(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163697
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】ポイント発行システム、携帯端末、情報処理端末、ポイント発行サーバ、およびポイント発行方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20231102BHJP
【FI】
G06Q30/02 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074765
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤 由紀子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
(57)【要約】
【課題】定価販売商品の売上促進と商品廃棄コスト低減のバランスを最適化し、小売店の収益最大化を図る。
【解決手段】商品情報管理サーバは、商品を一意に識別する商品識別情報と対応づけて、商品の製造情報(商品の賞味期限および消費期限のいずれか一方または両方、および販売期限の情報ならびに商品の返品にかかる費用および廃棄にかかる費用を含む)および販売情報(商品の通常販売価格および仕入価格を含む)を管理する商品データベースを有する。ポイント発行サーバは、対象商品の通常販売価格、仕入価格、返品にかかる費用、廃棄にかかる費用、賞味期限および消費期限のいずれか一方または両方、および販売期限ならびに対象商品の販売日時を基に、目標利益を上回るように、対象商品に使用できる値引き購入ポイントの数を計算し、対象商品の賞味期限または消費期限と対象商品の販売日時との差が所定期間内の場合に、対象商品の購入者に対して、計算した数の値引き購入ポイントを発行する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の情報を管理する商品情報管理サーバと、商品の購入者に対して値引き購入ポイントを発行するポイント発行サーバと、がネットワークを介して接続されたポイント発行システムであって、
前記商品情報管理サーバは、
商品を一意に識別する商品識別情報と対応づけて、商品の製造情報および販売情報を記憶するデータベースを有し、
前記製造情報は、商品の賞味期限および消費期限のいずれか一方または両方、および販売期限の情報ならびに商品の返品にかかる費用および廃棄にかかる費用の情報を含み、
前記販売情報は、商品の通常販売価格および仕入価格の情報を含み、
前記ポイント発行サーバは、
対象商品の前記通常販売価格、前記仕入価格、前記返品にかかる費用、前記廃棄にかかる費用、前記賞味期限および前記消費期限のいずれか一方または両方、および前記販売期限ならびに前記対象商品の販売日時の情報を基に、目標利益を上回るように、前記対象商品に使用できる前記値引き購入ポイントの数を計算する計算手段と、
前記対象商品の前記賞味期限または前記消費期限と前記対象商品の前記販売日時との差が所定期間内の場合に、前記購入者に対して、前記計算手段で計算した前記数の前記値引き購入ポイントを発行するポイント発行手段と、
を備えることを特徴とするポイント発行システム。
【請求項2】
前記商品は、生鮮食品または総菜であること、
を特徴とする請求項1に記載のポイント発行システム。
【請求項3】
前記ポイント発行サーバは、サブスクリプションに由来する前記購入者のポイントの情報を記憶するデータベースを有すること、
を特徴とする請求項1に記載のポイント発行システム。
【請求項4】
前記ポイント発行サーバは、協賛団体から付与された前記購入者のポイントの情報を記憶するデータベースを有すること、
を特徴とする請求項1に記載のポイント発行システム。
【請求項5】
前記協賛団体から付与された前記購入者の前記ポイントは、前記購入者の経済状態に応じて変動するものであること、
を特徴とする請求項4に記載のポイント発行システム。
【請求項6】
前記ポイント発行サーバは、
販売当日の任意の時刻での廃棄品全量を推計する推計手段と、
値引き販売によって小売店の収益を悪化させないアルゴリズムによって、前記推計手段で推計された前記廃棄品全量のうち値引き販売する値引き品の販売量と、前記値引き購入ポイントを決定する決定手段と、
を備えること、
を特徴とする請求項1に記載のポイント発行システム。
【請求項7】
前記アルゴリズムは
「定価×(「定価販売による販売量」+「前記値引き購入ポイントを導入したときの販売量」)-前記値引き購入ポイント×「前記値引き購入ポイントの金銭への交換比率」-廃棄コスト×「前記値引き購入ポイントを導入したときの廃棄量」」という計算式で定義される前記値引き購入ポイントを導入したときの収益と、「定価×「定価販売による販売量」-廃棄コスト×定価販売したときの廃棄量」という計算式で定義される定価販売を続けたときの収益との差がゼロより大きくなるようにするものであること、
を特徴とする請求項6に記載のポイント発行システム。
【請求項8】
前記ポイント発行サーバは、前記アルゴリズムにより決定された前記値引き購入ポイントを、前記購入者に割り当てる割当手段を備えること、
を特徴とする請求項7の記載のポイント発行システム。
【請求項9】
前記割当手段は、サブスクリプションの会員である前記購入者に、前記値引き購入ポイントのうち、前記会員が保有する前記サブスクリプションの月額購入ポイントに比例する分を割り当てること、
を特徴とする請求項8に記載のポイント発行システム。
【請求項10】
前記商品情報管理サーバは、顧客の携帯端末に、販売品名を含む対象値引き販売品情報をリアルタイムで送信する販売品情報送信手段を備えること、
を特徴とする請求項1に記載のポイント発行システム。
【請求項11】
前記販売品情報送信手段は、前記対象値引き販売品情報を、AR(Augmented Reality)情報、RFID(Radio Frequency IDentification)情報、またはバーコード情報を用いて送信すること、
を特徴とする請求項10に記載のポイント発行システム。
【請求項12】
前記商品情報管理サーバは、開閉可能な半透明の扉で覆われた一箇所の開口部と陳列室とを有し前記会員のみが前記開口部から前記陳列室にアクセスできる陳列庫内に陳列されている前記値引き品の陳列場所の情報を記憶するデータベースを有すること、
を特徴とする請求項9に記載のポイント発行システム。
【請求項13】
前記ポイント発行サーバは、
当月中に使用した前記値引き購入ポイントの情報を記憶するデータベースと、
ポイント発行店舗の情報を記憶するデータベースと、
を有すること、
を特徴とする請求項1に記載のポイント発行システム。
【請求項14】
前記ポイント発行サーバは、翌月以降に定価品購入に使用できる前記購入者の定価購入ポイントの情報を記憶するデータベースを有し、
前記ポイント発行サーバは、当月中に前記購入者が使用した前記値引き購入ポイントと前記購入者に発行された前記値引き購入ポイントとの差を計算する手段と、
