(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163740
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】配送システム、保持装置、自律移動体、および配送方法
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
B65G61/00 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074842
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上垣 俊平
(72)【発明者】
【氏名】中塚 祐貴
(57)【要約】
【課題】配送物を確実に配送することができる配送システム、自律移動体、保持装置、および配送方法を提供する。
【解決手段】箱体を保持した状態で自律移動可能な自律移動体と、前記箱体を前記自律移動体から受け取って保持する保持装置と、を備え、前記保持装置は、前記自律移動体の移動により前記箱体が前記保持装置と接触したことを契機として、電磁力を発生させて当該電磁力による前記箱体の保持を開始し、前記自律移動体は、前記保持装置が前記箱体の保持を開始した場合に、前記箱体を保持しない状態へ移行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体を保持した状態で自律移動可能な自律移動体と、
前記箱体を前記自律移動体から受け取って保持する保持装置と、
を備え、
前記保持装置は、前記自律移動体の移動により前記箱体が前記保持装置と接触したことを契機として、電磁力を発生させて当該電磁力による前記箱体の保持を開始し、
前記自律移動体は、前記保持装置が前記箱体の保持を開始した場合に、前記箱体を保持しない状態へ移行する、
配送システム。
【請求項2】
前記箱体は、配送物を収納可能であって、
前記自律移動体は、前記配送物を収納した前記箱体を保持した状態で、前記配送物の配送先に対応した前記保持装置に前記箱体を接触させるように移動する、
請求項1に記載の配送システム。
【請求項3】
前記保持装置は、前記配送先に予め関連付けられた他の装置が所定の操作を受け付けた場合に、前記箱体を保持するための前記電磁力を弱め、前記箱体が前記保持装置から離れたことを契機として、前記電磁力を0にする、
請求項2に記載の配送システム。
【請求項4】
前記箱体は、前記配送先に予め関連付けられた他の装置が所定の操作を受け付けた場合に、前記箱体の扉を開く、
請求項2に記載の配送システム。
【請求項5】
自律移動可能な自律移動体であって、
電磁力を発生可能な第1保持部と、
前記第1保持部に前記電磁力を発生させて当該電磁力により箱体を前記第1保持部に保持させた状態で所定の保持装置に向かって前記自律移動体を自律移動させ、前記箱体が前記保持装置に接触することで前記保持装置が前記箱体の保持を開始した場合に、前記第1保持部が発生する前記電磁力を0にする第1制御部と、
を備える、自律移動体。
【請求項6】
前記箱体に掛かる衝撃を吸収可能な衝撃吸収部をさらに備え、
前記第1制御部は、前記箱体が前記保持装置に接触する際の衝撃を前記衝撃吸収部に吸収させる、
請求項5に記載の自律移動体。
【請求項7】
電磁力を発生可能な第2保持部と、
箱体を保持した状態で自律移動する自律移動体により移動された前記箱体が前記第2保持部と接触した場合に、前記第2保持部に前記電磁力を発生させ、当該電磁力により前記箱体を前記第2保持部に接触した状態で保持させる第2制御部と、
を備える、保持装置。
【請求項8】
箱体を保持した状態で自律移動可能な自律移動体と、前記箱体を前記自律移動体から受け取って保持する保持装置と、を備える配送システムにおける配送方法であって、
前記保持装置が、前記自律移動体の移動により前記箱体が前記保持装置と接触した場合に、電磁力を発生させて当該電磁力による前記箱体の保持を開始し、
前記保持装置が前記箱体の保持を開始した場合に、前記自律移動体が前記箱体を保持しない状態へ移行する、
配送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配送システム、保持装置、自律移動体、および配送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物流業界では、人手不足や配送すべき物品の増加などに対応するため、配送作業の自動化が求められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、専用の配送ボックスと配送車両を用いた配送システムが開示されている。特許文献1に開示された配送システムでは、配送車両が配送先まで配送ボックスを搭載して移動し、配送先で配送ボックスを配送先に設けられた配送ボックス固定具に固定することで配送ボックス内に保管された物品が自動配送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、配送ボックスを配送先で固定する際に、配送ボックスに設置された固定用突起を、配送先の配送ボックス固定具の穴に挿入し、ロック機構によってロックする。このため、配送ボックスの固定の際には高い位置決め精度が求められ、配送作業に時間がかかる、または、高い位置決め精度を実現するために配送車両の製造コストが増大する。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するものであり、配送物を確実に配送することができる配送システム、保持装置、自律移動体、および配送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る配送システムは、箱体を保持した状態で自律移動可能な自律移動体と、前記箱体を前記自律移動体から受け取って保持する保持装置と、を備え、前記保持装置は、前記自律移動体の移動により前記箱体が前記保持装置と接触したことを契機として、電磁力を発生させて当該電磁力による前記箱体の保持を開始し、前記自律移動体は、前記保持装置が前記箱体の保持を開始した場合に、前記箱体を保持しない状態へ移行する。
