IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤマハ発動機株式会社の特許一覧

特開2023-163924部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法
<>
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図1
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図2
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図3
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図4
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図5
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図6
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図7
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図8
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図9
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図10
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図11
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図12
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図13
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図14
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図15
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図16
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図17
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図18
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図19
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図20
  • 特開-部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163924
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20231102BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
H05K13/04 A
B25J15/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075154
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 舜治
【テーマコード(参考)】
3C707
5E353
【Fターム(参考)】
3C707AS08
3C707BS04
3C707CT02
3C707CY13
3C707DS06
3C707ES12
3C707FS01
3C707GS04
3C707HS27
3C707HT15
3C707KS33
3C707KV15
3C707MT05
5E353EE02
5E353EE53
5E353GG01
5E353JJ21
5E353JJ44
5E353JJ52
5E353JJ56
5E353KK03
5E353QQ30
(57)【要約】
【課題】ノズルを保持するノズル保持用板バネの溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制しながら、ノズルの保持力を十分に確保することが可能な部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】この部品実装装置1000の実装ヘッド71は、ヘッド本体部711と、ヘッド本体部711に取り付けられ、ノズル72を着脱可能に挟み込んで保持する弾性変形可能な板状の複数のノズル保持用板バネ714とを含む。複数のノズル保持用板バネ714の各々は、折り曲げられて重ねられた第1板状部714bおよび第2板状部714cと、第1板状部714bおよび第2板状部714cの少なくとも一方に設けられ、ノズル72に係合する係合部714aとを有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装する部品を供給する部品供給部と
先端部に着脱可能にノズルが取り付けられ、前記部品供給部により供給された前記部品を前記ノズルにより吸着して前記基板に実装する実装ヘッドを含むヘッドユニットとを備え、
前記実装ヘッドは、ヘッド本体部と、前記ヘッド本体部に取り付けられ、前記ノズルを着脱可能に挟み込んで保持する弾性変形可能な板状の複数のノズル保持用板バネとを含み、
前記複数のノズル保持用板バネの各々は、折り曲げられて重ねられた第1板状部および第2板状部と、前記第1板状部および前記第2板状部の少なくとも一方に設けられ、前記ノズルに係合する係合部とを有する、部品実装装置。
【請求項2】
前記係合部は、前記第1板状部および前記第2板状部のうち前記ヘッド本体部側に配置された一方の板状部に設けられている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記複数のノズル保持用板バネの各々は、ヘミング曲げにより前記第1板状部と前記第2板状部とが重なるように折り曲げることによって形成された折り曲げ部を有する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記折り曲げ部は、前記複数のノズル保持用板バネの各々の上端部に設けられているとともに、前記係合部は、前記複数のノズル保持用板バネの各々の下端部近傍に設けられている、請求項3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記実装ヘッドは、前記複数のノズル保持用板バネを前記ヘッド本体部に取り付ける締結部材をさらに含み、
前記複数のノズル保持用板バネは、前記締結部材が挿入され、前記第1板状部および前記第2板状部の各々を前記第1板状部の厚み方向に貫通した貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記複数のノズル保持用板バネの各々の上部に配置されている、請求項4に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記貫通孔は、前記厚み方向から見て、前記第1板状部および前記第2板状部の各々において略同じ直径の円形状を有しており、
前記折り曲げ部は、前記貫通孔の上端部の位置から、前記貫通孔の上端部よりも上方の前記貫通孔の半径以内の位置に配置されている、請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記厚み方向から見て、前記第1板状部および前記第2板状部の各々において略同じ直径の円形状を有しており、
前記折り曲げ部は、前記貫通孔の上端部の位置から、上方に前記貫通孔の半径よりも離間した位置に配置されている、請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記第1板状部は、前記貫通孔としての第1貫通孔を有し、
前記第2板状部は、前記厚み方向から見て、前記第1貫通孔よりも大きい寸法の前記貫通孔としての第2貫通孔を有する、請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項9】
前記第1板状部は、前記第1板状部の厚み方向において、前記第2板状部に対して前記ヘッド本体部側に配置されており、
前記第1板状部は、前記第1貫通孔の周縁部から前記厚み方向のうちの前記第2板状部側の方向に突出した突出部を有し、
前記第1板状部の前記突出部は、前記第2貫通孔の内周面に挿入されて密着されている、請求項8に記載の部品実装装置。
【請求項10】
先端部に着脱可能にノズルが取り付けられ、部品供給部により供給された部品を前記ノズルにより吸着して基板に実装する実装ヘッドであって、
ヘッド本体部と、
前記ヘッド本体部に取り付けられ、前記ノズルを着脱可能に挟み込んで保持する弾性変形可能な板状の複数のノズル保持用板バネとを備え、
前記複数のノズル保持用板バネの各々は、折り曲げられて重ねられた第1板状部および第2板状部と、前記第1板状部および前記第2板状部の少なくとも一方に設けられ、前記ノズルに係合する係合部とを含む、実装ヘッド。
【請求項11】
先端部に着脱可能にノズルが取り付けられ、部品供給部により供給された部品を前記ノズルにより吸着して基板に実装する実装ヘッドの製造方法であって、
前記ノズルを着脱可能に挟み込んで保持する弾性変形可能な板状の複数のノズル保持用板バネの端部に前記ノズルに係合する係合部を形成するステップと、
ヘミング曲げ加工により折り曲げて第1板状部と第2板状部とを重ねるステップと、
ヘミング曲げ加工により前記第1板状部と前記第2板状部とが重ねられた前記複数のノズル保持用板バネの各々をヘッド本体部に取り付けるステップとを備える、実装ヘッドの製造方法。
【請求項12】
ヘミング曲げ加工により折り曲げて前記第1板状部と前記第2板状部とを重ねた後に、前記第1板状部および前記第2板状部の各々において前記第1板状部の厚み方向から見て略同じ直径の円形状の貫通孔を形成するステップをさらに備える、請求項11に記載の実装ヘッドの製造方法。
【請求項13】
ヘミング曲げ加工により折り曲げて前記第1板状部と前記第2板状部とを重ねる前に、前記第1板状部に第1貫通孔を形成するとともに、前記第1板状部の厚み方向から見て前記第1貫通孔よりも大きい直径の第2貫通孔を前記第2板状部に形成するステップをさらに備え、
ヘミング曲げ加工により折り曲げて前記第1板状部と前記第2板状部とを重ねるステップは、前記厚み方向において前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが連通するように、前記第1板状部と前記第2板状部とを重ねるステップを含む、請求項11に記載の実装ヘッドの製造方法。
【請求項14】
前記第1板状部と前記第2板状部とを重ねた後に、前記第1貫通孔の周縁部から前記厚み方向のうちの前記第2板状部側の方向に突出した突出部を前記第2貫通孔内に挿入するステップと、