前記差を前記定価購入ポイントとして前記データベースに登録する手段と、
を備えること、
を特徴とする請求項13に記載のポイント発行システム。
【請求項15】
前記ポイント発行サーバは、協賛団体からの金銭提供情報を記憶するデータベースを有すること、
を特徴とする請求項1に記載のポイント発行システム。
【請求項16】
前記ポイント発行サーバは、前記値引き購入ポイントを使用して購入された、メーカ宛返品対象の前記値引き品につき、値引き額の一部をメーカに請求する手段を備えること、
を特徴とする請求項8に記載のポイント発行システム。
【請求項17】
前記請求項8に記載の前記ポイント発行システムで発行された、特定対象店舗で使用可能な前記値引き購入ポイントを、定期購入する購入手段を備えたこと、
を特徴とする携帯端末。
【請求項18】
前記請求項8に記載の前記ポイント発行システムで発行された前記値引き購入ポイントを、協賛団体への申請により無償で獲得する獲得手段を備えたこと、
を特徴とする請求項17に記載の携帯端末。
【請求項19】
前記値引き品の在庫をリアルタイムで表示する在庫表示制御手段を備えたこと、
を特徴とする請求項17に記載の携帯端末。
【請求項20】
前記値引き購入ポイントで購入した商品の購入履歴を表示する履歴表示制御手段を備えたこと、
を特徴とする請求項17に記載の携帯端末。
【請求項21】
前記値引き購入ポイントで購入した商品を利用した調理メニューを表示するメニュー表示制御手段を備えたこと、
を特徴とする請求項17に記載の携帯端末。
【請求項22】
当日に割り当てられた前記値引き購入ポイントを表示する当日割当ポイント表示制御手段を備えたこと、
を特徴とする請求項17に記載の携帯端末。
【請求項23】
未消化の前記値引き購入ポイントの残高を、翌月以降に定価品購入に使用できる定価購入ポイントに換算して表示する未消化ポイント残高表示制御手段を備えたこと、
を特徴とする請求項17に記載の携帯端末。
【請求項24】
前記請求項18に記載の前記携帯端末から送信された、所得の額を特定するための情報を含む申請により、所得に応じた前記値引き購入ポイントを、前記携帯端末へ送信するポイント送信手段を備えたこと、
を特徴とする情報処理端末。
【請求項25】
商品を一意に識別する商品識別情報と対応づけて、商品の賞味期限および消費期限のいずれか一方または両方、および販売期限の情報ならびに商品の返品にかかる費用および廃棄にかかる費用の情報を含む製造情報、および商品の通常販売価格および仕入価格の情報を含む販売情報を記憶するデータベースを有する商品情報管理サーバとネットワークを介して接続された、商品の購入者に対して値引き購入ポイントを発行するポイント発行サーバであって、
対象商品の前記通常販売価格、前記仕入価格、前記返品にかかる費用、前記廃棄にかかる費用、前記賞味期限および前記消費期限のいずれか一方または両方、および前記販売期限ならびに前記対象商品の販売日時の情報を基に、目標利益を上回るように、前記対象商品に使用できる前記値引き購入ポイントの数を計算する計算手段と、
前記対象商品の前記賞味期限または前記消費期限と前記対象商品の前記販売日時との差が所定期間内の場合に、前記購入者に対して、前記計算手段で計算した前記数の前記値引き購入ポイントを発行するポイント発行手段と、
を備えることを特徴とするポイント発行サーバ。
【請求項26】
商品を一意に識別する商品識別情報と対応づけて、商品の賞味期限および消費期限のいずれか一方または両方、および販売期限の情報ならびに商品の返品にかかる費用および廃棄にかかる費用の情報を含む製造情報、および商品の通常販売価格および仕入価格の情報を含む販売情報を記憶するデータベースを有する商品情報管理サーバとネットワークを介して接続された、商品の購入者に対して値引き購入ポイントを発行するポイント発行サーバが実行するポイント発行方法であって、
対象商品の前記通常販売価格、前記仕入価格、前記返品にかかる費用、前記廃棄にかかる費用、前記賞味期限および前記消費期限のいずれか一方または両方、および前記販売期限ならびに前記対象商品の販売日時の情報を基に、目標利益を上回るように、前記対象商品に使用できる前記値引き購入ポイントの数を計算するステップと、
前記対象商品の前記賞味期限または前記消費期限と前記対象商品の前記販売日時との差が所定期間内の場合に、前記対象商品の前記購入者に対して、前記計算した前記数の前記値引き購入ポイントを発行するステップと、
を含むことを特徴とするポイント発行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポイント発行システム、携帯端末、情報処理端末、ポイント発行サーバ、およびポイント発行方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小売店舗の食品などの売れ残り商品の廃棄コストを低減するため、廃棄見込み品の一部が値引き販売されている。
【0003】
なお、特許文献1には、賞味期限の短い商品の購入に対してインセンティブを与えることで、賞味期限までの猶予期間が短い商品の購買を促進させることができるポイント発行システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、値引き販売商品の販売量が増えすぎると定価商品の売上減につながるため、多額のまだ食べられる食品が廃棄されている。この結果、食品流通では多額のフードロスが発生し、廃棄コストを含め甚大な経済損失を発生させている。
【0006】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、このトレードオフの最適化を図り、定価販売商品の売上促進と商品廃棄コスト低減のバランスを最適化し、小売店の収益最大化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明にかかるポイント発行システムは、商品の情報を管理する商品情報管理サーバと、商品の購入者に対して値引き購入ポイントを発行するポイント発行サーバと、がネットワークを介して接続されたポイント発行システムであって、前記商品情報管理サーバは、商品を一意に識別する商品識別情報と対応づけて、商品の製造情報および販売情報を記憶するデータベースを有し、前記製造情報は、商品の賞味期限および消費期限のいずれか一方または両方、および販売期限の情報ならびに商品の返品にかかる費用および廃棄にかかる費用の情報を含み、前記販売情報は、商品の通常販売価格および仕入価格の情報を含み、前記ポイント発行サーバは、対象商品の前記通常販売価格、前記仕入価格、前記返品にかかる費用、前記廃棄にかかる費用、前記賞味期限および前記消費期限のいずれか一方または両方、および前記販売期限ならびに前記対象商品の販売日時の情報を基に、目標利益を上回るように、前記対象商品に使用できる前記値引き購入ポイントの数を計算する計算手段と、前記対象商品の前記賞味期限または前記消費期限と前記対象商品の前記販売日時との差が所定期間内の場合に、前記購入者に対して、前記計算手段で計算した前記数の前記値引き購入ポイントを発行するポイント発行手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
