(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163900
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20231102BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20231102BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075112
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】506201518
【氏名又は名称】株式会社ラーニングエージェンシー
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】眞▲崎▼ 大輔
(72)【発明者】
【氏名】前田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏志
(72)【発明者】
【氏名】土屋 典子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 佳純
(72)【発明者】
【氏名】青山 結
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 光輝
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA08
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】講師候補者が講師研修を受講する上で、自身に適したデビューテーマを講師候補者が選択できるようにする。
【解決手段】サーバ10は、背景情報取得部121、現在評価値取得部123、テーマ判定部124を備える。背景情報取得部121は、1以上の研修テーマの研修を受講することにより講師の人材育成が施される場合における当該人材育成のための講師候補者について、例えば年齢、性別等の複数種類の属性及び例えば業務経験、経験業界、学習経験等の複数種類の経験のうち少なくとも一部の内容を示す情報を、背景情報として取得する。現在評価値取得部123は、講師候補者について、ビジネス基礎力診断テストの現時点のスコアを現在評価値として取得する。テーマ判定部124は、講師候補者の背景情報及び現在評価値に基づいて、1以上の研修テーマの中から、最初に受ける研修のテーマとして適切なものを1以上判定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のテーマの受講により所定の人材育成が施される場合における当該人材育成のための講師候補について、複数種類の属性及び複数種類の経験のうち少なくとも一部の内容を示す情報を、背景情報として取得する背景情報取得手段と、
前記講師候補について、ビジネスに関する能力の現時点の評価値を現在評価値として取得する現在評価値取得手段と、
前記講師候補の前記背景情報及び前記現在評価値に基づいて、前記1以上のテーマの中から、最初に受ける研修のテーマとして適切なものを1以上判定するテーマ判定手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記テーマ判定手段は、前記講師候補の前記現在評価値に基づいて、講師としての複数種類の基礎スキルの夫々の到達度合を判定し、当該複数種類の基礎スキルの夫々の到達度合、及び前記背景情報に基づいて、前記1以上のテーマの中から、最初に受ける研修のテーマとして適切なものを1以上判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ビジネスに関する能力の評価値は、前記複数種類の基礎スキルを評価するための複数の評価要素の値である、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記基礎スキルの到達度合の閾値を下回る講師候補に対して、前記複数種類の基礎スキルのうち、当該閾値に達していない基礎スキルの評価値を上げるために必要な施策をレコメンドするレコメンド手段、
をさらに備える請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置が実行する情報処理方法において、
1以上のテーマの受講により所定の人材育成が施される場合における当該人材育成のための講師候補について、複数種類の属性及び複数種類の経験のうち少なくとも一部の内容を示す情報を、背景情報として取得する背景情報取得ステップと、
前記講師候補について、ビジネスに関する能力の現時点の評価値を現在評価値として取得する現在評価値取得ステップと、
前記講師候補の前記背景情報及び前記現在評価値に基づいて、前記1以上のテーマの中から、最初に受ける研修のテーマとして適切なものを1以上判定するテーマ判定ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
1以上のテーマの受講により所定の人材育成が施される場合における当該人材育成のための講師候補について、複数種類の属性及び複数種類の経験のうち少なくとも一部の内容を示す情報を、背景情報として取得する背景情報取得ステップと、
前記講師候補について、ビジネスに関する能力の現時点の評価値を現在評価値として取得する現在評価値取得ステップと、
前記講師候補の前記背景情報及び前記現在評価値に基づいて、前記1以上のテーマの中から、最初に受ける研修のテーマとして適切なものを1以上判定するテーマ判定ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザの技能(スキル)を診断し、診断結果に基づく人材育成の支援を図る人材育成支援システムは存在する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の人材育成支援システムは、スキルを伸ばしたい受講者に対するものであり、受講者に研修を行う講師を育成するものではなかった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、講師になることを望む講師候補者が講師研修を受講する上で、講師候補者に適した研修のデビューテーマを講師候補者が選択できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態である情報処理装置は、
1以上のテーマの受講により所定の人材育成が施される場合における当該人材育成のための講師候補について、複数種類の属性及び複数種類の経験のうち少なくとも一部の内容を示す情報を、背景情報として取得する背景情報取得手段と、
前記講師候補について、ビジネスに関する能力の現時点の評価値を現在評価値として取得する現在評価値取得手段と、
前記講師候補の前記背景情報及び前記現在評価値に基づいて、前記1以上のテーマの中から、最初に受ける研修のテーマとして適切なものを1以上判定するテーマ判定手段と、
