(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163757
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】表示装置の製造方法及びマザー基板
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20231102BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231102BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20231102BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20231102BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20231102BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20231102BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20231102BHJP
H05B 33/04 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G09F9/00 338
G09F9/30 365
G09F9/30 349Z
H05B33/10
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/12 C
H05B33/22 Z
H05B33/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074874
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田畠 弘志
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC21
3K107CC45
3K107DD11
3K107DD89
3K107DD94
3K107EE21
3K107EE31
3K107EE32
3K107EE46
3K107GG13
3K107GG14
5C094AA31
5C094AA43
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA13
5C094FA01
5C094FA02
5C094FA03
5C094FB01
5C094FB02
5C094FB04
5C094FB05
5C094FB12
5C094GB10
5C094HA05
5C094HA08
5G435AA14
5G435AA17
5G435BB05
5G435CC09
5G435KK05
5G435KK10
5G435LL04
5G435LL07
5G435LL08
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置の製造方法及びマザー基板を提供する。
【解決手段】実施形態に係る表示装置の製造方法は、基材の上に下電極を形成し、下電極の一部を覆うリブを形成し、リブの上に配置された下部と、下部の側面から突出した上部とを有する隔壁を形成し、隔壁の少なくとも一部が有する上部を除去し、隔壁が有する下部の第1幅及び隔壁が有する上部の第2幅を計測し、第1及び第2幅に基づいて下部の側面と上部の端部との間の距離を計測する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の上に下電極を形成し、
前記下電極の一部を覆うリブを形成し、
前記リブの上に配置された下部と、前記下部の側面から突出した上部とを有する隔壁を形成し、
前記隔壁の少なくとも一部が有する上部を除去し、
前記隔壁が有する下部の第1幅及び前記隔壁が有する上部の第2幅を計測し、
前記第1及び第2幅に基づいて前記下部の側面と前記上部の端部との間の距離を計測する
表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記隔壁が有する上部は、金属材料によって形成されており、レーザー加工装置から照射されるレーザーによって除去される請求項1記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1及び第2幅は、測長機カメラで撮影することにより計測される請求項2記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記基材は、表示パネルが形成される複数のパネル領域と当該複数のパネル領域を区画する周辺領域とを有し、
前記隔壁は、前記複数のパネル領域及び前記周辺領域の双方に形成され、
前記上部の除去と前記第1幅、第2幅及び前記距離の計測とは、前記周辺領域において行われる
請求項1記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記複数のパネル領域において、前記隔壁は、画素を区画するパターンで形成され、
前記周辺領域において、前記隔壁は、前記複数のパネル領域に形成される隔壁と同一のパターンで形成される
請求項4記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記距離が計測された後に、前記下電極の上に有機層を形成し、
前記有機層の上に上電極を形成し、
前記上電極の上にキャップ層を形成し、
前記キャップ層の上に封止層を形成し、
前記封止層の上にレジストを形成し、
前記レジストをマスクとして、前記封止層、前記キャップ層、前記上電極及び前記有機層を除去する
請求項1記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記隔壁は、異方性ドライエッチングを行った後に等方性ウェットエッチングを行うことによって形成される請求項1記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
表示パネルが形成される複数のパネル領域と当該複数のパネル領域を区画する周辺領域とを有する基材と、
前記基材の上に配置された下電極と、
前記下電極の一部を覆い、画素を区画するリブと、
前記複数のパネル領域及び前記周辺領域において前記リブの上に配置された隔壁と
を有し、
