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特開2023-163781商流管理支援方法及び商流管理支援装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163781
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】商流管理支援方法及び商流管理支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20231102BHJP
【FI】
G06Q10/08 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074913
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 哲厳
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】バイヤ及びサプライヤの種々の受発注形態にも柔軟に対応し、当該サプライチェーンにおける商流の見える化を支援可能とする。
【解決手段】商流管理支援装置100において、通信装置105と、発注者の端末において案件に関して各発注先に宛て発行した本流トークンの情報を取得し、受注者を本流トークンの移転先として管理し、発注者または受注者が案件処理のためN次請け事業者に宛て発行した支流トークンの情報を取得し、各N次請け事業者を支流トークンの移転先として管理し、支流トークンと本流トークンとの関係性を規定した情報を管理する演算装置104を含む構成とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が、
発注者の端末において所定の案件に関して各発注先に宛て発行した本流トークンの情報を取得し、当該情報が示す各発注先たる受注者を前記本流トークンの移転先として管理する処理と、
前記発注者または前記受注者が前記案件を処理するためのN次請け事業者に宛て発行した支流トークンの情報を取得し、当該情報が示す各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理する処理と、
前記支流トークンと前記本流トークンとの関係性を規定した情報を管理する処理と、
を実行することを特徴とする商流管理支援方法。
【請求項2】
前記情報処理装置において、
前記受注者が前記N次請け事業者に見込み発注を行うことに伴い、見込みトークンたる前記支流トークンに関する前記各処理を実行し、
前記見込み発注に対して、前記N次請け事業者からの前記受注者への納品に伴い、前記受注者が前記納品により製造した製品の在庫情報を、前記見込みトークンの情報と紐付けて記憶し、
前記発注者の端末において、前記見込み発注以後に、前記案件に関して前記受注者に宛て発行した前記本流トークンたる受注トークンの情報を取得し、当該情報が示す前記受注者を前記受注トークンの移転先として管理し、
前記受注トークンが示す前記案件の製品について、前記在庫情報に基づく在庫引き当て可否についての判定処理を実行し、
前記判定の結果、在庫引き当て可能である場合、引き当てた在庫と前記見込みトークンの情報を前記受注者の端末に通知し、
前記受注トークンと前記見込みトークンの関係性を保存する、
ことを特徴とする請求項1に記載の商流管理支援方法。
【請求項3】
前記情報処理装置が、
前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、
前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う資金移動の情報を紐付けて管理する、
ことを特徴とする請求項1に記載の商流管理支援方法。
【請求項4】
前記情報処理装置が、
前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、
前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う取引での取引内容の情報を紐付けて管理する、
ことを特徴とする請求項1に記載の商流管理支援方法。
【請求項5】
前記情報処理装置が、
前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、
前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う取引で生じる温室効果ガス排出量の情報を紐付けて管理する、
ことを特徴とする請求項1に記載の商流管理支援方法。
【請求項6】
前記情報処理装置が、
前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、
前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う取引での納品物の品質データの情報を紐付けて管理する、
ことを特徴とする請求項1に記載の商流管理支援方法。
【請求項7】
前記情報処理装置が、
前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、
前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う取引での物流の情報を紐付けて管理する、
ことを特徴とする請求項1に記載の商流管理支援方法。
【請求項8】
他端末と通信する通信装置と、
発注者の端末において所定の案件に関して各発注先に宛て発行した本流トークンの情報を取得し、当該情報が示す各発注先たる受注者を前記本流トークンの移転先として管理する処理と、前記発注者または前記受注者が前記案件を処理するためのN次請け事業者に宛て発行した支流トークンの情報を取得し、当該情報が示す各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理する処理と、前記支流トークンと前記本流トークンとの関係性を規定した情報を管理する処理を実行する演算装置と、
を含むことを特徴とする商流管理支援装置。
【請求項9】
前記演算装置は、
前記受注者が前記N次請け事業者に見込み発注を行うことに伴い、見込みトークンたる前記支流トークンに関する前記各処理を実行し、
前記見込み発注に対して、前記N次請け事業者からの前記受注者への納品に伴い、前記受注者が前記納品により製造した製品の在庫情報を、前記見込みトークンの情報と紐付けて記憶し、
