(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163878
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】検体ラック搬送装置、それを備えた分析装置、および検体容器からこぼれた検体を回収する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
G01N35/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075083
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】増谷 晃一
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CB09
2G058CB15
2G058CF18
(57)【要約】
【課題】検体容器からこぼれた検体によって必要となる清掃の工数を軽減することができる検体ラック搬送装置およびそれを備えた検体分析装置を提供すること。
【解決手段】検体容器Cを保持する検体ラックRを載置面上202pで搬送する搬送機構部2000と、前記載置面上で前記検体容器からこぼれた検体を受けて流す流路部材246~247、240x、240y、341~344と、流路部材を流れた検体を受ける回収容器250と、を備える検体ラック搬送装置。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体容器を保持する検体ラックを載置面上で搬送する搬送機構部と、
前記載置面上で前記検体容器からこぼれた検体を受けて流す流路部材と、
前記流路部材を流れた前記検体を回収する回収容器と、
を備える検体ラック搬送装置。
【請求項2】
前記流路部材は、前記載置面の周辺の下方に少なくとも一部が配置され、前記載置面の周辺から落下した前記検体を受ける、請求項1に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項3】
前記流路部材は、前記載置面にまたは前記載置面に対して立ち上がる起立面に設けられた開口、あるいは前記載置面と前記起立面との間隙を通過した前記検体を受ける、請求項1に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項4】
前記載置面の縁または前記載置面に対して立ち上がる起立面との間に開口または間隙の少なくとも何れかを形成するように配置される筐体をさらに備え、
前記流路部材は、前記載置面の縁または前記載置面に対して立ち上がる起立面と前記筐体との間の開口または間隙の少なくとも何れかを通過した前記検体を受ける、請求項1に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項5】
前記流路部材の少なくとも一部は、前記開口または前記間隙の下方に配置される、請求項3に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項6】
前記載置面の縁または前記起立面との間に開口または間隙の少なくとも何れかを形成するように配置される筐体をさらに備え、
前記流路部材は、前記載置面の縁または前記載置面に対して立ち上がる起立面と前記筐体との間の開口または間隙の少なくとも何れかを通過した前記検体を受ける、請求項5に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項7】
前記流路部材は、前記検体を流すための傾斜面を有する、請求項1に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項8】
前記流路部材は、流路の全体に亘って、水平を0°としたときに1~10°の傾斜角度を有する、請求項1に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項9】
前記載置面または前記起立面に複数の前記開口が設けられており、
前記流路部材の少なくとも一部は、複数の前記開口の下方に配置される、請求項3に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項10】
前記流路部材は、平面視において非直線状に配置されている、請求項1記載の検体ラック搬送装置。
【請求項11】
前記流路部材は、前記検体を流す複数の部材からなり、
前記複数の部材のうちの上流の部材は、続く下流の部材に前記検体の引き継ぎが可能なように配置されている、請求項1に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項12】
前記流路部材は、前記検体を流す方向に垂直な断面において両端が上方へ折れ曲がった形状または上方へ湾曲した形状を有する、請求項1に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項13】
前記起立面の前記開口の下端は、前記載置面よりも高い、請求項3に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項14】
前記開口の位置の前記起立面の裏面側に設けられたシール部材をさらに備える、請求項3に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項15】
前記載置面の前記開口の縁に、前記載置面から下方へ折れ曲がった形状または下方へ湾曲した形状の垂下部を有する、請求項3に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項16】
前記載置面の縁または前記載置面に対して立ち上がる起立面との間に開口または間隙の少なくとも何れかを形成し、側壁部と底板とを有する筐体をさらに備え、
前記底板には、前記流路部材の下流端に対応する位置に排出口が設けられており、
前記回収容器は、前記底板に設けられた前記排出口の下方に配置されている、請求項1に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項17】
前記回収容器は、前記検体ラック搬送装置から引出し可能である、請求項1に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項18】
前記搬送機構部は、前記開口から前記載置面の上方の位置に突出する移動可能な移動部を有し、前記移動部の移動により前記載置面上の検体ラックを搬送する、請求項3に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項19】
前記開口を介して前記載置面上の検体ラックを検出するためのセンサをさらに備える、請求項3に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項20】
検体ラックは、栓体を有さない検体容器を保持する、請求項1に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項21】
前記搬送機構部はモータを備え、前記モータは、前記開口および前記間隙の下方から外れた位置に配置される、請求項3に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項22】
請求項1~21の何れか1項に記載の検体ラック搬送装置と、前記検体ラック搬送装置によって搬送される検体ラックの検体容器内の検体を測定する測定装置とを備えた検体分析装置。
【請求項23】
前記検体ラック搬送装置は、前記回収容器の少なくとも一部の上方が開放されており、
前記測定装置は、前記回収容器の上方位置で検体を吸引可能な吸引ノズルを備える、請求項22に記載の検体分析装置。
【請求項24】
前記検体ラック搬送装置による搬送動作を制御する制御部が、前記測定装置に設けられている、請求項22に記載の検体分析装置。
【請求項25】
検体容器を保持する検体ラックを載置面上で搬送する搬送機構部を備えた検体ラック搬送装置の前記載置面上で前記検体容器からこぼれた検体を回収する方法であって、
前記検体を流路部材により受け、
前記流路部材により受けた前記検体を、前記流路部材により回収容器に向けて流し、
前記回収容器により、前記流路部材によって流された前記検体を回収する、
検体容器からこぼれた検体を回収する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体ラック搬送装置、それを備えた分析装置、および検体容器からこぼれた検体を回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分析装置に備えられる検体ラック搬送装置が特許文献1に開示されている。この検体ラック搬送装置は、検体ラックを搬送する搬送機構部と、搬送機構部の動作を制御する制御部と、それらを保持する筐体等で構成されている。筐体は、その上部の一部が凹状に窪んでおり、ここに分析前の検体ラックが複数ストックされるスタートストッカと、検体ラックを分析装置に供給する位置に搬送するための搬送路と、分析を終えた検体ラックがストックされるエンドストッカとが形成されている。スタートストッカ、搬送路およびエンドストッカの下側には搬送機構部が配置されている。搬送機構部の直下には中間板が配置され、中間板の直下には、制御部を収容した制御ボックスが、中間板の外側にはみ出ないように配置されている。中間板の縁は上方に向かって折り曲げられ、凹状に形成されている。例えば、栓をしていない検体容器を用いて検体を分析する場合に、オペレータがスタートストッカに検体ラックを設置するときに不意に検体ラックを転倒させてしまうことがある。この場合、検体ラック上の検体容器から検体がこぼれ、筐体内に浸入することがあるが、こぼれた検体は中間板で受け取られるため、制御ボックス内に設けられた制御部に検体が到達することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検体容器から検体がこぼれた場合、特許文献1に記載の検体ラック搬送装置では、筐体内に浸入した検体は、筐体内の構成部品を伝わって中間板に到達することがある。その場合、検体が付着した構成部品の清掃に多大な工数を要する。
【0005】
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、検体容器からこぼれた検体によって必要となる清掃の工数を軽減することができる検体ラック搬送装置、それを備えた分析装置、および検体容器からこぼれた検体を回収する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、検体ラック搬送装置が提供される。この検体ラック搬送装置(200)は、検体容器(C)を保持する検体ラック(R)を載置面上(202p)で搬送する搬送機構部(2000)と、載置面上で検体容器からこぼれた検体を受けて流す流路部材(241~247、240x、240y、341~344)と、流路部材を流れた検体を回収する回収容器(250)と、を備える。