【0008】
本開示の一態様に係る自律移動体は、自律移動可能な自律移動体であって、電磁力を発生可能な第1保持部と、前記第1保持部に前記電磁力を発生させて当該電磁力により箱体を前記第1保持部に保持させた状態で所定の保持装置に向かって前記自律移動体を自律移動させ、前記箱体が前記保持装置に接触することで前記保持装置が前記箱体の保持を開始した場合に、前記第1保持部が発生する前記電磁力を0にする第1制御部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る保持装置は、電磁力を発生可能な第2保持部と、箱体を保持した状態で自律移動する自律移動体により移動された前記箱体が前記第2保持部と接触した場合に、前記第2保持部に前記電磁力を発生させ、当該電磁力により前記箱体を前記第2保持部に接触した状態で保持させる第2制御部と、を備える。
【0010】
本開示の一態様に係る配送方法は、箱体を保持した状態で自律移動可能な自律移動体と、前記箱体を前記自律移動体から受け取って保持する保持装置と、を備える配送システムにおける配送方法であって、前記保持装置が、前記自律移動体の移動により前記箱体が前記保持装置と接触した場合に、電磁力を発生させて当該電磁力による前記箱体の保持を開始し、前記保持装置が前記箱体の保持を開始した場合に、前記自律移動体が前記箱体を保持しない状態へ移行する。
【発明の効果】
【0011】
本開示の配送システムによれば、配送物を確実に配送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】配送システムの各構成が有するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図
【
図8】変形例2に係る配送システムの受渡し動作について説明するための図
【
図9】変形例2に係る配送システムの受取動作について説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各実施の形態において、同じ構成要素には同じ符号を付すものとする。
【0014】
〔実施の形態1〕
図1は、第1の実施の形態に係る配送システム100の概要を示す図である。
図2は、配送システム100の機能ブロック図である。
図1,
図2に示すように、配送システム100は、自律移動体1と、保持装置2と、配送ボックス3と、管理サーバ4と、操作端末5と、を備える。
【0015】
自律移動体1は、配送ボックス3を保持した状態で自律移動可能な移動体(移動ロボット)である。配送ボックス3は、配送物を格納するための箱体である。保持装置2は、自律移動体1が運んできた配送ボックス3を受け取って保持する装置である。管理サーバ4は、自律移動体1および保持装置2と通信を行い、自律移動体1および保持装置2の動作に必要な情報を送受信する。操作端末5は、配送システム100において配送物を受け取る受取人が使用する端末である。
【0016】
始めに、配送システム100の使用形態について説明する。配送システム100は、所定の施設に設置される。所定の施設の例としては、マンション、アパートなどの集合住宅や、複数の店舗が入居している商業施設などが挙げられる。
【0017】
まず、配送先に配送すべき配送物が、配送ボックス3に収納される。配送ボックス3は、例えば扉が開くことにより内部に配送物を収納できるように構成されている。配送ボックス3への配送物の収納は、例えば配送システム100が設置された施設まで配送物を配送してきた配送業者、または配送システム100が設置された施設の管理者などによって行われる。
【0018】
配送物が収納された配送ボックス3は、自律移動体1によって保持される。なお、配送ボックス3が自律移動体1に保持された状態で配送ボックス3への配送物の収納が行われてもよいし、配送ボックス3が自律移動体1から取り外された状態で配送物が配送ボックス3に収納され、その後に配送ボックス3が自律移動体1に取り付けられてもよい。
【0019】
自律移動体1は、配送物を配送すべき配送先としての保持装置2まで自律移動する。保持装置2は、例えば施設の壁Wなどに設置されており、自律移動体1から配送ボックス3を受け取って保持することができる。保持装置2は、例えば集合住宅の住戸毎、または商業施設のテナント毎に設けられていてもよい。すなわち、配送システム100は、保持装置2を複数備えていてもよい。
【0020】
保持装置2の近傍まで移動した自律移動体1は、さらに移動して配送ボックス3を保持装置2に接触させる。保持装置2は、配送ボックス3が接触したことを契機として、配送ボックス3の保持を開始する。また、保持装置2が配送ボックス3の保持を開始したことを契機として、自律移動体1は、配送ボックス3の保持を終了する。これにより、配送ボックス3は、自律移動体1から保持装置2へと受け渡される。
【0021】
配送システム100が備える複数の保持装置2は、配送ボックス3の保持を開始したことを契機として、当該配送ボックス3に収納された配送物を受け取るべき受取人の操作端末5に対して報知を行う。
【0022】
これにより、配送物を受け取るべき受取人は、配送ボックス3に収納されている配送物を受け取ることができる。
【0023】
以下、このような使用形態を実現するための配送システム100の構成、機能、および動作について詳細に説明する。
【0024】
まず、
図1および
図2を参照して、自律移動体1および保持装置2の構成および機能について説明する。
【0025】
<自律移動体1>
自律移動体1は、本体11と、走行部12と、前方センサ13と、後方センサ14と、第1保持部15と、衝撃吸収部16と、第1接触センサ17と、第1制御部18と、第1通信部19と、を備える。
