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特開2023-163681物標判定装置、監視システム及び物標判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163681
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】物標判定装置、監視システム及び物標判定方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/86 20060101AFI20231102BHJP
   G01S 13/58 20060101ALI20231102BHJP
   G06T 7/254 20170101ALI20231102BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20231102BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G01S13/86
G01S13/58 200
G06T7/254 B
G08B25/00 510M
G08B21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074739
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 陽一朗
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5J070
5L096
【Fターム(参考)】
5C086AA27
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA33
5C086FA01
5C086FA11
5C086FA17
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA11
5C087AA19
5C087AA23
5C087AA32
5C087DD03
5C087EE14
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AE09
5J070AF01
5J070AK13
5J070BD08
5J070BE01
5J070BG16
5L096BA02
5L096CA04
5L096DA03
5L096GA08
5L096HA03
5L096HA09
5L096JA03
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】本開示では、監視エリア内の物標の種別を自動で識別する物標判定装置、監視システム及び物標判定方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示に係る物標判定装置は、同じ時間帯に取得された、監視エリアに送信された電波の反射点情報、及び前記監視エリアの画像データが入力される物標判定装置であって、前記反射点情報に基づいて前記監視エリア内の移動物標の有無を判定する移動物標検出部と、前記移動物標が存在する場合、前記画像データの取得時点より前に撮像された前記検出エリアの画像である背景画像データを取得し、前記背景画像データに対する前記画像データの差分画像を生成する差分画像生成部と、前記差分画像に含まれる物標と前記反射点情報に基づく前記移動物標とが予め定められた範囲内に位置するかを判定する物標位置判定部と、前記差分画像に含まれる物標と前記反射点情報に基づく前記移動物標とが予め定められた範囲内に位置する場合、前記差分画像に含まれる物標の種別を識別する物標識別部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ時間帯に取得された、検出エリアに送信された電波の反射点情報、及び前記検出エリアの画像データが入力される物標判定装置であって、
前記反射点情報に基づいて前記検出エリア内の移動物標の有無を判定する移動物標検出部と、
前記移動物標が存在する場合、前記画像データの取得時点より前に撮像された前記検出エリアの画像である背景画像データを取得し、前記背景画像データに対する前記画像データの差分画像を生成する差分画像生成部と、
前記差分画像に含まれる物標と前記反射点情報に基づく前記移動物標とが予め定められた範囲内に位置するかを判定する物標位置判定部と、
前記差分画像に含まれる物標と前記反射点情報に基づく前記移動物標とが予め定められた範囲内に位置する場合、前記差分画像に含まれる物標の種別を識別する物標識別部と、
を備える物標判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物標判定装置と、
前記検出エリアに電波を送信し、前記電波の反射点情報を取得する電波探知装置と、
を備える監視システム。
【請求項3】
