(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163901
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】圧電素子
(51)【国際特許分類】
H10N 30/80 20230101AFI20231102BHJP
H10N 30/50 20230101ALI20231102BHJP
H10N 30/87 20230101ALI20231102BHJP
H10N 30/067 20230101ALI20231102BHJP
H10N 30/063 20230101ALI20231102BHJP
【FI】
H01L41/04
H01L41/083
H01L41/047
H01L41/297
H01L41/293
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075113
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】太田 佳生
(72)【発明者】
【氏名】坂本 英也
(72)【発明者】
【氏名】三井 拓樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 美帆
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 琳
(72)【発明者】
【氏名】武田 明丈
(57)【要約】
【課題】変位特性の劣化を抑制する圧電素子を提供する。
【解決手段】圧電素子PD1は、圧電素体1と、圧電素体1に配置されている電極11,13と、圧電素体1に配置されており、電極11,13と電気的に接続されている電極21,22と、を備える。電極21,22は、電極11,13と物理的に接続されており、圧電素体1の素体領域B1を被覆している電極領域E1と、圧電素体1の、素体領域B1とは異なる素体領域B2を被覆している電極領域E2と、を有している。電極領域E1が素体領域B1を被覆している割合は、電極領域E2が素体領域B2を被覆している割合より大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素体と、
前記圧電素体に配置されている第一電極と、
前記圧電素体に配置されており、前記第一電極と電気的に接続されている第二電極と、を備え、
前記第二電極は、
前記第一電極と物理的に接続されており、前記圧電素体の第一素体領域を被覆している第一電極領域と、
前記圧電素体の、前記第一素体領域とは異なる第二素体領域を被覆している第二電極領域と、を有し、
前記第一電極領域が前記第一素体領域を被覆している割合は、前記第二電極領域が前記第二素体領域を被覆している割合より大きい、圧電素子。
【請求項2】
前記第二電極が、前記第一電極領域と前記第二電極領域とを有する、請求項1に記載の圧電素子。
【請求項3】
前記第一電極領域の面積は、前記第二電極領域の面積より小さい、請求項1又は2に記載の圧電素子。
【請求項4】
複数の前記第二電極を備え、
前記圧電素体は、前記複数の第二電極が互いに対向している方向で互いに対向している一対の主面と、前記一対の主面を連結している側面と、を有し、
前記複数の第二電極のうち少なくとも一つの第二電極は、前記圧電素体内に配置されている内部電極であり、
前記内部電極は、
前記複数の第二電極のうち別の第二電極と対向する第一内部電極領域と、
前記側面に露出すると共に前記第一電極と物理的に接続されている一端と、前記第一内部電極領域と連続している他端とを有しており、前記第一内部電極領域より幅狭である第二内部電極領域と、を有し、
前記第一電極領域は、少なくとも前記第二内部電極領域を含む、請求項1に記載の圧電素子。
【請求項5】
前記第一電極領域は、前記第一内部電極領域の、前記第二内部電極領域に連続する一部を更に含む、請求項4に記載の圧電素子。
【請求項6】
前記第一内部電極領域の前記一部は、前記第二内部電極領域より幅広であり、
前記第二内部電極領域が有する前記一端が露出している前記側面に直交する方向から見て、前記第二内部電極領域は、前記第一内部電極領域の前記一部の幅の範囲内に位置している、請求項5に記載の圧電素子。
【請求項7】
前記複数の第二電極が互いに対向している前記方向から見て、前記第一内部電極領域の前記一部と、前記第一内部電極領域の残部との境界は、円弧状を呈している、請求項6に記載の圧電素子。
【請求項8】
前記第二内部電極領域の面積は、前記第一内部電極領域の面積より小さい、請求項4~7のいずれか一項に記載の圧電素子。
【請求項9】
前記複数の第二電極が、前記第一内部電極領域と前記第二内部電極領域とを有する前記内部電極である、請求項4~7のいずれか一項に記載の圧電素子。
【請求項10】
前記複数の第二電極が有する前記第一電極領域は、前記複数の第二電極が互いに対向している前記方向から見て、互いに重なっている、請求項9に記載の圧電素子。
【請求項11】
前記第二内部電極領域の面積は、前記第一内部電極領域の面積より小さい、請求項9に記載の圧電素子。
【請求項12】
前記第一電極は、前記圧電素体内に配置されているスルーホール導体を含み、
前記スルーホール導体が、前記第一電極領域と物理的に接続されている、請求項1又は2に記載の圧電素子。
【請求項13】
複数の前記第二電極を備え、
前記複数の第二電極が互いに対向している方向から見て、前記スルーホール導体は、全体的に、当該スルーホール導体が物理的に接続されている前記第一電極領域の内側に位置している、請求項12に記載の圧電素子。
【請求項14】
前記第一電極領域の面積は、前記第二電極領域の面積より小さい、請求項12に記載の圧電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
知られている圧電素子は、圧電素体と、互いに対向するように圧電素体に配置されている複数の電極と、を備える(たとえば、特許文献1参照)。複数の電極は、たとえば、圧電素体に配置されている複数の第一電極と、互いに対向するように圧電素体に配置されており、複数の第一電極のうち対応する第一電極と電気的に接続されている複数の第二電極と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電極は、電気抵抗を有する。このため、駆動電力が圧電素子に供給される際に、電極は発熱する傾向がある。電極に生じる熱は、圧電素体に伝わり得る。電極に生じる熱が圧電素体に伝わる場合、圧電素体は脱分極する傾向がある。圧電素体が脱分極する場合、圧電素子の変位特性が劣化する。
【0005】
本発明の一態様は、変位特性の劣化を抑制する圧電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、変位特性の劣化を抑制する圧電素子について、調査研究を行った。この結果、本発明者らは、以下の知見を新たに得て、本発明を想到するに至った。
【0007】
電極が第一電極と第二電極とを有する構成では、第二電極は、たとえば、対応する第一電極と物理的に接続されており、圧電素体の第一素体領域を被覆している第一電極領域と、圧電素体の、第一素体領域とは異なる第二素体領域を被覆している第二電極領域と、を有する。第二電極は、第一電極に比して発熱する傾向がある。第二電極が、第一電極領域と第二電極領域とを有する構成では、第一電極領域が、第二電極領域に比して発熱する傾向がある。
【0008】
第二電極での発熱は、第二電極が圧電素体を被覆している割合に影響を受ける。第二電極が圧電素体を被覆している割合が大きい構成では、第二電極が圧電素体を被覆している割合が小さい構成に比して、第二電極が発熱しがたい。しかしながら、第二電極が圧電素体を被覆している割合が大きい構成では、第二電極が素体を圧電被覆している割合が小さい構成に比して、第二電極が圧電素体の変位を阻害するおそれがある。第二電極が圧電素体の変位を阻害する場合、圧電素子の変位特性が劣化する。
【0009】
第一電極領域は、第一素体領域を被覆している。第二電極領域は、第一素体領域とは異なる第二素体領域を被覆している。第一電極領域が第一素体領域を被覆している割合が、第二電極領域が第二素体領域を被覆している割合より大きい構成では、第二電極の全体において、第二電極が圧電素体を被覆している割合が小さい構成に比して、第一電極領域が第一素体領域を被覆している上記割合が大きい分、第二電極が発熱しがたい。第二電極領域が第二素体領域を被覆している割合が、第一電極領域が第一素体領域を被覆している割合より小さい構成では、第二電極の全体において、第二電極が圧電素体を被覆している割合が大きい構成に比して、第二電極領域が第二素体領域を被覆している上記割合が小さい分、第二電極が圧電素体の変位を阻害しがたい。
【0010】
本発明の一態様に係る圧電素子は、圧電素体と、圧電素体に配置されている第一電極と、圧電素体に配置されており、第一電極と電気的に接続されている第二電極と、を備える。第二電極は、第一電極と物理的に接続されており、圧電素体の第一素体領域を被覆している第一電極領域と、圧電素体の、第一素体領域とは異なる第二素体領域を被覆している第二電極領域と、を有している。第一電極領域が第一素体領域を被覆している割合は、第二電極領域が第二素体領域を被覆している割合より大きい。
【0011】
上記一態様によれば、第一電極領域が第一素体領域を被覆している割合は、第二電極領域が第二素体領域を被覆している割合より大きい。したがって、第二電極は、発熱しがたく、かつ、圧電素体の変位を阻害しがたい。この結果、上記一態様は、変位特性の劣化を抑制する。
【0012】
上記一態様では、第二電極が、第一電極領域と第二電極領域とを有してもよい。
第二電極が第一電極領域と第二電極領域とを有する構成では、第二電極は、発熱しがたく、かつ、圧電素体の変位を阻害しがたい。したがって、本構成は、変位特性の劣化をより一層抑制する。
【0013】
上記一態様では、第一電極領域の面積は、第二電極領域の面積より小さくてもよい。
第一電極領域は、第二電極領域に比して、圧電素体の変位を阻害する傾向がある。したがって、第一電極領域の面積が第二電極領域の面積より小さい構成では、第二電極は圧電素体の変位を確実に阻害しがたい。
【0014】
