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特開2023-163744自動車の運転におけるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163744
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】自動車の運転におけるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20231102BHJP
   B60K 26/04 20060101ALI20231102BHJP
   B60Q 1/52 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60K26/04
B60Q1/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074849
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】522173251
【氏名又は名称】有限会社リバイバルサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 義幸
【テーマコード(参考)】
3D037
3K339
5H181
【Fターム(参考)】
3D037EA08
3D037EC05
3K339AA22
3K339AA31
3K339BA03
3K339BA07
3K339BA08
3K339BA09
3K339BA22
3K339BA25
3K339BA26
3K339CA21
3K339CA30
3K339DA01
3K339EA04
3K339EA05
3K339EA06
3K339GB26
3K339KA01
3K339KA39
3K339MA03
3K339MA04
3K339MC01
3K339MC35
3K339MC65
3K339MC76
3K339MC77
5H181AA01
5H181CC02
5H181CC11
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】当初から事故防止システムを搭載していない自動車に対しても搭載可能で、運転者に常に自身の足の位置を認識させることができるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置を提供する。
【解決手段】
本発明の一観点に係る踏み間違い防止装置は、自動車の運転におけるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置であって、運転者の足の横方向の位置を検出するための第一のセンサ2と、略直線状に配置される複数の点光源を備える光源装置3と、第一のセンサ2及び光源装置3に接続され、第一のセンサ2が検出した足の横方向の位置に応じて複数の点光源を制御して点灯させるための制御装置4を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の運転におけるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置であって、
運転者の足の位置を検出するための第一のセンサと、
複数の点光源を備える光源装置と、
前記第一のセンサ及び光源装置に接続され、前記第一のセンサが検出した足の位置に応じて前記複数の点光源を制御して点灯させるための制御装置と、を備える踏み間違い防止装置。
【請求項2】
自動車の運転におけるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置であって、
運転者の足の横方向の位置を検出するための第一のセンサと、
略直線状に配置される複数の点光源を備える光源装置と、
前記第一のセンサ及び光源装置に接続され、前記第一のセンサが検出した足の横方向の位置に応じて前記複数の点光源を制御して点灯させるための制御装置と、を備える踏み間違い防止装置。
【請求項3】
スピーカーを備え、
前記制御装置は、前記第一のセンサが検出した足の横方向の位置に応じて前記スピーカーから警告音を出すよう制御する請求項2記載の踏み間違い防止装置。
【請求項4】
振動発生装置を備え、
前記制御装置は、前記第一のセンサが検出した足の横方向の位置に応じて前記振動発生装置も制御する請求項2記載の踏み間違い防止装置。
【請求項5】
前記複数の点光源は3個以上配置されており、
前記制御装置は、運転者の足が前記第一のセンサに最も近い位置にある場合は一方の端にある点光源を点灯させ、運転者の足が前記第一のセンサに最も遠い位置にある場合は他方の端にある点光源を点灯させ、運転者の足が中間の位置にある場合は、前記第一のセンサから運転者の足までの距離に応じて前記中間の点光源を点灯させる請求項2記載の踏み間違い防止装置。
【請求項6】
運転者の足の深さ方向の位置を検出する第二のセンサを備え、