を備える。
本発明の一態様の上記情報処理装置に対応する情報処理方法及びプログラムも、本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、講師になることを望む講師候補者が講師研修を受講する上で、講師候補者に適した研修のデビューテーマを講師候補者が選択できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の情報処理装置の一実施形態のサーバを含む情報処理システムの全体構成を示している。
【
図2】
図1の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2のハードウェア構成を備えるサーバの機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】ビジネススキルの評価指標と対応付けた個々のユーザのスキルの評価結果の一例を示す図である。
【
図5】
図2、
図3のサーバに格納されている講師育成スキルマップの一例を示す図である。
【
図6】
図2、
図3のサーバにおいて、講師候補者の研修テーマの適正を判定する動作を示すフローチャートを示す図である。
【
図7】
図6のフローチャートで示される動作の概要を示す図である。
【
図8】講師として必要な最低スコア(閾値)が設定された閾値表の一例を示す図である。
【
図9】講師候補者の研修テーマの適正判定を行う事例[1-1]を示す図である。
【
図10】講師候補者の研修テーマの適正判定を行う事例[1-2]を示す図である。
【
図11】講師候補者の研修テーマの適正判定を行う事例[2-1]を示す図である。
【
図12】講師候補者の研修テーマの適正判定を行う事例[2-2]を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の情報処理システム1の全体構成を示している。
図1に示す情報処理システム1は、サーバ10と、n台(nは1以上の任意の整数値)の講師候補者端末20-1乃至20-nとが、インターネット等の所定のネットワークNWを介して相互に接続されることによって構成されている。
なお、以下、講師候補者端末20-1乃至20-nの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「講師候補者端末20」と呼ぶ。
【0010】
講師候補者端末20は、受講者毎に管理される情報処理装置であって、例えばタブレット端末やスマートフォン等で構成される。
サーバ10は、本サービス提供者により管理される。サーバ10は、講師候補者端末20-1乃至20-nの夫々の各動作を制御しつつ各種処理を実行する。
【0011】
本サービス提供者は、企業からの申し込みにより社員を受講者として研修に参加させて受講させたりオンライン研修等を行う人材育成サービスを実施する。また、サービス提供者は、受講者が受講した講座やオンライン研修の内容の理解度や習得度を確認するために当該受講者に対してテストを行い、そのテストの結果を評価して当該受講者に対して今後のアドバイス等を行う。
さらに、本サービス提供者は、企業或いはその企業内の部署等に属する複数の社員(受講者)の夫々のテストの結果に基づいて、当該企業或いは当該部署等に対し成長の支援を行うとともに、今後の成長の最適解を提示し、社会の発展に貢献できるようにする。
【0012】
また、本サービス提供者は、研修で受講者に講義を行う講師を育成する人材育成サービスを実施する。
この人材育成サービスでは、講師候補者は、1以上の研修テーマの中から所望の講師研修を選択して受講する。これにより講師としてのスキルが身に付くようになる。
本サービス提供者は、この講師研修における講師候補者について、複数種類の属性及び複数種類の経験のうち少なくとも一部の内容を示す情報を、背景情報として取得する。
また、講師候補者について、上述した受講者と同様にビジネス基礎力の診断テストを受験させて、現時点の評価値を現在評価値として取得する。
そして、本サービス提供者は、取得した講師候補者の背景情報及び現在評価値に基づいて、1以上の研修テーマの中から、最初に受ける研修テーマとして適切なものを1以上選定し、講師候補者に提示する。
これにより、講師候補者は、多数ある研修テーマの中から、自身に適した研修データを選択し、講師研修を受講できるようになる。
【0013】
ここで、具体的にビジネス基礎力の診断テスト(以下単に「テスト」と称す)について説明する。
本実施形態では、サーバ10は、次のように講師候補者端末20と連携してテストを実施する。
即ち、サーバ10は、先ずサーバ10に予め記憶されている複数の問題のうち1以上からなる問題を、講師候補者端末20に送信し、これら1以上の問題の夫々に対して受講者が入力した解答を受信する。
【0014】
テストは、サービス提供者により実施される。当該テストの問題は、講師候補者を含む受講者のビジネスにおける基礎的な力(ビジネス基礎力)を評価するためのものであり、サービス提供者により1以上のビジネスの評価対象のスキル毎及び夫々のスキルの1以上のテーマ毎に出題される。ビジネス基礎力とは、社会人として仕事を行う上で役に立つ技術又は能力をいう。
【0015】
ビジネス基礎力を評価するためのスキルとテーマとの関係について説明する。
スキルは、m個(mは1以上の任意の整数値)に定義され、さらに1以上のスキルの夫々にp個(pは、mとは独立した1以上の任意の整数値)のテーマが定義されている。
なお、ここで言うテーマとは、講師候補者が後に受講する講師研修の研修テーマとは異なるものである。
テストでは、当該テーマの夫々に関連する内容の問題が項目毎に出題される。
【0016】
講師候補者端末20は、サーバ10が送信したテストを受信する。そして、講師候補者は、講師候補者端末20を操作して、当該テストを構成する複数の問題の夫々について解答を入力する。
講師候補者端末20は、講師候補者が入力したテストの解答(各問題の解答の集合体)を、サーバ10に送信する。
【0017】
サーバ10は、講師候補者端末20-1乃至20-nの夫々からテストの解答が送信される毎に、当該回答を順次取得し採点を行う。また、サーバ10は、採点結果を項目毎に正規化し、これをスコアとして講師候補者毎に記憶し管理する。
【0018】
サーバ10は、講師候補者毎に管理しているスコアから、所定の母集団のスコアを抽出するための抽出条件を設定し記憶する。
なお、所定の母集団は、特に限定されず、例えば、講師候補者に関する各種属性情報のうち、所定の1以上の属性情報が一致する講師候補者からなる集団や、スコアが一定範囲内の講師候補者からなる集団等各種各様な集団を採用することができる。
なお、その前提として、サーバ10は、各講師候補者毎に、採点結果を示すスコアとともに、当該講師候補者の各種属性情報を対応付けて管理しているものとする。
この場合、所定の母集団のスコアを抽出するための抽出条件としては、例えば、同年齢、同性、スコアの値やスコアの範囲等を採用することができる。
