(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163743
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】広告評価装置及び広告評価方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0241 20230101AFI20231102BHJP
【FI】
G06Q30/02 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074848
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 佑輔
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】広告を適切に評価すること。
【解決手段】本開示の一実施例に係る広告評価装置は、第1領域を含む第1レイアウトの広告が設置されているエリアの第1画像、及び、第1領域と同一の情報が表示される第2領域を含み、かつ、第1レイアウトの広告と異なる表示態様を持つ部分を含む第2レイアウトの広告が設置されているエリアの第2画像を取得する取得部と、第1画像中の第1人物の視線の向きに基づいて第1レイアウトの広告の中の第1視線位置を特定し、第2画像中の第2人物の視線の向きに基づいて第2レイアウトの広告の中の第2視線位置を特定する特定部と、第1視線位置が第1領域に含まれる場合、第1人物の数に基づいて第1領域の評価スコアを算出し、第2視線位置が第2領域に含まれる場合、第2人物の数に基づいて第2領域の評価スコアを算出する算出部と、第1領域の評価スコア及び第2領域の評価スコアを表示させる表示制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域を含む第1レイアウトの広告が設置されているエリアの第1画像、及び、前記第1領域と同一の情報が表示される第2領域を含み、かつ、前記第1レイアウトの広告と異なる表示態様を持つ部分を含む第2レイアウトの広告が設置されているエリアの第2画像を取得する取得部と、
前記第1画像中の第1人物の視線の向きに基づいて、前記第1レイアウトの広告の中の第1視線位置を特定し、前記第2画像中の第2人物の視線の向きに基づいて、前記第2レイアウトの広告の中の第2視線位置を特定する特定部と、
前記第1視線位置が前記第1領域に含まれる場合、前記第1人物の数に基づいて、前記第1領域の評価スコアを算出し、前記第2視線位置が前記第2領域に含まれる場合、前記第2人物の数に基づいて、前記第2領域の評価スコアを算出する算出部と、
前記第1領域の評価スコア及び前記第2領域の評価スコアを表示させる表示制御部と、
を備える広告評価装置。
【請求項2】
前記第1領域と前記第2領域とは、前記同一の情報の表示態様が異なる、
請求項1に記載の広告評価装置。
【請求項3】
前記第1レイアウトの広告と前記第2レイアウトの広告とでは、前記第1領域と前記第2領域以外の領域の表示態様が異なる、
請求項1に記載の広告評価装置。
【請求項4】
前記第1レイアウトの広告と前記第2レイアウトの広告とでは、前記第1領域と前記第2領域の表示態様は同一である、
請求項3に記載の広告評価装置。
【請求項5】
前記第1人物の属性及び前記第2人物の属性を推定する属性推定部
をさらに備え、
前記表示制御部は、前記第1視線位置が前記第1領域に含まれる第1人物及び前記第2視線位置が前記第2領域に含まれる第2人物のうち、推定された前記属性が所定の属性である人物の数に基づいて算出された前記第1領域の評価スコア及び前記第2領域の評価スコアを表示させる、
請求項1に記載の広告評価装置。
【請求項6】
前記算出部は、前記第1レイアウトの広告のいずれかの箇所に視線を向けた人物の数に基づいて、前記第1レイアウトの広告の評価スコアを算出し、前記第2レイアウトの広告のいずれかの箇所に視線を向けた人物の数に基づいて、前記第2レイアウトの広告の評価スコアを算出し、
前記表示制御部は、前記第1領域の評価スコア、前記第2領域の評価スコア、前記第1レイアウトの広告の評価スコア及び前記第2レイアウトの広告の評価スコアを表示させる、
請求項1に記載の広告評価装置。
【請求項7】
前記算出部は、前記第1レイアウトの広告に視線を向けた人物の数に基づいて、前記第1レイアウトの広告の経時的な評価スコアを算出し、前記第2レイアウトの広告に視線を向けた人物の数に基づいて、前記第2レイアウトの広告の経時的な評価スコアを算出し、
前記表示制御部は、前記第1レイアウトの広告の経時的な評価スコア及び前記第2レイアウトの広告の経時的な評価スコアを表示させる、
請求項1に記載の広告評価装置。
【請求項8】
前記経時的な評価スコアは、前記第1領域及び前記第2領域それぞれに対して、前記第1人物又は前記第2人物が視線を向けた時間の長さに基づいて算出される、
請求項7に記載の広告評価装置。
【請求項9】
前記第1レイアウトの広告及び前記第2レイアウトの広告は、それぞれ、前記第1領域又は前記第2領域以外の1以上の領域を含み、
前記経時的な評価スコアは、前記第1レイアウトの広告及び前記第2レイアウトの広告における各領域に対して、前記第1人物又は前記第2人物が視線を向けた順番に基づいて算出される、
請求項7に記載の広告評価装置。
【請求項10】
第1領域を含む第1レイアウトの広告が設置されているエリアの第1画像、及び、前記第1領域と同一の情報が表示される第2領域を含み、かつ、前記第1レイアウトの広告と異なる表示態様を持つ部分を含む第2レイアウトの広告が設置されているエリアの第2画像を取得する取得部と、
前記第1画像中の第1人物の視線の向きに基づいて、前記第1レイアウトの広告の中の第1視線位置を特定し、前記第2画像中の第2人物の視線の向きに基づいて、前記第2レイアウトの広告の中の第2視線位置を特定する特定部と、
前記第1視線位置が前記第1レイアウトの広告における第1領域に含まれる場合、前記第1人物の数に基づいて、前記第1領域の評価スコアを算出し、前記第2視線位置が、前記第1レイアウトの広告における前記第1領域と対応する位置に存在する、前記第2レイアウトの広告における第2領域に含まれる場合、前記第2人物の数に基づいて、前記第2領域の評価スコアを算出する算出部と、
前記第1レイアウトと前記第2レイアウトとのうち、前記第1領域の評価スコア及び前記第2領域の評価スコアのうち高い方の評価スコアを有するレイアウトを適用した第3レイアウトの広告を生成する生成部と、
を備える広告評価装置。
【請求項11】
前記第1レイアウトと前記第2レイアウトとでは、前記第1領域の表示態様と前記第2領域の表示態様が異なっており、
前記第3レイアウトは、前記同一の情報を、前記第1領域と前記第2領域とのうち、前記評価スコアが高い方の領域の表示態様で表示するレイアウトである、
請求項10に記載の広告評価装置。
【請求項12】
前記第1レイアウトと前記第2レイアウトとでは、前記第1領域と前記第2領域以外の領域の表示態様が異なっており、
前記第3レイアウトは、前記同一の情報を表示する領域以外の領域の表示態様を、前記第1レイアウトと前記第2レイアウトとのうち、前記第1領域の評価スコア及び前記第2領域の評価スコアのうち高い方の評価スコアを有するレイアウトの表示態様とするレイアウトである、
請求項10に記載の広告評価装置。
【請求項13】
第1領域を含む第1レイアウトの広告が設置されているエリアの第1画像、及び、前記第1領域と同一の情報が表示される第2領域を含み、かつ、前記第1レイアウトの広告と異なる表示態様を持つ部分を含む第2レイアウトの広告が設置されているエリアの第2画像を取得し、
前記第1画像中の第1人物の視線の向きに基づいて、前記第1レイアウトの広告の中の第1視線位置を特定し、前記第2画像中の第2人物の視線の向きに基づいて、前記第2レイアウトの広告の中の第2視線位置を特定し、
前記第1視線位置が前記第1領域に含まれる場合、前記第1人物の数に基づいて、前記第1領域の評価スコアを算出し、前記第2視線位置が前記第2領域に含まれる場合、前記第2人物の数に基づいて、前記第2領域の評価スコアを算出し、
前記第1領域の評価スコア及び前記第2領域の評価スコアを表示させる、
広告評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広告評価装置及び広告評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、広告コンテンツを表示する広告表示装置が知られている。近年では、多数の人が集まる場所(例えば、駅、デパート、アミューズメント施設等)や店舗に大型の表示装置を設置し、この表示装置に広告を表示するデジタルサイネージが注目されている。また、例えば特許文献1及び2には、広告の効果を評価するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-193481号公報
