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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163830
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】熱拡散部材
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20231102BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20231102BHJP
   B32B 7/027 20190101ALI20231102BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H05K7/20 F
B32B7/027
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075001
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000242231
【氏名又は名称】北川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 一輝
(72)【発明者】
【氏名】川合 健斗
(72)【発明者】
【氏名】董 書臣
【テーマコード(参考)】
4F100
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
4F100AA37B
4F100AK25C
4F100AK25D
4F100AK41D
4F100AK42C
4F100AK49A
4F100AR00C
4F100AR00D
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA10D
4F100BA26
4F100CB05C
4F100CB05D
4F100DG10A
4F100DG15C
4F100GB48
4F100JJ01A
4F100JJ01B
4F100JJ02A
4F100JJ03C
4F100JJ07A
4F100JL13C
4F100JL13D
4F100YY00
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4F100YY00D
5E322AA03
5E322AB06
5E322FA02
5E322FA04
5E322FA09
5F136BC07
5F136FA23
5F136FA51
5F136FA54
5F136FA75
5F136FA82
(57)【要約】
【課題】発熱体を内蔵する電子機器の筐体表面に局所的な高温部が発生するのを抑制でき、しかも発熱体の温度を2℃以上低減可能な熱拡散部材を提供する。
【解決手段】熱拡散部材は、低熱伝導層及び高熱伝導層を含む複数の層が積層された積層体である。低熱伝導層は、熱伝導率0.13~0.34W/m・K、比熱0.9~1.67J/g・Kの低熱伝導材料シートによって構成される。高熱伝導層は、高熱伝導層における面方向の熱伝導率が1500W/m・K以上のグラファイトシートによって構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低熱伝導層及び高熱伝導層を含む複数の層が積層された積層体であり、
前記低熱伝導層は、熱伝導率0.13~0.34W/m・K、比熱0.9~1.67J/g・Kの低熱伝導材料シートによって構成され、
前記高熱伝導層は、前記高熱伝導層における面方向の熱伝導率が1500W/m・K以上のグラファイトシートによって構成される、
熱拡散部材。
【請求項2】
請求項1に記載の熱拡散部材であって、
電子機器の筐体と前記筐体の内部に配設された発熱体との間に配置される際には、前記高熱伝導層が前記筐体側で、前記低熱伝導層が前記発熱体側となる向きにされて、前記低熱伝導層と前記発熱体との間に空隙が形成される位置に配置される、
熱拡散部材。
【請求項3】
請求項2に記載の熱拡散部材であって、
前記高熱伝導層と前記低熱伝導層は、粘着層を介して貼り合わせられており、
前記粘着層は、両面粘着シートによって構成され、前記粘着層の厚みが0.05~0.28mmとなるように構成される、
熱拡散部材。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の熱拡散部材であって、
前記低熱伝導層における前記高熱伝導層側とは反対側の一面には、当該一面を覆う保護層が設けられ、
前記保護層は、片面粘着シートによって構成され、前記保護層の厚みが0.004~0.03mmとなるように構成される、
熱拡散部材。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の熱拡散部材であって、
前記熱拡散部材の総厚みは、0.048~1mmとなるように構成される、
熱拡散部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱拡散部材に関する。
【背景技術】
【0002】
