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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163685
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20231102BHJP
   G03G 21/20 20060101ALI20231102BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231102BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G03G15/20 555
G03G21/20
G03G21/00 370
G03G15/00 420
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074747
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】野口 陽子
【テーマコード(参考)】
2H033
2H072
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA03
2H033AA20
2H033AA21
2H033AA23
2H033AA46
2H033AA47
2H033BA25
2H033BA26
2H033BA27
2H033BA31
2H033BA32
2H033BA34
2H033BB12
2H033BB18
2H033BB21
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB34
2H033BE00
2H033CA02
2H033CA09
2H033CA11
2H033CA13
2H033CA16
2H033CA17
2H033CA18
2H033CA19
2H033CA27
2H033CA36
2H033CA37
2H033CA45
2H072AA12
2H072AA13
2H072AA23
2H072AA29
2H072AA30
2H072AB20
2H072CA01
2H072HA07
2H072JA02
2H270KA09
2H270KA28
2H270LA25
2H270LA29
2H270LA32
2H270LA37
2H270LA39
2H270LA80
2H270LA81
2H270LB02
2H270LB08
2H270LC04
2H270LC05
2H270LC07
2H270LC10
2H270LD03
2H270LD06
2H270MA35
2H270MB03
2H270MB05
2H270MB07
2H270MC56
2H270MD10
2H270MF01
2H270MF08
2H270MH09
2H270PA15
2H270PA16
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】シートの搬送開始タイミングが不必要に遅くなることを抑制する。
【解決手段】画像形成装置(1)の制御部(5)は、温度検知部材(46A,46B)の検知温度が、第1温度に到達してから第1時間経過後に、搬送を開始する第1搬送処理と、検知温度が第1温度に到達したことを契機に搬送を開始する第2搬送処理と、検知温度が第1温度未満である第2温度に到達したことを契機に搬送を開始する第3搬送処理と、印字枚数を少なくとも含む複数の印字条件に応じて、第1搬送処理と、第2搬送処理と、第3搬送処理と、のいずれを実行するかを判定する判定処理と、を含む処理を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に向けてシートを搬送する搬送部と、
ヒータと、前記ヒータの温度を検知する温度検知部材とを含み、前記画像形成部によってシートに形成された画像を定着する定着部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記温度検知部材の検知温度が、第1温度に到達してから第1時間経過後に、前記搬送部による搬送を開始する第1搬送処理と、
前記検知温度が前記第1温度に到達したことを契機に前記搬送部による搬送を開始する第2搬送処理と、
前記検知温度が前記第1温度未満である第2温度に到達したことを契機に前記搬送部による搬送を開始する第3搬送処理と、
印字ジョブに含まれる印字枚数を少なくとも含む複数の印字条件に応じて、前記第1搬送処理と、前記第2搬送処理と、前記第3搬送処理と、のいずれを実行するかを判定する判定処理と、を含む処理を実行する、画像形成装置。
【請求項2】
前記印字条件は、シートの搬送方向長さを含み、
前記制御部は、シートの搬送方向長さが短くなるほど、前記第3搬送処理、前記第2搬送処理及び前記第1搬送処理の順に実行を優先させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印字条件は、シートの厚みを含み、
前記制御部は、シートの厚みが厚くなるほど、前記第1搬送処理、前記第2搬送処理及び前記第3搬送処理の順に実行を優先させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置の外部の温度を検知する温度センサをさらに備え、
前記印字条件は、前記画像形成装置の外部の温度を含み、
前記制御部は、前記温度センサによって検知された前記画像形成装置の外部の温度が高いほど、前記第3搬送処理、前記第2搬送処理及び前記第1搬送処理の順に実行を優先させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印字条件は、前記搬送部によるシートの搬送速度を含み、
前記制御部は、シートの搬送速度が速いほど、前記第1搬送処理、前記第2搬送処理及び前記第3搬送処理の順に実行を優先させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印字条件は、シートに対する片面印字または両面印字の設定を含み、