上記一態様は、複数の第二電極を備えてもよい。圧電素体は、複数の第二電極が互いに対向している方向で互いに対向している一対の主面と、一対の主面を連結している側面と、を有してもよい。複数の第二電極のうち少なくとも一つの第二電極は、圧電素体内に配置されている内部電極であってよい。内部電極は、複数の第二電極のうち別の第二電極と対向する第一内部電極領域と、側面に露出すると共に第一電極と物理的に接続されている一端と、第一内部電極領域と連続している他端とを有しており、第一内部電極領域より幅狭である第二内部電極領域と、を有してもよい。第一電極領域は、少なくとも第二内部電極領域を含んでもよい。
第一電極領域が、少なくとも上記第二内部電極領域を含む構成では、内部電極である少なくとも一つの第二電極が、発熱しがたく、かつ、圧電素体の変位を阻害しがたい。したがって、圧電素体が内部電極を含む構成であっても、本構成は、変位特性の劣化を抑制する。
【0015】
上記一態様では、第一電極領域は、第一内部電極領域の、第二内部電極領域に連続する一部を含んでもよい。
第一電極領域が、第一内部電極領域の上記一部を含む構成は、第一電極領域が、第一内部電極領域の上記一部を含まない構成に比して、第二電極の発熱を抑制する。
【0016】
上記一態様では、第一内部電極領域の上記一部は、第二内部電極領域より幅広であってもよい。第二内部電極領域が有する一端が露出している側面に直交する方向から見て、第二内部電極領域は、第一内部電極領域の上記一部の幅の範囲内に位置していてもよい。
第一内部電極領域の上記一部が、第二内部電極領域より幅広であり、第二内部電極領域が第一内部電極領域の上記一部の幅の範囲内に位置している構成は、第二電極の発熱を確実に抑制する。
【0017】
上記一態様では、複数の第二電極が互いに対向している方向から見て、第一内部電極領域の上記一部と、第一内部電極領域の残部との境界は、円弧状を呈していてもよい。
第一内部電極領域の上記一部と、第一内部電極領域の残部との境界が、円弧状を呈している構成では、当該境界が円弧状を呈していない、たとえば、互いに交差する複数の直線からなる構成に比して、第一内部電極領域が圧電素体の変位を阻害しがたい。したがって、上記境界が円弧状を呈している構成は、圧電素体の変位をより一層阻害しがたい。
【0018】
上記一態様では、第二内部電極領域の面積は、第一内部電極領域の面積より小さくてもよい。
第一電極領域に含まれる第二内部電極領域は、第一内部電極領域に比して、圧電素体の変位を阻害する傾向がある。したがって、第二内部電極領域の面積が、第一内部電極領域の面積より小さい構成では、第二電極は圧電素体の変位を確実に阻害しがたい。
【0019】
上記一態様では、複数の第二電極が、第一内部電極領域と第二内部電極領域とを有する内部電極であってもよい。
複数の第二電極が、第一内部電極領域と第二内部電極領域とを有している構成では、複数の第二電極は、発熱しがたく、かつ、圧電素体の変位を阻害しがたい。したがって、本構成は、変位特性の劣化をより一層抑制する。
【0020】
上記一態様では、複数の第二電極が有する第一電極領域は、複数の第二電極が互いに対向している方向から見て、互いに重なっていてもよい。
複数の第二電極が有する第一電極領域が、複数の第二電極が互いに対向している方向から見て、互いに重なっている構成は、変位特性の劣化をより一層抑制する。
【0021】
上記一態様では、第一電極は、圧電素体内に配置されているスルーホール導体を含んでいてもよい。スルーホール導体が、第一電極領域と物理的に接続されていてもよい。
第一電極がスルーホール導体を含む構成であっても、スルーホール導体が、第一電極領域と物理的に接続されている構成は、第二電極を発熱させがたく、かつ、圧電素体の変位を阻害しがたい。
【0022】
上記一態様は、複数の第二電極を備えてもよい。複数の第二電極が互いに対向している方向から見て、スルーホール導体は、全体的に、当該スルーホール導体が物理的に接続されている第一電極領域の内側に位置していてもよい。
スルーホール導体が、全体的に、当該スルーホール導体が物理的に接続されている第一電極領域の内側に位置している構成では、スルーホール導体は、第一電極領域に確実に接続されている。したがって、本構成は、第二電極を確実に発熱させがたく、かつ、圧電素体の変位を確実に阻害しがたい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様は、変位特性の劣化を抑制する圧電素子を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態に係る圧電素子を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る圧電素子の断面構成を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る圧電素子の分解斜視図である。
【
図10】第2実施形態に係る圧電素子を示す斜視図である。
【
図11】第2実施形態に係る圧電素子の断面構成を示す図である。
【
図12】第2実施形態に係る圧電素子の分解斜視図である。
【
図16】変形例に係る圧電素子の断面構成を示す図である。
【
図17】別の変形例に係る圧電素子の断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0026】
(第1実施形態)
図1~
図3を参照して、第1実施形態に係る圧電素子PD1の構成を説明する。
図1は、第1実施形態に係る圧電素子を示す斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る圧電素子の断面構成を示す図である。
図3は、第1実施形態に係る圧電素子の分解斜視図である。
図2では、各部を明確に示すため、ハッチングが省略されている。
【0027】
図1~
図3に示されるように、圧電素子PD1は、圧電素体1と複数の電極10とを備えている。本実施形態では、電極10は、複数の電極10a,10bを含んでいる。電極10aは、電極11と、複数の電極21,22と、を備えている。電極10bは、電極13と、複数の電極21,22と、を備えている。電極10は、複数の電極11,13と、複数の電極21,22と、を備えている。電極11,13は、圧電素体1に配置されている。電極21,22は、互いに対向するように圧電素体1に配置されている。たとえば、電極11,13が、第一電極を構成する場合、電極21,22は、第二電極を構成する。
【0028】
本実施形態では、圧電素体1は、直方体形状を呈している。圧電素体1は、互いに対向している一対の主面1a,1bと、主面1a,1bを連結している側面1cと、を有している。側面1cは、互いに対向している一対の側面1c1,1c2と、互いに対向している一対の側面1c3,1c4と、を有している。主面1a,1b、側面1c1,1c2,1c3,1c4は、圧電素体1の外表面を構成している。主面1a,1b、側面1c1,1c2、及び側面1c3,1c4は、矩形状を呈している。本明細書での「直方体形状」は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。本明細書での「矩形状」は、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状を含む。
【0029】
主面1a,1bは、第一方向D1で互いに対向している。主面1a,1bは、圧電素体1の第一方向D1での両端を規定している。主面1a,1bは、たとえば、第一方向D1に直交している。側面1c1,1c2は、主面1a,1bと隣り合うと共に、第一方向D1に交差する第二方向D2で互いに対向している。側面1c1,1c2は、圧電素体1の第二方向D2での両端を規定している。側面1c1,1c2は、たとえば、第二方向D2に直交している。側面1c3,1c4は、主面1a,1b及び側面1c1,1c2と隣り合うと共に、第一方向D1及び第二方向D2に交差する第三方向D3で互いに対向している。側面1c3,1c4は、圧電素体1の第三方向D3での両端を規定している。側面1c3,1c4は、たとえば、第三方向D3に直交している。本実施形態では、第一方向D1、第二方向D2、及び第三方向D3は、互いに直交している。
【0030】
主面1a,1bは、側面1c1と側面1c2とを連結するように、第二方向D2に延在している。主面1a,1bは、側面1c3と側面1c4とを連結するように、第三方向D3に延在している。側面1c1,1c2は、主面1aと主面1bとを連結するように、第一方向D1に延在している。側面1c1,1c2は、側面1c3と側面1c4とを連結するように、第三方向D3に延在している。側面1c3,1c4は、主面1aと主面1bとを連結するように、第一方向D1に延在している。側面1c3,1c4は、側面1c1と側面1c2とを連結するように、第二方向D2に延在している。主面1a,1bと、側面1c1,1c2と、側面1c3,1c4とは、間接的に隣り合っていてもよい。この場合、主面1a,1bと、側面1c1,1c2と、側面1c3,1c4との間には、稜線部が位置する。
【0031】
圧電素体1の第一方向D1での長さ、すなわち、圧電素体1の厚みは、たとえば、0.2mmである。圧電素体1の第二方向D2での長さは、たとえば、10mmである。圧電素体1の第三方向D3での長さは、たとえば、20mmである。圧電素体1では、たとえば、第二方向D2が長辺方向である。
【0032】
圧電素体1は、たとえば、複数の圧電体層3a,3b,5c,3d,3eを有している。本実施形態では、圧電素体1は、5層の圧電体層3a,3b,3c,3d,3eを有している。圧電体層3a,3b,3c,3d,3eは、たとえば、第一方向D1に積層されている。圧電体層3aは、主面1aを有している。圧電体層3eは、主面1bを有している。圧電体層3b,3c,3dは、圧電体層3aと圧電体層3eとの間に位置している。本実施形態では、圧電体層3a,3b,3c,3d,3eの厚みは、互いに同等である。本明細書での「同等」は、必ずしも、値が一致していることだけを意味するのではない。予め設定した範囲での微差、製造誤差、又は測定誤差が含まれている場合でも、厚みが同等であるとしてもよい。本実施形態では、圧電素子PD1は、いわゆる積層型圧電素子である。
【0033】
