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特開2023-163737干渉露光装置およびデバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163737
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】干渉露光装置およびデバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
G03F7/20 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074836
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】那脇 洋平
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA43
2H197BA07
2H197CD12
2H197DB08
2H197DC02
2H197DC13
2H197HA08
(57)【要約】
【課題】二光束干渉露光における干渉縞の状態をモニター可能な、もしくは干渉縞の状態を目標状態に調節可能な干渉露光装置を提供する。
【解決手段】干渉露光装置100Aは、ワークWを露光用干渉縞によってパターニングする。光学系120は、レーザ光源110から出射したコヒーレント光を、第1ビームと第2ビームに分岐する露光用分波素子122を含み、第1ビームおよび第2ビームを交差させて照射エリアに照射する。合波素子210は、校正プロセスにおいて、照射エリアに配置可能であり、左ビームBMと右ビームBMを合波する。イメージセンサ220は、校正プロセスにおいて、合波素子210によって合波された合波ビームBMl+rの強度分布を測定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを露光用干渉縞によってパターニングする干渉露光装置であって、
レーザ光源から出射したコヒーレント光を、第1ビームと第2ビームに分岐する分波素子を含み、前記第1ビームおよび前記第2ビームを交差させて照射エリアに照射する光学系と、
校正プロセスにおいて、前記照射エリアに配置可能であり、前記第1ビームと前記第2ビームを合波する合波素子と、
前記校正プロセスにおいて、前記合波素子によって合波された合波ビームの強度分布を測定するイメージセンサと、
を備えることを特徴とする干渉露光装置。
【請求項2】
露光プロセスにおいて、前記照射エリアを通過するように前記ワークを移動させることが可能なステージをさらに備え、
前記合波素子は、前記ステージ上の、前記ワークを載置する領域と隣接した位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の干渉露光装置。
【請求項3】
前記合波素子は、前記校正プロセスにおいて、前記照射エリアに、そのスプリット面が前記ワークの表面と垂直な状態で配置可能な計測用ビームスプリッタであることを特徴とする請求項1または2に記載の干渉露光装置。
【請求項4】
前記合波素子は、前記校正プロセスにおいて、前記照射エリアに、その回折面がワークの表面と平行な状態で配置可能な回折格子であることを特徴とする請求項1または2に記載の干渉露光装置。
【請求項5】
前記回折格子は、前記露光用干渉縞のピッチの2倍の周期を有することを特徴とする請求項4に記載の干渉露光装置。
【請求項6】
前記イメージセンサによって測定された強度分布にもとづいて、前記第1ビームの前記照射エリアへの入射角および前記第2ビームの前記照射エリアへの入射角を調節する演算処理装置をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の干渉露光装置。
【請求項7】
前記演算処理装置は、前記イメージセンサによって測定された強度分布が均一となるように、前記第1ビームの前記照射エリアへの入射角および前記第2ビームの前記照射エリアへの入射角を調節することを特徴とする請求項6に記載の干渉露光装置。
【請求項8】
前記イメージセンサによって測定された強度分布にもとづいて、前記第1ビームの前記照射エリアへの入射角および前記第2ビームの前記照射エリアへの入射角を調節する演算処理装置をさらに備え、
前記ワークの表面をxy平面、前記計測用ビームスプリッタの前記スプリット面をyz平面とする座標系をとったときに、前記演算処理装置は、前記イメージセンサによって測定されたモニター用干渉縞のy方向のピッチが大きくなるように、前記第1ビームのz軸周りのずれ角Δφおよび前記第2ビームのz軸周りのずれ角Δφを変化させることを特徴とする請求項3に記載の干渉露光装置。
【請求項9】
前記演算処理装置は、前記モニター用干渉縞のx方向のピッチが大きくなるように、前記第1ビームの入射角θおよび前記第2ビームの入射角θを変化させることを特徴とする請求項8に記載の干渉露光装置。