前記両面印字が設定されている場合、前記第1搬送処理の実行よりも前記第2搬送処理または前記第3搬送処理の実行を優先させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1温度は、前記定着部による熱定着の目標温度である定着温度である、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記定着部は、前記ヒータの周りを回転する無端状のベルトと、前記ヒータとの間で前記ベルトを挟むことによりニップ部を形成する加圧部材とをさらに有し、
前記第2温度は、シートが前記ニップ部に到達した場合に前記定着部で定着可能な温度範囲の下限値となる温度である、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記複数の印字条件は、それぞれ優先順位を有し、
前記制御部は、前記判定処理において、前記優先順位の順番で前記印字条件の設定内容を判定し、前記第1搬送処理または前記第3搬送処理を実行すると判定した場合は、以降の優先順位の前記印字条件の設定内容について判定を行わない請求項1から8の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記複数の印字条件のそれぞれに対応付けられる重み付け係数と、
前記複数の印字条件のそれぞれの設定内容に応じた判定値とを有し、
前記制御部は、
前記判定処理において、
前記複数の印字条件それぞれについて、前記判定値と、前記重み付け係数とを乗算した算出値を算出し、
前記複数の印字条件それぞれに対応する前記算出値を合計した値に基づいて、前記第1搬送処理と、前記第2搬送処理と、前記第3搬送処理と、のいずれを実行するかを判定する、請求項1から8の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の画像形成装置の制御部は、画像形成ジョブを受け付けた時に、記録材の種類とプリント枚数の情報とに基づいて、搬送速度、定着温度調整の目標温度及び給紙許可温度を設定する。給紙許可温度は、制御部がジョブの開始信号を出すと同時に目標温度を切り替えた後、給紙部を動作させて画像形成を開始するためのトリガとする定着ローラの温度である。
【0003】
給紙部は、温度センサによる定着ローラの検出温度が給紙許可温度を上回ったときに作動する。制御部は、プリント枚数が所定枚数以上の場合と所定枚数未満の場合とで給紙許可温度を変更する。プリント枚数が所定数枚未満の場合の給紙許可温度は、プリント枚数が所定数枚以上の場合の給紙許可温度よりも低く設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-231803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の画像形成装置では、プリント枚数が所定数枚以上の場合の給紙許可温度は、プリント枚数が所定数枚未満の場合の給紙許可温度よりも高く設定される。連続印字の際の印字条件によって、プリント枚数が所定数枚以上でもニップ部の温度があまり低下しない場合がある。この場合、プリント枚数が所定数枚以上であっても給紙許可温度を高く設定する必要がなく、給紙開始タイミングが不必要に遅くなる場合がある。
【0006】
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートの搬送開始タイミングが不必要に遅くなることを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部に向けてシートを搬送する搬送部と、ヒータと、前記ヒータの温度を検知する温度検知部材とを含み、前記画像形成部によってシートに形成された画像を定着する定着部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記温度検知部材の検知温度が、第1温度に到達してから第1時間経過後に、前記搬送部による搬送を開始する第1搬送処理と、前記検知温度が前記第1温度に到達したことを契機に前記搬送部による搬送を開始する第2搬送処理と、前記検知温度が前記第1温度未満である第2温度に到達したことを契機に前記搬送部による搬送を開始する第3搬送処理と、印字ジョブに含まれる印字枚数を少なくとも含む複数の印字条件に応じて、前記第1搬送処理と、前記第2搬送処理と、前記第3搬送処理と、のいずれを実行するかを判定する判定処理と、を含む処理を実行する。
【0008】
制御部は、複数の印字条件に応じて、第1搬送処理、第2搬送処理または第3搬送処理のいずれを実行するかを判定する。このため、印字枚数についての条件のみに応じて搬送処理を変更する場合に比べて、シートの搬送開始タイミングが不必要に遅くなることを抑制できる。
【0009】
本開示の画像形成装置では、前記印字条件は、シートの搬送方向長さを含み、前記制御部は、シートの搬送方向長さが短くなるほど、前記第3搬送処理、前記第2搬送処理及び前記第1搬送処理の順に実行を優先させてもよい。シートにおける搬送方向に沿った長さが短い場合、定着部の温度が下がりにくい。このため、シートにおける搬送方向に沿った長さが短くなるほど、シートの搬送開始タイミングを早くすることで、FPOT(First Paper Output Time)を短縮できる。
【0010】
本開示の画像形成装置では、前記印字条件は、シートの厚みを含み、前記制御部は、シートの厚みが厚くなるほど、前記第1搬送処理、前記第2搬送処理及び前記第3搬送処理の順に実行を優先させてもよい。シートの厚みが厚い場合、定着部の温度が下がりやすい。このため、シートの厚みが厚くなるほど、シートの搬送開始タイミングを遅くすることで、定着部の温度が下がった状態でシートを搬送することを抑制し、シートへの画像の定着不良の発生を抑制できる。
【0011】
本開示の画像形成装置は、前記画像形成装置の外部の温度を検知する温度センサをさらに備え、前記印字条件は、前記画像形成装置の外部の温度を含み、前記制御部は、前記温度センサによって検知された前記画像形成装置の外部の温度が高いほど、前記第3搬送処理、前記第2搬送処理及び前記第1搬送処理の順に実行を優先させてもよい。
【0012】
画像形成装置の外部の温度が高い場合、定着部の温度が下がりにくい。このため、画像形成装置の外部の温度が高いほど、シートの搬送開始タイミングを早くすることで、FPOTを短縮することができる。