【特許文献2】特開2020-144841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献に記載された技術では、視線検出を行って、人物の視線が広告に向いているかどうかを判定している。特許文献1に記載された技術では、視線を利用して、人物が広告全体を見ているかどうかを判定しているに過ぎず、広告を構成するパーツを見ているかどうかを判定していない。また、特許文献2に記載された技術では、視線を利用して、人物が広告を構成するパーツのどこに興味を持ったかを判定しているが、広告のレイアウト等をどのように変更すれば広告主が着目して欲しい部分に興味を持たせることができるのかを推定することはできない。このように、視線を利用した広告の評価に関しては検討の余地がある。
【0005】
本開示の非限定的な実施例は、広告を適切に評価することができる広告評価装置及び広告評価方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例に係る広告評価装置は、第1領域を含む第1レイアウトの広告が設置されているエリアの第1画像、及び、前記第1領域と同一の情報が表示される第2領域を含み、かつ、前記第1レイアウトの広告と異なる表示態様を持つ部分を含む第2レイアウトの広告が設置されているエリアの第2画像を取得する取得部と、前記第1画像中の第1人物の視線の向きに基づいて、前記第1レイアウトの広告の中の第1視線位置を特定し、前記第2画像中の第2人物の視線の向きに基づいて、前記第2レイアウトの広告の中の第2視線位置を特定する特定部と、前記第1視線位置が前記第1領域に含まれる場合、前記第1人物の数に基づいて、前記第1領域の評価スコアを算出し、前記第2視線位置が前記第2領域に含まれる場合、前記第2人物の数に基づいて、前記第2領域の評価スコアを算出する算出部と、前記第1領域の評価スコア及び前記第2領域の評価スコアを表示させる表示制御部と、を備える。
【0007】
本開示の一実施例に係る広告評価装置は、第1領域を含む第1レイアウトの広告が設置されているエリアの第1画像、及び、前記第1領域と同一の情報が表示される第2領域を含み、かつ、前記第1レイアウトの広告と異なる表示態様を持つ部分を含む第2レイアウトの広告が設置されているエリアの第2画像を取得する取得部と、前記第1画像中の第1人物の視線の向きに基づいて、前記第1レイアウトの広告の中の第1視線位置を特定し、前記第2画像中の第2人物の視線の向きに基づいて、前記第2レイアウトの広告の中の第2視線位置を特定する特定部と、前記第1視線位置が前記第1レイアウトの広告における第1領域に含まれる場合、前記第1人物の数に基づいて、前記第1領域の評価スコアを算出し、前記第2視線位置が、前記第1レイアウトの広告における前記第1領域と対応する位置に存在する、前記第2レイアウトの広告における第2領域に含まれる場合、前記第2人物の数に基づいて、前記第2領域の評価スコアを算出する算出部と、前記第1レイアウトと前記第2レイアウトとのうち、前記第1領域の評価スコア及び前記第2領域の評価スコアのうち高い方の評価スコアを有するレイアウトを適用した第3レイアウトの広告を生成する生成部と、を備える。
【0008】
本開示の一実施例に係る広告評価方法は、第1領域を含む第1レイアウトの広告が設置されているエリアの第1画像、及び、前記第1領域と同一の情報が表示される第2領域を含み、かつ、前記第1レイアウトの広告と異なる表示態様を持つ部分を含む第2レイアウトの広告が設置されているエリアの第2画像を取得し、前記第1画像中の第1人物の視線の向きに基づいて、前記第1レイアウトの広告の中の第1視線位置を特定し、前記第2画像中の第2人物の視線の向きに基づいて、前記第2レイアウトの広告の中の第2視線位置を特定し、前記第1視線位置が前記第1領域に含まれる場合、前記第1人物の数に基づいて、前記第1領域の評価スコアを算出し、前記第2視線位置が前記第2領域に含まれる場合、前記第2人物の数に基づいて、前記第2領域の評価スコアを算出し、前記第1領域の評価スコア及び前記第2領域の評価スコアを表示させる。
【0009】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一実施例によれば、人物の視線に基づいて、複数のレイアウトの広告の各広告の中の視線位置が特定され、視線位置を含む領域の評価スコアが算出及び表示されるようになるので、それらの広告同士の相対的な評価の比較が可能となり、広告を適切に評価することができる。
【0011】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施の形態に係る広告配信システムの構成例を示すブロック図
【
図2A】本開示の実施の形態に係るデジタルサイネージ装置の外観の一部の例を示す図
【
図2B】本開示の実施の形態に係るデジタルサイネージ装置の構成例を示すブロック図
【
図3】本開示の実施の形態に係る広告評価装置の構成例を示すブロック図
【
図4】本開示の実施の形態に係る、広告を評価するために使用されるデータテーブル及びデータの例を示す図
【
図5】本開示の実施の形態に係る、広告評価装置の分析部による分析の例を示すフローチャート
【
図6】本開示の実施の形態に係る、広告評価装置の分析部による分析の例を示すフローチャート
【
図7】本開示の実施の形態に係る、分析結果の表示の例を示す図
【
図8】本開示の実施の形態に係る、広告評価装置の分析部による分析の例を示すフローチャート
【
図9】本開示の実施の形態に係る、分析結果の表示の例を示す図
【
図10】本開示の実施の形態に係る、広告配信システムの動作例を示すフローチャート
【
図11】本開示の実施の形態に係る、
図10に示す処理において使用されるデータテーブル及びデータの例を示す図
【
図12】本開示の実施の形態に係るコンピュータのハードウェア構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0014】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0015】
(実施の形態)
<広告配信システムの構成>
図1は、本開示の実施の形態に係る広告配信システム1の構成例を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、広告配信システム1は、デジタルサイネージ装置10と広告評価装置20とを含む。デジタルサイネージ装置10と広告評価装置20とは、有線又は無線のネットワーク30を介して接続される。
【0017】
デジタルサイネージ装置10は、例えば、駅、デパート、アミューズメント施設、店舗等に設置され、各種広告(広告デザイン、広告コンテンツとも称される)を表示する。広告は、例えば、画像データの形で表示される。デジタルサイネージ装置10は、表示装置、カメラ及び各種センサを備える。デジタルサイネージ装置10は、カメラ及び各種センサによってそれぞれ取得された画像(静止画像及び動画像を含む)及びセンサ情報(環境情報とも称される)を、ネットワーク30を介して広告評価装置20に送信する。デジタルサイネージ装置10は、ネットワーク30を介して広告評価装置20から送信された広告を受信し、表示装置において、受信した広告を表示する。
【0018】
広告評価装置20は、デジタルサイネージ装置10から送信された画像及びセンサ情報を受信し、受信した画像、センサ情報等を用いて、デジタルサイネージ装置10が表示していた広告の分析を行う。例えば、広告評価装置20によって行われる分析には、広告(全体)の視線集中度の算出、広告を構成するパーツ(領域)の視線集中度の算出等が含まれる。視線集中度の詳細については後述する。広告評価装置20は、広告を、例えば画像データの形で生成し、ネットワーク30を介してデジタルサイネージ装置10に送信する。広告評価装置20は、分析装置、情報処理装置、コンピュータ、サーバ(装置)等と称されてもよい。
【0019】
図1において、1つのデジタルサイネージ装置10及び1つの広告評価装置20が図示されているが、複数のデジタルサイネージ装置10が存在してもよく、複数の広告評価装置20が存在してもよい。
【0020】
<デジタルサイネージ装置の構成>
図2Aは、デジタルサイネージ装置10の外観の一部の例を示す図であり、
図2Bは、デジタルサイネージ装置10の構成例を示すブロック図である。
【0021】
図2A及び
図2Bに示すように、デジタルサイネージ装置10は、表示部(ディスプレイ、モニタ等)11と、撮影部(カメラ(撮影装置、撮像装置)等;撮像部と称されてもよい)12と、検知部(センサ等)13と、制御部(プロセッサ、コントローラ等)14と、記憶部(記憶装置等)15と、通信部(通信(ネットワーク)インタフェース、通信(ネットワーク)カード等)16と、を備える。なお、