この構成によれば、載置面上で検体容器から検体がこぼれても、検体は流路部材を流れて回収容器に回収される。これにより、検体容器からこぼれた検体によって必要となる清掃の工数を軽減することができる。
【0007】
本発明によれば、検体分析装置が提供される。この検体分析装置(100)は、前述の検体ラック搬送装置(200)と、検体ラック搬送装置によって搬送される検体ラックの検体容器内の検体を測定する測定装置(101)とを備える。
この構成によれば、検体ラック搬送装置の載置面上で検体容器から検体がこぼれても、検体は流路部材を流れて回収容器に回収される。これにより、検体容器からこぼれた検体によって必要となる清掃の工数を軽減することができる。
【0008】
本発明によれば、検体容器を保持する検体ラックを載置面上で搬送する搬送機構部を備えた検体ラック搬送装置の載置面上で検体容器からこぼれた検体を回収する方法が提供される。この検体容器からこぼれた検体を回収する方法は、検体容器を保持する検体ラックを搬送する搬送機構部を備えた検体ラック搬送装置の載置面上で検体容器からこぼれた検体を回収する方法であって、検体を流路部材により受け、流路部材により受けた検体を、流路部材により回収容器に向けて流し、回収容器により、流路部材によって流された検体を回収する工程を含む。
この構成によれば、検体ラック搬送装置の載置面上で検体容器から検体がこぼれても、検体は流路部材を流れて回収容器に回収される。これにより、検体容器からこぼれた検体によって必要となる清掃の工数を軽減することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検体容器からこぼれた検体によって必要となる清掃の工数を軽減することができる検体ラック搬送装置、それを備えた分析装置、および検体容器からこぼれた検体を回収する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の第1実施形態に係る検体ラック搬送装置を備えた検体分析装置を示す斜視図である。
【
図1B】第1実施形態の測定装置および検体ラック搬送装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態の検体ラック搬送装置によって搬送される検体ラックおよび検体容器を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態の検体ラック搬送装置の概略構成を示す平面図である。
【
図4A】第1実施形態の検体ラック搬送装置を左側前方から見た斜視図である。
【
図4B】第1実施形態の検体ラック搬送装置を右側前方から見た斜視図である。
【
図4C】
図4Bに示す検体ラック搬送装置の開口および間隙の個所を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態の検体ラック搬送装置の回収容器が引き出された状態および開口、間隙の個所を示す斜視図である。
【
図6】第1実施形態の検体ラック搬送装置の正面図である。
【
図9】
図7に示すIII-III線矢視断面図である。
【
図10A】第1実施形態の検体ラック搬送装置の第5開口の奥に配置されるシール部材の斜視図である。
【
図10B】第1実施形態の検体ラック搬送装置の第5開口の奥に設けられたシール部材を示す部分的な概略縦断面図である。
【
図11】第1実施形態の検体ラック搬送装置の開口と流路部材と回収容器の位置関係を説明する正面側から見た概略縦断面である。
【
図13】第2実施形態の検体ラック搬送装置のテーブルの開口に設けられた垂下部を示す模式的な概略縦断面図である。
【
図14】第3実施形態の検体ラック搬送装置の流路部材の配置を説明する上方から見た概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いてこの発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
(第1実施形態)
この実施形態による検体ラック搬送装置は、検体検査を効率的に行うために、血液や尿などの液状の検体が収容された検体容器を保持した検体ラックを血液検査装置、尿検査装置等の検体分析装置に順次搬送するために使用される。
検体ラック搬送装置が使用される場面の具体例として、検体ラック搬送装置を備えた検体分析装置の概略をまず述べる。
図1Aは第1実施形態に係る検体ラック搬送装置を備えた検体分析装置を示す斜視図である。
図1Aに前後左右上下の各方向を矢印で示している。以下に述べる検体分析装置100の説明および検体ラック搬送装置200の説明における方向は、図示の方向に基づく。
【0012】
検体分析装置100は、尿中に含まれる赤血球、白血球、上皮細胞、円柱、細菌等の有形成分を分析する尿分析装置である。
図1Aに示すように、検体分析装置100は、測定装置101と、測定装置101の前方に設置される検体ラック搬送装置200とを備える。検体ラック搬送装置200は、検体容器Cを保持した検体ラックRをテーブル202上で搬送する。測定装置101は、検体ラック搬送装置200によって搬送される検体ラックRの検体容器Cから尿検体を吸引し、測定および分析する。
【0013】
図1Bは、測定装置および検体ラック搬送装置の機能構成を示すブロック図である。
図1Bに示すように、測定装置101は、吸引部101aと、試料調製部101cと、検出部101dと、動作制御部101eと、分析制御部101fと、操作部101bとを備える。
吸引部101aは、検体容器Cに収容された尿検体を吸引する。試料調製部101cは、吸引部101aによって吸引された尿検体に試薬を混合し、測定試料を調製する。検出部101dは、試料調製部101cによって調製された測定試料に含まれる有形成分をフローサイトメトリーにより検出する。分析制御部101fは、検出部101dによって検出された有形成分を分析し、尿検体に含まれる有形成分の濃度を算出する。操作部101bは、分析制御部101fによって算出された有形成分の濃度を含む分析結果を出力するとともに、オペレータから検体分析装置100に対する各種操作を受け付ける。
【0014】
検体ラック搬送装置200は、搬送機構部2000、識別情報読取部260および複数のセンサを備える。
搬送機構部2000は、テーブル202上の検体ラックRを搬送する。識別情報読取部260は、テーブル202上で搬送される検体ラックRの各検体容器Cから検体の識別情報を読み取る。
各センサは、テーブル202上の検体ラックRを検知するものであって、第1センサ251a、251b、第2センサ252a、252b、第3センサ253a、253b、第4センサ254および第5センサ255からなる。
測定装置101の動作制御部101eは、測定装置101による測定動作と、検体ラック搬送装置200による搬送動作とを制御する。動作制御部101eは、識別情報読取部260による識別情報の読み取りを制御すると共に、各センサ251a、251b、252a、252b、253a、253b、254および255からの出力に基づいて、吸引部101a、試料調製部101c、検出部101dおよび搬送機構部2000の動作を制御する。
【0015】
吸引部101aは、尿検体を吸引する吸引ノズル101abと、吸引ノズル101abを上下および前後方向に移動させることができるノズル移動機構101acと、吸引ノズル101abによって吸引された尿検体を試料調製部101cに送液する送液機構101aeとを備える。
ノズル移動機構101acとしては、吸引ノズル101abを上下および前後方向に移動させることができる機構であれば特に限定されるものではなく、例えば、モータと、ラック・ピニオン機構、プーリ・ベルト機構等の動力伝達機構とを適宜組み合わせて構成することができる。
送液機構101aeとしては、吸引ノズル101abによって吸引された尿検体を試料調製部101cに送液できる機構であれば特に限定されるものではなく、例えば、ポンプと、バルブとを適宜組み合わせて構成することができる。
吸引ノズル101abは、ノズル移動機構101acが動作することにより、
図1Aに示すように、検体ラック搬送装置200の上方に位置することが可能である。
【0016】
操作部101bは、
図1Aに示すように、測定装置101の前面に設けられたタッチパネルである。動作制御部101eはフィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)を備え、分析制御部101fは、プロセッサと、ROM、RAM等のメモリと、ソリッドステートドライブ(SSD)、ハードディスク等の記憶装置とを備える。
ただし、分析制御部101fは、必ずしも測定装置101に組み込まれていなくてもよい。例えば、吸引部101a、試料調製部101c、検出部101d、および動作制御部101eを備える測定装置101と、測定装置101の外部に設けられた分析制御部101fとを通信可能に接続してもよい。
測定装置101として、例えば、米国特許公開第2018-0348200号公報に記載の装置が使用でき、当該公報は参照により本明細書に組み込まれる(U.S. Patent Publication No. 2018-0348200 is hereby incorporated by reference)。
【0017】
続いて、この実施形態による検体ラック搬送装置が搬送の対象とする検体ラックについて説明する。
図2は第1実施形態の検体ラック搬送装置によって搬送される検体ラックRおよび検体容器Cを示す斜視図である。
図2に示すように、検体容器Cは、一端が丸底になった細長い管状になっており、その側面には、検体の識別情報を示すバーコードが印刷されたラベルBが貼付されている。検体ラックRは、複数の検体容器Cを立てた状態で保持可能な形状を有している。この実施形態において、検体ラックRは10本の検体容器Cを保持可能なように10箇所の検体容器保持部rを有する。検体容器Cは、検体を収容し、栓をしない状態で検体ラックRの検体容器保持部rに保持され、検体ラック搬送装置200により搬送される。栓をしないで検体容器Cに収容されて検体分析装置で分析される検体の例としては、尿が挙げられる。他の検体としては血清、血漿等が挙げられる。
【0018】
以下、この実施形態による検体ラック搬送装置について述べる。
図3は、この実施形態による検体ラック搬送装置の概略構成を示す平面図であり、
図4Aは、この実施形態による検体ラック搬送装置を左側前方から見た斜視図である。
図4Bおよび
図4Cは右側前方から見た斜視図である。
図5は、
図4Aに示す検体ラック搬送装置の回収容器が引き出された状態を示す左側前方から見た斜視図である。
図6は、この実施形態による検体ラック搬送装置の正面図である。
図7は、
