(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163925
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20231102BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G06Q50/10
G05B23/02 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075156
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】519043143
【氏名又は名称】株式会社シーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】伊東 久雄
【テーマコード(参考)】
3C223
5L049
【Fターム(参考)】
3C223BA02
3C223BB07
3C223EA06
3C223EA09
3C223EB01
3C223FF09
3C223FF26
3C223HH23
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】複数のセンサからのデータをより好適に処理するシステムを提供すること。
【解決手段】入力データを用いる所定の処理を実行するサーバ1と、入力データの少なくとも一部をサーバ1に提供する1以上の入力セル2-pとを含む情報処理システムにおいて、サーバ1の処理実行部51は、入力言語データを入力データとして取得して、入力データを用いる所定の処理を実行して、その処理の実行結果を示す出力言語データを出力データとして出力する。入力セル2-pの言語変換AI73は、所定の物理量を示す信号を入力して、前記言語データに変換して出力する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力データを用いる所定の処理を実行する中央装置と、前記入力データの少なくとも一部を前記主情報処理装置に提供する1以上の第1種周辺装置とを含む情報処理システムにおいて、
前記中央装置は、
1以上の知覚表現データを入力データとして取得して、当該入力データを用いる所定の処理を実行して、その処理の実行結果を示す1以上の知覚表現データを出力データとして出力する処理実行手段、
を備え、
1以上の第1種周辺装置の夫々は、
所定の物理量を示す信号を入力して、前記知覚表現データに変換して出力するモデルを所定の記憶媒体に記憶させて管理するモデル管理手段と、
実世界の所定の物理量を検出するセンサから出力された、当該所定の物理量を示す信号を取得して前記モデルに入力させ、当該モデルから出力された前記知覚表現データを、前記中央装置の前記入力データの少なくとも一部として出力する変換手段と、
を備える、
情報処理システム。
【請求項2】
前記情報処理システムは、所定の制御対象を制御する1以上の第2種周辺装置をさらに含み、
前記1以上の第2種周辺装置の夫々は、
前記知覚表現データを入力して、所定の物理量に変換して出力するモデルを所定の記憶媒体に記憶させて管理するモデル管理手段と、
前記中央装置から出力された出力データを構成する前記1以上の知覚表現データの少なくとも一部を取得して前記モデルに入力させ、当該モデルから出力された前記所定の物理量を示す信号を、指示信号として前記所定の制御対象に入力させることで、当該所定の制御対象を制御する制御手段と、
を備える請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記1以上の第1種周辺装置の夫々は、
前記モデルを更新するための再学習を実行する第1種再学習実行手段、
をさらに備え、
前記1以上の第2種周辺装置の夫々は、
前記モデルを更新するための再学習を実行する第2種再学習実行手段、
をさらに備える、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第1種周辺装置は、
前記変換手段から出力された、前記第1情報処理装置の前記入力データの少なくとも一部を、ブロックチェーン又は分散型管理台帳の技術を用いて記憶させる第1種周辺記憶制御手段、
をさらに備え、
前記中央装置は、
前記ブロックチェーン又は分散型管理台帳の技術を用いて記憶されている前記入力データを取得して前記処理実行手段に提供する入力データ取得手段と、
前記処理実行手段から出力された前記出力データを、前記ブロックチェーン又は前記分散型管理台帳の技術を用いて記憶させる中央記憶制御手段、
をさらに備え、
前記第2種周辺装置は、
前記ブロックチェーン又は分散型管理台帳の技術を用いて記憶されている前記出力データを取得して前記制御手段に提供する出力データ取得手段、
をさらに備える、
請求項2又は3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第1種周辺機器の前記モデル管理手段は、
前記所定の物理量を示す信号を取得し、当該所定の物理量の種類に応じて、複数の知覚表現データに変換して出力するモデルのうち、何れのモデルを採用するかを判断する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
入力データを用いる所定の処理を実行する中央装置と、前記入力データの少なくとも一部を前記主情報処理装置に提供する1以上の第1種周辺装置とを含む情報処理システムが実行する情報処理方法において、
前記中央装置が実行するステップとして、
1以上の知覚表現データを入力データとして取得して、当該入力データを用いる所定の処理を実行して、その処理の実行結果を示す1以上の知覚表現データを出力データとして出力する処理実行ステップ、
を含む、
1以上の第1種周辺装置の夫々が実行するステップとして、
所定の物理量を示す信号を入力して、前記知覚表現データに変換して出力するモデルを所定の記憶媒体に記憶させて管理するモデル管理ステップと、
実世界の所定の物理量を検出するセンサから出力された、当該所定の物理量を示す信号を取得して前記モデルに入力させ、当該モデルから出力された前記知覚表現データを、前記中央装置の前記入力データの少なくとも一部として出力する変換ステップと、
を含む、
情報処理方法。
【請求項7】
入力データを用いる所定の処理を実行する中央装置と、前記入力データの少なくとも一部を前記主情報処理装置に提供する1以上の第1種周辺装置とを含む情報処理システムを制御するコンピュータのうち、
前記中央装置を制御するコンピュータに、
