(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163847
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】キャリアフレームおよび移動式クレーン
(51)【国際特許分類】
B62D 21/18 20060101AFI20231102BHJP
B66C 23/84 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B62D21/18 E
B66C23/84 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075034
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 晃
【テーマコード(参考)】
3D203
3F205
【Fターム(参考)】
3D203AA27
3D203BA06
3D203BA07
3D203BB01
3D203CA52
3D203CA72
3D203CB03
3D203DB13
3F205AA06
3F205EA10
(57)【要約】
【課題】軽量でありながら揚重作業時に発生するキャリアフレームの捻れや撓み、応力などを抑える構造を実現することを課題とする。
【解決手段】旋回機構を搭載するためのキャリアフレームであって、前記旋回機構を載置するリングプレートを上部に有し、前記リングプレートの近傍の下方にリブを有し、前記リブは、下方が前記リングプレートの外側へ離れるように斜めに配置され、少なくとも上部が側板に斜めに固定されているキャリアフレームを用いる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回機構を搭載するためのキャリアフレームであって、
前記旋回機構を載置するリングプレートを上部に有し、
前記リングプレートの近傍の下方にリブを有し、
前記リブは、下方が前記リングプレートの外側へ離れるように斜めに配置され、少なくとも上部が側板に斜めに固定されていることを特徴とするキャリアフレーム。
【請求項2】
前記リブの上端は前記リングプレートの下に位置することを特徴とする請求項1に記載されたキャリアフレーム。
【請求項3】
前記リブは曲板の曲板傾斜リブであり、前記曲板傾斜リブの上端は前記リングプレートに沿っていることを特徴とする請求項2に記載されたキャリアフレーム。
【請求項4】
前記リブは、キャリアフレームの上面板から斜めに配置された平板による平板傾斜リブであることを特徴とする請求項1に記載されたキャリアフレーム。
【請求項5】
前記側板は外側板と内側板からなることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載されたキャリアフレーム。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載されたキャリアフレームを備えた移動式クレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式クレーン等に用いられるキャリアフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動式クレーン等では、キャリアフレームの中心近傍に旋回機構を載置するリングプレートが設置される。そして、リングプレートの上で大荷重の旋回機構が回転する。リングプレートには、荷重が大きくかかる部分とあまりかからない部分が生じる。たとえば、移動式クレーンの場合は、揚重作業時にブームの先端に荷物により大荷重がかかると、ブームの先端側が下がる方向でリングプレートに大きな力が加わる。また、ブームを収納した状態では、ウインチ等のカウンターウェイトにより逆方向でリングプレートに力が加わる。このように、リングプレートに力が加わることによりキャリアフレームは撓もうとする。この荷重を支持するため、リングプレートの下方にリブを設けることができる。特許文献1では、リングプレートの下方にクロスメンバと称するリブを設けて荷重をうけ、キャリアフレームの上面板の変形を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のリブは垂直方向に設けられ、垂直方向への荷重を受けているものと考えられる。このリブは、キャリアフレームの撓みも抑制している。そして、キャリアフレームの撓みを防ぐため、リングプレートから離れた位置にリブを設けることも考えられる。リブはキャリアフレームの軽量化に貢献する。しかしながら、揚重作業時に発生するキャリアフレームのねじれや撓み、応力などを目標値に収めるために、リブの板厚をある程度厚くする必要がある。そのため、キャリアフレームの重量をさらに軽量化することは難しい。