(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163914
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
A47J27/00 103B
A47J27/00 103R
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075133
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 晋平
(72)【発明者】
【氏名】中川 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】井尻 蓮
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA03
4B055AA09
4B055BA15
4B055CA36
4B055CA62
4B055CC16
4B055CC33
4B055CC61
(57)【要約】 (修正有)
【課題】加熱調理器に衝撃荷重が入力された際の電子基板に伝達される振動及び衝撃荷重を抑制する。
【解決手段】加熱調理器は、ケーシング40と、ケーシング40の底部42に設けられた支持構造42dと、ケーシング40内に底部42から離間した状態で固定された基板ホルダ7に収容された電子基板と、を備え、支持構造42dは、剛体からなる第1支持部と、少なくとも一部が弾性体からなる第2支持部42fとを有し、第2支持部42fの弾性体からなる部分は、ケーシング40の内側と外側を貫通し、第2基板ホルダ71に近接して配置されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングの底部に設けられた支持構造と、
前記ケーシング内に前記底部から離間した状態で固定された基板ホルダに収容された電子基板と、を備え、
前記支持構造は、剛体からなる第1支持部と、少なくとも一部が弾性体からなる第2支持部とを有し、
前記第2支持部のうち弾性体からなる部分が、前記ケーシングの内側と外側を貫通し、前記基板ホルダに近接して配置されている加熱調理器。
【請求項2】
前記基板ホルダには、前記第2支持部に対応する受け面が設けられている請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記第1支持部はケーシングの前側に配置され、前記第2支持部はケーシングの後側に配置されている請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ケーシング内に収容した鍋をコイルによって誘導加熱する炊飯器(加熱調理器)が開示されている。特許文献1の加熱調理器は、加熱制御基板(電子基板)を備え、加熱制御基板には放熱器が取付けられている。ケーシングには、放熱器を下方から支持する放熱器受け部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運搬時等に加熱調理器に衝撃荷重が入力されると、ケーシングを介して衝撃荷重が電子基板に伝達される場合がある。一般に、半導体等が実装される電子基板に対して、振動及び衝撃荷重が入力されることは好ましくない。特許文献1では、電子基板に伝達される振動及び衝撃荷重を抑制することについて開示がない。
【0005】
本発明は、加熱調理器に衝撃荷重が入力された際に、電子基板に伝達される振動及び衝撃荷重を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ケーシングと、前記ケーシングの底部に設けられた支持構造と、前記ケーシング内に前記底部から離間した状態で固定された基板ホルダに収容された電子基板と、を備え、前記支持構造は、剛体からなる第1支持部と、少なくとも一部が弾性体からなる第2支持部とを有し、前記第2支持部のうち弾性体からなる部分が、前記ケーシングの内側と外側を貫通し、前記基板ホルダに近接して配置されている加熱調理器を提供する。
【0007】
本発明によれば、加熱調理器に入力された衝撃荷重は、剛体からなる第1支持部とケーシングを介して基板ホルダに伝達される。基板ホルダに衝撃荷重が伝達されると、基板ホルダが第2支持部の弾性体からなる部分に当接して、基板ホルダに入力された衝撃荷重を減衰させることができる。例えば、基板ホルダに剛体等からなる部材が近接配置される場合、前記部材に基板ホルダが接触することによって、基板ホルダに衝撃荷重が入力され得るが、基板ホルダと第2支持部の弾性体からなる部分が当接することで、前記他の部材からの入力荷重を抑制できる。
【0008】
前記基板ホルダには、前記第2支持部に対応する受け面が設けられていてもよい。
