(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163716
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】蒸気炊飯装置及び米飯の製造方法
(51)【国際特許分類】
A47J 27/14 20060101AFI20231102BHJP
A47J 27/16 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A47J27/14 K
A47J27/16 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074796
(22)【出願日】2022-04-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社中西製作所が、株式会社三ツ和 生産事業部ライスファクトリーで行われた炊飯テストにおいて、株式会社三ツ和及び株式会社河村バーナー製作所に対して、大野隆司らが創作した「蒸気炊飯装置及び米飯の製造方法」を公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】390007456
【氏名又は名称】株式会社中西製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 隆司
(72)【発明者】
【氏名】小川 正太
(72)【発明者】
【氏名】上猶 博
【テーマコード(参考)】
4B054
【Fターム(参考)】
4B054AA17
4B054AB01
4B054AB03
4B054AC02
4B054BA01
4B054CG01
(57)【要約】
【課題】蒸気炊飯により美味い飯を製造する。
【解決手段】白米を浸漬する浸漬水を貯留する1次浸漬槽を有する1次浸漬部と、浸漬した白米を搬送面上に積層して搬送する1次蒸しコンベアを有し、搬送面上に積層した白米へと蒸気を供給する1次蒸し部40と、白米を搬送方向下流側へと搬送しつつ、2次浸漬槽に貯水した浸漬水に浸漬させる2次浸漬部60と、2次浸漬部で浸漬した白米を搬送面上に積層して搬送する2次蒸しコンベアを有し、搬送面上に積層した白米へと蒸気を供給して白米の糊化を完了させる2次蒸し部70とを備え、1次浸漬部で浸漬した白米を1次蒸しコンベアの搬送面上に積層して供給する白米供給用開口と、下端の少なくとも一部を山形に形成することにより、白米供給用開口から供給される白米の搬送方向に直交する方向の断面の上部に、鉛直方向に凹む谷部を形成する畝形成板を1次蒸し部の上流側に有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白米を浸漬する浸漬水を貯留する1次浸漬槽を有する1次浸漬部と、
前記1次浸漬部で浸漬水に浸漬した白米を搬送面上に積層して搬送方向下流側へ搬送する1次蒸しコンベアを有し、前記1次蒸しコンベアの搬送面上に積層した白米へと蒸気を供給する1次蒸し部と、
前記1次蒸し部から搬送されてきた白米を、前記搬送方向下流側へと搬送しつつ、2次浸漬槽に貯水した浸漬水に浸漬させる2次浸漬部と、
前記2次浸漬部で浸漬水に浸漬した白米を搬送面上に積層して搬送方向下流側へ搬送する2次蒸しコンベアを有し、前記2次蒸しコンベアの搬送面上に積層した白米へと蒸気を供給して前記2次浸漬された白米の糊化を完了させる2次蒸し部と、を備え、
前記1次蒸し部の白米の搬送方向上流側には、
前記1次浸漬部で浸漬した白米を前記1次蒸しコンベアの搬送面上に積層して供給する白米供給用開口と、
前記白米供給用開口に設けられ、下端の少なくとも一部を山形に形成することにより、前記白米供給用開口から供給される白米の搬送方向に直交する方向の断面の上部に、鉛直方向に凹む谷部を形成する畝形成板と、
を有し、
前記1次蒸しコンベアの搬送面の下方に位置させた第1蒸気供給部から蒸気を供給して前記1次蒸しコンベアの搬送面を白米に向かって通過させ、前記1次蒸しコンベアの搬送面上に積層した白米と白米との間に蒸気を流入させ、白米に蒸気を接触させつつ前記積層した白米を通過させて前記谷部から大気中へと放散させるように構成されている
ことを特徴とする蒸気炊飯装置。
【請求項2】
1次蒸し部の第1蒸気供給部は、白米の谷部に沿うように搬送方向に沿って延びる蒸気の流れを集中させるための蒸気供給用開口を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸気炊飯装置。
【請求項3】
1次蒸し部は、
蒸気を発生させる蒸気供給管を内部に配置した貯水槽と、
前記貯水槽に被せ、前記貯水槽内で発生させた蒸気を通過させる通気孔を有する第1蒸気集中板と、
前記第1蒸気集中板の上方に間隔を開けて配置され、前記通気孔を通った蒸気をさらに通過させ、通過させる蒸気の幅を前記通気孔から通過させる蒸気の幅よりも幅狭とする開口を有する第2蒸気集中板と、
を有し、
蒸気供給用開口を、前記第1蒸気集中板に有する通気孔と前記第2蒸気集中板に有する開口とにより構成する
ことを特徴とする請求項2に記載の蒸気炊飯装置。
【請求項4】
所定の時間だけ浸漬水に白米を浸漬する1次浸漬ステップと、
前記1次浸漬ステップを行った白米を、コンベアの搬送面上に積層し、搬送しつつ白米に蒸気を接触させる1次蒸しステップと、
前記1次蒸しステップを行った白米を、所定の温度の浸漬水内へと投入し、コンベアにより搬送しつつ所定の時間だけ白米を浸漬する2次浸漬ステップと、
前記2次浸漬ステップを行った白米を、コンベアの搬送面上に積層し、搬送しつつ蒸気を接触させて白米の糊化を完了させる2次蒸しステップと、
を含み、
前記1次蒸しステップでは、
前記コンベアの搬送面上に積層した白米を、搬送方向に直交する方向の断面の上部に鉛直方向に凹む谷部を形成する複数の畝状となるように成形し、
前記コンベアの搬送面の下方に位置させた第1蒸気供給部から蒸気を供給してコンベアを通過させ、供給した蒸気を前記コンベアの搬送面上に積層した白米と白米との間に流入させ、白米に蒸気を接触させつつ前記積層した白米を通過させて前記谷部から大気中へと放散させる
ことを特徴とする米飯の製造方法。
【請求項5】
1次蒸しステップでは、第1蒸気供給部からの蒸気を谷部に沿って延びる蒸気供給用開口から供給する
ことを特徴とする請求項4に記載の米飯の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学校給食や社員食堂、その他大量に炊飯を行う蒸気炊飯装置及び米飯の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のもので、例えば、特許文献1に記載されたものは、弁当仕出し業、給食会社、外食産業等で大量に炊飯を行う分野で使用される蒸気炊飯装置である。所定の時間だけ一次浸漬部に貯水した水で白米を浸漬する一次浸漬を行い、一次浸漬を終えた白米を蒸気が流通可能なメッシュコンベアの搬送面に積層し、搬送しつつメッシュコンベアの下方から蒸気を供給して一次蒸しを行う。この一次蒸しを終えた後に、二次浸漬部の加熱水槽に貯水した89~95度Cの水へと白米を投入して二次浸漬を行いつつ搬送し、コンベアの上に連続的に移送して、蒸気を供給して二次蒸しを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたものは、一次蒸しの際にメッシュコンベアの搬送面に積層した白米に孔を開けるための孔開け機を設け、一次蒸しでメッシュコンベアにより搬送する白米に対して、上方から蒸気通過孔を開けている。そして、メッシュコンベアの下方から吹き出す蒸気が、蒸気通過孔により積層した白米を通過しやすくして、一次蒸しを行っている。
【0005】
しかしながら、一次蒸しの際にメッシュコンベアの搬送面に積層した白米は粘りがないため崩れやすく、孔開け機により蒸気通過孔を複数開けたとしても搬送している間に崩れてしまい、メッシュコンベアの搬送面に積層した白米の一次蒸しを確実に行うことができないという課題があった。
【0006】
