(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163726
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
B65D47/34 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074816
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】石塚 徹也
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084EB02
3E084EC03
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA02
3E084HB03
3E084HC03
3E084KB01
3E084LE01
(57)【要約】
【課題】落下衝撃等が加わった場合であっても、押下ヘッドを安定且つ適切に作動させること。
【解決手段】押下ヘッド30は下方移動が規制された規制位置と下方移動が許容された許容位置P2とに切換え可能とされ、ヘッド周壁32にはストッパ突起33及び規制突起38が形成され、案内筒24には許容位置においてストッパ突起の移動を許容する縦溝51と、規制位置でストッパ突起が配置される周溝52とを備え、周溝の底壁面はストッパ突起の下方への移動を規制する規制壁58とされ、規制筒23には、規制突起の移動を許容するスライド溝26が形成され、規制筒の上端開口縁のうちスライド溝に対して周方向に隣接する部分は規制突起の下方への移動を規制する規制面とされ、規制突起は、許容位置においてスライド溝に対して上下方向に対向するように配置され、規制位置において規制面に対して上下方向に対向するように配置される吐出器1を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方付勢状態で下方移動可能に配設されるステムを有し、内容物を収容する容器体の口部に装着された装着キャップを介して前記容器体の口部に組み合わされたポンプ部と、
内容物を吐出するノズル孔を有し、前記ステムの上端部に装着されると共に、前記容器体における容器軸回りに回転可能とされた押下ヘッドと、
前記装着キャップに組み合わされると共に、上方に向けて延びた規制筒と、
前記規制筒を径方向の外側から囲むと共に、前記押下ヘッドの移動を案内する案内筒と、を備え、
前記押下ヘッドは、前記規制筒を径方向の外側から囲むヘッド周壁を有すると共に、前記容器軸回りの回転によって、下方移動が規制された規制位置と下方移動が許容された許容位置とに切換え可能とされ、
前記ヘッド周壁には、径方向の外側に向かって突出するように形成されたストッパ突起、及び径方向の内側に向かって突出すると共に前記規制筒の上端開口縁と上下方向に対向する規制突起が形成され、
前記案内筒には、前記ストッパ突起を移動可能に収容する案内溝が形成され、
前記案内溝は、
前記押下ヘッドが前記許容位置に位置しているときに前記ストッパ突起の下方への移動を許容する縦溝と、前記容器軸回りに周回する周方向に沿って延びると共に前記縦溝に連通し、且つ前記押下ヘッドが前記規制位置に位置しているときに前記ストッパ突起が配置される周溝と、を備え、
前記周溝の底壁面は、前記ストッパ突起に対して下方から接触することで前記ストッパ突起の下方への移動を規制する規制壁とされ、
前記規制筒の外周面には、前記規制突起の下方への移動を許容する縦長のスライド溝が上方に向けて開口するように形成され、
前記規制筒の上端開口縁のうち、前記スライド溝に対して前記周方向に隣接する部分は、前記規制突起に対して下方から接触することで前記規制突起の下方への移動を規制する規制面とされ、
前記規制突起は、前記押下ヘッドが前記許容位置に位置しているときに前記スライド溝に対して上下方向に対向するように配置され、前記押下ヘッドが前記規制位置に位置しているときに前記規制面に対して上下方向に対向するように配置されることを特徴とする吐出器。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出器において、
前記規制突起及び前記スライド溝は、前記周方向に延びるように形成されている、吐出器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吐出器において、
前記規制突起は、上下方向に沿って延びる縦長に形成されていると共に、前記許容位置での前記押下ヘッドの押下げ操作に伴って、前記周方向に移動不能に前記スライド溝内に収容される、吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、容器体における口部の内側に、上方付勢状態で下方移動可能に配設されるステムと、ステムが挿入されたシリンダと、ステムの上下動に連係すると共にシリンダ内に上下摺動可能に嵌合されたピストンと、ステムの上端部に取り付けられ、内容物を吐出するノズル孔を有する押下ヘッドと、を備える吐出器が知られている。
この種の吐出器では、例えば商品流通時、保管時等において、押下ヘッドが不意に押下げ操作されることを防止するための対策が施されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に示されるように、シリンダを容器体の口部に装着する装着キャップと、押下ヘッドとの間に、押下ヘッドの押下げ操作を規制するカバーを取り外し可能に装着した吐出器が知られている。しかしながら、この場合では、吐出器を使用する毎にカバーの付け外し作業が必要となるので手間がかかり易い。さらに、取り外したカバー単体での保管が必要であるうえ、カバーを紛失してしまうおそれもある。
