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特開2023-163916作動油タンク異常検知装置、作動油タンク異常検知方法、および作動油タンク異常検知プログラム
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  • 特開-作動油タンク異常検知装置、作動油タンク異常検知方法、および作動油タンク異常検知プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163916
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】作動油タンク異常検知装置、作動油タンク異常検知方法、および作動油タンク異常検知プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/26 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
G01M3/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075139
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】中川 智廣
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 一臣
(72)【発明者】
【氏名】濱本 亮
(72)【発明者】
【氏名】藤後 博
(72)【発明者】
【氏名】寺内 謙一
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA02
2G067CC03
2G067DD02
(57)【要約】
【課題】作動油タンクのアクセサリの異常を精度良く検知する。
【解決手段】流量情報取得部81は、タンク本体41に戻される作動油の流量に関する情報である流量情報を取得する。差圧取得部83は、フィルタ51の前後の差圧であるフィルタ前後差圧を取得する。異常検知部89は、流量情報取得部81に取得された流量情報、および、差圧取得部83に取得されたフィルタ前後差圧に基づいて、アクセサリ60の異常を検知する。アクセサリ60は、差圧取得部83に取得されるフィルタ前後差圧にアクセサリ60の状態が影響を与えるように構成されたものである。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械を作動させるための作動油であってポンプが吐出する作動油を貯え、前記ポンプが吐出した作動油が戻されるタンク本体と、
前記タンク本体に戻される作動油が通されるフィルタと、
前記タンク本体に設けられた機器、および、前記タンク本体に戻される作動油が通る流路に設けられた機器、の少なくともいずれかであるアクセサリと、
前記タンク本体に戻される作動油の流量に関する情報である流量情報を取得する流量情報取得部と、
前記フィルタの前後の差圧であるフィルタ前後差圧を取得する差圧取得部と、
前記流量情報取得部に取得された前記流量情報、および、前記差圧取得部に取得された前記フィルタ前後差圧に基づいて、前記アクセサリの異常を検知する異常検知部と、
を備え、
前記アクセサリは、前記差圧取得部に取得される前記フィルタ前後差圧に前記アクセサリの状態が影響を与えるように構成されたものである、
作動油タンク異常検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作動油タンク異常検知装置であって、
前記フィルタを迂回するように前記フィルタの前後につながれたバイパス流路を備え、
前記アクセサリは、前記バイパス流路に設けられ、前記バイパス流路での作動油の逆流を抑制するためのバイパスチェック弁を備える、
作動油タンク異常検知装置。
【請求項3】
請求項1に記載の作動油タンク異常検知装置であって、
前記アクセサリは、前記タンク本体の内部と外部とを連通させ、気体が通ることが可能に構成されるブリーザを備える、
作動油タンク異常検知装置。
【請求項4】
請求項1に記載の作動油タンク異常検知装置であって、
前記タンク本体の内部の気体の圧力に関する情報であるタンク内圧情報を取得するタンク内圧情報取得部を備え、
前記異常検知部は、前記タンク内圧情報取得部に取得された前記タンク内圧情報に基づいて、前記アクセサリの異常を検知する、
作動油タンク異常検知装置。
【請求項5】
請求項4に記載の作動油タンク異常検知装置であって、
前記タンク内圧情報取得部は、前記タンク本体に貯められた作動油の油面の変化量、前記作業機械の姿勢および操作の状態、ならびに、前記ポンプの作動の状態、の少なくともいずれかに基づいて、前記タンク内圧情報を算出する、
作動油タンク異常検知装置。
【請求項6】
請求項1に記載の作動油タンク異常検知装置であって、
前記流量情報取得部は、前記作業機械の姿勢および操作の状態、前記ポンプの作動の状態、ならびに、前記ポンプを駆動させる原動機の作動の状態、の少なくともいずれかに基づいて、前記流量情報を取得する、
作動油タンク異常検知装置。
【請求項7】
請求項1に記載の作動油タンク異常検知装置であって、
前記ポンプから作動油が供給されることで伸縮し前記作業機械を作動させる、片ロッドの油圧シリンダを備え、
前記異常検知部が前記アクセサリの異常の有無を判定する条件は、前記流量情報取得部に取得された前記流量情報が所定の大流量条件を満たすことを含み、
前記大流量条件は、前記油圧シリンダが伸長し、かつ、所定のシリンダ伸長時大流量条件が満たされることを含み、
前記シリンダ伸長時大流量条件は、前記ポンプを駆動させる原動機の出力を前記ポンプの出力が超えないように前記ポンプの出力を制限する制御が行われていること、および、前記ポンプが吐出する作動油の圧力が所定のポンプ圧閾値以上であること、の少なくともいずれを満たすことである、
作動油タンク異常検知装置。
【請求項8】
請求項1に記載の作動油タンク異常検知装置であって、
前記異常検知部は、前記差圧取得部に取得された前記フィルタ前後差圧の大きさに関する指標である差圧指標と、所定の指標閾値と、の比較に基づいて、前記アクセサリの異常を検知する、
作動油タンク異常検知装置。
【請求項9】
請求項1に記載の作動油タンク異常検知装置であって、
前記異常検知部は、前記差圧取得部に取得された前記フィルタ前後差圧の大きさに関する指標である差圧指標の時間的変化に基づいて、前記アクセサリの異常を検知する、
作動油タンク異常検知装置。
【請求項10】
請求項1に記載の作動油タンク異常検知装置であって、
前記異常検知部は、前記差圧取得部に取得された前記フィルタ前後差圧に関する情報が所定の差圧閾値以上であるか否かに基づいて、前記アクセサリの異常を検知し、
前記差圧閾値は、標準大気圧に、標準大気圧未満の所定の補正値を加えた値に基づいて設定される、
作動油タンク異常検知装置。
【請求項11】
作業機械を作動させるための作動油であってポンプが吐出する作動油を貯え、前記ポンプが吐出した作動油が戻されるタンク本体と、
前記タンク本体に戻される作動油が通されるフィルタと、
前記タンク本体に設けられた機器、および、前記タンク本体に戻される作動油が通る流路に設けられた機器、の少なくともいずれかであるアクセサリと、
を備える作動油タンクの異常を検知するための作動油タンク異常検知方法であって、
前記タンク本体に戻される作動油の流量に関する情報である流量情報を取得する流量情報取得ステップと、
前記フィルタの前後の差圧であるフィルタ前後差圧を取得する差圧取得ステップと、
前記流量情報取得ステップに取得された前記流量情報、および、前記差圧取得ステップに取得された前記フィルタ前後差圧に基づいて、前記アクセサリの異常を検知する異常検知ステップと、
を備え、
前記アクセサリは、前記差圧取得ステップに取得される前記フィルタ前後差圧に前記アクセサリの状態が影響を与えるように構成されたものである、
作動油タンク異常検知方法。
【請求項12】
作業機械を作動させるための作動油であってポンプが吐出する作動油を貯え、前記ポンプが吐出した作動油が戻されるタンク本体と、
前記タンク本体に戻される作動油が通されるフィルタと、
前記タンク本体に設けられた機器、および、前記タンク本体に戻される作動油が通る流路に設けられた機器、の少なくともいずれかであるアクセサリと、
を備える作動油タンクの異常を検知するための作動油タンク異常検知プログラムであって、
前記タンク本体に戻される作動油の流量に関する情報である流量情報を取得する流量情報取得ステップと、
前記フィルタの前後の差圧であるフィルタ前後差圧を取得する差圧取得ステップと、
前記流量情報取得ステップに取得された前記流量情報、および、前記差圧取得ステップに取得された前記フィルタ前後差圧に基づいて、前記アクセサリの異常を検知する異常検知ステップと、
をコンピュータに実行させ、
前記アクセサリは、前記差圧取得ステップに取得される前記フィルタ前後差圧に前記アクセサリの状態が影響を与えるように構成されたものである、
作動油タンク異常検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動油タンクの異常を検知する作動油タンク異常検知装置、作動油タンク異常検知方法、および作動油タンク異常検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1の図3などに、作動油タンクが記載されている。同文献に記載の作動油タンクは、作動油タンクに戻る作動油が通されるフィルタ(同文献では作動油フィルタ)と、作動油フィルタ前後の差圧を検出する差圧検出部(同文献では差圧検出装置)と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-020397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同文献に記載の作動油タンクは、アクセサリ(例えば同文献に記載のブリーザ弁など)を備える。このアクセサリに異常が生じる場合がある。そのため、アクセサリの異常を精度良く検知できることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、作動油タンクのアクセサリの異常を精度良く検知することができる、作動油タンク異常検知装置、作動油タンク異常検知方法、および作動油タンク異常検知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
作動油タンク異常検知装置は、タンク本体と、フィルタと、アクセサリと、流量情報取得部と、差圧取得部と、異常検知部と、を備える。前記タンク本体は、作業機械を作動させるための作動油であってポンプが吐出する作動油を貯え、前記ポンプが吐出した作動油が戻されるものである。前記フィルタは、前記タンク本体に戻される作動油が通されるものである。前記アクセサリは、前記タンク本体に設けられた機器、および、前記タンク本体に戻される作動油が通る流路に設けられた機器、の少なくともいずれかである。前記流量情報取得部は、前記タンク本体に戻される作動油の流量に関する情報である流量情報を取得する。前記差圧取得部は、前記フィルタの前後の差圧であるフィルタ前後差圧を取得する。前記異常検知部は、前記流量情報取得部に取得された前記流量情報、および、前記差圧取得部に取得された前記フィルタ前後差圧に基づいて、前記アクセサリの異常を検知する。前記アクセサリは、前記差圧取得部に取得される前記フィルタ前後差圧に前記アクセサリの状態が影響を与えるように構成されたものである。
【0007】
作動油タンク異常検知方法は、作動油タンクの異常を検知するための方法である。前記作動油タンクは、タンク本体と、フィルタと、アクセサリと、を備える。前記タンク本体は、作業機械を作動させるための作動油であってポンプが吐出する作動油を貯え、前記ポンプが吐出した作動油が戻されるものである。前記フィルタは、前記タンク本体に戻される作動油が通されるものである。前記アクセサリは、前記タンク本体に設けられた機器、および、前記タンク本体に戻される作動油が通る流路に設けられた機器、の少なくともいずれかである。作動油タンク異常検知方法は、流量情報取得ステップと、差圧取得ステップと、異常検知ステップと、を備える。前記流量情報取得ステップは、前記タンク本体に戻される作動油の流量に関する情報である流量情報を取得する。前記差圧取得ステップは、前記フィルタの前後の差圧であるフィルタ前後差圧を取得する。前記異常検知ステップは、前記流量情報取得ステップに取得された前記流量情報、および、前記差圧取得ステップに取得された前記フィルタ前後差圧に基づいて、前記アクセサリの異常を検知する。前記アクセサリは、前記差圧取得ステップに取得される前記フィルタ前後差圧に前記アクセサリの状態が影響を与えるように構成されたものである。
【0008】