本発明は、軽量でありながら、揚重作業時に発生するキャリアフレームの捻れや撓み、応力などを抑える構造を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によるキャリアフレームは、旋回機構を搭載するためのキャリアフレームであって、前記旋回機構を載置するリングプレートを上部に有し、前記リングプレートの近傍の下方にリブを有し、前記リブは、下方が前記リングプレートの外側へ離れるように斜めに配置され、少なくとも上部が側板に斜めに固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、揚重作業時にリングプレートに作用する力を効率よくキャリアフレーム全体へ分散させることができ、キャリアフレームを軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図6】実施形態におけるリングプレートとリブの斜視図。
【
図7】実施形態におけるリングプレートとリブの側面図。
【
図8】旋回角度に対するリングプレートの傾斜角を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願においては、移動式クレーン等を水平な場所に載置した際の水平方向と垂直方向により、水平方向と垂直方向を示す。
【0009】
図1に本発明の実施例におけるキャリアフレーム1または従来のキャリアフレーム4を備えた移動式クレーンCの側面図を示す。キャリアフレーム1、4は、旋回機構を搭載するためのキャリアフレームである。
図1の移動式クレーンCは、走行可能状態であり、上部の旋回部2では前方にブーム21を倒している。旋回機構である旋回部2の後方には、ウインチ(
図1では外装に隠れている)や油圧ホースリール22が設けられている。旋回部2は
図3等に示すリングプレート17、47の上で水平方向に回転可能に載置される。キャリアフレーム4は、内部に設けたリブの構成以外は
図3に示したキャリアフレーム1と同じである。キャリアフレーム4の外見はキャリアフレーム1と同じであるため、
図1、3にキャリアフレーム4の符号も併記する。
【0010】
移動式クレーンCの揚重作業時には、アウトリガーを展開して移動式クレーンCを安定させる。
図2はアウトリガー3を展開した状態の移動式クレーンCの上面図を示す。揚重作業時には、キャリアフレーム1、4の前方と後方でアウトリガー3のアーム31を側方に伸ばす。そしてアーム31の先端から下方に延びるジャッキポスト32の下部を地面に押し当て、キャリアフレーム1、4を固定する。旋回部2の荷重はリングプレート17、47で受けるが、揚重作業時にブーム21の先端にかかる力は、リングプレート17、47にかかる荷重を偏らせる。そして、旋回部2の回転によりブーム21が回転すると、リングプレート17、47上で大きい荷重を受ける位置が変化する。アウトリガー3はキャリアフレーム1の前後端に設けられており、リングプレート17、47で受けた旋回部2の荷重をアウトリガー3に伝える間に、キャリアフレーム1、4に応力が生じ、応力により捻れや撓みが生じる。キャリアフレームは、この時に生じる捻れや撓みを設計値以下に抑える必要がある。
【0011】
図3に、移動式クレーンCに用いられているキャリアフレーム1、4の斜視図を示す。
図3において、矢印により移動式クレーンCの前後左右と上下を示す。キャリアフレーム1、4は、上面板11、41の側辺と下面板12、42の側辺の間を2枚の外側板13、43でつないだ構造となっている。キャリアフレーム1、4の内側には、外側板13、43に平行な2枚の内側板14、44が設けられている。外側板13、43と内側板14、44は側板である。
【0012】
上面板11、41の略中央にはリングプレート17、47が設けられている。リングプレート17、47の前側と後側で、上面板11、41は斜めに上がって上面傾斜部114、414と上面傾斜部115、415となっている。これにより、上面板11、41は、リングプレート17、47の近傍がやや低くなって上面低部111、411となっている。本実施形態および従来例において、上面低部111、411は水平方向に延在している。上面板11、41は、リングプレート17、47から前方に離れた位置では上面低部111、411よりも高くなっており、上面高部112、412となっている。また、上面板11、41は、リングプレート17、47から後方に離れた位置では上面低部111、411よりも高くなっており、上面高部113、413となっている。本実施形態および従来例において、上面高部112、412と上面高部113、413も、上面低部111、411と同様に水平方向に延在している。上面高部112、412と上面高部113、413は同じ高さに位置する。上面低部111、411と前方の上面高部112、412は傾斜した上面傾斜部114、414で接続され、上面低部111、411と後方の上面高部113、413は傾斜した上面傾斜部115、415で接続されている。
