IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーウェーブの特許一覧

特開2023-163875コード認証システム及びコード認証プログラム
<>
  • 特開-コード認証システム及びコード認証プログラム 図1
  • 特開-コード認証システム及びコード認証プログラム 図2
  • 特開-コード認証システム及びコード認証プログラム 図3
  • 特開-コード認証システム及びコード認証プログラム 図4
  • 特開-コード認証システム及びコード認証プログラム 図5
  • 特開-コード認証システム及びコード認証プログラム 図6
  • 特開-コード認証システム及びコード認証プログラム 図7
  • 特開-コード認証システム及びコード認証プログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163875
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】コード認証システム及びコード認証プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20231102BHJP
【FI】
G06T7/00 300F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075080
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】神谷 享慶
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA18
5L096CA02
5L096EA35
5L096FA06
5L096FA14
5L096HA08
5L096JA03
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】判定精度を確保可能なコード認証システム等の提供。
【解決手段】コード認証システム100にて、照合端末60は、認証対象となる対象コードCDsを撮影したコード画像を取得し、コード画像に写る対象コードCDsの領域内に抽出エリアを設定する。照合端末60は、抽出エリアから抽出する画像特徴を、抽出画像特徴として取得する。さらに、正規品であるマスターコードCDrの抽出エリアから抽出され予め登録された画像特徴が、登録画像特徴として準備される。照合端末60は、抽出画像特徴と登録画像特徴との照合に基づき、認証対象となるコードの真贋を判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証対象となるコード(CD)を撮影したコード画像(PiC)を取得する画像取得部(71,271)と、
前記コード画像に写る前記コードの領域内に抽出エリア(AE)を設定し、前記抽出エリアから抽出する画像特徴を、抽出画像特徴として取得する特徴抽出部(73,273)と、
正規品である前記コードの前記抽出エリアから抽出され予め登録された前記画像特徴を、登録画像特徴として準備する登録特徴準備部(74,274)と、
前記抽出画像特徴と前記登録画像特徴との照合に基づき、認証対象となる前記コードの真贋を判定するコード判定部(75,275)と、
を備えるコード認証システム。
【請求項2】
前記特徴抽出部は、前記コードに設けられる少なくとも一つの固定パターン(KP)を含むように前記抽出エリアを設定し、前記固定パターンの前記抽出画像特徴を取得する請求項1に記載のコード認証システム。
【請求項3】
前記特徴抽出部は、データを記録する前記コードのデータ領域(AD)の少なくとも一部を含むように前記抽出エリアを設定し、前記データ領域の前記抽出画像特徴を取得する請求項1に記載のコード認証システム。
【請求項4】
前記コードは、明色セル(CeW)及び暗色セル(CeB)を含み、
前記特徴抽出部は、前記抽出エリア内の前記明色セルを前記画像特徴の抽出対象として用いる請求項1~3のいずれか一項に記載のコード認証システム。
【請求項5】
前記コードは、明色セル(CeW)及び暗色セル(CeB)を含み、
前記特徴抽出部は、前記抽出エリア内の前記暗色セルを前記画像特徴の抽出対象として用いる請求項1~3のいずれか一項に記載のコード認証システム。
【請求項6】
前記特徴抽出部は、
前記暗色セルの形成範囲のうちで前記明色セルに臨む外側部分(BP)を前記抽出対象に設定し、
前記暗色セルの形成範囲のうちで前記外側部分を除く内側部分(AX)を前記抽出エリアから除外する請求項5に記載のコード認証システム。
【請求項7】
認証対象となるコード(CD)を撮影したコード画像(PiC)を取得し(S101)、
前記コード画像に写る前記コードの領域内に抽出エリア(AE)を設定し(S106)、
前記抽出エリアから抽出する画像特徴を、抽出画像特徴として取得し(S107)、
正規品である前記コードの前記抽出エリアから抽出され予め登録された前記画像特徴を、登録画像特徴として準備し(S108)、
前記抽出画像特徴と前記登録画像特徴との照合に基づき、認証対象となる前記コードの真贋を判定する(S109)、
ことを含む処理を少なくとも一つの処理装置(30,60)に実行させるコード認証プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書による開示は、コードの真贋を判定するコード認証の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された製品の照合・検索システムでは、正規品である製品の画像から、ロゴ及び製品番号等の製品に共通して存在する基準部位が検出され、基準部位を基準とした照合領域の表面紋様及び微小な凹凸等が画像特徴として記憶されている。こうした照合・検索システムでは、照合対象となる製品の撮像画像から、基準部位を基準とした照合領域の画像特徴を抽出し、記憶された画像特徴と照合することで、照合対象となる製品の真贋が判定可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6399280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の照合・検索システムにおいて、照合対象となる製品の画像は、画像特徴を記憶する際に使用された正規品の画像と、撮影方向及び撮影サイズ等が同一とはり難い。そのため、照合対象となる製品の画像から画像特徴を抽出する処理では、基準部位の位置及び姿勢等に基づき、照合領域の画像に対し、例えば正規化等の前処理が適用される。