本発明は、蒸気炊飯により美味い飯を製造することができる蒸気炊飯装置及び米飯の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の蒸気炊飯装置は、
白米を浸漬する浸漬水を貯留する1次浸漬槽を有する1次浸漬部と、
前記1次浸漬部で浸漬水に浸漬した白米を搬送面上に積層して搬送方向下流側へ搬送する1次蒸しコンベアを有し、前記1次蒸しコンベアの搬送面上に積層した白米へと蒸気を供給する1次蒸し部と、
前記1次蒸し部から搬送されてきた白米を、前記搬送方向下流側へと搬送しつつ、2次浸漬槽に貯水した浸漬水に浸漬させる2次浸漬部と、
前記2次浸漬部で浸漬水に浸漬した白米を搬送面上に積層して搬送方向下流側へ搬送する2次蒸しコンベアを有し、前記2次蒸しコンベアの搬送面上に積層した白米へと蒸気を供給して前記2次浸漬された白米の糊化を完了させる2次蒸し部と、を備え、
前記1次蒸し部の白米の搬送方向上流側には、
前記1次浸漬部で浸漬した白米を前記1次蒸しコンベアの搬送面上に積層して供給する白米供給用開口と、
前記白米供給用開口に設けられ、下端の少なくとも一部を山形に形成することにより、前記白米供給用開口から供給される白米の搬送方向に直交する方向の断面の上部に、鉛直方向に凹む谷部を形成する畝形成板と、
を有し、
前記1次蒸しコンベアの搬送面の下方に位置させた第1蒸気供給部から蒸気を供給して前記1次蒸しコンベアの搬送面を白米に向かって通過させ、前記1次蒸しコンベアの搬送面上に積層した白米と白米との間に蒸気を流入させ、白米に蒸気を接触させつつ前記積層した白米を通過させて前記谷部から大気中へと放散させるように構成されている
ことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の米飯の製造方法は、
所定の時間だけ浸漬水に白米を浸漬する1次浸漬ステップと、
前記1次浸漬ステップを行った白米を、コンベアの搬送面上に積層し、搬送しつつ白米に蒸気を接触させる1次蒸しステップと、
前記1次蒸しステップを行った白米を、所定の温度の浸漬水内へと投入し、コンベアにより搬送しつつ所定の時間だけ白米を浸漬する2次浸漬ステップと、
前記2次浸漬ステップを行った白米を、コンベアの搬送面上に積層し、搬送しつつ蒸気を接触させて白米の糊化を完了させる2次蒸しステップと、
を含み、
前記1次蒸しステップでは、
前記コンベアの搬送面上に積層した白米を、搬送方向に直交する方向の断面の上部に鉛直方向に凹む谷部を形成する複数の畝状となるように成形し、
前記コンベアの搬送面の下方に位置させた第1蒸気供給部から蒸気を供給してコンベアを通過させ、供給した蒸気を前記コンベアの搬送面上に積層した白米と白米との間に流入させ、白米に蒸気を接触させつつ前記積層した白米を通過させて前記谷部から大気中へと放散させる
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明の蒸気炊飯装置及び米飯の製造方法によれば、蒸気炊飯により美味い飯を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る蒸気炊飯装置の全体構成を示す正面図。
【
図2】上記蒸気炊飯装置の前工程部の構成を示すブロック図。
【
図3】上記蒸気炊飯装置の1次浸漬部の構成を示すブロック図。
【
図4】上記蒸気炊飯装置の畝形成板及びその周辺の構成を拡大して示す斜視図。
【
図5】上記蒸気炊飯装置の多角形ドラム及びその周辺の構成を示す斜視図。
【
図6】上記蒸気炊飯装置の第1蒸気集中板の複数の通気孔、及び第2蒸気集中板の開口の構成を拡大して示す斜視図。
【
図7】上記蒸気炊飯装置の第1蒸気供給部の構成を拡大して示す斜視図。
【
図8】上記蒸気炊飯装置のチェーンとネットとの連結部を拡大して示す平面図。
【
図9】上記蒸気炊飯装置の2次蒸し部の第1過熱水蒸気供給部、第2蒸気供給部、及び第2過熱水蒸気供給部を拡大して示す斜視図。
【
図10】上記蒸気炊飯装置の取り出し部を示すブロック図。
【
図12】1次蒸しステップの開始から所定の時間までの間で、第1蒸気集中板の複数の通気孔、及び第2蒸気集中板の開口を通る蒸気の様子の概要を示す断面図。
【
図13】1次蒸しステップの開始から所定の時間経過した後の、第1蒸気集中板の複数の通気孔、及び第2蒸気集中板の開口を通る蒸気の様子の概要を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、
白米を浸漬する浸漬水を貯留する1次浸漬槽を有する1次浸漬部と、
前記1次浸漬部で浸漬水に浸漬した白米を搬送面上に積層して搬送方向下流側へ搬送する1次蒸しコンベアを有し、前記1次蒸しコンベアの搬送面上に積層した白米へと蒸気を供給する1次蒸し部と、
前記1次蒸し部から搬送されてきた白米を、前記搬送方向下流側へと搬送しつつ、2次浸漬槽に貯水した浸漬水に浸漬させる2次浸漬部と、
前記2次浸漬部で浸漬水に浸漬した白米を搬送面上に積層して搬送方向下流側へ搬送する2次蒸しコンベアを有し、前記2次蒸しコンベアの搬送面上に積層した白米へと蒸気を供給して前記2次浸漬された白米の糊化を完了させる2次蒸し部と、を備え、
前記1次蒸し部の白米の搬送方向上流側には、
前記1次浸漬部で浸漬した白米を前記1次蒸しコンベアの搬送面上に積層して供給する白米供給用開口と、
前記白米供給用開口に設けられ、下端の少なくとも一部を山形に形成することにより、前記白米供給用開口から供給される白米の搬送方向に直交する方向の断面の上部に、鉛直方向に凹む谷部を形成する畝形成板と、
を有し、
前記1次蒸しコンベアの搬送面の下方に位置させた第1蒸気供給部から蒸気を供給して前記1次蒸しコンベアの搬送面を白米に向かって通過させ、前記1次蒸しコンベアの搬送面上に積層した白米と白米との間に蒸気を流入させ、白米に蒸気を接触させつつ前記積層した白米を通過させて前記谷部から大気中へと放散させるように構成されている
ことを特徴とする蒸気炊飯装置である。
【0012】
これにより、1次蒸しコンベアの搬送面上に積層した白米と白米との間に蒸気をスムーズに流入させ、積層した白米を通過させて谷部から大気中へと放散させることができる。そして、白米に効果的に蒸気を接触させて白米の糊化を促進することができる。
【0013】
特に、谷部を形成しない場合に白米と白米との間をスムーズに蒸気が流動せず、蒸気が白米を通過し大気中へと放散しにくい程度の厚みに白米が1次蒸しコンベアの搬送面上に積層されることがある。その場合には、谷部を形成することにより、白米と白米との間に流入させる蒸気を谷部から大気中へと放散させることができる。そして、確実に1次蒸しを行い、美味い飯をより確実に製造することができる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、
1次蒸し部の第1蒸気供給部は、白米の谷部に沿うように搬送方向に沿って延びる蒸気の流れを集中させるための蒸気供給用開口を備えている
ことを特徴とする蒸気炊飯装置である。
【0015】
これにより、蒸気供給用開口から白米の谷部に集中して蒸気を供給することができ、より多くの蒸気を白米と白米との間に流入させることができる。
【0016】
第3の発明は、第2の発明において、
1次蒸し部は、
蒸気を発生させる蒸気供給管を内部に配置した貯水槽と、
前記貯水槽に被せ、前記貯水槽内で発生させた蒸気を通過させる通気孔を有する第1蒸気集中板と、
前記第1蒸気集中板の上方に間隔を開けて配置され、前記通気孔を通った蒸気をさらに通過させ、通過させる蒸気の幅を前記通気孔から通過させる蒸気の幅よりも幅狭とする開口を有する第2蒸気集中板と、
を有し、
蒸気供給用開口を、前記第1蒸気集中板に有する通気孔と前記第2蒸気集中板に有する開口とにより構成する
ことを特徴とする蒸気炊飯装置である。
【0017】
これにより、簡単な構成で確実に蒸気を谷部に供給できるので、より確実に白米と白米との間に流入させる蒸気を谷部から大気中へと放散させることができる。
【0018】
第4の発明は、
所定の時間だけ浸漬水に白米を浸漬する1次浸漬ステップと、