【0019】
サーバ10は、所定の講師候補者のスコアと、当該所定の講師候補者が含まれる所定の母集団のスコアとを抽出し、両スコアを比較する。
具体的には、例えば当該所定の講師候補者のスコアと、当該所定の講師候補者が含まれる所定の母集団のスコアの平均値、最大値又は最小値とを比較することができる。
【0020】
また、サーバ10は、当該所定の講師候補者のスコアと当該所定の講師候補者が含まれる所定の母集団のスコアとをプロットしたグラフを、当該所定の講師候補者の講師候補者端末20の画面に表示させる。
【0021】
これにより、講師候補者は、講師候補者端末20の画面に表示されたグラフの、各スキルの各テーマ夫々についての当該講師候補者自身のスコアの値と、当該講師候補者が含まれる所定の母集団のスコアの値との分布から、当該講師候補者の現在のスキルと、過去のスキルとを比べた成長の度合いや講師としての育成効果を容易に視認することができる。
【0022】
図2は、
図1の情報処理システム1のうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0023】
サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、バス104と、入出力インターフェース105と、出力部106と、入力部107と、記憶部108と、通信部109と、ドライブ110と、を備えている。
【0024】
CPU101は、ROM102に記録されているプログラム、又は、記憶部108からRAM103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM103には、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0025】
CPU101、ROM102及びRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104にはまた、入出力インターフェース105も接続されている。入出力インターフェース105には、出力部106、入力部107、記憶部108、通信部109及びドライブ110が接続されている。
【0026】
出力部106は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部107は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。
【0027】
記憶部108は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部109は、インターネットを含むネットワークNWを介して他の装置(
図1の例では講師候補者端末20)との間で通信を行う。
【0028】
ドライブ110には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア111が適宜装着される。ドライブ110によってリムーバブルメディア111から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部108にインストールされる。
また、リムーバブルメディア111は、記憶部108に記憶されている各種データも、記憶部108と同様に記憶することができる。
【0029】
図3は、
図1の情報処理システムにおけるサーバの機能的構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、サーバ10の記憶部108(
図2)の一領域には、スキルDB141が設けられている。
スキルDB141には、講師候補者を含む受講者に関する情報と、受講者が現在までに受講した研修の実績やビジネス基礎力診断テストを受けた結果の実績等のログ(以下「受検ログ」と称す)とが記憶されている。
受講者に関する情報は、例えば企業等で就労する従業員が、自身のスキル向上のために、サービス提供者が開催する講座や研修等を受講するための情報であり、受講者に関する情報には、受講者が属する企業や業種等の情報が含まれる。
【0030】
受講者に関する情報に含まれる講師候補者情報としては、具体的には、講師になることを望む講師候補者が講師研修を受講する上で、講師候補者に適した研修のデビューテーマを講師候補者が選択できるようにするための元となる講師候補者情報が記憶されている。
【0031】
講師候補者情報には、講師候補者個人の属性として、年齢、性別等が含まれる。この他、講師候補者情報には、経歴等が含まれる。経歴は、例えば講師候補者の業務経験、経験業界、学習経験等の複数種類の経験である。
この他、講師候補者情報としては、例えば直近で実施したテストの当該講師候補者のスコア(現在のスコア(例えば
図4の例参照))がスキルDB141に記憶されている。
また、スキルDB141には、スキル別研修テーマリストや講師育成スキルマップ(
図5参照)等が記憶されている。スキル別研修テーマリストには、各スキル毎に研修テーマが設定されている。
【0032】
講師研修では、スキル別研修テーマリストの研修テーマの中から、講師候補者が受講する研修を受講することができる。研修テーマとしては、複数の研修が記憶されている。研修とは例えば研修プログラムを実施する研修会や講習会等が含まれており、複数の研修に複数の講師候補者が参加することが可能である。複数の研修夫々には1つ以上の研修テーマが対応している。
【0033】
スキルDB141には、サービス提供者が実施するテストに関する情報が記憶されている。テストに関する情報は、例えばテストの1以上の問題と夫々の問題に対する正解との組、講師候補者を含む個々の受講者のテスト結果(スキル項目毎の得点)やその総合的評価であるビジネス基礎力評価結果(スキル毎のスコア)、研修サービス利用企業及び受講者へのアンケートと、アンケートに対する回答、研修利用企業数、受講人数、階層教育に着手している企業数、研修テーマ別・階層別の受講人数、教育導入までの意思決定にかかるリードタイム、サービス利用者ID登録数等を含む人材育成ログ情報が記憶されている。
【0034】
スコアは、テストの項目毎の得点を、例えば5段階等で評価した数値(“1”から“5”)であり、1スキル毎に合計した数値も記憶されている。1スキルに5つの項目とした場合に1スキル25点満点とし、この場合の個々のスキル項目のスコアを合計した値等で、受講者のスキル毎の評価が示される。
【0035】
スキルDB141には、講師候補者や受講者が属する企業の情報(企業規模(人数)、組織構成(階層等)、部署、部門の配置等)が記憶されている。また、スキルDB141には、企業における従業員(受講者)夫々の情報(例えば従業員の氏名、年齢、入社年月日、在職年数、組織上の職位、役職等)が社員番号等の従業員の個人特定情報に紐づけて記憶されている。
なお、上記で示した1年前や数年前等の受検ログは一例であり、3年前であってもよく過去の実績であれば足りる。
この他、スキルDB141には、講座や研修を受講する企業の業績情報(例えば経済情報誌等で公開されている範囲の情報)が同業他社で比較可能に記憶されている。