グラファイトフィルムと低熱伝導層を含む複合断熱体が知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。下記特許文献1によれば、上記複合断熱体を筐体内面に貼り付けることによって、筐体の温度を大幅に低下させることができる、と記載されている。また、発熱部品自体の温度も、上記複合断熱体を利用することによって低下させることができる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-111003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本件発明者らは、上述のようなグラファイトフィルムと低熱伝導層を含む複合断熱体を試作して、その性能を確認した。その結果、筐体の温度については相応に低下させることができ、これにより、ヒートスポットと呼ばれる局所的な高温部が筐体表面に発生するのを抑制できた。
【0005】
しかし、発熱部品自体の温度を低減する効果については、期待するほどの効果が得られなかった。具体的には、上記複合断熱体を利用することにより、発熱部品の温度を僅かに低減することはできるものの、その温度低減効果は2℃未満程度に留まった。一般に、電子部品は、温度上昇に起因して不良率が増大すると言われ、例えば2℃の温度上昇だけで10%も不良率が増えると言われている。したがって、電子部品の不良率を10%以上低減する観点からは、2℃以上の温度低減効果を実現することが重要であり、この点において、上記特許文献1に記載の技術には未だ改良の余地が残されていた。
【0006】
本開示の一局面においては、発熱体を内蔵する電子機器の筐体表面に局所的な高温部が発生するのを抑制でき、しかも発熱体の温度を2℃以上低減可能な熱拡散部材を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、熱拡散部材であって、低熱伝導層及び高熱伝導層を含む複数の層が積層された積層体である。低熱伝導層は、熱伝導率0.13~0.34W/m・K、比熱0.9~1.67J/g・Kの低熱伝導材料シートによって構成される。高熱伝導層は、高熱伝導層における面方向の熱伝導率が1500W/m・K以上のグラファイトシートによって構成される。
【0008】
このように構成された熱拡散部材によれば、発熱体を内蔵する電子機器の筐体表面に局所的な高温部が発生するのを抑制でき、しかも発熱体の温度を2℃以上低減することができる。
【0009】
なお、本開示の熱拡散部材は、更に以下のような構成を備えていてもよい。
(A)熱拡散部材は、電子機器の筐体と筐体の内部に配設された発熱体との間に配置される際には、高熱伝導層が筐体側で、低熱伝導層が発熱体側となる向きにされて、低熱伝導層と発熱体との間に空隙が形成される位置に配置されてもよい。
【0010】
(B)高熱伝導層と低熱伝導層は、粘着層を介して貼り合わせられていてもよい。粘着層は、両面粘着シートによって構成され、粘着層の厚みが0.05~0.28mmとなるように構成されてもよい。
【0011】
(C)低熱伝導層における高熱伝導層側とは反対側の一面には、当該一面を覆う保護層が設けられてもよい。保護層は、片面粘着シートによって構成され、保護層の厚みが0.004~0.03mmとなるように構成されてもよい。
【0012】
(D)熱拡散部材の総厚みは、0.048~1mmとなるように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1Aは実施例1の熱拡散部材の使用状態を示す模式図である。図1B図1A中に示すIB部の拡大図である。
図2図2Aは実施例2の熱拡散部材の使用状態を示す模式図である。図2B図2A中に示すIIB部の拡大図である。
図3図3Aは実施例3の熱拡散部材の使用状態を示す模式図である。図3B図3A中に示すIIIB部の拡大図である。
図4図4Aは実施例4の熱拡散部材の使用状態を示す模式図である。図4B図4A中に示すIVB部の拡大図である。
図5図5Aは実施例5の熱拡散部材の使用状態を示す模式図である。図5B図5A中に示すVB部の拡大図である。
図6図6Aは実施例6の熱拡散部材の使用状態を示す模式図である。図6B図6A中に示すVIB部の拡大図である。
図7図7Aは実施例7の熱拡散部材の使用状態を示す模式図である。図7B図7A中に示すVIIB部の拡大図である。
図8図8Aは実施例8の熱拡散部材の使用状態を示す模式図である。図8B図8A中に示すVIIIB部の拡大図である。
図9図9Aは実施例9の熱拡散部材の使用状態を示す模式図である。図9B図9A中に示すIXB部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[熱拡散部材の概要]
以下に説明する熱拡散部材は、例えば、電子機器の筐体と筐体の内部に配設された発熱体との間に配置される。その際、熱拡散部材は、例えば、高熱伝導層が筐体側で、低熱伝導層が発熱体側となる向きにされて、低熱伝導層と発熱体との間に空隙が形成される位置に配置される。上述のような位置に熱拡散部材が配置されている状態において、発熱体が発熱すると、発熱体から熱拡散部材へは熱放射によって熱が移動し、その熱で低熱伝導層が加熱される。
【0015】
低熱伝導層を構成する低熱伝導材料シートは、0.13~0.34W/m・Kという低熱伝導率のシートである。そのため、低熱伝導層は、発熱体の近傍にある箇所(以下、被加熱箇所ともいう。)が加熱されても、その被加熱箇所の周囲へは熱が拡散しにくく、被加熱箇所の温度だけが局所的に上昇しやすい。
【0016】