【請求項10】
前記演算処理装置は、前記計測用ビームスプリッタをx方向に移動させたときの、前記イメージセンサによって測定される前記合波ビームの強度の変化にもとづいて、前記露光用干渉縞のピッチを計算することを特徴とする請求項8に記載の干渉露光装置。
【請求項11】
前記イメージセンサによって測定された強度分布にもとづいて、前記第1ビームの入射角のずれおよび前記第2ビームの入射角のずれの少なくともひとつを計算する演算処理装置をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の干渉露光装置。
【請求項12】
前記光学系は、
前記第1ビームの照射方向を制御可能な第1ミラーと、
前記第2ビームの照射方向を制御可能な第2ミラーと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の干渉露光装置。
【請求項13】
デバイスの製造方法であって、
レーザから出射したコヒーレント光を、第1ビームと第2ビームに分岐し、前記第1ビームおよび前記第2ビームを交差させて照射エリアに照射するステップと、
校正プロセスにおいて、前記照射エリアに配置された合波素子によって、前記第1ビームと前記第2ビームを合波するステップと、
前記校正プロセスにおいて、前記合波素子によって合波された合波ビームの強度分布をイメージセンサによって測定するステップと、
前記校正プロセスにおいて、前記イメージセンサにより測定した前記強度分布にもとづいて、前記第1ビームと前記第2ビームの前記照射エリアに対する入射角を調節するステップと、
前記校正プロセスの完了後の露光プロセスにおいて、ワークを、前記照射エリアを通過するように所定方向に移動するステップと、
を備えることを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、干渉露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
AR(拡張現実)グラスやスマートウインドウといった光学デバイスの開発が行われている。これらの光学デバイスは、サブミクロン領域の周期パターニングを有する回折格子や偏光板等を備える。
【0003】
サブミクロン周期のパターニングを実現する手法として、二光束干渉露光(ホログラフィック露光)が知られている。二光束干渉露光(単に干渉露光ともいう)では、レーザ光が2光束(2ビーム)に分岐される。そして2つの光束を、露光に適したビーム径に調整してコリメートした後に、パターニングしたい対象物(ワーク)の表面で交差させる。2つの光波が交差する領域には、露光用の干渉縞が形成され、この干渉縞によって、表面に感光剤が塗布されたワークがパターニングされる。干渉縞のピッチpは、
p=λ/(2n・sinθ)
で表される。λは、レーザ光の波長であり、θは、2つの光束が交わる角度の1/2である。
【0004】
ワークに照射できるビーム径には限界がある。したがって、ワーク上にパターンを形成すべき加工領域のサイズがビーム径に比べて大きい場合、ワークとビームを相対的にスキャンし、露光する必要がある。これを重ね合わせスキャン方式という。
【0005】
加工領域のサイズが、干渉縞の縞の伸びる方向(縦方向)に大きい場合、縦方向に沿って、ワークをスキャンする必要がある。そのために、干渉縞が伸びる方向を正確に検出し、ワークを支持するステージの送り角度を、干渉縞の方向と完全に一致させる必要がある。この方向がずれていると、干渉縞のコントラストが低下し、フォトレジストへの転写ができなくなる。
【0006】
また、加工領域のサイズが、干渉縞の縞の伸びる縦方向と垂直な方向(横方向)に大きい場合、ワークを支持するステージを、横方向に移動させる必要がある(横送り)。具体的には、干渉縞の周期の整数倍とステージの横送り幅が一致している必要がある。
【0007】
特許文献1には、ワークの下に、ビームスプリッタと2個のフォトダイオードを配置し、干渉縞の位相を検出する構成が開示される。露光中において、2個のフォトダイオードによって干渉縞の位相のばらつきを計測し、位相に応じて片方の光波が伝搬するアーム上に設けられた位相シフタ(ポッケルスセル)を制御し、位相を安定化する。
【0008】
特許文献2の技術では、ワークの直下に設けられた干渉縞検出器が開示されている。干渉縞検出器は、干渉縞の位相、周期および強度を検出する。干渉縞検出器から出力された周期情報を用いて、アクチュエータで右側ビーム角度を制御して、干渉縞周期が制御される。特許文献2は、干渉縞検出器の具体的な構成を開示しないが、たとえば2次元のイメージセンサを用いるとすると、その場合の分解能は、イメージセンサのピクセルサイズで制限される。現在商業的に利用可能なCMOSセンサの画素ピッチは、最も小さいもので2.5μm程度であり、干渉縞の周期を、5μm±2.5μmの精度でしか測定できない。したがって、サブミクロンのパターニングに利用される微細な干渉縞の測定には利用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表平5-502109号公報
