(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163817
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/42 20060101AFI20231102BHJP
B65D 5/02 20060101ALI20231102BHJP
B65D 21/032 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B65D5/42 F
B65D5/02 K
B65D21/032
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074979
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 貴史
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 梨夏
【テーマコード(参考)】
3E006
3E060
【Fターム(参考)】
3E006AA03
3E006BA01
3E006CA04
3E006DA04
3E006DB05
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BB03
3E060BC02
3E060DA08
3E060DA11
3E060DA12
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】積み重ね時の安定性を高めることが可能な包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1は、筒状の胴部10、および胴部10の開放端10aを閉塞する閉塞部20aおよび20bを有し、胴部10は、互いに対向する一対の第1側板11、および一対の第1側板11を繋ぐ一対の第2側板12を有し、閉塞部20aおよび20bは、外フラップ折目線b1を介して第1側板11に連接されると共に外フラップ折目線b1で内方に折り曲げられる一対の外フラップ21、および内フラップ折目線b2を介して第2側板12に連接されると共に内フラップ折目線b2で内方に折り曲げられる一対の内フラップ22を有し、一対の外フラップ21は、外フラップ折目線b1側が凸となる線に沿って設けられた補助折目線cを外フラップ折目線b1側に有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の胴部、および前記胴部の2つの開放端のいずれか一方を閉塞する閉塞部を有する包装箱であって、
前記胴部は、互いに対向する一対の第1側板、および前記一対の第1側板の対向方向と交差する方向で互いに対向する一対の第2側板を有し、
前記閉塞部は、外フラップ折目線を介して前記第1側板に連接されると共に前記外フラップ折目線で内方に折り曲げられる一対の外フラップ、および内フラップ折目線を介して前記第2側板に連接されると共に前記内フラップ折目線で内方に折り曲げられる一対の内フラップを有し、
前記一対の外フラップは、前記外フラップ折目線側が凸となる線に沿って設けられた補助折目線を前記外フラップ折目線側に有することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱において、
前記補助折目線は、前記外フラップの厚みよりも大きい距離だけ前記外フラップ折目線から離隔した部分を有することを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1に記載の包装箱において、
前記一対の外フラップは、前記補助折目線で山折りに折り曲げられた状態で自身の先端同士が突き合わされるように、前記外フラップ折目線から前記先端までの距離が設定されることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種物品を収容する包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種物品を収容する包装箱として、端部から切り込まれた複数の溝(スリット)を備える一枚のブランクシートを折り曲げて製函される(組み立てられる)溝切り形の包装箱が普及している。この溝切り形は、ブランクシートの溝が形成されていない端部に設けられた継ぎ代を反対側の端部に接着することで筒状の胴部を形成し、溝切りによって形成されたフラップを折り曲げることで、胴部の軸方向両端の開口の少なくとも一方を閉塞するように構成されている。