前記制御装置は、運転者の足の踏み込み深さ方向の位置にも応じて前記スピーカーから警告音を出すよう制御する請求項3記載の踏み間違い防止装置。
【請求項7】
運転者の足の深さ方向の位置を検出する第二のセンサを備え、
前記制御装置は、運転者の踏み込み足の深さ方向の位置にも応じて前記振動発生装置を制御する請求項4記載の踏み間違い防止装置。
【請求項8】
自動車の車外の障害物を検知する外部センサを備え、
前記制御装置は、前記外部センサが障害物を検知し、かつ、運転者の足の位置がアクセル上にあると判断したときに、前記スピーカーから警告音を発するよう制御する請求項3記載の踏み間違い防止装置。
【請求項9】
キャンセルスイッチを備え、
前記制御装置は、前記キャンセルスイッチが押されている間は、前記スピーカーによる警告音を出す制御を行わない請求項3記載の踏み間違い防止装置。
【請求項10】
バックパネル装置を備え、
前記制御装置は、運転者の足の前記第一のセンサが検出した足の横方向の位置に応じて前記バックパネル装置を制御する請求項2記載の踏み間違い防止装置。
【請求項11】
アクティブスイッチを備え、
前記制御装置は、エンジン始動開始後一定期間内、及び、前記アクティブスイッチが押された後一定期間内だけ、前記第一のセンサが検出した足の位置に応じて前記複数の点光源を制御して点灯させる請求項2記載の踏み間違い防止装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の運転におけるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車は、日常生活において長距離を移動するために非常に有用な乗り物であり、普通自動車から大型自動車まで様々な種類が存在するが、いずれも加速するために運転者が足で踏み込むためのアクセルと、減速するために運転者が足で踏み込むためのブレーキと、を備えている。運転者は、別途設けられるハンドルを手で制御することにより車輪の向きを変化させつつ、上記ブレーキとアクセルを足で踏み込むことにより前進又は後進させて、自動車の運転を行う。
【0003】
ところで近年の高齢化が進んでいる我が国の状況において、アクセルとブレーキの踏み間違いが問題視されてきている。つまり、運転者がブレーキを踏んでいると勘違いしてアクセルを踏んでしまい、建物等に衝突させてしまういわゆる踏み間違い事故が近年増加しつつある。
【0004】
上記踏み間違い事故を防止するために、自動車メーカーは、例えば下記非特許文献1で開示されるような踏み間違いによる事故防止システムを種々開発している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】https://www.nissan-global.com/JP/TECHNOLOGY/OVERVIEW/pedal.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記非特許文献1に記載の技術は、自動車製造の際当初から組み込む必要があり、既に上記事故防止システムを搭載していない自動車に対しては搭載が極めて困難であるといった課題がある。
【0007】
また、上記のような事故防止システムは、実際に運転者がブレーキとアクセルを踏み間違えた際に事故が起こらないよう自動車の動力を直接的に制御するという観点において好ましいものではあるが、事故を未然に防ぐためには、運転者が運転している際に、自分の足がアクセル上にあるのか、ブレーキ上にあるのかを常に認識できることも非常に重要である。すなわち、アクセルとブレーキの踏み間違いを防止するための注意喚起を行うことができる装置が非常に重要である。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、当初から事故防止システムを搭載していない自動車に対しても搭載可能で、運転者に常に自身の足の位置を認識させることができるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の一観点に係る踏み間違い防止装置は、自動車の運転におけるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置であって、運転者の足の位置を検出するための第一のセンサと、複数の点光源を備える光源装置と、第一のセンサ及び光源装置に接続され、第一のセンサが検出した足の位置に応じて前記複数の点光源を制御して点灯させるための制御装置と、を備えるものである。
【0010】
上記課題を解決する本発明の他の一観点に係る自動車の運転におけるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置は、運転者の足の横方向の位置を検出するための第一のセンサと、略直線状に配置される複数の点光源を備える光源装置と、第一のセンサ及び光源装置に接続され、第一のセンサが検出した足の横方向の位置に応じて複数の点光源を制御して点灯させるための制御装置と、を備えるものである。