しかも、低熱伝導層を構成する低熱伝導材料シートは、比熱0.9~1.7J/g・Kという低比熱のシートである。そのため、低熱伝導層は、温まりやすく冷えやすい性質を持っている。したがって、局所的に温度が上昇する被加熱箇所は、発熱体側からは放射熱を受け取って速やかに温まり、同時に、高熱伝導層側へは熱伝導によって熱を放出して速やかに冷える。よって、被加熱箇所が冷えにくい場合に比べると、被加熱箇所から熱放射によって発熱体へと戻る熱が低減され、発熱体側から被加熱箇所側へと移動する熱が相対的に増大し、これが発熱体の温度低減に寄与する。
【0017】
高熱伝導層を構成するグラファイトシートは、面方向の熱伝導率が1500W/m・K以上という高熱伝導率のシートである。そのため、低熱伝導層の被加熱箇所から高熱伝導層へと移動する熱は、高熱伝導層において面方向へと拡散される。したがって、高熱伝導層において一部の温度だけが局所的に上昇するのを抑制でき、これにより、筐体の表面にヒートスポットが発生するのを抑制できる。
【0018】
さらに、低熱伝導層は、上述の通り、低熱伝導率のシートで構成されている。そのため、低熱伝導層は、高熱伝導層において面方向へと熱が拡散された際に、その熱が低熱伝導層を挟んで高熱伝導層とは反対側にある筐体の内部空間へと戻るのを抑制する。これにより、高熱伝導層において拡散される熱は、主に筐体から筐体の外部へと放出されるので、筐体の内部空間の温度上昇を抑制できる。その結果、筐体の内部に配置された部材(例えば、発熱体が搭載された基板等。)の温度上昇を抑制でき、これも発熱体の温度低減に寄与する。
【0019】
低熱伝導層及び高熱伝導層を有効に機能させる上で問題がなければ、低熱伝導層及び高熱伝導層とは別の層を備えていてもよい。
別の層の一例としては、例えば、一方の層と他方の層とを貼り合わせるために一方の層と他方の層との間に介装されて一方の層及び他方の層の双方に粘着する粘着層を挙げることができる。より具体的な例を挙げれば、例えば、高熱伝導層と低熱伝導層が、粘着層を介して貼り合わせられていてもよい。このような粘着層は、例えば両面粘着シートを利用して構成されていればよい。あるいは、例えば流動性のある粘着剤組成物を面状に塗工してから硬化させることによって粘着層を形成してもよい。
【0020】
両面粘着シートを利用して粘着層を構成する場合、両面粘着シートは、例えば、面状基材の両面に粘着剤の層が形成されたものであってもよいし、粘着剤が単独で面状に形成されたものであってもよい。換言すれば、粘着層自体が、複数層の積層構造になっていてもよいし、単層で構成されていてもよい。例えば、後述する実施例のように、粘着層は、両面粘着シートによって構成され、粘着層の厚みが0.05~0.28mmとなるように構成されてもよい。このような構成により、低熱伝導層及び高熱伝導層を有効に機能させて、所期の効果を得られることは、後述する実施例を見れば明らかである。
【0021】
上記別の層の一例としては、例えば、隣接する層の一面を被覆して隣接する層を保護する保護層を挙げることができる。より具体的な例を挙げれば、例えば、低熱伝導層における高熱伝導層側とは反対側の一面に、当該一面を覆う保護層が設けられてもよい。このような保護層は、例えば片面粘着シートを利用して構成されていればよい。あるいは、例えば流動性のあるコーティング組成物を面状に塗工してから硬化させることによって保護層を形成してもよい。
【0022】
片面粘着シートを利用して保護層を構成する場合、片面粘着シートは、例えば、面状基材の片面に粘着剤の層が形成されたものであればよい。換言すれば、保護層自体が、複数層の積層構造になっていてもよい。例えば、後述する実施例のように、保護層は、片面粘着シートによって構成され、保護層の厚みが0.004~0.03mmとなるように構成されてもよい。このような構成により、低熱伝導層及び高熱伝導層を有効に機能させて、所期の効果を得られることは、後述する実施例を見れば明らかである。
【0023】
さらに、熱拡散部材の総厚みは、0.048~1mmとなるように構成されてもよい。このような構成により、低熱伝導層及び高熱伝導層を有効に機能させて、所期の効果を得られることは、後述する実施例を見れば明らかである。
【0024】
[実施例及び比較例]
次に、実施例及び比較例について説明する。
《実施例1》
図1A及び図1Bに示すように、実施例1の熱拡散部材10は、高熱伝導層11、低熱伝導層12、第1の粘着層13A及び第2の粘着層13Bを備える。これらの各層は、第1の粘着層13A、高熱伝導層11、第2の粘着層13B及び低熱伝導層12の順に積層され、これにより、4層構造の積層体が構成されている。
【0025】
熱拡散部材10を使用する際には、例えば図1Aに示すように、熱拡散部材10が、電子機器の筐体1と筐体1の内部にある電子回路基板3に実装された発熱体5との間に配置される。その際、熱拡散部材10は、図1A及び図1Bに示すように、高熱伝導層11が筐体1側で、低熱伝導層12が発熱体5側となる向きにされて、低熱伝導層12と発熱体5との間に空隙Gが形成される位置に配置される。熱拡散部材10を筐体1に貼り付ける際には、第1の粘着層13Aの粘着力を利用すればよい。
【0026】
実施例1において、高熱伝導層11は、市販のグラファイトシート(メーカー名:TGT社、品番:TAGS-25、厚み:0.025mm、熱伝導率(面方向):1600±100W/m・K、比熱(50℃時):0.85J/g・K)によって構成されている。低熱伝導層12は、市販の断熱シート(メーカー名:阿波製紙株式会社、製品名:M-thermo断熱材 I-30F、厚み:0.13mm、熱伝導率:0.13W/m・K、比熱(50℃時):1.67J/g・K)によって構成されている。
