(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163735
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】物体検知装置及び物体検知方法
(51)【国際特許分類】
G01S 15/931 20200101AFI20231102BHJP
【FI】
G01S15/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074833
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 武志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正郎
(72)【発明者】
【氏名】朝岡 則明
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA02
5J083AB13
5J083AC17
5J083AD04
5J083AE08
5J083AE10
5J083AF06
5J083AF11
5J083AG20
5J083BE58
5J083CA01
(57)【要約】
【課題】決定した物体の位置情報の信頼度を決定し、物体の検知精度を向上する物体検知装置を提供すること。
【解決手段】物体検知装置は、車両に搭載された超音波センサから送波される超音波及び前記超音波の反射波に基づいて、物体の位置情報を決定する位置情報決定回路と、車両の走行路上における走行位置に基づいて、位置情報の信頼度を決定する信頼度決定回路と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された超音波センサから送波される超音波及び前記超音波の反射波に基づいて、物体の位置情報を決定する位置情報決定回路と、
前記車両の走行路上における走行位置に基づいて、前記位置情報の信頼度を決定する信頼度決定回路と、
を有する物体検知装置。
【請求項2】
前記信頼度決定回路は、前記車両が前記走行路の中央から所定範囲外を走行する場合、第1の信頼度を決定し、前記車両が前記走行路の中央から所定範囲内を走行する場合、前記第1の信頼度より低い第2の信頼度を決定する、
請求項1に記載の物体検知装置。
【請求項3】
前記信頼度決定回路は、前記走行路の一方の端から前記車両までの第1の距離と、前記走行路の他方の端から前記車両までの第2の距離とに基づいて、前記走行位置を決定する、
請求項1に記載の物体検知装置。
【請求項4】
前記信頼度決定回路は、前記第1の距離と、前記第2の距離との差分値に基づいて、前記信頼度を決定する、
請求項3に記載の物体検知装置。
【請求項5】
前記信頼度決定回路は、前記差分値が閾値以上の場合、第1の信頼度を決定し、前記差分値が前記閾値より小さい場合、前記第1の信頼度より低い第2の信頼度を決定する、
請求項4に記載の物体検知装置。
【請求項6】
車両に搭載された超音波センサから送波される超音波及び前記超音波の反射波に基づいて、物体の位置情報を決定し、
前記車両の走行路上における走行位置に基づいて、前記位置情報の信頼度を決定する、
物体検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物体検知装置及び物体検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車といった車両において、衝突防止といった安全確保を実現するセンサとして、超音波センサが用いられている。超音波センサは、例えば、検知する物体の色に影響されず、また、電気的なノイズに対する耐性が高い。
【0003】
超音波センサを用いた物体検知装置では、車両が走行する周囲の環境又は状況によって、実在しない物体(以下、ゴースト物体と称することがある)に対し、座標といった位置情報を誤って決定(出力)する場合がある。
【0004】
なお、特許文献1には、決定した位置情報において、物体が実在するか否かを判定する物体検知装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した通り、超音波センサを用いた物体検知装置では、ゴースト物体に対し、位置情報を誤って決定する場合がある。
【0007】