【0004】
そこで、このようなカバー等の付け外し部品を用いることなく、押下ヘッドの不意な押下げ操作を防止するための対策として、例えば押下ヘッドを容器軸回りに回転させることで、押下げ操作が規制された規制位置と、押下げ操作が許容された許容位置とに切換え可能に構成された吐出器も知られている。
この吐出器では、例えば押下ヘッドにストッパ突起が形成され、装着キャップ等に組み合わされた部材に縦溝及びストッパ凹部が形成されている。ストッパ突起は、押下ヘッドが許容位置に位置するときに、縦溝内に配置されることで下方移動が許容される。さらにストッパ突起は、押下ヘッドが規制位置に位置するときに、ストッパ凹部内に配置されることで下方移動が規制される。
従って、押下ヘッドを規制位置と許容位置とに切換え操作するだけの操作で、押下ヘッドの不意な押下げ操作を防止と、押下げ操作の許容とを切換えることが可能とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の吐出器において、商品流通時や保管時等に例えば落下衝撃等の外力が押下ヘッドに加わった場合には、規制位置で押下ヘッドが強く押し込まれてしまう場合があった。この場合には、例えばストッパ凹部に対してストッパ突起が強く接触しながら押下ヘッドが過度に押し込まれてしまい、押下ヘッドが元の位置に復帰し難くなる等の不都合があった。そのため、押下ヘッドを安定且つ適切に作動させることが困難となってしまい易い。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、落下衝撃等が加わった場合であっても、押下ヘッドを安定且つ適切に作動させることができる吐出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る吐出器は、上方付勢状態で下方移動可能に配設されるステムを有し、内容物を収容する容器体の口部に装着された装着キャップを介して前記容器体の口部に組み合わされたポンプ部と、内容物を吐出するノズル孔を有し、前記ステムの上端部に装着されると共に、前記容器体における容器軸回りに回転可能とされた押下ヘッドと、前記装着キャップに組み合わされると共に、上方に向けて延びた規制筒と、前記規制筒を径方向の外側から囲むと共に、前記押下ヘッドの移動を案内する案内筒と、を備え、前記押下ヘッドは、前記規制筒を径方向の外側から囲むヘッド周壁を有すると共に、前記容器軸回りの回転によって、下方移動が規制された規制位置と下方移動が許容された許容位置とに切換え可能とされ、前記ヘッド周壁には、径方向の外側に向かって突出するように形成されたストッパ突起、及び径方向の内側に向かって突出すると共に前記規制筒の上端開口縁と上下方向に対向する規制突起が形成され、前記案内筒には、前記ストッパ突起を移動可能に収容する案内溝が形成され、前記案内溝は、前記押下ヘッドが前記許容位置に位置しているときに前記ストッパ突起の下方への移動を許容する縦溝と、前記容器軸回りに周回する周方向に沿って延びると共に前記縦溝に連通し、且つ前記押下ヘッドが前記規制位置に位置しているときに前記ストッパ突起が配置される周溝と、を備え、前記周溝の底壁面は、前記ストッパ突起に対して下方から接触することで前記ストッパ突起の下方への移動を規制する規制壁とされ、前記規制筒の外周面には、前記規制突起の下方への移動を許容する縦長のスライド溝が上方に向けて開口するように形成され、前記規制筒の上端開口縁のうち、前記スライド溝に対して前記周方向に隣接する部分は、前記規制突起に対して下方から接触することで前記規制突起の下方への移動を規制する規制面とされ、前記規制突起は、前記押下ヘッドが前記許容位置に位置しているときに前記スライド溝に対して上下方向に対向するように配置され、前記押下ヘッドが前記規制位置に位置しているときに前記規制面に対して上下方向に対向するように配置されることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る吐出器によれば、押下ヘッドが規制位置に位置している場合には、規制壁上にストッパ突起が接触していることでストッパ突起の下方への移動が規制されていると共に、規制突起が規制面に対して上下方向に対向している。これにより、例えば落下衝撃等の不意な外力が押下ヘッドに作用したとしても、規制突起が規制面に対して接触するので、押下ヘッドに作用した外力を規制筒によって受け止めることができる。従って、従来のように不意な外力によって押下ヘッドが下方に向けて押し込まれることを効果的に防止することができる。
従って、ストッパ壁が例えば規制壁に対して強く押し当たることを防止することができ、押下ヘッドが噛み込んでしまう等の不都合が生じ難い。そのため、従来とは異なり、押下ヘッドが元の位置に復帰し難くなることを防止することができる。
【0010】
内容物の吐出を行う場合には、容器軸回りに押下ヘッドを回転させて、押下ヘッドを規制位置から許容位置に移行させる。これにより、押下ヘッドの回転に伴って、ストッパ突起を周溝内から縦溝内に移動させることができる。そのため、縦溝を利用してストッパ突起の下方移動を許容することができる。さらに、押下ヘッドの回転に伴って、規制突起を規制面の上方から移動させて、スライド溝の開口に対して上下方向に対向させることができる。これにより、スライド縦を利用して規制突起の下方移動を許容することができる。
