(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163793
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】仕分け機システム、仕分け方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
B65G1/137 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074932
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(74)【代理人】
【識別番号】100182718
【弁理士】
【氏名又は名称】木崎 誠司
(72)【発明者】
【氏名】宇都野 正史
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 知弘
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 秀生
(72)【発明者】
【氏名】小原 生光
(72)【発明者】
【氏名】橋本 賢司
(72)【発明者】
【氏名】若林 昭徳
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB29
3F522CC05
3F522CC06
3F522DD04
3F522DD23
3F522DD34
3F522FF04
3F522JJ01
3F522LL34
(57)【要約】
【課題】入庫能力および出庫能力を高い水準で両立するコンテナの仕分け技術を提供する。
【解決手段】仕分け機システムは、行き先が異なる複数のコンテナがそれぞれ入庫すると共に、入庫したコンテナを行き先別に並べ替えてそれぞれ出庫する複数の仕分け機と、複数のコンテナの保管情報であって、コンテナが入庫される仕分け機と、コンテナの仕分け機内での保管位置と、を含む保管情報であり、各仕分け機に対するコンテナの出庫順により適正化された保管情報を取得する取得部と、取得された保管情報を用いて、各仕分け機に対するコンテナの入庫と出庫との両方が停滞しないように、保管情報を仕分け機システムに入庫するコンテナに応じて更新する更新部と、更新後の保管情報に従って、複数のコンテナのそれぞれを仕分け機の保管位置へと入庫させる振分部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕分け機システムであって、
行き先が異なる複数のコンテナがそれぞれ入庫すると共に、入庫したコンテナを行き先別に並べ替えてそれぞれ出庫する複数の仕分け機と、
前記複数のコンテナの保管情報であって、コンテナが入庫される前記仕分け機と、コンテナの前記仕分け機内での保管位置と、を含む保管情報であり、各前記仕分け機に対するコンテナの出庫順により適正化された保管情報を取得する取得部と、
取得された前記保管情報を用いて、各前記仕分け機に対するコンテナの入庫と出庫との両方が停滞しないように、前記保管情報を前記仕分け機システムに入庫するコンテナに応じて更新する更新部と、
更新後の前記保管情報に従って、前記複数のコンテナのそれぞれを前記仕分け機の前記保管位置へと入庫させる振分部と、
を備える、仕分け機システム。
【請求項2】
請求項1に記載の仕分け機システムであって、
前記更新部は、
連続して流れる第1コンテナと第2コンテナとについて、前記保管情報における前記第1コンテナの入庫先である前記仕分け機と、前記第2コンテナの入庫先である前記仕分け機とが同じである場合に、
前記第2コンテナの入庫先である前記仕分け機が、前記第1コンテナの入庫先である前記仕分け機と異なる前記仕分け機となるように、前記第2コンテナの前記保管情報を更新する、仕分け機システム。
【請求項3】
請求項2に記載の仕分け機システムであって、
前記更新部は、前記第2コンテナの前記保管情報の更新の際、前記複数の仕分け機に対して均等にコンテナが割り当てられるように、前記第2コンテナの入庫先である前記仕分け機を決定する、仕分け機システム。
【請求項4】
請求項2に記載の仕分け機システムであって、
前記更新部は、前記第2コンテナの前記保管情報の更新の際、まだ前記仕分け機に入庫されていない未入庫コンテナであって、更新後の前記保管情報において前記第2コンテナの入庫先である前記仕分け機と同じ前記仕分け機が入庫先である未入庫コンテナと、前記第2コンテナとにおける前記仕分け機および前記保管位置を交換するように、前記第2コンテナおよび前記未入庫コンテナの前記保管情報を更新する、仕分け機システム。
【請求項5】
請求項4に記載の仕分け機システムであって、
前記複数の仕分け機のそれぞれは、複数階に分けられた保管棚と、コンテナを運搬するために前記複数階を行き来する複数の昇降機と、を有し、
前記保管情報は、前記保管位置として、前記仕分け機内の前記保管棚の階数の情報を含み、
前記更新部は、前記第2コンテナの前記保管情報の更新の際、前記第2コンテナよりも前に振り分けられたコンテナの前記保管棚の階数を用いて、前記第2コンテナを前記保管棚に運搬する際の前記昇降機の移動に要する時間が短くし、かつ、前記第2コンテナの入庫先の階数が変化しないように、前記第2コンテナの入庫先である前記仕分け機を決定する、仕分け機システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の仕分け機システムであって、
各前記仕分け機から前記仕分け機システムの出口までの距離が異なり、
前記保管情報では、全コンテナの出庫が完了するまでに、全コンテナの移動距離の合計が小さくなるように前記出庫順が適正化されている、仕分け機システム。
【請求項7】
行き先が異なる複数のコンテナがそれぞれ入庫すると共に、入庫したコンテナを行き先別に並べ替えてそれぞれ出庫する複数の仕分け機に対するコンテナの仕分け方法であって、コンピュータが、
前記複数のコンテナの保管情報であって、コンテナが入庫される前記仕分け機と、コンテナの前記仕分け機内での保管位置と、を含む保管情報であり、各前記仕分け機に対するコンテナの出庫順により適正化された保管情報を取得する取得工程と、
取得された前記保管情報を用いて、各前記仕分け機に対するコンテナの入庫と出庫との両方が停滞しないように、前記保管情報を前記仕分け機システムに入庫するコンテナに応じて更新する更新工程と、
更新後の前記保管情報に従って、前記複数のコンテナのそれぞれを前記仕分け機の前記保管位置へと入庫させる振分工程と、
を実行する、仕分け方法。
【請求項8】
行き先が異なる複数のコンテナがそれぞれ入庫すると共に、入庫したコンテナを行き先別に並べ替えてそれぞれ出庫する複数の仕分け機に対するコンテナの仕分けを行うコンピュータプログラムであって、
前記複数のコンテナの保管情報であって、コンテナが入庫される前記仕分け機と、コンテナの前記仕分け機内での保管位置と、を含む保管情報であり、各前記仕分け機に対するコンテナの出庫順により適正化された保管情報を取得する取得機能と、
