなる。したがって、比較形態では、折り返しタブ群130Kの第1基端A1及び第2基端A2のY方向の間の距離が短くなるほど、折り返しタブ群130Kの形成が難しくなり得る。これに対して、実施形態では、第1基端A1及び第2基端A2の間のY方向の距離によらず、第1先端部B1及び第2先端部B2を折り曲げることができる。このため、実施形態では、比較形態と比較して、先端部群BGを折り曲げるための作業性を向上させることができる。
【0053】
比較形態では、折り返しタブ群130Kの内側に位置する第1折り曲げフィンガ310K、第2折り曲げフィンガ320K及び第3折り曲げフィンガ330Kを取り外すために、これらのフィンガを上方又は下方に移動させる必要がある。これに対して、実施形態では、先端部群BGの後方に位置する折り曲げフィンガ300Aは、Y方向に隣り合う先端部群BGの間の空間を通して取り出すことができる。このため、実施形態では、先端部群BGの後方に位置する折り曲げフィンガ300Aを上方又は下方に移動させることなく、当該折り曲げフィンガ300Aを取り外すことができる。このため、実施形態では、比較形態と比較して、先端部群BGの後方に位置する折り曲げフィンガ300Aを取り外すための作業性を向上させることができる。
【0054】
図9及び
図10は、実施形態に係る電池モジュール10の製造方法の第2例を説明するための図である。
図9及び
図10に示す第2例は、以下の点を除いて、
図4~
図6に示した第1例と同様である。
【0055】
図9に示すように、第1正極タブ132Aの第1先端部B1及び第1基端A1の間の部分と、第2負極タブ134Bの第2先端部B2及び第2基端A2の間の部分と、を第1固定折り曲げフィンガ312B及び第2固定折り曲げフィンガ314Bによって挟む。上方から見て、第1固定折り曲げフィンガ312Bは、第1正極タブ132Aの左側に配置されている。上方から見て、第2固定折り曲げフィンガ314Bは、第2負極タブ134Bの右側に配置されている。次いで、上方から見て第2固定折り曲げフィンガ314Bの前方かつ第2先端部B2の右側に可動折り曲げフィンガ320Bを配置する。
【0056】
次いで、
図10に示すように、上方から見て、可動折り曲げフィンガ320Bを時計回りに回転させる。これによって、上方から見て、先端部群BGが左方向に向けて折れ曲がる。
【0057】
図11は、変形例1に係る電池モジュール10Aの前方部分の上面図である。変形例1に係る電池モジュール10Aは、以下の点を除いて、実施形態に係る電池モジュール10と同様である。
【0058】
変形例1において、上方から見て、先端部群BGは、左方向に向けて折り曲げられている。第1屈曲部C1及び第2屈曲部C2は、仮想二等分線BSに対して右側にずれている。第1正極タブ132Aの第1基端A1及び第1屈曲部C1の間の部分は、X方向に対して角度θ傾いている。これに対して、第2負極タブ134Bの第2基端A2及び第2屈曲部C2の間の部分は、X方向に略平行となっている。変形例1においても、第1正極タブ132A及び第2負極タブ134Bの折り曲げによる第1基端A1及び第2基端A2の位置の変動を抑制することができる。
【0059】
図12は、変形例2に係る電池モジュール10Bの前方部分の上面図である。変形例2に係る電池モジュール10Bは、以下の点を除いて、実施形態に係る電池モジュール10と同様である。
【0060】
変形例2に係る電池モジュール10Bは、
図12に示す4つの電池セル100を備えている。
図12に示す例において、左側2つの電池セル100は並列に接続されている。
図12に示す例において、右側2つの電池セル100は並列に接続されている。
図12に示す左側2つの並列に接続された電池セル100と、
図12に示す右側2つの並列に接続された電池セル100と、は直列に接続されている。
【0061】
図12に示す左側2つの並列に接続された電池セル100からは前方に向けて2つの正極タブ132が引き出されている。
図12に示す右側2つの並列に接続された電池セル100からは前方に向けて2つの負極タブ134が引き出されている。これらのタブは、互いに接合されている。具体的には、これらのタブの先端部を含む先端部群BGは、上方から見て、左方向に向けて折り曲げられている。先端部群BGにおいて、上述したタブの先端は、互いに接合されている。
図12に示す例では、電圧検出部200が先端部群BGの前面に接合されている。変形例2においても、実施形態と同様にして、
図12に示す左側2つの並列に接続された電池セル100と、
図12に示す右側2つの並列に接続された電池セル100と、を直列に接続するための作業性を向上させることができる。
【0062】
なお、
図12に示す例では、2つの並列に接続された電池セル100を含む電池セル群が直列に接続されている。しかしながら、3つ以上の並列に接続された電池セル100を含む電池セル群が直列に接続された場合においても、
図12を用いて説明した構造と同様の構造を採用することができる。
【0063】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0064】
10,10A,10B 電池モジュール
100 電池セル
100A 第1電池セル
100B 第2電池セル
110 電池要素
112 正極
112a 正極集電箔
114 負極
120 外装材
130 タブ群
130K 折り返しタブ群
132 正極タブ
132A 第1正極タブ
134 負極タブ
134B 第2負極タブ
150 第1接合部
200 電圧検出部
250 第2接合部
300A 折り曲げフィンガ
310K 第1折り曲げフィンガ
312B 第1固定折り曲げフィンガ
314B 第2固定折り曲げフィンガ
320B 可動折り曲げフィンガ
320K 第2折り曲げフィンガ
330K 第3折り曲げフィンガ
410A 第1レーザフィンガ
412A レーザ孔
420A 第2レーザフィンガ
A 基端
A1 第1基端
A2 第2基端
B1 第1先端部
B2 第2先端部
BG 先端部群
BS 仮想二等分線
C1 第1屈曲部
C2 第2屈曲部
LS 仮想線分