なお、本発明にかかるポイント発行システムにおいて、前記商品は、生鮮食品または総菜でもよい。
【0009】
また、本発明にかかるポイント発行システムにおいて、前記ポイント発行サーバは、サブスクリプションに由来する前記購入者のポイントの情報を記憶するデータベースを有してもよい。
【0010】
また、本発明にかかるポイント発行システムにおいて、前記ポイント発行サーバは、協賛団体から付与された前記購入者のポイントの情報を記憶するデータベースを有してもよい。
【0011】
また、本発明にかかるポイント発行システムにおいて、前記協賛団体から付与された前記購入者の前記ポイントは、前記購入者の経済状態に応じて変動するものでもよい。
【0012】
また、本発明にかかるポイント発行システムにおいて、前記ポイント発行サーバは、販売当日の任意の時刻での廃棄品全量を推計する推計手段と、値引き販売によって小売店の収益を悪化させないアルゴリズムによって、前記推計手段で推計された前記廃棄品全量のうち値引き販売する値引き品の販売量と、前記値引き購入ポイントを決定する決定手段と、を備えてもよい。
【0013】
また、本発明にかかるポイント発行システムにおいて、前記アルゴリズムは、「定価×(「定価販売による販売量」+「前記値引き購入ポイントを導入したときの販売量」)-前記値引き購入ポイント×「前記値引き購入ポイントの金銭への変換比率」-廃棄コスト×「前記値引き購入ポイントを導入したときの廃棄量」」という計算式で定義される前記値引き購入ポイントを導入したときの収益と、「定価×「定価販売による販売量」-廃棄コスト×定価販売したときの廃棄量」という計算式で定義される定価販売を続けたときの収益との差がゼロより大きくなるようにするものでもよい。
【0014】
また、本発明にかかるポイント発行システムにおいて、前記ポイント発行サーバは、前記アルゴリズムにより決定された前記値引き購入ポイントを、前記購入者に割り当てる割当手段を備えてもよい。
【0015】
また、本発明にかかるポイント発行システムにおいて、前記割当手段は、サブスクリプションの会員である前記購入者に、前記値引き購入ポイントのうち、前記会員が保有する前記サブスクリプションの月額購入ポイントに比例する分を割り当ててもよい。
【0016】
また、本発明にかかるポイント発行システムにおいて、前記商品情報管理サーバは、顧客の携帯端末に、販売品名を含む対象値引き販売品情報をリアルタイムで送信する販売品情報送信手段を備えてもよい。
【0017】
また、本発明にかかるポイント発行システムにおいて、前記販売品情報送信手段は、前記対象値引き販売品情報を、AR(Augmented Reality)情報、RFID(Radio Frequency IDentification)情報、またはバーコード情報を用いて送信してもよい。
【0018】
また、本発明にかかるポイント発行システムにおいて、前記商品情報管理サーバは、開閉可能な半透明の扉で覆われた一箇所の開口部と陳列室とを有し前記会員のみが前記開口部から前記陳列室にアクセスできる陳列庫に陳列されている前記値引き品の陳列場所の情報を記憶するデータベースを有してもよい。
【0019】
また、本発明にかかるポイント発行システムにおいて、前記ポイント発行サーバは、当月中に使用した前記値引き購入ポイントの情報を記憶するデータベースと、ポイント発行店舗の情報を記憶するデータベースと、を有してもよい。
【0020】
また、本発明にかかるポイント発行システムにおいて、前記ポイント発行サーバは、翌月以降に定価品購入に使用できる前記購入者の定価購入ポイントの情報を記憶するデータベースを有してもよく、前記ポイント発行サーバは、当月中に前記購入者が使用した前記値引き購入ポイントと前記購入者に発行された前記値引き購入ポイントとの差を計算する手段と、前記差を前記定価購入ポイントとして前記データベースに登録する手段と、を備えてもよい。
【0021】
また、本発明にかかるポイント発行システムにおいて、前記ポイント発行サーバは、協賛団体からの金銭提供情報を記憶するデータベースを有してもよい。
【0022】
また、本発明にかかるポイント発行システムにおいて、前記ポイント発行サーバは、前記値引き購入ポイントを使用して購入された、メーカ宛返品対象の前記値引き品につき、値引き額の一部をメーカに請求する手段を備えてもよい。
【0023】
また、本発明にかかる携帯端末は、前記ポイント発行システムで発行された、特定対象店舗で使用可能な前記値引き購入ポイントを、定期購入する購入手段を備えたこと、を特徴とする。
【0024】
なお、本発明にかかる携帯端末は、前記ポイント発行システムで発行された前記値引き購入ポイントを、協賛団体への申請により無償で獲得する獲得手段を備えてもよい。
【0025】
また、本発明にかかる携帯端末は、前記値引き品の在庫をリアルタイムで表示する在庫表示制御手段を備えてもよい。
【0026】
また、本発明にかかる携帯端末は、前記値引き購入ポイントで購入した商品の購入履歴を表示する履歴表示制御手段を備えてもよい。
【0027】
また、本発明にかかる携帯端末は、前記値引き購入ポイントで購入した商品を利用した調理メニューを表示するメニュー表示制御手段を備えてもよい。
【0028】
また、本発明にかかる携帯端末は、当日に割り当てられた前記値引き購入ポイントを表示する当日割当ポイント表示制御手段を備えてもよい。
【0029】
また、本発明にかかる携帯端末は、未消化の前記値引き購入ポイントの残高を、前記定価購入ポイントに換算して表示する未消化ポイント残高表示制御手段を備えてもよい。
【0030】
また、本発明に係る情報処理端末は、前記携帯端末から送信された、所得の額を特定するための情報を含む申請により、所得に応じた前記値引き購入ポイントを、前記携帯端末へ送信するポイント送信手段を備えたこと、を特徴とする。
【0031】
また、本発明にかかるポイント発行サーバは、商品を一意に識別する商品識別情報と対応づけて、商品の賞味期限および消費期限のいずれか一方または両方、および販売期限の情報ならびに商品の返品にかかる費用および廃棄にかかる費用の情報を含む製造情報、および商品の通常販売価格および仕入価格の情報を含む販売情報を記憶するデータベースを有する商品情報管理サーバとネットワークを介して接続された、商品の購入者に対して値引き購入ポイントを発行するポイント発行サーバであって、対象商品の前記通常販売価格、前記仕入価格、前記返品にかかる費用、前記廃棄にかかる費用、前記賞味期限および前記消費期限のいずれか一方または両方、および前記販売期限ならびに前記対象商品の販売日時の情報を基に、目標利益を上回るように、前記対象商品に使用できる前記値引き購入ポイントの数を計算する計算手段と、前記対象商品の前記賞味期限または前記消費期限と前記対象商品の前記販売日時との差が所定期間内の場合に、前記購入者に対して、前記計算手段で計算した前記数の前記値引き購入ポイントを発行するポイント発行手段と、を備えることを特徴とする。
