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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163926
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】非接触電力伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/14 20060101AFI20231102BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20231102BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231102BHJP
   B60M 7/00 20060101ALN20231102BHJP
   B60L 5/00 20060101ALN20231102BHJP
   B60L 53/12 20190101ALN20231102BHJP
【FI】
H01F38/14
H02J50/12
H02J7/00 301D
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075158
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】木村 統公
(72)【発明者】
【氏名】橋本 眞
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智清
(72)【発明者】
【氏名】木村 和峰
(72)【発明者】
【氏名】金▲崎▼ 正樹
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503GB06
5G503GB08
5G503GD06
5H105BB05
5H105DD10
5H105EE12
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC27
5H125DD02
5H125FF15
(57)【要約】
【課題】送電コイル及び受電コイルの体格増加を抑制しつつ、漏洩磁界を良好に低減することが可能な非接触電力伝送システムを実現する。
【解決手段】送電コイル111から受電コイル211に非接触で電力を伝送する非接触電力伝送システム10は、送電コイル111及び受電コイル211のそれぞれは、水平方向に隣りあって配置する一対のコイルであるコイル部と、コイル部のそれぞれのコイルが発生する磁界を誘導する一対のコアであるコア部とを含み、コイル部のそれぞれのコイルは、水平面で巻回された形状であって、電流によって発生する磁界の向きが互いに逆方向になるように構成されており、コア部のそれぞれのコアは、コイル部のそれぞれのコイルと一体的であって、距離を空けて配置されており、コア部のそれぞれのコアには、一対のコイルのそれぞれから等距離にある中心線を対称軸として略線対称となる位置に、当該コアを分割するコア溝が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電コイルから受電コイルに非接触で電力を伝送する非接触電力伝送システムであって、
前記送電コイル及び前記受電コイルのそれぞれは、水平方向に隣りあって配置する一対のコイルであるコイル部と、前記コイル部のそれぞれの前記コイルが発生する磁界を誘導する一対のコアであるコア部と、を含み、
前記コイル部のそれぞれの前記コイルは、水平面で巻回された形状であって、電流によって発生する磁界の向きが互いに逆方向になるように構成されており、
前記コア部のそれぞれの前記コアは、前記コイル部のそれぞれの前記コイルと一体的であって、距離を空けて配置されており、
前記コア部のそれぞれの前記コアには、一対の前記コイルのそれぞれから等距離にある中心線を対称軸として略線対称となる位置に、当該コアを分割するコア溝が設けられている、非接触電力伝送システム。
【請求項2】
前記コアにおける第1面側に配置された前記コイルからの引き出し線は、前記コア溝を通じて、当該コアにおける前記第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出される、請求項1に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項3】
送電コイルから受電コイルに非接触で電力を伝送する非接触電力伝送システムであって、
前記送電コイル及び前記受電コイルのそれぞれは、水平方向に隣りあって配置する一対のコイルであるコイル部と、前記コイル部のそれぞれの前記コイルが発生する磁界を誘導する一対のコアであるコア部と、前記コア部の前記コイル部が設けられる面側とは反対側の面側に配置されるシールド部と、を含み、
前記コイル部のそれぞれの前記コイルは、水平面で巻回された形状であって、電流によって発生する磁界の向きが互いに逆方向になるように構成されており、
前記コア部のそれぞれの前記コアは、前記コイル部のそれぞれの前記コイルと一体的であって、距離を空けて配置されており、
前記コイルからの引き出し線は、距離を空けて配置された一対の前記コアの間に露出した前記シールド部に設けられた穴を通じて、当該コアが設けられた前記シールド部の第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出される、非接触電力伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触電力伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
送電コイルから受電コイルに非接触で電力を伝送する非接触電力伝送システムでは、送受電間の結合係数の低下を抑制するための様々な技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に示すように、厚さ方向に配列する第1主表面および第2主表面を含み板状に形成されているフェライトと、第1主表面に配置されているコイルと、を備える受電装置及び送電装置において、コイルの周方向における切欠部の幅が、前記受電コイルの中空部から離れる方向に向かうにつれて大きくすることが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6332252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非接触電力伝送システムでは、送電コイルが発生する磁界のうち受電コイルに鎖交しない磁界である漏洩磁界の拡がりが大きくなると、結合係数の低下を招くだけではなく、周囲の環境に影響を与えてしまうおそれもある。また、送電コイル及び受電コイルの体格増加の抑制も重要な課題である。したがって、送電コイル及び受電コイルの体格増加を抑制しつつ、漏洩磁界を良好に低減することが可能な非接触電力伝送システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の要旨は以下の通りである。
【0007】
(1)送電コイルから受電コイルに非接触で電力を伝送する非接触電力伝送システムであって、
前記送電コイル及び前記受電コイルのそれぞれは、水平方向に隣りあって配置する一対のコイルであるコイル部と、前記コイル部のそれぞれの前記コイルが発生する磁界を誘導する一対のコアであるコア部と、を含み、
前記コイル部のそれぞれの前記コイルは、水平面で巻回された形状であって、電流によって発生する磁界の向きが互いに逆方向になるように構成されており、
前記コア部のそれぞれの前記コアは、前記コイル部のそれぞれの前記コイルと一体的であって、距離を空けて配置されており、
前記コア部のそれぞれの前記コアには、一対の前記コイルのそれぞれから等距離にある中心線を対称軸として略線対称となる位置に、当該コアを分割するコア溝が設けられている、非接触電力伝送システム。
(2)前記コアにおける第1面側に配置された前記コイルからの引き出し線は、前記コア溝を通じて、当該コアにおける前記第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出される、上記(1)に記載の非接触電力伝送システム。
(3)送電コイルから受電コイルに非接触で電力を伝送する非接触電力伝送システムであって、
前記送電コイル及び前記受電コイルのそれぞれは、水平方向に隣りあって配置する一対のコイルであるコイル部と、前記コイル部のそれぞれの前記コイルが発生する磁界を誘導する一対のコアであるコア部と、前記コア部の前記コイル部が設けられる面側とは反対側の面側に配置されるシールド部と、を含み、
前記コイル部のそれぞれの前記コイルは、水平面で巻回された形状であって、電流によって発生する磁界の向きが互いに逆方向になるように構成されており、
前記コア部のそれぞれの前記コアは、前記コイル部のそれぞれの前記コイルと一体的であって、距離を空けて配置されており、
前記コイルからの引き出し線は、距離を空けて配置された一対の前記コアの間に露出した前記シールド部に設けられた穴を通じて、当該コアが設けられた前記シールド部の第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出される、非接触電力伝送システム。
【発明の効果】
【0008】
本出願に係る発明者らは、送電コイル及び受電コイルそれぞれに含まれる一対のコイルを水平面で巻回されたサーキュラー型の形状とし、互いに距離を空けて配置される一対のコアには、一対のコイルのそれぞれから等距離にある中心線を対称軸として略線対称となる位置に、当該コアを分割するコア溝が設けられる構成とすることで、送電コイル及び受電コイルの体格増加を抑制しつつ一対のコイル間で生じる磁界不平衡を抑制して漏洩磁界を良好に低減できることを見出した。また、コアにおける第1面側に配置されたコイルからの引き出し線は、コア溝を通じて、当該コアにおける第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出される構成とすることで、一対のコイル間で生じる磁界不平衡を抑制して漏洩磁界を良好に低減できることを見出した。
