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特開2023-163911表面被覆組成物、表面被覆部材、及び施工方法
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  • 特開-表面被覆組成物、表面被覆部材、及び施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163911
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】表面被覆組成物、表面被覆部材、及び施工方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 1/00 20060101AFI20231102BHJP
   C09D 5/08 20060101ALI20231102BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
C09D1/00
C09D5/08
C23C26/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075127
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000154794
【氏名又は名称】株式会社放電精密加工研究所
(71)【出願人】
【識別番号】592025557
【氏名又は名称】ローバル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】康 諭基泰
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 郁心
(72)【発明者】
【氏名】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】樋垣 雅史
(72)【発明者】
【氏名】遠嶋 良輔
(72)【発明者】
【氏名】弘田 拓巳
【テーマコード(参考)】
4J038
4K044
【Fターム(参考)】
4J038AA011
4J038CG132
4J038DG002
4J038HA061
4J038HA066
4J038HA431
4J038JC30
4J038JC38
4J038KA09
4J038NA03
4J038PC02
4K044AA02
4K044BA10
4K044BA14
4K044BA21
4K044BB01
4K044BB11
4K044CA53
(57)【要約】
【課題】耐食性に優れた表面被覆組成物を提供する。
【解決手段】本発明の表面被覆組成物は、亜鉛粉末と、シラン化合物と、チタン元素、ジルコニウム元素、及びアルミニウム元素からなる群から選ばれる一種又は二種以上を含有する有機金属化合物と、溶媒と、を含むものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛粉末と、
シラン化合物と、
チタン元素、ジルコニウム元素、及びアルミニウム元素からなる群から選ばれる一種又は二種以上を含有する有機金属化合物と、
溶媒と、
を含む、表面被覆組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の表面被覆組成物であって、
当該表面被覆組成物中に含まれる亜鉛元素に対するケイ素元素の含有量比Si/Znが、0.05質量%以上20質量%以下である、表面被覆組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の表面被覆組成物であって、
前記亜鉛粉末が、粒子径が1μm~10μmの亜鉛粒子を含む、表面被覆組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の表面被覆組成物であって、
当該表面被覆組成物からなる乾燥膜中の亜鉛元素の含有量が、50質量%以上である、表面被覆組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の表面被覆組成物であって、
無機系バインダーまたは有機系バインダーを含む、表面被覆組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の表面被覆組成物であって、
クロム元素を実質的に含まない、表面被覆組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の表面被覆組成物であって、
前記シラン化合物が、シランカップリング剤及び/又はアルコキシシランを含む、表面被覆組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の表面被覆組成物であって、