【0032】
また、本発明にかかるポイント発行方法は、商品を一意に識別する商品識別情報と対応づけて、商品の賞味期限および消費期限のいずれか一方または両方、および販売期限の情報ならびに商品の返品にかかる費用および廃棄にかかる費用の情報を含む製造情報、および商品の通常販売価格および仕入価格の情報を含む販売情報を記憶するデータベースを有する商品情報管理サーバとネットワークを介して接続された、商品の購入者に対して値引き購入ポイントを発行するポイント発行サーバが実行するポイント発行方法であって、対象商品の前記通常販売価格、前記仕入価格、前記返品にかかる費用、前記廃棄にかかる費用、前記賞味期限および前記消費期限のいずれか一方または両方、および前記販売期限ならびに前記対象商品の販売日時の情報を基に、目標利益を上回るように、前記対象商品に使用できる前記値引き購入ポイントの数を計算するステップと、前記対象商品の前記賞味期限または前記消費期限と前記対象商品の前記販売日時との差が所定期間内の場合に、前記対象商品の前記購入者に対して、前記計算した前記数の前記値引き購入ポイントを発行するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、定価販売商品の売上促進と商品廃棄コスト低減のバランスを最適化し、小売店の収益最大化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、ポイント発行システム1のシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、商品情報管理サーバ2およびポイント発行サーバ3のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、ユーザ端末4のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、協賛団体端末5およびメーカ端末6のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、ポイント発行処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0036】
<ポイント発行システム1>
図1は、本実施の形態に係るポイント発行システム1のシステム構成を示す図である。図に示すように、ポイント発行システム1は、商品情報管理サーバ2、ポイント発行サーバ3、ユーザ端末4、協賛団体端末5、およびメーカ端末6等がネットワーク7を介して接続されて構成される。以下、各構成について説明する。
【0037】
(商品情報管理サーバ2)
商品情報管理サーバ2は、商品(例えば生鮮食品または総菜など)の情報を管理するサーバである。商品情報管理サーバ2は、商品の製造情報と販売情報を記憶するデータベース(以下、「商品データベース」と表記)を有する。
【0038】
商品データベースには、登録商品IDと対応付けて、商品の製造情報および販売情報が登録される。
【0039】
登録商品IDは、データベースに登録された商品IDである。商品IDは、商品(包材)1つ1つを一意に識別するIDである。商品IDは、JANコードと管理番号を結合したIDでもよい。JANコードは「どの事業者のどの商品か」を表す世界共通の識別番号であり、商品群(商品名)ごとに固定の番号である。管理番号は、商品(包材)1つ1つを一意に識別する識別番号であり、ランダムな番号である。商品IDは、商品1つ1つを一意に識別するIDであればよく、例えば、JANコードを省略し、管理番号のみとしてもよい。商品IDは、数字である必要はなく、例えば、アルファベット、或いは、数字とアルファベットの組合せなどでもよい。
【0040】
商品IDまたは商品IDから生成された1次元もしくは2次元のコードは、商品を充填する包材に印刷してもよい。また、商品IDもしくはコードを印刷したラベルまたは商品IDもしくはコードを記憶領域に記憶したICタグを、包材に貼り付けてもよい。商品IDから生成されたコードは、GS1-128というコードや、データバーを多段に重ねたスタック式のコード(例えば、GS1データバー拡張多層型)、QRコード(登録商標)などでもよい。
【0041】
製造情報は、製造日時、「賞味期限および消費期限のいずれか一方または両方」、販売期限、返品にかかる費用(例えば商品を倉庫に戻すのに必要な物流費など)、廃棄にかかる費用(例えば商品を倉庫に戻すのに必要な物流費や商品の廃棄にかかるごみ処理費用など)、および内容物等の情報を含む。商品の製造情報は、メーカ端末6によって登録されてもよい。
【0042】
販売情報は、販売店、通常販売価格(定価)、仕入価格(販売店が購入した価格)、および購入者等の情報を含む。商品の販売情報は、販売店に設置されるPOS(Point Of Sale)レジスタである店舗端末によって登録されてもよい。なお、店舗端末は、商品の販売処理(会計処理)を行うとともに、販売した商品の販売情報(販売店、販売日時、購入者など)をポイント発行サーバ3に送信する機能を有する。商品情報管理サーバ2は、店舗端末から送信された販売情報を受信して商品データベースに登録する機能を有してもよい。
【0043】
このように、商品データベースでは、商品1つ1つの製造情報および販売情報が管理され、商品のトレーサビリティが確保される。
【0044】
ここで、商品情報管理サーバ2は、販売店に設置されている陳列庫内に陳列されている値引き品(値引き販売する商品)の陳列場所の情報を記憶するデータベースをさらに有してもよい。なお、陳列庫は、開閉可能な半透明の扉で覆われた一箇所の開口部と陳列室とを有し、サブスクリプションの会員のみが開口部から陳列室にアクセスできる、例えばショーケースのようなものである。
【0045】
また、商品情報管理サーバ2は、顧客の携帯端末であるユーザ端末4に、当該顧客への販売対象となる値引き品の情報であって販売品名や通常販売価格を含む対象値引き販売品情報を、リアルタイムで(例えば顧客が販売店内に居る時や、ある商品が値引き対象品であることが設定された時などに)送信してもよい。例えば、商品情報管理サーバ2は、対象値引き販売品情報を、AR(Augmented Reality)情報、RFID(Radio Frequency IDentification)情報、またはバーコード情報を用いてユーザ端末4に送信してもよいし、アプリ、メール、SNSを通じてユーザ端末4に送信してもよい。
【0046】
(ポイント発行サーバ3)