取得された前記保管情報を用いて、各前記仕分け機に対するコンテナの入庫と出庫との両方が停滞しないように、前記仕分け機システムに入庫するコンテナに応じて前記保管情報を更新する更新機能と、
更新後の前記保管情報に従って、前記複数のコンテナのそれぞれを前記仕分け機の前記保管位置へと入庫させる振分機能と、
をコンピュータに実現させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕分け機システム、仕分け方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のコンテナが入庫する仕分け機からコンテナを出庫する際に、出庫順を最適化する技術が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1に記載されたロータリラックでは、回転型の保管棚に入庫されたコンテナの位置が確認されて、出庫時のコンテナの移動距離が短くなるように、回転方向が決められて各コンテナが出庫される。特許文献2には、複数のシューターにより行き先の異なるコンテナを出荷場へ運ぶ場合に、1つのシューターが振り分けるコンテナ数が偏らない仕分け方法が記載されている。この仕分け方法では、各シューターへのコンテナの振り分けが均等になるように切り出し単位が決められて、行き先毎にコンテナが並べられて出荷される。
【0003】
特許文献3および非特許文献1には、保管棚への荷物を出し入れする自走式クレーンであるスタッカークレーンが記載されている。特許文献3には、2台のスタッカーレーンでコンテナの入出庫が可能な自動倉庫が記載されている。非特許文献1には、複数階から構成される保管棚と、スタッカークレーンとで構成される自動倉庫が記載されている。この自動倉庫では、スタッカークレーンの移動時間を短くして荷物の入出庫の待ち時間が短くなるように、入出庫スケジュールが最適化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-051391号公報
【特許文献2】特開2008-150191号公報
【特許文献3】特許第6443990号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】貝原俊也、藤井信忠、濱田裕規、内藤信吾、「組合せオークションを用いた入出庫口複数型立体自動倉庫の最適運用法に関する一提案」、精密工学会学術講演会講演論文集、2014年度精密工学会秋季大会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2に記載されたコンテナの出庫順を最適化する技術では、入庫順が考慮されていない。そのため、複数の仕分け機を備える仕分け機システムにコンテナを入庫させると、入庫するコンテナの順番によっては、特定の仕分け機に入庫するコンテナの順番が一時的に偏る場合がある。コンテナの入庫順が偏ると、特定の仕分け機に入庫するためのコンテナの入庫待ちが発生して、入庫能力が低下するおそれがある。一方で、入庫順を最適化すると、出庫時に特定の仕分け機から出庫するコンテナの順番が偏って、コンテナの出庫待ちが発生して、出庫能力が低下するおそれがある。そのため、入庫能力と出庫能力とを高い水準で維持した仕分け技術が望まれていた。なお、この点について、特許文献3および非特許文献1には、入庫能力および出庫能力の最適化について言及されていない。
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、入庫能力および出庫能力を高い水準で両立するコンテナの仕分け技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現できる。
【0009】
(1)本発明の一形態によれば、仕分け機システムが提供される。この仕分け機システムは、行き先が異なる複数のコンテナがそれぞれ入庫すると共に、入庫したコンテナを行き先別に並べ替えてそれぞれ出庫する複数の仕分け機と、前記複数のコンテナの保管情報であって、コンテナが入庫される前記仕分け機と、コンテナの前記仕分け機内での保管位置と、を含む保管情報であり、各前記仕分け機に対するコンテナの出庫順により適正化された保管情報を取得する取得部と、取得された前記保管情報を用いて、各前記仕分け機に対するコンテナの入庫と出庫との両方が停滞しないように、前記保管情報を前記仕分け機システムに入庫するコンテナに応じて更新する更新部と、更新後の前記保管情報に従って、前記複数のコンテナのそれぞれを前記仕分け機の前記保管位置へと入庫させる振分部と、
を備える。
【0010】
この構成によれば、行き先がバラバラでコンテナが入庫する仕分け機システムは、コンテナの出庫順が適正化された保管情報を基準として、各コンテナを対応する仕分け機内の保管位置へと振り分ける。出庫順を基準としてコンテナが振り分けられた上で、仕分け機システムに入庫するコンテナに応じて、保管情報が更新される。すなわち、本構成では、適正化された出庫順を基準とした上で、コンテナの入庫と出庫との両方が停滞しないように、入庫順も適正化される。この結果、本構成の仕分け機システムは、入庫能力および出向能力を高い水準で両立できる。
【0011】
(2)上記態様の仕分け機システムにおいて、前記更新部は、連続して流れる第1コンテナと第2コンテナとについて、前記保管情報における前記第1コンテナの入庫先である前記仕分け機と、前記第2コンテナの入庫先である前記仕分け機とが同じである場合に、前記第2コンテナの入庫先である前記仕分け機が、前記第1コンテナの入庫先である前記仕分け機と異なる前記仕分け機となるように、前記第2コンテナの前記保管情報を更新してもよい。
この構成によれば、仕分け機システムに連続して入庫する第1コンテナと第2コンテナとが同じ仕分け機に振り分けることを防止できる。これにより、特定の仕分け機に複数のコンテナが連続して入庫することによる入庫待ちの発生により、仕分け機システム全体の入庫が停滞することが抑制でき、入庫能力が向上する。
【0012】
(3)上記態様の上記態様の仕分け機システムにおいて、前記更新部は、前記第2コンテナの前記保管情報の更新の際、前記複数の仕分け機に対して均等にコンテナが割り当てられるように、前記第2コンテナの入庫先である前記仕分け機を決定してもよい。
この構成によれば、第1コンテナの入庫先の仕分け機と、第2コンテナの入庫先の仕分け機とが同じ場合に、第2コンテナの入庫先の仕分け機が、各仕分け機に割り当てられるコンテナの数が均等になるように決定される。各仕分け機に割り当てられるコンテナの数が均等になることで、各仕分け機におけるコンテナの入庫待ちの発生を抑制でき、仕分け機システムの入庫能力がさらに向上する。
【0013】
(4)上記態様の上記態様の仕分け機システムにおいて、前記更新部は、前記第2コンテナの前記保管情報の更新の際、まだ前記仕分け機に入庫されていない未入庫コンテナであって、更新後の前記保管情報において前記第2コンテナの入庫先である前記仕分け機と同じ前記仕分け機が入庫先である未入庫コンテナと、前記第2コンテナとにおける前記仕分け機および前記保管位置を交換するように、前記第2コンテナおよび前記未入庫コンテナの前記保管情報を更新してもよい。