【0009】
本開示によれば、送電コイル及び受電コイルの体格増加を抑制しつつ、漏洩磁界を良好に低減することが可能な非接触電力伝送システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態1及び2に係る非接触電力伝送システム10の回路構成を示す回路図である。
図2】本開示の実施形態1に係る送電回路110の構成を説明するための概念図である。
図3】本開示の実施形態1に係る受電回路210の構成を説明するための概念図である。
図4】送電回路110及び受電回路210の配置を説明するための概念図(その1)である。
図5】送電回路110及び受電回路210の配置を説明するための概念図(その2)である。
図6】本開示の実施形態1及び2に係る送電装置100の複数のインバータ130の駆動及び制御の処理の例を示すフローチャートである。
図7】比較対象1の非接触電力伝送システムの送電コイルC111の構成を示す概念図である。
図8】比較対象1の非接触電力伝送システムの受電コイルC211の構成を示す概念図である。
図9】比較対象1の送電コイルC111のコア及び本開示の実施形態1の送電コイル111のコアにおける30kW送電時のX方向(車両進行方向)の磁束密度分布を示す図である。
図10】非接触電力伝送システムにおけるX方向遠方漏洩磁界の測定点を示す図である。
図11】比較対象1の非接触電力伝送システム(図7及び図8)と本開示の実施形態1に係る非接触電力伝送システム10(図1図5)における図10に示したX方向10m地点の遠方漏洩磁界の比較結果を示す図である。
図12】比較対象2の非接触電力伝送システムの送電コイルC311の構成を示す概念図である。
図13】比較対象2の非接触電力伝送システムの受電コイルC411の構成を示す概念図である。
図14】比較対象2の送電コイルC311のコアにおける30kW送電時の磁束密度分布を示す図である。
図15】本開示の実施形態2に係る送電回路110の構成を説明するための概念図である。
図16】本開示の実施形態2に係る受電回路210の構成を説明するための概念図である。
図17】本開示の実施形態2の送電コイル111のコアにおける30kW送電時の磁束密度分布を示す図である。
図18】本開示の実施形態2の送電コイル111のコアにおける30kW送電時のX方向(車両進行方向)の磁束密度分布を示す図である。
図19】比較対象1の非接触電力伝送システム(図7及び図8)と本開示の実施形態2に係る非接触電力伝送システム10(図1図4図5図15及び図16)における図10に示したX方向10m地点の遠方漏洩磁界の比較結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面を参照して、非接触電力伝送システムについて説明する。以下に示す実施形態において各要素の個数、数量、量、範囲などの数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数が特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構成などは、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。また、各図面において、同様の部材には同様の参照符号が付けられている。また、理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。図示される形態は実施をするための1つの例であり、これらの形態に限定されるものではない。
【0012】
1.構成
1-1.回路構成
図1は、本開示の実施形態1及び2に係る非接触電力伝送システム10の回路構成を示す回路図である。本開示の実施形態1及び2に係る非接触電力伝送システム10は、送電装置100と、受電装置200と、電源300と、バッテリ400と、を含んでいる。
【0013】
送電装置100及び電源300は、典型的には、地面、路面、床面等に定置される。受電装置200及びバッテリ400は、典型的には、充電の対象となる移動体(車両、スマートフォン等)に搭載される。
【0014】
本開示の実施形態1及び2に係る非接触電力伝送システム10は、送電装置100に含まれる送電コイル111と、受電装置200に含まれる受電コイル211と、が互いに磁界共振することにより、送電コイル111から受電コイル211に電力を伝送する。つまり、磁界共振方式による電力伝送が行われる。これにより、電源300から送電装置100に供給される電力が受電装置200に伝送されることで、受電装置200はバッテリ400の充電を行う。
【0015】
なお図1には、1つの受電装置200及びバッテリ400が示されているが、充電の対象となる移動体が複数ある場合には、それぞれの移動体に図1に示す受電装置200及びバッテリ400が搭載される。そして、複数の移動体は、同一の送電装置100により電力の伝送及びバッテリ400の充電が行われてもよい。
【0016】
電源300は、送電装置100と接続し、送電装置100に電力を供給する。電源300は、3相の交流電源である。例えば、相電圧200Vの系統電源である。ただし、電源300は、単相の交流電源であってもよい。
【0017】
バッテリ400は、受電装置200と接続し、受電装置200により電力が充電される。バッテリ400は、典型的には、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の再充電可能な直流電源である。
【0018】
送電装置100は、送電回路110と、イミタンスフィルタ120と、インバータ130と、ACDCコンバータ140と、を含んでいる。送電回路110と、イミタンスフィルタ120と、インバータ130と、ACDCコンバータ140と、はそれぞれ従属接続するように構成されている。
【0019】
ACDCコンバータ140は、電源300から供給される交流電力を整流及び変圧し、インバータ130へ直流電力を出力する。ACDCコンバータ140は、典型的には、ダイオード及びコンデンサを含んだ整流回路と、半導体スイッチング素子(IGBTやMOSFET等)を含んだ昇降圧回路により構成される。ACDCコンバータ140は、図示しない制御装置により半導体スイッチング素子が制御されることで、出力電圧、駆動、及び停止の制御が行われる。制御装置は、1つまたは複数のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。制御装置は、論理演算ユニットまたは数値演算ユニットのような演算回路を更に有していてもよい。制御装置は、ソフトウェアプログラムに基づいて、各種処理を実行する。
【0020】
インバータ130は、ACDCコンバータ140から出力される直流電力を所定周波数の交流電力に変換し、イミタンスフィルタ120を介して送電回路110へ交流電力を出力する。インバータ130は、出力する交流電力の周波数が、後述する送電回路110の共振周波数と同等となるように直流電力を変換する。インバータ130が出力する交流電力の周波数(送電回路110の共振周波数)は、例えば、85kHz程度の高周波である。
【0021】
インバータ130は、典型的には、半導体スイッチング素子を含む単相フルブリッジ回路により構成される。インバータ130は、図示しない制御装置によりパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)等によるスイッチング制御が行われることで、直流電力を所定周波数の交流電力に変換する。またインバータ130は、制御装置により、駆動及び停止の制御が行われる。
【0022】
イミタンスフィルタ120は、インバータ130の出力電力の電磁ノイズを低減する。イミタンスフィルタ120は、図1に示すようにコイルとコンデンサにより構成されており、ローパスフィルタとして機能し送電装置100のインピーダンスを調整する。
【0023】
送電回路110は、送電コイル111と、コンデンサC11及びC12と、により構成される共振回路である。送電コイル111内のコイルL11及びL12は、それぞれの一端にコンデンサC11及びC12が接続している。コンデンサC11、コイルL11、コイルL12、及びコンデンサC12が、この順に直列に接続しており、送電回路110は直列共振回路となっている。コンデンサC11及びC12は、共振回路(送電回路110)のキャパシタンスを与える共振コンデンサである。コンデンサC11及びC12のキャパシタンスは同程度である。送電回路110及び送電コイル111の詳細については後述する。
【0024】
送電回路110の共振周波数は、インバータ130の出力電力の周波数と同等である。送電コイル111は、インバータ130から共振周波数で出力される電力によって、後述する受電コイル211と磁界共振する。そして、送電コイル111から受電コイル211に電力が伝送される。
【0025】
移動している移動体を対象として電力を伝送する場合、移動体の移動経路に沿って複数の送電コイル111(ひいては送電回路110)が配置される。例えば、走行している車両を対象として電力を伝送する場合、車両の走行経路に沿って複数の送電コイル111が道路上に配置される。このとき、移動体の移動に従って送電を行う送電コイル111を適切に切り替えることが必要となる。このため、送電回路110に加え、イミタンスフィルタ120、及びインバータ130が、移動経路に沿って複数配置される。一方で、ACDCコンバータ140は、出力する直流電力が複数のインバータ130それぞれに供給されればよく、複数配置しなくてもよい。
【0026】
図1では、このことを示すために、送電装置100が、送電回路110、イミタンスフィルタ120、及びインバータ130をそれぞれ複数含む場合を示している。図1に示すように、送電回路110、イミタンスフィルタ120、及びインバータ130それぞれが従属接続した複数の回路が、ACDCコンバータ140の出力端に並列に接続している。なお、複数の送電回路110、イミタンスフィルタ120、及びインバータ130それぞれは、上述する内容において説明したものと同等である。また、複数の送電回路110、イミタンスフィルタ120、及びインバータ130それぞれを区別するために、それぞれの符号に記号(A,B,・・・)を附している。ただし、本開示の実施形態1及び2に係る送電装置100は、1つの送電回路110、イミタンスフィルタ120、及びインバータ130により構成されていてもよい。