前記第2貫通孔内に挿入された前記突出部を前記第2貫通孔の内周面に密着させるステップとをさらに備える、請求項13に記載の実装ヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法に関し、特に、基板に部品を実装する部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に部品を実装する部品実装装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、基板に部品を実装する電子部品装着装置(部品実装装置)が開示されている。この電子部品装着装置は、部品供給ステーション(部品供給部)と、ヘッドユニットとを備えている。部品供給ステーションは、基板に実装する部品を供給するように構成されている。ヘッドユニットは、部品を吸着するノズルが着脱可能に取りつけられるヘッドを含んでいる。ヘッドは、ノズルホルダーと、板バネとを有している。ノズルホルダーは、ノズルの上端部が挿入される空間を有している。
【0004】
上記特許文献1の板バネは、互いに対向させた状態でノズルホルダーに一対取り付けられている。一対の板バネの各々は、ノズルに形成された溝に係合する係合部を有している。一対の板バネは、ノズルホルダーの上記空間内にノズルの上端部が挿入される際、互いに離れる方向に弾性変形した後、係合部がノズルに形成された溝に係合することにより、ノズルを保持するように構成されている。また、一対の板バネは、ノズルが挿入方向とは逆方向に引かれる際、互いに離れる方向に弾性変形することにより係合部とノズルの溝との係合が外れることによって、ノズルの保持を解除するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-283187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1には明記されていないが、上記特許文献1のような電子部品装着装置では、ノズルの保持力を向上させるために一対の板バネの各々において、板バネを2枚重ねにすることが考えられる。このような場合、取付作業者が2枚の板バネをノズルホルダーに取り付ける際、2枚の板バネがばらばらにならないように、2枚の板バネをスポット溶接で接合することにより、2枚の板バネを重ね合わせた状態で纏めることが従来から行われている。
【0007】
しかしながら、上記した従来の技術を用いた場合、スポット溶接により接合する際に板バネに加えられる熱によって、スポット溶接により接合された部分およびその周辺の板バネの機械的強度(疲労強度)が低下してしまう。ここで、上記特許文献1のような電子部品装着装置の板バネでは、ヘッドにノズルを着脱する度に、ノズルの保持およびノズルの保持の解除を行うために弾性変形が繰り返される。これにより、上記した従来の技術により接合された2枚の板バネは、弾性変形の際に生じる応力により、スポット溶接により機械的強度(疲労強度)が低下した部分において不可逆に変形して保持力が低下する場合がある。このため、このような場合が生じないように、ノズルを保持する板バネ(ノズル保持用板バネ)の溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制しながら、ノズルの保持力を十分に確保することが望まれている。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ノズルを保持するノズル保持用板バネの溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制しながら、ノズルの保持力を十分に確保することが可能な部品実装装置、実装ヘッドおよび実装ヘッドの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における部品実装装置は、基板に実装する部品を供給する部品供給部と先端部に着脱可能にノズルが取り付けられ、部品供給部により供給された部品をノズルにより吸着して基板に実装する実装ヘッドを含むヘッドユニットとを備え、実装ヘッドは、ヘッド本体部と、ヘッド本体部に取り付けられ、ノズルを着脱可能に挟み込んで保持する弾性変形可能な板状の複数のノズル保持用板バネとを有し、複数のノズル保持用板バネの各々は、折り曲げられて重ねられた第1板状部および第2板状部と、第1板状部および第2板状部の少なくとも一方に設けられ、ノズルに係合する係合部とを有する。
【0010】
この発明の第1の局面による部品実装装置では、上記のように、ノズルを着脱可能に挟み込んで保持する弾性変形可能な板状の複数のノズル保持用板バネを設ける。複数のノズル保持用板バネの各々は、折り曲げられて重ねられた第1板状部および第2板状部を有する。これにより、第1板状部および第2板状部が折り曲げられて重ねられることにより、ノズル保持用板バネの弾性力を1枚の板バネの場合と比較して増加させることができるので、ノズル保持用板バネによるノズルの保持力を向上させることができる。また、第1板状部および第2板状部を折り曲げて重ねることによりノズル保持用板バネが形成されているので、スポット溶接を行う必要がなく、ノズルを保持するノズル保持用板バネの溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制することができる。これらの結果、ノズルを保持するノズル保持用板バネの溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制しながら、ノズルの保持力を十分に確保することができる。また、スポット溶接を行う必要がなく、第1板状部および第2板状部を折り曲げて重ねることによりノズル保持用板バネが形成されていることによって、スポット溶接を行う場合と比較して、ノズル保持用板バネを製造する製造作業者が、別個の板状部材である第1板状部および第2板状部を重ねて、重ねた第1板状部および第2板状部を治具に当接させながら、スポット溶接機により第1板状部および第2板状部を溶接するという煩雑な作業を行う必要がない。この結果、ノズル保持用板バネの製造工程を簡略化することができる。
【0011】
また、上記したノズル保持用板バネでは、1つの板状部材を折り曲げることにより第1板状部および第2板状部が一体的に設けられることによって、第1板状部および第2板状部が別個の板状部材である場合と異なり、ヘッド本体部にノズル保持用板バネを取り付ける作業の作業性を向上させることができる。
【0012】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、係合部は、第1板状部および第2板状部のうちヘッド本体部側に配置された一方の板状部に設けられている。このように構成すれば、ヘッド本体部側に配置された一方の板状部側およびヘッド本体部側とは逆側に配置された他方の板状部の両方に係合部を設けた場合と比較して、第1板状部および第2板状部を折り曲げて重ねる際、一方の板状部側の係合部と他方の板状部の係合部との位置合わせを行う必要がないので、ノズル保持用板バネの製造工程をより簡略化することができる。
【0013】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、複数のノズル保持用板バネの各々は、ヘミング曲げにより第1板状部と第2板状部とが重なるように折り曲げることによって形成された折り曲げ部を有する。このように構成すれば、ヘミング曲げ加工を行う際、第1板状部と第2板状部とをプレス加工により第1板状部および第2板状部を押しつぶすようにプレスするので、第1板状部と第2板状部とを近接させることができる。その結果、近接させた第1板状部および第2板状部により弾性力をノズルに係合する係合部により確実に作用させることができる。
【0014】
この場合、好ましくは、折り曲げ部は、複数のノズル保持用板バネの各々の上端部に設けられているとともに、係合部は、複数のノズル保持用板バネの各々の下端部近傍に設けられている。このように構成すれば、ノズル保持用板バネの下端部という比較的狭い範囲に折り曲げ部および係合部の両方を形成する加工(たとえば、曲げ加工)を施す必要がないので、ノズル保持用板バネの加工の複雑化を抑制することができる。なお、複数のノズル保持用板バネの各々の下端部近傍とは、複数のノズル保持用板バネの各々の下端部だけでなく、複数のノズル保持用板バネの各々の下端部よりも上方の部分を含む広い概念である。
【0015】
上記折り曲げ部が上端部に設けられているとともに、係合部が下端部近傍に設けられているノズル保持用板バネが取り付けられた実装ヘッドを備える部品実装装置において、好ましくは、実装ヘッドは、複数のノズル保持用板バネをヘッド本体部に取り付ける締結部材をさらに含み、複数のノズル保持用板バネは、締結部材が挿入され、第1板状部および第2板状部の各々を第1板状部の厚み方向に貫通した貫通孔を有し、貫通孔は、複数のノズル保持用板バネの各々の上部に配置されている。このように構成すれば、ノズルを実装ヘッドに取り付ける際、第1板状部および第2板状部における締結部材とヘッド本体部との間の部分を支点として、第1板状部および第2板状部の上部に設けられた貫通孔よりも下側の部分をノズルの形状に沿ってヘッド本体部側とは逆側へ弾性変形させることができる。その結果、第1板状部および第2板状部において弾性変形する部分の上下方向の長さを比較的大きくすることができるので、第1板状部および第2板状部を比較的弾性変形しやすい構成にすることができる。
【0016】
上記貫通孔を有するノズル保持用板バネが取り付けられた実装ヘッドを備える部品実装装置において、好ましくは、貫通孔は、厚み方向から見て、第1板状部および第2板状部の各々において略同じ直径の円形状を有しており、折り曲げ部は、貫通孔の上端部の位置から、貫通孔の上端部よりも上方の貫通孔の半径以内の位置に配置されている。このように構成すれば、折り曲げ部の位置を貫通孔に対して上方向の比較的近い位置に配置することができるので、ノズル保持用板バネの上方向への大型化を抑制することができる。
【0017】
上記貫通孔を有するノズル保持用板バネが取り付けられた実装ヘッドを備える部品実装装置において、好ましくは、貫通孔は、厚み方向から見て、第1板状部および第2板状部の各々において略同じ直径の円形状を有しており、折り曲げ部は、貫通孔の上端部の位置から、上方に貫通孔の半径よりも離間した位置に配置されている。このように構成すれば、折り曲げ部と貫通孔とを十分に離間させることができるので、折り曲げ部において1枚の板状部材を折り曲げて第1板状部および第2板状部を設ける際、折り曲げることにより1枚の板所部材の折り曲げ部に発生する応力によって貫通孔の形状が変形すること抑制することができる。
【0018】
上記貫通孔を有するノズル保持用板バネが取り付けられた実装ヘッドを備える部品実装装置において、好ましくは、第1板状部は、貫通孔としての第1貫通孔を有し、第2板状部は、厚み方向から見て、第1貫通孔よりも大きい寸法の貫通孔としての第2貫通孔を有する。このように構成すれば、折り曲げ部において1枚の板状部材を折り曲げて第1板状部および第2板状部を設ける際、第1貫通孔の中心と第2貫通孔の中心とが多少ずれた場合でも、第1貫通孔と第2貫通孔とを連通させることができる。その結果、第1貫通孔と第2貫通孔との位置合わせを高精度に行う必要がないので、1枚の板状部材を折り曲げ部において折り曲げる作業を容易に行うことができる。
【0019】