前記1次浸漬ステップを行った白米を、コンベアの搬送面上に積層し、搬送しつつ白米に蒸気を接触させる1次蒸しステップと、
前記1次蒸しステップを行った白米を、所定の温度の浸漬水内へと投入し、コンベアにより搬送しつつ所定の時間だけ白米を浸漬する2次浸漬ステップと、
前記2次浸漬ステップを行った白米を、コンベアの搬送面上に積層し、搬送しつつ蒸気を接触させて白米の糊化を完了させる2次蒸しステップと、
を含み、
前記1次蒸しステップでは、
前記コンベアの搬送面上に積層した白米を、搬送方向に直交する方向の断面の上部に鉛直方向に凹む谷部を形成する複数の畝状となるように成形し、
前記コンベアの搬送面の下方に位置させた第1蒸気供給部から蒸気を供給してコンベアを通過させ、供給した蒸気を前記コンベアの搬送面上に積層した白米と白米との間に流入させ、白米に蒸気を接触させつつ前記積層した白米を通過させて前記谷部から大気中へと放散させる
ことを特徴とする米飯の製造方法である。
【0019】
これにより、コンベアの搬送面上に積層した白米と白米との間に蒸気をスムーズに流入させ、積層した白米を通過させて谷部から大気中へと放散させることができる。そして、白米に効果的に蒸気を接触させて白米の糊化を促進することができる。
【0020】
特に、谷部を形成しない場合に白米と白米との間をスムーズに蒸気が流動せず、蒸気が白米を通過し大気中へと放散しにくい程度の厚みに白米がコンベアの搬送面上に積層されることがある。その場合には、谷部を形成することにより、白米と白米との間に流入させる蒸気を谷部から大気中へと放散させることができる。そして、確実に1次蒸しステップを行い、美味い飯をより確実に製造することができる。
【0021】
第5の発明は、第4の発明において、
1次蒸しステップでは、第1蒸気供給部からの蒸気を谷部に沿って延びる蒸気供給用開口から供給する
ことを特徴とする米飯の製造方法である。
【0022】
これにより、白米の谷部に集中して蒸気を供給することができ、より多くの蒸気を白米と白米との間に流入させることができる。
【0023】
(実施形態1)
(蒸気炊飯装置の概要)
まず、本発明の実施形態1の蒸気炊飯装置1について、図面に基づいて基本的な構成を説明する。
【0024】
図1~
図3及び
図10に示すように、蒸気炊飯装置1は、
貯留した白米R(各図面ではドットハッチングで示す)を供給し、洗米して下流側へと流動させる前工程部10と、
この前工程部10にて洗米した白米Rを、1次浸漬槽21に貯水した1次浸漬水W1にて所定の時間だけ浸漬する1次浸漬部20と、
この1次浸漬部20により所定の時間だけ浸漬された白米Rを貯米槽33に貯米し、1次蒸しコンベア(コンベア)41へと積層して供給する畝形成部30と、
この畝形成部30から供給された白米Rを1次蒸しコンベア41の搬送面41a上に積層して搬送しつつ、1次蒸しコンベア41の往路と復路との間に設けた第1蒸気供給部50から白米Rへと蒸気Vを供給する1次蒸し部40と、
この1次蒸し部40で蒸した白米Rを2次浸漬槽61に貯水した所定の温度の2次浸漬水W2内へと流動させ、下流側へと搬送しつつ、所定の時間だけ浸漬する2次浸漬部60と、
この2次浸漬部60にて浸漬した白米Rを2次蒸しコンベア(コンベア)71の搬送面71a上に積層して搬送しつつ、2次蒸しコンベア71の往路と復路との間から供給する過熱水蒸気V1,V3と蒸気V2とにより、白米Rのアルファ化(糊化)を完了させる2次蒸し部70と、
この2次蒸し部70でアルファ化の完了した白米であるご飯R’を、取り出し容器117へと取り出す取り出し部115と、
を備えている。
【0025】
(前工程部)
図2に示すように、前工程部10は、
蒸気炊飯装置1により炊飯する白米Rを貯留し、下部に有する出米装置12により必要な量だけ出米する米サイロ11と、
この米サイロ11から出米された白米Rをブロア13で吸引する空気により前工程配米管16内を送米し、送米されてきた白米Rに清水である洗米水を供給し、撹拌して白米Rを洗米する洗米機14と、
この洗米機14により洗米した白米Rを、吐出する清水により前工程送米管17内を下流側へと流動させる前工程ポンプ15と、
を備えている。洗米機14は、例えば、内部に螺旋状のスクリュー14aが設けられたものよりなる。
【0026】
(1次浸漬部)
図3に示すように、1次浸漬部20は、
所定の量の清水である1次浸漬水W1を貯水し、洗米機14により洗米した白米Rを所定の時間だけ浸漬する1次浸漬槽21と、
この1次浸漬槽21の下部に設けられ、開放することにより所定の時間だけ浸漬した白米Rを1次浸漬水W1とともに1次浸漬送米管23へと流動させるバルブ22と、
このバルブ22を開放することにより1次浸漬送米管23へと流動した白米Rを、吐出する清水により下流側へと流動させる1次浸漬ポンプ24と、
を備えている。バルブ22の構成は特に限定されず、手動で開閉してもよいし、自動で開閉してもよい。
【0027】
(畝形成部)
図1及び
図4に拡大して示すように、畝形成部30は、
1次浸漬部20で浸漬され、1次浸漬送米管23により流動した白米Rを受けて、白米Rから1次浸漬水W1を分離しつつ下流側へと搬送する受入コンベア31と、
この受入コンベア31により搬送した白米Rを落下流動させて貯米する貯米槽33と、
この貯米槽33の下部に有し、貯米槽33に貯米した白米Rを1次蒸し部40の1次蒸しコンベア41の搬送面41aへと供給する白米供給用開口34と、
この白米供給用開口34に駆動機構36により上下動可能に設けて、白米供給用開口34から1次蒸しコンベア41へと積層して供給する白米Rの量を調整するとともに、積層して供給した白米Rの上部に、山部RMと谷部RVとを形成する畝形成板35と、
を備えている(
図12参照)。
【0028】
畝形成板35は、例えば、ステンレス鋼板をプレス加工等により、切断及び曲げ加工したものよりなり、下方に突出する尖った谷形成部35aと、上方に凹んだ山形成部35bとを複数有する。谷形成部35aの傾斜角度は、水平面から5~40度とするのが好ましい。
【0029】
駆動機構36は、例えば、ハンドル36a及び伝達機構36bにより、畝形成板35の下辺を最適な上下位置に微調整可能に構成されている。畝形成板35における谷形成部35a及び山形成部35bの深さや幅は、1次蒸しコンベア41の幅、送り速度、白米Rの積層高さなどにより設定すればよく、形成される白米Rの畝(盛り上がる部分で、
図4に想像線で示す)の本数は、本実施形態のように4本でもよいが、その本数は特に限定されず、2本以上であれば何本でもよい。
【0030】
なお、
図1に示すように、上方が開口した貯米槽33の上部に備える受入コンベア31は上流側から下流側へと上昇させるように構成している。これにより、受入コンベア31の上流側に設けた吐出口32から受入コンベア31に吐出された白米Rは搬送されて上昇し、白米Rとともに受入コンベア31へと吐出された1次浸漬水W1は受入コンベア31の上流側へと流動して排水管31aを通じて排水されるようになっている。
【0031】
(1次蒸し部)
図1、
図4及び
図5に示すように、1次蒸し部40は、
畝形成部30から供給される白米Rを、搬送面41a(
図5では省略)上に積層して搬送しつつ、蒸気により1次蒸しする1次蒸しコンベア41と、
この1次蒸しコンベア41の往路と復路との間に設け、1次蒸しコンベア41の搬送面41a上に積層して搬送する白米Rに蒸気Vを供給する第1蒸気供給部50と、
1次蒸しコンベア41の搬送面41a上に積層して搬送する白米Rが、搬送方向に直交する方向である1次蒸しコンベア41の両側から施設の床面へと落下することを防止する着脱自在な仕切り板48(
図4では省略し、
図5では想像線で示す)と、
を備えている。
【0032】
詳しくは図示しないが、幅方向両側の仕切り板48の上方から取っ手のある蓋部材49(
図1にのみ示す)で塞ぐことで蒸気Vができるだけ逃げないようになっている。仕切り板48は、例えば、白米Rが付着しにくいように、表面が凹凸形状となるようなエンボス加工を施した板部材で構成されている。