前記画像データを取得する撮像装置、
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記差分画像に含まれる物標の種別が動物であると前記物標識別部が判定した場合、前記差分画像に含まれる物標に対する警告を表示する表示装置、
をさらに備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の監視システム。
【請求項5】
同じ時間帯に取得された、検出エリアに送信された電波の反射点情報、及び前記検出エリアの画像データを取得すること、
前記反射点情報に基づいて、前記検出エリア内の移動物標の有無を判定すること、
前記移動物標が存在すると判定した場合、前記画像データの取得時点より前に撮像された前記検出エリアの画像である背景画像データを取得し、前記背景画像データに対する前記検出エリアの画像データの差分画像を生成すること、
前記差分画像に含まれる物標と、前記反射点情報に基づく前記移動物標とが予め定められた範囲内に位置するかを判定すること、
前記差分画像に含まれる物標と、前記反射点情報に基づく前記移動物標とが予め定められた範囲内に位置すると判定した場合に、前記差分画像に含まれる物標の種別を識別すること、
を行う物標判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、予め定められたエリアに侵入した物標を監視する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラとレーダという2つのセンサデバイスを融合させ、監視エリア内の人物を検出する監視システムが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。特許文献1では、レーダを用いて監視エリア内の人物を検出し、カメラで撮像された画像データとレーダで検出されたミリ波データとを対応づけて監視画面を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-185115号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“YOLO9000:Better, Faster, Stronger”,Joseph Redmon , Ali Farhadi, University of Washington , Allen Institute for AI,http://pjreddie.com/yolo9000/,検索日2022年4月7日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の監視画面は、レーダで検出された物標が撮像されている。しかし、特許文献1では、レーダで検出された物標の識別は行っていない。このため、特許文献1では、レーダで検出知された物標が人物であるのか否かは、人の目で識別しなければいけないという課題があった。
【0006】
前記課題を解決するために、本開示は、予め定められたエリア内の物標の種別を自動で識別可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の物標判定装置、監視システム及び物標判定方法は、撮像した画像データから、物標のみを抽出して物標の種別を識別することとした。
【0008】
具体的には、本開示に係る物標判定装置は、
同じ時間帯に取得された、検出エリアに送信された電波の反射点情報、及び前記検出エリアの画像データが入力される物標判定装置であって、
前記反射点情報に基づいて前記検出エリア内の移動物標の有無を判定する移動物標検出部と、
前記移動物標が存在する場合、前記画像データの取得時点より前に撮像された前記検出エリアの画像である背景画像データを取得し、前記背景画像データに対する前記画像データの差分画像を生成する差分画像生成部と、
前記差分画像に含まれる物標と前記反射点情報に基づく前記移動物標とが予め定められた範囲内に位置するかを判定する物標位置判定部と、
前記差分画像に含まれる物標と前記反射点情報に基づく前記移動物標とが予め定められた範囲内に位置する場合、前記差分画像に含まれる物標の種別を識別する物標識別部と、
を備える。
【0009】
具体的には、本開示に係る監視システムは、
前記物標判定装置と、
前記検出エリアに電波を送信し、前記電波の反射点情報を取得する電波探知装置と、
を備える。
本開示に係る監視システムは、前記物標判定装置と、前記画像データを取得する撮像装置と、を備えていてもよい。
本開示に係る監視システムは、前記差分画像に含まれる物標の種別が動物である場合、前記差分画像に含まれる物標に対する警告を表示する表示装置を備えていてもよい。
【0010】
具体的には、本開示に係る物標判定方法は、
同じ時間帯に取得された、検出エリアに送信された電波の反射点情報、及び前記検出エリアの画像データを取得すること、