作動油タンク異常検知プログラムは、作動油タンクの異常を検知するためのプログラムである。前記作動油タンクは、タンク本体と、フィルタと、アクセサリと、を備える。前記タンク本体は、作業機械を作動させるための作動油であってポンプが吐出する作動油を貯え、前記ポンプが吐出した作動油が戻されるものである。前記フィルタは、前記タンク本体に戻される作動油が通されるものである。前記アクセサリは、前記タンク本体に設けられた機器、および、前記タンク本体に戻される作動油が通る流路に設けられた機器、の少なくともいずれかである。作動油タンク異常検知プログラムは、流量情報取得ステップと、差圧取得ステップと、異常検知ステップと、をコンピュータに実行させる。前記流量情報取得ステップは、前記タンク本体に戻される作動油の流量に関する情報である流量情報を取得する。前記差圧取得ステップは、前記フィルタの前後の差圧であるフィルタ前後差圧を取得する。前記異常検知ステップは、前記流量情報取得ステップに取得された前記流量情報、および、前記差圧取得ステップに取得された前記フィルタ前後差圧に基づいて、前記アクセサリの異常を検知する。前記アクセサリは、前記差圧取得ステップに取得される前記フィルタ前後差圧に前記アクセサリの状態が影響を与えるように構成されたものである。
【発明の効果】
【0009】
上記の作動油タンク異常検知装置、作動油タンク異常検知方法、および作動油タンク異常検知プログラムのそれぞれでは、作動油タンクのアクセサリの異常を精度良く検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1、第2実施形態の作動油タンク異常検知装置1、201の作業機械10などを横から見た図である。
図2図1に示す作動油タンク異常検知装置1、201を示す回路図である。
図3図2に示す差圧検出部65に検出されるフィルタ前後差圧などのイメージ図である。
図4図2に示すコントローラ80の第1実施形態での作動を示すフローチャートである。
図5図2に示すコントローラ80の第2実施形態での作動を示すフローチャートである。
図6図5に示す過圧/負圧判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図4を参照して、第1実施形態の作動油タンク異常検知装置1について説明する。
【0012】
作動油タンク異常検知装置1は、図2に示す作動油タンク40の異常を検知するシステムである。作動油タンク異常検知装置1は、差圧検出部65の検出結果を利用して、作動油タンク40のアクセサリ60(後述)の異常を検知(推定)する。作動油タンク異常検知装置1は、作業機械10と、操作部71と、操作センサ73と、姿勢センサ75と、通知部77と、コントローラ80(コンピュータ)と、を備える。
【0013】
作業機械10は、図1に示すように、作業を行う機械であり、例えば建設作業を行う建設機械であり、例えばショベルでもよく、クレーンでもよい。以下では、主に、作業機械10がショベルである場合について説明する。作業機械10は、運転室13a(後述)内の作業者(オペレータ)に操作される場合があってもよく、遠隔操作される場合があってもよく、自動運転される場合があってもよい。作業機械10は、機械本体10aと、アタッチメント15と、原動機17(図2参照)と、油圧回路20(図2参照)と、を備える。
【0014】
機械本体10aは、作業機械10の本体部である。機械本体10aは、下部走行体11と、上部旋回体13と、を備える。下部走行体11は、作業機械10を走行させる。下部走行体11は、クローラを備えてもよく、ホイールを備えてもよい。上部旋回体13は、下部走行体11に旋回可能に搭載される。上部旋回体13は、運転室13aを備える。運転室13aは、作業者(オペレータ)が作業機械10を操作することが可能な部分である。
【0015】
アタッチメント15は、作業を行う部分であり、例えば、ブーム15aと、アーム15bと、先端アタッチメント15cと、を備える。ブーム15aは、上部旋回体13に起伏可能(上下方向に回転可能)に取り付けられる。アーム15bは、ブーム15aに回転可能に取り付けられる。先端アタッチメント15cは、アタッチメント15の先端部に設けられ、アーム15bに回転可能に取り付けられる。先端アタッチメント15cは、例えば作業対象物をすくう作業や掘削などを行うバケットでもよく、作業対象物を挟む装置(グラップル、ニブラなど)でもよく、作業対象物の破砕などを行う装置(ブレーカなど)でもよい。
【0016】
原動機17(エンジン)(図2参照)は、作業機械10の駆動源である。図2に示すように、原動機17は、後述するポンプ21を駆動する。原動機17は、例えばディーゼルエンジンなどである。
【0017】
油圧回路20は、油圧アクチュエータ30を作動させる回路である。油圧回路20は、ポンプ21と、ポンプ圧センサ22と、油圧アクチュエータ30と、コントロールバルブ23と、作動油タンク40と、を備える。
【0018】
ポンプ21は、作動油タンク40(さらに詳しくは、後述するタンク本体41)から作動油を吸い込む。作動油は、油圧アクチュエータ30を作動させるための油であり、作業機械10を作動させるための油である。ポンプ21は、油圧アクチュエータ30に作動油を供給する。ポンプ21は、原動機17により回転駆動させられる。ポンプ21は、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。
【0019】
ポンプ圧センサ22は、ポンプ21が吐出した作動油の圧力(ポンプ圧、吐出圧)を検出する。ポンプ圧センサ22は、ポンプ21の内部に設けられてもよい。ポンプ圧センサ22は、ポンプ21の外部に設けられてもよく、例えば、ポンプ21が吐出した作動油が流れる流路(配管)に設けられてもよい。ポンプ圧センサ22は、ポンプ21が吐出した作動油が流れる流路のうち、ポンプ21の吐出口(出口)と同じ油圧または略同じ油圧の部分に設けられてもよい。ポンプ圧センサ22は、ポンプ21とコントロールバルブ23との間に設けられてもよい。上記「間」とは、作動油の流路における間である(以下の、油圧回路20の構成要素どうしの「間」についても同様)。
【0020】
コントロールバルブ23は、油圧アクチュエータ30の作動を制御するバルブである。コントロールバルブ23は、複数の油圧アクチュエータ30のうち作動油を供給する油圧アクチュエータ30を選択する。なお、図2に示す例では、1つの油圧アクチュエータ30を制御する1つのコントロールバルブ23のみを図示している。コントロールバルブ23は、作動油の方向を切り換え、油圧アクチュエータ30の作動の方向(例えば回転方向または伸縮方向)を切り換える。コントロールバルブ23は、油圧アクチュエータ30に供給される作動油の流量を変え、油圧アクチュエータ30の作動速度を変える。コントロールバルブ23は、ポンプ21と油圧アクチュエータ30との間に設けられる。
【0021】
油圧アクチュエータ30は、ポンプ21から作動油が供給されることで駆動する。油圧アクチュエータ30は、作業機械10(図1参照)を作動させる。油圧アクチュエータ30は、ポンプ21につながれる。「つながれる」は、作動油が通る流路が接続されることを意味する(以下同様)。図1に示すように、油圧アクチュエータ30は、油圧モータ30mと、油圧シリンダ30sと、を備える。油圧アクチュエータ30は、走行モータ31と、旋回モータ32と、ブームシリンダ33と、アームシリンダ34と、先端アタッチメントシリンダ35と、を備える。
【0022】
油圧モータ30mは、ポンプ21から作動油が供給されることで回転駆動する。
【0023】
油圧シリンダ30sは、ポンプ21から作動油が供給されることで伸縮駆動する。油圧シリンダ30sは、片ロッドである。なお、変形例として、両ロッドの油圧式のシリンダ(油圧アクチュエータ30の一例)が設けられてもよい。以下では、片ロッドの油圧シリンダ30sについて説明する。図2に示すように、油圧シリンダ30sは、チューブ30s1と、ピストン30s2と、ロッド30s3と、縮小側油室30s4と、伸長側油室30s5と、を備える。チューブ30s1は、底(キャップ)を有する筒状の部材である。ロッド30s3は、チューブ30s1の軸方向に移動可能に、チューブ30s1に差し込まれる。ロッド30s3は、チューブ30s1の軸方向両端のうち一方のみから突出する(すなわち片ロッドである)。ピストン30s2は、ロッド30s3に固定され、チューブ30s1の内部空間を区分けする。縮小側油室30s4は、チューブ30s1の内部空間のうちピストン30s2よりもロッド30s3側(チューブ30s1に対してロッド30s3が突出する側)の空間である。伸長側油室30s5は、チューブ30s1の内部空間のうちピストン30s2よりもキャップ側(ロッド30s3側とは反対側)の空間である。
【0024】
この油圧シリンダ30sの縮小時には、作動油は、縮小側油室30s4に供給されるとともに、伸長側油室30s5から排出される。縮小側油室30s4内にはロッド30s3が存在するが、伸長側油室30s5内にはロッド30s3は存在しない。そのため、油圧シリンダ30sの縮小時には、伸長側油室30s5から排出される作動油の流量は、縮小側油室30s4に供給される作動油の流量よりも多い。油圧シリンダ30sの伸長時には、作動油は、伸長側油室30s5に供給されるとともに、縮小側油室30s4から排出される。このとき、伸長側油室30s5に供給される作動油の流量は、縮小側油室30s4から排出される作動油の流量よりも多い。
【0025】
走行モータ31は、図1に示す下部走行体11を走行させる。走行モータ31は、油圧モータ30mである(旋回モータ32も同様)。旋回モータ32は、下部走行体11に対して上部旋回体13を旋回させる。
【0026】
ブームシリンダ33は、上部旋回体13に対してブーム15aを起伏させる。ブームシリンダ33は、油圧シリンダ30sである(アームシリンダ34および先端アタッチメントシリンダ35も同様)。アームシリンダ34は、ブーム15aに対してアーム15bを回転させる。先端アタッチメントシリンダ35は、アーム15bに対して先端アタッチメント15cを回転させる。なお、先端アタッチメント15c自体が、例えば物を挟む装置などのように駆動可能である場合、先端アタッチメント15cを駆動させるための油圧アクチュエータ30が設けられてもよい。
【0027】
作動油タンク40(図2参照)は、作動油を貯える機器である。作動油タンク40は、機械本体10a(例えば上部旋回体13)に搭載される。図2に示すように、作動油タンク40は、タンク本体41と、フィルタ収容部43と、供給流路45と、戻り流路47と、フィルタ51と、差圧検出流路53と、絞り55と、バイパス流路57と、アクセサリ60と、を備える。
【0028】
タンク本体41は、作動油を貯える容器である。タンク本体41には、ポンプ21が吐出した作動油が戻される。タンク本体41には、ポンプ21が吐出し、油圧アクチュエータ30から排出された作動油が戻されてもよい。タンク本体41には、ポンプ21が吐出し、油圧アクチュエータ30を通らない作動油が戻されてもよい。
【0029】
フィルタ収容部43は、フィルタ51が収容される部分(空間)である。フィルタ収容部43は、例えば、タンク本体41と一体的に設けられる。例えば、フィルタ収容部43の内部と、タンク本体41の内部とは、隔壁43aにより隔たれる。なお、フィルタ収容部43は、タンク本体41と別体でもよい。
【0030】
供給流路45は、タンク本体41からポンプ21に供給される作動油が通る流路である。供給流路45は、タンク本体41とポンプ21とにつながれる。
【0031】
戻り流路47は、タンク本体41に戻る作動油が通る流路である。戻り流路47は、タンク本体41につながれる。例えば、戻り流路47は、コントロールバルブ23とタンク本体41とにつながれる。例えば、戻り流路47は、油圧アクチュエータ30とタンク本体41とにつながれる。戻り流路47は、フィルタ入口側流路47iと、フィルタ出口側流路47oと、を備える。フィルタ入口側流路47iは、フィルタ51への作動油の入口側(上流側)の流路である。フィルタ入口側流路47iは、フィルタ51の入口と、フィルタ51の入口につながれた流路(例えばフィルタ51の入口の油圧と略同じ油圧の部分)と、を含む。例えば、フィルタ入口側流路47iは、フィルタ収容部43の外部の流路を含んでもよい。フィルタ出口側流路47oは、フィルタ51からの作動油の出口側(下流側)の流路である。フィルタ出口側流路47oは、フィルタ51の出口と、フィルタ51の出口につながれた流路(例えばフィルタ51の出口の油圧と略同じ油圧の部分)と、を含む。フィルタ出口側流路47oは、タンク本体41の内部を含んでもよい。フィルタ入口側流路47iおよびフィルタ出口側流路47oを、「フィルタ51の前後」という。
【0032】
フィルタ51は、作動油の混入物(ゴミ、金属粉など)を濾過する。フィルタ51は、戻り流路47に設けられる。フィルタ51は、タンク本体41に戻される作動油が通される濾過装置(リターンフィルタ)である。フィルタ51は、例えば、フィルタ収容部43に収容される。なお、戻り流路47以外の流路(例えば、供給流路45など)に、作動油を濾過する機器が設けられてもよい。
【0033】
差圧検出流路53は、差圧検出部65が設けられる流路である。差圧検出流路53は、フィルタ51の前後につながれる(フィルタ入口側流路47iおよびフィルタ出口側流路47oにつながれる)。
【0034】