【0009】
本構成によれば、加熱調理器に衝撃荷重が入力された際に、基板ホルダをより確実に第2支持部に当接させることができる。
【0010】
前記第1支持部はケーシングの前側に配置され、前記第2支持部はケーシングの後側に配置されている。
【0011】
本構成によれば、第2支持部が、蓋開閉時の加熱調理器本体のずり下がりを抑制するストッパとしての機能を備えることができ、部品点数の増加を抑制しながら、電子基板への衝撃荷重の入力が減衰ないし抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、加熱調理器に衝撃荷重が入力された際に、電子基板に伝達される振動及び衝撃荷重を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る炊飯器(加熱調理器)の斜視図。
【
図9】蓋体とケーシング内の一部の部品を非表示にした炊飯器の支持部における側方断面図。
【
図10】冷却ファンが一体的に取り付けられた第2基板ホルダの斜視図。
【
図11】冷却ファンが一体的に取り付けられた第2基板ホルダの分解斜視図。
【
図12】第2基板ホルダが肩体に取り付けられた状態を示す正面視における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る炊飯器(加熱調理器)1の蓋体30を開いて、鍋10を取り出した状態の上方からの斜視図である。
図2は、炊飯器1の断面図である。
図3は、炊飯器1の分解斜視図である。
【0016】
図1に示すように、炊飯器1は、飯米を加熱する有底筒状の鍋10を着脱可能に収容する炊飯器本体20と、炊飯器本体20に対して回動可能に配設された蓋体30とを備える。
【0017】
図1及び
図2を参照すると、鍋10は、磁性材料からなり、炊飯器本体20内に配置されたコイル50によって誘導加熱される。鍋10は、底部10a、側部10b、および湾曲部10cを有する。底部10aは、左右方向に略平坦に延在する円形状である。側部10bは、上下方向に且つ外方に延在する略円筒形状である。湾曲部10cは、底部10aと側部10bとを接続する。湾曲部10cは、底部10aの径方向外端と側部10bの下端とをつなぐ曲面形状である。
【0018】
蓋体30は、炊飯器本体20の接続部48に回動可能に取り付けられ、炊飯器本体20に対して閉じられたとき、炊飯器本体20の開口部20aを閉塞する。
【0019】
図3を参照すると、蓋体30は、その前方側において、炊飯器1を操作するための操作部31と、操作状況や動作状況を表示する表示部32とを有し、その後方側において、排気通路の出口である蒸気排出口33を有する。
【0020】
操作部31は、複数の操作ボタン31aと、開放ボタン31bとを有する。操作ボタン31aは、炊飯器1の動作状態を切り替えるためのボタンであり、例えば炊飯を開始するボタン、動作を取り消すボタン、および電源ボタン等である。開放ボタン31bは、ロック機構によって閉鎖状態が維持されている蓋体30を開放するためのボタンである。
【0021】
図1を参照すると、蓋体30の内側には、閉塞状態で鍋10の上端開口10dを閉塞する内蓋(図示せず)が取り付けられている。内蓋は、鍋10の上端開口10dの内周部に密着して上端開口10dを閉塞するシール部材(図示せず)を有する。内蓋は、蓋体30に対して着脱可能に取り付けられている
【0022】
図2及び
図3に示すように、炊飯器本体20は、ケーシング40、収容部(保護枠)50、コイル61、フェライト(図示せず)、フェライトホルダ62、反射板63、電源基板64、IH基板65、及び冷却ファン66を有する。
【0023】
図1及び
図2に示すように、ケーシング40は、ケーシング本体41と、肩体47と、接続部48とを備える。
【0024】
図2,4,5を参照すると、ケーシング本体41は、樹脂製の箱状である。ケーシング本体41は、底部42と、周壁部43と、開口部44と、吸気口45と、排気口46とを備える。
【0025】
底部42は、平面視で略長円形状を有する。底部42は、把持部42aと、リブ42bと、保護枠支持部42cと、本体支持構造42dと、凹部42nとを備える。
【0026】
把持部42aは、把持部42aは、底部42の両側に設けられ、上向きに膨出している。把持部42aは、炊飯器1を移動させるとき等に使用者に把持される部分である。リブ42bは、底部42から上向きに突出した突片からなり、底部42が補強されている。
【0027】
保護枠支持部42cは、底部42の4隅近傍から円錐筒状をなすように、上向き(ケーシング本体41の内側)に突出している。保護枠支持部42cは、その上端に保護枠50が配置される(