その結果、ステムの上方付勢に抗して押下ヘッドを押下げ操作することができ、縦溝内でストッパ突起を下方移動させ、且つスライド溝内で規制突起を下方移動させながら、ステムを押下げることができる。その結果、ポンプ部を利用してノズル孔を通じて内容物の吐出を行うことができる。
【0011】
上述のように、規制位置から許容位置への押下ヘッドの切換え操作を行わない限り、押下ヘッドを押下げ操作することができないので、例えば商品流通時や保管時等、落下衝撃等の不意の外力によって内容物の意図しない吐出を防止することができる。特に、押下ヘッドを規制位置に位置させたときに、装着キャップに組み合わされた規制筒を利用して、押下ヘッドに作用した外力を適切に受け止めることができるので、押下ヘッドが下方に向けて押し込まれることを効果的に防止することができる。
従って、ストッパ壁が規制壁に対して強く押し当たることによる押下ヘッドの噛み込み等を防止することができるので、押下ヘッドを安定且つ適切に作動させることができ、作動の信頼性が向上した吐出器とすることができる。さらに、ヘッド周壁には、径方向の外側に向けてストッパ突起が形成され、且つ径方向の内側に向けて規制突起が形成されている。従って、ヘッド周壁は、外周面及び内周面の両面に、外力を受け止める部分が形成されているので、落下衝撃等の強い外力が押下ヘッドに作用したとしても、ヘッド周壁が変形する等の不都合を効果的に防止できる。この点においても、押下ヘッドが下方に向けて押し込まれることを防止することができる。
【0012】
(2)前記規制突起及び前記スライド溝は、前記周方向に延びるように形成されても良い。
【0013】
この場合には、規制突起及びスライド溝が周方向に延びるように形成されているので、例えば押下ヘッドが規制位置に位置しているときに、押下ヘッドに対して落下衝撃等の不意な外力が加わったとしても、規制突起と規制面との接触面積を大きく確保することができる。従って、押下ヘッドに作用した外力を規制筒によって広範囲に亘って受け止めることができ、押下ヘッドが下方に向けて押し込まれることをさらに効果的に防止することができる。さらに、規制突起と規制面との接触面積を大きく確保することができるので、押下ヘッドが傾く等の不都合が生じ難い。
さらに、許容位置で押下ヘッドを押下げ操作した場合には、スライド溝内で周幅が大きい規制突起を下方移動させることができるので、がたつき少なく押下ヘッドを安定して押下げ操作することができる。従って、操作性の向上化を図ることができる。
【0014】
(3)前記規制突起は、上下方向に沿って延びる縦長に形成されていると共に、前記許容位置での前記押下ヘッドの押下げ操作に伴って、前記周方向に移動不能に前記スライド溝内に収容されても良い。
【0015】
この場合には、許容位置で押下ヘッドを押下げ操作したときに、スライド溝の全長に亘って規制突起を収容することができると共に、周方向に移動不能にスライド溝内に収容することができる。従って、内容物の吐出操作時に押下ヘッドの容器軸回りのがたつきを抑制することができ、下方に向けてスムーズに押下ヘッドを押下げることができる。従って、操作性のさらなる向上化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、落下衝撃等が加わった場合であっても、押下ヘッドを安定且つ適切に作動させることができ、作動の信頼性が向上した吐出器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る吐出器の縦断面図であって、押下ヘッドが許容位置に位置している状態を示す図である。
【
図2】
図1に示すA-A線に沿った横断面図である。
【
図3】
図1に示す押下ヘッドが規制位置に位置している場合の吐出器の上面図である。
【
図5】
図1に示す吐出器をノズル筒部側から見た正面図である。
【
図6】
図1に示す状態から押下ヘッドを押下げ操作した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る吐出器1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように本実施形態の吐出器1は、ステム11を有するポンプ部10と、内容物が収容された容器体2の口部3に装着され、容器体2の口部3にポンプ部10を組み合わせる装着キャップ20と、ステム11に装着された押下ヘッド30と、を備えている。
なお、吐出器1の各構成部品は、特に記載がなければ、合成樹脂材料を用いた成形品とされている。さらに吐出器1は、押下ヘッド30及び装着キャップ20を覆う有頂筒状のカバーキャップを備えていても構わない。
【0019】
ステム11及び装着キャップ20は、容器体2の容器軸Oと同軸に配設されている。以下、容器軸Oに沿って押下ヘッド30側を上方、容器体2側を下方といい、容器軸Oに沿う方向を上下方向という。さらに、上下方向から見た平面視において、容器軸Oに交差する方向を径方向、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
さらに、周方向のうち吐出器1の上面視で容器軸Oを時計回りに周回する方向を第1方向M1といい、容器軸Oを反時計回りに周回する方向を第2方向M2という。さらに、径方向のうち互いに直交する一方向を前後方向L1といい、他方向を左右方向L2という。
【0020】
(容器体)
容器体2は、口部3、肩部4、胴部5及び底部(不図示)が上方から順に連設された有底筒状に形成されている。容器体2の口部3の外周面には雄ねじ部6が形成されている。
【0021】
(装着キャップ)