絞り55は、差圧検出部65がフィルタ前後差圧(後述)を適切に検出できるようにするために設けられる。絞り55は、戻り流路47の油圧を減圧した油圧を、差圧検出部65に供給するために設けられる。絞り55は、差圧検出流路53に設けられる。さらに詳しくは、絞り55は、フィルタ入口側流路47iと差圧検出部65との間に設けられる。絞り55は、フィルタ出口側流路47oと差圧検出部65との間に設けられる。絞り55が設けられることで、戻り流路47の油圧の変化に比べ、差圧検出部65での油圧の変化が遅れる(応答が遅れる)。なお、絞り55が設けられなくても差圧検出部65がフィルタ前後差圧を適切に検出できる場合は、絞り55は、設けられなくてもよい。
【0035】
バイパス流路57は、戻り流路47につながれる。バイパス流路57は、フィルタ51を迂回するように、フィルタ51の前後につながれる。
【0036】
アクセサリ60は、作動油タンク40の構成要素であり、タンク本体41の付属物である。アクセサリ60は、タンク本体41に設けられた機器を含んでもよい。アクセサリ60は、タンク本体41に戻される作動油が通る配管(例えば、戻り流路47、差圧検出流路53、およびバイパス流路57、の少なくともいずれか)に設けられた機器を含んでもよい。アクセサリ60の状態は、差圧取得部83に取得されるフィルタ前後差圧(後述)に影響を与える。具体的には例えば、アクセサリ60は、バイパスチェック弁61と、ブリーザ63と、差圧検出部65と、を備える。作動油タンク40の構成要素のうち、タンク本体41、各流路(戻り流路47など)、フィルタ収容部43、およびフィルタ51は、アクセサリ60に含まれない。絞り55は、アクセサリ60に含まれてもよい。
【0037】
バイパスチェック弁61は、バイパス流路57での作動油の逆流を抑制する。バイパスチェック弁61は、バイパス流路57に設けられる。バイパスチェック弁61は、フィルタ収容部43に収容されてもよく、フィルタ収容部43に収容されなくてもよい。バイパスチェック弁61は、チェック弁本体61aと、スプリング61bと、を備える。チェック弁本体61aは、バイパスチェック弁61の本体部分であり、弁体を含む部分である。スプリング61bは、弁体を付勢する、ばねである。
【0038】
このバイパスチェック弁61は、フィルタ出口側流路47oからフィルタ入口側流路47iに作動油が流れることを抑制する。なお、バイパスチェック弁61は、フィルタ出口側流路47oからフィルタ入口側流路47iに作動油がわずかに漏れることが可能に構成されてもよい。バイパスチェック弁61は、フィルタ入口側流路47iからフィルタ出口側流路47oに作動油が流れることを許容する場合がある。さらに詳しくは、バイパスチェック弁61は、フィルタ入口側流路47iの圧力からフィルタ出口側流路47oの圧力を引いた圧力が、クラッキング圧(バイパスチェック弁61の設定圧)よりも大きい場合に、作動油が流れることを許容する。クラッキング圧は、スプリング61bの付勢力により決まる。
【0039】
ブリーザ63は、タンク本体41の内部と、タンク本体41の外部とを連通させ、気体が通ることが可能に構成される。上記「タンク本体41の外部」は、例えば、作動油タンク40の外部でもよく、作業機械10(図1参照)の外部でもよい。上記「気体」は、例えば空気である。ブリーザ63は、気体を通すことで、タンク本体41の内部と外部との気体の圧力を同じまたは略同じにする。ブリーザ63は、気体に混入した混合物をこしとるフィルタエレメントを備えてもよい。ブリーザ63は、タンク本体41に設けられた機器である。ブリーザ63は、例えば、タンク本体41の上部に設けられ、例えば、タンク本体41と一体的に設けられる。なお、ブリーザ63は、タンク本体41と別体に設けられてもよく、配管を介してタンク本体41につながれてもよい。ブリーザ63がタンク本体41と別体であっても、タンク本体41の内部と外部とを連通させ、気体が通ることが可能に構成されていれば、ブリーザ63は、「タンク本体41に設けられた機器」に含まれる。
【0040】
差圧検出部65は、フィルタ前後差圧を検出する。差圧検出部65は、アクセサリ60の異常の検知に用いられる。差圧検出部65は、フィルタ51の目詰まりを検知するために用いられてもよい。アクセサリ60の異常の検知のための差圧検出部65と、フィルタ51の目詰まりを検知するためにフィルタ前後差圧を検出する装置とは、兼用されてもよく、兼用されなくてもよい。
【0041】
この差圧検出部65が検出する「フィルタ前後差圧」は、フィルタ51の前後の差圧であり、さらに詳しくは、フィルタ入口側流路47iの油圧とフィルタ出口側流路47oの油圧との差である。例えば、差圧検出部65は、フィルタ51の前後の実際の差圧が絞り55によって減圧された差圧を検出してもよい。この場合、フィルタ51の前後の実際の差圧と、差圧検出部65が検出する差圧とは、相関(例えば比例)するので、差圧検出部65は、実質的にフィルタ前後差圧を検出する。以下では、フィルタ51の前後の実際の差圧と、差圧検出部65が検出する差圧と、を区別せずに「フィルタ前後差圧」という。これらを区別する場合は、「フィルタ51の前後の実際のフィルタ前後差圧」「差圧検出部65に検出されたフィルタ前後差圧」などという。
【0042】
この差圧検出部65は、差圧検出流路53に設けられる。例えば、差圧検出部65は、タンク本体41と一体的に設けられたフィルタ収容部43の内部に設けられてもよく、タンク本体41とは別体に設けられたフィルタ収容部43の内部に設けられてもよく、フィルタ収容部43の外部に設けられてもよい。
【0043】
この差圧検出部65は、差圧スイッチでもよい。この場合、差圧検出部65は、フィルタ前後差圧(さらに詳しくは差圧検出部65にかかる差圧)が、所定の圧力(差圧閾値)以上のときに、オン信号を出力する(オンとなる)。また、差圧検出部65は、フィルタ前後差圧が所定の圧力未満のときに、オン信号を出力しない(オフとなる)。
【0044】
この差圧検出部65は、フィルタ前後差圧の値を検出する差圧センサでもよい。
【0045】
この差圧検出部65は、複数の圧力センサを備えてもよい。さらに詳しくは、差圧検出部65は、フィルタ入口側流路47iの油圧を検出する圧力センサと、フィルタ出口側流路47oの油圧を検出する圧力センサと、を備えてもよい。そして、例えばコントローラ80が、フィルタ入口側流路47iの油圧と、フィルタ出口側流路47oの油圧と、の差圧を算出してもよい。この場合、コントローラ80は、差圧検出部65に含まれてもよい。
【0046】
操作部71は、作業機械10(図1参照、以下の作業機械10についても同様)を操作する部分である。操作部71は、油圧アクチュエータ30を操作する部分である。具体的には例えば、操作部71は、図1に示す油圧モータ30mの駆動を操作し、下部走行体11の走行、および、下部走行体11に対する上部旋回体13の旋回を操作する。また、例えば、操作部71(図2参照)は、油圧シリンダ30sの伸縮を操作し、上部旋回体13に対するブーム15aの起伏、ブーム15aに対するアーム15bの回転、およびアーム15bに対する先端アタッチメント15cの回転を操作する。操作部71は、作業機械10に設けられてもよく、作業機械10の外部に設けられてもよく、作業機械10および作業機械10の外部の両方に設けられてもよい。例えば、操作部71は、運転室13aに設けられ、作業者(オペレータ)に操作されてもよい。具体的には例えば、操作部71は、レバー、ペダル、スイッチなどでもよい。例えば、操作部71は、作業機械10の外部の遠隔操作を行う装置に設けられてもよい。例えば、図2に示す操作部71は、作業機械10を自動操作(自動運転)するコントローラ80でもよい。操作部71は、操作に応じた出力を行う。具体的には例えば、操作部71は、コントロールバルブ23に入力されるパイロット油圧(操作圧力)を出力してもよく、電気信号(操作信号)を出力してもよい。作業機械10に設けられても、作業機械10の外部に設けられても、作業機械10および作業機械10の外部の両方に設けられてもよいことは、操作センサ73、姿勢センサ75、通知部77、およびコントローラ80についても同様である。作業機械10と作業機械10の外部との間で、または、作業機械10の外部の機器どうしで、情報の送受信が行われる場合は、送受信される情報にセキュリティ処理が行われてもよい。このセキュリティ処理は、具体的には例えば、認証処理、改ざん検知処理、および暗号化処理などである。
【0047】
操作センサ73は、作業機械10を作動させるための操作を検出する。操作センサ73は、操作部71の出力(操作の内容)を検出する。操作センサ73は、複数の油圧アクチュエータ30のうち、どの油圧アクチュエータ30が操作されるかを検出してもよい。操作センサ73は、油圧アクチュエータ30がどの向きに操作されるかを検出してもよい。例えば、操作センサ73は、油圧シリンダ30sを伸長または縮小させる操作を検出してもよく、油圧モータ30mを回転させる操作を検出してもよい。例えば、操作センサ73は、油圧アクチュエータ30の速度を指令する操作を検出してもよい。例えば、操作センサ73は、操作部71の操作量を検出してもよい。具体的には例えば、操作部71が操作レバーである場合は、操作センサ73は、操作レバーの角度を検出してもよい。操作センサ73は、コントロールバルブ23に入力される信号(例えばパイロット油圧または電気信号)を検出してもよい。例えば、操作部71が遠隔操作または自動操作を行う場合は、操作センサ73は、遠隔操作や自動操作を行うための信号(例えば電気信号)を検出してもよい。
【0048】
姿勢センサ75は、作業機械10の姿勢を検出する。例えば、姿勢センサ75は、アタッチメント15の姿勢を検出する。具体的には例えば、図1に示すように、姿勢センサ75は、ブームセンサ75aと、アームセンサ75bと、先端アタッチメントセンサ75cと、を備える。
【0049】
ブームセンサ75aは、ブーム15aの姿勢を検出する。ブームセンサ75aは、水平方向または上部旋回体13に対する、ブーム15aの角度(傾斜、回転角度)を検出してもよい。ブームセンサ75aは、上部旋回体13に対するブーム15aの回転軸や回転支持部に取り付けられる角度センサ(例えばロータリエンコーダなど)を備えてもよい。ブームセンサ75aは、水平方向に対するブーム15aの角度を検出する傾斜センサ(ジャイロセンサなど)を備えてもよい。ブームセンサ75aは、ブーム15aを駆動する油圧シリンダ30s(ブームシリンダ33)のストロークを検出するストロークセンサを備えてもよい。ブームセンサ75aは、画像(二次元または三次元)に基づいてブーム15aの姿勢を検出するものでもよい。
【0050】
アームセンサ75bは、アーム15bの姿勢を検出する(具体的な検出方法についてはブームセンサ75aの説明を参照)。先端アタッチメントセンサ75cは、先端アタッチメント15cの姿勢を検出する。(具体的な検出方法についてはブームセンサ75aの説明を参照)。なお、姿勢センサ75は、下部走行体11の走行の状態を検出する走行センサ(図示なし)を備えてもよく、下部走行体11に対する上部旋回体13の旋回角度を検出する旋回センサ(図示なし)を備えてもよい。
【0051】
通知部77(図2参照)は、情報を作業者に通知する(通知の詳細は後述)。例えば、通知部77が作業機械10に設けられる場合は、通知部77は、運転室13aの内部などに配置されてもよい。例えば、通知部77が作業機械10の外部に設けられる場合は、通知部77は、遠隔操作を行う装置に配置されてもよく、作業機械10を管理や監視する部分に配置されてもよく、サーバなどに配置されてもよい。また、例えば、通知部77は、作業者が持っている情報端末(パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなど)に設けられてもよい。
【0052】
コントローラ80は、信号の入出力、演算(処理)、情報の記憶などを行うコンピュータである。例えば、図2に示すコントローラ80の機能は、コントローラ80の記憶部に記憶されたプログラムが演算部で実行されることにより実現される。例えば、コントローラ80には、差圧検出部65などの各種センサから検出結果が入力される。例えば、コントローラ80は、原動機17に関する情報(原動機情報)を取得してもよい。具体的には例えば、コントローラ80は、原動機17の回転数を取得するセンサ(図示なし)の検出値を取得してもよく、コントローラ80による原動機17の回転数の指令を取得してもよい。例えば、コントローラ80は、作業機械10を作動させるための指令を出力するメカトロコントローラでもよい。例えば、コントローラ80は、作業機械10の自動運転を行う自動運転コントローラでもよい。コントローラ80は、作業機械10(例えば運転室13aの内部)に設けられてもよく、作業機械10の外部(サーバなど)に設けられてもよい。コントローラ80は、流量情報取得部81と、差圧取得部83と、異常検知部89と、を備える。
【0053】
流量情報取得部81は、後述する流量情報を取得する(流量情報取得ステップ)(詳細は後述)。差圧取得部83は、フィルタ前後差圧を取得する(差圧取得ステップ)(詳細は後述)。異常検知部89は、アクセサリ60の異常を検知する(異常検知ステップ)。異常検知部89は、流量情報取得部81に取得された流量情報、および、差圧取得部83に取得されたフィルタ前後差圧に基づいて、アクセサリ60の異常を検知する(詳細は後述)。
【0054】
(作動)
作動油タンク異常検知装置1は、以下のように作動するように構成される。
