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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163825
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】車両用灯具の発光装置、車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/16 20180101AFI20231102BHJP
   F21S 43/30 20180101ALI20231102BHJP
   F21S 43/243 20180101ALI20231102BHJP
   F21V 9/32 20180101ALI20231102BHJP
   F21V 9/20 20180101ALI20231102BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20231102BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20231102BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20231102BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20231102BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20231102BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231102BHJP
【FI】
F21S43/16
F21S43/30
F21S43/243
F21V9/32
F21V9/20
F21V7/28 240
F21V8/00 300
F21W103:00
F21W103:35
F21W103:20
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074991
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デアリバ マンガス アレクサンドル
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244BA11
3K244CA02
3K244DA01
3K244EA01
3K244EA08
3K244EA16
3K244GA04
3K244GA05
3K244GA06
3K244GA10
(57)【要約】
【課題】複数個の発光機能が得られる車両用灯具の発光装置、車両用灯具を提供することにある。
【解決手段】3個の発光ユニット1U、2U、3Uは、それぞれ、励起光L11、L12、L13を放出する励起光源1L、2L、3Lと、励起光L11、L12、L13により励起して2次光L21、L22、L23を放出して発光する発光パネル1P、2P、3Pと、を有する。第1発光ユニット1Uは、励起光フィルター1Fの一面側でかつ車両の中央側に配置されている。第2発光ユニット2Uは、励起光フィルター1Fの他面側に配置されている。第3発光ユニット3Uは、励起光フィルター1Fの一面側でかつ車両の外側に配置されている。励起光フィルター1Fは、励起光L11、L12、L13を透過させない。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用灯具の発光装置であって、複数個の発光ユニットと、励起光フィルターと、を備え、
複数個の前記発光ユニットは、それぞれ、励起光を放出する励起光源と、前記励起光により励起して2次光を放出して発光する発光パネルと、を有し、
複数個の前記発光ユニットは、前記励起光フィルターの一面側と他面側とに、それぞれ、少なくとも1個ずつ配置されていて、
前記励起光フィルターは、前記励起光を透過させない、
ことを特徴とする車両用灯具の発光装置。
【請求項2】
複数個の前記発光ユニットの前記発光パネルは、それぞれ、前記励起光フィルターの一面または他面に成膜されていて、前記励起光により励起して前記2次光を放出して発光する光変換膜としての発光膜を有し、
前記発光膜は、任意の形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具の発光装置。
【請求項3】
複数個の前記発光ユニットの前記励起光源からの前記励起光をそれぞれ制御して、1個の前記発光ユニットの前記励起光源からの前記励起光が、迷励起光として、他の前記発光ユニットの前記発光パネルに迷い込んで入射するのを防ぐ励起光制御部材を、備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具の発光装置。
【請求項4】
前記励起光制御部材は、
前記励起光を所定の方向に反射させる反射部材、
前記励起光を入射面、出射面のうち少なくとも1つの面において所定の角度で屈折させるレンズ部材、
入射面から入射した前記励起光を出射面まで導光させて、前記出射面から外部に出射させる導光部材、
前記迷励起光を遮蔽する遮蔽部材、
のうち、少なくとも1つの部材を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具の発光装置。
【請求項5】
前記励起光フィルターは、前記励起光のうち、少なくとも約300nmから約500nmまでの範囲の波長の前記励起光を透過させず、前記発光パネルにおいて発光した前記2次光のうち、少なくとも約500nmから約780nmまでの範囲の波長の前記2次光を、約90%以上の透過率で、透過させる透明板である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具の発光装置。
【請求項6】
灯室を形成する灯室形成部材と、
前記灯室内に配置されている前記の請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用灯具の発光装置と、
を備える、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項7】
前記灯室内に配置されていて、前記発光装置からの2次光を前記灯室外に反射させる反射体、または、前記発光装置からの励起光を前記発光装置の発光パネル側に反射させる反射体、の少なくともいずれか一方の反射体、を備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記灯室形成部材は、前記発光装置からの励起光を透過させず、前記発光装置からの2次光を透過させるアウターレンズを有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記灯室形成部材は、前記発光装置からの励起光を透過させず、前記発光装置からの2次光を透過させるアウターレンズを有し、
前記アウターレンズは、赤色、または、黄橙色であり、
前記励起光は、青色光であり、
前記2次光は、赤色光、または、黄橙色光である、
ことを特徴とする請求項8に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用灯具の発光装置に関するものである。この発明は、車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
励起光により励起して発光する2次光を利用する車両用灯具の発光装置、車両用灯具としては、たとえば、特許文献1に示すものがある。
【0003】
特許文献1の車両用灯具の光源ユニットは、光源部と、発光層を有する光生成部と、を備える。特許文献1の車両用灯具は、前記の光源ユニットと、前記の光源ユニット収容するランプハウジングおよびランプレンズと、を備える。
【0004】
以下、特許文献1の車両用灯具の光源ユニット、車両用灯具の作用について説明する。光源部から放出された励起光により、光生成部の発光層が、励起して2次光を放出し、所定の発光パターンで発光する。また、2次光は、たとえば、テールランプなどの配光パターンとしてランプレンズを透過して外部に照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2019/245030号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の車両用灯具の光源ユニット、車両用灯具は、1個の光源部と、1個の光生成部と、を備えるものであるから、光生成部の発光パターンが1個に限定されている。この結果、特許文献1の車両用灯具の光源ユニット、車両用灯具では、複数個の発光機能が得られない。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、複数個の発光機能が得られる車両用灯具の発光装置、車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の車両用灯具の発光装置は、車両用灯具の発光装置であって、複数個の発光ユニットと、励起光フィルターと、を備え、複数個の発光ユニットが、それぞれ、励起光を放出する励起光源と、励起光により励起して2次光を放出して発光する発光パネルと、を有し、複数個の発光ユニットが、励起光フィルターの一面側と他面側とに、それぞれ、少なくとも1個ずつ配置されていて、励起光フィルターが、励起光を透過させない、ことを特徴とする。