【0027】
第1の粘着層13A及び第2の粘着層13Bは、市販の両面粘着シート(メーカー名:DIC株式会社、製品名:ダイタック #8180、厚み:0.14mm、熱伝導率:0.26W/m・K、比熱(50℃時):1.47J/g・K)によって構成されている。この両面粘着シートは、耐熱性不織布を基材として、その基材の両面に高耐熱性アクリル系粘着剤で粘着面を形成したものである。熱拡散部材10の総厚み(すなわち、積層方向寸法。)は0.605mmである。
【0028】
なお、各層の比熱C(J/g・K)は、市販の示差走査熱量計(メーカー名:株式会社島津製作所、製品名:DSC-60 Plus)を使用して、JIS K 7123に準拠した測定方法によって測定した。
【0029】
また、高熱伝導層11の熱伝導率λ(W/m・K)は、以下の手順で算出した。まず市販の光交流法熱拡散率測定装置(メーカー名:アドバンス理工株式会社、製品名:LaserPIT)を使用して、高熱伝導層11の熱拡散率α(m/s)を測定した。測定条件は、測定温度:室温、雰囲気:大気、測定n数:3、表面処理:なし、解析範囲:±1500~3000μm、測定周波数:10Hzとした。また、市販の分析天びん(メーカー名:メトラー・トレド株式会社、製品名:AG204)を使用して、各層の密度ρ(kg/m)を測定した。これら熱拡散率α、比熱C及び密度ρの測定値に基づき、下記[数式1]を使用して熱伝導率λを算出した。
【0030】
[数式1]
熱伝導率λ=熱拡散率α×比熱C×密度ρ
【0031】
高熱伝導層11以外の各層(低熱伝導層12、第1の粘着層13A及び第2の粘着層13B)の熱伝導率λは、市販の迅速熱伝導率計(メーカー名:京都電子工業株式会社、製品名:QTM-500)を使用して測定した。この測定の際には、プローブ(品番:PD-13)を利用し、「うす膜試料測定」での測定を実施した。
【0032】
《実施例2》
図2A及び図2Bに示すように、実施例2の熱拡散部材20は、高熱伝導層21、低熱伝導層22、第1の粘着層23A、第2の粘着層23B及び保護層24を備える。これらの各層は、第1の粘着層23A、高熱伝導層21、第2の粘着層23B、低熱伝導層22及び保護層24の順に積層され、これにより5層構造の積層体が構成されている。
【0033】
保護層24は、図2Bに示すように、低熱伝導層22の一面を覆うとともに、熱拡散部材20が備える各層の端面を覆い、更に筐体1の内面の一部を覆うように構成されている。これにより、第1の粘着層23A、高熱伝導層21、第2の粘着層23B及び低熱伝導層22の各層は、保護層24と筐体1との間に完全に封入されている。
【0034】
このような保護層24が設けられていれば、低熱伝導層22の一面を保護することができ、かつ、第1の粘着層23A、高熱伝導層21、第2の粘着層23B及び低熱伝導層22それぞれの端面を保護することができる。
【0035】
実施例2において、第1の粘着層23A、高熱伝導層21、第2の粘着層23B及び低熱伝導層22は、実施例1で例示した各層と同様に構成された層である。保護層24は、市販の片面粘着シート(メーカー名:株式会社寺岡製作所、製品名:ポリエステルフィルム粘着テープ 631S2 #12、厚み:0.03mm、熱伝導率:0.24W/m・K、比熱(50℃時):2.17J/g・K)によって構成されている。この片面粘着シートは、厚み0.012mmのポリエステルフィルム(黒色)を基材として、その基材の片面にアクリル系粘着剤で粘着面を形成したものである。熱拡散部材20の総厚みは0.635mmである。
【0036】
《実施例3》
図3A及び図3Bに示すように、実施例3の熱拡散部材30は、高熱伝導層31、低熱伝導層32、第1の粘着層33A及び第2の粘着層33Bを備える。これらの各層は、第1の粘着層33A、高熱伝導層31、第2の粘着層33B及び低熱伝導層32の順に積層され、これにより、4層構造の積層体が構成されている。
【0037】
実施例3において、第1の粘着層33A、高熱伝導層31及び第2の粘着層33Bは、実施例1で例示した各層と同様に構成された層である。実施例3における低熱伝導層32は、市販のポリイミドフィルム(メーカー名:東レ・デュポン株式会社、製品名:カプトン(登録商標)50H、厚み:0.013mm、熱伝導率:0.34W/m・K、比熱(50℃時):1.10J/g・K)によって構成されている。熱拡散部材30の総厚みは0.318mmである。
【0038】
実施例3のように、ポリイミドフィルムによって低熱伝導層32を構成すれば、実施例1の低熱伝導層12に比べ、低熱伝導層32の厚みを低減することができ、ひいては熱拡散部材30の厚みを低減することができる。また、ポリイミドフィルムは、機械的強度や化学的強度に優れているため、ポリイミドフィルムで低熱伝導層32を構成すれば、低熱伝導層32は、実施例2で示した保護層24と同様の役割を果たす。すなわち、低熱伝導層32は、低熱伝導層兼保護層として機能する。なお、実施例2で例示した保護層24は、熱拡散部材20の端面及び筐体1の内面の一部を覆うように構成されていたが、実施例3で例示する低熱伝導層32についても、熱拡散部材30の端面及び筐体1の内面の一部を覆うように構成してもよい。
【0039】
《実施例4》