図6に示すI-I線矢視断面図であって、
図6のI-I線の断面を上方から見た図である。
図1A、
図3および
図4Aに示すように、この実施形態による検体ラック搬送装置200は、検体ラックRを載置するための載置面202pを含むテーブル202、搬送機構部2000、筐体201および識別情報読取部260を備える。
搬送機構部2000の一部は、載置面202pの下方に配置され、載置面202pに置かれた検体ラックRを搬送するための第1移動機構部210,第2移動機構部220および第3移動機構部230を備える。筐体201は、載置面202pを露出した状態で搬送機構部2000を収容する。識別情報読取部260は、載置面202pに置かれた検体ラックRの検体容器CのラベルB上のバーコードから検体の識別情報を読み取る。
【0019】
図3に示すように、載置面202pは、スタートストッカ領域202s、搬送領域202tおよびエンドストッカ領域202eからなる。スタートストッカ領域202sは、左右方向の長さが検体ラックRの長手方向の長さよりも少し長い領域であり、オペレータによって検体ラックRの長手方向がスタートストッカ領域202sの左右方向に沿うように置かれた検体ラックRを後方に搬送するための領域である。エンドストッカ領域202eは、左右方向の長さが検体ラックRの長手方向の長さよりも少し長い領域であり、エンドストッカ領域202eの後端に位置付けられた検体ラックRを前方に搬送するための領域である。搬送領域202tは、前後方向の長さが検体ラックRの短手方向の長さよりも少し長い領域であり、スタートストッカ領域202sの後端とエンドストッカ領域202eの後端との間の領域である。スタートストッカ領域202s、搬送領域202tおよびエンドストッカ領域202eは、それらの上で検体ラックRを滑らせて搬送できる程度に平坦な載置面202pを構成する。載置面202pは、液体を吸収したり、通過させたりしないよう、疎水性の材料により構成される。
【0020】
第1移動機構部210は、スタートストッカ領域202sに置かれた検体ラックRを、スタートストッカ領域202sの後端まで後方に搬送するために作動する。第2移動機構部220は、スタートストッカ領域202sの後端に位置付けられた検体ラックRを、エンドストッカ領域202eの後端まで左方に搬送するために作動する。第3移動機構部230は、エンドストッカ領域202eの後端に位置付けられた検体ラックRを、エンドストッカ領域202eの前端まで搬送するために作動する。
識別情報読取部260はバーコードリーダを備え、第2移動機構部220によって搬送領域202t上に位置付けられた検体容器から検体の識別情報を読み取る。
【0021】
図4Aおよび
図4Bに示すように、テーブル202は、スタートストッカ領域202s、搬送領域202tおよびエンドストッカ領域202eの後端の縁から載置面202pに対して立ち上がる起立面203arを有している。また、
図4Aに示すように、テーブル202は、スタートストッカ領域202sの後方における起立面203arの右端の一部から前方へ延び、起立面203arおよび載置面202pの何れに対しても垂直な方向のガイド部202sgを有している。起立面203arから延びて載置面202pに垂直なガイド部202sgは、載置面202pに対する起立面といえる。さらに、テーブル202は、スタートストッカ領域202sの右端中央部(右端前方および右端後方の部分を除く箇所)の縁で載置面202pから立ち上がる起立面と、その起立面の上端で載置面202pの側へ折れ曲がる先端部を有するレール部202saを有している。さらに、
図4Bに示すように、テーブル202は、スタートストッカ領域202sの左端前方の縁に起立面203sbを有している。また、
図4Aに示すように、エンドストッカ領域202eの右端中央部の縁に載置面202pからわずかに立ち上がる小さな起立面203eaを有し、
図4Bに示すように、エンドストッカ領域202eの左端前方を除く部分の縁に左側壁部202ebを有している。左側壁部202ebは、載置面202pに対して立ち上がる起立面203ebを有し、起立面203ebの上端が載置面202pの外側へ折れ曲がりさらにその先の部分が上方へ折れ曲がっている。
図4Aに示すように、テーブル202は、スタートストッカ領域202s、搬送領域202t、およびエンドストッカ領域202eからなる載置面202p、起立面203ar、203sbならびに203ea、ガイド部202sg、レール部202sa、左側壁部202ebを構成する単一の部材からなる。なお、
図4Aにおいて、起立面203sbおよび左側壁部202ebは隠れているが、それらを
図4Bに示している。
【0022】
筐体201は、テーブル202と別の部材で構成されており、テーブル202と筐体201との間に、開口や間隙が存在する。テーブル202自体にも開口や間隙が存在する。ここで、開口は、光や移動する部材を通過させるためにテーブル202の載置面202pや起立面などに設けられたり、テーブル202の一の部分と他の部分との間に設けられたり、テーブル202の周辺の部材との間に設けられたりする空間である。それに対して間隙は、空間を設ける意図がなくとも部材と部材の間、例えばテーブル202と筐体201との間やテーブル202の一の部分と他の部分との間に生じる空間である。
【0023】
図4Bに示すように、筐体201は、テーブル202の周囲を囲む外周部201aを有する。外周部201aは、検体ラック搬送装置200の外側壁をなす外壁部201aw、外壁部201awの上端から内側へ延びる上面部201auを有する。さらに、筐体201は、載置面202pの後端、スタートストッカ領域202sの左端および右端、エンドストッカ領域202eの左端および右端のそれぞれの上方において上面部201auから垂れ下がる垂下面を有する。
図3に示すように、上面部201auは、載置面202pの周囲にあるが載置面202pの上方にない。従って、載置面202pは上方に露出している。
載置面202pの後端において上面部201auから垂下面201arが垂れ下がっている(
図4B参照)。垂下面201arの下端は、起立面203arの上端に近接している。垂下面201arの下端と起立面203arの上端とは密着しておらず間隙が存在する。
【0024】
スタートストッカ領域202sの左端前方において上面部201auから垂下面201sbが垂れ下がっている。さらに、エンドストッカ領域202eの左端において上面部201auから垂下面201ebが垂れ下がっている。また、
図4Bでは外周部201aに隠れているが、
図4Aに示すように、スタートストッカ領域202sの右端において上面部201auから垂下面201saが垂れ下がっている。さらに、エンドストッカ領域202eの右端前方において上面部201auから垂下面201eaおよび201ecが垂れ下がっている。
なお、垂下面201ar、201sa、201sb、201ea、201ebおよび201ec、起立面203ar、203sb、203eaおよび203ebは、載置面202pに対して垂直であることに限定されず、載置面202pと非平行な面であってもよい。また、垂下面および起立面は平面である必要はなく、折れたり曲がったりしていてもよい。
【0025】
図4Bに示すように、起立面203arおよび垂下面201arのエンドストッカ領域202e側は一部が切り欠かれており、その切り欠かれた部分に移動アーム231が収容される。移動アーム231は、エンドストッカ領域202eにおいて検体ラックRを押して前方に搬送するために移動可能な部材である。
図5に示すようにスタートストッカ領域202sの右端のレール部202saと筐体201の垂下面201saとの間に、前後方向に延びる開口(第1開口204sa)が存在する。さらに、エンドストッカ領域202eの右端前方における載置面202pと筐体201の垂下面201eaとの間に、開口(第3開口204ea)が存在する。第3開口204eaの後方にある小さな起立面203eaと垂下面201ecとの間に第2間隙206eaが存在する。
載置面202pの後端から立ち上がる起立面203arおよび筐体201の垂下面201arのエンドストッカ領域202e側は、一部が切り欠かれており、その切り欠かれた部分に、移動アーム231を収容可能な開口(第5開口204ec)が存在する。移動アーム231が収容された状態で開口は、テーブル202と移動アーム231との間に存在する。
【0026】
また、
図4Cに示すようにスタートストッカ領域202sの左端前方における起立面203sbと筐体201の垂下面201sbとの間に、前後方向に延びる開口(第2開口204sb)が存在する。さらに、エンドストッカ領域202eの左側壁部202ebと垂下面201ebとの間に、前後方向に延びる開口(第4開口204eb)が存在する。
【0027】
テーブル202の起立面203arおよび203ebには、検体ラックRの搬送動作の制御のために必要な開口が設けられている。
図5に示すように、スタートストッカ領域202sの右端後方のガイド部202sgは、スタートストッカ領域202sの後端部へ搬送された検体ラックRの右端の位置を規制する。そのガイド部202sgと垂下面201saとの間には、第6開口205saが形成され、ガイド部202sgとスタートストッカ領域202sとの間に間隙(第1間隙206sa)が形成されている。さらに、スタートストッカ領域202sの後端側の起立面203arには、第7開口205scと第8開口205sdが設けられている。
図4Cに示すように、エンドストッカ領域202eの左側壁部202ebの起立面203ebには、第9開口205ebが設けられている。さらに、後端側の起立面203arには、第10開口205ecが設けられている。第7開口205sc、第8開口205sd、第9開口205ebおよび第10開口205ecのそれぞれの下端は、テーブル202の載置面202pよりも高い位置にある。
【0028】
載置面202pにも開口が設けられている。
図7に示すように、スタートストッカ領域202sと搬送領域202tとに跨る載置面202pの領域に、左右方向に延びる第11開口205taが設けられている。搬送領域202tとエンドストッカ領域202eとに跨る載置面202pの領域に、左右方向に延びる第12開口205tbが設けられている。第11開口205taの後方の搬送領域202tに、第13開口205tcが設けられ、第12開口205tbの後方に第14開口205tdが設けられている。
【0029】
オペレータがスタートストッカ領域202sに検体ラックRを置くとき、または、エンドストッカ領域202eから検体ラックを取り出すとき、誤って検体ラックRを転倒させてしまうことがある。検体容器には栓がされていないため、たとえば検体ラックRが転倒すると、検体ラックRに保持された検体容器からテーブル202上に尿検体がこぼれ得る。テーブル202上にこぼれた尿検体は、載置面202pの周辺に位置する、第1開口204sa~第4開口204eb、第6開口205sa~第14開口205td、第1間隙206sa、第2間隙206eaの何れかを通じて落下し、筐体201の内部に浸入し得る。あるいは、載置面202pの周辺に位置する、起立面203arと垂下面201arとの間隙など、テーブル202の周囲の間隙を通じて検体が落下し、筐体201の内部に浸入し得る。検体ラック搬送装置200は、そのような場合を想定して、後述するように検体を流す流路部材(