前記溶媒が、アルコールを含む、表面被覆組成物。
【請求項9】
基材と、
前記基材上に形成された、亜鉛-ケイ素含有皮膜と、を備え、
前記亜鉛-ケイ素含有皮膜が、請求項1~8のいずれか一項に記載の表面被覆組成物からなる乾燥膜で構成される、表面被覆部材。
【請求項10】
亜鉛含有塗料とケイ素含有塗料とを混合して、表面被覆組成物を準備する工程と、
得られた前記表面被覆組成物を、基材の表面に塗布、乾燥させ、亜鉛-ケイ素含有皮膜を形成する工程と、を含み、
前記亜鉛含有塗料が亜鉛粉末を含み、
前記ケイ素含有塗料が、シラン化合物と、チタン元素、ジルコニウム元素、及びアルミニウム元素からなる群から選ばれる一種又は二種以上を含有する有機金属化合物と、溶媒と、を含む、
施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面被覆組成物、表面被覆部材、及び施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで基材を保護する塗料等や表面処理剤において様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、鋼材の表面にジンクリッチペイントによる地塗膜を形成する塗装技術が記載されている(請求項1、段落0001など)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-040350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者が検討した結果、特許文献1の塗装技術において、耐食性の点で改善の余地があることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
しかしながら、ジンクリッチペイントを鋼材に塗布したものを、海洋や湾岸に近い塩害地域で使用した場合、水や海塩粒子などの塩分等を含む外部環境の影響によって、腐食の進行が早まり、想定通りの防食効果が得られないことが判明した。
【0006】
本発明者らは、このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、亜鉛粉末とともに、シラン化合物および有機金属化合物を含む亜鉛-ケイ素含有塗料を用いて、金属基材の表面を亜鉛-ケイ素含有皮膜により保護することにより、水や塩分などの暴露時においても金属基材の耐食性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の一形態によれば、表面被覆組成物、表面被覆部材、及び施工方法が提供される。
1. 亜鉛粉末と、
シラン化合物と、
チタン元素、ジルコニウム元素、及びアルミニウム元素からなる群から選ばれる一種又は二種以上を含有する有機金属化合物と、
溶媒と、
を含む、表面被覆組成物。
2. 1.に記載の表面被覆組成物であって、
当該表面被覆組成物中に含まれる亜鉛元素に対するケイ素元素の含有量比Si/Znが、0.05質量%以上20質量%以下である、表面被覆組成物。
3. 1.又は2.に記載の表面被覆組成物であって、
前記亜鉛粉末が、粒子径が1μm~10μmの亜鉛粒子を含む、表面被覆組成物。
4. 1.~3.のいずれか一つに記載の表面被覆組成物であって、
当該表面被覆組成物からなる乾燥膜中の亜鉛元素の含有量が、50質量%以上である、表面被覆組成物。
5. 1.~4.のいずれか一つに記載の表面被覆組成物であって、
無機系バインダーまたは有機系バインダーを含む、表面被覆組成物。
6. 1.~5.のいずれか一つに記載の表面被覆組成物であって、
クロム元素を実質的に含まない、表面被覆組成物。
7. 1.~6.のいずれか一つに記載の表面被覆組成物であって、
前記シラン化合物が、シランカップリング剤及び/又はアルコキシシランを含む、表面被覆組成物。
8. 1.~7.のいずれか一つに記載の表面被覆組成物であって、
前記溶媒が、アルコールを含む、表面被覆組成物。
9. 基材と、
前記基材上に形成された、亜鉛-ケイ素含有皮膜と、を備え、
前記亜鉛-ケイ素含有皮膜が、1.~8.のいずれか一つに記載の表面被覆組成物からなる乾燥膜で構成される、表面被覆部材。
10. 亜鉛含有塗料とケイ素含有塗料とを混合して、表面被覆組成物を準備する工程と、
得られた前記表面被覆組成物を、基材の表面に塗布、乾燥させ、亜鉛-ケイ素含有皮膜を形成する工程と、を含み、
前記亜鉛含有塗料が亜鉛粉末を含み、
前記ケイ素含有塗料が、シラン化合物と、チタン元素、ジルコニウム元素、及びアルミニウム元素からなる群から選ばれる一種又は二種以上を含有する有機金属化合物と、溶媒と、を含む、