図9参照)。言い換えると、保護枠支持部42cは、保護枠50を下方から保持する。
【0028】
本体支持構造42dは、保護枠支持部42cの近傍から下向き(ケーシング本体41の外側)に突出しており、載置台Tに載置される。これにより、底部42は、載置台Tに対して間隔をあけて位置する。本体支持構造42dは、ケーシング本体41の前方に配置された2つの第1本体支持部(第1支持部)42eと、後方に配置された2つの第2本体支持部(第2支持部)42fとで構成される。第1本体支持部42eは、円錐筒状である。第1本体支持部42eは、全体がケーシング本体41と一体的に形成され、樹脂製の底面42gが載置台T上に当接する。
【0029】
図6を参照すると、第2本体支持部42fは、樹脂製の円筒部42iと、弾性部材42jとを有する。円筒部42iは、底部42の下面及び上面から突出する。円筒部42iには、貫通孔42hが設けられている。貫通孔42hは、底部42の下面側から上面側まで連続して、底部42を上下方向に貫通する。弾性部材42jは、貫通孔42hに挿通される円柱状である。
【0030】
貫通孔42hの内周部で、貫通孔42hにおける底部42よりも上方には、貫通孔42h内に突出する周方向突部42kが設けられている。弾性部材42jの直径D1は、貫通孔42hの直径D2よりもわずかに小さい。弾性部材42jの上下方向寸法H1は、貫通孔42hの上下方向寸法H2よりも大きい。弾性部材42jの上下方向の中間部には、周溝42lが設けられている。弾性部材42jの先端側(貫通孔42hに組付けられた状態で上方に位置する側)には、先端側に解放する溝部42mが設けられている。
【0031】
弾性部材42jは、底部42側から先端側を弾性変形させながら貫通孔42に挿入される。周溝42lが周方向突部42kに係合すると、先端部が貫通孔42hに対して拡径方向に弾性復帰し、弾性部材42jが貫通孔42h内に保持される。弾性部材42は、組付け状態において、貫通孔42hよりも上方及び下方に突出する。炊飯器1が載置台T上に載置されると、弾性部材42jが載置台Tに当接する。
【0032】
図4及び
図7を参照すると、凹部42nは、底部42の背面側に設けられ、内側に膨出した側面から見た断面形状が概ね直角三角形の窪みである。凹部42nは、樹脂製の平板からなる傾斜部42oと、縦壁部42pと、枠部42qとを備える。凹部42nには、後に詳述する吸気口45が設けられている。
【0033】
傾斜部42oは、正面側から背面側に向かうに従って上向きに傾斜している。傾斜部42oの底部42に対する傾斜角は、傾斜部42oの上方に配置される冷却ファン66の傾斜角度と概ね一致する。傾斜部42oの先端部は、第2支持部42f間に位置している。傾斜部42oの後端部は、ケーシング本体41の周壁部43よりも前方に位置している。傾斜部42oは、底部42から離れるに従って上側へ向かうように傾斜している。
【0034】
縦壁部42pは、傾斜部42oの背面側の端部から下方に向かって延びて、底部42を貫通する。縦壁部42pは、周壁部43に対向配置され、縦壁部42pと周壁部43との間には隙間が設けられている。
【0035】
枠部42qは、側面から見た断面が概ね直角三角形状の平板で、傾斜部42oから下方(外部)に向けて突出している。枠部42qの底辺は底面42に連続し、枠部42qの斜辺が傾斜部42oの側縁に連続し、枠壁28の残りの辺が縦壁部42pの側縁に連続している。
【0036】
図4に示すように、周壁部43は、底部42の前縁に連なる前壁部43aと、底部42の両側の縁にそれぞれ連なる一対の側壁部43bと、底部42の後縁に連なる後壁部43cとを備える。そのうち、後壁部43cの幅方向中央の上部には、ヒンジカバーが配置される矩形状の切欠き部43dが設けられている。切欠き部43dの形成部分を除き、前壁部43a、側壁部43b及び後壁部43cの上端は、同一平面上に位置して連続している。後壁部43cによって、凹部42nのケーシング本体41からの露出が回避されている。
【0037】
図4に示すように、吸気口45は、ケーシング本体41の内部と外部を空間的に連通させる通気部である。吸気口45は、ケーシング本体41の内面から外面に掛けて貫通した多数のスリット45aを備える。吸気口45を構成する複数のスリット45aは、傾斜部42oと、縦壁部42pと、傾斜部42oの前方側に連続する底部42と、に設けられている。
【0038】
吸気口45を構成する複数のスリット45aは、傾斜部42oと、縦壁部42pと、傾斜部42oの前方側に連続する底部42とに設けられている。排気口46を構成する複数のスリット46aは、底部42の正面側の幅方向中央に設けられている。スリット45a,46aはそれぞれ、前後方向に延びる細溝であり、前後方向及び幅方向に並設されている。