ポイント発行サーバ3は、商品の購入者に対して、商品購入の際に金銭の代わりに使用できる値引き購入ポイントを発行するサーバである。ポイント発行サーバ3は、対象商品の通常販売価格、仕入価格、返品にかかる費用、廃棄にかかる費用、「賞味期限および消費期限のいずれか一方または両方」、販売期限、および販売日時を基に、販売店の目標利益を上回る(販売店の目標利益が達成される)ように、対象商品に使用できる値引き購入ポイントの数を計算する情報処理手段(計算手段)と、対象商品の賞味期限または消費期限と対象商品の販売日時との差が所定のポイント発行期間内の場合に、対象商品の購入者に対して、計算した数の値引き購入ポイントを発行する情報処理手段(発行手段)を備える。なお、販売日時は販売期限以前の日時であり、販売期限を過ぎると廃棄または返品される。これにより、定価販売商品の売上促進と商品廃棄コスト低減のバランスを最適化し、小売店(販売店)の収益最大化を図ることができる。なお、値引き購入ポイントについて、1ポイントは1円に限定されない。
【0047】
なお、ポイント発行サーバ3は、商品情報管理サーバ2に記憶されている情報を基に、値引きして失われる利益と値引きによる売上機会増を勘案して、利益を最大化できる値引き品数量と商品一つ当たりの値引き額を計算し、当該計算した値引き品数量および商品一つ当たりの値引き額ならびに購入者予想数を基に、購入者一人一人に割り当てる値引き購入ポイントの数を計算してもよい。ここで、利益を最大化できる値引き品数量および商品一つ当たりの値引き額は、各販売店の経験則に基づく計算方法により計算してもよく、周知の手法(例えば組織科学、Vo.54 No.2 16-25 (2020)などに記載の手法)に基づき計算してもよい。
【0048】
ポイント発行サーバ3は、サブスクリプションに由来する購入者のポイントの情報を記憶するデータベースを有してもよい。この場合、ポイント発行サーバ3は、全ての値引き購入ポイントを、サブスクリプションに由来する購入者のポイントの数に応じて購入者に割り振ってもよく、また、店舗負担の値引き額に、サブスクリプションに由来するポイント分を増額して、値引き購入ポイントの総数を計算してもよい。なお、値引き購入ポイントの原資は、店舗の値引き総額、サブスクリプション購入額、協賛団体からの寄付金、または商品製造メーカからの還付金などである。還付金について、例えば、返品コストの一部を返金するケースまたは予め仕入れ代金を安くするケース、などが考えられる。ポイント発行サーバ3は、協賛団体(具体的には企業、政府、自治体、またはNPO法人など)から付与された購入者のポイント(例えば、購入者の経済状態に応じて変動するもの、など)の情報を記憶するデータベースを有してもよい。この場合、ポイント発行サーバ3は、店舗負担の値引き額に、協賛団体から提供されたポイント分を増額して、値引き購入ポイントの総数を計算してもよい。
【0049】
ポイント発行サーバ3は、販売当日の任意の時刻での廃棄品全量を推計する情報処理手段(推計手段)と、値引き販売によって小売店(販売店)の収益を悪化させないアルゴリズム(例えば、日本経営工学会論文誌、Vo.69、No.2(2018)に記載の手法など)によって、当該推計された廃棄品全量のうち値引き品の販売量と、値引き購入ポイントを決定する情報処理手段(決定手段)と、を備えてもよい。ここで、ポイント発行サーバ3は、例えば、当日の時期、天候、ある販売商品の仕入れ状況、販売価格(定価と値引き後の価格)、および売上状況を基に、過去の同時期の天候、同じかまたは類似した販売商品の仕入れ状況、販売価格、および売上状況を探索して、当日も過去と同程度の売上によって過去と同程度の廃棄品が発生すると予測することにより、廃棄品全量を推計してもよい。また、ポイント発行サーバ3は、過去の時期、天候、ある販売商品の仕入れ状況、販売価格、および売上状況を教師データにした機械学習により、時期、天候、および販売商品を入力すると売上と廃棄の予測ができるモデルを作成し、作成したモデルを用いて廃棄品全量を推計してもよい。また、当該アルゴリズムは、例えば、「定価×(「定価販売による販売量」+「値引き購入ポイントを導入したときの販売量」)-値引き購入ポイント×「値引き購入ポイントの金銭への交換比率」-廃棄コスト×「値引き購入ポイントを導入したときの廃棄量」」という計算式で定義される値引き購入ポイントを導入したときの収益と、「定価×「定価販売による販売量」-廃棄コスト×定価販売したときの廃棄量」という計算式で定義される定価販売を続けたときの収益との差がゼロより大きくなるようにするものでもよい。値引き購入ポイントを導入すると販売数が増える。ここで、定価販売による販売量は、値引き購入ポイントを導入しなくても定価で販売される販売量を表す。
【0050】
決定される値引き購入ポイントは、店舗毎に決定し、前記アルゴリズムは、店舗内の個々の対象商品の値引き購入ポイントを導入したときの収益の総和と定価販売を続けたときの収益の総和の差がゼロより大きくなるようにするものでもよい。
【0051】
ポイント発行サーバ3は、前記アルゴリズムにより決定された値引き購入ポイントを、購入者に割り当てる情報処理手段(割当手段)を備えてもよい。例えば、ポイント発行サーバ3は、サブスクリプションの会員である購入者に、値引き購入ポイントのうち、当該会員が保有する当該サブスクリプションの月額購入ポイントに比例する分を割り当ててもよい。
【0052】
ポイント発行サーバ3は、当日の値引き購入ポイントを決定するときに、サブスクリプション会員が保有する月額購入ポイントの一部(例えば月の日数30で割ったポイント分)を金額に換算したときの値を、店舗内の個々の対象商品の値引き購入ポイントを導入したときの収益の総和に加えてもよい。このとき店舗内の個々の対象商品の値引き購入ポイントを導入したときの収益の総和と定価販売を続けたときの収益の総和の差をゼロより大きくするために必要な小売店舗が自身で提供する値引き購入ポイントは、サブスクリプションがないときよりも少なくできる。
【0053】
ポイント発行サーバ3は、当月中に使用した値引き購入ポイントの情報を記憶するデータベースと、ポイント発行店舗(販売店)の情報を記憶するデータベースと、を有してもよい。前者のデータベースを有する場合、ポイント発行サーバ3は、例えば、当月使い切れなかった値引き購入ポイントを、翌月は値引き対象品以外の商品にも適用できる定価購入ポイントとして割り当てることができる。また、後者のデータベースを有する場合、例えばポイントが使える店舗を小売店チェーンのうちの一店舗に限定して、ポイント発行サーバ3を運用することができる。
【0054】
ポイント発行サーバ3は、翌月以降に定価品購入に使用できる購入者の定価購入ポイントの情報を記憶するデータベースを有してもよく、また、ポイント発行サーバ3は、当月中に購入者が使用した値引き購入ポイントと購入者に発行された全値引き購入ポイントとの差を計算する手段と、前記差を、翌月以降に定価品購入に使用できる定価購入ポイントとして当該データベースに登録する手段と、を備えてもよい。
【0055】