【0009】
この発明の車両用灯具の発光装置において、複数個の発光ユニットの発光パネルは、それぞれ、励起光フィルターの一面または他面に成膜されていて、励起光により励起して2次光を放出して発光する光変換膜としての発光膜を有し、発光膜は、任意の形状に形成されている、ことが好ましい。
【0010】
この発明の車両用灯具の発光装置において、複数個の発光ユニットの励起光源からの励起光をそれぞれ制御して、1個の発光ユニットの励起光源からの励起光が、迷励起光として、他の発光ユニットの発光パネルに迷い込んで入射するのを防ぐ励起光制御部材を、備える、ことが好ましい。
【0011】
この発明の車両用灯具の発光装置において、励起光制御部材は、励起光を所定の方向に反射させる反射部材、励起光を入射面、出射面のうち少なくとも1つの面において所定の角度で屈折させるレンズ部材、入射面から入射した励起光を出射面まで導光させて、出射面から外部に出射させる導光部材、迷励起光を遮蔽する遮蔽部材、のうち、少なくとも1つの部材を有する、ことが好ましい。
【0012】
この発明の車両用灯具の発光装置において、励起光フィルターは、励起光のうち、少なくとも約300nmから約500nmまでの範囲の波長の励起光を透過させず、発光パネルにおいて発光した2次光のうち、少なくとも約500nmから約780nmまでの範囲の波長の2次光を、約90%以上の透過率で、透過させる透明板である、ことが好ましい。
【0013】
この発明の車両用灯具は、灯室を形成する灯室形成部材と、灯室内に配置されているこの発明の車両用灯具の発光装置と、を備える、ことを特徴とする。
【0014】
この発明の車両用灯具において、灯室内に配置されていて、発光装置からの2次光を灯室外に反射させる反射体、または、発光装置からの励起光を発光装置の発光パネル側に反射させる反射体、の少なくともいずれか一方の反射体、を備える、ことが好ましい。
【0015】
この発明の車両用灯具において、灯室形成部材は、発光装置からの励起光を透過させず、発光装置からの2次光を透過させるアウターレンズを有する、ことが好ましい。
【0016】
この発明の車両用灯具において、灯室形成部材は、発光装置からの励起光を透過させず、発光装置からの2次光を透過させるアウターレンズを有し、アウターレンズは、赤色、または、黄橙色であり、励起光は、青色光であり、2次光は、赤色光、または、黄橙色光である、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
この発明の車両用灯具の発光装置、車両用灯具は、複数個の発光機能が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、この発明にかかる車両用灯具の発光装置、車両用灯具の実施形態1を示す非点灯時(消灯時、以下同様)の車両用灯具の正面図である。
図2図2は、第1発光ユニットの第1発光パネルが発光している状態を示す車両用灯具の正面図である。
図3図3は、第1発光ユニットの第1発光パネルおよび第2発光ユニットの第2発光パネルが同時に発光している状態を示す車両用灯具の正面図である。
図4図4は、第1発光ユニットの第1発光パネル、第2発光ユニットの第2発光パネル、および、第3発光ユニットの第3発光パネルが同時に発光している状態を示す車両用灯具の正面図である。
図5図5は、車両用灯具の発光装置を示す横断面説明図である。(A)は、図1におけるA-A線断面説明図である。(B)は、図2におけるB-B線断面説明図である。(C)は、図3におけるC-C線断面説明図である。(D)は、図4におけるD-D線断面説明図である。
図6図6は、車両用灯具の発光装置、車両用灯具の非点灯時の状態を示す縦断面説明図(図1におけるVI-VI線断面説明図)である。
図7図7は、第1発光ユニットの第1発光パネルが発光している状態を示す縦断面説明図(図2におけるVII-VII線断面説明図)である。
図8図8は、車両用灯具の発光装置、車両用灯具の非点灯時の状態を示す縦断面説明図(図1におけるVIII-VIII線断面説明図)である。
図9図9は、第1発光ユニットの第1発光パネルおよび第2発光ユニットの第2発光パネルが同時に発光している状態を示す縦断面説明図(図3におけるIX-IX線断面説明図)である。
図10図10は、車両用灯具の発光装置、車両用灯具の非点灯時の状態を示す横断面説明図(図1におけるA-A線断面説明図であって、図5(A)に対応する横断面説明図)である。
図11図11は、第1発光ユニットの第1発光パネル、第2発光ユニットの第2発光パネル、および、第3発光ユニットの第3発光パネルが同時に発光している状態を示す縦断面説明図(図4におけるD-D線断面説明図であって、図5(D)に対応する横断面説明図)である。
図12図12(A)は、発光パネルを示す一部拡大概略縦断面図である。図12(B)は、発光パネルにおける励起光の光路と2次光の光路とを示す一部拡大説明図である。
図13図13は、車両用灯具の発光装置、車両用灯具の非点灯時において、発光パネルが透明に見えている状態を示す縦断面説明図(図6および図8に対応する縦断面説明図)である。
図14図14は、発光パネルの発光膜の発光意匠を示す説明図である。
図15図15は、所定の配光内に配置されている発光パネルの発光膜の発光意匠を示す説明図である。
図16図16は、車両用灯具の発光装置、車両用灯具のセグメント発光の状態を示す説明図である。
図17図17は、この発明にかかる車両用灯具の発光装置、車両用灯具の実施形態2を示す非点灯時の車両用灯具の正面図である。
図18図18は、第1発光ユニットの第1発光パネルが発光している状態を示す車両用灯具の正面図である。
図19図19(A)は、発光パネルを示す一部拡大概略縦断面図である。図19(B)は、発光パネルにおける励起光の光路と2次光の光路とを示す一部拡大説明図である。
図20図20は、車両用灯具の発光装置、車両用灯具の非点灯時において、発光パネルがアウターレンズを介して見えている状態を示す縦断面説明図(図13に対応する縦断面説明図)である。
図21図21は、この発明にかかる車両用灯具の発光装置、車両用灯具の励起光制御部材の変形例1を示す縦断面図(図7図9に対応する縦断面図)である。
図22図22は、この発明にかかる車両用灯具の発光装置、車両用灯具の励起光制御部材の変形例2を示す縦断面図(図7図9図21に対応する縦断面図)である。
図23図23は、この発明にかかる車両用灯具の発光装置、車両用灯具の励起光制御部材の変形例3を示す一部縦断面図(図7図9図21図22に対応する一部縦断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明にかかる車両用灯具の発光装置、車両用灯具の実施形態(実施例)2例を図面に基づいて説明する。この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用灯具の発光装置、車両用灯具を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。
【0020】
図1から図4図6から図11図17図18図21から図23において、符号「F」は「前」、「B」は「後」、「U」は上、「D」は「下」、「L」は「左」、「R」は「右」である。ここで、正面とは、車両の後側の面、背面とは、車両の前側の面である。
【0021】
なお、図面は、この発明にかかる車両用灯具の発光装置、車両用灯具を示す概略図であるから、この発明にかかる車両用灯具の発光装置、車両用灯具の主要部品を図示し、主要部品以外の部品の図示を省略する。また、ハッチングの一部が省略されている。
【0022】
(実施形態1の構成の説明)
図1から図16は、この発明にかかる車両用灯具の発光装置、車両用灯具の実施形態1を示す。以下、この実施形態1にかかる車両用灯具の発光装置、車両用灯具の構成について説明する。
【0023】
(車両用灯具100Aの説明)
図1から図4図6から図11図13図16中、符号100Aは、この実施形態1にかかる車両用灯具である。車両用灯具100Aは、この例では、リアコンビネーションランプを構成するテールランプである。なお、車両用灯具100Aは、テールランプ以外に、ストップランプ、テール・ストップランプまたはターンシグナルランプであっても良い。
【0024】
車両用灯具100Aは、車両(図示せず)の後部の左右両側にそれぞれ取り付けられている。この例の車両用灯具100Aは、車両の右側に取り付けられている。なお、車両の左側に取り付けられる車両用灯具は、車両の右側に取り付けられる、この例の車両用灯具100Aの構成を左右を反転させた構成である。このため、車両の左側に取り付けられる車両用灯具の説明は、省略する。
【0025】
車両用灯具100Aのテールランプの配光は、基準軸Z(図6から図10を参照)に対して、左右方向および上下方向に所定の角度の配光範囲(照射範囲)を有する。基準軸Zは、車両の進行方向(車両の前後方向、車両の番線)と平行である。