図8および
図9参照)と、流路部材を流れた検体を受ける回収容器250(
図5および
図9参照)とを備えている。流路部材および回収容器250については後述する。
【0030】
続いて、搬送機構部2000の構成について説明する。
図3に示すように、搬送機構部2000は、第1移動機構部210、第2移動機構部220および第3移動機構部230を備える。
図8は、
図6のII-II線矢視断面図であって載置面202pを含む検体ラック搬送装置200の
図6のII-II線の断面を上方から見た図である。
図9は
図7に示すIII-III線の矢視断面図であって、
図7のIII-III線の断面を前方から見た図である。
【0031】
第1移動機構部210は、スタートストッカ領域202sの左端の第2開口204sb(
図4C参照)を挿通する左側移動爪217(
図7参照)と、スタートストッカ領域202sの右端の第1開口204sa(
図5参照)を挿通する右側移動爪218(
図7参照)を備える。さらに、左右方向に延びる回転軸心を有する正逆回転可能な第1モータ211(
図8参照)と、第1モータ211の回転方向の出力を前後直線方向の往復移動力に変換して左側移動爪217および右側移動爪218を移動させる第1動力伝達機構とを備える。
左側移動爪217および右側移動爪218は、スタートストッカ領域202sで検体ラックRを移動させる第1移動機構部210の移動部として設けられている。
左側移動爪217は、第2開口204sbの左方下側に基端部が設けられ、第2開口204sbを通って先端部が右方に約1cm突出しており、その先端部は、載置面202pの上方に位置する。
右側移動爪218は、第1開口204saの右方下側に基端部が設けられ、第1開口204saを通って先端部が左方に約1cm突出しており、その先端部は、載置面202pの上方に位置する。
【0032】
図8に示すように、第1動力伝達機構は、スタートストッカ領域202sの左右方向の中央部の真下に設けられている。第1動力伝達機構は、前後方向に延びるガイドプレート212と、ガイドプレート212にスライド可能に取り付けられ左右方向に延びるスライドプレート213と、スライドプレート213を前後方向に移動させるプーリ・ベルト機構216を備える。スライドプレート213は、左側移動爪217および右側移動爪218のそれぞれの基端部を、上下方向の軸P1を中心としてそれぞれ回動可能に支持する回動軸214を備える。第1モータ211は、プーリ・ベルト機構216を駆動する。スライドプレート213は、プーリ・ベルト機構216によって駆動されるベルトの上部に連結されている。通電を要するモータは、検体がかかると故障する可能性が高い。そのため、第1モータ211は、第1開口204sa、第2開口204sbの何れの下方からも外れた位置に配置されている。
【0033】
左側移動爪217(
図7参照)は、時計回りに回動するように、引っ張りコイルバネあるいはねじりコイルバネ等により付勢されている。スライドプレート213は、左側移動爪217の時計回りの回動を規制するための規制凸部215a(
図8参照)を備えており、左側移動爪217はその先端部が載置面202pに置かれた検体ラックRに当接可能な位置で停止している。右側移動爪218(
図7参照)は、反時計回りに回動するように、引っ張りコイルバネあるいはねじりコイルバネ等により付勢されている。スライドプレート213は、右側移動爪218の反時計回りの回動を規制するための規制凸部215b(
図8参照)を備えており、
図7は規制凸部215aに左側移動爪217が当接し、規制凸部215bに右側移動爪218が当接し、それぞれの回動が規制された状態の位置を示している。それはまた、左側移動爪217および右側移動爪218の先端部が載置面202p上の検体ラックRと当接可能な位置である。
図7および
図8に示すスライドプレート213、左側移動爪217および右側移動爪218の前後位置は初期位置である。スライドプレート213、左側移動爪217および右側移動爪218は、その位置から後方へ移動することが可能である。
【0034】
続いて、第2移動機構部220について説明する。第2移動機構部220は、一対の係止爪223、224(
図7参照)と、前後方向に延びる回転軸心を有する第2モータ221(
図8参照)と、第2モータ221の回転方向の出力を左右直線方向の往復移動力に変換して係止爪223、224に伝達する第2動力伝達機構とを備える。第2動力伝達機構は、搬送領域202tの下方に設けられたプーリ・ベルト機構222を備える(
図8参照)。第2モータ221は、プーリ・ベルト機構222を駆動する。通電を要するモータは、検体がかかると故障する可能性が高い。そのため、第2モータ221は、第11開口205ta~第14開口205td(
図7参照)の下方から外れた位置に配置されている。
係止爪223は、第11開口205taの下方から、載置面202pの上方へ突出可能である。係止爪224は、第12開口205tbの下方から、載置面202pの上方へ突出可能である。係止爪223、224は、何れもカム機構によりプーリ・ベルト機構222に接続されている。第2モータ221を駆動すると、係止爪223は、第11開口205taの右端において載置面202pの上方に突出し、左方に移動し、第11開口205taの左端において載置面202pの下方に戻る。それと同時に係止爪224は、第12開口205tbの右端において載置面202pの上方に突出し、左方に移動し、第12開口205tbの左端において載置面202pの下方に戻る。この動作により、検体ラックRが搬送領域202t上にある場合、検体ラックRは長手方向に隣り合う検体容器C間の距離だけ左方へ移動する。
【0035】
続いて、第3移動機構部230について説明する。第3移動機構部230は、エンドストッカ領域202eで検体ラックRに当接する移動アーム231(
図4B、
図4C、
図5および
図7参照)と、左右方向に延びる回転軸心を有する第3モータ232(
図8参照)を備える。さらに、第3モータ232の回転方向の出力を前後直線方向の往復移動力に変換して移動アーム231に伝達する第3動力伝達機構を備える。
図8に示すように、第3動力伝達機構は、プーリ・ベルト機構233と、プーリ・ベルト機構233のベルト上部と移動アーム231とを連結する連結プレート234とを備える。移動アーム231は、左右方向に延びる板状の部材であり、左端部が連結プレート234と連結されている。第3モータ232は、プーリ・ベルト機構233を駆動する。
図4B、
図4C、
図5および
図8に示す移動アーム231および連結プレート234の前後位置は、何れも初期位置である。移動アーム231および連結プレート234は、その初期位置から前方に移動することが可能である。この際、移動アーム231と連結プレート234との連結部分が第4開口204ebに沿って前後方向に移動する。
【0036】
エンドストッカ領域202eの後端側の第5開口204ecの奥には、移動アーム231を収容し得る空間が設けられている。その空間には、シール部材が配置されている。シール部材は、検体容器から載置面202pにこぼれた検体が、第5開口204ecを通じて筐体201の内部に浸入するのを防止するために配置されている。
図10Aはこの実施形態において、第5開口204ecの奥の空間に配置されるシール部材の斜視図である。
図10Bは、
図10Aに示すシール部材の第5開口204ecに対する配置を示す概略断面図であり、左方からエンドストッカ領域202eの後部を見た部分的な概略縦断面図である。
【0037】
図10Aに示すように、第5開口204ecの奥に配置されるシール部材249は防水スポンジからなり、後面249aと、底面249bと、一対の側面249cとが接合され、上面および前面が開放されている。なお、さらに上面がシール部材で閉鎖されてもよい。
一対の側面249c間の距離は、第5開口204ecの左右方向の距離と等しいか、それよりも大きい。
図10Bに示すように、シール部材249の前端は、検体が漏れないようにエンドストッカ領域202eの後端と接続される。側面249cについても、テーブル202の部材のうち起立面203arの裏側であって第5開口204ecの周囲の部材と接続される。それによって、第5開口204ecの奥(後方)がシール部材249によって閉鎖される。
エンドストッカ領域202eの後端から第5開口204ecの奥へ検体が浸入しても、防水スポンジでシールされた領域に留まる。シール部材249は、検体容器からこぼれた検体が、第5開口204ecから筐体201の内部に落下するのを防止している。
【0038】
次に、検体ラック搬送装置200に設けられた各センサについて説明する。
図7に示すように、検体ラック搬送装置200は、一対の第1センサ251a、251b、一対の第2センサ252a、252b、および、一対の第3センサ253a、253bをさらに備える。一対の第1センサ251a、251b、一対の第2センサ252a、252b、および、一対の第3センサ253a、253bは、透過型の光電センサである。
【0039】
第1センサ251aは投光器であり、第7開口205sc(
図5参照)の後方に、第7開口205scから距離(この実施形態では約5mm)をあけて配置されている。第1センサ251bは受光器であり、スタートストッカ領域202sの前端の前方で、第1センサ251aに対向する位置に配置されている。
第2センサ252aは投光器であり、第8開口205sd(
図5参照)の左側後方に、第8開口205sdから距離(この実施形態では約5mm)をあけて配置されている。第2センサ252bは受光器であり、第6開口205sa(
図5参照)の前側右方に、第6開口205saから距離(この実施形態では約5mm)をあけて配置されている。
第3センサ253aは投光器であり、第10開口205ec(
図4C参照)の右側後方に、第10開口205ecから距離(この実施形態では約5mm)をあけて配置されている。第3センサ253bは受光器であり、第9開口205eb(
図4C参照)の前側左方に、第9開口205ebから距離(この実施形態では約5mm)をあけて配置されている。
第6開口205sa~第10開口205ecは、投光器から受光器に向けて照射される光の通り道として利用される。
【0040】
スタートストッカ領域202sに検体ラックRが置かれると、検体ラックRにより第1センサ251aから照射される光が遮られる。動作制御部101e(