【0026】
本体11は、自律移動体1の筐体であり、内部に各機能ブロックを実現するためのコンピュータ、および、バッテリなどを搭載する。
【0027】
走行部12は、例えば複数の駆動輪、履帯、または脚部などで構成される。走行部12は、本体11を支えるように設置されている。走行部12が動作することにより、自律移動体1は移動することができる。走行部12は自律移動体1の重心位置に合わせて構成されることが望ましい。また、走行部12は、駆動輪だけでなく従輪を有していてもよい。
【0028】
前方センサ13は、自律移動体1の前方の環境を認識するためのセンサである。また、後方センサ14は、自律移動体1の後方の環境を認識するためのセンサである。前方センサ13は、主に、自律移動体1が自律移動する際に用いる情報を取得する。一方、後方センサ14は、配送ボックス3を保持装置2に受け渡す際に、保持装置2の位置を確認するために用いる情報を取得する。前方センサ13および後方センサ14は、例えば、RGBカメラ、ステレオカメラ、LRF(Laser Range Finder)、超音波センサなどである。
【0029】
なお、本実施の形態において、自律移動体1の前方とは、自律移動体1が自律移動する際に進行する方向であり、後方とはその反対方向を意味する。
【0030】
第1保持部15は、配送ボックス3を保持する装置である。本実施の形態では、配送ボックス3の側面に強磁性体(例えば、鉄、ニッケルなど)の板材や複数本の線材などが設けられており、第1保持部15は、電磁力を発生させることができる電磁石を有する。すなわち、第1保持部15は、第1制御部18の制御により電磁力を発生させたとき、当該電磁力により配送ボックス3を吸着して保持することができる。第1保持部15が発生させる電磁力の強度は、第1制御部18により制御されうる。第1保持部15が電磁力を発生させない時は、第1保持部15は配送ボックス3を保持しない。
【0031】
第1保持部15は、電磁吸着面である第1保持面15Sを有し、この第1保持面15Sと、配送ボックス3の強磁性体が配置された面とを互いに接触させることにより、配送ボックス3を好適に吸着、保持することができる。配送ボックス3は、少なくとも2つの平面を有する形状に形成されている。本実施の形態では、配送ボックス3は立方体、または直方体である。なお、本開示では配送ボックス3の形状はこれに限定されず、例えば円柱体または楕円柱体であってもよい。以下の説明では、配送ボックス3の第1保持面15Sに吸着される面、すなわち強磁性体が設けられた面を、便宜上第1被吸着面31と記載する。
【0032】
本実施の形態において、第1保持部15は、自律移動体1の後ろ側に配置される。なお、本開示はこれに限定されず、例えば第1保持部15が、自律移動体1の前面側、または側面側に配置されてもよい。
【0033】
衝撃吸収部16は、第1保持部15の第1保持面15Sに掛かる衝撃を吸収する機構である。衝撃吸収部16は、例えばスプリングなどである。衝撃吸収部16は、第1制御部18の制御により、作動のオンオフが制御されうる。衝撃吸収部16の作動がオンされた状態とは、例えばスプリングが伸縮可能な状態であって、衝撃を吸収することができる。また、衝撃吸収部16の作動がオフされた状態とは、例えばロック機構などによってスプリングの伸縮が不可能となった状態である。
【0034】
衝撃吸収部16は、例えば第1保持部15が配送ボックス3を受け取るとき、または第1保持部15から保持装置2へ配送ボックス3の受け渡されるとき、第1制御部18の制御により作動がオンにされる。これにより、衝撃吸収部16は、配送ボックス3の受け取りまたは受け渡しの際の衝撃を吸収し、配送ボックス3内部に収納された配送物を衝撃から保護することができる。一方、第1保持部15が配送ボックス3を保持している間、特に自律移動体1の移動中、第1制御部18の制御により衝撃吸収部16の動作はオフにされる。これにより、第1保持部15が配送ボックス3をしっかりと保持できる。
【0035】
第1接触センサ17は、第1保持部15の第1保持面15Sと配送ボックス3との接触を検知する。第1接触センサ17は、例えば第1保持面15Sから突起状に突出している接触センサ、もしくは所定距離以内の近接を検知する光電センサ、第1保持面15Sと配送ボックス3の第1被吸着面31との距離を測定可能な超音波センサ、などである。
【0036】
第1制御部18は、例えばプロセッサであり、上述した自律移動体1の各構成の動作を制御することで、自律移動体1の動作を制御する。第1制御部18の制御による自律移動体1の動作の詳細については、後述する。
【0037】
第1通信部19は、例えば無線通信(Wi-Fi(登録商標)など)により、管理サーバ4と通信を行い、自律移動体1の動作に必要な種々の情報を取得する。自律移動体1の動作に必要な情報の例としては、配送物を配送すべき保持装置2の位置を示す配送先情報、自律移動体1が施設内を移動するための施設のマップ情報などが挙げられる。
【0038】
上述した自律移動体1の各機能は、本体11内に設置されたコンピュータなどによって実現される。
【0039】
<保持装置2>
次に、保持装置2は、第2保持部21と、第2接触センサ22と、第2制御部23と、第2通信部24と、を備える。
【0040】
保持装置2は、上述したように施設の壁などに設置されており、配送ボックス3を保持する装置である。本実施の形態では、保持装置2は、
図2に示すように、地面からある程度離れた高さに設置される。保持装置2の高さは、例えば平均的な身長の人物の胸から腰程度の高さであることが望ましい。これにより、配送物を受け取るべき受取人は、保持装置2が保持する配送ボックス3を容易に取り扱うことができる。
【0041】