【0005】
しかし、照合領域は、基準部位からずれた位置に設定されている。加えて、基準部位となるロゴ及び製品番号等は、前処理への利用に適した形状ではない場合が多い。故に、特許文献1の製品照合システムでは、照合対象及び正規品の各画像から画像特徴を正しく抽出できなくなり、ひいては判定精度の確保が難くなる虞があった。
【0006】
本開示は、判定精度を確保可能なコード認証システム、及びコード認証プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、開示された一つの態様は、
認証対象となるコード(CD)を撮影したコード画像(PiC)を取得する画像取得部(71,271)と、
コード画像に写るコードの領域内に抽出エリア(AE)を設定し、抽出エリアから抽出する画像特徴を、抽出画像特徴として取得する特徴抽出部(73,273)と、
正規品であるコードの抽出エリアから抽出され予め登録された画像特徴を、登録画像特徴として準備する登録特徴準備部(74,274)と、
抽出画像特徴と登録画像特徴との照合に基づき、認証対象となるコードの真贋を判定するコード判定部(75,275)と、
を備えるコード認証システムとされる。
【0008】
また開示された一つの態様は、
認証対象となるコード(CD)を撮影したコード画像(PiC)を取得し(S101)、
コード画像に写るコードの領域内に抽出エリア(AE)を設定し(S106)、
抽出エリアから抽出する画像特徴を、抽出画像特徴として取得し(S107)、
正規品であるコードの抽出エリアから抽出され予め登録された画像特徴を、登録画像特徴として準備し(S108)、
抽出画像特徴と登録画像特徴との照合に基づき、認証対象となるコードの真贋を判定する(S109)、
ことを含む処理を少なくとも一つの処理装置(30,60)に実行させるコード認証プログラムとされる。
【0009】
これらの態様では、画像特徴が抽出される抽出エリアは、コード画像に写るコードの領域内に設定される。加えて、コードは、例えば直線区間及び直角の角部分等を含むことで、前処理への利用に適した形状となっている。以上によれば、認証対象及び正規品の各コード画像からの画像特徴の抽出が正しく実施され易くなるため、真贋判定の精度の確保が可能となる。
【0010】
尚、上記括弧内の参照番号は、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態によるコード認証システムの全体像を示す図である。
図2】2次元コードに設定される抽出エリアの一例を示す図である。
図3】抽出エリアの詳細を説明するための図である。
図4】登録端末及び照合端末に表示される読み取り用画面の一例を示す図である。
図5】画像特徴を照合する処理の一例を概念的に示す図である。
図6】特徴登録処理の詳細を示すフローチャートである。
図7】コード照合処理の詳細を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態によるコード認証システムの全体像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
【0013】
(第1実施形態)
図1に示す本開示の第1実施形態によるコード認証システム100は、個体認証技術を用いて、認証対象となる1次元コード又は2次元コード(以下、コードCD)を認証する。具体的に、コード認証システム100は、コードCDに生じている印刷ムラ、微細な傷及び凹み等、コードCDの表面パターンの特徴を用いて、認証対象とされるコードCDが事前に登録された正規品のコードCDと同一個体であるか否かを判定する。
【0014】
コードCDは、紙媒体等に印刷されたラベルの状態で物品に添付等されていてもよく、又は印刷、刻印及び焼印等によって物品に直接的にマーキングされていてもよい。コードCDの紐づく物品は、例えば工業製品、農業製品及び水産物等の種々の物品であってよく、特定の有体物に限定されない。1種類のコードCDは、複数の同種の物品に紐づけられてもよく、1つの物品のみに紐づけられてもよい。即ち、正規品に該当するコードCDは、1つのみ発行されてもよく、又は所定数存在していてもよい。
【0015】
コード認証システム100は、一例として、2次元コードの1つであるQRコード(登録商標,図2及び図3も参照)の真贋を判定する。QRコードは、矩形状(正方形状)に形成された多数の白セルCeW及び多数の黒セルCeBを含んでいる。QRコードは、白セルCeW及び黒セルCeBの2次元配列によって情報を記録している。
【0016】
白セルCeWは、厳密に白色でなくてもよく、黒セルCeBと比較して明度の高い色による明色セルである。白セルCeWの部分では、QRコードの形成される媒体又は物品の素地表面が露出している。黒セルCeBは、厳密に黒色でなくてもよく、白セルCeWと比較して明度の低い色による暗色セルである。黒セルCeBの部分は、QRコードの印刷に使用されたインクによって着色されている。
【0017】
QRコードには、固定パターンKP及びデータ領域ADが白セルCeW及び黒セルCeBの配列によって形成されている(図2参照)。具体的には、ファインダーパターン(切り出しシンボル)、アライメントパターン、タイミングパターン及びマージン領域等が固定パターンKPとして形成されている。
【0018】
データ領域ADは、QRコードのうちで固定パターンKPを除く領域である。データ領域ADには、データ本体を記録している記録領域と、データの復元に用いられる誤り訂正符号を記録する訂正領域とが含まれている。データ領域ADには、コードCD及び物品を識別する識別情報に加えて、物品に関連する情報、具体的には、物品の生産工場、生産者名、原材料、ロット番号、生産日及び出荷日等の管理情報がされている。尚、以下の説明では、コード認証システム100にて扱われるQRコードを、単に「コードCD」と記載する。