【0013】
本開示の画像形成装置では、前記印字条件は、前記搬送部によるシートの搬送速度を含み、前記制御部は、シートの搬送速度が速いほど、前記第1搬送処理、前記第2搬送処理及び前記第3搬送処理の順に実行を優先させてもよい。シートの搬送速度が速い場合、定着部の温度が下がりやすい。このため、シートの搬送速度が速いほど、シートの搬送開始タイミングを遅くすることで、定着部の温度が下がった状態でシートを搬送することを抑制し、シートへの画像の定着不良の発生を抑制できる。
【0014】
本開示の画像形成装置では、前記印字条件は、シートに対する片面印字または両面印字の設定を含み、前記両面印字が設定されている場合、前記第1搬送処理の実行よりも前記第2搬送処理または前記第3搬送処理の実行を優先させてもよい。両面印字が設定されている場合、シートに対する片面印字が完了した後、シートを裏返す間に定着部を蓄熱できるため、定着部の温度が下がりにくい。このため、両面印字が設定されている場合、シートの搬送開始タイミングを早くすることで、FPOTを短縮できる。
【0015】
本開示の画像形成装置では、前記第1温度は、前記定着部による熱定着の目標温度である定着温度であってもよい。制御部は、第1搬送処理及び第2搬送処理において、温度検知部材の検知温度が、定着部による熱定着の目標温度である定着温度に到達してから搬送を開始する。このため、シートへの画像の定着強度が低下することをより抑制できる。
【0016】
本開示の画像形成装置では、前記定着部は、前記ヒータの周りを回転する無端状のベルトと、前記ヒータとの間で前記ベルトを挟むことによりニップ部を形成する加圧部材とをさらに有し、前記第2温度は、シートが前記ニップ部に到達した場合に前記定着部で定着可能な温度範囲の下限値となる温度であってもよい。
【0017】
シートがニップ部に到達した場合に定着可能となる温度に達してから搬送を開始するので、シートへの画像の定着不良が発生することなく、シートへの画像の定着強度を十分に維持できる。
【0018】
本開示の画像形成装置では、前記複数の印字条件は、それぞれ優先順位を有し、前記制御部は、前記判定処理において、前記優先順位の順番で前記印字条件の設定内容を判定し、前記第1搬送処理または前記第3搬送処理を実行すると判定した場合は、以降の優先順位の前記印字条件の設定内容について判定を行わなくてもよい。複数の印字条件について優先順位を有することで、制御部は、判定処理において、シートの搬送開始タイミングをより適切に判定することができる。
【0019】
本開示の画像形成装置は、前記複数の印字条件のそれぞれに対応付けられる重み付け係数と、前記複数の印字条件のそれぞれの設定内容に応じた判定値とを有し、前記制御部は、前記判定処理において、前記複数の印字条件それぞれについて、前記判定値と、前記重み付け係数とを乗算した算出値を算出し、前記複数の印字条件それぞれに対応する前記算出値を合計した値に基づいて、前記第1搬送処理と、前記第2搬送処理と、前記第3搬送処理と、のいずれを実行するかを判定してもよい。複数の印字条件についてそれぞれ重み付け係数を有することで、制御部は、判定処理において、シートの搬送開始タイミングをより適切に判定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本開示の一態様によれば、シートの搬送開始タイミングが不必要に遅くなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の実施形態1に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
図2図1に示す画像形成装置の要部構成を示すブロック図である。
図3図1に示す画像形成装置が備える定着部の斜視図である。
図4図3に示す定着部の断面図である。
図5図3に示す定着部が備えるホルダ及び温度検知部材を示す平面図である。
図6図2に示す制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
図7】本開示の実施形態2において、図2に示す制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔実施形態1〕
<画像形成装置1の全体構成>
図1は、本開示の実施形態1に係る画像形成装置1の構成を示す断面図である。画像形成装置1はモノクロ式プリンタであるが、本開示は、モノクロ式プリンタに適用範囲が限定されるものではなく、カラープリンタにも適用されるものである。本実施形態では、画像形成装置1の一例として、トナーを用いてシートSに画像を形成するレーザプリンタについて説明する。
【0023】
図1に示すように、画像形成装置1は、搬送部2と、画像形成部3と、定着部4と、給送トレイ11と、排出トレイ12と、温度センサ13と、を備える。搬送部2は、シートSを搬送するものであり、ピックアップローラ21と、搬送ローラ22と、レジストレーションローラ23と、排出ローラ24と、を備える。シートSとしては、記録紙、OHP(Over Head Projector)、封筒または厚紙等がある。
【0024】
給送トレイ11は、印字前のシートSを収容するトレイである。ピックアップローラ21は、給送トレイ11からシートSを1枚ずつ搬送する。搬送ローラ22は、ピックアップローラ21によって搬送されたシートSをレジストレーションローラ23に搬送する。レジストレーションローラ23は、シートSの先端の位置を揃えた後、画像形成部3に向けてシートSを搬送する。
【0025】
温度センサ13は、画像形成装置1の外部の温度を検知する。具体的には、温度センサ13は、画像形成装置1の筐体の内部に設けられており、画像形成装置1の筐体の内部の温度を検知することにより、画像形成装置1の外部の温度を検知する。画像形成装置1の筐体の内部の温度と、画像形成装置1の外部の温度と、の間に差がないため、画像形成装置1の筐体の内部の温度を画像形成装置1の外部の温度と見なしている。
【0026】
画像形成部3は、レジストレーションローラ23によって搬送されたシートSに画像を形成するものであり、感光体31と、帯電器32と、露光器33と、現像部34と、転写器35と、クリーニング部36と、を備える。