【0055】
作動油タンク異常検知装置1の作動の概要は、次の通りである。ポンプ21は、原動機17に駆動されることで、タンク本体41から作動油を吸い込み、作動油を吐出する。また、油圧アクチュエータ30を作動させるための操作が、操作部71に対して行われる。具体的には例えば、運転室13a(図1参照)で作業者が操作部71を操作してもよく、遠隔操作を行う装置で作業者が操作部71を操作してもよい。または、コントローラ80(操作部71)が、油圧アクチュエータ30を作動させるための自動操作を行ってもよい。操作部71の操作に応じて、コントロールバルブ23が作動する(弁が開閉する)。すると、ポンプ21が吐出した作動油が、コントロールバルブ23を介して、油圧アクチュエータ30に供給される。
【0056】
油圧アクチュエータ30は、作動油が供給されることで作動する。例えば、図1に示す油圧モータ30mが、回転する。具体的には例えば、走行モータ31が作動することで、下部走行体11が走行する。旋回モータ32が作動することで、下部走行体11に対して上部旋回体13が旋回する。また、例えば、油圧シリンダ30sが、伸長または縮小する。具体的には例えば、ブームシリンダ33が作動することで、上部旋回体13に対してブーム15aが回転(起伏)する。アームシリンダ34が作動することで、ブーム15aに対してアーム15bが回転する。先端アタッチメントシリンダ35が作動することで、アーム15bに対して先端アタッチメント15cが回転する。
【0057】
作動油は、図2に示す油圧アクチュエータ30から排出され、作動油タンク40(さらに詳しくはタンク本体41)に戻る。油圧アクチュエータ30から排出された作動油は、コントロールバルブ23を通ってもよく、コントロールバルブ23を通らなくてもよい。また、ポンプ21が吐出した作動油は、油圧アクチュエータ30を通らずに作動油タンク40に戻ってもよい。作動油タンク40に戻る作動油は、戻り流路47を流れる。戻り流路47を流れる作動油は、フィルタ51を通る。戻り流路47を流れる作動油は、バイパスチェック弁61の状態に応じて、バイパス流路57を通る。
【0058】
戻り流路47での(フィルタ51の前後での)作動油の流量に応じて、フィルタ前後差圧が発生する。戻り流路47での作動油の流量が大きいほど、フィルタ前後差圧が大きくなる。
【0059】
バイパスチェック弁61の前後にかかる圧力(フィルタ51の前後の実際のフィルタ前後差圧)が、バイパスチェック弁61のクラッキング圧よりも大きくなろうとすると、バイパスチェック弁61が(さらに詳しくはチェック弁本体61aの弁体が)開く。バイパスチェック弁61が開くことで、フィルタ入口側流路47iの油圧が、圧抜きされる。このとき、戻り流路47を通る作動油は、バイパス流路57と、フィルタ51と、を通る。
【0060】
バイパスチェック弁61の前後にかかる圧力が、クラッキング圧以下のとき、バイパスチェック弁61が(チェック弁本体61aの弁体が)閉じる。このとき、戻り流路47を通る作動油は、フィルタ51を通り、バイパス流路57を通らない(わずかな漏れはあってもよい)。
【0061】
図3のグラフG1に、フィルタ入口側流路47i(フィルタ51の直前)の作動油の流量のイメージを示す。グラフG2に、バイパスチェック弁61の前後にかかる圧力の変化のイメージを示す。
【0062】
図2に示す差圧検出部65が、フィルタ前後差圧を検出する。絞り55が設けられる場合は、フィルタ51の前後の実際のフィルタ前後差圧の大きさに対して、差圧検出部65に検出されるフィルタ前後差圧の大きさは小さくなる。また、絞り55が設けられる場合は、フィルタ51の前後の実際のフィルタ前後差圧の変化に対して、差圧検出部65に検出されるフィルタ前後差圧の変化は遅れる(応答が遅れる)。絞り55が設けられない場合は、フィルタ51の前後の実際のフィルタ前後差圧と、差圧取得部83に取得されるフィルタ前後差圧とは等しい(または略等しい)。
【0063】
(大流量、かつ、アクセサリ60が正常である場合)
戻り流路47を通る作動油の流量が所定量より多くなると想定される条件を、「大流量条件」とする(詳細は後述)。大流量条件が満たされ、かつ、アクセサリ60が正常である場合は、差圧検出部65に検出されるフィルタ前後差圧が、所定の差圧閾値以上となる。図3のグラフG3に、差圧検出部65に検出される差圧のイメージを示す。
【0064】
(大流量、かつ、アクセサリ60に異常がある場合)
図2に示すアクセサリ60に異常がある場合は、後述する大流量条件が満たされても、差圧検出部65に検出されるフィルタ前後差圧が所定の差圧閾値未満となる場合がある。アクセサリ60の異常がある場合の状況の具体例は、次の通りである。
【0065】
[バイパスチェック弁61の異常]
バイパスチェック弁61に異常がある場合、バイパスチェック弁61の前後にかかる圧力がクラッキング圧以下でも、バイパスチェック弁61が閉じない(解放状態になる)場合がある。この問題は、例えば、スプリング61bが破損し、フィルタ入口側流路47iの作動油を押し返せない場合や、チェック弁本体61aが破損している場合などに、生じ得る。バイパスチェック弁61が閉じない場合、差圧検出部65に検出されるフィルタ前後差圧が、差圧閾値未満になる場合がある。この場合の、差圧検出部65に検出されるフィルタ前後差圧のイメージを、図3のグラフG4に示す。
【0066】
[ブリーザ63の異常]
ブリーザ63に異常がある場合、タンク本体41内(タンク本体41の内部)の気体が、ブリーザ63を適切に通れない場合がある。この問題は、例えば、ブリーザ63(例えばフィルタエレメント)が目詰まりしている場合に生じ得る。
【0067】
タンク本体41内の気体がブリーザ63を適切に通れない場合、タンク本体41の内部の圧力(タンク内圧)が負圧状態(大気圧(または略大気圧)よりも低い圧力)になる場合がある。具体的には例えば、タンク本体41から排出される作動油よりもタンク本体41に戻る作動油の方が少ない場合(油圧シリンダ30sの伸長時など)に、タンク内圧が負圧状態になる。そして、タンク本体41内の気体がブリーザ63を適切に通れない場合、タンク内圧が負圧状態になったままとなる。タンク内圧が負圧状態になると、バイパスチェック弁61が開きやすい(解放しやすい)状況になる場合がある。すると、差圧検出部65に検出されるフィルタ前後差圧が、差圧閾値未満になる場合がある。
【0068】
ブリーザ63が例えば目詰まりしていても、時間が経過すれば、タンク内圧が常圧状態(大気圧または略大気圧)に戻る場合がある。ここで、上記のように、差圧検出流路53に絞り55が設けられる場合は、フィルタ51の前後の実際のフィルタ前後差圧の変化に対して、差圧検出部65に検出されるフィルタ前後差圧の変化は遅い(応答が遅れる)。そのため、タンク内圧が常圧状態に戻っても、タンク内圧が負圧状態であったときのフィルタ前後差圧を差圧検出部65が検出する場合がある。この場合、差圧検出部65に検出されるフィルタ前後差圧が、差圧閾値未満になる場合がある。
【0069】
また、タンク本体41内の気体がブリーザ63を適切に通れない場合、タンク内圧が過圧状態(大気圧(または略大気圧)よりも高い圧力)になる場合がある。具体的には例えば、タンク本体41から排出される作動油よりもタンク本体41に戻る作動油の方が多い場合(例えば油圧シリンダ30sの縮小時など)に、タンク内圧が過圧状態になる。そして、タンク本体41内の気体がブリーザ63を適切に通れない場合、タンク内圧が過圧状態になったままとなる。この場合、タンク内圧が常圧状態である場合に比べ、フィルタ出口側流路47oの圧力が高くなる。フィルタ前後差圧は、フィルタ入口側流路47iの圧力と、フィルタ出口側流路47oの圧力と、の差であるため、フィルタ出口側流路47oの圧力が高くなると、フィルタ前後差圧が低くなる。その結果、差圧検出部65に検出されるフィルタ前後差圧が、差圧閾値未満になる場合がある。
【0070】
[差圧検出部65の異常]
差圧検出部65の異常(例えば故障などの不具合)により、差圧検出部65に検出されるフィルタ前後差圧が、差圧閾値未満になる場合がある。
【0071】
これらの例のように、フィルタ前後差圧が差圧閾値以上となるべき状況(後述する大流量条件が満たされる状況)であるにもかかわらず、差圧検出部65に検出されるフィルタ前後差圧が差圧閾値未満となる場合は、アクセサリ60に異常がある可能性がある。以下では、アクセサリ60の異常を検出するための、コントローラ80の作動(処理)の具体例を説明する。以下では、各ステップについては図4を参照して説明する。
【0072】
(流量情報取得ステップ)
図2に示すコントローラ80(さらに詳しくは流量情報取得部81)は、流量情報を取得する(流量情報取得ステップ)(ステップS20)。流量情報は、タンク本体41に戻される作動油の流量に関する情報である。以下では、タンク本体41に戻される作動油の流量(戻り流路47の流量)を、「戻り流量」ともいう。流量情報の内容は、様々に設定可能である(後述する他の情報や指標なども同様)。流量情報は、例えば下記の例のうちいずれか1つの情報でもよく、下記の複数の例を組み合わせた情報でもよい(後述する他の情報なども同様)。
【0073】
[例A]流量情報は、戻り流量の情報を含んでもよい。[例A1]流量情報は、図示しない流量センサにより直接的に検出された、戻り流量の値を含んでもよい。[例A2]流量情報は、戻り流量とは異なる検出値から算出された、戻り流量の値を含んでもよい。例えば、流量情報は、後述する[例B2]の「作業機械10の作動の情報」から算出された、戻り流量の値を含んでもよい。例えば、流量情報は、戻り流量と相関のある(例えば比例する)値を含んでもよい。
【0074】
[例B]流量情報は、戻り流量に影響のある情報を含んでもよい。[例B1]「戻り流量に影響のある情報」は、連続的な値(検出値など)の大きさの情報を含んでもよい。「戻り流量に影響のある情報」は、作業機械10において特定の作動や制御などが行われているか否かの情報を含んでもよい。
【0075】
[例B2]流量情報は、作業機械10の作動の情報を含んでもよい。[例B2a]流量情報は、油圧アクチュエータ30の作動の情報を含んでもよい。流量情報は、姿勢センサ75に検出された、作業機械10の姿勢の情報を含んでもよい。流量情報は、操作センサ73に検出された、作業機械10の操作の情報を含んでもよい。[例B2aの具体例]具体的には例えば、流量情報は、図1に示すアタッチメント15の構成要素(ブーム15aなど)のうち、どの構成要素が作動しているかの情報を含んでもよい。流量情報は、アタッチメント15の姿勢変化の方向(ブーム15aの回転方向など)の情報を含んでもよい。流量情報は、下部走行体11の走行の情報でもよく、上部旋回体13の旋回の情報を含んでもよい。
【0076】
[例B2b]流量情報は、図2に示すポンプ21の作動の情報を含んでもよい。[例B2bの具体例]流量情報は、ポンプ圧センサ22に検出されたポンプ21の吐出圧の情報を含んでもよい。流量情報は、ポンプ21の回転数の情報を含んでもよい。流量情報は、ポンプ21の作動の制御の状態でもよい。例えば、流量情報は、ポンプ21の出力が原動機17の出力を超えないように、ポンプ21の出力を制限する制御(減馬力制御)が行われているか(例えばコントローラ80が減馬力制御を行っているか)否かの情報を含んでもよい。
【0077】
[例B2c]流量情報は、原動機17の作動の状態の情報を含んでもよい。例えば、流量情報は、原動機17の回転数の情報を含んでもよい。原動機17の回転数は、ポンプ21の回転数と等しい、またはポンプ21の回転数と比例する。
【0078】
(流量情報判定ステップ)
コントローラ80(例えば異常検知部89)は、流量情報取得部81で取得された流量情報が、所定の大流量条件を満たすか否かを判定する(流量情報判定ステップ)。上記「大流量条件」は、異常検知部89によるアクセサリ60の異常検知を行うために満たされる必要がある条件(異常検知の前提となる条件)である。大流量条件は、様々に設定可能である(後述する他の条件も同様)。大流量条件は、例えば下記の例のうちいずれか1つの条件でもよく、下記の複数の条件を組み合わせた条件でもよい(後述する他の条件も同様)。コントローラ80は、下記の例のうち1つの条件が満たされた場合に、大流量条件が満たされたと判定してもよく、下記の例のうち複数(一部または全部)の条件が満たされた場合に大流量条件が満たされたと判定してもよい。
【0079】
[例C]流量情報取得部81で取得された流量情報が、戻り流量の情報を含む場合(上記[例A]参照)、大流量条件は、例えば次のように設定されてもよい。[例C1]大流量条件は、戻り流量が、所定の流量閾値Th1以上であることを含んでもよい(ステップS31参照)。流量閾値Th1は、例えばコントローラ80などに予め設定される(他の閾値や範囲なども同様)。[例C2]大流量条件は、戻り流量が流量閾値Th1以上である状態が、所定時間継続することを含んでもよい(ステップS31、S32、およびS33参照)。なお、ステップS31、S32、およびS33の詳細は後述する。
【0080】
[例D]流量情報取得部81で取得された流量情報が、戻り流量に影響のある情報を含む場合(上記[例B]参照)、大流量条件は、例えば次のように設定されてもよい。