前記反射点情報に基づいて、前記検出エリア内の移動物標の有無を判定すること、
前記移動物標が存在すると判定した場合、前記画像データの取得時点より前に撮像された前記検出エリアの画像である背景画像データを取得し、前記背景画像データに対する前記検出エリアの画像データの差分画像を生成すること、
前記差分画像に含まれる物標と、前記反射点情報に基づく前記移動物標とが予め定められた範囲内に位置するかを判定すること、
前記差分画像に含まれる物標と、前記反射点情報に基づく前記移動物標とが予め定められた範囲内に位置すると判定した場合に、前記差分画像に含まれる物標の種別を識別すること、を行う。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、予め定められたエリア内の物標の種別を自動で識別可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る監視システムの概略構成の一例を示す。
図2】実施形態に係る差分画像の生成を説明する図である。
図3】実施形態に係る差分画像に含まれる物標と反射点情報に基づく移動物標との位置関係を説明する図である。
図4】実施形態に係る処理部の動作の一例を示す。
図5】実施形態に係る物標の位置算出及び速度算出を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0014】
(第1の実施形態)
本実施形態に係る監視システムの概略構成の一例を図1に示す。本実施形態に係る監視システム50は、物標判定装置10と、電波探知装置20と、撮像装置30と、表示装置40と、を備える。
【0015】
電波探知装置20は、予め定められた検出エリアに電波を送信し、送信した電波の反射波を受信し、検出エリア内における電波の反射点の位置や速度を反射点情報として取得する。電波探知装置20は、電波としてミリ波やマイクロ波を用いてもよい。
【0016】
撮像装置30は、検出エリアの撮像された画像データを取得する。撮像装置30は、電波探知装置20が反射点情報を取得した時刻と同時刻における検出エリアの画像データを取得できるように、電波探知装置20の反射点情報の取得タイミングに同期して画像データを取得することが望ましい。なお、撮像装置30は、検出エリアだけでなく、検出エリア外を含む画像データを取得してもよい。また、撮像装置30は、ネットワークを介して画像データの送受信が可能なネットワークカメラであってもよい。
【0017】
ここで、電波探知装置20が反射点情報を取得する時刻と撮像装置30が画像データを取得する時刻は、同時刻に限らず、同じ時間帯であれば多少のずれがあってもよい。この時刻のずれは、任意に設定することが可能であり、例えば、1分以内や3分以内に設定することで、検出エリア内の動物の検知に適用することができる。
【0018】
物標判定装置10は、処理部11と、画像記憶部12とを備える。なお、処理部11は、後述するように移動物標検出部、差分画像生成部、物標位置判定部及び物標識別部として機能する。物標判定装置10に備わる移動物標検出部、差分画像生成部、物標位置判定部及び物標識別部は、コンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0019】
画像記憶部12は、検出エリア内に物標が存在しない場合の画像を背景画像データとして予め記憶する。画像記憶部12は、例えば、季節、時間、天候毎の背景画像データを記憶していてもよい。また、画像記憶部12は、撮像装置30が取得した画像データを記憶してもよい。
【0020】
処理部11は、移動物標検出部として、電波探知装置20の取得した反射点情報から、検出エリア内の物標情報を取得し、検出エリア内における移動物標の存否を判定する。具体的には、処理部11は、検出エリアをX軸及びY軸の2次元で表した2次元マップ(以下、「2次元マップ」を「2Dマップ」と略記する。)上に、電波探知装置20が検出した反射点をそれぞれプロットする。処理部11は、2Dマップ上のプロットについてクラスタリング処理を行う。クラスタリング処理は、DBSCAN(Density-based spatial clustering of applications with noise )により行ってもよい。
【0021】
処理部11は、検出エリア内の反射点からクラスタが生成された場合に、生成したクラスタを電波探知装置20が検出した物標とし、算出したクラスタの速度から当該物標が移動しているか否かを判定する。
【0022】
処理部11は、差分画像生成部として、画像記憶部12に記憶された背景画像データに対する、撮像装置30が取得した画像データの差分画像を生成する。この際、処理部11は、外部から入力される情報から、季節、時間、天候等の環境パラメタを推定し、推定した環境パラメタに適した背景画像データを画像記憶部12から読み出してもよい。また、処理部11は、センサ等を備え、センサ等により取得した情報から、季節、時間、天候等の環境パラメタを推定し、推定した環境パラメタに適した背景画像データを画像記憶部12から読み出してもよい。