【0026】
車両用灯具100Aは、ランプハウジング100と、アウターレンズとしてのランプレンズ101と、インナーパネル(インナーハウジング)102と、反射体103と、この実施形態1にかかる車両用灯具の発光装置1A(以下、「発光装置1A」と称する)と、を備える。
【0027】
ランプハウジング100は、光不透過性の部材(樹脂部材など)から構成されている。ランプハウジング100は、この例では、黒色をなす。なお、ランプハウジング100の内面(灯室104に向き合う面)が黒色であれば良い。また、ランプハウジング100は、黒色以外の色であっても良い。
【0028】
ランプレンズ101は、PMMA、PCなどの光透過性の樹脂部材や光透過性のガラスから構成されている。ランプレンズ101は、素通しのアウターカバー、アウターレンズなどである。ランプレンズ101は、この例では、赤色レンズから構成されている。赤色レンズのランプレンズ101は、発光装置1Aの後記の青色光の励起光L11、L12、L13を吸収する。これにより、この車両用灯具100Aは、ランプレンズ101から照射(出射)される光の色度のバラつきを無くして、テールランプの法規を満たすことができる。
【0029】
なお、ランプレンズ101は、赤色レンズ以外の無色レンズ、または、黄橙色レンズから構成されているものであっても良い。ランプレンズ101は、ランプハウジング100に取り付けられている。これにより、ランプハウジング100とランプレンズ101とは、灯室104を形成する。ランプハウジング100とランプレンズ101とは、灯室形成部材を構成する。
【0030】
インナーパネル102は、灯室104内の中央から上側と下側とにかけての部分に、ランプレンズ101に沿って、配置されている。また、インナーパネル102は、ランプレンズ101と発光装置1Aの後記の励起光源1L、2L、3Lおよび励起光制御部材1C、2C、3Cとの間に配置されている。インナーパネル102は、取付部材(図示せず)を介して、ランプハウジング100に取り付けられている。
【0031】
インナーパネル102は、光不透過性の部材(樹脂部材など)から構成されている。インナーパネル102は、この例では、ランプハウジング100と同様に、黒色をなす。なお、インナーパネル102の表面、すなわち、外面(ランプレンズ101に向き合う面)および内面(灯室104に向き合う面)が黒色であれば良い。また、インナーパネル102は、黒色以外の色であっても良いし、外面または内面の少なくともいずれか一方が黒色以外の他の色または金属蒸着を施しても良い。
【0032】
反射体103は、図5図8から図11に示すように、ランプハウジング100と発光装置1Aの後記の第2発光ユニット2Uの第2発光パネル2Pおよび後記の励起光フィルター1Fの第2フィルター部12Fとの間に配置されている。反射体103は、インナーパネル102と同様に、取付部材(図示せず)を介して、ランプハウジング100に取り付けられている。反射体103は、第2発光ユニット2Uからの第2-2次光L22を灯室104外、すなわち、灯室104内からランプレンズ101を透過させて灯室104の外部側に反射させる。
【0033】
(発光装置1Aの説明)
発光装置1Aは、図10図11に示すように、取付部材としてのブラケット105を介して、ランプハウジング100側に取り付けられている。発光装置1Aは、図5から図11に示すように、複数個、この例では、3個の発光ユニット1U、2U、3Uと、励起光フィルター1Fと、複数個、この例では、発光ユニット1U、2U、3Uと同数個の3個の励起光制御部材1C、2C、3Cと、を備える。
【0034】
(発光ユニット1U、2U、3U、励起光制御部材1C、2C、3Cの説明)
3個の発光ユニット1U、2U、3U、3個の励起光制御部材1C、2C、3Cは、この例では、車両の左側(車両の中央側)から車両の右側(車両の外側)に、第1発光ユニット1U、第2発光ユニット2U、第3発光ユニット3U、第1励起光制御部材1C、第2励起光制御部材2C、第3励起光制御部材3Cと、称する。
【0035】
第1発光ユニット1Uと第1励起光制御部材1C、第2発光ユニット2Uと第2励起光制御部材2C、第3発光ユニット3Uと第3励起光制御部材3Cは、それぞれ、独立した3組のアセンブリーを構成する。
【0036】
第1発光ユニット1Uおよび第1励起光制御部材1Cは、励起光フィルター1Fの一面側(ランプレンズ101に向き合う面側)であって、灯室104内の左側かつ下側に配置されている。第2発光ユニット2Uおよび第2励起光制御部材2Cは、励起光フィルター1Fの他面側(ランプハウジング100に向き合う面側)であって、灯室104内の中央かつ上側に配置されている。第3発光ユニット3Uおよび第3励起光制御部材3Cは、励起光フィルター1Fの一面側であって、灯室104内の右側かつ下側に配置されている。
【0037】
(発光ユニット1U、2U、3Uの説明)
3個の発光ユニット1U、2U、3Uは、それぞれ、励起光源1L、2L、3Lと、発光パネル1P、2P、3Pと、を有する。3個の励起光源1L、2L、3L、発光パネル1P、2P、3Pは、この例では、車両の左側(車両の中央側)から車両の右側(車両の外側)に、第1励起光源1L、第2励起光源2L、第3励起光源3L、第1発光パネル1P、第2発光パネル2P、第3発光パネル3Pと、称する。
【0038】
(励起光制御部材1C、2C、3Cの説明)
3個の励起光制御部材1C、2C、3Cは、3個の発光ユニット1U、2U、3Uの励起光源1L、2L、3Lからの励起光L11、L12、L13(図5図7図9図11図12(B)中の実線矢印を参照)をそれぞれ制御して、3個の発光ユニット1U、2U、3Uのうちの1個の発光ユニット1U(2U、3U)の励起光源1L(2L、3L)からの励起光L11(L12、L13)が、図7図9図11中の実線矢印に示すように、迷励起光L31(L32、L33)として、他の発光ユニット2Uおよび3U(1Uおよび3U、1Uおよび2U)の発光パネル2Pおよび3P(1Pおよび3P、1Pおよび2P)に迷い込んで入射するのを防ぐ。3個の励起光制御部材1C、2C、3Cは、この例では、図6から図11に示すように、反射部材40と遮蔽部材41とを有する。
【0039】
反射部材40は、励起光源1L、2L、3Lもしくはその近傍を焦点とする回転放物面を基本とする反射面である。反射部材40は、縦横に分割された複数個のセグメントを有する。反射部材40の複数個のセグメントは、励起光源1L、2L、3Lからの励起光L11、L12、L13を所定の方向、この例では、発光パネル1P、2P、3P側に反射させる。反射部材40で反射された励起光L11、L12、L13は、図15に示すように、所定の配光DLに制御されて発光パネル1P、2P、3P側に照射される。
【0040】
所定の配光DLは、図15に示すように、ほぼ長方形形状をなし、発光パネル1P、2P、3Pのうち、狭くとも、光変換膜としての発光膜510を包含する配光範囲を有する。また、所定の配光DLは、配光範囲において、均一の光度(照度)を有する。なお、所定の配光DLは、配光範囲内の光度(照度)において、高低差を持たせても良い。すなわち、発光範囲内における光の強弱が、連続的に変化しても良い。
【0041】
遮蔽部材41は、光不透過性の部材からなり、励起光源1L、2L、3Lからの励起光L11、L12、L13が通過する第1開口部411と、反射部材40で反射した励起光L11、L12、L13が通過する第2開口部412とを、有する。遮蔽部材41は、励起光源1L、2L、3Lからの励起光L11、L12、L13のうち、反射部材40側以外に進む励起光、すなわち、迷励起光L31、L32、L33を、主に第1開口部411の縁部において遮蔽し、また、反射部材40で反射した励起光L11、L12、L13のうち、発光パネル1P、2P、3P側以外に進む励起光、すなわち、迷励起光L31、L32、L33を、主に第2開口部412の縁部において遮蔽する。
【0042】
(励起光源1L、2L、3Lの説明)
3個の励起光源1L、2L、3Lは、この例では、図6から図11に示すように、基板42と、発光素子43と、を有する。基板42は、取付ブラケットを介して、励起光制御部材1C、2C、3Cの遮蔽部材41に取り付けられている。
【0043】
発光素子43は、基板42のうち、第1開口部411を介して反射部材40に向き合う面に実装されている。発光素子43は、この例では、青色LEDであって、450nmの主波長の青色LEDを使用する。すなわち、発光素子43からランバーシアン状(放射状)放射される励起光L11、L12、L13は、この例では、300nmから500nmまでの範囲の青色光である。発光素子43は、1個または複数個の青色LEDから構成されている。なお、発光素子43としては、青色LED以外、たとえば、LD(半導体レーザー)などを使用しても良い。また、励起光L11、L12、L13は、波長が青色光よりも短い紫光や紫外光などであっても良い。
【0044】