本開示の非限定的な実施例は、決定した物体の位置情報の信頼度を決定し、物体の検知精度を向上する物体検知装置及び物体検知方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施例に係る物体検知装置は、車両に搭載された超音波センサから送波される超音波及び前記超音波の反射波に基づいて、物体の位置情報を決定する位置情報決定回路と、前記車両の走行路上における走行位置に基づいて、前記位置情報の信頼度を決定する信頼度決定回路と、を有する。
【0009】
本開示の一実施例に係る物体検知方法は、車両に搭載された超音波センサから送波される超音波及び前記超音波の反射波に基づいて、物体の位置情報を決定し、前記車両の走行路上における走行位置に基づいて、前記位置情報の信頼度を決定する。
【0010】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータープログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータープログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一実施例によれば、物体検知装置は、決定した物体の位置情報の信頼度を決定し、物体の検知精度を向上できる。
【0012】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】超音波による位置情報の決定原理を説明する図
【
図2】ゴースト物体の位置情報の決定例を説明する図
【
図3】実在する物体の位置情報の決定例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0015】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0016】
以下では、本開示に係る物体検知装置を、Electronic Control Unit(ECU)に適用した場合について説明する。
【0017】
<超音波による位置情報の決定原理>
【0018】
図1に示すように、車両1は、超音波センサ2a,2bと、ECU(図示せず)と、を有する。超音波センサ2aは、超音波を送波する送波部(図示せず)と、送波した超音波の反射波を受波する受波部(図示せず)と、を有する。超音波センサ2bも超音波センサ2aと同様に、送波部及び受波部を有する。
図1において、車両1の前方には、例えば、ポールといった物体が存在しているとする。
【0019】
超音波センサ2aの送波部は、超音波を送波する。超音波センサ2aから送波された超音波は、
図1の矢印A1aに示すように、物体3に到達する。物体3に到達した超音波は、物体3によって反射し、その反射波は、
図1の実線の矢印A1bに示すように、超音波センサ2aの受波部によって受波される。ECUは、超音波センサ2aから超音波を送波してから、超音波センサ2aにて反射波が受波されるまでの時間と、音速とに基づいて、
図1に示す実線の円C1の円周上に、物体3が存在すると決定する。
【0020】
また、超音波センサ2aから送波された超音波は、物体3によって反射し、その反射波は、
図1の点線の矢印A1cに示すように、超音波センサ2bの受波部によって受波される。ECUは、超音波センサ2aから超音波を送波してから、超音波センサ2bにて反射波が受波されるまでの時間と、音速とに基づいて、
図1に示す点線の楕円E1の楕円周上に、物体3が存在すると決定する。
【0021】
そして、ECUは、
図1の実線で示す円C1と、
図1の点線で示す楕円E1との交点座標を算出し、算出した座標上に物体3が存在すると決定する。
【0022】
このように、超音波センサ2aは、超音波を送波し、超音波センサ2a,2bは、反射波を受波する。ECUは、超音波センサ2aから超音波を送波してから、超音波センサ2a,2bにて反射波が受波されるまでの時間と、音速とから、物体3の位置情報を決定(算出)する。
【0023】
<ゴースト物体の位置情報の決定>
ECUは、車両が走行する周囲の環境又は状況によっては、ゴースト物体の位置情報を、誤って決定(出力)する場合がある。例えば、車両が、車両の左右両側において、車両(超音波センサ2a,2b)から略同じ距離に超音波の反射物(反射点)が存在する場所を走行する場合、ゴースト物体の位置情報を誤って決定する場合がある。
【0024】
例えば、車両は、屋内の駐車場といった場所を走行する。屋内の駐車場では、例えば、
図2に示すように、壁W1と、柱P1との連結部分、及び、壁W2と、柱P2との連結部分が、超音波の強い反射点となる。また、