ポイント発行サーバ3は、協賛団体からの金銭提供情報を記憶するデータベースを有してもよい。ここで、金銭提供情報とは、日本円または各国通貨で表記された金額、および金銭の属性情報を表す。1ポイントが1円とは限らないため、協賛団体から提供された金額を保存させておく。属性情報は、直接金銭が提供されたケース(例えば税金の還元分であるケースなど)を区別するものである。なお、税金の還元分であるケースとは、購入者の経済状態に応じた協賛団体からの支援を、その店舗が自治体に支払う金額、例えば廃棄物処理費用、の減額で行うケースである。当該データベースを有することにより、ポイント発行サーバ3は、協賛団体から提供された金銭を値引き購入ポイントの原資の一部に使用することができる。
【0056】
ポイント発行サーバ3は、当日の値引き購入ポイントを決定するときに、協賛団体から提供されたポイントの一部(例えばある月に提供される総ポイント数を月の日数30で割ったポイント分など)を金額に換算したときの値を、店舗内の個々の対象商品の値引き購入ポイントを導入したときの収益の総和に加えてもよい。このとき店舗内の個々の対象商品の値引き購入ポイントを導入したときの収益の総和と定価販売を続けたときの収益の総和の差をゼロより大きくするために必要な小売店舗が自身で提供する値引き購入ポイントは、協賛団体からの値引き購入ポイント提供がないときよりも少なくできる。
【0057】
ポイント発行サーバ3は、値引き購入ポイントを使用して購入された、メーカ宛返品対象の値引き品につき、値引き額の一部(一定割合)をメーカに請求する情報処理手段(請求手段)を備えてもよい。例えば、ポイント発行サーバ3は、メーカ宛の請求書データを作成し、作成した請求書データをメーカ端末6へ送信することにより、メーカへの請求を行ってもよい。これにより、メーカの廃棄コスト削減分を、一定額、販売店に返金することができる。
【0058】
図2は、上述した商品情報管理サーバ2およびポイント発行サーバ3のハードウェア構成の一例を示す図である。図に示すように、各サーバは、例えば、制御部21、記憶部22、通信部23等がバス28を介して接続されて構成されたコンピュータにより実現できる。但し、これに限ることなく、用途、目的に応じて様々な構成を採ることが可能である。
【0059】
制御部21は、CPU、ROM、RAMなどから構成される。CPUは、記憶部22、ROMなどの記憶媒体に格納されたプログラムをRAM上のワークエリアに呼び出して実行する。ROMは不揮発性メモリであり、ブートプログラムやBIOSなどのプログラム、データなどを恒久的に保持している。RAMは揮発性メモリであり、記憶部22、ROMなどからロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部21が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
【0060】
記憶部22はハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ等であり、制御部21が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OSなどが格納される。これらのプログラムやデータは、制御部21により必要に応じて読み出され実行される。通信部23は、ネットワーク7等を介した通信を媒介する通信インタフェースであり、各サーバや各端末等との間で通信を行う。
【0061】
(ユーザ端末4)
ユーザ端末4は、商品の購入者が所持する携帯端末であり、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC等である。ユーザ端末4は、ポイント発行サーバ3にポイントの発行を要求し、ポイントの付与を受けることができる。ユーザ端末4を用いてポイントを発行する処理(ポイント発行処理)は後述する(
図5)。
【0062】
ユーザ端末4は、ポイント発行システム1で発行された、特定対象店舗で使用可能な値引き購入ポイントを、定期購入する情報処理手段(購入手段)を備えてもよい。
【0063】
ユーザ端末4は、ポイント発行システム1で発行された値引き購入ポイントを、協賛団体への申請により無償で獲得する情報処理手段(獲得手段)を備えてもよい。
【0064】
ユーザ端末4は、値引き品の在庫をリアルタイムで(例えばユーザ端末4を所持する購入者が販売店内に居る時や、ある商品が値引き対象品であることが設定された時などに)表示する情報処理手段(在庫表示制御手段)を備えてもよい。
【0065】
ユーザ端末4は、値引き購入ポイントで購入した商品の購入履歴を表示する情報処理手段(履歴表示制御手段)を備えてもよい。
【0066】
ユーザ端末4は、値引き購入ポイントで購入した商品(食品)を利用した調理メニューを表示する情報処理手段(メニュー表示制御手段)を備えてもよい。
【0067】
ユーザ端末4は、当日に割り当てられた値引き購入ポイントを表示する情報処理手段(当日割当ポイント表示制御手段)を備えてもよい。
【0068】
ユーザ端末4は、未消化の値引き購入ポイントの残高を、翌月以降に定価品購入に使用できる定価購入ポイントに換算して表示する情報処理手段(未消化ポイント残高表示制御手段)を備えてもよい。
【0069】
図3は、ユーザ端末4のハードウェア構成の例を示す図である。図に示すように、ユーザ端末4は、制御部41、記憶部42、表示部43、入力部44、通信部45、カメラ46等がバス48を介して接続されて構成される。但し、これに限ることなく、用途、目的に応じて様々な構成を採ることが可能である。
【0070】
制御部41、記憶部42、通信部45の機能は、
図2で説明した制御部21、記憶部22、通信部23の機能と略同様である。表示部43は液晶パネル等のディスプレイ装置を有する。入力部44は、データの入力を行い、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、テンキー等の入力装置を有する。入力部44を介して、コンピュータに対して、操作指示、動作指示、データ入力等を行うことができる。尚、表示部43及び入力部44は、タッチパネルディスプレイのように、一体となっていても良い。記憶部42には、ポイント発行サーバ3が発行するポイントの提供を受けるための専用のアプリケーション(「ポイント発行アプリ」)が格納されている。
【0071】
(協賛団体端末5)
協賛団体端末5は、協賛団体が所有するコンピュータであり、ポイント発行サーバ3に協賛団体が提供する値引き購入ポイントの数や、値引き購入ポイントを提供する相手が特定の購入者であればその購入者の氏名、などの情報を送信する。協賛団体端末5は、提供した値引き購入ポイントの数に応じた金額が、ポイント発行サーバ3から請求されたときに、その請求額を受信する情報処理手段(受信手段)を備えてもよい。協賛団体端末5は、ユーザ端末4から送信された、所得の値引き購入ポイントを特定するための情報を含む申請により、所得に応じた値引き購入ポイントを、ユーザ端末4へ送信する情報処理手段(ポイント送信手段)を備えてもよい。
【0072】
(メーカ端末6)
メーカ端末6は、食品や飲料等の商品を製造するメーカが所有するコンピュータであり、値引き購入ポイントを導入することで販売量が増加してメーカへの返品が減少して生まれる返品コスト減少分の一部を、ポイント発行サーバ3から値引き購入ポイントの原資として請求されたときに、その請求情報を受信する情報処理手段(受信手段)を有する。