図4A及び図4Bに示すように、実施例4の熱拡散部材40は、高熱伝導層41、低熱伝導層42、第1の粘着層43A、第2の粘着層43B及び第3の粘着層43Cを備える。これらの各層は、第1の粘着層43A、第3の粘着層43C、高熱伝導層41、第2の粘着層43B及び低熱伝導層42の順に積層され、これにより、5層構造の積層体が構成されている。
【0040】
実施例4において、第1の粘着層43A、高熱伝導層41、第2の粘着層43B及び低熱伝導層42は、実施例1と同様に構成された層である。第3の粘着層43Cは、第1の粘着層43A及び第2の粘着層43Bと同じシート材によって構成されている。実施例1との相違点は、第1の粘着層43Aと高熱伝導層41との間に第3の粘着層43Cを追加した点にある。すなわち、実施例1において第1の粘着層13Aのみによって構成されていた部分が、実施例4においては第1の粘着層43A及び第3の粘着層43Cによって構成され、これにより、当該部分の厚みが実施例1の2倍になっている。熱拡散部材40の総厚みは0.745mmである。
【0041】
《実施例5》
図5A及び図5Bに示すように、実施例5の熱拡散部材50は、高熱伝導層51、低熱伝導層52、第1の粘着層53A、第2の粘着層53B及び第3の粘着層53Cを備える。これらの各層は、第1の粘着層53A、高熱伝導層51、第2の粘着層53B、第3の粘着層53C及び低熱伝導層52の順に積層され、これにより、5層構造の積層体が構成されている。
【0042】
実施例5において、第1の粘着層53A、高熱伝導層51、第2の粘着層53B及び低熱伝導層52は、実施例1と同様に構成された層である。第3の粘着層53Cは、第1の粘着層53A及び第2の粘着層53Bと同じシート材によって構成されている。実施例1との相違点は、第2の粘着層53Bと低熱伝導層52との間に第3の粘着層53Cを追加した点にある。すなわち、実施例1において第2の粘着層13Bのみによって構成されていた部分が、実施例5においては第2の粘着層53B及び第3の粘着層53Cによって構成され、これにより、当該部分の厚みが実施例1の2倍になっている。熱拡散部材50の総厚みは0.745mmである。
【0043】
《実施例6》
図6A及び図6Bに示すように、実施例6の熱拡散部材60は、高熱伝導層61、低熱伝導層62、第1の粘着層63A、第2の粘着層63B、第3の粘着層63C及び第4の粘着層63Dを備える。これらの各層は、第1の粘着層63A、第3の粘着層63C、高熱伝導層61、第2の粘着層63B、第4の粘着層63D及び低熱伝導層62の順に積層され、これにより、6層構造の積層体が構成されている。
【0044】
実施例6において、第1の粘着層63A、高熱伝導層61、第2の粘着層63B及び低熱伝導層62は、実施例1と同様に構成された層である。第3の粘着層63C及び第4の粘着層63Dは、第1の粘着層63A及び第2の粘着層63Bと同じシート材によって構成されている。実施例1との相違点は、第1の粘着層43Aと高熱伝導層41との間に第3の粘着層43Cを追加し、第2の粘着層63Bと低熱伝導層62との間に第4の粘着層63Dを追加した点にある。
【0045】
すなわち、実施例1において第1の粘着層13Aのみによって構成されていた部分が、実施例6においては第1の粘着層43A及び第3の粘着層43Cによって構成され、これにより、当該部分の厚みが実施例1の2倍になっている。また、実施例1において第2の粘着層13Bのみによって構成されていた部分が、実施例6においては第2の粘着層63B及び第4の粘着層63Dによって構成され、これにより、当該部分の厚みが実施例1の2倍になっている。熱拡散部材60の総厚みは0.885mmである。
【0046】
《実施例7》
図7A及び図7Bに示すように、実施例7の熱拡散部材70は、高熱伝導層71、低熱伝導層72、第1の粘着層73A及び第2の粘着層73Bを備える。これらの各層は、第1の粘着層73A、高熱伝導層71、第2の粘着層73B及び低熱伝導層72の順に積層され、これにより、4層構造の積層体が構成されている。
【0047】
実施例7において、第1の粘着層73A、高熱伝導層71及び第2の粘着層73Bは、実施例1で例示した各層と同様に構成された層である。実施例7における低熱伝導層72は、市販の不燃紙(メーカー名:タイガレックス株式会社、製品名:不燃紙GP(GP18)、厚み:0.25mm、熱伝導率:0.29W/m・K、比熱(50℃時):1.17J/g・K)によって構成されている。熱拡散部材70の総厚みは0.595mmである。
【0048】
《実施例8》
図8A及び図8Bに示すように、実施例8の熱拡散部材80は、高熱伝導層81、低熱伝導層82、第1の粘着層83A及び第2の粘着層83Bを備える。これらの各層は、第1の粘着層83A、高熱伝導層81、第2の粘着層83B及び低熱伝導層82の順に積層され、これにより、4層構造の積層体が構成されている。
【0049】
実施例8において、高熱伝導層81及び低熱伝導層82は、実施例1で例示した各層と同様に構成された層である。実施例8における第1の粘着層83A及び第2の粘着層83Bは、市販の両面粘着シート(メーカー名:日東電工株式会社、製品名:PET基材極薄5μm両面テープNo.5600、厚み:0.005mm、熱伝導率:0.10W/m・K、比熱(50℃時):1.31J/g・K)によって構成されている。この両面粘着シートは、PETフィルムを基材として、その基材の両面にアクリル系粘着剤で粘着面を形成したものである。
【0050】