図2では、図示しないが、壁W1,W2が凹んだ部分も超音波の強い反射点となる。
【0025】
なお、
図2において、
図1と同じ構成要素には、同じ符号が付してある。
図2では、車両1の前方には、物体は存在しないとする。
図2には、ゴースト物体3aが示してある。
【0026】
図2に示すように、車両1が、車両1の左右両側において壁W1,W2が存在し、車両1(超音波センサ2a,2b)から略同じ距離に、柱P1,P2が存在する場所を走行する。例えば、車両1は、
図2の一点鎖線D2に示す走行路の中央よりもわずかに左にずれた位置を走行する。例えば、車両1は、超音波センサ2aが、走行路の中央よりも右側に位置し、超音波センサ2bが、走行路の中央よりも左側に位置するように走行する。
【0027】
この場合、超音波センサ2aから、壁W1と柱P1との連結部分までの距離(強反射点までの距離)は、超音波センサ2bから、壁W2と柱P2との連結部分までの距離(強反射点までの距離)より短くなる。
【0028】
そのため、超音波センサ2aは、超音波センサ2aから送波され、壁W1と柱P1との連結部分にて反射した反射波を受波する。例えば、
図2の実線の矢印A2a,A2bに示すように、超音波センサ2aは、壁W1と柱P1との連結部分にて反射した反射波を最初に受波する。ECUは、超音波センサ2aから超音波を送波してから、超音波センサ2aにて反射波が受波されるまでの時間と、音速とに基づいて、
図2に示す実線の円C2の円周上に、物体が存在すると決定する。
【0029】
また、車両1が走行路の中央よりも所定の範囲で左に位置する場合、超音波センサ2aから壁W2と柱P2との連結部分までの距離(強反射点までの距離)A2cと、超音波センサ2bから壁W2と柱P2との連結部分までの距離(強反射点までの距離)A2dとの和(A2c+A2d)は、超音波センサ2aから壁W1と柱P1との連結部分までの距離A2aと超音波センサ2bから壁W1と柱P1との連結部分までの距離A2eとの和(A2a+A2e)より短くなる。
【0030】
そのため、超音波センサ2bは、超音波センサ2aから送波され、壁W2と柱P2との連結部分にて反射した反射波を受波する。例えば、
図2の実線の矢印A2c及び点線の矢印A2dに示すように、超音波センサ2bは、壁W2と柱P2との連結部分にて反射した反射波を最初に受波する。ECUは、超音波センサ2aから超音波を送波してから、超音波センサ2bにて反射波が受波されるまでの時間と、音速とに基づいて、
図2に示す点線の楕円E2の楕円周上に、物体が存在すると決定する。
【0031】
そして、ECUは、
図2の実線で示す円C2と、
図2の点線で示す楕円E2との交点座標を算出し、算出した座標上に物体が存在すると決定する。例えば、ECUは、算出した座標上に、物体が実在しないにも関わらず、誤って物体が存在すると決定する(
図2のゴースト物体3aを参照)。
【0032】
このように、車両1の左右両側に、超音波の反射点が存在し、超音波センサ2aから近い反射点と、超音波センサ2bから近い反射点とが異なる場合、ECUは、ゴースト物体3aを誤って決定する。
【0033】
なお、車両1の左右両側に、超音波の反射点が存在し、超音波センサ2aから近い反射点と、超音波センサ2bから近い反射点とが同じ場合、ECUは、物体を適切に決定する。
【0034】
例えば、
図3に示すように、車両1は、
図3の一点鎖線D2に示す走行路の中央よりも大きく左にずれた位置を走行する。例えば、車両1は、超音波センサ2a及び超音波センサ2bが、走行路の中央よりも左側に位置するように走行する。なお、
図3において、
図2と同じ構成要素には、同じ符号が付してある。
【0035】
図3に示すように、超音波の強い反射点は、車両1の右側の壁W1と柱P1との連結部分と、車両1の左側の壁W2と柱P2との連結部分とになる。上記したように、車両1が、
図3の一点鎖線D2に示す走行路の中央よりも大きく左にずれた位置を走行した場合(
図2よりも車両1が左に位置する)、超音波センサ2aから近い反射点と、超音波センサ2bから近い反射点とが同じになる。例えば、車両1の左側の壁W2と柱P2との連結部分が、超音波センサ2a及び超音波センサ2bの両方において、近い反射点となる。
【0036】
そのため、超音波センサ2aは、超音波センサ2aから送波され、壁W2と柱P2との連結部分にて反射した反射波を受波する。例えば、
図3の実線の矢印A3a,A3bに示すように、超音波センサ2aは、壁W2と柱P2との連結部分にて反射した反射波を最初に受波する。ECUは、超音波センサ2aから超音波を送波してから、超音波センサ2aにて反射波が受波されるまでの時間と、音速とに基づいて、