【特許文献2】特開2002-162750号公報
【特許文献3】特許第4065468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術では、干渉縞が伸びる方向、すなわち干渉縞の状態を正確に検出することができない。そのため、製品の露光に先だって、露光の校正プロセスを実施する必要があった。具体的には校正プロセスでは、干渉縞の周期および角度(もしくは横送り幅および送り方向)をトライアンドエラーで最適化する必要があり、長い時間を要するという問題があった。
【0011】
本開示は係る状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、二光束干渉露光における干渉縞の状態をモニター可能な、もしくは干渉縞の状態を目標状態に調節可能な干渉露光装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示のある態様は、ワークを露光用干渉縞によってパターニングする干渉露光装置に関する。干渉露光装置は、レーザ光源から出射したコヒーレント光を、第1ビームと第2ビームに分岐する露光用分波素子を含み、第1ビームおよび第2ビームを交差させて照射エリアに照射する光学系と、校正プロセスにおいて、照射エリアに配置可能であり、第1ビームと第2ビームを合波する合波素子と、校正プロセスにおいて、合波素子によって合波された合波ビームの強度分布を測定するイメージセンサと、を備える。
【0013】
本開示の別の態様は、デバイスの製造方法に関する。製造方法は、レーザから出射したコヒーレント光を、第1ビームと第2ビームに分岐し、第1ビームおよび第2ビームを交差させて照射エリアに照射するステップと、校正プロセスにおいて、照射エリアに配置された合波素子によって、第1ビームと第2ビームを合波するステップと、校正プロセスにおいて、合波素子によって合波された合波ビームの強度分布をイメージセンサによって測定するステップと、校正プロセスにおいて、イメージセンサにより測定した強度分布にもとづいて、第1ビームと第2ビームの照射エリアに対する入射角を調節するステップと、校正プロセスの完了後の露光プロセスにおいて、ワークを、照射エリアを横切るように所定方向に移動するステップと、を備える。
【0014】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明あるいは本開示の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0015】
本開示のある態様によれば、二光束干渉露光における露光用干渉縞の状態を正確にモニターできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1に係る干渉露光装置を示す図である。
図2】照射エリアに形成される露光用干渉縞を説明する図である。
図3】露光用干渉縞を示す図である。
図4】校正プロセスにおける干渉露光装置を示す図である。
図5】校正プロセスにおける計測用ビームスプリッタを示す図である。
図6】計測用ビームスプリッタによるビームの合波を説明する図である。
図7図7(a)~(d)は、モニター用干渉縞にもとづく光学系のアライメントを説明する図である。
図8】計測用ビームスプリッタのシフトによるピッチpの測定を説明する図である。
図9】実施形態2に係る干渉露光装置を示す図である。
図10】校正プロセスにおける回折格子を示す図である。
図11】回折格子によるビームの合波を説明する図である。
図12】変形例に係る干渉露光装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。またこの概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、実施形態の欠くべからざる構成要素を限定するものではない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0018】
一実施形態に係る干渉露光装置は、ワークを露光用干渉縞によってパターニングする。干渉露光装置は、レーザ光源から出射したコヒーレント光を、第1ビームと第2ビームに分岐する露光用分波素子を含み、第1ビームおよび第2ビームを交差させて照射エリアに照射する光学系と、校正プロセスにおいて、照射エリアに配置可能であり、第1ビームと第2ビームを合波する合波素子と、校正プロセスにおいて、合波素子によって合波された合波ビームの強度分布を測定するイメージセンサと、を備える。
【0019】
この構成では、露光用干渉縞を直接測定するのではなく、合波素子によって、第1ビームと第2ビームを同じ向きとなるように合波し、合波ビームが形成するモニター用干渉縞を測定する。モニター用干渉縞には、第1ビームと第2ビームの微小な変化が、増幅されて現れるため、露光用干渉縞の様子を間接的に、正確にモニターできる。