前記複数のパネル領域に配置された隔壁は、前記リブの上に配置された下部と、前記下部の側面から突出した上部とを有し、
前記周辺領域に配置された隔壁は、前記リブの上に配置された下部を有し、前記上部を有さない
マザー基板。
【請求項9】
前記隔壁が有する上部は、金属材料によって形成される請求項8記載のマザー基板。
【請求項10】
前記複数のパネル領域において隔壁は、前記画素を区画するパターンで配置され、
前記周辺領域において隔壁は、前記複数のパネル領域に配置されている隔壁と同一のパターンで配置される
請求項8記載のマザー基板。
【請求項11】
前記下電極の上に配置された有機層と、
前記有機層の上に配置され、前記隔壁が有する下部に接触する上電極と、
前記上電極の上に配置されたキャップ層と、
前記キャップ層の上に配置された封止層と
を更に有する請求項8記載のマザー基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置の製造方法及びマザー基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。
【0003】
ところで、上記した表示装置は、複数の基材を一括して形成したマザー基材の上に複数の表示パネルを形成したマザー基板を用意し、当該マザー基板からカットされた表示パネルの各々を用いて製造される。
【0004】
このような表示装置を製造する過程において、当該表示装置の信頼性の低下を抑制する技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置の製造方法及びマザー基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る表示装置の製造方法は、基材の上に下電極を形成し、前記下電極の一部を覆うリブを形成し、前記リブの上に配置された下部と、前記下部の側面から突出した上部とを有する隔壁を形成し、前記隔壁の少なくとも一部が有する上部を除去し、前記隔壁が有する下部の第1幅及び前記隔壁が有する上部の第2幅を計測し、前記第1及び第2幅に基づいて前記下部の側面と前記上部の端部との間の距離を計測する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、副画素のレイアウトの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2中のIII-III線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
【
図5】
図5は、隔壁を利用して形成される表示素子について説明するための概略的な断面図である。
【
図6】
図6は、隔壁を利用して形成される表示素子について説明するための概略的な断面図である。
【
図7】
図7は、隔壁を利用して形成される表示素子について説明するための概略的な断面図である。
【
図8】
図8は、隔壁の突出量の計測について説明するための図である。
【
図9】
図9は、隔壁の突出量の計測について説明するための図である。
【
図11】
図11は、表示装置の製造方法の概要について説明するための図である。
【
図12】
図12は、周辺領域において形成される隔壁のパターンの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、隔壁が有する上部を除去するためにレーザーが照射される領域について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、より説明を明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0011】
本実施形態における表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン及び携帯電話端末等に搭載され得る。
【0012】
図1は、本実施形態における表示装置DSPの構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基材10の上に、画像を表示する表示領域DAと、当該表示領域DAの周辺の非表示領域NDAとを有している。基材10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0013】
本実施形態においては、平面視における基材10の形状が長方形である。ただし、基材10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形または楕円形等の他の形状であってもよい。
【0014】
表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、赤色の副画素SP1、緑色の副画素SP2及び青色の副画素SP3を含む。なお、画素PXは、副画素SP1、SP2及びSP3とともに白色等の他の色の副画素SPを含んでいてもよい。また、画素PXは、副画素SP1、SP2及びSP3のいずれかに代えて他の色の副画素SPを含んでいてもよい。
【0015】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子20とを備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4とを備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0016】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極及びドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極及びキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極及びドレイン電極の一方は電源線PL及びキャパシタ4に接続され、他方は表示素子20に接続されている。
【0017】
なお、画素回路1の構成は、
図1に示す例に限られない。画素回路1は、例えばより多くの薄膜トランジスタ及びキャパシタを備えていてもよい。
【0018】
表示素子20は、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)である。例えば、副画素SP1は赤色の波長域の光を放つ表示素子20を備え、副画素SP2は緑色の波長域の光を放つ表示素子20を備え、副画素SP3は青色の波長域の光を放つ表示素子20を備えている。