この構成によれば、保管情報の更新後の第2コンテナの入庫先の仕分け機が入庫先である未入庫コンテナの保管位置が、保管情報の更新前の第2コンテナの入庫先の仕分け機に変更される。これにより、各仕分け機に入庫するコンテナの数が、出庫順が適正化された保管情報から変化しない。そのため、特定の仕分け機に入庫されるコンテナの数が増加することを抑制でき、仕分け機システムの入庫能力が向上する。
【0014】
(5)上記態様の上記態様の仕分け機システムにおいて、前記複数の仕分け機のそれぞれは、複数階に分けられた保管棚と、コンテナを運搬するために前記複数階を行き来する複数の昇降機と、を有し、前記保管情報は、前記保管位置として、前記仕分け機内の前記保管棚の階数の情報を含み、前記更新部は、前記第2コンテナの前記保管情報の更新の際、前記第2コンテナよりも前に振り分けられたコンテナの前記保管棚の階数を用いて、前記第2コンテナを前記保管棚に運搬する際の前記昇降機の移動に要する時間が短くし、かつ、前記第2コンテナの入庫先の階数が変化しないように、前記第2コンテナの入庫先である前記仕分け機を決定してもよい。
この構成によれば、各仕分け機における複数階の保管棚にコンテナを運搬する昇降機の移動に要する時間を短くするように、第2コンテナの入庫先の仕分け機が決定される。昇降機の移動時間が短くなることにより、仕分け機にコンテナが入庫する際の待ち時間が少なくなるため、仕分け機システムの入庫能力が向上する。さらに、変更後の仕分け機における第2コンテナの入庫先の保管棚の階数が変化しないように第2コンテナの入庫先の仕分け機が決定される。そのため、保管情報の更新前後における適正化された出庫順の変化を抑制できる。すなわち、出庫能力の低下を抑制した上で、入庫能力を向上させることができる。
【0015】
(6)上記態様の上記態様の仕分け機システムにおいて、各前記仕分け機から前記仕分け機システムの出口までの距離が異なり、前記保管情報では、全コンテナの出庫が完了するまでに、全コンテナの移動距離の合計が小さくなるように前記出庫順が適正化されていてもよい。
この構成によれば、各仕分け機から全てのコンテナが出庫するまでの移動距離を基準として出庫順が適正化されるため、コンテナの出庫能力を向上させることができる。
【0016】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、仕分け機、仕分け機システム、入出庫システム、これら装置及びシステムの制御方法、仕分け方法、入出庫方法、これら装置及び方法において実行されるコンピュータプログラム、このコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、コンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態としての仕分け機システムの概略ブロック図である。
【
図3】出庫時のコンテナの移動距離についての説明図である。
【
図4】出庫順最適化部に作成された保管情報の一例である。
【
図5】コンテナの入庫先を変更した更新後の保管情報である。
【
図6】入庫側昇降機の移動に要する時間に基づく入庫先の仕分け機変更の説明図である。
【
図7】コンテナの入庫先を変更した更新後の保管情報である。
【
図8】本実施形態の仕分け方法のフローチャートである。
【
図10】比較例の仕分け方法のフローチャートである。
【
図11】実施例1,2と比較例1,2との入出庫能力の評価についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
図1は、本発明の実施形態としての仕分け機システム100の概略ブロック図である。本実施形態の仕分け機システム100は、例えば物流拠点の配送センターに設置されて、行き先が異なる複数のコンテナCTの入庫および出庫を行う。仕分け機システム100は、入庫する行き先が異なる複数のコンテナを、行き先別に並べ替えて出庫する。仕分け機システム100は、行き先が異なる複数のコンテナがそれぞれ入庫すると共に、入庫したコンテナを行き先別に並べ替えてそれぞれ出庫する3つの仕分け機10~30を備えている。仕分け機システム100では、ランダムに入庫するコンテナを識別して、出庫順が最適化された各コンテナの入庫位置(保管位置)を含む保管情報を用いて、識別されたコンテナを所定の仕分け機10~30のいずれかに保管する。連続する2つのコンテナが保管される仕分け機10~30が同じだった場合に、仕分け機システム100は、連続する2つのコンテナのうち、後から仕分け機10~30に振り分けられるコンテナを、先に振り分けられるコンテナと別の仕分け機10~30に保管するように保管情報を更新する。保管情報の更新により、連続して同じ仕分け機10~30にコンテナが入庫しないため、最適化された出庫能力を高い水準で維持しながら、入庫能力を向上させることができる。
【0019】
図1には、本実施形態の仕分け機システム100と、入出庫管理システム200と、入庫指示最適化システム300と、昇降機最適化システム400との概略ブロック図が示されている。
図1に示されるように、本実施形態の仕分け機システム100は、コンテナCTを保管する3つの仕分け機10~30と、仕分け機システム100に入庫したコンテナCTを識別する識別装置40と、識別装置40の識別結果に応じて識別されたコンテナCTを仕分け機10~30のいずれかに振り分ける振分装置50と、振り分けられたコンテナCTを追跡する追跡装置60と、各部を制御する制御装置70と、を備えている。制御装置70は、入出庫管理システム200と、入庫指示最適化システム300と、昇降機最適化システム400とのそれぞれと無線通信を介して各種情報を受信する。
【0020】
図2は、仕分け機10の概略図である。本実施形態の3つの仕分け機10~30のそれぞれは、同じ構造を有している。そのため、仕分け機10について説明し、仕分け機20,30の説明を省略する。
図2に示されるように、仕分け機10は、複数のコンテナCTの入庫および出庫が行われる立体倉庫11を備えている。
図2に示される複数のコンテナCTには、ハッチングが施されたコンテナCTと、ハッチングが施されていないコンテナCTとが含まれている。本実施形態におけるコンテナCTに施されたハッチングの有無およびハッチングの種類は、コンテナCTの行き先により区別されている。例えば、同じハッチングが施されたコンテナCTは、同じ届け先に届けられる。
【0021】
立体倉庫11は、入庫される複数のコンテナCTを運搬する入庫側コンベア12と、4つの階に分けられた保管棚13a~13dと、4つの階を行き来して各コンテナCTを保管棚13a~13dのいずれかに運搬する入庫側昇降機(昇降機)14と、分岐装置15と、出庫側昇降機16と、出庫側コンベア17と、を備えている。入庫側コンベア12は、振分装置50により振り分けられたコンテナCTを入庫側昇降機14へと間隔を空けて運搬するベルトコンベアである。