【0011】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、スピーカーを備え、制御装置は、第一のセンサが検出した足の横方向の位置に応じてスピーカーから警告音を出すよう制御することが好ましい。
【0012】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、振動発生装置を備え、制御装置は、第一のセンサが検出した足の横方向の位置に応じて振動発生装置も制御することが好ましい。
【0013】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、複数の点光源は3個以上配置されており、制御装置は、運転者の足が第一のセンサに最も近い位置にある場合は一方の端にある点光源を点灯させ、運転者の足が第一のセンサに最も遠い位置にある場合は他方の端にある点光源を点灯させ、運転者の足が中間の位置にある場合は、第一のセンサから運転者の足までの距離に応じて中間の点光源を点灯させることが好ましい。
【0014】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、運転者の足の深さ方向の位置を検出する第二のセンサを備え、制御装置は、運転者の足の踏み込み深さ方向の位置にも応じてスピーカーから警告音を出すよう制御することが好ましい。
【0015】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、運転者の足の深さ方向の位置を検出する第二のセンサを備え、制御装置は、運転者の踏み込み足の深さ方向の位置にも応じて振動発生装置を制御することが好ましい。
【0016】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、自動車の車外の障害物を検知する外部センサを備え、制御装置は、外部センサが障害物を検知し、かつ、運転者の足の位置がアクセル上にあると判断したときに、スピーカーから警告音を発するよう制御することが好ましい。
【0017】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、キャンセルスイッチを備え、制御装置は、キャンセルスイッチが押されている間は、スピーカーによる警告音を出す制御を行わないことが好ましい。
【0018】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、バックパネル装置を備え、前記制御装置は、運転者の足の前記第一のセンサが検出した足の横方向の位置に応じて前記バックパネル装置を制御することが好ましい。
【0019】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、アクティブスイッチを備え、前記制御装置は、エンジン始動開始後一定期間内、及び、前記アクティブスイッチが押された後一定期間内だけ、前記第一のセンサが検出した足の位置に応じて前記複数の点光源を制御して点灯させることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
以上、本発明によって、当初から事故防止システムを搭載していない自動車に対しても搭載可能で、運転者に常に自身の足の位置を認識させることができるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る自動車の運転におけるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置の接続関係を示す図である。
図2】実施形態に係る第一のセンサの概略を示す図である。
図3】実施形態に係る第一のセンサで横方向の位置を検出する場合のイメージ図である。
図4】実施形態に係る光源装置の概略を示す図である。
図5】実施形態に係る光源装置の概略を示す図である。
図6】実施形態に係る自動車の運転におけるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置の接続関係を示す図である。
図7】実施形態に係る第ニのセンサで深さ方向の位置を検出する場合のイメージ図である。
図8】実施形態に係る自動車の運転におけるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置の接続関係を示す図である。
図9】実施形態に係る外部のセンサで障害物の位置を検出する場合のイメージ図である。
図10】実施形態に係る自動車の運転におけるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置の接続関係を示す図である。
図11】実施形態に係るキャンセルスイッチの概略を示す図である。
図12】実施形態に係る自動車の運転におけるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置の接続関係を示す図である。