【0019】
なお、
図1には主に表示装置DSPの製造に用いられる表示パネルを示しており、当該表示装置DSPは、当該表示パネルを駆動するドライバ(駆動ICチップ)を備える回路基板等が当該表示パネルに接続された構造を有する。
【0020】
図2は、副画素SP1、SP2及びSP3のレイアウトの一例を示す。
図2に示す例においては、副画素SP1とSP2とが第2方向Yに並んでいる。更に、副画素SP1及びSP2は、それぞれ副画素SP3と第1方向Xに並んでいる。
【0021】
副画素SP1、SP2及びSP3が
図2に示すようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP1及びSP2が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP3が第2方向Yに繰り返し配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。
【0022】
なお、副画素SP1、SP2及びSP3のレイアウトは、
図2に示す例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1、SP2及びSP3は、第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0023】
表示領域DAには、リブ5及び隔壁6が配置されている。リブ5は、副画素SP1、SP2及びSP3においてそれぞれ開口AP1、AP2及びAP3を有している。
図2に示す例においては、開口AP2が開口AP1よりも大きく、開口AP3が開口AP2よりも大きい。隔壁6は、隣り合う副画素SPの境界に配置され、平面視においてリブ5と重なっている。
【0024】
隔壁6は、第1方向Xに延びる複数の第1隔壁6xと、第2方向Yに延びる複数の第2隔壁6yとを有している。複数の第1隔壁6xは、第2方向Yに隣り合う開口AP1とAP2との間、及び、第2方向Yに隣り合う2つの開口AP3の間にそれぞれ配置されている。第2隔壁6yは、第1方向Xに隣り合う開口AP1とAP3との間、及び、第1方向Xに隣り合う開口AP2とAP3との間にそれぞれ配置されている。
【0025】
図2に示す例においては、第1隔壁6x及び第2隔壁6yが互いに接続されている。これにより、隔壁6は全体として開口AP1、AP2及びAP3を囲う格子状である。隔壁6は、リブ5と同様に副画素SP1、SP2及びSP3において開口を有するということもできる。
【0026】
すなわち、本実施形態において、リブ5及び隔壁6は、副画素SP1、SP2及びSP3を区画するように配置されている。
【0027】
副画素SP1は、開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1及び有機層OR1を備えている。副画素SP2は、開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2及び有機層OR2を備えている。副画素SP3は、開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3及び有機層OR3を備えている。
図2に示す例においては、上電極UE1及び有機層OR1の外形が一致し、上電極UE2及び有機層OR2の外形が一致し、上電極UE3及び有機層OR3の外形が一致している。
【0028】
下電極LE1、上電極UE1及び有機層OR1は、副画素SP1の表示素子20を構成する。下電極LE2、上電極UE2及び有機層OR2は、副画素SP2の表示素子20を構成する。下電極LE3、上電極UE3及び有機層OR3は、副画素SP3の表示素子20を構成する。
【0029】
下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて副画素SP1(の表示素子20)を駆動する画素回路1に接続されている。下電極LE2は、コンタクトホールCH2を通じて副画素SP2(の表示素子20)を駆動する画素回路1に接続されている。下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて副画素SP3(の表示素子20)を駆動する画素回路1に接続されている。
【0030】
図2に示す例において、コンタクトホールCH1及びCH2は、第2方向Yに隣り合う開口AP1とAP2との間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。コンタクトホールCH3は、第2方向Yに隣り合う2つの開口AP3の間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。他の例として、コンタクトホールCH1、CH2及びCH3の少なくとも一部が第1隔壁6xと重なっていなくてもよい。
【0031】
図2に示す例において、下電極LE1及びLE2は、突部PR1及びPR2をそれぞれ有している。突部PR1は、下電極LE1の本体(開口AP1と重なる部分)からコンタクトホールCH1に向けて突出している。突部PR2は、下電極LE2の本体(開口AP2と重なる部分)からコンタクトホールCH2に向けて突出している。コンタクトホールCH1及びCH2は、突部PR1及びPR2とそれぞれ重なっている。
【0032】
図3は、
図2中のIII-III線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。表示装置DSPにおいては、基材10の上(表示素子20等が配置される側の面上)にアンダーコート層と称される絶縁層11が配置されている。
【0033】
絶縁層11は、例えばシリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)、シリコン酸化膜(SiO)を有する三層積層構造を有する。なお、絶縁層11は、三層積層構造に限られず、三層以上の積層構造を有していてもよいし、単層構造または二層積層構造を有していてもよい。
【0034】
絶縁層11の上には、回路層12が配置されている。回路層12は、
図1に示す画素回路1、走査線GL、信号線SL及び電源線PL等の副画素SP(SP1、SP2及びSP3)を駆動する各種回路及び配線を有する。回路層12は、絶縁層13により覆われている。
【0035】