なお、第1励起光源1Lから放射される励起光L11を第1励起光L11と、第2励起光源2Lから放射される励起光L12を第2励起光L12と、第3励起光源3Lから放射される励起光L13を第3励起光L13と、それぞれ、称する。
【0045】
(励起光フィルター1Fの説明)
励起光フィルター1Fは、励起光L11、L12、L13を透過させない。すなわち、励起光フィルター1Fは、励起光L11、L12、L13のうち、少なくとも約300nmから約500nmまでの範囲の波長の励起光L11、L12、L13を透過させず、発光パネル1P、2P、3Pにおいて発光した2次光L21、L22、L23(図5図7図9図11、ず12(B)中の破線矢印を参照)のうち、少なくとも約500nmから約780nmまでの範囲の波長の2次光L21、L22、L23を、約90%以上の透過率で、透過させる透明板である。
【0046】
励起光フィルター1Fは、たとえば、赤色ガラス、橙色ガラス、青色フィルター層を成膜した透明ガラスなどを使用する。励起光フィルター1Fにより、励起光L11、L12、L13を透過させないと言うことは、励起光L11、L12、L13が励起光フィルター1Fで吸収され、反射され、あるいは、遮断されることである。
【0047】
励起光フィルター1Fは、図6から図9に示すように、上部がランプレンズ101側に位置し、かつ、下部がランプハウジング100側に位置するように、傾斜されている。また、励起光フィルター1Fは、図10図11に示すように、上から見て、左右方向の第1フィルター部11Fと、前後方向の第1繋部14Fと、左右方向の第2フィルター部12Fと、前後方向の第2繋部15Fと、左右方向の第3フィルター部13Fと、を有する。
【0048】
第1フィルター部11Fは、車両の左側(車両の中央側)で、かつ、車両の後側(ランプレンズ101側)に、位置する。第2フィルター部12Fは、第1フィルター部11Fと第3フィルター部13Fとの間に位置する。第3フィルター部13Fは、車両の右側(車両の外側)で、かつ、車両の前側(ランプハウジング100側)に、位置する。
【0049】
(発光パネル1P、2P、3Pの説明)
発光パネル1P、2P、3Pは、励起光源1L、2L、3Lから放出された励起光L11、L12、L13により、励起して2次光L21、L22、L23を放出して、図2から図4中の斜め格子ハッチングが施されている部分に示すように、発光する。発光パネル1P、2P、3Pは、図12(A)、(B)に示すように、基板(支持基板)500と、発光膜(発光層、OPL)510と、2次光出射面520と、反射膜(反射層)530と、反射面540と、封止材550、560と、を有する。
【0050】
なお、第1発光パネル1Pから放出される2次光L21を第1-2次光L21と、第2発光パネル2Pから放出される2次光L22を第2-2次光L22と、第3発光パネル3Pから放出される2次光L23を第3-2次光L23と、それぞれ、称する。なお、「第1」と「2次光L21」との間、「第2」と「2次光L22」との間、「第3」と「2次光L23」との間、には、それぞれ、「-」を入れて、数字が連続する紛らわしさ、たとえば、「第12次光L21」、「第22次光L22」、「第32次光L23」を解消させる。
【0051】
3個の発光パネル1P、2P、3Pは、図5から図11に示すように、励起光フィルター1Fの一面側、他面側、一面側に、蒸着、ウエット法(スピンコート、スプレーなど)により、形成(作製)されている。すなわち、第1発光パネル1Pは、第1フィルター部11Fの一面側に、第2発光パネル2Pは、第2フィルター部12Fの他面側に、第3発光パネル3Pは、第3フィルター部13Fの一面側に、それぞれ、形成されている。発光パネル1P、2P、3Pの封止材560が励起光フィルター1Fに接合されている。これにより、発光パネル1P、2P、3Pは、励起光フィルター1Fの一面、他面に成膜されている光変換膜(光変換層)としての発光膜510を有する。なお、図12(A)、(B)において、第1発光パネル1Pと第3発光パネル3Pとは、励起光フィルター1Fの一面(図12(A)、(B)中の左側の面)に形成され、第2発光パネル2Pとは、励起光フィルター1Fの他面(図12(A)、(B)中の右側の面)に形成される。励起光フィルター1Fは、発光パネル1P、2P、3Pを支持する支持基板である。
【0052】
基板500は、励起光L11、L12、L13および2次光L21、L22、L23を透過させる、PMMA、PCなどの光透過性の樹脂部材や光透過性のガラスなどから構成されている。基板500は、フレキシブル性またはリジッド性を問わない。基板500は、板形状をなす。基板500は、この例では、ガラスを使用する。
【0053】
発光膜510は、基板500の一面に形成(成膜)されている。発光膜510は、主波長650nmの有機材料を使用する。なお、発光膜510の材料は、有機蛍光体材料、有機燐光体材料のうち、少なくとも1つからなる材料であっても良い。発光膜510は、1つもしくは複数の半導体膜(半導体層)により両面側が挟み込まれている。半導体膜の組み合わせは、任意である。
【0054】
発光膜510は、励起光L11、L12、L13により、励起して2次光L21、L22、L23を、全方位(図12(B)中の円を参照)に放出する。これにより、発光膜510は、図2から図4中の斜め格子ハッチングが施されている部分に示すように、この例では、全面で面発光する。ここで、発光膜510の膜厚により、2次光L2の強弱を調整することができる。すなわち、発光膜510の膜厚を厚くすると、2次光L2を強く調整することができ、反対に、発光膜510の膜厚を薄くすると、2次光L2を弱く調整することができる。
【0055】
発光膜510は、任意の意匠、この例では、図2から図4中の斜め格子ハッチングが施されている部分に示すような形状をなしていて、この形状の発光面を形成する。
【0056】
2次光L21、L22、L23は、この例では、赤色光である。赤色光の主波長は、500nmよりも長い650nmである。このように、2次光L21、L22、L23の主波長は、500nmよりも長く、励起光L11、L12、L13の主波長450nmよりも長い。なお、この例における2次光L21、L22、L23は、テールランプ用の赤色光である。赤色光は、テールランプ以外に、ストップランプやテール・ストップランプに使用される。なお、2次光L2は、赤色光以外の色の光、たとえば、黄橙色光であっても良い。2次光L2が黄橙色光の場合においては、車両用灯具として、ターンシグナルランプが使用される。
【0057】
発光膜510は、2次光出射面520を有する。2次光出射面520は、発光膜510のうち基板500側の面に設けられている。2次光出射面520は、2次光L21、L22、L23を出射させる。
【0058】
この結果、車両用灯具100Aは、2次光出射面520から出射した2次光L21、L22、L23により、面発光が得られる。なお、2次光出射面520の発光面積は、合計の面積で、10mm 2 以上である。これにより、明るさに対する車両法規を満足することができる。
【0059】
反射膜530は、基板500の一面に、発光膜510を覆うように、形成(成膜)されている。反射膜530は、可視光の波長領域での反射率が20%以上である反射材、たとえば、アルミニウム、銀、その他の金属(タングステン)、または、これらの合金などの金属材料からなる。この結果、反射膜530は、製造公差により反射率にバラツキが発生したとしても、このバラツキを吸収することができる。
【0060】
反射膜530は、反射面540を有する。反射面540は、反射膜530のうち基板500および発光膜510側の面に設けられている。反射面540は、発光膜510から放出された2次光L21、L22、L23を発光膜510側に反射させる。
【0061】
封止材550、560は、基板500と共に、発光膜510および反射膜530を封止する。封止材550、560は、シリコーン樹脂やSiN膜など550と、アルミニウムホイール560と、から構成されている。なお、封止材550、560は、この例には、限定されない。
【0062】
(発光パネル1P、2P、3Pの発光膜510の発光意匠の説明)
発光パネル1P、2P、3Pの発光膜510の発光意匠は、発光膜510の意匠(模様、形状、グラフィック、外形など)を任意に変更することにより、任意に変更することができる。
【0063】
たとえば、発光膜510は、図2から図4図14(A)(B)(C)(D)に示すように、同一の形状において、異なる発光模様を形成することができる。図14(A)は、全面発光模様である。図14(B)は、籠目模様(籠目文様)である。図14(C)は、麻の葉模様(麻の葉文様)である。図14(D)は、横縞模様(中央の横縞の縦幅が大きく、上下に行くに従って横縞の縦幅が徐々に小さくなる横縞模様)である。なお、図14は、グレースケールで図示されていて、濃いグレーで示されている個所が発光個所である。
【0064】