図3に示す実線の円C3の円周上に、物体が存在すると決定する。
【0037】
また、超音波センサ2bは、超音波センサ2aから送波され、壁W2と柱P2との連結部分にて反射した反射波を受波する。例えば、
図3の実線の矢印A3a及び点線の矢印A3cに示すように、超音波センサ2bは、壁W2と柱P2との連結部分にて反射した反射波を最初に受波する。ECUは、超音波センサ2aから超音波を送波してから、超音波センサ2bにて反射波が受波されるまでの時間と、音速とに基づいて、
図3に示す点線の楕円E3の楕円周上に、物体が存在すると決定する。
【0038】
そして、ECUは、
図3の実線で示す円C3と、
図3の点線で示す楕円E3との交点座標を算出し、算出した座標上に物体が存在すると決定する。例えば、ECUは、算出した座標上に、柱P2が存在すると決定する。
【0039】
<位置情報の信頼度>
上記したように、ECUは、車両が走行する周囲の環境又は状況によっては、ゴースト物体の位置情報を、誤って決定する場合がある。例えば、
図2で説明したように、車両1が、走行路の中央付近を走行する場合、ECUは、ゴースト物体の位置情報を、誤って決定する場合がある。そこで、ECUは、決定した位置情報の信頼度を決定(出力)する。
【0040】
以下では、位置情報の信頼度に関し、<超音波センサの配置>、<ECUの機能ブロック>、及び<ECUの動作例>について説明する。
【0041】
<超音波センサの配置>
図4において、
図2と同じ構成要素には、同じ符号が付してある。
図4に示すように、車両1は、超音波センサ2a,2bと、超音波センサ11a,11bと、を有する。
【0042】
超音波センサ2a,2bは、車両1の前方に配置される。例えば、超音波センサ2a,2bは、車両1の前バンパーに組み込まれる。超音波センサ2a,2bは、例えば、車両1の左右方向における中心を境に、対称となるよう配置される。超音波センサ2a,2bは、例えば、人やポールといった障害物の検知に用いられる。
【0043】
超音波センサ11a,11bは、車両1の側方に配置される。例えば、超音波センサ11a,11bは、車両1のサイドマーカの周辺に配置される。超音波センサ2a,2bは、例えば、車両1の左右方向における中心を境に、対称となるよう配置される。超音波センサ11a,11bは、超音波センサ2a,2bと同様に、送波部及び受波部とを有する。
【0044】
超音波センサ11a,11bは、例えば、屋内の走行路を走行する車両1の走行位置を決定するために用いられる。例えば、超音波センサ11a,11bは、車両1が、
図4の一点鎖線D2に示す走行路の中央から、どのくらいずれているかを決定するために用いられる。
【0045】
例えば、車両1の右側に配置された超音波センサ11aは、
図4の両矢印A4aに示すように、車両1(超音波センサ11a)と、壁W1との間の距離を決定(算出)するために用いられる。車両1の左側に配置された超音波センサ11bは、
図4の両矢印A4bに示すように、車両1(超音波センサ11b)と、壁W2との間の距離を決定するために用いられる。
【0046】
なお、以下で説明するが、ECUは、超音波センサ11aと壁W1との間の距離と、超音波センサ11aと壁W1との間の距離とに基づいて、車両1が、
図4の一点鎖線D2に示す走行路の中央から、どのくらいずれているかを決定する。例えば、ECUは、超音波センサ11aと壁W1との間の距離と、超音波センサ11aと壁W1との間の距離との差分の絶対値を算出し、車両1が、
図4の一点鎖線D2に示す走行路の中央から、どのくらいずれているかを決定する。そして、ECUは、走行路上を走行する車両1の中央からのずれに基づいて、物体の位置情報の信頼度を決定する。
【0047】
<ECUの機能ブロック>
図5に示すように、車両1に搭載されるECU20は、制御部21と、通信部22と、記憶部23と、を有する。
図5には、ECU20の機能ブロックの他に、
図4に示した超音波センサ2a,2b,11a,11bが示してある。また、
図5には、ECU20の機能ブロックの他に、車両情報取得装置31と、加速制御装置32と、制動制御装置33とが示してある。
【0048】