絶縁層13は、回路層12により生じる凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。
図3には示されていないが、上記したコンタクトホールCH1、CH2及びCH3は、絶縁層13に設けられている。
【0036】
下電極LE(LE1、LE2及びLE3)は、絶縁層13の上に配置されている。リブ5は、絶縁層13と下電極LEとの上に配置されている。下電極LEの端部(一部)は、リブ5により覆われている。
【0037】
隔壁6は、リブ5の上に配置された下部61と、当該下部61の上面を覆う上部62とを有する。上部62は、下部61よりも第1方向X及び第2方向Yに大きい幅を有している。これにより、隔壁6は、上部62の両端部が下部61の側面よりも突出した形状を有する。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状ということもできる。
【0038】
有機層OR(OR1、OR2及びOR3)及び上電極UE(UE1、UE2及びUE3)は上記した下電極LE(LE1、LE2及びLE3)とともに表示素子20を構成するが、
図3に示すように、有機層OR1は、互いに離間した第1有機層OR1a及び第2有機層OR1bを含む。上電極UE1は、互いに離間した第1上電極UE1a及び第2上電極UE1bを含む。第1有機層OR1aは、開口AP1を通じて下電極LE1に接触するとともに、リブ5の一部を覆っている。第2有機層OR1bは、上部62の上に位置している。第1上電極UE1aは、下電極LE1と対向するとともに、第1有機層OR1aを覆っている。更に、第1上電極UE1aは、下部61の側面に接触している。第2上電極UE1bは、隔壁6の上方に位置し、第2有機層OR1bを覆っている。
【0039】
また、
図3に示すように、有機層OR2は、互いに離間した第1有機層OR2a及び第2有機層OR2bを含む。上電極UE2は、互いに離間した第1上電極UE2a及び第2上電極UE2bを含む。第1有機層OR2aは、開口AP2を通じて下電極LE2に接触するとともに、リブ5の一部を覆っている。第2有機層OR2bは、上部62の上に位置している。第1上電極UE2aは、下電極LE2と対向するとともに、第1有機層OR2aを覆っている。更に、第1上電極UE2aは、下部61の側面に接触している。第2上電極UE2bは、隔壁6の上方に位置し、第2有機層OR2bを覆っている。
【0040】
また、
図3に示すように、有機層OR3は、互いに離間した第1有機層OR3a及び第2有機層OR3bを含む。上電極UE3は、互いに離間した第1上電極UE3a及び第2上電極UE3bを含む。第1有機層OR3aは、開口AP3を通じて下電極LE3に接触するとともに、リブ5の一部を覆っている。第2有機層OR3bは、上部62の上に位置している。第1上電極UE3aは、下電極LE3と対向するとともに、第1有機層OR3aを覆っている。更に、第1上電極UE3aは、下部61の側面に接触している。第2上電極UE3bは、隔壁6の上方に位置し、第2有機層OR3bを覆っている。
【0041】
図3に示す例において、副画素SP1、SP2及びSP3は、有機層OR1、OR2及びOR3の発光層が発する光の光学特性を調整するためのキャップ層CP1、CP2及びCP3を含む。
【0042】
キャップ層CP1は、互いに離間した第1キャップ層CP1a及び第2キャップ層CP1bを含む。第1キャップ層CP1aは、開口AP1に位置し、第1上電極UE1aの上に配置されている。第2キャップ層CP1bは、隔壁6の上方に位置し、第2上電極UE1bの上に配置されている。
【0043】
キャップ層CP2は、互いに離間した第1キャップ層CP2a及び第2キャップ層CP2bを含む。第1キャップ層CP2aは、開口AP2に位置し、第1上電極UE2aの上に配置されている。第2キャップ層CP2bは、隔壁6の上方に位置し、第2上電極UE2bの上に配置されている。
【0044】
キャップ層CP3は、互いに離間した第1キャップ層CP3a及び第2キャップ層CP3bを含む。第1キャップ層CP3aは、開口AP3に位置し、第1上電極UE3aの上に配置されている。第2キャップ層CP3bは、隔壁6の上方に位置し、第2上電極UE3bの上に配置されている。
【0045】
副画素SP1、SP2及びSP3には、封止層SE1、SE2及びSE3がそれぞれ配置されている。封止層SE1は、第1キャップ層CP1a、隔壁6及び第2キャップ層CP1bを含む副画素SP1の各部材を連続的に覆っている。封止層SE2は、第1キャップ層CP2a、隔壁6及び第2キャップ層CP2bを含む副画素SP2の各部材を連続的に覆っている。封止層SE3は、第1キャップ層CP3a、隔壁6及び第2キャップ層CP3bを含む副画素SP3の各部材を連続的に覆っている。
【0046】
図3に示す例においては、副画素SP1とSP3との間の隔壁6上の第2有機層OR1b、第2上電極UE1b、第2キャップ層CP1b及び封止層SE1と、当該隔壁6上の第2有機層OR3b、第2上電極UE3b、第2キャップ層CP3b及び封止層SE3とが離間している。また、副画素SP2とSP3との間の隔壁6上の第2有機層OR2b、第2上電極UE2b、第2キャップ層CP2b及び封止層SE2と、当該隔壁6上の第2有機層OR3b、第2上電極UE3b、第2キャップ層CP3b及び封止層SE3とが離間している。
【0047】
封止層SE1、SE2及びSE3は、樹脂層14により覆われている。樹脂層14は、封止層15により覆われている。更に、封止層15は、樹脂層16により覆われている。
【0048】
絶縁層13と樹脂層14及び16とは、有機材料で形成されている。リブ5と封止層15及びSE(SE1、SE2及びSE3)とは、例えばシリコン窒化物(SiNx)等の無機材料で形成されている。
【0049】
隔壁6が有する下部61は、導電性を有している。隔壁6が有する上部62も同様に導電性を有していてもよい。下電極LEは、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明な導電性酸化物で形成されてもよいし、銀(Ag)等の金属材料と導電性酸化物との積層構造を有していてもよい。上電極UEは、例えばマグネシウムと銀との合金(MgAg)等の金属材料で形成されている。上電極UEは、ITO等の導電性酸化物で形成されてもよい。
【0050】
下電極LEの電位が上電極UEの電位よりも相対的に高い場合、下電極LEがアノードに相当し、上電極UEがカソードに相当する。また、上電極UEの電位が下電極LEの電位よりも相対的に高い場合、上電極UEがアノードに相当し、下電極LEがカソードに相当する。