【0020】
一実施形態において、干渉露光装置は、露光プロセスにおいて、照射エリアを通過するようにワークを移動させることが可能なステージをさらに備えてもよい。合波素子は、ステージ上の、ワークを載置する領域と隣接した位置に設けられてもよい。モニター用干渉縞は、合波素子の向きを基準として形成される。そこで、合波素子を、ステージ上に固定しておくことにより、正確なモニターが可能となる。
【0021】
一実施形態において、合波素子は、校正プロセスにおいて、照射エリアに、そのスプリット面がワークの表面と垂直な状態で配置可能な計測用ビームスプリッタであってもよい。計測用ビームスプリッタ(ビームコンバイナ)を用いることで、モニター用干渉縞の1方向のピッチを大きく拡大することが可能となる。
【0022】
一実施形態において、合波素子は、校正プロセスにおいて、照射エリアに、その回折面がワークの表面と平行な状態で配置可能な回折格子であってもよい。
【0023】
一実施形態において、回折格子は、露光用干渉縞のピッチの2倍の周期を有してもよい。
【0024】
一実施形態において、イメージセンサによって測定された強度分布にもとづいて、第1ビームの照射エリアへの入射角および第2ビームの照射エリアへの入射角を調節する演算処理装置をさらに備えてもよい。
【0025】
一実施形態において、演算処理装置は、イメージセンサによって測定された強度分布が均一となるように、第1ビームの照射エリアへの入射角および第2ビームの照射エリアへの入射角を調節してもよい。
【0026】
一実施形態において、干渉露光装置は、イメージセンサによって測定された強度分布にもとづいて、第1ビームの照射エリアへの入射角および第2ビームの照射エリアへの入射角を調節する演算処理装置をさらに備えてもよい。ワークの表面をxy平面、計測用ビームスプリッタのスプリット面をyz平面とする座標系をとったときに、演算処理装置は、イメージセンサによって測定されたモニター用干渉縞のy方向のピッチが大きくなるように、第1ビームのz軸周りのずれ角Δφおよび第2ビームのz軸周りのずれ角Δφを変化させてもよい。
【0027】
一実施形態において、演算処理装置は、モニター用干渉縞のx方向のピッチが大きくなるように、第1ビームの入射角θおよび第2ビームの入射角θを変化させてもよい。
【0028】
一実施形態において、演算処理装置は、計測用ビームスプリッタをx方向に移動させたときの、イメージセンサによって測定される合波ビームの強度の変化にもとづいて、露光用干渉縞のピッチを計算してもよい。
【0029】
一実施形態において、光学系は、第1ビームの照射方向を制御可能な第1ミラーと、第2ビームの照射方向を制御可能な第2ミラーと、をさらに含んでもよい。
【0030】
一実施形態において、干渉露光装置は、イメージセンサによって測定された強度分布にもとづいて、第1ビームの入射角のずれおよび第2ビームの入射角のずれの少なくともひとつを計算する演算処理装置をさらに備えてもよい。
【0031】
(実施形態)
以下、本開示を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、開示を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示の本質的なものであるとは限らない。
【0032】
図面に記載される各部材の寸法(厚み、長さ、幅など)は、理解の容易化のために適宜、拡大縮小されている場合がある。さらには複数の部材の寸法は、必ずしもそれらの大小関係を表しているとは限らず、図面上で、ある部材Aが、別の部材Bよりも厚く描かれていても、部材Aが部材Bよりも薄いこともあり得る。
【0033】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る干渉露光装置100Aを示す図である。干渉露光装置100Aは、ワークWを、露光用干渉縞によってパターニングする。ワークWは、その表面に感光剤が塗布された基板である。ワークWの材料は特に限定されないが、ガラス基板、樹脂基板、半導体基板などが例示される。
【0034】
干渉露光装置100Aは、レーザ光源110、光学系120および干渉縞モニター装置200Aを備える。
【0035】
レーザ光源110は、波長λのコヒーレント光のビームBMを出射する。ビームは、光波あるいは光束と読み替えることができる。光学系120は、レーザ光源110から出射したビームBMを、第1ビームBMと第2ビームBMに分岐する露光用分波素子122を含む。露光用分波素子122としては、ビームスプリッタもしくは回折格子を用いることができるが、本実施形態では、ビームスプリッタBS1を用いることとする。後述する計測用ビームスプリッタと区別するため、露光用分波素子122のビームスプリッタBS1を露光用ビームスプリッタとも称する。光学系120は、分岐した第1ビームBMおよび第2ビームBMを交差させて、ステージ130上の照射エリア132に照射する。光学系120から照射エリア132に向かう第1ビームBMを左ビームBM、光学系120から照射エリア132に向かう第2ビームBMを右ビームBMと称する。