保持装置2が設置される壁は、例えば施設が集合住宅である場合、受取人が居住する住居の玄関付近であって、当該住居の外部からアクセス可能な壁である。具体的には、例えば集合住宅の廊下における、玄関の横の壁などである。または、保持装置2が設置される壁は、例えば施設が商業施設である場合、商業施設の廊下における、受取人が運営する店舗の入口の横の壁などである。
【0042】
第2保持部21は、配送ボックス3を保持する装置である。本実施の形態では、第2保持部21は、第1保持部15と同様に、電磁力を発生させることができる電磁石を有する。すなわち、第2保持部21は、第2制御部23の制御により電磁力を発生させて、当該電磁力により配送ボックス3を吸着して保持することができる。第2保持部21が発生させる電磁力の強度は、第2制御部23により制御されうる。第2保持部21が電磁力を発生させない時は、第2保持部21は配送ボックス3を保持しない。
【0043】
第2保持部21は、電磁吸着面である第2保持面21Sを有し、この第2保持面21Sと、配送ボックス3の強磁性体が配置された面とを互いに接触させることにより、配送ボックス3を好適に吸着、保持することができる。
【0044】
なお、本実施の形態において、配送ボックス3は、互いに対向する2面に強磁性体を有する。
図1に示す例では、上述した第1被吸着面31と対向する第2被吸着面32に強磁性体が設けられている。これにより、配送ボックス3の第1被吸着面31が自律移動体1の第1保持部15の第1保持面15Sに吸着された状態で、保持装置2は、第2保持部21の第2保持面21Sに第2被吸着面32を吸着させることにより、配送ボックス3を自律移動体1から受け取ることができる。なお、第2保持部21の設置高さは、自律移動体1の第1保持部15と同じ高さにすることが望ましい。
【0045】
第2接触センサ22は、第2保持部21の第2保持面21Sと配送ボックス3との接触を検知する。第2接触センサ22は、例えば第2保持面21Sから突起状に突出している接触センサ、もしくは所定距離以内の近接を検知する光電センサ、第2保持面21Sと配送ボックス3の第2被吸着面32との距離を測定可能な超音波センサ、などである。
【0046】
第2制御部23は、例えばプロセッサであり、上述した第2制御部23の各構成の動作を制御することで、保持装置2の動作を制御する。第2制御部23の制御による保持装置2の動作の詳細については、後述する。
【0047】
第2通信部24は、例えば無線通信により、管理サーバ4と通信を行い、保持装置2の動作に必要な種々の情報を取得する。第2通信部24によって取得される情報は、例えば配送先を識別するための情報であり、より具体的には、施設内に存在する複数の保持装置から配送先を識別する配送待機信号である。また、第2通信部24によって取得される情報は、例えば配送物に関する情報である配送物情報であってもよく、より具体的には、必要な電磁力の計算に使用する配送物の重量などであってもよい。
【0048】
上述した保持装置2の各機能は、例えば保持装置2の内部に設けられた図示しないコンピュータなどによって実現される。
【0049】
<配送ボックス3>
配送ボックス3は、ケース33と、扉34と、扉ロック部35と、第3通信部36と、を有する。
【0050】
配送ボックス3は、互いに対向する2面を少なくとも有する立体形状のケース33を有する。ケース33は、例えば立方体、直方体、円柱体、楕円柱体などの各種形状を有していればよい。ケース33の、少なくとも互いに対向する2面には、上述したように強磁性体の板材または複数並べられた線材が配置されている。この対向する2面が、上述した第1被吸着面31または第2被吸着面32となる。なお、強磁性体は、互いに対向する2面だけでなく、他の面に配置されてもよい。例えば立方体形状のケース33において、扉34が設けられる一面を除く全ての面に強磁性体が配置されていてもよい。
【0051】
配送ボックス3の例えば上面には、ヒンジなどによりケース33に回動可能に固定された扉34が設けられている。扉34が開かれた状態で、配送物は配送ボックス3の内部に収納される、または内部から取り出される。
【0052】
扉ロック部35は、扉34が閉じた状態でロックすることができる。扉ロック部35は、第3通信部36を介して管理サーバ4から施錠命令を受信した場合に、扉34が開かないようにロックする。また、扉ロック部35は、管理サーバ4から解錠命令を受信した場合に、扉34のロックを解除して開くようにする。
【0053】
第3通信部36は、例えば無線通信により、管理サーバ4と通信を行い、配送ボックス3の動作に必要な種々の情報を取得する。第3通信部36が管理サーバ4から受信する情報の例としては、例えば上述した施錠命令、または解錠命令に関する情報が挙げられる。
【0054】
上述した配送ボックス3の各機能は、例えば配送ボックス3の内部に設けられた図示しないコンピュータなどによって実現される。
【0055】
<管理サーバ4>
管理サーバ4は、配送システム100全体の管理を行う装置である。管理サーバ4は、例えば複数のコンピュータの集合体としてのクラウド上に設けられたクラウドサーバである。
【0056】
管理サーバ4は、記憶部41と、第4通信部42と、を有する。
【0057】
記憶部41は、配送システム100の全体の動作を実現するために必要な各種情報を記憶する。記憶部41が記憶する情報の例としては、配送先情報、およびマップ情報が挙げられる。
【0058】
配送先情報は、配送物が配送されるべき配送先を示す情報である。配送先情報は、例えば、配送物を受け取るべき受取人、住戸、または店舗を示す情報を含む。また、配送先情報は、施設内のマップ情報における、受取人が居住する住戸または店舗の位置を示す情報を含む。また、配送先情報は、受取人、住戸、または店舗に対応する操作端末5の連絡先情報(電話番号、メールアドレスなど)を含んでいてもよい。
【0059】
マップ情報は、施設内のマップを示す情報である。マップ情報の形式については、本開示では特に限定しない。公知の技術を適宜使用することができる。
【0060】