【0019】
コード認証システム100は、登録端末10、認証サーバ30及び照合端末60等によって構成されている。登録端末10、認証サーバ30及び照合端末60は、それぞれネットワークに接続されており、相互に通信可能である。
【0020】
登録端末10は、正規品であるコードCD(以下、マスターコードCDr)の情報を認証サーバ30にアップロードする装置である。複数(多数)の登録端末10が、ネットワークを介して、1つの認証サーバ30に対しマスターコードCDrの情報を提供可能である。登録端末10は、マスターコードCDrを有体物として出力するコード出力者によって運用される。例えば物品の生産に係る生産者、物品の流通に係る流通管理者、物品のリサイクルに係るリサイクル業者等がコード出力者に含まれ得る。登録端末10は、スマートフォン及びタブレット端末等の汎用デバイスであってもよく、コードCDの読み取り専用の読取デバイスであってもよい。さらに、登録端末10は、搬送ライン等に設置された固定式の読み取り装置であってもよい。
【0021】
登録端末10は、カメラ16、ディスプレイ17及び通信部18と、これらと電気接続された処理回路10aとを備えている。カメラ16は、媒体又は物品に形成されたコードCDを含む画像(以下、コード画像PiC,図4参照)を撮像によって生成する撮像部である。ディスプレイ17は、登録端末10に設けられた表示デバイスである。ディスプレイ17による表示は、処理回路10aによって制御される。登録端末10が固定式の読み取り装置である場合、ディスプレイ17に相当する構成は省略されてもよい。
【0022】
通信部18は、例えばLTE及び5G等の広域無線通信規格、又はWi-Fi(登録商標)等の通信規格に沿った移動体通信を行う。通信部18は、登録端末10をネットワークに接続し、処理回路10a及び認証サーバ30間でのネットワークを介した情報の送受信を可能にする。
【0023】
処理回路10aは、プロセッサ11、RAM(Random Access Memory)12、記憶部13、入出力インターフェース及びこれらを接続するバス等を備え、演算処理を実施するコンピュータとして機能する。プロセッサ11は、RAM12と結合された演算処理のためのハードウェアである。記憶部13には、コードCDの情報の登録に関連するアプリケーションプログラム(以下、情報登録アプリ)が格納されている。
【0024】
情報登録アプリは、例えばコード認証システム100を管理するシステム管理者又はコード認証システム100を提供するシステムベンダ等によって提供され、登録端末10にインストールされている。プロセッサ11による情報登録アプリの実行により、特徴登録処理(図6参照)が開始される。処理回路10aには、後述するデータ登録部41と連携し、特徴登録処理を実施するための機能部として、画像取得部21、コード読取部22及び特徴抽出部23等が構築される。
【0025】
画像取得部21は、カメラ16によって撮像された撮像画像の画像データを取得する。画像取得部21は、正規品であることが明らかなオリジナルのコードCDを写したコード画像PiCを取得する(S11)。コード画像PiCの取得に際し、ディスプレイ17には、読み取り用画面RS(図4参照)が表示される。
【0026】
読み取り用画面RSには、カメラ16によって撮影される映像がリアルタイムに表示される。加えて、読み取り用画面RSの映像には、矩形枠状の枠画像GFが重畳表示される。枠画像GFは、枠内にコードCDが位置するよう、コードCDの撮影者を誘導するための画像部である。登録端末10を把持する撮影者が枠画像GF内にコードCDを収めたタイミングで、自動又は手動にて、コードCDを写したコード画像PiCが保存される。
【0027】
画像取得部21は、撮影されたコード画像PiCから各ファインダーパターンを検索し、コード画像PiCに写るコードCD(マスターコードCDr)の位置を特定する(S12)。さらに、画像取得部21は、各ファインダーパターンの形状及び位置関係から、コード画像PiCに写るコードCDの回転角度(姿勢)等を特定する。
【0028】
画像取得部21は、ファインダーパターンに基づき把握されたコードCDの位置及び姿勢の情報に基づき、コードCDの写る範囲に正規化又は標準化等の前処理を適用する(S13)。画像取得部21は、前処理の適用により、後述する特徴量の抽出に適した処理済みの画像(以下、抽出用画像)を準備する。抽出用画像は、コードCDを正面から撮影した形状に補正された画像となる。また抽出用画像では、白セルCeW及び黒セルCeBの階調値が概ね同じ値となるように、コードCD全体の階調値が調整される。
【0029】
コード読取部22は、コード画像PiCに写るコードCDのデータ領域ADから、コードCDに記録された情報を読み出す(S14)。コード読取部22は、前処理を適用する前のコード画像PiCからコードCDの記録情報を読み取ってもよく、前処理の適用後の抽出用画像からコードCDの記録情報を読み取ってもよい。コード読取部22は、記録情報の読み取りにより、撮影されたマスターコードCDrを識別する固有の識別情報を少なくとも取得する。さらに、後述するエリア情報がデータ領域ADに書き込まれている場合、コード読取部22は、エリア情報を読み出しによって取得する。
【0030】
特徴抽出部23は、コード画像PiCに写るマスターコードCDrの領域内に抽出エリアAEを設定する(S15)。抽出エリアAEは、画像特徴の抽出対象となる範囲であり、抽出用画像の少なくとも一部に設定される。抽出エリアAEに設定される範囲は、規格等に基づき予め規定されていてもよく、又は登録端末10に入力された設定によって規定されてもよい。さらに、抽出エリアAEを規定するエリア情報が、コードCDに記録されていてもよい。こうした形態では、コード読取部22にて読み出されたエリア情報に基づき、特徴抽出部23が抽出エリアAEを設定する。また特徴抽出部23は、抽出用画像の状態を判断し、抽出エリアAEの範囲を自動設定してもよい。この場合、特徴抽出部23がエリア情報を生成する。