【0033】
図1及び
図5に示すように、1次蒸しコンベア41は、
その上流側で両端にスプロケット45a,45bを同軸で取り付けた従動ドラム(ドラム)45と、
その下流側で、両端にスプロケット46a,46bを同軸で取り付け、駆動モータ46cにより回転する多角形ドラム(ドラム)46と、
多角形ドラム46の下方で回転する従動ドラム(ドラム)47と、
を備えている。
【0034】
従動ドラム45と多角形ドラム46と従動ドラム47とにより、無端状のネット42(
図8に示す)が循環駆動されるようになっている。ネット42は、例えば、白米Rの粒よりも小さく、蒸気を通過可能な編み目又は貫通孔を有する柔軟性のあるステンレス製のネット等により構成されている。
【0035】
そして、従動ドラム45と多角形ドラム46との両端に取り付けたスプロケット45a,45b,46a,46bにより複数のリンクにより構成した無端状のチェーン43,44が循環駆動するようになっている。
【0036】
多角形ドラム46は、両端のスプロケット46a,46bと同期して回転するようになっている。例えば、
図8に拡大して一部示すように、このチェーン43,44は、ピッチの長さL2が通常のものよりも長いバイピッチチェーンよりなる。
【0037】
図5に示すように、多角形ドラム46の軸方向に直交する方向の断面を多角形、例えば正七角形としており、多角形の1辺の長さL1はチェーン43,44のピッチの長さL2(
図8に示す)と略等しくした長さとしている。なお、断面形状は、正五角形、正八角形等でもよい。
【0038】
多角形ドラム46と、両端のスプロケット46a,46bとの間には、軸方向に直交する方向の断面を円形としたネット非接触部46dを設けている。ネット42を循環駆動する際、多角形ドラム46に位置するネット42を多角形とし接触させて駆動する部分と、ネット非接触部46dに位置するネット42をドラムに接触させない部分とができるよう構成している。
【0039】
さらに、
図8に示すように、チェーン43,44に設けた耳部43a,44aを介し、ネット42の幅方向端部とチェーン43,44とを連結部材42aにより連結している。耳部43a,44aは、チェーン43,44のネット42下面にあり、これらにネット42上面からリベット等よりなる連結部材42aを挿通してかしめることにより、連結されるようになっている。これにより、チェーン43,44を駆動すると、ネット42も同時に駆動されるようになっており、チェーン43,44はネット42を多角形ドラム46で駆動する際のスリップ及び蛇行を抑制し、安定した搬送速度の実現及び蛇行の調整を不要とすることができる。
【0040】
(第1蒸気供給部)
図5~
図7に示すように、第1蒸気供給部50は、
清水51aを貯水する上部が開放された貯水槽51と、
施設に設けたボイラーより供給される蒸気を、蒸気管53を通じて流動させ、貯水槽51に貯水する清水51a内で蒸気を放散する蒸気供給管52と、
貯水槽51の開放された上部を塞ぐように取り付けた、複数の通気孔(蒸気供給用開口)54aを有する第1蒸気集中板54と、
第1蒸気集中板54と1次蒸しコンベア41の往路の間に設け、第1蒸気集中板54の有する複数の通気孔54aを通る蒸気Vの流れを導く開口(蒸気供給用開口)55aを有する第2蒸気集中板55と、
を有する。
【0041】
図7に拡大して示すように、例えば、スパージパイプ(サイレンサー)よりなる蒸気供給管52から放散された蒸気は貯水槽51に貯水する清水51aを加熱することにより、蒸気を蒸気供給管52から直接放散するよりも、より湿度の高い蒸気Vを発生させることができるようになっている。これにより、1次蒸しコンベア41の搬送面41a上に積層して搬送する白米Rのアルファ化を促進することができる。
【0042】
図6に拡大して示すように、第1蒸気集中板54に有する複数の通気孔54aは、例えば、1次蒸しコンベア41の搬送方向に直交する幅方向を略4等分した位置を中心として、幅をもたせて搬送方向に長手方向を有するよう、密集させて空けている。例えば、第1蒸気集中板54は、板厚1mmのSUS304の薄板よりなり、パンチで複数の通気孔54aが所定領域に空けられている。
【0043】
そして、第2蒸気集中板55には、第1蒸気集中板54に有する複数の通気孔54aを通る蒸気Vが通過する、搬送方向に延びる開口55aを設けており、その開口55aの搬送方向に直交する幅方向の長さは、第1蒸気集中板54に有する複数の通気孔54aが空けられた所定領域の搬送方向に直交する方向の幅よりも狭くしている。
【0044】
複数の通気孔54aと開口55aとにより、蒸気供給用開口は構成される。蒸気供給用開口54a,55aは、後述する1次蒸しステップS20で積層された白米Rの上部に畝形成部30により成形された谷部RVに沿った位置に延びるように構成されている。
【0045】
(2次浸漬部)
図1に示すように、2次浸漬部60は、
蒸気炊飯装置1を設置する施設に設けた給湯器より供給する所定の温度の2次浸漬水W2を貯水する2次浸漬槽61と、
2次浸漬槽61内に有し、立てた状態で循環する搬送板68により、2次浸漬槽61に投入された白米Rを2次浸漬水W2内で下流側へと搬送する無端状のスクレーパコンベア(コンベア)62と、
を備えている。搬送板68は、例えば、白米Rが付着しにくいように、表面が凹凸形状となるようなエンボス加工を施した板部材で構成されている。
【0046】
詳しい説明は省略するが、スクレーパコンベア62は、一対の回転軸65,67と、駆動軸66とを有し、これらのスプロケット65a,65b,66a,66b,67a,67bに掛けられた幅方向一対のチェーン63,64に多数の搬送板68の基端側が連結されており、駆動軸66を所定速度で回転させることで、搬送板68が所定速度で移動し、2次浸漬水W2内に浸る白米Rを押すようにして搬送するように構成されている。
【0047】
(2次蒸し部)
図1及び
図9に示すように、2次蒸し部70は、
2次浸漬部60の2次浸漬槽61から搬送される白米Rを、搬送面71a上に積層して搬送しつつ、過熱水蒸気V1,V3及び蒸気V2により2次蒸しする2次蒸しコンベア71と、
この2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層して搬送する白米Rをほぐす第1ほぐし羽根79と、
2次蒸しコンベア71の往路と復路との間に設け、2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層して搬送する白米Rに過熱水蒸気V1を供給する第1過熱水蒸気供給部90と、
2次蒸しコンベア71の往路と復路との間に設け、第1過熱水蒸気供給部90の下流側で、2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層して搬送する白米Rに蒸気V2を供給する第2蒸気供給部100と、
2次蒸しコンベア71の往路と復路との間に設け、第2蒸気供給部100の下流側で、2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層して搬送する白米Rに過熱水蒸気V3を供給する第2過熱水蒸気供給部110と、
2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層して搬送する白米Rが、搬送方向に直交する方向である2次蒸しコンベア71の両側から施設の床面へと落下することを防止する着脱自在な仕切り板78と、
2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層して搬送する蒸気炊飯された白米であるご飯R’をほぐす第2ほぐし羽根80と、
を備えている。詳しくは図示しないが、仕切り板78で囲まれる領域は、取っ手を有する蓋部材81で覆われている。
【0048】
図1、
図9及び
図10に示すように、2次蒸しコンベア71は、
その上流側で両端にスプロケット75a,75bを同軸で取り付けた従動ドラム(ドラム)75と、