施工方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐食性に優れた表面被覆組成物、それを用いた表面被覆部材、及び施工方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る表面被覆部材の構成の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。
【0011】
本実施形態の表面被覆組成物の概要を説明する。
【0012】
本実施形態の表面被覆組成物は、亜鉛粉末と、シラン化合物と、チタン元素、ジルコニウム元素、及びアルミニウム元素からなる群から選ばれる一種又は二種以上を含有する有機金属化合物と、溶媒と、を含む。
【0013】
本発明者の知見によれば、上記の表面被覆組成物を用いて金属基材の表面を被覆することにより、金属基材の腐食の進行を抑制し、金属基材の耐食性を向上することができることが見出された。このような防食効果は、海洋や湾岸に近い塩害地域で長期的に使用した場合でも、十分に得られることが期待される。
【0014】
詳細なメカニズムは定かではないが、次のように推察される。
通常、ジンクリッチペイントを塗布してなるジンクリッチ皮膜中の亜鉛の一部は、金属部材の界面で、鉄などの金属と反応し、溶解(イオン化)して、腐食生成物(亜鉛酸化膜)を生成する。この腐食生成物は、導通しないため、塩化物イオンなどの腐食因子に対する防食効果が得られにくくなる。
これに対して、本実施形態では、金属基材の表面の一部または全体は、表面被覆組成物を乾燥してなる乾燥膜、すなわち、亜鉛-ケイ素含有皮膜により被覆される。この皮膜中には、亜鉛を含む亜鉛部と、シリカ化合物や有機金属化合物の反応物を含むケイ素部と、が存在する。そして、シラノール基(-Si-OH)がZnと反応して、ケイ素部が亜鉛部(亜鉛粒子)の表面に存在するため、亜鉛部中の亜鉛が過剰に溶解することが抑制される。これにより、亜鉛の溶解により生成される腐食生成物の過剰発生を抑制できるため、上述の腐食因子に対する防食効果が十分に得られる。その上、ケイ素部は、皮膜中における塩化物イオンの透過を抑制できる。
表面被覆組成物により、このような亜鉛溶解抑制能および塩化物イオンの透過遮断能を発揮できるため、金属基材の耐食性を高度に高められると推察される。
また、本実施形態の表面被覆組成物中では、Zn成分とSi成分が良好に分散した状態のため、形成される亜鉛-ケイ素含有皮膜の膜厚方向においてZn成分とSi成分とが均一に存在するため、上記の耐食性の品質バラツキを低減することが可能になる。
【0015】
本実施形態の施工方法は、上記の表面被覆組成物を準備する工程と、得られた表面被覆組成物を、上記の基材の表面に塗布、乾燥させ、亜鉛-ケイ素含有皮膜を形成する工程と、を含む。
このような施工方法により、表面被覆部材が得られる。
【0016】
表面被覆組成物を準備する一例は、例えば、亜鉛粉末を含む亜鉛含有塗料と、シラン化合物と有機金属化合物と溶媒とを含むケイ素含有塗料とを、混合する工程を含んでもよいが、これに限定されない。
【0017】
本実施形態の施工方法により、亜鉛含有塗料とケイ素含有塗料とをそれぞれ個々に重ね塗りする場合と比較して、下地が乾燥する時間が不要となるため、施工時間を大幅に短縮できる。これにより、施工費用も削減可能である。
【0018】
なお、亜鉛含有塗料中の各成分とケイ素含有塗料中の各成分については、個々を任意の順番で混合することができる。
【0019】
塗布方法は、公知の手法を採用できるが、例えば、基材を浸漬する方法、スピンコーターを用いる方法、スプレーで吹き付ける方法、刷毛ローラーやローラーで塗工する方法などが挙げられる。
なお、塗布回数は、1回でもよいが、2回以上の複数回でもよい。目的とする塗膜厚みに応じて、塗布回数を適宜設定できる。
乾燥方法は、常温で乾燥してもよいが、適切な温度まで加熱して行ってもよい。
【0020】
本実施形態の表面被覆部材は、基材と、基材上に形成された亜鉛-ケイ素含有皮膜と、を備える。この亜鉛-ケイ素含有皮膜は、上記の表面被覆組成物からなる乾燥膜で構成される。
【0021】
表面被覆部材の基材は、例えば、金属基材、木基材、及び石基材からなる群から選ばれる。その他、コンクリート基材やセラミック基材を用いてもよい。
【0022】
本実施形態の表面被覆組成物の被覆により、基材の劣化を抑制することが可能である。基材劣化抑制の一つとして、金属基材の耐食性の低下を抑制することが挙げられる。また、基材劣化抑制の一つとして、木基材や石基材等の各種基材の色調変化を抑制することが挙げられる。
【0023】