【0031】
特徴抽出部23は、一例として、2つのファインダーパターンを含むコードCDの半分の領域(図2の上側半分の領域)を抽出エリアAEに設定する。この抽出エリアAEには、データ領域ADの記録領域及び訂正領域が共に含まれている。さらに、特徴抽出部23は、抽出エリアAE内の白セルCeW及び黒セルCeBのうちで、黒セルCeBのみを画像特徴の抽出対象として用いる。コードCDが印刷によって形成されている場合、特徴抽出部23は、黒セルCeBの形成範囲のうちで、白セルCeWに臨む外側部分BPを抽出対象に設定する。特徴抽出部23は、コードCDの印刷時に黒セルCeBの輪郭に生じたインクのにじみを、特徴として捉える。一方で、特徴抽出部23は、黒セルCeBの形成範囲のうちで外側部分BPを除く内側部分AXを、抽出エリアAEから除外する(図3のドット範囲を参照)。例えば黒セルCeBが正方形状である場合、黒セルCeBの半分程度の面積が、内側部分AXとして抽出エリアAEから除外される。以上により、抽出エリアAEは、コードCDの半分の範囲であり、かつ、黒セルCeB及び白セルCeWの境界に沿った帯状の領域に絞り込まれる。
【0032】
特徴抽出部23は、設定した抽出エリアAEから画像特徴を抽出し、登録画像特徴として取得する(S16)。具体的に、特徴抽出部23は、抽出エリアAEの黒セルCeBの外側部分BPに多数の特徴点Pf(図2及び図3参照)を設定する。特徴点Pfは、黒セルCeBの角部分及び外縁上等に加えて、上述のにじみ及び傷の発生箇所等にも設定される。特徴抽出部23は、抽出エリアAEにおける特徴点Pfの配置を、抽出エリアAEの画像特徴とする。特徴抽出部23によって抽出された登録画像特徴は、当該特徴の登録要求と共に、通信部18によって認証サーバ30に送信される(S17)。登録要求では、コード読取部22によって読み取られた識別情報と、抽出エリアAEの範囲を規定するエリア情報とが、登録画像特徴と共に認証サーバ30に送信される。尚、規格等で抽出エリアAEが予め規定されている場合、エリア情報がコードCDに記録されている場合、エリア情報の送信は省略されてもよい。
【0033】
認証サーバ30は、登録要求と共に登録端末10から送信される登録画像特徴の情報を特徴量データベース(以下、特徴量DB)40に蓄積する。認証サーバ30は、登録画像特徴の提供要求を照合端末60から受信した場合に、特徴量DB40に蓄積された登録画像特徴の情報を、提供要求の送信元である照合端末60に提供する。認証サーバ30は、例えば上述のシステム管理者、システムベンダ、又は公的な機関等によって運用される。
【0034】
認証サーバ30は、管理者等によって物理的に管理されるオンプレミスなサーバ装置であってもよく、又はクラウド上に設けられた仮想の構成であってもよい。同様に、特徴量DB40は、オンプレミスなサーバ装置に設けられた記憶領域であってもよく、又はクラウド上に設けられた仮想のファイルサーバ内に設けられた記憶領域であってもよい。さらに、認証サーバ30及び特徴量DB40は、一体的な構成であってもよい。
【0035】
認証サーバ30は、処理回路30aを主体とする情報処理装置である。処理回路30aは、プロセッサ31、RAM32、記憶部33、入出力インターフェース及びこれらを接続するバス等によって構成されている。記憶部33に格納されたプログラムがプロセッサ31によって実行されることで、処理回路30aには、データ登録部41及びデータ提供部42等の機能部が構築される。
【0036】
データ登録部41は、登録端末10から送信される登録画像特徴の登録要求を受け付ける。データ登録部41は、登録要求の受信により、マスターコードCDrの識別情報、登録画像特徴及びエリア情報を取得する。データ登録部41は、識別情報に紐づけて、識別情報及びエリア情報を特徴量DB40に登録する(S17)。発行されるマスターコードCDrが1つのみである場合、1つの識別情報には1つの登録画像特徴が紐づけられる。一方、マスターコードCDrが複数発行される場合、発行数と同数の登録画像特徴が1つの識別情報に紐づけて保存される。
【0037】
データ提供部42は、照合端末60から送信される登録画像特徴の提供要求を受け付ける。データ提供部42は、提供要求の受信により、検索及び提供の対象となるコードCD(以下、対象コードCDs)の識別情報を取得する。データ提供部42は、個々の識別情報に紐づけた状態で特徴量DB40に予め登録された多数の登録画像特徴の中から、取得した識別情報に紐づく登録画像特徴を検索する。識別情報又は登録画像特徴にエリア情報が紐づいている場合、データ提供部42は、登録画像特徴と共にエリア情報を取得する。データ提供部42は、検索によって取得した登録画像特徴及びエリア情報を、提供要求の送信元である照合端末60に送信する。識別情報に複数の登録画像特徴が紐づいている場合、データ提供部42は、全ての登録画像特徴を照合端末60に送信する。
【0038】
照合端末60は、認証対象となる対象コードCDsを読み取り、対象コードCDsを照合する装置である。照合端末60は、ネットワークを介して認証サーバ30と接続されており、対象コードCDsの照合に用いる情報の提供要求を認証サーバ30へ向けて送信する。照合端末60は、スマートフォン及びタブレット端末等の汎用デバイスである。照合端末60は、上述の生産者、流通管理者及びリサイクル業者等に加えて、小売店及びエンドユーザ等によっても利用可能である。尚、照合端末60は、コードCDを読み取る専用の読取デバイス、及び固定式の読み取り装置であってもよい。
【0039】
照合端末60は、カメラ66、ディスプレイ67及び通信部68と、こらと電気接続された処理回路60aとを備えている。カメラ66、ディスプレイ67、通信部68及び処理回路60aは、登録端末10の各構成と実質同一である。処理回路60aは、登録端末10の処理回路10aと同様に、プロセッサ61、RAM62、記憶部63、入出力インターフェース及びこれらを接続するバス等を備え、演算処理を実施するコンピュータとして機能する。記憶部63には、対象コードCDsの認証に関連するアプリケーションプログラム(以下、コード認証アプリ)が格納されている。