圧電体層3a,3b,3c,3d,3eは、圧電材料からなる。本実施形態では、圧電体層3a,3b,3c,3d,3eは、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料は、たとえば、PZT[Pb(Zr、Ti)O3]、PT(PbTiO3)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O3]、チタン酸バリウム(BaTiO3)、BNT(チタン酸ビスマスナトリウム)、又はKNN(ニオブ酸カリウムナトリウム)を含む。圧電体層3a,3b,3c,3d,3eは、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の圧電素体1では、圧電体層3a,3b,3c,3d,3eは、圧電体層3a,3b,3c,3d,3eの間の境界が認識できない程度に一体化されている。
【0034】
本実施形態では、電極11,13は、主面1aと側面1c3とに連続して配置されている。電極11,13は、たとえば、主面1aに設けられた主面電極部と、側面1c3に設けられた側面電極部と、を有している。電極11,13の主面電極部と側面電極部とは、たとえば、互いに一体的に形成されている。電極11と電極13とは、第二方向D2に並んでいる。電極11と電極13とには、たとえば、互いに極性が異なる電圧が印加される。
【0035】
電極11は、主面1a及び側面1c3において、主面1aの第二方向D2での中央よりも側面1c1寄りに配置されている。電極13は、主面1a及び側面1c3において、主面1aの第二方向D2での中央よりも側面1c2寄りに配置されている。電極11,13は、主面1aの第二方向D2で互いに離間している。電極11,13は、主面1aで第二方向D2に並んでいる。電極11の側面電極部は、側面1c3の主面1b側の縁から主面1a側の縁まで延在し、電極11の主面電極部に接続している。電極13の側面電極部は、側面1c3の主面1b側の縁から主面1a側の縁まで延在し、電極13の主面電極部に接続している。電極11,13の主面電極部は、主面1aの側面1c3側の縁部に配置されている。
【0036】
電極11,13の主面電極部は、第一方向D1から見て、たとえば、矩形状を呈している。電極11,13の主面電極部は、第一方向D1から見て、たとえば、互いに同形状を呈している。第一方向D1から見て、電極11,13の主面電極部の長辺方向は、たとえば、第三方向D3と一致し、電極11,13の主面電極部の短辺方向は、第二方向D2と一致している。
【0037】
電極11,13の側面電極部は、第三方向D3から見て、たとえば、矩形状を呈している。電極11,13の側面電極部は、第三方向D3から見て、たとえば、互いに同形状を呈している。第三方向D3から見て、たとえば、電極11,13の側面電極部の長辺方向は、第一方向D1と一致し、電極11,13の側面電極部の短辺方向は、第二方向D2と一致している。
【0038】
電極11,13は、導電性材料を含んでいる。電極11,13の導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Pt、Cu、又はAg-Pd合金が用いられる。電極11,13は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体である。
【0039】
電極11,13は、主面1aと、側面1c1,1c2,1c4のいずれかと、に連続して配置されていてもよい。電極11,13は、主面1bと、側面1c1,1c2,1c3,1c4のいずれかと、に連続して配置されていてもよい。たとえば、電極11が、主面1aと、側面1c1,1c2,1c3,1c4のいずれかと、に連続して配置され、電極13が、主面1bと、側面1c1,1c2,1c3,1c4のいずれかと、に連続して配置されていてもよい。たとえば、電極11が、主面1bと、側面1c1,1c2,1c3,1c4のいずれかと、に連続して配置され、電極13が、主面1aと、側面1c1,1c2,1c3,1c4のいずれかと、に連続して配置されていてもよい。
【0040】
複数の電極21,22は、複数の電極11,13のうち対応する電極11,13と電気的に接続されている。本実施形態では、複数の電極21は、電極11と電気的に接続されている。複数の電極22は、電極13と電気的に接続されている。電極11は、電極21と他の電極21と電気的に接続されている。電極13は、電極22と他の電極22と電気的に接続されている。電極21,22は、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。電極21,22の各々は、互いに、第一方向D1に間隔を有して対向している。電極21と、電極22と、他の電極21と、他の電極22とは、たとえば、第一方向D1で、この順に並んでいる。
【0041】
電極21は、圧電体層3aと圧電体層3bとの間に位置している。電極22は、圧電体層3bと圧電体層3cとの間に位置している。他の電極21は、圧電体層3cと圧電体層3dとの間に位置している。他の電極22は、圧電体層3dと圧電体層3eとの間に位置している。圧電体層3aは、主面1aと電極21との間に位置している。圧電体層3bは、電極21と電極22との間に位置している。圧電体層3cは、電極22と他の電極21との間に位置している。圧電体層3dは、他の電極21と他の電極22との間に位置している。圧電体層3eは、他の電極22と主面1bとの間に位置している。
【0042】
複数の電極21,22のうち少なくとも一つの電極21,22は、電極領域E1と電極領域E2とを有している。本実施形態では、複数の電極21,22が、電極領域E1と電極領域E2とを有している。電極領域E1は、対応する電極11、13と物理的に接続されている。電極21の電極領域E1は、電極11と物理的に接続されている。電極22の電極領域E1は、電極13と物理的に接続されている。たとえば、電極領域E1が、第一電極領域を構成する場合、電極領域E2は、第二電極領域を構成する。
【0043】
電極領域E1は、圧電素体1の素体領域B1を被覆している。電極21の電極領域E1は、圧電体層3bの素体領域B1を被覆している。電極22の電極領域E1は、圧電体層3b,3cの素体領域B1を被覆している。他の電極21の電極領域E1は、圧電体層3c,3dの素体領域B1を被覆している。他の電極22の電極領域E1は、圧電体層3dの素体領域B1を被覆している。たとえば、素体領域B1が、第一素体領域を構成する場合、素体領域B2は、第二素体領域を構成する。
【0044】
電極領域E2は、素体領域B1とは異なる素体領域B2を被覆している。電極21の電極領域E2は、圧電体層3bの素体領域B2を被覆している。電極22の電極領域E2は、圧電体層3b,3cの素体領域B2を被覆している。他の電極21の電極領域E2は、圧電体層3c,3dの素体領域B2を被覆している。他の電極22の電極領域E2は、圧電体層3dの素体領域B2を被覆している。
【0045】
電極21,22において、電極領域E1の面積は、たとえば、電極領域E2の面積より小さい。電極21,22において、電極領域E1の面積と電極領域E2の面積との合計に対する、電極領域E1の面積の割合は、たとえば、3~10%である。
【0046】
図4は、第一方向D1から見た、電極21,22を示している。各部を明確に示すため、
図4は、電極21の電極領域E1を実線で示し、電極22の電極領域E1を破線で示している。
【0047】
図4に示されるように、電極21,22は、内部電極領域P1と内部電極領域P2とを有している。内部電極領域P1には、電極領域E1と電極領域E2とが位置する。内部電極領域P2は、内部電極領域P1と連続している。内部電極領域P2には、電極領域E1が位置する。内部電極領域P1は、たとえば、第三方向D3で、内部電極領域P2と連続している。内部電極領域P1は、複数の電極21,22のうち別の電極21,22と対向している。
図4に示された例では、電極21の内部電極領域P1は、電極22と対向している。電極22の内部電極領域P1は、電極21と対向している。内部電極領域P1は、たとえば、第一方向D1で、電極21,22と対向している。たとえば、内部電極領域P1が、第一内部電極領域を構成する場合、内部電極領域P2は、第二内部電極領域を構成する。
【0048】
内部電極領域P1は、圧電素体1内に位置している。内部電極領域P1は、主面1a,1b及び側面1c1,1c2,1c3,1c4に露出していない。内部電極領域P2は、主面1a,1b及び側面1c1,1c2に露出していない。内部電極領域P2は、一端ED1と他端ED2とを有している。一端ED1は、側面1c3に露出すると共に、対応する電極11,13と物理的に接続されている。他端ED2は、内部電極領域P1と連続している。一端ED1と他端ED2とは、たとえば、第三方向D3で互いに対向している。内部電極領域P2は、第二方向D2で、内部電極領域P1と、電極11,13の側面電極部との間に位置している。一端ED1は、たとえば、側面1c3で、対応する電極11,13の側面電極部に接続されている。電極21の一端ED1は、たとえば、側面1c3で、電極11の側面電極部に接続されている。電極22の一端ED1は、たとえば、側面1c3で、電極13の側面電極部に接続されている。電極21では、第一方向D1から見て、内部電極領域P2は、たとえば、側面1c2よりも側面1c1に近い。電極22では、第一方向D1から見て、内部電極領域P2は、たとえば、側面1c1よりも側面1c2に近い。
【0049】
電極領域E1は、少なくとも内部電極領域P2を含んでいる。したがって、電極領域E1は、内部電極領域P1の、内部電極領域P2に連続する一部E3を含み、内部電極領域P2の、電極領域E1の一部E4をも含んでいる。本実施形態では、内部電極領域P1には、たとえば、電極領域E1の一部E3と、内部電極領域P1の残部E5とが位置している。内部電極領域P2には、たとえば、電極領域E1の一部E4が位置している。
【0050】
第一方向D1から見て、内部電極領域P1は、たとえば、矩形状を呈している。たとえば、内部電極領域P1は、長方形状を呈している。第一方向D1から見て、内部電極領域P1の長辺方向は、たとえば、第三方向D3と一致し、内部電極領域P1の短辺方向は、第二方向D2と一致している。第一方向D1から見て、内部電極領域P2は、たとえば、矩形状を呈している。第一方向D1から見て、内部電極領域P2の長辺方向は、たとえば、第二方向D2と一致し、内部電極領域P2の短辺方向は、第三方向D3と一致している。
【0051】