【0022】
保管棚13a~13dは、
図2に示されるように、1階から4階までの各階に対応して配置されている。保管棚13a~13dのそれぞれは、同一の構造を有する。保管棚13dは、入庫側昇降機14から出庫側昇降機16へとコンテナCTを運搬するコンベア131と、コンベア131の運搬方向に沿って両側に形成された右棚132および左棚133と、プッシャ134と、を備えている。右棚132および左棚133には、分岐装置15により仕分けられたコンテナCTが保管される。右棚132と左棚133とのそれぞれには、実線で区画された複数のコンベアにより構成されている。後述する制御装置70によりそれぞれのコンベアの駆動が制御され、右棚132および左棚133に仕分けられた各コンテナCTは、出庫側昇降機16側から詰めて保管される。
【0023】
コンベア131は、載置されたコンテナCTを出庫側昇降機16へと運搬する。プッシャ134は、右棚132または左棚133に保管されているコンテナCTのうち、指定されたコンテナCTをコンベア131側へと押し出す。なお、
図1では、右棚132に保管されたコンテナCTを押し出すプッシャ134のみが図示され、左棚133に保管されたコンテナCTを押し出すプッシャの図示が省略されている。
【0024】
入庫側昇降機14と、出庫側昇降機16とのそれぞれは、1階から4階まで行き来する2つの昇降ボックスを備えている。制御装置70の制御により、2つの昇降ボックスが上下方向に別々に動作して、当該動作が組み合わされることにより、目的の保管棚13a~13dにコンテナCTを効率的に各階に運搬する。
【0025】
図1に示される識別装置40は、各コンテナCTに貼られているバーコードを読み取る。識別装置40は、各コンテナCTに貼られているバーコードから、各コンテナに対応付けられている品番を識別できる。後述する保管情報には、コンテナの品番毎に、コンテナが入庫される仕分け機10~30のいずれかと、コンテナCTが仕分け機10~30内で保管される入庫位置としての保管棚13a~13dの階数と、が含まれている。識別されたコンテナCTは、振分装置50により、保管情報に含まれる保管棚13a~13dを備えるいずれかの仕分け機10~30に振り分けられる。追跡装置60は、各仕分け機10~30に振り分けられたコンテナCTの位置を追跡する。
【0026】
制御装置70は、図示されていないキーボードおよびマウスで構成されるユーザーインターフェースが受け付けたユーザの操作と、識別装置40により識別されたコンテナCTのバーコードとを用いて、各種処理を行うパーソナルコンピュータ(Personal Computer)である。制御装置70は、
図1に示されるように、CPU(Central Processing Unit)90と、各種データを記憶する記憶部80とを備えている。
【0027】
記憶部80は、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)などで構成されている。記憶部80は、入庫コンテナデータベース(入庫コンテナDB)81と、出庫順データベース(出庫順DB)82と、コンテナ位置データベース(コンテナ位置DB)83と、入庫位置データベース(入庫位置DB)84と、昇降機最適化データベース(昇降機最適化DB)85と、保管情報データベース(保管情報DB)86と、を備えている。
【0028】
入庫コンテナDB81は、識別装置40により識別されたコンテナCTの品番を記憶している。出庫順DB82は、仕分け機システム100に入庫する全コンテナCTの品番と、コンテナCTの出庫順とを対応付けた出庫順テーブルを記憶している。出庫順テーブルは、後述するCPU90の情報取得部91により、入出庫管理システム200から取得される。コンテナ位置DB83は、追跡装置60により追跡された振り分け後のコンテナCTの位置情報を記憶する。
【0029】
入庫位置DB84は、コンテナCTの出庫順と、コンテナCTが保管される仕分け機10~30および仕分け機10~30内の保管棚13a~13dの階数との関係を最適化した入庫位置テーブルを記憶している。入庫位置テーブルでは、2つの条件によりコンテナCTの出庫順が最適化されている。1つの条件として、各仕分け機10~30から交互にコンテナCTが出庫されるようにコンテナCTの出庫順が割り振られている。もう1つの条件として、全コンテナCTの出庫が完了するまでに、全コンテナCTの移動距離が最小化するようにコンテナCTの出庫順が割り振られている。入庫位置テーブルは、情報取得部91により、入庫指示最適化システム300から取得される。
【0030】
図3は、出庫時のコンテナCTの移動距離についての説明図である。
図3には、全コンテナCTの数が8個の場合に、全コンテナCTの出庫が完了した時点での、各コンテナCTの移動距離を表す概略図が示されている。
図3に示されるように、仕分け機10から出庫されるコンテナCTと、仕分け機20から出庫されるコンテナCTとの移動距離の差がd
ABとして定義されている。同じように、仕分け機20からの出庫コンテナと、仕分け機30からの出庫コンテナとの移動距離の差がd
BCと定義されている。さらに、各仕分け機10~30から仕分け機システム100の出口までの一部の距離がd
Lおよびd
CSとして定義されている。また、全コンテナCTが出庫するために、1番最初に出庫されたコンテナCTが移動しなければいけない移動距離がd
SC2として定義されている。本実施形態では、
図3に示される各距離d
L,d
AB,d
BC,d
CS,d
SC2を用いた下記式(1)に示される移動距離C
maxが、下記式(2)で示される制約を満たした上で、最小化するようにコンテナCTの出庫順が設定されている。なお、下記式(1)におけるX
Ai,X
bi,X
Ciのそれぞれは、仕分け機10~30のそれぞれに入庫するコンテナ数を、仕分け機システム100に入庫するコンテナCTの総数で除した割合である。
【0031】
【0032】
昇降機最適化DB85は、仕分け機10~30に入庫するコンテナCTが入庫側昇降機14で運搬される時間を最適化するための昇降機最適化テーブルを記憶している。昇降機最適化テーブルは、情報取得部91により昇降機最適化システム400から取得される。昇降機最適化テーブルについては、
図6の説明と共に後述する。
【0033】
保管情報DB86は、仕分け機システム100に入庫する全コンテナCTの保管情報を記憶している。保管情報は、各コンテナCTが入庫するいずれかの仕分け機10~30と、コンテナCTの仕分け機10~30内での入庫位置とを含む情報である。本実施形態における入庫位置は、仕分け機10~30内での保管棚13a~13dの階数である。保管情報は、後述の出庫順最適化部92により作成され、後述の更新部94により更新される。
【0034】