上記第1貫通孔よりも大きい寸法の貫通孔としての第2貫通孔を有するノズル保持用板バネが取り付けられた実装ヘッドを備える部品実装装置において、好ましくは、第1板状部は、第1板状部の厚み方向において、第2板状部に対してヘッド本体部側に配置されており、第1板状部は、第1貫通孔の周縁部から厚み方向のうちの第2板状部側の方向に突出した突出部を有し、第1板状部の突出部は、第2貫通孔の内周面に挿入されて密着されている。このように構成すれば、第1板状部が第2板状部から離れる方向に移動しようとしても、突出部が第2貫通孔に密着していることにより、第1板状部の移動を止めることができるので、第1板状部と第2板状部との隙間が微小な状態を維持することができる。その結果、容器に充填したメッキにより複数のノズル保持用板バネを纏めてメッキ加工する場合、第1板状部と第2板状部との間に別のノズル保持用板バネが入らないようにすることができるので、複数のノズル保持用板バネのそれぞれへのメッキの付着が互いに妨げられないようにすることができる。
【0020】
この発明の第2の局面における実装ヘッドは、先端部に着脱可能にノズルが取り付けられ、部品供給部により供給された部品をノズルにより吸着して基板に実装する実装ヘッドであって、ヘッド本体部と、ヘッド本体部に取り付けられ、ノズルを着脱可能に挟み込んで保持する弾性変形可能な板状の複数のノズル保持用板バネとを備え、複数のノズル保持用板バネの各々は、折り曲げられて重ねられた第1板状部および第2板状部と、第1板状部および第2板状部の少なくとも一方に設けられ、ノズルに係合する係合部とを含む。
【0021】
この発明の第2の局面による実装ヘッドでは、上記のように、ノズルを着脱可能に挟み込んで保持する弾性変形可能な板状の複数のノズル保持用板バネを設ける。複数のノズル保持用板バネの各々は、折り曲げられて重ねられた第1板状部および第2板状部を有する。これにより、第1板状部および第2板状部が折り曲げられて重ねられることにより、ノズル保持用板バネの弾性力を1枚の板バネの場合と比較して増加させることができるので、ノズル保持用板バネによるノズルの保持力を向上させることができる。また、第1板状部および第2板状部を折り曲げて重ねることによりノズル保持用板バネが形成されているので、スポット溶接を行う必要がなく、ノズルを保持するノズル保持用板バネの溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制することができる。これらの結果、ノズルを保持するノズル保持用板バネの溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制しながら、ノズルの保持力を十分に確保することが可能な実装ヘッドを提供することができる。
【0022】
この発明の第3の局面における実装ヘッドの製造方法は、先端部に着脱可能にノズルが取り付けられ、部品供給部により供給された部品をノズルにより吸着して基板に実装する実装ヘッドの製造方法であって、ノズルを着脱可能に挟み込んで保持する弾性変形可能な板状の複数のノズル保持用板バネの端部にノズルに係合する係合部を形成するステップと、ヘミング曲げ加工により折り曲げて第1板状部と第2板状部とを重ねるステップと、ヘミング曲げ加工により第1板状部と第2板状部とが重ねられた複数のノズル保持用板バネの各々をヘッド本体部に取り付けるステップとを備える。
【0023】
この発明の第3の局面による実装ヘッドの製造方法では、上記のように、ヘミング曲げ加工により折り曲げて第1板状部と第2板状部とを重ねるステップを設ける。これにより、第1板状部および第2板状部がヘミング曲げにより折り曲げられて重ねられることによって、ノズル保持用板バネの弾性力を1枚の板バネの場合と比較して増加させることができるので、ノズル保持用板バネによるノズルの保持力を向上させることができる。また、第1板状部および第2板状部を折り曲げて重ねることによりノズル保持用板バネが形成されているので、スポット溶接を行う必要がなく、ノズルを保持するノズル保持用板バネの溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制することができる。これらの結果、ノズルを保持するノズル保持用板バネの溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制しながら、ノズルの保持力を十分に確保することが可能な実装ヘッドの製造方法を提供することができる。
【0024】
上記第3の局面による実装ヘッドの製造方法において、好ましくは、ヘミング曲げ加工により折り曲げて第1板状部と第2板状部とを重ねた後に、第1板状部および第2板状部の各々において第1板状部の厚み方向から見て略同じ直径の円形状の貫通孔を形成するステップをさらに備える。このように構成すれば、1枚の板状部材を折り曲げて第1板状部および第2板状部を設ける際、折り曲げることにより1枚の板所部材の折り曲げ部に発生する応力によって貫通孔の形状が変形してしまう場合があるが、折り曲げて第1板状部と第2板状部とを重ねた後に第1板状部と第2板状部とに貫通孔を形成することにより、1枚の板状部材の折り曲げにより発生する応力によって貫通孔の形状が変形しないようにすることができる。
【0025】
上記第3の局面による実装ヘッドの製造方法において、好ましくは、ヘミング曲げ加工により折り曲げて第1板状部と第2板状部とを重ねる前に、第1板状部に第1貫通孔を形成するとともに、第1板状部の厚み方向から見て第1貫通孔よりも大きい直径の第2貫通孔を第2板状部に形成するステップをさらに備え、ヘミング曲げ加工により折り曲げて第1板状部と第2板状部とを重ねるステップは、厚み方向において第1貫通孔と第2貫通孔とが連通するように、第1板状部と第2板状部とを重ねるステップを含む。このように構成すれば、1枚の板状部材を折り曲げて第1板状部および第2板状部を設ける際、第1貫通孔の中心と第2貫通孔の中心とが多少ずれた場合でも、第1貫通孔と第2貫通孔とを連通させることができる。その結果、第1貫通孔と第2貫通孔との位置合わせを高精度に行う必要がないので、折り曲げ部において1枚の板状部材を折り曲げる作業を容易に行うことができる。
【0026】
この場合、好ましくは、第1板状部と第2板状部とを重ねた後に、第1貫通孔の周縁部から厚み方向のうちの第2板状部側の方向に突出した突出部を第2貫通孔内に挿入するステップと、第2貫通孔内に挿入された突出部を第2貫通孔の内周面に密着させるステップとをさらに備える。このように構成すれば、第1板状部が第2板状部から離れる方向に移動しようとしても、突出部が第2貫通孔に密着していることにより、第1板状部の移動を止めることができるので、第1板状部が第2板状部から離れることによる第1板状部と第2板状部との間隔が大きくなることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、上記のように、ノズルを保持するノズル保持用板バネの溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制しながら、ノズルの保持力を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態による部品実装装置を示した平面図である。
図2】第1実施形態による部品実装装置をY2方向側から見た側面図である。
図3】第1実施形態による部品実装装置の実装ヘッドをY2方向側から見た側面図である。
図4図3の実装ヘッドのZ方向に沿った断面図である。
図5】第1実施形態による部品実装装置の実装ヘッドにおいてノズルを外した状態を示した斜視図である。
図6】第1実施形態による部品実装装置の実装ヘッドのノズル保持用板バネの斜視図である。
図7】第1実施形態による部品実装装置の実装ヘッドのノズル保持用板バネをY2方向側から見た側面図である。
図8図7のZm部分の拡大図である。
図9】第1実施形態による部品実装装置の実装ヘッドのノズル保持用板バネをX1方向側から見た側面図である。
図10】第1実施形態による実装ヘッドの製造方法を示したフローチャートである。
図11】第2実施形態による部品実装装置の実装ヘッドのノズル保持用板バネにおいて第2板状部に長孔形状の貫通孔を形成した場合の斜視図である。
図12】第2実施形態による部品実装装置の実装ヘッドのノズル保持用板バネにおいて第1板状部に長孔形状の貫通孔を形成した場合の斜視図である。
図13】第2実施形態による部品実装装置の実装ヘッドのノズル保持用板バネにおいて第2板状部に一回り大きな円形状の貫通孔を形成した場合の斜視図である。
図14】第2実施形態による部品実装装置の実装ヘッドのノズル保持用板バネにおいて第1板状部に一回り大きな円形状の貫通孔を形成した場合の斜視図である。
図15】第2実施形態による実装ヘッドの製造方法を示したフローチャートである。
図16】第3実施形態による部品実装装置の実装ヘッドのノズル保持用板バネの斜視図である。
図17図16のXVII-XVII線に沿った断面図である。
図18】第3実施形態による実装ヘッドの製造方法を示したフローチャートである。
図19】第3実施形態による実装ヘッドの製造方法のステップS305の状態を示した断面図である。
図20】第3実施形態による実装ヘッドの製造方法のステップS306の状態を示した断面図である。
図21】第4実施形態による部品実装装置の実装ヘッドのノズル保持用板バネの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
[第1実施形態]
図1図10を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装装置1000の構成について説明する。
【0031】
(部品実装装置)
図1および図2に示すように、部品実装装置1000は、クリーム半田が印刷された基板Sbの所定の実装位置に部品Eを実装(搭載)するように構成されている。
【0032】
ここで、部品実装装置1000において、基板Sbを搬送する搬送方向をX1方向とし、基板Sbを搬送する搬送方向の逆方向をX2方向とし、X1方向およびX2方向を合わせた方向をX方向とする。また、水平方向のうちのX方向に直交する方向をY方向とし、Y方向の一方をY1方向とし、Y方向の他方をY2方向とする。また、X方向およびY方向に直交する上下方向をZ方向(上下方向)とし、Z方向の一方をZ1方向(上方向)とし、Z方向の他方をZ2方向(下方向)とする。
【0033】
部品実装装置1000は、基台1と、フィーダ配置部2と、トレイ配置部3と、基板搬送部4と、支持部5と、一対のレール部6と、ヘッドユニット7と、部品撮像部8と、基板撮像部9と、制御部(図示せず)とを有している。
【0034】
基台1は、部品実装装置1000において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台1には、Y1方向側にフィーダ配置部2が設けられている。また、基台1には、Y2方向側に複数(2つ)のトレイ配置部3が設けられている。なお、複数のトレイ配置部3は、1つ、または、3つ以上基台1に設けられてもよい。
【0035】
フィーダ配置部2には、複数のテープフィーダ20が配置可能である。テープフィーダ20は、基板Sbに実装される部品Eを供給するように構成されている。テープフィーダ20は、複数の部品Eを所定の間隔を隔てて保持した部品供給テープを巻き回したリール(図示せず)を保持している。なお、テープフィーダ20は、特許請求の範囲の「部品供給部」の一例である。
【0036】
複数のトレイ配置部3は、X1方向側の第1トレイ配置部31と、X2方向側の第2トレイ配置部32とを含んでいる。第1トレイ配置部31には、トレイ31aが配置される。第2トレイ配置部32にはトレイ32aが配置される。トレイ31aおよびトレイ32aは、基板Sbに実装される部品Eを供給するように構成されている。トレイ31aおよびトレイ32aの各々には、QFP(Quad Flat Package)およびBGA(Ball Grid Array)などのパッケージ型の部品Eが整列して載置されている。なお、トレイ31aおよびトレイ32aは、特許請求の範囲の「部品供給部」の一例である。