図1B参照)は、この遮光に伴う第1センサ251bの出力の変化を検知することにより、検体ラックRが置かれたことを検知する。検体ラックRが後方に搬送され、スタートストッカ領域202sの後端に到着すると、検体ラックRにより第2センサ252aから照射される光が遮られる。動作制御部101eは、この遮光に伴う第2センサ252bの出力の変化を検知することにより、検体ラックRがスタートストッカ領域202sの後端に到着したことを検知する。検体ラックRが左方に搬送され、エンドストッカ領域202eの後端に到着すると、検体ラックRにより第3センサ253aから照射される光が遮られる。動作制御部101eは、この遮光に伴う第3センサ253bの出力の変化を検知することにより、検体ラックRがエンドストッカ領域202eの後端に到着したことを検知する。
【0041】
図7に示すように搬送領域202tに設けられた第13開口205tcの下方に第4センサ254が配置されている。第4センサ254はメカニカルスイッチであり、その可動部が第13開口205tcから上方に突出している。検体ラックRが第13開口205tcの上に搬送されると、検体ラックRの重みにより第4センサ254の可動部が下方に移動する。第4センサ254は、可動部の移動に伴う信号変化を検出し、検出した信号を動作制御部101eに出力する。動作制御部101eは、第4センサ254からの信号により、検体ラックRが搬送領域202tへ到着したことを判定することができる。同様に、搬送領域202tに設けられた第14開口205tdの下方に第5センサ255が配置されている。第5センサ255はメカニカルスイッチであり、その可動部が第14開口205tdから上方に突出している。検体ラックRが第14開口205tdの上を通過し終えると、検体ラックRの重みがなくなり、第5センサ255の可動部が上方に移動する。第5センサ255は、可動部の移動に伴う信号変化を検出し、検出した信号を動作制御部101eに出力する。動作制御部101eは、第5センサ255からの信号により、検体ラックRがエンドストッカ領域202eの後方左端へ到着したことを判定することができる。
【0042】
〈自動モード〉
検体分析装置100は、自動モードとマニュアルモードの何れか一方のモードで動作する。いずれのモードで動作させるかは、オペレータが操作部101bを操作して選択することができる。
自動モードの場合、検体分析装置100は、検体ラック搬送装置200により検体ラックRを搬送し、搬送される検体ラックRの検体容器から測定装置101が検体を吸引し、測定および分析を行なう。検体ラック搬送装置200による検体ラックRの搬送は、動作制御部101eが、第1センサ251b~第5センサ255、および識別情報読取部260からの出力に基づいて、搬送機構部2000を制御することにより実行される。
【0043】
〈マニュアルモード〉
マニュアルモードの場合、検体ラック搬送装置200は検体ラックRを搬送しない。マニュアルモードにおいて、オペレータは、分析すべき検体が収容された検体容器を1本ずつ手に取って、検体ラック搬送装置200に設けられた凹状スペースS(
図1A、
図4Aおよび
図4B参照)の上方に移動した吸引ノズル101abが検体容器に進入する位置に検体容器を移動させ、静止させる。その後、オペレータが操作部101bを操作して測定開始を指示すると、吸引部101aによって検体容器内の検体が吸引され、測定装置101による検体の測定・分析が実行される。
【0044】
凹状スペースSは、検体ラック搬送装置200のスタートストッカ領域202sと搬送領域202tとエンドストッカ領域202eとに囲まれた領域であって、上方および前方へ開放されたスペースである。凹状スペースSは、マニュアルモードにおいてオペレータが検体容器を手で支持しながら、吸引ノズル101abを前方(凹状スペースSの前端部を除く領域)へ移動させて吸引を行うためのスペースとして設けられている。なお、凹状スペースSは、上方にのみ開放されてもよい。
【0045】
〈流路部材および回収容器〉
検体ラック搬送装置200は、載置面202p上で転倒によりこぼれた検体が開口または間隙を通じて筐体201の内部に浸入した場合に、その検体を受けて流す流路部材を備える。さらに、流路部材を流れた検体を受ける回収容器250を備える。検体が通過し得る開口または間隙の例として、第1開口204sa~第4開口204eb、第6開口205sa~第14開口205td、第1間隙206sa、第2間隙206eaの何れかが挙げられる。あるいは、起立面203arと垂下面201arとの間隙など、テーブル202の周囲の間隙が挙げられる。
図11は、検体ラック搬送装置200のスタートストッカ領域202sおよびエンドストッカ領域202eのそれぞれの両端ならびに起立面203arに設けられた開口および間隙と、起立面203arと垂下面201arとの間隙と、その下方に設けられた複数の流路部材との位置関係を説明する概略縦断面である。さらに、流路部材の下流端と回収容器250との位置関係を示している。
図11は、検体ラック搬送装置200を前方から見た概略断面図である。
図12は、
図11に示すIV-IV線矢視断面図であって、
図11に示す検体ラック搬送装置200の、IV-IV線の断面を上方から見た概略横断面図である。
以下、図を参照しながら、流路部材および回収容器250について説明する。
【0046】
検体ラック搬送装置200の筐体201は、底部に底板201bを有している。
図6に示すように、底板201bは、左右一対の脚部201caによって設置面Fよりも高い位置に配置されている。左右一対の脚部201caは、高さ調節が可能な調節脚である。
図9および
図11に示すように、底板201bはスタートストッカ領域202s、搬送領域202t、エンドストッカ領域202eの下方および凹状スペースSの前端部下方において略平坦なプレートの形状を有している。
【0047】
筐体201はその前面の下端に、後述する回収容器250を前方から受け入れる切欠き部201cbが形成されている(
図5参照)。底板201bの下面側には、その回収容器250の左右一対の外鍔部250bを受けるための、前後に延びる左右一対のガイド片201byが設けられている。例えば、左側のガイド片201byは、左端において底板201bの下面に固定されており、右端へ向かう途中で下方へ折れ曲がって底板201bの下面から離れ、底板201bから所定の距離だけ離れた位置で底板201bと平行に折れ曲がって右端に至る断面形状を有する。従って、左側のガイド片201byの右端と底板201bとの間にスペースがある。右側のガイド片201byは、左側のガイド片201byと左右対称の断面形状である。
【0048】
続いて、回収容器250について述べる。
図5に示すように、回収容器250は、四角い皿状の容器本体250aと、容器本体250aの外周部の左上縁および右上縁に沿って設けられた左右一対の外鍔部250bと、容器本体250aの外周部の前端に沿って設けられた取っ手部250cとを有している。
図9および
図11に示すように、回収容器250はその左右の外鍔部250bが、左右のガイド片201byと底板201bとの間のスペースにそれぞれ入るように筐体201の切欠き部201cbから後方へ挿入され、底板201bの下方に収納される。収納された状態で、回収容器250の取っ手部250cは筐体201の切欠き部201cbに収まる(
図6参照)。
図12に示すように、底板201bは、その一部に検体を底板201bの下方に排出するための複数の排出口が設けられている。排出口は底板201bに設けられた開口である。
【0049】
スタートストッカ領域202sの下方に位置する部分の底板201bには、後端の一部に第1排出口201bsが設けられている。また、エンドストッカ領域202eの下方に位置する部分の底板201bには、その一部に第2排出口201beが設けられている。凹状スペースSの下方に位置する部分の底板201bには、その後方および中央部にかけて大きな第3排出口201bcが設けられており、前端部にのみ底板201bがある。搬送領域202tの下方に位置する部分の底板201bには、その一部に第4排出口201baおよび第5排出口201bbが設けられている。第4排出口201baは、搬送領域202tの第11開口205taおよび第13開口205tcの下方に設けられている。第5排出口201bbは、搬送領域202tの第12開口205tbおよび第14開口205tdの下方に設けられている。
【0050】
第1排出口201bs~第5排出口201bbは、底板201bの下方に回収容器250が収容された状態において容器本体250aの上方に位置する。回収容器250は、第1排出口201bs~第5排出口201bbの何れかを通って落下する検体Lを回収する。メンテナンスを行う作業者は、回収容器250を前方へ引き出して検体ラック搬送装置200から取り外し、回収容器250に回収された検体Lを廃棄することができる。
底板201b上には、複数の流路部材(後述の第1流路部材241~第7流路部材247)が配置されている。それら複数の流路部材は、底板201bに設けられた支持部材を介して底板201bに固定され、あるいは直接底板201bに固定される。第1流路部材241、第3流路部材243および第4流路部材244は、支持部材を介して底板201bに固定されている。第2流路部材242および第5流路部材245は、上流端側が支持部材を介して底板201bに固定され、下流端側が底板201bに直接固定されている。また、第6流路部材246、第7流路部材247は、底板201bに直接固定されている。
【0051】
図12に示すように、検体ラック搬送装置200は、スタートストッカ領域202sの右端前方の下方に配置される第1流路部材241と、スタートストッカ領域202sの右端後方および後端の下方に配置される第2流路部材242を備える。さらに、エンドストッカ領域202eの左端後方の下方に配置される第3流路部材243と、エンドストッカ領域202eの左端前方の下方に配置される第4流路部材244と、第3流路部材243と第4流路部材244との間に配置される第5流路部材245とを備える。また、凹状スペースSの右端より外側(右側)の下方に配置される第6流路部材246と、凹状スペースSの左端より外側(左側)の下方に配置される第7流路部材247とを備える。
【0052】
図12に示すように、第2流路部材242は、筐体201内の右側後方に設けられて右側から左側に検体Lを流す平面視台形の流路部材である。第2流路部材242は、幅の広い右側端部242aが幅の狭い左側端部242bよりも高くなるように右端側が支持部材を介して底板201bに固定され、左端側が底板201bに直接固定され、凹凸のない傾斜面242cを有している。傾斜面242cは流路の上流側となる右側端部242aから下流側となる左側端部242bに亘って設けられている。第2流路部材242の傾斜面242c上を検体Lが流れる方向に対して垂直な断面において、第2流路部材242は、水平方向の両端部が上方へ折れ曲がった形状の端部242dを有する。このような断面形状によって、開口、間隙または上流側の第1流路部材241から落下する検体Lを第2流路部材242にて受けたときに検体Lが跳ね返って流路の外側へ飛び散ることを抑制できる。