【0036】
たとえば光学系120は、露光用ビームスプリッタBS1に加えて、ミラーM1,M2,M3、拡大光学系124,126を含む。ミラーM3は、レーザ光源110からのビームBMを折り返し、適切な角度で露光用ビームスプリッタBS1に導く。ビームBMは、露光用ビームスプリッタBS1によって、2つのビームBM,BMに分割される。露光用ビームスプリッタBS1は、強度型ビームスプリッタでもよいし、偏光ビームスプリッタでもよい。
【0037】
第1ミラーM1は、第1ビームBMを折り返す。第2ミラーM2は、第2ビームBMを折り返す。第1ミラーM1および第2ミラーM2は、アクチュエータなどの制御手段によって、回動および並進可能となっている。
【0038】
拡大光学系124は、第1ミラーM1によって折り返されたビームBMを拡大する。拡大されたビームは、左ビームBMとして照射エリア132に導かれる。同様に拡大光学系126は、第2ミラーM2によって折り返されたビームBMを拡大する。拡大されたビームは、右ビームBMとして照射エリア132に導かれる。
【0039】
照射エリア132には、左ビームBMと右ビームBMによって露光用干渉縞が形成される。露光プロセス中において、ワークWは、ステージ130上に支持される。ステージ130は、ワークWを、照射エリア132内において露光用干渉縞の伸びる縦方向に移動させる(スキャン露光)。これにより長尺のパターンを形成することが可能となる。また、ステージ130は、スキャン露光とスキャン露光の間に、ワークWを、露光用干渉縞の横方向に、前のスキャン露光と次のスキャン露光において、縞同士が重なるように横送りする(重ね合わせ)。これにより、幅広のパターンを形成することが可能となる。縦方向のスキャン露光と横方向の重ね合わせの組み合わせを、重ね合わせスキャン露光と称する。
【0040】
理解の容易化のために、座標系を導入する。露光用干渉縞を形成すべきワークWの表面を基準面Sと称する。導入する座標系は、基準面Sと垂直な方向をz軸とする。つまり、基準面Sと平行な面がxy平面となる。また、理想状態において、左ビームBMと右ビームBMは、xz平面と平行に導波するものとする。つまり紙面、左右方向がx軸であり、紙面高さ方向がz軸であり、紙面奥行き方向がy軸である。この座標系の原点は、以下の説明では、適宜移動するものとする。
【0041】
図2は、照射エリア132に形成される露光用干渉縞を説明する図である。ここでは、露光用干渉縞が形成される基準面Sを、z=0のxy平面にとっている。
【0042】
、Dは、左ビームBMおよび右ビームBMそれぞれの理想的な導波方向を示す。DおよびDはxz平面内の直線であり、θは、左ビームBMおよび右ビームBMの理想入射角を表す。
【0043】
Δθは、左ビームBMの実際の入射角の理想入射角θからのずれを表す。Δθは、右ビームBMの実際の入射角の、理想入射角θからのずれを表す。つまり、左ビームBMの実際の入射角θは、θ+Δθであり、右ビームBMの実際の入射角θは、θ+Δθである。
【0044】
上述のように、左ビームBMおよび右ビームBMは、理想状態においてxz平面と平行に導波する。つまり理想的な入射方向D,Dはz成分を含まない。Δφは、左ビームBMのz軸周りのずれ角であり、Δφは、右ビームBMのz軸周りのずれ角である。理想状態において、Δφ=Δφ=0である。
【0045】
左ビームBMの光波の波数ベクトルk、右ビームBMの光波の波数ベクトルkは、式(1)、(2)で表される。
【数1】
ここでklzは、kのz成分を、krzは、kのz成分を表す。またΔφ≒0、Δφ≒0である。
【0046】
左右のビームBM、BMの座標rにおける電場E,Eはそれぞれ、式(3)、(4)で表される。
【数2】
【0047】
座標rにおける2つのビームBM,BMの強度は式(5)で表される。
【数3】
【0048】
露光用干渉縞が形成される基準面Sが、z=0のxy平面であるとする。このとき、基準面Sに形成される露光用干渉縞の強度分布IEXP(x,y)は、式(5)にz=0を代入して式(6)で表される。
【数4】
【0049】
図3は、露光用干渉縞を示す図である。露光用干渉縞のx方向のピッチは、式(7)で表される。また露光用干渉縞のy軸からの角度ずれαは、式(8)で表される。
【数5】
【0050】
重ね合わせスキャン露光を行うためには、p’およびα’を正確に検出する、もしくは、p’およびα’の組み合わせ、つまり露光用干渉縞の状態を、所定の目標状態となるように、光学系120をアライメントする必要がある。
【0051】
理想状態では、Δθ=Δθ=0、Δφ=Δφ=0である。このときの理想的な露光用干渉縞のピッチpと角度ずれαはそれぞれ、