【0037】
基板搬送部4は、部品実装装置1000の外部から基板Sbを搬入し、基板Sbを搬送方向(X1方向)に搬送するように構成されている。基板搬送部4は、一対のコンベア41と、駆動部(図示せず)とを有している。
【0038】
支持部5は、ヘッドユニット7をX方向に移動可能に支持するように構成されている。支持部5は、ボールねじ軸51と、駆動部52とを有している。
【0039】
一対のレール部6は、支持部5をY方向に移動可能に支持するように構成されている。レール部6は、ボールねじ軸61と、ガイドレール62と、駆動部63とを有している。
【0040】
ヘッドユニット7は、部品実装用のヘッドユニットであり、基板SbのZ1方向(上方)を移動するとともに基板Sbに対して実装作業を行うように構成されている。つまり、ヘッドユニット7は、作業位置において固定された基板Sbに部品Eを実装するように構成されている。
【0041】
具体的には、ヘッドユニット7は、実装ヘッド71と、Z軸モータ(図示せず)と、R軸モータ(図示せず)とを含んでいる。実装ヘッド71は、テープフィーダ20、トレイ31aまたはトレイ32aにより供給された部品Eをノズル72により吸着して基板Sbに実装するように構成されている。部品Eは、基板Sb上の所定の実装位置(図示せず)に実装される。実装ヘッド71は、X方向に一列に複数(5個)並んで配置されている。このように、ヘッドユニット7は、実装ヘッド71をX方向に一列に並べたインラインヘッドである。なお、実装ヘッド71は、1個以上4個以下、または、6個以上並んで配置されてもよい。
【0042】
複数の実装ヘッド71の各々には、先端部に着脱可能にノズル72が取り付けられている。複数の実装ヘッド71の各々は、負圧発生装置(図示せず)に接続されており、負圧発生装置により生じる負圧によって、ノズル72に部品Eを保持(吸着)可能に構成されている。また、複数の実装ヘッド71の各々は、負圧発生装置による負圧を正圧に切り換えることによって、部品Eをノズル72から基板Sbに実装(搭載)可能に構成されている。ここで、負圧発生装置によりノズル72に生じる圧力は、図示しない圧力センサにより計測される。
【0043】
複数の実装ヘッド71の各々は、Z軸モータによりZ方向(上下方向)に移動可能に構成されている。また、複数の実装ヘッド71の各々は、R軸モータにより回転軸回りに回転可能に構成されている。なお、実装ヘッド71に関しては後に詳細に説明する。
【0044】
部品撮像部8は、基板Sbに実装される部品Eを撮像するように構成されている。すなわち、部品撮像部8は、基板Sbへの部品Eの実装に先立ってノズル72に保持(吸着)された部品Eを撮像する部品撮像用のカメラである。部品撮像部8は、基台1上に固定されており、部品Eの下方(Z2方向)から、ノズル72に保持(吸着)された部品Eを撮像するように構成されている。
【0045】
基板撮像部9は、ヘッドユニット7に取り付けられ、基板Sbへの部品Eの実装に先立って、基板Sbの上面に付されたFIマーク(Fiducial Mark(フィデューシャルマーク):図示せず)を撮像するマーク撮像用のカメラである。FIマークは、基板Sbの位置を確認するためのマークである。
【0046】
(実装ヘッドの詳細な構造)
図3図9を参照して、実装ヘッド71の詳細な構造について説明する。なお、複数の実装ヘッド71の詳細な構造は全て同じであるので、複数の実装ヘッド71のうちの1つの実装ヘッド71の詳細な構造について説明する。
【0047】
実装ヘッド71では、必要に応じて、現在取り付けられているノズル72が形状や大きさの異なる他のノズル72に交換される。ノズル交換は、実装動作の1サイクルが終了した後であり、かつ、次の実装動作のサイクルが開始される前にノズル交換装置(図示せず)において実施される。ノズル交換は、ノズル交換装置において実装ヘッド71の昇降に伴い後述するヘッド本体部711に対してノズル72が抜き差しされることにより実施される。したがって、上記したように、実装ヘッド71は、ノズル72が着脱可能なように構成されている。
【0048】
図3および図4に示すように、実装ヘッド71は、ヘッド本体部711と、締結部材712と、締結部材713と、ノズル保持用板バネ714とを有している。
【0049】
ヘッド本体部711は、負圧発生装置において発生させた負圧および正圧をノズル72に発生させるように構成されている。具体的には、空気通路711aと、シャフト部材711bと、ホルダ部材711cとを有している。空気通路711aは、負圧発生装置に接続された空気ホースとノズル72内の空気通路72aとを連通している。空気通路711aは、ヘッド本体部711をZ方向に貫通している。シャフト部材711bは、Z方向に延びる円筒形状を有している。
【0050】
ホルダ部材711cは、ノズル72の空気通路72a内に挿入されることにより、ノズル72にすき間嵌めの状態で嵌合されるように構成されている。ホルダ部材711cは、ノズル72の空気通路72a内にすき間嵌めの状態で嵌合されている。ホルダ部材711cは、締結部材712および締結部材713によりシャフト部材711bに締結されることにより、シャフト部材711bに固定されている。ホルダ部材711cは、シャフト部材711bのZ2方向側の端部に固定されている。
【0051】
このようなヘッド本体部711は、Z軸モータ(図示せず)により昇降するとともに、R軸モータ(図示せず)により回転するように構成されている。
【0052】
締結部材712および締結部材713は、たとえば、ボルトである。締結部材712は、ホルダ部材711cをヘッド本体部711に固定している。すなわち、締結部材712は、図示は省略しているが、Y1方向側からホルダ部材711cをシャフト部材711bに固定している。また、締結部材712は、Y2方向側からホルダ部材711cをシャフト部材711bに固定している。締結部材713は、ホルダ部材711cおよびノズル保持用板バネ714をシャフト部材711bに固定している。すなわち、締結部材713は、X1方向側からホルダ部材711cおよびノズル保持用板バネ714をシャフト部材711bに固定している。締結部材713は、X2方向側からホルダ部材711cおよびノズル保持用板バネ714をシャフト部材711bに固定している。
【0053】
〈ノズル保持用板バネ〉
図5および図6に示すように、ノズル保持用板バネ714は、ノズル72を着脱可能に挟み込んで保持する弾性変形可能な板状のバネ部材である。ノズル保持用板バネ714は、複数(2つ)ヘッド本体部711に締結部材713により取り付けられている。ノズル保持用板バネ714は、ヘッド本体部711のX1方向側の側面に取り付けられている。ノズル保持用板バネ714は、ヘッド本体部711のX2方向側の側面に取り付けられている。このように、複数のノズル保持用板バネ714は、X方向において対向するように配置されている。したがって、ノズル72は、空気通路72a内にすき間嵌めによりホルダ部材711cが嵌合した状態で、複数のノズル保持用板バネ714により保持される。
【0054】
第1実施形態のノズル保持用板バネ714では、2枚の板バネを重ね合わせたような構造が、1枚の金属板をヘミング曲げ加工することにより実現されている。ノズル保持用板バネ714は、ステンレスなどの金属板により構成されている。なお、複数のノズル保持用板バネ714の詳細な構造は全て同じであるので、複数のノズル保持用板バネ714のうちのX1方向側のノズル保持用板バネ714の詳細な構造について説明する。
【0055】
具体的には、図6および図7に示すように、ノズル保持用板バネ714は、係合部714aと、第1板状部714bと、第2板状部714cと、折り曲げ部714dと、貫通孔714eとを有している。なお、第1板状部714bは、特許請求の範囲の「一方の板状部」の一例である。
【0056】
係合部714aは、ノズル72の被係合部72b(図4を参照)に係合するように構成されている。係合部714aは、Y1方向側から見てL字形状を有している。係合部714aは、1枚の金属板のZ2方向側の端部近傍を曲げ加工により曲げることによって形成されている。係合部714aは、ノズル保持用板バネ714のZ2方向側の端部近傍に設けられている。すなわち、係合部714aは、ヘッド本体部711側に配置された第1板状部714bのZ2方向側の端部近傍に設けられている。
【0057】
第1板状部714bは、ノズル72に係合する係合部714aを有している。第1板状部714bは、Z方向に沿って延びる平板形状を有している。第1板状部714bは、第1板状部714bの厚み方向(X方向)において第2板状部714cのヘッド本体部711側に配置されている。第2板状部714cは、Z方向に沿って延びる平板形状を有している。第2板状部714cは、第1板状部714bの厚み方向(X方向)において第1板状部714bのヘッド本体部711側とは逆側に配置されている。ここで、第1板状部714bの厚み方向は、X方向だけでなく、第1板状部714bと第2板状部714cとが並ぶ方向とも平行な方向である。
【0058】
ここで、図7および図8に示すように、第1板状部714bと第2板状部714cとは、1枚の金属板をヘミング曲げ加工により折り曲げたことによって、X方向において並んで重ねられている。すなわち、1枚の金属板を折り曲げ部714dにおいてヘミング曲げ加工により折り曲げた後、第1板状部714bと第2板状部714cとをプレス加工により押圧することにより、第1板状部714bと第2板状部714cとがX方向において近接(密着)した状態で重ねられている。このように、第1板状部714bと第2板状部714cとは、微小隙間Gaを介して対向した状態、および、当接した状態の少なくともいずれかの状態でX方向に並んで重ねられている。
【0059】
図8および図9に示すように、折り曲げ部714dは、ヘミング曲げにより第1板状部714bと第2板状部714cとが重なるように折り曲げることによって形成されている。折り曲げ部714dは、複数のノズル保持用板バネ714の各々のZ1方向側の端部(上端部)に設けられている。折り曲げ部714dは、第1板状部714bの上端部と第2板状部714cの上端部とを繋いでいる。折り曲げ部714dは、水平方向のうちの第1板状部714bの厚み方向に直交する幅方向(Y方向)の全体にわたって、複数のノズル保持用板バネ714の各々の上端部に形成されている。このような、折り曲げ部714dは、貫通孔714eの上端部の位置P1から、貫通孔714eの上端部P1よりも上方の貫通孔714eの半径Rd以内(図9において点線で表示)の位置P2に配置されている。
【0060】
貫通孔714eは、1枚の金属板を折り曲げ部714dにおいてヘミング曲げ加工により折り曲げて、第1板状部714bと第2板状部714cとをプレス加工により押圧した後、第1板状部714bと第2板状部714cとにわたって工具を貫通させることにより形成されている。
【0061】
貫通孔714eは、第1板状部714bおよび第2板状部714cの各々を第1板状部714bの厚み方向(X方向)に貫通している。このように、第1板状部714bには、貫通孔714eとして貫通孔714fが形成されている。第2板状部714cには、貫通孔714eとして貫通孔714gが形成されている。貫通孔714fおよび貫通孔714gには、締結部材713(図5を参照)が挿入される。
【0062】