【0036】
サーバ10のCPU101(
図2参照)においては、処理を実行する際に、
図3に示すように、背景情報取得部121と、テスト部122と、現在評価値取得部123と、テーマ判定部124と、レコメンド部125と、表示制御部126と、が機能する。
【0037】
背景情報取得部121は、1以上のテーマの受講により所定の人材育成(ビジネス基礎力向上のための研修等)が施される場合における当該人材育成のための講師候補者について、複数種類の属性及び複数種類の経験のうち少なくとも一部の内容を示す情報を、背景情報を取得する。複数種類の属性は、例えば性別、年齢、性別等である。複数種類の経験は、例えば業務経験、経験業界、学習経験等である。
具体的には、背景情報取得部121は、1以上のテーマの受講により研修が施される場合における当該研修のための講師候補者について、例えば個人の年齢、性別等の個人属性や、業務経験、経験業界、学習経験等といった経験のうち少なくとも一部の情報を、スキルDB141から読み出して背景情報として取得する。
【0038】
テスト部122は、対象者について、ビジネス基礎力の現時点の評価値(現在のスコア)を現在評価値として取得する。
具体的には、会社の組織に所属する1以上の社員や講師候補者の夫々についてのビジネス基礎力を示す情報が、講師候補者端末20を介して取得されて現在のスコアとしてスキルDB141に記憶されているので、テスト部122は、スキルDB141から当該現在のスコアを読み出して現在評価値として取得する。ビジネス基礎力を示す情報は、例えばビジネス基礎力を計るためのスキル(例えば
図8のP&C、C、T、BK等の評価要素)を評価するためのテーマ毎のテストのスコア等である。
テスト部122は、スキルDB141に予め記憶されている受検者(この場合は講師候補者)のスキル評価用の問題の中から、受検者(講師候補者)が講師候補者端末20を操作して解答をするための問題を、各テーマの項目毎に作成する。このようにして作成された各ビジネス基礎力のスキルの夫々のテーマ毎の問題と解答の集合体がテストである。
【0039】
テスト部122は、テストを、通信部109を介して講師候補者端末20に表示させることにより、受検者(講師候補者)に対しテストを出題する。
受検者(講師候補者)は、講師候補者端末20を操作することにより、テスト部122が出題したテストに対する解答(各問題毎の解答)を入力する。受検者(講師候補者)が入力した解答は、講師候補者端末20からサーバ10に対して送信される。
【0040】
テスト部122は、講師候補者端末20から送信されたテストの解答(各問題毎の解答の集合体)を、通信部109を介して取得する。
テスト部122は、取得したテストの解答を、所定の採点基準に基づいて各問題毎に採点する。
テスト部122は、各問題毎の採点の結果を、各スキルの各テーマ毎に正規化(5段階にスコア化)し、当該スコアをスキルDB141に評価結果として各テーマの項目名と紐付けて受検者(講師候補者)毎に記憶し管理すると共に、講師候補者情報の一つとして記憶する。
【0041】
テスト部122は、所定の講師候補者の講師候補者端末20からの評価提示要求(作表指示)に応じてスキルDB141で管理されている1以上の講師候補者のスコアの中から、所定の講師候補者のスコアと、当該所定の講師候補者が含まれる所定の母集団のスコアとを取得し表示制御部126へ出力する。なお、所定の講師候補者を第1講師候補と言い換える場合がある。
【0042】
なお、当該所定の母集団は、スキルDB141に予め記憶されている所定の抽出条件によって抽出される。具体的には例えば、上述したように、同年齢、同性、又は所定の講師候補者本人の過去のスコアのうち、任意の数(1も含む)の任意の組合せを所定の抽出条件とした母集団を抽出することができる。
【0043】
現在評価値取得部123は、所定の講師候補者について、ビジネスに関する能力の現時点の評価値を現在評価値として取得する。
具体的には、現在評価値取得部123は、スキルDB141の当該講師候補者の講師候補者情報の一部として記憶されているスコア、例えば直近で実施したテストの当該講師候補者のスコア(現在のスコア(例えば
図4の例参照))をスキルDB141から読み出して取得しテーマ判定部124へ出力する。
即ち、現在評価値取得部123は、講師候補者について、ビジネス基礎力診断テストの結果として、スキルDB141に記憶されている当該講師候補者のスコアを読み出し取得する。
【0044】
テーマ判定部124は、講師候補の背景情報及び現在評価値に基づいて、1以上のテーマの中から、最初に受けるべき研修のテーマとして適切なものを1以上判定する。
具体的には、テーマ判定部124は、講師候補者の、例えば年齢、性別等の個人の属性や業務経験、経験業界、学習経験等の複数種類の経験及びスキルDB141より読み出した当該講師候補者のテスト結果(現在のスコア)に基づいて、1以上のテーマの中から、最初に受けるべき研修のテーマとして適切なものを1以上判定する。
【0045】
より具体的には、テーマ判定部124は、講師候補者の現在評価値とスキルDB141に記憶されている到達度合の閾値(最低基準値)とを比較して、講師としての複数種類の基礎スキルの夫々の到達度合を判定し、講師に必要な複数種類のスキル(話の内容と表現力等)の夫々の到達度合(夫々のスキルが講師のレベルに達しているか否か、達していないとしたらどのくらいか等)、及び属性、経験等の経験に基づいて、スキルDB141に記憶されている1以上の研修テーマの中から、最初に受ける講師育成のための研修テーマとして適切なものを1以上判定する。なお、AIモデル等により研修テーマを判定してもよい。
【0046】
到達度合は、例えば基礎スキルの最低ライン以上に到達したと判断可能な下限の閾値(予め定めた基礎スキルの最低基準値)に何%達成しているか等)である。到達度合は、講師としての基礎スキルの最低ラインと自身のスコアがどの程度乖離しているかを示す指標とも言える。
これにより、講師候補者は、人材育成の研修の講師になるのに必要なスキルを磨くために必要な講師研修を受講するにあたり、講師候補者自身がどの研修テーマの講師研修から始めれば良いかを判断することができる。
なお、テーマ判定部124は、現在評価値が基礎スキルの到達度合の閾値を下回る講師候補者に対しては、最低基準値に達していない基礎スキルの評価値を上げるために必要な施策をレコメントするようレコメンド部125に指示する。
【0047】
レコメンド部125は、テーマ判定部124により判定された講師候補者が最初に受けるべき1以上の研修のテーマに対応する講師研修のレコメンド情報を、講師候補者にレコメンド(推薦)する。
具体的には、レコメンド部125は、テーマ判定部124により判定された講師候補者が初めに受講すべき1以上の研修のテーマに基づいて、スキルDB141から研修のテーマに対応する講師研修のレコメンド情報を読み出して、当該レコメンド情報を研修のテーマ名と共に表示制御部126へ出力する。
