(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163676
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】透明光コネクタを利用した光検出方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/38 20060101AFI20231102BHJP
G02B 6/46 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G02B6/38
G02B6/46 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074733
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】391005581
【氏名又は名称】三和テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069213
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 功
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 達人
【テーマコード(参考)】
2H036
2H038
【Fターム(参考)】
2H036MA05
2H036NA03
2H036QA32
2H036QA47
2H038CA39
(57)【要約】
【課題】大型の光通信関連設備で接続されている光ケーブル全体の総量(本数)が多い場合でも、挿抜が必要な光ケーブルの目視による確認が容易に行い得、作業効率が良く、誤挿抜することもなく、正確な挿抜が行えるようにした透明光コネクタを利用した光検出方法を提供する。
【解決手段】透明アダプタ1と、該アダプタ1両端から挿入される一対のプラグ10と、該プラグ10末端に装着された光ケーブルKと、を備えた透明光コネクタを利用した光検出方法であって、前記透明アダプタ1のスリーブホルダ2、3内において、前記一対のプラグ10中心に各配置されたフェルール13内における光ファイバのコアPの対向位置を互い違いに偏心するように調芯しつつ両フェルール13端面同士を当接保持した後、前記光ケーブルKに可視光を入射する工程を具備する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明なアダプタと、該アダプタ両端から挿入される一対のプラグと、該プラグ末端に装着された光ケーブルと、を備えた透明光コネクタを利用した光検出方法であって、前記透明なアダプタのスリーブホルダ内において、前記一対のプラグ中心に各配置されたフェルール内の光ファイバのコアの対向位置を周方向に互い違いに偏心するように調芯しつつ両フェルールの端面同士を当接保持した後、前記光ケーブル内に赤色等の可視光を入射する工程を具備するもので、以って前記可視光の一部が前記光ファイバのコア端面の当接保持部から漏れて前記透明なアダプタ全体に拡散され、前記透明光コネクタ全体を外部から目視できるようにしたことを特徴とする透明光コネクタを利用した光検出方法。
【請求項2】
前記透明なアダプタを形成する材料は、光透過率が90%±1%の透明なポリカーボネート樹脂が好適であることを特徴とする請求項1記載の透明光コネクタを利用した光検出方法。
【請求項3】
前記両フェルールの端面同士は、光ファイバのコアの対向位置を周方向に略90度~180度の範囲内で偏心するように調芯してスリーブホルダ内で当接保持することが最適であることを特徴とする請求項1記載の透明光コネクタを利用した光検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目視によって光ケーブルを識別するための透明光コネクタを利用した光検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アダプタやプラグを、透明材料を素材として成形した光検出用の光コネクタは周知の技術である。
【0003】
従来、データセンターや局舎などの大量の光コネクタファイバを結線する光通信関連設備で、光ケーブルの撤去や増設工事を行う際に、前記光コネクタを光透過性の無い合成樹脂や金属で成形されている場合には、光ファイバ内を伝送する通信光が光コネクタ外部から見えないため、目視確認ができないものであった。
【0004】
そこで、近年、前記したように光コネクタのアダプタやプラグ全体を透明な樹脂で成形し、前記アダプタに接続された前記プラグ後端の光ケーブル内に可視光を入射することで、多数の光コネクタの外部から容易に挿抜する光ケーブルを目視により識別することができる技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の透明材料を使った光コネクタにあっても、透明なアダプタ内において一対のフェルールの端面を当接するプラグ接続時に、光ファイバのコア偏心を互いに一致させるように設定した場合、コア同士が一直線状に連通接続されるため、光ケーブル内に入射した可視光は、一方の光ケーブルのフェルールに内挿されたコアから、これに当接する他方の光ケーブルのフェルールに内挿されたコアを一直線状に通過する。
【0007】
このため、一方の光ケーブルから入射された可視光はフェルール当接部において漏れが少なく、透明光コネクタ外部から当該光ケーブルを目視により明確に識別することは容易ではなかった。
【0008】
したがって、大型の光通信関連設備で接続されている光ケーブル全体の総量(本数)が多い場合には、挿抜が必要な光ケーブルの確認に手間と時間がかかり、作業効率が悪い上に、誤挿抜するおそれもあった。