内部電極領域P1の一部E3は、たとえば、内部電極領域P2より幅広である。したがって、一部E3の第二方向D2での幅W3は、たとえば、内部電極領域P2の第二方向D2での幅W2より広い。第三方向D3から見て、内部電極領域P2は、内部電極領域P1の一部E3の幅W3の範囲内に位置している。
【0052】
第一方向D1から見て、内部電極領域P1の一部E3と、内部電極領域P1の残部E5との境界ED3は、たとえば、円弧状を呈している。したがって、一部E3は、たとえば、扇形状を呈している。境界ED3は、たとえば、半円弧を呈していてもよい。
【0053】
電極21,22において、内部電極領域P2の面積は、たとえば、内部電極領域P1の面積より小さい。電極21,22において、内部電極領域P1の面積と内部電極領域P2の面積との合計に対する、内部電極領域P2の面積の割合は、たとえば、0.3~2%である。
【0054】
電極21,22の電極領域E1は、第一方向D1から見て、互いに重なっている。したがって、電極21の電極領域E1と、電極22の電極領域E1とは、第一方向D1から見て、互いに重なっている。本実施形態では、電極21,22に占める、電極領域E1が互いに重なっている面積の割合は、たとえば、10~40%である。
【0055】
図5は、切断線CL1に沿って、電極21の電極領域E1を厚み方向に切断した切断面の一部分を示している。
図6は、切断線CL1に沿って、電極21の電極領域E2を厚み方向に切断した切断面の一部分を示している。
図5及び
図6は、第二方向D2から見た切断面である。電極領域E1,E2の厚み方向は、たとえば、第一方向D1に一致している。
【0056】
図5に示されるように、電極21の電極領域E1は、圧電体層3bの素体領域B1を被覆している。圧電体層3bには、空隙25が形成されている。空隙25は、電極21の電極領域E1が圧電体層3bの素体領域B1を被覆していない領域に形成される。本実施形態では、電極領域E1が素体領域B1を被覆している領域では、たとえば、電極領域E1が素体領域B1と接している。したがって、電極領域E1が素体領域B1に接していない領域は、電極領域E1が素体領域B1を被覆している領域に含まれない。電極領域E1が素体領域B1を被覆している割合は、以下、電極領域E1の被覆割合と称することがある。電極領域E1の被覆割合は、たとえば、80~90%である。電極領域E1が素体領域B1と接している構成では、電極領域E1の被覆割合は、電極領域E1の外縁で規定される領域の面積に対する、電極領域E1が素体領域B1と接している領域の面積の割合であってもよい。
【0057】
図6に示されるように、電極21は、圧電体層3bの素体領域B2を被覆している。圧電体層3bには、空隙27が形成されている。空隙27は、電極21の電極領域E2が圧電体層3bの素体領域B2を被覆していない領域を示している。本実施形態では、電極領域E2が素体領域B2を被覆している領域では、たとえば、電極領域E2が素体領域B2と接している。したがって、電極領域E2が素体領域B2に接していない領域は、電極領域E2が素体領域B2を被覆している領域に含まれない。電極領域E2が素体領域B2を被覆している割合は、以下、電極領域E2の被覆割合と称することがある。電極領域E2の被覆割合は、たとえば、70~80%である。電極領域E2が素体領域B2と接している構成では、電極領域E2の被覆割合は、電極領域E2の外縁で規定される領域の面積に対する、電極領域E2が素体領域B2と接している領域の面積の割合であってもよい。本実施形態では、電極領域E1の被覆割合は、電極領域E2の被覆割合より大きい。本明細書において、「被覆」とは、素体領域B1,B2が電極領域E1,E2に覆われず、素体領域B1,B2の表面が露出していることを示す。
【0058】
被覆割合は、たとえば、断面被覆割合である。電極領域E1,E2の断面被覆割合は、たとえば、少なくとも一つの電極21,22を厚み方向に切断した断面において、電極領域E1,E2が、それぞれ素体領域B1,B2を被覆している割合である。電極領域E1,E2の断面被覆割合は、たとえば、以下のようにして求めることができる。すなわち、電極領域E1,E2を含む位置での、圧電素子PD1の断面写真を取得する。断面写真は、圧電素子PD1を側面1c3,1c4に直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理する。この画像処理により、電極領域E1,E2、素体領域B1,B2、及び、空隙25,27の境界を判別し、電極領域E1,E2の断面被覆割合を算出する。
【0059】
被覆割合は、たとえば、表面被覆割合である。電極領域E1,E2の表面被覆割合は、たとえば、電極領域E1,E2に直交する方向から電極領域E1,E2の表面を見た場合に、電極領域E1,E2が、それぞれ素体領域B1,B2を被覆している割合である。電極領域E1,E2の表面被覆割合は、たとえば、以下のようにして求めることができる。すなわち、電極領域E1,E2に直交する方向から電極領域E1,E2の表面を撮影した写真を取得する。取得した表面の写真をソフトウェアにより画像処理する。この画像処理により、電極領域E1,E2と空隙25,27との境界を判別し、写真上での、電極領域E1,E2の外縁で規定される領域の各面積と、空隙25,27それぞれの総面積とを求める。空隙25の総面積を、電極領域E1の外縁で規定される領域の面積で除して、商を得る。この商が、電極領域E1での表面被覆割合である。空隙27の総面積を、電極領域E2の外縁で規定される領域の面積で除して、商を得る。この商が、電極領域E2での表面被覆割合である。表面被覆割合は、たとえば、電極領域E1,E2が、電極領域E1,E2と素体領域B1,B2とのそれぞれの境界で剥離可能な場合に求められる。剥離可能な場合、たとえば、素体領域B1,B2から剥離した状態の電極領域E1,E2の表面を撮影して、表面被覆割合を求める。電極領域E1での表面被覆割合は、電極領域E1の表面のうち、所定のサイズを有する各領域内での、空隙25の総面積の割合であってもよい。電極領域E2での表面被覆割合は、電極領域E2の表面のうち、所定のサイズを有する各領域内での、空隙27の総面積の割合であってもよい。所定のサイズは、たとえば、60μm×45μmであってもよい。
【0060】
圧電素体1では、圧電体層3bのうち、電極21の内部電極領域P1と、電極22の内部電極領域P1とで挟まれた領域と、圧電体層3cのうち、電極22の内部電極領域P1と、他の電極21の内部電極領域P1とで挟まれた領域と、圧電体層3dのうち、他の電極21の内部電極領域P1と、他の電極22の内部電極領域P1とで挟まれた領域とは、圧電的に活性な活性領域を構成する。電極21の内部電極領域P1と電極22の内部電極領域P1との間、電極22の内部電極領域P1と他の電極21の内部電極領域P1との間、及び他の電極21の内部電極領域P1と他の電極22の内部電極領域P1との間に、活性領域が形成される。第一方向D1から見て、圧電体層3b,3c,3dにおいて、電極21の内部電極領域P1及び電極22の内部電極領域P1と、電極22の内部電極領域P1及び他の電極21の内部電極領域P1と、他の電極21の内部電極領域P1及び他の電極22の内部電極領域P1とが互いに重なっている領域の外縁が、活性領域と、圧電効果的に不活性な不活性領域との境界を画成している。圧電素体1では、圧電体層3aと圧電体層3eとは、不活性領域を構成する。
【0061】
電極21,22は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Pt、Cu、又はAg-Pd合金が用いられる。電極21,22は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体である。電極21,22は、電極21,22に対応する電極パターンが焼成されることにより、形成される。各電極パターンは、導電性ペーストからなる。導電性ペーストは、たとえば、スクリーン印刷法により、上述したセラミックグリーンシートに付与される。電極パターンは、セラミックグリーンシートと共に焼成される。スクリーン印刷法では、スクリーン版が用いられる。スクリーン版は、たとえば、メッシュを備える。メッシュには、各電極パターンに対応する部分が開口しているマスクが形成されている。メッシュ及びマスク上に載せられた導電性ペーストは、開口を通過し、セラミックグリーンシートに付与される。マスクの形成には、乳剤が用いられる。電極領域E1及び電極領域E2の被覆割合が互いに異なる構成は、たとえば、電極21,22に対応する電極パターンを形成する際の、印刷条件を制御することにより、実現され得る。印刷条件は、たとえば、乳剤厚み、印刷速度、又はメッシュの開口率を含む。
【0062】
図7は、第一方向D1から見た、電極21,22の別の構成例を示している。各部を明確に示すため、
図7は、電極21の電極領域E1を実線で示し、電極22の電極領域E1を破線で示している。
【0063】
図7に示される例では、電極領域E1は、一部E3と一部E4とを含んでいる。内部電極領域P1には、たとえば、一部E3と残部E5とが位置している。内部電極領域P2には、たとえば、一部E4が位置している。内部電極領域P1の一部E3は、たとえば、内部電極領域P2より幅広である。したがって、一部E3の第二方向D2での幅W3は、たとえば、内部電極領域P2の第二方向D2での幅W2より広い。第三方向D3から見て、内部電極領域P2は、内部電極領域P1の一部E3の幅W3の範囲内に位置している。
【0064】
第一方向D1から見て、内部電極領域P1の一部E3と、内部電極領域P1の残部E5との境界ED3は、たとえば、直線状を呈している。したがって、第一方向D1から見て、一部E3は、たとえば、矩形状を呈している。第一方向D1から見て、一部E3の長辺方向は、たとえば、第二方向D2と一致し、一部E3の短辺方向は、第三方向D3と一致している。第一方向D1から見て、一部E4は、たとえば、矩形状を呈している。第一方向D1から見て、一部E4の長辺方向は、たとえば、第二方向D2と一致し、一部E4の短辺方向は、第三方向D3と一致している。
【0065】
図7に示される例では、電極21,22において、電極領域E1の面積は、たとえば、電極領域E2の面積より小さい。電極21,22において、電極領域E1の面積と電極領域E2の面積との合計に対する、電極領域E1の面積の割合は、たとえば、3~10%である。
【0066】