1以上の知覚表現データを入力データとして取得して、当該入力データを用いる所定の処理を実行して、その処理の実行結果を示す1以上の知覚表現データを出力データとして出力する処理実行ステップ、
を含む制御処理を実行させ、
1以上の第1種周辺装置の夫々を制御するコンピュータに、
所定の物理量を示す信号を入力して、前記知覚表現データに変換して出力するモデルを所定の記憶媒体に記憶させて管理するモデル管理ステップと、
実世界の所定の物理量を検出するセンサから出力された、当該所定の物理量を示す信号を取得して前記モデルに入力させ、当該モデルから出力された前記知覚表現データを、前記中央装置の前記入力データの少なくとも一部として出力する変換ステップと、
を含む制御処理を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、構内(例えば工場内)において、各種センサにより測定されたパラメータに基づいて、各種装置を制御することで、パラメータを変化させ、よりよい製品を製造する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
また、近年、人工知能(Artificial Intelligence、以下、「AI」と呼ぶ)の技術が発達している。例えば、チャットボット等に用いられる、自然言語処理が可能なAIも発達している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
構内で使われる各種装置の稼働状況から故障検出・故障予測等においては、従来、各種各様のセンサを中央管理装置内のソフトウェアによって集中検知や判断、警報出力等が行われていた。しかしながら、事故等が発生し、多くのセンサから一度にデータ(異常値)が送信された場合、中央監視装置では順次処理を行うためにユーザ(例えば監視員)への警報出力や非常設備の稼働(例えばスプリンクラーによる消火)などの対処までにかなりの時間を有し、対処が遅れ大災害に繋がることもある。
そこで、対処をより短時間で開始したり、大きな中央集権システムを構築せずとも利用可能なシステムが望まれていた。
【0005】
本発明は、複数のセンサからのデータをより好適に処理するシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理システムは、
入力データを用いる所定の処理を実行する中央装置と、前記入力データの少なくとも一部を前記主情報処理装置に提供する1以上の第1種周辺装置とを含む情報処理システムにおいて、
前記中央装置は、
1以上の知覚表現データを入力データとして取得して、当該入力データを用いる所定の処理を実行して、その処理の実行結果を示す1以上の知覚表現データを出力データとして出力する処理実行手段、
を備え、
1以上の第1種周辺装置の夫々は、
所定の物理量を示す信号を入力して、前記知覚表現データに変換して出力するモデルを所定の記憶媒体に記憶させて管理するモデル管理手段と、
実世界の所定の物理量を検出するセンサから出力された、当該所定の物理量を示す信号を取得して前記モデルに入力させ、当該モデルから出力された前記知覚表現データを、前記中央装置の前記入力データの少なくとも一部として出力する変換手段と、
を備える。
【0007】
本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムは、上述の本発明の一態様の情報処理システムに対応する情報処理方法及びプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のセンサからのデータをより好適に処理するシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムが適用されるサービスの概要の一例を説明する模式図である。
【
図2】
図1に示すサービスを提供する際に適用される本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図2に示す情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図3のハードウェア構成のサーバを含む情報処理システムの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図1に示すサービスを構内に配置された装置の管理に用いる例を示す図である。
【
図6】
図5の構内における高速な対処を行う情報処理の流れの例を示す図である。
【
図7】
図4の機能的構成の入力セルにおいて、自律的に処理内容を確立させる流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムが適用されるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要の一例を説明する模式図である。
本サービスは、
図1に示す情報処理システムが適用されることで、複数のセンサにより測定されたデータの入力に基づいて、制御装置を動作させるという出力を行うためのシステムを提供するものである。
【0012】
図1に示すように、本サービスの情報処理システムは、サーバ1と、入力セル2-1及び2-2、出力セル3-1、確認端末4、ブロックチェーンフルノード5-1乃至5-4(以下、
図1に示すように「BCフルノード」と呼ぶ)が含まれて構成されている。
また、詳しくは後述するが、入力セル2-1及び2-2、並びに出力セル3-1には、ブロックチェーンウルトラライトノード(以下、
図1に示すように「BCウルトラライトノード」と呼ぶ)が備えられている。
【0013】
サーバ1は、中央AI61を備える情報処理装置である。詳しくは後述するが、サーバ1は、入力セル2-1及び2-2におけるセンサの測定結果を知覚表現されたデータに変換したものを入力データとして取得し、入力データに基づいて出力セル3-1における制御指示について知覚表現されたものを出力データとして出力する。
【0014】
入力セル2-1及び2-2は、センサ及び自律分散チップCPを備え、センサの測定結果を、自律分散チップCPにおいて知覚表現されたデータに変換してブロックチェーンネットワークBNCを用いて管理させる。
【0015】
出力セル3-1は、自律分散チップCP及びアクチュエータ(制御装置の一例)を備え、自律分散チップCPにおいてサーバ1により出力された制御指示をブロックチェーンネットワークBNCから取得し、制御指示に基づいて制御装置(アクチュエータ)を制御する。
【0016】
確認端末4は、ブロックチェーンネットワークBNCを用いて管理された情報を確認するための情報処理装置である。設備(工場等)の管理担当者は、確認端末4を用いて、改竄等のされていない入力や出力の経緯を確認することができる。