また、発光パネル1P、2P、3Pの発光膜510は、図15(A)(B)(C)(D)に示すように、所定の配光DL内において、異なる発光意匠(発光形状および発光模様)を形成することができる。図15(A)および(B)は、同一の形状において、図15(A)は、全面発光模様であり、図15(B)は、横長のロッド群の発光模様である。図15(C)は、上下3本の横長の発光意匠である。図15(D)は、左右3個の横Vの発光意匠である。なお、図15において、所定の配光DL内は、励起光L11、L12、L13の青色をなしていて、斜め格子ハッチングが施されている部分(図15(B)は黒塗りの部分)は、2次光L21、L22、L23の赤色をなしている。
【0065】
なお、前記の図14および図15は、発光パネル1P、2P、3Pの発光膜510の発光意匠の一部の例示であって、発光パネル1P、2P、3Pの発光膜510の発光意匠は、無限にある。
【0066】
(実施形態1の作用の説明)
この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0067】
(発光パネル1P、2P、3Pの非発光状態の説明)
まず、図1図5(A)、図6図8図10に示すように、発光ユニット1U、2U、3Uの励起光源1L、2L、3Lの発光素子43が消灯状態の時、発光パネル1P、2P、3Pは、非発光状態にある。このため、ランプレンズ101から灯室104内を見ると、図1に示すように、非発光状態にある発光パネル1P、2P、3Pは、目立たず、ランプハウジング100の黒色が見えるだけである。なお、図1において、ランプハウジング100の黒色は、色抜きで図示されている。
【0068】
ここで、発光装置1Aの発光パネル1P、2P、3Pの発光膜510は、この例では、有機材料を使用するものである。このため、図13に示すように、外光(外部の光)L41がランプレンズ101を透過して灯室104内に入射外光L42として入射する。すると、この入射外光L42は、ランプレンズ101に向き合っている第1発光パネル1Pおよび第3発光パネル3Pの反射面540で反射外光L43として反射する。この反射外光L43は、第1励起光制御部材1Cおよび第3励起光制御部材3Cの反射部材40で再反射外光L44として反射する。この再反射外光L44は、再び、第1励起光制御部材1Cおよび第3励起光制御部材3Cの反射部材40で再々反射外光L45として反射する。この再々反射外光L45は、灯室104内からランプレンズ101を透過して灯室104外に出射外光L46として出射する。この出射外光L46は、人の目Eに入る。これにより、人は、灯室104内には、何もないように見える。すなわち、人の目Eには、第1発光パネル1P、第3発光パネル3Pが見えない。
【0069】
なお、第2発光パネル2Pは、励起光フィルター1Fの他面(ランプハウジング100に向き合う側の面)に形成されているので、この励起光フィルター1Fにより、人の目Eには、見えない。
【0070】
また、ランプレンズ101は、赤色をなしているので、外光(外部の光)L41の青色光を吸収することができる。これにより、外光L41の青色光が、ランプレンズ101を透過して灯室104内の発光パネル1P、2P、3Pの発光膜510を励起させて2次光L21、L22、L23を発光させ、赤色光が点灯している誤点灯の状態を防ぐことができる。
【0071】
(第1発光パネル1Pの発光状態の説明)
そして、図2図5(B)、図7に示すように、第1発光ユニット1Uの第1励起光源1Lの発光素子43を点灯する。すると、発光素子43から第1励起光L11(青色光)が放出される。第1励起光L11は、第1励起光制御部材1Cの遮蔽部材41の第1開口部411を通過し、第1励起光制御部材1Cの反射部材40で反射し、第1励起光制御部材1Cの遮蔽部材41の第2開口部412を通過して、所定の配光DLに制御されて、第1発光ユニット1Uの第1発光パネル1Pに入射する。
【0072】
この時、第1励起光制御部材1Cは、反射部材40により、第1励起光源1Lからの第1励起光L11を、第1発光ユニット1Uの第1発光パネル1Pに、所定の配光DLで照射する。同時に、第1励起光制御部材1Cは、遮蔽部材41により、第1励起光源1Lからの第1励起光L11の一部の迷励起光L31を遮蔽する。これにより、第1励起光制御部材1Cは、迷励起光L31が、第2発光ユニット2Uの第2発光パネル2Pおよび第3発光ユニット3Uの第3発光パネル3Pに迷い込んで入射する、状態を防ぐことができる。すなわち、第2発光パネル2Pおよび第3発光パネル3Pを誤発光させる、状態を防ぐことができる。
【0073】
また、励起光フィルター1Fは、第1励起光源1Lからの第1励起光L11のうち、第1発光ユニット1Uの第1発光パネル1Pに照射されなかった第1励起光L11を吸収する。これにより、励起光フィルター1Fは、第1発光パネル1Pに照射されず、第1発光パネル1Pの発光に供されなかった第1励起光L11が、第2発光ユニット2Uの第2発光パネル2Pおよび第3発光ユニット3Uの第3発光パネル3Pに入射して、第2発光パネル2Pおよび第3発光パネル3Pを誤発光させる、状態を防ぐことができる。
【0074】
第1発光ユニット1Uの第1発光パネル1Pの発光膜510は、所定の配光DLに制御された第1励起光L11の入射により、第1-2次光L21(赤色光)を全方位に放出する。
【0075】
第1-2次光L21の一部は、発光膜510を通って、反射面540で発光膜510側に反射される。反射された第1-2次光L21は、再び発光膜510を通り、2次光出射面520からランプレンズ101側に出射される。第1-2次光L21の残りは、反射面540で反射されずに、2次光出射面520からランプレンズ101側に出射される。
【0076】
発光膜510を通って反射面540に達した第1励起光L11は、反射面540で発光膜510側に反射され、発光膜510において第1-2次光L21を励起させる。第1励起光L11により励起された第1-2次光L21は、発光膜510から放出され、2次光出射面520からランプレンズ101側に出射される。
【0077】
2次光出射面520からランプレンズ101側に出射された第1-2次光L21は、基板500を透過し、灯室104内を通過し、ランプレンズ101を透過して、車両用灯具100Aの外部に所定のテールランプの配光パターンで照射される。この時、発光膜510は、面発光して、図2に示すような発光面(図2中の斜め格子ハッチング)を形成する。
【0078】
(第1発光パネル1Pおよび第2発光パネル2Pの発光状態の説明)
つぎに、図3図5(C)、図9に示すように、第1発光ユニット1Uの第1励起光源1Lの発光素子43を点灯させたままの状態において、第2発光ユニット2Uの第2励起光源2Lの発光素子43を点灯する。すると、発光素子43から第2励起光L12(青色光)が放出される。第2励起光L12は、第2励起光制御部材2Cの遮蔽部材41の第1開口部411を通過し、第2励起光制御部材2Cの反射部材40で反射し、第2励起光制御部材2Cの遮蔽部材41の第2開口部412を通過して、所定の配光DLに制御されて、第2発光ユニット2Uの第2発光パネル2Pに入射する。
【0079】
この時、第2励起光制御部材2Cは、第1励起光制御部材1Cの作用と同様に、反射部材40により、第2励起光源2Lからの第2励起光L12を、第2発光ユニット2Uの第2発光パネル2Pに、所定の配光DLで照射する。同時に、第2励起光制御部材2Cは、遮蔽部材41により、第2励起光源2Lからの第2励起光L12の一部の迷励起光L32を遮蔽する。これにより、第2励起光制御部材2Cは、迷励起光L32が、第1発光ユニット1Uの第1発光パネル1Pおよび第3発光ユニット3Uの第3発光パネル3Pに迷い込んで入射する、状態を防ぐことができる。すなわち、第1発光パネル1Pおよび第3発光パネル3Pを誤発光させる、状態を防ぐことができる。なお、この例では、第1発光パネル1Pが発光状態にあるので、特に、第1発光パネル1Pにおいては問題が無いが、第3発光パネル3Pに対して、また、第2発光パネル2Pのみを発光させる場合には、有効である。
【0080】
また、励起光フィルター1Fは、第2励起光源2Lからの第2励起光L12のうち、第2発光ユニット2Uの第2発光パネル2Pに照射されなかった第2励起光L12を吸収する。これにより、励起光フィルター1Fは、第2発光パネル2Pに照射されず、第2発光パネル2Pの発光に供されなかった第2励起光L12が、第1発光ユニット1Uの第1発光パネル1Pおよび第3発光ユニット3Uの第3発光パネル3Pに入射して、第1発光パネル1Pおよび第3発光パネル3Pを誤発光させる、状態を防ぐことができる。なお、この例では、第1発光パネル1Pが発光状態にあるので、特に、第1発光パネル1Pにおいては問題が無いが、第3発光パネル3Pに対して、また、第2発光パネル2Pのみを発光させる場合には、有効である。
【0081】
第2発光ユニット2Uの第2発光パネル2Pの発光膜510は、所定の配光DLに制御された第2励起光L12の入射により、第2-2次光L22(赤色光)を全方位に放出する。この第2-2次光L22は、前記の第1-2次光L21の出射方向と逆方向のランプハウジング100側に出射され、反射体103でランプレンズ101側に反射される。
【0082】
この結果、第2-2次光L22は、ランプレンズ101を透過して、車両用灯具100Aの外部に所定のテールランプの配光パターンで照射される。この時、発光膜510は、面発光して、図3に示すような発光面(図3中の斜め格子ハッチング)を形成する。