=λ/(2sinθ)
α=0
である。
【0052】
露光プロセスに先立って、ピッチpおよび角度ずれαを正確に検出し、あるいは、それらを目標状態とする処理を、校正プロセスと称する。
【0053】
図1に戻る。校正プロセスにおいて、露光用干渉縞の状態を測定するために、干渉縞モニター装置200Aが設けられる。干渉縞モニター装置200Aは、露光用干渉縞の強度分布を直接測定するのではなく、露光用干渉縞とは異なる干渉縞(以下、モニター用干渉縞という)の強度分布を測定する。
【0054】
干渉縞モニター装置200Aは、合波素子210、イメージセンサ220、演算処理装置230を備える。
【0055】
合波素子210は、校正プロセスにおいて、照射エリア132に配置可能であり、左ビームBMと右ビームBMを同一方向に導波するように合波する。
【0056】
図4は、校正プロセスにおける干渉露光装置100Aを示す図である。本実施形態において、合波素子210は、計測用ビームスプリッタ(ビームコンバイナ)212である。計測用ビームスプリッタ212は、強度型ビームスプリッタでもよいし、偏光ビームスプリッタでもよい。計測用ビームスプリッタ212は、平面プレート型でもよいし、プリズム型でもよい。
【0057】
計測用ビームスプリッタ212は、ステージ130上の、ワークWを載置する領域に隣接した位置に設けられる。校正プロセスでは、ステージ130によって計測用ビームスプリッタ212が照射エリア132に位置決めされる。このとき、計測用ビームスプリッタ212のスプリット面214は、ワークWの表面に相当する基準面Sと垂直な向きに配置される。
【0058】
図5は、校正プロセスにおける計測用ビームスプリッタ212を示す図である。計測用ビームスプリッタ212のスプリット面214は、yz平面と平行となるように配置される。ここでは、スプリット面214が、x=0のyz平面と一致するように座標系を定める。
【0059】
左ビームBMは計測用ビームスプリッタ212を透過し、右ビームBMは計測用ビームスプリッタ212のスプリット面214において反射される。計測用ビームスプリッタ212によって合波されたビーム(合波ビーム)BMl+rはイメージセンサ220に導かれる。イメージセンサ220は、合波ビームBMl+rの強度分布を測定する。この強度分布が、モニター用干渉縞である。イメージセンサ220は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサやCCD(Charge Coupled Device)カメラを用いることができる。
【0060】
校正プロセスにおいて、イメージセンサ220によって観測される強度分布について説明する。
【0061】
図6は、計測用ビームスプリッタ212によるビームの合波を説明する図である。ここでも、スプリット面214が、x=0のyz平面と一致するように座標系を定める。
【0062】
''は、計測用ビームスプリッタ212を透過した左ビームBMの波数ベクトルを表し、k''は、計測用ビームスプリッタ212により反射された右ビームBMの波数ベクトルを表す。波数ベクトルk''、k''は、式(9),(10)で表される。
【数6】
【0063】
ビームスプリッタの後方に計測面をおくとき、測定される合波ビームBMl+rの強度分布I(x,y)は、式(11)で表される。
【数7】
【0064】
式(11)から分かるように、測定される強度分布I(x,y)は、ビームBM,BMの理想導波方向からのずれΔθ,Δθ,Δφ,Δφに応じて変化する。この強度分布I(x,y)は、空間的な規則性を有する干渉縞である。
【0065】
式(11)から、計測面におけるy方向の空間周波数νは、式(12)で表される。
【数8】
なお、空間周波数νとピッチpには、ν=2π/pの関係が成り立つ。
【0066】
また角度ずれα’は、y方向の空間周波数νを用いて、式(13)で表される。
【数9】
【0067】
また、計測面におけるx方向の空間周波数νおよびピッチpはそれぞれ、式(14),(15)で表される。
【数10】
【0068】
特筆すべきは、イメージセンサ220によって測定する合波ビームBMl+rが形成するモニター用干渉縞のピッチpは、基準面Sに形成される露光用干渉縞のピッチpに比べてはるかに大きくなる点である。これは、式(15)と式(7)に比較から明らかであり、式(15)では、分母がゼロに近くなるため、ピッチpが非常に大きくなる。このピッチpは、通常のCMOSセンサやCCDセンサによって測定しうる程度に十分に大きいことに留意されたい。
【0069】
このように、干渉縞モニター装置200Aでは、露光用干渉縞を直接モニターせずに、それと等価な情報を含むモニター用干渉縞を生成してその強度分布を測定することで、ビームBM、BMの状態を検出することができる。
【0070】
このように、イメージセンサ220によって測定するモニター用干渉縞の強度分布I(x,y)は、ビームBM,BMの理想状態からズレΔθ,Δθ,Δφ,Δφに関する情報を含んでいる。そのため、モニター用干渉縞の強度分布I(x,y)にもとづいてさまざまな処理が可能となる。