【0003】
通常、この溝切形では、胴部は、互いに対向する一対の第1側板および互いに対向する一対の第2側板が胴部折目線を介して連接された四角筒状に構成されている。そして、閉塞部は、一対の第1側板に外フラップ折目線を介して連接された一対の外フラップおよび一対の第2側板に内フラップ折目線を介して連接された一対の内フラップからなり、一対の内フラップを内フラップ折目線で内方に折り曲げた後に、一対の外フラップを外フラップ折目線で内方に折り曲げて内フラップに重ねることで胴部の開口が閉塞されるように構成されている。
【0004】
また、この溝切形では通常、ブランクシートにおいて外フラップ折目線と内フラップ折目線を一直線上に設けることでこれらの折目線の形成を容易化し、生産性を向上させている。但し、外フラップ折目線と内フラップ折目線を一直線上に設けた場合、外フラップの折り曲げが内フラップとの干渉によって阻害されることとなる。このため、粘着テープによる一対の外フラップの先端部同士の接続および胴部への固定が困難になると共に、粘着テープによる固定後も一対の外フラップの先端部が突出し、閉塞部が屋根状に膨出した状態となることで、包装箱の積み重ねが不安定になるといった問題が生じていた。
【0005】
従来、このような問題に対しては、外フラップ折目線を素材の厚み分だけ内フラップ折目線からずらした所謂段違い罫線が採用されている。また、外フラップ折目線と平行な補助折目線を外フラップに設ける手法(例えば、特許文献1参照)等も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の包装箱は、段違い罫線に代えて補助折目線を設けることで、第1側板における耐座屈性の低下という段違い罫線の問題を解消してはいるものの、積み重ね時の安定性はそれほど高くないという問題があった。すなわち、上記特許文献1の包装箱は、閉塞部を略平坦化して包装箱の傾きを抑制するに留まっており、上下の包装箱の間の滑りを抑制するものとはなっていなかった。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑み、積み重ね時の安定性を高めることが可能な包装箱を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の包装箱は、筒状の胴部、および前記胴部の2つの開放端のいずれか一方を閉塞する閉塞部を有する包装箱であって、前記胴部は、互いに対向する一対の第1側板、および前記一対の第1側板の対向方向と交差する方向で互いに対向する一対の第2側板を有し、前記閉塞部は、外フラップ折目線を介して前記第1側板に連接されると共に前記外フラップ折目線で内方に折り曲げられる一対の外フラップ、および内フラップ折目線を介して前記第2側板に連接されると共に前記内フラップ折目線で内方に折り曲げられる一対の内フラップを有し、前記一対の外フラップは、前記外フラップ折目線側が凸となる線に沿って設けられた補助折目線を前記外フラップ折目線側に有することを特徴とする。
【0010】
本発明の包装箱によれば、外フラップ折目線および内フラップ折目線を一直線上に設けながらも、補助折目線で外フラップを折り曲げることによって外フラップと内フラップの干渉を減少させるだけでなく、閉塞部を四隅近傍が突出して中央部が相対的に窪んだ形状とすることができる。これにより、包装箱上に載置された包装箱の傾きを防止するだけでなく、閉塞部の四隅近傍の突出部分に荷重を集中させて上下の包装箱の間の摩擦力を高め、両者の間の滑りを抑制することが可能となる。すなわち、積み重ね時の安定性を従来以上に高めることができる。
【0011】
また、本発明の包装箱において、前記補助折目線は、前記外フラップの厚みよりも大きい距離だけ前記外フラップ折目線から離隔した部分を有することが好ましい。
【0012】