図13】実施形態に係るバックパネルの概略を示す図である。
図14】実施形態に係る自動車の運転におけるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置の接続関係を示す図である。
図15】実施形態に係るアクティブスイッチの概略を示す図である。
図16】実施形態に係る踏み間違い防止装置でセンサによって足の位置を検出する場合のイメージ図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態及び実施例に記載された例示にのみ限定されるわけではない。
【0023】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る自動車の運転におけるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置(以下「本装置」という。)1の接続関係を示す機能ブロック図である。これらの図が示すように、本装置1は、運転者の足の横方向の位置を検出するための第一のセンサ2と、略直線状に配置される複数の点光源31を備える光源装置3と、第一のセンサ2及び光源装置3に接続され、第一のセンサ2が検出した足の横方向の位置に応じて複数の点光源31を制御して点灯させるための制御装置4と、を備える。
【0024】
また、本装置1は、更に、スピーカー5を備えている。スピーカー5は、上記制御装置4に接続されており、制御装置4は、第一のセンサ2が検出した足の横方向の位置に応じてスピーカー5から警告音を出すよう制御することができる。
【0025】
また、本装置1は、振動発生装置6を備えている。振動発生装置6は、上記制御装置4に接続されており、制御装置4は、第一のセンサ2が検出した足の横方向の位置に応じて振動発生装置6も制御することができる。
【0026】
本装置1では、上記の構成により、運転者の足の位置を横方向で検知する、具体的には運転者の足がブレーキとアクセルのいずれの近くにあるのかを検出し、この検出した結果を光源装置3の点光源31によって表示させることで運転者に常に足の位置を認識させることができ、ブレーキとアクセルの踏み間違いを防止することが可能となる。詳細については下記のとおりである。
【0027】
上記のように、本装置1では、第一のセンサ2を設けている。第一のセンサ2は、上記の通り、運転者の足の横方向の位置を検出するためのものである。図2に、第一のセンサ2のイメージ図を示す。
【0028】
第一のセンサ2は、上記の通り、運転者の足の横方向の位置を検出することができるものである。ここで「横方向」とは、運転者が運転席に座った場合において、水平面上で、車の進行方向前後方向に対して垂直な方向をいい、この方向が、運転者の足がブレーキにあるかアクセルにあるのかを判断することができる方向となる。この場合におけるイメージ図を図3に示しておく。なお、第一のセンサ2における「第一の」は、後述するように、本装置1において複数のセンサが用いられる場合があり、これらと区別するために用いられる接頭語であり、これ以外の技術的な意味は含まれていない。
【0029】
また、第一のセンサ2としては、上記の通り、運転者の足の横方向の位置を検出することができるものである限りにおいて限定されず、例えば超音波や赤外線等を発する発信素子と、この発した超音波や赤外線が運転者の足に当たり反射されたものを受信する受信素子を有するセンサであることは好ましい一例である。
【0030】
第一のセンサ2は、運転者の足の位置を横方向で検出することが可能である限りその位置は限定されるわけでは無いが、自動車の内側、より具体的には運転席の足元側面に配置しておくことが好ましい。この位置であれば運転者の足の位置を正確に検出することが可能であるとともに運転の差異性が出ることはない。
【0031】
また、本装置1では、上記の通り、略直線状に配置される複数の点光源31を備える光源装置3を備える。この場合のイメージを図4に示しておく。光源装置3は、上記の通り複数の点光源31と、これを保持及び固定する筐体32とを有するものであることが好ましく、光源装置3自体は、運転席の前側で運転者が見やすい位置に配置しておくことが好ましく、具体的には自動車のダッシュボードやインパネの上に配置しておくことが好ましい。
【0032】
点光源31は、上記の通り複数設けられており、点灯することで現在の運転者の足の位置を知らせることができるものである。点光源31としては、特に限定されるわけでは無いが、LEDライトであることが好ましい。LEDライトは小型かつ低消費電力の発光を行うことができ、複数配置しても場所を取らないという利点を備えており好ましい。
【0033】
また上記の通り、複数の点光源31は、略直線状に配置されている。ここで「略直線状」とは複数の点光源31が一直線状に間隔をあけて配置されていることであるが、製造誤差等により完全な一直線上に配置することは容易ではないため、この誤差を含めて本明細書では「略直線状」と表現する。