第4通信部42は、自律移動体1、保持装置2、配送ボックス3、および操作端末5との間で、各種情報の送受信を行う。
【0061】
<操作端末5>
操作端末5は、例えば、配送システム100が設けられた施設の住戸の住人、または店舗で働く従業員などが有する端末装置(スマートフォン、タブレット端末、ラップトップPCなど)である。また、操作端末5は、配送システム100が設けられた施設の住戸または店舗に設けられたインターホンなどの集合玄関機であってもよい。操作端末5は、本開示における、配送先に予め関連付けられた他の装置の一例である。
【0062】
操作端末5は、報知部51と、操作部52と、第5通信部53と、を有する。
【0063】
報知部51は、第5通信部53を介して、管理サーバ4から受信した情報に基づいて、場合に、当該配送物を受け取るべき受取人に対して、配送物が配送される旨の報知を行う。管理サーバ4から受信した情報とは、例えば、配送物が収納された配送ボックス3が、保持装置2に保持されたことを通知する情報である。当該報知は、例えば操作端末5の画面にメッセージを表示することにより行われてもよいし、音声を発することにより行われてもよいし、操作端末5に設けられたランプなどが点灯することにより行われてもよい。
【0064】
操作部52は、受取人による、配送ボックス3から配送物を受け取るための操作を受け付ける。受取人による、配送ボックス3から配送物を受け取るための操作は、本開示における、所定の操作の一例である。操作部52は、例えばボタン、キー、タッチパッドなどである。また、操作部52は、受取人が居住する住戸または店舗の扉の鍵と連動していてもよい。すなわち、受取人が住戸の玄関扉または店舗の入口の扉を解錠した場合に、操作部52は、配送ボックス3から配送物を受け取るための操作を受け付けた、と判断してもよい。操作部52は、受取人が住戸または店舗の扉を解錠したか否かの情報を、例えば住戸または店舗の扉の施錠システムに設けられたセンサなどから取得すればよい。
【0065】
第5通信部53は、管理サーバ4との間で、各種情報の送受信を行う。第5通信部53は、施設内の無線ネットワークだけでなく、インターネットなどの公衆ネットワークを介して管理サーバ4との通信を行ってもよい。
【0066】
上述した操作端末5の各機能は、例えば配送ボックス3の内部に設けられた図示しないコンピュータなどによって実現される。
【0067】
〔コンピュータのハードウェア構成〕
上述したように、配送システム100の各構成が有する各機能は、コンピュータによって実現される。
図3は、配送システム100の各構成が有するコンピュータ1000のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0068】
コンピュータ1000は、キーボードやマウス、タッチパッドなどの入力装置1001、ディスプレイやスピーカーなどの出力装置1002、CPU(Central Processing Unit)1003、ROM(Read Only Memory)1004、RAM(Random Access Memory)1005、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置1006、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)やUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの記録媒体から情報を読み取る読取装置1007、ネットワークを介して通信を行う送受信装置1008を備え、各部はバス1009により接続される。
【0069】
そして、読取装置1007は、上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置1006に記憶させる。あるいは、送受信装置1008が、ネットワークに接続されたシステム装置と通信を行い、システム装置からダウンロードした上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記憶装置1006に記憶させる。
【0070】
そして、CPU1003が、記憶装置1006に記憶されたプログラムをRAM1005にコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAM1005から順次読み出して実行することにより、各種機能が実現される。
【0071】
〔動作例〕
以下では、上述した配送システム100の各構成による動作について、具体例を挙げて説明する。
【0072】
<受渡し動作の動作例>
図4は、自律移動体1が配送ボックス3を保持装置2に受け渡すまでの動作(受渡し動作)の例を説明するための図である。
【0073】
まず、自律移動体1は、配送物が収納された配送ボックス3を保持した状態となる(ステップS11)。なお、
図4に示す動作例の開始以前では、自律移動体1は、配送物が収納されていない配送ボックス3を保持した状態であってもよいし、配送ボックス3を保持していない状態であってもよい。自律移動体1が配送ボックス3を保持した状態であった場合、配送物を施設まで運んできた配送業者などが、施設の入口などに待機していた自律移動体1が保持する配送ボックス3に配送物を収納することにより、ステップS11の状態となる。または、自律移動体1が配送ボックス3を保持していない状態であった場合、配送業者などが、施設の入口などに置かれていた配送ボックス3に配送物を収納した後、自律移動体1がその配送ボックス3を保持することにより、ステップS11の状態となってもよい。
図1に示すように、自律移動体1の第1保持部15の第1保持面15Sと接触して吸着される配送ボックス3の面が、第1被吸着面31である。
【0074】