【0027】
受電装置200は、受電回路210と、イミタンスフィルタ220と、整流回路230と、平滑コンデンサC24と、を含んでいる。受電回路210と、イミタンスフィルタ220と、整流回路230と、はそれぞれ従属接続するように構成されている。平滑コンデンサC24は、整流回路の出力端に接続されている。
【0028】
受電回路210は、受電コイル211と、コンデンサC21及びC22と、により構成される共振回路である。受電コイル211内のコイルL21及びL22は、それぞれの一端にコンデンサC21及びC22が接続している。コンデンサC21、コイルL21、コイルL22、及びコンデンサC22が、この順に接続しており、受電回路210は直列共振回路となっている。コンデンサC21及びC22は、共振回路(受電回路210)のキャパシタンスを与える共振コンデンサである。コンデンサC21及びC22のキャパシタンスは同程度である。受電回路210及び受電コイル211の詳細については後述する。
【0029】
受電回路210の共振周波数は、インバータ130の出力電力の周波数(送電回路110の共振周波数)と同等である。受電コイル211は、送電コイル111と磁界共振し、送電コイル111から伝送される電力を受電する。
【0030】
イミタンスフィルタ220は、受電回路210が受電した電力の電磁ノイズを低減する。イミタンスフィルタ220は、図1に示すようにコイルとコンデンサにより構成されており、ローパスフィルタとして機能し受電装置200のインピーダンスを調整する。
【0031】
整流回路230は、受電回路210が受電した電力を直流電力に変換して出力する。整流回路230は、典型的には、単相全波整流回路である。
【0032】
平滑コンデンサC24は、整流回路230が出力する直流電力を平滑化する。平滑コンデンサC24により平滑化された直流電力が、バッテリ400の充電電力となる。
【0033】
1-2.実施形態1に係る送電回路、受電回路
1-2-1.実施形態1に係る送電回路
図2は、本開示の実施形態1に係る送電回路110の構成を説明するための概念図である。図2は、水平面(XY面)に位置する送電回路110について、鉛直方向(Z軸方向)から見た平面図と、水平縦方向(X軸方向)から見た側面図と、斜視図とを示している。送電回路110は、上述したように、送電コイル111と、コンデンサC11及びC12と、により構成される共振回路である。
【0034】
送電コイル111は、一対のコイルである第1コイル部(コイルL11及びL12)と、一対のコアである第1コア部(コアMM11及びMM12)と、アルミプレートPL1と、を含んでいる。また、コイルL11及びL12と、コアMM11及びMM12とは、図示しない樹脂部材等で保持される。
【0035】
第1コイル部のそれぞれのコイルL11及びL12は、図2に示すように、水平面(XY平面)で巻回されたサーキュラー型の形状となっている。また、コイルL11及びL12は、それぞれの一端が繋ぎ部A1によって接続されており、電流によって発生する磁界が互いに逆方向となるように巻回されている。つまり、コイルL11は、鉛直方向(Z軸方向)に対して例えば上向きの磁界を発生し、コイルL12は、鉛直方向(Z軸方向)に対して例えば下向きの磁界を発生する。
【0036】
第1コア部のそれぞれのコアMM11及びMM12は、第1コイル部のそれぞれのコイルL11及びL12が発生する磁界を誘導する磁性材料である。コアMM11及びMM12は、典型的には、フェライトで構成される。
【0037】
また、第1コア部のそれぞれのコアMM11及びMM12は、第1コイル部のそれぞれのコイルL11及びL12と一体的となっており、水平方向(Y軸方向)に距離AW1(「第1コア間距離AW1」と称する。)を空けて隣り合って配置されている。
【0038】
第1コア部のそれぞれのコアMM11及びMM12には、一対のコイルL11及びL12のそれぞれから等距離にある中心線(一対のコイルL11とコイルL12との中間に位置する中心線)を対称軸として略線対称となる位置に、当該コアを略Y軸方向に沿って分割するコア溝が設けられている。図示の例では、コアMM11には、コアMM11を略Y軸方向に沿って分割するコア溝A11aとコア溝A11bが設けられる。すなわち、コア溝A11aとコア溝A11bとにより、コアMM11が3分割されることになる。コアMM12には、コアMM12を略Y軸方向に沿って分割するコア溝A12aとコア溝A12bが設けられる。コア溝A12aとコア溝A12bとにより、コアMM12が3分割されることになる。コアMM11に設けられるコア溝A11aと、コアMM12に設けられるコア溝A12bとは、一対のコイルL11及びL12のそれぞれから等距離にある中心線を対称軸とした略線対称となる位置関係にある。コアMM11に設けられるコア溝A11bと、コアMM12に設けられるコア溝A12aとは、一対のコイルL11及びL12のそれぞれから等距離にある中心線を対称軸とした略線対称となる位置関係にある。
【0039】
第1コイル部のコイルL11とコイルL12は、それぞれ、コイル長辺(図2では長軸方向であるX軸方向に沿うコイル辺)を2つ有し、コイル短辺(図2では短軸方向であるY軸方向に沿うコイル辺)を2つ有する。そして、第1コイル部のコイルL11とコイルL12とは、繋ぎ部A1によって、各コイルL11及びL12の対向する外径側かつコイル長辺の位置で接続されている。すなわち、繋ぎ部A1は、一対のコイルL11及びL12の互いに対向して隣りあうコイル長辺における互いに対向するコイル外径側(コイルL11とコイルL12とで挟まれた領域内)に設けられる。
【0040】
送電コイル111の体格増加を抑制するために、第1コイル部のコイルL11及びコイルL12の各引き出し線L13及びL14を、コア溝A11a及びA12aを介して第1コア部及びアルミプレートPL1の裏面に引き出す。ただし、第1コア部にコア溝A11a及びA12aを設けただけでは、コイルL11及びL12の磁気抵抗のアンバランスになり、引き出し線による発生磁界により第1コア部に飽和が生じてしまう。そこで、この飽和を抑制するために、コイルの引き出し線が通るコア溝A11a及びA12aと略線対称となるコアMM11及びMM12上の位置に、コイルの引き出し線が通らないコア溝A11b及びA12bを敢えて設ける構成とする。より詳しくは次の通りである。
【0041】
コイルL11についての繋ぎ部A1に続くコイル端とは反対側のコイル端を図1のコンデンサC11に接続するための引き出し線L13が、一対のコイルL11及びL12の互いに対向して隣りあうコイル長辺におけるコイル内径側(コイルL11の輪の最内側)から引き出される。引き出し線L13は、コイルL11が設けられたコアMM11の第1面側から、コア溝A11aを通って、コアMM11の第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出され、さらに、アルミプレートPL1に設けられた穴を通って、アルミプレートPL1の裏面側(コアMM11に接する面側とは反対側の面側)へ引き出される。アルミプレートPL1の裏面側から引き出された引き出し線L13は、図1のコンデンサC11に接続される。
【0042】
また、コイルL12についての繋ぎ部A1に続くコイル端とは反対側のコイル端を図1のコンデンサC12に接続するための引き出し線L14が、一対のコイルL11及びL12の互いに対向して隣りあうコイル長辺におけるコイル内径側(コイルL12の輪の最内側)から引き出される。引き出し線L14は、コイルL12が設けられたコアMM12の第1面側から、コア溝A12aを通って、コアMM12の第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出され、さらに、アルミプレートPL1に設けられた穴を通って、アルミプレートPL1の裏面側(コアMM12に接する面側とは反対側の面側)へ引き出される。アルミプレートPL1の裏面側から引き出された引き出し線L14は、図1のコンデンサC12に接続される。
【0043】
コア溝A11aにおいて引き出し線L13が通る位置とコア溝A12aにおいて引き出し線L14が通る位置とは、繋ぎ部A1の略中央部を対称の中心として略点対称となる位置関係にあることが好ましい。
【0044】
第1コイル部のコイルL11及びL12のコイル短辺がX方向磁界を生じさせる。このため、コイルの引き出し線を通すためのコア溝A11a及びA12aのみをコアMM11及びM12に設けると、コアMM11のコア溝A11aとコアMM12のコア溝A12aとは線対称の位置関係にないことから磁気抵抗がアンバランスになり、その結果コイルL11及びL12が発生させるX方向磁界がアンバランスになり、X方向遠方漏洩磁界が増加してしまう。そこで、本開示の実施形態1では、コイルL11及びL12のX方向の磁気抵抗が等しくなるよう、コイルの引き出し線が通るコア溝A11a及びA12aと略線対称となるコアMM11及びMM12上の位置に、コイルの引き出し線が通らないコア溝A11b及びA12bを敢えて設ける構成とする。これにより、X方向の磁気抵抗のアンバランスを解消し、コア分割に伴うX方向遠方漏洩磁界の増加を良好に抑制することができる。
【0045】
アルミプレートPL1は、コイルL11及びL12とコアMM11及びMM12の下に配置され、送電回路110に対する外部の磁界の影響を低減するシールド部である。すなわち、アルミプレートPL1は、第1コア部の2つの面のうち第1コイル部が設けられる面側とは反対側の面側に配置される。よって、第1コイル部、第1コア部、アルミプレートPL1の順に重なるように配置される。
【0046】
1-2-2.実施形態1に係る受電回路
図3は、本開示の実施形態1に係る受電回路210の構成を説明するための概念図である。図3は、水平面(XY面)に位置する受電回路210について、鉛直方向(Z軸方向)から見た平面図と、水平縦方向(X軸方向)から見た側面図と、斜視図とを示している。受電回路210は、前述したように、受電コイル211と、コンデンサC21及びC22と、により構成される共振回路である。