前記発注者の端末において、前記見込み発注以後に、前記案件に関して前記受注者に宛て発行した前記本流トークンたる受注トークンの情報を取得し、当該情報が示す前記受注者を前記受注トークンの移転先として管理し、
前記受注トークンが示す前記案件の製品について、前記在庫情報に基づく在庫引き当て可否についての判定処理を実行し、
前記判定の結果、在庫引き当て可能である場合、引き当てた在庫と前記見込みトークンの情報を前記受注者の端末に通知し、
前記受注トークンと前記見込みトークンの関係性を保存するものである、
ことを特徴とする請求項8に記載の商流管理支援装置。
【請求項10】
前記演算装置は、
前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、
前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う資金移動の情報を紐付けて管理するものである、
ことを特徴とする請求項8に記載の商流管理支援装置。
【請求項11】
前記演算装置は、
前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、
前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う取引での取引内容の情報を紐付けて管理するものである、
ことを特徴とする請求項8に記載の商流管理支援装置。
【請求項12】
前記演算装置は、
前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、
前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う取引で生じる温室効果ガス排出量の情報を紐付けて管理するものである、
ことを特徴とする請求項8に記載の商流管理支援装置。
【請求項13】
前記演算装置は、
前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、
前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う取引での納品物の品質データの情報を紐付けて管理するものである、
ことを特徴とする請求項8に記載の商流管理支援装置。
【請求項14】
前記演算装置は、
前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、
前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う取引での物流の情報を紐付けて管理するものである、
ことを特徴とする請求項8に記載の商流管理支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商流管理支援方法及び商流管理支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サプライチェーンの頂点に立つバイヤにおいて、トレーサビリティやコンプライアンス、大規模被災時の安定的な商品供給など、自社のサプライチェーン全体に関する社会的責任が強まっている。そのため、バイヤが2次以降の取引先を知る「商流の見える化」の実現が長年の課題となっていた。
そうした業務や取引の流れを管理する従来技術としては、例えば、コンピュータを利用する取引の進捗管理方法および装置に係わり、特に企業間に伝送される取引情報を基にして複数企業が関与する作業スケジュールの進捗管理を行う方法(特許文献1参照)などが提案されている。
【0003】
この技術は、ネットワークを介して企業間に伝送される取引情報を取得し、該取引情報を基にして複数の企業に亘る複数の作業工程と完了予定日を含むスケジュールに展開し、該作業工程について作業の実績報告を取得したとき該スケジュールに実績日を記録し、実績日が完了予定日より遅れたとき遅れ日数に応じて後続の作業工程の完了予定日を修正する変更日を該スケジュールに記録することを特徴とする企業間の取引進捗管理方法にかかる。
【0004】
また、複数の企業が介在し、多段階の生産・流通構造を有した製品(特に衣服製品生産)の生産・流通に関するものであり、異なる企業間で、通信回線を介して、製品生産・流通に関する情報の共有化を図るための情報共有システム(特許文献2参照)なども提案されている。
【0005】
この技術は、複数の企業が介在し、多段階の生産・流通構造を有した製品生産・流通に関し、異なる企業間で、通信回線を介して、製品生産・流通に関する情報の共有化を図るための情報共有システムであって、製品生産・流通に関する情報を格納するデータベースと、企業端末から入力された製品生産・流通に関する情報を、前記データベースに格納する第1の格納手段と、企業端末から前記データベースに対する閲覧要求があると、該閲覧要求に応じて、前記データベースに格納している情報を前記企業端末へ送信する第1の送信手段を備えていることを特徴とする情報共有システムにかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-31179号公報
【特許文献2】特開2002-32434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
商流すなわち、バイヤからN次サプライヤまでの発注関係を見える化するには、バイヤからN次サプライヤまでの発注情報を収集し、それを数珠つなぎにすることが一般的なアイディアである。
ただし、そうした一般的な手法を採用するとしても、以下の2つの課題がある。1つは、他社への発注情報の中に自社への発注情報を特定するID等を持たせることはなく、発注情報とその分化をトレースし数珠つなぎにするのが困難という課題がある。
【0008】
さらにもう1つの課題は、サプライチェーン特有の背景として、見込み発注が当該商流に含まれる場合、バイヤからサプライヤへの発注が無いまま、当該サプライヤ以降の商流が発生するため、バイヤからの発注情報を起点に受発注の情報を数珠つなぎにするのは、さらに困難となる。
【0009】
そこで本発明の目的は、バイヤ及びサプライヤの種々の受発注形態にも柔軟に対応し、当該サプライチェーンにおける商流の見える化を支援可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の商流管理支援方法は、情報処理装置が、発注者の端末において所定の案件に関して各発注先に宛て発行した本流トークンの情報を取得し、当該情報が示す各発注先たる受注者を前記本流トークンの移転先として管理する処理と、前記発注者または前記受注者が前記案件を処理するためのN次請け事業者に宛て発行した支流トークンの情報を取得し、当該情報が示す各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理する処理と、前記支流トークンと前記本流トークンとの関係性を規定した情報を管理する処理と、を実行することを特徴とする。