図2Aにおいて、撮影部12及び検知部13は、分かりやすくするために誇張されて図示されているが、撮影部12及び検知部13の態様は、図示される態様に限定されるものではない。
【0022】
表示部11は、制御部14から入力された画像データを表示する。画像データは、広告デザインであってよい。
【0023】
撮影部12は、デジタルサイネージ装置10の前方のエリアを撮影して撮影画像(以下、単に画像と呼ぶ)を取得し、取得した画像を、画像を取得した時間とともに制御部14に出力する。
【0024】
検知部13は、温度センサ、照度センサ、湿度センサ等を含み、温度、照度、湿度等の環境情報を取得し、取得した環境情報を、環境情報を取得した時間とともに制御部14に出力する。
【0025】
制御部14は、デジタルサイネージ装置10(の各構成要素)の動作を制御する。制御部14は、広告評価装置20から通信部16を介して受信した画像データ(広告デザイン)を表示部11に出力する。制御部14は、撮影部12から入力された画像及び時間を、記憶部15に出力する(記憶させる、書き込む)とともに、通信部16を介して広告評価装置20に送信する。制御部14は、検知部13から入力された環境情報及び時間を、記憶部15に出力するとともに、通信部16を介して広告評価装置20に送信する。
【0026】
記憶部15は、デジタルサイネージ装置10が動作するのに必要なデータ、プログラム等を記憶する。記憶部15はまた、画像データ(広告デザイン)と撮影部12によって取得された画像及び時間と検知部13によって取得された環境情報及び時間とを記憶する。
【0027】
通信部16は、広告評価装置20からネットワーク30を介して画像データを受信する。通信部16は、ネットワーク30を介して、撮影部12によって取得された画像及び時間と検知部13によって取得された環境情報及び時間とを広告評価装置20に送信する。
【0028】
図2Bにおいて、記憶部15への書き込み(出力、記憶)及び記憶部15からの読み出し(入力)は、制御部14を介して行われるように図示されているが、制御部14を介することなく、表示部11等の、デジタルサイネージ装置10の他の構成要素によって直接行われてもよい。
【0029】
<広告評価装置の構成>
図3は、広告評価装置20の構成例を示すブロック図である。
【0030】
図3に示すように、広告評価装置20は、制御部(プロセッサ、コントローラ等)21と、記憶部(記憶装置等)22と、通信部(通信(ネットワーク)インタフェース、通信(ネットワーク)カード等)23と、表示部(ディスプレイ、モニタ等)24と、を備える。
【0031】
制御部21は、広告評価装置20(の各構成要素)の動作を制御する。制御部21は、広告評価装置20から通信部16を介して受信した、撮影部12によって取得された画像、検知部13によって取得された環境情報等に基づいて、デジタルサイネージ装置10が表示していた広告デザインを分析する。制御部21は、複数の広告デザインの分析結果に基づいて、視線集中度が上がるように、広告デザインを構成するパーツ(領域)を組み合わせた広告デザインを決定及び生成する。制御部21は、入出力部211と、分析部212と、デザイン決定部213と、を含む。
【0032】
入出力部211は、通信部23から入力された、撮影部12によって取得された画像及び時間と検知部13によって取得された環境情報及び時間とを記憶部15に出力する。入出力部211は、分析部212によって処理又は生成された情報又はデータ(例えば、後述する
図4に示すデータ、視線集中度等)を記憶部15に出力する。入出力部211は、記憶部15に記憶されている撮影部12によって取得された画像及び環境情報を、例えば時系列に、分析部212に出力する。入出力部211は、デザイン決定部213によって生成された広告デザイン(画像データ)を記憶部15に出力し、デザイン決定部213によって生成された又は記憶部15に記憶されている広告デザインを通信部23に出力する。入出力部211は、分析部212によって生成された又は記憶部15に記憶されている視線集中度と、記憶部15に記憶されている広告デザインと、を表示部24に出力する。
【0033】
分析部212は、記憶部15に記憶されている、撮影部12によって取得された画像に基づいて、デジタルサイネージ装置10の前方に存在する人物の顔画像を認識して各人物を特定し、認識した顔画像から人物の視線の向き及び眼の位置を抽出する。ここで、各人物の特定は、少なくとも同一人物か異なる人物であるかが特定できればよい。広告の効果を計測する目的では、各人物の氏名等の個人情報まで特定する必要はないためである。ただし、各人物の属性情報を分析に使用する場合は、各人物の個人情報を特定し、その個人情報に含まれる属性情報を利用する構成としてもよい。その際に、分析部212は、特定した人物を識別するための識別情報(人物ID)をその人物に付与する。分析部212は、抽出した人物の視線の向き及び眼の位置と、デジタルサイネージ装置10が表示していた広告デザインと、に基づいて、広告デザインの中の、その人物が見ていた部分(視線位置又は視線位置座標と呼ぶ)を特定する。なお、分析部212は、デジタルサイネージ装置10が備える撮影部12によって撮影される画像の位置(座標)からの視線の向きと広告デザインの位置(座標)との対応関係を事前に把握しておくことで、その人物が見ていた部分を特定する。
【0034】
分析部212は、その人物の顔画像及び既存の属性推定技術に基づいて、その人物の属性(性別、年齢等)を推定する。例えば、分析部212は、機械学習モデルを用いて、人物の属性を推定することができる。この場合、分析部212は、例えば顔画像をモデルに入力し、性別、年齢等の属性を正解データとして機械学習モデルを学習させておく。
【0035】
分析部212は、記憶部15に記憶されている、撮影部12によって取得された画像、並びに、既存の顔検出技術及び顔追跡技術に基づいて、その人物がその部分を見ていた時間を算出する。例えば、分析部212は、画像から顔検出を行い、顔検出の結果得られた顔の位置の画像フレーム間の関係から、画像フレームの連続性に基づいて人物の同一性の判定を行い、同一人物の顔を追跡することにより、その人物がその部分を見ていた時間を算出する。
【0036】
分析部212は、入出力部211を介して、画像が取得された日時、その人物の人物ID、その人物の属性、視線位置、その部分を見ていた秒数、広告デザインの識別情報(広告デザインID)、その広告デザインを表示していたデジタルサイネージ装置10の設置場所の識別情報(設置場所ID)、その日時及び設置場所における天気、気温、照度等を、記憶部22に出力する。これらの情報又はデータは、例えば、
図4に示すようなデータテーブル又はデータベース400の形で記憶部22に記憶される。天気は、ネットワーク30を介して、天候情報を提供するサービスプロバイダから取得可能であり、気温及び照度は、デジタルサイネージ装置10が備える検知部13から取得可能である。
【0037】
分析部212は、上述した処理を、デジタルサイネージ装置10ごとに並列に実行してもよい。
【0038】
分析部212は、
図4に示すようなデータに基づいて、広告デザインの視線集中度及び広告デザインにおける領域(パーツ)の視線集中度を算出する。ここで、広告デザインの視線集中度とは、(ある期間において)広告デザインを見た人物の数と撮影部12によって取得された画像に映っていた人物の数(通行人数)との比を指し、広告デザインにおける領域の視線集中度とは、(ある期間において)領域を見た人物の数と広告デザインを見た人物の数との比を指す。すなわち、広告デザインの視線集中度は、広告デザインを見た人物の数/撮影部12によって取得された画像に映っていた人物の数(通行人数)であり、広告デザインにおける領域の視線集中度は、領域を見た人物の数/広告デザインを見た人物の数である。視線集中度は、本開示に係る(広告)評価スコア、(広告)効果スコア、(広告)評価情報、(広告)効果情報等の一例である。
【0039】
分析部212は、ユーザによる広告評価装置20が備える入力装置に対する入力(ユーザ入力、ユーザ指示、ユーザ要求)に応じて、分析した分析結果(視線集中度等)を表示部24に出力する。この際に、分析部212は、分析結果とともに、分析対象の広告デザインを表示部24に表示させるように制御する。分析結果及び広告デザインは、リモートのユーザによるリモート装置(図示せず;パーソナルコンピュータ、タブレット等)が備える入力装置(図示せず)に対する入力に応じて、ウェブブラウザ又は専用ソフトウェアで表示されてもよい。この場合も、分析部212は、分析結果とともに、分析対象の広告デザインをリモート装置の表示部(図示せず)に表示させるように制御する。
【0040】
分析部212は、デザイン決定部213による広告デザインの決定及び生成のために、