【0047】
受電コイル211は、一対のコイルである第2コイル部(コイルL21及びL22)と、一対のコアである第2コア部(コアMM21及びMM22)と、アルミプレートPL2と、を含んでいる。また、コイルL21及びL22と、コアMM21及びMM22とは、図示しない樹脂部材等で保持される。
【0048】
第2コイル部のそれぞれのコイルL21及びL22は、図3に示すように、水平面(XY平面)で巻回されたサーキュラー型の形状となっている。また、コイルL21及びL22は、それぞれの一端が繋ぎ部A2によって接続されており、電流によって発生する磁界が互いに逆方向となるように巻回されている。これにより、第2コイルのコイルL21及びL22は、第1コイル部のコイルL11及びL12のそれぞれから発生する互いに逆方向の磁界を適切に受電することができる。
【0049】
第2コア部のそれぞれのコアMM21及びMM22は、第2コイル部のそれぞれのコイルL21及びL22が発生する磁界を誘導する磁性材料である。コアMM21及びMM22は、典型的には、フェライトで構成される。
【0050】
また、第2コア部のそれぞれのコアMM21及びMM22は、第2コイル部のそれぞれのコイルL21及びL22と一体的となっており、水平方向(Y軸方向)に距離AW2(「第2コア間距離AW2」と称する。)を空けて隣り合って配置されている。
【0051】
第2コア部のそれぞれのコアMM21及びMM22には、一対のコイルL21及びL22のそれぞれから等距離にある中心線(一対のコイルL21とコイルL22との中間に位置する中心線)を対称軸として略線対称となる位置に、当該コアを略Y軸方向に沿って分割するコア溝が設けられている。図示の例では、コアMM21には、コアMM21を略Y軸方向に沿って分割するコア溝A21aとコア溝A21bが設けられる。すなわち、コア溝A21aとコア溝A21bとにより、コアMM21が3分割されることになる。コアMM22には、コアMM22を略Y軸方向に沿って分割するコア溝A22aとコア溝A22bが設けられる。コア溝A22aとコア溝A22bとにより、コアMM22が3分割されることになる。コアMM21に設けられるコア溝A21aと、コアMM22に設けられるコア溝A22bとは、一対のコイルL21及びL22のそれぞれから等距離にある中心線を対称軸とした略線対称となる位置関係にある。コアMM21に設けられるコア溝A21bと、コアMM22に設けられるコア溝A22aとは、一対のコイルL21及びL22のそれぞれから等距離にある中心線を対称軸とした略線対称となる位置関係にある。
【0052】
第2コイル部のコイルL21とコイルL22は、それぞれ、コイル長辺(図3では長軸方向であるX軸方向に沿うコイル辺)を2つ有し、コイル短辺(図3では短軸方向であるY軸方向に沿うコイル辺)を2つ有する。そして、第2コイル部のコイルL21とコイルL22とは、繋ぎ部A2によって、各コイルL21及びL22の対向する外径側かつコイル長辺の位置で接続されている。すなわち、繋ぎ部A2は、一対のコイルL21及びL22の互いに対向して隣りあうコイル長辺における互いに対向するコイル外径側(コイルL21とコイルL22とで挟まれた領域内)に設けられる。
【0053】
受電コイル211の体格増加を抑制するために、第2コイル部のコイルL21及びコイルL22の各引き出し線L23及びL24を、コア溝A21a及びA22aを介して第2コア部及びアルミプレートPL2の裏面に引き出す。ただし、第2コア部にコア溝A21a及びA22aを設けただけでは、コイルL21及びL22の磁気抵抗のアンバランスになり、引き出し線による発生磁界により第2コア部に飽和が生じてしまう。そこで、この飽和を抑制するために、コイルの引き出し線が通るコア溝A21a及びA22aと略線対称となるコアMM21及びMM22上の位置に、コイルの引き出し線が通らないコア溝A21b及びA22bを敢えて設ける構成とする。より詳しくは次の通りである。
【0054】
コイルL21についての繋ぎ部A2に続くコイル端とは反対側のコイル端を図1のコンデンサC21に接続するための引き出し線L23が、一対のコイルL21及びL22の互いに対向して隣りあうコイル長辺におけるコイル内径側(コイルL21の輪の最内側)から引き出される。引き出し線L23は、コイルL21が設けられたコアMM21の第1面側から、コア溝A21aを通って、コアMM21の第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出され、さらに、アルミプレートPL2に設けられた穴を通って、アルミプレートPL2の裏面側(コアMM21に接する面側とは反対側の面側)へ引き出される。アルミプレートPL2の裏面側から引き出された引き出し線L23は、図1のコンデンサC21に接続される。
【0055】
また、コイルL22についての繋ぎ部A2に続くコイル端とは反対側のコイル端を図1のコンデンサC22に接続するための引き出し線L24が、一対のコイルL21及びL22の互いに対向して隣りあうコイル長辺におけるコイル内径側(コイルL22の輪の最内側)から引き出される。引き出し線L24は、コイルL22が設けられたコアMM22の第1面側から、コア溝A22aを通って、コアMM22の第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出され、さらに、アルミプレートPL2に設けられた穴を通って、アルミプレートPL2の裏面側(コアMM22に接する面側とは反対側の面側)へ引き出される。アルミプレートPL2の裏面側から引き出された引き出し線L24は、図1のコンデンサC22に接続される。
【0056】
コア溝A21aにおいて引き出し線L23が通る位置とコア溝A22aにおいて引き出し線L24が通る位置とは、繋ぎ部A2の略中央部を対称の中心として略点対称となる位置関係にあることが好ましい。
【0057】
第2コイル部のコイルL21及びL22のコイル短辺がX方向磁界を生じさせる。このため、コイルの引き出し線を通すためのコア溝A21a及びA22aのみをコアMM21及びM22に設けると、コアMM21のコア溝A21aとコアMM22のコア溝A22aとは線対称の位置関係にないことから磁気抵抗がアンバランスになり、その結果コイルL21及びL22が発生させるX方向磁界がアンバランスになり、X方向遠方漏洩磁界が増加してしまう。そこで、本開示の実施形態1では、コイルL21及びL22のX方向の磁気抵抗が等しくなるよう、コイルの引き出し線が通るコア溝A21a及びA22aと略線対称となるコアMM21及びMM22上の位置に、コイルの引き出し線が通らないコア溝A21b及びA22bを敢えて設ける構成とする。これにより、X方向の磁気抵抗のアンバランスを解消し、コア分割に伴うX方向遠方漏洩磁界の増加を良好に抑制することができる。
【0058】
なお、送電コイル111の第1コイル部(コイルL11及びL12)と受電コイル211の第2コイル部(コイルL21及びL22)とは対面するように配置される。したがって、図2及び図3に示すように、受電コイル211においてコイルL21から繋ぎ部A2を経てコイルL22へ向かうコイル配線は、第1コイル部(コイルL11及びL12)と受電コイル211の第2コイル部(コイルL21及びL22)が対面したときに、送電コイル111においてコイルL11から繋ぎ部A1を経てコイルL12へ向かうコイル配線と対応して似たような引き回し形状になるようにする。同様に、図2及び図3に示すように、受電コイル211の第2コイル部(コイルL21及びL22)からコンデンサC21及びコンデンサC22のそれぞれに続く各引き出し線は、第1コイル部(コイルL11及びL12)と受電コイル211の第2コイル部(コイルL21及びL22)が対面したときに、送電コイル111の第1コイル部(コイルL11及びL12)からコンデンサC11及びコンデンサC12のそれぞれに続く各引き出し線と対応して似たような引き回し形状になるようにする。これにより、X方向遠方漏洩磁界及びY方向遠方漏洩磁界の増加をより一層良好に抑制することができる。
【0059】
また、第1コイル部の長軸方向(図2ではX軸方向)の長さは、第2コイル部の長軸方向(図3ではX軸方向)の長さより長くなっている。一方で、第1コイル部と第2コイル部の短軸方向(図2及び図3ではY軸方向)の長さは同等である。これにより、受電コイル211が受電する電力の脈動を抑えることができる。
【0060】
アルミプレートPL2は、コイルL21及びL22とコアMM21及びMM22の下に配置され、受電回路210に対する外部の磁界の影響を低減するシールド部である。すなわち、アルミプレートPL2は、第2コア部の2つの面のうち第2コイル部が設けられる面側とは反対側の面側に配置される。すなわち、第2コイル部、第2コア部、アルミプレートPL2の順に重なるように配置される。
【0061】
1-2-3.配置
第1コイル部(コイルL11及びL12)と第2コイル部(コイルL21及びL22)は対面するように配置される。図4及び図5は、送電回路110及び受電回路210の配置を説明するための概念図である。図4は、斜視図を示している。図5は、鉛直方向(Z軸方向)から見た平面図と、水平縦方向(X軸方向)から見た断面図と、水平横方向(Y軸方向)から見た断面図と、を示している。また図4及び図5は、送電装置100が複数の送電回路110を含む場合を示しており、一例として5つの第1コイル部が示されている。つまり、移動している移動体に対して電力の伝送を行う場合の配置を示している。なお、図4及び図5では、図2及び図3において説明した送電回路110及び受電回路210の構成のうち、一部の部分を省略して示している。
【0062】
図5に示すように、第1コイル部と第2コイル部とは、鉛直方向に距離AG(以下、「送受電距離AG」とも称する。)を隔てて対面している。また図4に示すように、複数の第1コイル部は、アルミプレートPL1に連なって取り付けられ、地面、路面、床面等に定置される。第1コイル部が連なる方向(X軸方向)は、典型的には、移動体の移動経路の進行方向である。第2コイル部は、アルミプレートPL2に取り付けられ、充電の対象となる移動体に搭載される。面FLは、第2コイル部が搭載される移動体の部分を示す。面FLは、例えば、移動体が車両である場合、車両のボデーの底部である。