【0081】
[例D1]大流量条件は、「戻り流量に影響のある情報」が、戻り流量が流量閾値Th1以上になると想定される条件を満たすことを含んでもよい。
【0082】
[例D1a]大流量条件は、ポンプ21の吐出圧が所定のポンプ圧閾値以上であることを含んでもよい。[例D1b]大流量条件は、ポンプ21の回転数または原動機17の回転数が、所定の回転数閾値以上であることを含んでもよい。
【0083】
[例D1c]大流量条件は、油圧シリンダ30sが縮小していることを含んでもよい。[例D1c-1]例えば、大流量条件は、複数の油圧シリンダ30sが伸縮しているときに、縮小している油圧シリンダ30sの数が、伸長している油圧シリンダ30sの数よりも多いことを含んでもよい。[例D1c-2]例えば、大流量条件は、複数の油圧シリンダ30sが伸縮しているときに、複数の油圧シリンダ30sに供給される作動油よりも、これらの複数の油圧シリンダ30sから排出される作動油の方が多いことを含んでもよい。
【0084】
[例D1d]大流量条件は、油圧シリンダ30s(例えばブームシリンダ33など)が縮小し、かつ、この油圧シリンダ30s(ここではブームシリンダ33)の操作量が所定の操作量閾値以上であることを含んでもよい。この「操作量」は、操作センサ73に検出される。
【0085】
[例D1e]大流量条件は、作業機械10が所定の姿勢変化をしていることを含んでもよい。作業機械10の「所定の姿勢変化」は、具体的には例えば、油圧シリンダ30sが縮小するような姿勢変化(シリンダ縮小姿勢変化)でもよい。シリンダ縮小姿勢変化には、図1に示すブーム15aの先端部が下がるように、上部旋回体13に対してブーム15aが回転させられる「ブーム15a下げ」が含まれてもよい。シリンダ縮小姿勢変化には、アーム15bの先端部が上部旋回体13から離れる向きなどに、ブーム15aに対してアーム15bが回転する「アーム15b押し」が含まれてもよい。シリンダ縮小姿勢変化には、先端アタッチメント15cの先端部が上部旋回体13から離れる向きなどに、アーム15bに対して先端アタッチメント15cが回転する「先端アタッチメント15c解放」が含まれてもよい。先端アタッチメント15cがバケットである場合は、「先端アタッチメント15c解放」は、例えば、バケットを排土する作動などである。[例D1e-1]例えば、アタッチメント15の複数の構成要素(例えばブーム15aおよびアーム15bなど)が姿勢変化をしている場合がある。この場合は、大流量条件は、上記[例D1c-1]および上記[例D1c-2]の少なくともいずれかの条件を満たすように、アタッチメント15が姿勢変化していることを含んでもよい。
【0086】
[例D1f]大流量条件は、作業機械10が所定の姿勢変化を行い、かつ、この姿勢変化の変化量が所定の姿勢変化量閾値以上であることを含んでもよい。
【0087】
[例D1g]図2に示す油圧シリンダ30sが伸長しているときでも、所定の条件(下記のシリンダ伸長時大流量条件)を満たせば大流量条件が満たされるように、大流量条件が設定されてもよい。例えば、大流量条件は、油圧シリンダ30sが伸長し、かつ、所定のシリンダ伸長時大流量条件が満たされることを含んでもよい。[例D1gの具体例1]大流量条件は、油圧シリンダ30sが伸長し、かつ、ポンプ21に対して減馬力制御(上記[例B2b]参照)が行われていることを含んでもよい。[例D1gの具体例2]大流量条件は、油圧シリンダ30sが伸長し、かつ、ポンプ21が吐出する作動油の圧力が所定のポンプ圧閾値以上であることを含んでもよい。[例D1gの具体例3]大流量条件は、油圧シリンダ30sが伸長し、かつ、ポンプ21の回転数が所定の回転数閾値以上であることを含んでもよい。
【0088】
[例D2]大流量条件は、上記の[例D1]の条件が満たされている状態が、所定時間継続することを含んでもよい。
【0089】
(流量情報判定ステップの処理の具体例)
流量情報判定ステップ(ステップS30)の処理の具体例(図4に示す具体例)は、次の通りである。
【0090】
ステップS31では、図2に示すコントローラ80(例えば異常検知部89)は、流量情報取得部81に取得された戻り流量の値(流量情報の一例)が、流量閾値Th1以上であるか否かを判定する。戻り流量が流量閾値Th1以上である場合(ステップS31でYESの場合)、コントローラ80は、処理のフローをステップS32に進ませる。戻り流量が流量閾値Th1未満である場合(ステップS31でNOの場合)、フローはステップS20に戻る。
【0091】
ステップS32では、コントローラ80は、第1カウンタを更新する。第1カウンタは、戻り流量が流量閾値Th1以上である状態が継続(連続)している量(頻度、時間)を示す変数である。具体的には例えば、第1カウンタの初期値は0である。例えば、第1カウンタの値は、ステップS32で第1カウンタが更新される毎に増加(例えば1ずつ増加)する。ステップS32の後、フローはステップS33に進む。
【0092】
ステップS33では、コントローラ80は、第1カウンタが、所定の継続閾値Th2以上であるか否かを判定する。第1カウンタが継続閾値Th2以上である場合(ステップS33でYES)の場合、コントローラ80は「大流量条件を満たす」と判定し、フローはステップS40に進む。第1カウンタが継続閾値Th2未満である場合(ステップS33でNO)の場合、フローはステップS20に戻る。
【0093】
(差圧取得ステップ)
コントローラ80(さらに詳しくは差圧取得部83)は、差圧検出部65に検出されたフィルタ前後差圧を取得する。差圧取得部83は、大流量条件が満たされたときにのみフィルタ前後差圧を取得してもよい。差圧取得部83は、大流量条件が満たされていないときのフィルタ前後差圧を取得してもよい。大流量条件が満たされていないときのフィルタ前後差圧は、後述する差圧指標の算出に用いられない。
【0094】
(差圧指標算出ステップ)
異常検知部89は、差圧指標を算出する(差圧指標算出ステップ)(例えばステップS40参照)。差圧指標は、差圧取得部83に取得された(差圧検出部65に検出された)フィルタ前後差圧の大きさに関する指標である。差圧指標の内容は、様々に設定可能である。
【0095】
[例E]差圧指標は、大流量条件が満たされた状態で、差圧取得部83に取得されたフィルタ前後差圧に基づいて算出された指標などでもよい。具体的には例えば、差圧指標は、大流量条件が満たされた状態で、差圧取得部83に取得されたフィルタ前後差圧の平均値でもよい。
【0096】
[例F]差圧指標は、差圧取得部83に取得されたフィルタ前後差圧に関する情報と、所定の差圧閾値(図3の下部のグラフを参照)と、の比較結果を示す指標でもよい。例えば、差圧指標は、差圧取得部83に取得されたフィルタ前後差圧に関する情報が、所定の差圧閾値以上であるか否かを示す指標でもよい。差圧閾値は、次のように設定される。例えば、大流量条件が満たされ、かつ、アクセサリ60が正常であれば、フィルタ前後差圧が差圧閾値以上となるように、差圧閾値が設定される。差圧閾値は、作業機械10の周囲の大気圧に基づいて設定されてもよい。差圧閾値は、作業機械10の周囲の大気圧に応じて変化させられてもよい。
【0097】
例えば、絞り55が設けられない場合などには、差圧取得部83に取得されたフィルタ前後差圧が、フィルタ51の前後の実際のフィルタ前後差圧と同じまたは略同じとなる。この場合は、例えば、差圧閾値は、標準大気圧(1atm)または、略標準大気圧に設定されてもよい。例えば、差圧閾値は、標準大気圧に、標準大気圧未満の所定の補正値(例えば正の数)を加えた値でもよい。差圧閾値は、一定値でもよく、可変でもよい。例えば、差圧閾値は(例えば補正値は)、作業機械10の外部の気圧に応じて変えられてもよい。
【0098】
例えば、絞り55が設けられる場合などには、差圧取得部83に取得されるフィルタ前後差圧が、フィルタ51の前後の実際のフィルタ前後差圧よりも小さくなる(減圧される)。この減圧が行われる場合は、例えば、差圧取得部83に取得されたフィルタ前後差圧が、フィルタ51の前後の実際のフィルタ前後差圧に換算され、換算されたフィルタ前後差圧と差圧閾値とが比較されてもよい。また、上記の減圧が行われる場合は、減圧を考慮した差圧閾値が設定されてもよい。この場合、差圧閾値は、標準大気圧に、標準大気圧未満の所定の補正値を加えた値に基づいて設定されてもよい。具体的には例えば、差圧閾値は、標準大気圧に補正値を加えた値に、上記の減圧の程度に応じた係数を掛けた値などでもよい。
【0099】
[例F1]差圧検出部65が差圧スイッチを備える場合がある。この場合、差圧指標は、大流量条件が満たされた状態で、差圧スイッチがオンであるか否かを示す指標でもよい。具体的には例えば、差圧指標は、大流量条件が満たされた状態で、差圧スイッチがオンとなった回数または時間でもよい。
【0100】
[例F2]差圧検出部65が、フィルタ前後差圧の値を検出する差圧センサを備える場合がある。この場合、差圧指標は、大流量条件が満たされた状態で、差圧センサが検出したフィルタ前後差圧の値が差圧閾値以上か否かを示す指標でもよい。具体的には例えば、差圧指標は、大流量条件が満たされた状態で、差圧センサが検出したフィルタ前後差圧が差圧閾値以上となった回数または時間でもよい。
【0101】
[例F3]差圧検出部65が、フィルタ入口側流路47iの油圧を検出する圧力センサと、フィルタ出口側流路47oの油圧を検出する圧力センサと、を備える場合がある。この場合、差圧指標は、コントローラ80に算出されたフィルタ前後差圧の値が、差圧閾値以上か否かを示す指標でもよい。具体的には例えば、差圧指標は、大流量条件が満たされた状態で、コントローラ80に算出されたフィルタ前後差圧が差圧閾値以上となった回数または時間でもよい。
【0102】
(差圧指標の更新)
大流量条件が満たされたとき、コントローラ80は、差圧指標を更新する。例えば、コントローラ80は、記憶していた過去の差圧指標を、最新の差圧指標に更新する。具体的には例えば、上記[例E]の場合、コントローラ80は、フィルタ前後差圧に基づいて算出した指標(フィルタ前後差圧の平均値など)を最新の値に更新してもよい。例えば、上記[例F]の場合、コントローラ80は、フィルタ前後差圧に関する情報と差圧閾値との比較結果を示す指標(回数、時間など)を、最新の値に更新してもよい。
【0103】
(所定期間)
コントローラ80は、所定期間ごとに、差圧指標を算出してもよい。所定期間は、差圧指標を評価するための、所定の期間である。具体的には例えば、コントローラ80には、配列である差圧指標[i]が設定される。差圧指標[i]は、i番目の所定期間(i番目の時間スロット)での、差圧指標を示す。例えば、所定期間の長さ、所定期間がどのような期間であるか、どのようなタイミングで今回の(i番目の)所定期間から次回の(i+1番目の)所定期間に切り替わるかなど、所定期間の内容は、様々に設定可能である。複数の種類の所定期間(i、jなど)が設定されてもよい。
【0104】
[例G]所定期間は、作業機械10の作動に関する期間(時間)でもよい。
【0105】
[例Ga]所定期間は、作業機械10が作動している時間の積算値でもよい。今回の(i番目の)所定期間において作業機械10が作動している時間を積算した時間が、所定の積算時間閾値を超えたときに、今回の所定期間から次回の(i+1番目の)所定期間に切り替わってもよい。この例における「作業機械10が作動している時間」は、様々に設定可能である。[例Gaの具体例]「作業機械10が作動している時間」は、原動機17が駆動している時間でもよく、ポンプ21が駆動している時間でもよい。「作業機械10が作動している時間」は、作業機械10が作業を行っている時間でもよく、油圧アクチュエータ30が作動している時間でもよい。
【0106】
[例Gb]所定期間は、大流量条件が満たされている時間の積算値でもよい。今回の(i番目の)所定期間において大流量条件が満たされている時間を積算した時間が、所定の積算時間閾値を超えたときに、今回の所定期間から次回の(i+1番目の)所定期間に切り替わってもよい。
【0107】
上記の積算時間閾値は、図1に示すアタッチメント15の構成要素がある作動(例えばブーム15aが下げられる作動)を継続して行うことが想定される時間(例えば1秒間、2秒間など)でもよい。なお、積算時間閾値は、数秒間でもよく、数十秒間でもよく、数分間でもよく、数時間でもよく、数日間でもよい。
【0108】
[例H]所定期間は、作業機械10の作動とは関係なく決まる期間(時間)でもよい。具体的には例えば、所定期間の長さは、数時間(例えば1時間、6時間、12時間、24時間など)でもよく、1日よりも長い日数(1週間、2週間、1か月など)でもよい。
【0109】
[例I]所定期間は、上記の[例G]および[例H]を組み合わせた期間でもよい。具体的には例えば、原則として、作業機械10の作動とは関係なく決まる期間(例えば1日)ごとに所定期間が切り替わる(iが1増える)とする。この場合に、作業機械10が作動を行わなかった期間(例えば日)には、次回の所定期間に切り替わらなくてもよい(iがi+1にならなくてもよい)。
【0110】
(異常検知ステップ)