貫通孔714fおよび貫通孔714gは、ノズル保持用板バネ714の上部に配置されている。すなわち、貫通孔714fおよび貫通孔714gは、ノズル保持用板バネ714の上端部よりもZ2方向側の近傍位置に配置されている。貫通孔714fおよび貫通孔714gは、X1方向側から見て、第1板状部714bおよび第2板状部714cの各々において略同じ直径の円形状を有している。
【0063】
(実装ヘッドの製造方法)
図10を参照して、上記したノズル保持用板バネ714が取り付けられた実装ヘッド71を製造する実装ヘッド71の製造方法について以下に説明する。ここで、以下の実装ヘッド71の製造方法の説明では、ノズル保持用板バネ714が取り付けられた実装ヘッド71を製造する作業者を製造作業者と記載する。
【0064】
図10に示すように、ステップS1において、製造作業者が、1枚の金属板の端部近傍を曲げ加工により曲げることによって、ノズル保持用板バネ714の係合部714aを金属板の端部近傍に形成する。すなわち、ステップS1は、ノズル72を着脱可能に挟み込んで保持する弾性変形可能な板状の複数のノズル保持用板バネ714の端部にノズル72に係合する係合部714aが形成されるステップである。
【0065】
ステップS2において、製造作業者は、端部近傍に係合部714aを形成した1枚の金属板をヘミング曲げ加工により折り曲げて第1板状部714bと第2板状部714cとを重ねる。すなわち、ステップS2は、端部近傍に係合部714aを形成した1枚の金属板の係合部714aとは逆側の端部を係合部714a側に折り曲げることにより、1枚の金属板から第1板状部714bおよび第2板状部714cとが形成されるステップを含んでいる。また、ステップS2は、第1板状部714bおよび第2板状部714cを形成した後、プレス加工により、第1板状部714bと第2板状部714cとを近接(密着)させるステップを含んでいる。
【0066】
ステップS3において、製造作業者は、ヘミング曲げ加工により折り曲げて第1板状部714bと第2板状部714cとを重ねた後に、第1板状部714bおよび第2板状部714cの各々において第1板状部714bの厚み方向から見て略同じ直径の円形状の貫通孔714fおよび貫通孔714gを形成する。すなわち、ステップS3は、近接(密着)した状態で重ねられた第1板状部714bと第2板状部714cとにわたって工具が貫通することにより、第1板状部714bに貫通孔714fが形成されるとともに、第2板状部714cに貫通孔714gが形成されるステップである。
【0067】
ステップS4において、製造作業者は、第1板状部714bと第2板状部714cとが近接(密着)して重ねられるとともに、貫通孔714eが形成されたノズル保持用板バネ714をヘッド本体部711の所定位置に締結部材713を用いて取り付ける。すなわち、ステップS4は、ヘミング曲げ加工により第1板状部714bと第2板状部714cとが重ねられた複数のノズル保持用板バネ714の各々がヘッド本体部711に取り付けられるステップである。ステップS4の後、実装ヘッド71の製造方法が終了する。
【0068】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0069】
第1実施形態では、上記のように、部品実装装置1000の実装ヘッド71は、ノズル72を着脱可能に挟み込んで保持する弾性変形可能な板状の複数のノズル保持用板バネ714を備えている。複数のノズル保持用板バネ714の各々は、折り曲げられて重ねられた第1板状部714bおよび第2板状部714cを有している。これにより、第1板状部714bおよび第2板状部714cが折り曲げられて重ねられることにより、ノズル保持用板バネ714の弾性力を1枚の板バネの場合と比較して増加させることができるので、ノズル保持用板バネ714によるノズル72の保持力を向上させることができる。また、第1板状部714bおよび第2板状部714cを折り曲げて重ねることによりノズル保持用板バネ714が形成されているので、スポット溶接を行う必要がなく、ノズル72を保持するノズル保持用板バネ714の溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制することができる。これらの結果、ノズル72を保持するノズル保持用板バネ714の溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制しながら、ノズル72の保持力を十分に確保することができる。また、スポット溶接を行う必要がなく、第1板状部714bおよび第2板状部714cを折り曲げて重ねることによりノズル保持用板バネ714が形成されていることによって、スポット溶接を行う場合と比較して、ノズル保持用板バネ714を製造する製造作業者が、別個の板状部材である第1板状部714bおよび第2板状部714cを重ねて、重ねた第1板状部714bおよび第2板状部714cを治具に当接させながら、スポット溶接機により第1板状部714bおよび第2板状部714cを溶接するという煩雑な作業を行う必要がない。この結果、ノズル保持用板バネ714の製造工程を簡略化することができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、複数のノズル保持用板バネ714の各々は、折り曲げられて重ねられた第1板状部714bおよび第2板状部714cを有している。これにより、1つの板状部材を折り曲げることにより第1板状部714bおよび第2板状部714cが一体的に設けられることによって、第1板状部714bおよび第2板状部714cが別個の板状部材である場合と異なり、ヘッド本体部711にノズル保持用板バネ714を取り付ける作業の作業性を向上させることができる。すなわち、1つの板状部材を折り曲げることにより第1板状部714bおよび第2板状部714cが一体的に設けられることによって、第1板状部714bおよび第2板状部714cが別個の板状部材である場合と異なり、取付作業者がヘッド本体部711にノズル保持用板バネ714を取り付ける作業場所において、第1板状部714bおよび第2板状部714cを纏めてノズル保持用板バネ714を組み立てる必要がない。この結果、取付作業者が第1板状部714bおよび第2板状部714cを纏めなくてもノズル保持用板バネ714が組み立てられているので、作業場所において、ノズル保持用板バネ714における第1板状部714bおよび第2板状部714cの組み立て順序の誤りが発生しないようにすることができる。また、取付作業者が上記作業場所において第1板状部714bおよび第2板状部714cを纏めてノズル保持用板バネ714を組み立てる必要がないので、作業場所において、第1板状部714bではなくノズル保持用板バネ714とは異なる種類の板バネの板状部材がノズル保持用板バネ714に組み込まれることを防止することができる。また、取付作業者が上記作業場所において第1板状部714bおよび第2板状部714cを纏めてノズル保持用板バネ714を組み立てる必要がないので、作業場所における取付作業者の作業負担を軽減することができる。
【0071】
また、第1実施形態では、上記のように、係合部714aは、第1板状部714bおよび第2板状部714cのうちヘッド本体部711側に配置された一方の板状部に設けられている。これにより、ヘッド本体部711側に配置された一方の板状部側およびヘッド本体部側とは逆側に配置された他方の板状部の両方に係合部を設けた場合と比較して、第1板状部714bおよび第2板状部714cを折り曲げて重ねる際、一方の板状部側の係合部と他方の板状部の係合部との位置合わせを行う必要がないので、ノズル保持用板バネ714の製造工程をより簡略化することができる。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、複数のノズル保持用板バネ714の各々は、ヘミング曲げにより第1板状部714bと第2板状部714cとが重なるように折り曲げることによって形成された折り曲げ部714dを有する。これにより、ヘミング曲げ加工を行う際、第1板状部714bと第2板状部714cとをプレス加工により第1板状部714bおよび第2板状部714cを押しつぶすようにプレスするので、第1板状部714bと第2板状部714cとを近接させることができる。この結果、近接させた第1板状部714bおよび第2板状部714cの両方により弾性力をノズル72に係合する係合部714aにより確実に作用させることができる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、折り曲げ部714dは、複数のノズル保持用板バネ714の各々の上端部に設けられている。係合部714aは、複数のノズル保持用板バネ714の各々の下端部近傍に設けられている。これにより、ノズル保持用板バネ714の下端部という比較的狭い範囲に折り曲げ部714dおよび係合部714aの両方を形成する加工(たとえば、曲げ加工)を施す必要がないので、ノズル保持用板バネ714の加工の複雑化を抑制することができる。
【0074】
また、第1実施形態では、上記のように、実装ヘッド71は、複数のノズル保持用板バネ714をヘッド本体部711に取り付ける締結部材713を含んでいる。複数のノズル保持用板バネ714は、締結部材713が挿入され、第1板状部714bおよび第2板状部714cの各々を第1板状部714bの厚み方向に貫通した貫通孔714eを有している。貫通孔714eは、複数のノズル保持用板バネ714の各々の上部に配置されている。これにより、ノズル72を実装ヘッド71に取り付ける際、第1板状部714bおよび第2板状部714cにおける締結部材713とヘッド本体部711との間の部分を支点として、第1板状部714bおよび第2板状部714cの上部に設けられた貫通孔714eよりも下側の部分をノズル72の形状に沿ってヘッド本体部711側とは逆側へ弾性変形させることができる。この結果、第1板状部714bおよび第2板状部714cにおいて弾性変形する部分の上下方向の長さを比較的大きくすることができるので、第1板状部714bおよび第2板状部714cを比較的弾性変形しやすい構成にすることができる。
【0075】
また、第1実施形態では、上記のように、貫通孔714eは、厚み方向から見て、第1板状部714bおよび第2板状部714cの各々において略同じ直径の円形状を有している。折り曲げ部714dは、貫通孔714eの上端部の位置P1から、貫通孔714eの上端部よりも上方の貫通孔714eの半径Rd以内の位置P2に配置されている。これにより、折り曲げ部714dの位置を貫通孔714eに対して上方向の比較的近い位置に配置することができるので、ノズル保持用板バネ714の上方向への大型化を抑制することができる。
【0076】
また、第1実施形態では、上記のように、実装ヘッド71の複数のノズル保持用板バネ714の各々は、折り曲げられて重ねられた第1板状部714bおよび第2板状部714cを有する。これにより、第1板状部714bおよび第2板状部714cが折り曲げられて重ねられることにより、ノズル保持用板バネ714の弾性力を1枚の板バネの場合と比較して増加させることができるので、ノズル保持用板バネ714によるノズル72の保持力を向上させることができる。また、第1板状部714bおよび第2板状部714cを折り曲げて重ねることによりノズル保持用板バネ714が形成されているので、スポット溶接を行う必要がなく、ノズル72を保持するノズル保持用板バネ714の溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制することができる。これらの結果、ノズル72を保持するノズル保持用板バネ714の溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制しながら、ノズル72の保持力を十分に確保することが可能な実装ヘッド71を提供することができる。