【0063】
上述したように、複数の第1コイル部の1ピッチ当たりの長さは、第2コイル部の長軸方向(X軸方向)の長さより長くなっている。これにより、1ピッチ当たりに対する受電コイル211が受電する電力の脈動を抑えることができる。
【0064】
2.動作
移動している移動体に対して電力の伝送を行うためには、複数の送電コイル111に係るインバータ130それぞれを移動体の位置に応じて適切に制御することが必要となる。図6は、本開示の実施形態1及び2に係る送電装置100の複数のインバータ130の駆動及び制御の処理の例を示すフローチャートである。
【0065】
図6に示す処理は、インバータ130に係る制御装置により実行される。また、1番目のインバータ130を駆動する条件が満たされたときに図6に示す処理を開始する。ここで、1番目のインバータ130とは、移動体に対して最初に電力の伝送を行う送電コイル111に係るインバータ130である。これは、例えば、移動体が車両であって、送電コイル111が道路上に連なって配置されている場合、車両が最初に通過する送電コイル111に係るインバータ130である。1番目のインバータ130を駆動する条件とは、例えば、最初に通過することとなる送電コイル111の位置の手前の地点であって、送電コイル111を通過するまでの間に分岐がない地点を通過したことが検出された場合等である。
【0066】
ステップS100において、制御装置は、制御の対象とするインバータ130を示す値であるNを1に設定する。Nは、連なって配置する送電コイル111に係るインバータ130の順番に対応しており、N=1は、移動体に対して最初に電力の伝送を行う送電コイル111に係るインバータ130に対応する。ステップS100の後、処理はステップS110に進む。
【0067】
ステップS110において、制御装置は、N番目のインバータ130を小電圧出力で駆動する。処理の開始直後は、N=1となるから、1番目のインバータ130を小出力電圧で駆動する。ステップS110の後、処理はステップS120に進む。
【0068】
ステップS120において、制御装置は、N番目のインバータ130に係る出力電流(インバータ電流)が所定値を超えるか否かを判定する。ここで、インバータ電流は、受電コイル211が送電コイル111に近づくほど増加し、遠ざかるほど減少する特性がある。このため、移動体が送電コイル111を通過する場合、移動体が送電コイル111に最接近する位置まではインバータ電流が増加し、その後減少することとなる。つまり、N番目のインバータ電流が所定値を超えたことにより、移動体がN番目のインバータ130に十分近づいたことを判断することができる。なお所定値は、プログラムに予め与える値であり、実験等により最適に定められる値である。
【0069】
N番目のインバータ電流が所定値を超える場合(ステップS120;Yes)、処理はステップS130に進む。N番目のインバータ電流が所定値を超えない場合(ステップS120;No)、次の実行周期において再度ステップS120の処理を実行する。
【0070】
ステップS130において、制御装置は、N番目のインバータ130の出力電圧を増加させる。これは、移動体がN番目のインバータ130に十分に近づいており、N番目のインバータ130に係る送電コイル111による電力の伝送を十分に行うためである。ステップS130の後、処理はステップS140に進む。
【0071】
ステップS140において、制御装置は、N番目のインバータ電流が所定値を下回るか否かを判定する。前述したように、N番目のインバータ電流が所定値を下回ったことにより、移動体がN番目のインバータ130から一定程度離れたことを判断することができる。なお所定値は、プログラムにあらかじめ与えられる値であり、実験等により最適に定められる値である。またステップS120における所定値と同等であっても異なっていてもよい。
【0072】
N番目のインバータ電流が所定値を下回る場合(ステップS140;Yes)、処理はステップS150に進む。N番目のインバータ電流が所定値を下回らない場合(ステップS140;No)、次の実行周期において再度ステップS140の処理を実行する。
【0073】
ステップS150において、制御装置は、N番目のインバータ130の出力電圧を低下させる。これは、移動体がN番目のインバータ130から一定程度離れており、N番目のインバータ130に係る送電コイル111による電力の伝送の効果が小さいためである。このとき、N番目のインバータ130を停止し、N番目のインバータ130に係る送電コイル111による電力の伝送を止めてもよい。ステップS150の後、処理はステップS160に進む。
【0074】
ステップS160において、制御装置は、N番目のインバータ130が終端であるか否かを判定する。これは、例えば、配置する送電コイル111の個数kを、プログラムにあらかじめ与えておく、あるいは取得し、Nがkとなるか否かを判定することにより行う。N番目のインバータ130が終端である場合(ステップS160;Yes)、処理は終了する。N番目のインバータ130が終端でない場合(ステップS160;No)、処理はステップS170に進む。
【0075】
ステップS170において、制御装置は、Nのインクリメントを行う。ステップS170の後、次の実行周期においてステップS110に戻り、処理を繰り返す。
【0076】
以上説明した処理により、移動体の位置に応じて複数のインバータ130それぞれの制御を行うことができる。なお図6に示す処理は一例であり、本開示の実施形態1及び2に係る非接触電力伝送システム10が適応される環境等に応じて適切な処理が与えられてもよい。
【0077】
3.実施形態1に係る非接触電力伝送システム10の特性
本開示の実施形態1に係る非接触電力伝送システム10では、送電コイル111及び受電コイル211それぞれに含まれる一対のコイルを水平面で巻回されたサーキュラー型の形状とし、コイルが発生する磁界を誘導する一対のコアを距離を空けて配置し、それぞれのコアには、一対のコイルのそれぞれから等距離にある中心線を対称軸として略線対称となる位置に、当該コアを分割するコア溝が設けられる構成とすることで、一対のコイル間で生じる磁界不平衡を抑制して漏洩磁界を良好に低減できる。また、コアにおける第1面側に配置されたコイルからの引き出し線は、コア溝を通じて、当該コアにおける第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出される構成とすることで、一対のコイル間で生じる磁界不平衡を抑制して漏洩磁界を良好に低減できる。
【0078】
以下、本開示の実施形態1に係る非接触電力伝送システム10における漏洩磁界と、コア分割が非対称の非接触電力伝送システムにおける漏洩磁界と、コア分割のない非接触電力伝送システムにおける漏洩磁界と、の比較を示す。本開示の実施形態1に係る非接触電力伝送システム10は、送電回路110及び受電回路210が図1図5に示す構成及び配置であるとする。
【0079】
図7は、比較対象1の非接触電力伝送システムの送電コイルC111の構成を示す概念図である。また、図8は、比較対象1の非接触電力伝送システムの受電コイルC211の構成を示す概念図である。
【0080】
図7に示す比較対象1の非接触電力伝送システムの送電コイルC111は、コア分割が非対称である点で、本開示の実施形態1の非接触電力伝送システム10の送電コイル111とは異なる。
【0081】
図7に示すように、比較対象1の非接触電力伝送システムの送電コイルC111は、一対のコイルである第1コイル部(コイルCL11及びCL12)と、一対のコアである第1コア部(コアCMM11及びCMM12)と、アルミプレートCPL1と、を含んでいる。コイルCL11及びCL12は、図7に示すように、水平面(XY平面)で巻回されたサーキュラー型の形状となっている。また、コイルCL11及びCL12は、電流によって発生する磁界が互いに逆方向となるように巻回されている。つまり、コイルCL11は、鉛直方向(Z軸方向)に対して上向きの磁界を発生し、コイルCL12は、鉛直方向(Z軸方向)に対して下向きの磁界を発生する。第1コイル部のコイルCL11とコイルCL12とは、繋ぎ部CA3によって、各コイルCL11及びCL12の対向する外径側かつコイル長辺の位置で接続されている。
【0082】
比較対象1の送電コイルC111では、コア分割が非対称である。すなわち、コア溝CA31aとコア溝CA32aとは、一対のコイルCL11及びCL12のそれぞれから等距離にある中心線を対称軸とした略線対称となる位置関係にはない。より詳しくは、コアCMM12上には、コアCMM11上のコア溝CA31aに対して、一対のコイルCL11及びCL12のそれぞれから等距離にある中心線を対称軸として略線対称となるようなコア溝は設けられない。コアCMM11上には、コアCMM12上のコア溝CA32aに対して、一対のコイルCL11及びCL12のそれぞれから等距離にある中心線を対称軸として略線対称となるようなコア溝は設けられない。
【0083】
また、コイルCL11についての繋ぎ部CA3に続くコイル端とは反対側のコイル端をからの引き出し線CL13が、一対のコイルCL11及びCL12の互いに対向して隣りあうコイル長辺におけるコイル内径側(コイルCL11の輪の最内側)から引き出される。引き出し線CL13は、コイルCL11が設けられたコアCMM11の第1面側から、コア溝CA31aを通って、コアCMM11の第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出され、さらに、アルミプレートCPL1に設けられた穴を通って、アルミプレートCPL1の裏面側(コアCMM11に接する面側とは反対側の面側)へ引き出される。
【0084】
また、コイルCL12についての繋ぎ部CA3に続くコイル端とは反対側のコイル端からの引き出し線CL14が、一対のコイルCL11及びCL12の互いに対向して隣りあうコイル長辺におけるコイル内径側(コイルCL12の輪の最内側)から引き出される。引き出し線CL14は、コイルCL12が設けられたコアCMM12の第1面側から、コア溝CA32aを通って、コアCMM12の第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出され、さらに、アルミプレートCPL1に設けられた穴を通って、アルミプレートCPL1の裏面側(コアCMM12に接する面側とは反対側の面側)へ引き出される。