【0083】
(発光パネル1P、2P、3Pの発光状態の説明)
それから、図4図5(D)、図11に示すように、第1発光ユニット1Uの第1励起光源1Lの発光素子43および第2発光ユニット2Uの第2励起光源2Lの発光素子43を点灯させたままの状態において、第3発光ユニット3Uの第3励起光源3Lの発光素子43を点灯する。すると、発光素子43から第3励起光L13(青色光)が放出される。第3励起光L13は、第3励起光制御部材3Cの遮蔽部材41の第1開口部(図示せず)を通過し、第2励起光制御部材2Cの反射部材40で反射し、第3励起光制御部材3Cの遮蔽部材41の第2開口部(図示せず)を通過して、所定の配光DLに制御されて、第3発光ユニット3Uの第3発光パネル3Pに入射する。
【0084】
この時、第3励起光制御部材3Cは、第1励起光制御部材1Cおよび第2励起光制御部材2Cの作用と同様に、反射部材40により、第3励起光源3Lからの第3励起光L13を、第3発光ユニット3Uの第3発光パネル3Pに、所定の配光DLで照射する。同時に、第3励起光制御部材3Cは、遮蔽部材41により、第3励起光源3Lからの第3励起光L13の一部の迷励起光L33を遮蔽する。これにより、第3励起光制御部材3Cは、迷励起光L33が、第1発光ユニット1Uの第1発光パネル1Pおよび第2発光ユニット2Uの第2発光パネル2Pに迷い込んで入射する、状態を防ぐことができる。すなわち、第1発光パネル1Pおよび第2発光パネル2Pを誤発光させる、状態を防ぐことができる。なお、この例では、第1発光パネル1Pおよび第2発光パネル2Pが発光状態にあるので、特に、問題が無いが、第3発光パネル3Pのみを発光させる場合には、有効である。
【0085】
また、励起光フィルター1Fは、第3励起光源3Lからの第3励起光L13のうち、第3発光ユニット3Uの第3発光パネル3Pに照射されなかった第3励起光L13を吸収する。これにより、励起光フィルター1Fは、第3発光パネル3Pに照射されず、第3発光パネル3Pの発光に供されなかった第3励起光L13が、第1発光ユニット1Uの第1発光パネル1Pおよび第2発光ユニット2Uの第2発光パネル2Pに入射して、第1発光パネル1Pおよび第2発光パネル2Pを誤発光させる、状態を防ぐことができる。なお、この例では、第1発光パネル1Pおよび第2発光パネル2Pが発光状態にあるので、特に、問題が無いが、第3発光パネル3Pのみを発光させる場合には、有効である。
【0086】
第3発光ユニット3Uの第3発光パネル3Pの発光膜510は、所定の配光DLに制御された第3励起光L13の入射により、第3-2次光L23(赤色光)を全方位に放出する。この第3-2次光L23は、でランプレンズ101側に出射される。
【0087】
この結果、第3-2次光L23は、ランプレンズ101を透過して、車両用灯具100Aの外部に所定のテールランプの配光パターンで照射される。この時、発光膜510は、面発光して、図4に示すような発光面(図4中の斜め格子ハッチング)を形成する。
【0088】
これにより、車両用灯具100Aは、図2から図4に示すように、灯室104内の上下の中央部分において、ランプレンズ101を通して発光膜510の発光面(図2から図4中の斜め格子ハッチング)を視認することができる。なお、灯室104内の上側部分および下側部分においては、インナーパネル102の黒色(または、黒色以外の色)が見える。
【0089】
(シーケンシャル発光の説明)
また、車両用灯具100Aは、図1の発光パネル1P、2P、3Pの非発光状態から、図2の第1発光パネル1Pの発光状態を経て、図3の第1発光パネル1Pおよび第2発光パネル2Pの発光状態を経て、図4の発光パネル1P、2P、3Pの発光状態を経て、図1の発光パネル1P、2P、3Pの非発光状態に、シーケンシャル発光を得ることができる。
【0090】
(セグメント発光の説明)
さらに、図16に示すように、車両用灯具100Aは、1個の第1発光パネル1Pを発光状態(図16(A)に示す状態)とし、また、1個の第2発光パネル2Pを発光状態(図16(B)に示す状態)とし、また、1個の第3発光パネル3Pを発光状態(図16(C)に示す状態)とし、また、2個の第1発光パネル1Pおよび第2発光パネル2Pを発光状態(図16(D)に示す状態)とし、また、2個の第1発光パネル1Pおよび第3発光パネル3Pを発光状態(図16(E)に示す状態)とし、また、2個の第2発光パネル2Pおよび第3発光パネル3Pを発光状態(図16(F)に示す状態)とし、また、3個の第1発光パネル1Pおよび第2発光パネル2Pおよび第3発光パネル3Pを発光状態(図16(G)に示す状態)とし、また、3個の発光パネル1P、2P、3Pを非発光状態(図16(H)に示す状態)として、セグメント発光を得ることができる。
【0091】
(実施形態1の効果の説明)
この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0092】
この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、3個の発光ユニット1U、2U、3Uが、それぞれ、励起光L11、L12、L13を放出する励起光源1L、2L、3Lと、励起光L11、L12、L13により励起して2次光L21、L22、L23を放出して発光する発光パネル1P、2P、3Pと、を有し、第1発光ユニット1Uが励起光フィルター1Fの一面側でかつ車両の中央側に配置されていて、また、第2発光ユニット2Uが励起光フィルター1Fの他面側に配置されていて、さらに、第3発光ユニット3Uが励起光フィルター1Fの一面側でかつ車両の外側に配置されて、励起光フィルター1Fは、励起光L11、L12、L13を透過させない、ものである。
【0093】
この結果、この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、第1励起光源1Lを点灯させた時、励起光フィルター1Fにより、第1励起光源1Lからの第1励起光L11のうち、第1発光ユニット1Uの第1発光パネル1Pに照射されなかった第1励起光L11を吸収する。これにより、この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、励起光フィルター1Fにより、第1発光パネル1Pに照射されず、第1発光パネル1Pの発光に供されなかった第1励起光L11が、第2発光ユニット2Uの第2発光パネル2Pおよび第3発光ユニット3Uの第3発光パネル3Pに入射して、第2発光パネル2Pおよび第3発光パネル3Pを誤発光させる、状態を防ぐことができる。
【0094】
また、この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、第2励起光源2L、または、第3励起光源3Lを点灯させた時も、同様に、励起光フィルター1Fにより、第2励起光源2Lからの第2励起光L12のうち、第2発光ユニット2Uの第2発光パネル2Pに照射されなかった第2励起光L12、または、第3励起光源3Lからの第3励起光L13のうち、第3発光ユニット3Uの第3発光パネル3Pに照射されなかった第3励起光L13を吸収する。これにより、この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、励起光フィルター1Fにより、第2発光パネル2Pに照射されず、第2発光パネル2Pの発光に供されなかった第2励起光L12が、第1発光ユニット1Uの第1発光パネル1Pおよび第3発光ユニット3Uの第3発光パネル3Pに入射して、第1発光パネル1Pおよび第3発光パネル3Pを誤発光させる、状態、または、第3発光パネル3Pに照射されず、第3発光パネル3Pの発光に供されなかった第3励起光L13が、第1発光ユニット1Uの第1発光パネル1Pおよび第2発光ユニット2Uの第2発光パネル2Pに入射して、第1発光パネル1Pおよび第2発光パネル2Pを誤発光させる、状態、を防ぐことができる。
【0095】
これにより、この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、前記の作用に説明したように、シーケンシャル発光およびセグメント発光が得られ、しかも、複数個、この例では、3個の発光機能、たとえば、テールランプ機能とストップランプ機能、パターンが異なるランプ機能、発光面や照射光の明るさが異なるランプ機能などが得られる。すなわち、この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、複数個の発光機能が得られる。
【0096】
この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、3個の発光ユニット1U、2U、3Uの発光パネル1P、2P、3Pが、それぞれ、励起光フィルター1Fの一面または他面に成膜されていて、励起光L11、L12、L13により励起して2次光L21、L22、L23を放出して発光する光変換膜としての発光膜510を有し、この発光膜510が任意の形状に形成されている、ものである。
【0097】