【0027】
感光体31は、アルミニウム等の導電性の金属からなる素管と、素管の外周面に設けられた感光層と、を有する。感光体31は、有機感光体(OPC:Organic Photo Conductor)であり、画像形成電位の極性が正極性となる正帯電性の感光層を有する感光ドラムである。感光体31は、回転しながら帯電器32により感光層が帯電され、露光器33からのレーザ光により露光され、表面に静電潜像が形成される。なお、感光体31は、金属製の環状ベルトの外周面に感光層が設けられた感光ベルトであってもよい。
【0028】
帯電器32は、感光体31の表面を帯電させるものであり、例えば感光体31に接触して帯電させる帯電ローラ、または、非接触で感光体31を帯電させるスコロトロン帯電器等である。露光器33は、帯電器32により帯電された感光体31の表面を露光する。露光器33は、例えば感光体31の回転軸の方向に沿って1列状に並んだ複数の発光素子を有しており、印字データに応じて発光することにより、感光体31の表面に静電潜像を形成する。
【0029】
現像部34は、感光体31の表面に形成された静電潜像に現像剤を供給するものであり、例えば現像ローラと、現像剤を収容した現像容器と、を備える。転写器35は、感光体31の表面に形成された現像剤像をシートSに転写するものであり、例えば転写ローラである。クリーニング部36は、感光体31に残留する現像剤や感光体31に付着した紙粉等を感光体31から除去するものであり、例えばクリーニングローラである。
【0030】
定着部4は、画像形成部3によってシートSに形成された画像を定着するものである。定着部4の詳細については後述する。排出ローラ24は、定着部4によって画像が定着されたシートSを排出トレイ12に排出する。排出トレイ12は、印字後のシートSが排出され載置されるトレイである。
【0031】
図2は、図1に示す画像形成装置1の要部構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像形成装置1は、制御部5と、通信部6と、通電回路7と、を備える。制御部5は、画像形成装置1の各部を制御するコントローラであり、例えば、搬送部2と、画像形成部3と、定着部4と、通信部6と、通電回路7と、を制御する。
【0032】
制御部5は、温度センサ13と電気的に接続される。制御部5は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)51と、記憶部52と、を備える。制御部5は、種々の処理を実行することによって、画像形成装置1に印字処理及びそれに付随する処理を行わせる。
【0033】
なお、制御部5は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを備えてもよい。この場合、記憶部52に印字制御方法を実現する制御プログラムが記憶されていてもよい。そして、制御部5のプロセッサが、記憶部52が記憶する制御プログラムに従って動作することにより、画像形成装置1における印字処理が実行されてもよい。
【0034】
また、制御部5が、制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えてもよい。記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、磁気ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路等を用いることができる。
【0035】
さらに、記録媒体としては、制御プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)等を利用してもよい。制御プログラムは、制御プログラムを伝送可能な通信ネットワークや放送波等の任意の伝送媒体を介して上記コンピュータに供給されてもよい。記憶部52は、情報の読み出し及び書き込みが可能なメモリである。記憶部52は、RAMまたはNVM(Non Volatile Memory:不揮発性メモリ)である。記憶部52には、印字枚数等の所定の情報が記憶される。
【0036】
通信部6は、通信インターフェースを備えており、有線形式または無線形式のネットワークを介して画像形成装置1の外部の機器との間で双方向のデータ通信を行う。通電回路7は、トライアック等のスイッチング素子を有している。通電回路7は、制御部5からの指示に従って上記スイッチング素子をオンまたはオフすることにより、図示しない交流電源から定着部4のヒータ41に電流を供給する通電状態と、電流を供給しない非通電状態と、を切り替える。
【0037】
<定着部4の構成>
図3は、図1に示す画像形成装置1が備える定着部4の斜視図であり、図4は、図3に示す定着部4の断面図である。図5は、図3に示す定着部4が備えるホルダ43及び温度検知部材46A,46Bを示す平面図である。図3図5に示すように、定着部4は、ヒータ41と、ベルト42と、ホルダ43と、加圧ローラ44と、ステー45と、温度検知部材46A,46Bと、を備える。
【0038】
図4に示すように、ヒータ41は、熱源であり、定着部4の長手方向に延びる板状となっている。ヒータ41は、基板41A及び抵抗発熱体41Bを有する。基板41Aは、定着部4の長手方向に沿って延伸する板状となっている。抵抗発熱体41Bは、基板41Aの上に定着部4の長手方向に沿って設けられている。
【0039】
なお、定着部4の長手方向は、加圧ローラ44の回転軸と平行な方向であり、かつ、後述するニップ部NにおけるシートSの搬送方向と直交する方向である。言い換えると、定着部4の長手方向は、ニップ部Nを通過するシートSの幅方向である。
【0040】
また、基板41A上には、抵抗発熱体41Bに給電する配線及び端子等も設けられている。基板41Aとしては、セラミック製の基板が用いられている。つまり、ヒータ41はセラミックヒータである。この場合、ヒータ41は低熱容量のヒータとなる。なお、ヒータ41は、基板41Aとして金属製の基板、より具体的にはスチール製の基板が用いられているスチールヒータであってもよい。
【0041】
ベルト42は、ヒータ41に接触する内周面42Aを含み、ヒータ41の周りを回転する無端状のベルトである。また、ベルト42は、低熱容量の円筒状の部材である。ベルト42は、耐熱性、離形性、強度及び耐久性等を有する単層または複合層フィルムからなる。