その下流側で、両端にスプロケット76a,76bを同軸で取り付け、駆動モータ76cにより回転する多角形ドラム(ドラム)76と、
多角形ドラム76の下方で回転する従動ドラム(ドラム)77と、
従動ドラム75と多角形ドラム76と従動ドラム77とにより循環駆動する無端状のネット72と、
従動ドラム75と多角形ドラム76との両端に取り付けたスプロケット75a,75b,76a,76bにより循環駆動する複数のリンクにより構成した無端状のチェーン73,74と、
を備えている。多角形ドラム76は、両端のスプロケット76a,76bと同期して回転するようになっている。
【0049】
詳しくは図示しないが、
図10で簡略的に示すように、2次蒸しコンベア71においても、
図5で示した多角形ドラム46と同様に、多角形ドラム76の軸方向に直交する方向の断面を多角形、例えば正七角形としており、多角形の1辺の長さL1はチェーン73,74のピッチの長さL2と略等しくなるよう構成している。また、多角形ドラム76と、両端のスプロケット76a,76bとの間には、軸方向に直交する方向の断面を円形としたネット非接触部76dを設けている。
【0050】
また、
図8に括弧書きで示すように、2次蒸しコンベア71においても、チェーン73,74に設けた耳部73a,74aを介し、ネット72とチェーン73,74を連結部材72aにより連結している。
【0051】
図1に示すように、複数の棒状の羽根79aを有する第1ほぐし羽根79は、2次浸漬部60の2次浸漬槽61に貯水する2次浸漬水W2からスクレーパコンベア62によりかき出された白米Rを、2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層して搬送しつつほぐすように構成されている。
【0052】
(第1過熱水蒸気供給部)
図1及び
図9に示すように、2次蒸しコンベア71の往路と復路との間に設けた第1過熱水蒸気供給部90は、
2次蒸しコンベア71の往路と復路との間に設けた上部が開放された第1過熱水蒸気供給箱91と、
施設に設けたボイラーより蒸気管94を介して供給する蒸気を下方に向けて放散する蒸気供給管92と、
蒸気供給管92より供給された蒸気を加熱して過熱水蒸気V1とするヒータ93と、
を備えている。
【0053】
(第2蒸気供給部)
図1及び
図9に示すように、2次蒸しコンベア71の往路と復路との間で、第1過熱水蒸気供給部90の下流側に設けた第2蒸気供給部100は、
清水101aを貯水する上部が開放された貯水槽101と、
施設に設けたボイラーより蒸気を、蒸気管103を通じて流動させ、貯水槽101に貯水する清水101a内で放散する蒸気供給管102と、
を有する。
【0054】
蒸気供給管102から放散された蒸気は貯水槽101に貯水する清水101aを加熱して、より湿度の高い蒸気V2を発生させる。これにより、2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層する白米Rのアルファ化を促進することができるようになっている。
【0055】
(第2過熱水蒸気供給部)
図1及び
図9に示すように、2次蒸しコンベア71の往路と復路との間で、第2蒸気供給部100の下流側に設けた第2過熱水蒸気供給部110は、
2次蒸しコンベア71の往路と復路との間に設けた上部が開放された第2過熱水蒸気供給箱111と、
施設に設けたボイラーより蒸気管114を介して供給する蒸気を下方に向けて放散する蒸気供給管112と、
蒸気供給管112より供給された蒸気を加熱して過熱水蒸気V3とするヒータ113と、
を備えている。
【0056】
(取り出し部)
詳しい説明は省略するが、
図10に示すように、取り出し部115は、2次蒸し部70の複数の棒状の羽根80aを有する第2ほぐし羽根80によりほぐしたご飯R’を搬送し、取り出し容器117へと収容する取り出しコンベア116を備えている。
【0057】
(米飯の製造方法の概要)
次に、蒸気炊飯装置1による米飯の製造方法について説明する。
【0058】
図11に示すように、米飯の製造方法は、
貯留した白米Rを所定量出米して送米し、洗米して下流側へと流動させる前工程ステップS1と、
前工程ステップS1にて洗米した白米Rを所定の時間だけ1次浸漬水W1に浸漬する1次浸漬ステップS10と、
1次浸漬ステップS10により所定の時間だけ浸漬された白米Rを貯米して、1次蒸しコンベア41の搬送面41a上に積層して供給し、1次蒸しコンベア41により搬送しつつ所定の時間だけ蒸気Vを供給して白米Rに接触させる1次蒸しステップS20と、
1次蒸しステップS20で所定の時間だけ蒸気Vを供給した白米Rを、2次浸漬水W2内で搬送しつつ、所定の時間だけ浸漬する2次浸漬ステップS30と、
2次浸漬ステップS30にて所定の時間だけ浸漬した白米Rを、2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層して搬送しつつ、所定の時間、過熱水蒸気V1,V3と蒸気V2とを供給して白米Rに接触させて白米Rのアルファ化を完了させる2次蒸しステップS40と、
2次蒸しステップS40でアルファ化の完了した白米であるご飯R’を、取り出し容器117へと取り出す取り出しステップS50と、
を備えている。
【0059】
さらに、2次蒸しステップS40は、
2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層して搬送する白米Rに、過熱水蒸気V1を供給する第1過熱水蒸気供給ステップS41と、
第1過熱水蒸気供給ステップS41の後に、2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層して搬送する白米Rに、蒸気V2を供給する蒸気供給ステップS42と、
蒸気供給ステップS42の後に、2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層して搬送する白米Rに、過熱水蒸気V3を供給する第2過熱水蒸気供給ステップS43と、
を備えている。
【0060】
(前工程ステップ)
最初に行う前工程ステップS1について説明する。
【0061】
まず、
図2に示すように、本発明の蒸気炊飯装置1で蒸気炊飯するための白米Rを、米サイロ11から出米装置12により出米する。出米された白米Rはブロア13で吸引する空気により送米し、前工程配米管16を通じて下流側の洗米機14へと送米される。
【0062】
洗米機14へと送米された白米Rは、洗米機14内で供給される洗米水とともにスクリュー14aにより撹拌して洗米される。洗米された白米Rは洗米水とともに前工程送米管17へと送られ、前工程ポンプ15により吐出される清水とともに下流側へと送米される。
【0063】
(1次浸漬ステップ)
前工程ステップS1の次に行う1次浸漬ステップS10について説明する。
【0064】
図3に示すように、前工程ステップS1で洗米水とともに送米される白米Rは、1次浸漬槽21へと送米される。
【0065】
1次浸漬槽21へと送米された白米Rは、1次浸漬槽21に貯水された1次浸漬水W1内へと投入される。1次浸漬槽21に貯水する1次浸漬水W1内へと投入された白米Rは、所定の時間、例えば略60分間浸漬される。
【0066】
そして、所定の時間だけ浸漬した後に、1次浸漬槽21の下部に有するバルブ22を開放して自重により白米Rと1次浸漬水W1を1次浸漬送米管23へと送る。
【0067】
図3に示すように、1次浸漬槽21の下部に有するバルブ22を開放することで自重により1次浸漬送米管23へと送られた白米Rと1次浸漬水W1は、1次浸漬ポンプ24により吐出される清水の勢いにより下流側へと送米される。
【0068】
(1次蒸しステップ)
1次浸漬ステップS10の次に行う1次蒸しステップS20について説明する。
【0069】
図1及び
図4に示すように、1次浸漬送米管23により下流側へと送米された白米Rは、吐出口32より、貯米槽33の上方に備える受入コンベア31の搬送面上へと落下流動する。
【0070】