【0040】
コード認証アプリは、情報登録アプリと同様に、システム管理者又はシステムベンダ等によって提供され、照合端末60にインストールされる。プロセッサ61によるコード認証アプリの実行により、コード照合処理(図7参照)が開始される。処理回路60aには、データ提供部42と連携し、コード照合処理を実施するための機能部として、画像取得部71、コード読取部72、特徴抽出部73、登録特徴準備部74及びコード判定部75等が構築される。
【0041】
画像取得部71、コード読取部72及び特徴抽出部73は、登録端末10に構築される画像取得部21、コード読取部22及び特徴抽出部23と実質的に同一の機能を有している。画像取得部71は、認証対象となる対象コードCDsを撮影したコード画像PiC(図4参照)を、カメラ66から取得する(S101)。コード照合処理の開始に基づき、照合端末60のディスプレイ67にも、読み取り用画面RS(図4参照)が表示される。照合端末60を把持する撮影者が対象コードCDsを枠画像GF内に収めることで、対象コードCDsを写したコード画像PiCが保存される。
【0042】
画像取得部71は、撮影されたコード画像PiCから各ファインダーパターンを検索し、コード画像PiCに写る対象コードCDsの位置及び回転角度等を特定する(S102)。さらに、画像取得部71は、対象コードCDsの写る範囲に前処理を適用し(S103)、抽出用画像を生成する。対象コードCDsに適用される前処理(正規化又は標準化等)の内容は、登録端末10にてマスターコードCDrに適用される前処理の内容と実質同一である。故に、登録端末10にて登録画像特徴の抽出に用いられた抽出用画像と同一の撮影状態に補正された抽出用画像が、画像取得部71にて準備される。
【0043】
コード読取部72は、対象コードCDsの写るコード画像PiC又は抽出用画像から、対象コードCDsに記録された情報を読み出す。コード読取部72は、対象コードCDsの識別情報を少なくとも取得する(S104)。コード読取部72は、エリア情報がデータ領域ADに書き込まれている場合、対象コードCDsからエリア情報を取得する。
【0044】
コード読取部72にて読み取られた識別情報は、提供要求と共に通信部68から認証サーバ30に送信される(S105)。通信部68は、予め設定された認証サーバ30へ向けて提供要求を送信してもよく、又は対象コードCDsに記録された情報に基づき提供要求を送信する認証サーバ30を選択してもよい。
【0045】
特徴抽出部73は、エリア情報に基づき、コード画像PiCに写る対象コードCDsの領域内に抽出エリアAEを設定する(S106)。特徴抽出部73は、対象コードCDsから読み出されたエリア情報を用いてもよく、又は認証サーバ30から受信したエリア情報を用いてもよい。さらに、特徴抽出部73は、予め規定された範囲を抽出エリアAEに設定してもよい。特徴抽出部73にて対象コードCDsに設定される抽出エリアAEの範囲は、マスターコードCDrに設定された抽出エリアAEと実質的に同一の範囲となる。即ち、特徴抽出部73は、対象コードCDsの片側半分の範囲であり、かつ、黒セルCeB及び白セルCeWの境界に沿った帯状の領域を、抽出エリアAEに設定する(図2及び図3参照)。
【0046】
特徴抽出部73は、設定した抽出エリアAEから画像特徴を抽出し、抽出画像特徴として取得する(S107)。対象コードCDsに適用される画像特徴の抽出処理の内容は、登録端末10にてマスターコードCDrに適用される画像特徴の抽出処理の内容と実質同一である。即ち、対象コードCDsがマスターコードCDrと同一の個体であれば、登録画像特徴と概ね同一の位置に、特徴点Pfが設定される(図2図3及び図5参照)。特徴抽出部73は、黒セルCeB及び白セルCeWの境界等に設定された多数の特徴点Pfの配置を、対象コードCDsから抽出した抽出画像特徴とする。
【0047】
登録特徴準備部74は、提供要求に応じてデータ提供部42から提供される登録画像特徴を取得する。登録特徴準備部74は、対象コードCDsの識別情報に紐づく登録画像特徴を、抽出画像特徴と比較する照合対象として準備する(S108)。上述したように、複数のマスターコードCDrが存在し、1つの識別情報に対し複数の抽出画像特徴が紐づいている場合、登録特徴準備部74は、複数の抽出画像特徴を照合対象として準備する。
【0048】
コード判定部75は、特徴抽出部73にて対象コードCDsの抽出エリアAEから抽出された抽出画像特徴と、登録特徴準備部74にて準備されたマスターコードCDrの登録画像特徴とを照合する。コード判定部75は、照合結果に基づき、認証対象となる対象コードCDsの真贋を判定する(S109)。
【0049】
具体的に、コード判定部75は、抽出画像特徴の特徴点Pfと、登録画像特徴の特徴点Pfとを比較し、各画像特徴において同じ位置に存在する特徴点Pfのペアを特定する(図5参照)。コード判定部75は、概ね一致する特徴点Pfの組数が所定数以上又は所定割合以上である場合に、これらの画像特徴が合致すると判定する。特徴点Pfが概ね一致するとは、登録画像特徴の特徴点Pfを中心とする特定の閾値内に、抽出画像特徴の特徴点Pfが存在している状態である。コード判定部75は、互いの画像特徴が合致している場合、対象コードCDsが正規品のコードCDであると判定する。尚、複数の登録画像特徴が準備されている場合、コード判定部75は、特徴点Pfの一致度が高い登録画像特徴を選定し、選定した登録画像特徴と、抽出画像特徴との照合を実施する。
【0050】
コード判定部75による真贋判定の結果は、ディスプレイ67の表示によってエンドユーザ等に提示される(S110)。加えて、真贋判定の結果は、通信部68から認証サーバ30に送信されてよい。真贋判定により対象コードCDsがコピー個体であると判定された場合、真贋判定の結果は、コピー品の発見を示す通知となる。
【0051】
〔第1実施形態のまとめ〕
ここまで説明した第1実施形態では、画像特徴が抽出される抽出エリアAEは、コード画像PiCに写るコードCDの領域内に設定される。加えて、コードCDは、例えば直線区間及び直角の角部分等を含むことで、前処理への利用に適した形状となり得る。以上によれば、認証対象及び正規品の各コード画像PiCからの画像特徴の抽出が正しく実施され易くなるため、真贋判定の精度の確保が可能となる。