CPU90は、図示されていないROM(Read Only Memory)に格納されているコンピュータプログラムを、RAM(Random Access Memory)に展開して実行することにより、仕分け機システム100の各部を制御するほか、情報取得部91、出庫順最適化部92、振分部93、および更新部94として機能する。
【0035】
情報取得部91は、入出庫管理システム200と、入庫指示最適化システム300と、昇降機最適化システム400とのそれぞれから各種情報を受信する。出庫順最適化部92は、出庫順DB82に記憶された出庫順テーブルと、入庫位置DB84に記憶された入庫位置テーブルとを用いて、仕分け機システム100に入庫する全コンテナCTの入庫位置を決定した保管情報を作成する。保管情報は、保管情報DB86に格納される。なお、情報取得部91と出庫順最適化部92とは、取得部に相当する。
【0036】
仕分け機システム100内にコンテナCTが入庫し始めると、振分部93は、識別装置40により識別されたコンテナCTの品番と、出庫順最適化部92により作成された保管情報とを用いて、識別されたコンテナCTを仕分け機10~30のいずれかへ振り分ける。振分部93は、保管情報に含まれるコンテナCTの入庫位置に対応するいずれかの仕分け機10~30へとコンテナCTを振り分ける。振り分けられたコンテナCTの仕分け機システム100内の位置は、追跡装置60により追跡される。
【0037】
仕分け機システム100に入庫するコンテナCTの入庫順はランダムである。本実施形態の更新部94は、保管情報を用いて、各仕分け機10~30に対するコンテナCTの入庫と出庫との両方が停滞しないように、保管情報を仕分け機システム100に入庫するコンテナCTに応じて更新する。具体的には、更新部94は、識別装置40により識別された、連続して流れるコンテナCTである第1コンテナCT1と第2コンテナCT2とについて、保管情報における第1コンテナCT1の入庫先である仕分け機SM1と、第2コンテナCT2の入庫先である前記仕分け機SM2とが同じである場合に、保管情報を更新する。更新部94は、第2コンテナCT2の入庫先である仕分け機SM2が、第1コンテナCT1の入庫先である仕分け機SM1と異なる仕分け機となるように、第2コンテナCT2の保管情報を更新する。
【0038】
図4は、出庫順最適化部92に作成された保管情報の一例である。
図4には、12個のコンテナ001~012が、4階の保管棚13a~13dを備える3つの仕分け機10~30に入庫する場合の保管情報が示されている。この例では、12個のコンテナ001~012のうち、1番目にコンテナ007が入庫し、2番目にコンテナ004が入庫し、3番目にコンテナ010が入庫する場合について説明する。
【0039】
最初にコンテナ007が入庫して識別装置40により識別されると、振分部93は、保管情報に基づき、コンテナ007を仕分け機10の3階(3F)へと運搬するように振り分ける。次に、コンテナ004が入庫して識別装置40により識別される。
図4の保管情報に示されるように、コンテナ004の入庫先である仕分け機10は、コンテナ004と連続して先に運搬されたコンテナ007の入庫先の仕分け機10と同じである。この場合に、更新部94は、コンテナ004の入庫先を、コンテナ007の入庫先である仕分け機10と異なる仕分け機20または仕分け機30になるように保管情報を更新する。なお、この例では、コンテナ007が第1コンテナCT1に相当し、コンテナ004が第2コンテナCT2に相当する。
【0040】
図5は、コンテナ004の入庫先を変更した更新後の保管情報である。
図5では、入庫済のコンテナ007と、
図4から保管位置が変更されたコンテナ004,005が太字で示されている。更新部94は、コンテナ004の保管情報の更新の際、まだ入庫していない未入庫のコンテナのうち、更新後の保管情報においてコンテナ004の入庫先である仕分け機20と同じ仕分け機20が入庫先である未入庫コンテナと、更新前のコンテナ004の入庫先である仕分け機10とを交換するように、保管情報を更新する。
図5に示されるように、保管情報の更新後のコンテナ004の入庫先は、仕分け機10から仕分け機20へと変化する。さらに、保管情報の更新前に、コンテナ004の入庫先である仕分け機20が入庫先であったコンテナ005の入庫先は、更新後の保管情報では、仕分け機20から仕分け機10へと変化している。
【0041】
更新部94は、コンテナ004の保管情報の更新の際、コンテナ004の直前に振り分けられたコンテナ007の保管棚13cの階数を用いて、コンテナ004の入庫先を、仕分け機20と仕分け機30とのいずれかに決定する。更新部94は、コンテナ007の保管棚13cの階数を用いて、コンテナ004を運搬する際の入庫側昇降機14の移動に要する時間が短くする。さらに、更新部94は、保管情報の更新の際に、保管情報更新前のコンテナ004の入庫先の階数が変化しないように、コンテナ004の入庫先の仕分け機を決定する。
【0042】
図6は、入庫側昇降機14の移動に要する時間に基づく入庫先の仕分け機変更の説明図である。
図6に示されるテーブルは、昇降機最適化DB85に記憶された、特定の仕分け機についての昇降機最適化テーブルである。
図6には、入庫側昇降機14の移動に要する時間を説明するために、コンテナ007,004,010の入庫とは異なる例の昇降機最適化テーブルが示されている。
図6に示されるように、特定の仕分け機の昇降機最適化テーブルは、任意の連続するコンテナCTを仕分け機の各階に均等に入庫する場合に、昇降機の通過時間が最短となるコンテナCTの入庫階の組合せから、連続する2個のコンテナCTの入庫階の発生頻度を算出したものである。具体的には、直前に振り分けられたコンテナCTの入庫階から決定される、次に振り分けられるコンテナCTの入庫階の頻度が数値として表されている。頻度の数値は、発生頻度の高さを表している。換言すると、頻度の数値が大きいほど、次に入庫されるコンテナを運搬するための入庫側昇降機14の移動に要する時間が少ないことを表している。例えば、先に振り分けれたコンテナCTの入庫階が4階(4F)だった場合に、次に入庫するコンテナCTの入庫階が1階(1F)の頻度の数値は、他の階よりも高い数値の「75.0」である。この場合に、先に振り分けれたコンテナCTの入庫階が4階だった場合、次に入庫するコンテナCTの入庫階が1階(1F)であることが、入庫側昇降機14の移動時間が少なく、好ましい。
図5に示されるコンテナ004の入庫先の仕分け機20が決定される場合に、更新部94は、変更後の入庫先候補である仕分け機20,30のそれぞれに対応する頻度表を参照した結果、コンテナ004の入庫先として仕分け機20を決定した。
【0043】
更新部94は、保管情報の更新後のコンテナ004の入庫先を仕分け機20として決定した後、仕分け機20が入庫先であると共にまだ入庫していない未入庫コンテナを決定する。更新部94は、コンテナ004の入庫先の階数が変化しないように、未入庫コンテナのうち、更新前の保管情報(
図4)において、コンテナ004と入庫階が同じコンテナ005を、コンテナ004と入庫位置を交換するコンテナCTとして決定する。その結果、