電極21,22の電極領域E1は、第一方向D1から見て、互いに重なっている。したがって、電極21の電極領域E1と、電極22の電極領域E1とは、第一方向D1から見て、互いに重なっている。本変形例では、電極21,22に占める、電極領域E1が互いに重なっている面積の割合は、たとえば、10~40%である。
【0067】
図8は、第一方向D1から見た、電極21,22の更に別の構成例を示している。各部を明確に示すため、
図8は、電極21の電極領域E1を実線で示し、電極22の電極領域E1を破線で示している。
【0068】
図8に示される例では、内部電極領域P1には、たとえば、一部E3と残部E5とが位置している。内部電極領域P2には、たとえば、一部E4が位置している。内部電極領域P1の一部E3は、たとえば、内部電極領域P2と同一の幅を有している。したがって、一部E3の第二方向での幅W3は、たとえば、内部電極領域P2の幅W2と一致している。
【0069】
第一方向D1から見て、内部電極領域P1の一部E3と、内部電極領域P1の残部E5との境界ED3は、たとえば、直線状を呈している。したがって、第一方向D1から見て、一部E3は、たとえば、矩形状を呈している。第一方向D1から見て、一部E3の長辺方向は、たとえば、第三方向D3と一致し、一部E3の短辺方向は、第二方向D2と一致している。第一方向D1から見て、一部E4は、たとえば、矩形状を呈している。第一方向D1から見て、一部E4の長辺方向は、たとえば、第二方向D2と一致し、一部E4の短辺方向は、第三方向D3と一致している。本変形例では、電極21,22の電極領域E1は、第一方向D1から見て、互いに重なっていない。
【0070】
電極21,22において、電極領域E1の面積は、たとえば、電極領域E2の面積より小さい。電極21,22において、電極領域E1の面積と電極領域E2の面積との合計に対する、電極領域E1の面積の割合は、たとえば、2~12%である。
【0071】
図9は、第一方向D1から見た、電極21,22の更に別の構成例を示している。各部を明確に示すため、
図9は、電極21の電極領域E1を実線で示し、電極22の電極領域E1を破線で示している。
【0072】
図9に示される例では、電極領域E1は、一部E4を含んでいる。本変形例では、内部電極領域P2に、一部E4が位置している。本変形例では、内部電極領域P1に一部E3が位置していない。一部E4の第二方向D2での幅W4は、たとえば、内部電極領域P2の幅W2と一致している。
【0073】
第一方向D1から見て、一部E4は、たとえば、矩形状を呈している。第一方向D1から見て、一部E4の長辺方向は、たとえば、第二方向D2と一致し、一部E4の短辺方向は、第三方向D3と一致している。本変形例では、電極21,22の電極領域E1は、第一方向D1から見て、互いに重なっていない。
【0074】
電極21,22において、電極領域E1の面積は、たとえば、電極領域E2の面積より小さい。電極21,22において、電極領域E1の面積と電極領域E2の面積との合計に対する、電極領域E1の面積の割合は、たとえば、0.3~2%である。
【0075】
以上説明したように、本実施形態及び変形例に係る圧電素子PD1は、圧電素子PD1は、圧電素体1と、圧電素体1に配置されている電極11,13と、圧電素体1に配置されており、電極11,13と電気的に接続されている電極21,22と、を備える。電極21,22は、電極11,13と物理的に接続されており、圧電素体1の素体領域B1を被覆している電極領域E1と、圧電素体1の、素体領域B1とは異なる素体領域B2を被覆している電極領域E2と、を有している。電極領域E1が素体領域B1を被覆している割合は、電極領域E2が素体領域B2を被覆している割合より大きい。
【0076】
圧電素子PD1によれば、電極領域E1が素体領域B1を被覆している割合は、電極領域E2が素体領域B2を被覆している割合より大きい。したがって、電極21,22は、発熱しがたく、かつ、圧電素体1の変位を阻害しがたい。この結果、圧電素子PD1は、変位特性の劣化を抑制する。
【0077】
圧電素子PD1では、電極21,22が、電極領域E1と電極領域E2とを有している。
この場合、電極21,22は、発熱しがたく、かつ、圧電素体1の変位を阻害しがたい。したがって、圧電素子PD1は、変位特性の劣化をより一層抑制する。
【0078】
圧電素子PD1では、電極領域E1の面積は、電極領域E2の面積より小さい。
この場合、電極領域E1は、電極領域E2に比して、圧電素体1の変位を阻害する傾向がある。したがって、電極領域E1の面積が電極領域E2の面積より小さい構成では、電極21,22は圧電素体1の変位を確実に阻害しがたい。
【0079】
圧電素子PD1は、複数の第二電極を備える。圧電素体1は、第一方向D1で互いに対向している一対の主面1a,1bと、一対の主面1a,1bを連結している側面1c3,1c4と、を有している。複数の電極21,22のうち少なくとも一つの電極21,22は、圧電素体1内に配置されている電極21,22である。電極21,22は、複数の電極21,22のうち別の電極21,22と対向する内部電極領域P1と、側面1c3に露出すると共に電極11,13と物理的に接続されている一端ED1と、内部電極領域P1と連続している他端ED2とを有しており、内部電極領域P1より幅狭である内部電極領域P2と、を有している。電極領域E1は、少なくとも内部電極領域P2を含んでいる。
この場合、内部電極である少なくとも一つの電極21,22が、発熱しがたく、かつ、圧電素体1の変位を阻害しがたい。したがって、圧電素体1が内部電極を含む構成であっても、圧電素子PD1は、変位特性の劣化を抑制する。
【0080】
圧電素子PD1では、電極領域E1は、内部電極領域P1の、内部電極領域P2に連続する一部E3を更に含んでもよい。
この場合、圧電素子PD1は、電極領域E1が、内部電極領域P1の一部E3を含まない構成に比して、電極21,22の発熱を抑制する。
【0081】
圧電素子PD1では、内部電極領域P1の一部E3は、内部電極領域P2より幅広である。第三方向D3から見て、内部電極領域P2は、内部電極領域P1の一部E3の幅の範囲内に位置している。
この場合、圧電素子PD1は、電極21,22の発熱を確実に抑制する。
【0082】
圧電素子PD1では、第一方向D1から見て、内部電極領域P1の一部E3と、内部電極領域P1の残部E5との境界は、円弧状を呈している。
この場合、当該境界が円弧状を呈していない、たとえば、互いに交差する複数の直線からなる構成に比して、内部電極領域P1が圧電素体1の変位を阻害しがたい。したがって、上記境界が円弧状を呈している構成は、圧電素体1の変位をより一層阻害しがたい。
【0083】
圧電素子PD1では、内部電極領域P2の面積は、内部電極領域P1の面積より小さい。
電極領域E1に含まれる内部電極領域P2は、内部電極領域P1に比して、圧電素体1の変位を阻害する傾向がある。したがって、内部電極領域P2の面積が、内部電極領域P1の面積より小さい構成では、電極21,22は圧電素体1の変位を確実に阻害しがたい。
【0084】
圧電素子PD1では、複数の電極21,22が、内部電極領域P1と内部電極領域P2とを有する電極21,22である。
この場合、複数の電極21,22は、発熱しがたく、かつ、圧電素体1の変位を阻害しがたい。したがって、圧電素子PD1は、変位特性の劣化をより一層抑制する。
【0085】
圧電素子PD1では、複数の電極21,22が有する電極領域E1は、第一方向D1から見て、互いに重なっている。
この場合、圧電素子PD1は、変位特性の劣化をより一層抑制する。
【0086】
(第2実施形態)
図10~
図15を参照して、第2実施形態に係る圧電素子PD2の構成を説明する。
図10は、第2実施形態に係る圧電素子を示す斜視図である。
図11は、第2実施形態に係る圧電素子PD2の断面構成を示す図である。
図12は、第2実施形態に係る圧電素子PD2の分解斜視図である。
図13、
図14、及び
図15は、電極の構成を示す図である。
図11では、各部を明確に示すため、ハッチングが省略されている。圧電素子PD2では、電極31,32、33及び電極41,42,43の構成が圧電素子PD1と相違している。以下、圧電素子PD1との相違点を主に説明する。
【0087】
図10~
図12に示されるように、圧電素子PD2は、圧電素体1と複数の電極30とを備えている。本実施形態では、電極30は、複数の電極30a,30b,30cを含んでいる。電極30aは、電極31と電極43とを備えている。電極30bは、電極32と電極42とを備えている。電極30cは、電極33と複数の電極41とを備えている。電極30は、複数の電極31,32,33と、複数の電極41,42,43と、を備えている。電極31,32,33は、圧電素体1に配置されている。電極41,42,43は、互いに対向するように圧電素体1に配置されている。電極41,42,43は、たとえば、互いに第一方向D1で対向している。たとえば、電極31,32,33が、第一電極を構成する場合、電極41,42,43は、第二電極を構成する。
【0088】
圧電素体1は、第一方向D1に積層された6層からなる圧電体層5a,5b,5c,5d,5e,5fを有している。圧電体層5aは、主面1aを有している。圧電体層5fは、主面1bを有している。圧電体層5b,5c,5d,5eは、圧電体層5aと圧電体層5fとの間に位置している。本実施形態では、圧電体層5a,5b,5c,5d,5e,5fの厚みは、互いに同等である。本実施形態では、圧電素子PD2は、いわゆる積層型圧電素子である。本実施形態に係る圧電素体1の外形のサイズは、たとえば、第1実施形態に係る圧電素体1の外形のサイズと略同一である。
【0089】
本実施形態に係る圧電セラミック材料は、たとえば、第1実施形態に係る圧電セラミック材料と同一である。本実施形態に係る圧電セラミック材料は、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。
【0090】
本実施形態では、電極31,32,33は、主面1aに配置されている。電極31,32,33は、電極31、電極32、及び電極33の順で第二方向D2に並んでいる。電極31と電極32とは、第二方向D2で隣り合っている。電極32と電極33とは、第二方向D2で隣り合っている。第二方向D2において、電極32と電極33との最短距離は、たとえば、電極31と電極32との最短距離よりも長い。電極31,32と、電極33には、たとえば、互いに極性が異なる電圧が印加される。
【0091】