【0052】
詳記すると、抽出エリアAEがコードCDの領域内に設定されるため、コード画像PiCに抽出エリアAEが大きく写るようになる。故に、解像度の高い抽出エリアの画像が取得される。加えて、コードCDに含まれるパターンの形状及び色が予め決まっているため、認証対象及び正規品の各画像の撮影条件が互いに異なっていても、前処理を適用された各抽出用画像は、概ね同一の状態となり得る。以上によれば、対象コードCDsがマスターコードCDrと同一の個体であれば、各抽出用画像からは同一の特徴点Pfが抽出され得る。故に、真贋判定の精度が確保可能となる。
【0053】
加えて第1実施形態では、抽出エリアAEがコードCDの領域内に設定されるため、登録端末10及び照合端末60が作業者又はユーザによって手持ちされていても、抽出エリアAEは、コード画像PiCから見切れることなく正確に撮影され得る。言い替えれば、作業者又はユーザは、認証に用いられる抽出エリアAEを特定可能となる。
【0054】
また第1実施形態では、読み取り用画面RSに枠画像GFが表示されるため、登録端末10及び照合端末60が手持ちの状態であっても、コードCDのサイズに合わせて、撮影距離を統一することが可能になる。以上によれば、抽出エリアAEの高解像度な画像が取得され得るため、真贋判定の精度は、いっそう確保され易くなる。
【0055】
さらに第1実施形態では、コードCDの撮影により、画像特徴の抽出だけでなく、コードCDの識別情報の読み取りが実施される。加えて、マスターコードCDrから抽出された画像特徴は、コードCDを識別する識別情報に紐づけて特徴量DB40に予め登録されている。故に、対象コードCDsを認証する場合、対象コードCDsの識別情報を用いて、照合に用いる登録画像特徴の特定及び準備が速やかに実施され得る。その結果、対象コードCDsの認証の高速化が可能になる。
【0056】
また第1実施形態では、コードCDに設けられる少なくとも一つの固定パターンKPを含むように抽出エリアAEが設定される。そして、固定パターンKPの抽出画像特徴が取得される。以上のように、形状が固定されている固定パターンKPを抽出エリアAEに含むことで、抽出画像特徴を抽出するコード画像PiCの状態を、登録画像特徴の抽出に用いられたコード画像PiCの状態に近づける画像処理が容易になる。具体的には、対象コードCDsを写したコード画像PiCの抽出エリアAEの形状を、マスターコードCDrを写したコード画像PiCの抽出エリアAEの形状に概ね一致させる補正が可能になる。その結果、真贋判定の精度がいっそう確保され得る。
【0057】
さらに第1実施形態では、データを記録するデータ領域ADの少なくとも一部を含むように抽出エリアAEが設定される。そして、データ領域ADの抽出画像特徴が取得される。以上のように、データ領域ADを抽出エリアAEに用いることで、コードCDの領域内の広い範囲から画像特徴が抽出され得る。その結果、対象コードCDsに部分的な欠損が発生しても、欠損部分を除く範囲の画像特徴の照合により、真贋判定が可能になる。
【0058】
加えて第1実施形態では、抽出エリアAE内の黒セルCeBが画像特徴の抽出対象として用いられる。故に、コードCDが塗工紙等に印刷されている等、コードCDの形成された素地表面からの特徴抽出が困難なケースにおいても、黒セルCeBを対象とした画像特徴の設定が可能になる。その結果、真贋判定の精度の低下が回避される。
【0059】
また第1実施形態では、黒セルCeBの形成範囲のうちで白セルCeWに臨む外側部分BPが抽出対象に設定される。一方、黒セルCeBの形成範囲のうちで外側部分BPを除く内側部分AXは、抽出エリアAEから除外される。上述したように、特徴点Pfは、主に黒セルCeB及び白セルCeW間の境界に設定される。故に、内側部分AXを抽出エリアAEから除外すれば、照合の精度を低下させることなく、抽出エリアAEを狭めることが可能になる。その結果、真贋判定の精度を確保しつつ、判定処理が高速化され得る。
【0060】
尚、上記第1実施形態において、白セルCeWが「明色セル」に相当し、黒セルCeBが「暗色セル」に相当し、照合端末60が「処理装置」に相当し、コード認証アプリが「コード認証プログラム」に相当する。
【0061】
(第2実施形態)
図8に示す本開示の第2実施形態によるコード認証システム200では、画像特徴を抽出する機能及び画像特徴を照合する機能が、認証サーバ30に集約されている。故に、第1実施形態の登録端末10及び照合端末60に設けられていたエッジ処理のための機能部は、第2実施形態において省略されている。その結果、登録端末10は、カメラ16を用いて撮影したマスターコードCDrのコード画像PiCを登録要求と共に認証サーバ30に送信する構成となる。照合端末60は、カメラ66を用いて撮影した対象コードCDsのコード画像PiCを照合要求と共に認証サーバ30に送信し、認証サーバ30による照合結果をディスプレイ67の表示によってユーザに提示する構成となる。
【0062】
一方、認証サーバ30の処理回路30aには、データ登録部41及びデータ提供部42に加えて、画像取得部271、コード読取部272、特徴抽出部273、登録特徴準備部274及びコード判定部275等が設けられている。これらの機能部は、プロセッサ31によるコード認証プログラムの実行に基づき構築され、第1実施形態の画像取得部21,71、コード読取部22,72、特徴抽出部23,73、登録特徴準備部74及びコード判定部75と実質的に同一の機能を有する。これらの機能部により、第1実施形態と同様の特徴登録処理(図6参照)及びコード照合処理(図7参照)が認証サーバ30にて実施される。以下、第2実施形態の特徴登録処理及びコード照合処理の各詳細を、図6及び図7に基づき、図8を参照しつつ説明する。
【0063】