【0013】
また、下面板12、42もリングプレート17、47の下方の前後側が斜めに上がって下面傾斜部124、424と下面傾斜部125、425を形成している。下面板12、42は、略中央の近傍が低い下面低部121、421となっている。本実施形態および従来例において、下面低部121、421も上面低部111、411等と同様に水平方向に延在している。下面板12、42は、リングプレート17、47から前方に離れた位置では下面低部121、421よりも高くなっており、下面高部122、422となっている。また、下面板12、42は、リングプレート17、47から後方に離れた位置では下面低部121、421よりも高くなっており、下面高部123、423となっている。下面高部122、422と下面高部123、423も、下面低部121、421等と同様に水平方向に延在している。下面低部121、421と前方の下面高部122、422は傾斜した下面傾斜部124、424で接続され、下面低部121、421と後方の下面高部123、423は傾斜した下面傾斜部125、425で接続されている。
【0014】
そして、
図3に示すように、キャリアフレーム1、4において、上面低部111と下面低部121に挟まれたリングプレート17、47の近傍は、上下方向に厚みのある厚枠部1a、4aとなっている。厚枠部1a、4aの前側は接続部1d、4dを介して上下方向に薄い薄枠部1b、4bとなっている。また、厚枠部1a、4aの後側は接続部1e、4eを介して上下方向に薄い薄枠部1c、4cとなっている。
【0015】
リングプレート17、47の内側では、上面板11、41が開いており、リング内開口18、48を形成している。リング内開口18、48には、旋回部2に油圧や電気を送るためのスイベルジョイント等が格納される。リングプレート17、47の後方の薄枠部1c、4cでは、上面板11、41と下面板12、42が内側板14、44の内側の上方で開いており、後方開口116、416となっている。後方開口116、416の中にはエンジン(図示せず)が架装される。
【0016】
キャリアフレーム1、4の前端と後端の近傍に設けたアウトリガー設置口19、49の中には、アウトリガー3のアーム31が収納される。アウトリガー3を用いる際には、
図2のようにキャリアフレーム1、4の左右方向にアーム31を引き出して、アーム31の先端に位置するジャッキポスト32の下端を、ジャッキにより地面に押し当てる。これにより、キャリアフレーム1、4は、移動式クレーンCの前方の2箇所と後方の2箇所の全4箇所で地面に固定される。
【0017】
キャリアフレームの内側には複数のリブが設けられている。
図4に、リブを垂直方向に設けた従来のキャリアフレーム4について、リングプレート47とリングプレート47近傍のリブの斜視図を示す。また、
図5に、リブを垂直方向に設けた従来のキャリアフレーム4について、リングプレート47とリングプレート47近傍のリブの側面図を示す。
図4、5の従来のキャリアフレーム4は垂直リブ構造を有する。構成を見やすくするため、
図4においては、上面板41、下面板42、外側板43、内側板44の記載を省略している。また、
図5において、外側板43、内側板44の記載を省略している。
図5においては、リブの外側板43との固定部を太線で記載している。
【0018】
図4、5に示すように、リングプレート47の下方には、リングプレート47の曲線に沿って前方と後方の2箇所に、円筒型の垂直リブ45である曲板垂直リブ451と曲板垂直リブ452が設けられている。曲板垂直リブ451と曲板垂直リブ452の上端は、リングプレート17の下に沿って位置し、弧の形状となっている。外側板43は、リングプレート47の近傍で外側に突出している。曲板垂直リブ451と曲板垂直リブ452は、上面低部411と下面低部421に垂直である。
図5において、曲板垂直リブ451と曲板垂直リブ452は外側板43の上部が左右方向に突出していることにより、外側板43との固定部である太線は斜めになっている。垂直リブ45は、外側が外側板43に溶接されて固定されている。
【0019】
また、リングプレート47の内側における上面板41の下では、曲板垂直リブ451と曲板垂直リブ452の間で4箇所に平板の垂直リブ45が設けられている。前方の左右2箇所に平板垂直リブ453が、後方の左右2箇所に平板垂直リブ454が設置されている。平板垂直リブ453と平板垂直リブ454は、外側板43の上部が左右方向に突出しているために、
図4に示すように上部が外側に拡がっている。さらに、リングプレート47よりも前方の2箇所には平板の垂直リブ45である平板垂直リブ455、平板垂直リブ456が、リングプレート47よりも後方の3箇所に平板の垂直リブ45である平板垂直リブ457、平板垂直リブ458、平板垂直リブ459が設けられている。平板垂直リブ459は、左右に分かれて設けられる。キャリアフレーム4のリブは、全て垂直リブ45により形成されている。