また、本発明の商流管理支援装置は、他端末と通信する通信装置と、発注者の端末において所定の案件に関して各発注先に宛て発行した本流トークンの情報を取得し、当該情報が示す各発注先たる受注者を前記本流トークンの移転先として管理する処理と、前記発注者または前記受注者が前記案件を処理するためのN次請け事業者に宛て発行した支流トークンの情報を取得し、当該情報が示す各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理する処理と、前記支流トークンと前記本流トークンとの関係性を規定した情報を管理する処理を実行する演算装置と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、バイヤ及びサプライヤの種々の受発注形態にも柔軟に対応し、当該サプライチェーンにおける商流の見える化を支援可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の商流管理支援装置を含むネットワーク構成図である。
図2】本実施形態の商流管理支援装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】本実施形態のバイヤ端末のハードウェア構成例を示す図である。
図4】本実施形態のサプライヤ端末のハードウェア構成例を示す図である。
図5】本実施形態におけるトークンDBの構成例を示す図である。
図6】本実施形態における本支流トークンDBの構成例を示す図である。
図7】本実施形態におけるウォレットDBの構成例を示す図である。
図8】本実施形態における資金移動DBの構成例を示す図である。
図9】本実施形態における取引DBの構成例を示す図である。
図10】本実施形態におけるCO2排出量DBの構成例を示す図である。
図11】本実施形態における品質DBの構成例を示す図である。
図12】本実施形態における物流DBの構成例を示す図である。
図13】本実施形態における商流管理支援方法のフロー例を示す図である。
図14A】本実施形態における処理イメージの例を示す概念図である。
図14B】本実施形態におけるトークン流の例を示す概念図である。
図15】本実施形態における処理イメージの他例を示す概念図である。
図16】本実施形態におけるトークンDBの変遷例を示す図である。
図17】本実施形態におけるウォレットDBの変遷例を示す図である。
図18】本実施形態における処理イメージの例を示す概念図である。
図19】本実施形態におけるトークン流の例を示す概念図である。
図20】本実施形態における商流管理支援方法のフロー例を示す図である。
図21】本実施形態における在庫データベースの変遷例を示す図である。
図22】本実施形態におけるトークンDBの変遷例を示す図である。
図23】本実施形態における見込みトークンDBの変遷例を示す図である。
図24】本実施形態におけるトークン流とCO2排出量計算方法の対応例を示す図である。
図25】本実施形態における商流管理支援方法のフロー例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<ネットワーク構成>
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の商流管理支援装置100を含むネットワーク構成図である。図1に示す商流管理支援装置100は、バイヤ及びサプライヤの種々の受発注形態にも柔軟に対応し、当該サプライチェーンにおける商流の見える化を支援可能とするコンピュータである。
【0014】
本実施形態の商流管理支援装置100は、図1で示すように、ネットワーク1を介して、バイヤ端末200およびサプライヤ端末250らと通信可能に接続されている。よって、これらを総称して商流管理支援システム10としてもよい。
【0015】
本実施形態の商流管理支援装置100は、上述のバイヤ端末200の運用者たるバイヤ、およびサプライヤ端末250の運用者たるサプライヤらから構成されるサプライチェーンのプラットフォームを提供するサービス提供装置と言える。以後、本実施形態における商流管理支援装置100を、SCPF(Supply Chain Platform)と称することとする。
【0016】
一方、バイヤ端末200は、ある最終製品のメーカー等が運営する端末であって、その担当者が当該最終製品を構成する半製品や部品をサプライヤに発注する際に使用する端末である。具体的には、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などを想定できる。
【0017】
他方、サプライヤ端末250は、上述のバイヤからの発注を請けて半製品や部品を納入するサプライヤが運営する端末である。サプライヤ端末250は、サプライヤの担当者が当該半製品や部品の発注をバイヤ端末から受信し、必要な対応を行う際に使用する端末である。具体的には、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などを想定できる。
<ハードウェア構成>
また、本実施形態のSCPF100ハードウェア構成は、図2に以下の如くとなる。すなわちSCPF100は、記憶装置101、メモリ103、演算装置104、および通信装置105、を備える。
【0018】
このうち記憶装置101は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される。
【0019】
また、メモリ103は、RAMなど揮発性記憶素子で構成される。
【0020】
また、演算装置104は、記憶装置101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUである。
【0021】
また、通信装置105は、ネットワーク1と接続してバイヤ端末200およびサプライ
ヤ端末250らとの通信処理を担うネットワークインターフェイスカード等を想定する。
【0022】
なお、SCPF100は、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付ける入力装置、処理データの表示を行うディスプレイ等の出力装置、を更に備えるとしてもよい。
【0023】