装着キャップ20は、容器体2の口部3を径方向の外側から囲む装着筒21と、装着筒21の上端部から径方向の内側に向けて突出した環状のキャップ天壁22と、キャップ天壁22から上方に向かって延びる規制筒23及び案内筒24と、を備えている。
【0022】
装着筒21の内周面には、容器体2の口部3に形成された雄ねじ部6に螺合する雌ねじ部25が形成されている。これにより、装着キャップ20は、雄ねじ部6と雌ねじ部25とのねじ結合による螺着によって容器体2の口部3に装着されている。
ただし、装着キャップ20の装着方法は、螺着に限定されるものではなく、例えば容器体2の口部3に対して例えばアンダーカット嵌合によって装着されても構わない。
【0023】
規制筒23は、キャップ天壁22の内周縁部に一体に形成され、内周縁部から上方に向けて延びるように形成されている。ただし、規制筒23は、装着キャップ20に対して一体に形成されている必要はなく、別体に形成したうえで、装着キャップ20に組み合わされていても構わない。
規制筒23は、ステム11の外径よりも大きい筒状に形成されている。図示の例では、規制筒23は、ステム11との間に環状の隙間をあけた状態でステム11を囲むように形成されている。さらに規制筒23は、装着筒21の上下方向の長さと同程度の長さとなるように、キャップ天壁22から上方に向けて延びている。
【0024】
規制筒23の外周面には、後述する規制突起38の下方への移動を許容する縦長のスライド溝26が上方に開口するように形成されている。スライド溝26は、容器軸Oを挟んで径方向に向かい合うように一対形成されている。図示の例では、スライド溝26は、容器軸Oを挟んで前後方向L1に向かい合うように形成されている。
図2に示すように、スライド溝26は周方向に延びるように形成され、容器軸O方向から見た平面視で円弧状に形成されている。図示の例では、平面視で規制筒23の1/4程度の周幅を有するように形成されている。
【0025】
上述のように構成された規制筒23において、上端開口縁のうちスライド溝26に対して周方向に隣接する部分は、後述する規制突起38に対して下方から接触することで、規制突起の下方への移動を規制する規制面27として機能する。従って、本実施形態では、規制筒23の上端開口縁のうち、一対のスライド溝26の間に位置し、且つ容器軸Oを挟んで左右方向L2に向かい合うように配置された部分が規制面27として機能する。
【0026】
図1に示すように、案内筒24は、規制筒23を径方向の外側から囲むように、キャップ天壁22から上方に向けて延びるように形成されている。ただし、案内筒24は、装着キャップ20に対して一体に形成されている必要はなく、別体に形成したうえで、装着キャップ20に組み合わされていても構わない。案内筒24は、規制筒23の外径より大きく、且つ装着筒21の外径よりも小さい筒状に形成されている。
図示の例では、案内筒24は、規制筒23との間に環状の隙間をあけた状態で規制筒23を囲むように形成されていると共に、規制筒23よりも突出高さが低くなるように形成されている。
【0027】
案内筒24は、押下ヘッド30の移動(上下動、及び容器軸O回りの回転移動)を案内する役割を担っている。なお、案内筒24と押下ヘッド30における後述するヘッド周壁32との間には、押下ヘッド30を案内する案内機構40が設けられている。案内機構40については、後述する。
【0028】
(ポンプ部)
ポンプ部10は、ステム11、シリンダ12、サポート筒13、弁部材15、ピストンガイド16、ピストン17及び付勢部材(不図示)を主に備えている。
図1に示すように、シリンダ12は、シリンダ周壁12aを有する筒状に形成され、容器軸Oと同軸に配設されている。シリンダ周壁12aの上端部には、径方向の外側に向けて突出する環状のフランジ部12bが形成されている。
フランジ部12bは、パッキン14を介して容器体2の口部3における上端開口縁上に配置され、容器体2の口部3に装着される装着キャップ20によって、口部3の上端開口縁との間に上下方向に挟まれている。
【0029】
これにより、シリンダ12を含むポンプ部10の全体は、装着キャップ20を介して容器体2の口部3に装着されている。なお、シリンダ12は、容器体2の口部3よりも下方に向けて延び、容器体2の内側に入り込むように装着キャップ20を介して容器体2の口部3に取り付けられている。
シリンダ周壁12aは、キャップ天壁22の内側を通じて上方に向けて開口している。これにより、シリンダ周壁12aの内側には、ステム11が上方から挿入されている。
【0030】
弁部材15は、ポンプ部10における下部弁体として機能し、容器体2内とシリンダ12内との連通及び遮断を切換える役割を担っている。具体的には、弁部材15は、シリンダ12内の加圧時に、シリンダ12内の内容物が容器体2に逆流することを規制し、且つシリンダ12内の減圧時に、容器体2内の内容物をシリンダ12内に流入させることが可能とされている。
【0031】
ステム11は、容器体2の口部3の内側に上方付勢状態で下方移動可能に立設されている。ステム11は、上下方向に延びる筒状に形成され、キャップ天壁22の内側及びシリンダ周壁12aの内側に配置されている。ステム11は、押下ヘッド30が押下げ操作される前の状態において、上端部が規制筒23及び案内筒24よりも上方に突出し、且つ下端部がシリンダ12内に収容されるように配置されている。
なお、ステム11の下端部は、径方向の外側に拡径した拡径部11aとされている。これにより、ステム11は、上下方向に外径が変化した二段筒状に形成されている。
【0032】