【0020】
本発明の実施形態であるキャリアフレーム1のリブを
図6、7に示す。
図6はリングプレート17近傍の斜視図であり、
図7はリングプレート17近傍の側面図である。構成を見やすくするため、
図6において、上面板11、下面板12、外側板13、内側板14の記載を省略している。また、
図5において、外側板13、内側板14の記載を省略している。
図6、7のキャリアフレーム1は傾斜リブ16を有した傾斜リブ構造を有する。傾斜リブ16は、下方がリングプレート17の外側へ離れるように斜めに配置されたリブである。
【0021】
リングプレート17の下方には、リングプレート17の曲線に沿って前方と後方の2箇所に円筒型の垂直リブ15が設けられている。前方には曲板垂直リブ151が、後方には曲板垂直リブ152が設けられている。曲板垂直リブ151と曲板垂直リブ152の上端は、リングプレート17の下に沿って位置し、弧の形状となっている。また、リングプレート17の内側における上面板11の下には、曲板垂直リブ151と曲板垂直リブ152の間で、左右2箇所に平板の垂直リブ15である平板垂直リブ153が設けられている。曲板垂直リブ151と曲板垂直リブ152は、上面低部111と下面低部121に垂直である。
図7において、曲板垂直リブ151と曲板垂直リブ152は外側板13の上部が左右方向に突出していることにより、外側板13との固定部である太線は斜めになっている。また、平板垂直リブ153は、外側板13の上部が左右方向に突出しているために、上部が外側に拡がっている。
【0022】
そして、実施形態のキャリアフレーム1では、リングプレート17の下に、前方と後方の2箇所に、下方がリングプレート17の外側へ離れるように斜めに配置した曲板の傾斜リブ16が設けられている。前方には曲板傾斜リブ161が、後方には曲板傾斜リブ162設けられている。曲板傾斜リブ161と曲板傾斜リブ162の上端は、リングプレート17の下に沿って位置し、弧の形状となっている。曲板傾斜リブ161は、下方が前方に位置して下面低部121に固定され、曲板傾斜リブ162は、下方が後方に位置して下面低部121に固定されている。曲板傾斜リブ161曲板垂直リブ151の前方に位置し、曲板傾斜リブ162は曲板垂直リブ152の後方に位置する。
【0023】
図7において、曲板傾斜リブ161と曲板傾斜リブ162は外側板13の上部が左右方向に突出していることにより、外側板13との固定部である斜めの太線は、上方に曲折部を有する。曲板傾斜リブ161と曲板傾斜リブ162は、曲面が斜めになるように配置されていることから、薄くても高い強度が得られる。また、上面板11と下面板12との固定部が上方からみて斜めの曲線になるため、固定部が長くなって強固に固定される。
【0024】
さらに、リングプレート17から前後方向に離れた位置において、上面板11からリングプレート17の外側へ離れるように斜めに配置されて、傾斜リブ16が前後の2箇所に設けられている。
図6、7に、前方の平板傾斜リブ163と後方の平板傾斜リブ164を示す。平板傾斜リブ163は、上面低部111と上面傾斜部114の接続部に固定されている。また、平板傾斜リブ164は、上面低部111と上面傾斜部115の接続部に固定されている。この構造によっても接続部にかかる応力を効率的に分散させることができる。また、平板傾斜リブ163は下面傾斜部124に略直角に固定され、平板傾斜リブ164は下面傾斜部125に略直角に固定される。これにより、リングプレート17が傾こうとしても、平板傾斜リブ163、164の下部において強固に力を受けることができる。また、平板傾斜リブ163は曲板傾斜リブ161と同じ方向に傾斜しており、平板傾斜リブ164は曲板傾斜リブ162と同じ方向に傾斜している。このことにより、平板傾斜リブ163、164を、曲板傾斜リブ161、162を避けるようにしてキャリアフレーム1の内部に配置することができる。
【0025】
前方の平板傾斜リブ163の前方には、垂直リブ15である平板垂直リブ154が設けられている。また、後方の平板傾斜リブ164の後方には、垂直リブ15である平板垂直リブ155が設けられている。平板垂直リブ154は上面高部112と下面高部122の間を接続し、平板垂直リブ155は、上面高部113と下面高部123の間を接続する。このように、本実施形態の傾斜リブ構造では、垂直リブも備えている。
【0026】
垂直リブ15と傾斜リブ16は、外側が外側板13に溶接されて固定されている。
図7においては、外側板13との固定部を太線で記載している。曲板傾斜リブ161と曲板傾斜リブ162は、リングプレート17の内側を上面とする円錐台の側面の一部を切り取った形状を有している。
【0027】
図4、5に示した従来の垂直リブ構造と、