受入コンベア31は上方傾斜する下流側へと白米Rを搬送し、受入コンベア31の上流側となる下方側では、白米Rとともに受入コンベア31の搬送面上へと流動した1次浸漬水W1と清水とを、白米Rから分離して排水管31aへと排水する。
【0071】
1次浸漬水W1と清水とを分離した白米Rは、受入コンベア31の下流側から貯米槽33へと落下流動する。貯米槽33へと落下流動して貯米される白米Rは、貯米槽33の下部に備える白米供給用開口34から1次蒸しコンベア41の搬送面41aへと積層して供給される。
【0072】
1次蒸しコンベア41の搬送面41aへと積層して供給した白米Rは、1次蒸しコンベア41の搬送方向に直交する方向の断面がかまぼこ状となるように上方に膨らむような形で積層される。そして、白米供給用開口34に上下動可能に備える畝形成板35により、
図4に想像線で又は
図12に太線で示すように、断面がかまぼこ状となるように積層された白米Rの上部に山部RMと谷部RVとを形成しつつ、白米Rは1次蒸しコンベア41の搬送面41aに積層されて供給される。
【0073】
1次蒸しコンベア41の搬送面41a上に積層して供給される白米Rは、1次蒸しコンベア41により搬送されつつ、1次蒸しコンベア41の往路と復路との間にある第1蒸気供給部50の開口55aから蒸気Vを供給される。
【0074】
第1蒸気供給部50の開口55aから供給された蒸気Vは、1次蒸しコンベア41の搬送面41a上に積層した白米R間へと流入し、白米Rと接触して白米Rに熱と水分を供給する。そして、白米Rをアルファ化して、1次蒸しコンベア41の搬送面41a上に積層した白米R内を通過し、白米Rの上部から、大気中に放散される。
【0075】
1次蒸しコンベア41の搬送面41a上に積層して搬送する白米Rに所定の時間、例えば略10分間蒸気Vを供給した後に、
図1に示すように、下流側の2次浸漬槽61へと1次蒸しコンベア41の搬送面41a上から落下流動させる。
【0076】
(畝形成部の作用効果)
1次蒸しステップS20では、1次蒸しコンベア41の搬送面41a上に積層した白米Rの上部に、畝形成板35により山部RMと谷部RVとを形成し、複数の畝状となるように成形する。その山部RMと谷部RVを形成することによる作用効果について説明する。
【0077】
図12に示すように、1次蒸しステップS20の開始から所定の時間までは、開口55aから白米R内に供給した蒸気Vは、谷部RVに向けて搬送面41a上に積層した白米R内を略直進するように通過し、主に谷部RVの底から大気中へと放散される。
【0078】
そして、搬送面41a上に積層した白米Rのうち、第1蒸気集中板54に有する複数の通気孔54a、及び第2蒸気集中板55に有する開口55aの上方に位置する搬送面41aに接する箇所から、谷部RVの底までの間の白米Rを、集中的にアルファ化して膨潤化させることができる。
【0079】
集中的にアルファ化して膨潤化した白米R内を通過する蒸気Vは、通過する箇所に隣接する箇所の白米Rを徐々にアルファ化して膨潤化させる。膨潤化した白米Rは白米R間の隙間を広げ、蒸気Vが通過することのできる箇所を広げていく。
【0080】
図13に示すように、1次蒸しステップS20の開始から所定の時間を経過した後には、1次蒸しコンベア41の搬送方向に直交する方向の断面で、搬送面41a上に積層する白米R内全体に蒸気Vが通過することができるようになる。
【0081】
搬送面41a上に積層する白米R内全体を通過する蒸気Vは、1次蒸しコンベア41の搬送方向に直交する方向の断面で、白米Rの全体へと行き渡り、白米Rの上部の全体から大気中へと放散される。これにより、1次蒸しコンベア41の搬送方向に直交する方向の断面で、搬送面41a上に積層する白米Rをむらなくアルファ化することができる。
【0082】
従来、1次蒸しコンベアの搬送面に積層した白米の、上端から搬送面までの鉛直方向の厚みが厚い場合には、蒸気供給部から供給される蒸気が白米内を通らず、1次蒸しコンベアの側方へと逃げてしまうことがあり、白米を確実にアルファ化できないことがあった。
【0083】
本発明では、谷部RVの底から1次蒸しコンベア41の搬送面41aまでの鉛直方向の厚みを、蒸気Vが通り抜けられる程度の厚みL3とすることにより、搬送面41a上に積層した白米Rの鉛直方向の厚みが厚くとも白米R内を蒸気Vが通り抜けるようにし、白米Rのアルファ化を行うことができる。
【0084】
そして、1次蒸しステップS20の開始から所定の時間が経過した後には、1次蒸しコンベア41の搬送方向に直交する方向の断面で、搬送面41a上に積層した白米R全体を蒸気Vが通り抜けるようにし、白米R全体をアルファ化することができるようになる。
【0085】
本実施形態に記載した蒸気炊飯装置1では、例えば、谷部RVの底から1次蒸しコンベア41の搬送面41aまでの鉛直方向の厚みL3を略140mmとしている。この厚みL3は白米Rの品種や品質、水分量等に合わせて調整するのが好ましい。
【0086】
また、
図13に示すように1次蒸しステップS20の開始から所定の時間を経過した後は、搬送面41a上に積層した白米Rは膨潤化するため、1次蒸しコンベア41の搬送方向に直交する方向の断面で、白米R全体の厚みが増して、厚みL3は、厚みL3よりも厚い厚みである厚みL4へと変化し、谷部RVの凹んだ部分の鉛直方向の高さが小さくなる。
【0087】
これにより、第1蒸気集中板54に有する複数の通気孔54a、及び第2蒸気集中板55に有する開口55aの上方に位置する搬送面41aに接する箇所から、谷部RVの底までの間の白米Rを通過する蒸気Vを、より長い時間白米Rに留めて白米R内に分散させ、多くの白米Rをアルファ化することができる。
【0088】
なお、1次蒸しコンベア41の搬送方向に直交する方向の断面で、搬送面41a上に積層する白米R全体へと蒸気Vが行き渡るようになるまでの所定の時間は、白米Rの品種や品質、水分量、厚みL3,L4の厚み等により変化するが、白米Rのアルファ化を促進するために、より短い時間とするのが好ましい。
【0089】
(多角形ドラムの作用効果)
一般的にスプロケットを使用してチェーンを駆動する際には、チェーンの各リンクの両端のスプロケットに掛かっている部分と、各リンクの中間部分とでは回転軸の中心からの半径が異なることにより、スプロケットが所定角度回転するたびにチェーンの駆動速度が変動するということが知られている。特にスプロケットの歯数が少ない場合に顕著であることも知られている。
【0090】
また、本実施形態の蒸気炊飯装置1を設置する施設内の空間は有限であるため、可能な限り蒸気炊飯装置1の構成を小さくすることが求められる。そのため、1次蒸し部40の構成も可能な限り小さくすることが求められ、1次蒸しコンベア41のスプロケット45a,45b,46a,46bも小さくする必要性に迫られる。
【0091】
特に、
図1に示すように、白米Rを搬送するコンベアの下流側において、白米Rの搬出位置の下方に次工程のコンベア等を、上流側と下流側のコンベア搬送面の落差を小さくした状態で配置することができ、次工程へ白米Rを確実に搬送することができる。
【0092】
本実施形態の蒸気炊飯装置1でも、スプロケット45a,45b,46a,46bを可能な限り小さくする必要があるため、チェーン43,44の各リンクの両端部分と中間部分とでは回転軸の中心からの半径が異なり、スプロケット45a,45b,46a,46bが所定角度回転するたびにチェーン43,44の循環駆動する速度が変動するおそれがある。
【0093】
そして、チェーン43,44とネット42とは、チェーン43,44の各リンクの中間部分にある耳部43a,44aで連結部材42aにより連結している。チェーン43,44はスプロケット46a,46bにより駆動しており、チェーン43,44の各リンクの両端のスプロケット46a,46bに掛かっている部分と、各リンクの中間部分とでは回転軸の中心からの半径が異なる。
【0094】
一方、ネット42は、円形のドラムで駆動した場合、回転軸の中心からの半径は一定になる。円形のドラムで駆動した場合のチェーン43,44とネット42は、その回転軸の中心からの半径が異なることにより、チェーン43,44とネット42とを連結部材42aで連結している部分に無理な張力がかかり、循環駆動するネット42に歪が生じる。