これによれば、従来の問題の原因であった外フラップと干渉する内フラップの反発力を逆に有効活用して、生産性および積み重ね時の安定性をより高めることができる。具体的には、製函時に外フラップを外フラップ折目線で折り曲げる際に、外フラップにおける外フラップ折目線と補助折目線の間の領域に、先に折り曲げられた内フラップの両側端を接触させることが可能となるため、内フラップの反発力を補助折目線で外フラップを山折りに折り曲げる方向に作用させることができる。
【0013】
これにより、特別な手順や装置を必要とすることなく、外フラップが補助折目線で折り曲げられた状態の包装箱を容易に製函することができる。さらに、この内フラップの反発力は、製函後も外フラップの補助折目線における折り曲げ状態を保持するように作用するため、滑り止め効果を安定的に奏することができる。
【0014】
また、本発明の包装箱において、前記一対の外フラップは、前記補助折目線で山折りに折り曲げられた状態で自身の先端同士が突き合わされるように、前記外フラップ折目線から前記先端までの距離が設定されることが好ましい。
【0015】
これによれば、先端同士が突き合わされた一対の外フラップが互いに支持し合うことで、製函後も外フラップの補助折目線における折り曲げ状態が保持されるため、滑り止め効果を安定的に奏することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の包装箱によれば、積み重ね時の安定性を高めることが可能という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱の概略斜視図である。
【
図3】AおよびBは、複数の包装箱を上下に積み重ねた状態を側方から見た概略図である。
【
図4】複数の包装箱を上下に積み重ねた状態を側方から見た概略図である。
【
図5】Aは、閉塞部が屋根状に膨出した一般的な包装箱を包装箱の上下に配置して積み重ねた状態を側方から見た概略図である。Bは、段違い罫線を備える包装箱を包装箱の上下に配置して積み重ねた状態を側方から見た概略図である。
【
図6】A~Dは、補助折目線の変形例を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る包装箱1の概略斜視図であり、
図2は、包装箱1の展開図であり、包装箱1の製函前のブランクシート1xの表面を示している。
【0019】
本実施形態の包装箱1は、A式やA-1式とも呼ばれる溝切り形のものであり、表ライナ、裏ライナおよび中芯からなる両面段ボールを素材としている。包装箱1は、両面段ボールに溝切りおよび罫線入れを行って形成した平板状のブランクシート1xを折り曲げることで箱状に製函される(組み立てられる)。
【0020】
図1に示されるように、包装箱1は、四角筒状の胴部10と、胴部10の軸方向(
図1における上下方向)両端における2つの開放端10aを閉塞する2つの閉塞部20aおよび20bと、から構成されている。なお、本実施形態では、通常の溝切り形と同様に、胴部10の軸方向を上下方向としているため、閉塞部20aは包装箱1の天板を構成し、閉塞部20bは底板を構成している。
【0021】
胴部10は、互いに対向する一対の第1側板11、および一対の第1側板11の対向方向と略直交する方向で互いに対向する一対の第2側板12から構成されている。従って、一対の第2側板12は一対の第1側板11を周方向の両端において繋いでおり、一対の第1側板11は一対の第2側板12を周方向の両端において繋いでいる。第1側板11および第2側板12は、それぞれ胴部10の周方向における寸法が異なる矩形板状に構成されており、本実施形態では、周方向の寸法が長い方を第1側板11としている。
【0022】
閉塞部20aおよび20bは、一対の外フラップ21、および一対の外フラップ21の内側に重ねられた一対の内フラップ22から構成されている。外フラップ21および内フラップ22は、それぞれ胴部10の周方向における寸法が異なる矩形板状に構成され、本実施形態では、周方向の寸法が長い方を外フラップ21とし、短い方を内フラップ22としている。
【0023】
閉塞部20aおよび20bは、一対の外フラップ21を先端21a同士が当接した(突き合わされた)状態で閉じることで、開放端10aの全域が閉塞されるように構成されている。なお、本実施形態では、通常の溝切り形と同様に内フラップ22の先端22a同士は当接していないが、当接させるようにしてもよい。
【0024】
図2に示されるように、ブランクシート1xにおいて第1側板11および第2側板12は、胴部10の周方向となるX方向(