【0034】
また、本観点において、複数の点光源31は3個以上配置されていることが好ましい。3個以上とすることで、運転者の足が第一のセンサ2に最も近い位置にある場合は一方の端にある点光源31を点灯させ、運転者の足が第一のセンサ2に最も遠い位置にある場合は他方の端にある点光源31を点灯させ、運転者の足が中間の位置にある場合は、第一のセンサ2から運転者の足までの距離に応じて中間の点光源31を点灯させることが可能となる。より具体的に説明すると、例えば、略直線の一方の端(最右端)にある点光源31が発光している場合は、運転者の足が最も右側のアクセル上にあることを示すこと、略直線の他方(最左端)にある点光源31が発光している場合は、運転者の足が最も左側のブレーキ上にあることを示すこと、中間の位置の点光源31が発光している場合は、その中間の位置にあることを示すことが可能となる。またこの中間の位置の点光源31の数は、1個であってもよいが、2個以上あることでその位置をより正確に示すことができる観点から好ましい。
【0035】
また、上記のほか、点光源31を5個以上の奇数とし、運転者の足が第一のセンサ2に最も近い位置にある場合は中央にある点光源31を点灯させ、運転者の足が第一のセンサ2に最も遠い位置にある場合は両端にある点光源双方を点灯させ、運転者の足が中間の位置にある場合は、第一のセンサ2から運転者の足までの距離に応じて中央と両端それぞれの中間の点光源31を点灯させることとしてもよい。このようにすることで、中心にあるときはアクセルであるということをより認識させやすくなるといった利点がある。この場合のイメージを図5に示しておく。
【0036】
また、点光源31の発光色はそれぞれ異ならせておくことが好ましく、例えば運転者の足がアクセルにある場合に発行させる点光源31の発色が赤色であることが好ましい。赤色は警告色であり、運転者は赤色にある場合はアクセルの上に足があるということをより認識しやすくなる。この場合他の点光源の色は青や白、黄色など他の色であることが好ましく、特に、この赤に発色する点光源から最も離れた位置の点光源の色を青とし、その中間にある点光源の色は黄色を含めた中間の色、グラデーションを付けておくことが好ましい。
【0037】
また、本装置1では、上記の通りスピーカー5を備えている。スピーカー5を備えることで音、具体的には警告音を発することが可能となる。警告音を発することで、上記点光源31による光だけでなく音により運転者に踏み間違いの可能性を認識させることが可能となる。スピーカー5については、車に内蔵のスピーカーに接続することも可能であるが、複雑な構造としないものである限り、別個に設けておくこととしてもよく、更には、上記の光源装置3の筐体に内蔵させることとしてもよい。スピーカー5は周知の構成を採用することが可能である。なお、スピーカー5は設けておくことが好ましいものであるが、場合によっては省略が可能である。
【0038】
また、本装置1では、振動発生装置6を備えている。振動発生装置6を設けることで、上記のような光源装置3やスピーカー5だけでなく、振動によっても警告を伝えることが可能となる。振動発生装置6の構造としては特に限定されるわけでは無く、周知の構成を採用することが可能である。例えば、錘と錘を偏芯回転させるローターと、これらを収容するボディとを備えたものとしておくことが好ましい。錘を偏芯回転させることで周期的な振動を簡便に発生させることが可能である。
【0039】
また、振動発生装置6の配置は限定されず、例えば運転席のダッシュボードやインパネの上であってもよく、また、運転席のシートの運転者の頭部が当たるヘッドレストや、背中に当たる背もたれに埋め込むこととしてもよい。このようにすることでより運転者がより振動を感じやすくなるといった利点がある。なお、振動発生装置6は、上記スピーカー5と同様、設けておくことが好ましいものであるが、場合によっては省略が可能である。
【0040】
また、本装置1では、上記の通り制御装置4を備える。制御装置4は、上記の第一のセンサ2と、光源装置3より具体的には点光源31のそれぞれと、スピーカー5と、振動発生装置6と接続されており、第一のセンサ2が計測する運転者の足の横方向の位置に基づき、点光源31、スピーカー5、振動発生装置6のそれぞれを制御するものである。より具体的には、第一のセンサ2が計測した運転者の足の位置がアクセルの上にある場合、アクセルを意味する位置の点光源31を発光させ、スピーカー5により警告音を発し、更には振動発生装置6を駆動して振動を発生させる。一方、運転者の足の位置がアクセルの上になく、例えばブレーキの上にある場合は、上記点光源31のうちブレーキや中間の上にあることを意味する点光源31を発光させ、スピーカー5、振動発生装置6は動作させないこととする。なお、制御装置4は、上記第一のセンサ2、スピーカー5、振動発生装置6に接続されるものであるため、これらに電源を供給する構成となっていることも好ましい。
【0041】