図6に示す特徴登録処理は、登録端末10からの登録要求の受信によって開始される。特徴登録処理にて、画像取得部271は、マスターコードCDrを撮影したコード画像PiCを登録端末10からの受信によって取得する(S11)。画像取得部271は、コード画像PiCから各ファインダーパターンを検索し、マスターコードCDrの位置を特定する(S12)。さらに、画像取得部271は、コード画像PiCへの前処理の適用によって抽出用画像を準備する(S13)。
【0064】
コード読取部272は、マスターコードCDrに記録された情報を読み出し(S14)、マスターコードCDrの識別情報を少なくとも取得する。さらに、特徴抽出部273は、マスターコードCDrの領域内に抽出エリアAEを設定する(S15)。特徴抽出部273は、コードCDの全域を抽出エリアAEに設定する。特徴抽出部273は、第1実施形態と同様に黒セルCeBを画像特徴の抽出対象として用いる一方で、内側部分AXを抽出エリアAEから除外する処理を実施しない。特徴抽出部273は、コードCDの全域に設定した抽出エリアAEから画像特徴を抽出し、登録画像特徴として取得する(S16)。特徴抽出部273にて取得された登録画像特徴は、コード読取部272にて読み取られた識別情報と共に、データ登録部41によって特徴量DB40に登録される(S17)。第2実施形態では、コードCDの全域が一律に抽出エリアAEに設定されるため、エリア情報の生成及び登録は省略される。
【0065】
図7に示すコード照合処理は、照合端末60からの照合要求の受信によって開始される。コード照合処理にて、画像取得部271は、対象コードCDsを撮影したコード画像PiCを照合端末60からの受信によって取得する(S101)。画像取得部271は、コード画像PiCから各ファインダーパターンを検索し、対象コードCDsの位置を特定する(S102)。さらに、画像取得部271は、マスターコードCDrの写るコード画像PiCに適用した前処理を、対象コードCDsの写るコード画像PiCにも適用し、抽出用画像を準備する(S103)。
【0066】
コード読取部272は、対象コードCDsに記録された情報を読み出し(S104)、対象コードCDsの識別情報を少なくとも取得する。尚、第2実施形態では、提供要求を識別情報と共に送信する処理(S105)は省略される。
【0067】
特徴抽出部273は、対象コードCDsの全域を抽出エリアAEに設定する(S106)。特徴抽出部273は、マスターコードCDrに対して実施した画像特徴の抽出処理を対象コードCDsにも実施し、抽出エリアAEの黒セルCeBから画像特徴を抽出する。特徴抽出部273は、対象コードCDsから抽出した画像特徴を抽出画像特徴として取得する(S107)。
【0068】
登録特徴準備部274は、コード読取部272にて取得された識別情報をトリガとし、特徴量DB40に予め登録された多数の登録画像特徴の中から、識別情報に紐づく登録画像特徴を検索する。登録特徴準備部74は、検索によって特定した登録画像特徴を、抽出画像特徴と比較する照合対象として準備する(S108)。コード判定部275は、対象コードCDsの抽出エリアAEから抽出された抽出画像特徴と、マスターコードCDrの登録画像特徴とを照合し、認証対象となる対象コードCDsの真贋を判定する(S109)。
【0069】
データ提供部42は、対象コードCDsの真贋判定の結果を、照合要求の送信元である照合端末60に送信する(S110)。照合端末60は、認証サーバ30から受信した判定結果に基づき、対象コードCDsの真贋を示す通知をディスプレイ67に表示させる。
【0070】
ここまで説明した第2実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を奏し、真贋判定の精度の確保と、真贋を判定する処理の高速化とが実現可能となる。尚、第2実施形態では、認証サーバ30が「処理装置」に相当する。
【0071】
(第3実施形態)
本開示の第3実施形態は、第1実施形態の変形例である。第3実施形態の特徴登録処理(図6参照)及びコード照合処理(図7参照)では、コードCDに記録された情報を読み出す処理(S14,S104)が省略されている。加えて、抽出エリアAEは、コードCDの領域内のうちで、固定パターンKPの形成範囲のみに設定される(S15,S106)。具体的には、個々のコードCDに共通して存在するファインダーパターンの形成範囲が、各特徴抽出部23,73により抽出エリアAEに設定される。各特徴抽出部23,73は、ファインダーパターンを形成する黒セルCeB及び白セルCeWの両方を、画像特徴の抽出対象とする。
【0072】
さらに、特徴登録処理において、登録端末10から認証サーバ30には、マスターコードCDrから抽出したファインダーパターンの画像特徴が登録要求と共に送信される(S17)。データ登録部41は、ファインダーパターンの画像特徴を、登録画像特徴として特徴量DB40に蓄積する。上述したように、識別情報の読み出しが省略されるため、登録画像特徴は、識別情報と紐づいていない状態で特徴量DB40に蓄積される。
【0073】
特徴量DB40に蓄積された多数の登録画像特徴は、データ提供部42により、所定の周期で各照合端末60に提供される。故に、照合端末60では、多数の登録画像特徴を記憶部63に記憶させた状態が維持される。以上により、コード照合処理において、登録特徴準備部74は、記憶部63に記憶された多数の登録画像特徴の中から、対象コードCDsのファインダーパターンから抽出した抽出画像特徴に最も類似するものを検索する(S108)。コード判定部75は、登録特徴準備部74によって検索された登録画像特徴と、対象コードCDsのファインダーパターンの抽出画像特徴とを照合し、対象コードCDsの真贋を判定する(S109)。
【0074】
ここまで説明した第3実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を奏し、真贋判定の精度の確保と、真贋を判定する処理の高速化とが実現可能となる。詳記すると、第3実施形態では、個々のコードCDに共通して存在する固定パターンKPの形成範囲が抽出エリアAEに設定される。このように、コードCD内の同じ領域が常に抽出エリアAEに設定されれば、特徴登録処理及びコード照合処理にて、抽出エリアAEを設定するステップが不要となる。故に、各処理の高速化が可能になる。