実施例8のように、極薄の両面粘着シートによって第1の粘着層83A及び第2の粘着層83を構成すれば、実施例1の第1の粘着層13A及び第2の粘着層13Bに比べ、第1の粘着層83A及び第2の粘着層83の厚みを低減することができ、ひいては熱拡散部材80の厚みを低減することができる。
【0051】
《実施例9》
図9A及び図9Bに示すように、実施例9の熱拡散部材90は、高熱伝導層91、低熱伝導層92、第1の粘着層93A、第2の粘着層93B及び保護層94を備える。これらの各層は、第1の粘着層93A、高熱伝導層91、第2の粘着層93B、低熱伝導層92及び保護層94の順に積層され、これにより、5層構造の積層体が構成されている。
【0052】
実施例9において、第1の粘着層93A、高熱伝導層91、第2の粘着層93B及び低熱伝導層92は、実施例1で例示した各層と同様に構成された層である。保護層94は、市販のPETフィルム(メーカー名:東レ株式会社、品名:F53、厚み:0.004mm、熱伝導率:0.30W/m・K、比熱(50℃時):0.32J/g・K)によって構成されている。熱拡散部材90の総厚みは0.649mmである。
【0053】
《比較例1》
実施例1における第1の粘着層13A及び低熱伝導層12に相当するシートを、この順序で積層して2層構造の積層体を作成した。実施例1との相違点は、高熱伝導層11及び第2の粘着層13Bに相当するシートを省略した点にある。比較例1の積層体の総厚みは0.440mmである。
【0054】
《比較例2》
実施例1における第1の粘着層13A、低熱伝導層12、第2の粘着層13B及び高熱伝導層11に相当するシートを、この順序で積層して4層構造の積層体を作成した。実施例1との相違点は、高熱伝導層11と低熱伝導層12の積層位置が入れ替えられている点にある。比較例2の積層体の総厚みは0.605mmである。
【0055】
《比較例3》
実施例2における第1の粘着層23A、低熱伝導層22、第2の粘着層23B、高熱伝導層21及び保護層24に相当するシートを、この順序で積層して5層構造の積層体を作成した。実施例2との相違点は、高熱伝導層21と低熱伝導層22の積層位置が入れ替えられている点にある。比較例3の積層体の総厚みは0.635mmである。
【0056】
《比較例4》
実施例1における第1の粘着層13A、高熱伝導層11及び第2の粘着層13Bに相当するシートと、実施例1とは異なる低熱伝導層に相当するシートを、この順序で積層して4層構造の積層体を作成した。比較例4における低熱伝導層は、市販の断熱シート(メーカー名:廣瀬製紙株式会社、製品名:断熱紙 OS、厚み:0.300mm、熱伝導率:0.05W/m・K、比熱(50℃時):1.88J/g・K)によって構成した。比較例4の積層体の総厚みは0.605mmである。
【0057】
《比較例5》
実施例1における第1の粘着層13A、高熱伝導層11及び第2の粘着層13Bに相当するシートと、実施例1とは異なる低熱伝導層に相当するシートを、この順序で積層して4層構造の積層体を作成した。比較例5における低熱伝導層は、市販の遮熱シート(メーカー名:3M社、製品名:3M遮熱テープ 8978、厚み:0.220mm、熱伝導率:0.15W/m・K、比熱(50℃時):2.39J/g・K)によって構成した。比較例5の積層体の総厚みは0.525mmである。
【0058】
《比較例6》
実施例2における第1の粘着層23A、高熱伝導層21、第2の粘着層23B及び保護層24に相当するシートを、この順序で積層して4層構造の積層体を作成した。実施例2との相違点は、低熱伝導層22が省略されている点にある。また、実施例1との相違点は、実施例1における低熱伝導層12が実施例2における保護層24で代替されている、と見ることもできる。比較例6の積層体の総厚みは0.335mmである。
【0059】
《比較例7》
実施例1における第1の粘着層13A、高熱伝導層11、第2の粘着層13Bに相当するシートと、さらに、第3の粘着層及び第4の粘着層として、第1の粘着層13Aと同じシート2枚を、この順序で積層して5層構造の積層体を作成した。実施例1との相違点は、低熱伝導層12の代わりに、第1の粘着層13Aと同じシートで構成される第3の粘着層及び第4の粘着層が設けられている点にある。比較例7の積層体の総厚みは0.585mmである。
【0060】
[性能試験]
上記実施例1-6及び比較例1-7の積層体について性能試験を実施した。試験方法は以下の通りである。
【0061】
図1A図2A図3A図4A図5A及び図6Aに示した通り、実施例1-6の熱拡散部材10-60が備える第1の粘着層13A-63Aを利用して、熱拡散部材10-60を筐体1の内面に貼り付けた。筐体1の内部には、電子回路基板3が配置され、その電子回路基板3には発熱体5(より詳しくは、発熱性のある電子部品。)が搭載されている。発熱体5と筐体1の内面との間隔は2mmである。以上のような試験環境において、発熱体5の温度と筐体1の外面の温度とを測定し、各熱拡散部材10-60による発熱体5の温度低減効果と筐体1の外面の温度低減効果を検証した。また、比較例1-7の積層体についても、同様の検証を行った。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1に示す試験結果から、実施例1-6の熱拡散部材10-60については、筐体1の外面温度を14.2℃から16.8℃までの範囲内で低減できることが示唆された。また、発熱体5の温度を3.1℃から4.9℃までの範囲内で低減できることが示唆された。したがって、実施例1-6の熱拡散部材10-60であれば、発熱体5を内蔵する電子機器の筐体1の表面に局所的な高温部が発生するのを抑制でき、しかも発熱体5の温度を2℃以上低減することができる。