ピストンガイド16は、ステム11よりも下方に配置された状態で容器軸Oと同軸に配置される。ピストンガイド16は、ピストン17と協働としてポンプ部10における上部弁体として機能する。ピストン17は、ステム11の上下動に連係すると共にシリンダ12の内部に上下摺動可能に嵌合されている。なお、ステム11は、ピストンガイド16を介して図示しない付勢部材によって上方に向けて付勢されている。
【0033】
サポート筒13は、ピストン17等、シリンダ12内に配置された各部品の抜け止め部材として機能する。サポート筒13は、シリンダ周壁12aにおける上端部の内側に装着され、容器軸Oと同軸に配置されている。
【0034】
(押下ヘッド)
図1に示すように、押下ヘッド30は、ポンプ部10よりも上方に配置され、ステム11の上端部に装着されている。
押下ヘッド30は、ヘッド頂壁31及びヘッド周壁32を有する有頂筒状に形成され、容器軸Oと同軸に配設されていると共に、容器軸O回りに回転可能とされている。
【0035】
ヘッド周壁32は、ステム11及び規制筒23を径方向の外側から囲む筒状に形成され、規制筒23と案内筒24との間に配置されている。ヘッド周壁32は、押下ヘッド30の押下げ操作時に、案内筒24の内側を下方移動可能とされている(
図6参照)。これにより、押下ヘッド30の全体は、案内筒24によって移動可能に案内される。
【0036】
図1及び
図2に示すように、ヘッド周壁32の下端部には、径方向の外側に向かって突出するように形成された第1突起部(本発明に係るストッパ突起)33及び第2突起部34(本発明に係るストッパ突起)が形成されている。
図2に示すように、第1突起部33及び第2突起部34は、容器軸Oを挟んで径方向に向かい合うように形成されていると共に、案内筒24の内側に配置される。図示の例では、第1突起部33及び第2突起部34は、ヘッド周壁32の下端部に縦長に形成されている。
【0037】
第1突起部33及び第2突起部34は、容器軸O方向から見た平面視で周方向に所定の周幅で延びるように形成されている。図示の例では、第2突起部34は、第1突起部33の周幅よりも周幅が長くなるように形成されている。
ただし、この場合に限定されるものではなく、第2突起部34の周幅は第1突起部33の周幅と同等であっても構わないし、第1突起部33の周幅よりも小さくても構わない。
【0038】
なお、第1突起部33及び第2突起部34は、
図1に示すように押下ヘッド30を押下げ操作する前の状態において、案内筒24の上端部の内側に位置している。これにより、第1突起部33及び第2突起部34は、案内筒24の内側に隠れた状態とされ、外部に露出することがない。これにより、吐出器1の外観性を良くすることができ、意匠性やデザイン性の低下を抑制することができる。
【0039】
ヘッド周壁32の内側には、ヘッド周壁32から下方に向けて延びる連結筒35が容器軸Oと同軸に形成されている。連結筒35は、ステム11の上端部を径方向の外側から囲む筒状に形成され、規制筒23の内側に配置されている。そして連結筒35は、ステム11に対して嵌合されている。これにより、押下ヘッド30は、ステム11の上端部に装着されている。
【0040】
押下ヘッド30は、ヘッド周壁32から径方向の外側に向けて延びるノズル筒部36を備えている。
ノズル筒部36は、装着キャップ20の装着筒21よりも径方向の外側に突出する長さで形成されている。さらにノズル筒部36は、ヘッド周壁32の内側に向けて延びるように形成され、連結筒35の内側に連通している。
なお、ノズル筒部36の長さは、特に限定されるものではなく、例えば装着キャップ20の装着筒21よりも径方向の外側に突出しない程度の長さとされていても構わない。
【0041】
ノズル筒部36の先端部には、内容物を外部に吐出するノズル孔37が形成されている。従って、ノズル孔37は、ノズル筒部36内、連結筒35内を通じてステム11の内側に連通している。そのため、ステム11内に供給された内容物を、ノズル孔37を通じて外部に吐出することが可能とされている。
【0042】
上述のように構成された押下ヘッド30は、容器軸O回りの回転によって、下方移動が規制された規制位置P1と、下方移動が許容された許容位置P2とに切換え可能とされている。
【0043】
規制位置P1とは、
図2に示すように、押下ヘッド30に形成された後述する規制突起38が、規制筒23における規制面27の上方に配置されている状態(規制面27に対して上下方向に対向している状態)をいう。なお、押下ヘッド30が規制位置P1に位置している場合には、
図3に示すように押下ヘッド30に形成された第1突起部33及び第2突起部34が、後述する第1周溝52及び第2周溝57内に位置している。
【0044】
許容位置P2とは、
図1及び
図2に示すように、押下ヘッド30に形成された後述する規制突起38が、規制筒23に形成されたスライド溝26の上方に配置されている状態(スライド溝26に対して上下方向に対向している状態)をいう。なお、押下ヘッド30が許容位置P2に位置している場合には、
図4に示すように押下ヘッド30に形成された第1突起部33及び第2突起部34が後述する第1縦溝51内及び第2縦溝56内に位置している。
【0045】
本実施形態では、押下ヘッド30が許容位置P2に位置しているときに、
図1及び
図4に示すように、ノズル筒部36が前後方向L1に概略一致すると共にノズル孔37が前方を向けて開口する。さらに容器軸Oを中心として、押下ヘッド30を第1方向M1に回転させることで、許容位置P2から規制位置P1への切換えを行うことが可能とされている。その反対に、押下ヘッド30を第2方向M2に回転させることで、規制位置P1から許容位置P2への切換えを行うことが可能とされている。
【0046】