図2に示すコントローラ80(異常検知部89)は、差圧指標に基づいて、アクセサリ60の異常を検知する(ステップS51、S52、およびS53参照)。以下では、アクセサリ60の異常の検知を、単に「異常検知」ともいう。コントローラ80は、差圧指標と、所定の指標閾値と、の比較に基づいて、異常検知を行う。例えば、コントローラ80は、差圧指標の大きさの時間的変化(増加または減少)に基づいて、異常検知を行ってもよい。コントローラ80は、所定期間における差圧指標の大きさに基づいて、異常検知を行ってもよい。差圧指標と指標閾値との比較方法、および、指標閾値は、様々に設定可能である。
【0111】
(差圧指標の減少傾向などの判定)
[例J]コントローラ80は、差圧指標の大きさの時間的変化(増加または減少)に基づいて、異常検知を行ってもよい。例えば、コントローラ80は、所定期間ごとに算出した差圧指標の大きさの変化に基づいて、異常検知を行ってもよい。例えば、コントローラ80は、差圧指標が減少傾向にあるか否かに基づいて、異常検知を行ってもよい。
【0112】
[例J1]例えば、コントローラ80は、今回(i番目)の所定期間での差圧指標と、前回(i-1番目)の所定期間での差圧指標と、の差である差圧指標差(差圧指標[i]-差圧指標[i-1])を算出する。そして、コントローラ80は、差圧指標差(差圧指標[i]-差圧指標[i-1])と、所定の指標閾値Th3と、の比較に基づいて、異常検知を行う。
【0113】
[例J1a]例えば、差圧指標が、大流量条件が満たされた状態で、差圧センサが検出したフィルタ前後差圧が差圧閾値以上となった回数(または時間(以下同様))である場合がある(上記[例F]参照)。この場合は、コントローラ80は、今回(i番目)の所定期間においてフィルタ前後差圧が差圧閾値以上となった回数と、前回(i-1番目)の所定期間においてフィルタ前後差圧が差圧閾値以上となった回数と、の差(差圧指標差)を算出する。そして、コントローラ80は、差圧指標差と、指標閾値Th3と、の比較に基づいて、異常検知を行う。
【0114】
[例J1b]例えば、差圧指標が、大流量条件が満たされた状態で、差圧取得部83に取得されたフィルタ前後差圧に基づいて算出された指標(例えば平均値)である場合がある(上記[例E]参照)。この場合は、コントローラ80は、今回(i番目)の所定期間におけるフィルタ前後差圧の指標(例えば平均値)と、前回(i-1番目)の所定期間におけるフィルタ前後差圧の指標(例えば平均値)と、の差(差圧指標差)を算出する。そして、コントローラ80は、差圧指標差と、指標閾値Th3と、の比較に基づいて、異常検知を行う。
【0115】
(差圧指標の減少傾向の判定の具体例)
上記[例J1]の、コントローラ80での処理の具体例(図4に示す具体例)は、次の通りである。
【0116】
ステップS51では、図2に示すコントローラ80は、差圧指標差(差圧指標[i]-差圧指標[i-1])が、指標閾値Th3未満か否かを判定する。差圧指標差(差圧指標[i]-差圧指標[i-1])が、指標閾値Th3以上である場合(ステップS51でNOの場合)、フローはステップS20に戻る。
【0117】
また、ステップS51でNOの場合、第1カウンタがクリアされてもよい(初期値に戻されてもよい)(ステップS51n)。なお、第1カウンタのクリア(ステップS51n)は、第1カウンタと継続閾値Th2との比較(ステップS33)の後に行われてもよい。第1カウンタのクリアは、ステップS33の後、ステップS51の前に行われてもよい。第1カウンタのクリアは、後述するステップS53でNOの場合にも行われてもよい。
【0118】
差圧指標差(差圧指標[i]-差圧指標[i-1])が、指標閾値Th3未満である場合(ステップS51でYESの場合)、フローはステップS52に進む。
【0119】
ステップS52では、コントローラ80(異常検知部89)は、第2カウンタ(差圧指標減少指標)を更新する。第2カウンタは、差圧指標の減少傾向の度合いを示す指標である。具体的には例えば、第2カウンタは、差圧指標差(差圧指標[i]-差圧指標[i-1])が、指標閾値Th3未満となった回数(例えば時間)を示す変数である。例えば、第2カウンタの初期値は0である。例えば、第2カウンタの値は、ステップS52で更新される毎に増加(例えば1ずつ増加)する。ステップS52の後、フローはステップS53に進む。
【0120】
ステップS53では、コントローラ80(異常検知部89)は、第2カウンタ(差圧指標減少指標)が、差圧指標減少閾値Th4以上であるか否かを判定する。第2カウンタが差圧指標減少閾値Th4未満である場合(ステップS53でNOの場合)、フローはステップS20に戻る。第2カウンタが差圧指標減少閾値Th4以上である場合(ステップS53でYESの場合)、コントローラ80は、アクセサリ60に異常があると判定する(ステップS60)。
【0121】
なお、第2カウンタは、クリアされなくてもよい(初期値に戻されなくてもよい)。例えば、作動油タンク異常検知装置1が、アクセサリ60の異常の検知を開始した時から、第2カウンタが積算されてもよい。また、第2カウンタは、所定のタイミング(例えばiが所定の閾値(所定期間閾値)を超えたときなど)でクリアされてもよい。
【0122】
(所定期間における差圧指標と、指標閾値と、の比較)
[例K]コントローラ80は、所定期間における差圧指標の大きさに基づいて、異常検知を行ってもよい。コントローラ80は、所定期間における差圧指標の大きさと、所定の指標閾値と、の比較に基づいて、異常検知を行ってもよい。コントローラ80は、ある所定期間(i番目)の終了時または終了後に、この所定期間(i番目)における差圧指標の大きさと、所定の指標閾値と、の比較に基づいて、異常検知を行ってもよい。この例では、指標閾値は、前回(i-1番目)の差圧指標とは異なる閾値である。この指標閾値は、固定値でもよく、何らかの条件に基づいてコントローラ80が設定(算出)してもよい。具体的には例えば、コントローラ80は、12時間や24時間(「所定期間」の具体例)ごとに、差圧指標の大きさと、指標閾値と、を比較してもよい。そして、差圧指標の大きさが、例えば指標閾値未満である場合に、コントローラ80は、アクセサリ60が異常であると判定してもよい。
【0123】
(差圧指標と、指標閾値と、の比較)
[例L]上記「所定期間」は、設定されなくてもよい(iは設定されなくてもよい)。または、「所定期間」は、作動油タンク異常検知装置1によるアクセサリ60の異常検知の開始時から、現在までの期間でもよい。例えば、コントローラ80は、作動油タンク異常検知装置1によるアクセサリ60の異常検知の開始時(異常検知の開始時)から、現在までの期間における、差圧指標の大きさに基づいて、異常検知を行ってもよい。具体的には例えば、コントローラ80は、異常検知の開始時から現在までの期間における、大流量条件が満たされた状態でのフィルタ前後差圧の平均値(上記[例E]参照)に基づいて、異常検知を行ってもよい。また、例えば、コントローラ80は、異常検知の開始時から現在までの期間における、フィルタ前後差圧が差圧閾値以上となった指標(例えば差圧スイッチがオンとなった回数など)の積算値に基づいて、異常検知を行ってもよい。
【0124】
(通知)
通知部77による通知は、例えば次のように行われる。
【0125】
通知部77は、光による通知を行ってもよく、例えば画面表示やライトなどによる通知を行ってもよい。通知部77は、音による通知を行ってもよく、例えば音声やブザーなどによる通知を行ってもよい。通知部77は、振動による通知を行ってもよい。通知部77は、特定の信号(例えば異常に関する情報を含む信号など)を出力してもよい。
【0126】
通知部77は、アクセサリ60の異常に関する情報を通知してもよい。例えば、通知部77は、アクセサリ60に異常があるとコントローラ80が判定した場合に(ステップS53でYESの場合に)、通知を行ってもよい。通知部77は、アクセサリ60に異常があるとコントローラ80が判定しない場合に(例えばステップS53でNOの場合などに)、通知を行ってもよい。通知部77は、アクセサリ60の異常の程度(度合い)を通知してもよい。通知部77は、アクセサリ60に異常がある確率を通知してもよい。通知部77は、アクセサリ60に異常が無いことを通知してもよい。
【0127】
具体的には例えば、通知部77は、第2カウンタの大きさ(ステップS53参照)(カウント数、積算値、累計値)に基づいて、アクセサリ60の異常の程度または確率を算出してもよい。例えば、第2カウンタのカウント数が大きいほど、アクセサリ60の異常の程度が高い、または異常である確率が高い。また、例えば、通知部77は、差圧指標の大きさに基づいて、アクセサリ60の異常の程度または確率を通知してもよい。なお、通知部77は、アクセサリ60の異常に関する情報以外の情報を通知してもよい。
【0128】
通知部77による通知のタイミングは、様々に設定可能である。例えば、通知部77は、コントローラ80に設定された所定条件が満たされた場合に自動的に通知を行ってもよい。具体的には例えば、通知部77は、アクセサリ60に異常が検知されたときに通知を行ってもよい。通知部77は、ある所定期間(i番目)の終了時または終了後に、この所定期間(i番目)の情報を表示してもよい。具体的には例えば、所定期間の長さが1日の場合に、通知部77は、1日ごとの異常に関する情報を表示してもよい。例えば、通知部77は、作業者の操作(通知を行わせる操作)に応じて、通知を行ってもよい。
【0129】
(異常検知時の作動)
コントローラ80は、アクセサリ60に異常があると判定したときに、様々に作動することができる。例えば、上記のように、コントローラ80は、アクセサリ60に異常があると判定したときに、通知部77に通知を行わせてもよい。また、例えば、コントローラ80は、アクセサリ60に異常があると判定したときに、作業機械10の作動の制限を行ってもよい。この作業機械10の作動の制限は、例えば、原動機17の出力の制限でもよく、ポンプ21の出力の制限でもよく、油圧アクチュエータ30の出力の制限でもよい。この作業機械10の作動の制限は、操作部71による操作量の制限でもよく、例えば、操作部71が出力する操作信号の制限(油圧アクチュエータ30の作動を制限する側への操作信号の制限)などでもよい。
【0130】
(第1の発明の効果)
図2に示す作動油タンク異常検知装置1による効果は、次の通りである。作動油タンク異常検知装置1は、タンク本体41と、フィルタ51と、アクセサリ60と、流量情報取得部81と、差圧取得部83と、異常検知部89と、を備える。タンク本体41は、作業機械10を作動させるための作動油であってポンプ21が吐出する作動油を貯え、ポンプ21が吐出した作動油が戻されるものである。フィルタ51は、タンク本体41に戻される作動油が通されるものである。アクセサリ60は、タンク本体41に設けられた機器、および、タンク本体41に戻される作動油が通る流路(戻り流路47)に設けられた機器、の少なくともいずれかである。
【0131】
[構成1-1]流量情報取得部81は、タンク本体41に戻される作動油の流量に関する情報である流量情報を取得する。
【0132】
[構成1-2]差圧取得部83は、フィルタ51の前後の差圧であるフィルタ前後差圧を取得する。
【0133】
[構成1-3]異常検知部89は、流量情報取得部81に取得された流量情報、および、差圧取得部83に取得されたフィルタ前後差圧に基づいて、アクセサリ60の異常を検知する。
【0134】
[構成1-4]アクセサリ60は、差圧取得部83に取得されるフィルタ前後差圧にアクセサリ60の状態が影響を与えるように構成されたものである。
【0135】
上記[構成1-2]では、差圧取得部83は、フィルタ51の前後の差圧であるフィルタ前後差圧を取得する。また、上記[構成1-4]では、アクセサリ60の状態は、差圧取得部83に取得されるフィルタ前後差圧に影響を与える。そのため、アクセサリ60の状態によって、差圧取得部83に取得されるフィルタ前後差圧が変わる。そこで、異常検知部89は、差圧取得部83に取得されたフィルタ前後差圧に基づいて、アクセサリ60の異常を検知する(上記[構成1-3]参照)。これにより、アクセサリ60の異常を検知することができる。ここで、フィルタ前後差圧は、タンク本体41に戻される作動油の流量によって変わる。そこで、上記[構成1-1]では、流量情報取得部81が、タンク本体41に戻される作動油の流量に関する情報である流量情報を取得する。そして、上記[構成1-3]では、異常検知部89は、流量情報取得部81に取得された流量情報、および、差圧取得部83に取得されたフィルタ前後差圧に基づいて、アクセサリ60の異常を検知する。したがって、流量情報およびフィルタ前後差圧のうち一方のみに基づいて異常検知が行われる場合に比べ、アクセサリ60の異常を精度良く検知することができる。
【0136】
(第2の発明の効果)
[構成2]作動油タンク異常検知装置1は、フィルタ51を迂回するようにフィルタ51の前後につながれたバイパス流路57を備える。アクセサリ60は、バイパスチェック弁61を備える。バイパスチェック弁61は、バイパス流路57に設けられ、バイパス流路57での作動油の逆流を抑制するためのものである。
【0137】
上記[構成2]では、作動油タンク異常検知装置1は、バイパスチェック弁61の異常を検知することができる。
【0138】
(第3の発明の効果)