図4から
図5に示される保管情報のように、更新部94は、コンテナ004とコンテナ005とのそれぞれの入庫位置を交換する。保管情報の更新およびコンテナ004の振り分け後に、コンテナ010が入庫して識別装置40により識別されると、更新部94は、コンテナ010の入庫先である仕分け機10を変化させる。
【0044】
図7は、コンテナ010の入庫先を変更した更新後の保管情報である。
図7では、
図5に示される保管情報から入庫位置が変化したコンテナ010,012が新たに太字で示されている。
図7には、コンテナ010の入庫先が仕分け機10から仕分け機30に変更した更新後の保管情報が示されている。本実施形態の更新部94は、コンテナ010の保管情報の更新の際、3つの仕分け機10~30に対して均等に入庫するコンテナCTが割り当てられるように、コンテナ010の入庫先である仕分け機30を決定する。
図7に示される例では、仕分け機10,20のそれぞれに1個ずつのコンテナCT(コンテナ007,004)が振り分けられ、仕分け機30にコンテナCTが1つも振り分けられていない。そのため、
図7に示されるように、コンテナ010の入庫先が仕分け機30に変化する。さらに、コンテナ010と入庫階が同じ未入庫のコンテナ011,012のうちの一方が、入庫側昇降機14の移動に要する時間を用いて選択される。更新部94は、選択されたコンテナ012と、識別されたコンテナ010との保管情報における入庫先を変更して更新する。
【0045】
図8は、本実施形態の仕分け方法のフローチャートである。
図8に示される仕分けフローでは、初めに、情報取得部91は、出庫順テーブルと、入庫位置テーブルと、を取得する(ステップS1)。出庫順テーブルでは、仕分け機システム100に入庫する全コンテナCTの品番と、コンテナCTの出庫順とが対応付けられている。入庫位置テーブルでは、コンテナCTの出庫順と、コンテナCTの入庫先とが最適化されている。出庫順最適化部92は、取得された出庫順テーブルと、入庫位置テーブルとを用いて、仕分け機システム100に入庫する全コンテナCTの入庫位置を決定した保管情報を作成する(ステップS2)。なお、ステップS1とステップS2とを合わせた処理は、取得工程に相当する。
【0046】
保管情報の作成が完了すると、仕分け機システム100は、コンテナCTの入庫を受付始める(ステップS3)。識別装置40は、仕分け機システム100に入庫するコンテナCTのバーコードを読み取ることにより、コンテナCTの品番を特定して識別する(ステップS4)。更新部94は、識別されたコンテナCTの品番と、保管情報とを用いて、識別されたコンテナCTの入庫先である仕分け機が、直前に入庫したコンテナCTの入庫先である仕分け機と同じか否かを判定する(ステップS5)。仕分け機が同じではないと判定された場合には(ステップS5:NO)、後述のステップS7の処理が行われる。ステップS5の処理において、仕分け機が同じであると判定された場合には(ステップS5:YES)、更新部94は、保管情報を更新する更新工程を行う(ステップS6)。
【0047】
図9は、更新工程のサブフローチャートである。
図9に示される更新フローでは、更新部94は、情報取得部91により昇降機最適化システム400から取得された昇降機最適化テーブルを用いて、コンテナCTの変更後の入庫先である仕分け機を決定する(ステップS61)。更新部94は、各仕分け機10~30に対応する昇降機最適化テーブルを用いて、コンテナCTの入庫時の入庫側昇降機14の移動に要する時間が小さくなり、かつ、直前に入庫したコンテナCTの入庫先と異なる仕分け機を決定する。
【0048】
更新部94は、コンテナCTの仕分け機を決定する際、更新後の保管情報において、未入庫コンテナのうち、入庫先が変更されたコンテナCTの仕分け機と同じ前記仕分け機が入庫先である未入庫コンテナの入庫位置と、入庫先が変更されたコンテナCTの変更前の入庫位置とを交換するように、保管情報を更新する(ステップS62)。本実施形態では、更新部94は、入庫先が変更したコンテナCTの保管棚13a~13dの階数と、未入庫コンテナの保管棚13a~13dの階数と、が同じになる2つのコンテナCTの入庫位置を交換するように、保管情報を更新する。更新工程が終了すると、
図8のステップS7の処理が行われる。
【0049】
ステップS7の処理では、振分部93が、識別装置40により識別されたコンテナCTを、保管情報に含まれる当該コンテナCTの仕分け機10~30および仕分け機10~30内における保管棚13a~13dの階数に入庫するように、振分装置50により振り分ける(ステップS7)。振分部93は、保管情報を参照することにより、全てのコンテナCTの入庫が完了したか否かを判定する(ステップS8)。まだ入庫が完了していないコンテナCTが存在すると判定された場合には(ステップS8:NO)、ステップS4以降の処理が繰り返される。全てのコンテナCTの入庫が完了したと判定された場合には(ステップS8:YES)、仕分けフローが終了する。
【0050】
図10は、比較例の仕分け方法のフローチャートである。
図10に示される仕分けフローでは、本実施形態の仕分け機システム100を用いて、仕分け機システム100に入庫するコンテナCTにより保管情報が更新されずに、出庫順最適化部92により作成された保管情報に基づいて全コンテナCTが入庫する。比較例の仕分けフローにおけるステップS11~13の処理は、本実施形態のステップS1~3の処理の処理に相当する。また、比較例のステップS14,15の処理は、本実施形態のステップS7,8の処理に相当する。すなわち、比較例の仕分けフローは、本実施形態のステップS5,S6の処理を備えていない。その結果、比較例では、入庫先の仕分け機が同じであるコンテナCTが連続して入庫した場合に、コンテナCTの入庫待ちが発生してコンテナCTの入庫が停滞する場合がある。
【0051】
図11は、実施例1,2と比較例1,2との入出庫能力の評価についての説明図である。
図11には、入庫順を2回変えて全コンテナCTを本実施形態の仕分け機システム100に入庫させた場合の表す実施例1,2と、
図10に示される出庫能力を優先した場合の比較例1と、入庫能力を優先した場合の比較例2とのぞれぞれの入出庫能力が示されている。入出庫能力を示す数値は、入庫能力と出庫能力とのそれぞれにおいて、実施例1,2および比較例1,2のうち最も小さい数値を「1」として企画した場合の数値である。比較例2の入庫能力を優先した仕分け方法では、入庫時のコンテナCTが停滞しないように、出庫順を考慮せずにコンテナCTを各仕分け機の順番に入庫させている。なお、
図11
には、2回コンテナの入庫順を変更したサンプルに対応する実施例1,2の数値が示されている。出庫能力を優先した比較例1と、入庫能力を優先した比較例2のそれぞれでは、2回のサンプルの数値が同じであったため1つの数値のみが示されている。
【0052】