なお、車両情報取得装置31、加速制御装置32、及び制動制御装置33の各々は、例えば、ECUによって構成されてもよい。超音波センサ2a,2b,11a,11b、ECU20、車両情報取得装置31、加速制御装置32、及び制動制御装置33は、例えば、Controller Area Network(CAN)又はLIN(Local Interconnect Network)といったネットワークに接続されてもよい。
【0049】
制御部21は、例えば、Central Processing Unit(CPU)といったプロセッサによって構成される。制御部21は、例えば、記憶部23に記憶されるプログラムを実行して、位置情報決定部21a、信頼度決定部21b、衝突予測部21c、及び走行制御部21dの機能を実現する。
【0050】
位置情報決定部21aは、超音波センサ2aから送波され、超音波センサ2aにて受波された反射波と、超音波センサ2aから送波され、超音波センサ2bにて受波された反射波とに基づいて、物体の位置情報を決定する。また、位置情報決定部21aは、超音波センサ11bから送波され、超音波センサ11bにて受波された反射波と、超音波センサ11bから送波され、超音波センサ11aにて受波された反射波とに基づいて、物体の位置情報を決定する。
【0051】
信頼度決定部21bは、超音波センサ11aから送波され、超音波センサ11aにて受波された反射波と、超音波センサ11aから送波され、超音波センサ11bにて受波された反射波とに基づいて、例えば、屋内の走行路を走行する車両1の走行位置を決定する。例えば、信頼度決定部21bは、車両1が、走行路の中央(例えば、
図4の一点鎖線D2を参照)から、どのくらいずれているかを決定する。
【0052】
例えば、信頼度決定部21bは、超音波センサ11aから超音波を送波してから、超音波センサ11aにて反射波が受波されるまでの時間と、音速とに基づいて、超音波センサ11a(車両1)と、走行路の右端(車両1の前方向を基準として右側の端)との間の距離を決定する。例えば、信頼度決定部21bは、
図4の両矢印A4aに示すように、超音波センサ11a(車両1)と、走行路の右端である壁W1との間の距離を決定する。
【0053】
また、信頼度決定部21bは、超音波センサ11bから超音波を送波してから、超音波センサ11bにて反射波が受波されるまでの時間と、音速とに基づいて、超音波センサ11b(車両1)と、走行路の左端(車両1の前方向を基準として左側の端)との間の距離を決定する。例えば、信頼度決定部21bは、
図4の両矢印A4b示すように、超音波センサ11b(車両1)と、走行路の左端である壁W2との間の距離を決定する。
【0054】
信頼度決定部21bは、下記の式(1)に基づいて、車両1が、走行路の中央(例えば、
図4の一点鎖線D2を参照)から、どのくらいずれているかを決定する。
【0055】
|dr-dl| …(1)
【0056】
式(1)のdrは、超音波センサ11aと、走行路の右端との間の距離(例えば、
図4の両矢印A4aを参照)を示す。距離x2は、超音波センサ11bと、走行路の左端との間の距離(例えば、
図4の両矢印A4bを参照)を示す。
【0057】
信頼度決定部21bは、式(1)に示すずれが閾値T(所定の範囲)より小さい場合、車両1は、ゴースト物体の位置情報が決定され得る環境を走行していると決定する。例えば、信頼度決定部21bは、下記の式(2)を満たす場合、車両1は、ゴースト物体の位置情報が決定され得る環境を走行していると決定する。
【0058】
|dr-dl|<x …(2)
【0059】
式(2)の閾値Tは、例えば、超音波センサ2aと超音波センサ2bとの間の距離の半分である。例えば、信頼度決定部21bは、車両1が、走行路の中央からずれて走行し、かつ、走行路の中央が、超音波センサ2a,2bとの間に位置するように走行する場合、ゴースト物体の位置情報が決定され得る環境を走行していると決定する。
【0060】
より具体的には、
図4に示すように、車両1が、走行路の中央からずれて走行し、かつ、走行路の中央を示す一点鎖線D2が、超音波センサ2a,2bとの間に位置するように走行する場合、ゴースト物体の位置情報が決定され得る環境を走行していると決定する。
【0061】
信頼度決定部21bは、超音波センサ2a,2bによって物体の位置情報を決定した場合に、式(2)を満たす場合、位置情報決定部21aにて決定された位置情報はゴースト物体の位置情報の可能性が高いと決定し、位置情報決定部21aにて決定された位置情報の信頼度を下げる。例えば、信頼度決定部21bは、式(2)を満たさない場合の位置情報の信頼度より下げる。より具体的には、信頼度決定部21bは、式(2)を満たさない場合の位置情報の信頼度をR1とした場合、式(2)を満たす場合の位置情報の信頼度をR2(R2<R1)とする。