[構成3]アクセサリ60は、ブリーザ63を備える。ブリーザ63は、タンク本体41の内部と外部とを連通させ、気体が通ることが可能に構成される。
【0139】
上記[構成3]では、作動油タンク異常検知装置1は、ブリーザ63の異常を検知することができる。
【0140】
(第6の発明の効果)
[構成6]流量情報取得部81は、作業機械10の姿勢および操作の状態、ポンプ21の作動の状態、ならびに、ポンプ21を駆動させる原動機17の作動の状態、の少なくともいずれかに基づいて、流量情報を取得する。
【0141】
上記[構成6]により、戻り流路47の流量を直接的に検出するセンサを設ける必要がない。通常、作業機械10のような機械(建設機械など)には、作業機械10の姿勢および操作の状態、ポンプ21の作動の状態、ならびに、ポンプ21を駆動させる原動機17の作動の状態、の少なくともいずれかを検出するセンサが設けられている。よって、作業機械10のような機械(建設機械など)に通常設けられているセンサの検出値に基づいて、流量情報を取得することができる。
【0142】
(第7の発明の効果)
作動油タンク異常検知装置1は、片ロッドの油圧シリンダ30sを備える。油圧シリンダ30sは、ポンプ21から作動油が供給されることで伸縮し、作業機械10を作動させる。
【0143】
[構成7]異常検知部89がアクセサリ60の異常の有無を判定する条件は、流量情報取得部81に取得された流量情報が所定の大流量条件を満たすことを含む。上記の大流量条件は、油圧シリンダ30sが伸長し、かつ、所定のシリンダ伸長時大流量条件が満たされることを含む。シリンダ伸長時大流量条件は、ポンプ21の出力が原動機17の出力を超えないようにポンプ21の出力を制限する制御が行われていること、および、ポンプ21が吐出する作動油の圧力が所定のポンプ圧閾値以上であること、の少なくともいずれを満たすことである。
【0144】
上記[構成7]により、次の効果が得られる。油圧シリンダ30sの伸長時には、油圧シリンダ30sに供給される流量よりも、油圧シリンダ30sから排出される流量が少ない。その結果、油圧シリンダ30sの縮小時に比べ、油圧シリンダ30sの伸長時には、タンク本体41に戻される作動油の流量(戻り流量)が少なくなりやすく、フィルタ前後差圧が小さくなりやすい。そのため、アクセサリ60の異常を適切に検知できない場合がある。一方で、油圧シリンダ30sの縮小時であっても、シリンダ伸長時大流量条件を満たす場合は(所定の状況では)、アクセサリ60の異常を適切に検知できる程度に、戻り流量が多くなる。そこで、上記[構成7]では、大流量条件は、油圧シリンダ30sが伸長し、かつ、所定のシリンダ伸長時大流量条件が満たされることが含まれる。よって、油圧シリンダ30sの伸長時でも、アクセサリ60の異常を適切に検知することができる。
【0145】
(第8の発明の効果)
[構成8]異常検知部89は、差圧取得部83に取得されたフィルタ前後差圧の大きさに関する指標である差圧指標と、所定の指標閾値(例えば指標閾値Th3(図4参照))と、の比較に基づいて、アクセサリ60の異常を検知する。
【0146】
上記[構成8]により、次の効果が得られる。アクセサリ60が正常な状態から異常な状態に変化すると、差圧取得部83に取得されたフィルタ前後差圧の大きさに関する指標である差圧指標の大きさが変化する場合がある。そこで、上記[構成8]では、差圧指標と指標閾値と、の比較に基づいて、アクセサリ60の異常が検知される。よって、フィルタ前後差圧に基づいたアクセサリ60の異常の検知を適切に行うことができる。
【0147】
(第9の発明の効果)
[構成9]異常検知部89は、差圧取得部83に取得されたフィルタ前後差圧の大きさに関する指標である差圧指標の時間的変化に基づいて、アクセサリ60の異常を検知する。
【0148】
上記[構成9]により、次の効果が得られる。アクセサリ60が正常な状態から異常な状態に変化すると、差圧取得部83に取得されたフィルタ前後差圧の大きさに関する指標である差圧指標が変化する場合がある。そこで、上記[構成9]では、差圧指標の時間的変化に基づいて、アクセサリ60の異常が検知される。よって、フィルタ前後差圧に基づいたアクセサリ60の異常の検知を適切に行うことができる。
【0149】
(第10の発明の効果)
[構成10]異常検知部89は、差圧取得部83に取得されたフィルタ前後差圧に関する情報が所定の差圧閾値以上であるか否かに基づいて、アクセサリ60の異常を検知する。差圧閾値は、標準大気圧に、標準大気圧未満の所定の補正値を加えた値に基づいて設定される。
【0150】
上記[構成10]により、次の効果が得られる。通常、アクセサリ60に異常が無い場合は、戻り流量が所定の条件(大流量条件)を満たせば、フィルタ51の前後の実際のフィルタ前後差圧が、標準大気圧程度となる。そこで、上記[構成10]では、差圧閾値は、標準大気圧に、標準大気圧未満の所定の補正値を加えた値に基づいて設定される。よって、アクセサリ60の異常の検知を適切に行うことができる。
【0151】
(第11の発明の効果)
本実施形態の作動油タンク異常検知方法による効果は、次の通りである。作動油タンク異常検知方法は、作動油タンク40の異常を検知するための方法である。
【0152】
[構成11-1]作動油タンク40は、タンク本体41と、フィルタ51と、アクセサリ60と、を備える。タンク本体41は、作業機械10を作動させるための作動油であってポンプ21が吐出する作動油を貯え、ポンプ21が吐出した作動油が戻されるものである。フィルタ51は、タンク本体41に戻される作動油が通されるものである。アクセサリ60は、タンク本体41に設けられた機器、および、タンク本体41に戻される作動油が通る流路(戻り流路47)に設けられた機器、の少なくともいずれかである。
【0153】
[構成11-2]作動油タンク異常検知方法は、流量情報取得ステップと、差圧取得ステップと、異常検知ステップと、を備える。流量情報取得ステップは、タンク本体41に戻される作動油の流量に関する情報である流量情報を取得する。差圧取得ステップは、フィルタ51の前後の差圧であるフィルタ前後差圧を取得する。異常検知ステップは、流量情報取得ステップに取得された流量情報、および、差圧取得ステップに取得されたフィルタ前後差圧に基づいて、アクセサリ60の異常を検知する。アクセサリ60は、差圧取得ステップに取得されるフィルタ前後差圧にアクセサリ60の状態が影響を与えるように構成されたものである。
【0154】
上記[構成11-1]および[構成11-2]により、上記「(第1の発明の効果)」と同様の効果が得られる。
【0155】
(第12の発明の効果)
本実施形態の作動油タンク異常検知プログラムによる効果は、次の通りである。作動油タンク異常検知プログラムは、作動油タンク40の異常を検知するためのプログラムである。
【0156】
[構成12]作動油タンク40は、上記[構成11-1]と同様に構成される。作動油タンク異常検知プログラムは、上記[構成11-2]と同様の、流量情報取得ステップと、差圧取得ステップと、異常検知ステップと、を備える。
【0157】
上記[構成12]により、上記「(第1の発明の効果)」と同様の効果が得られる。
【0158】
(第2実施形態)
主に図1、2、5、および6を参照して、第2実施形態の作動油タンク異常検知装置201について、第1実施形態との相違点を説明する。なお、第2実施形態の作動油タンク異常検知装置201のうち、第1実施形態との共通点については、説明を省略する。
【0159】
作動油タンク異常検知装置201は、図2に示すように、タンク内圧センサ242aと、タンク内液面センサ242bと、を備える。また、コントローラ80は、タンク内圧情報取得部285を備える。また、第2実施形態では、異常検知部89の作動が、第1実施形態とは異なる。
【0160】
タンク内圧センサ242aは、タンク本体41の内部の気体(例えば空気)の圧力(タンク内圧)を検出する。タンク内圧センサ242aは、タンク内圧を直接的に検出するセンサである。タンク内圧センサ242aは、タンク内圧が、過圧状態か、負圧状態か、を検出する。タンク内圧センサ242aは、タンク内圧が、常圧状態であることを検出してもよい。過圧状態は、作業機械10の外部の気圧(大気圧)よりも、タンク内圧の方が高い(さらに詳しくは、所定値以上タンク内圧の方が高い)状態である。負圧状態は、大気圧よりも、タンク内圧の方が低い(さらに詳しくは、所定値以上タンク内圧の方が低い)状態である。常圧状態は、タンク内圧が、大気圧または略大気圧(さらに詳しくは、大気圧とタンク内圧との差が所定値未満)の状態である。タンク内圧センサ242aは、タンク本体41に設けられる。なお、「常圧状態」は、「負圧状態」および「過圧状態」とは別の状態でもよく、「負圧状態」および「過圧状態」の少なくともいずれかに含まれてもよい。例えば、過圧状態でない状態(例えば大気圧以下)が、「負圧状態」に含まれてもよい。例えば、負圧状態でない状態(例えば大気圧以上)が、「過圧状態」に含まれてもよい。
【0161】
このタンク内圧センサ242aは、タンク内圧の値を検出する圧力センサでもよい。タンク内圧センサ242aは、タンク内圧に応じてオンとオフとが切り替わる圧力スイッチでもよい。具体的には例えば、タンク内圧センサ242aは、タンク内圧が所定の圧力閾値以上のときにオン信号を出力し(オンとなり)、タンク内圧が圧力閾値未満のときにオン信号を出力しない(オフとなる)ように構成されてもよい。タンク内圧センサ242aの検出値やオン信号は、コントローラ80に入力される。
【0162】
タンク内液面センサ242bは、タンク本体41内の作動油の液面の位置(高さ)を検出する。タンク内液面センサ242bは、作動油の液面を直接的に検出するセンサ(液面計)である。タンク内液面センサ242bは、タンク本体41の内部に設けられる。
【0163】
コントローラ80のタンク内圧情報取得部285は、タンク内圧情報を取得する(詳細は後述)。異常検知部89は、タンク内圧情報取得部285に取得されたタンク内圧情報に基づいて、アクセサリ60の異常を検知する。
【0164】
(作動)
第1実施形態に対する、作動油タンク異常検知装置201の作動の相違点を説明する。相違点の概要は、次の通りである。タンク内圧情報取得部285は、タンク本体41内の気体の圧力の状態(例えば、過圧状態、負圧状態)を判定する。通知部77は、複数のアクセサリ60のうち、どのアクセサリ60が異常であるかを通知してもよく、各アクセサリ60が異常である確率を通知してもよい。相違点の詳細は、次の通りである。
【0165】
(タンク内圧情報の取得)
コントローラ80(さらに詳しくはタンク内圧情報取得部285)は、タンク内圧情報を取得する(タンク内圧情報取得ステップ)。
【0166】
タンク内圧情報は、タンク内圧(タンク本体41の内部の気体の圧力)に関する情報である。タンク内圧情報は、タンク内圧の大きさを表す情報である。タンク内圧情報は、タンク内圧が、過圧状態、負圧状態、(および常圧状態)のうちどの状態であるかを判定するための情報を含んでもよい。タンク内圧情報の内容は、様々に設定可能である。
【0167】
[例M]タンク内圧情報は、タンク本体41の内圧の値を含んでもよい。[例M1]タンク内圧情報は、タンク内圧センサ242aに直接的に検出されたタンク内圧でもよい。[例M2]タンク内圧情報は、タンク内圧とは異なる検出値から算出された、タンク内圧の値を含んでもよい。例えば、タンク内圧情報は、タンク内圧と相関のある(例えば比例する)値を含んでもよい(タンク内圧と相関のある値は、下記の「タンク内圧」に含まれる)。
【0168】
[例N]タンク内圧情報は、タンク内圧に影響のある情報を含んでもよい。タンク内圧情報は、タンク内圧が、過圧状態、負圧状態、(および常圧状態)のうちどの状態であるかを判定可能な情報であって、タンク内圧の値以外の情報を含んでもよい。
【0169】
[例N1]タンク内圧情報は、タンク内液面センサ242bに検出された、作動油の液面(油面)に関する情報を含んでもよい。[例N1a]タンク内情報は、油面の変化(上がったか、下がったか)の情報を含んでもよい。例えば、油面が下がった場合は、タンク内圧が下がる。油面が上がった場合は、タンク内圧が上がる。[例N1b]タンク内情報は、単位時間当たりの油面の変化量(時間変化量)の情報を含んでもよい。単位時間当たりの油面の変化量が大きいほど、タンク内圧の変化が大きい。[例N1c]タンク内圧情報は、油面が変化した時からの経過時間の情報を含んでもよい。
【0170】
[例N2]タンク内圧情報は、タンク本体41から排出される作動油の流量、およびタンク本体41に戻される作動油の流量の情報を含んでもよい。タンク本体41に対して排出および戻される作動油の流量が変化すると、タンク本体41内の作動油の油面が変化し、タンク内圧が変化する。
【0171】
[例N3]タンク内圧情報は、作業機械10の作動の状態を含んでもよい。作業機械10の作動の状態に応じて、タンク本体41から排出される作動油の流量、およびタンク本体41に戻される作動油の流量が変化し、タンク本体41内の作動油の油面が変化する結果、タンク内圧が変化する。タンク内圧情報としての「作業機械10の作動の状態」は、作業機械10の姿勢や操作の状態でもよく(下記の具体例参照)、ポンプ21の作動の状態でもよく、ポンプ21を駆動させる原動機17の作動の状態でもよい。「作業機械10の作動の状態」の具体例は、上記の「流量情報」としての「作業機械10の作動の状態」(上記[例B2]参照)と同様である。