【0073】
メーカ端末6は、商品の製造情報を商品情報管理サーバ2に送信し、商品データベースに登録する。メーカ端末6は、例えば商品の製造工場(製造ライン)に設置されており、製造工場(製造ライン)において包材に商品(内容物)が充填されたあと、包材に印刷されている商品IDを読み取るとともに、オペレータ等の操作によって商品の製造情報(製造工場、製造日時、賞味期限、内容物など)の入力を受け付ける。そしてメーカ端末6は、商品IDと製造情報(製造工場、製造日時、賞味期限、内容物など)を商品情報管理サーバ2に送信し、商品データベースに登録してもよい。
【0074】
図4は、上述した協賛団体端末5およびメーカ端末6のハードウェア構成の一例を示す図である。図に示すように、協賛団体端末5は、例えば、制御部51、記憶部52、表示部53、入力部54、通信部55等がバス58を介して接続されて構成されたコンピュータにより実現できる。但し、これに限ることなく、用途、目的に応じて様々な構成を採ることが可能である。
【0075】
制御部51、記憶部52、通信部55の機能は、
図2で説明した制御部21、記憶部22、通信部23の機能と略同様である。表示部53、入力部54の機能は、
図3で説明した表示部43と入力部44の機能と略同様である。
【0076】
<ポイント発行処理>
次に、
図5のフローチャートを参照しながら、商品の購入者が、自身のユーザ端末4を用いて、ポイントを発行する処理について説明する。なお、ユーザが所持するユーザ端末4には、ポイント発行サーバ3にポイントの発行を要求しポイントの付与を受けるための専用のアプリケーション(以下、「ポイント発行アプリ」と表記)がインストールされているものとする。
【0077】
ポイント発行アプリは、ユーザ端末4のカメラ46により商品IDを読み取る機能、読み取った商品IDをポイント発行サーバ3に送信しポイントの発行を要求する機能、ポイント発行サーバ3から発行されたポイントの情報を受信する機能、などを有する。
【0078】
ポイント発行サーバ3は、ポイント発行アプリのユーザ情報を記憶するユーザデータベースを有する。ユーザデータベースには、ポイント発行アプリの各ユーザのユーザID、パスワード、氏名等が記憶されている。ユーザID、パスワード、氏名等は、例えば、ポイント発行アプリのインストール時またはインストール後に、ポイント発行アプリのユーザ登録画面において登録される。
【0079】
ここでは、ポイントを発行するユーザ(商品の購入者)は、登録商品ID「49XXXXXXXXXXXYYYYYYY」の商品「天ぷら」を購入したユーザであり、かつ、ユーザID「0001」に紐づくポイント発行アプリのユーザが「ユーザX」であるものとして、
図5のフローチャートを参照しながらポイントを発行する処理を説明する。
【0080】
まず、ユーザXは、ユーザ端末4のポイント発行アプリを起動させ、カメラ46により購入した商品の包材に印刷されている商品IDを撮影し、商品IDを読み取る(ステップS21)。続いて、ユーザ端末4は、読み取った商品IDと、ユーザIDおよびパスワード(購入者の情報)をポイント発行サーバ3に送信し、ポイントの発行要求を行う(ステップS22)。すなわち、ここでは、ユーザ端末4は、商品ID「49XXXXXXXXXXXYYYYYYY」、ユーザID「0001」、パスワード「######」を送信し、ポイント発行サーバ3に対してポイントの発行要求を行う。
【0081】
ポイント発行サーバ3は、ユーザ端末4からポイントの発行要求を受けると、ユーザ端末4から受信したユーザIDおよびパスワードをユーザデータベースと照合することで、ユーザの認証処理を行う(ステップS23)。ユーザの認証に成功すると、ポイント発行サーバ3は、ユーザ端末4から受信した商品IDと購入者の情報(例えば、ユーザID「0001」)を商品情報管理サーバ2に送信し、購入者の登録要求と、商品IDに対応する通常販売価格等の取得要求を行う(ステップS24)。
【0082】
商品情報管理サーバ2は、ポイント発行サーバ3から商品IDと購入者の情報を受信すると、商品データベースの該当する登録商品ID(商品IDと一致する登録商品ID)を検索し、検索された登録商品IDの販売情報の購入者のフィールドに、ポイント発行サーバ3から受信した購入者の情報を登録する(ステップS25)。例えば、ポイント発行サーバ3から購入者の情報としてユーザID「0001」を受信すると、商品情報管理サーバ2は、該当する登録商品ID「49XXXXXXXXXXXYYYYYYY」の購入者のフィールドにユーザID「0001」を登録する。この時点で、製造情報と販売情報が全て登録され、最終消費者までを含む商品のトレーサビリティが確保される。
【0083】
また、商品情報管理サーバ2は、商品データベースから、検索された登録商品IDに対応する通常販売価格、仕入価格、返品にかかる費用、廃棄にかかる費用、「賞味期限および消費期限のいずれか一方または両方」、販売期限、および販売日時を取得し(ステップS26)、取得した全ての情報をポイント発行サーバ3に送信する(ステップS27)。
【0084】
ポイント発行サーバ3は、商品情報管理サーバ2から送信された情報を受信し、受信した通常販売価格、仕入価格、返品にかかる費用、廃棄にかかる費用、「賞味期限および消費期限のいずれか一方または両方」、販売期限、および販売日時を基に、販売店の目標利益を上回るように、検索された登録商品IDの商品に使用できる値引き購入ポイントの数を計算する(ステップS28)。具体的には、ポイント発行サーバ3は、受信した通常販売価格、仕入価格、返品にかかる費用、廃棄にかかる費用、「賞味期限および消費期限のいずれか一方または両方」、販売期限、および販売日時を基に、値引きして失われる利益と値引きによる売上機会増を勘案して、利益を最大化できる値引き品数量と商品一つ当たりの値引き額を計算し、計算した値引き品数量および商品一つ当たりの値引き額ならびに購入者予想数を基に、購入者一人一人に割り当てる値引き購入ポイントの数を計算する。
【0085】
ポイント発行サーバ3は、賞味期限または消費期限と販売日時との差が所定のポイント発行期間内の場合に、検索された登録商品IDの商品の購入者に対して、ステップS28で計算した数の値引き購入ポイントを発行する(ステップS29)。
【0086】
ポイント発行サーバ3は、発行したポイントの情報を、ユーザ端末4に送信し(ステップS30)、ユーザ端末4は、ポイント発行サーバ3が発行したポイントの情報を受信し、表示部43(表示画面)に表示する(ステップS31)。
【0087】
表示部43(表示画面)に、発行されたポイントの情報や社会貢献への感謝のメッセージなどが表示される。ユーザXは、例えば、この画面を店舗(販売店)に居る販売オペレータに提示することで、ポイントを次回以降の商品購入時に利用することができる。例えば、1ポイント=1円として、代金の全部又は一部にポイントを充当できる。或いは、ポイントを景品、クーポン券、イベントへの参加、キャンペーンへの応募等の特典と交換することができる。