なお、本実施形態では、押下ヘッド30が規制位置P1に位置した際、ノズル筒部36は、
図2及び
図3に示すように、容器軸O方向から見た平面視で左右方向L2を向く。従って、容器軸Oを中心として押下ヘッド30を90度回転させることで、規制位置P1と許容位置P2との切換えを行える。ただし、押下ヘッド30の切換え角度は、90度に限定されるものではない。
【0047】
上述のように構成された押下ヘッド30のヘッド周壁32には、
図1及び
図2に示すように、径方向の内側に向かって突出する規制突起38が形成されている。
規制突起38は、容器軸Oを挟んで径方向に向かい合うように一対形成されていると共に、ヘッド周壁32の内周面に沿って縦長に延びるように形成されている。これにより、規制突起38は、縦リブ状に形成されている。なお、規制突起38の上端部は、ヘッド頂壁31に対して一体に形成されている。
【0048】
規制突起38は、押下ヘッド30が押下げ操作される前の状態において、規制筒23の上端開口縁よりも上方に配置されるように形成されている。図示の例では、押下ヘッド30が押下げ操作される前の状態において、規制突起38の下端部は、規制筒23の上端開口縁に対して上方から接触或いは近接している。
さらに規制突起38は、規制筒23に形成されたスライド溝26の形状に対応して、周方向に延びるように形成され、容器軸O方向から見た平面視で円弧状に形成されている。なお、規制突起38の周幅は、スライド溝26の周幅よりも僅かに短くなるように形成されている。
【0049】
上述のように構成された規制突起38は、押下ヘッド30が許容位置P2に位置している場合には、スライド溝26における開口の上方に配置される。これにより、スライド溝26内での規制突起38の下方移動が許容されるので、許容位置P2において押下ヘッド30を押下げ操作することが可能となる。
その一方、規制突起38は、押下ヘッド30が規制位置P1に位置している場合には、規制筒23における規制面27の上方に対向するように配置される。これにより、規制面27によって規制突起38の下方移動が規制されるので、規制位置P1において押下ヘッド30の押下げ操作を規制することが可能となる。
【0050】
(案内機構)
図1及び
図2に示すように、押下ヘッド30におけるヘッド周壁32と案内筒24との間には、周方向に沿って規制位置P1と許容位置P2との間を、移動可能に押下ヘッド30を案内する案内機構40が設けられている。
案内機構40は、上述した規制突起38及びスライド溝26と協働して、許容位置P2での押下ヘッド30の下方移動の許容と、規制位置P1での押下ヘッド30の下方移動の規制とを行う。
【0051】
具体的には、案内機構40は、案内筒24に形成された第1案内溝(本発明に係る案内溝)50及び第2案内溝(本発明に係る案内溝)55を備えている。これら第1案内溝50及び第2案内溝55は、ヘッド周壁32に形成された第1突起部33及び第2突起部34をそれぞれ移動可能に収容する。なお、第1突起部33及び第2突起部34は、案内機構40を構成する。
【0052】
第1案内溝50は、押下ヘッド30が許容位置P2に位置しているときに、第1突起部33の下方への移動を許容する第1縦溝(本発明に係る縦溝)51と、周方向に沿って延びると共に第1縦溝51に連通し、且つ押下ヘッド30が規制位置P1に位置しているときに第1突起部33が配置される第1周溝(本発明に係る周溝)52と、を備えている。
【0053】
同様に第2案内溝55は、押下ヘッド30が許容位置P2に位置しているときに、第2突起部34の下方への移動を許容する第2縦溝(本発明に係る縦溝)56と、周方向に沿って延びると共に第2縦溝56に連通し、且つ押下ヘッド30が規制位置P1に位置しているときに第2突起部34が配置される第2周溝(本発明に係る周溝)57と、を備えている。
【0054】
これら第1縦溝51、第1周溝52、第2縦溝56及び第2周溝57について詳細に説明する。
図1及び
図2に示すように、案内筒24の内周面には、上方に向けて開口した第1縦溝51及び第2縦溝56が周方向に間隔をあけて形成されている。第1縦溝51及び第2縦溝56は、容器軸Oを挟んで径方向に向かい合うように形成されていると共に、容器軸O方向から見た平面視で左右方向L2に並ぶように形成されている。さらに、第1縦溝51及び第2縦溝56は、案内筒24の全長に亘って形成されている。
【0055】
図2に示すように、第1縦溝51は、容器軸O方向から見た平面視で、第1突起部33の外形に対応した形状で形成されていると共に、第1突起部33の周幅よりも僅かに大きい周幅となるように形成されている。さらに第1縦溝51の深さ(径方向の凹み量)は、第1突起部33の径方向の突出量よりも大きい。
第2縦溝56は、第1縦溝51と同様に形成されている。つまり、第2縦溝56は、容器軸O方向から見た平面視で、第2突起部34の外形に対応した形状で形成されていると共に、第2突起部34の周幅よりも僅かに大きい周幅となるように形成されている。さらに第2縦溝56の深さ(径方向の凹み量)は、第2突起部34の径方向の突出量よりも大きい。
【0056】
従って、押下ヘッド30が許容位置P2に位置した場合には、規制突起38がスライド溝26の開口の上方に配置されることに加え、第1突起部33が第1縦溝51内に位置し、且つ第2突起部34が第2縦溝56内に位置する。これによって、押下ヘッド30を押下げ操作することが可能とされている。
【0057】
図1及び
図2に示すように、第1周溝52は、案内筒24の上端部における内周面に形成されている。第1周溝52は、第1縦溝51内に連通すると共に、第1縦溝51から第1方向M1に向かって周方向に延びるように形成されている。さらに第1周溝52は、上方に向けて開口している。