【0062】
車両情報取得装置31は、車両1の車速、加速度、ブレーキ、及び舵角といった車両状態を示す車両状態情報を取得する。衝突予測部21cは、車両情報取得装置31から車両状態情報を受信し、受信した車両状態情報に基づいて、車両1の動きを分析する。衝突予測部21cは、分析した車両1の動きと、位置情報決定部21aから出力される物体の位置情報及び信頼度決定部21bから出力される信頼度と、に基づいて、車両1の物体に対する衝突の可能性を決定する。
【0063】
走行制御部21dは、衝突予測部21cの決定結果に基づいて、車両1の加速度制御情報を生成する。走行制御部21dは、生成した加速度制御情報を加速制御装置32に送信する。加速制御装置32は、走行制御部21dから送信された加速度制御情報に基づいて、車両1の加速度を制御する。
【0064】
また、走行制御部21dは、衝突予測部21cの決定結果に基づいて、車両1の制動制御情報を生成する。走行制御部21dは、生成した制動制御情報を制動制御装置33に送信する。制動制御装置33は、走行制御部21dから送信された制動制御情報に基づいて、車両1の制動を制御する。
【0065】
通信部22は、超音波センサ2a,2b,11a,11b、車両情報取得装置31、加速制御装置32、及び制動制御装置33の各々と通信する。
【0066】
記憶部23には、例えば、制御部21が実行するプログラム及び各種データが記憶される。
【0067】
<ECUの動作例>
ECU20は、例えば、数百msごとに
図6に示すフローチャートの処理を実行する。
【0068】
ECU20は、車両1の前方の超音波センサ2a,2bにより、物体の座標を決定する(S1)。
【0069】
ECU20は、車両1の側方の超音波センサ11a,11bにより超音波を送波する(S2)。
【0070】
ECU20は、S2にて送波した超音波の反射波を、超音波センサ11a,11bが受波したか否かを判定する(S3)。
【0071】
ECU20は、車両1の側方の超音波センサ11a,11bの少なくとも1つにおいて、反射波を受波しなかったと判定した場合(S3のNo)、S1にて算出した座標は実在する物体の座標と決定する(S4)。また、ECU20は、S1にて算出した座標の信頼度をR1とする。
【0072】
一方、ECU20は、車両1の側方の超音波センサ11a,11bにおいて、反射波を受波した判定した場合(S3のYes)、上記した式(2)を満たすか否かを判定する(S5)。例えば、ECU20は、車両1の走行方向に向かって、左側における走行路の端と、超音波センサ2aとの距離drと、車両1の走行方向に向かって、右側における走行路の端と、超音波センサ2bとの距離dlとの差が、閾値Tより小さいか否かを判定する。
【0073】
ECU20は、上記した式(2)を満たさないと判定した場合(S5のNo)、S1にて算出した座標は実在する物体の座標と決定する(S4)。例えば、ECU20は、車両1が、ゴースト物体が発生する環境の走行路を走行していないと決定し、S1にて算出した座標の信頼度をR1とする。
【0074】
一方、ECU20は、上記した式(2)を満たすと判定した場合(S5のYes)、S1にて算出した座標の信頼度を下げる(S6)。例えば、ECU20は、車両1が、ゴースト物体が発生する環境の走行路を走行していると決定し、S1にて算出した座標の信頼度をR1より小さいR2とする。
【0075】
なお、
図6に示すS1,S2の処理の順番は入れ替えられてもよい。例えば、ECUは、S2の処理を実行し、その次にS1の処理を実行してもよい。
【0076】
<まとめ>
以上説明したように、ECU20の位置情報決定部21aは、車両1に搭載された超音波センサ2a,2bから送波される超音波及び超音波の反射波に基づいて、物体の位置情報を決定する。信頼度決定部21bは、車両1の走行路上における走行位置に基づいて、位置情報決定部21aが決定した位置情報の信頼度を決定する。このように、ECU20は、決定した位置情報の信頼度を決定するので、物体の検知精度を向上できる。
【0077】
なお、信頼度決定部21bは、車両1が走行路の中央から所定範囲外を走行する場合、第1の信頼度(例えば、R1)を決定し、車両1が走行路の中央から所定範囲内を走行する場合、第1の信頼度より低い第2の信頼度(例えば、R2)を決定してもよい。
【0078】
また、信頼度決定部21bは、走行路の一方の端から車両1までの第1の距離(例えば、