【0017】
ここで、「知覚表現されたデータ」について説明する。
センサの測定結果の生データは、数値データであって、物理量である。これに対して、そのようなセンサの測定結果を人間は、生データそのものを解釈した結果を、言語等を用いて表現することができる。
具体的には例えば、気温35度、湿度80%といった生データを、人間は、暑いと知覚(認識、解釈)し言語化することができる。このように、センサの測定結果の生データではなく、知覚(認識、解釈)された表現を、「知覚表現」と呼ぶ。
なお、「言語」の形態は、知覚表現の形態の一例である。即ち例えば、「暑い」という文字列のデータは、日本語という言語の形態で知覚表現されたデータである。また例えば、情報処理装置において識別子が予め対応付けられている場合、「暑い」に対応する識別子のデータも情報処理装置内で利用可能な知覚表現されたデータの一例である。更に言えば、例えば手で顔を仰ぐ動作の動画データも、ジェスチャの形態で知覚表現されたデータであるということができる。
以下、説明を容易とするため、「知覚表現」は「言語」であるものとして、説明をする。
【0018】
また、上述したように、本サービスにはブロックチェーン技術が用いられている。一般に、ブロックチェーンという単語は、分散型台帳技術や分散型ネットワークを意味し得る。即ち、ブロックチェーンの単語は、ブロックと呼ばれるデータがチェーンのように連結した一連のデータそのものや、それに関する技術及びネットワークを含んだ多義的な単語である。
そこで、以下、ブロックチェーンを管理する分散型ネットワークを「ブロックチェーンネットワーク」と呼び、ブロックがチェーンのように連結した一連のデータである「ブロックチェーン」と区別して呼ぶ。
即ち、「ブロックチェーン」とは、本サービスを利用して管理される1以上のデータ(例えばセンサの測定に基づくデータや、装置の制御の指示のデータ)に関する各種情報(データそのものやメタデータ、ハッシュ値といった健全性の検証に係るデータ等)が含まれた「ブロック」がチェーンのように連結した一連のデータである。
【0019】
まず、本サービスにおけるブロックチェーンネットワークBCNにおける各種ノードの機能について説明する。
【0020】
ブロックチェーンネットワークBNCは、複数のノードにより構成され、少なくとも1つのノードはクラウド上に存在する。
図1の例において、4台のBCフルノード5-1乃至5-4の夫々が、クラウド上のフルノードとして夫々機能する。ここで、「フルノード」とは、ブロックの生成に係る計算処理機能や、ブロックチェーンのデータそのものの記憶機能といったブロックチェーンにおけるノードとしての全機能を提供する情報処理装置(ノード)である。
BCフルノード5-1乃至5-4は、相互に通信を行うブロックチェーンネットワークBCNを形成している。
【0021】
図1の例において、3台の入力セル2-1及び2-2並びに出力セル3-1に夫々備えられたBCウルトラライトノードが夫々機能する。ここで、「ウルトラライトノード」とは、ブロックの生成に係る計算処理機能や、ブロックチェーンのデータそのものの記憶機能を提供せず、ブロックチェーンネットワークBNCとの間でのデータの授受機能といった極めて一部の機能を提供する情報処理装置(ノード)である。ウルトラライトノードは、実現するために必要な計算資源等が少ないため、上述の機能を提供するチップやプログラムの一部又は全部として実装される。しかしながら、別個の情報処理装置として実装されてもよい。
【0022】
なお、図示はしないが、ノードには、ライトノードが含まれていてもよい。ここで、「ライトノード」とは、フルノードとしては機能しないものの、ブロックの生成に係る計算処理機能や、ブロックチェーンのデータそのものの記憶機能の一部を担うノードである。
【0023】
入力セル2-1及び2-2並びに出力セル3-1に備えられたBCウルトラライトノードは、専用線を介してクラウドに接続されることで、BCフルノード5-1乃至5-4と通信を行う。
即ち、
図1の例では、4台のBCフルノード5-1乃至5-4及び3台のBCウルトラライトノードの総計7台が、7つのノードの夫々として機能することで、ブロックチェーンネットワークBNCが構成される。
【0024】
ここで、専用線とは、特定の利用者専用の通信回線である。
例えば、専用線における通信は、信頼されていない情報処理装置等も含んで構成されたネットワーク(例えば、インターネット)から隔離される。即ち、専用線で接続された情報処理装置同士の間の通信は、悪意を持った第三者等により盗聴や傍受される可能性が低い。即ち、本サービスは、専用線を介して利用されるため、第三者等により盗聴や傍受される可能性が低い状態で提供される。なお、専用線は、物理的にインターネット等から隔離されているものでなくてもよい。即ち例えば、VPN(Virtual Private Network)の技術を用いた仮想的な専用線も、上述の専用線として採用され得る。
【0025】
以上、
図1を用いて、本サービスにおける情報処理システムの構成の一例を説明した。
以下、
図1を用いて、ステップST11乃至ST19に沿って本サービスにおける情報処理の流れの詳細について、説明する。
【0026】
ステップST11において、入力セル2-1のセンサの測定結果として、「温度上昇」している旨及び「湿度上昇」している旨を示す数値データが取得される。具体的には例えば、温度が経時的に20度から40度まで上昇しているという数値データ(デジタル信号)や湿度が経時的に50%から80%まで上昇しているという数値データ(デジタル信号)が取得される。
【0027】
ステップST12において、入力セル2-1の自律分散チップCPが有する言語変換AIは、デジタル信号を言語に変換する。具体的には例えば、温度が経時的に20度から40度まで上昇しているという数値データ(デジタル信号)や湿度が経時的に50%から80%まで上昇しているという数値データ(デジタル信号)が、「暑い」という言語データに変換される。
【0028】
ステップST13において、入力セル2-1の自律分散チップCPが有するBCウルトラライトノードは、「暑い」という言語データを、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理させる。具体的には例えば、BCフルノード5-1に対して、「暑い」という言語データを、ブロックチェーン技術におけるトランザクションの一部として送信することで、管理させる。このとき、入力セル2-1の自律分散チップCPが有するBCウルトラライトノードは、暗号化された言語データを、ブロックチェーンネットワークBNCを用いて管理させる。