【0009】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、大型の光通信関連設備で接続されている光ケーブル全体の総量(本数)が多い場合でも、挿抜を必要とする光ケーブルの識別が容易に行い得、作業効率が良く、誤挿抜することもなく、確実に挿抜が行えるものとした透明光コネクタを利用した光検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明に係る透明光コネクタを利用した光検出方法にあっては、透明なアダプタと、該アダプタ両端から挿入される一対のプラグと、該プラグ末端に装着された光ケーブルと、を備えた透明光コネクタを利用した光検出方法であって、前記透明なアダプタのスリーブホルダ内において、前記一対のプラグ中心に各配置されたフェルール内の光ファイバのコアの対向位置を周方向に互い違いに偏心するように調芯しつつ両フェルールの端面同士を当接保持した後、前記光ケーブル内に赤色等の可視光を入射する工程を具備するもので、以って前記可視光の一部が前記光ファイバのコア端面の当接保持部から漏れて前記透明なアダプタ全体に拡散され、前記透明光コネクタ全体を外部から目視できるようにしたことを特徴とする。
【0011】
前記透明なアダプタを形成する材料は、光透過率が90%±1%の透明なポリカーボネート樹脂が好適であることを特徴とする。
【0012】
前記両フェルールの端面同士は、光ファイバのコアの対向位置を周方向に略90度~180度の範囲内で偏心するように調芯してスリーブホルダ内で当接保持することが最適であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、大型の光通信関連設備で接続されている光ケーブル全体の総量(本数)が多い場合でも、挿抜を必要とする光ケーブルの確認が容易に行い得、作業効率が良く、誤挿抜することもなく、確実に挿抜が行えるものである。
【0014】
すなわち、本発明は、透明なアダプタと、該アダプタ両端から挿入される一対のプラグと、該プラグ末端に装着された光ケーブルと、を備えた透明光コネクタを利用した光検出方法であって、前記透明なアダプタのスリーブホルダ内において、前記一対のプラグ中心に各配置されたフェルール内の光ファイバのコアの対向位置を周方向に互い違いに偏心するように調芯しつつ両フェルールの端面同士を当接保持した後、前記光ケーブル内に赤色等の可視光を入射する工程を具備するもので、以って前記可視光の一部が前記光ファイバのコア端面の当接保持部から漏れて前記透明なアダプタ全体に拡散され、透明光コネクタ全体を外部から目視できるようにしたので、大型の光通信関連設備で接続されている光ケーブル全体の総量(本数)が多い場合でも、挿抜が必要な光ケーブルの目視による識別が確実に行い得るものである。
【0015】
前記透明なアダプタを形成する材料は、光透過率が90%±1%の透明なポリカーボネート樹脂が好適であるので、透明光コネクタのフェルール内部のコアから漏れた赤色等の可視光の一部が透明なアダプタ全体に拡散され、これによって前記透明光コネクタ全体を強力に発光させることができ、挿抜が必要な光ケーブルの目視による識別が確実なものとなる。
【0016】
前記両フェルールの端面同士は、光ファイバのコアの対向位置を周方向に略90度~180度の範囲内で偏心するように調芯してスリーブホルダ内で当接保持することが最適であるから、前記コアの位置ズレに伴う乱反射により光ケーブル内に入射した可視光の透明光コネクタ全体から漏れる光量が必然的に増え、大型の光通信関連設備で接続されている光ケーブル全体の総量(本数)が多い場合でも、挿抜が必要な光ケーブルの目視による識別が間違いなく確実に行い得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明を実施するための一形態を示す斜視図である。
【
図2】プラグの一例を示し、(a)は平面図、(b)は側断面図、(c)は正面図である。
【
図3】プラグの正面から見たコア偏心の方向を示すもので、(a)はフェルールの右寄りに偏心した正面図、(b)はフェルールの左寄りに偏心した正面図である。
【
図4】透明アダプタの一例を示し、(a)は平面図、(b)は平断面図である。
【
図6】本発明の使用例を示すもので、(a)は一対のフェルール端面を当接するプラグ接続時に、光ファイバのコア同士を互いに一致させるよう調芯した状態を示す断面図、(b)は同プラグ接続時に、光ファイバのコア同士を互いに略180度偏心させるよう調芯した状態を示す断面図である。
【
図7】大量の光コネクタファイバを結線する光通信関連設備の参考例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明に係る透明光コネクタの実施の一形態を詳細に説明する。なお、以下の説明において、SC型の透明光コネクタについて説明するが、これに限らず、図示による詳細な説明を省くが、MPO型、LC型などの光コネクタのいずれかであっても、本発明は適用できる。
【0019】
本発明に係る透明光コネクタは、
図1に示すように、透明アダプタ1と、該アダプタ1両端から挿入される一対のプラグ10と、該プラグ10末端に装着された光ケーブルKと、を備えている。
【0020】
すなわち、前記透明アダプタ1は、
図4及び
図6に示したように、中央部から二分割された二個一対のスリーブホルダ2、3と、スリーブホルダ2、3内の割りスリーブ4と、ハウジング5と、係止片6、係止アーム7との各部品で構成され、全て透明な材料からなる。
【0021】