ここで、レコメンド情報は、講師候補者の1以上の属性(性別、年齢、職種、業種、役職等)とテスト部122によりスキルDB141から読み出された講師候補者の現在のスコアとに基づいて、生成された講師候補者が初めに受けるのに適した講師研修のテーマ(初めのテーマがどういったもので、そのテーマからレベルを上げて行くというもの)である。初めの研修テーマに予め対応付けられた講師研修の今後の受講計画等をリコメンドしてもよい。
なお、レコメンド部125は、現在評価値が基礎スキルの到達度合の閾値を下回る講師候補者に対しては、複数種類の基礎スキル(
図4参照)のうち、最低基準値に達していない基礎スキルの評価値を上げるために必要な施策(該当する研修のテーマや所定のテキストによる学習等)をレコメンドする。これにより、基礎スキルの到達度合の閾値を下回る講師候補についても講師を目指すための活路を見出すことができる。
最低基準値に達していない基礎スキルの評価値を上げるために必要な施策(該当する研修のテーマや所定のテキストによる学習等)については、予めスキルDB141に記憶されている施策の中から、該当する施策を読み出すものとする。
【0048】
表示制御部126は、レコメンド部125から出力されたレコメンド情報を講師候補者端末20の画面に表示させる制御を行う。
【0049】
また、表示制御部126は、レコメンド部125から出力される講師候補者の現在のスコアと理想のスコアとを円形の表示領域に夫々プロットした2つの折れ線グラフ(例えば
図4のレーダーチャート参照)を、通信部109を介して講師候補者端末20の画面に表示させる制御を行う。
この他、表示制御部126は、テスト部122により取得される講師候補者の現在のスコアと、当該講師候補者が含まれる所定の母集団のスコアとを円形の表示領域にプロットした2つの折れ線グラフ(例えば
図4参照)を重畳させて、通信部109を介して講師候補者端末20の画面に表示させる制御を行う。
【0050】
ここで、
図4を参照してビジネス基礎力を評価する指標について説明する。
ビジネス基礎力を評価する指標は、例えば
図4に示すグラフに示されるように、「ビジネス知識」(Business knowledge)、「プランニング&コントロール」(Planning & Control)、「シンキング」(Thinking)、「コミュニケーション」(Communication)等の4つのスキルに定義(カテゴリ分け)される。4つに定義(カテゴリ分け)された夫々のスキルには、スキル項目が設定されている。スキル項目は、夫々のスキルの評価要素の1つである。各スキルには、スキル項目毎に研修(講座)が設定される。
【0051】
例えば「ビジネス知識」のスキルのビジネス基礎力を計るためのスキル項目は、時事問題、法務・人事・労務、財務・経理、マーケティング、経営等がある。図示しないが、法務・人事・労務というスキル項目には、人事・労務、コンプライアンス等のサブ項目が含まれる。
【0052】
「プランニング&コントロール」のスキルのビジネス基礎力を計るためのスキル項目は、目的及び目標、計画、業務管理、振り返り・評価、改善等がある。図示しないが、目的及び目標というスキル項目には、目的思考というサブ項目が含まれる。また、計画というスキル項目には、アクションプラン立案というサブ項目が含まれる。
【0053】
「シンキング」のスキルのビジネス基礎力を計るためのスキル項目は、数的処理、思考法活用、情報収集、課題設定、解決策立案等がある。図示しないが、思考法活用というテーマには、要素分解力というサブテーマが含まれる。
【0054】
「コミュニケーション」のスキルのビジネス基礎力を計るためのスキル項目は、ネゴシエーション、文書伝達、口頭伝達、傾聴、ビジネスマナー等がある。図示しないが、文書伝達というスキル項目には、スライド作成力というサブ項目が含まれる。
【0055】
ここでビジネススキルを評価するためのスキルのカテゴライズの仕方(分け方)について説明する。
スキルは、人材育成において成長するために必要なスキルを体系化して大きく4つに分けられる。
人が成果を出すためには、計画性・実行力「プランニング&コントロール」が必要となる。この計画性・実行力を上げるためには意思や判断等の考え方「シンキング」、人間関係を構築するコミュニケーション力「コミュニケーション」、前提となる知識「ビジネス知識」が同時に必要である。
このように4つのスキルに分けてビジネス基礎力を診断することで、診断対象者の持っているスキルの特長が見え易くなる。
【0056】
ビジネス基礎力は、個々のスキル項目の単位、又は複数のテーマで1つ設定される講座の単位で、受講者が研修を受講することにより、受講者のビジネススキルの向上が図られる。
受講者が研修を受講するにあたり、受講前と受講中及び受講後等にビジネス基礎力診断テストが実施される。
【0057】
ここで、
図5を参照して講師育成スキルマップについて説明する。
図5は、
図2、
図3のサーバに格納されている講師育成スキルマップの一例を示す図である。
【0058】
図5に示す講師育成スキルマップは、大項目、中項目、小項目、記載内容、レベル1、レベル2、レベル3、レベル4等の項目が設けられており、夫々の内容の達成度合いに応じたレベルが講師候補者に付与される。
例えば講師育成スキルマップの一番初めの大項目は、講師候補者が実際に受講者(講義の内容を評価する人等)に対して行った研修の話の内容の項目である。中項目は、話の内容についての現状と今後である。小項目は、話の内容の現状である。記載内容は、具体的な話の内容である。レベル1は、受講者を想定できていない、レベル2は、受講者を想定しているつもりだが曖昧である、レベル3は、受講者を想定できているが、適切でない、レベル4は受講者をそのテーマに沿って適切に想定できている、等とされており、講師育成スキルマップに基づいて夫々の項目毎に講師候補者のレベルが付与される。
【0059】
大項目は、研修の話の内容の他に、表現等がある。中項目は、受講者の変化の他に、全体設計、詳細設計等がある。小項目は、現状の他に、受講者の受講姿勢によるアプローチ方法、全体の構成、受講生の心の声、結論・理由・詳細、話の展開等がある。記載内容は、具体的な話の内容の他に、トレーニングのポイント等がある。レベル1は、受講者を想定できていないの他に、受験生の視点を理解していない等がある。レベル2以降は、レベル1の内容をさらに踏み込んで講師としての考え方が備わっているか否かの基準が設定されている。
即ち、講師育成スキルマップの各項目は、講師候補者が受講者に研修内容を理解させるだけでなく、受講者自身の現状把握と、今後の行動変容につながるような研修設計ができているかを評価するためのチェック項目である。
【0060】
ここで、
図6、
図7を参照してサーバの動作を説明する。
図6は、
図2、
図3のサーバにおいて、講師候補者の研修テーマの適正を判定する動作を示すフローチャートを示す図である。
図7は、
図6のフローチャートで示される動作の概要を示す図である。
【0061】