金属基材を構成する金属材料は、Al系材料、Fe系材料、Ni系材料、Co系材料等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Fe系材料としては、各種の鉄鋼材料および鉄基合金を用いることができ、例えば、炭素鋼、合金鋼、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、マンガン鋼、工具鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼、窒化鋼、肌焼鋼などが挙げられる。
【0024】
亜鉛-ケイ素含有皮膜の厚みの下限は、例えば、30μm以上、好ましくは40μm以上、より好ましくは50μm以上である。これにより、耐食性の効果を十分に発揮できる。
一方、上記亜鉛-ケイ素含有皮膜の厚みの上限は、特に限定されないが、300μm以下でもよく、200μm以下でもよい。
なお、亜鉛-ケイ素含有皮膜の厚みは、表面被覆組成物を塗布してなる塗布膜の乾燥時膜厚とする。
【0025】
本実施形態の表面被覆部材は、各種の用途に用いることができ、例えば、土木構造物、建築構造物、電力・通信用構造物、船舶漁業用構造物、鉄道・運輸・道路用構造物、農業園芸用構造物、環境衛生用構造物等の全体又は一部を構成する用途に用いられる。
【0026】
土木構造物として、橋梁支承部、陸橋、めっき橋、グレーチング、鉄筋、耐震補強、土木用めっき資材、建築構造物として、電気・ガス・水道等鋼管、ゴルフ場等のネット支柱、球場柱、ビル・家屋鉄骨柱・梁、仮設足場、手すり、安全柵、外部階段、各種架台、鉄サッシ、立体駐車場、避雷針、耐震補強、電力・通信用構造物として、鉄塔、鉄柱、パンザマスト、電力機器用架台、碍子金具、各種アンテナ、トランスハンガー、変圧器、船舶漁業用構造物として、冷凍施設、錨、鎖、集魚灯、浮標、油槽、各種艤装金物、配管金物、鉄道・運輸・道路用構造物として、防音壁、架線鉄構、送電鉄塔、照明柱、ガードレール、標識柱、フェンス、レール、農業園芸用構造物として、温室、サイロ、養鶏舎、農業用組立構造物、灌漑用パイプ、農機具、ビニールハウス、環境衛生用構造物として、環境衛生設備、焼却炉、各種タンク外面等が挙げられる。
このような中でも、海洋中、海洋外近傍、或いは湾岸近傍に設けられた構造体、いわゆる、海洋・湾岸構造体が、上記の表面被覆部材を備えることが好ましい。
【0027】
本実施形態の表面被覆部材は、亜鉛-ケイ素含有皮膜が、クロム成分を実質的に含まないように構成されてもよい。これにより、環境負荷を低減できるため、表面被覆部材を外部環境に暴露される構造体に好適に適用できる。
【0028】
図1は、表面被覆部材100の構成の一例を示す断面図である。
図1の表面被覆部材100は、基材10と、基材10の表面に形成された亜鉛-ケイ素含有皮膜20と、を備える。
【0029】
なお、表面被覆部材100は、目的に応じて、亜鉛-ケイ素含有皮膜20の表面に他の塗膜を、単層、または複数層有していてもよい。
他の塗膜は、例えば、着色塗料、メタリック塗料、クリア塗料、カラークリア塗料、エポキシ塗料等の、公知の塗料を用いることができる。
【0030】
以下、本実施形態の表面被覆組成物の組成成分について詳述する。
【0031】
表面被覆組成物は、少なくとも、亜鉛粉末、シラン化合物、有機金属化合物、および溶媒を含む。
この他、表面被覆組成物は、バインダー成分、水性コロイダルシリカ、水分散性樹脂、第一溶媒や第二溶媒等の溶媒、第一添加剤や第二添加剤等の添加剤からなる群から選ばれる一または二以上を含んでもよい。
【0032】
表面被覆組成物中に含まれる亜鉛元素に対するケイ素元素の含有量比をSi/Znとしたとき、Si/Znは、例えば、0.05質量%以上20質量%以下の範囲内となるように構成されてもよい。
Si/Znの下限は、例えば、0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.14質量%以上である。これにより、亜鉛の過剰溶解を抑制できるため、耐食性を一層向上できる。
Si/Znの上限は、例えば、20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。これにより、亜鉛の溶解抑制能を適切に制御できるため、耐食性を一層向上できる。
【0033】
表面被覆組成物からなる乾燥膜中の亜鉛元素の含有量の下限は、例えば、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。これにより、犠牲防食性などの基材保護能を高められる。
一方、上記乾燥膜中の亜鉛元素の含有量の上限は、特に限定されないが、例えば、96重量%以下でもよく、95重量%以下でもよく、90重量%以下でもよい。これにより、水および塩分含有環境中における耐食性を一層向上できる。