また、記憶装置101内には、本実施形態の商流管理支援装置として必要な機能を実装する為のプログラム102に加えて、トークンDB125、本支流トークンDB126、及びウォレットDB127が少なくとも記憶されている。ただし、これらデータベースについての詳細は後述する。
【0024】
また、本実施形態のバイヤ端末200のハードウェア構成は、図3に以下の如くとなる。すなわちバイヤ端末200、記憶装置201、メモリ203、演算装置204、入力装置205、出力装置206、および通信装置207、を備える。
【0025】
このうち記憶装置201は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される。
【0026】
また、メモリ203は、RAMなど揮発性記憶素子で構成される。
【0027】
また、演算装置204は、記憶装置201に保持されるプログラム202をメモリ203に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUである。
【0028】
また、入力装置205は、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付けるキーボードやマウス、マイクといった装置である。
【0029】
また、出力装置206は、演算装置204における処理データの表示を行うディスプレイやスピーカー等の装置である。
【0030】
また、通信装置207は、ネットワーク1と接続してSCPF100およびサプライヤ端末250らとの通信処理を担うネットワークインターフェイスカード等を想定する。
【0031】
また、記憶装置201内には、本実施形態のバイヤ端末200として必要な機能を実装する為のプログラム202に加えて、資金移動DB225、取引DB226、CO2排出量DB227、品質DB228、及び物流DB229が少なくとも記憶されている。ただし、これらデータベースについての詳細は後述する。
【0032】
なお、バイヤ端末200は、サプライヤ(のサプライヤ端末250)に対する発注処理を実行する際、当該発注に一意に紐付いた本流トークンを発行し、少なくとも、その識別子を当該発注データ中に含めるものとする。
【0033】
この時、バイヤ端末200は、SCPF100に対してトークン移転APIをコールし、発注者すなわちバイヤから受注者すなわちサプライヤに当該本流トークンを移転させる。ただし、必ずしもAPIを利用した移転処理に限定せず、例えばファイル連携での移転を行うとしてもよい。一方、SCPF100では、上述の発行および移転に伴い、トークンDB125でのトークン登録、移転のレコードを格納することとなる。
【0034】
また、本実施形態のバイヤ端末250のハードウェア構成は、図4に以下の如くとなる。すなわちバイヤ端末250、記憶装置251、メモリ253、演算装置254、入力装置255、出力装置256、および通信装置257、を備える。
【0035】
このうち記憶装置251は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される。
【0036】
また、メモリ253は、RAMなど揮発性記憶素子で構成される。
【0037】
また、演算装置254は、記憶装置251に保持されるプログラム252をメモリ253に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUである。
【0038】
また、入力装置255は、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付けるキーボードやマウス、マイクといった装置である。
【0039】
また、出力装置256は、演算装置254における処理データの表示を行うディスプレイやスピーカー等の装置である。
【0040】
また、通信装置257は、ネットワーク1と接続してSCPF100およびバイヤ端末200との通信処理を担うネットワークインターフェイスカード等を想定する。
【0041】
また、記憶装置251内には、本実施形態のサプライヤ端末250として必要な機能を実装する為のプログラム252に加えて、資金移動DB225、取引DB226、CO2排出量DB227、品質DB228、及び物流DB229が少なくとも記憶されている。ただし、これらデータベースについての詳細は後述する。
【0042】
なお、サプライヤ端末250は、バイヤ端末200から受信した発注データからバイヤ発行の本流トークンに関する識別子を読取り、自身から見てサプライチェーン上でさらに下流のサプライヤに対する発注を行う際、当該識別子を発注データに含める。サプライヤ端末250においても、バイヤ端末200と同様、自身が発注者となって発注処理を実行するたび、SCPF100に対してトークン移転APIIをコールし、当該本流トークン
を移転させる。
【0043】
また、サプライヤ端末250からの発注処理の対象(N次サプライヤ)が複数になる場合、本サプライヤ端末250は新規のトークンとして支流トークンを追加で発行する。この支流トークンの発行に際しても、SCPF100での登録、移転などの処理が実行され、その支流トークンと上述の本流トークンとの関係性が本支流トークンDB126で管理されることになる。
【0044】
こうした運用を行うことで、サプライチェーンにおいて、本流トークンと支流トークンを連続して扱うことが可能になる。また、支流トークンが追加された場合であっても以降のトークン流の共通キーとして本流トークンの識別子を利用することで、サプライヤは支流の有無を意識することなく、本流トークンの識別子だけを意識しておけばよい。なお、支流トークンからさらに支流トークンを発生させることも可能であり、その場合も関係性を本支流トークンDB126にて管理するものとする。
<データ構造例>
続いて、本実施形態のSCPF100やバイヤ端末200およびサプライヤ端末250らが用いる各種データベース等について説明する。
【0045】
図5に、本実施形態におけるトークンDB125の一例を示す。本実施形態のトークンDB125は、上述のように、バイヤ端末200およびサプライヤ端末250らが発行した本流及び支流の各トークンの登録と移転の履歴を格納したテーブルである。
【0046】
このトークンDB125は、例えば、トークンを一意に特定するトークンIDをキーとして、当該トークンの発行元「from」と移転先「to」の各値と、当該トークンにおける移転の回数「step」の値といったデータを紐付けレコードの集合体となっている。
【0047】
また図6に、本実施形態における本支流トークンDB126の構成例を示す。本実施形態の本支流トークンDB126は、バイヤ端末200が発行した本流トークンと、これに対してサプライヤ端末250が発行した支流トークンの関係性を示す情報が格納されるデータベースである。