【0064】
実施例1と実施例2との相違点は保護層24の有無にある。保護層24がある実施例2は、保護層24がない実施例1に比べると、発熱体5の温度低減効果及び筐体1の温度低減効果が僅かに低下するものの、熱拡散部材としての性能は、実施例2であっても十分に確保されている。したがって、例えば、低熱伝導層22の表面又は熱拡散部材20を構成する各層の端面が欠けやすいとか削れやすいといった場合、あるいは低熱伝導層22の表面又は熱拡散部材20を構成する各層の端面から粉体や粒体が脱落しやすいといった場合には、そのような箇所を保護層24で覆うようにしてもよい。これにより、熱拡散部材20からの脱落物等によって発熱体5や電子回路基板3が汚損されるのを抑制することができる。
【0065】
実施例1と実施例3との相違点は、低熱伝導層12,32の材質にあるが、実施例1,3のいずれであっても、熱拡散部材としての性能は十分に確保されている。実施例1,3の場合、低熱伝導層12,32は、比較例4-6に比べて低比熱の材料で構成されている。具体的には、実施例1の場合、低熱伝導層12の比熱(50℃時)は1.67J/g・Kであり、実施例3の場合、低熱伝導層32の比熱(50℃時)は1.10J/g・Kである。低熱伝導層が低比熱の材料で構成されていると、低熱伝導層が温まりやすく冷えやすい性質を持つ層となり、発熱体5側からは熱を受け取って速やかに温まり、同時に、高熱伝導層側へは熱を放出して速やかに冷える。したがって、低熱伝導層における被加熱箇所経由で発熱体5から高熱伝導層へと移動する熱の移動量を増大させることができ、これが発熱体5の温度低減に寄与するのではないかと考えられる。
【0066】
実施例1と実施例4,5,6との相違点は、粘着層の厚みにあるが、実施例1,4,5,6のいずれであっても、熱拡散部材としての性能は十分に確保されている。したがって、粘着層の厚みを実施例1,4,5,6に示すような範囲で変更しても、何ら問題はないことが示唆された。
【0067】
比較例1の積層体は、筐体1の外面温度を1.4℃しか低減できず、発熱体5の温度についてはブランクよりも上昇する結果となった。すなわち、比較例1の積層体では、発熱体5を内蔵する電子機器の筐体1の表面に局所的な高温部が発生するのを抑制できず、しかも発熱体5の温度を2℃以上低減することもできなかった。比較例1からは、高熱伝導層となるグラファイトシートを用いて熱を拡散させることは必要不可欠であることが示唆された。
【0068】
比較例2の積層体は、実施例1の熱拡散部材10における低熱伝導層12と高熱伝導層11の位置を入れ替えたものである。比較例3の積層体は、実施例2の熱拡散部材20における低熱伝導層22と高熱伝導層21の位置を入れ替えたものである。このような構成にしても、筐体1の外面温度を15.2℃から16.5℃までの範囲内で低減できるが、発熱体5の温度については1.3℃から1.9℃までの範囲内でしか低減できなかった。すなわち、比較例2,3の積層体であっても、筐体1の表面に局所的な高温部が発生するのを抑制できるが、発熱体5の温度を2℃以上低減することはできなかった。比較例2,3からは、各層の積層順が重要であり、特に、低熱伝導層を発熱体5側に配置すべきこと、高熱伝導層を筐体1側に配置すべきことが示唆された。
【0069】
比較例4-6の積層体は、上述の通り、低熱伝導層が、実施例1,3に比べて高比熱の材料で構成されている。したがって、熱拡散部材としての性能を確保する上で、低熱伝導層の比熱(50℃時)を1.67J/g・K以下にすることが重要であると考えられる。
【0070】
比較例7の積層体は、低熱伝導層の代わりに、複数の粘着層が設けられている。粘着層の比熱(50℃時)は1.47J/g・Kであり、実施例1-6と同程度の低比熱材料で構成されていると言える。しかし、粘着層の熱伝導率は、0.26W/m・Kであり、実施例1-6よりも高熱伝導率材料で構成されている。このような粘着層で低熱伝導層を代替すると、発熱体5の温度を1.8℃しか低減できず、発熱体5の温度を低減する効果が十分には得られないことが示唆された。
【0071】
[他の実施形態]
以上、熱拡散部材について、例示的な実施形態を挙げて説明したが、上述の実施形態は本開示の一態様として例示されるものにすぎない。すなわち、本開示は、上述の例示的な実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な形態で実施することができる。
【0072】
例えば、上記実施例1-6では、熱拡散部材の各層を構成するシートについて、特定メーカーの市販品を例示したが、各層ともに、同等な特性を有するシートで代替可能なことはもちろんである。
【0073】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
低熱伝導層及び高熱伝導層を含む複数の層が積層された積層体であり、
前記低熱伝導層は、熱伝導率0.13~0.34W/m・K、比熱0.9~1.67J/g・Kの低熱伝導材料シートによって構成され、
前記高熱伝導層は、前記高熱伝導層における面方向の熱伝導率が1500W/m・K以上のグラファイトシートによって構成される、
熱拡散部材。
【0074】
[項目2]
項目1に記載の熱拡散部材であって、