【0034】
表面被覆組成物の一例は、後述の亜鉛含有塗料と、後述のケイ素含有塗料と、を混合して得られるものであってもよい。
【0035】
上記の亜鉛含有塗料は、亜鉛粉末を少なくとも含み、バインダー成分、第一溶媒、および第一添加剤からなる群から選ばれる一または二以上を含むものであってもよい。
【0036】
<亜鉛粉末>
亜鉛粉末は、平均粒径が、例えば、1μm~10μm、好ましくは3μm~7μmの亜鉛粒子を含んでもよい。
【0037】
<バインダー成分>
バインダー成分は、無機系バインダー、または有機系バインダーが挙げられる。
無機系バインダーとして、例えば、アルキルシリケート、アルカリシリケート等が挙げられる。
有機系バインダーとして、アクリル化合物、エポキシ化合物、ウレタン化合物等が挙げられる。
これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
第一溶媒として、水、有機溶剤等が挙げられる。
【0039】
第一溶媒が有機溶剤を主に含む亜鉛含有塗料を、溶剤系亜鉛含有塗料といい、第一溶媒が水を主に含む亜鉛含有塗料を、水系亜鉛含有塗料という。
溶剤系亜鉛含有塗料として、例えば、ローバル社製の「ローバル」、「エポローバル」、「ローバルシルバー」、「ローバルアルファ」等を用いてもよい。水系亜鉛含有塗料として、例えば、ローバル社製の「水性ローバル」等を用いてもよい。
【0040】
これらの溶剤系亜鉛含有塗料や水系亜鉛含有塗料は、第一添加剤として、例えば、顔料、増粘剤、消泡剤、分散剤、防錆剤等が含まれていてもよい。第一添加剤は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
上記のケイ素含有塗料は、シラン化合物および有機金属化合物を少なくとも含み、水性コロイダルシリカ、水分散性樹脂、第二溶媒、および第二添加剤からなる群から選ばれる一または二以上を含むものであってもよい。
【0042】
ケイ素含有塗料に含まれる各成分は、亜鉛-ケイ素含有皮膜中のケイ素部中、多様な架橋反応、空間配置、及び/又は分散などした状態となる。ケイ素部中、第二溶媒等の溶媒は、乾燥によって除去された状態であるが、不可避に残存する場合を許容する。
【0043】
ケイ素部の構造は、詳細なメカニズムは定かでないが、以下の通りに推察される。
シランカップリング剤及び/又はアルコキシシラン等のシラン化合物は、分子内に含まれるシリル基が加水分解縮合等の架橋反応などにより、二次元的構造及び/又は三次元的架橋構造を有するケイ素部を形成できる。
シラン化合物の加水分解縮合物と有機金属化合物との脱水縮合反応などによる架橋構造を有するケイ素部が形成される。例えば、シラン化合物由来のケイ素原子と有機金属化合物由来の遷移金属原子との酸素原子を介した架橋構造がケイ素部中に形成される。また、有機金属化合物は、シラン化合物、または、他に含まれる成分との化学的な結合を促進し、強度の高いケイ素部を形成できる。
また、シラン化合物由来のケイ素原子や有機金属化合物の金属原子が、酸素原子を介して、亜鉛部に化学的に結合でき、また、ケイ素部が基材(金属基材)に物理的に結合できる。これにより、ケイ素部を含む皮膜と基材の密着性を高められる。
また、このようなケイ素部中の空隙空間に、適切な粒径を有するシリカ等の無機粒子が適切に配置されるため、緻密性が高いケイ素部が得られる。このシリカ等の無機粒子の表面には、酸素原子を介して、架橋構造中のシラン化合物のケイ素原子と化学結合を形成できる。
【0044】
<シラン化合物>
シラン化合物は、シランカップリング剤及びアルコキシシランからなる群から選ばれる一又は二以上を含む。
【0045】
シランカップリング剤としては、ケイ素原子上に、アルコキシ基等の加水分解性基及び反応性官能基が結合したシラン化合物が用いられる。シランカップリング剤として、モノマー、オリゴマーのいずれか一方または両方を用いてもよい。
シランカップリング剤を用いることで、水性溶液として安定化させることができる。シランカップリング剤が、水性コロイダルシリカ等の成分間の親和性を向上できるため、安定な水性溶液(組成物)を形成することができる、と考えられる。
【0046】
上記シランカップリング剤として、水中に溶解できる水溶性シランカップリング剤が好ましい。
上記水溶性シランカップリング剤としては、例えば、官能基がエポキシ基を備えるシランカップリング剤(エポキシシラン)、または官能基がアミノ基を備えるシランカップリング剤(アミノシラン)を含むことができる。この中でも、耐食性の観点から、エポキシシランを用いることがより好ましい。
【0047】