図4の両矢印A4aを参照)と、走行路の他方の端から車両1までの第2の距離(例えば、
図4の両矢印A4bを参照)とに基づいて、車両1の走行位置を決定してもよい。
【0079】
また、信頼度決定部21bは、第1の距離と、第2の距離との差分値に基づいて、信頼度を決定してもよい。例えば、信頼度決定部21bは、式(2)に基づいて、信頼度を決定してもよい。
【0080】
また、信頼度決定部21bは、差分値が閾値T以上の場合、第1の信頼度を決定し、差分値が閾値Tより小さい場合、第1の信頼度より低い第2の信頼度を決定してもよい。
【0081】
<変形例>
超音波センサ2a,2bの数は、2つに限られない。車両1の前方に配置される超音波センサは、3以上であってもよい。
【0082】
超音波センサ11a,11bの数は、2つに限られない。車両1の側方に配置される超音波センサは、3以上であってもよい。
【0083】
超音波センサ11a,11bは、例えば、車両1に既に備えられている超音波センサを流用してもよい。例えば、車両1の側方の障害物検知に用いられている超音波センサを、屋内の走行路における車両1の走行位置を検知する超音波センサ11a,11bに流用してもよい。
【0084】
走行路の両端は、壁W1,W2に限られない。走行路の両端は、例えば、車両1の走行をガイドするフェンスといった、走行路の両端に設けられ、車両1の走行を規定する物であってもよい。
【0085】
ECU20は、車両1が、走行路の中央から、どのくらいずれているかの決定を、超音波センサの情報以外の情報を用いて、決定してもよい。例えば、ECU20は、カメラの画像から、車両1が、走行路の中央から、どのくらいずれているかの決定を行ってもよい。例えば、ECU20は、カメラの画像から、式(2)を満たすか否かを決定してもよい。
【0086】
また、ECU20は、地図情報と、Global Positioning System(GPS)といった車両1の現在位置情報とに基づいて、車両1が、走行路の中央から、どのくらいずれているかの決定を行ってもよい。例えば、ECU20は、地図情報と、現在位置情報とから、式(2)を満たすか否かを決定してもよい。
【0087】
また、信頼度決定部21bが、“車両1の走行路上における走行位置に基づいて、位置情報決定部21aが決定した位置情報の信頼度を決定する”には、信頼度決定部21bが、“車両1の走行路上における走行位置に基づいて、位置情報決定部21aが決定した位置情報がゴースト物体(又は実在する物体)の位置情報であるか否かを決定する”という意味が含まれてもよい。例えば、信頼度決定部21bは、信頼度0及び1によって、位置情報決定部21aが決定した位置情報が、ゴースト物体の位置情報であるか否かを決定してもよい。例えば、信頼度0の場合、位置情報決定部21aが決定した位置情報は、ゴースト物体の位置情報、信頼度1の場合、位置情報決定部21aが決定した位置情報は、実在する物体の位置情報としてもよい。
【0088】
以上、図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかである。そのような変更例または修正例についても、本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態における各構成要素は任意に組み合わされてよい。
【0089】
上述の実施の形態においては、各構成要素に用いる「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・アッセンブリ」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0090】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0091】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0092】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本開示は、車両に搭載され、障害物とった物体を検知する物体検知装置及び物体検知方法に有用である。
【符号の説明】
【0094】
1 車両
2a,2b,11a,11b 超音波センサ
20 ECU
21 制御部
21a 位置情報決定部
21b 信頼度決定部
21c 衝突予測部
21d 走行制御部
22 通信部
23 記憶部
W1,W2 壁
P1,P2 柱