【0085】
第1コア部のそれぞれのコアCMM11及びCMM12は、第1コイル部のそれぞれのコイルCL11及びCL12が発生する磁界を誘導する磁性材料である。コアCMM11及びCMM12は、典型的には、フェライトで構成される。
【0086】
また、第1コア部のそれぞれのコアCMM11及びCMM12は、第1コイル部のそれぞれのコイルCL11及びCL12と一体的となっており、水平方向(Y軸方向)に第1コア間距離AW1を空けて隣り合って配置されている。
【0087】
アルミプレートCPL1は、コイルCL11及びCL12とコアCMM11及びCMM12の下に配置され、送電コイルC111に対する外部の磁界の影響を低減するシールド部である。第1コイル部、第1コア部、アルミプレートCPL1の順に重なるように配置される。
【0088】
図8に示す比較対象1の非接触電力伝送システムの受電コイルC211は、コア分割が非対称である点で、本開示の実施形態1の非接触電力伝送システム10の送電コイル111とは異なる。
【0089】
図8に示すように、比較対象1の非接触電力伝送システムの受電コイルC211は、一対のコイルである第2コイル部(コイルCL21及びCL22)と、一対のコアである第2コア部(コアCMM21及びCMM22)と、アルミプレートCPL2と、を含んでいる。コイルCL21及びCL22は、図8に示すように、水平面(XY平面)で巻回されたサーキュラー型の形状となっている。また、コイルCL21及びCL22は、電流によって発生する磁界が互いに逆方向となるように巻回されている。第2コイル部のコイルCL21とコイルCL22とは、繋ぎ部CA4によって、各コイルCL21及びCL22の対向する外径側かつコイル長辺の位置で接続されている。
【0090】
比較対象1の送電コイルC211では、コア分割が非対称である。すなわち、コア溝CA41aとコア溝CA42bとは、一対のコイルCL21及びCL22のそれぞれから等距離にある中心線を対称軸とした略線対称となる位置関係にはない。より詳しくは、コアCMM22上には、コアCMM21上のコア溝CA41aに対して、一対のコイルCL21及びCL22のそれぞれから等距離にある中心線を対称軸として略線対称となるようなコア溝は設けられない。コアCMM21上には、コアCMM22上のコア溝CA42bに対して、一対のコイルCL21及びCL22のそれぞれから等距離にある中心線を対称軸として略線対称となるようなコア溝は設けられない。
【0091】
また、コイルCL21についての繋ぎ部CA4に続くコイル端とは反対側のコイル端をからの引き出し線CL43が、一対のコイルCL21及びCL22の互いに対向して隣りあうコイル長辺におけるコイル内径側(コイルCL21の輪の最内側)から引き出される。引き出し線CL43は、コイルCL21が設けられたコアCMM21の第1面側から、コア溝CA41aを通って、コアCMM21の第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出され、さらに、アルミプレートCPL2に設けられた穴を通って、アルミプレートCPL2の裏面側(コアCMM21に接する面側とは反対側の面側)へ引き出される。
【0092】
また、コイルCL22についての繋ぎ部CA4に続くコイル端とは反対側のコイル端からの引き出し線CL44が、一対のコイルCL21及びCL22の互いに対向して隣りあうコイル長辺におけるコイル内径側(コイルCL22の輪の最内側)から引き出される。引き出し線CL44は、コイルCL22が設けられたコアCMM22の第1面側から、コア溝CA42bを通って、コアCMM22の第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出され、さらに、アルミプレートCPL2に設けられた穴を通って、アルミプレートCPL2の裏面側(コアMM12に接する面側とは反対側の面側)へ引き出される。
【0093】
第2コア部のそれぞれのコアCMM21及びCMM22は、第2コイル部のそれぞれのコイルCL21及びCL22が発生する磁界を誘導する磁性材料である。コアCMM21及びCMM22は、典型的には、フェライトで構成される。
【0094】
また、第2コア部のそれぞれのコアCMM21及びCMM22は、第2コイル部のそれぞれのコイルCL21及びCL22と一体的となっており、水平方向(Y軸方向)に第2コア間距離AW2を空けて隣り合って配置されている。
【0095】
アルミプレートCPL2は、コイルCL21及びCL22とコアCMM21及びCMM22の下に配置され、受電コイルC211に対する外部の磁界の影響を低減するシールド部である。第2コイル部、第2コア部、アルミプレートCPL2の順に重なるように配置される。
【0096】
図9は、比較対象1の送電コイルC111のコア及び本開示の実施形態1の送電コイル111のコアにおける30kW送電時のX方向(車両進行方向)の磁束密度分布を示す図である。図9に示すように、比較対象1の送電コイルC111では、コア溝CA31aとコア溝CA32aとは、一対のコイルCL11及びCL12のそれぞれから等距離にある中心線を対称軸とした略線対称となる位置関係にはなく、コア分割が非対称であるので、磁気抵抗が非対称とあり、一対のコイルCL11及びCL12が生じるX方向磁界が異なる大きさとなっており、非対称(アンバランス)である。これに対して、本開示の実施形態1の送電コイル111は、一対のコイルL11及びL12が生じるX方向磁界がほぼ同じ大きさとなっており、非対称性が緩和されている。
【0097】
図10は、非接触電力伝送システムにおけるX方向遠方漏洩磁界の測定点を示す図である。例えば、充電の対象となる移動体が車両であり、送電コイル(第1コイル部)が車両の走行経路となる道路上に連なって配置している場合において、送電コイルの中心を起点として車両の進行方向(X軸方向)に例えば10m程度離れた位置である遠方地点を、X方向遠方漏洩磁界の測定点として設定する。図11は、比較対象1の非接触電力伝送システム(図7及び図8)と本開示の実施形態1に係る非接触電力伝送システム10(図1図5)における図10に示したX方向10m地点の遠方漏洩磁界の比較結果を示す図である。図11に示すように、本開示の実施形態1に係る非接触電力伝送システム10(図1図5)は、比較対象1の非接触電力伝送システム(図7及び図8)より遠方漏洩磁界を約6dB低減できていることが分かる。
【0098】
図12は、比較対象2の非接触電力伝送システムの送電コイルC311の構成を示す概念図である。また、図13は、比較対象2の非接触電力伝送システムの受電コイルC411の構成を示す概念図である。
【0099】
図12に示す比較対象2の非接触電力伝送システムの送電コイルC311は、コア分割がなくコアに穴を設けた点で、本開示の実施形態1の非接触電力伝送システム10の送電コイル111とは異なる。
【0100】
図12に示すように、比較対象2の非接触電力伝送システムの送電コイルC311は、一対のコイルである第1コイル部(コイルCL31及びCL32)と、一対のコアである第1コア部(コアCMM31及びCMM32)と、アルミプレートCPL1と、を含んでいる。コイルCL31及びCL32は、図12に示すように、水平面(XY平面)で巻回されたサーキュラー型の形状となっている。また、コイルCL31及びCL32は、電流によって発生する磁界が互いに逆方向となるように巻回されている。つまり、コイルCL31は、鉛直方向(Z軸方向)に対して上向きの磁界を発生し、コイルCL32は、鉛直方向(Z軸方向)に対して下向きの磁界を発生する。第1コイル部のコイルCL31とコイルCL32とは、繋ぎ部CA5によって、各コイルCL31及びCL32の対向する外径側かつコイル長辺の位置で接続されている。
【0101】
比較対象2の送電コイルC111では、コア分割がない。すなわち、コアCMM31及びCMM32のいずれにも、コアを分割するコア溝は設けられておらず、代わりに穴CAA51a及びCA52aが設けられている。
【0102】
また、コイルCL31についての繋ぎ部CA5に続くコイル端とは反対側のコイル端をからの引き出し線CL33が、一対のコイルCL31及びCL32の互いに対向して隣りあうコイル長辺におけるコイル内径側(コイルCL31の輪の最内側)から引き出される。引き出し線CL33は、コイルCL31が設けられたコアCMM31の第1面側から、コアCMM31に設けられた穴CAA51aを通って、コアCMM31の第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出され、さらに、アルミプレートCPL1に設けられた穴を通って、アルミプレートPL1の裏面側(コアCMM11に接する面側とは反対側の面側)へ引き出される。
【0103】
また、コイルCL32についての繋ぎ部CA5に続くコイル端とは反対側のコイル端からの引き出し線CL34が、一対のコイルCL31及びCL32の互いに対向して隣りあうコイル長辺におけるコイル内径側(コイルCL32の輪の最内側)から引き出される。引き出し線CL34は、コイルCL32が設けられたコアCMM32の第1面側から、コアCMM32に設けられた穴CAA52aを通って、コアCMM32の第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出され、さらに、アルミプレートCPL1に設けられた穴を通って、アルミプレートCPL1の裏面側(コアCMM32に接する面側とは反対側の面側)へ引き出される。
【0104】
第1コア部のそれぞれのコアCMM31及びCMM32は、第1コイル部のそれぞれのコイルCL31及びCL32が発生する磁界を誘導する磁性材料である。コアCMM31及びCMM32は、典型的には、フェライトで構成される。
【0105】
また、第1コア部のそれぞれのコアCMM31及びCMM32は、第1コイル部のそれぞれのコイルCL31及びCL32と一体的となっており、水平方向(Y軸方向)に第1コア間距離AW1を空けて隣り合って配置されている。