上記エポキシシランとしては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシルエチル)トリメトキシシランなどのグリシジルまたはエポキシ基含有トリアルコキシシラン化合物が挙げられる。
【0048】
アルコキシシランとしては、ケイ素原子上に、アルコキシ基が結合し、水素基やアルキル基等の非反応性官能基が結合したシラン化合物が用いられる、例えば、アルキルアルコキシシランを用いることができる。アルコキシシランとして、モノマー、オリゴマーのいずれか一方または両方を用いてもよい。
アルキルアルコキシシランモノマーとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びγ‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシランから選ばれた少なくとも1種を用いることができる。
【0049】
上記シランカップリング剤及び/又はアルコキシシランの含有量は、ケイ素含有塗料中に、固形分換算で、例えば、0.1質量%~12質量%、好ましくは1質量%~11質量%、より好ましくは1.5質量%~10質量%である。
【0050】
本明細書中、「~」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す。
また、固形分とは、水やアルコール溶媒等の揮発成分を除いた残部を指す。この固形分は、ケイ素含有塗料を加熱処理した後、各成分の反応後に残存する残存物としてもよい。
【0051】
<有機金属化合物>
有機金属化合物は、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物からなる群から選ばれる一又は二以上を含む。
【0052】
有機チタン化合物として、チタンキレート、チタンアルコキシド、チタンアシレート等が挙げられる。有機ジルコニウム化合物として、ジルコニウムキレート、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアシレート等が挙げられる。有機アルミニウム化合物として、アルミニウムキレート、アルミニウムアルコキシド等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、有機金属化合物は、モノマー、オリゴマーのいずれか一方または両方を用いてもよい。
【0053】
上記有機チタン化合物は、ケイ素含有塗料全体中、固形分換算で、例えば、0.01質量%~7質量%、好ましくは0.015質量%~5質量%、より好ましくは0.02質量%~3質量%である。
【0054】
<水性コロイダルシリカ>
【0055】
水溶性コロイダルシリカは、水溶媒や、水を含む混合溶媒中に分散するもので、SiOで構成される無機粒子を含む。無機粒子の平均粒子径は、たとえば、1~200nmとしてもよい。
【0056】
水性コロイダルシリカの他に、Al、ZrO、Fe等の無機酸化物で構成される無機コロイド粒子が含まれてもよい。無機コロイド粒子は、水中に分散する無機粒子で構成される。
【0057】
水性コロイダルシリカを用いることで、皮膜についての強度を一段と向上させることができる。また、組成物中の分散性を高めることができるので、シリカ粒子が皮膜中に均一に分散した、皮膜を形成できる。
【0058】
上記水性コロイダルシリカの含有量は、ケイ素含有塗料中に、固形分換算で、例えば、0.5質量%~12質量%、好ましくは0.6質量%~10質量%、より好ましくは0.8質量%~8質量%である。上記下限値以上とすることで、皮膜に適度な強度を付与できる。上記上限値以下とすることで、皮膜の物性のバランスを図ることができる。
【0059】
<水分散性樹脂>
水分散性樹脂は、水中に分散する樹脂で構成される。
水分散性樹脂の他に、水溶性樹脂が含まれていてもよい。水溶性樹脂は、水中に溶解する樹脂で構成される。
【0060】
水分散性樹脂または水溶性樹脂を構成する樹脂としては、水に分散できる樹脂の中から適宜選択すればよく、例えば、ポリアクリル酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フェノール樹脂およびこれらの変性体を用いることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この中でも、耐食性、皮膜の耐久性の観点から、水分散性樹脂として、ポリアクリル酸樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を用いてもよい。
【0061】
水分散性樹脂の含有量は、ケイ素含有塗料中、固形分換算で、例えば、1質量%~12質量%、好ましくは1.5質量%~11質量%、より好ましくは2質量%~10質量%である。上記下限値以上とすることで、皮膜の耐熱性や耐食性を向上できる。上記上限値以下とすることで、皮膜の物性のバランスを図ることができる。