【0029】
なお、図示はしないが、入力セル2-2においても、上述のステップST11乃至ST13の処理が実行される。
具体的には例えば、入力セル2-2のセンサの測定結果として、熱源が多数ある旨を示すデータが取得される。具体的には例えば、熱源が多数ある旨を示すデータとして、赤外線サーモグラフィのデータが取得される。
また例えば、入力セル2-2の自律分散チップCPが有する言語変換AIは、熱源が多数ある旨を示すデータを、「人が多い」という言語データに変換する。
また例えば、入力セル2-2の自律分散チップCPが有するBCウルトラライトノードは、暗号化された「人が多い」という言語データを、ブロックチェーンネットワークBNCを用いて管理させる。
【0030】
ステップST14において、サーバ1は、ブロックチェーンネットワークBNCを用いて管理された暗号化された言語データを復号して取得する。
ステップST15において、サーバ1は、取得した言語データに基づいて、制御指示の内容を判断した結果を、ブロックチェーンネットワークBNCを用いて管理させる。
具体的には例えば、サーバ1は、「暑い」及び「人が多い」という言語データを入力データとして自然言語処理を行うAIとして教育済みの中央AI61を用いて、「全体的に、強めに温度下げる」という制御指示の言語データを出力データとして生成する。サーバ1は、生成された「全体的に、強めに温度下げる」という制御指示を、ブロックチェーンネットワークBNCを用いて管理させる。このとき、サーバ1は、暗号化された制御指示を、ブロックチェーンネットワークBNCを用いて管理させる。
【0031】
ステップST16において、出力セル3-1の自律分散チップCPが有するBCウルトラライトノードは、ブロックチェーンネットワークBNCを用いて管理された暗号化された制御指示を取得する。
【0032】
ステップST17において、出力セル3-1の自律分散チップCPが有するファームウェアは、暗号化された制御指示を復号する。そして、出力セル3-1の自律分散チップCPが有する言語変換AIは、制御装置の具体的な制御内容としてデジタル信号に変換する。
具体的には例えば、出力セル3-1の自律分散チップCPが有する言語変換AIは、「全体的に強めに温度下げる」という制御指示に基づいて、エアコン冷房の「出力向上」をさせ、「風向き全方向」とする制御装置の動作を行わせるデジタル信号に変換する。即ち例えば、出力セル3-1の自律分散チップCPが有する言語変換AIは、エアコン冷房を操作するアクチュエータの動作させるデジタルデータの制御信号(デジタル信号)を出力する。
なお、図示はしないが、出力セル3-1の自律分散チップCPが有するBCウルトラライトノードは、エアコン冷房の「出力向上」をさせ「風向き全方向」とする制御装置の動作も、ブロックチェーンネットワークBNCを用いて管理させることができる。
【0033】
ステップST18において、アクチュエータ(制御装置の一例)は、「出力向上」及び「出力全方位」というエアコン冷房を操作するアクチュエータの動作させるデジタルデータの制御信号(デジタル信号)に応じて駆動する。その結果、アクチュエータ(制御装置の一例)は、中央AI61の「全体的に強めに温度下げる」という制御指示に応じた、動作をする。
これにより、「温度上昇」、「湿度上昇」及び「熱源多数」等のセンサの測定結果に基づいて、図示せぬエアコン冷房の「出力向上」及び「出力全方位」の設定がなされて環境が改善する。
【0034】
ステップST19において、確認端末4は、ブロックチェーンネットワークBNCを用いて管理された情報を、設備(工場等)の管理者に提示することができる。即ち、設備(工場等)の管理者は、確認端末4に提示された、センサにより取得された「温度上昇」、「湿度上昇」、「熱源多数」等のセンサの測定結果、「暑い」、「人が多い」等の入力データ(言語データ)、「全体的に強めに温度下げる」という制御指示の出力データ(言語データ)、エアコン冷房の「出力向上」をさせ「風向き全方向」とする制御装置の動作を確認することができる。これらは、ブロックチェーンネットワークBNCを用いて管理されているため、改竄等のされていない入力や出力の経緯として、設備(工場等)の管理者に提示される。
【0035】
上述したような構成及び動作により、本サービスは、以下のような特徴を有する。
第1に、言語で教育済みの既存のAIを、中央AI61として採用することができる。
即ち、本サービスでは、中央AI61として、言語で教育済みの既存のAIを、利用可能なため、全体として開発コストや運用コストを削減することができる。
具体的には、新たに設備にこのようなシステムを構築する場合、設備毎に、利用するセンサは異なり、前提となる環境も異なるため、センサの測定結果が取るべき値も異なるため、設備に応じてAIを学習等させる必要がある。
しかしながら、「暑い」、「人が多い」等の入力データ(言語データ)、「全体的に強めに温度下げる」という制御指示の出力データ(言語データ)を生成する自然言語処理が可能なAIは、多くの目的で用いられるため、様々な開発が進んでいる。そのため、このような自然言語処理が可能なAIは、精度が向上するとともにコストが低くなってきているのが現状である。
そのため、本サービスでは、全体として開発コストや運用コストを削減することができる。
【0036】
第2に、エッジ側でAI処理をするため、中央AI61を用いた処理の負担が軽減される。
即ち、本サービスでは、入力セル2-1及び2-2(エッジ側)において、センサの測定結果を言語データ(知覚表現の一例)に変換する処理が行われ、出力セル3-1(エッジ側)において、言語データ(制御指示の出力データ)を制御装置の具体的な制御内容としてデジタル信号に変換する処理が行われる。
換言すれば、中央AI61は、これらの処理を行う必要がないため、負担が軽減されている。即ち、AI処理の分散処理が実現されているといえる。また、この分散処理の効果は、エッジ側の入力セルや出力セルの数が増加するほど顕著なものとなる。
【0037】
第3に、本サービスでは、ブロックチェーンネットワークBNCを用いてデータを保証するため、安全なAIシステムが実現される。
即ち例えば、ブロックチェーンネットワークBNCを用いないシステムにおいては、入力セル2-1に成りすまして「温度低下」という言語データを中央AI61に入力することにより、誤った制御指示が出力される可能性がある。
本サービスでは、ブロックチェーンネットワークBNCを用いてデータを保証するため、このような入力セル2-1への成りすましが不可能となり、安全なAIシステムが実現される。