【0023】
差分画像の生成について図2を用いて説明する。図2(a)、(b)及び(c)において、61は検出エリア、62は物標を表す。なお、図2(a)、(b)及び(c)は、検出エリア61の一例として、登山道における人の立ち入り禁止エリアを検出エリア61としている。この場合において、画像記憶部12は、図2(a)に示す、検出エリア61に物標62が存在していない場合の画像を背景画像データとして予め記憶しているとする。
【0024】
撮像装置30により検出エリア61内に物標62が存在している画像データを取得すると、処理部11は、画像記憶部12から読み出した図2(a)に示す背景画像データに対する、撮像装置30が取得した図2(b)に示す画像データの差分をとる。これにより、図2(c)に示すような、検出エリア61に物標62だけが写る差分画像を生成することができる。図2(c)示すように、物標だけが写る差分画像で物標の種別を識別することで、より正確に物標の種別を識別することができる。なお、検出エリアは、登山道における人の立ち入り禁止エリアに限定されず、任意に設定することが可能である。例えば、海岸沿いの防波堤における人の立ち入り禁止エリアなどを検出エリアとすることもできる。
【0025】
処理部11は、物標位置判定部として、クラスタの位置と、差分画像に含まれる物標の位置とが一致するか否かを判定する。ここで、処理部11は、クラスタの位置と、差分画像に含まれる物標の位置とが近接している場合には、クラスタの位置と、差分画像に含まれる物標の位置とが一致していると判定してもよい。例えば、一致は、予め定められた範囲内に位置するか否かによって判定することができる。予め定められた範囲は、同じ時間帯に検出エリア内に存在することを推定可能な任意の値に設定可能であり、例えば、10m以内に設定することで、検出エリア内の動物の検知に適用することができる。なお
【0026】
クラスタの位置と、差分画像に含まれる物標の位置とが近接している場合の一例を図3に示す。図3は、図2(c)に示す差分画像上に、後述する図5(b)に示すクラスタ23のクラスタ位置22を表示した図の一例である。図3において、半径σ以内を近接とする。図3では、差分画像に含まれる物標62の半径σ以内に、クラスタ23のクラスタ位置22が存在する。そのため、クラスタの位置と、差分画像に含まれる物標の位置とが一致していると判定してもよい。
【0027】
処理部11は、生成したクラスタの位置と、差分画像に含まれる物標の位置とが一致していると判定した場合、物標識別部として、差分画像に含まれる物標が動物である否かを判定する。具体的には、処理部11は、画像認識AIを備え(例えば、非特許文献1を参照。)、画像認識AIにより差分画像に含まれる物標の種別を識別してもよい。種別は、任意に設定可能であり、例えば、人であるか否かや、熊や鹿といった動物の種別などが例示できる。そして、処理部11は、識別した種別から物標が動物であるか否かを判定する。
【0028】
処理部11は、差分画像に含まれる物標が動物であると判定した場合、表示装置40に警告を表示するように指示する。
【0029】
表示装置40は、処理部11の指示により、差分画像に含まれる物標に対する警告を表示する。表示装置40は、警告を表示するとともに、警告音を発してもよい。表示装置40は、差分画像に含まれる物標に対する警告を表示できれば任意であり、警告灯や表示板等であってもよい。
【0030】
処理部11は、差分画像に含まれる物標が動物であると判定した場合、差分画像に含まれる物標の位置及び速度を、位置が一致すると判定したクラスタの位置及び速度に置き換えてもよい。これにより、処理部11は、電波探知装置20からの反射点情報及び撮像装置30からの画像データを合成して用いることができる。
【0031】
本実施形態に係る監視システム50は、撮像装置30が取得した画像データを表示する監視画像表示部をさらに備えてもよい。監視画像表示部は、撮像装置30が取得した画像データに、物標の種別、位置、速度等を併せて表示してもよい。
【0032】
本開示に係る処理部11の動作について図4を用いて説明する。処理部11は、電波探知装置20の取得した反射点情報から、検出エリア内の物標情報を取得し、検出エリア内における移動物標の存否を判定する(ステップS01)。なお、処理部11は、検出エリア内に移動物標が存在しないと判定した場合、再びステップS01を行う。
【0033】
処理部11は、検出エリア内に移動物標が存在すると判定した場合、画像記憶部12に記憶された背景画像データに対する、撮像装置30が取得した画像データの差分画像を生成する(ステップS02)。本実施形態に係る処理部11は、演算負荷を軽減するために、移動物標が存在する場合にのみ、差分画像を生成することとしているが、処理部11は、移動物標の存在の有無に関わらず差分画像を生成してもよい。