また、制御装置4の具体的な装置構成としては、いわゆる小型コンピュータであってもよいが、上記のセンサの出力に応じて自動的に操作を行う回路が組み込まれたICチップであってもよい。
【0042】
以上、本装置1は、当初から事故防止システムを搭載していない自動車に対しても搭載可能で、運転者に常に自身の足の位置を認識することができるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置となる。
【0043】
(実施形態2)
ところで、上記では、センサは第一のセンサのみを用いた例を示しているが、複数のセンサを組合わせて用いることができる。本実施形態では、第二のセンサ7を備える例を示す。これ以外の構成は上記実施形態1と同様であり、同様の構成についてはその説明を省略する。図6は、本装置1の接続関係を示す機能ブロック図である。この場合における運転席足元のイメージを図7に示しておく。
【0044】
本図で示すように、本装置1では、また、運転者の足の深さ方向の位置を検出する第二のセンサ7を備え、制御装置は、運転者の足の踏み込み深さ方向の位置にも応じてスピーカー5及び振動発生装置6の少なくともいずれかから警告音を出すよう制御する。このようにすれば、運転者の足の横方向では光源装置3による光の警告のみを行い、実際にアクセルを踏み込んだ場合に警告音や振動を発生させることで、二段階の警告を行うことが可能になるといった効果がある。なおここで「第二」とは、第一のセンサ2と検出する足の方向が異なるために用いられるセンサであるということを明確に区分けするために用いられる接頭語であり、これ以外の技術的な意味は有さない。
【0045】
またここで第二のセンサ7が検出する「踏み込み深さ」とは、横方向に対して垂直な方向における深さを意味し、鉛直方向成分を含む方向であって、より具体的には、アクセルを踏む方向の深さをいう。
【0046】
上記を達成するため、第二のセンサ7は、自動車の内装のハンドルの下部、インパネの下面、さらにはアクセルの上位置に設置しておくことが好ましい。このようにしておくことで、運転者の足がアクセルの上に来たこと、更にはアクセルの踏み込み動作の状態を確認することが可能となる。具体的には、アクセルを踏み込んだ場合はセンサから足の距離は長く、アクセル上にありアクセルを踏み込んでいない場合センサと足の距離は短くなっており、これらを参照して足の状態を確認することが可能となる。
【0047】
以上、本実施形態によると、上記の通り、このようにすれば、運転者の足の横方向では光源装置3による光の警告のみを行い、実際にアクセルを踏み込んだ場合に警告音や振動を発生させることで、二段階の警告を行うことが可能になるといった効果がある。なお、本実施形態においては、スピーカー5及び振動発生装置6の双方を設けておくことが好ましいが、一方であってもよい。
【0048】
(実施形態3)
また、上記実施形態2では、第一のセンサ2及び第二のセンサ7を用いた例を示したが、上記センサのほか、更に、自動車外部のセンサ8を設けておくこととしてもよい。この場合の機能ブロックの例を図8に、図9に自動車に設置される外部センサの例を示しておく。
【0049】
すなわち、本装置1は、自動車の車外の障害物を検知する外部のセンサ8を備え、制御装置4は、外部のセンサ8が障害物を検知し、かつ、運転者の足の位置がアクセル上にあると判断したときに、スピーカー5から警告音を発するよう制御することが好ましい。このようにすることで、通常の運転時等において、外部に障害がない場合はアクセルを踏むのが当然である一方、障害がない時でも警告を発してしまうことで運転者に余計な心理的圧迫を与えないようにすることができるといった利点がある。
【0050】
また、本装置1において、センサは、上記第一のセンサ2及び第二のセンサ7と同様の構成を採用することができることは言うまでもないが、その反応距離については適宜調整可能であり、第一のセンサ2及び第二のセンサ7の感知距離とは長さを異ならせておくことが好ましい。
【0051】
(実施形態4)
また、本装置1においては、限定されるわけでは無いが、キャンセルスイッチを備え、制御装置4は、キャンセルスイッチが押されている間は、スピーカー5による警告音を出す制御を行わないことが好ましい。このようにすることで、運転者が安全であると認識している間は、このキャンセルスイッチを押すことで、余計な警告音等の警告を受けないようにしておくことが可能である。この場合の機能ブロックについて図10に、キャンセルスイッチの例を図11に示しておく。
【0052】
なお、このキャンセルスイッチについては、運転者が意識して押すことができるようにして置く一方、運転席から離れた位置に配置してしまうとこれに注意を向けすぎることとなり逆に運転の安全性を損なってしまう恐れがある。そのため、ハンドルや、ウインカーレバー等にスイッチを設けておくことが好ましい。
【0053】