【0038】
以上、
図1を用いて、本サービスの概要を説明した。
以下、
図2乃至
図4を用いて、本サービスの
図1に示すサービスを提供する際に適用される情報処理システムについて説明する。
図2は、
図1に示すサービスを提供する際に適用される本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【0039】
即ち、
図2に示す情報処理システムの構成例は、
図1の本サービスの情報処理装置のより一般的なシステム構成である。
【0040】
サーバ1は、サービス提供者Sにより管理される情報処理装置である。サーバ1は、入力セル2-1乃至2-N(Nは1以上の整数値)、出力セル3-1乃至3-M(MはNとは独立した1以上の整数値)、確認端末4、BCフルノード5-1乃至5-L(LはN及びMとは独立した1以上の整数値)と適宜通信をしながら、本サービスを実現するための各種処理を実行する。
【0041】
入力セル2-1乃至2-Nは、1以上のセンサと自律分散チップCPとを備える情報処理装置である。また、N個の入力セル2-1乃至2-Nのうち1つを図示して説明するとき、「入力セル2-p」(pは1以上N以下の整数値)を用いる。
【0042】
出力セル3-1乃至3-Mは、1以上の制御装置と自律分散チップCPとを備える情報処理装置である。また、M個の出力セル3-1乃至3-Mのうち1つを図示して説明するとき、「出力セル3-q」(qは1以上M以下の整数値)を用いる。
【0043】
確認端末4は、施設(工場等)の管理担当者が、ブロックチェーンネットワークBNCを用いて管理された情報を確認するために操作する情報処理装置である。なお、
図2において1台の確認端末4が図示されているが、確認端末4の台数は任意である。
【0044】
BCフルノード5-1乃至5-Lは、ブロックの生成に係る計算処理機能や、ブロックチェーンのデータそのものの記憶機能といったブロックチェーンにおけるノードとしての全機能を提供する情報処理装置(ノード)である。
図2の例のBCフルノード5-1乃至5-Lは、クラウドC上に存在する。
【0045】
図3は、
図2に示す情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0047】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0048】
CPU11、ROM12、及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0049】
入力部16は、例えばキーボード等により構成され、各種情報を入力する。
出力部17は、液晶等のディスプレイやスピーカ等により構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(例えば
図2の入力セル2-1乃至2-N、出力セル3-1乃至3-M、確認端末4、BCフルノード5-1乃至5-L)との間で通信を行う。
【0050】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0051】
なお、図示はしないが、
図2の入力セル2-1乃至2-N、出力セル3-1乃至3-M、確認端末4、BCフルノード5-1乃至5-Lも、
図3に示すハードウェア構成と基本的に同様の構成を有することができる。したがって、入力セル2-1乃至2-N、出力セル3-1乃至3-M、確認端末4、BCフルノード5-1乃至5-Lのハードウェア構成についての説明は省略する。
ただし、入力セル2-1乃至2-Nは、
図1に示すように、入力部として、センサを備えている。また、入力セル2-1乃至2-Nは、CPU、ROM、RAM等の一部又は全部を、自律分散チップCPとして有している。
同様に、出力セル3-1乃至3-Mは、
図1に示すように、出力部として、制御装置(例えばアクチュエータ)を備えている。また、出力セル3-1乃至3-Mは、CPU、ROM、RAM等の一部又は全部を、自律分散チップCPとして有している。
【0052】
このような
図3のサーバ1の各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、各種処理の実行が可能になる。その結果、上述の本サービスを提供することができる。
以下、
図2の情報処理システムのうち
図3のサーバ1を含む情報処理システムの機能的構成について説明する。
【0053】
図4は、
図3のハードウェア構成のサーバを含む情報処理システムの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0054】
図4に示すように、サーバ1のCPU11においては、処理実行部51が機能する。また、記憶部18には、中央AI61のモデルが記憶されている。
【0055】
入力セル2-pにおいては、自律分散チップCPとして、モデル管理部71と、言語変換AI72と、再学習実行部73と、センサ74が機能する。入力セル2-pは、入力部として、センサ74を有している。また、入力セル2-pの記憶部には、言語変換AIモデル75が記憶されている。
【0056】
出力セル3-qにおいては、自律分散チップCPとして、モデル管理部81と、逆言語変換AI82と、制御部83と、再学習実行部84とが機能する。出力セル3-1は、出力部として、アクチュエータ85を有している。また、出力セル3-qの記憶部には、言語変換AIモデル85が記憶されている。
【0057】
処理実行部51は、1以上の入力セル2-pから入力言語データを入力データとして取得して、入力データを用いる所定の処理を実行して、その処理の実行結果を示す1以上の出力言語データを出力データとして出力する。
処理実行部51は、ブロックチェーンネットワークBNCを用いて記憶されている入力データを取得する。
【0058】
モデル管理部71は、センサ74の測定結果を示す信号を入力して、言語データに変換して出力する言語変換AIモデル75を記憶部に記憶させて管理する。
具体的には例えば、モデル管理部71は、温度や湿度、サーモグラフィといった詮索の測定結果に基づいて、「温度上昇」、「湿度上昇」、「人が多い」等の言語データに変換して出力する。
【0059】
言語変換AI72は、実世界の所定の物理量を検出するセンサ74から出力された、当該所定の物理量を示す信号を取得して言語変換AIモデル75に入力させ、当該モデルから出力された言語データを、サーバ1の入力言語データの少なくとも一部として出力する。
【0060】
再学習実行部73は、モデルを更新するための再学習を実行する。
【0061】