【0053】
第2流路部材242は、右側端部242aも上方へ折れ曲がった形状を有する。第2流路部材242の左側端部242bは、平面視で第1排出口201bsと重なる位置まで延びている。第2流路部材242の傾斜面242cは、水平を0°としたときに3°の傾斜角度を有している。傾斜面242cの傾斜角度は3°に限定されず、1~10°の範囲であることが好ましい。傾斜面242cの傾斜角度が1~10°であれば、第2流路部材242によって受けた検体Lを速やかに回収容器250へ流すことができると共に、検体ラック搬送装置200の高さを低く抑えることができる。言い換えると、傾斜面242cの傾斜角度が1°を下回る場合は第2流路部材242上に検体Lが溜まりやすくなり、傾斜面242cの傾斜角度が10°を超える場合は検体ラック搬送装置200の全高が高くなり、検体分析装置100の大型化につながる。
【0054】
図12に示すように、第2流路部材242の傾斜面242cは、第6開口205sa、第7開口205scおよび第8開口205sd(
図5参照)の下方に配置されている。また、第1間隙206saおよびスタートストッカ領域202sの後端の起立面203arと垂下面201arとの間隙の下方に配置されている。第6開口205sa、第7開口205sc、第8開口205sdおよび第1間隙206saと傾斜面242cとの間に第1移動機構部210の構成部品は存在しない。そのため、
図11に示すように第6開口205sa、第7開口205sc、第8開口205sd、第1間隙206saを通じて筐体201内に浸入した検体Lは、傾斜面242c上に落下し、傾斜面242cを流れて第1排出口201bsを通って回収容器250に回収される。
また、傾斜面242cは、スタートストッカ領域202sの後端の起立面203arと垂下面201arとの間隙の下方に配置され、その間隙と傾斜面242cとの間に第1移動機構部210の構成部品は存在しない。そのため、前述の間隙を通じて筐体201内に浸入した検体Lは、傾斜面242c上に落下し、傾斜面242cを流れて第1排出口201bsを通って回収容器250に回収される。
第2流路部材242は、複数の開口(第6開口205sa、第7開口205scおよび第8開口205sd)や間隙(第1間隙206saおよびスタートストッカ領域202sの後端の起立面203arと垂下面201arとの間隙)からの検体Lを受けて回収容器250に流す。そのため、それぞれの開口および間隙に対して流路部材を設ける場合に比べて流路部材の数が低減でき、検体ラック搬送装置200の部品点数の低減に寄与する。
【0055】
第1流路部材241は、筐体201内の右端前方に設けられて前側から後側に検体Lを流す平面視長方形の流路部材である。第1流路部材241は、前側端部241aが後側端部241bよりも高くなるように支持部材を介して底板201bに固定されており、凹凸のない傾斜面241cを有している。傾斜面241cは流路の上流側となる前側端部241aから下流側となる後側端部241bに亘って設けられている。第1流路部材241の傾斜面241c上を検体Lが流れる方向に対して垂直な断面において、第1流路部材241は、水平方向の両端部が上方へ折れ曲がった形状の端部241dを有する。このような断面形状によって、開口から落下する検体Lを第1流路部材241にて受けたときに検体Lが跳ね返って流路の外側へ飛び散ることを抑制できる。第1流路部材241の後側端部241bは第2流路部材242の傾斜面242cよりも高い位置にあり、平面視で両者が重なる位置まで延びている。つまり、第1流路部材241および第2流路部材242は、第1流路部材241から第2流路部材242へ検体Lの引き継ぎが可能なように互いに段違いに配置されている。なお、第1流路部材241の傾斜面241cの後側端部241bが、第2流路部材242の傾斜面242cの右側端部242a段差なく当接するように、第2流路部材242および第1流路部材241を配置してもよい。
【0056】
第1流路部材241の傾斜面241cは、水平を0°としたときに3°の傾斜角度を有している。傾斜面241cの傾斜角度は3°に限定されず、上述したように1~10°の範囲であることが好ましい。
第2流路部材242および第1流路部材241により、一組の流路部材が構成されている。第2流路部材242および第1流路部材241により構成される一組の流路部材は、上述のとおり、平面視において非直線状に配置されている。これにより、流路部材が前後方向または左右方向に長くなることを抑制することができ、検体ラック搬送装置200が必要とする設置面積を抑制することができる。なお、非直線状の流路部材は、複数の部材により構成されることには限定されず、単一の部材により構成されてもよい。
【0057】
第1流路部材241の傾斜面241cは、第1開口204sa(
図5参照)の下方に配置されている。第1開口204saと傾斜面241cとの間に第1移動機構部210の構成部品は存在しない。そのため、
図11に示すように、第1開口204saを通じて筐体201内に浸入した検体Lは、傾斜面241c上に落下し、傾斜面241cを流れて第2流路部材242の傾斜面242cに受けられる。さらに、傾斜面242cを流れた検体Lは、第1排出口201bsを通って回収容器250に回収される。
【0058】
第5流路部材245は、筐体201内の左端の前後方向における中央部から第2排出口201be向かって左右に延びて左側から右側に検体Lを流す平面視長方形の流路部材である。第5流路部材245は、左側端部245aが右側端部245bよりも高くなるように左端側が支持部材を介して底板201bに固定され、右端側が底板201bに直接固定され、凹凸のない傾斜面245cを有している。この傾斜面245cは流路の上流側となる左側端部245aから下流側となる右側端部245bに亘って設けられている。第5流路部材245の傾斜面245c上を検体Lが流れる方向に対して垂直な断面において、第5流路部材245は、水平方向の両端部が上方へ折れ曲がった形状の端部245dを有する。このような形状によって、開口や上流側の第3流路部材243および第4流路部材244から落下する検体Lを第5流路部材245にて受けたときに検体Lが跳ね返って流路の外側へ飛び散ることを抑制できる。第5流路部材245は、左側端部245aも上方へ折れ曲がった形状を有する。第5流路部材245の右側端部245bは、平面視で第2排出口201beの前後方向における中央部と重なる位置まで延びている。第5流路部材245の傾斜面245cは、水平を0°としたときに3°の傾斜角度を有している。傾斜面245cの傾斜角度は3°に限定されず、上述したように1~10°の範囲であることが好ましい。
第5流路部材245の傾斜面245cは、第4開口204ebの中央部の下方に配置されている。第4開口204ebと傾斜面245cとの間に第3移動機構部230の構成部品は存在しない。そのため、第4開口204ebの中央部を通じて筐体201内に浸入した検体Lは、傾斜面245c上に落下し、傾斜面245cを流れて第2排出口201beを通って回収容器250に回収される。
【0059】
第3流路部材243は、筐体201内の左側後方に設けられて後側から前側へ検体Lを流す平面視長方形の流路部材である。第3流路部材243は、第3流路部材243の後側端部243aが前側端部243bよりも高くなるように支持部材を介して底板201bに固定されており、凹凸のない傾斜面243cを有している。傾斜面243cは流路の上流側となる後側端部243aから下流側となる前側端部243bに亘って設けられている。第3流路部材243の傾斜面243c上を検体Lが流れる方向に対して垂直な断面において、第3流路部材243は、水平方向の両端部が上方へ折れ曲がった形状の端部243dを有する。第3流路部材243は、後側端部243aも上方へ折れ曲がった形状を有する。このような形状によって、開口から落下する検体Lを第3流路部材243にて受けたときに検体Lが跳ね返って流路の外側へ飛び散ることを抑制できる。第3流路部材243の前側端部243bは第5流路部材245の傾斜面245cよりも高い位置にあり、平面視で両者が重なる位置まで延びている。つまり、第3流路部材243および第5流路部材245は、第3流路部材243から第5流路部材245へ検体Lの引き継ぎが可能なように互いに段違いに配置されている。なお、第3流路部材243の傾斜面243cの前側端部243bが、第5流路部材245の傾斜面245cの左側端部245aに段差なく当接するように、第5流路部材245および第3流路部材243を配置してもよい。第3流路部材243の傾斜面243cは、水平を0°としたときに3°の傾斜角度を有している。傾斜面243cの傾斜角度は3°に限定されず、上述したように1~10°の範囲であることが好ましい。
【0060】
第3流路部材243の傾斜面243cは、第9開口205ebおよび第10開口205ec(
図4C参照)の下方に配置されている。また、左側壁部202ebと垂下面201ebとの間の第4開口204ebの中央部から後方にかけての下方に配置されている。第4開口204eb、第9開口205ebおよび第10開口205ecと傾斜面243cとの間に第3移動機構部230の構成部品は存在しない。そのため、
図11に示すように、第4開口204eb、第9開口205ebおよび第10開口205ecを通じて筐体201内に浸入した検体Lは、傾斜面243c上に落下し、傾斜面243cを流れて第5流路部材245の傾斜面245cに受けられる。さらに、傾斜面245cを流れて第2排出口201beを通って回収容器250に回収される。
第3流路部材243は、複数の開口(第4開口204eb、第9開口205ebおよび第10開口205ec)からの検体Lを受けて下方に流すため、それぞれの開口に対して流路部材を設ける場合に比べて流路部材の数が低減でき、検体ラック搬送装置200の部品点数の低減に寄与する。
【0061】
第4流路部材244は、筐体201内の左側前方に設けられて前側から後側へ検体Lを流す平面視長方形の流路部材である。第4流路部材244は、第4流路部材244の前側端部244aが後側端部244bよりも高くなるように支持部材を介して底板201bに固定されており、凹凸のない傾斜面244cを有している。傾斜面244cは上流側となる前側端部244aから下流側となる後側端部244bに亘って設けられている。第4流路部材244の傾斜面244c上を検体Lが流れる方向に対して垂直な断面において、第4流路部材244は、水平方向の両端部が上方へ折れ曲がった形状の端部244dを有する。このような形状によって、開口から落下する検体Lを第4流路部材244にて受けたときに検体Lが跳ね返って流路の外側へ飛び散ることを抑制できる。第4流路部材244の後側端部244bは第5流路部材245の傾斜面245cよりも高い位置にあり、平面視で第5流路部材245の傾斜面245cと重なる位置まで延びている。つまり、第4流路部材244および第5流路部材245は、第4流路部材244から第5流路部材245へ検体Lの引き継ぎが可能なように互いに段違いに配置されている。なお、第4流路部材244の傾斜面244cの後側端部244bが、第5流路部材245の傾斜面245cの左側端部245aに段差なく当接するように、第5流路部材245および第4流路部材244を配置してもよい。第4流路部材244の傾斜面244cは、水平を0°としたときに3°の傾斜角度を有している。傾斜面244cの傾斜角度は3°に限定されず、上述したように1~10°の範囲であることが好ましい。