図2における左右方向)において交互に配列されている。本実施形態では、第1側板11および第2側板12を、
図2における左側から第1側板11、第2側板12、第1側板11、第2側板12の順に配置し、最も左側の第1側板11の左側に、継ぎ代15を配置している。この継ぎ代15は、最も右側に位置する第2側板12に接着されることで、筒状の胴部10を形成するためのものである。
【0025】
外フラップ21は、ブランクシート1xにおいて第1側板11に対してX方向に直交するY方向(
図2における上下方向)の両側(
図2における上側および下側)に配置されている。また、内フラップ22は、ブランクシート1xにおいて第2側板12に対してY方向の両側に配置されている。従って、ブランクシート1xのy方向の一側には閉塞部20aを構成する一対の外フラップ21および一対の内フラップ22が配置され、他側には閉塞部20bを構成する一対の外フラップ21および一対の内フラップ22が配置されている。
【0026】
第1側板11、第2側板12および継ぎ代15は、隣り合うもの同士が胴部折目線aを介して互いに連接されている。また、外フラップ21は、外フラップ折目線b1を介して第1側板11に連接され、内フラップ22は、内フラップ折目線b2を介して第2側板12に連接されている。外フラップ21および内フラップ22はまた、ブランクシート1xのy方向両端の3か所からy方向に延びるように切り込まれたスリット状の溝23により、X方向において互いに分割されている。
【0027】
換言すると、第1側板11、第2側板12、継ぎ代15、外フラップ21および内フラップ22は、ブランクシート1xに設けられた胴部折目線a、外フラップ折目線b1、内フラップ折目線b2、および溝23によって画定されている。
【0028】
胴部折目線aは、製函時に折り曲げられることで胴部10を四角筒状に形成するためものである。胴部折目線aは、Y方向に隣り合う溝23の奥端同士を繋ぐようにY方向に延びる直線上に設けられている。
【0029】
外フラップ折目線b1および内フラップ折目線b2は、製函時に外フラップ21および内フラップ22を折り曲げて閉塞部20aおよび20bを形成するためのものである。外フラップ折目線b1および内フラップ折目線b2は、X方向に隣り合う溝23の奥端同士を繋ぐようにX方向に延びる直線上に設けられている。
【0030】
本実施形態では、一般的な溝切り形の包装箱と同様に、外フラップ折目線b1および内フラップ折目線b2を、Y方向両側のそれぞれにおいて一直線上に設けている。そして、各外フラップ21における外フラップ折目線b1の近傍に補助折目線cを設け、外フラップ21を外フラップ折目線b1で折り曲げる際に補助折目線cにおいても山折りに(表面側が凸となるように)折り曲げることによって、外フラップ21と内フラップ22の干渉を減少させている。
【0031】
但し、従来のように、外フラップ折目線b1と平行にY方向に延びる補助折目線cを単に設けたのでは、包装箱1を積み重ねた際の安定性がそれほど向上しない、すなわち包装箱1の上に載置された包装箱1が滑り落ちる可能性があることとなる。
【0032】
詳細は後述するが、本実施形態では、Y方向(両側端21bを繋ぐ方向)に延びる補助折目線cを外フラップ折目線b1側(第1側板11側)が凸となる線に沿って設けることで、積み重ね時の安定性を積極的に高めるようにしている。より具体的に補助折目線cは、外フラップ21の両側端21bを繋ぐと共に外フラップ折目線b1側が凸となるように湾曲した弧状の線に沿って設けられている。
【0033】
従って、補助折目線cは、自身の中間位置において外フラップ折目線b1に最も近接している。また、補助折目線cは、自身の中間位置から外フラップ21の両側端21bに向けて、外フラップ折目線b1から漸次離隔し、外フラップ21の両側端21bに到達した両端において外フラップ折目線b1から最も離隔している。
【0034】
本実施形態では、補助折目線cの中間位置における補助折目線cと外フラップ折目線b1の間の距離(最短距離)L1を、素材である段ボールの厚みと略同一としている。また、補助折目線cの両端における補助折目線cと外フラップ折目線b1の間の距離(最長距離)L2を、L1の約4倍に設定している。
【0035】