前記透明アダプタ1の素材である材料は、熱可塑性樹脂に分類されるポリカーボネート樹脂が好適である。このポリカーボネート樹脂は、光透過率が90%±1%の熱可塑性プラスチックの一種で、モノマー単位同士の接合部は、全てカーボネート基(-O-(C=O)-O-)で構成され、色は透明な樹脂で、光拡散性、耐衝撃性、耐熱性、難燃性、寸法安定性などにおいて、高い物性を示す。
【0022】
前記透明アダプタ1の素材として透明なポリカーボネート樹脂を使用する理由は、透明アダプタ1中央に位置するフェルール13同士の当接保持部から漏れる赤色等の可視光が最も強く発光するので、ポリカーボネート樹脂からなる透明アダプタ1を通して拡散した光を外部に強く目立たせるようにするためである。このように前記透明アダプタ1は、多数の光ケーブルKが高密度で結線されている状態において、不使用の光ケーブルKを目視により誤りなく正確に識別できるとともに、透明アダプタ1同士の衝突に伴う損傷事故等を阻止するために、透明機能だけでなく前記した各種特性を有するポリカーボネート樹脂が好適である。
【0023】
一方、前記一対のプラグ10は、
図2及び
図3、
図5及び
図6に示すように、ツマミ11と、ツマミ11内に収容されるプラグフレーム12と、プラグフレーム12内に収容されるフェルール13と、このフェルール13を軸方向に付勢するための弾性部材であるスプリング14と、プラグフレーム12内に収容され、フェルール13の軸方向の移動、即ち、抜けを阻止するストッパ15、16と、カシメリング16a、と、ゴムブーツ17と、ハウジング5に形成したガイド凹部8に係合するガイド凸部19とをそれぞれ備えている。そして、前記一対のプラグ10の各素材としては、色付きのプラグ、例えば青色、緑色、ベージュ色、乳白色等々種々な色彩を呈するPBT樹脂(ポリブチレンテレフタレート)が望ましい。
【0024】
また、
図5及び
図6に示すように、前記一対のプラグ10をハウジング5内に両端から挿入すると、プラグフレーム12内に収容されるフェルール13がスプリング14の軸方向に付勢移動しながら、スリーブホルダ2、3内の割りスリーブ4にそれぞれ挿入され、プラグフレーム12外壁の被係止部18が、スリーブホルダ2、3の外側に対向して配置された各係止アーム7先端に内設された係止部7aに係止される。こうして両フェルール13の端面同士が前記割りスリーブ4内の中央部において当接保持される。
【0025】
このとき、
図6(b)に示すように、前記両プラグ10中心に各配置されたフェルール13内における光ファイバのコアPの対向位置を、前記透明アダプタ1のスリーブホルダ2、3内で、周方向に互い違いに、略90度~180度の範囲内で偏心するよう調芯しつつ両フェルール13の端面同士を当接保持する。
【0026】
そして、前記光ケーブルK内に、例えば赤色の可視光を入射して透明光コネクタ全体を光らせる。
図6(a)の矢印Sで示すように、このコアPの対向位置を周方向に一致させた場合、赤色の可視光の進行方向は一直線上となるが、このコアPを略90度~180度の範囲内で偏心させた場合、
図6(b)の矢印Sで示すように、一対のフェルール13のコアP同士が互い違いに交差するため、一方の光ケーブルKから入れられた赤色の可視光の一部が他方の光ケーブルKのフェルール13の前端壁に突き当たって屈折し、前記透明アダプタ1を通して外方へ拡散されることによって透明光コネクタ全体が赤色で強く光る。
【0027】
因みに、近年透明アダプタ1内部に一対のプラグ10のフェルール13端面を当接保持する際、コアPの対向位置が周方向に一致するよう調芯設定を行なわないことが多くなっている。これはプラグ10の接続作業の効率向上を図るためであるが、透明光コネクタ全体の材質が良くなったことによってフェルール13内部のコアPの対向位置が周方向に偏心して接続されてもプラグ10同士の光の伝送性能にそれ程の悪影響を与えないためである。
【0028】
次に、以上のように構成された形態についての光検出方法の一例について説明する。
【0029】
図1~
図6はSC型コネクタであるが、MPO型コネクタの場合について
図7を用いて説明すると、透明光コネクタが密になって配置されるデータセンターや局舎などの大量の光コネクタファイバを結線する光通信関連設備で、光ケーブルKの撤去や増設工事を行う際に、挿抜する光ケーブルKの識別作業を行う場合、予め光ファイバのコアPの対向位置を周方向に、互い違いに略90度~180度の範囲内で前記透明アダプタ1のスリーブホルダ2、3内で一対のプラグ10のフェルール13を偏心調整しておき、その後当該光ケーブルKに赤色の可視光を入射する。
【0030】
このように赤色の可視光を入射して一対のプラグ10を含む透明光コネクタ全体を赤く光らせることにより、不使用のプラグ10を撤去するとき、あるいは撤去後にプラグ10を挿入するときに、透明光コネクタ外部から挿抜する光ケーブルKを目視により明確に識別することが可能となる。
【0031】
特に、前記透明アダプタ1として光透過率が高く優れた透明性を有するポリカーボネート樹脂を使用した場合、光ケーブルKから入射した赤色の可視光の一部がスリーブホルダ2、3内のフェルール13同士の当接保持部から漏れて前記透明アダプタ1の外部へ拡散され、以って透明光コネクタ全体が赤色で強く発光するため目視による光ケーブルKの識別が一層確実なものとなる。
【符号の説明】
【0032】
K 光ケーブル
P コア
S 矢印
1 透明アダプタ
2、3 スリーブホルダ
4 割りスリーブ
5 ハウジング
6 係止片
7 係止アーム
7a 係止部
8 ガイド凹部
10 プラグ
11 ツマミ
12 プラグフレーム
13 フェルール
14 スプリング
15、16 ストッパ
16a カシメリング
17 ゴムブーツ
18 被係止部
19 ガイド凸部