【0034】
処理部11は、差分画像に含まれる物標と、移動物標との位置が一致しているかを判定する(ステップS03)。なお、処理部11は、差分画像に含まれる物標と、移動物標との位置が一致しないと判定した場合、再びステップS01を行う。
【0035】
処理部11は、差分画像に含まれる物標と、移動物標との位置が一致していると判定した場合に、差分画像に含まれる物標の種別を識別し、識別した種別から、差分画像に動物が含まれているか否かを判定する(ステップS04)。なお、処理部11は、差分画像に動物が含まれてないと判定した場合、ステップS01に戻る。
【0036】
処理部11は、差分画像に動物が含まれていると判定した場合、表示装置40に警告を表示させる(ステップS05)。
【0037】
図4におけるステップS06、S08、S09及びS10のそれぞれは、前述したステップS01~S04と同様である。ただし、ステップS06において、移動物標が存在しないと判定した場合、ステップS09において、移動物標と差分画像に含まれる物標との位置が一致しないと判定した場合、及び、ステップS10において、差分画像に動物が含まれていないと判定した場合は、表示装置40に警告を止めさせてから(ステップS07)、ステップS01に戻る。
【0038】
処理部11は、電波探知装置20からの反射点情報及び撮像装置30からの画像データを取得する毎に、即時ステップS01~S05又はS06~S10を行うことにより、検出エリア内の監視及び物標識別をリアルタイムに行うことができる。
【0039】
以上説明したように、本開示により、予め定められたエリア内の物標の種別をリアルタイムに自動で識別可能にすることができる。
【0040】
(第2の実施形態)
本実施形態では、クラスタリング処理結果から、クラスタの速度、クラスタの反射断面積、クラスタの位置(座標)等のクラスタ情報を生成する。クラスタの速度算出及び位置算出について図5を用いて説明する。
【0041】
図5(a)には、クラスタ23を構成するプロット21-1から21-6までが記載されており、それぞれの速度が表現されている。具体的には、プロット21-1の速度は-1.0km/h、プロット21-2の速度は-2.0km/h、プロット21-3の速度は-0.9km/h、プロット21-4の速度は-1.2km/h、プロット21-5の速度は+2.0km/h、プロット21-6の速度は-3.5km/hである。なお、図5(a)では、Y軸方向の速度のみを考慮しており、Y軸の正方向の速度を+、Y軸の負方向の速度を-で表している。
【0042】
クラスタの速度については、1つのクラスタに含まれる全プロットのY軸方向の速度(以下、「Y軸方向の速度」を「Y速度」と略記する。)について、最大値と最小値を捨てた平均値を算出し、それを当該クラスタのY速度とする。
【0043】
具体的には、図5(a)に示すように、クラスタ23においては、プロット21-1から21-6までのY速度のうち、最大値はプロット21-5の+2.0km/hであり、最小値はプロット21-6の-3.5km/hである。これより、クラスタ20のY速度は、プロット21-1から21-4までのY速度の平均値となり、約-1.3km/hとなる。なお、反射断面積も同様に最大値と最小値を除いた平均値とする。なお、DBSCANの場合は、minPtsを必ず3以上とする必要がある。また、レーダークラスタの速度及び反射断面積の算出において、最大値に同じ値が2つ以上あった場合は、捨てるデータは1つだけであり、その他の同じ値の最大値は平均値算出に使用する。最小値も同様である。なお、クラスタの速度算出においてX軸方向の速度(X速度)も考慮する場合は、X速度及びY速度を成分とする速度ベクトルの大きさと、Y速度又はX速度の符号とから同様に平均値を算出する。
【0044】
クラスタの位置については、1つのクラスタに含まれる全プロットのうち、速度を捨てたプロットを除くプロットについて矩形で囲い、その中心点の座標を当該クラスタの位置とする。なお、速度が周囲と異なるプロットは、電波探知装置20の誤差や物標の手足が伸びている部分であると考え、位置算出に利用しないようにする。
【0045】
具体的には、図5(b)に示すように、クラスタ23においては、プロット21-5及びプロット21-6を無視し、プロット21-1から21-4までを矩形で囲み、その中心点の座標がクラスタ23のクラスタ位置22となる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本開示に係る物標判定装置、監視システム及び物標判定方法は、情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
10:物標判定装置
11:処理部
12:画像記憶部
20:電波探知装置
21:プロット
22:クラスタ位置
23:クラスタ
30:撮像装置
40:表示装置
50:監視システム
61:検出エリア
62:物標
図1
図2
図3
図4
図5