【0039】
図4に示すように、排気口46は、ケーシング本体41の内部と外部を空間的に連通させる通気部である。排気口46は、ケーシング本体41の内面から外面に掛けて貫通した多数のスリット46aを備える。排気口46を構成する複数のスリット46aは、底部42の正面側の幅方向中央に設けられている。スリット46aは、前後方向に延びる細溝であり、前後方向及び幅方向に並設されている。
【0040】
排気口46を構成する複数のスリット46aは、底部42の正面側の幅方向中央に設けられている。スリット45a,46aはそれぞれ、前後方向に延びる細溝であり、前後方向及び幅方向に並設されている。
【0041】
図1を参照すると、肩体47は、合成樹脂材料からなり、ケーシング本体41の開口部44を覆うように上方から取り付けられている。肩体47の前方側には、蓋体30の前部に設けられたロック爪34と係合する係合孔47cが設けられている。
【0042】
図8は、肩体47を下方から見たときの斜視図である。
図9は、蓋体30とケーシング内の一部の部品を非表示にした炊飯器1の支持構造42dにおける側方断面図である。
【0043】
図8及び
図9を併せて参照すると、肩体47の下面には、底部42の保護枠支持部42cと対応する位置に下方に突出する複数のボス47aが突出している。ボス47aと保護枠支持部42cとの間には、保護枠50が挟持された状態で共締めされる。これにより、ケーシング本体41と肩体47と保護枠50とが剛体的に結合される。肩体47の下面には、IH基板65を収納する第2基板ホルダ71を吊り下げ固定するためのボス47bが設けられている。
【0044】
接続部48は、肩体47の後方側に設けられて、蓋体30を回動可能に装着するためのヒンジ部である。接続部48は、ケーシング本体41の切欠き部43dに嵌め込まれると共に、肩体47に固定される。
【0045】
図9を参照すると、保護枠50は、樹脂製で受皿状である。保護枠50は、ケーシング本体41の内で、肩体47の下方に配置されている。保護枠50内には、鍋10が配置されるようになっている。保護枠50の上部かつ肩体47の下方には、内胴51が挟持されている。保護枠50には、底部42の保護枠支持部42cと対応する位置に外方に突出する受部50aが設けられている。
【0046】
保護枠50の前方側には第1基板ホルダ91の一部を構成する基板取付部52が形成されている。基板取付部52には基板カバー53が取り付けられ、電源基板(図示せず)を覆っている。保護枠50の後方側には、第2基板ホルダ71が取り付けられている。
【0047】
図2,3に示すように、ケーシング40と保護枠50との間には、コイル61、フェライトホルダ62、反射板63、電源基板64、IH基板65、及び冷却ファン66収納されている。
【0048】
コイル61は、保護枠50の下方に配置されて鍋10を誘導加熱する。フェライトホルダ62は、コイル61のさらに下方に配置されて、コイル61からの磁束を収束させるフェライトを保持する。反射板63は、フェライトホルダ62の下方に配置されて、コイル61が発生する高周波磁界を遮蔽する。
【0049】
図3に示すように、電源基板64は、保護枠50の前方側に設けられた基板ホルダ27c内に配置されている。電源基板64には、電源プラグを有するコードを巻取り可能なコードリールが電気的に接続されている。
【0050】
図9に示すように、IH基板65は、保護枠50の後方側に設けられた第2基板ホルダ71内に配置されている。IH基板65には、コイル61を含む電気部品を制御する制御部(図示せず)が実装されている。冷却ファン66は、保護枠50の後方側でIH基板65の下方に配置されている。冷却ファン66は、ケーシング40内に外気を取り入れて、コイル61及びIH基板65等を冷却する。本実施形態においては、冷却ファン66が第2基板ホルダ71に一体的に取り付けられている。
【0051】
図10は、冷却ファン66が一体的に取り付けられた第2基板ホルダ71の斜視図である。
図11は、冷却ファン46が一体的に取り付けられた第2基板ホルダ71の分解斜視図である。
図10及び
図11では、冷却ファン66のフレームのみが表示されている。
【0052】
図10及び
図11を併せて参照すると、第2基板ホルダ71は、樹脂製である。第2基板ホルダ71には、IH基板65、ヒートシンク67、及び冷却ファン66が取り付けられている。第2基板ホルダ71は、IH基板65を略垂直に装着するとともに、冷却ファン66を傾斜させた状態で装着し、これらを一体的に肩体47に固定する。
【0053】