【0042】
ホルダ43は、ヒータ41を支持するとともに、ベルト42の回転保持を行う部材であり、耐熱性及び絶縁性を有する樹脂材料からなる。ホルダ43は、ヒータ41を支持する支持面43Aを有する。支持面43Aは、ヒータ41の裏面、つまり基板41Aにおける抵抗発熱体41Bとは反対側の面に対向してヒータ41を支持する。ヒータ41は、抵抗発熱体41Bが設けられた表面をベルト42の内周面42Aに向けて配置される。
【0043】
加圧ローラ44は、加圧部材の一例であり、ヒータ41の表面との間でベルト42を挟むことによりニップ部Nを形成する。加圧ローラ44の両端は、一対のサイドフレームに軸受を介してそれぞれ支持されている。加圧ローラ44は、画像形成装置1が備えるモータによって回転駆動され、加圧ローラ44の回転に伴ってベルト42が従動回転する。
【0044】
ステー45は、ホルダ43の剛性を高めるための部材であり、ホルダ43の支持面43Aとは反対側に配置されている。ホルダ43の剛性が高い場合には、ステー45を省略することができる。
【0045】
なお、加圧部材は、加圧ローラ44に限定されるものではなく、例えば、加圧ベルトとニップ形成部材とで構成されていてもよい。つまり、加圧ベルトで囲まれる空間内に、ニップ形成部材として、弾性パッド、樹脂製または金属製の加圧板等が配置される。ニップ形成部材が、ベルト42及び加圧ベルトを介してヒータ41の表面に圧接してニップ部Nを形成する。
【0046】
図5に示すように、温度検知部材46A,46Bは、ホルダ43における支持面43Aとは反対側の背面43Bに対向するように設けられている。ホルダ43の背面43Bには、孔43C,43Dが形成されている。温度検知部材46Aは、孔43Cを通してヒータ41の裏面に接触する。温度検知部材46Bは、孔43Dを通してヒータ41の裏面に接触する。温度検知部材46A,46Bは、ヒータ41の温度を検知する。温度検知部材46A,46Bは、サーミスタであるが、サーモスタット等の他の温度検知部材であってもよい。
【0047】
<制御部5の処理>
図6は、図2に示す制御部5の処理の一例を示すフローチャートである。制御部5は、複数の印字条件として第1印字条件~第6印字条件に応じて、第1搬送処理と、第2搬送処理と、第3搬送処理と、のいずれを実行するかを判定する判定処理を実行する。
【0048】
制御部5は、通信部6を介して、画像形成装置1の外部の機器から印字ジョブを受信する。制御部5は、印字ジョブを受信すると、印字準備処理を実行する。例えば、制御部5は、印字準備処理において、通電回路7を用いてヒータ41に電流を供給することにより、ヒータ41に対し電力供給を開始する。これにより、ヒータ41の抵抗発熱体41Bに電力が供給され、ヒータ41の温度が上昇する。
【0049】
制御部5は、印字準備処理を実行した後、変数Xに1を代入する(S11)。制御部5は、変数Xに1を代入した後、第X印字条件について第1設定内容~第3設定内容のいずれが該当するかを判定する判定処理を実行する(S12)。制御部5は、S12において、第X印字条件について第1設定内容が該当すると判定した場合、S13の処理を実行する。制御部5は、S12において、第X印字条件について第3設定内容が該当すると判定した場合、S14の処理を実行する。制御部5は、S12において、第X印字条件について第2設定内容が該当すると判定した場合、S15の処理を実行する。
【0050】
制御部5は、S12において、第X印字条件について第1設定内容が該当すると判定した場合、第1搬送処理を実行する(S13)。具体的には、制御部5は、温度検知部材46A,46Bの検知温度が、第1温度に到達してから第1時間経過後に、搬送部2による搬送を開始する第1搬送処理を実行する。第1温度は、定着部4による熱定着の目標温度である定着温度である。第1時間は、例えば2秒である。
【0051】
制御部5は、S12において、第X印字条件について第3設定内容が該当すると判定した場合、第3搬送処理を実行する(S14)。具体的には、制御部5は、温度検知部材46A,46Bの検知温度が、第1温度未満である第2温度に到達したことを契機に搬送部2による搬送を開始する第3搬送処理を実行する。
【0052】
制御部5は、第X印字条件について第2設定内容が該当すると判定した場合、第X印字条件が、複数の印字条件のうち最後の条件であるか否かを判定する(S15)。制御部5は、第X印字条件が最後の条件であると判定した場合(S15でYES)、第2搬送処理を実行する(S16)。具体的には、制御部5は、温度検知部材46A,46Bの検知温度が、第1温度に到達したことを契機に搬送部2による搬送を開始する第2搬送処理を実行する。
【0053】
制御部5は、第X印字条件が最後の条件ではないと判定した場合(S15でNO)、変数Xの値を1つインクリメントする(S17)。S17において、X=1の場合、制御部5が変数Xの値を1つインクリメントすることにより、変数Xの値が2となる。制御部5は、変数Xの値を1つインクリメントした後、S12の処理に進む。
【0054】
そして、制御部5は、第2印字条件~第6印字条件について、S12~S17の処理を実行する。
【0055】
以上のように、制御部5は、第1搬送処理を実行する場合、第2搬送処理及び第3搬送処理に比べてシートSの搬送開始タイミングを遅くして、定着部4を蓄熱させる。これにより、シートSへの画像の定着強度を十分に維持できる。制御部5は、第3搬送処理を実行する場合、第1搬送処理及び第2搬送処理に比べてシートSの搬送開始タイミングを早くして、FPOT(First Paper Output Time)を短縮でき、消費電力を減少させることができる。制御部5は、第2搬送処理を実行する場合、第1搬送処理に比べてシートSの搬送開始タイミングを早くして、第3搬送処理に比べてシートSの搬送開始タイミングを遅くする。
【0056】
なお、制御部5は、1枚目のシートSに対してのみ、図6に示すS11~S17の処理を実行し、2枚目以降のシートSに対して第3搬送処理を実行する。なお、制御部5は、1枚目のシートSだけではなく、2枚目以降のシートSに対しても図6に示すS11~S17の処理を実行してもよい。