次に、管理サーバ4は、配送物が収納された配送ボックス3の配送先情報を自律移動体1に対して送信する(ステップS12)。この際、自律移動体1は、自らが保持する配送ボックス3の識別情報、または、配送ボックスに収納された配送物の識別情報を管理サーバ4に送信し、管理サーバ4は当該識別情報に基づいて自律移動体1に送信すべき配送先情報を抽出し、抽出した配送先情報を自律移動体1に送信する。なお、管理サーバ4は、配送物の配送先情報を、例えば配送物を施設まで運んできた配送業者などから予め取得していればよい。
【0075】
管理サーバ4は、自律移動体1から配送ボックス3または配送物の識別情報を受信したことを契機として、配送先情報が示す保持装置2に対して配送ボックス3がこれから配送されることを示す予告情報を送信する。予告情報を受け取った保持装置2は、配送ボックス3を保持するために第2保持部21における電磁力の発生準備状態へ移行する(ステップS13)。言い換えると、保持装置2は、第2保持部21における電磁力発生機能の電源をオンする。
【0076】
管理サーバ4より配送先情報を受信した自律移動体1は、配送ボックス3を保持した状態で配送先の保持装置2の近傍まで移動する(ステップS14)。この際、自律移動体1は必要に応じて施設内のマップ情報を施設管理システムに問い合わせることで施設内を自律移動する。この際、本実施の形態においては、自律移動体1は、配送ボックス3が進行方向に対して後方となるように、自律移動する(
図1参照)。
【0077】
なお、自律移動体1の自律移動は、例えば、
図2に示す第1制御部18が、管理サーバ4から受信したマップ情報と、前方センサ13と後方センサ14から取得した周囲の環境情報と、に基づいて、周囲のマップ作成処理、自己位置推定処理、姿勢推定処理などを行い、その結果に基づいて走行部12を制御することにより、実行される。ただし、本開示における自律移動体1における自律移動の制御は、これに限定されず、既知の技術を適宜採用することができる。
【0078】
施設内を移動し、配送先となる保持装置2の近傍まで移動した後、自律移動体1は、後方センサ14(
図1,2参照)から得られる距離情報などに基づいて、保持装置2の位置を認識する処理を行う(ステップS15)。
【0079】
そして、自律移動体1は、保持装置2に受け渡すべき配送ボックス3を保持装置2に接触させるように更なる移動を行う(ステップS16)。具体的には、自律移動体1はステップS15で認識した保持装置2の位置に基づいて接近移動計画を作成し、その計画に沿って移動する。自律移動体1は、配送ボックス3と保持装置2との距離が短くなるにつれて、移動速度を減少させて移動することが望ましい。
【0080】
なお、自律移動体1は、保持装置2への接近に伴い、配送ボックス3が保持装置2に接触する前に、衝撃吸収部16のロックを解除しておく。
【0081】
自律移動体1による保持装置2への接近移動により、保持装置2の第2保持面21Sと配送ボックス3の第2被吸着面32とが接触すると、第2保持面21Sに設けられた第2接触センサ22が、当該接触を検知する(ステップS17)。
【0082】
これを契機として、保持装置2は、第2保持部21が発生させる電磁力の強度を、予め決められた第1閾値強度以上に増大させる(ステップS18)。これにより、保持装置2の第2保持部21は、配送ボックス3を保持するのに十分な電磁力を発生させるので、保持装置2は配送ボックス3をしっかりと保持することができる。
【0083】
第1閾値強度は、後述する第2閾値強度より大きな値に設定されており、例えば人が配送ボックス3を引っ張っても保持装置2から取り外すことができないような強度である。第1閾値強度は、例えば配送ボックス3のおおよその重さに応じて予め実験的に設定されればよい。また、第1閾値強度は、過去に施設に配送された配送物の重さの統計などに基づいて好適に設定されてもよい。さらに、配送ボックス3が配送物の重量を計測する機構を有しており、配送物の重量に応じて第1閾値強度が適宜変更されてもよい。
【0084】
次に、保持装置2が、配送ボックス3の保持を開始したことを通知する保持開始通知を管理サーバ4に対して送信すると、管理サーバ4は、当該保持開始通知を自律移動体1に対して送信する(ステップS19)。保持開始通知の受信した自律移動体1は、第1保持部15による電磁力の発生をオフにする(ステップS110)。これにより、自律移動体1の第1保持部15による吸着力が0になるので、自律移動体1は、配送ボックス3を保持しない状態へと移行し、自律移動体1から保持装置2への配送ボックス3の受け渡しが完了する。
【0085】
この後、自律移動体1は、所定の待機位置、例えば施設の入口などまで自律移動し、待機状態となればよい。この際、自律移動体1は、衝撃吸収部16をロックさせておくことが望ましい。
【0086】
また、管理サーバ4は、保持装置2が配送ボックス3の保持を開始したことを契機として、配送物を受け取るべき受取人が有する操作端末5に対し、配送物が収納された配送ボックス3が保持装置2に保持されていることを通知する。これにより、受取人は、後述の
図5に示す受取動作を開始することができるようになる。
【0087】
図4に示す動作例により、配送システム100は、以下のような効果を奏することができる。第2保持面21Sと配送ボックス3との間に距離がある状態で、第2保持部21が発生する電磁力の強度を増大させた場合、第2保持面21Sと配送ボックス3との間に引力が発生し、第2保持部21と配送ボックス3とが勢いよく吸着される場合がある。上述した動作例では、第2保持部21と配送ボックス3とが勢いよく吸着されないように、接触してから第2保持部21が発生する電磁力を増大させている。このため、配送ボックス3が第2保持部21に勢いよく吸着されることによって配送物に大きな衝撃が掛かることを回避できる。
【0088】
また、
図4に示す動作例によれば、保持装置2の第2保持部21が配送ボックス3の保持を開始してから、自律移動体1の第1保持部15が電磁力の発生を止めるので、配送ボックス3には常に保持するための十分な力が与えられる。このため、配送ボックス3を、安全に、かつ確実に、自律移動体1から保持装置2へ受け渡すことができる。