図4に示すようなデータに基づいて、複数のレイアウトの広告デザインにおける領域の視線集中度を算出し、入出力部211を介して、算出した領域の視線集中度を記憶部22に出力する。
【0041】
デザイン決定部213は、例えばユーザによって選択された広告デザインを、デジタルサイネージ装置10に送信する広告デザインとして決定し、通信部23を介して、その広告デザインをデジタルサイネージ装置10に送信する。また、デザイン決定部213は、記憶部22に記憶されている領域の視線集中度に基づいて、視線集中度が上がるように、領域の候補デザインパターン(以下、単にパターンと呼ぶ)を組み合わせた1つ以上の広告デザインを決定及び生成する。そして、デザイン決定部213は、決定及び生成した広告デザインを、入出力部211を介して記憶部22に出力するとともに、通信部23を介してデジタルサイネージ装置10に送信する。
【0042】
記憶部22は、広告評価装置20が動作するのに必要なデータ、プログラム等を記憶する。記憶部22はまた、広告デザインと、デジタルサイネージ装置10から送信された、撮影部12によって取得された画像及び時間と、検知部13によって取得された環境情報及び時間と、を記憶する。記憶部22はまた、
図4に示すようなデータを記憶する。記憶部22はまた、広告デザインの視線集中度及び広告デザインにおける領域の視線集中度を記憶する。
【0043】
通信部23は、デジタルサイネージ装置10からネットワーク30を介して、撮影部12によって取得された画像及び時間と、検知部13によって取得された環境情報及び時間と、を受信し、これらを入出力部211に出力する。通信部23は、ネットワーク30を介して広告デザインをデジタルサイネージ装置10に送信する。
【0044】
表示部24は、分析部212による分析結果及び分析対象の広告デザインを表示する。
【0045】
図3において、記憶部22への書き込み(出力、記憶)及び記憶部22からの読み出し(入力)は、制御部21を介して行われるように図示されているが、制御部21を介することなく、表示部24等の、広告評価装置20の他の構成要素によって直接行われてもよい。
【0046】
通信部23、制御部21、入出力部211又は分析部212は、本開示に係る取得部の例である。分析部212は、本開示に係る特定部、算出部、表示制御部及び属性推定部の例である。デザイン決定部213は、本開示に係る生成部の例である。
【0047】
<広告配信システムの動作>
[分析例]
次に、
図4に示すようなデータを用いた、分析部212による分析例について説明する。
【0048】
図5は、分析部212による分析の例を示すフローチャートである。当該分析は、広告デザインの視線集中度を算出する例である。例えば、ユーザは、広告評価装置20又はリモート装置が備える入力装置に対して、分析を行う対象の日時及び広告デザイン(の識別情報)を入力し、当該分析を行うことを指示するボタンを押下することで、広告評価装置20(分析部212)に当該分析を行わせることができる。
【0049】
ステップS501において、分析部212は、
図4に示すようなデータテーブル400から、対象とする日時で対象とする広告デザイン(広告デザインID)のレコードを抽出する。
【0050】
ステップS502において、分析部212は、ステップS501において抽出されたレコードから、通行人数を取得する。通行人数は、抽出されたレコードにおいてユニークな人物IDの数であってよい。
【0051】
ステップS503において、分析部212は、通行人のうち広告デザインを見た人物の数を取得する。広告デザインを見た人物の数は、ステップS501において抽出されたレコードのうち、ユニークな人物IDであり、かつ、見ていた時間に秒数のデータが存在するレコードの数であってよい。
【0052】
ステップS504において、分析部212は、ステップS503において取得された人物の数を、ステップS502において取得された通行人数で除算することにより、広告デザインの視線集中度を算出する。
【0053】
分析部212は、例えばユーザによって入力された広告デザインが複数存在すれば広告デザインごとに、
図5に示す処理を実行する。
【0054】
分析部212は、
図5に示す処理を実行した後、記憶部22に記憶されている分析対象の広告デザインと算出された広告デザインの視線集中度とを、表示部24又はリモート装置の表示部に一緒に表示させるように制御することができる。
【0055】
なお、本フローにおけるステップの順番は、図示する順番に限定されるものではない。例えば、ステップS502とステップS503とは逆であってもよい。
【0056】
図6は、分析部212による分析の別の例を示すフローチャートである。当該分析は、複数の広告デザインにおける領域(パーツ)を比較するために領域の視線集中度を算出する例である。例えば、ユーザは、広告評価装置20又はリモート装置が備える入力装置に対して、分析を行う対象の日時及び広告デザイン(の識別情報)を入力し、当該分析を行うことを指示するボタンを押下することで、広告評価装置20(分析部212)に当該分析を行わせることができる。なお、本実施の形態では、視線集中度の算出対象とする領域は、各広告デザインにおいて同一の情報を表示する領域であることを想定している。このようにすることで、例えば、ある広告デザインにおける商品名の領域の視線集中度と、他の広告デザインにおける商品名の領域の視線集中度とを比較することができるので、各広告デザインにおける商品名へ注目度の違いを評価することができる。また、本実施の形態では、各広告デザインは少なくとも一部が互いに異なっていることを想定している。これは、完全に同一のデザインの広告同士を比較した場合、比較結果が広告デザインの違いよりも周囲の環境の違いに影響を受けやすくなり、広告デザインの評価としては不向きな結果となるためである。ここで、広告デザイン間で異ならせる部分は、視線集中度の算出対象とする領域であってもよい。この場合、この領域の表示態様を広告デザイン間で異ならせればよい。具体的には、情報を表示する色、大きさ、位置等の少なくとも1つを異ならせることが考えられる。また、表示する情報が文字情報である場合には書体等、他の表示態様を異ならせてもよい。また、広告デザイン間で異ならせる部分は視線集中度の算出対象とする領域とは異なる領域であってもよい。仮に同一の情報が同一の態様で表示されていたとしても、その周囲の表示態様の違いによって、その情報に対する注目度は変化し得るためである。具体的には、同一の商品名が同一の位置に同一の色(例えば赤色)で表示されていたとしても、他の領域が青を基調としたデザインであるか赤を基調としたデザインであるかによって、その情報が注目され易くなるか否かが変化する。したがって、この場合も、視線集中度の違いを評価することによって、特定の情報が表示されている領域が狙い通りに注目されているか否かを推定することができる。
【0057】
ステップS601において、分析部212は、比較する広告デザインの領域の矩形座標を定義する。例えば、この(矩形)領域は、ユーザによって事前に入力及び設定されてよい。また、各広告デザインを構成する領域に共通の属性情報(例えば、「商品名」、「連絡先」等)が対応付けられている場合は、この属性情報に基づいて、領域を指定してもよい。例えば、ある広告デザインでユーザが指定した領域に対応する属性情報を持つ領域を他の広告デザインの中から特定し、その領域を自動的に指定するようにしてもよい、また、ユーザが所望の属性情報を指定すると、各広告デザインにおいて、その属性情報に対応する領域が自動的に指定されるようにしてもよい。
【0058】
ステップS602において、分析部212は、
図4に示すようなデータテーブル400から、対象とする日時で対象とする広告デザイン(広告デザインID)のレコードを抽出する。
【0059】
ステップS603において、分析部212は、ステップS602において抽出されたレコードから、広告デザインを見た人物の数を取得する。広告デザインを見た人物の数は、ステップS602において抽出されたレコードのうち、ユニークな人物IDであり、かつ、見ていた時間に秒数のデータが存在するレコードの数であってよい。
【0060】
ステップS604において、分析部212は、ステップS602において抽出されたレコードから、視線位置が領域内にある人物の数を取得する。視線位置が領域内にある人物の数は、ステップS602において抽出されたレコードのうち、ユニークな人物IDであり、かつ、視線位置座標が、ステップS601において定義された矩形座標内にあるレコードの数であってよい。
【0061】
ステップS605において、分析部212は、ステップS604において取得された人物の数を、ステップS603において取得された人物の数で除算することにより、広告デザインにおける領域の視線集中度を算出する。
【0062】
分析部212は、比較する広告デザインのそれぞれについて、例えばユーザによって事前に入力及び設定された(矩形)領域が複数存在すれば(矩形)領域ごとに、