このように、補助折目線cを最短でも素材の厚みだけ外フラップ折目線b1から離隔させることで、内フラップ22の両側端22bを、外フラップ21の裏面の外フラップ折目線b1と補助折目線cの間の領域に接触させるようにすることができる。これにより、外フラップ21を外フラップ折目線b1で折り曲げる際に、内フラップ22の反発力(弾性変形の復元力)を、外フラップ21を補助折目線cで折り曲げる方向に作用させることが可能となる。
【0036】
また、本実施形態では、外フラップ21における外フラップ折目線b1から先端21aまでの距離L3を、第2側板12における2つの胴部折目線a間の距離L4の1/2よりも大きく設定し、先端21a同士の突き合わせによって一対の外フラップ21が互いに支持し合うようにすることで、補助折目線cが山折りに折り曲げられた状態に保持されるようにしている。換言すれば、距離L3は、一対の外フラップ21を外フラップ折目線b1で折り曲げた場合に、外フラップ21が補助折目線cで山折りに折り曲げられた状態で先端21a同士が突き合わされる距離に設定されている。
【0037】
なお、胴部折目線a、外フラップ折目線b1および内フラップ折目線b2は、一般的な溝切り形の包装箱と同様に、ブランクシート1xの裏面(包装箱1の内側面となる面)に設けられた押罫線から構成されている。また、本実施形態では、補助折目線cもブランクシート1xの裏面に設けた押罫線から構成している。
【0038】
包装箱1の製函は、一般的な包装箱と同一の手順で行われる。具体的には、まず継ぎ代15の表面に接着剤を塗布した後にX方向の両端の第1側板11および第2側板12を胴部折目線aで折り曲げて継ぎ代15を第2側板12の裏面に接着し、2枚重ねに折り畳まれた状態の筒状体を形成する。通常、この作業は、印刷、罫線入れおよび溝切り等と共に、機械によって行われる。以降の作業は、手作業による場合と機械による場合がある。
【0039】
次に、筒状体を折り曲げられていない胴部折目線aで折り曲げ、一対の第1側板11同士を互いに離隔させることで、四角筒状の胴部10を形成する。そして、軸方向のいずれか一方の一対の内フラップ22および一対の外フラップ21を、この順に内フラップ折目線b2および外フラップ折目線b1で内方に折り曲げて粘着テープ等で固定し、開放端10aの一方を閉塞する。これにより、底板を構成する閉塞部20bが形成される。
【0040】
その後、解放された天板側から胴部10内に内容物を収容したならば、天板側の内フラップ22および外フラップ21を底板側と同様に折り曲げ、粘着テープ等により固定して他方の開放端10aを閉塞する。これにより、天板を構成する閉塞部20aが形成され、包装箱1が完成する。
【0041】
本実施形態では、上述のように、内フラップ22の反力が外フラップ21を補助折目線cで折り曲げる方向に作用するため、外フラップ21は、外フラップ折目線b1で折り曲げられる際に、補助折目線cにおいても自然に折れ曲がるようになっている。従って、包装箱1は、外フラップ21の補助折目線cでの折り曲げに特別な手順や装置を必要としておらず、一般的な溝切り形の包装箱用の機械を使用して製函することが可能となっている。
【0042】
また、外フラップ21が補助折目線cで折れ曲がることで、外フラップ21と内フラップ22の干渉が減少すると共に、外フラップ21の先端21aが胴部10側へ沈み込むことなる。これにより、閉塞部20aおよび20bにおける屋根状の膨出が防止される。また、外フラップ21の先端21aが内フラップ22に近接することから、閉塞部20aおよび20bを形成する際の粘着テープ等の貼り付けも容易に行うことが可能となっている。
【0043】
また、補助折目線cは、外フラップ折目線b1側が凸となる線に沿って設けられているため、補助折目線cと外フラップ折目線b1の間隔は、中間部よりも両端部側(外フラップ21の両側端21b側)の方が大きくなっている。これにより、包装箱1における閉塞部20aおよび20bは、四隅の近傍が三角錐状に突出し、これと相対的に中央部が窪んだ形状となる。本実施形態では、補助折目線cによって閉塞部20aおよび20bをこのような形状に構成することによって、包装箱1の積み重ね時の安定性を積極的に高めるようにしている。
【0044】
図3AおよびBならびに