【0089】
なお、
図4に示す動作例では、自律移動体1、保持装置2、および配送ボックス3がそれぞれ1つずつ登場していたが、上述したようにこれらの各構成はそれぞれ複数であってもよい。この場合、各構成と管理サーバ4との通信の際には、各構成の個別の識別情報を添付することにより、管理サーバ4が複数の各構成のいずれに対して通信を行えばよいかを判断可能とすればよい。
【0090】
<受取動作の動作例>
図5は、保持装置2が保持する配送ボックス3から受取人が配送物を受け取るまでの動作(受取動作)の例について説明するための図である。
【0091】
なお、
図5に示す受取動作の開始時点において、受取人は、操作端末5を介して、配送物が収納された配送ボックス3が保持装置2に保持されていることを認識しているものとする。
【0092】
まず、操作端末5は、受取人による、配送物の受取開始の操作を受け付ける(ステップS21)。受取開始の操作とは、例えば操作端末5の操作部52に対する受取人の直接的な操作であってもよいし、例えば受取人が居住する住戸の玄関扉または店舗の入口の扉を解錠する操作であってもよい。後者の場合、住戸の玄関扉または店舗入口の施錠システムから、解錠されたことを示す情報が操作端末5に送信され、当該情報を受信した操作端末5は、配送物の受取開始の操作を受け付けたと判断する。
【0093】
操作端末5が、受取開始の操作を受け付けたことを示す受取開始通知を管理サーバ4に送信すると、管理サーバ4は、保持装置2に対して当該受取開始通知を送信する(ステップS22)。
【0094】
保持装置2は、受取開始通知を受信したことを契機として、第2保持部21が発生する電磁力を、予め決められた第2閾値強度まで弱める(ステップS23)。第2閾値強度は、上述した第1閾値強度よりも小さな値であって、かつ、配送ボックス3を十分に保持し続けられる程度の値に設定されている。さらに言えば、第2閾値強度は、人が配送ボックス3を引っ張ったときに保持装置2から容易に取り外せる程度の強度である。
【0095】
これにより、受取人は、住戸の玄関または店舗の入口付近に設けられた保持装置2から、配送ボックス3を取り外すことができる。保持装置2は、受取人が配送ボックス3を取り外したことにより、第2接触センサ22が配送ボックス3との接触を検知しなくなった場合(ステップS24)に、第2保持部が発生する電磁力を0にする(ステップS25)。
【0096】
一方、保持装置2から取り外された配送ボックス3は、扉ロック部35による扉34のロックを解除する(ステップS26)。これにより、受取人は配送ボックス3に収納されていた配送物を受け取ることができる。
【0097】
図5に示す動作例により、受取人は確実に配送物を受け取ることができる。受取人が受取操作を行うまでは、配送ボックス3の扉34は解錠されず、保持装置2から配送ボックス3を取り外すこともできない。このため、配送物が受取人以外の手に渡ってしまう事態を好適に防止できる。
【0098】
なお、
図5に示す受取動作により、配送ボックス3を受け取った受取人は、配送ボックス3から配送物を取り出した後、配送ボックス3を所定の位置(例えば施設の入口など)に戻す。または、例えば受取人は、空の配送ボックス3を保持装置2に再度保持させるようにしてもよい。この場合、保持装置2が、空の配送ボックス3を保持したことを管理サーバ4に通知すると、自律移動体1が空の配送ボックス3を回収しに来てもよい。
【0099】
〔変形例〕
以上説明した実施の形態は、本開示の一態様に過ぎず、本開示の請求の範囲内において、様々な変形が可能である。以下では、本開示に掛かる実施の形態の変形例について説明する。
【0100】
<変形例1>
上述した実施の形態において、
図5に示す動作例では、受取人が配送ボックス3を取り外す場合について説明した。本開示は、例えば保持装置2が配送ボックス3を保持したままの状態で、配送ボックス3から配送物を取り出すことができるように構成されていてもよい。
【0101】
図6は、受取動作の変形例1について説明するための図である。
【0102】
まず、操作端末5は、受取人による、配送物の受取開始の操作を受け付ける(ステップS31)。操作端末5が、受取開始の操作を受け付けたことを示す受取開始通知を管理サーバ4に送信すると、管理サーバ4は、配送ボックス3に対して当該受取開始通知を送信する(ステップS32)。
【0103】
配送ボックス3は、受取開始通知を受信したことを契機として、扉ロック部35による扉34のロックを解除する(ステップS33)。これにより、受取人は配送ボックス3に収納されていた配送物を受け取ることができる。
【0104】
なお、受取人が受取開始操作を行ってから、実際に保持装置2に保持されている配送ボックス3の前に移動するまで、ある程度の時間が掛かる場合がある。この場合、配送ボックス3が管理サーバ4からの受取開始通知に応じてすぐに扉34のロックを解除してしまうと、正当な受取人が配送ボックス3の前に到着する前に、配送ボックス3の扉34を開けられる状態となってしまう。
【0105】
このような事態を防止するため、例えば受取人が配送ボックス3の前に移動してから、操作端末5を介して配送ボックス3の解錠操作を行った場合に、配送ボックス3が扉34のロックを解除するようにしてもよい。
【0106】
このような変形例1によれば、受取人は配送ボックス3を取り外す必要が無いため、より手軽に配送システム100を利用することができる。
【0107】
<変形例2>
上述した実施の形態では、自律移動体1、保持装置2、配送ボックス3、および操作端末5の各構成間の通信には、全て管理サーバ4が介在しており、各構成間で直接的な通信を行うことは想定されていなかった。
【0108】
変形例2では、例えば自律移動体1と保持装置2とが近距離無線通信などにより直接通信できる場合の構成について説明する。
【0109】