図6に示す処理を実行する。
【0063】
分析部212は、
図6に示す処理を実行した後、記憶部22に記憶されている分析対象の広告デザインと算出された広告デザインにおける領域の視線集中度とを、表示部24又はリモート装置の表示部に一緒に表示させるように制御することができる。
【0064】
なお、本フローにおけるステップの順番は、図示する順番に限定されるものではない。例えば、ステップS603とステップS604とは逆であってもよい。
【0065】
図7は、
図6に示す処理に基づく分析結果の表示の例を示す図である。
図7は、第1広告デザイン(デザインX)と第2広告デザイン(デザインY)とを比較した例を示す。デザインXは、本開示に係る第1レイアウトの広告の例であり、デザインYは、本開示に係る第2レイアウトの広告の例である。
【0066】
分析結果の表示には、デザインXにおける吹き出し部分71の視線集中度(80)と、デザインXにおける告知部分72の視線集中度(30)と、デザインYにおける吹き出し部分73の視線集中度(80)と、デザインYにおける告知部分74の視線集中度(20)と、が含まれる。
【0067】
この例によれば、デザインX、Yにおける吹き出し部分71、73の視線集中度が、いずれも80であり、デザインX、Yにおける告知部分72、74の視線集中度よりもはるかに高くなっていることから、広告デザインの配置よりも内容の方が注目されていることが分かる。これにより、ユーザは、広告デザインの配置にはそれほど気を配らなくてもよいと分析することができる。
【0068】
以上、広告評価装置20は、複数の広告デザインにおける領域の視線集中度を算出し、これらの視線集中度を表示させるので、複数の広告デザイン同士の相対的な評価の比較が可能となり、広告を適切に評価することができる。また、ユーザは、視線集中度が高い領域のデザインパターンを選択することで、訴求力の高い配置・内容の広告デザインを作成できるようになる。
【0069】
なお、
図6に示す処理が実行される場合、
図5に示す処理が実行されてもよい。すなわち、複数の広告デザインにおける領域を比較する場合、分析部212は、領域の視線集中度だけでなく、広告デザインの視線集中度を算出し、広告デザインの視線集中度も表示部24又はリモート装置の表示部に一緒に表示させるように制御してもよい。これにより、ユーザは、広告デザインの視線集中度の差に寄与している領域を特定することができる。
【0070】
図8は、分析部212による分析のさらに別の例を示すフローチャートである。当該分析は、複数の広告デザインの視線集中度を時系列に算出する例である。例えば、ユーザは、広告評価装置20又はリモート装置が備える入力装置に対して、分析を行う対象の日時、時間粒度及び広告デザイン(の識別情報)を入力し、当該分析を行うことを指示するボタンを押下することで、広告評価装置20(分析部212)に当該分析を行わせることができる。
【0071】
ステップS801において、分析部212は、視線集中度の時系列データを表示する期間(表示期間;分析を行う対象の日時)及び時間粒度を設定する。時間粒度は、視線集中度を算出する時間の単位である。例えば、表示期間及び時間粒度は、ユーザによって入力及び設定されてよい。一例として、表示期間は2022年4月1日~2022年4月4日に設定され、時間粒度は1時間に設定されたものとする。
【0072】
ステップS802において、分析部212は、集計対象期間T(表示期間の始めから時間粒度分の期間)を設定する。この例では、集計対象期間Tは、2022年4月1日0時00分~0時59分59秒である。
【0073】
ステップS803において、分析部212は、
図4に示すようなデータテーブル400から、集計対象期間で対象とする広告デザイン(広告デザインID)のレコードを抽出する。
【0074】
ステップS804において、分析部212は、ステップS803において抽出されたレコードから、通行人数を取得する。通行人数は、抽出されたレコードにおいてユニークな人物IDの数であってよい。
【0075】
ステップS805において、分析部212は、通行人のうち広告デザインを見た人物の数を取得する。広告デザインを見た人物の数は、ステップS803において抽出されたレコードのうち、ユニークな人物IDであり、かつ、見ていた時間に秒数のデータが存在するレコードの数であってよい。
【0076】
ステップS806において、分析部212は、ステップS805において取得された人物の数を、ステップS804において取得された通行人数で除算することにより、広告デザインの視線集中度を算出する。
【0077】
ステップS807において、分析部212は、集計対象期間Tを、現在の集計対象期間Tから時間粒度(1時間)だけ後ろに設定する。そして、ステップS807において新たに設定された集計対象期間Tが表示期間内にあれば、ステップS803~S807が繰り返され、集計対象期間Tが表示期間内になければ、フローは終了する。
【0078】
分析部212は、例えばユーザによって入力された広告デザインが複数存在すれば広告デザインごとに、
図8に示す処理を実行する。
【0079】
分析部212は、算出された広告デザインの時系列の視線集中度を、例えば折れ線グラフ形式で描画することができ、当該グラフを表示部24又はリモート装置の表示部に一緒に表示させるように制御することができる。
【0080】
なお、本フローにおけるステップの順番は、図示する順番に限定されるものではない。例えば、ステップS804とステップS805とは逆であってもよい。
【0081】
図9は、
図8に示す処理に基づく分析結果の表示の例を示す図である。
図9は、第3広告デザイン(デザインA)と第4広告デザイン(デザインB)とを比較した例を示す。デザインAは、本開示に係る第1レイアウトの広告の例であり、デザインBは、本開示に係る第2レイアウトの広告の例である。
【0082】
分析結果の表示には、デザインA及びデザインBの視線集中度の時系列データ(折れ線グラフ)が含まれる。
【0083】
この例によれば、曜日及び時間帯によらずデザインAの視線集中度がデザインBの視線集中度よりも高いことから、デザインBよりもデザインAの方が注目されていることが分かる。これにより、ユーザは、デザインBの方が広告の効果が高いと分析することができる。
【0084】
以上、広告評価装置20は、複数の広告デザインの視線集中度を算出し、これらの視線集中度を時系列に表示させるので、複数の広告デザイン同士の時間帯に応じた細かな相対的な評価の比較が可能となり、広告を適切に評価することができる。
【0085】
[デザイン決定]
次に、デザイン決定部213による広告デザインの決定例について説明する。
【0086】
図10は、デザイン決定部213による広告デザインの決定を含む、広告配信システム1の動作例を示すフローチャートである。当該動作は、広告デザインにおける領域の(パターンの)視線集中度に基づいて、最終的に表示する広告デザインを決定する例である。例えば、ユーザは、広告評価装置20又はリモート装置が備える入力装置に対して、各領域のパターンを設定する指示、後述する値N、M、画像等を収集する期間等を入力し、当該動作を行うことを指示するボタンを押下することで、広告評価装置20(分析部212)に当該動作を行わせることができる。
【0087】
ステップS1001において、広告評価装置20のデザイン決定部213は、広告デザインにおける領域ごとに1つ以上のパターンを設定する。領域のパターンは、ユーザによって入力及び設定されてよい。
【0088】
ステップS1002において、デザイン決定部213は、ステップS1001において設定されたパターンをランダムに組み合わせた複数の(レイアウトの)広告デザインを生成してデジタルサイネージ装置10に送信する。なお、1つの広告デザインが1つのデジタルサイネージ装置10に送信されてもよいし、複数の広告デザインが1つのデジタルサイネージ装置10に送信されてもよい。
【0089】
ステップS1003において、デジタルサイネージ装置10の表示部11は、受信した広告デザインを表示する。
【0090】
ステップS1004において、デジタルサイネージ装置10の通信部16が、デジタルサイネージ装置10の撮影部12及び検知部13によってそれぞれ取得された画像及び環境情報を広告評価装置20に送信することにより、広告評価装置20は、画像及び環境情報を収集する。画像及び環境情報の収集は、例えばユーザによって入力及び設定された期間の間、継続的に行われる。
【0091】
ステップS1002又はステップS1003が実行されてから、例えばユーザによって入力及び設定された期間が経過した後、ステップS1005において、広告評価装置20の分析部212は、各広告デザインを分析する。より具体的には、分析部212は、
図5及び
図6を参照して説明したように、各広告デザインの視線集中度及び各広告デザインにおける各領域の視線集中度を算出する。