【0051】
有機層ORは、一対の機能層と、これら機能層の間に配置された発光層とを含む。一例として、有機層ORは、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層及び電子注入層を順に積層した構造を有している。
【0052】
キャップ層CP(CP1、CP2及びCP3)は、例えば透明な複数の薄膜の多層体によって形成されている。多層体は、複数の薄膜として、無機材料によって形成された薄膜及び有機材料によって形成された薄膜を含んでもよい。また、これらの複数の薄膜は、互いに異なる屈折率を有している。多層体を構成する薄膜の材料は、上電極UEの材料とは異なり、また、封止層SEの材料とも異なる。なお、キャップ層CPは省略されてもよい。
【0053】
隔壁6には、共通電圧が供給されている。この共通電圧は、下部61の側面に接触した上電極UE(第1上電極UE1a、UE2a及びUE3a)にそれぞれ供給される。下電極LE(LE1、LE2及びLE3)には、副画素SP(SP1、SP2及びSP3)がそれぞれ有する画素回路1を通じて画素電圧が供給される。
【0054】
下電極LE1と上電極UE1との間に電位差が形成されると、第1有機層OR1aの発光層が赤色の波長域の光を放つ。下電極LE2と上電極UE2との間に電位差が形成されると、第1有機層OR2aの発光層が緑色の波長域の光を放つ。下電極LE3と上電極UE3との間に電位差が形成されると、第1有機層OR3aの発光層が青色の波長域の光を放つ。
【0055】
他の例として、有機層OR1、OR2及びOR3の発光層が同一色(例えば、白色)の光を放ってもよい。この場合において、表示装置DSPは、発光層が放つ光を副画素SP1、SP2及びSP3に対応する色の光に変換するカラーフィルタを備えてもよい。また、表示装置DSPは、発光層が放つ光により励起して副画素SP1、SP2及びSP3に応じた色の光を生成する量子ドットを含んだ層を備えてもよい。
【0056】
図4は、隔壁6の概略的な拡大断面図である。
図4においては、リブ5、隔壁6、絶縁層13及び一対の下電極LE以外の要素を省略している。一対の下電極LEは、上記した下電極LE1、LE2及びLE3のいずれかに相当する。また、上記した第1隔壁6x及び第2隔壁6yは、
図4に示す隔壁6と同様の構造を有している。
【0057】
図4に示す例において、隔壁6が有する下部61は、リブ5の上に配置されたバリア層611と、当該バリア層611の上に配置された金属層612とを含む。バリア層611は、金属層612とは異なる材料で形成されており、例えばモリブデン等の金属材料によって形成されている。金属層612は、バリア層611よりも厚く形成されている。金属層612は、単層構造であってもよいし、異なる金属材料の積層構造であってもよい。一例として、金属層612は例えばアルミニウム(Al)により形成される。
【0058】
上部62は、下部61よりも薄い。
図4に示す例において、上部62は、金属層612の上に配置された第1層621と、当該第1層621の上に配置された第2層622とを含む。一例としては、第1層621は例えばチタン(Ti)により形成され、第2層622は例えばITOにより形成される。ここでは、上部62が二層積層構造であるものとして説明したが、当該上部62は例えばチタンのような金属材料により形成される単層構造であってもよい。また、上部62は金属材料以外であってもよく、シリコン酸化物(SiO)等の無機材料でもよい。更に、上部62は、上記ITO等の導電性酸化物、チタン等の金属材料、シリコン酸化物等の無機材料を適宜組み合わせて積層してもよいし、上記いずれかの材料による単層でもよい。
【0059】
図4に示す例においては、下部61の幅が上部62に近づくにつれて小さくなる。すなわち、下部61の側面61a及び61bは、第3方向Zに対して傾斜している。なお、上部62は、側面61aから突出した端部62aと、側面61bから突出した端部62bとを有している。
【0060】
側面61a及び61bからの端部62a及び62bの突出量D(以下、隔壁6の突出量Dと表記)は、例えば2.0μm以下である。本実施形態における隔壁6の突出量Dは、側面61a及び61bの下端(バリア層611)と端部62a及び62bとの間の、隔壁6の第3方向Zと直交する幅方向(第1方向Xまたは第2方向Y)における距離に相当する。
【0061】
なお、隔壁6の構造及び当該隔壁6の各部の材料は、例えば隔壁6を形成する手法等を考慮して、適宜、選定することができるものとする。
【0062】
ここで、本実施形態において、隔壁6は、平面視において副画素SPを区画するように形成されている。上記した有機層ORは例えば異方性あるいは指向性のある真空蒸着法によって形成されるが、隔壁6が配置された状態で当該有機層ORを形成するための有機材料を基材10全体に蒸着した場合、隔壁6は
図3及び
図4に示すような形状を有しているため、当該隔壁6の側面には有機層ORは殆ど形成されない。これによれば、隔壁6によって副画素SP毎に分断されるような有機層OR(表示素子20)を形成することができる。
【0063】
図5~
図7は、隔壁6を利用して形成される表示素子20について説明するための概略的な断面図である。この
図5~
図7に示す副画素SPα、SPβ及びSPγは、副画素SP1、SP2及びSP3のいずれかに相当する。
【0064】
上記したように隔壁6が配置された状態で
図5に示すように基材10全体に対して有機層OR、上電極UE、キャップ層CP及び封止層SEが順に蒸着によって形成される。有機層ORは、副画素SPαに対応する色の光を放つ発光層を含む。オーバーハング状の隔壁6によって、有機層ORは下電極LEを覆う第1有機層ORaと隔壁6上の第2有機層ORbに分断され、上電極UEは第1有機層ORaを覆う第1上電極UEaと第2有機層ORbを覆う第2上電極UEbとに分断され、キャップ層CPは第1上電極UEaを覆う第1キャップ層CPaと第2上電極UEbを覆う第2キャップ層CPbとに分断される。第1上電極UEaは、隔壁6の下部61に接触している。封止層SEは、第1キャップ層CPa、第2キャップ層CPb及び隔壁6を連続的に覆っている。
【0065】
次に、