【0058】
第1周溝52を画成する壁面のうち上方を向いた底壁面は、押下ヘッド30が規制位置P1に位置しているときに、第1突起部33に対して下方から接触することで第1突起部33の下方への移動を規制する規制壁58として機能する。
従って、第1突起部33が第1周溝52内に位置している場合には、第1突起部33が規制壁58上に乗り上がっていることで、第1突起部33の下方への移動を規制することができる。そのため、押下ヘッド30の押下げ操作を規制することが可能とされている。
【0059】
第1周溝52を画成する周端壁は、第2方向M2を向いており、第1突起部33が第1方向M1に移動したときに、第1突起部33が接触する位置決め面53とされている。これにより、第1方向M1に向けた押下ヘッド30の回転を規制することができ、押下ヘッド30を規制位置P1に適切に位置決めすることが可能とされている。
【0060】
さらに
図2に示すように、第1縦溝51を画成する壁面のうち第1方向M1を向いた壁面は、第1突起部33が第2方向M2に移動したときに、第1突起部33が接触する位置決め面54とされている。これにより、第2方向M2に向けた押下ヘッド30の回転を規制することができ、押下ヘッド30を許容位置P2に適切に位置決めすることが可能とされている。
【0061】
上述のように構成された第1周溝52のうち、第1縦溝51及び位置決め面53が形成された部分(規制位置P1において第1突起部33が位置する部分)を除いた領域は、第1縦溝51及び位置決め面53が形成された部分よりも、深さ(径方向の凹み量)が小さく形成されている。
これにより、押下ヘッド30が規制位置P1及び許容位置P2に位置したときに、第1突起部33が周方向に移動することを抑制することができる。そのため、押下ヘッド30が規制位置P1及び許容位置P2から、意図せずに回転してしまうことを抑制することができる。
さらに、押下ヘッド30を規制位置P1と許容位置P2との間で切り換える場合には、例えば第1突起部33の外周面に対して第1周溝52が適度な摩擦抵抗で押し当たることで、第1突起部33に抵抗力を付与することが可能とされている。そのため、操作感を感じながら押下ヘッド30の切換え操作を行うことが可能とされている。
【0062】
第2案内溝55は、上述した第1案内溝50と同様の構成とされている。そのため、第2案内溝55については、詳細な説明を省略すると共に、第1案内溝50に対応する構成要素については、同一の符号を付している。
【0063】
(吐出器の作用)
次に、上述のように構成された吐出器1を利用して、内容物を吐出する場合について説明する。
【0064】
はじめに、
図2に示すように、押下ヘッド30が規制位置P1に位置している場合には、規制突起38が規制筒23における規制面27の上方に配置されており、規制面27に対して上下方向に対向している。これにより、例えば落下衝撃等の不意な外力が押下ヘッド30に作用したとしても、規制突起38が規制面27に対して接触するので、押下ヘッド30に作用した外力を規制筒23によって受け止めることができる。従って、従来のように不意な外力によって押下ヘッド30が下方に向けて押し込まれることを防止することができる。
【0065】
特に、押下ヘッド30が規制位置P1に位置している場合には、
図3に示すように、押下ヘッド30に形成された第1突起部33及び第2突起部34が、第1周溝52及び第2周溝57における規制壁58上に乗り上がっている状態である。このような状況においても、規制突起38及び規制面27によって押下ヘッド30が下方に向けて押し込まれることを防止することができるので、例えば第1突起部33及び第2突起部34が第1周溝52及び第2周溝57における規制壁58に対して強く押し当たることを防止することができる。従って、第1突起部33及び第2突起部34が変形する等の不都合が生じることを防止することができる。これにより、押下ヘッド30が噛み込んでしまう等の不都合が生じ難い。
【0066】
次いで、内容物の吐出を行う場合について説明する。
この場合には、容器軸Oを中心として押下ヘッド30を第2方向M2に回転させ、押下ヘッド30を
図3に示す規制位置P1から、
図1、
図2及び
図4に示す許容位置P2に移行させる。この際、押下ヘッド30は、案内機構40によって周方向への移動が案内されるので、がたつき少なくスムーズに許容位置P2に移動する。さらに押下ヘッド30は、許容位置P2に達することで下方への移動が許容される。
【0067】
具体的には、押下ヘッド30を第2方向M2に回転させることで、
図4に示すように、第1突起部33を第1周溝52内から第1縦溝51内に移動させることができると共に、第2突起部34を第2周溝57内から第2縦溝56内に移動させることができる。これにより、第1縦溝51及び第2縦溝56を利用して第1突起部33及び第2突起部34の下方移動を許容することができる。
さらに、押下ヘッド30を許容位置P2に位置させることで、
図1及び
図2に示すように、規制突起38を規制面27の上方からスライド溝26の開口の上方に位置するように移動させることができる。これにより、スライド溝26を利用して規制突起38の下方移動を許容することができる。
【0068】
これらのことにより、押下ヘッド30の下方移動の規制を解除することができ、押下ヘッド30の下方移動を許容することができる。