【0095】
本発明では、
図5及び
図8に示すように、1次蒸しコンベア41の白米Rの搬送方向下流側に備える多角形ドラム46の多角形の1辺の長さL1を、チェーン43,44のピッチの長さL2と略等しくした長さとしている。なお、「略等しい」とは、設計誤差よりも大きな差、例えば、±1~3mm程度の差があってもよいことを意味する。
【0096】
なお、多角形ドラム46の軸方向に直交する方向の断面の大きさは、多角形ドラム46の1辺の長さL1をチェーン43,44のピッチの長さL2と略等しくし、かつ多角形ドラム46の軸方向に直交する方向の断面が外接する円の大きさとスプロケット46a,46bのピッチ円直径とを略等しくして対応させた大きさとするとよい。
【0097】
これにより、ネット42を多角形としながら駆動することができ、回転軸の中心からの半径をチェーン43,44と略等しくすることができる。そして、チェーン43,44の循環駆動する速度の変動とそのタイミングに合わせて、意図的にネット42の循環速度を変動させることができる。
【0098】
さらに、多角形ドラム46と、両端のスプロケット46a,46bとの間には、軸方向に直交する方向の断面を円形としたネット非接触部46dを設けている。これにより、ネット非接触部46dに位置するネット42をドラムと非接触とし、多角形ドラム46の1辺の長さL1とチェーン43,44のピッチの長さL2との差があっても、チェーン43,44とネット42とを連結部材42aで連結している部分にかかる張力を逃がすことができる。
【0099】
このようにして、チェーン43,44とネット42とを連結部材42aで連結している部分で発生するネット42に生じる歪を抑制し、ネット42の寿命、ひいては蒸気炊飯装置1の寿命を長くすることができる。
【0100】
(第1蒸気集中板及び第2蒸気集中板の作用効果)
図6及び
図12に示すように、第1蒸気供給部50で発生させた蒸気Vは、第1蒸気集中板54に有する複数の通気孔54aにより、搬送方向に直交する幅方向で、蒸気Vの流れを集中させることができる。そして、第2蒸気集中板55に有する開口55aにより、さらに蒸気Vの流れを搬送方向に直交する幅方向で集中させることができる。
【0101】
このように、貯水槽51に貯水した清水51aの水面の略全体から発生する蒸気Vを、上下2段で構成した蒸気供給用開口54a,55aを通過させるだけで、簡単な構成で蒸気Vを搬送方向と直交する幅方向で集中させることができる。そのように集中させた蒸気Vの流れを1次蒸しコンベア41の搬送面41a上に積層して搬送する白米Rの、上部に形成した谷部RVの真下に位置するネット42の箇所に噴射する。
【0102】
これにより、1次蒸しコンベア41の搬送面41a上に積層して搬送する白米R内をより多く蒸気Vが流入し通過しやすくすることができ、より効果的に白米Rへと蒸気Vを供給することができる。
【0103】
(2次浸漬ステップ)
1次蒸しステップS20の次に行う2次浸漬ステップS30について説明する。
【0104】
図1に破線で示すように、1次蒸しステップS20を終えた白米Rは1次蒸しコンベア41により、2次浸漬槽61へと搬送される。2次浸漬槽61に貯水した所定の温度、例えば91度C~95度Cの2次浸漬水W2内で、白米Rを所定の時間、例えば略8分間浸漬しつつ、スクレーパコンベア62により下流側へと搬送する。
【0105】
2次浸漬槽61に貯水する2次浸漬水W2内の白米Rは、所定の時間だけ浸漬した後に、スクレーパコンベア62により2次浸漬槽61からかき出されて、2次蒸し部70の2次蒸しコンベア71の搬送面71a上へと搬送し、積層する。
【0106】
(2次蒸しステップ)
2次浸漬ステップS30の次に行う2次蒸しステップS40について説明する。2次蒸しステップS40は、第1過熱水蒸気供給ステップS41と、蒸気供給ステップS42と、第2過熱水蒸気供給ステップS43と、を備えている。
【0107】
(第1過熱水蒸気供給ステップ)
まず、2次蒸しステップS40の内の最初のステップである第1過熱水蒸気供給ステップS41について説明する。
【0108】
図1に示すように、2次浸漬槽61から間欠してかき出されて2次蒸しコンベア71の搬送面71a上へと積層した白米Rは、2次蒸しコンベア71により搬送しつつ、回転する第1ほぐし羽根79によりほぐされる。
【0109】
これにより、2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層して搬送する白米Rの上部の面の高さを可能な限り均等とすることができる。そして、2次蒸しコンベア71の往路と復路との間から供給する過熱水蒸気V1,V3や蒸気V2が2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層した白米R内へと供給されたときに、白米Rへと可能な限り均一に過熱水蒸気V1,V3や蒸気V2を供給し白米Rに接触させて、白米Rのアルファ化をむらなく行うことができる。
【0110】
また、回転する第1ほぐし羽根79により白米Rをほぐすことにより、白米Rの表面に余分に付着した水分を蒸発させることができるとともに、白米R間に隙間をより多く形成して、過熱水蒸気V1,V3や蒸気V2が白米R内を通り抜けやすくすることができ、白米Rのアルファ化を促進することができる。
【0111】
第1ほぐし羽根79によりほぐした後に、2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層して搬送する白米Rには、2次蒸しコンベア71の往路と復路との間に設けた第1過熱水蒸気供給部90から過熱水蒸気V1が供給される。
【0112】
具体的には、
図1及び
図9に示すように、ボイラーより供給された蒸気を蒸気供給管92から下方に向けて放散し、この蒸気供給管92より供給された蒸気がヒータ93で加熱されて過熱水蒸気V1となり供給される。
【0113】
第1過熱水蒸気供給部90から供給される過熱水蒸気V1は、白米Rの表面に付着した水分を蒸発させて大気中へと放散させる。これにより、白米Rの表面に付着した水分を蒸発させながら、白米Rを加熱するとともに、白米Rの内部の水分を蒸発させて白米Rの表面に複数の空洞を形成させることができる。
【0114】
(蒸気供給ステップ)
次に、2次蒸しステップS40の内、第1過熱水蒸気供給ステップS41の次に行う蒸気供給ステップS42について説明する。
【0115】
図1及び
図9に示すように、第1過熱水蒸気供給ステップS41を終えた2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層して搬送する白米Rに、2次蒸しコンベア71の往路と復路との間に設けた第2蒸気供給部100から湿度の高い蒸気V2を白米Rに供給し接触させる。
【0116】
具体的には、第2蒸気供給部100は、蒸気供給管102から下方に向けてボイラーからの蒸気を噴射し、貯水槽101に貯めた水を蒸発させて略100度Cの蒸気V2を発生させる。
【0117】
これにより、第1過熱水蒸気供給ステップS41で白米Rの表面に形成した空洞内に蒸気V2を供給することが可能となり、白米Rの内部まで蒸気V2が到達して、芯までアルファ化した真に美味い飯を製造することができる。
【0118】
(第2過熱水蒸気供給ステップ)
2次蒸しステップS40の内で、蒸気供給ステップS42の次に行う第2過熱水蒸気供給ステップS43について説明する。
【0119】
図1及び
図9に示すように、蒸気供給ステップS42を終えた2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層して搬送する白米Rに、2次蒸しコンベア71の往路と復路との間に設けた第2過熱水蒸気供給部110から過熱水蒸気V3を供給し接触させる。
【0120】