【0048】
本実施形態の本支流トークンDB126は、本流トークンのトークンIDと、当該本流トークンから支流トークンが派生した回数を示す「step」、及び支流トークンのトークンIDを対応付けたレコードの集合体となっている。
【0049】
また図7に、本実施形態におけるウォレットDB127の構成例を示す。本実施形態のウォレットDB127は、各トークンの所有者の情報を格納するデータベースである。
【0050】
本実施形態のウォレットDB127は、バイヤやサプライヤといったユーザと、当該ユーザが保持するトークンのトークンIDとを対応付けたレコードの集合体となっている。
【0051】
続いて、バイヤ端末200およびサプライヤ端末250らが保持するデータベースについて説明する。図8は、本実施形態における資金移動DB225の構成例を示す図である。
【0052】
本実施形態の資金移動DB225は、バイヤやサプライヤにおける受発注に伴う取引で生じた資金移動の情報を格納したデータベースである。
【0053】
この資金移動DB225は、資金移動データを一意に示す資金移動データIDをキーに、当該資金移動の元である「from」、資金移動の先である「to」、資金移動額である「Amaount」、及び資金移動日である「支払日」といった値を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0054】
なお、図8では、こうした資金移動DB225が、SCPF100のトークンDB125における対応レコードと、「資金移動データID」をキーに紐付けされていることを、あわせて示している。SCPF100は、このように、トークンDB125にてトークン流を資金移動データとリンクするよう管理することで、トークンの流れについて追跡することで、それに伴う資金移動についても把握可能となる。
【0055】
図9は、本実施形態における取引DB226の構成例を示す図である。本実施形態の取引DB226は、バイヤやサプライヤにおける受発注に伴う取引情報を格納したデータベースである。
【0056】
この取引DB226は、取引データを一意に示す取引データIDをキーに、当該取引の発注元である「from」、発注先である「to」、発注日、発注金額、発注商品の商品コード、発注された数量、及び納期といった値を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0057】
なお、図9では、こうした取引DB226が、SCPF100のトークンDB125における対応レコードと、「取引データID」をキーに紐付けされていることを、あわせて
示している。SCPF100は、このように、トークンDB125にてトークン流を取引データとリンクするよう管理することで、トークンの流れについて追跡することで、それに伴う取引内容についても把握可能となる。
【0058】
図10は、本実施形態におけるCO2排出量DB227の構成例を示す図である。本実施形態のCO2排出量DB227は、バイヤやサプライヤにおける受発注に伴う取引で生じたCO2排出量の情報を格納したデータベースである。
【0059】
このCO2排出量DB227は、CO2排出量データを一意に示すCO2排出量データIDをキーに、CO2排出量、排出開始日、及び排出終了日といった値を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0060】
なお、図10では、こうしたCO2排出量DB227が、SCPF100のトークンDB125における対応レコードと、「CO2排出量データID」をキーに紐付けされていることを、あわせて示している。SCPF100は、このように、トークンDB125にてトークン流をCO2排出量データとリンクするよう管理することで、トークンの流れについて追跡することで、それに伴うCO2排出量についても把握可能となる。
【0061】
図11は、本実施形態における品質DB228の構成例を示す図である。本実施形態の品質DB228は、バイヤやサプライヤにおける受発注に伴う取引で納品された商品の品質情報を格納したデータベースである。
【0062】
この品質DB228は、品質データを一意に示す品質データIDをキーに、品質検査日、検査対象者、対象品目、検査結果、検査証pdfイメージといった値を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0063】
なお、図11では、こうした品質DB228が、SCPF100のトークンDB125における対応レコードと、「品質データID」をキーに紐付けされていることを、あわせて示している。SCPF100は、このように、トークンDB125にてトークン流を品質データとリンクするよう管理することで、トークンの流れについて追跡することで、それに伴う、納品物の品質についても把握可能となる。
【0064】
図12は、本実施形態における物流DB229の構成例を示す図である。本実施形態の物流DB229は、バイヤやサプライヤにおける受発注に伴う取引での納品物の物流履歴を格納したデータベースである。
【0065】
この物流DB229は、物流データを一意に示す物流データIDをキーに、納品物の発送者たる「from」、発送相手たる「to」、出発地、目的地、及び出発日といった値を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0066】
なお、図12では、こうした品質DB228が、SCPF100のトークンDB125における対応レコードと、「物流データID」をキーに紐付けされていることを、あわせて示している。SCPF100は、このように、トークンDB125にてトークン流を物流データとリンクするよう管理することで、トークンの流れについて追跡することで、それに伴う、納品物の物流状況についても把握可能となる。
<フロー例1>
以下、本実施形態における商流管理支援方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明する商流管理支援方法に対応する各種動作は、商流管理支援装置100がメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0067】
図13は、本実施形態における商流管理支援方法のフロー例を示す図である。また、図14Aは、本実施形態における処理イメージの例を示す概念図であり、図14Bは、本実施形態におけるトークン流の例を示す概念図である。
【0068】