電極31,32,33は、第一方向D1から見て、たとえば、主面1aの全ての縁(四辺)から離間している。本実施形態では、第一方向D1から見て、電極31,32,33は、矩形状を呈している。電極31,32は、第一方向D1から見て、たとえば、互いに同形状を呈している。第一方向D1から見て、電極31,32の長辺方向は、たとえば、第三方向D3と一致し、電極31,32の短辺方向は、第二方向D2と一致している。第一方向D1から見て、電極33の長辺方向は、たとえば、第二方向D2と一致し、電極33の短辺方向は、第三方向D3と一致している。電極31,32,33は、導電性材料を含んでいる。電極31,32,33の導電性材料は、たとえば、第1実施形態に係る電極11,13の導電性材料と同一である。電極31,32,33は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体である。
【0092】
電極31,32は、主面1aに配置され、電極33は、主面1bに配置されていてもよい。電極31,32は、主面1bに配置され、電極33は、主面1aに配置されていてもよい。電極31は、主面1aに配置され、電極32は、主面1bに配置されていてもよい。電極31は、主面1bに配置され、電極32は、主面1aに配置されていてもよい。
【0093】
電極41,42,43は、複数の電極31,32,33のうち対応する電極31,32,33と電気的に接続されている。本実施形態では、複数の電極41は、電極33と電気的に接続されている。電極42は、電極32と電気的に接続されている。電極43は、電極31と電気的に接続されている。
【0094】
第一方向D1から見て、電極41,42,43は、たとえば、矩形状を呈している。第一方向D1から見て、電極41,42,43の長辺方向は、たとえば、第三方向D3と一致し、電極41,42,43の短辺方向は、たとえば、第二方向D2と一致している。
【0095】
電極41,42,43は、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。電極41,42,43の各々は、互いに、第一方向D1に間隔を有して対向している。電極41と、電極42と、他の電極41と、電極43と、更に他の電極41とは、たとえば、第一方向D1で、この順に並んでいる。電極41,42,43は、圧電素体1の外表面に露出していない。電極41,42,43は、主面1a,1bに露出していない。したがって、電極41,42,43は、第一方向D1から見て、主面1a,1bの全ての縁(四辺)から離間している。電極41,42,43は、側面1c1,1c2,1c3,1c4に露出していない。電極41,42,43は、側面1c1,1c2,1c3,1c4の全ての縁(四辺)から離間している。
【0096】
電極41は、圧電体層5aと圧電体層5bとの間に位置している。電極42は、圧電体層5bと圧電体層5cとの間に位置している。他の電極41は、圧電体層5cと圧電体層5dとの間に位置している。電極43は、圧電体層5dと圧電体層5eとの間に位置している。更に他の電極41は、圧電体層5eと圧電体層5fとの間に位置している。圧電体層5aは、主面1aと電極41との間に位置している。圧電体層5bは、電極41と電極42との間に位置している。圧電体層5cは、電極42と他の電極41との間に位置している。圧電体層5dは、他の電極41と電極43との間に位置している。圧電体層5eは、電極43と更に他の電極41との間に位置している。圧電体層5fは、更に他の電極41と主面1bとの間に位置している。
【0097】
図13~
図15に示されるように、複数の電極41,42,43のうち少なくとも一つの電極41,42,43は、電極領域E1と電極領域E2とを有している。本実施形態では、複数の電極41,42,43が、電極領域E1と電極領域E2とを有している。電極領域E1は、対応する電極31,32,33と物理的に接続されている。電極41の電極領域E1は、電極33と物理的に接続されている。電極42の電極領域E1は、電極32と物理的に接続されている。電極43の電極領域E1は、電極31と物理的に接続されている。
【0098】
電極領域E1は、圧電素体1の素体領域B1を被覆している。電極41の電極領域E1は、圧電体層5bの素体領域B1を被覆している。電極42の電極領域E1は、圧電体層5b,5cの素体領域B1を被覆している。他の電極41の電極領域E1は、圧電体層5c,5dの素体領域B1を被覆している。電極43の電極領域E1は、圧電体層5d,5eの素体領域B1を被覆している。更に他の電極41の電極領域E1は、圧電体層5eの素体領域B1を被覆している。
【0099】
電極領域E2は、素体領域B1とは異なる素体領域B2を被覆している。電極41の電極領域E2は、圧電体層5bの素体領域B2を被覆している。電極42の電極領域E2は、圧電体層5b,5cの素体領域B2を被覆している。他の電極41の電極領域E2は、圧電体層5c,5dの素体領域B2を被覆している。電極43の電極領域E2は、圧電体層5d,5eの素体領域B2を被覆している。更に他の電極41の電極領域E2は、圧電体層5eの素体領域B2を被覆している。
【0100】
本実施形態では、電極領域E1が素体領域B1を被覆している割合の範囲は、たとえば、第一実施形態に係る電極21,22において電極領域E1が素体領域B1を被覆している割合の範囲と一致している。電極領域E2が素体領域B2を被覆している割合は、たとえば、電極21において電極領域E2が素体領域B2を被覆している割合と一致している。本実施形態では、電極領域E1が素体領域B1を被覆している割合は、電極領域E2が素体領域B2を被覆している割合より大きい。電極41,42,43において、電極領域E1が素体領域B1を被覆している割合は、たとえば、80~90%である。電極41,42,43において、電極領域E2が素体領域B2を被覆している割合は、たとえば、70~80%である。
【0101】
電極31は、導体61によって、電極43と複数の接続導体51とに電気的に接続されている。導体61は、圧電素体1内に配置されている。導体61は、電極43の電極領域E1と物理的に接続されている。本実施形態では、電極31は、複数の導体61を有している。複数の接続導体51は、それぞれ、電極41、電極42、他の電極41、及び更に他の電極41と同じ層に位置している。各接続導体51は、電極41,42に形成された開口内に位置している。各開口は、第一方向D1から見て、電極31に対応する位置に形成されている。各接続導体51は、第一方向D1から見て、電極41,42に囲まれている。各接続導体51は、電極41,42と離間している。たとえば、導体61は、スルーホール導体を構成する。
【0102】
各接続導体51は、第一方向D1において電極31と対向しており、第一方向D1から見て電極31と重なる位置に配置されている。各接続導体51は、第一方向D1において電極43と対向しており、第一方向D1から見て電極43と重なる位置に配置されている。複数の導体61は、それぞれ、電極31と電極43と複数の接続導体51との間に位置しており、第一方向D1から見て電極31と重なる位置に配置されている。複数の導体61は、それぞれ、第一方向D1において、対応する圧電体層5a,5b,5c,5d,5eを貫通している。
【0103】
電極32は、導体62によって、電極42と複数の接続導体52とに電気的に接続されている。導体61は、圧電素体1内に配置されている。導体61は、電極42の電極領域E1と物理的に接続されている。本実施形態では、電極32は、複数の導体62を有している。複数の接続導体52は、それぞれ、電極41,43と同じ層に位置している。各接続導体52は、電極41、他の電極41、電極43、及び更に他の電極41に形成された開口内に位置している。各開口は、第一方向D1から見て、電極32に対応する位置に形成されている。各接続導体52は、第一方向D1から見て、電極41,43に囲まれている。各接続導体52は、電極41,43と離間している。各接続導体52は、各接続導体51と離間している。たとえば、導体62は、スルーホール導体を構成する。
【0104】
各接続導体52は、第一方向D1において電極32と対向しており、第一方向D1から見て電極32と重なる位置に配置されている。各接続導体52は、第一方向D1において電極42と対向しており、第一方向D1から見て電極42と重なる位置に配置されている。複数の導体62は、それぞれ、電極32と電極42と複数の接続導体52との間に位置しており、第一方向D1から見て電極32と重なる位置に配置されている。複数の導体62は、それぞれ、第一方向D1において、対応する圧電体層5a,5b,5c,5d,5eを貫通している。
【0105】
電極41と同じ層に位置している接続導体51と接続導体52は、同じ開口内に隣り合って位置している。他の電極41と同じ層に位置している接続導体51と接続導体52は、同じ開口内に隣り合って位置している。更に他の電極41と同じ層に位置している接続導体51と接続導体52は、同じ開口内で隣り合って位置している。
【0106】
電極33は、導体63によって、複数の電極41と複数の接続導体53とに電気的に接続されている。導体63は、圧電素体1内に配置されている。導体63は、電極41の電極領域E1と物理的に接続されている。本実施形態では、電極33は、複数の導体63を有している。複数の接続導体53は、それぞれ、電極42及び電極43と同じ層に位置している。各接続導体53は、電極42,43に形成された開口内に位置している。各開口は、第一方向D1から見て、電極33に対応する位置に形成されている。各接続導体53は、第一方向D1から見て、電極42,43に囲まれている。各接続導体53は、電極42,43と離間している。たとえば、導体63は、スルーホール導体を構成する。
【0107】
各接続導体53は、第一方向D1において電極33と対向しており、第一方向D1から見て電極33と重なる位置に配置されている。各接続導体53は、第一方向D1において電極41と対向しており、第一方向D1から見て電極41と重なる位置に配置されている。複数の導体63は、それぞれ、電極31と電極41と複数の接続導体53との間に位置しており、第一方向D1から見て電極33と重なる位置に配置されている。複数の導体63は、それぞれ、第一方向D1において、対応する圧電体層5a,5b,5c,5d,5eを貫通している。
【0108】