これにより、第2蒸気供給部100で白米Rの表面に余分に付着した水分を、第2過熱水蒸気供給部110で供給する過熱水蒸気V3により蒸発させながら、白米Rを加熱することができる。そして、余分に付着した水分により白米Rの表面がベチャついた状態となるのを防ぎ、適度に水分を保持した状態を維持して、白米Rのアルファ化を完了させることができる。
【0121】
なお、第2蒸気供給部100からの蒸気V2は、過熱水蒸気V1,V3よりも温度が低く、しかも、単位時間当たりに発生させる蒸気の量が過熱水蒸気V1,V3よりも多くなっている。
【0122】
図1及び
図9に示すように、2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層する白米Rに第2過熱水蒸気供給部110から過熱水蒸気V3を供給した後に、回転する第2ほぐし羽根80によりアルファ化の完了した白米であるご飯R’をほぐす。
【0123】
これにより、2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層して搬送するご飯R’に空気を含ませて、ご飯R’の表面に付着した余分な水分の蒸発を促進し、より美味いご飯R’を製造することができる。
【0124】
2次蒸しステップS40は3つのステップ、第1過熱水蒸気供給ステップS41、蒸気供給ステップS42、及び第2過熱水蒸気供給ステップS43を所定の時間、例えば略15分間かけて行う。2次蒸しステップS40を行う所定の時間は、2次蒸しコンベア71の搬送面71a上に積層する白米Rの量、品種、品質、含有する水分量等により増減する。
【0125】
2次蒸しステップS40を構成する第1過熱水蒸気供給ステップS41及び第2過熱水蒸気供給ステップS43では、白米Rに供給する過熱水蒸気V1,V3の温度を所定の温度、例えば100度C以上120度C以下としている。
【0126】
これにより、白米Rに与える熱の温度が高すぎることによる白米Rの変色を防ぐことができる。なお、第2過熱水蒸気供給ステップS43は必ずしも設けなくてもよく、蒸気供給ステップS42から取り出しステップS50に進んでもよい。
【0127】
(多角形ドラムの作用効果)
1次蒸し部40の1次蒸しコンベア41の構成と同じように、2次蒸し部70の2次蒸しコンベア71は、従動ドラム75と多角形ドラム76と従動ドラム77によりネット72を循環駆動している。そして、白米Rの搬送方向の両側でネット72は連結部材72aによりチェーン73,74に連結し、ネット72がチェーン73,74と連動して循環駆動している。
【0128】
これにより、2次蒸しステップS40で循環駆動する2次蒸しコンベア71でも、1次蒸しステップS20で記載したものと同様の効果を奏する。つまり、ネット72を多角形としながら駆動することができ、回転軸の中心からの半径をチェーン73,74と略等しくすることができる。そして、チェーン73,74の循環駆動する速度の変動とそのタイミングに合わせて意図的にネット72の循環速度を変動させ、ネット72に生じる歪みを抑制し、ネット72の寿命、ひいては蒸気炊飯装置1の寿命を長くすることができる。
【0129】
(取り出しステップ)
最後に、2次蒸しステップS40の次に行う、取り出しステップS50について説明する。
【0130】
図10に示すように、2次蒸しステップS40でアルファ化の完了した白米であるご飯R’を取り出しコンベア116で下流側へと搬送する。そして、下流側に設置された取り出し容器117へとご飯R’を落下させて収納する。
【0131】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0132】
すなわち、1次蒸しコンベア41及び2次蒸しコンベア71は、ネット42,72を循環駆動させるネットコンベアとして記載したが、蒸気V,V2及び過熱水蒸気V1,V3を通過させることができ、かつ搬送面41a,71a上で白米Rを積層して搬送することができるのであれば、ベルトを循環駆動させるベルトコンベアにより構成してもよい。
【0133】
また、本実施形態で記載した蒸気炊飯装置1は標準的な構成を記載したものであり、白米Rを蒸気炊飯することのできる構成とすることができるのであれば、いずれかの構成部分を省略、追加、交換してもよい。
【0134】
さらに、本実施形態では蒸気炊飯する米を白米Rと記載したが、玄米でもよく、熱と水分により調理することのできるその他穀物でもよい。
【0135】
実施の形態では、詳しい説明を省略したが、蒸気炊飯装置1における各部品は、図示しない制御盤で制御されればよく、この制御盤は、蒸気炊飯装置1を制御するものであれば、物理的にどのように構成してもよい。例えば、制御盤は、マイクロコンピュータやプログラマブルロジックコントローラ(PLC)等のように、ソフトウェア(プログラム)を利用するものであってもよい。あるいは、制御盤は、ハードウェア(回路部品)を組み合わせて実現してもよい。
【0136】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0137】
1 蒸気炊飯装置
10 前工程部
11 米サイロ
12 出米装置
13 ブロア
14 洗米機
14a スクリュー
15 前工程ポンプ
16 前工程配米管
17 前工程送米管
20 1次浸漬部
21 1次浸漬槽
22 バルブ
23 1次浸漬送米管
24 1次浸漬ポンプ
30 畝形成部
31 受入コンベア
31a 排水管
32 吐出口
33 貯米槽
34 白米供給用開口
35 畝形成板
35a 谷形成部
35b 山形成部
36 駆動機構
36a ハンドル
36b 伝達機構
40 1次蒸し部
41 1次蒸しコンベア(コンベア)
41a 搬送面
42 ネット
42a 連結部材
43 チェーン
43a 耳部
44 チェーン
44a 耳部
45 従動ドラム(ドラム)
45a スプロケット
45b スプロケット
46 多角形ドラム(ドラム)
46a スプロケット
46b スプロケット
46c 駆動モータ
46d ネット非接触部
47 従動ドラム(ドラム)
48 仕切り板
49 蓋部材
50 第1蒸気供給部
51 貯水槽
51a 清水
52 蒸気供給管
53 蒸気管
54 第1蒸気集中板
54a 複数の通気孔(蒸気供給用開口)
55 第2蒸気集中板
55a 開口(蒸気供給用開口)
60 2次浸漬部
61 2次浸漬槽
62 スクレーパコンベア(コンベア)
63 チェーン
64 チェーン
65 回転軸
65a スプロケット
65b スプロケット
66 駆動軸
66a スプロケット
66b スプロケット
67 回転軸
67a スプロケット
67b スプロケット
68 搬送板
70 2次蒸し部
71 2次蒸しコンベア(コンベア)
71a 搬送面
72 ネット
72a 連結部材
73 チェーン
73a 耳部
74 チェーン
74a 耳部
75 従動ドラム(ドラム)
75a スプロケット
75b スプロケット
76 多角形ドラム(ドラム)
76a スプロケット
76b スプロケット
76c 駆動モータ
76d ネット非接触部
77 従動ドラム(ドラム)
78 仕切り板
79 第1ほぐし羽根
79a 羽根
80 第2ほぐし羽根
80a 羽根
81 蓋部材
90 第1過熱水蒸気供給部
91 第1過熱水蒸気供給箱
92 蒸気供給管
93 ヒータ
94 蒸気管
100 第2蒸気供給部
101 貯水槽
101a 清水
102 蒸気供給管
103 蒸気管
110 第2過熱水蒸気供給部
111 第2過熱水蒸気供給箱
112 蒸気供給管
113 ヒータ
114 蒸気管
115 取り出し部
116 取り出しコンベア
117 取り出し容器
S1 前工程ステップ
S10 1次浸漬ステップ
S20 1次蒸しステップ
S30 2次浸漬ステップ
S40 2次蒸しステップ
S41 第1過熱水蒸気供給ステップ
S42 蒸気供給ステップ
S43 第2過熱水蒸気供給ステップ
S50 取り出しステップ
L1 多角形ドラムの1辺の長さ
L2 チェーンのピッチの長さ
L3 厚み
L4 厚み
R 白米
RM 山部
RV 谷部
R’ ご飯
V 蒸気
V1 過熱水蒸気
V2 蒸気
V3 過熱水蒸気
W1 1次浸漬水
W2 2次浸漬水