ヒートシンク67は、IH基板65において、発熱する電子部品の近傍に配設され、その周囲の熱を吸着することにより冷却するものである。このヒートシンク67は、そのフィン67aが上下方向に延びて並設されている。
【0054】
第2基板ホルダ71は、第1カバー72と、第2カバー73と、ファン保持部74とを備える。第1カバー72は、前方側に配置されて上下方向及び左右方向の平面(IH基板65形状)に沿って延びる平板状の前壁部72aと、前壁部72aの周縁から後方側に向かって延びる第1連結壁72bと、第2基板ホルダ71を肩体に固定するためのブラケット部72cとを有する。前壁部72aの幅方向中央かつ下部には、第1切欠き部72dが形成されている。第1切欠き部72dの両端には、前壁部72aの下縁部から前方に突出した一対の突出部72eが設けられている。
【0055】
第1連結壁72bは、第1上壁72f、一対の第1側壁72g、第1下壁72h、一対の切欠き部側壁72i、及び切欠き部上壁72jを有する。第1上壁72fは前壁72aの上縁から後方に向かって延び、一対の第1側壁72gは前壁72aの両側側縁から後方に向かって延び、第1下壁72hは前壁72aの第1切欠き部72dを除く下縁から後方に向かって延びる。一対の切欠き部側壁72iは切欠き部の両側縁から後方に向かって延び、切欠き部上壁72jは第1切欠き部の72d上縁から後方に向かって延びる。
【0056】
第2カバー73は、第1カバー72の後方側に配置されている。第2カバー73は、上下方向及び左右方向の平面に沿って延びるベース壁部73aと、ベース壁部73aの上部を後方に向かって膨出させた膨出部73bと、ベース壁部73aの周縁から前方側に向かって延びる第2連結壁73cと、第2基板ホルダ71を肩体47に固定するためのブラケット部73dとを有する。ベース壁部73aの幅方向中央かつ下方で、第1切欠き部72dに対応する幅方向位置には、第2切欠き部73eが形成されている。第2切欠き部73eの高さは、第1切欠き部72dの高さよりも高い。
【0057】
第2連結壁73cは、第2上壁73f、一対の第2側壁73g、及び第2下壁73hを有する。第2上壁73fはベース壁部73aの上縁から前方に向かって延び、一対の第2側壁73gはベース壁部73aの両側側縁から前方に向かって延びる。第2下壁73hは、第2切欠き部73eを除く下縁から前方に向かって延びる。第2下壁73hは、膨出部73bに連続する。第2切欠き部73eの下縁には、連結壁が設けられていない。
【0058】
ファン保持部74は、第2切欠き部73eの両側部の内側に設けられている。ファン保持部74は、前後方向に延びる一対の板部材74aである。ファン保持部74は、第2カバー73と一体的に形成されている。ファン保持部74は、第2切欠き部73eの上端から前方に向かって下方に傾斜する。ファン保持部74の互いに対向する対向面における先端部には、内側に向かって突出する複数の内側突出部74bが設けられている。ファン保持部74の対向面における後端部には、冷却ファンを係合する係合部74cが設けられている。ファン保持部74の先端側で、対向面と反対側の外側面には、幅方向外側に突出する一対の突起部74dが設けられている。各突起部74dは、上方から第1カバー72の各突出部72eに配置される。
【0059】
図10を参照すると、第1カバー72と第2カバー73を第1及び第2連結壁72b,73cに設けられた係合部で接続することで、IH基板65及びヒートシンク67を格納する格納空間が形成され、ファン保持部74の先端部が第1切欠き部72dを前後方向に貫通した状態となる。
【0060】
第1カバー72にはIH基板65が収納され、第2カバー73の膨出部内にはヒートシンク67が格納され、ファン保持部74には冷却ファン66が保持される。冷却ファン66は、複数の内側突出部74b及び係合部74cによって、ファン保持部74の傾斜に沿って、後方に向かって上方に傾斜した状態で保持されている。
【0061】
冷却ファン27の駆動により、ケーシング本体41の底部42の後方側に形成した吸気口45を介して周囲の空気が吸い込まれ、IH基板65及びヒートシンク67に送風される。
【0062】
図12は、第2基板ホルダ71が肩体47に取り付けられた状態を示す正面視における断面図である。
【0063】
第2基板ホルダ71は、ブラケット部72c,73dを肩体47のボス部43bに係合させて、例えば、ネジ止め等によって固定することで、肩体47に取り付けられる。言い換えると、第2基板ホルダ71は、上部においてケーシング40に剛体的に結合される。
【0064】
図6及び