【0077】
また、第1実施形態では、上記のように、実装ヘッド71の製造方法は、ヘミング曲げ加工により折り曲げて第1板状部714bと第2板状部714cとを重ねるステップS2を備えている。これにより、第1板状部714bおよび第2板状部714cがヘミング曲げにより折り曲げられて重ねられることによって、ノズル保持用板バネ714の弾性力を1枚の板バネの場合と比較して増加させることができるので、ノズル保持用板バネ714によるノズル72の保持力を向上させることができる。また、第1板状部714bおよび第2板状部714cを折り曲げて重ねることによりノズル保持用板バネ714が形成されているので、スポット溶接を行う必要がなく、ノズル72を保持するノズル保持用板バネ714の溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制することができる。これらの結果、ノズル72を保持するノズル保持用板バネ714の溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制しながら、ノズル72の保持力を十分に確保することが可能な実装ヘッド71の製造方法を提供することができる。
【0078】
また、第1実施形態では、上記のように、実装ヘッド71の製造方法は、ヘミング曲げ加工により折り曲げて第1板状部714bと第2板状部714cとを重ねた後に、第1板状部714bおよび第2板状部714cの各々において第1板状部714bの厚み方向から見て略同じ直径の円形状の貫通孔714eを形成するステップS3を備えている。これにより、1枚の板状部材を折り曲げて第1板状部714bおよび第2板状部714cを設ける際、折り曲げることにより1枚の板所部材の折り曲げ部714dに発生する応力によって貫通孔714eの形状が変形してしまう場合があるが、折り曲げて第1板状部714bと第2板状部714cとを重ねた後に第1板状部714bと第2板状部714cとに貫通孔714eを形成することにより、1枚の板状部材の折り曲げにより発生する応力によって貫通孔714eの形状が変形しないようにすることができる。
【0079】
[第2実施形態]
図11図15を参照して、第2実施形態による部品実装装置2000に設けられた実装ヘッド2071の構成について説明する。第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、X1方向側から見て、貫通孔2714fの寸法と貫通孔2714gの寸法とが異なっている。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同じ構成については、詳細な説明を省略する。
【0080】
(部品実装装置)
部品実装装置2000は、クリーム半田が印刷された基板Sbの所定の実装位置に部品Eを実装(搭載)するように構成されている。
【0081】
ここで、部品実装装置2000において、基板Sbを搬送する搬送方向をX1方向とし、基板Sbを搬送する搬送方向の逆方向をX2方向とし、X1方向およびX2方向を合わせた方向をX方向とする。また、水平方向のうちのX方向に直交する方向をY方向とし、Y方向の一方をY1方向とし、Y方向の他方をY2方向とする。また、X方向およびY方向に直交する上下方向をZ方向(上下方向)とし、Z方向の一方をZ1方向(上方向)とし、Z方向の他方をZ2方向(下方向)とする。
【0082】
部品実装装置2000は、基台1と、フィーダ配置部2と、トレイ配置部3と、基板搬送部4と、支持部5と、一対のレール部6と、ヘッドユニット2007と、部品撮像部8と、基板撮像部9と、制御部(図示せず)とを有している。ここで、ヘッドユニット2007は、実装ヘッド2071と、Z軸モータ(図示せず)と、R軸モータ(図示せず)とを含んでいる。
【0083】
(実装ヘッドの詳細な構造)
図11図14を参照して、実装ヘッド2071の詳細な構造について説明する。なお、複数の実装ヘッド2071の詳細な構造は全て同じであるので、複数の実装ヘッド2071のうちの1つの実装ヘッド2071の詳細な構造について説明する。
【0084】
図11に示すように、実装ヘッド2071は、ヘッド本体部711(図5を参照)と、締結部材712(図5を参照)と、締結部材713(図5を参照)と、ノズル保持用板バネ2714とを有している。
【0085】
〈ノズル保持用板バネ〉
第2実施形態のノズル保持用板バネ2714は、係合部714aと、第1板状部714bと、第2板状部714cと、折り曲げ部714dと、貫通孔2714eとを有している。なお、第1板状部714bは、特許請求の範囲の「一方の板状部」の一例である。
【0086】
貫通孔2714eは、1枚の金属板を折り曲げ部714dにおいてヘミング曲げ加工により折り曲げて、第1板状部714bと第2板状部714cとをプレス加工により押圧する前に、1枚の金属板の第1板状部714bの部分、および、1枚の金属板の第2板状部714cの部分の各々に工具を貫通させることにより形成されている。
【0087】
第1板状部714bには、貫通孔2714eとして貫通孔2714fが形成されている。貫通孔2714fは、第1板状部714bを第1板状部714bの厚み方向(X方向)に貫通している。貫通孔2714fは、第1板状部714bの厚み方向(X方向)から見て、円形状を有している。なお、貫通孔2714fは、特許請求の範囲の「第1貫通孔」の一例である。
【0088】
第2板状部714cには、貫通孔2714eとして貫通孔2714gが形成されている。貫通孔2714gは、第2板状部714cを第2板状部714cの厚み方向(X方向)に貫通している。貫通孔2714gは、第2板状部714cの厚み方向(X方向)から見て、Z方向に長い長孔形状を有している。なお、貫通孔2714gは、特許請求の範囲の「第2貫通孔」の一例である。
【0089】
このような貫通孔2714fおよび貫通孔2714gには、締結部材713(図5を参照)が挿入される。
【0090】
第1板状部714bの厚み方向(X方向)から見て、貫通孔2714fの寸法と貫通孔2714gの寸法とは、異なっている。すなわち、Z方向において、貫通孔2714gの寸法は、貫通孔2714fの寸法よりも大きい。Y方向において、貫通孔2714gの寸法は、貫通孔2714fの寸法よりも大きい。このように、第1板状部714bの厚み方向(X方向)から見て、貫通孔2714gの寸法は、貫通孔2714fの寸法よりも大きい。ここで、貫通孔2714fの中心と貫通孔2714gの中心とは、第1板状部714bの厚み方向(X方向)から見て、略一致している。
【0091】
貫通孔2714fおよび貫通孔2714gは、ノズル保持用板バネ2714の上部に配置されている。すなわち、貫通孔2714fおよび貫通孔2714gは、ノズル保持用板バネ2714の上端部よりもZ2方向側の位置に配置されている。ここで、貫通孔2714fの上端部および貫通孔2714gの上端部は、折り曲げ部714dから貫通孔2714fの半径Rdを超えて離間した位置に配置されている。
【0092】
ここで、図12に示すように、長孔である貫通孔2714gが第1板状部714bに形成されるとともに、円形状の孔である貫通孔2714fが第2板状部714cに形成されてもよい。
【0093】
また、図13に示すように、円形状の孔である貫通孔2714fが第1板状部2714bに形成されるとともに、円形状の孔である貫通孔2714gが第2板状部2714cに形成されてもよい。ここで、第1板状部714bの厚み方向(X方向)から見て、円形状の孔である貫通孔2714gの寸法(直径)が、円形状の孔である貫通孔2714fの寸法(直径)よりも大きい。また、図14に示すように、第1板状部714bの厚み方向(X方向)から見て、円形状の孔である貫通孔2714fの寸法(直径)が、円形状の孔である貫通孔2714gの寸法(直径)よりも大きくてもよい。なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様の構成を有しているので、説明を省略する。
【0094】
(実装ヘッドの製造方法)
図15を参照して、上記したノズル保持用板バネ2714が取り付けられた実装ヘッド2071を製造する実装ヘッド2071の製造方法について以下に説明する。なお、図11に示すノズル保持用板バネ2714をヘッド本体部711に取り付ける場合を一例として想定して、実装ヘッド2071の製造方法を説明する。
【0095】
ステップS1およびステップS4は、それぞれ、第1実施形態のステップS1およびステップS4に相当するので、説明を省略する。
【0096】
ステップS202において、製造作業者は、1枚の金属板においてノズル保持用板バネ2714の第1板状部714bの部分に、円形状の貫通孔2714fを形成する。すなわち、ステップS202は、第1板状部714bに工具が貫通することにより、第1板状部714bに貫通孔2714fが形成されるステップである。
【0097】
ステップS203において、製造作業者は、1枚の金属板においてノズル保持用板バネ2714の第2板状部714cの部分に、長孔形状の貫通孔2714gを形成する。すなわち、ステップS203は、第2板状部714cに工具が貫通することにより、第2板状部714cに貫通孔2714gが形成されるステップである。
【0098】
このように、ステップS202およびステップS203は、ヘミング曲げ加工により折り曲げて第1板状部714bと第2板状部714cとが重ねられる前に、第1板状部714bに貫通孔2714gを形成するとともに、第1板状部714bの厚み方向から見て貫通孔2714gよりも大きい寸法の貫通孔2714fを第2板状部714cに形成するステップである。
【0099】
ステップS204において、製造作業者は、貫通孔2714fおよび貫通孔2714gを形成した1枚の金属板をヘミング曲げ加工により折り曲げて第1板状部714bと第2板状部714cとを重ねる。ここで、ステップS204は、第1板状部714bの厚み方向において貫通孔2714fと貫通孔2714gとが連通するように金属板を折り曲げることにより、第1板状部714bと第2板状部714cとが重ねられるステップを含んでいる。また、ステップS204は、第1板状部714bと第2板状部714cとが重ねられた後、プレス加工により、第1板状部714bと第2板状部714cとが近接(密着)した状態で重ねられるステップを含んでいる。ステップS204の後、ステップS4を介して実装ヘッド2071の製造方法が終了する。
【0100】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0101】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、部品実装装置2000の複数のノズル保持用板バネ2714の各々は、折り曲げられて重ねられた第1板状部714bおよび第2板状部714cを有している。これにより、ノズル72を保持するノズル保持用板バネ2714の溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制しながら、ノズル72の保持力を十分に確保することができる。
【0102】