この結果、この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、前記のシーケンシャル発光、セグメント発光、および、3個の発光機能において、さらに、多様のシーケンシャル発光、セグメント発光、および、3個の発光機能が得られる。発光膜510を、たとえば、「STOP」または「止まります」などの文字に形成すれば、テールランプあるいはストップランプにおいて、コミュニケーション発光が得られる。
【0098】
この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、3個の発光ユニット1U、2U、3Uの励起光源1L、2L、3Lからの励起光L11、L12、L13をそれぞれ制御して、1個の発光ユニット1U(2U、3U)の励起光源1L(2L、3L)からの励起光L11(L12、L13)が、迷励起光L31(L32、L33)として、他の発光ユニット2Uおよび3U(1Uおよび3U、1Uおよび2U)の発光パネル2Pおよび3P(1Pおよび3P、1Pおよび2P)に迷い込んで入射するのを防ぐ励起光制御部材1C、2C、3Cを、備える、ものである。
【0099】
この結果、この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、励起光制御部材1C、2C、3Cにより、1個の発光ユニット1U(2U、3U)の迷励起光L31(L32、L33)が、他の発光ユニット2Uおよび3U(1Uおよび3U、1Uおよび2U)の発光パネル2Pおよび3P(1Pおよび3P、1Pおよび2P)に迷い込んで入射する、状態を防ぐことができ、高精度に制御された複数個の発光機能が得られる。
【0100】
この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、励起光制御部材1C、2C、3Cが、励起光源1L、2L、3Lからの励起光L11、L12、L13を、発光ユニット1U、2U、3Uの発光パネル1P、2P、3Pに、所定の配光DLで照射する反射部材40と、励起光源1L、2L、3Lからの励起光L11、L12、L13の一部の迷励起光L31、L32、L33を遮蔽する遮蔽部材41と、を有する、ものである。
【0101】
この結果、この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、反射部材40により、励起光源1L、2L、3Lからの励起光L11、L12、L13を、発光ユニット1U、2U、3Uの発光パネル1P、2P、3Pに、所定の配光DLで照射することができ、同時に、遮蔽部材41により、励起光源1L、2L、3Lからの励起光L11、L12、L13の一部の迷励起光L31、L32、L33を遮蔽することができる、ものである。
【0102】
これにより、この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、1個の発光ユニット1U(2U、3U)の迷励起光L31(L32、L33)が、他の発光ユニット2Uおよび3U(1Uおよび3U、1Uおよび2U)の発光パネル2Pおよび3P(1Pおよび3P、1Pおよび2P)に迷い込んで入射する、状態を防ぐことができ、高精度に制御された複数個の発光機能が得られる。
【0103】
この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aの励起光フィルター1Fは、励起光L11、L12、L13のうち、少なくとも約300nmから約500nmまでの範囲の波長の励起光L11、L12、L13を透過させず、発光パネル1P、2P、3Pにおいて発光した2次光L21、L22、L23のうち、少なくとも約500nmから約780nmまでの範囲の波長の2次光L21、L22、L23を、約90%以上の透過率で、透過させる透明板である。
【0104】
この結果、この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、励起光フィルター1Fにより、励起光L11、L12、L13として青色光を使用することができ、また、2次光L21、L22、L23として赤色光や黄橙色光が得られる。しかも、この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aは、励起光フィルター1Fよる赤色光や黄橙色光の2次光L21、L22、L23の損失を最小限に抑制することができるので、赤色光や黄橙色光の2次光L21、L22、L23を高効率に利用することができる。
【0105】
この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aの励起光フィルター1Fは、左右方向の三段の第1フィルター部11F、第2フィルター部12Fおよび第3フィルター部13Fと、前後方向の二段の第1繋部14Fおよび第2繋部15Fと、を有する、ものである。これにより、この実施形態1にかかる発光装置1A、車両用灯具100Aの励起光フィルター1Fは、1個の発光ユニット1U(2U、3U)の迷励起光L31(L32、L33)が、他の発光ユニット2Uおよび3U(1Uおよび3U、1Uおよび2U)の発光パネル2Pおよび3P(1Pおよび3P、1Pおよび2P)に迷い込んで入射する、状態を防ぐことができる。
【0106】
この実施形態1にかかる車両用灯具100Aは、灯室104内において、ランプハウジング100と発光装置1Aの第2発光ユニット2Uの第2発光パネル2Pおよび励起光フィルター1Fの第2フィルター部12Fとの間に、反射体103を、配置し、この反射体103は、第2発光ユニット2Uからの第2-2次光L22を灯室104外、すなわち、灯室104内からランプレンズ101を透過させて灯室104の外部側に反射させる、ものである。
【0107】
この結果、この実施形態1にかかる車両用灯具100Aは、反射体103により、ランプハウジング100側に放出された第2-2次光L22を、ランプレンズ101側に反射させて、このランプレンズ101を透過させて灯室104内から外部に照射させることができるので、第2-2次光L22を有効に利用することができる。
【0108】
この実施形態1にかかる車両用灯具100Aは、灯室形成部材として、発光装置1Aからの励起光L11、L12、L13を透過させず、発光装置1Aからの2次光L21、L22、L23を透過させるアウターレンズとしてのランプレンズ101を有する、ものである。
【0109】
この結果、この実施形態1にかかる車両用灯具100Aは、ランプレンズ101により、励起光L11、L12、L13が透過されず、2次光L21、L22、L23が透過するので、ランプレンズ101において、色度のバラつきが無く、車両用灯具の法規を満たすことができる。
【0110】
この実施形態1にかかる車両用灯具100Aは、発光装置1Aからの励起光L11、L12、L13を透過させず、かつ、発光装置1Aからの2次光L21、L22、L23を透過させるアウターレンズとしてのランプレンズ101が、赤色、または、黄橙色であり、励起光L11、L12、L13が、青色光であり、2次光L21、L22、L23が、赤色光、または、黄橙色光である、ものである。
【0111】
この結果、この実施形態1にかかる車両用灯具100Aは、赤色、または、黄橙色であるランプレンズ101により、青色光である励起光L11、L12、L13が透過されず、赤色光、または、黄橙色光である2次光L21、L22、L23が透過するので、ランプレンズ101において、色度のバラつきが無く、車両用灯具(ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ)の法規を満たすことができる。
【0112】
(実施形態2の構成、作用、効果の説明)
図17から図20は、この発明にかかる車両用灯具の発光装置、車両用灯具の実施形態2を示す。以下、この実施形態2にかかる車両用灯具の発光装置1B、車両用灯具100Bの構成、作用、効果について説明する。図中、図1から図16と同符号は、同一物を示す。
【0113】
前記の実施形態1にかかる車両用灯具の発光装置1A、車両用灯具100Aは、有機発光材料の発光パネル1P、2P、3Pを使用したものである。これに対して、この実施形態2にかかる車両用灯具の発光装置1B、車両用灯具100Bは、無機発光材料の発光パネル10P、20P、30Pを使用したものである。
【0114】
無機発光材料の発光パネル10P、20P、30Pの発光膜(発光層)は、図19に示すように、光透過性のバインダー材570中に、無機蛍光体粒材580を含有させたものを、150°C、または、500°Cにおいて、熱処理したものである。バインダー材570としては、たとえば、透明性樹脂のシリコーンまたは透明性のSiO2を使用する。無機蛍光体粒材580としては、たとえば、粉状の赤色発光体のCASN:Euを使用する。
【0115】
無機発光材料の発光パネル10P、20P、30Pは、基板500に、発光膜(発光層)のバインダー材570および無機蛍光体粒材580を、デザインマスクを介してスクイージー(スキージー)して形成したり、または、ドクターブレードを使用して形成したりする。
【0116】