【0057】
以下、第1印字条件~第6印字条件の詳細について、下記の表1を用いて詳細に説明する。表1は、各印字条件に対応付けられた各設定内容を示す表の一例である。なお、図6に示す第X印字条件の「X」は、変数Xの「X」と同じものである。よって、制御部5は、S12において、X=1の場合、第1印字条件について第1設定内容~第3設定内容のいずれが該当するかを判定する。
【0058】
【表1】
<第1印字条件>
第1印字条件は、表1に示すように印字ジョブに含まれる印字枚数である。つまり、複数の印字条件は、印字枚数を少なくとも含む。第1印字条件には、第1設定内容、第2設定内容及び第3設定内容が設定されている。
【0059】
第1印字条件の第1設定内容は、印字枚数が51枚以上であることである。第1印字条件の第2設定内容は、印字枚数が4枚以上50枚以下であることである。第1印字条件の第3設定内容は、印字枚数が1枚以上3枚以下であることである。
【0060】
S12において、制御部5は、第1印字条件について第1設定内容が該当する、つまり、印字枚数が51枚以上であると判定した場合、第1搬送処理を実行する。
【0061】
制御部5は、第1印字条件について第3設定内容が該当する、つまり、印字枚数が1枚以上3枚以下であると判定した場合、第3搬送処理を実行する。制御部5は、第1印字条件について第2設定内容が該当する、つまり、印字枚数が4枚以上50枚以下であると判定した場合、S15の処理を実行する。
【0062】
制御部5は、S15において、第1印字条件が最後の条件ではないと判定すると(S15でNO)、S17において、変数Xの値を1つインクリメントする。これにより、変数Xの値が2となる。制御部5は、変数Xの値を1つインクリメントした後、S12の処理に進む。
【0063】
<第2印字条件>
第2印字条件は、表1に示すように印字ジョブに含まれるシートSの搬送方向長さである。よって、複数の印字条件は、シートSの搬送方向長さを含む。第2印字条件の第1設定内容は、シートSの搬送方向長さが300mm以上であることである。第2印字条件の第2設定内容は、シートSの搬送方向長さが200mm以上300mm未満であることである。第2印字条件の第3設定内容は、シートSの搬送方向長さが200mm未満であることである。
【0064】
制御部5は、S12の判定処理を実行することにより、シートSの搬送方向長さが短くなるほど、第3搬送処理、第2搬送処理及び第1搬送処理の順に実行を優先させる。シートSにおける搬送方向に沿った長さが短い場合、定着部4の温度が下がりにくい。このため、シートSにおける搬送方向に沿った長さが短くなるほど、シートSの搬送開始タイミングを早くすることで、FPOTを短縮できる。
【0065】
<第3印字条件>
第3印字条件は、表1に示すように印字ジョブに含まれるシートSの厚みである。よって、複数の印字条件は、シートSの厚みを含む。第3印字条件の第1設定内容は、印字ジョブにおいてシートSの厚みが「厚い」に設定されていることである。第3印字条件の第2設定内容は、印字ジョブにおいてシートSの厚みが「中」に設定されていることである。第3印字条件の第3設定内容は、印字ジョブにおいてシートSの厚みが「薄い」に設定されていることである。「厚い」、「中」及び「薄い」の順にシートSの厚みが厚いことを意味する。シートSの厚みが「中」とは、一例として再生紙が指定された場合に対応する。
【0066】
制御部5は、S12の判定処理を実行することにより、シートSの厚みが厚くなるほど、第1搬送処理、第2搬送処理及び第3搬送処理の順に実行を優先させる。シートSの厚みが厚い場合、定着部4の温度が下がりやすい。このため、シートSの厚みが厚くなるほど、シートSの搬送開始タイミングを遅くすることで、定着部4の温度が下がった状態でシートSを搬送することを抑制し、シートSへの画像の定着不良の発生を抑制できる。
【0067】
<第4印字条件>
第4印字条件は、表1に示すように温度センサ13によって検知された画像形成装置1の外部の温度である。よって、複数の印字条件は、画像形成装置1の外部の温度を含む。第4印字条件の第1設定内容は、画像形成装置1の外部の温度が20℃以下であることである。第4印字条件の第2設定内容は、画像形成装置1の外部の温度が21℃以上35℃以下であることである。第4印字条件の第3設定内容は、画像形成装置1の外部の温度が36℃以上であることである。ここで、画像形成装置1の外部の温度の値は整数である。
【0068】
制御部5は、S12の判定処理を実行することにより、温度センサ13によって検知された画像形成装置1の外部の温度が高いほど、第3搬送処理、第2搬送処理及び第1搬送処理の順に実行を優先させる。画像形成装置1の外部の温度が高い場合、定着部4の温度が下がりにくい。このため、画像形成装置1の外部の温度が高いほど、シートSの搬送開始タイミングを早くすることで、FPOTを短縮することができる。
【0069】
<第5印字条件>
第5印字条件は、表1に示すように搬送部2によるシートSの搬送速度である。よって、複数の印字条件は、搬送部2によるシートSの搬送速度を含む。第5印字条件の第1設定内容は、シートSの搬送速度が31ppm以上であることである。第5印字条件の第2設定内容は、21ppm以上30ppm以下であることである。第5印字条件の第3設定内容は、20ppm以下であることである。単位「ppm」は「枚/分」を示す。また、シートSの搬送速度の値は整数である。
【0070】
制御部5は、S12の判定処理を実行することにより、シートSの搬送速度が速いほど、第1搬送処理、第2搬送処理及び第3搬送処理の順に実行を優先させる。シートSの搬送速度が速い場合、定着部4の温度が下がりやすい。このため、シートSの搬送速度が速いほど、シートSの搬送開始タイミングを遅くすることで、定着部4の温度が下がった状態でシートSを搬送することを抑制し、シートSへの画像の定着不良の発生を抑制できる。
【0071】
<第6印字条件>
第6印字条件は、表1に示すようにシートSに対する片面印字または両面印字の設定である。よって、複数の印字条件は、シートSに対する片面印字または両面印字の設定を含む。第6印字条件の第1設定内容は、片面印字が設定されていることである。第6印字条件の第2設定内容は、両面印字が設定されていることである。なお、表1に示すように、第6印字条件は、第3設定内容を有さない。