【0071】
なお本開示において、測定した強度I(x,y)をどのように利用して校正を行うかは特に限定されるものではないが、校正に関するいくつかの例を説明する。
【0072】
(校正処理例1)
一実施例において、演算処理装置230は、測定した強度分布I(x,y)にもとづいて、ビームBM,BMの現在の状態を計算してもよい。この状態とは、Δθ,Δθ,Δφ,Δφの少なくともひとつを含む。
【0073】
たとえば、モニター用干渉縞のy方向の空間周波数νを画像データから算出すれば、式(12)から、Δφ+Δφを計算することができる。
【0074】
また、モニター用干渉縞の角度ずれα’とx方向の空間周波数νを画像データから算出すれば、(θ+Δθ)および(θ+Δθ)の値を計算することができる。
【0075】
さらに演算処理装置230は、(θ+Δθ)および(θ+Δθ)を利用して、式(7)から、露光用干渉縞のピッチp’を計算することができる。これにより、露光プロセスにおける横送りの幅を正確に決めることができる。
【0076】
また演算処理装置230は、(θ+Δθ),(θ+Δθ)および(Δφ+Δφ)を利用して、式(8)から、y軸からの角度ずれα’を計算することができる。これにより、露光プロセスにおけるスキャン方向を正確に決めることができる。
【0077】
(校正処理例2)
演算処理装置230は、測定した強度分布I(x,y)にもとづいて、ビームBM,BMが理想状態となるように、つまりΔθ,Δθ,Δφ,Δφがゼロに近づくように、光学系120のアライメントを実施してもよい。たとえば演算処理装置230は、光学系120の第1ミラーM1を制御することにより、ΔθおよびΔφを変化させることができ、光学系120の第2ミラーM2を制御することにより、ΔθおよびΔφを変化させることができる。
【0078】
図7(a)~(d)は、モニター用干渉縞にもとづく光学系120のアライメントを説明する図である。図7(a)は、粗いアライメントが完了した状態におけるモニター用干渉縞を示す。
【0079】
図7(b)に示すように、モニター用干渉縞のy方向の空間周波数νがゼロとなるように、第1ミラーM1および第2ミラーM2を制御して、ΔφおよびΔφを最適化する。これにより、Δφ+Δφ=0となる状態に光学系120を調節することができる。なお、Δφが0.001°のときに縞の周期はおおよそ20mm程度となる。したがって大型のイメージセンサ220を用いることで、0.001°まで測定することが可能である。
【0080】
図7(c)および(d)に示すように、モニター用干渉縞のx方向の空間周波数νがゼロとなるように、左ビームBMの入射角のずれΔθおよび右ビームBMの入射角のずれΔθが調節される。すべてのずれがゼロに近づくと、干渉縞が消え、強度分布は均一となる。
【0081】
つまり演算処理装置230は、イメージセンサ220によって得られる画像の強度分布が均一となるように、第1ミラーM1および第2ミラーM2の状態を制御すればよい。このアライメントが完了した時点で、Δφ+Δφ≒0、Δθ≒Δθ≒0となっている。このアライメントに際しては、演算処理装置230は、必ずしも、ズレ量Δφ,Δφ,Δθ,Δθを計算する必要はない。
【0082】
またアライメントが完了した時点で、露光用干渉縞のy軸とのずれ角αはゼロとなる。つまり、露光プロセスにおいて、ワークWを、y軸方向にスキャンすればよい。
【0083】
露光用干渉縞のピッチpについては、校正処理例1で説明したように、式(7)から計算し、横送り量を決めてもよい。あるいは、以下で説明する、ビームスプリッタのシフト処理によってピッチpを計測することができる。
【0084】
図8は、計測用ビームスプリッタ212のシフトによるピッチpの測定を説明する図である。校正プロセスにおいて、ステージ130は、スプリット面214を、x=0からx=d’にシフトさせる。このシフトによって、左ビームBMと右ビームBMの経路差が発生し、その距離はΔL=2d’sinθとなる。ただし、θ=θ+Δθである。このときの位相差ψ(d’)は、式(16)で表される。
【数11】
【0085】
モニター用干渉縞の強度は、式(17)で表され、z=d’を代入すると、式(18)を得る。
【数12】
【0086】
左右のビームの入射角を理想状態(θ=θ,Δφ=Δφ=0)に調節したときの光の強度は、式(19)となる。
【数13】
【0087】
したがって、d’がpの整数倍となるときに、強度I(d’)は干渉によって強めあう。そこで、光学系120のアライメントの完了後に、ステージ130によって、計測用ビームスプリッタ212をx軸方向にスキャンし、強度I(d’)のピークとピークの距離を測定することにより、ピッチpを計測することができる。
【0088】
(実施形態2)
図9は、実施形態2に係る干渉露光装置100Bを示す図である。干渉露光装置100Bの基本構成は図1と同様であり、干渉縞モニター装置200Bの構成が異なる。