図6、7に示した本発明の実施形態における傾斜リブ構造について、旋回部2の旋回角度に対するリングプレート17、47の傾斜角をシミュレートした。
図8にその結果を示す。
図8の横軸は、旋回部の旋回角度θであり、縦軸は、リングプレート17、47の傾斜角φである。アウトリガー3により、リングプレート17、47が水平となるように移動式クレーンCを設置して揚重作業を行うが、リングプレート17、47にかかる荷重によって傾斜角φが生じる。そして、リングプレート17、47上に不均一に荷重がかかるほど、傾斜角φは大きくなる。旋回角度θは、0°はブーム21が前方を向いたとき、180°はブーム21が後方を向いたときを示し、傾斜角φは、ブーム21の方向への傾斜角を示す。点線は、
図4、5の従来の垂直リブ構造によるキャリアフレーム4の場合を示し、実線は本発明の実施形態における
図6、7の傾斜リブ構造によるキャリアフレーム1の場合を示す。従来例も本発明の実施形態も、ブームが前方を向いた0°と後方を向いた180°で傾斜角φは最小となっている。
【0028】
点線で示す垂直リブ構造のキャリアフレーム4では、傾斜角φは、旋回角度θが60°と300°の近傍で最大となっている。一方、傾斜リブ構造のキャリアフレーム1では、実線で示すように、旋回角度θが60°と300°の近傍で最大となる傾斜角φが抑制されていることが分かる。このように傾斜リブ構造を用いることにより、揚重作業時に発生するキャリアフレームの応力による捻れや撓みが抑制される。そして、傾斜リブ構造によって揚重作業時にリングプレートに作用する力を効率よくキャリアフレーム全体へ分散できるため、キャリアフレームを構成する板材を薄くして軽量化を図ることができる。
【0029】
傾斜リブ16の外側板13や内側板14への固定は、下に行くにしたがいリングプレート17から前方又は後方に離れる、斜め方向の固定である。傾斜リブ16は、特に上部おいて外側板13や内側板14に傾斜したリブが固定されていることが、リングプレート17の傾き抑制に大きく寄与しているものと考えられる。
【0030】
曲板傾斜リブ161、162と平板傾斜リブ163、164は共に垂直方向に対して傾斜した傾斜リブ16である。傾斜リブ16の傾きは、垂直方向に対して15°から45°であることが好ましく、25°から35°であることが更に好ましい。また、実施形態における曲板傾斜リブ161、162は、リングプレート17の下側を含む円板を上面とする円錐台の一部を切り取った形状を有している。しかし、曲板傾斜リブは、曲板であればよく、たとえば、円筒を傾斜させて一部を切り取った形状等であってもよい。また、曲板傾斜リブは、上端がリングプレートの下側になくてもよく、たとえば平板傾斜リブ163、164のようにリングプレートから前後に離れた位置で上面板に固定され、更に前後方向の斜め下方に向けて延在してもよい。
【0031】
本発明は、旋回機構を有するキャリアフレームであれば、移動式クレーン以外のキャリアフレームでも用いることもできる。たとえば、パワーショベル等のキャリアフレームにも用いることができる。
【0032】
その他、具体的な構成は実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0033】
C 移動式クレーン
1 キャリアフレーム
11 上面板
111 上面低部
112 上面高部
113 上面高部
114 上面傾斜部
115 上面傾斜部
116 後方開口
12 下面板
121 下面低部
122 下面高部
123 下面高部
124 下面傾斜部
125 下面傾斜部
13 外側板
14 内側板
15 垂直リブ
151 曲板垂直リブ
152 曲板垂直リブ
153 平板垂直リブ
154 平板垂直リブ
155 平板垂直リブ
16 傾斜リブ
161 曲板傾斜リブ
162 曲板傾斜リブ
163 平板傾斜リブ
164 平板傾斜リブ
17 リングプレート
18 リング内開口
19 アウトリガー設置口
1a 厚枠部
1b 薄枠部
1c 薄枠部
1d 接続部
1e 接続部
2 旋回部
21 ブーム
22 油圧ホースリール
3 アウトリガー
31 アーム
32 ジャッキポスト
4 キャリアフレーム
41 上面板
411 上面低部
412 上面高部
413 上面高部
414 上面傾斜部
415 上面傾斜部
416 後方開口
42 下面板
421 下面低部
422 下面高部
423 下面高部
424 下面傾斜部
425 下面傾斜部
43 外側板
44 内側板
45 垂直リブ
451 曲板垂直リブ
452 曲板垂直リブ
453 平板垂直リブ
454 平板垂直リブ
455 平板垂直リブ
456 平板垂直リブ
457 平板垂直リブ
458 平板垂直リブ
459 平板垂直リブ
47 リングプレート
48 リング内開口
49 アウトリガー設置口
4a 厚枠部
4b 薄枠部
4c 薄枠部
4d 接続部
4e 接続部