入力セル2-pのBCウルトラライトノードは、言語変換AI72から出力された、入力言語後データの少なくとも一部を、ブロックチェーンネットワークBNCを用いて記憶させる。
【0062】
モデル管理部81、言語データを入力して、所定の物理量に変換して出力する逆言語変換AIモデル86を所定の記憶媒体に記憶させて管理する。
【0063】
出力セル3-qのBCウルトラライトノードは、ブロックチェーンネットワークBNCを用いて記憶されている出力言語データを取得して、逆言語変換AI82に提供する。
逆言語変換AI82は、サーバ1から出力された出力データを構成する1以上の言語表現データの少なくとも一部を取得して逆言語変換AIモデル86に入力させ、当該モデルから物理量を示す信号出力させる。
【0064】
指示制御部83は、当該モデルから出力された物理量を示す信号を、指示信号としてアクチュエータ85に入力させることで、アクチュエータ85を制御する。
【0065】
再学習実行部84は、モデルを更新するための再学習を実行する。
【0066】
なお、再学習実行部73及び再学習実行部84による再学習の例は、後述する。
このような機能的構成により、本サービスの情報処理システムは、
図1等を用いて説明した各処理を実行することができる。
【0067】
さらに、本実施形態の情報処理システムは、以下に示すように活用することができる。
以下、
図5及び
図6を用いて、本情報処理システムの適用し、構内に配置された複数の装置の監視に用い例について説明する。
図5は、
図1に示すサービスを構内に配置された装置の管理に用いる例を示す図である。
図5の例において、構内には、4つの装置A1乃至A4が配置されている。即ち例えば、装置A1乃至A4は、工場の構内に配置された、製造ラインの各装置である。
【0068】
そして、装置A1には、入力セル2-1が配置されている。これは、例えば、製造ラインの装置A1に関するある事象を入力セル2-1のセンサで測定している様子を示している。具体的には例えば、センサは、装置A1の所定箇所の温度や、装置A1に入れられる材料の重量等、任意の物理量を測定する。
【0069】
また、装置A2には、入力セル2-2及び2-3が配置されている。これは、2つの入力セル2-2及び2-3のセンサにより、1つの装置A2の2つの物理量を測定している様子を示している。即ち、装置A1では、1つの入力セル2-1のセンサで1つの装置A1の物理量を測定していたが、1つの装置に対して複数の入力セルを配置できる。
【0070】
また、装置A3の内部には、入力セル2-4が配置されている。これは、入力セル2-4は、装置A3に内蔵されており、入力セル2-4のセンサで装置A3の物理量を測定している様子をしめしている。
【0071】
また、装置A4の内部には、入力セル2-5及び2-6が配置されている。これは、2つの入力セル2-5及び2-6は、1つの装置A4に内蔵されており、2つの入力セル2-5及び2-6のセンサで装置A4の物理量を測定している様子を示している。
【0072】
そして、各入力セル2-1乃至2-6は、センサにより測定されたデータを言語データに変換して、エッジサーバEDSに送信する。このようにして、構内の複数の各装置A1乃至A4のデータが収集される。
【0073】
これにより、構内で使われる各種装置(例えば、製造ロボット(ライン)・室温制御・照明制御など)の稼働状況から故障検出・故障予測等が可能となる。更に言えば、
図5に示す構内(例えば、工場・病院・マンションなど)の無人監視が可能となる。
上述したように、従来の監視システムでは、事故等が発生し、多くのセンサから一度にデータ(異常値)が送信された場合、中央監視装置では順次処理を行うためにユーザ(例えば監視員)への警報出力や非常設備の稼働(例えばスプリンクラーによる消火)などの対処までにかなりの時間を有することがあった。
【0074】
これに対し、本情報処理システムでは、各入力セルが言語データに変換するため、処理の分散が行われ、全体として高速に対応することができる。
【0075】
更に言えば、中央AI61による制御指示を介さずに処理することにより、更に高速に対処をすることもできる。
図6は、
図5の構内におけるより高速な対処を行う際の情報処理の流れの例を示す図である。
図6に示す例では、入力セル2-pから出力セル3-qに対して言語データが提供されている。即ち、入力セル2-pからの言語データは、中央AI61を介さず、出力セル3-qに提供されてもよい。
入力セル2-pや出力セル3-qは、以下に示す基本ロジックを有すると好適である。
【0076】
第1に、入力セル2-pや出力セル3-qは、「個性確立ロジック」を有すると好適である。
即ち、「個性確立ロジック」とは、入力セル2-pや出力セル3-q毎に、センサの測定対象等毎に応じて個別に備えられ、確率されたロジック処理のアルゴリズムである。
即ち例えば、モータなど駆動装置は製造上のバラツキや経年経過での個別劣化がある。具体的には例えば、同一型式のモータであっても、1000rpm(回転毎分)で振動を起し異常過熱を起すモータもあれば、2000rpmでも正常回転しているものもある。
それぞれのモータに付けられたそれぞれのセンサにより、様々な要素(物理量)を速成する入力セル2-pの夫々は、個別に自分が管理するモータの個性を学習していき、自分がどこまでが正常ラインなのかを自身でリミッタを設定することができる。そして、入力セル2-pは、自身で個々に設定したリミッタを超えた際に、「モータ回転数異常」といった言語データを提供することができる。
なお、モータ以外の制御基板の安定稼働温度等についても、同様に個性確立ロジックを適用することができる。
【0077】
第2に、入力セル2-pや出力セル3-qは、「他者比較学習ロジック」を有すると好適である。
即ち、「他者比較学習ロジック」とは、自身が管理する装置が他の装置に対してどのような個性があるのかを、他のセルとの情報の授受した結果に基づいて把握するアルゴリズムである。具体的には、入力セル2-pや出力セル3-qは、自身が管理する装置(センサの測定対象や、制御装置を介して制御する対象)は他の装置に対してどのような個性が有るのかを、他のセルとデータを共有することで、把握できる。これにより、共有するデータによって出力情報を補正することができる。
即ち、入力セル2-pの言語変換AIモデル75は、再学習実行部73により、他の入力セルからの言語データに基づいて、再学習処理を実行する。即ち例えば、