【0089】
干渉縞モニター装置200Bは、合波素子210として、回折格子216を含む。回折格子216は、ステージ130上の、ワークWを載置する領域に隣接した位置に設けられる。校正プロセスでは、ステージ130によって回折格子216が照射エリア132に位置決めされる。このとき、回折格子216の溝は、y方向と一致するように配置される。
【0090】
図10は、校正プロセスにおける回折格子216を示す図である。この例では、回折格子216は反射型であり、入射角θである左ビームBMと入射角θである右ビームBMを同じ方向に反射して合波する。イメージセンサ220は、校正プロセスにおいて、回折格子216によって合波された合波ビームBMl+rの強度分布を測定する。
【0091】
なお、回折格子216は透過型であってもよく、その場合、イメージセンサ220は、回折格子216よりも下側に設けられる。
【0092】
校正プロセスにおいて、イメージセンサ220によって観測される強度分布について説明する。
【0093】
図11は、回折格子216によるビームの合波を説明する図である。回折格子216の表面218がz=0のxy平面と一致し、回折格子216の格子の方向が、y軸方向となるように、座標系を定める。回折格子216は、露光ピッチの2倍の格子間隔(周期)dを有する。グレーティングベクトルKは、式(20)で表される。
K=2π/d(1,0,0) …(20)
となる。
【0094】
'は、回折格子216により回折された左ビームBMの波数ベクトルを表し、k'は、回折格子216により回折された右ビームBMの波数ベクトルを表す。波数ベクトルk'、k'は、式(21),(22)で表される。mは回折次数である。
【数14】
【0095】
左ビームBMに関して-1次光を、右ビームBMに関して+1次光を用いるとすると、波数ベクトルk'、k'は、式(23),(24)で表される。
【数15】
【0096】
回折格子216の上側に置かれたイメージセンサ220の計測面を配置するとき、測定される合波ビームBMl+rの強度分布I(x,y)は、式(25)で表される。
【数16】
【0097】
式(25)から分かるように、測定される強度分布I(x,y)は、ビームBM,BMの理想導波方向からのずれΔθ,Δθ,Δφ,Δφに応じて変化する。
【0098】
計測面のy方向の空間周波数νは、式(26)で表される。
【数17】
【0099】
また角度ずれα’は、Y方向の空間周波数νを用いて、式(27)で表される。ν=0のとき、α’=0となる。
【数18】
【0100】
計測面のx方向の空間周波数νは、式(28)で表される。
【数19】
ν=0のとき、d=2p=λ/sinθを用いて式(28)を整理すると、式(29)を得る。
【数20】
式(29)は、Δθ=Δθ=0のときに明示的に成り立つ。その他の解としては、入射角θが90度に近い場合にのみ、非ゼロのΔθ,Δθの解が存在しうるため、装置をこの解を除外するように構成すればよい。
【0101】
かくして、x方向の空間周波数νがゼロとなるように、つまりイメージセンサ220で測定される強度が均一となるように、光学系120をアライメントすれば、Δθ=Δθ=0となることが保証され、そのとき、θ=sin-1(λ/d)となる。
【0102】
モニター用干渉縞のピッチは、式(30)から計算できる。
【数21】
ν=0となるようにアライメントした状態では、ピッチはpx’=d/2となる。
【0103】
(変形例)
図12は、変形例に係る干渉露光装置100Aaを示す図である。この変形例は、図1の干渉露光装置100Aの変形であり、露光用分波素子122として、ビームスプリッタに代えて、露光用回折格子G1が使用される。その他は実施形態1と同様である。なお、同様にして図9の干渉露光装置100Bにおいて、露光用分波素子122として露光用回折格子G1を用いることも可能である。
【0104】
本開示に係る実施形態について、具体的な用語を用いて説明したが、この説明は、理解を助けるための例示に過ぎず、本開示あるいは請求の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、請求の範囲によって規定されるものであり、したがって、ここでは説明しない実施形態、実施例、変形例も、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
W ワーク
100 干渉露光装置
110 レーザ光源
120 光学系
122 露光用分波素子
BS1 露光用ビームスプリッタ
G1 露光用回折格子
124 拡大光学系
126 拡大光学系
130 ステージ
200 干渉縞モニター装置
210 合波素子
212 ビームスプリッタ
214 スプリット面
216 回折格子
220 イメージセンサ
230 演算処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12