図7は、変形例2に係る配送システム100Aのブロック図である。
図7に示す配送システム100Aでは、自律移動体1Aが第1近接通信部110および記憶部111を有する点、保持装置2が第2通信部24を有しない代わりに、玄関扉解錠情報取得部25および第2近接通信部26を有する点、管理サーバ4Aの記憶部41Aがマップ情報を記憶していない点、ならびに、操作端末5を有しない点において、上述した実施の形態の配送システム100(
図2参照)と異なっている。
【0110】
以下では、変形例2に係る配送システム100Aにおける、上述した実施の形態との相違点について説明する。
【0111】
自律移動体1Aと保持装置2Aとは、第1近接通信部110および第2近接通信部26を介して、互いに直接通信を行う。第1近接通信部110および第2近接通信部26は、例えばBluetooth(登録商標)、またはNFC(Near Field Communication)などの通信方式を利用可能である。
【0112】
また、自律移動体1Aは、記憶部111に施設のマップ情報を記憶している。これにより、自律移動体1Aは施設内の自律移動の際、管理サーバ4Aからマップ情報を取得する必要が無い。
【0113】
また、保持装置2Aは、受取人が居住する住戸または店舗の玄関扉(入口の扉)の施錠システムが解錠されたか否かを示す情報を取得する、玄関扉解錠情報取得部25を有する。
【0114】
図8は、変形例2に係る配送システム100Aの受渡し動作について説明するための図である。
【0115】
まず、自律移動体1Aは、配送物が収納された配送ボックス3を保持した状態となる(ステップS41)。
【0116】
次に、管理サーバ4Aは、自律移動体1Aに対し、配送物が収納された配送ボックス3の配送先情報を送信する(ステップS42)。管理サーバ4Aより配送先情報を受信した自律移動体1Aは、配送ボックス3を保持した状態で配送先の保持装置2Aの近傍まで移動する(ステップS43)。
【0117】
施設内を移動し、配送先となる保持装置2Aの近傍まで移動した後、自律移動体1Aは、後方センサ14から得られる距離情報などに基づいて、保持装置2Aの位置を認識する処理を行う(ステップS44)。この際、自律移動体1Aは、保持装置2Aに対して、配送ボックス3がこれから配送されることを示す予告情報を送信する。予告情報を受け取った保持装置2Aは、配送ボックス3を保持するために第2保持部21における電磁力の発生準備状態へ移行する(ステップS45)。
【0118】
そして、自律移動体1Aは、保持装置2Aに受け渡すべき配送ボックス3を保持装置2Aに接触させるように更なる移動を行う(ステップS46)。
【0119】
なお、自律移動体1Aは、保持装置2Aへの接近に伴い、配送ボックス3が保持装置2Aに接触する前に、衝撃吸収部16のロックを解除しておく。
【0120】
自律移動体1Aによる保持装置2Aへの接近移動により、保持装置2Aの第2保持面21Sと配送ボックス3の第2被吸着面32とが接触すると、第2保持面21Sに設けられた第2接触センサ22が、当該接触を検知する(ステップS47)。
【0121】
これを契機として、保持装置2Aは、第2保持部21が発生させる電磁力の強度を、予め決められた第1閾値強度以上に増大させる(ステップS48)。これにより、保持装置2Aの第2保持部21は、配送ボックス3を保持するのに十分な電磁力を発生させるので、保持装置2Aは配送ボックス3をしっかりと保持することができる。
【0122】
次に、保持装置2Aが、配送ボックス3の保持を開始したことを通知する保持開始通知を自律移動体1Aに対して送信すると、自律移動体1Aは、第2保持部21による電磁力の発生をオフにする(ステップS49)。これにより、自律移動体1Aの第1保持部15による吸着力が0になるので、自律移動体1Aから保持装置2Aへの配送ボックス3の受け渡しが完了する。
【0123】
図9は、変形例2に係る配送システム100Aの受取動作について説明するための図である。
【0124】
まず、保持装置2Aは、受取人が居住する住戸の玄関扉(または店舗の入口の扉)が解錠されたことを示す玄関扉解錠情報を受信する(ステップS51)。
【0125】
保持装置2Aは、玄関扉解錠情報の受信を契機として、第2保持部21が発生する電磁力を、予め決められた第2閾値強度まで弱める(ステップS52)。
【0126】
これにより、受取人は、住戸の玄関または店舗の入口付近に設けられた保持装置2Aから、配送ボックス3を取り外すことができる。
【0127】
一方、保持装置2から取り外された配送ボックス3は、扉ロック部35による扉34のロックを解除する(ステップS53)。これにより、受取人は配送ボックス3に収納されていた配送物を受け取ることができる。
【0128】
このように、変形例2に示す配送システム100Aにおいても、上述した実施の形態と同様に、保持装置2Aが配送ボックス3を確実に保持することができるとともに、受取人は保持装置2Aから配送ボックス3に収納された配送物を受け取ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本開示の配送システムは、配送物を配送するシステムとして有用である。
【符号の説明】
【0130】
100,100A 配送システム
1,1A 自律移動体
2,2A 保持装置
3 配送ボックス
4,4A 管理サーバ
5 操作端末
11 本体
12 走行部
13 前方センサ
14 後方センサ
15 第1保持部
16 衝撃吸収部
17 第1接触センサ
18 第1制御部
19 第1通信部
110 第1近接通信部
111 記憶部
21 第2保持部
22 第2接触センサ
23 第2制御部
24 第2通信部
25 玄関扉解錠情報取得部
26 第2近接通信部
31 第1被吸着面
32 第2被吸着面
33 ケース
34 扉
35 扉ロック部
36 第3通信部
41,41A 記憶部
42 第4通信部
51 報知部
52 操作部
53 第5通信部