図6に示すように、サーバ10では、ステップS11において、背景情報取得部121が、1以上の研修テーマの研修を受講することにより講師の人材育成が施される場合における当該人材育成のための講師候補者について、例えば年齢、性別等の複数種類の属性及び例えば業務経験、経験業界、学習経験等の複数種類の経験のうち少なくとも一部の内容を示す情報を、背景情報(
図7参照)として取得する。
【0062】
ステップS12において、サーバ10では、テスト部122が、講師候補者について、ビジネス基礎力診断テストを実施する。
具体的には、テスト部122は、所定の講師候補者の所定の講師候補者端末20の画面においてテストを出題し、その解答の成否を、問題に対応する正解に基づいて判定し、その判定結果に応じてスコアを付けてスキルDB141に記憶する。
【0063】
ステップS13において、サーバ10では、現在評価値取得部123は、講師候補者について、ビジネス基礎力診断テストの結果、得られた現時点のスコアを現在評価値(
図7参照)として取得する。
具体的には、現在評価値取得部123は、所定の講師候補者の現時点のスコアをスキルDB141から読み出し、現在評価値として取得する。
【0064】
ステップS14において、サーバ10では、テーマ判定部124が、講師候補者の背景情報(年齢、性別、経験のうち少なくとも1つを含む情報)及び現在評価値(例えば
図4の4つのビジネススキルの夫々のスコア参照と、
図8の講師として必要な最低スコア等)に基づいて、1以上の研修テーマの中から、最初に受ける研修のテーマとして適切なものを1以上判定する。
【0065】
ステップS15において、サーバ10では、レコメンド部125が、テーマ判定部124により判定された、講師候補者に適した1以上の研修のテーマを講師候補者へレコメンド(推薦)する。具体的には、レコメンド部125は、研修のテーマとそのレコメンド情報を、表示制御部126を通じて講師候補者の講師候補者端末20へ出力し、講師候補者端末20の画面へ表示させる。
【0066】
このようにサーバ10の動作によれば、講師候補者の背景情報(個人属性や経験等)と現在のスコア(現在評価値)とを取得し、取得した背景情報と現在評価値に基づいて、複数のテーマの中から最初に受ける研修のテーマとして適切なものを1以上判定するので、講師候補者は、判定されたテーマから最初に受ける研修を選択し受講することで、自身に適した講師のスキルを身に付けることができるようになる。
【0067】
図8は、講師として必要な最低スコア(閾値)が設定された閾値表の一例を示す図である。
サーバ10のスキルDB141(
図3参照)には、講師候補者夫々のテストのスコア(現在評価値)が記憶されている他に、講師として必要な最低スコア(閾値)が記憶されている。例えば
図8に示す閾値表81では、P&Cの最低スコアとして11が設定されているものとする。Cの最低スコアとして14が設定されているものとする。Tの最低スコアとして14が設定されているものとする。BKの最低スコアとして8が設定されているものとする。
【0068】
次に、
図9乃至
図12を参照して、サーバにおいて講師候補者本人の背景情報とビジネス基礎力診断テストのスコアから最適なデビューテーマを導出する、いくつかの事例[1-1]、[1-2]、[2-1]、[2-1]を説明する。
まず、
図9を参照して第1事例[1-1]について説明する。
図9は、講師候補者の研修テーマの適正判定を行う第1事例[1-1]のデータ82を示す図である。
【0069】
この第1事例[1-1]は、
図9に示すように、ビジネス基礎力診断テストのスコアは、同じだが背景情報の異なる2人の講師候補者(A講師候補、B講師候補)に対し、夫々異なる研修テーマがレコメンドされる事例である。
【0070】
図9に示すように、A講師候補とB講師候補の2名は、いずれも講師としての最低必要スコアを満たしている。
A講師候補とB講師候補の2名は、ビジネス基礎力診断テストのスコアは、各スキルで同じ結果、年齢と性別も同じだが、これまでの経験業界、職種と業務経験が異なる。このため、夫々異なった研修テーマがレコメンドされる。
【0071】
A講師候補者は、IT業界の経験とプロジェクトマネジメント業務経験及び資格があり、IT業界で求められる要素や知見、また積極的に業務を推進する力を持っていると判断される。このため、専門的な知識と業界知識を必要とする「プロジェクト管理シリーズ<入門編>」が研修テーマとしてレコメンドされる。加えて、タスク管理、業務マネジメント能力に優れている点から、研修テーマとしては「タスク分解研修」がレコメンドされる。
【0072】
B講師候補者は、人材紹介業界の経験と、現在の採用事情に関する知識を持っていると共に、部下マネジメントの経験もあり、これまでの業務経験を基に研修テーマとしては「キャリアデザイン研修」がレコメンドされる。また、コミュニケーションの項目の中でも傾聴の点数が高く、傾聴力や論理的思考力が必要となる「マルチタスク研修」が研修テーマとしてレコメンドされる。
【0073】
図10は、講師候補者の研修テーマの適正判定を行う第2事例[1-2]のデータ83を示す図である。
【0074】
この第2事例[1-2]は、
図10に示すように、ビジネス基礎力診断テストのスコアは、同じだが背景情報の異なる2人の講師候補者(C講師候補、D講師候補)に対し、夫々異なる研修テーマがレコメンドされる事例である。
【0075】
図10に示すように、C講師候補とD講師候補の2名は、いずれも講師としての最低必要スコアを満たしている。
C講師候補とD講師候補の2名は、ビジネス基礎力診断テストのスコアは、各スキルで同じ結果、同世代で同じ性別だが、これまでの経験業界、職種と業務経験が異なる。このため、夫々異なった研修テーマがレコメンドされる。
【0076】
C講師候補者は、コミュニケーションのスコアが高く、対人スキルにも長けている。BtoC業界の経験があり、業務経験も近しいものがあることより、研修テーマとしては「クレーム電話対応」がレコメンドされる。加えて、折衝能力が高いことより、研修テーマとしては「交渉力研修」がレコメンドされる。
【0077】
D講師候補者は、C講師候補と同様にコミュニケーションのスコアが高く、対人スキルに長けている。一方、D講師候補は営業と営業事務の経験があり、業務上における経験やコミュニケーション力があることから、研修テーマとしては「営業事務の基本」がレコメンドされる。加えてコミュニケーションを必要とする業務遂行における能力が高いことから、研修テーマとしては「質問力研修」がレコメンドされる。
【0078】
図11は、講師候補者の研修テーマの適正判定を行う第3事例[2-1]のデータ84を示す図である。
【0079】
この第3事例[2-1]は、
図11に示すように、背景情報は、同じだが、ビジネス基礎力診断テストのスコアが異なる2人の講師候補者(E講師候補者、F講師候補者)に対し、夫々異なる研修テーマがレコメンドされる新卒社員の事例である。
【0080】
図11に示すように、E講師候補とF講師候補の2名は、いずれも講師としての最低必要スコアを満たしている。