【0106】
アルミプレートCPL1は、コイルCL31及びCL32とコアCMM31及びCMM32の下に配置され、送電コイルC311に対する外部の磁界の影響を低減するシールド部である。第1コイル部、第1コア部、アルミプレートCPL1の順に重なるように配置される。
【0107】
図13に示す比較対象2の非接触電力伝送システムの受電コイルC411は、コア分割がなくコアに穴を設けた点で、本開示の実施形態1の非接触電力伝送システム10の送電コイル111とは異なる。
【0108】
図13に示すように、比較対象2の非接触電力伝送システムの受電コイルC411は、一対のコイルである第2コイル部(コイルCL41及びCL42)と、一対のコアである第2コア部(コアCMM41及びCMM42)と、アルミプレートCPL2と、を含んでいる。コイルCL4及びCL42は、図13に示すように、水平面(XY平面)で巻回されたサーキュラー型の形状となっている。また、コイルCL41及びCL42は、電流によって発生する磁界が互いに逆方向となるように巻回されている。第2コイル部のコイルCL41とコイルCL42とは、繋ぎ部CA6によって、各コイルCL41及びCL42の対向する外径側かつコイル長辺の位置で接続されている。
【0109】
比較対象2の受電コイルC411では、コア分割がない。すなわち、コアCMM41及びCMM42のいずれにも、コアを分割するコア溝は設けられておらず、代わりに穴CAA61a及びCA62bが設けられている。
【0110】
また、コイルCL41についての繋ぎ部CA6に続くコイル端とは反対側のコイル端をからの引き出し線CL43が、一対のコイルCL41及びCL42の互いに対向して隣りあうコイル長辺におけるコイル内径側(コイルCL41の輪の最内側)から引き出される。引き出し線CL43は、コイルCL41が設けられたコアCMM41の第1面側から、コアCMM41に設けられた穴CAA61aを通って、コアCMM41の第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出され、さらに、アルミプレートCPL2に設けられた穴を通って、アルミプレートPL2の裏面側(コアCMM11に接する面側とは反対側の面側)へ引き出される。
【0111】
また、コイルCL42についての繋ぎ部CA6に続くコイル端とは反対側のコイル端からの引き出し線CL44が、一対のコイルCL41及びCL42の互いに対向して隣りあうコイル長辺におけるコイル内径側(コイルCL42の輪の最内側)から引き出される。引き出し線CL44は、コイルCL42が設けられたコアCMM42の第1面側から、コアCMM42に設けられた穴CAA62bを通って、コアCMM42の第1面側とは反対側の面である第2面側へ引き出され、さらに、アルミプレートCPL2に設けられた穴を通って、アルミプレートCPL2の裏面側(コアCMM42に接する面側とは反対側の面側)へ引き出される。
【0112】
第2コア部のそれぞれのコアCMM41及びCMM42は、第2コイル部のそれぞれのコイルCL41及びCL42が発生する磁界を誘導する磁性材料である。コアCMM41及びCMM42は、典型的には、フェライトで構成される。
【0113】
また、第2コア部のそれぞれのコアCMM41及びCMM42は、第2コイル部のそれぞれのコイルCL41及びCL42と一体的となっており、水平方向(Y軸方向)に第2コア間距離AW2を空けて隣り合って配置されている。
【0114】
アルミプレートCPL2は、コイルCL41及びCL42とコアCMM41及びCMM42の下に配置され、受電コイルC411に対する外部の磁界の影響を低減するシールド部である。すなわち、第2コイル部、第2コア部、アルミプレートCPL2の順に重なるように配置される。
【0115】
図14は、比較対象2の送電コイルC311のコアにおける30kW送電時の磁束密度分布を示す図である。図14に示すように、比較対象2の送電コイルC311では、コアCMM31及びCMM32には、線対称のコア溝が設けられておらず、また引き出し線CL31及びCL32を通す穴CA51a及びC52aがコアCMM31及びCMM32上に設けられているので、コアCMM31及びCMM32に設けられた穴CA51a及びC52aを通る引き出し線からの磁界の影響でコアCMM31及びCMM32に局所飽和が発生している。また、鉄損も著しく増加する。
【0116】
4.実施形態2に係る送電回路、受電回路
4-1.実施形態2に係る送電回路
図15は、本開示の実施形態2に係る送電回路110の構成を説明するための概念図である。図15は、水平面(XY面)に位置する送電回路110について、鉛直方向(Z軸方向)から見た平面図と、水平縦方向(X軸方向)から見た側面図と、斜視図とを示している。送電回路110は、上述したように、送電コイル111と、コンデンサC11及びC12と、により構成される共振回路である。
【0117】
送電コイル111は、一対のコイルである第1コイル部(コイルL11及びL12)と、一対のコアである第1コア部(コアMM11及びMM12)と、アルミプレートPL1と、を含んでいる。また、コイルL11及びL12と、コアMM11及びMM12とは、図示しない樹脂部材等で保持される。
【0118】
第1コイル部のそれぞれのコイルL11及びL12は、図15に示すように、水平面(XY平面)で巻回されたサーキュラー型の形状となっている。また、コイルL11及びL12は、それぞれの一端が繋ぎ部A7によって接続されており、電流によって発生する磁界が互いに逆方向となるように巻回されている。つまり、コイルL11は、鉛直方向(Z軸方向)に対して例えば上向きの磁界を発生し、コイルL12は、鉛直方向(Z軸方向)に対して例えば下向きの磁界を発生する。
【0119】
第1コア部のそれぞれのコアMM11及びMM12は、第1コイル部のそれぞれのコイルL11及びL12が発生する磁界を誘導する磁性材料である。コアMM11及びMM12は、典型的には、フェライトで構成される。
【0120】
また、第1コア部のそれぞれのコアMM11及びMM12は、第1コイル部のそれぞれのコイルL11及びL12と一体的となっており、水平方向(Y軸方向)に第1コア間距離AW1を空けて隣り合って配置されている。
【0121】
第1コイル部のコイルL11とコイルL12は、それぞれ、コイル長辺(図15では長軸方向であるX軸方向に沿うコイル辺)を2つ有し、コイル短辺(図15では短軸方向であるY軸方向に沿うコイル辺)を2つ有する。そして、第1コイル部のコイルL11とコイルL12とは、繋ぎ部A7によって、各コイルL11及びL12の対向する外径側かつコイル長辺の位置で接続されている。すなわち、繋ぎ部A7は、一対のコイルL11及びL12の互いに対向して隣りあうコイル長辺における互いに対向するコイル外径側(コイルL11とコイルL12とで挟まれた領域内)に設けられる。
【0122】
アルミプレートPL1は、コイルL11及びL12とコアMM11及びMM12の下に配置され、送電回路110に対する外部の磁界の影響を低減するシールド部である。アルミプレートPL1は、第1コア部の2つの面のうち第1コイル部が設けられる面側とは反対側の面側に配置される。すなわち、第1コイル部、第1コア部、アルミプレートPL1の順に重なるように配置される。また、コアMM11及びMM12は水平方向(Y軸方向)に第1コア間距離AW1を空けて隣り合って配置されているので、鉛直方向(Z軸方向)のコイルL11及びL12が設けられた側から見ると、コアMM11とコアMM12との間に、露出したアルミプレートPL1を視認することができる。このコアM11とコアM12との間に露出したアルミプレートPL1上に、穴A71a及びA72aが設けられる。なお、アルミプレートPL1上における穴A71aと穴A72aとは、繋ぎ部A7の略中央部を対称の中心として略点対称となる位置関係にあることが好ましい。
【0123】
送電コイル111の体格増加を抑制するために、第1コイル部のコイルL11及びコイルL12の各引き出し線L31及びL32を、穴A71a及びA72aを介して第1コア部及びアルミプレートPL1の裏面に引き出す。ただし、第1コア部上にコイルの引き出し線を通すためのコア溝を設けると、コイルL11及びL12の磁気抵抗のアンバランスになり、引き出し線による発生磁界により第1コア部に飽和が生じてしまう。そこで、この飽和を抑制するために、第1コア間距離AW1を空けて配置された一対のコアMM11とMM12との間に設けられたアルミプレートの穴A71a及びA72aに、コイルの引き出し線を通す構成とする。より詳しくは次の通りである。
【0124】
コイルL11についての繋ぎ部A7に続くコイル端とは反対側のコイル端を図1のコンデンサC11に接続するための引き出し線L31が、一対のコイルL11及びL12の互いに対向して隣りあうコイル長辺におけるコイル内径側(コイルL11の輪の最内側)から引き出される。引き出し線L31は、コアMM11及びMM12が設けられたアルミプレートPL1の第1面側から、第1コア間距離AW1を空けて配置された一対のコアMM11とMM12との間に設けられたアルミプレートの穴A71aを通って、コアMM11及びMM12が設けられたアルミプレートPL1の第1面側とは反対側の面である第2面側(コアMM11及びMM12に接する面側とは反対側の面側)へ引き出される。アルミプレートPL1の裏面側から引き出された引き出し線L31は、図1のコンデンサC11に接続される。
【0125】
また、コイルL12についての繋ぎ部A7に続くコイル端とは反対側のコイル端を図1のコンデンサC12に接続するための引き出し線L32が、一対のコイルL11及びL12の互いに対向して隣りあうコイル長辺におけるコイル内径側(コイルL12の輪の最内側)から引き出される。引き出し線L32は、コアMM11及びMM12が設けられたアルミプレートPL1の第1面側から、第1コア間距離AW1を空けて配置された一対のコアMM11とMM12との間に設けられたアルミプレートの穴A72aを通って、コアMM11及びMM12が設けられたアルミプレートPL1の第1面側とは反対側の面である第2面側(コアMM11及びMM12に接する面側とは反対側の面側)へ引き出される。アルミプレートPL1の第2面側から引き出された引き出し線L32は、図1のコンデンサC12に接続される。