なお、水溶性樹脂の含有量は、上記水分散性樹脂の含有量と同じ範囲のものを使用できる。
【0062】
第二溶媒は、水のみを含む水溶媒で構成されていてもよく、水と水以外の親水性溶媒とを含む水系混合溶媒で構成されていてもよい。
【0063】
上記水としては、例えば、市水、蒸留水、イオン交換水等が挙げられる。
【0064】
上記親水性溶媒としては、アルコールなどの極性有機溶媒が挙げられる。溶液安定性の観点から、上記水系混合溶媒は、水とアルコールとの混合溶媒で構成されてもよい。ケイ素含有塗料中の各成分の化学的性質や配合量などを鑑み、水系混合溶媒中の水の含有比率を決定できる。
アルコールを用いることで、各成分の溶解性を向上させ、得られるケイ素含有塗料の保存安定性を向上させることができる。
【0065】
上記アルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、iso-プロピルアルコールなどの沸点が100℃未満の低沸点アルコールや、iso-ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノターシャルブチルエーテル(ETB)、ジホルムアルデヒドメトキシエタノールなどの沸点が100℃以上の高沸点アルコールを用いることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
第二添加剤としては、通常、プライマー材料に含まれる各種添加剤を用いることができるが、例えば、防錆剤、pH調整剤、滑剤、防腐剤、充填材、着色剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、抗菌剤などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。添加剤の添加量は、用途に応じ適宜設定することができる。
【0067】
上記防錆剤として、例えば、リン酸系防錆剤などが用いられる。
上記防腐剤として、イソチアゾリン系化合物などが挙げられる。
【0068】
ケイ素含有塗料(水性防錆処理剤)の一例としては、組成物中に含まれる全ての成分が、水溶性成分または水分散性成分で構成されていてもよい。すなわち、上記ケイ素含有塗料は、水溶性成分または水分散性成分のみを含む水溶液で構成され得る。
【0069】
ケイ素含有塗料として、例えば、放電精密加工研究所社製、「ZEC-888」シリーズ、「ZEC-W」シリーズ等を用いてもよい。
【0070】
表面被覆組成物は、六価クロム、三価クロム等のクロム元素を実質的に含まない、クロムフリー防錆処理剤としてもよい。
【0071】
なお、本明細書において、クロム元素を実質的に含まないとは、六価クロムおよび三価クロムの量が、0.1質量%以下を指す。この六価クロムおよび三価クロムの量は、この特定の価数を有するクロムの塩の含有量を指すものとする。
【0072】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【実施例0073】
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0074】
<亜鉛含有塗料の調整>
・亜鉛含有塗料1:
亜鉛粉末、エチルシリケート溶液(エチルシリケート、エタノール、メタノール)を混合し、亜鉛含有塗料1を得た。亜鉛含有塗料1の乾燥膜中の亜鉛元素の含有量が84重量%であった。
【0075】
・亜鉛含有塗料2:
亜鉛粉末、アクリル化合物、有機溶媒を混合し、亜鉛含有塗料2を得た。亜鉛含有塗料2の乾燥膜中の亜鉛元素の含有量が96重量%であった。
【0076】
・亜鉛含有塗料3:
亜鉛粉末、ウレタン化合物、水を混合し、亜鉛含有塗料3を得た。亜鉛含有塗料3の乾燥膜中の亜鉛元素の含有量が93重量%であった。
【0077】
<ケイ素含有塗料の調製>
・ケイ素含有塗料1:
アルコキシシラン原料としてエチルシリケート40(多摩化学工業社製)250重量部、ビニルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、SH6300)5重量部及びイソプロピルアルコール約65重量部を混合した混合液に1規定の塩酸4重量部と水27重量部を混合した酸性水を添加し、攪拌しながら24時間35℃に保温して、アルコキシシラン縮重合させ、アルコキシシランのオリゴマー溶液を得た。