図11に示されるように、出庫能力を優先した比較例1では、出庫能力が1.25と一番高いものの、入庫能力が1と最低である。一方で、入庫能力を優先した比較例2では、入庫能力が1.45と一番高いものの、出庫能力が1と最低である。それに対して、実施例1,2の出庫能力は、1.22であり、出庫能力を優先した比較例1とほぼ同じである。その上で、実施例1,2の入庫能力は、1.25または1.27であり、比較例1よりもはるかに高い。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の仕分け機システム100では、情報取得部91は、仕分け機システム100に入庫する全コンテナCTの品番と、コンテナCTの出庫順とを対応付けた出庫順テーブルを、入出庫管理システム200から取得する。また、情報取得部91は、コンテナCTの出庫順と、コンテナCTの入庫先とが最適化された入庫位置テーブルを、入庫指示最適化システム300から取得する。出庫順最適化部92は、取得された出庫順テーブルと、入庫位置テーブルとを用いて、仕分け機システム100に入庫する全コンテナCTの入庫位置を決定した保管情報を作成する。本実施形態の更新部94は、保管情報を用いて、保管情報を仕分け機システム100に入庫するコンテナCTに応じて更新する。本実施形態では、行き先がバラバラでコンテナCTが入庫する仕分け機システム100は、コンテナCTの出庫順が最適化された保管情報を基準として、各コンテナCTを対応する仕分け機10~30内の保管棚13a~13dへと振り分ける。出庫順を基準としてコンテナCTが振り分けられた上で、仕分け機システム100に入庫するコンテナCTに応じて、保管情報が更新される。すなわち、本実施形態では、最適化された出庫順を基準とした上で、コンテナCTの入庫と出庫との両方が停滞しないように、入庫順も適正化される。この結果、本実施形態の仕分け機システム100は、入庫能力および出向能力を高い水準で両立できる。
【0054】
また、本実施形態の更新部94は、連続して流れるコンテナCTである第1コンテナCT1と第2コンテナCT2とについて、保管情報における第1コンテナCT1の入庫先である仕分け機SM1と、第2コンテナCT2の入庫先である前記仕分け機SM2とが同じである場合に、保管情報を更新する。更新部94は、第2コンテナCT2の入庫先である仕分け機SM2が、第1コンテナCT1の入庫先である仕分け機SM1と異なる仕分け機となるように、第2コンテナCT2の保管情報を更新する。すなわち、本実施形態では、仕分け機システム100に連続して入庫する第1コンテナCT1と第2コンテナCT2とが同じ仕分け機10に振り分けられることを防止できる。これにより、特定の仕分け機に複数のコンテナCTが連続して入庫することによる入庫待ちの発生により、仕分け機システム100全体の入庫が停滞することが抑制でき、仕分け機システム100の入庫能力が向上する。
【0055】
また、本実施形態の更新部94は、コンテナ010の保管情報の更新の際、3つの仕分け機10~30に対して均等に入庫するコンテナCTが割り当てられるように、コンテナ010の入庫先である仕分け機30を決定する。本実施形態では、各仕分け機10~30に割り当てられるコンテナCTの数が均等になることで、各仕分け機10~30におけるコンテナCTの入庫待ちの発生を抑制でき、仕分け機システム100の入庫能力がさらに向上する。
【0056】
また、本実施形態の更新部94は、コンテナ004の保管情報の更新の際、まだ入庫していない未入庫のコンテナのうち、更新後の保管情報においてコンテナ004の入庫先である仕分け機と同じ前記仕分け機が入庫先である未入庫コンテナと、コンテナ004とにおける仕分け機を交換するように、保管情報を更新する。そのため、本実施形態では、各仕分け機10~30に入庫するコンテナCTの数が、出庫順最適化部92により作成された出庫順が最適化された保管情報から変化しない。この結果、特定の仕分け機に入庫されるコンテナCTの数が増加することを抑制でき、仕分け機システム100の入庫能力が向上する。
【0057】
また、本実施形態の更新部94は、コンテナ004の保管情報の更新の際、コンテナ004よりも前に振り分けられたコンテナ007の保管棚13cの階数を用いて、コンテナ004の入庫先を、仕分け機20と仕分け機30とのいずれかに決定する。更新部94は、コンテナ007の保管棚13cの階数を用いて、コンテナ004を運搬する際の入庫側昇降機14の移動に要する時間が短くし、かつ、コンテナ004の入庫先の階数が変化しないように、コンテナ004の入庫先の仕分け機を決定する。本実施形態では、入庫側昇降機14の移動時間が短くなることにより、仕分け機10~30にコンテナCTが入庫する際の待ち時間が少なくなるため、仕分け機システム100の入庫能力が向上する。さらに、入庫先が変更された仕分け機20におけるコンテナ004の入庫先の保管棚13a~13dの階数が1階から変化しないようにコンテナ004の入庫先の仕分け機20が決定される。そのため、保管情報の更新前後における最適化された出庫順の変化を抑制できる。すなわち、本実施形態の仕分け機システム100では、出庫能力の低下を抑制した上で、入庫能力を向上させることができる。
【0058】
また、本実施形態の保管情報では、全コンテナCTの出庫が完了するまでに、全コンテナCTの移動距離が最小化するようにコンテナCTの出庫順が割り振られている。そのため、各仕分け機10~30から全てのコンテナCTが出庫するまでの移動距離Cmaxを基準として出庫順が最適化されるため、コンテナCTの出庫能力を向上させることができる。
【0059】
<実施形態の変形例>
本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。また、上記実施形態において、ハードウェアによって実現されるとした構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されるとした構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0060】
<変形例1>
上記実施形態の仕分け機システム100は、一例であって、各仕分け機10~30に対するコンテナCTの入庫と出庫との両方が停滞しないように、入庫するコンテナCTに応じて更新情報を更新する範囲で変形可能である。例えば、仕分け機システム100は、識別装置40と、振分装置50と、追跡装置60とを備えていなくてもよい。仕分け機システム100とは異なるシステムが識別装置と振分装置とを備えており、仕分け機システム100は、異なるシステムが備える識別装置と振分装置とに制御信号を送ってもよい。仕分け機システム100が備える仕分け機10~30の数は、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。各仕分け機10~30は、異なる構造および容量の仕分け機であってもよい。例えば、仕分け機10が4階の保管棚13a~13dを備え、仕分け機20が1階のみ保管棚13aを備えていてもよい。仕分け機10の1階の保管棚13aに保管可能なコンテナ数と、仕分け機20の1階の保管棚に保管可能なコンテナ数とが異なっていてもよい。