【0092】
ステップS1006において、デザイン決定部213は、ステップS1005における分析の結果に基づいて、視線集中度が上がるようにパターンを組み合わせた広告デザインを決定及び生成してデジタルサイネージ装置10に送信する。より具体的には、デザイン決定部213は、ステップS1002において生成された複数の広告デザインのうち視線集中度が高い上位N個の広告デザインについて、各領域につき、共通するM個のパターンを抽出する。そして、デザイン決定部213は、各領域につき抽出されたM個のパターンをランダムに組み合わせた1つ以上の広告デザインを生成してデジタルサイネージ装置10に送信する。
【0093】
ステップS1007において、デジタルサイネージ装置10は、受信した広告デザインを表示する。
【0094】
なお、最終的に1つの広告デザインが決定及び生成されるように、ステップS1007の後、ステップS1004~S1006が繰り返されてもよい。この場合、N及びMの値は、段階的に少なくなるようにユーザによって設定されてもよい。あるいは、ステップS1007において、デザイン決定部213は、1つの広告デザインのみを決定及び生成してもよい。
【0095】
図11は、
図10に示す処理において使用されるデータテーブル1100及びデータの例を示す図である。
【0096】
図11に示すように、データテーブル1100は、
図10のステップS1001、S1002及びS1006で使用される、領域ごとの複数のパターンを示すデータを格納している。一例として、領域ID=0001である領域(0,0)~(100,20)については、3つの色のパターンが規定されており、領域ID=0002である領域(0,10)~(100,20)については、2つの吹き出しの形のパターンが規定されている。
【0097】
以上、広告評価装置20は、複数の広告デザインにおける領域の視線集中度を算出することで、広告を適切に評価することができ、視線集中度が上がるように領域のパターンを組み合わせることにより、より効果の高い広告デザインを決定及び生成することができる。
【0098】
<変形例>
[広告]
上記では、デジタルサイネージ装置10によって表示されるデジタル広告を分析する例について説明したが、本開示はこの例に限定されるものではない。デジタル広告の代わりに、紙等に印刷された広告を看板等に貼り付け、看板等に設置された撮影部(カメラ)が、その前方のエリアを撮影して撮影画像を広告評価装置20に送信し、看板等に設置された検知部(センサ)が、環境情報を広告評価装置20に送信してもよい。この場合、広告評価装置20は、看板等に設置された撮影部(カメラ)によって撮影される画像の位置(座標)からの視線の向きと広告デザインの位置(座標)との対応関係を事前に把握しておく。
【0099】
[分析]
分析部212は、データテーブル400の列のフィールドに格納されたデータに応じた条件で、広告デザインを分析することもできる。
【0100】
例えば、分析の対象としてユーザによって性別、年齢等の属性が設定された場合、分析部212は、属性に応じて広告デザインを分析することができる。例えば、分析の対象としてユーザによって男性が設定された場合、
図5のステップS501、
図6のステップS602、
図8のステップS803等において、性別が男性であることをさらなる条件としてレコードを抽出すればよい。同様に、例えば、分析の対象としてユーザによって40代以上の女性が設定された場合、
図5のステップS501、
図6のステップS602、
図8のステップS803等において、性別が女性であり、かつ、年齢が40代以上であることをさらなる条件としてレコードを抽出すればよい。このようにすることで、ターゲットとなる属性に応じて、広告を適切に評価することができる。
【0101】
また、例えば、分析の対象としてユーザによって天気が設定された場合、分析部212は、天気に応じて広告デザインを分析することができる。例えば、分析の対象としてユーザによって晴れ、曇り及び雨が設定された場合、
図5のステップS501、
図6のステップS602、
図8のステップS803等において、天気がそれぞれ晴れ、曇り及び雨であることをさらなる条件としてレコードを抽出すればよい。さらに、
図5に示す処理及び
図6に示す処理において、同じ広告デザインを設定することにより、天気による視線集中度の違いを分析することができる。
【0102】
また、例えば、分析の対象としてユーザによって曜日が設定された場合、分析部212は、曜日に応じて広告デザインを分析することができる。例えば、分析の対象としてユーザによって月曜日~日曜日が設定された場合、
図5のステップS501、
図6のステップS602、
図8のステップS803等において、日時がそれぞれ月曜日~日曜日に属することをさらなる条件としてレコードを抽出すればよい。さらに、
図5に示す処理及び
図6に示す処理において、同じ広告デザインを設定することにより、曜日による視線集中度の違いを分析することができる。
【0103】
また、例えば、分析の対象としてユーザによって設置場所(ID)、気温及び/又は照度が設定された場合、上記と同様に、分析部212は、場所、気温及び/又は照明等に応じて広告デザインを分析することができる。また、上記と同様に、
図5に示す処理及び
図6に示す処理において、同じ広告デザインを設定することにより、場所、気温及び/又は照明等、広告(デジタルサイネージ装置、看板等)が設置されている環境による視線集中度の違いを分析することができる。
【0104】
また、例えば、分析部212は、各人物の視線位置を追跡することにより、各人物が見ていた部分を時系列に分析することができる。例えば、分析の対象として、ユーザによって、特定の期間、特定の広告デザイン及び人物の視線の時系列変化が設定された場合、分析部212は、特定の期間について、特定の広告デザインの中で、人物(ID)ごとに抽出された視線位置に対応する部分に存在するデザインを、表示部24又はリモート装置の表示部に時系列に表示させるように制御することができる。その際に、分析部212は、見ていた時間(例えば、秒数)も表示部24又はリモート装置の表示部に表示させるように制御することができる。これにより、ユーザは、広告デザインの中でアピールしたい部分が例えば最初に見られているかどうかを分析することができる。また、ユーザは、見られた順番の傾向に沿って広告デザインを配置させることができる。また、ユーザは、見られた時間が長いほど、その見られた部分の効果が高いと分析することができる。
【0105】
また、例えば、分析部212は、各人物が領域を見ていた時間を考慮して、視線集中度とは異なる、広告デザインの評価スコアを算出してもよい。この評価スコアは、例えば、(ある期間における)各人物がユーザによって分析対象として設定された領域を見ていた時間の総和/(撮影部12によって取得された画像に映っていた人物の数)又は(広告デザインを見た人物の数)であってもよい。分析部212は、この評価スコアを表示部24又はリモート装置の表示部に表示させるように制御してもよい。また、分析部212は、上記のように、各人物が見ていた部分(領域)を時系列に分析し、各人物が領域を見た順番を考慮して、視線集中度とは異なる、広告デザインの評価スコアを算出してもよい。この評価スコアは、例えば、(ある期間における)ユーザによって分析対象として設定された領域を最初に見た人物の数/(撮影部12によって取得された画像に映っていた人物の数)又は(広告デザインを見た人物の数)であってもよい。分析部212は、この評価スコアを表示部24又はリモート装置の表示部に表示させるように制御してもよい。これにより、ユーザは、広告デザインの中でアピールしたい部分が、例えばより長く見られているか、最初に見られているか等について、複数の広告デザインを比較評価することができる。ここで説明した視線集中度とは異なる評価スコアは、本開示に係る経時的な評価スコアの一例である。
【0106】
また、例えば、広告評価装置20が、ユーザの入力に応じて、所定の値以上である視線集中度の広告デザイン又は広告デザインにおける領域を選択して表示させることにより、ユーザは、視線集中度が高い、したがって、より効果の高い広告デザイン又はパターンの共通点を見出すことができる。
【0107】
[デザイン決定]
上記で説明したデザイン決定及び生成に代えて又は加えて、より簡易なデザイン決定がなされてもよい。例えば、
図10のステップS1006において、デザイン決定部213は、ステップS1005における分析の結果に基づいて、視線集中度が上がるように、全ての領域のうちの1つ以上の領域において視線集中度が最も高いパターンを適用することにより、パターンを組み合わせた1つ以上の広告デザインを決定及び生成してもよい。
【0108】
また、デザイン決定部213は、ステップS1005における分析の結果に基づいて、視線集中度が上がるように、同一の情報を表示する領域以外の領域において、視線集中度が最も高いパターンを適用することにより、パターンを組み合わせた1つ以上の広告デザインを決定及び生成してもよい。