図12を併せて参照すると、肩体47に組付けられた状態では、第2基板ホルダ71の下部は、ケーシング本体41の底部42から離間した(浮いた)状態、あるいは、第2本体支持部42fの弾性部材42jに当接する。より詳しくは、第2基板ホルダ71の第1下壁72hの下面と、弾性部材42の先端とが対向配置されており、第1下壁72hの下面が弾性部材の先端を受ける受け面を構成している。言い換えると、第1下壁72hと第2本体支持部42fとが離間した状態、あるいは、当接する。
【0065】
図6及び
図7を併せて参照すると、第1下壁72hと弾性部材42jとの隙間S1は、第2基板ホルダ71とケーシング本体41と間の最短距離S2よりも小さくなるように設定されている。本実施形態では、第2基板ホルダ71には冷却ファン66が一体的に取り付けられると共に、前方に向かって下方に傾斜しているので、第2基板ホルダ71とケーシング本体41との間の最短距離S2は、冷却ファン66を取り囲むフレームの下面側の角部66aと、底部42の上面との間の上下方向の隙間である。
【0066】
このように構成した炊飯器1は、以下の特徴を有する。
【0067】
炊飯器1に入力された衝撃荷重は、剛体(樹脂製)からなる第1支持部42eとケーシング40を介して第2基板ホルダ71に伝達される。第2基板ホルダ71に衝撃荷重が伝達されると、第2基板ホルダ71が弾性体からなる第2支持部42fに当接して、第2基板ホルダ71に入力された衝撃荷重を減衰できる。本実施形態では、第2基板ホルダ71と、樹脂製のケーシング本体41の傾斜部42oが近接配置されている。そのため、炊飯器1に衝撃荷重が入力されると、傾斜部42に基板ホルダ(より詳しくはファン保持部74)が接触して、第2基板ホルダ71に衝撃荷重が入力され得る。これに対して、基板ホルダの第1下壁72hと第2支持部42fを当接させることで、傾斜部42oからの入力荷重を抑制できる。
【0068】
第2基板ホルダ71には、第2支持部42fに対応する受け面(第1下壁72h)が設けられていているので、炊飯器1に衝撃荷重が入力された際に、第2基板ホルダ71をより確実に第2支持部42fに当接させることができる。
【0069】
第2基板ホルダ71に近接して配置された吸気口から外気を取り入れることで、第2基板ホルダ71内の電子基板が効率よく冷却される。一方、炊飯器1に衝撃荷重が入力される際に、基板ホルダと第2支持部42jが当接することで、第2基板ホルダ71と吸気口との接触による電子基板への入力荷重を抑制できる。
【0070】
第2基板ホルダ71と第2支持部42fとの離間距離S1は、第2基板ホルダ71ないし第2基板ホルダ71に保持される冷却ファン66のケースと、吸気口45との離間距離よりも大きく設定されているので、より確実に第2基板ホルダ71と吸気口45との接触が回避され得る。
【0071】
冷却ファン46が、第2基板ホルダ71に一体的に取り付けられているので、冷却ファン46と第2基板ホルダ71を近づけることができ、IH基板(電子基板)65を効率よく冷却できる。一方、電子基板65を冷却するために、冷却ファン46が電子基65板よりも下方に配置されると、吸気口45と第2基板ホルダ71との間の隙間が減少するため、第2支持構造42dを設けることによる効果がより顕著に得られる。
【0072】
解放ボタン31bを押圧してロック機構が解除されると、蓋体30が接続部を中心に回動すると、炊飯器1が後方に向かってずり下がる場合がある。これに対して、弾性体からなる第2支持部42fをケーシングの後側に配置することで、蓋開閉時の炊飯器1のずり下がりを抑制するストッパとして機能させることができる。その結果、部品点数の増加を抑制しながら、電子基板への衝撃荷重の入力が減衰ないし抑制できる。
【0073】
上記実施形態では、冷却ファン66が第2基板ホルダ71に一体的に取り付けられている構成について説明したが、これに限られるものではなく、第2基板ホルダ71に冷却ファン66が取り付けられていなくてもよい。このような場合においても、第2基板ホルダ71とケーシング40とが近接する部分においては、第2基板ホルダ71とケーシング40とが当接し、IH基板65に衝撃荷重が入力される虞があるが、第2支持部42fの弾性部材42jと第2基板ホルダ71とを当接させることで、IH基板65への衝撃荷重の入力が減衰ないし抑制できる。
【0074】
なお、本発明の加熱調理器1は、上述の実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 加熱調理器
40 ケーシング
41 ケーシング本体(ケーシング)
42 底部
42d 支持構造
42e 第1支持部
42f 第2支持部
42i 円筒部(第2支持部)
42j 弾性部材(第2支持部)
45 吸気口
46 排気口
47 肩体(ケーシング)
71 第2基板ホルダ(基板ホルダ)
72h 第1下壁(受け面)
65 IH基板(電子基板)
66 冷却ファン