実施形態2の発光装置1Bの発光パネル10P、20P、30Pの発光膜(バインダー材570および無機蛍光体粒材580)は、無機発光材料を使用するものである。このため、図20に示すように、外光(外部の光)L41がランプレンズ101を透過して灯室104内に入射外光L42として入射する。すると、この入射外光L42は、ランプレンズ101に向き合っている第1発光パネル10Pおよび第3発光パネル30Pの発光膜の無機蛍光体粒材580で乱反射光L47として乱反射する。この乱反射光L47は、灯室104内からランプレンズ101を透過して灯室104外に出射外光L48として出射する。この出射外光L48は、人の目Eに入る。これにより、図17および図18中の破線にて示すように、人は、灯室104内において、第1発光パネル10P、第3発光パネル30Pが見える。また、第2発光パネル20Pも、励起光フィルター1Fを介して見える。
【0117】
この実施形態2にかかる車両用灯具の発光装置1B、車両用灯具100Bは、前記の実施形態1にかかる車両用灯具の発光装置1A、車両用灯具100Aと同様の作用効果を達成することができる。
【0118】
(励起光制御部材の変形例1の説明)
図21は、この発明にかかる車両用灯具の発光装置1A、1B、車両用灯具100A、100Bの励起光制御部材1C(2C、3C)の変形例1を示す縦断面図である。
【0119】
前記の励起光制御部材1C(2C、3C)は、反射部材40と、遮蔽部材41と、を有するものである。これに対して、この変形例1の励起光制御部材1C(2C、3C)は、入射面450と出射面451を有するレンズ部材45と、開口部413を有する遮蔽部材410と、を有するものである。レンズ部材45は、励起光L11(L12、L13)を入射面450から入射させて出射面451から出射させるものであって、励起光L11(L12、L13)を入射面450、出射面451のうち少なくとも1つの面(この例では、入射面450)において所定の角度で屈折させる。遮蔽部材410の開口部413は、レンズ部材45の出射面451から出射した励起光L11(L12、L13)を発光パネル1P、10P(2P、20P、3P、30P)に、所定の配光DLで照射する。
【0120】
この変形例1の励起光制御部材1C(2C、3C)は、前記の励起光制御部材1C(2C、3C)と同様の作用効果を達成することができる。
【0121】
(励起光制御部材の変形例2の説明)
図22は、この発明にかかる車両用灯具の発光装置1A、1B、車両用灯具100A、100Bの励起光制御部材1C(2C、3C)の変形例2を示す縦断面図である。
【0122】
前記の励起光制御部材1C(2C、3C)は、反射部材40と、遮蔽部材41と、を有し、前記の変形例1の励起光制御部材1C(2C、3C)は、レンズ部材45と、遮蔽部材410と、を有するものである。これに対して、この変形例2の励起光制御部材1C(2C、3C)は、反射部材40と、遮蔽部材410と、レンズ部材45と、を有するものである。反射部材40は、励起光L11(L12、L13)をレンズ部材45の入射面450側に反射させる。
【0123】
この変形例2の励起光制御部材1C(2C、3C)は、前記の励起光制御部材1C(2C、3C)および前記の変形例1の励起光制御部材1C(2C、3C)と同様の作用効果を達成することができる。
【0124】
(励起光制御部材の変形例3の説明)
図23は、この発明にかかる車両用灯具の発光装置1A、1B、車両用灯具100A、100Bの励起光制御部材1C(2C、3C)の変形例3を示す縦断面図である。
【0125】
前記の励起光制御部材1C(2C、3C)は、反射部材40と、遮蔽部材41と、を有し、前記の変形例1の励起光制御部材1C(2C、3C)は、レンズ部材45と、遮蔽部材410と、を有し、前記の変形例2の励起光制御部材1C(2C、3C)は、反射部材40と、遮蔽部材410と、レンズ部材45と、を有するものである。これに対して、この変形例3の励起光制御部材1C(2C、3C)は、入射面460と出射面461とを有する導光部材46と、遮蔽部材410と、を有するものである。導光部材46は、励起光L11(L12、L13)を入射面460から入射させて出射面461まで導光させて出射面461から遮蔽部材410の開口部413に出射させるものである。遮蔽部材410の開口部413は、導光部材46の出射面461から出射した励起光L11(L12、L13)を発光パネル1P、10P(2P、20P、3P30P)に、所定の配光DLで照射する。
【0126】
この変形例3の励起光制御部材1C(2C、3C)は、前記の励起光制御部材1C(2C、3C)、前記の変形例1の励起光制御部材1C(2C、3C)および前記の変形例2の励起光制御部材1C(2C、3C)と同様の作用効果を達成することができる。
【0127】
(実施形態1、2および変形例1、2、3以外の例の説明)
なお、前記の実施形態1、2および変形例1、2、3においては、車両用灯具100A、100Bがリアコンビネーションランプを構成するテールランプであって、2次光L2が赤色光である例について説明するものである。しかしながら、この発明においては、車両用灯具100A、100Bがテールランプ以外のストップランプ、テール・ストップランプまたはターンシグナルランプであっても良い。ストップランプ、テール・ストップランプの場合において、2次光L2は、赤色光となり、ターンシグナルランプ場合において、2次光L2は、黄橙色光となる。
【0128】
また、前記の実施形態1、2および変形例1、2、3においては、励起光制御部材1C、2C、3Cとして、反射部材40と遮蔽部材41とを有するもの、レンズ部材45と遮蔽部材410とを有するもの、反射部材40と遮蔽部材410とレンズ部材45とを有するもの、導光部材46と遮蔽部材410とを有するもの、である。しかしながら、この発明においては、反射部材40、遮蔽部材41、410、レンズ部材45、導光部材46を、任意に組み合わせても良いし、単独で使用しても良い。
【0129】
さらに、前記の実施形態1、2および変形例1、2、3においては、3個の発光ユニット1U、2U、3Uの3個の発光パネル1P、2P、3Pを使用するものである。しかしながら、この発明においては、発光ユニットの発光パネル2個、4個以上使用しても良い。しかも、多数個使用することにより、細かく、多様のシーケンシャル発光、セグメント発光、コミュニケーション発光などが得られる。
【0130】
さらにまた、前記の実施形態1、2および変形例1、2、3においては、灯室104内において、ランプハウジング100と発光装置1Aの第2発光ユニット2Uの第2発光パネル2Pおよび励起光フィルター1Fの第2フィルター部12Fとの間に、反射体103を、配置し、この反射体103により、第2発光ユニット2Uからの第2-2次光L22を灯室104外、すなわち、灯室104内からランプレンズ101を透過させて灯室104の外部側に反射させる、ものである。しかしながら、この発明においては、発光装置1A、1Bからの2次光L21、L22、L23を発光装置1A、1Bの発光パネル1P、2P、3P、10P、20P、30P側に反射させる反射体を、灯室104内に配置しても良い。また、この反射体と前記の反射体103との双方を配置しても良い。
【0131】
なお、この発明は、前記の実施形態1から5により限定されるものではない。
【符号の説明】
【0132】
1A、1B 発光装置
1U、2U、3U 発光ユニット
1U 第1発光ユニット
2U 第2発光ユニット
3U 第3発光ユニット
1F 励起光フィルター
11F 第1フィルター部
12F 第2フィルター部
13F 第3フィルター部
14F 第1繋部
15F 第2繋部
1C、2C、3C 励起光制御部材
1C 第1励起光制御部材
2C 第2励起光制御部材
3C 第3励起光制御部材
40 反射部材
41、410 遮蔽部材
411 第1開口部
412 第2開口部
413 開口部
1L、2L、3L 励起光源
1L 第1励起光源
2L 第2励起光源
3L 第3励起光源
42 基板
43 発光素子
45 レンズ部材
450 入射面
451 出射面
46 導光部材
460 入射面
461 出射面
1P、2P、3P、10P、20P、30P 発光パネル
1P、10P 第1発光パネル
2P、20P 第2発光パネル
3P、30P 第3発光パネル
500 基板
510 発光膜(発光層、OPL)
520 2次光出射面
530 反射膜(反射層)
540 反射面
550 封止材
560 封止材
570 バインダー材
580 無機蛍光体粒材
100A、100B 車両用灯具
100 ランプハウジング
101 ランプレンズ(アウターレンズ)
102 インナーパネル
103 反射体
104 灯室
105 ブラケット
B 後
D 下
DL 配光
E 目
F 前
L 左
L11、L12、L13 励起光
L11 第1励起光
L12 第2励起光
L13 第3励起光
L21、L22、L23 2次光
L21 第1-2次光
L22 第2-2次光
L23 第3-2次光
L31、L32、L33 迷励起光
L41、L42、L43、L44、L45、L46、L47、L48 外光
R 右
U 上
Z 基準軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23