【0075】
加えて、抽出エリアAEを固定パターンKPの形成範囲に限定することで、データ領域ADを抽出エリアAEに含む形態よりも、抽出エリアAEの面積を狭くすることが可能になる。その結果、画像特徴を抽出するステップ、ひいては各処理が高速化され得る。
【0076】
また第3実施形態では、識別情報を用いることなく、予め記憶された多数の登録画像特徴の中から、照合対象となる登録画像特徴が特定され得る。故に、対象コードCDsの読み取りが不要になり、コード照合処理の高速化が可能になる。さらに、対象コードCDsの情報が大きく欠損し、識別情報を正しく読み出せなくなった場合でも、照合端末60は、対象コードCDsの真贋判定を実施できる。
【0077】
(他の実施形態)
以上、本開示による複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0078】
上記第1実施形態の変形例1において、各特徴抽出部23,73は、抽出エリアAE内の白セルCeW及び黒セルCeBのうちで、白セルCeWのみを画像特徴の抽出対象として用いる。こうした変形例1によれば、コードCDの印刷に用いられたインクが例えば蒸発型又は浸透型であり、黒セルCeBの状態に経時的変化が生じ易くても、真贋判定の精度の低下が抑制可能となる。
【0079】
上記第1実施形態では、コードCDの半分の範囲が抽出エリアAEに設定され、上記第2実施形態では、コードCDの全体が抽出エリアAEに設定されていた。また、上記第3実施形態では、固定パターンKPの形成範囲のみが、抽出エリアAEに設定されていた。以上のように、コードCDの形成範囲のうちで抽出エリアAEに設定する範囲は、適宜変更されてよい。例えば、上記実施形態の変形例2では、データ領域ADのみに抽出エリアAEが設定される。さらに、上記第3実施形態の変形例3では、ファインダーパターン以外の固定パターンKP、具体的には、アライメントパターン、タイミングパターン及びマージン領域の形成範囲に、抽出エリアAEが設定される。
【0080】
上記実施形態では、抽出エリアAEから抽出された特徴点Pfを用いて画像特徴を照合する個体認証技術が用いられていた。こうした画像特徴の照合に用いる手法は、適宜変更されてよい。例えば、機械学習を用いて生成された判定器を用いて、対象コードCDsの画像特徴とマスターコードCDrの画像特徴との照合が実施されてもよい。
【0081】
上記実施形態では、QRコードの真贋判定に本開示によるコード認証方法を適用した場合を説明した。しかし、本開示によるコード認証方法は、QRコード以外の1次元コード又は2次元コードの認証にも適用可能である。例えば、JAN、CODE39及びCODE128等の1次元コード(バーコード)が認証対象のコードCDとされてよい。さらに、DataMatrix、VeriCode、MaxiCode及びPDF417等の2次元コードが認証対処のコードCDとされてよい。
【0082】
上記第1実施形態では、特徴登録処理及びコード照合処理は、それぞれエッジ側となる登録端末10及び照合端末60にて実施されていた。一方、上記第2実施形態では、認証サーバ30が、特徴登録処理及びコード照合処理を実施していた。以上のように、特徴登録処理及びコード照合処理を実施する処理装置は、コード認証システムにおいて、適宜変更されてよい。
【0083】
例えば、特徴登録処理が登録端末10にて実施され、コード照合処理が認証サーバ30にて実施されてもよく、特徴登録処理が認証サーバ30にて実施され、コード照合処理が照合端末60にて実施されてもよい。さらに、特徴登録処理の一部のステップが登録端末10にて実施され、残りのステップが認証サーバ30にて実施されてもよい。同様に、コード照合処理の一部のステップが照合端末60にて実施され、残りのステップが認証サーバ30にて実施されてもよい。
【0084】
上記実施形態にて、登録端末10、認証サーバ30及び照合端末60によって提供されていた各機能は、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組合せによっても提供可能である。こうした機能がハードウェアとしての電子回路によって提供される場合、各機能は、多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によっても提供可能である。
【0085】
上記実施形態のプロセッサ11,31,61は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む構成であってよい。これらプロセッサは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、NPU(Neural network Processing Unit)及び他の専用機能を備えたIPコア等をさらに含む構成であってよい。
【0086】
上記実施形態の各記憶部13,33,63として採用され、本開示のコード認証方法に関連したプログラムを記憶する記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)の形態は、適宜変更されてよい。こうした記憶媒体は、回路基板上に設けられた構成に限定されず、メモリカード等の形態で提供され、スロット部に挿入されて、各処理回路に電気的に接続される構成であってよい。さらに、記憶媒体は、プログラムのコピー基となる光学ディスク及びのハードディスクドライブ等であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
AD データ領域、AE 抽出エリア、AX 内側部分、BP 外側部分、CD コード、CeB 黒セル(暗色セル)、CeW 白セル(明色セル)、KP 固定パターン、PiC コード画像、30 認証サーバ(処理装置)、60 照合端末(処理装置)、71,271 画像取得部、73,273 特徴抽出部、74,274 登録特徴準備部、75,275 コード判定部、100,200 コード認証システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8