電子機器の筐体と前記筐体の内部に配設された発熱体との間に配置される際には、前記高熱伝導層が前記筐体側で、前記低熱伝導層が前記発熱体側となる向きにされて、前記低熱伝導層と前記発熱体との間に空隙が形成される位置に配置される、
熱拡散部材。
【0075】
[項目3]
項目2に記載の熱拡散部材であって、
前記高熱伝導層と前記低熱伝導層は、粘着層を介して貼り合わせられており、
前記粘着層は、両面粘着シートによって構成され、前記粘着層の厚みが0.05~0.28mmとなるように構成される、
熱拡散部材。
【0076】
[項目4]
項目1から項目3までのいずれか1項に記載の熱拡散部材であって、
前記低熱伝導層における前記高熱伝導層側とは反対側の一面には、当該一面を覆う保護層が設けられ、
前記保護層は、片面粘着シートによって構成され、前記保護層の厚みが0.004~0.03mmとなるように構成される、
熱拡散部材。
【0077】
[項目5]
項目1から項目4までのいずれか1項に記載の熱拡散部材であって、
前記熱拡散部材の総厚みは、0.048~1mmとなるように構成される、
熱拡散部材。
【符号の説明】
【0078】
10,20,30,40,50,60,70,80,90…熱拡散部材、1…筐体、3…電子回路基板、5…発熱体、11,21,31,41,51,61,71,81,91…高熱伝導層、12,22,32,42,52,62,72,82,92…低熱伝導層、13A,23A,33A,43A,53A,63A,73A,83A,93A…第1の粘着層、13B,23B,33B,43B,53B,63B,73B,83B,93B…第2の粘着層、24,94…保護層、43C,53C,63C…第3の粘着層、63D…第4の粘着層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低熱伝導層及び高熱伝導層を含む複数の層が積層された積層体であり、
前記低熱伝導層は、熱伝導率0.13~0.34W/m・K、比熱0.9~1.67J/g・Kの低熱伝導材料シートによって構成され、
前記高熱伝導層は、前記高熱伝導層における面方向の熱伝導率が1500W/m・K以上のグラファイトシートによって構成される、
熱拡散部材。
【請求項2】
請求項1に記載の熱拡散部材であって、
電子機器の筐体と前記筐体の内部に配設された発熱体との間に配置される際には、前記高熱伝導層が前記筐体側で、前記低熱伝導層が前記発熱体側となる向きにされて、前記低熱伝導層と前記発熱体との間に空隙が形成される位置に配置される、
熱拡散部材。
【請求項3】
請求項2に記載の熱拡散部材であって、
前記高熱伝導層と前記低熱伝導層は、粘着層を介して貼り合わせられており、
前記粘着層は、両面粘着シートによって構成され、前記粘着層の厚みが0.005~0.28mmとなるように構成される、
熱拡散部材。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の熱拡散部材であって、
前記低熱伝導層における前記高熱伝導層側とは反対側の一面には、当該一面を覆う保護層が設けられ、
前記保護層は、片面粘着シートによって構成され、前記保護層の厚みが0.004~0.03mmとなるように構成される、
熱拡散部材。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の熱拡散部材であって、
前記熱拡散部材の総厚みは、0.048~1mmとなるように構成される、
熱拡散部材。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
(B)高熱伝導層と低熱伝導層は、粘着層を介して貼り合わせられていてもよい。粘着層は、両面粘着シートによって構成され、粘着層の厚みが0.005~0.28mmとなるように構成されてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
両面粘着シートを利用して粘着層を構成する場合、両面粘着シートは、例えば、面状基材の両面に粘着剤の層が形成されたものであってもよいし、粘着剤が単独で面状に形成されたものであってもよい。換言すれば、粘着層自体が、複数層の積層構造になっていてもよいし、単層で構成されていてもよい。例えば、後述する実施例のように、粘着層は、両面粘着シートによって構成され、粘着層の厚みが0.005~0.28mmとなるように構成されてもよい。このような構成により、低熱伝導層及び高熱伝導層を有効に機能させて、所期の効果を得られることは、後述する実施例を見れば明らかである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
実施例1において、高熱伝導層11は、市販のグラファイトシート(メーカー名:TGT社、品番:TAGS-25、厚み:0.025mm、熱伝導率(面方向):1600±100W/m・K、比熱(50℃時):0.85J/g・K)によって構成されている。低熱伝導層12は、市販の断熱シート(メーカー名:阿波製紙株式会社、製品名:M-thermo断熱材 I-30F、厚み:0.30mm、熱伝導率:0.13W/m・K、比熱(50℃時):1.67J/g・K)によって構成されている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
[項目3]
項目2に記載の熱拡散部材であって、
前記高熱伝導層と前記低熱伝導層は、粘着層を介して貼り合わせられており、
前記粘着層は、両面粘着シートによって構成され、前記粘着層の厚みが0.005~0.28mmとなるように構成される、
熱拡散部材。