図6に示すように、封止層SEの上にレジストRが形成される。レジストRは、副画素SPαを覆っている。すなわち、レジストRは、副画素SPαに位置する第1有機層ORa、第1上電極UEa及び第1キャップ層CPaの直上に配置されている。レジストRは、副画素SPαと副画素SPβとの間の隔壁6上の第2有機層ORb、第2上電極UEb及び第2キャップ層CPbのうち、副画素SPα寄りの部分の直上にも位置している。すなわち、隔壁6の少なくとも一部は、レジストRから露出している。
【0066】
更に、レジストRをマスクとしたエッチングにより、
図7に示すように有機層OR、上電極UE、キャップ層CP及び封止層SEのうちレジストRから露出した部分が除去される。これにより、副画素SPαには下電極LE、第1有機層ORa、第1上電極UEa及び第1キャップ層CPaを含む表示素子20が形成される。一方で、副画素SPβ及びSPγにおいては下電極LEが露出する。なお、上記したエッチングは、例えば封止層SEのドライエッチング、キャップ層CPのウェットエッチング及びドライエッチング、上電極UEのウェットエッチング、有機層ORのドライエッチングを含む。
【0067】
上記したように副画素SPαの表示素子20が形成されると、レジストRが除去され、副画素SPβ及びSPγの表示素子20が、副画素SPαと同様に、順に形成される。
【0068】
以上の副画素SPα、SPβ及びSPγについて例示したように副画素SP1、SP2及びSP3の表示素子20を形成し、更に樹脂層14、封止層15及び樹脂層16を形成することにより、
図3に示した表示装置DSPの構造が実現される。
【0069】
ここで、上記したように隔壁6は下部61と当該下部61の側面から突出した上部62とを有するが、上記した隔壁6の突出量D(庇幅)が適切でない場合には、表示装置DSPの信頼性が低下する可能性がある。
【0070】
具体的には、表示装置DSPにおいては隔壁6によって副画素SP毎に有機層ORが分断される構成であり、設計の値より当該隔壁6の突出量Dが十分に大きくない場合には、当該有機層ORを適切に分断することができない可能性がある。また、隔壁6が有する下部61の側面が有機層ORで覆われてしまった場合には、当該下部61と上電極UEとの電気的な接続が阻害されてしまう。一方で、表示装置DSPにおいては隔壁6が有する下部61の側面に上電極UEが接触しているが、当該隔壁6の突出量Dが設計の値を超えるような場合には、当該下部61の側面に上電極UEが接触しない可能性がある。
【0071】
すなわち、上記した隔壁6の突出量Dが適切でない場合には信頼性が高い表示装置DSPを製造することができないため、当該表示装置DSPの製造工程において、当該突出量D(つまり、隔壁6が有する下部61の側面と上部62の端部との間の距離)を計測することが有用である。なお、隔壁6の突出量Dの計測には、例えば物体を含む画像を撮影することによって当該物体の長さを計測可能に構成された測長機カメラを利用することができる。
【0072】
ここで、
図8に示すように、隔壁6が形成された段階で、測長機カメラ100を用いて第3方向Z(つまり、表示装置DSPの表示面側)から隔壁6を撮影することによって当該隔壁6の突出量Dを計測する場合を想定する。この場合、隔壁6が有する上部62は下部61よりも大きい幅を有している(つまり、隔壁6の形状はオーバーハング状である)ため、例えば上部62が光透過性を有さない遮光性の金属材料(例えば、チタン)で形成された層を含む場合には、測長機カメラ100は下部61の側面(つまり、下部61の第1方向Xまたは第2方向Yの端部)を撮影することができない。すなわち、
図8に示す例では、上部62の第1方向Xまたは第2方向Yの長さ(以下、上部62の幅と表記)を計測することはできるが、隔壁6の突出量Dを計測することはできない。
【0073】
このため、本実施形態においては、
図9に示すように、レーザーを照射することによって金属材料を加工するように構成されたレーザー加工装置200を用いて隔壁6が有する上部62を除去した(吹き飛ばした、あるいは、溶融して消失した)後に、測長機カメラ100を用いて当該隔壁6が有する下部61を撮影することによって当該下部61の第1方向または第2方向Yの長さ(以下、下部61の幅と表記)を計測する。本実施形態においては、このように計測された下部61の幅と上記した上部62の幅とに基づいて隔壁6の突出量D(つまり、下部61の側面と上部62の端部との間の距離)を計測するものとする。
【0074】
ところで、一般に、表示装置DSPの製造工程においては、複数の基材10を一括して形成したマザー基材上に複数の表示パネルを形成したマザー基板を製造し、当該マザー基板からカットされた表示パネルの各々を用いて表示装置DSPを製造することが行われている。
【0075】
図10は、マザー基板(マザー基材)を概略的に示す。
図10に示すように、マザー基板300は、複数のパネル領域301と、周辺領域302とを有する。マザー基板300のサイズは、例えば1500mm×950mm程度であるが、これに限定されない。
【0076】
複数のパネル領域301の各々は、表示パネルが形成される領域であり、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列されている。周辺領域302は、複数のパネル領域301の周辺に存在し、当該複数のパネル領域301を区画する領域である。
【0077】
ここで、複数のパネル領域301に配置されている隔壁6(下部61及び上部62を有する隔壁6)は、表示装置DSPの製造に用いられる表示パネルが形成される工程で各副画素SPを形成していくために必要である。したがって、上記したように隔壁6の突出量Dを計測するために、レーザー加工装置200を用いて複数のパネル領域301に配置されている隔壁6が有する上部62を除去することはできない。
【0078】
このため、本実施形態においては、上記したマザー基板300に対する検査として、周辺領域302(例えば、
図10に示す×印の領域)を利用して隔壁6の突出量Dを計測するものとする。これによれば、隔壁6の突出量Dを計測するために上部62が除去されたとしても表示装置DSPの製造に用いられる表示パネルを適切に形成することができる。
【0079】
以下、
図11を参照して、本実施形態に係る表示装置DSPの製造方法(製造工程)の概要について説明する。
【0080】
まず、複数の基材10を一括して形成したマザー基材(以下、便宜的に、マザー基材10と表記)を用意し、パネル領域301及び周辺領域302において、当該マザー基材10上に絶縁層11、回路層12、絶縁層13、リブ5及び隔壁6(下部61及び上部62)が順に形成される。