各接続導体51,52,53は、第一方向D1から見て、たとえば、矩形状を呈している。各接続導体51,52は、第一方向D1から見て、たとえば、互いに同形状を呈している。第一方向D1から見て、各接続導体51,52の長辺方向は、たとえば、第三方向D3と一致し、各接続導体51,52の短辺方向は、第二方向D2と一致している。第一方向D1から見て、接続導体53の長辺方向は、たとえば、第二方向D2と一致し、接続導体53の短辺方向は、第三方向D3と一致している。
【0109】
図13は、第一方向D1から見た、電極41及び接続導体51,52を示している。分かりやすく説明するため、第一方向D1から見た接続導体53を破線で加えている。電極41は、第一方向D1から見て、接続導体53と重なる位置に、電極領域E1を含んでいる。
【0110】
図13に示されるように、第一方向D1から見て、接続導体53の外縁の全体が、電極領域E1の外縁より内側に位置しており、導体63の外縁の全体は、接続導体53の外縁より内側に位置している。したがって、第一方向D1から見て、導体63は、全体的に、導体63が物理的に接続されている電極領域E1の内側に位置している。導体63の外縁の全体が、電極領域E1の外縁より内側に位置している。電極領域E1は、第一方向D1から見て、導体63の全周にわたって、導体63の外側に延在している。
【0111】
本実施形態では、第一方向D1から見て、電極領域E1は、円形状を呈している。導体63が、第一方向D1から見て、矩形状を呈している場合、電極領域E1の円形状は、導体63の矩形状を含んでおり、かつ、導体63の矩形状の外側にまで拡がっている。導体63が、第一方向D1から見て、円形状を呈している場合、電極領域E1の円形状は、導体63の円形状を含んでおり、かつ、導体63の円形状の外側にまで拡がっている。本明細書での「円形状」は、たとえば、真円及び楕円の形状を含む。
【0112】
電極41において、電極領域E1の面積は、たとえば、電極領域E2の面積より小さい。電極領域E1の面積と電極領域E2の面積との合計に対する、電極領域E1の面積の割合は、たとえば、1~8%である。
【0113】
図14は、第一方向D1から見た、電極42及び接続導体51,53を示している。分かりやすく説明するため、第一方向D1から見た接続導体52を破線で加えている。電極42は、第一方向D1から見て、接続導体52と重なる位置に、電極領域E1を含んでいる。
【0114】
図14に示されるように、第一方向D1から見て、接続導体52の外縁の全体が、電極領域E1の外縁より内側に位置しており、導体62の外縁の全体は、接続導体52の外縁より内側に位置している。したがって、第一方向D1から見て、導体62は、全体的に、導体62が物理的に接続されている電極領域E1の内側に位置している。導体62の外縁の全体が、電極領域E1の外縁より内側に位置している。電極領域E1は、第一方向D1から見て、導体62の全周にわたって、導体62の外側に延在している。
【0115】
本実施形態では、第一方向D1から見て、電極領域E1は、円形状を呈している。導体62が、第一方向D1から見て、矩形状を呈している場合、電極領域E1の円形状は、導体62の矩形状を含んでおり、かつ、導体62の矩形状の外側にまで拡がっている。導体62が、第一方向D1から見て、円形状を呈している場合、電極領域E1の円形状は、導体62の円形状を含んでおり、かつ、導体62の円形状の外側にまで拡がっている。
【0116】
電極42において、電極領域E1の面積は、たとえば、電極領域E2の面積より小さい。電極領域E1の面積と電極領域E2の面積との合計に対する、電極領域E1の面積の割合は、たとえば、0.2~5%である。
【0117】
図15は、第一方向D1から見た、電極43及び接続導体52,53を示している。分かりやすく説明するため、第一方向D1から見た接続導体51を破線で加えている。電極43は、第一方向D1から見て、接続導体51と重なる位置に、電極領域E1を含んでいる。
【0118】
図15に示されるように、第一方向D1から見て、接続導体51の外縁の全体が、電極領域E1の外縁より内側に位置しており、導体61の外縁の全体は、接続導体51の外縁より内側に位置している。したがって、第一方向D1から見て、導体61は、全体的に、導体61が物理的に接続されている電極領域E1の内側に位置している。導体61の外縁の全体が、電極領域E1の外縁より内側に位置している。電極領域E1は、第一方向D1から見て、導体61の全周にわたって、導体61の外側に延在している。
【0119】
本実施形態では、第一方向D1から見て、電極領域E1は、円形状を呈している。導体61が、第一方向D1から見て、矩形状を呈している場合、電極領域E1の円形状は、導体61の矩形状を含んでおり、かつ、導体61の矩形状の外側にまで拡がっている。導体61が、第一方向D1から見て、円形状を呈している場合、電極領域E1の円形状は、導体62の円形状を含んでおり、かつ、導体61の円形状の外側にまで拡がっている。
【0120】
接続導体51,52,53及び導体61,62,63は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Pt、Cu、又はAg-Pd合金が用いられる。接続導体51,52,53及び導体61,62,63は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体である。導体61,62,63は、たとえば、対応する圧電体層5a,5b,5c,5d,5eを形成するためのセラミックグリーンシートに形成された貫通孔に充填された導電性ペーストが焼結することにより形成される。
【0121】
電極43において、電極領域E1の面積は、たとえば、電極領域E2の面積より小さい。電極領域E1の面積と電極領域E2の面積との合計に対する、電極領域E1の面積の割合は、たとえば、0.2~5%である。
【0122】
圧電素体1では、圧電体層5bのうち、電極41と電極42とで挟まれた領域と、圧電体層5cのうち、電極42と他の電極41とで挟まれた領域と、圧電体層5dのうち、他の電極41と電極43とで挟まれた領域と、圧電体層5eのうち、電極43と更に他の電極41とで挟まれた領域とは、圧電的に活性な活性領域を構成する。電極41と電極42との間、電極42と他の電極41との間、他の電極41と電極43との間、及び電極43と更に他の電極41との間に、活性領域が形成される。第一方向D1から見て、圧電体層5b,5c,5d,5eにおいて、電極41と電極42、電極42と他の電極41、他の電極41と電極43、及び電極43と更に他の電極41とが互いに重なっている領域の外縁が、活性領域と、圧電効果的に不活性な不活性領域との境界を画成している。圧電素体1では、圧電体層5aと圧電体層5fとは、不活性領域を構成する。
【0123】
電極41,42,43は、導電性材料からなる。本実施形態に係る電極41,42,43の導電性材料は、たとえば、第1実施形態に係る電極21,22の導電性材料と同一である。電極41,42,43は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体である。電極41,42,43は、たとえば、電極21,22と同様の形成法によって形成される。本実施形態での電極領域E1及び電極領域E2の被覆割合が互いに異なる構成は、第1実施形態と同様に、たとえば、電極41,42,43に対応する電極パターンを形成する際の、印刷条件を制御することにより、実現され得る。
【0124】
以上説明したように、本実施形態に係る圧電素子PD2は、圧電素体1と、圧電素体1に配置されている複数の電極31,32,33と、互いに対向するように圧電素体1に配置されており、複数の電極31,32,33のうち対応する電極31,32,33と電気的に接続されている複数の電極41,42,43と、を備える。複数の電極41,42,43のうち少なくとも一つの電極41,42,43は、対応する電極31,32,33と物理的に接続されており、圧電素体1の素体領域B1を被覆している電極領域E1と、圧電素体1の、素体領域B1とは異なる素体領域B2を被覆している電極領域E2と、を有している。電極領域E1が素体領域B1を被覆している割合は、電極領域E2が素体領域B2を被覆している割合より大きい。
【0125】
圧電素子PD2によれば、電極領域E1が素体領域B1を被覆している割合は、電極領域E2が素体領域B2を被覆している割合より大きい。したがって、電極41,42,43は、発熱しがたく、かつ、圧電素体1の変位を阻害しがたい。この結果、圧電素子PD1は、変位特性の劣化を抑制する。
【0126】
圧電素子PD2では、複数の電極41,42,43が、電極領域E1と電極領域E2とを有している。
この場合、複数の電極41,42,43は、発熱しがたく、かつ、圧電素体1の変位を阻害しがたい。したがって、圧電素子PD2は、変位特性の劣化をより一層抑制する。
【0127】
圧電素子PD2では、対応する電極31,32,33は、圧電素体1内に配置されている導体61,62,63を含んでいる。導体61,62,63が、電極領域E1と物理的に接続されている。
この場合、対応する電極31,32,33が導体61,62,63を含む構成であっても、導体61,62,63が、電極領域E1と物理的に接続されている構成は、電極41,42,43を発熱させがたく、かつ、圧電素体1の変位を阻害しがたい。
【0128】
圧電素子PD2では、第一方向D1から見て、導体61,62,63は、全体的に、当該導体61,62,63が物理的に接続されている電極領域E1の内側に位置している。
この場合、導体61,62,63は、電極領域E1に確実に接続されている。したがって、圧電素子PD2は、電極41,42,43を確実に発熱させがたく、かつ、圧電素体1の変位を確実に阻害しがたい。
【0129】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0130】
図16に示されるように、圧電素子PD1は、たとえば、圧電素体1と電極70とを備えている。電極70は、複数の電極70a,70bを含んでいる。電極70aは、電極71,72を有している。電極70bは、第一電極に対応する第一部分と、第二電極に対応する第二部分とを有している。たとえば、電極71が、第一電極を構成する場合、電極72は、第二電極を構成する。電極70a,70bは、たとえば、電極11,13,21,22の材料と同一の材料を含み、電極11,13,21,22と同一の方法によって形成される。圧電素体1は、たとえば、圧電体層7を有している。圧電体層7は、たとえば、圧電体層3a~3eと同一の材料を含んでいる。