図4は、複数の包装箱1を上下に積み重ねた状態を側方から見た概略図である。なお、
図3Aは、第1側板11側から見た場合を示しており、
図3Bおよび
図4は、第2側板12側から見た場合を示している。
【0045】
閉塞部20aおよび20bの四隅近傍を三角錐状に突出させ、中央部を相対的に窪ませることで、包装箱1上に載置された包装箱1の傾きを防止するだけでなく、あたかも4つの脚部を設けたように、閉塞部20aおよび20bの受ける荷重を四隅近傍に集中させることができる。これにより、上下の包装箱1の間における摩擦力を、閉塞部20aおよび20bの四隅近傍において局所的に高めることが可能となるため、両者の相対的な滑りを抑制し、包装箱1の積み重ね時の安定性をより向上させることができる。
【0046】
特に、
図4に示されるように、積み重ねられた包装箱1に横方向の力が加わった場合に、力が加わる側(図の左側)の荷重が減少するものの、その反対側(図の右側)の荷重が増大することとなるため、包装箱1が多少傾いたときにも、摩擦力の増大によって崩落を防止することが可能となっている。
【0047】
また、上述のように本実施形態では、内フラップ22の反発力を補助折目線cで外フラップ21を折り曲げるように作用させると共に、先端21a同士の突き合わせによって一対の外フラップ21が互いに支持し合うようにしているため、包装箱1の自重または内容物の重量が大きい場合にも、四隅近傍の突出部分は潰れ難く、適切な摩擦力を発生させることが可能となっている。
【0048】
このように、本実施形態の包装箱1は、既存の機械を使用して低コストに製函可能でありながらも、積み重ね時の安定性をより積極的に高めることが可能となっている。また、摩擦力を向上させた閉塞部20aおよび20bにより、使用条件によっては滑り止め用ホットメルトや滑り止め用シート等を省略し、さらなる製造コストの削減や、使用時における取り扱い性の向上を図ることも可能となっている。
【0049】
また、包装箱1では、段違い罫線を採用した場合のように第1側板11に荷重を集中させることなく、胴部10の角部近傍に荷重を集中させているため、段違い罫線を備える従来の包装箱と比較して耐座屈性および強度が向上している。従って、例えば段違い罫線を備える従来の包装箱よりも薄手の素材を使用しながらも、十分な耐座屈性または強度を得ることが可能であり、さらなる製造コストの削減を図ることも可能となっている。
【0050】
包装箱1はさらに、従来の包装箱と混ぜて積み重ねられた場合にも安定性を高めることが可能となっている。
図5Aは、閉塞部120が屋根状に膨出した一般的な包装箱100を包装箱1の上下に配置して積み重ねた状態を側方から見た概略図であり、
図5Bは、段違い罫線を備える包装箱200を包装箱1の上下に配置して積み重ねた状態を側方から見た概略図である。なお、
図5AおよびBは、いずれも第2側板12側から見た場合を示している。
【0051】
図5Aに示されるように、包装箱1の閉塞部20aおよび20bは、中央部が四隅近傍に対して相対的に窪んだ形状となっているため、包装箱100の屋根状に膨出した閉塞部120の相補的な形状となっている。従って、このような包装箱100を包装箱1の上または下に配置した場合、閉塞部120の膨出部分が閉塞部20aまたは20b内に嵌まり込んで係合したような状態になるため、横方向の滑りが抑制されることとなる。また、この場合にも、閉塞部20aまたは20bの四隅近傍の突出部分が優先的に閉塞部120に接触することとなるため、荷重を四隅近傍に集中させて、摩擦力を増大させることができる。
【0052】
図5Bに示されるように、段違い罫線を備える包装箱200は、閉塞部220が略平坦な状態となる。このような包装箱200を包装箱1の上または下に配置した場合にも、閉塞部20aまたは20bの四隅近傍の突出部分を優先的に閉塞部220に接触させ、荷重を四隅近傍に集中させることができる。
【0053】
このように、包装箱1は、一種類で使用される場合のみならず、包装箱1上に従来の包装箱100または200を載置した場合、および従来の包装箱100または200上に包装箱1を載置した場合のいずれにおいても、積み重ね時の安定性を高めることが可能であり、特に閉塞部120が膨出した包装箱100と共に積み重ねられる場合に有効となっている。
【0054】