【0072】
制御部5は、S12の判定処理を実行することにより、両面印字が設定されている場合、第1搬送処理の実行よりも第2搬送処理の実行を優先させる。両面印字が設定されている場合、シートSに対する片面印字が完了した後、シートSを裏返す間に定着部4を蓄熱できるため、定着部4の温度が下がりにくい。このため、両面印字が設定されている場合、シートSの搬送開始タイミングを早くすることで、FPOTを短縮できる。なお、制御部5は、両面印字が設定されている場合、第1搬送処理の実行よりも第3搬送処理の実行を優先させてもよい。
【0073】
S12において、制御部5は、第6印字条件について第1設定内容が該当する、つまり、片面印字であると判定した場合、第1搬送処理を実行する。制御部5は、第6印字条件について第2設定内容が該当する、つまり、両面印字であると判定した場合、第6印字条件が最後の条件であると判定し(S15でYES)、第2搬送処理を実行する(S16)。
【0074】
以上により、制御部5は、複数の印字条件に応じて、第1搬送処理、第2搬送処理または第3搬送処理のいずれを実行するかを判定する。このため、印字枚数についての条件のみに応じて搬送処理を変更する場合に比べて、シートSの搬送開始タイミングが不必要に遅くなることを抑制できる。
【0075】
また、第1温度は、定着部4による熱定着の目標温度である定着温度であることが好ましい。制御部5は、第1搬送処理及び第2搬送処理において、温度検知部材46A,46Bの検知温度が、定着部4による熱定着の目標温度である定着温度に到達してから搬送を開始する。このため、シートSへの画像の定着強度が低下することをより抑制できる。
【0076】
さらに、第2温度は、シートSがニップ部Nに到達した場合に定着部4で定着可能な温度範囲の下限値となる温度であることが好ましい。シートSがニップ部Nに到達した場合に定着可能となる温度に達してから搬送を開始するので、シートSへの画像の定着不良が発生することなく、シートSへの画像の定着強度を十分に維持できる。
【0077】
<優先順位>
第1印字条件~第6印字条件は、それぞれ優先順位を有する。制御部5は、S12の判定処理において、上記優先順位の順番で第1印字条件~第6印字条件の設定内容を判定し、第1搬送処理または第3搬送処理を実行すると判定した場合は以降の優先順位の前記印字条件の設定内容について判定を行わない。複数の印字条件について優先順位を有することで、制御部5は、S12の判定処理において、シートSの搬送開始タイミングをより適切に判定することができる。
【0078】
<第1変形例>
制御部5は、第1印字条件~第6印字条件のそれぞれについて第1設定内容~第3設定内容のいずれが該当するかを判定し、第1設定内容~第3設定内容のうち該当すると判定した回数が最も多かった設定内容に対応する搬送処理を実行してもよい。第1搬送処理は第1設定内容に対応し、第2搬送処理は第2設定内容に対応し、第3搬送処理は第3設定内容に対応する。例えば、制御部5は、第1設定内容~第3設定内容のうち該当すると判定した回数が最も多かった設定内容が第1設定内容である場合、第1搬送処理を実行する。
【0079】
<第2変形例>
制御部5は、第1印字条件~第6印字条件に加えて、第7印字条件として前回の印字ジョブを受信してからの経過時間に応じて、第1搬送処理と、第2搬送処理と、第3搬送処理と、のいずれを実行するかを判定してもよい。前回の印字ジョブは、制御部5が今回受信した印字ジョブよりも1回前に受信した印字ジョブである。
【0080】
〔実施形態2〕
本開示の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。図7は、本開示の実施形態2において、図2に示す制御部5の処理の一例を示すフローチャートである。
【0081】
制御部5は、通信部6を介して、画像形成装置1の外部の機器から印字ジョブを受信する。制御部5は、印字ジョブを受信すると、印字準備処理を実行する。制御部5は、印字準備処理を実行した後、算出値を0にして初期化する(S21)。制御部5は、算出値を0にして初期化した後、図6に示すS11と同じ処理であるS22の処理を実行し、図6に示すS12と同じ処理であるS23の処理を実行する。
【0082】
以下、本実施形態における第1印字条件~第6印字条件の詳細について、下記の表2を用いて詳細に説明する。表2は、各印字条件に対応付けられた各設定内容を示す表の一例である。表2に示す第1印字条件~第6印字条件は、表1に示す各印字条件に加えて、第1印字条件~第6印字条件のそれぞれに対応付けられる重み付け係数を有する。また、表2に示す第1設定内容~第3設定内容は、表1に示す各設定内容に加えて、第1設定内容~第3設定内容のそれぞれに対応付けられる判定値を有する。各印字条件に対応付けられる重み付け係数および各設定内容に対応付けられる判定値は、記憶部52に記憶されている。
【0083】
【表2】
表2に示すように、第1印字条件~第3印字条件のそれぞれに対応付けられる重み付け係数は、例えば5であり、第4印字条件に対応付けられる重み付け係数は、例えば1であり、第5印字条件及び第6印字条件のそれぞれに対応付けられる重み付け係数は、例えば2である。
【0084】
また、表2に示すように、第1印字条件~第5印字条件のそれぞれについて、第1設定内容には第1判定値が設定され、第2設定内容には第2判定値が設定され、第3設定内容には第3判定値が設定されている。
【0085】
例えば、第1判定値は1点であり、第2判定値は2点であり、第3判定値は3点である。なお、表2に示すように、第6印字条件は、第3設定内容を有さない。よって、第6印字条件においては、第1設定内容には第1判定値が設定され、第2設定内容には第2判定値が設定され、第3設定内容に対応する判定値は有さない。
【0086】