また、第2実施形態では、上記のように、第1板状部714bは、貫通孔2714eとしての貫通孔2714fを有している。第2板状部714cは、厚み方向から見て、貫通孔2714fよりも大きい寸法の貫通孔2714eとしての貫通孔2714gを有している。これにより、折り曲げ部714dにおいて1枚の板状部材を折り曲げて第1板状部714bおよび第2板状部714cを設ける際、貫通孔2714fの中心と貫通孔2714gの中心とが多少ずれた場合でも、貫通孔2714fと貫通孔2714gとを連通させることができる。この結果、貫通孔2714fと貫通孔2714gとの位置合わせを高精度に行う必要がないので、1枚の板状部材を折り曲げ部714dにおいて折り曲げる作業を容易に行うことができる。
【0103】
また、第2実施形態では、上記のように、実装ヘッド2071の製造方法は、ヘミング曲げ加工により折り曲げて第1板状部714bと第2板状部714cとを重ねる前に、第1板状部714bに貫通孔2714fを形成するとともに、第1板状部714bの厚み方向から見て貫通孔2714fよりも大きい直径の貫通孔2714gを第2板状部714cに形成するステップS202およびステップS203を備えている。ヘミング曲げ加工により折り曲げて第1板状部714bと第2板状部714cとを重ねるステップは、厚み方向において貫通孔2714fと貫通孔2714gとが連通するように、第1板状部714bと第2板状部714cとを重ねるステップS204を含んでいる。これにより、1枚の板状部材を折り曲げて第1板状部714bおよび第2板状部714cを設ける際、貫通孔2714fの中心と貫通孔2714gの中心とが多少ずれた場合でも、貫通孔2714fと貫通孔2714gとを連通させることができる。この結果、貫通孔2714fと貫通孔2714gとの位置合わせを高精度に行う必要がないので、折り曲げ部714dにおいて1枚の板状部材を折り曲げる作業が容易に行うことができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態の効果と同様であるので、説明を省略する。
【0104】
[第3実施形態]
図16図20を参照して、第3実施形態による部品実装装置3000に設けられた実装ヘッド3071の構成について説明する。第3実施形態では、第2実施形態とは異なり、突出部3714hが貫通孔3714gの内周面にカシメられている。なお、第3実施形態では、第2実施形態と同じ構成については、詳細な説明を省略する。
【0105】
(部品実装装置)
部品実装装置3000は、クリーム半田が印刷された基板Sbの所定の実装位置に部品Eを実装(搭載)するように構成されている。
【0106】
ここで、部品実装装置3000において、基板Sbを搬送する搬送方向をX1方向とし、基板Sbを搬送する搬送方向の逆方向をX2方向とし、X1方向およびX2方向を合わせた方向をX方向とする。また、水平方向のうちのX方向に直交する方向をY方向とし、Y方向の一方をY1方向とし、Y方向の他方をY2方向とする。また、X方向およびY方向に直交する上下方向をZ方向(上下方向)とし、Z方向の一方をZ1方向(上方向)とし、Z方向の他方をZ2方向(下方向)とする。
【0107】
部品実装装置3000は、基台1と、フィーダ配置部2と、トレイ配置部3と、基板搬送部4と、支持部5と、一対のレール部6と、ヘッドユニット3007と、部品撮像部8と、基板撮像部9と、制御部(図示せず)とを有している。ここで、ヘッドユニット3007は、実装ヘッド3071と、Z軸モータ(図示せず)と、R軸モータ(図示せず)とを含んでいる。
【0108】
(実装ヘッドの詳細な構造)
図16および図17を参照して、実装ヘッド3071の詳細な構造について説明する。なお、複数の実装ヘッド3071の詳細な構造は全て同じであるので、複数の実装ヘッド3071のうちの1つの実装ヘッド3071の詳細な構造について説明する。
【0109】
図16および図17に示すように、実装ヘッド3071は、ヘッド本体部711(図5を参照)と、締結部材712(図5を参照)と、締結部材713(図5を参照)と、ノズル保持用板バネ3714とを有している。
【0110】
〈ノズル保持用板バネ〉
第3実施形態のノズル保持用板バネ3714は、係合部714aと、第1板状部714bと、第2板状部714cと、折り曲げ部714dと、貫通孔3714eとを有している。なお、第1板状部714bは、特許請求の範囲の「一方の板状部」の一例である。
【0111】
貫通孔3714eは、1枚の金属板を折り曲げ部714dにおいてヘミング曲げ加工により折り曲げて、第1板状部714bと第2板状部714cとをプレス加工により押圧する前に、1枚の金属板の第1板状部714bの部分、および、1枚の金属板の第2板状部714cの部分の各々に工具を貫通させることにより形成されている。
【0112】
第1板状部714bには、貫通孔3714eとして貫通孔3714fが形成されている。貫通孔3714fは、第1板状部714bを第1板状部714bの厚み方向(X方向)に貫通している。貫通孔3714fは、第1板状部714bの厚み方向(X方向)から見て、円形状を有している。なお、貫通孔3714fは、特許請求の範囲の「第1貫通孔」の一例である。
【0113】
第2板状部714cには、貫通孔3714eとして貫通孔3714gが形成されている。貫通孔3714gは、第2板状部714cを第2板状部714cの厚み方向(X方向)に貫通している。貫通孔3714gは、第2板状部714cの厚み方向(X方向)から見て、円形状を有している。なお、貫通孔3714gは、特許請求の範囲の「第2貫通孔」の一例である。
【0114】
このような貫通孔3714fおよび貫通孔3714gには、締結部材713(図5を参照)が挿入される。
【0115】
第1板状部714bの厚み方向(X方向)から見て、貫通孔3714fの寸法と貫通孔3714gの寸法とは、異なっている。第1板状部714bの厚み方向(X方向)から見て、貫通孔3714gの直径は、貫通孔3714fの直径よりも大きい。ここで、貫通孔3714fの中心と貫通孔3714gの中心とは、第1板状部714bの厚み方向(X方向)から見て、略一致している。
【0116】
第1板状部714bは、貫通孔3714fの周縁部から厚み方向(X方向)のうちの第2板状部714c側の方向に突出した突出部3714hを有している。突出部3714hは、第1板状部714b側から第2板状部714c側に向かって突出している。突出部3714hは、Z方向に沿った断面において、テーパ形状を有している。テーパ形状の突出部3714hは、第1板状部714bの厚み方向(X方向)から見て、X1方向側に向かうにしたがってX方向に直交する方向の長さが大きくなるような環状に形成されている。
【0117】
第1板状部714bの突出部3714hは、貫通孔3714gの内周面に挿入されて密着されている。ここで、略円形状の突出部3714hはX1方向側に向かうにしたがってX方向に直交する方向の長さが大きくなっているので、突出部3714hは、貫通孔3714gの内周面に係合している。具体的には、突出部3714hは、貫通孔3714gの内周面にカシメられている。これにより、突出部3714hが貫通孔3714gから抜けにくくなることにより、第1板状部714bと第2板状部714cとが離れにくくになるので、第1板状部714bと第2板状部714cとの間の隙間が広がりにくくなる。
【0118】
貫通孔3714fおよび貫通孔3714gは、ノズル保持用板バネ3714の上部に配置されている。すなわち、貫通孔3714fおよび貫通孔3714gは、ノズル保持用板バネ3714の上端部よりもZ2方向側の位置に配置されている。ここで、貫通孔3714fの上端部および貫通孔3714gの上端部は、折り曲げ部714dから貫通孔3714fの半径Rdを超えて離間した位置に配置されている。なお、第3実施形態のその他の構成は、第2実施形態と同様の構成を有しているので、説明を省略する。
【0119】
(実装ヘッドの製造方法)
図17図20を参照して、上記したノズル保持用板バネ3714が取り付けられた実装ヘッド3071を製造する実装ヘッド3071の製造方法について以下に説明する。
【0120】
ステップS1およびステップS4は、それぞれ、第2実施形態のステップS1およびステップS4に相当するので、説明を省略する。
【0121】
ステップS302において、製造作業者は、1枚の金属板においてノズル保持用板バネ3714の第1板状部714bの部分に、円形状の貫通孔3714fを形成する。すなわち、ステップS202は、第1板状部714bに工具が貫通することにより、第1板状部714bに貫通孔3714fが形成されるステップである。
【0122】
ステップS303において、製造作業者は、1枚の金属板においてノズル保持用板バネ3714の第2板状部714cの部分に、円形状の貫通孔3714gを形成する。すなわち、ステップS203は、第2板状部714cに工具が貫通することにより、第2板状部714cに貫通孔3714gが形成されるステップである。円形状の貫通孔3714gの直径は、円形状の貫通孔3714fの直径よりも大きい。
【0123】
ステップS304において、製造作業者は、貫通孔3714fおよび貫通孔3714gを形成した1枚の金属板をヘミング曲げ加工により折り曲げて第1板状部714bと第2板状部714cとを重ねる。この際、貫通孔3714fと貫通孔3714gとが、連通する。
【0124】
図18および図19に示すように、ステップS305において、製造作業者は、第1板状部714bの貫通孔3714fに突出部3714hを形成する。ステップS305は、第1板状部714bと第2板状部714cとが重ねられた後に、貫通孔3714fの周縁部から第1板状部714bの厚み方向のうちの第2板状部714c側の方向に突出した突出部3714hが貫通孔3714g内に挿入されるステップである。ここで、突出部3714hは、バーリング加工により形成される。
【0125】
図18および図20に示すように、ステップS306において、製造作業者は、工具Toによりテーパ形状の突出部3714hを形成する。ステップS306は、貫通孔3714g内に挿入された突出部3714hが貫通孔3714gの内周面に密着するステップである。これにより、図17に示すノズル保持用板バネ3714が形成される。そして、ステップS306の後、ステップS4を介して実装ヘッド3071の製造方法が終了する。
【0126】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0127】
第3実施形態では、第1実施形態と同様に、部品実装装置3000の複数のノズル保持用板バネ3714の各々は、折り曲げられて重ねられた第1板状部714bおよび第2板状部714cを有している。これにより、ノズル72を保持するノズル保持用板バネ3714の溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制しながら、ノズル72の保持力を十分に確保することができる。
【0128】