ここで、バイヤ端末200およびサプライヤ端末250らは、発注に際して本流トークンや支流トークンを発行し、その識別子をSCPF100に通知して、発注先へのトークン移転の処理を行うものとする。
【0069】
この場合、SCPF100は、例えば、バイヤ端末200において所定の案件に関して、発注先たるサプライヤのA社に宛て発行した本流トークンの情報(トークンID:101を含む)を取得し(s1)、当該トークンが示す発注先たるサプライヤのA社を当該本流トークンの移転先として、トークンDB125にて登録する(s2)。
【0070】
こうした登録の具体的なレコードの例としては、図5のトークンDB125におけるレコードのうち、トークンID「101」に関する、「from:Buyer、to:A社、step:1」のレコードが該当する(図16も参照)。
【0071】
また、上述のサプライヤのA社が、二次請けのB社に発注を行った場合、SCPF100は、A社のサプライヤ端末250において、発注先たるサプライヤのB社に宛て発行した本流トークンの情報(トークンID:101を含む)を取得し、当該トークンが示す発注先たるサプライヤのB社を当該本流トークンの移転先として、トークンDB125にて登録する(s3)。
【0072】
こうした登録の具体的なレコードの例としては、図5のトークンDB125におけるレコードのうち、トークンID「101」に関する、「from:A社、to:B社、step:2」のレコードが該当する(図16も参照)。
【0073】
また、上述のサプライヤのA社が、別の二次請けのC社に発注を行った場合(s4:Yes)、SCPF100は、A社のサプライヤ端末250において、発注先たるサプライヤのC社に宛て発行した支流トークンの情報(トークンID:102を含む)を取得し(s5)、当該トークンが示す発注先たるサプライヤのC社を当該支流トークンの移転先として、トークンDB125にて登録する(s6)。
【0074】
こうした登録の具体的なレコードの例としては、図5のトークンDB125におけるレコードのうち、トークンID「102」に関する、「from:null、to:A社、step:0」のレコード、及び「from:A社、to:C社、step:1」のレコードが該当する(図16も参照)。
【0075】
なお、上述のように、二次請けのサプライヤ以降で、本流トークンの流れから分岐して支流トークンが発行される場合、SCPF100は、当該サプライヤ端末250からの通知を受けて、源流である本流トークンとその分岐である支流トークンとの関係について、本支流トークンDB126(図6参照)に情報を格納する(s7)。
【0076】
また、上述のサプライヤのC社が、三次次請けのD社に発注を行った場合(s8:Yes)、SCPF100は、C社のサプライヤ端末250において、発注先たるサプライヤのD社に宛て発行した支流トークンの情報(トークンID:102を含む)を取得し、当該トークンが示す発注先たるサプライヤのD社を当該支流トークンの移転先として、トークンDB125にて登録する。
【0077】
こうした登録の具体的なレコードの例としては、図5のトークンDB125におけるレコードのうち、トークンID「102」に関する、「from:C社、to:D社、step:2」のレコードが該当する(図16も参照)。
【0078】
なお、SCPF100は、上記の移転先の登録に伴い、ウォレットDB127において、最新の、本流トークン及び支流トークンの保持者の情報を更新するものとする。上述の例であれば、図7で例示するように、本流トークン「101」についてはB社、支流トークン「102」については、C社となる(図17も参照)。
【0079】
上述のように、トークンの保持者をトレースしたものをトークン流とした場合、図14Bで示すように、バイヤ端末が発行した本流トークン「101」は、サプライヤであるA社に移転された後、このA社の下請けとなる二次請けサプライヤたるB社に移転される。また、こうした本流トークンの一本の流れとは別に、A社がC社にも発注を行うことで、A社は支流トークン「102」を発行し、これがC社に移転される。また、このC社は三次請けサプライヤであるD社に、支流トークンを移転する。つまり、最終的に本流トークン「101」はB社に、支流トークン「102」はD社に到達したことになる。
【0080】
なお、トークン移転APIの代わりに、例えばファイルによる連携によってトークン移転を実施するとしてもよい。ただし、ファイル連携は通常、バッチ処理になるため発注データがN次のサプライヤ端末250に到着するよりも遅れてトークン移転が行われることになる。そのため、実装上、N次のサプライヤ端末250がトークン移転APIをコールするまでに、トークンがN次のサプライヤに移転されていない可能性が生じる点に注意が必要になる。
<類似の他形態>
上述の例と類似するが、金流などの他の事象と紐付けて商流見える化を図る場合の形態について説明する。概要としては、第1段階として発注の流れに沿ってトークンを遷移させてサプライチェーン見える化を実現し、第2段階としてトークン流情報に取引(発注)データ/資金移動データを紐づけることで商流/金流見える化を実現する。
【0081】
この場合、バイヤ端末200およびサプライヤ端末250らは、発注処理を実行するたび、SCPF100に対してトークン移転APIをコールし、発注者から受注者にトークンを移転させる。この手順は既に上述のとおりである。
【0082】
SCPF100におけるトークン移転の処理が完了した後、SCPF100は、サプライヤ端末250に対してトークン移転完了の通知を、APIまたはメッセージ連携等の手段で実施する。そのため、各サプライヤ端末250らはトークン移転完了通知を受け取る仕組みの構築が必要になる。
【0083】
ここでは、各サプライヤ端末250において、共通キーたる本流トークンのトークンIDを取引(発注)データの中に含める運用は行わない。トークン移転完了時にSCPF100から各サプライヤ端末250に通知するトークンIDは、本流トークンIDを通知する。本流トークンIDを使うことによって、本流トークンIDを取引(発注)データの中に含めてデータ送信する上述の方式との併用が可能になるというメリットが生じる。なお、本流トークンIDの代わりに支流トークンIDを通知してもよいが、上述の方式との併用はできなくなる。こうした手法を採用することで、例えば、既存EDIのインタフェースを変更する必要がなく、既存システムに新たな手を加えるのが難しい場合において有益な仕組みとなる。
<フロー例2>
ここで、一次請けのサプライヤA社が見込み生産を実施し、バイヤおよび二次請け以降はすべて受注生産になる状況での運用を想定する(なお、見込み生産は二次請け以降で実