E講師候補とF講師候補の2名は、2人とも入社後1年以内の新卒入社社員のため背景情報は同じだが、夫々の項目でビジネス基礎力診断テストのスコアが異なる。このため、スコアに応じて夫々異なった研修テーマがレコメンドされる。
【0081】
E講師候補者は、コミュニケーションの点数が高いため、研修テーマとしては「挨拶研修」がレコメンドされる。なお、E講師候補者は、実際の人柄も明るくはきはきしている。
【0082】
F講師候補者は、シンキングの項目が比較的高く、またコミュニケーションカテゴリの中のマナーの項目もスコアが高い。このため、研修テーマとしては「マナー研修」がレコメンドされる。
図12は、講師候補者の研修テーマの適正判定を行う第4事例[2-2]のデータ85を示す図である。
【0083】
この第4事例[2-2]は、
図12に示すように、背景情報は、同じだが、ビジネス基礎力診断テストのスコアが異なる2人の講師候補者(G講師候補者、H講師候補者)に対し、夫々異なる研修テーマがレコメンドされる中堅社員の事例である。
【0084】
図12に示すように、G講師候補とH講師候補の2名は、いずれも講師としての最低必要スコアを満たしている。
G講師候補とF講師候補の2名は、いずれも同じ業界で社会人経験も同年数、共にリーダー職についている。背景情報は同じだが、夫々の項目でビジネス基礎力診断テストのスコアが異なる。このため、スコアと業務経験に応じて夫々異なった研修テーマがレコメンドされる。
【0085】
G講師候補者は、コミュニケーションの点数が高いことと、これまでの業務経験から、研修テーマとしては「コーチング研修」がレコメンドされる。
【0086】
H講師候補者は、シンキングとビジネスナレッジの点数が高いことと、これまでの業務経験から、研修テーマとしては「指標の立て方研修」がレコメンドされる。
【0087】
以上説明したように、本実施形態のサーバによれば、ビジネス基礎力診断テストの結果のスコアと本人の背景情報(業務経験、年齢、性別、学習経験等)に基づいて、最適な講師デビューテーマを導き出すので、講師候補者が講師研修を受講する上で、自身に適したデビューテーマを講師候補者が選択できるようになる。
【0088】
また、ビジネス基礎力診断テストのスコアから講師としての基礎スキルが備わっているかを判定すると共に、その人に最適な研修デビューテーマを提示する。例えば数的処理、口頭伝達のスコアが高いと講師としての適性がある可能性が高いと判定しそれを講師候補者に提示する。また財務・経理のスコアが高いと、財務の研修に適性がある可能性が高いと判定しそれを講師候補者に提示する。
【0089】
ビジネス基礎力診断テストは通常のものを受検することとし、講師専用の問題や判定方法は用いず、試験問題や結果帳票は通常と同じものを使用するが、この評価に対して個人属性や経験を考慮して研修デビューテーマを決定するので、講師候補者の見方や考え方が反映された自己に適した研修デビューテーマを選ぶことができる。
【0090】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0091】
例えば、
図2に示したハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0092】
また、
図3に示したサーバ10の機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理装置に備えられていれば足り、この機能を情報処理装置が実現するためにどのような機能ブロック及びデータベースを用いるのかは、特に
図3の例に限定されない。
【0093】
また、機能ブロック及びデータベースは、1台のサーバ10に配置する例を説明したが、配置場所は、
図3に限定されず、複数の情報処理装置に分散して配置してもよく任意でよい。
また、1つの機能ブロック及びデータベースは、ハードウェア単体で構成してもよいし、別々のハードウェアに備えてもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0094】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、情報処理装置のCPU等のコンピュータにネットワークや記録媒体から読み込まれる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムを読み込むことで、各種の機能を実行することが可能な情報処理装置、例えばサーバ等の他、汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータ等に実装されていてもよい。
【0095】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各受講者にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各受講者に提供される記録媒体等で構成される。
【0096】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0097】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものである。
【0098】
例えば、上述の実施形態では、背景情報取得部121は、1以上のテーマの受講によりビジネス基礎力向上のための研修が施される場合における当該人材育成のための講師候補について、年齢、性別等の個人属性及び業務経験、経験業界、学習経験等の複数種類の経験の内容を示す情報を、背景情報として取得したが、これは一例にしか過ぎず、1以上のテーマの受講により所定の人材育成が施される場合における当該人材育成のための講師候補について、複数種類の属性及び複数種類の経験のうち少なくとも一部の内容を示す情報を、背景情報として取得すれば足りる。
【0099】
上述の実施形態では、現在評価値取得部123は、講師候補者について、ビジネス基礎力診断テストの現時点のスコアを現在評価値として取得したが、これは一例にしか過ぎず、対象者について、ビジネスに関する能力の現時点の評価値を現在評価値として取得すれば足りる。
【0100】
上記実施形態では、テーマ判定部124は、講師候補者の年齢、性別、業界経験、業務経験、学習経験、ビジネス基礎力診断テストの現在のスコアに基づいて、1以上の研修テーマの中から、最初に受ける研修のテーマとして適切なものを1以上判定したが、これ以外であってもよく、講師候補の背景情報及び現在評価値に基づいて、1以上のテーマの中から、最初に受ける研修のテーマとして適切なものを1以上判定すれば足りる。
【0101】
上記実施形態では、この例以外であってもよい。
例えば企業の他、団体やコミュニティであってもよく、組織であれば足りる。従業員の他、例えば社員や所員、署員等であってもよく、構成員であれば足りる。
また、ビジネス基礎力を示す情報として、各ビジネススキルのスキル項目毎にテストを実施し正規化したスコアを取得したが、この他、例えばテストの得点そのものを取得してもよく、ビジネス基礎力を示す情報であれば足りる。