図1の例を用いて説明すると、「人が少ない」という言語データを出力した際、他の入力セル2-2を始めとする多数の入力セルは「人が多い」という言語データを出力していたとする。このとき、センサの監視対象となる領域が同一であるにもかかわらず、入力セル2-pは「人が少ない」という言語データを出力していたとする。このようなとき、入力セル2-pの再学習実行部73は、より「人が多い」という出力をしやすくなるように、再学習処理を行うことができる。
このように、入力セル2-pは、他の入力セル(他者)により出力される言語データに基づいて(比較して)、学習することができるのである。
【0078】
第3に、入力セル2-pや出力セル3-qは、「意識・意思伝達ロジック」を有すると好適である。
「意識・意思伝達ロジック」とは、入力セル2-pの言語変換AIが、通常のセンサ出力のデジタルデータに加えて人間の言葉による意識や意思といった言葉を同時に出力するロジックアルゴリズムである。
具体的には例えば、入力セル2-pの言語変換AI72は、「少し暑いです」、「かなりの振動を感じます」、「危険な状況です」等の言語データを出力する。この言語データにより、既存の言語入力AIである中央AI61に直接把握させることで、中央AI61による思考・判断を仰ぐことができる。
即ち、緊急を要する場合、
図6のエッジサーバEDSは、構外のサーバ1(
図6に図示せぬ、
図4等のサーバ1)へ通知すると同時に、郊外のサーバ1による上位の判断結果を待たずに対処処理を行うことができる。
【0079】
第4に、入力セル2-pや出力セル3-qは、「自己対処ロジック」を有すると好適である。
本情報処理システムは中央監視装置の判断を仰ぐまでもない場合、例えば、明確な異常が検知された場合には、エッジサーバEDSや図示せぬサーバ1の応答を待たずに、対処をすることができる。具体的には例えば、入力セル2-pが、「温度上昇」ではなく、「火災発生」と言語データを出力した場合、その言語データは、出力セル3-qに提供され、警報を鳴動させたり、局部的なスプリンクラの起動をすることができる。
即ち、本情報処理システムは、中央AI61を人間でいう脳に見立てた場合、脳での判断を待たずに対処する反射ともいえる対応が可能となるのである。
これにより、高速な対処を行う際の情報処理が実現される。
【0080】
第5に、入力セル2-pや出力セル3-qは、「倫理ロジック」を有すると好適である。
即ち、倫理路ロジックにより、エッジサーバEDSや構外の図示せぬサーバ1は、トータル的な予測や判断を行い制御指示のための出力言語データを出力するとともに、各セルに教育を行うことができる。
即ち、入力セル2-pの言語変換AIモデル75は、再学習実行部73により、中央AI61からの出力言語データ等に基づいて、再学習処理を実行する。このような学習により、入力セル2-pは、「温度上昇」ではなく、「火災発生」といった、より上位の言語データの出力が可能となる。これにより、入力セル2-pでの処理段階に応じて、入力セル2-pが個別に判断して対処を瞬間的に行えるので大事故を未然に防ぐことができようになる。
即ち、これにより、高速な対処を行う際の情報処理が実現される。
【0081】
このように、本情報処理システムの入力セル2-pや出力セル3-qは、アイデンティティの概念をITで実現するものであり、「自律分散型AIブロックチェーンセル」とも呼べるものとなっているのである。
【0082】
さらに、本情報処理システムの入力セル2-pや出力セル3-qは、「自律分散型AIブロックチェーンセル」として、自律的に処理内容を判断したり、中央AI61から処理内容の指示の請求をすることができる。
図7は、
図4の機能的構成の入力セルにおいて、自律的に処理内容を確立させる流れの例を示す図である。
【0083】
ステップST21に示すように、
図7に示す入力セル2-1は、第1のセンサからの温度の情報、第2のセンサからの湿度の情報を取得している。
このとき、入力セル2-1の自律分散型チップは、センサから取得される情報に基づいて、当該入力セル2-1の「使命」を自律的に認識する。
ここで、使命とは、その入力セル2-1がなすべき処理内容のことをいい、温度の情報及び湿度の情報からどのような言語データを出力する処理を行うべきか、という具体的処理内容のことをいう。
即ち例えば、入力セル2-1は、データ形式に基づいて、取得されたデータが温度及び湿度の情報である旨を識別し、その使命が温度(湿度)環境を判定することであると判断する。
入力セル2-2においても同様に、センサから熱感(サーモグラフィのデータ等)が取得された結果、入力セル2-2は、その使命が熱源の密度(
図1の例においては特に人の密度)を判定することであると判断する。
このように、入力セル2-1及び2-2は、自身の使命を自律的に認識することができる。
【0084】
ステップST22に示すように、入力セル2-1及び2-2は、セル自身の使命を中央AI61に送信する。
【0085】
ステップST23に示すように、中央AI61は、各セルから送信されてきた使命を統合判断して、各セルの使命が妥当かを判断することができる。
中央AI61は、各セルが自律的に認識した使命が妥当か否かを判断する。そして、中央セルAI61は、各セルが自律的に認識した使命が妥当でない場合、(正しい)使命の情報を送信する。
ここで補足すると、中央AI61は、上述の説明における入力言語データから出力言語データを出力するための判断処理以外にも各種判断処理を行うことができるものである。具体的には例えば、設備の全体像と、入力セル2-pの配置予定情報等が予め記憶されており、入力セルからの情報と統合判断するといった処理を行うことができる。
【0086】
ステップST24に示すように、自律的に認識した使命と、中央セルAI61から送信されてきた(正しい)使命の情報と、を比較して、セル自身の使命を最終決定する。
そして、入力セル2-1及び2-2は、最終決定された使命に基づいて、以後の処理を実行する。
【0087】
上述をまとめると、入力セル2-1及び2-2は、センサからの情報に基づいて、自身使命を認識することができる。
これにより、入力セル2-1及び2-2の個性が確立され、そのセンサ専用のセルとして動作をする。
また、センサと接続詞、センサからの情報が取得された際に、入力セル2-1及び2-2は使命を認識するため、入力セル2-1及び2-2の生産時には、個別に設定などを行わなくてもよいニュートラルな状態で出荷することができる。これにより、入力セル2-1及び2-2の生産時のコスト削減をすることができる。
【0088】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものとみなす。
【0089】
上述の実施形態では、入力セル2-pは、センサの測定値から言語データを生成するものとしたが、特にこれに限定されない。