施しても構わない)。なお、上述のA社は在庫管理システムを導入し、当該在庫は、商品
コードと製造ロットによって、同一製品であっても区別されているものとする(トレーサ
ビリティを考慮)。
【0084】
また、見込み生産を含む商流/金流の見える化は、見込み生産をきっかけとするA社起
点のトークン流(1)と、バイヤの発注をきっかけとするバイヤ起点のトークン流(2)を、以下の方法で繋げることで実現する。
【0085】
トークン流(1)は、A社が見込み発注を行った時点で、フロー例1に記載の処理方式を用いて作成する。見込み発注に対してB社から納品が行われると、A社は自社作業を実施して自社製品を完成させ、自社の在庫管理システムに商品コード、製造ロットで区別される形で在庫数を登録する(図21参照)。この時、トークン流(1)における見込みトークンのトークンID(図18の例では「501」)を一緒に登録する。
【0086】
トークン流(2)については、バイヤからの発注をきっかけとして、フロー例1に記載の処理方式で作成する。具体的には、バイヤ端末200からA社のサプライヤ端末250に対して注文が行われるとき、受注トークンのトークンID(図18の例では、「601」)を通知し、SCPF100に対して当該トークンIDを持つトークンをA社に移転するAPIをコールする。
【0087】
注文を受けた商品(例:A-123を50個受注。トークンIDは「601」)が見込み生産品である場合、A社のサプライヤ端末250は、上述の在庫管理システムに対して在庫引き当てが可能(すなわち、受注数<在庫、であるか)であるかを問い合わせる(s10)。
【0088】
その結果、引き当て可能であったとき(s11:Yes)、在庫管理システムは引き当てた在庫(例えば、先入先出法で、製造ロット10001から引当を決定)と、見込みトークンID(例えば、「501」)をA社のサプライヤ端末250に返す(s12)。
【0089】
引き当てOKの結果を受け取ったA社のサプライヤ端末250は、受注トークンID(601)と見込みトークンID(501)をパラメタとして、SCPF100のトークン流紐づけAPIをコールする(s14)。
【0090】
SCPF100は、見込みトークンDB(図23参照)にて2つのトークンの関係性を保存する(s15)。SCPF100は、トークンDB125から、A社がトークンID「601」を所有するまでのStep数が「1」であること確認し、DBに記録する。
【0091】
このように、SCPF100は、見込みトークンDBをトークンDB125とは別に管理するものとする(ただし、見込みトークンDBについては不図示)。
<見込み生産を考慮したX流の算出>
見込み生産の場合、1つの受注に対して複数の製造ロット(見込みトークン)から在庫を引き当てることがある。その場合は以下のような計算を行うことで、受注単位での製造過程(図24のトークン流)におけるCO2排出を図24の「計算方法」で示すとおり、計算可能である(ここではCO2排出量の算定を一例としてあげる)。
【0092】
この場合、SCPF100は、対象となる本流トークンIDであり「611」を検索キーとして、トークンDB125からすべてのCO2排出量データIDを特定する(s20)。
【0093】
また、SCPF100は、特定したすべてのCO2排出量データIDについて、CO2
排出量DB227からCO2排出量を特定して合計する(s21)。
【0094】
ここでSCPF100は、本流トークンに支流があるか判定する(s22)。この判定の結果、支流がない場合(s22:No)、SCPF100は処理をs27に遷移させる。
【0095】
一方、判定の結果、支流が存在する場合(s22:Yes)、SCPF100は、対象となるトークンIDを検索キーとして、本支流トークンDB126からすべての支流トークンIDを特定する(s23)。
【0096】
また、SCPF100は、対象となるすべての支流トークンIDを検索キーとして、トークンDB125から、すべてのCO2排出量データIDを特定する(s24)。
【0097】
続いて、SCPF100は、特定したすべてのCO2排出量データIDについて、CO2排出量DB227からCO2排出量を特定して合計する(s25)。
【0098】
ここでSCPF100は、本流トークンに支流があるか判定する(s26)。この判定の結果、支流がない場合(s26:No)、SCPF100は処理をs28に遷移させる。一方、判定の結果、支流が存在する場合(s26:Yes)、SCPF100は、処理をs22に戻す。
【0099】
続いて、SCPF100は、本流又は支流トークンに見込みトークンがあるか判定する(s27)。この判定の結果、本流又は支流トークンに見込みトークンがない場合(s27:No)、SCPF100は、本フローを終了する。
【0100】
一方、上述の判定の結果、本流又は支流トークンに見込みトークンがある場合(s27:Yes)、SCPF100は、当該のトークンIDについて、上記と同様の手法で各製造ロット(見込みトークン)のCO2排出量を算出する(s28)。
【0101】
また、SCPF100は、各製造ロット(見込みトークン)の初期量と引当数の割合を取引DB226(や在庫DB)と在庫引当DBから特定し、割合を考慮して受注トークンのCO2排出量を算出し(s29)、本フローを終了する。
【0102】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0103】
こうした本実施形態によれば、バイヤ及びサプライヤの種々の受発注形態にも柔軟に対応し、当該サプライチェーンにおける商流の見える化を支援可能となる。これにより、バイヤの望みであった商流見える化を達成し、ひいては、当該サプライチェーンにおけるトレーサビリティやコンプライアンス、大規模被災時の安定的な商品供給といった社会的責任も果たすことが可能となる。
【0104】
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態の商流管理支援装置において、前記情報処理装置において、前記受注者が前記N次請け事業者に見込み発注を行うことに伴い、見込みトークンたる前記支流トークンに関する前記各処理を実行し、前記見込み発注に対して、前記N次請け事業者からの前記受注者への納品に伴い、前記受注者が前記納品により製造した製品の在庫情報を、前記見込みトークンの情報と紐付けて記憶し、前記発注者の端末において、前記見込み発注以後に、前記案件に関して前記受注者に宛て発行した前記本流トークンたる受注トークンの情報を取得し、当該情報が示す前記受注者を前記受注トークンの移転先として管理し、前記受注トークン