【0102】
上記実施形態では、ビジネス基礎力向上のための研修等を人材育成のサービスの一例として説明したが、これ以外であってもよく、所定の人材育成であれば足りる。
【0103】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)は、
1以上のテーマの受講により所定の人材育成(ビジネス基礎力向上のための研修等)が施される場合における当該人材育成のための講師候補について、複数種類の属性(例えば年齢、性別等)及び複数種類の経験(例えば業務経験、経験業界、学習経験等)のうち少なくとも一部の内容を示す情報を、背景情報として取得する背景情報取得手段(例えば
図3の背景情報取得部121等)と、
前記講師候補について、ビジネスに関する能力の現時点の評価値を現在評価値(例えばビジネス能力診断テストの結果の現在のスコア等)として取得する現在評価値取得手段(例えば
図3の現在評価値取得部123等)と、
前記講師候補の前記背景情報及び前記現在評価値に基づいて、前記1以上のテーマの中から、最初に受ける研修のテーマとして適切なものを1以上判定するテーマ判定手段(例えば
図3のテーマ判定部124等)と、
を備える。
これにより、講師候補(例えば講師候補者等)が、人材育成の研修の講師になるのに必要なスキルを磨くために必要な講師研修を受けるにあたり、講師候補がどの講師研修から始めれば良いかを判断できるので、多くの研修テーマの中から講師候補自身に合った研修テーマを選択して研修を受けることができる。
【0104】
上記情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)において、
前記テーマ判定手段(例えば
図3のテーマ判定部124等)は、前記講師候補(例えば講師候補者等)の前記現在評価値に基づいて、講師としての複数種類の基礎スキル(例えば数値処理、口頭伝達、財務・経理等)の夫々の到達度合(例えば基礎スキルの最低ライン以上に到達したと判断可能な下限の閾値(予め定めた基礎スキルの最低値)に何%達成しているか等(基礎スキルの最低スコアとの乖離度))を判定し、当該複数種類の基礎スキル(例えば講師に必要なスキル(話の内容と表現力等))の夫々の到達度合(講師としてのレベルはどのくらいか)、及び前記背景情報(例えば個人属性、経験等)に基づいて、前記1以上のテーマの中から、最初に受ける(講師育成のための)研修のテーマとして適切なものを1以上判定する。
これにより、講師候補者は、人材育成の研修の講師になるのに必要なスキルを磨くために必要な講師研修を受講するにあたり、講師候補者自身がどのレベルの研修テーマの講師研修から始めれば良いかを判断することができる。
【0105】
上記情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)において、
前記ビジネスに関する能力の評価値(例えばビジネス能力診断テストの結果の現在のスコア等)は、前記複数種類の基礎スキルを評価するための複数の評価要素(例えば
図4のビジネス知識」「プランニング&コントロール」、「シンキング」、「コミュニケーション」等)の値である。
これにより、人材育成の研修で培ったテストを利用して、講師候補夫々に合った講師育成の研修テーマを薦めることができるので、講師候補は、自身にあった研修テーマの中から講師としての研修を受講することができるようになる。
【0106】
上記情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)は、
前記基礎スキルの到達度合の閾値を下回る講師候補に対して、前記複数種類の基礎スキルのうち、当該閾値に達していない基礎スキルの評価値を上げるために必要な施策(該当する研修のテーマや所定のテキストによる学習等)をレコメンドするレコメンド手段(例えば
図3のレコメンド部125等)、
をさらに備える。
これにより、基礎スキルの到達度合の閾値を下回る講師候補についても講師を目指すための活路を見出すことができる。
【0107】
情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)が実行する情報処理方法において、
1以上のテーマの受講により所定の人材育成が施される場合における当該人材育成のための講師候補について、複数種類の属性(例えば年齢、性別等)及び複数種類の経験(例えば業務経験、経験業界、学習経験等)のうち少なくとも一部の内容を示す情報を、背景情報として取得する背景情報取得ステップと、
前記講師候補について、ビジネスに関する能力の現時点の評価値を現在評価値(例えばビジネス能力診断テストの結果の現在のスコア等)として取得する現在評価値取得ステップと、
前記講師候補の前記背景情報及び前記現在評価値に基づいて、前記1以上のテーマの中から、最初に受ける研修のテーマとして適切なものを1以上判定するテーマ判定ステップと、
を含む。
これにより、講師候補が、人材育成の研修の講師になるのに必要なスキルを磨くために必要な講師研修を受けるにあたり、講師候補がどの講師研修から始めれば良いかを判断できるので、多くの研修テーマの中から講師候補自身に合った研修テーマを選択して研修を受けることができる。
【0108】
コンピュータに、
1以上のテーマの受講により所定の人材育成が施される場合における当該人材育成のための講師候補について、複数種類の属性(例えば年齢、性別等)及び複数種類の経験(例えば業務経験、経験業界、学習経験等)のうち少なくとも一部の内容を示す情報を、背景情報として取得する背景情報取得ステップと、
前記講師候補について、ビジネスに関する能力の現時点の評価値を現在評価値(例えばビジネス能力診断テストの結果の現在のスコア等)として取得する現在評価値取得ステップと、
前記講師候補の前記背景情報及び前記現在評価値に基づいて、前記1以上のテーマの中から、最初に受ける研修のテーマとして適切なものを1以上判定するテーマ判定ステップと、
を含む制御処理を実行させる。
これにより、講師候補が、人材育成の研修の講師になるのに必要なスキルを磨くために必要な講師研修を受けるにあたり、講師候補がどの講師研修から始めれば良いかを判断できるので、多くの研修テーマの中から講師候補自身に合った研修テーマを選択して研修を受けることができる。
【符号の説明】
【0109】
1・・・情報処理システム、10・・・サーバ、20、20-1、20-n・・・講師候補者端末、101・・・CPU、102・・・ROM、103・・・RAM、104・・・バス、105・・・入出力インターフェース、106・・・出力部、107・・・入力部、108・・・記憶部、109・・・通信部、110・・・ドライブ、111・・・リムーバブルメディア、121・・・背景情報取得部、122・・・テスト部、123・・・現在評価値取得部、124・・・テーマ判定部、125・・・レコメンド部、126・・・表示制御部、141・・・スキルDB、NW・・・ネットワーク