【0062】
第4流路部材244の傾斜面244cは、左側壁部202ebと筐体201の垂下面201ebとの間の第4開口204eb(
図4C参照)の中央部から前方にかけての下方に配置されている。第4開口204ebと傾斜面244cとの間に構成部品は存在しない。そのため、
図12に示すように、第4開口204ebを通じて筐体201内に浸入した検体Lは、傾斜面244c上に落下し、傾斜面244cを流れて第5流路部材245の傾斜面245cに受けられ、さらに、傾斜面245cを流れて第2排出口201beを通って回収容器250に回収される。
【0063】
第5流路部材245および第3流路部材243により、一組の流路部材が構成されている。第5流路部材245および第3流路部材243により構成される一組の流路部材は、上述のとおり、平面視において非直線状に配置されている。また、第5流路部材245および第4流路部材244により、一組の流路部材が構成されている。第5流路部材245および第4流路部材244により構成される一組の流路部材も、上述のとおり、平面視において非直線状に配置されている。これにより、流路部材が前後方向または左右方向に長くなることを抑制することができ、検体ラック搬送装置200が必要とする設置面積を抑制することができる。なお、非直線状の流路部材は、複数の部材により構成されることには限定されず、単一の部材により構成されてもよい。
また、第5流路部材245が、第5流路部材245および第3流路部材243により構成される一組の流路部材と、第5流路部材245および第4流路部材244により構成される一組の流路部材とに共用されることにより、それぞれの流路の組を個別に設ける場合に比べて流路部材の数が低減でき、検体ラック搬送装置200の部品点数の低減に寄与する。
【0064】
第3排出口201bcは、凹状スペースSの前端部を除く領域の真下に位置するので、マニュアルモードにおいて、凹状スペースSの上方または内部でこぼれた尿検体は、下方の回収容器250へ直接落下して回収される。例えば、マニュアルモードにおいてオペレータが、凹状スペースSの前端部を除く領域に位置する吸引ノズル101abに検体容器を進入させようとしたところ、操作を誤って検体容器から尿検体をこぼしたとする。その場合、検体Lは凹状スペースSの前端部を除く領域に設けられた第3排出口201bcの下方に露出する回収容器250へ落下して回収される。
【0065】
第6流路部材246は、底板201bに固定されており、第3排出口201bcの右側開口端縁から右斜め上の方向に傾斜して立ち上がる傾斜プレートである(
図9および
図11参照)。第6流路部材246の上端は、第2開口204sb(
図4C参照)よりも右方に配置され、下端は、第3排出口201bcの右端よりやや内側(左側)に配置されている。また、第6流路部材246の前後方向の長さは、第2開口204sbの前後方向の長さよりも長い。そのため、検体Lがスタートストッカ領域202sから第2開口204sbを通って落下した場合、検体Lは第6流路部材246に沿って流れ落ち、第3排出口201bcを通って回収容器250に回収される(
図11参照)。
【0066】
第7流路部材247は、底板201bに固定されており、第3排出口201bcの左側開口端縁から左斜め上の方向に傾斜して立ち上がる傾斜プレートである。第7流路部材247の上端は、第3開口204eaおよび第2間隙206eaよりも左方に配置され、下端は、第3排出口201bcの左端よりもやや内側(右側)に配置されている。また、第7流路部材247の前後方向の長さは、前方の第3開口204eaから後方の第2間隙206eaにかけての前後方向の長さよりも大きい。そのため、検体Lがエンドストッカ領域202eから第3開口204ea、第2間隙206eaの少なくとも何れかを通って落下した場合、検体Lは第7流路部材247に沿って流れ落ち、第3排出口201bcを通って回収容器250に回収される(
図11参照)。
【0067】
第4排出口201baは、回収容器250の上方に配置されている。第4排出口201baは、第11開口205taおよび第13開口205tc(
図7参照)の下方に配置されている。第11開口205taおよび第13開口205tcを通じて筐体201内に浸入した検体Lは、第4排出口201baを通って回収容器250に回収される。第5排出口201bbは、回収容器250の上方に配置されている。第5排出口201bbは、第12開口205tbおよび第14開口205td(
図7参照)の下方に配置されている。第12開口205tbおよび第14開口205tdを通じて筐体201内に浸入した検体Lは、第5排出口201bbを通って回収容器250に回収される。
【0068】
上記のとおり、第1実施形態による検体ラック搬送装置200は、検体容器Cを保持する検体ラックRを載置面202p上で搬送する搬送機構部2000を備える。また、載置面202p上で検体容器からこぼれた検体Lを受けて流す第1流路部材241~第7流路部材247と、流路部材を流れた検体Lを回収する回収容器250とを備える。
この構成によれば、載置面上で検体容器から検体がこぼれても、検体容器からこぼれた検体によって必要となる清掃の工数を軽減することができる。
【0069】
第1流路部材241~第7流路部材247は、筐体201とテーブル202との間の開口である第1開口204sa~第4開口204ebおよび第6開口205sa、起立面に設けられた第7開口205sc~第10開口205ec、第1間隙206sa、第2間隙206eaおよび起立面203arと垂下面201arとの間隙(
図4Cおよび
図5参照)の何れかを通過した検体Lを受ける。載置面202p上で転倒によりこぼれた検体Lは、それらの開口または間隙を通って筐体201内に浸入する可能性が高い。第1流路部材241~第7流路部材247を設けることによって、検体Lを受けて流し回収容器250に回収することができる。
第1流路部材241~第7流路部材247は、第1開口204sa~第4開口204ebおよび第6開口205sa~第10開口205ec、第1間隙206sa、第2間隙206eaおよび起立面203arと垂下面201arとの間隙の下方に配置される。この構成により、第1流路部材241~第7流路部材247は、それらの開口または間隙から自然落下する検体を受けることができる。よって、別途、開口または間隙から第1流路部材241~第7流路部材247に検体Lを流す部材を設ける必要がなくなる。
【0070】
第1流路部材241~第5流路部材245は、検体Lを流すための傾斜面241c~245cを有する。第6流路部材246および第7流路部材247は第3排出口201bcの左右両端から斜め上の方向に傾斜して立ち上がる面を有する。この構成により、検体Lを流すためのポンプ等の動力源を設ける必要がなくなる。
起立面に設けられた第7開口205sc~第10開口205ecの下端は、載置面202pよりも高い位置にある。この構成により、載置面202p上でこぼれた検体Lが第7開口205sc~第10開口205ecを通って筐体201内に浸入することを抑止することができる。
【0071】
第1実施形態による検体分析装置100に用いられる検体ラック搬送装置200は、回収容器250の少なくとも一部の上方が開放されている。測定装置101は、回収容器250の上方が開放されている位置に吸引ノズル101abを位置させることができる。この構成により、検体を吸引ノズル101abで吸引する際にオペレータが操作を誤って検体容器から検体をこぼしたとしても、吸引ノズル101abの下方にある回収容器250に検体Lが落下するので、検体Lを容易に回収することができる。
第1実施形態による検体分析装置100は、検体ラックRの搬送動作を制御する動作制御部101e(
図1B参照)が測定装置101に設けられている。この構成により、検体ラック搬送装置200の側に動作制御部を設ける必要がなくなり、検体によって動作制御部が故障するリスクを軽減することができる。
【0072】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態における第1流路部材241~第5流路部材245は、それらの流路部材上を検体が流れる方向に対して垂直な断面において、水平方向の両側の端部が上方へ湾曲した形状であってもよい。第1流路部材241~第5流路部材245は、検体Lが流れる方向に対して垂直な断面において、例えば、半円管形状、半楕円管形状、横断面V字形状等の断面に形成されてもよい。第1流路部材241~第5流路部材245をこのような形状とすることによって、開口または間隙から落下する検体Lを流路部材にて受けたときに検体Lが跳ね返って流路の外側へ飛び散ることを抑制できる。
【0073】
(第2実施形態)
図13は第2実施形態の検体ラック搬送装置のテーブルの開口に設けられた垂下部を示す模式的な概略縦断面図である。
図13において、
図11中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
図13に示すように、第2実施形態の検体ラック搬送装置200は、載置面202pに開口204xが設けられている。開口204xの下方には流路部材240xが設けられ、流路部材240xの下流端には流路部材240yが設けられている。これにより、開口204xを介して筐体201内に浸入した検体Lは、流路部材240xによって受けられ、流路部材240yを流れ、底板201bに設けられた排出口201bxを通って回収容器250に回収される。
【0074】
さらに、開口204xの縁には載置面202pから下方へ折れ曲がった形状の垂下部204xaが設けられている。垂下部204xaは流路部材240xの上方に設けられる。
【0075】
この構成によれば、検体Lが垂下部204xaを伝って流路部材240x上に落下するように流すことができる。言い換えると、垂下部204xaによって検体Lのしずくが載置面202pの裏面側(下面側)に伝わらないようにすることができる。そのため、載置面202pの下方に配置された搬送機構部2000の構成部品、特に電気部品(例えば、モータM)上へ検体Lのしずくが垂れ落ちる可能性をさらに低減することができる。
【0076】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態における垂下部204xa(