なお、第1縦溝51の位置決め面54に対して第1突起部33を接触させ、第2縦溝56の位置決め面54に対して第2突起部34を接触させることができるので、押下ヘッド30を許容位置P2に適切に位置決めすることができる。さらに、押下ヘッド30が許容位置P2に位置することで、ノズル筒部36が前方を向いた姿勢に切り換わる。
【0069】
なお、
図5に示すように、案内筒24の外周面のうち前方を向いた部分には、縦長の第1位置合わせ溝60が形成されている。さらに押下ヘッド30におけるヘッド周壁32の外周面のうち、ノズル筒部36の下方に位置する部分には、縦長の第2位置合わせ溝61が形成されている。
これにより、押下ヘッド30を許容位置P2に位置させたときに、第1位置合わせ溝60及び第2位置合わせ溝61を上下方向に直線状に並んだ状態にすることができる。従って、第1位置合わせ溝60及び第2位置合わせ溝61の位置関係を、視覚を通じて認識することで、押下ヘッド30が許容位置P2に適切に位置させて、ノズル筒部36を適切に前方に向けることができる。
【0070】
次いで、押下ヘッド30を許容位置P2に切換えた後、
図6に示すように、ステム11の上方付勢に抗して押下ヘッド30を押下げ操作することができる。これにより、スライド溝26内で規制突起38を下方移動させ、且つ第1縦溝51内及び第2縦溝56内で第1突起部33及び第2突起部34を下方移動させながら、ステム11を押下げることができる。その結果、ポンプ部10を利用して、ノズル孔37を通じて内容物の吐出を行うことができる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態の吐出器1によれば、規制位置P1から許容位置P2への押下ヘッド30の切換え操作を行わない限り、押下ヘッド30を押下げ操作することができないので、例えば商品流通時や保管時等、落下衝撃等の不意の外力によって内容物の意図しない吐出を防止することができる。
特に、押下ヘッド30を規制位置P1に位置させたときに、装着キャップ20に組み合わされた規制筒23を利用して、押下ヘッド30に作用した外力を適切に受け止めることができるので、押下ヘッド30が下方に向けて押し込まれることを効果的に防止することができる。従って、先に述べたように、第1突起部33及び第2突起部34が変形する等の不都合が生じることを抑制することができ、押下ヘッド30が噛み込んでしまう等の不都合が生じ難い。そのため、従来のように押下ヘッド30が元の位置に復帰し難くなることを防止することができる。従って、押下ヘッド30を安定且つ適切に作動させることができ、作動の信頼性が向上した吐出器1とすることができる。
【0072】
さらに、ヘッド周壁32には、径方向の外側に向けて第1突起部33及び第2突起部34が形成され、且つ径方向の内側に向けて規制突起38が形成されている。従って、ヘッド周壁32は、外周面及び内周面の両面に、外力を受け止める部分が形成されているので、落下衝撃等の強い外力が押下ヘッド30に作用したとしても、ヘッド周壁32が変形する等の不都合を効果的に防止できる。この点においても、押下ヘッド30が下方に向けて押し込まれることを防止することができる。
【0073】
さらに本実施形態の吐出器1では、
図2に示すように、規制突起38及びスライド溝26が周方向に延びる平面視円弧状に形成されているので、例えば押下ヘッド30が規制位置P1に位置しているときに、押下ヘッド30に対して落下衝撃等の不意な外力が加わったとしても、規制突起38と規制面27との接触面積を大きく確保することができる。
従って、押下ヘッド30に作用した外力を規制筒23によって広範囲に亘って受け止めることができ、押下ヘッド30が下方に向けて押し込まれることをさらに効果的に防止することができる。さらに、規制突起38と規制面27との接触面積を大きく確保することができるので、押下ヘッド30が傾く等の不都合が生じ難い。
【0074】
さらに、許容位置P2で押下ヘッド30を押下げ操作した場合には、スライド溝26内で周幅が大きい規制突起38を下方移動させることができるので、がたつき少なく押下ヘッド30を安定して押下げ操作することができる。従って、操作性の向上化を図ることができる。
【0075】
さらに規制突起38は、縦リブ状に形成されていると共に、許容位置P2での押下ヘッド30の押下げ操作に伴って周方向に移動不能にスライド溝26内に収容される。従って、内容物の吐出操作時に押下ヘッド30の容器軸O回りのがたつきを抑制することができ、下方に向けてスムーズに押下ヘッド30を押下げることができる。従って、操作性のさらなる向上化を図ることができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0077】
例えば上記実施形態では、規制突起38及びスライド溝26をそれぞれ2つ具備する構成としたが、この場合に限定されるものではなく、例えば1つでも構わないし、3つ以上形成しても構わない。
同様に、上記実施形態では、第1突起部33及び第2突起部34を具備する構成としたが、突起部の数は2つに限定されるものではなく、例えば1つでも構わないし、3つ以上形成しても構わない。
【符号の説明】
【0078】
P1…規制位置
P2…許容位置
1…吐出器
2…容器体
3…容器体の口部
11…ステム
10…ポンプ部
20…装着キャップ
23…規制筒
24…案内筒
26…スライド溝
27…規制面
30…押下ヘッド
32…ヘッド周壁
33…第1突起部(ストッパ突起)
34…第2突起部(ストッパ突起)
37…ノズル孔
38…規制突起
50…第1案内溝(案内溝)
51…第1縦溝(縦溝)
52…第1周溝(周溝)
55…第2案内溝(案内溝)
56…第2縦溝(縦溝)
57…第2周溝(周溝)
58…規制壁