なお、このスイッチの構造としては特に限定されるわけでは無いが、ボタンスイッチであることが好ましく、より好ましくは、手で押している間はキャンセルするよう制御する一方、手を離している間は上記の制御を行う構成としておくことが好ましい。このようにすることで、警告を行う状態をキャンセル(解除)したままにしてしまう恐れを防止することができるといった利点がある。
【0054】
(実施形態5)
また、本装置1においては、運転者がアクセルを踏んでいると認識しているものの運転者の足がブレーキにあると、アクセルを踏もうとして急ブレーキをかけてしまうことも想定される。このような場合、後続車の運転を行っている者にとっては非常に危険な状況となる。そのため、運転者の足がブレーキの位置にある場合、後続車にブレーキを踏む可能性があることを知らせることが重要である。
【0055】
すなわち、本実施形態では、バックパネルを備え、制御装置4は、運転者の足の第一のセンサ2が検出した足の横方向の位置に応じてバックパネルを制御することが好ましい。この場合の機能ブロックについて図12に、バックパネルの例を図13に示しておく。
【0056】
本実施形態において、バックパネルは、上記の通り、運転者の足がブレーキの位置にある場合、後続車にブレーキを踏む可能性があることを知らせるものであるため、ブレーキがかかる可能性があることを示す情報を表示する又はこの表示を隠すことができる限りにおいて限定されないが、「ブレーキ注意」等の文字や図を含めた警告表示を発光又は消光する光源を含めたものであることが好ましい。
【0057】
以上本実施形態によると、急ブレーキに対する警告も行うことができより安全性が高くなる。
【0058】
(実施形態6)
また、本実施形態では、アクティブスイッチを備え、制御装置4は、エンジン始動開始後一定期間内、及び、アクティブスイッチが押された後一定期間内だけ、第一のセンサ2が検出した足の位置に応じて複数の点光源を制御して点灯させることが好ましい。
【0059】
一般的な傾向として、アクセルとブレーキの踏み間違いは、運転開始後一定時間内に生じる場合が多い。そのため、エンジンが始動するすなわち運転が開始される一定期間内だけ第一のセンサ2が検出した足の位置に応じて複数の点光源を制御して点灯させることで、通常的に運転している際、特に加速している際に警告等が発せられてしまうと非常に煩わしい状態となってしまうため、一定期間に限ることでこれを最小限にすることができるといった利点がある。また、アクティブスイッチを設けておくことで、このアクティブスイッチがオンになっている一定の期間内だけ動作することとすれば、運転中の複数の複雑な操作をすることなく警告を行わせることができるようになる。この場合の機能ブロックについて図14に、光源装置3の例を図15に示しておく。なお、アクティブスイッチは一回押すだけでよいボタンスイッチであってもよいが、トグルスイッチやロッカースイッチのようにオンとしている間はオン状態を維持できるスイッチとすることも可能である。
【0060】
(実施形態7)
本実施形態に係る踏み間違い防止装置では、第一のセンサが足の横方向に設置されたものではなく、足の深さ方向の位置を検出することができるセンサである場合の例を示す。図16は、本実施形態において足の位置を検出する場合のイメージ図である。本図のように、センサは、運転者の足の上側の位置(鉛直方向上側の位置)、具体的には運転者の足の位置の上側にある車内のパネルの下側(例えば図7で示すように横方向から見た場合の位置)に付すことで、運転者の足がブレーキの上にあるかアクセルの上にあるかを判定することが可能となる。上記実施形態2では踏み込み深さを見ているが、本実施形態では実質的に横方向の位置を判定することもできるようになる。すなわち、本実施形態に係る自動車の運転におけるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置は、運転者の足の位置を検出するための第一のセンサと、複数の点光源を備える光源装置と、第一のセンサ及び光源装置に接続され、第一のセンサが検出した足の位置に応じて前記複数の点光源を制御して点灯させるための制御装置と、を備えるものである。この構成により、上記実施形態と同様、当初から事故防止システムを搭載していない自動車に対しても搭載可能で、運転者は常に自身の足の位置を認識することができるようになる。
【0061】
以上、本装置1は、当初から事故防止システムを搭載していない自動車に対しても搭載可能で、運転者に常に自身の足の位置を認識させることができるアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置となる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、自動車のアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置として産業上利用可能性がある。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図15
図16