【0081】
なお、絶縁層11、回路層12、絶縁層13、リブ5及び隔壁6は、パネル領域301及び周辺領域302において同一のプロセスで形成されるものとする。
【0082】
上記したように隔壁6が形成されると、レーザー加工装置200を用いて、周辺領域302において形成された隔壁6が有する上部62が除去される。上記したようにレーザー加工装置200はレーザーを照射することによって金属材料を加工するように構成されているが、当該レーザー加工装置200(が照射するレーザーのエネルギー量)は、隔壁6が有する上部62を除去するように予め調整されているものとする。なお、本実施形態においてはレーザー加工装置200によって隔壁6が有する上部62のみが除去されることが好ましいが、上記したように隔壁6の突出量Dを計測するという観点によれば、レーザー加工装置200は、
図4に示す少なくともバリア層611(つまり、隔壁6が有する下部61のリブ5の直上に配置されている部分)が除去されないように動作すればよい。
【0083】
これによれば、周辺領域302において上部62が除去された隔壁6を測長機カメラ100で撮影することにより、当該隔壁6が有する下部61の幅を計測することができる。
【0084】
本実施形態においては、上記したように計測された下部61の幅と、上部62が除去されていない隔壁6を撮影することによって計測された当該上部62の幅との差分を算出することにより、隔壁6の突出量D(つまり、下部61の側面と上部62の端部との間の距離)を計測することができる。
【0085】
このように計測された隔壁6の突出量Dが適切である場合には、上記した
図5~
図7において説明したように各副画素SPの表示素子20を形成する。その後、パネル領域301の各々に形成されている表示パネルがマザー基板300からカットされ、当該カットされた表示パネルを用いて表示装置DSPが製造される。
【0086】
なお、本実施形態における隔壁6の突出量Dは上記したように測長機カメラ100を用いて計測された下部61の幅と上部62の幅との差分の1/2に相当するが、当該隔壁6の突出量Dは、測長機カメラ100または当該測長機カメラ100に接続される電子機器によって自動的に算出されてもよいし、当該下部61の幅と当該上部62の幅とを参照した表示装置DSPの製造に関する管理者等が計算してもよい。
【0087】
また、本実施形態おいて計測された隔壁6の突出量Dが適切であるか否かは、上記した管理者等によって判断されればよい。ただし、隔壁6の突出量Dが適切であるか否かを管理者が判断することを補助するために、例えば計測された隔壁6の突出量Dが予め定められた範囲に該当しない(つまり、突出量Dが適切でない)場合にアラートを出力する測長機カメラ100または当該測長機カメラ100に接続される電子機器を利用してもよい。
【0088】
また、本実施形態において計測される隔壁6の突出量Dは、第1方向X及び第2方向Yの距離(長さ)であってもよいし、第1方向X及び第2方向Yのうちの一方の距離(長さ)であってもよい。
【0089】
また、詳細な説明については省略するが、本実施形態における隔壁6は、下部61及び上部62に対して例えば異方性ドライエッチングを行った後に等方性ウェットエッチングを行うことによって形成される。この場合、本実施形態においては表示装置DSP(表示パネル)の信頼性の低下を抑制するために隔壁6の突出量Dを計測する構成であるところ、パネル領域301と周辺領域302とで突出量Dが異なる隔壁6が形成された場合には、周辺領域302で当該突出量Dを計測する意義が低減する。
【0090】
このため、本実施形態においては、パネル領域301及び周辺領域302において隔壁6を形成する際のエッチング量のばらつきを同等にする(つまり、複数のパネル領域301が有する隔壁6の突出量Dと周辺領域302が有する隔壁6の突出量Dとを同等にする)ために、周辺領域302の少なくとも×印の領域には、パネル領域301における隔壁6と同一のパターンの隔壁6が形成されるものとする。具体的には、パネル領域301において隔壁6は副画素SPを区画するパターンで形成されるが、周辺領域302においても同様に、例えば
図12に示すような副画素SPを区画するパターンと同一のパターンで隔壁6が形成されるものとする。
【0091】
なお、パネル領域301と周辺領域302とにおいて同程度の形状を有する隔壁6を形成するためには、周辺領域302(隔壁6の突出量Dが計測される領域)は、少なくとも複数の画素PX(副画素SP)を区画するような幅を有していることが好ましい。
図12に示す例では、周辺領域302の×印の領域に6×6=36個分の画素PX(副画素SP1、SP2及びSP3)を区画するパターンで隔壁6が形成されている場合を想定しているが、当該×印の領域には、例えば10×10=100個分のような数の画素PXを区画するパターンで隔壁6が形成されていてもよい。なお、周辺領域302におけるリブ5については、パネル領域301と同じパターンで形成されてもよいし、当該パネル領域301とは異なるパターンで形成されていてもよい。
【0092】
更に、本実施形態においては周辺領域302に形成された隔壁6の突出量Dを計測するものとして説明したが、当該隔壁6の突出量Dの計測は、例えば測長機カメラ100及びレーザー加工装置200を移動させながら
図10に示す×印の領域の全てにおいて行われることが好ましい。これによれば、マザー基板300が有する複数のパネル領域301に形成されている全ての表示パネル(を用いて製造される表示装置DSP)の信頼度を向上させることができると考えられる。
【0093】
ただし、隔壁6の突出量Dの計測にかかる負担を軽減するために、
図10に示す×印の領域のうちの一部において隔壁6の突出量Dを計測するようにしてもよい。この場合、マザー基板300の例えば4つの角部近傍の領域及び当該マザー基板300の中央近傍の領域において隔壁6の突出量Dを計測するようにしてもよい。
【0094】
また、本実施形態においてはレーザー加工装置200を用いて周辺領域302に形成された隔壁6が有する上部62を除去することによって当該隔壁6の突出量Dを計測することが可能であるが、当該隔壁6の突出量Dを計測する際に、当該周辺領域302内の×印の領域に形成されている隔壁6が有する全ての上部62を除去する必要はない。具体的には、例えば