【0172】
(タンク内圧の判定)
コントローラ80(異常検知部89)は、タンク内圧情報取得部285に取得されたタンク内圧情報に基づいて、タンク内圧に関する判定を行う。例えば、コントローラ80は、タンク内圧が、過圧状態、負圧状態のいずれであるかを判定する。例えば、コントローラ80は、タンク内圧が、過圧状態、負圧状態、常圧状態のいずれであるかを判定してもよい。
【0173】
[例O]例えば、コントローラ80は、タンク内圧の値(上記[例M]参照)の大きさに基づいて、タンク内圧が、過圧状態、負圧状態、(および常圧状態)のいずれであるかを判定してもよい。[例O1]コントローラ80は、タンク内圧の値が大気圧(例えば作業機械10の外部の気圧)よりも高い場合(または大気圧以上の場合)に過圧状態と判定し、タンク内圧の値が大気圧よりも低い場合(または大気圧以下の場合)に負圧状態と判定してもよい。[例O2]例えば、コントローラ80には、タンク内圧の値が常圧状態である範囲(常圧範囲)が設定されてもよい。この場合に、コントローラ80は、タンク内圧の値が、常圧範囲内の場合は常圧状態と判定し、常圧範囲未満の場合は負圧状態と判定し、常圧範囲よりも大きい場合は過圧状態と判定してもよい。
【0174】
[例P]コントローラ80は、タンク内圧に影響のある情報(上記[例N]参照)に基づいて、タンク内圧が、過圧状態、負圧状態、(および常圧状態)のいずれであるかを判定してもよい。[例P1]具体的には例えば、コントローラ80は、作業機械10の作動の状態(上記[例N3]参照)に基づいて、タンク内圧が、過圧状態、負圧状態、(および常圧状態)のいずれであるかを判定してもよい。
【0175】
(タンク内圧情報の取得および判定の具体例)
上記[例P1]の、コントローラ80での処理の具体例(図5および図6に示す具体例)は、次の通りである。以下では各ステップについては図6を参照して説明する。
【0176】
図2に示すコントローラ80(さらに詳しくはタンク内圧情報取得部285)は、タンク内圧情報の取得および判定を行う(タンク内圧情報取得ステップ)(例えばステップS210の「過圧/負圧判定処理」)。図6に示す例では、図2に示すコントローラ80は、タンク内圧が過圧状態になると想定される条件(過圧条件)を満たすか否かを判定するための情報(「タンク内圧情報」の一例)を取得する。この例では、過圧条件は、図1に示す作業機械10(さらに詳しくはアタッチメント15の構成要素)が、油圧シリンダ30sが縮小するような姿勢変化(シリンダ縮小姿勢変化(上記[例D1e]参照))をしていることである。図6に示す例では、過圧条件は、ブーム15a下げ、アーム15b押し、先端アタッチメント15c解放(バケット排土)の少なくともいずれかを作業機械10が行っていることである。過圧条件が満たされる場合(ステップS211でYESの場合)、図2に示すコントローラ80は、タンク内圧が過圧状態であると判定する(ステップS212)。過圧条件が満たされない場合(ステップS211でNOの場合)、コントローラ80は、タンク内圧が負圧状態であると判定する(ステップS213)。なお、例えば、コントローラ80は、タンク本体41から排出される作動油の流量とタンク本体41に戻る作動油の流量が同じまたは略同じである場合に、タンク内圧が常圧状態であると判定してもよい。
【0177】
以下では、各ステップについては主に図5を参照して説明する。図2に示すコントローラ80は、アクセサリ60に異常があると判定したとき(ステップS53でYESの場合)、タンク内圧が過圧状態であるか否かによって、アクセサリ60の異常の種類を変える。具体的には例えば、タンク内圧が過圧状態であった場合(ステップS261でYESの場合)、コントローラ80は、「過圧状態での異常」と判定する(ステップS262)。タンク内圧が負圧状態であった場合(ステップS261でNOの場合)、コントローラ80は、「負圧状態での異常」と判定する(ステップS263)。なお、コントローラ80は、タンク内圧が常圧状態であった場合、「常圧状態での異常」と判定してもよい。
【0178】
(異常の内容の判定)
異常が検知されたときのタンク内圧の状態(過圧状態、負圧状態(および常圧状態))は、アクセサリ60の異常の内容の判定に用いられてもよい。タンク内圧の状態と、アクセサリ60の異常の内容と、の関係の具体例は以下の通りである。なお、タンク内圧の状態と、アクセサリ60の異常の内容と、の関係は、作動油タンク40の構成などに応じて、様々に変わってもよい。
【0179】
負圧状態での異常(図5のステップS263)が検知された場合は、アクセサリ60の異常として、例えば、バイパスチェック弁61の異常、ブリーザ63の異常、および差圧検出部65の異常が考えられる。[負圧状態での異常の例1]例えば、タンク内圧が負圧のときに、バイパスチェック弁61のスプリング61bに異常(例えば破損)があると、バイパスチェック弁61が開きやすい。バイパスチェック弁61が開くと、フィルタ前後差圧が小さくなりやすい。すると、フィルタ前後差圧が差圧閾値未満になりやすくなる(例えば図3のグラフG4を参照)。すると、差圧指標が指標閾値以上になりにくくなる(例えば図5のステップS51でYESになりやすくなる)。その結果、コントローラ80により異常が検知される場合がある。[負圧状態での異常の例2]例えば、ブリーザ63の異常(例えば目詰まり)があるとき、ブリーザ63に異常がないときに比べ、タンク内圧が負圧状態となる状態が長時間継続しやすい。その結果、バイパスチェック弁61が開きやすい。バイパスチェック弁61が開くと、フィルタ前後差圧が小さくなりやすい。その結果、コントローラ80により異常が検知される場合がある。[負圧状態での異常の例3]例えば、差圧検出部65に異常があると、差圧検出部65がフィルタ前後差圧を正しく検出できず、コントローラ80により異常が検知される場合がある。
【0180】
過圧状態での異常(図5のステップS262)が検知された場合は、アクセサリ60の異常として、例えば、ブリーザ63の異常、および差圧検出部65の異常が考えられる。[過圧状態での異常の例1]例えば、ブリーザ63の異常(例えば目詰まり)があるとき、ブリーザ63に異常がないときに比べ、タンク内圧が過圧状態となる状態が長時間継続しやすい。タンク内圧が常圧のときに比べ、タンク内圧が過圧状態のときには、フィルタ出口側流路47oの圧力が高くなり、フィルタ前後差圧が小さくなりやすい。その結果、コントローラ80により異常が検知される場合がある。[過圧状態での異常の例2]例えば、差圧検出部65に異常があると、正しくフィルタ前後差圧を検出できず、コントローラ80により異常が検知される場合がある。
【0181】
常圧状態での異常が検知された場合は、例えば、差圧検出部65に異常があると考えられる。
【0182】
(どのアクセサリ60の異常であるかの判定例)
タンク内圧が過圧状態か負圧状態かが判定される場合、コントローラ80は、どのアクセサリ60が異常であるかを、例えば次のように判定してもよい。コントローラ80は、タンク内圧が負圧状態のときにのみ異常を検知した場合は、バイパスチェック弁61に異常がある可能性があると判定してもよい。コントローラ80は、タンク内圧が過圧状態のときに異常を検知した場合は、ブリーザ63および差圧検出部65の少なくともいずれかに異常がある可能性があると判定してもよい。
【0183】
タンク内圧が過圧状態か負圧状態か常圧状態かが判定される場合、コントローラ80は、どのアクセサリ60が異常であるかを、例えば次のように判定してもよい。コントローラ80は、タンク内圧が負圧状態のときにのみ異常を検知した場合は、バイパスチェック弁61に異常がある可能性があると判定してもよい。コントローラ80は、タンク内圧が過圧状態のときにのみ異常を検知した場合は、ブリーザ63に異常(タンク本体41内部から外部への気体の排出の異常)がある可能性があると判定してもよい。コントローラ80は、タンク内圧が負圧状態および過圧状態のときに異常を検知し、常圧状態のときに異常を検知しない場合は、ブリーザ63に異常(タンク本体41外部から内部への気体の吸入の異常)がある可能性があると判定してもよい。コントローラ80は、タンク内圧が過圧状態、負圧状態、および常圧状態のときに異常を検知した場合は、差圧検出部65に異常がある可能性があると判定してもよい。
【0184】
(通知)
通知部77は、どのアクセサリ60(例えば、バイパスチェック弁61か、ブリーザ63か、差圧検出部65か)に異常が検知されたかを通知してもよい。通知部77は、アクセサリ60の異常の内容を通知してもよい。「アクセサリ60の異常の内容」は、具体的には例えば、「ブリーザ63の目詰まり」、「バイパスチェック弁61の不具合」(例えばスプリング61bの破損)、「差圧検出部65の不具合」などである。例えば、通知部77は、アクセサリ60に異常があるとコントローラ80が検知していない状況で通知を行ってもよい。
【0185】
例えば、通知部77は、第2カウンタ(図5のステップS52、S53参照)の大きさに基づいて、アクセサリ60の異常の程度または確率を算出してもよい。例えば、通知部77は、各アクセサリ60について異常である可能性を示す情報(例えば異常である確率など)を通知してもよい。具体的には例えば、通知部77は、「ブリーザ63の目詰まり:○○%、バイパスチェック弁61の不具合:○○%、差圧検出部65の不具合:○○%」というように通知を行ってもよい。
【0186】
(第4の発明の効果)
図2に示す作動油タンク異常検知装置201による効果は、次の通りである。
【0187】
[構成4]作動油タンク異常検知装置201は、タンク内圧情報取得部285を備える。タンク内圧情報取得部285は、タンク本体41の内部の気体の圧力(タンク内圧)に関する情報タンク内圧情報を取得する。異常検知部89は、タンク内圧情報取得部285に取得されたタンク内圧情報に基づいて、アクセサリ60の異常を検知する。
【0188】
上記[構成4]により、次の効果が得られる。タンク内圧によって、アクセサリ60の異常の状態(例えばどのアクセサリ60のどのような異常かなど)が変わる。そこで、上記[構成4]では、異常検知部89は、タンク内圧に基づいてアクセサリ60の異常を検知する。よって、アクセサリ60の異常の状態を検知することができる。
【0189】
(第5の発明の効果)
[構成5]タンク内圧情報取得部285は、タンク本体41に貯められた作動油の油面の変化量、作業機械10の姿勢および操作の状態、ならびに、ポンプ21の作動の状態、の少なくともいずれかに基づいて、タンク内圧情報を算出する。
【0190】
上記[構成5]により、タンク内圧を直接検出するセンサ(タンク内圧センサ242a)がなくても、タンク内圧を算出することができる。通常、作業機械10のような機械(建設機械など)には、タンク本体41に貯められた作動油の油面の変化量、作業機械10の姿勢および操作の状態、ならびに、ポンプ21の作動の状態の少なくともいずれかを検出するセンサが設けられている。よって、作業機械10のような機械(建設機械など)に通常設けられているセンサの検出値に基づいて、タンク内圧情報を取得することができる。
【0191】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、上記実施形態の構成要素(変形例を含む)の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、上記実施形態の変形例どうしが様々に組み合わされてもよい。例えば、図2に示す各構成要素の接続は変更されてもよい。例えば、構成要素の包含関係は様々に変更されてもよい。例えば、ある上位の構成要素に含まれる下位の構成要素として説明したものが、この上位の構成要素に含まれなくてもよく、他の構成要素に含まれてもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。例えば、各種パラメータ(設定値、閾値、範囲など)は、コントローラ80に予め設定されてもよく、作業者の手動操作により直接的に設定されてもよい。各種パラメータは、作業者の手動操作により設定された情報に基づいてコントローラ80に算出されてもよく、センサに検出された情報に基づいてコントローラ80に算出されてもよい。例えば、各種パラメータは、変えられなくてもよく、手動操作により変えられてもよく、何らかの条件に応じてコントローラ80が自動的に変えてもよい。例えば、図4、5、および6に示すフローチャートのステップの順序が変更されてもよく、ステップの一部が行われなくてもよい。例えば、各構成要素は、各特徴(作用機能、配置、形状、作動など)の一部のみを有してもよい。
【符号の説明】
【0192】
1、201 作動油タンク異常検知装置
10 作業機械
17 原動機
21 ポンプ
30s 油圧シリンダ
41 タンク本体
51 フィルタ
57 バイパス流路
60 アクセサリ
61 バイパスチェック弁
63 ブリーザ
80 コントローラ(コンピュータ)
81 流量情報取得部
83 差圧取得部
89 異常検知部
285 タンク内圧情報取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6