【0109】
[その他]
上述した
図2B及び
図3に示す機能部は、さらなる機能部に分割されてもよいし、2つ以上の機能部が1つの機能部に統合されてもよい。例えば、分析部212は、視線集中度を算出することを担う算出部と、この算出以外の処理を担う機能部と、に分割されてもよく、この機能部が、実行される機能に応じて、さらなるサブ機能部に分割されてもよい。
【0110】
広告評価装置20は、上述した機能部を全て有する1つの装置として実現されてもよいし、上述した機能部が分散されて設けられる複数の装置として実現されてもよい。広告評価装置20が複数の装置として実現される場合、複数の装置がネットワークを介して協調することにより、広告評価装置20の機能を実現することができる。また、広告評価装置20が有する機能部のうちの一部は、デジタルサイネージ装置10が有してもよい。
【0111】
上述した実施の形態では、環境情報として、温度、照度、湿度等を取得していたが、ライブやスポーツイベント、事故や事件等の人為的な要因によって発生する環境の情報も環境情報として取得してもよい。多くの人物が着目するイベントが発生している場合、広告に着目する人物の数や行動も変化する可能性が高いためである。
【0112】
上述した実施の形態では、人物の視線は、撮影部12によって取得された画像中の人物の視線に基づいて推定していたが、視線推定機能を備えるヘッドマウントディスプレイ等を用いる等、他の手法によって推定してもよい。また、広告ごとに異なる視線推定の手法を用いてもよい。例えば、現実空間に設置された広告と仮想空間に設置された広告とを比較する場合、現実空間については撮影部12が取得した画像を用いて推定した視線を利用し、仮想空間についてはヘッドマウントディスプレイの機能によって推定した視線を利用してもよい。
【0113】
上述した実施の形態では、評価スコアを算出する領域は同一の情報が表示される領域であるものとして説明した。しかし、異なる情報が表示される領域の評価スコアを算出して比較する構成としてもよい。この場合、ユーザが、各広告デザインにおいて、評価スコアを算出する領域を任意に指定できるようにしてもよい。
【0114】
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、上述した広告評価装置20の機能は、コンピュータプログラムにより実現されてもよい。
【0115】
図12は、広告評価装置20の機能をプログラムにより実現するコンピュータ1200のハードウェア構成を示す図である。このコンピュータ1200は、キーボード、マウス、タッチパッド等の入力装置1201と、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置1202と、CPU(Central Processing Unit)1203と、GPU(Graphics Processing Unit)1204と、ROM(Read Only Memory)1205と、RAM(Random Access Memory)1206と、ハードディスク装置、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置1207と、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体から情報を読み取る読取装置1208と、ネットワークを介して通信を行う送受信装置1209と、を備え、これらの装置1201~1209は、バス1210により接続される。
【0116】
そして、読取装置1208は、広告評価装置20の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置1207に記憶させる。あるいは、送受信装置1209が、ネットワークに接続されたサーバ装置と通信を行い、サーバ装置からダウンロードした広告評価装置20の機能を実現するためのプログラムを記憶装置1207に記憶させる。
【0117】
そして、CPU1203が、記憶装置1207に記憶されたプログラムをRAM1206にコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAM1206から順次読み出して実行することにより、広告評価装置20の機能が実現される。
【0118】
<実施の形態の効果>
広告評価装置20の分析部212は、デジタルサイネージ装置10の撮影部12によって取得された画像中の人物の視線の向きに基づいて、複数のレイアウトの広告の各広告の中の視線位置を特定する。分析部212は、さらに、視線位置を含む領域の視線集中度を算出し、視線集中度を表示部24又はリモート装置の表示部に表示させる。これにより、それらの広告同士の相対的な評価の比較が可能となり、広告を適切に評価することができる。
【0119】
また、広告評価装置20の分析部212は、デジタルサイネージ装置10の撮影部12によって取得された画像中の人物の視線の向きに基づいて、複数のレイアウトの広告の各広告の中の視線位置を特定する。分析部212は、さらに、視線位置を含む領域であって、複数のレイアウトの広告において対応する位置に存在する領域の視線集中度を算出する。これにより、それらの領域の相対的な評価の比較が可能となり、広告を適切に評価することができる。また、広告評価装置20のデザイン決定部213は、それらの領域のうち高い方の又は最も高い視線集中度を有する領域におけるデザインパターンを上記位置に適用した広告を生成する。これにより、視線集中度が上がるようにデザインパターンが新たな広告に用いられるので、より効果の高い広告を決定及び生成することができる。
【0120】
(実施の形態のまとめ)
本開示の一実施例に係る広告評価装置(広告評価装置20)は、第1領域を含む第1レイアウトの広告(デザインX、デザインA)が設置されているエリアの第1画像、及び、前記第1領域と同一の情報が表示される第2領域を含み、かつ、前記第1レイアウトの広告と異なる表示態様を持つ部分を含む第2レイアウトの広告(デザインY、デザインB)が設置されているエリアの第2画像を取得する取得部(通信部23、制御部21、入出力部211、分析部212)と、前記第1画像中の第1人物の視線の向きに基づいて、前記第1レイアウトの広告の中の第1視線位置を特定し、前記第2画像中の第2人物の視線の向きに基づいて、前記第2レイアウトの広告の中の第2視線位置を特定する特定部(分析部212)と、前記第1視線位置が前記第1領域に含まれる場合、前記第1人物の数に基づいて、前記第1領域の評価スコア(視線集中度)を算出し、前記第2視線位置が前記第2領域に含まれる場合、前記第2人物の数に基づいて、前記第2領域の評価スコア(視線集中度)を算出する算出部(分析部212)と、前記第1領域の評価スコア及び前記第2領域の評価スコアを表示させる表示制御部(分析部212)と、を備える。
【0121】
上記の構成により、人物の視線に基づいて、複数のレイアウトの広告の各広告の中の視線位置が特定され、視線位置を含む領域の評価スコアが算出及び表示されるようになるので、それらの広告同士の相対的な評価の比較が可能となり、広告を適切に評価することができる。例えば、第1レイアウトの広告における商品名の領域の視線集中度と、第2レイアウトの広告における商品名の領域の視線集中度とを比較することができるので、各広告における商品名へ注目度の違いを評価することができる。
【0122】
本広告評価装置において、前記第1領域と前記第2領域とは、前記同一の情報の表示態様が異なる。
【0123】
上記の構成により、表示する情報の表示態様の違いを評価することができる。例えば、表示態様として、情報を表示する色、大きさ、位置等、表示する文字情報の書体等が挙げられる。
【0124】
本広告評価装置において、前記第1レイアウトの広告と前記第2レイアウトの広告とでは、前記第1領域と前記第2領域以外の領域の表示態様が異なる。
【0125】
上記の構成により、第1領域と第2領域以外の領域の表示態様の違いが、第1領域と第2領域における表示情報の注目度に及ぼす影響を評価することが可能となる。
【0126】
本広告評価装置において、前記第1レイアウトの広告と前記第2レイアウトの広告とでは、前記第1領域と前記第2領域の表示態様は同一である。
【0127】
上記の構成により、第1領域と第2領域以外の領域の表示態様の違いによる視線集中度の違いを評価することによって、特定の情報が表示されている領域が狙い通りに注目されているか否かを推定することができる。
【0128】
本広告評価装置は、前記第1人物の属性(性別、年齢等)及び前記第2人物の属性(性別、年齢等)を推定する属性推定部(分析部212)をさらに備え、前記表示制御部は、前記第1視線位置が前記第1領域に含まれる第1人物及び前記第2視線位置が前記第2領域に含まれる第2人物のうち、推定された前記属性が所定の属性である人物の数に基づいて算出された前記第1領域の評価スコア及び前記第2領域の評価スコアを表示させる。