図16では、各部を明確に示すため、ハッチングが省略されている。
【0131】
電極71は、たとえば、側面1c3に配置されている。電極70bの第一部分は、たとえば、主面1bに配置されている。電極72は、たとえば、主面1aに配置されている。電極72は、電極71と電気的に接続されている。電極71と電極72とは、互いに連続している。電極71は、側面1c3の主面1b側の縁から離間している。電極72は、主面1aの側面1c4側の縁から離間している。電極70bの第二部分は、電極70bの第一部分と電気的に接続されている。電極70bの第一部分と第二部分とは、たとえば、主面1b上で、互いに連続している。電極70bは、主面1bの側面1c3側の縁から離間している。
【0132】
電極72と,電極70bの第二部分とは、電極領域E1,E2を有している。電極72の電極領域E1は、電極71と連続している。電極70bの第二部分の電極領域E1は、電極70bの第一部分と連続している。電極72の電極領域E1と、電極70bの第二部分の電極領域E1とは、素体領域B1を被覆している。第一方向D1から見て、電極72の電極領域E1が被覆する素体領域B1と、電極70bの第二部分の電極領域E1が被覆する素体領域B1とは、たとえば、互いに重なっている。電極72の電極領域E2と、電極70bの第二部分の電極領域E2とは、素体領域B2を被覆している。第一方向D1から見て、電極72の電極領域E2が被覆する素体領域B2と、電極70bの第二部分の電極領域E2が被覆する素体領域B2とは、たとえば、互いに重なっている。電極領域E1が素体領域B1を被覆している割合は、電極領域E2が素体領域B2を被覆している割合より大きい。
【0133】
図17に示されるように、圧電素子PD1は、たとえば、圧電素体1と電極80とを備えている。電極80は、複数の電極80a,80bを含んでいる。電極80aは、電極81,82を備えている。電極80bは、第一電極に対応する第一部分と、第二電極に対応する第二部分を備えている。たとえば、電極81が、第一電極を構成する場合、電極82は、第二電極を構成する。電極80a,80bは、たとえば、電極11,13,21,22の材料と同一の材料を含み、電極11,13,21,22と同一の方法によって形成される。圧電素体1は、たとえば、2層の圧電体層9a,9bを有している。圧電体層9a,9bは、たとえば、圧電体層3a~3eと同一の材料を含んでいる。電極82の構成は、たとえば、電極21,22と同一の構成を有している。
図17では、各部を明確に示すため、ハッチングが省略されている。
【0134】
電極81は、たとえば、側面1c3に配置されている。電極82は、電極81と電気的に接続されている。電極82は、圧電体層9aと圧電体層9bとの間に位置している。電極81と電極82とは、たとえば、側面1c3で、互いに連続している。電極80bの第一部分は、たとえば、主面1bに配置されている。電極80bの第二部分は、電極80bの第一部分と電気的に接続されている。電極80bの第二部分は、たとえば、圧電体層9bを挟んで、電極82と対向するように主面1bに配置されている。電極80bの第一部分と第二部分とは、たとえば、互いに連続している。電極80bは、主面1bの側面1c3側の縁から離間している。電極82と、電極80bの第二部分とは、電極領域E1,E2を有している。電極82の電極領域E1は、電極81と連続している。電極80bの第二部分の電極領域E1は、電極80bの第一部分と連続している。
【0135】
電極82の電極領域E1と、電極80bの第二部分の電極領域E1とは、圧電体層9bの素体領域B1を被覆している。第一方向D1から見て、電極82の電極領域E1が被覆する素体領域B1と、電極80bの第二部分の電極領域E1が被覆する素体領域B1とは、互いに重なっている。電極82の電極領域E2と、電極80bの第二部分の電極領域E2とは、圧電体層9bの素体領域B2を被覆している。第一方向D1から見て、電極82の電極領域E2が被覆する素体領域B2と、電極80bの第二部分の電極領域E2が被覆する素体領域B2とは、互いに重なっている。電極領域E1が素体領域B1を被覆している割合は、電極領域E2が素体領域B2を被覆している割合より大きい。
【0136】
圧電素子PD1では、電極領域E1の面積は、電極領域E2の面積より小さくなくてもよい。電極領域E1の面積が、電極領域E2の面積より小さい構成では、上述したように、電極領域E1は、電極領域E2に比して、圧電素体1の変位を阻害する傾向がある。したがって、電極領域E1の面積が電極領域E2の面積より小さい構成では、電極21,22は圧電素体1の変位を確実に阻害しがたい。
圧電素子PD1では、内部電極領域P1の一部E3は、内部電極領域P2より幅広でなくてもよい。第三方向D3から見て、内部電極領域P2は、内部電極領域P1の一部E3の幅の範囲内に位置していなくてもよい。内部電極領域P1の一部E3が、内部電極領域P2より幅広であり、第三方向D3から見て、内部電極領域P2が、内部電極領域P1の一部E3の幅の範囲内に位置している構成では、上述したように、圧電素子PD1は、電極21,22の発熱を確実に抑制する。
圧電素子PD2では、第一方向D1から見て、導体61,62,63は、全体的に、当該導体61,62,63が物理的に接続されている電極領域E1の内側に位置していなくてもよい。第一方向D1から見て、導体61,62,63が、全体的に、当該導体61,62,63が物理的に接続されている電極領域E1の内側に位置している構成では、上述したように、導体61,62,63は、電極領域E1に確実に接続されている。したがって、圧電素子PD2は、電極41,42,43を確実に発熱させがたく、かつ、圧電素体1の変位を確実に阻害しがたい。
【0137】
上述した実施形態及び変形例の記載から把握されるとおり、本明細書は、以下に示す態様の開示を含んでいる。
(付記1)
圧電素体と、
前記圧電素体に配置されている第一電極と、
前記圧電素体に配置されており、前記第一電極と電気的に接続されている第二電極と、
を備え、
前記第二電極は、
前記第一電極と物理的に接続されており、前記圧電素体の第一素体領域を被覆している第一電極領域と、
前記圧電素体の、前記第一素体領域とは異なる第二素体領域を被覆している第二電極領域と、を有し、
前記第一電極領域が前記第一素体領域を被覆している割合は、前記第二電極領域が前記第二素体領域を被覆している割合より大きい、圧電素子。
(付記2)
複数の前記第二電極を備え、
前記圧電素体は、前記複数の第二電極が互いに対向している方向で互いに対向している一対の主面と、前記一対の主面を連結している側面と、を有し、
前記複数の第二電極のうち少なくとも一つの第二電極は、前記圧電素体内に配置されている内部電極であり、
前記内部電極は、
前記複数の第二電極のうち別の第二電極と対向する第一内部電極領域と、
前記側面に露出すると共に前記第一電極と物理的に接続されている一端と、前記第一内部電極領域と連続している他端とを有しており、前記第一内部電極領域より幅狭である第二内部電極領域と、を有し、
前記第一電極領域は、少なくとも前記第二内部電極領域を含む、付記1に記載の圧電素子。
(付記3)
前記第一電極領域は、前記第一内部電極領域の、前記第二内部電極領域に連続する一部を更に含む、付記2に記載の圧電素子。
(付記4)
前記第一内部電極領域の前記一部は、前記第二内部電極領域より幅広であり、
前記第二内部電極領域が有する前記一端が露出している前記側面に直交する方向から見て、前記第二内部電極領域は、前記第一内部電極領域の前記一部の幅の範囲内に位置している、付記3に記載の圧電素子。
(付記5)
前記複数の第二電極が互いに対向している前記方向から見て、前記第一内部電極領域の前記一部と、前記第一内部電極領域の残部との境界は、円弧状を呈している、付記4に記載の圧電素子。
(付記6)
前記複数の第二電極が、前記第一内部電極領域と前記第二内部電極領域とを有する前記内部電極である、付記2~5のいずれか一項に記載の圧電素子。
(付記7)
前記複数の第二電極が有する前記第一電極領域は、前記複数の第二電極が互いに対向している前記方向から見て、互いに重なっている、付記6に記載の圧電素子。
(付記8)
前記第二内部電極領域の面積は、前記第一内部電極領域の面積より小さい、付記2~7のいずれか一項に記載の圧電素子。
(付記9)
前記第一電極は、前記圧電素体内に配置されているスルーホール導体を含み、
前記スルーホール導体が、前記第一電極領域と物理的に接続されている、付記1に記載の圧電素子。
(付記10)
複数の前記第二電極を備え、
前記複数の第二電極が互いに対向している前記方向から見て、前記スルーホール導体は、全体的に、当該スルーホール導体が物理的に接続されている前記第一電極領域の内側に位置している、付記9に記載の圧電素子。
(付記11)
前記複数の第二電極が、前記第一電極領域と前記第二電極領域とを有する、付記1~10のいずれか一項に記載の圧電素子。
(付記12)
前記第一電極領域の面積は、前記第二電極領域の面積より小さい、付記1~11のいずれか一項に記載の圧電素子。
(付記13)
圧電素体と、
前記圧電素体に配置されている複数の第一電極と、
互いに対向するように前記圧電素体に配置されており、前記複数の第一電極のうち対応する第一電極と電気的に接続されている複数の第二電極と、
を備え、
前記複数の第二電極のうち少なくとも一つの第二電極は、
前記対応する第一電極と物理的に接続されており、前記圧電素体の第一素体領域を被覆している第一電極領域と、
前記圧電素体の、前記第一素体領域とは異なる第二素体領域を被覆している第二電極領域と、を有し、
前記第一電極領域が前記第一素体領域を被覆している割合は、前記第二電極領域が前記第二素体領域を被覆している割合より大きい、圧電素子。
【符号の説明】
【0138】
1…圧電素体、1a…主面、1b…主面、1c…側面、11…電極、13…電極、21…電極、22…電極、31…電極、32…電極、33…電極、41…電極、42…電極、43…電極、B1…素体領域、B2…素体領域、E1…電極領域、E2…電極領域、E3…一部、E4…一部、E5…残部、ED1…一端、ED2…他端、ED3…境界、P1…内部電極領域、P2…内部電極領域、PD1…圧電素子、PD2…圧電素子。