【0088】
以上、本実施の形態について説明した。本実施の形態によれば、ポイント発行処理(
図10)において、ポイント発行サーバ3が、通常販売価格、仕入価格、返品にかかる費用、廃棄にかかる費用、「賞味期限および消費期限のいずれか一方または両方」、販売期限、および販売日時を基に、販売店の目標利益を上回るように、検索された登録商品IDの商品に使用できる値引き購入ポイントの数を計算し、賞味期限または消費期限と販売日時との差が所定のポイント発行期間内の場合に、計算した数の値引き購入ポイントを発行する。これにより、定価販売商品の売上促進と商品廃棄コスト低減のバランスを最適化し、小売店の収益最大化を図ることができる。
【0089】
ここで、小売店の食品などの売れ残り商品の廃棄コストを低減するため、廃棄見込み品の一部が値引き販売されている。しかし、値引き販売商品の販売量が増えすぎると定価商品の売上減につながるため、多額のまだ食べられる食品が廃棄されている。この結果、食品流通では多額のフードロスが発生し、廃棄コストを含め甚大な経済損失を発生させている。本実施形態では、このトレードオフの最適化を図り、定価販売商品の売上促進と商品廃棄コスト低減のバランスを最適化し、小売店の収益最大化を図ることができる。なお、各小売店は、天候や仕入れ、売上の状況に応じて、毎日一定時間に、廃棄予定品を設定し、同店での当日の廃棄予定品の購入枠を各顧客会員に割り当ててもよい。そして、サブスクリプション会員は、廃棄予定品の購入枠に対してポイントを獲得し、廃棄予定品の購入権利を獲得してもよい。これにより、社会全体としてフードロスの削減、廃棄コスト削減など食資源の最適配分を可能とする。
【0090】
また、小売店は、会員に対して、当日の廃棄予定品の情報をアプリにライブでアップしてもよい。そして、会員は、毎日一定時間に当日の付与ポイントを確認し、特定店舗での対象商品購買に使用してもよい。また、会員は月定額料金で会員権を獲得し、ポイントを獲得してもよい。例えば、月3000円支払いで3000ポイント獲得してもよい。そして、小売店は当日の売上の状況に応じて一定の時間にその店舗の当日の値引き購入ポイントを決定し、当該会員が持っているポイントのうち当日使える上限ポイント(例えば100ポイント)を当該会員に連絡してもよい。
当該会員は、値引き購入ポイントの上限値および値引き購入ポイントが使用できる対象商品を、来店前にアプリやSNSやメールを通じてユーザ端末であらかじめ確認してから来店してもよいし、来店後にユーザ端末で値引き購入ポイントを確認しつつ興味を持って手に取った商品について商品IDやAR、RFIDなどを通じて値引き購入ポイントが使用できる対象商品であることを確認してもよい。
当該会員が、購入予定商品をレジなどの商品購入決済場所に持参して会計するときに、使用可能な上限購入ポイント内で金銭の代わりに使用することができてもよい。
ある店舗の当日の値引き購入ポイントがあっても、ある会員の持っているポイントが前日までにすべて使用済みでゼロである場合には、当該会員はポイントを使用できなくてもよい。
また、ある会員が商品を会計するときに、その店舗の当日の値引き購入ポイントがすべて使用されていた場合には、会員がポイントを持っていて当日使える上限ポイントが割り当てられていても、その会員がポイントを充当して値引き購入ポイント使用可能な対象商品を購入することはできなくてもよい。
さらに、小売店舗は当該会員が確認したいある時点のその日の値引き購入ポイントの残量を当該会員に連絡してもよい。
仮に当該月において使用ポイントが権利獲得ポイント(この場合は3000ポイント)に達しなかった場合は、翌月以降、値引き購入ポイントが使用できる対象商品以外の商品も含むすべての商品を割引購入できる定価購入ポイントに変換可能としてもよい。例えば、前述のポイント持っていても使用できなかったケースもこのような状況が起こりうる。
また、貧困世帯には、政府/地方自治体と協力し、所得に応じて無償または低価格でポイントを付与してもよい。政府/地方自治体は小売店舗に対して値引き購入ポイントに応じた金銭を支払ってもよいし、小売店舗が出す廃棄品を処理するための政府/地方自治体に支払う処理費用を削減してもよい。また、付随サービスとして、アプリで、ポイントで購入した廃棄予定品をメイン商材とした健康メニューを会員に提案してもよい。また、会員が、所定メーカが提供する健康アプリや所定メーカの商品を購買した場合には、ポイントを付与する等の特典を提供してもよい。
【0091】
なお、ポイント発行の対象商品の情報を事前に確認できる仕組みを設けても良い。すなわち、ユーザ端末4は、ポイント発行の対象商品の確認要求をポイント発行サーバ3に送信し、ポイント発行サーバ3は、当該確認要求を受信すると、当該対象商品の商品名、ポイント発行期間、発行ポイントの情報や、商品データベースから得られる賞味期限、販売店の情報などを、ユーザ端末4に送信する。これにより、ユーザは、ポイントの発行対象となる商品の情報を商品購入前に確認することができる。
【0092】
また、本実施の形態では、ユーザ端末4にインストールされた専用のアプリケーションを用いてポイントを発行する例を説明したが、ポイント発行サーバ3の会員サイト(Webサイト)上でポイントを発行してもよい。この場合、ユーザは、ユーザ端末4に予めインストールされているウェブブラウザを起動し、ポイント発行サーバ3の会員サイトのログインページにアクセスし、予め登録した会員ID、パスワード等を入力し、会員サイトにログインする。そして、購入した商品の包材に印刷された商品IDをカメラ46で撮影し、撮影画像をポイント発行サーバ3の会員サイトにアップロードし、ポイントの発行要求を行う。ポイント発行サーバ3は、会員サイトに撮影画像がアップロードされポイントの発行要求を受けると、撮影画像から商品IDを取得し、ポイント発行処理を実行する。ポイント発行処理は、
図5のステップS24~ステップS29と同様である。発行ポイントの情報は、会員サイトの会員ページで確認できるとともに、予め登録したメールアドレスに送信することで、ユーザ端末等で確認することができる。
【0093】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るポイント発行システム等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、以上の実施形態では、商品情報管理サーバ2とポイント発行サーバ3を別々のサーバとして構成したが、以下に示すように、商品情報管理サーバ2とポイント発行サーバ3を一つのサーバで構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、特に小売業界で実施することができ、極めて有用である。
【符号の説明】
【0095】
1:ポイント発行システム
2:商品情報管理サーバ
3:ポイント発行サーバ
4:ユーザ端末
5:協賛団体端末
6:メーカ端末
7:ネットワーク