【0129】
上記の構成により、ターゲットとなる属性に応じて、広告を適切に評価することができる。
【0130】
本広告評価装置において、前記算出部は、前記第1レイアウトの広告のいずれかの箇所に視線を向けた人物の数に基づいて、前記第1レイアウトの広告の評価スコア(視線集中度)を算出し、前記第2レイアウトの広告のいずれかの箇所に視線を向けた人物の数に基づいて、前記第2レイアウトの広告の評価スコア(視線集中度)を算出し、前記表示制御部は、前記第1領域の評価スコア、前記第2領域の評価スコア、前記第1レイアウトの広告の評価スコア及び前記第2レイアウトの広告の評価スコアを表示させる。
【0131】
上記の構成により、広告の評価スコアの差に寄与している領域を特定することができる。
【0132】
本広告評価装置において、前記算出部は、前記第1レイアウトの広告に視線を向けた人物の数に基づいて、前記第1レイアウトの広告の経時的な評価スコアを算出し、前記第2レイアウトの広告に視線を向けた人物の数に基づいて、前記第2レイアウトの広告の経時的な評価スコアを算出し、前記表示制御部は、前記第1レイアウトの広告の経時的な評価スコア及び前記第2レイアウトの広告の経時的な評価スコアを表示させる。
【0133】
上記の構成により、広告デザインの中でアピールしたい部分が、例えばより長く見られているか、最初に見られているか等について、広告同士の評価の比較が可能となる。
【0134】
本広告評価装置において、前記経時的な評価スコアは、前記第1領域及び前記第2領域それぞれに対して、前記第1人物又は前記第2人物が視線を向けた時間の長さに基づいて算出される。
【0135】
上記の構成により、広告デザインの中でアピールしたい部分が、例えばより長く見られているかについて、複数の広告デザインを比較評価することができる。
【0136】
本広告評価装置において、前記第1レイアウトの広告及び前記第2レイアウトの広告は、それぞれ、前記第1領域又は前記第2領域以外の1以上の領域を含み、前記経時的な評価スコアは、前記第1レイアウトの広告及び前記第2レイアウトの広告における各領域に対して、前記第1人物又は前記第2人物が視線を向けた順番に基づいて算出される。
【0137】
上記の構成により、広告デザインの中でアピールしたい部分が、例えば最初に見られているかについて、複数の広告デザインを比較評価することができる。
【0138】
本開示の一実施例に係る広告評価装置(広告評価装置20)は、第1領域を含む第1レイアウトの広告が設置されているエリアの第1画像、及び、前記第1領域と同一の情報が表示される第2領域を含み、かつ、前記第1レイアウトの広告と異なる表示態様を持つ部分を含む第2レイアウトの広告が設置されているエリアの第2画像を取得する取得部(通信部23、制御部21、入出力部211、分析部212)と、前記第1画像中の第1人物の視線の向きに基づいて、前記第1レイアウトの広告の中の第1領域に含まれる第1視線位置を特定し、前記第2画像中の第2人物の視線の向きに基づいて、前記第2レイアウトの広告の中の第2領域であって、前記第1レイアウトの広告の中の第1領域と対応する位置に存在する前記第2領域に含まれる第2視線位置を特定する特定部(分析部212)と、前記第1視線位置が前記第1レイアウトの広告における第1領域に含まれる場合、前記第1人物の数に基づいて、前記第1領域の評価スコアを算出し、前記第2視線位置が、前記第1レイアウトの広告における前記第1領域と対応する位置に存在する、前記第2レイアウトの広告における第2領域に含まれる場合、前記第2人物の数に基づいて、前記第2領域の評価スコアを算出する算出部(分析部212)と、前記第1レイアウトと前記第2レイアウトとのうち、前記第1領域の評価スコア及び前記第2領域の評価スコアのうち高い方の評価スコアを有するレイアウトを適用した第3レイアウトの広告を生成する生成部(デザイン決定部213)と、を備える。
【0139】
上記の構成により、人物の視線に基づいて、複数のレイアウトの広告の各広告の中の対応する領域に含まれる視線位置が特定され、その領域の評価スコアが算出される。したがって、それらの領域の相対的な評価の比較が可能となり、広告を適切に評価することができる。また、評価スコアが上がるように情報が新たな広告に用いられるので、より効果の高い広告を決定及び生成することができる。
【0140】
本広告評価装置において、前記第1レイアウトと前記第2レイアウトとでは、前記第1領域の表示態様と前記第2領域の表示態様が異なっており、前記第3レイアウトは、前記同一の情報を、前記第1領域と前記第2領域とのうち、前記評価スコアが高い方の領域の表示態様で表示するレイアウトである。
【0141】
上記の構成により、表示する情報の表示態様の違いを評価し、評価の高い方の表示態様の広告を決定及び生成することができる。
【0142】
本広告評価装置において、前記第1レイアウトと前記第2レイアウトとでは、前記第1領域と前記第2領域以外の領域の表示態様が異なっており、前記第3レイアウトは、前記同一の情報を表示する領域以外の領域の表示態様を、前記第1レイアウトと前記第2レイアウトとのうち、前記第1領域の評価スコア及び前記第2領域の評価スコアのうち高い方の評価スコアを有するレイアウトの表示態様とするレイアウトである。
【0143】
上記の構成により、第1領域と第2領域以外の領域の表示態様の違いによる視線集中度の違いを評価することによって、特定の情報が表示されている領域が狙い通りに注目されているか否かを推定することができ、評価の高い方の表示態様の広告を決定及び生成することができる。
【0144】
本開示の一実施例に係る広告評価方法は、第1領域を含む第1レイアウトの広告(デザインX、デザインA)が設置されているエリアの第1画像、及び、前記第1領域と同一の情報が表示される第2領域を含み、かつ、前記第1レイアウトの広告と異なる表示態様を持つ部分を含む第2レイアウトの広告(デザインY、デザインB)が設置されているエリアの第2画像を取得し、前記第1画像中の第1人物の視線の向きに基づいて、前記第1レイアウトの広告の中の第1視線位置を特定し、前記第2画像中の第2人物の視線の向きに基づいて、前記第2レイアウトの広告の中の第2視線位置を特定し、前記第1視線位置が前記第1領域に含まれる場合、前記第1人物の数に基づいて、前記第1領域の評価スコア(視線集中度)を算出し、前記第2視線位置が前記第2領域に含まれる場合、前記第2人物の数に基づいて、前記第2領域の評価スコア(視線集中度)を算出し、前記第1領域の評価スコア及び前記第2領域の評価スコアを表示させる。
【0145】
上記の構成により、人物の視線に基づいて、複数のレイアウトの広告の各広告の中の視線位置が特定され、視線位置を含む領域の評価スコアが算出及び表示されるようになるので、それらの広告同士の相対的な評価の比較が可能となり、広告を適切に評価することができる。例えば、第1レイアウトの広告における商品名の領域の視線集中度と、第2レイアウトの広告における商品名の領域の視線集中度とを比較することができるので、各広告における商品名へ注目度の違いを評価することができる。
【0146】
上述の実施の形態においては、各構成要素に用いる「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・アッセンブリ」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0147】
以上、図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかである。そのような変更例又は修正例についても、本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態における各構成要素は任意に組み合わされてよい。
【0148】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部又は全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0149】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0150】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本開示の一実施例は、広告を評価する技術に有用である。
【符号の説明】
【0152】
1 広告配信システム
10 デジタルサイネージ装置
20 広告評価装置
30 ネットワーク
11 表示部
12 撮影部
13 検知部
14 制御部
15 記憶部
16 通信部
21 制御部
211 入出力部
212 分析部
213 デザイン決定部
22 記憶部
23 通信部
24 表示部