制御部5は、第X印字条件について第1設定内容が該当する、判定した場合、第X印字条件に対応付けられる重み付け係数と、第1設定内容に応じた第1判定値と、を掛け合わせる(S24)。例えば、S24において、X=1の場合、制御部5は、第1印字条件に対応付けられる重み付け係数としての5点と、第1判定値としての1点と、を掛け合わせることにより、5点を得る。制御部5は、第X印字条件に対応付けられる重み付け係数と、第1判定値と、を掛け合わせて得られる値を、算出値に加える(S27)。つまり、算出値は、各印字条件に対応付けられる重み付け係数と、各設定内容に対応付けられる判定値と、を掛け合わせて得られる値を第1印字条件~第6印字条件ごとに算出し、その算出された値を合計したものである。
【0087】
制御部5は、第X印字条件について第2設定内容が該当すると判定した場合、第X印字条件に対応付けられる重み付け係数と、第2設定内容に応じた第2判定値と、を掛け合わせる(S25)。例えば、S25において、X=1の場合、制御部5は、第1印字条件に対応付けられる重み付け係数としての5点と、第2判定値としての2点と、を掛け合わせることにより、10点を得る。制御部5は、S27において、第X印字条件に対応付けられる重み付け係数と、第2判定値と、を掛け合わせて得られる値を、算出値に加える。
【0088】
制御部5は、第X印字条件について第3設定内容が該当すると判定した場合、第X印字条件に対応付けられる重み付け係数と、第3設定内容に応じた第3判定値と、を掛け合わせる(S26)。例えば、S26において、X=1の場合、制御部5は、第1印字条件に対応付けられる重み付け係数としての5点と、第3判定値としての3点と、を掛け合わせることにより、15点を得る。制御部5は、S27において、第X印字条件に対応付けられる重み付け係数と、第3判定値と、を掛け合わせて得られる値を、算出値に加える。
【0089】
制御部5は、S27の処理の後、図6に示すS15と同じ処理であるS28の処理を実行する。制御部5は、第X印字条件が最後の条件ではないと判定した場合(S28でNO)、図6に示すS17と同じ処理であるS29の処理を実行する。制御部5は、S29の処理を実行した後、S23の処理に進む。
【0090】
制御部5は、第X印字条件が最後の条件であると判定した場合(S28でYES)、S27で算出した算出値つまり合計値について判定処理を実行する(S30)。具体的には、例えば、制御部5は、表2に示す第1印字条件~第6印字条件についてそれぞれ第1設定内容が該当すると判定した場合、下記(1)~(6)の算出値を合計した合計値について判定処理を実行する。
【0091】
(1)第1印字条件に対応する重み付け係数5×第1判定値に対応する点数1=5
(2)第2印字条件に対応する重み付け係数5×第1判定値に対応する点数1=5
(3)第3印字条件に対応する重み付け係数5×第1判定値に対応する点数1=5
(4)第4印字条件に対応する重み付け係数1×第1判定値に対応する点数1=1
(5)第5印字条件に対応する重み付け係数2×第1判定値に対応する点数1=2
(6)第6印字条件に対応する重み付け係数2×第1判定値に対応する点数1=2
【0092】
また、第X印字条件が最後の条件であると判定した場合とは、例えば、制御部5がS28の判定処理において、X=6の値を取得する場合である。つまり、制御部5は、第6印字条件について第1設定内容が該当する、すなわち、片面印字であると判定した場合、または、第6印字条件について第2設定内容が該当する、すなわち、両面印字であると判定した場合、第6印字条件が最後の条件であると判定し(S28でYES)、S30の処理を実行する。
【0093】
制御部5は、S27で算出した算出値が30点未満であると判定した場合、図6に示すS13と同じ処理であるS31の処理を実行する。例えば、制御部5は、上記(1)~(6)のように、第1印字条件~第6印字条件についてそれぞれ第1設定内容が該当すると判定した場合、算出値の合計値は20点となり、制御部5は、S27において30点未満であると判定し、第1搬送処理を実行する(S31)。
【0094】
制御部5は、S27で算出した算出値が30点以上45点未満であると判定した場合、図6に示すS16と同じ処理であるS32の処理を実行する。例えば、制御部5は、上記(1)~(6)のうち、第1印字条件、第2印字条件、第5印字条件および第6印字条件についてそれぞれ第2設定内容が該当すると判定した場合、各算出値は(1)=10点、(2)=10点、(3)=5点、(4)=1点、(5)=4点、(6)=4点であり、その合計値は34点となる。よって、制御部5は、S27において30点以上45点未満であると判定し、第2搬送処理を実行する(S31)。
【0095】
制御部5は、S27で算出した算出値が45点以上であると判定した場合、図6に示すS14と同じ処理であるS33の処理を実行する。例えば、制御部5は、上記(1)~(6)のうち、第1印字条件および第2印字条件についてそれぞれ第3設定内容が該当すると判定し、第3印字条件~第6印字条件についてそれぞれ第2設定内容が該当すると判定した場合、各算出値は(1)=15点、(2)=15点、(3)=10点、(4)=2点、(5)=4点、(6)=4点であり、その合計値は50点となる。よって、制御部5は、S27において45点以上であると判定し、第3搬送処理を実行する(S33)。
【0096】
制御部5は、1枚目のシートSに対してのみ、図7に示すS21~S33の処理を実行し、2枚目以降のシートSに対して第3搬送処理を実行する。なお、制御部5は、1枚目のシートSだけではなく、2枚目以降のシートSに対しても図7に示すS21~S33の処理を実行してもよい。
【0097】
以上により、制御部5は、S30の判定処理において、複数の印字条件それぞれについて、判定値と、重み付け係数とを乗算した算出値を算出し、複数の印字条件それぞれに対応する算出値を合計した値に基づいて、第1搬送処理と、第2搬送処理と、第3搬送処理と、のいずれを実行するかを判定する。複数の印字条件についてそれぞれ重み付け係数を有することで、制御部5は、判定処理において、シートSの搬送開始タイミングをより適切に判定することができる。
【0098】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
1 画像形成装置
2 搬送部
3 画像形成部
4 定着部
5 制御部
13 温度センサ
41 ヒータ
42 ベルト
44 加圧ローラ
46A、46B 温度検知部材
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7