図13参照)は載置面202pに対して直角方向に折れ曲がっているが、垂下部204xaが起立面203ar側(モータMと反対側)に傾斜してもよい。あるいは、垂下部204xaの下端を少し起立面203ar側(モータMと反対側)に湾曲させてJ字形に形成してもよい。この構成によれば、開口204xから落下する検体Lを載置面202pの下方に配置される搬送機構部2000の構成部品、特に電気部品(例えば、モータM)からより離れた位置で流路部材240xに受けることができる。したがって、流路部材240x上に落下した検体Lが飛散した場合に、その飛沫が電気部品に接触する可能性を低減することができる。
【0077】
(第3実施形態)
図14は第3実施形態の検体ラック搬送装置の複数の流路部材の配置を説明する上方から見た概略横断面図である。
図14において、
図12中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
図14に示すように、第3実施形態の検体ラック搬送装置では、筐体201内に設けられた複数の流路部材および筐体201の底板201bについての構成が第1実施形態と異なる。以下、第3実施形態における第1実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0078】
第1実施形態の検体ラック搬送装置200(
図12参照)の流路部材の配置は、適宜変更可能である。例えば、第3実施形態では
図14に示すように、流路部材を載置面202pの外周部に沿って配置している。
図14に示す例において、筐体201の内側の右端部の前端から後端まで、後端部の右端から左端まで、左端部の後端から前端まで、および前端部の左側付近の一部に沿って第11流路部材341~第14流路部材344が配置されている。それぞれの流路部材は、直線的にかつ異なる方向に検体Lを流すように設けられている。さらに、底板201bには、中央に設けられた第3排出口201bcの他に、第3排出口201bcの左側前方に排出口201bzが設けられている。
【0079】
右端部において前端から後端へ延びる第11流路部材341は、後側端部341aが第12流路部材342の右側端部342a上に位置するように配置され、底板201bに設けられた支持部材を介して固定されている。後端部において右端から左端へ延びる第12流路部材342は、左側端部342bが第13流路部材343の後側端部343a上に位置するように配置され、底板201bに設けられた支持部材を介して固定されている。左端部において後端から前端へ延びる第13流路部材343は前側端部343bが第14流路部材344の左側端部344a上に位置するように配置され、底板201bに設けられた支持部材を介して固定されている。前端部において左端から右端へ向けて延びる第14流路部材344は、平面視でその右側端部344bが排出口201bzと重なる位置に配置されるように、底板201bに設けられた支持部材を介して固定されている。これら第11流路部材341~第14流路部材344は、第1開口204sa、第4開口204ebおよび第6開口205sa~第10開口205ec、第1間隙206saおよび起立面203arと垂下面201arとの間隙の下方に配置されている。
【0080】
第11流路部材341~第14流路部材344は、検体Lを流す凹凸のない傾斜面をそれぞれ有し、検体Lの引き継ぎが可能なように互いに段違いに配置されている。第11流路部材341~第14流路部材344の各傾斜面は水平を0°としたときに3°の傾斜角度を有している。各傾斜面の傾斜角度は3°に限定されず、上述したように1~10°の範囲であることが好ましい。第11流路部材341~第14流路部材344は、それらの傾斜面上を検体Lが流れる方向に対して垂直な断面において、水平方向の両端部が上方へ折れ曲がった形状を有する。第11流路部材341~第14流路部材344は、それらの傾斜面上を検体Lが流れる方向にして垂直な断面において、水平方向の両端部が上方へ湾曲してもよく、V字形に屈曲してもよい。第11流路部材341、第13流路部材343および第14流路部材344はそれぞれ一定の幅で形成されている。第12流路部材342は、第11開口205taおよび第12開口205tbの下方に配置される幅の広い幅広部分342cを有している。あるいは、第12流路部材342は、幅広部分342cの幅に合わせて全体が一定の幅で形成されてもよい。
【0081】
第3実施形態によれば、第11流路部材341~第14流路部材344を載置面202pの外周部に沿って配置することができる。そのため、第11流路部材341~第14流路部材344の内側に広いスペースを確保しやすくなる。第11流路部材341~第14流路部材344のうち、第11流路部材341は最も高い位置に配置される。そのため、例えば、第1移動機構部210の構成部品(例えば、第1モータ211)の上方に第11流路部材341を干渉させずに配置して検体Lを受け流すことができる。つまり、底板201b上の右側スペースに構成部品を設置できると共に、さらにその構成部品の上方スペースに第11流路部材341を設置することができるため、筐体201内のスペースのさらなる有効活用が可能となる。
【0082】
(第3実施形態の変形例)
第3実施形態における第11流路部材341~第14流路部材344を互いに隣接させて接合一体化することにより1つの流路部材を構成してもよい。この場合、1つの流路部材は傾斜している。
【0083】
(第4実施形態)
第1実施形態では、第11開口205ta~第14開口205tdの下方に流路部材が配置されていない。しかし、第1移動機構部210~第3移動機構部230の上方に、かつ、第1開口204sa、第4開口204eb、第6開口205sa~第10開口205ecおよび第11開口205ta~第14開口205tdの下方に、第1流路部材241~第5流路部材245の全てまたは少なくとも一部を配置してもよい。
【0084】
(他の実施形態)
1.上述の実施形態では、載置面および起立面に開口を設けると共に、載置面と起立面との間隙、載置面と筐体との間または起立面と筐体との間に開口または間隙がある場合を例示したが、これに限定されない。例えば、載置面のみまたは起立面のみに開口を設けてもよく、あるいは筐体との間の間隙のみがあってもよい。流路部材は、少なくとも1つの開口または間隙を通って落下する検体を受けるように少なくとも1つ設けられればよい。
【0085】
2.上述の実施形態では、全ての流路部材が傾斜面を有するものであったが、これに限定されない。例えば、第1実施形態における第2流路部材242および第5流路部材245はそれぞれ傾斜面を有さないもの(検体を受ける面が水平面)であってもよい。この場合、第2流路部材242は、その上流側端部(右側端部242a)は閉じており、下流側端部(左側端部242b)は開放して検体を放出する形状であるため、第2流路部材242上にある程度溜まった検体は自然と第1排出口201bsに流れ込んで回収容器250に回収される。第5流路部材245は、その上流側端部(左側端部245a)は閉じており、下流側端部(右側端部245b)は開放して検体を放出する形状であるため、第5流路部材245上にある程度溜まった検体は自然と第2排出口201beに流れ込んで回収容器250に回収される。さらには、第1流路部材241、第3流路部材243および第4流路部材244もそれぞれ傾斜面を有さないもの(検体を受ける面が水平面)であってもよい。さらにこの場合、第2流路部材242と第1流路部材241は段違いに形成されてもよく、あるいは第2流路部材242と第1流路部材241とは一体化されて1つの流路部材を構成してもよい。これと同様に、第5流路部材245に対して第3流路部材243および第4流路部材244は段違いに形成されてもよく、あるいは第4流路部材244および第5流路部材245は一体化されて1つの流路部材を構成してもよい。
【0086】
3.第1実施形態では、第1~第3移動機構部の動力伝達機構としてプーリ・ベルト機構を用いた構成を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、ボールネジ機構、ラック・ピニオン機構、リニアモータ等を用いてもよい。また、第1実施形態では、第1~第3移動機構部の移動部として、移動爪217、218、係止爪223、224、移動アーム231を用いた構成を例示したが、一部が載置面202p上に配置され、検体ラックRの底面と接触して検体ラックRを移動させるように構成された搬送ベルトを用いてもよい。
4.上述の実施形態では、尿中に含まれる有形成分を測定する尿分析装置について説明したが、これに限定されるものではなく、血液凝固分析装置、免疫分析装置、生化学分析装置、血球計数装置、遺伝子検査装置等、他の検体分析装置であってもよい。
5.上述の実施形態では、搬送機構部2000は、その一部のみが載置面202pの下方に配置されているが、搬送機構部2000の全てが載置面202pの下方に配置されていてもよい。
【0087】
この発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0088】
100:検体分析装置、 101:測定装置、 101a:吸引部、 101b:操作部、 101c:試料調製部、 101d:検出部、 101e:動作制御部、 101f:分析制御部、 200:検体ラック搬送装置、 201:筐体、 201ar,201sa,201ea,201sb,201eb,201ec:垂下面、 201b:底板、 201bs:第1排出口、 201be:第2排出口、 201bc:第3排出口、 201ba:第4排出口、 201bb:第5排出口、 201a:外周部、 201aw:外壁部、 201au:上面部、 202:テーブル、 202s:スタートストッカ領域、 202t:搬送領域、 202e:エンドストッカ領域、 202p:載置面、 203ar,203sb,203ea,203eb:起立面、 204sa:第1開口、 204sb:第2開口、 204ea:第3開口、 204eb:第4開口、 204ec:第5開口、 205sa:第6開口、 205sc:第7開口、 205sd:第8開口、 205eb:第9開口、 205ec:第10開口、 205ta:第11開口、 205tb:第12開口、 205tc:第13開口、 205td:第14開口、 206sa:第1間隙、 206ea:第2間隙、 210:第1移動機構部、 220:第2移動機構部、 230:第3移動機構部、 231:移動アーム、 241:第1流路部材、 242:第2流路部材、 243:第3流路部材、 244:第4流路部材、 245:第5流路部材、 246:第6流路部材、 247:第7流路部材、 250:回収容器、 260:識別情報読取部、 341:第11流路部材、 342:第12流路部材、 343:第13流路部材、 344:第14流路部材、 2000:搬送機構部、 B:ラベル、 C:検体容器、 L:検体、 R:検体ラック