即ち例えば、対人間用の「言語」から対機械用の「言語」に入れ替える機能を有し、センサは人間の言語による「温度上昇」を、情報処理装置において識別子が予め対応付けられている場合、「暑い」に対応する識別子への変換をするものであってもよい。
これにより、本情報処理システムに、人間の目などによるチェックの結果も入力言語データとして採用可能となる。
【0090】
また例えば、センサはマイクやカメラであってもよい。即ち例えば、言語変換AI72は、マイクにより取得された音声から人物を特定して言語データとして出力したり、その人物の感情を特定して言語データとしてもよい。また例えば、言語変換AI72は、カメラにより取得された動画内の人間のジェスチャを言語データに変換してもよい。
【0091】
上述のように、「自律分散型AIブロックチェーンセル」はセンサの機能により、温度・湿度・圧力・振動・高度・音圧・輝度・超音波・電圧・電流などのセンサ及びブロックチェーンに関する処理を実行可能な情報処理装置の単位である。なお、情報処理装置としたが、パーソナルコンピュータやサーバ装置に限定されず、電子部品であるチップとして実現することができる。これにより、従来の各種デバイスに容易に組み込むことが可能となる。
【0092】
例えば、
図2に示すシステム構成、及び
図3に示すサーバ1のハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0093】
また、
図4に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が
図2の情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロック及びデータベースを用いるのかは、特に
図4の例に限定されない。
【0094】
また、機能ブロックの存在場所も、
図5に限定されず、任意でよい。
例えばサーバ1側に配置された機能ブロックの少なくとも一部を、他の情報処理装置が備える構成としてもよい。
【0095】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0096】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0097】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0098】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0099】
以上をまとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
【0100】
入力データを用いる所定の処理を実行する中央装置(サーバ1)と、前記入力データの少なくとも一部を前記主情報処理装置に提供する1以上の第1種周辺装置(入力セル2)とを含む情報処理システムにおいて、
前記中央装置は、
1以上の知覚表現データ(
図4の入力言語データ)を入力データとして取得して、当該入力データを用いる所定の処理を実行して、その処理の実行結果を示す1以上の知覚表現データを出力データとして出力する処理実行手段(処理実行部51)、
を備え、
1以上の第1種周辺装置の夫々は、
所定の物理量を示す信号(例えば、温度のデータに対応する信号)を入力して、前記知覚表現データ(例えば、明細書における温度上昇)に変換して出力するモデル(例えば、言語変換AIモデル86)を所定の記憶媒体に記憶させて管理するモデル管理手段(モデル管理部71)と、
実世界の所定の物理量を検出するセンサ(例えば、
図4のセンサ74)から出力された、当該所定の物理量(例えば温度)を示す信号を取得して前記モデルに入力させ、当該モデルから出力された前記知覚表現データ(例えば、温度上昇)を、前記中央装置の前記入力データの少なくとも一部として出力する変換手段(言語変換AI73)と、
を備えれば足りる。
【0101】
前記情報処理システムは、所定の制御対象を制御する1以上の第2種周辺装(出力セル3)置をさらに含み、
前記1以上の第2種周辺装置の夫々は、
前記知覚表現データを入力して、所定の物理量に変換して出力するモデルを所定の記憶媒体に記憶させて管理するモデル管理手段(モデル管理部81)と、
前記中央装置から出力された出力データを構成する前記1以上の知覚表現データの少なくとも一部を取得して前記モデルに入力させ、当該モデルから出力された前記所定の物理量を示す信号を、指示信号として前記所定の制御対象に入力させることで、当該所定の制御対象を制御する制御手段(逆言語変換AI82及び指示制御部83)と、
を備える、ことができる。
【0102】
前記1以上の第1種周辺装置の夫々は、
前記モデルを更新するための再学習を実行する第1種再学習実行手段(例えば
図4の再学習実行部73)、
をさらに備え、
前記1以上の第2種周辺装置の夫々は、
前記モデルを更新するための再学習を実行する第2種再学習実行手段(例えば
図4の再学習実行部84)、
をさらに備える、ことができる。
【0103】
前記第1種周辺装置は、
前記変換手段から出力された、前記第1情報処理装置の前記入力データの少なくとも一部を、ブロックチェーン又は分散型管理台帳の技術を用いて記憶させる第1種周辺記憶制御手段(例えば
図1のBCウルトラライトノード)、
をさらに備え、
前記中央装置は、
前記ブロックチェーン又は分散型管理台帳の技術を用いて記憶されている前記入力データを取得して前記処理実行手段に提供する入力データ取得手段(例えば
図4の処理実行部51)と、
前記処理実行手段から出力された前記出力データを、前記ブロックチェーン又は前記分散型管理台帳の技術を用いて記憶させる中央記憶制御手段(例えば
図1のBCウルトラライトノード)、
をさらに備え、
前記第2種周辺装置は、
前記ブロックチェーン又は分散型管理台帳の技術を用いて記憶されている前記出力データを取得して前記制御手段に提供する出力データ取得手段、
をさらに備える、
請求項2又は3に記載の情報処理システム。
【符号の説明】
【0104】
11・・・サーバ、2・・・入力セル、3・・・出力セル、4・・・確認端末、5・・・ブロックチェーンフルノード、11・・・CPU、20・・・ドライブ、31・・・リムーバブルメディア、51・・・処理実行部、61・・・中央AI、71・・・モデル管理部、72・・・言語変換AI、73・・・再学習実行部、74・・・センサ、
75・・・言語変換AIモデル、81・・・モデル管理部、82・・・逆言語変換AI、83・・・制御部、84・・・再学習実行部、85・・・アクチュエータ、86・・・逆言語変換AIモデル