【0061】
本実施形態では、入庫位置テーブルに含まれる出庫順と、出庫順最適化部92により作成された保管情報の出庫順とが最適化されていたが、必ずしも最適化されていなくてもよい。例えば、出庫順は、機械学習等により作成されて、ランダムの出庫順よりも最適に近づけて適正化されていればよく、最適化されていなくてもよい。また、本実施形態のコンテナCTの出庫順は、
図3に示されるような全コンテナCTの移動距離C
maxを用いて最適化されたが、周知の方法により移動距離C
max以外のパラメータを最適化することにより算出されてもよい。同じように、昇降機最適化システム400から取得される昇降機最適化テーブルに含まれる頻度表の数値が最適化されていなくてもよいし、更新部94は、昇降機最適化テーブルを用いずに保管情報を更新してもよい。入庫側昇降機14は、2つの昇降ボックスを備えておらず、1つの昇降ボックスによりコンテナCTを運搬してもよいし、3つ以上の昇降ボックスにより運搬してもよい。
【0062】
保管情報に含まれるコンテナCTの入庫位置は、必ずしも仕分け機10~30内の保管棚13a~13dの階数でなくてもよい。例えば、入庫位置として、特定の位置が指定されてもよい。また、コンテナCTに応じて、保管情報に含まれる入庫位置が、保管棚13a~13dの階数であってもよいし、特定の位置であってもよい。
【0063】
更新部94の保管情報の更新方法については変形可能である。更新部94は、保管情報の更新の際に、各仕分け機10~30に対して入庫するコンテナCTの数が均等になるように割り当てなくてもよい。例えば、更新部94は、上記実施形態において、入庫先の仕分け機10を変更するコンテナ004の入庫先を仕分け機20に変更して、その他のコンテナ007等の入庫先である仕分け機10~30を変更しなくてもよい。また、上記実施形態では、更新部94は、
図5に示されるように、コンテナ004とコンテナ005の入庫先の仕分け機10,20を交換して、更新前後でコンテナ004,005の保管棚13aの階数が変化しないよう保管情報を更新したが、入庫先の階数などを考慮しなくてもよい。例えば、更新部94は、上記実施形態において、コンテナ004の入庫先を仕分け機20に変更する場合に、更新前に仕分け機20が入庫先であるコンテナ002,008,011のいずれかと、コンテナ004との入庫位置を交換するように、保管情報を更新してもよい。
【0064】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【0065】
本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
[適用例1]
仕分け機システムであって、
行き先が異なる複数のコンテナがそれぞれ入庫すると共に、入庫したコンテナを行き先別に並べ替えてそれぞれ出庫する複数の仕分け機と、
前記複数のコンテナの保管情報であって、コンテナが入庫される前記仕分け機と、コンテナの前記仕分け機内での保管位置と、を含む保管情報であり、各前記仕分け機に対するコンテナの出庫順により適正化された保管情報を取得する取得部と、
取得された前記保管情報を用いて、各前記仕分け機に対するコンテナの入庫と出庫との両方が停滞しないように、前記保管情報を前記仕分け機システムに入庫するコンテナに応じて更新する更新部と、
更新後の前記保管情報に従って、前記複数のコンテナのそれぞれを前記仕分け機の前記保管位置へと入庫させる振分部と、
を備える、仕分け機システム。
[適用例2]
適用例1に記載の仕分け機システムであって、
前記更新部は、
連続して流れる第1コンテナと第2コンテナとについて、前記保管情報における前記第1コンテナの入庫先である前記仕分け機と、前記第2コンテナの入庫先である前記仕分け機とが同じである場合に、
前記第2コンテナの入庫先である前記仕分け機が、前記第1コンテナの入庫先である前記仕分け機と異なる前記仕分け機となるように、前記第2コンテナの前記保管情報を更新する、仕分け機システム。
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の仕分け機システムであって、
前記更新部は、前記第2コンテナの前記保管情報の更新の際、前記複数の仕分け機に対して均等にコンテナが割り当てられるように、前記第2コンテナの入庫先である前記仕分け機を決定する、仕分け機システム。
[適用例4]
適用例1から適用例3までのいずれか一項に記載の仕分け機システムであって、
前記更新部は、前記第2コンテナの前記保管情報の更新の際、まだ前記仕分け機に入庫されていない未入庫コンテナであって、更新後の前記保管情報において前記第2コンテナの入庫先である前記仕分け機と同じ前記仕分け機が入庫先である未入庫コンテナと、前記第2コンテナとにおける前記仕分け機および前記保管位置を交換するように、前記第2コンテナおよび前記未入庫コンテナの前記保管情報を更新する、仕分け機システム。
[適用例5]
適用例1から適用例4までのいずれか一項に記載の仕分け機システムであって、
前記複数の仕分け機のそれぞれは、複数階に分けられた保管棚と、コンテナを運搬するために前記複数階を行き来する複数の昇降機と、を有し、
前記保管情報は、前記保管位置として、前記仕分け機内の前記保管棚の階数の情報を含み、
前記更新部は、前記第2コンテナの前記保管情報の更新の際、前記第2コンテナよりも前に振り分けられたコンテナの前記保管棚の階数を用いて、前記第2コンテナを前記保管棚に運搬する際の前記昇降機の移動に要する時間が短くし、かつ、前記第2コンテナの入庫先の階数が変化しないように、前記第2コンテナの入庫先である前記仕分け機を決定する、仕分け機システム。
[適用例6]
適用例1から適用例5までのいずれか一項に記載の仕分け機システムであって、
各前記仕分け機から前記仕分け機システムの出口までの距離が異なり、
前記保管情報では、全コンテナの出庫が完了するまでに、全コンテナの移動距離の合計が小さくなるように前記出庫順が適正化されている、仕分け機システム。
【符号の説明】
【0066】
10,20,30,SM1,SM2…仕分け機
11…立体倉庫
12…入庫側コンベア
13a,13b,13c,13d…保管棚
14…入庫側昇降機
15…分岐装置
16…出庫側昇降機
17…出庫側コンベア
40…識別装置
50…振分装置
60…追跡装置
70…制御装置
80…記憶部
81…入庫コンテナDB
82…出庫順DB
83…コンテナ位置DB
84…入庫位置DB
85…昇降機最適化DB
86…保管情報DB
90…CPU
91…情報取得部
92…出庫順最適化部
93…振分部
94…更新部
100…仕分け機システム
131…コンベア
132…右棚
133…左棚
134…プッシャ
200…入出庫管理システム
300…入庫指示最適化システム
400…昇降機最適化システム
CT…コンテナ
CT1…第1コンテナ
CT2…第2コンテナ
Cmax,dL,dAB,dBC,dCS,dSC2…コンテナの移動距離