が示す前記案件の製品について、前記在庫情報に基づく在庫引き当て可否についての判定処理を実行し、前記判定の結果、在庫引き当て可能である場合、引き当てた在庫と前記見込みトークンの情報を前記受注者の端末に通知し、前記受注トークンと前記見込みトークンの関係性を保存する、としてもよい。
【0105】
これによれば、見込み発注というサプライチェーンに特有の取引形態にも的確に対処し、その商流を管理、把握可能となる。ひいては、バイヤ及びサプライヤの種々の受発注形態にもさらに柔軟に対応し、当該サプライチェーンにおける商流の見える化を支援可能となる。
【0106】
また、本実施形態の商流管理支援方法において、前記情報処理装置が、前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う資金移動の情報を紐付けて管理する、としてもよい。
【0107】
これによれば、商流における資金移動の流れすなわち金流の管理、把握も可能となる。ひいては、バイヤ及びサプライヤの種々の受発注形態にもさらに柔軟に対応し、当該サプライチェーンにおける商流の見える化を支援可能となる。
【0108】
また、本実施形態の商流管理支援方法において、前記情報処理装置が、前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う取引での取引内容の情報を紐付けて管理する、としてもよい。
【0109】
これによれば、商流における取引内容の管理、把握も可能となる。ひいては、バイヤ及びサプライヤの種々の受発注形態にもさらに柔軟に対応し、当該サプライチェーンにおける商流の見える化を支援可能となる。
【0110】
また、本実施形態の商流管理支援方法において、前記情報処理装置が、前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う取引で生じる温室効果ガス排出量の情報を紐付けて管理する、としてもよい。
【0111】
これによれば、商流における温室効果ガス排出量の流れの管理、把握も可能となる。ひいては、バイヤ及びサプライヤの種々の受発注形態にもさらに柔軟に対応し、当該サプライチェーンにおける商流の見える化を支援可能となる。
【0112】
また、本実施形態の商流管理支援方法において、前記情報処理装置が、前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う取引での納品物の品質データの情報を紐付けて管理する、としてもよい。
【0113】
これによれば、商流における納品物の品質の管理、把握も可能となる。ひいては、バイヤ及びサプライヤの種々の受発注形態にもさらに柔軟に対応し、当該サプライチェーンにおける商流の見える化を支援可能となる。
【0114】
また、本実施形態の商流管理支援方法において、前記情報処理装置が、前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う取引での物流の情報を紐付けて管理する、としてもよい。
【0115】
これによれば、商流における納品物の物流の管理、把握も可能となる。ひいては、バイヤ及びサプライヤの種々の受発注形態にもさらに柔軟に対応し、当該サプライチェーンにおける商流の見える化を支援可能となる。
【0116】
また、本実施形態の商流管理支援装置において、前記演算装置は、前記受注者が前記N次請け事業者に見込み発注を行うことに伴い、見込みトークンたる前記支流トークンに関する前記各処理を実行し、前記見込み発注に対して、前記N次請け事業者からの前記受注者への納品に伴い、前記受注者が前記納品により製造した製品の在庫情報を、前記見込みトークンの情報と紐付けて記憶し、前記発注者の端末において、前記見込み発注以後に、前記案件に関して前記受注者に宛て発行した前記本流トークンたる受注トークンの情報を取得し、当該情報が示す前記受注者を前記受注トークンの移転先として管理し、前記受注トークンが示す前記案件の製品について、前記在庫情報に基づく在庫引き当て可否についての判定処理を実行し、前記判定の結果、在庫引き当て可能である場合、引き当てた在庫と前記見込みトークンの情報を前記受注者の端末に通知し、前記受注トークンと前記見込みトークンの関係性を保存するものである、としてもよい。
【0117】
また、本実施形態の商流管理支援装置において、前記演算装置は、前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う資金移動の情報を紐付けて管理するものである、としてもよい。
【0118】
また、本実施形態の商流管理支援装置において、前記演算装置は、前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う取引での取引内容の情報を紐付けて管理するものである、としてもよい。
【0119】
また、本実施形態の商流管理支援装置において、前記演算装置は、前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う取引で生じる温室効果ガス排出量の情報を紐付けて管理するものである、としてもよい。
【0120】
また、本実施形態の商流管理支援装置において、前記演算装置は、前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う取引での納品物の品質データの情報を紐付けて管理するものである、としてもよい。
【0121】
また、本実施形態の商流管理支援装置において、前記演算装置は、前記受注者を前記本流トークンの移転先とし、前記各N次請け事業者を前記支流トークンの移転先として管理するトークンデータベースを保持し、前記トークンデータベースにおいて、前記本流トークンないし前記支流トークンの移転の内容を示す各レコードに、当該移転に伴う取引での
物流の情報を紐付けて管理するものである、としてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 ネットワーク
10 商流管理支援システム
100 SCPF(商流管理支援装置)
101 記憶装置
102 プログラム
103 メモリ
104 演算装置
105 通信装置
125 トークンDB
126 本支流トークンDB
127 ウォレットDB
225 資金移動DB
226 取引DB
227 CO2排出量DB
228 品質DB
229 物流DB
200 バイヤ端末
250 サプライヤ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25