また、第3実施形態では、上記のように、第1板状部714bは、第1板状部714bの厚み方向において、第2板状部714cのヘッド本体部711側に配置されている。第1板状部714bは、貫通孔3714fの周縁部から厚み方向のうちの第2板状部714c側の方向に突出した突出部3714hを有している。第1板状部714bの突出部3714hは、貫通孔3714gの内周面に挿入されて密着されている。これにより、第1板状部714bが第2板状部714cから離れる方向に移動しようとしても、突出部3714hが貫通孔3714gに密着していることにより、第1板状部714bの移動を止めることができるので、第1板状部714bと第2板状部714cとの隙間が微小な状態を維持することができる。この結果、容器に充填したメッキにより複数のノズル保持用板バネ3714を纏めてメッキ加工する場合、第1板状部714bと第2板状部714cとの間に別のノズル保持用板バネ3714が入らないようにすることができるので、複数のノズル保持用板バネ3714のそれぞれへのメッキの付着が互いに妨げられないようにすることができる。すなわち、ノズル保持用板バネ3714を実装ヘッド3071に取り付ける前に、複数のノズル保持用板バネ714の各々に、実装ヘッド3071の先端を撮像する際に使用される照明からの光の反射を抑制するために黒色のメッキが施される場合がある。この場合、複数のノズル保持用板バネ714をメッキが充填された容器の中に入れてかき混ぜることにより複数のノズル保持用板バネ714にメッキが施される。この際、第1板状部714bと第2板状部714cとの隙間が微小であるので、第1板状部714bと第2板状部714cとの間に別のノズル保持用板バネ714が入らないようにすることができる。したがって、一のノズル保持用板バネ714の第1板状部714bと第2板状部714cとの間に別のノズル保持用板バネ714が狭持されないようにすることができるので、一のノズル保持用板バネ714へのメッキの付着および別のノズル保持用板バネ714へのメッキの付着が互いに妨げられないようにすることができる。この結果、複数のノズル保持用板バネ714にメッキをより確実に施すことができるので、メッキを施されたノズル保持用板バネ714をより確実に製造することができる。
【0129】
また、第3実施形態では、上記のように、実装ヘッド3071の製造方法は、第1板状部714bと第2板状部714cとを重ねた後に、貫通孔3714fの周縁部から厚み方向のうちの第2板状部714c側の方向に突出した突出部3714hを貫通孔3714g内に挿入するステップS305を備えている。実装ヘッド3071の製造方法は、貫通孔3714g内に挿入された突出部3714hを貫通孔3714gの内周面に密着させるステップS306を備えている。これにより、第1板状部714bが第2板状部714cから離れる方向に移動しようとしても、突出部3714hが貫通孔3714gに密着していることにより、第1板状部714bの移動を止めることができるので、第1板状部714bが第2板状部714cから離れることによる第1板状部714bと第2板状部714cとの間隔が大きくなることを抑制することができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態の効果と同様であるので、説明を省略する。
【0130】
[第4実施形態]
図21を参照して、第4実施形態による部品実装装置4000に設けられた実装ヘッド4071の構成について説明する。第4実施形態では、第2実施形態とは異なり、X1方向側から見て、貫通孔4714fの直径と貫通孔4714gの直径とが同じである。なお、第4実施形態では、第2実施形態と同じ構成については、詳細な説明を省略する。
【0131】
(部品実装装置)
部品実装装置4000は、クリーム半田が印刷された基板Sbの所定の実装位置に部品Eを実装(搭載)するように構成されている。
【0132】
ここで、部品実装装置4000において、基板Sbを搬送する搬送方向をX1方向とし、基板Sbを搬送する搬送方向の逆方向をX2方向とし、X1方向およびX2方向を合わせた方向をX方向とする。また、水平方向のうちのX方向に直交する方向をY方向とし、Y方向の一方をY1方向とし、Y方向の他方をY2方向とする。また、X方向およびY方向に直交する上下方向をZ方向(上下方向)とし、Z方向の一方をZ1方向(上方向)とし、Z方向の他方をZ2方向(下方向)とする。
【0133】
部品実装装置4000は、基台1と、フィーダ配置部2と、トレイ配置部3と、基板搬送部4と、支持部5と、一対のレール部6と、ヘッドユニット4007と、部品撮像部8と、基板撮像部9と、制御部(図示せず)とを有している。ここで、ヘッドユニット4007は、実装ヘッド4071と、Z軸モータ(図示せず)と、R軸モータ(図示せず)とを含んでいる。
【0134】
(実装ヘッドの詳細な構造)
図21を参照して、実装ヘッド4071の詳細な構造について説明する。なお、複数の実装ヘッド4071の詳細な構造は全て同じであるので、複数の実装ヘッド4071のうちの1つの実装ヘッド4071の詳細な構造について説明する。
【0135】
図21に示すように、実装ヘッド4071は、ヘッド本体部711(図5を参照)と、締結部材712(図5を参照)と、締結部材713(図5を参照)と、ノズル保持用板バネ4714とを有している。
【0136】
〈ノズル保持用板バネ〉
第4実施形態のノズル保持用板バネ4714は、係合部714aと、第1板状部714bと、第2板状部714cと、折り曲げ部714dと、貫通孔4714eとを有している。なお、第1板状部714bは、特許請求の範囲の「一方の板状部」の一例である。
【0137】
折り曲げ部714dは、ヘミング曲げにより第1板状部714bと第2板状部714cとが重なるように折り曲げることによって形成されている。折り曲げ部714dは、複数のノズル保持用板バネ714の各々のZ1方向側の端部(上端部)に設けられている。折り曲げ部714dは、貫通孔714eの上端部の位置P1から、貫通孔714eの上端部P1よりも上方の貫通孔714eの半径Rd(図21において点線で表示)よりも離間した位置P2に配置されている。
【0138】
貫通孔4714eは、1枚の金属板を折り曲げ部714dにおいてヘミング曲げ加工により折り曲げて、第1板状部714bと第2板状部714cとをプレス加工により押圧する前に、1枚の金属板の第1板状部714bの部分、および、1枚の金属板の第2板状部714cの部分の各々に工具を貫通させることにより形成されている。
【0139】
第1板状部714bには、貫通孔4714eとして貫通孔4714fが形成されている。貫通孔4714fは、第1板状部714bを第1板状部714bの厚み方向(X方向)に貫通している。貫通孔4714fは、第1板状部714bの厚み方向(X方向)から見て、円形状を有している。なお、貫通孔4714fは、特許請求の範囲の「第1貫通孔」の一例である。
【0140】
第2板状部714cには、貫通孔4714eとして貫通孔4714gが形成されている。貫通孔4714gは、第2板状部714cを第2板状部714cの厚み方向(X方向)に貫通している。貫通孔4714gは、第2板状部714cの厚み方向(X方向)から見て、円形状を有している。なお、貫通孔4714gは、特許請求の範囲の「第2貫通孔」の一例である。
【0141】
このような貫通孔4714fおよび貫通孔4714gには、締結部材713が挿入される。
【0142】
第1板状部714bの厚み方向(X方向)から見て、貫通孔4714fの直径と貫通孔4714gの直径とは、略同じである。貫通孔4714fの中心と貫通孔4714gの中心とは、第1板状部714bの厚み方向(X方向)から見て、略一致している。なお、第4実施形態のその他の構成は、第2実施形態と同様の構成を有しているので、説明を省略する。
【0143】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0144】
第4実施形態では、第2実施形態と同様に、部品実装装置4000の複数のノズル保持用板バネ4714の各々は、折り曲げられて重ねられた第1板状部714bおよび第2板状部714cを有している。これにより、ノズル72を保持するノズル保持用板バネ4714の溶接時の熱に起因する機械的強度(疲労強度)の低下を抑制しながら、ノズル72の保持力を十分に確保することができる。
【0145】
また、第4実施形態では、上記のように、貫通孔4714eは、厚み方向から見て、第1板状部714bおよび第2板状部714cの各々において略同じ直径の円形状を有している。折り曲げ部714dは、貫通孔4714eの上端部の位置P1から、上方に貫通孔4714eの半径Rdよりも離間した位置P2に配置されている。これにより、折り曲げ部714dと貫通孔4714eとを十分に離間させることができるので、折り曲げ部714dにおいて1枚の板状部材を折り曲げて第1板状部714bおよび第2板状部714cを設ける際、折り曲げることにより1枚の板所部材の折り曲げ部714dに発生する応力によって貫通孔4714eの形状が変形すること抑制することができる。なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態の効果と同様であるので、説明を省略する。
【0146】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0147】
たとえば、上記第1~第4実施形態では、複数のノズル保持用板バネ714(2714、3714、4714)は、X方向において対向するように配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数のノズル保持用板バネは、ヘッド本体部の側面に等角度間隔(たとえば、72度おきに5つ、90度おきに4つ、または、120度おきに3つなど)で配置されていてもよい。
【0148】
また、第1~第4実施形態では、ノズル保持用板バネ714(2714、3714、4714)は、Z1方向側の端部(上端部)に折り曲げ部714dが設けられることにより、1回折り曲げられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ノズル保持用板バネは、上端部および下端部に折り曲げ部が設けられることにより、2回以上折り曲げられていてもよい。
【0149】
また、第1~第4実施形態では、ヘッドユニット7(2007、3007、4007)は、実装ヘッド71(2071、3071、4071)をX方向に一列に並べたインラインヘッドである例を示したが、本発明はこれに限られない。ヘッドユニットは、実装ヘッドを周方向に並べたロータリーヘッドであってもよい。
【0150】
また、第1~第4実施形態では、締結部材713は、ヘミング曲げ加工により第1板状部714bと第2板状部714cとを近接(密着)させたノズル保持用板バネ714をシャフト部材711bに固定している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ノズル保持用板バネは、曲げ加工により曲げた第1板状部と第2板状部とを締結部材によって近接(密着)させてもよい。
【符号の説明】
【0151】
7、2007、3007、4007 ヘッドユニット
20 テープフィーダ(部品供給部)
31a トレイ(部品供給部)
32a トレイ(部品供給部)
71、2071、3071、4071 実装ヘッド
72 ノズル
711 ヘッド本体部
713 締結部材
714、2714、3714、4714 ノズル保持用板バネ
714a 係合部
714b 第1板状部(一方の板状部)
714c 第2板状部
714d 折り曲げ部
714e、2714e、3714e、4714e 貫通孔
714f、2714f、3714f、4714f 貫通孔(第1貫通孔)
714g、2714g、3714g、4714g 貫通孔(第2貫通孔)
1000、2000、3000、4000 部品実装装置
3714h 突出部
E 部品
P1 (貫通孔の上端部の)位置
P2 (折り曲げ部の)位置
Rd 半径
Sb 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21