得られたアルコキシシランのオリゴマー溶液25重量部、有機金属化合物(チタンキレート剤:チタンラクテートアンモニウム塩、マツモトファインケミカル社製、TC-200)3重量部、ノルマルプロピルアルコール36重量部、エチレングリコールターシャリーブチルエーテル16重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル20重量部、シランカップリング剤(エポキシシラン:3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、旭化成ワッカーシリコ-ン社製、GF-82)0.3重量部を、攪拌機を用いて混合し、水溶液(ケイ素含有塗料1)を得た。
【0078】
・ケイ素含有塗料2:
シランカップリング剤(エポキシシラン:3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、旭化成ワッカーシリコ-ン社製、GF-82)3重量部、水分散性樹脂(水分散性ウレタン樹脂、Lubrizol社製)8重量部、有機金属化合物(チタンキレート剤:チタンラクテートアンモニウム塩、マツモトファインケミカル社製、TC-300)0.5重量部、無機粒子(水性コロイダルシリカ、日産化学工業社製、スノーテックスST-O、酸性ゾル、粒子径:20nm)8重量部、イオン交換水80重量部、イソプロピルアルコール1重量部を、攪拌機を用いて混合し、水溶液(ケイ素含有塗料2)を得た。
上記の非溶媒成分(シランカップリング剤、水分散性樹脂、有機金属化合物、無機粒子)の含有量は、使用量を表す。
【0079】
<基材の準備>
・基材1:一般構造用圧延鋼材(SS400)のグリットブラスト鋼板(JIS G 3101)
・基材2:冷間圧延鋼板・ダル仕上げ(SPCC-SD)(JIS G 3141)
【0080】
<表面被覆組成物の調整>
(比較例1~3)
上記の亜鉛含有塗料1~3をそのまま、比較例1~3の表面被覆組成物1~3として使用した。
【0081】
(実施例1)
上記の亜鉛含有塗料1と上記のケイ素含有塗料1とを、重量比95:5の割合で混合して、表面被覆組成物4を調整した。
(実施例2)
上記の亜鉛含有塗料1と上記のケイ素含有塗料1とを、重量比90:10の割合で混合して、表面被覆組成物5を調整した。
(実施例3)
上記の亜鉛含有塗料2と上記のケイ素含有塗料1とを、重量比95:5の割合で混合して、表面被覆組成物6を調整した。
(実施例4)
上記の亜鉛含有塗料2と上記のケイ素含有塗料1とを、重量比90:10の割合で混合して、表面被覆組成物7を調整した。
(実施例5)
上記の亜鉛含有塗料3と上記のケイ素含有塗料2とを、重量比95:5の割合で混合して、表面被覆組成物8を調整した。
(実施例6)
上記の亜鉛含有塗料3と上記のケイ素含有塗料2とを、重量比90:10の割合で混合して、表面被覆組成物9を調整した。
【0082】
得られた表面被覆組成物中4~9に含まれる亜鉛元素に対するケイ素元素の含有量比Si/Znは、それぞれ、0.32重量%、0.67重量%、0.31重量%、0.65重量%、0.14重量%、0.29重量%であった。
得られた表面被覆組成物4~9について、JISK5553 1種に準拠して測定した、その乾燥膜中の亜鉛元素含有量が、それぞれ82.9重量%、81.7重量%、94.7重量%、93.3重量%、91.8重量%、90.6重量%であった。
【0083】
<表面被覆部材の作製>
準備した基材1上に、得られた表面被覆組成物1を、スプレー塗布および常温乾燥を2回繰り返し、約80μmの皮膜を形成し、サンプル1(表面被覆部材)が得られた。
【0084】
上記の表面被覆部材の作製と同様にして、以下のサンプル2~9を準備した。
・サンプル2~9:基材1を使用し、上記の表面被覆組成物2~9をそれぞれ2回塗布。
【0085】
得られた表面被覆部材を用いて、以下の評価項目について評価を行った。
【0086】
<複合サイクル試験:CCT試験>
得られた実施例のサンプル4~9の表面被覆部材、および比較例のサンプル1~3の表面被覆組成物を用いて、クロスカットを基材表面に達するまで入れ、JASO M 609に準拠し、72h~288hまで複合サイクル試験(35℃、2h塩水噴霧→60℃、4時間乾燥→50℃、2時間湿潤の8時間を1サイクル)を実施した。塗膜に異常が発生しなかった時のサイクル時間(h)を測定した。また、白錆の発生状況に基づいて、亜鉛の溶解抑制能を判断した。
【0087】
実施例のサンプル4~9におけるサイクル時間は、対応する比較例のサンプル1~3に対して2~2.5倍以上であることが確認された。このように各実施例の表面被覆部材は、比較例に比べて、優れた耐食性等の基材劣化防止効果が得られる結果を示した。
なお、このような結果は、基板1に代えて基板2を使用した場合でも、同様に示された。
【符号の説明】
【0088】
10 基材
20 亜鉛-ケイ素含有皮膜
100 表面被覆部材
図1