なお、上述の各効果を確実に奏するためには、外フラップ21において補助折目線cを設ける位置は、少なくとも外フラップ折目線b1側、すなわち外フラップ折目線b1と先端21aの中間よりも外フラップ折目線b1側であることが好ましく、外フラップ折目線b1に近いほど、より好ましい。また、補助折目線cを外フラップ折目線b1に近い位置に設けることで、製函時に外フラップ21を補助折目線cで折り曲げやすくすることができる。
【0055】
次に、包装箱1の変形例について説明する。
図6A~Dは、補助折目線cの変形例を示した概略図であり、ブランクシート1xにおける外フラップ21の表面を示している。
【0056】
補助折目線cが沿う線の種類は、外フラップ折目線b1側が凸となるものであれば特に限定されるものではなく、放物線や円弧等の各種曲線だけでなく、複数の直線を組み合わせた線や直線と曲線を組み合わせた線等を採用することができる。従って、補助折目線cは、例えば
図6Aに示されるように、V字状の線に沿うものであってもよいし、例えば
図6Bに示されるように、外フラップ折目線b1と平行な直線と平行でない直線(または曲線)を組み合わせた線に沿うものであってもよい。
【0057】
また、補助折目線cは、例えば
図6Cに示されるように、中間位置が外フラップ折目線b1に接するものであってもよいし、例えば
図6Dに示されるように、外フラップ折目線b1の中間部から外フラップ21の両側端21bに向けて外フラップ折目線b1から漸次離隔するように延びる2つの直線(または曲線)からなるものであってもよい。本実施形態のように内フラップ22の先端22a同士が突き合わされないような場合や、内フラップ22の先端22aの胴部10内への沈み込みが期待できるような場合等には、補助折目線cの中間部分は、必ずしも外フラップ折目線b1から離隔させる必要はない。
【0058】
なお、
図6Dに示される例の補助折目線cは2つの部分に分割されているが、外フラップ折目線b1側と凸となる線に沿って設けられたものであることは言うまでもない。換言すれば、補助折目線cは、断続的または不連続に設けられるものであってもよい。また、補助折目線cは、外フラップ21の側端21bに到達しないものであってもよい。
【0059】
その他、図示は省略するが、補助折目線cは、外フラップ折目線b1側と凸となる線に沿う波状またジグザグ状のものであってもよい。また、1つの外フラップ21に互いに平行または非平行の複数の補助折目線cを設けるようにしてもよい。
【0060】
また、補助折目線cは、連続的もしくは断続的に設けられる半切線または全切線から構成されるものであってもよく、この場合、例えば弧状等の切れ目を外フラップ折目線b1側と凸となる線に沿って断続的に配置するようにしてもよい。
【0061】
また、包装箱1は、天板を構成する閉塞部20aおよび底板を構成する閉塞部20bのいずれか一方にのみ補助折目線cが設けられたものであってもよい。この場合にも、従来の包装箱100と混ぜて使用する場合と同様の効果を奏することができる。また、包装箱1は、閉塞部20aおよび閉塞部20bのいずれか一方のみを備えるものであってもよい。また、包装箱1は、例えば六角筒状や八角筒状等の胴部10を有するものであってもよい。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の包装箱は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、包装箱1の各部の寸法および寸法比は、特に限定されるものではない。また、包装箱1の素材は、特に限定されるものではなく、両面段ボール以外の各種段ボール、厚紙、各種樹脂段ボールまたは樹脂板等であってもよい。
【0063】
また、上述の実施形態において示した作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したものに過ぎず、本発明による作用および効果は、これらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0064】
1 包装箱
10 胴部
10a 開放端
11 第1側板
12 第2側板
20a、20b 閉塞部
21 外フラップ
21a 外フラップの先端
22 内フラップ
a 胴部折目線
b1 外フラップ折目線
b2 内フラップ折目線
c 補助折目線