図13に示すように、周辺領域302内の×印の領域のうちの一部の領域400に形成されている上部62のみを除去(当該領域400のみにレーザーを照射)した後に測長機カメラ100で当該領域400を包含する範囲を撮影するようにすれば、隔壁6が有する下部61の幅D1と上部62の幅D2とを一度の撮影で計測することができる。
【0095】
上記したように本実施形態においては、基材10の上に下電極LEを形成し、当該下電極LEの一部を覆うリブ5を形成し、当該リブ5の上に配置された下部61と当該下部61の側面から突出した上部62とを有する隔壁6とを形成し、隔壁6の少なくとも一部が有する上部62を除去し、当該隔壁6が有する下部61の幅D1(第1幅)及び隔壁6が有する上部62の幅D2(第2幅)を計測し、当該下部61の幅D1及び当該上部62の幅D2に基づいて当該隔壁6の突出量D(当該下部61の側面と当該上部62の端部との間の距離)を計測する。
【0096】
なお、本実施形態においては、隔壁6が有する上部62が例えばチタンのような金属材料によって形成されており、当該上部62が例えばレーザー加工装置200から照射されるレーザーによって除去されるものとして説明したが、当該上部62の除去は、他の手法により実現されてもよい。また、上記した下部61の幅D1及び上部62の幅D2は例えば測長機カメラ100で撮影することにより計測されるものとして説明したが、当該下部61の幅D1及び当該上部62の幅D2の計測は、他の手法により実現されても構わない。
【0097】
本実施形態においては、このような構成により、隔壁6の突出量Dが適切な状態で表示装置DSPを製造することができるため、当該表示装置DSPの信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【0098】
なお、隔壁6の突出量Dを計測するために基材10の表示素子20等が配置される側の面とは反対の面(つまり、裏面)側から測長機カメラ100を用いて隔壁6を撮影することが考えられるが、本実施形態は、このような基材10の裏面側から隔壁6を撮影する(隔壁6の突出量Dを計測する)ことができないような場合に好適であるといえる。
【0099】
また、本実施形態においては、複数のパネル領域301と当該複数のパネル領域301を区画する周辺領域302とを有するマザー基材10を用意し、隔壁6を当該複数のパネル領域301及び当該周辺領域302の双方に形成し、上記した隔壁6が有する上部62の除去と、下部61の幅D1及び上部62の幅D2(つまり、隔壁6の突出量D)の計測とを当該周辺領域302において行う。このような構成によれば、表示装置DSP(つまり、表示装置DSPを製造するためにマザー基板300からカットされる表示パネル)の品質に影響を与えることなく、隔壁6の突出量Dを計測することが可能となる。
【0100】
上記したように計測された隔壁6の突出量Dが適切である場合には、下電極LEの上に有機層ORを形成し、当該有機層ORの上に上電極UEを形成し、当該上電極の上にキャップ層CPを形成し、当該キャップ層CPの上に封止層SEを形成し、当該封止層SEの上にレジストRを形成し、当該レジストRをマスクとして、当該封止層SE、キャップ層CP、上電極UE及び有機層ORを除去するような工程が繰り返されることにより、各色の副画素SPの表示素子20を形成すればよい。
【0101】
なお、本実施形態において説明した表示装置DSPの製造方法が適用された場合、マザー基板300は、表示パネルが形成される複数のパネル領域301と当該複数のパネル領域301を区画する周辺領域302とを有する基材10と、当該基材10の上に配置された下電極LEと、当該下電極LEの一部を覆い、副画素SP(画素)を区画するリブ5と、当該複数のパネル領域301及び当該周辺領域302においてリブ5の上に配置された隔壁6とを有し、複数のパネル領域301に配置された隔壁6はリブ5の上に配置された下部61と当該下部61の側面から突出した上部62とを有し、周辺領域302に配置された隔壁6(の少なくとも一部)はリブ5の上に配置された下部61を有し、上部62を有さない構成を有する。本実施形態においては、このようなマザー基板300から突出量Dが適切な隔壁6が形成されている表示パネルをカットして表示装置DSPを製造することができるため、当該表示装置DSPの信頼性を向上させることができる。
【0102】
また、本実施形態において、複数のパネル領域301における隔壁6は、副画素SPを区画するパターンで形成される。これに対して、周辺領域302における隔壁6は、複数のパネル領域301に形成される隔壁6と同一のパターンで形成される(つまり、副画素SPを模したダミーパターンとして形成される)。これによれば、隔壁6は異方性ドライエッチングを行った後に等方性ウェットエッチングを行うことによって形成されるところ、複数のパネル領域301において隔壁6を形成する際のエッチング量と周辺領域302において隔壁6を形成する際のエッチング量とのばらつきを低減させることができるため、当該周辺領域302に形成された隔壁6の突出量Dを計測することによって、当該パネル領域301において隔壁6が適切に形成されているかを判断することができる。
【0103】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置の製造方法及びマザー基板を基にして、当業者が適宜設計変更して実施して実施し得る全ての表示装置の製造方法及びマザー基板も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0104】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0105】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0106】
DSP…表示装置、DA…表示領域、NDA…非表示領域、PX…画素、SP,SP1,SP2,SP3…副画素、LE,LE1,LE2,LE3…下電極、UE,UE1,UE2,UE3…上電極、OR,OR1,OR2,OR3…有機層、SE,SE1,SE2,SE3…封止層、1…画素回路、2…画素スイッチ、3…駆動トランジスタ、4…キャパシタ、5…リブ、6…隔壁、10…基材、11…絶縁層、12…回路層、13…絶縁層、14…樹脂層、15…封止層、16…樹脂層、20…表示素子、61…下部、62…上部、100…測長機カメラ、200…レーザー加工装置、300…マザー基板、301…パネル領域、302…周辺領域。