【0126】
4-2.実施形態2に係る受電回路
図16は、本開示の実施形態2に係る受電回路210の構成を説明するための概念図である。図16は、水平面(XY面)に位置する受電回路210について、鉛直方向(Z軸方向)から見た平面図と、水平縦方向(X軸方向)から見た側面図と、斜視図とを示している。受電回路210は、前述したように、受電コイル211と、コンデンサC21及びC22と、により構成される共振回路である。
【0127】
受電コイル211は、一対のコイルである第2コイル部(コイルL21及びL22)と、一対のコアである第2コア部(コアMM21及びMM22)と、アルミプレートPL2と、を含んでいる。また、コイルL21及びL22と、コアMM21及びMM22とは、図示しない樹脂部材等で保持される。
【0128】
第2コイル部のそれぞれのコイルL21及びL22は、図16に示すように、水平面(XY平面)で巻回されたサーキュラー型の形状となっている。また、コイルL21及びL22は、それぞれの一端が繋ぎ部A8によって接続されており、電流によって発生する磁界が互いに逆方向となるように巻回されている。これにより、第2コイルのコイルL21及びL22は、第1コイル部のコイルL11及びL12のそれぞれから発生する互いに逆方向の磁界を適切に受電することができる。
【0129】
第2コア部のそれぞれのコアMM21及びMM22は、第2コイル部のそれぞれのコイルL21及びL22が発生する磁界を誘導する磁性材料である。コアMM21及びMM22は、典型的には、フェライトで構成される。
【0130】
また、第2コア部のそれぞれのコアMM21及びMM22は、第2コイル部のそれぞれのコイルL21及びL22と一体的となっており、水平方向(Y軸方向)に第2コア間距離AW2を空けて隣り合って配置されている。
【0131】
第2コイル部のコイルL21とコイルL22は、それぞれ、コイル長辺(図16では長軸方向であるX軸方向に沿うコイル辺)を2つ有し、コイル短辺(図16では短軸方向であるY軸方向に沿うコイル辺)を2つ有する。そして、第2コイル部のコイルL21とコイルL22とは、繋ぎ部A8によって、各コイルL21及びL22の対向する外径側かつコイル長辺の位置で接続されている。すなわち、繋ぎ部A8は、一対のコイルL21及びL22の互いに対向して隣りあうコイル長辺における互いに対向するコイル外径側(コイルL21とコイルL22とで挟まれた領域内)に設けられる。
【0132】
アルミプレートPL2は、コイルL21及びL22とコアMM21及びMM22の下に配置され、受電回路210に対する外部の磁界の影響を低減するシールド部である。アルミプレートPL2は、第2コア部の2つの面のうち第2コイル部が設けられる面側とは反対側の面側に配置される。すなわち、第2コイル部、第2コア部、アルミプレートPL2の順に重なるように配置される。また、コアMM21及びMM22は水平方向(Y軸方向)に第2コア間距離AW2を空けて隣り合って配置されているので、鉛直方向(Z軸方向)のコイルL21及びL22が設けられた側から見ると、コアMM21とコアMM22との間に、露出したアルミプレートPL2を視認することができる。このコアM21とコアM22との間に露出したアルミプレートPL2上に、穴A81a及びA82bが設けられる。なお、アルミプレートPL2上における穴A81aと穴A82bとは、繋ぎ部A8の略中央部を対称の中心として略点対称となる位置関係にあることが好ましい。
【0133】
受電コイル211の体格増加を抑制するために、第2コイル部のコイルL21及びコイルL22の各引き出し線L41及びL42を、穴A81a及びA82bを介して第2コア部及びアルミプレートPL2の裏面に引き出す。ただし、第2コア部上にコイルの引き出し線を通すためのコア溝を設けると、コイルL21及びL22の磁気抵抗のアンバランスになり、引き出し線による発生磁界により第2コア部に飽和が生じてしまう。そこで、この飽和を抑制するために、第2コア間距離AW2を空けて配置された一対のコアMM21とMM22との間に設けられたアルミプレートの穴A81a及びA82bに、コイルの引き出し線を通す構成とする。より詳しくは次の通りである。
【0134】
コイルL21についての繋ぎ部A8に続くコイル端とは反対側のコイル端を図1のコンデンサC21に接続するための引き出し線L41が、一対のコイルL21及びL22の互いに対向して隣りあうコイル長辺におけるコイル内径側(コイルL21の輪の最内側)から引き出される。引き出し線L41は、コイルL21が設けられたコアMM21の第1面側から、第2コア間距離AW2を空けて配置された一対のコアMM21とMM22との間に設けられたアルミプレートの穴A82aを通って、コアMM21及びMM22が設けられたアルミプレートPL2の第1面側とは反対側の面である第2面側(コアMM21及びMM22に接する面側とは反対側の面側)へ引き出される。アルミプレートPL2の第2面側から引き出された引き出し線L41は、図1のコンデンサC21に接続される。
【0135】
また、コイルL22についての繋ぎ部A8に続くコイル端とは反対側のコイル端を図1のコンデンサC22に接続するための引き出し線L42が、一対のコイルL21及びL22の互いに対向して隣りあうコイル長辺におけるコイル内径側(コイルL22の輪の最内側)から引き出される。引き出し線L42は、コアMM21及びMM22が設けられたアルミプレートPL2の第1面側から、第2コア間距離AW2を空けて配置された一対のコアMM11とMM12との間に設けられたアルミプレートの穴A82bを通って、コアMM21及びMM22が設けられたアルミプレートPL2の第1面側とは反対側の面である第2面側(コアMM21及びMM22に接する面側とは反対側の面側)へ引き出される。アルミプレートPL2の裏面側から引き出された引き出し線L42は、図1のコンデンサC22に接続される。
【0136】
なお、本開示の実施形態2においても、送電コイル111の第1コイル部(コイルL11及びL12)と受電コイル211の第2コイル部(コイルL21及びL22)とは対面するように配置される。したがって、図15及び図16に示すように、受電コイル211においてコイルL21から繋ぎ部A8を経てコイルL22へ向かうコイル配線は、第1コイル部(コイルL11及びL12)と受電コイル211の第2コイル部(コイルL21及びL22)が対面したときに、送電コイル111においてコイルL11から繋ぎ部A7を経てコイルL12へ向かうコイル配線と対応して似たような引き回し形状になるようにする。同様に、図15及び図16に示すように、受電コイル211の第2コイル部(コイルL21及びL22)からコンデンサC21及びコンデンサC22のそれぞれに続く各引き出し線は、第1コイル部(コイルL11及びL12)と受電コイル211の第2コイル部(コイルL21及びL22)が対面したときに、送電コイル111の第1コイル部(コイルL11及びL12)からコンデンサC11及びコンデンサC12のそれぞれに続く各引き出し線と対応して似たような引き回し形状になるようにする。これにより、X方向遠方漏洩磁界及びY方向遠方漏洩磁界の増加をより一層良好に抑制することができる。
【0137】
また、第1コイル部の長軸方向(図15ではX軸方向)の長さは、第2コイル部の長軸方向(図16ではX軸方向)の長さより長くなっている。一方で、第1コイル部と第2コイル部の短軸方向(図15及び図16ではY軸方向)の長さは同等である。これにより、受電コイル211が受電する電力の脈動を抑えることができる。
【0138】
5.実施形態2に係る非接触電力伝送システム10の特性
図17は、本開示の実施形態2の送電コイル111のコアにおける30kW送電時の磁束密度分布を示す図である。図17に示すように、本開示の実施形態2の送電コイル111では、コアM11及びM12上にはコア溝も穴も設けられていないので、コアM11及びM12の磁界の飽和が抑制されている。
【0139】
図18は、本開示の実施形態2の送電コイル111のコアにおける30kW送電時のX方向(車両進行方向)の磁束密度分布を示す図である。図18に示すように、本開示の実施形態2の送電コイル111は、一対のコイルL11及びL12が生じるX方向磁界がほぼ同じ大きさとなっており、非対称性が緩和されており、また、飽和も抑制されている。
【0140】
図19は、比較対象1の非接触電力伝送システム(図7及び図8)と本開示の実施形態2に係る非接触電力伝送システム10(図1図4図5図15及び図16)における図10に示したX方向10m地点の遠方漏洩磁界の比較結果を示す図である。図19に示すように、本開示の実施形態2に係る非接触電力伝送システム10(図1図4図5図15及び図16)は、比較対象1の非接触電力伝送システム(図7及び図8)より遠方漏洩磁界を約16dB低減できていることが分かる。
【0141】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記にした説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0142】
10 非接触電力伝送システム
100 送電装置
110、110A、110B、110C、110D 送電回路
111 送電コイル
120 イミタンスフィルタ
130 インバータ
140 ACDCコンバータ
200 受電装置
210 受電回路
211 受電コイル
220 イミタンスフィルタ
230 整流回路
300 電源
400 バッテリ
A1、A2、A7、A8 繋ぎ部
A11a、A11b、A12a、A12b、A21a、A21b、A22a、A22b コア溝
A71a、A72a、A81a、A82a 穴
AW1 第1コア間距離
AW2 第2コア間距離
AG 送受電距離
C24 平滑コンデンサ
L11、L12、L21、L22、 コイル
L13、L14、L23、L24、L31、L32、L41、L42 引き出し線
MM11、MM12、MM21、MM22 コア
PL1、PL2 アルミプレート
図1
図2
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